JP2016219535A - 電子回路装置 - Google Patents

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Shinichi Ishida
晋一 石田
直之 小宮
Naoyuki Komiya
直之 小宮
秀樹 田川
Hideki Tagawa
秀樹 田川
中村 岳史
Takeshi Nakamura
岳史 中村
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Abstract

【課題】 放熱フィン等を省略し、電子回路装置として薄さを保ちつつ、半導体素子から発生する熱を良好に外部放出させることを目的とする。【解決手段】 半導体素子11の周りに金属の枠体12を配置し、枠体12の上面には、前記半導体素子11と前記枠体12を熱的につないだ熱伝導体13を設け、前記枠体12の下面には、枠体12と熱的に接続された放熱電極14を設ける。この電子回路装置10を実装基板17に設ける事で、枠体12から実装基板17側に熱を伝える事が出来る。【選択図】図1

Description

本発明は、電子回路装置に関する。
かつて半導体装置というと、リードフレームにベアチップが実装されたパッケージが主流であった。このパッケージは、アイランドと一緒にベアチップが封止されるもので、SIP、DIPまたはQFPなどが有名である。これらのパッケージは、封止樹脂から出るリードが変形する事で、マザー基板とチップの熱膨張係数の差を緩和させるため、今でも多用されている。
しかし軽薄短小が進み、例えば携帯機器(スマートホーンやタブレットなど)では、小型、薄型、高機能が要求され、その半導体パッケージの形態も進化して来ている。例えば、プリント基板のインターポーザを採用し、面実装の形態で実装面積を減少させたBGA、更には、三次元実装により小型化を可能としたMCPやPOPなどが盛んに使われるようになってきた。どれも、半田ボールが採用された面実装タイプで、リードの張り出しが無い為、実装面積が少なくて済むものである。後者のPOPなどは、チップが高さ方向に積んであるため、更に実装面積を減らせるものである。
並行して、これら半導体パッケージを搭載するインターポーザやマザーボードも、軽薄短小の要求から、盛んに開発が行われ、薄型の基板が開発されるようになってきた。例えば、現在のスマートホンでは、配線が10〜12層で、厚みが800μmのプリント基板が採用されている。
これら多層のプリント基板は、殆どが、表面に半導体パッケージを搭載したものであった。しかしながら、これでもセットメーカーの要求は、厳しく、最近では、プリント基板の中に素子を埋め込んだ部品内蔵基板をインターポーザや実装基板として採用した半導体モジュールも開発されている。(下記引用文献の図2等を参照)
これは、実装基板にキャビティが形成され、その中に半導体素子や受動部品が埋め込まれるため、この半導体モジュール自体を更に薄型にするものである。
一方、図8(非特許文献1)を参照すると、最近の電子機器の動作状態を知る事ができ、自然空冷の限界ギリギリで使っている事が判る。
斜めの直線は、自然空冷領域と強制空冷領域の境界を示すものである。従来から、ファン等を採用して空冷しているセットは、デスクトップなど沢山あるが、最近のスマートホン等の小型携帯機器は、自然空冷で、この限界ラインのギリギリで動作させている事が判ると思う。
携帯機器は、多機能で高速処理の為、どうしても半導体ICから熱が発生する。そのため、放熱手段を採用して熱を下げたいところであるが、軽薄短小の要求から、なかなか採用できない場合が有る。これは、ファンを採用すると逆にセットが厚くなってしまう事も一因である。
特に、熱が発生して破壊に到る前に、半導体ICの処理スピードを遅くして、熱を下げるなどの工夫が必要になる。よって構造的な工夫で、半導体素子等から発生する熱を放出させて半導体素子自体の熱を下げる工夫が施されれば、この問題は解決される。
図9は、特許文献1で開示された電子部品であり、半導体素子が内蔵された部品本体100と、部品本体を囲むように設けられた金属枠体101と、前記部品本体100と前記金属枠体101間に充填された樹脂部102とを有する。そしてこれら電子部品は、多層基板のコアに埋め込まれる。
特開2014−154941号公報 日経エレクトロニクス(2013.9.16発行)図2)
この構造では、部品本体100の熱は、金属枠101にゆっくりと伝わる。その理由は、部品本体100と金属枠101の間に存在する樹脂部が絶縁材料で、熱伝導に劣るからである。
しかもこの部品本体100は、部品内蔵用の基板の中に入れられる為、主な熱は、部品本体100の電極からこの基板へ伝わるだけで、部品本体100から金属枠体101への放熱は、考慮されていなかった。
本発明は、パワー半導体などを、効率よく外部に放出できる薄型の電子回路装置を提供するものである。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされ、
第1に、半導体素子の裏面と枠体の上面を一体で覆い、前記半導体素子と前記枠体を熱的につないだ熱伝導体と、
前記半導体素子の表面に設けられた電極と電気的に接続して設けられた再配置電極と、
前記枠体の下面と熱的に接続された放熱電極と、
を有する事で解決するものである。
第2に、枠体側の第2コンタクト孔を介して熱的に結合され、前記半導体素子の周囲の一領域に放熱電極を設ける事で解決するものである。
第3に、 前記再配置電極および/または前記放熱電極は、一層以上の導体パターンでなる事で解決するものである。
第4に、前記熱伝導体は、前記半導体素子の裏面と前記枠体の上面を一体で覆うメッキ膜でなるか、または前記半導体素子の裏面と前記枠体の上面を一体で覆う金属板が貼り合わされる事で解決するものである。
第5に、前記半導体素子の裏面には、金属板が設けられ、前記半導体素子と前記金属板は、前記キャビティ内に充填され、前記金属板表面と前記枠体表面には、金属材料から成る膜が熱的に結合されて設けられる事で解決するものである。
第6に、前記枠体の外側面は、半田が濡れる厚みを有する事で解決するものである。
第7に、前記放熱電極は、半導体素子を囲んで形成され、前記枠体の外周と対応する前記放熱電極の側辺は、実質一致して形成される事で解決するものである。
前述した手段により、半導体素子から発生する熱を電極から下方に、半導体素子裏面から枠体に、枠体から下方に逃がす事が出来る。また枠体の側面から半田を介して実装基板側に逃がす事が出来る。更には、キャビティと半導体素子の間の間隔をフィラーが10個程度が入れられる間隔とし、半導体素子側面から枠体の内壁へと逃がす事も可能と成る。
本発明の半導体モジュールを説明する図である。 本発明の半導体モジュールを説明する図である。 本発明の半導体モジュールを説明する図である。 本発明の半導体モジュールの製造方法を説明する図である。 本発明の半導体モジュールの製造方法を説明する図である。 本発明の半導体モジュールの製造方法を説明する図である。 本発明の半導体モジュールの製造方法を説明する図である。 冷却方法から見た半導体モジュールの使用実態を説明する図である。 従来の半導体モジュールを説明する図である。 本発明の半導体モジュールを説明する図である。
本発明の電子回路装置10は、半導体素子11と、この素子11の周りに設けられた、金属から成るリング状の枠体12と、前記半導体素子11の一方の面と枠体12の一方の面およびその間に設けられた金属材料からなる熱伝導体13とを有し、枠体12の他方の面には、少なくとも一側辺に沿って前記枠体12裏面とコンタクトする放熱電極14を有するものである。
また別の見方をすれば、平面視で矩形の金属コア材12(枠体と同符号とする)の中央に、表から裏側に貫通するキャビティ15が設けられ、このキャビティ15に半導体素子11が内蔵されたものである。またキャビティ15中央に位置する半導体素子11の裏面と金属コア材12の表面とは、金属から成る熱伝導体13が、別途メッキで形成されて被覆されており、金属コア材の下面には、少なくとも一側辺に沿って、金属コア材12裏面とコンタクトする放熱電極14を有するものである。
この結果、
A:半導体素子11の電極16から実装基板17側に伝わる第1の経路
B:半導体素子11裏面から熱伝導体13を通じて枠体12、そして枠体の12下端の放熱電極14、更には実装基板17へと伝わる第2の経路、
C:枠体(または金属コア材)12の側面に形成された半田18(ここでは半田フィレットとも呼ぶ)を介して実装基板17へと伝わる第3の経路、
D:半導体素子11の側面から枠体12の内壁へ伝わる第4の経路
などを有する。
枠体12は、半導体素子11から発生する熱を過渡的には貯留し、貯留された熱は、時間の経過とともに放熱電極14、熱伝導体13および/または半田フィレット18の部分を介して実装基板14または外部雰囲気へと放出される。
例えば、放熱電極14を実装基板17の導体パターンにつなぐ事で、実装基板側へ熱を伝える事が出来るが、特にグランドライン(または電源ライン)につなぐことで、より以上の熱を、実装基板17側へと伝える事が出来る。グランドラインや電源ラインは、実装基板17の中で、電流容量が大きく、この点が考慮されて、グランドライン(または電源ライン)以外の配線(信号ラインなど)よりも、幅が広く形成されたり、または厚みが厚く形成される。そのため、実装基板17側に熱を逃がすには、グランドライン全体の体積から考えて好適である。
更に熱伝導体13は、メッキで形成されるか、または/および直接、金属板が貼り合わされて構成される。またこの熱伝導体13は、半導体素子11の一方の面を平面視すると、半導体素子を中心にして外側に広がっている。ちょうどファンアウト構造と成っており、熱を外部雰囲気に逃がすのに好都合な形状と成っている。
更に、キャビティ15内壁と半導体素子11外壁との間の離間距離もポイントになっている。つまり加工精度が高くなっており、この離間距離が50μmと極めて狭く加工できる。例えば5μmの粒径のフィラーが10個程度が入れられる間隔で、ここには、このフィラー入り封止樹脂R1が設けられる。
この状態になると、第4の経路も無視できず、この経路を通過する熱が放熱電極14を介して実装基板17へ、または熱伝導体13を介して外部雰囲気に放出される。この第4の経路は、半導体素子11の4側面から、それぞれ対向する枠体12の4つの内壁に向かうため、4倍の面積となり、更にセミパワー以上のパワーチップは、チップの厚みが一般のIC等から比べて厚い為、枠体12内壁の厚さも厚くなり、その効果は更に大である。
では、具体的に説明して行く。まず平面視で、外形が実質リング状の枠体12がある。ここで、リング状とは、半導体素子11を囲んでいればよく、平面視で、矩形、円形または楕円などで良い。この枠体12は、熱伝導性の優れた金属から成り、中央に表から裏に貫通したキャビティ15が設けられている。図面では、矩形の金属コア材の中央に矩形のキャビティが形成されている。更に枠体12の材料は、Cu、AlまたはFe等でなり、更にはCu、AlまたはFeを主材料とした合金でも良い。更にはBNなどの熱伝導性の優れた絶縁材料でも良い。
続いてこのキャビティ15には、半導体素子11が内蔵されている。この半導体素子11は、フェイスダウンで設けられている。温度が高い活性層が実装基板17側になり、活性層と実装基板との距離が短くなるからである。またパワー系の半導体素子であると、電極20は、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極(別の表現では、電流の流出電極、流入電極および制御電極)を有する。この場合、電流は、横方向に流れ、横型FETと呼ばれる。
一方、電流が厚み方向に流れる場合もあり、縦型FETと呼ばれる。その場合、ソース電極(またはドレイン電極)とゲート電極が表側に形成され、裏側は、ドレイン電極(またはソース電極)が形成される。この場合、チップ裏面の電極がグランド(または電源Vcc)なので、放熱電極14は、実装基板側のグランド(または電源Vcc)に接続できる。
更に、キャビティ15も含めた枠体12の裏面には、絶縁層21が全面に形成され、電極14、20が形成される。再配置電極20は、半導体素子11の電極16を露出する第1コンタクト孔を介して電気的に接続されて設けられ、半導体素子11の配置領域から外側に、特にここでは枠体12の領域まで延在される。また電極14は、放熱電極であり、枠体21裏面を露出する第2コンタクト孔を介して、枠体と熱的に接続され、枠体12の配置領域内に設けられている。
図1(C)は、実装基板側から上に向かって見た図であり、×印で、放熱電極14の第2コンタクト孔25A〜25Dを示した。再配置電極20の形状にも影響されるが、枠体12自体が半導体素子11の4側辺を囲む為、それぞれの辺にコンタクト孔25A〜Dを設けた方が、効率よく実装基板17側へ放出できる。しかしながら、少なくとも1辺に設けてあれば良い。尚、符号20Cは、半導体素子11側の第2コンタクト孔である。
ここで、放熱電極14は、枠体12に直接コンタクトしており、枠体の熱を実装基板側に伝えるのに適している。一方、再配置電極20は、半導体素子11と接続されているため、半導体素子11の熱を実装基板側へ伝える。更には、この再配置電極20は、枠体12の一部にまで延在しており、再配線とその先に設けられる再配置電極は、半導体素子の電極16よりもその面積が大である為、より効率的に実装基板側へ熱を伝える事が出来る。
またキャビティ15も含めた枠体12の表面には、絶縁層23が全面に形成され、熱伝導体13が設けられている。絶縁層23は、前記枠体12の上面および半導体素子11の
裏面を露出したコンタクト孔26A、26Bが設けられ、このコンタクト孔26A、26Bを介して熱伝導体13が形成されている。ここでは、メッキで形成される為、コンタクト孔の凹部も含め同一材料で形成されている。また絶縁層23上面からの厚みは、10μm程度〜25μm程度である。リング状のコンタクト孔26Aは、図1(A)に於いて、ハッチングした部分であり、コンタクト孔26Bは、×印で示している。尚、図面の都合でコンタクト孔26Aは、上側と下側の幅が、左右の幅よりも狭くなっているが、同じ幅で成っても良い。
尚、電子回路装置11の表も裏も、絶縁層で絶縁処理された一層の導体パターンで形成されているが、複数層の導体パターンが絶縁層で絶縁処理されて設けられても良い。
一方、図2に示す様に、熱伝導体を金属板13Aで代用する場合、コンタクト孔26A、26Bに半田等のろう材27、または導電ペーストを設ける必要がある。尚、簡単に製造方法を説明すれば、電子回路装置と成る1ユニットの構成物がマトリックス状に配置されており、金属板13Aに相当する部分は、全てのユニットを覆う1枚の大板から成る。そして大板と枠体12がフルカットされる。そのフルカットで製造されるため、枠体12側面と金属板13Aの側面は、一致している。
尚、図2で示した金属板13Aは、Cu、Al、FeとNiの合金(Invar)等が良いが、アルミナ、窒化アルミニウム、SiC等でも良い。
また図2の応用例を図10に示す。図10(A)で示す様に、予め半導体素子11の裏面に、この金属板13Aが取りつけられた組立体が用意され、この組立体が図面のキャビティ15に配置される。この金属板13Aのサイズおよび半導体素子11のサイズにより、図10(B)〜図10(D)の展開が可能である。
まず図10(B)は、キャビティ15の平面サイズよりも金属板13Aの平面サイズの方が小さく、更に、この金属板13Aよりも半導体素子11の方がほぼ同等または小さく、組立体全体の厚みは、枠体の厚みよりも薄く形成されているもので、組立体の全体がキャビティ15に内蔵されるタイプである。尚、枠体12と金属板13Aが熱的に結合されるために、絶縁層23のコンタクト孔26A、26Bを介してメッキ13Bが表側に被覆形成される。
続いて図10(C)を説明する。この場合、金属板13Aの裏面が枠体12の表面と熱的に結合するものである。そのため金属板13Aは、キャビティ15よりも大きく、枠体12の外形よりも小さいものである。また半導体素子11の平面サイズは、キャビティの平面サイズよりも小さく、厚みは枠体の厚みよりも薄く、半導体素子11の殆どは、キャビティ15に内蔵される。
この構造は、図2で説明したフルカットでなるものと異なり、組立体を1個1個キャビティに実装している。ダイシングの際には、金属板13Aのカットを回避させて、枠体12をカットしており、金属板13Aの金属バリの発生を防止している。よって金属板13Aの外周は、枠体12よりも内側に入っている。
更に図10(D)に於いては、金属板13Aは、コンタクト孔26Aまで到達しておらず、このコンタクト孔の内側で金属板13Aの両端が終結している。金属板13Aの厚みによっては、反りの問題が発生するため、敢えて金属基板13Aを小さなサイズとし、メッキ膜13Bで熱的に結合させている。
続いて、図1に戻り説明する。電子回路装置10の4つの側面は、枠材12の側面が露出している。ここでは、金属材料として銅を用いているので、半田に濡れやすく、枠体12の側面から実装基板17側の電極28Aに向かって半田フィレット18が形成される。ここで、半田フィレット18が形成される事で、その半田の量が確保され、熱容量も大きくなり、半導体素子11から発生する熱は、枠体12の側面から半田フィレット18を介して下方に伝える事が出来る。尚、枠体12の厚みは、半田フィレットが形成できる厚みが必要であり、ここでは、10μm〜100μmは必要である。
実装基板17は、通常のPCBで、絶縁層により絶縁処理された1層以上の導体パターンを有する(ここで、導体パターンとは、電極、この電極を別の電極につなぐ配線等から成る。)。そして、放熱電極14は、この導体パターンと半田等のろう材や導電ペーストを介して固定される。またこの半田による固着により、半田フィレット18も形成される。
尚、電子回路装置10と一緒に回路を構成する為、電源用導体パターン、グランド用導体パターン、これら以外の、例えば信号系の導体パターンに分かれる。そして電源用導体パターン、グランド用導体パターンは、電流容量により、一般には幅が広かったり、または厚みが厚かったりする。この点が考慮され、放熱電極14は、グランド用の電極または電源用の電極と半田18を介して接続されても良い。
尚、実装基板17側に電気的に孤立したダミー電極を用意し、このダミー電極に放熱電極14が接続されても良い。このダミー電極は、実装基板の表面あるいは、実装基板の中に埋め込まれ、その体積(熱容量)が大きいものが好ましい。
続いて、図3を用いて、半田フィレット18が枠体12の側面から形成し易い構造について述べる。図1、図2および図10では、枠体12裏側に於いて、放熱電極14が、枠体外周から内側に入っている為、枠体外周から放熱電極14までの間に、絶縁層21が存在している。その為、半田18は、ここの絶縁層21の上に延在する必要があるため、枠体12側面の濡れ性を阻害している。
一方、図3に於いて、枠体12裏面の外周と、この外周に対応する所の放熱電極14は、一致している。これにより、濡れ性を阻害する絶縁層の存在を無くす事が出来る。
後の製造方法で明らかになるが、図3(A)の左側の放熱電極14を見ると、まず絶縁層21は、枠体12の裏面全域に形成され、その後、枠体12の外周から少し入った内側の所まで、エッチング処理によって取り除かれ、その結果、枠体12裏面の外周部が露出している。この露出部30BがCuであり、更に放熱電極14がこの露出部30Bからメッキ成長して一体でなって構成されている。しかもここの側面は、ダイシングでフルカットされるため、枠体12の側面とここに対応する放熱電極は、面いちになる。よって放熱電極14に濡れた半田は、枠体12側面に向かって濡れ、半田フィレットが形成されることになる。
図3(B)で、平面形状について説明する。まず右側R1から上側U1に伸びる放熱電極14Aが形成されている。これは、複数の側辺に渡って一体で構成された一つの放熱電極を示すものである。そして左側L1や下側D1には、アイランド状または個片状の放熱電極14Bが図示されている。これは、一側辺に少なくとも一つの放熱電極が形成された例である。ここでは、図面の都合で二つのタイプの放熱電極を一緒に示したが、どちらか一方が採用される場合と、本願の様に混合して採用する場合でもよい。
第1のタイプの放熱電極14Aは、少なくとも2側辺R1からU1に沿って形成されている。絶縁層21を取り除いて形成される露出部30Aは、枠体12の外周R1およびU1から所定の幅で内側まで露出され、この露出部30Aと熱的にコンタクトした放熱電極14Aが形成される。後述の製造方法で明らかになるが、枠体12と放熱電極14Aは、ダイシングでカットされるため、図3(A)に示す様に、露出している枠体12の側面と放熱電極14Aの側面は、面いちと成っている。
第2のタイプの放熱電極14Bは、一つの側辺に沿って、アイランド状または個片状で、少なくとも一つ形成される。例えば左側辺L1に、側辺L1から内側に矩形状の露出部が形成され、この露出部と熱的にコンタクトした放熱電極14Bが形成される。これも第1のタイプと同様にダイシングでカットされる為、図3(A)に示す様に、側面に於いて露出している枠体12の側面と放熱電極14Aの側面は、面いちと成っている。
どちらにしても、放熱電極14A、14Bは、枠体裏面からメッキ成長し、半田に濡れるため、(ここでは、銅でなり、)、更には、放熱電極の側面と枠体12の側面が同一面で形成されている為、実装基板に設けられた半田は、放熱電極に濡れ、更には枠体12の側面まで濡れ上がる。
図3(C)は、図1の若干の改良である。コンタクト30Cが枠体12裏面の左側辺に於いて内側に入って形成されている。そのため、コンタクト30Cと枠体左側辺との間には、絶縁層21があるが、メッキ成長の際に、この絶縁層21表面の端部まで形成されている。これも、厚み方向に於いて、放熱電極14と枠体12の間に絶縁層21が残るが、絶縁層21自体の厚みが薄い為に、半田18は、放熱電極14から枠体12の側面まで濡れ上がり、半田フィレットが形成される。
以上、図1〜図3、および図10に説明したように、半導体素子から発生する熱は、半導体素子の表と裏へ伝えられ、表側は、枠体まで広がった再配置電極により、実装基板側へ伝えられ、裏側も枠体まで広がった熱伝導体13を介して枠体へと伝えられる。そして枠体の熱は、放熱電極と半田フィレットで実装基板側へ伝えられる。
続いて図4〜図7を使って製造方法を説明して行く。尚、ここでは、能動素子と受動素子がそれぞれのキャビティに収納される形で説明するが、左側のキャビティの部分をフローに沿って見続ければ、図1の製造方法と成る。
先ず図4(A)に示す様に、金属コア材12を用意する。これは、後に枠体と成るものである。この金属コア材12は、ここでは、銅で成り、電解銅箔や圧延銅である。またCu、AlまたはFeなどを主材料とした合金でも良い。厚みは、50μm〜1000μm程度である。
続いて図4(B)に示す様に、前記金属コア材12にキャビティを作る工程が有る。ここは、能動素子11と受動素子11Aの収容部になり、通常のホトリソグラフィー技術を採用する。感光性樹脂を全面に塗布した後にキャビティ15に対応する部分を露光開口し、この開口部を介して金属コア材12をエッチングして取り除き、表から裏に貫通したキャビティ15を形成する。ここで金属コア材12は、キャビティを囲む様な枠体として形成される。
続いて図4(C)に示す様に、キャビティ15に素子を配置する工程が有る。尚、上側の図は、断面図で、下側は平面図である。
ここでは、枠体12の裏面全域に落下防止用の支持フィルム40を貼り付け、キャビティ15裏面側に底面を形成した。キャビティ15Aの底面には、例えば能動素子として、半導体素子をフェイスダウンで固定し、キャビティ15Bの底面には、チップ素子11A(チップコンデンサ、チップ抵抗またはチップインダクタなど)を固着した。特にキャビティ15Aの内壁と半導体素子11の側面の間の離間距離は、50μm〜100μmである。この間隔が狭くなる事で、半導体素子の熱は、枠体側に伝わりやすくなる。
続いて図5(D)に示す様に、キャビティ15に封止樹脂R1が設けられる。この樹脂R1は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などから成り、2μm〜5μm程度のフィラーが混入されたもので、少なくともキャビティの空きスペースに充填される。ここでは、この封止樹脂R1は、シートから成る封止樹脂を採用し、溶融加圧により軟化させて、キャビティ15内に充填させているため、どうしても枠体12の表面に残存する場合がある。
続いて、この封止樹脂R1を固化し、支持フィルム40が取り除かれる。その結果、キャビティに封止樹脂R1が充填され、素子が内蔵された枠体12が形成できる。
続いて、この枠体12の両面に絶縁層で絶縁処理された導体パターンを形成する。ここでは、表も裏も一層で形成したが複数層で構成されても良い。
裏には絶縁層21が被覆され、枠体12、半導体素子11の電極16または受動素子の電極を露出するコンタクト孔25C、20C、42が形成される。また表面には、絶縁層23が被覆され、半導体素子11の裏面電極を露出するコンタクト孔26B、枠体表面のコンタクト26Aが形成される。
図5(D)下の平面図は、電子回路装置10を裏面から見た図であり、点線で示す15Aが半導体素子11のキャビティで、15Bがチップ素子11Aのキャビティである。半導体素子11は、パワーMOS、SiCやGaN等からなるディスクリート型のパワー素子11であり、制御電極、電流流入電極、電流流出電極の3つの電極が表面に形成されているものである。よって3つの電極のコンタクト孔が20Cである。更にチップ素子11Aは、両端に電極を有し、このコンタクト孔が42である。
ここでは、アイランド状のコンタクト孔25A〜25Dを形成した。尚、チップ素子11Aと半導体素子11の間は配線が設けられる為、半導体素子11の右側は、間を離間させた二つのコンタクト孔25Aが用意されている。ここでチップ素子11Aと半導体素子11の間は、スペースを削減する為、放熱電極のコンタクト孔は共用し、チップ素子11Aの右側に、別途コンタクト孔25Eを設けた。もし半導体素子と同じように熱的な問題が有る場合は、チップ素子を囲むように設けても良い。
更に、図5(E)の様に、コンタクト孔を介して表と裏に導電材から成るメッキ膜を形成し、表面は、熱伝導体13を、裏面に放熱電14、半導体素子の再配置電極20およびチップコンの電極を形成する。これらの電極は、銅または銅を主材料とするメッキ電極でなる。そのため枠体が銅であるので、枠体に直接Cuメッキ処理ですむが、材料の選択によっては、間に仲介層(またはバリア膜)を必要とする場合が有る。
半導体素子11の電極がAl、Au等であると銅メッキ膜の間には仲介層(またはバリア膜)が必要と成る。
最後に、ダイシングの工程を経て個々の電子回路装置10に分離する。D1で示すラインは、図1の形状を、ラインD2が図3(A)を、更にはラインD3は図3(C)を実現する。
続いて、図6(A)、図6(B)、図6(C1)〜図7(D1)で、若干異なる製造方法について説明する。
先ずキャビティ15A、15Bの形成から支持フィルム40の貼り合わせまでは、図4(A)〜(C)の説明と同じである。続いて、図6(A)に示す様に、半導体素子11は、フェイスアップで実装され、支持フィルム40には、半導体素子11の裏面、チップ素子11Aが固着される。図4とは、半導体素子の上下が逆になっている。
続いて、キャビティの空きスペースにフィラー入り封止樹脂R1を充填する。ここは、図5(D)で説明したように、シート状の封止樹脂R1であるため、枠体12およびキャビティの上には、薄く樹脂R1が残ることがある。
続いて封止樹脂R1の固化の後で、支持フィルム40を取り除き、更には枠体の上の樹脂R1を取り除く。尚、枠体の樹脂R1は、そのまま残しておいても良い。
続いて、図6(C1)に示す様に、枠体12の表と裏に絶縁層21、23を形成し、コンタクト孔25C、25E、26A、26B、41、42を形成する。
ここでは、図4(C)と同じ様に、半導体素子11のコンタクト孔が下を向くように図示したため、図6(B)を180度回転させている。そのため、半導体素子11の裏面が、枠体12の表面と一致しており、半導体素子11の電極は、枠体12の裏面から中に入っている。
続いて、図7(D1)に示す様に、枠体の表と裏に、メッキ処理を行い、熱伝導体13、放熱電極14、再配置電極20を形成する。
最後に、図面は省略したがダイシングして、電子回路装置として個片化する。
また熱伝導体13の形成方法として、図6(C2)、図7(D2)を参照して説明する。これは、全実施例に当てはまる事であるが、図6(C2)の様に、電子回路装置10の熱伝導体13が形成される面は、絶縁層は、何も形成せず、直接熱伝導体13を形成しても良い。つまり図6(C2)の様に、枠体12の表面、半導体素子の裏面およびキャビティに相当する領域の絶縁層を全て取り除き、枠体12の表面、半導体素子の裏面およびキャビティの表面を露出させる。
続いて、図7(D2)の様に、Cuでメッキ処理を行うと、コンタクトの様な限られたエリアに限定されず、枠体の表面全域、および半導体素子裏面全域を熱伝導体とコンタクトさせる事ができる。熱抵抗分としてなる絶縁層が無い為、半導体素子から発生する熱は、熱伝導体13を介して枠体側に伝える事が出来る。
10:電子回路装置
11:半導体素子
12:枠体(金属コア材)
13:熱伝導体
14:放熱電極
15:キャビティ
16:電極
17:実装基板
18:半田
20:電極

Claims (7)

  1. 半導体素子の収納領域となるキャビティを有し、前記キャビティを囲んで形成された金属材料から成る枠体と前記キャビティに設けられた半導体素子と、前記キャビティ内壁と前記半導体素子の間の空間を充填した封止樹脂と、前記半導体素子の裏面と前記枠体の上面を一体で覆い、前記半導体素子と前記枠体を熱的につないだ熱伝導体と、前記半導体素子の表面に設けられた電極と電気的に接続して設けられた再配置電極と、前記枠体の下面と熱的に接続された放熱電極と、を有する事を特徴とした電子回路装置。
  2. 前記枠体の裏面に設けられた絶縁層と、前記半導体素子の電極および前記枠体の裏面が露出した第1コンタクト孔および第2コンタクト孔と、前記半導体素子側の第1コンタクト孔を介して前記電極と電気的に接続された前記再配置電極と、前記枠体側の第2コンタクト孔を介して熱的に結合され、前記半導体素子の周囲の一領域に設けられた放熱電極を有する請求項1に記載の電子回路装置。
  3. 前記再配置電極および/または前記放熱電極は、絶縁処理された一層以上の導体パターンでなる請求項1に記載の電子回路装置。
  4. 前記熱伝導体は、前記半導体素子の裏面と前記枠体の上面を一体で覆うメッキ膜でなるか、または前記半導体素子の裏面と前記枠体の上面を一体で覆う金属板が貼り合わされる請求項1、請求項2または請求項3に記載の電子回路装置。
  5. 前記半導体素子の裏面には、金属板が設けられ、前記半導体素子と前記金属板は、前記キャビティ内に充填され、前記金属板表面と前記枠体表面には、金属材料から成る膜が熱的に結合されて設けられ、前記熱伝導体は、前記金属板および前記金属材料から成る膜で構成される請求項1、請求項2または請求項3に記載の電子回路装置。
  6. 前記枠体の外側面は、半田が濡れる厚みを有する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の電子回路装置。
  7. 前記放熱電極は、半導体素子を囲んで形成され、前記枠体の外周と対応する前記放熱電極の側辺は、実質一致して形成される請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子回路装置。
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