JP2016217457A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の発進時においてLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確実に検知することが可能な車両用自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えた時から検知実行タイマーTを作動させ、検知実行タイマーTの設定時間ΔT1内に、実トルコンスリップ率ETR1が第2の閾値L1を下回った時に、LC圧制御用リニアソレノイドはオンスタック故障であると判定し、故障検知カウンタFCのカウント数をアップする。そして、故障検知カウンタFCのカウント数がNG閾値を超えた時に、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確定し、フェールセーフアクションを実施する。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両用自動変速機の制御装置に関し、より詳細には、車両の発進時においてロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確実に検知することが可能な車両用自動変速機の制御装置に関するものである。
従来、トルクコンバータ(以下、「トルコン」とも言う。)を備える自動変速機においては、車両の所定運転領域でトルクコンバータ内のロックアップクラッチ(LC)を締結させることにより、エンジン側の出力軸(クランク軸)と自動変速機側の入力軸(タービンランナ出力軸)とを機械的に直結し、動力の伝達効率を高め、これにより車両の燃料消費率(燃費)の向上が図られている。また、上記ロックアップクラッチの締結制御においては、単にエンジン側の出力軸と自動変速機側の入力軸とを直結(オン)/解放(オフ)するオン/オフ制御だけでなく、燃費の更なる向上やクラッチ締結ショックの低減などを目的としてロックアップクラッチの締結程度(スリップ状態)を変化させる、すなわちトルコンスリップ率(=トルクコンバータの出力側の回転数/入力側の回転数×100%)を0%(解放状態)から100%(完全締結状態)との間でリニアに変化させるスリップ率制御が行われている。なお、このスリップ率制御は、ロックアップクラッチの締結圧(LC圧)を調節することにより行われる。そしてロックアップクラッチの締結圧は、ロックアップクラッチ機構のピストン室に供給される油圧と、ピストン背面側油室に供給される油圧との圧力差によって決定される。また、詳細については後述するが、LC圧の調整はLC圧コントロールバルブ(以下、「LC圧制御弁」とも言う。)によって成され、LC圧制御弁はリニアソレノイド(以下、「LC圧制御用リニアソレノイド」とも言う。)によって駆動される。
従って、LC圧制御用リニアソレノイドが故障(オンスタック故障)してLC圧制御弁が開状態の場合、運転者がアクセルペダルを踏んでロックアップクラッチがオフ状態(LCオフ領域)からオン状態(LCオン領域)へ移行した直後に過剰なLC油圧がトルクコンバータのピストン室に供給されるのと同時にピストン背面側油室から作動油が一気に排出され、ロックアップクラッチが急締結される。その結果、図7に示されるように、実トルコンスリップ率ETR1が目標トルコンスリップ率ETRをオーバーシュートして急激に立ち上がり減衰振動しながら目標トルコンスリップ率ETRに収束する。従って、この実トルコンスリップ率ETR1の揺り返し(振動状態)を検知することでLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を検知することが出来る。この場合、閾値上限U(例えばトルコンスリップ率=130%)と閾値下限L(例えばトルコンスリップ率=101%)によって挟まれ所定時間幅ΔTを持った故障検知領域Rに実トルコンスリップ率ETR1が入った時にLC圧制御用リニアソレノイドはオンスタック故障であると判定することが出来る。
LC圧制御用リニアソレノイドの故障検知については上記以外にも、走行ポジションが選択されたあと前進用クラッチが係合されるまでに要したインギヤ時間を計測することにより、LC圧制御用リニアソレノイドは故障か否かを判断することとした無段変速機の制御装置に係る発明が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、ロックアップクラッチの締結時におけるトルクコンバータの入力軸回転数(エンジン側)と出力軸回転数(自動変速機側)との差が所定値以上となった時にロックアップ機構は故障であると判定することとしている無段変速機の制御装置も知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特許第4897639号公報 特許第3353592号公報
上記図7に示される閾値上限Uおよび閾値下限Lによって挟まれ所定時間幅ΔTを持った故障検知領域Rによって、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を検知する方法では、発進時以外、例えば、図8に示されるように低車速クリープ走行(タイヤ側からの入力によって車両が走行している状態で、トルクコンバータの入力軸回転数<出力軸回転数の状態)からのアクセル操作時(発進時)においても、実トルコンスリップ率ETR1が上記故障検知領域Rに入る場合が起こり得る。そのため、LC圧制御用リニアソレノイドが正常であるにも拘わらず、実トルコンスリップ率ETR1については検知条件を満足して、LC圧制御用リニアソレノイドはオンスタック故障であると誤検知される虞がある。
従って、低車速クリープ走行のアクセル操作時(発進時)におけるLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を誤検知することを防止するために、故障検知領域Rについては検知に必要な領域(U、L)及び時間幅(ΔT)の条件を狭める必要がある。
しかし、上記故障検知領域Rから領域や時間幅の条件を狭める(例えば図8中の故障検知領域R’)と、ロックアップクラッチ急締結時の実トルコンスリップ率ETR1の振動状態が上記故障検知領域R’によって検知されにくくなる場合が起こり得る。
つまり、上記故障検知領域Rによって上記LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を検知する方法では検知性の確保と耐誤検知性(誤検知タフネス)向上との両立が難しいという問題がある。
また、上記特許文献1に記載されているインギヤ時間によってLC圧制御用リニアソレノイドの異常を検出する方法では、図7及び図8に示される両ケースともロックアップクラッチが締結されるまでのインギヤ時間T1、T2(LCオン領域へ移行してからトルコンスリップ率≒100%に到達するまでの時間)はほとんど差異はない。従って、図8に示される低車速クリープ走行の発進時において実トルコンスリップ率ETR1は検知条件を満足してしまう場合があり、最悪の場合LC圧制御用リニアソレノイドは正常であるにも拘わらず故障であると誤検知される虞がある。
また、上記特許文献2に記載されているトルクコンバータの入力軸回転数と出力軸回転数との差回転によってロックアップ機構の故障を判定する方法では、図7及び図8から明らかなように低車速クリープ走行の発進時において差回転が極めて大きい場合(例えば時刻t1)、上記特許文献1と同様に最悪の場合リニアソレノイドは正常であるにも拘わらず故障であると誤検知される虞がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、車両の発進時においてロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確実に検知することが可能な車両用自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の車両用自動変速機の制御装置では、駆動源(10)からの駆動力を流体を介して変速機(30)へ伝達するトルクコンバータ(20)と、該トルクコンバータ(20)のロックアップクラッチ圧を調節する油圧制御回路(50)と、該油圧制御回路(50)を制御する制御装置(70)とを備えた車両用自動変速機において、前記油圧制御回路(50)は、前記トルクコンバータ(20)のロックアップクラッチ(LC)の締結状態を制御するロックアップクラッチ制御弁(67)と、該ロックアップクラッチ制御弁(67)にパイロット圧を供給するロックアップクラッチ圧制御弁(66)と、該ロックアップクラッチ圧制御弁(66)を駆動するロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)とを備え、前記制御装置(70)は、前記トルクコンバータ(20)の実トルコンスリップ率(ETR1)に関する第1の閾値(U1)と該第1の閾値(U1)よりも小さい第2の閾値(L1)とを備え、計測される前記実トルコンスリップ率(ETR1)が前記第1の閾値(U1)を超えてから所定の制限時間(ΔT1)内に前記第2の閾値(L1)を下回った場合に前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)は故障であると判定するように構成されていることを特徴とする。
LC圧制御用リニアソレノイド(66a)のオンスタック故障時おいては、ロックアップクラッチ(LC)がオフ状態からオン状態へ移行した直後に過剰なロックアップクラッチ油圧(LC油圧)がロックアップクラッチ(LC)に供給される。そのLC油圧によってロックアップクラッチ(LC)が急締結され、その結果、その急締結に伴うショック及び車体の揺り返しが発生し、車体の揺り返しは実トルコンスリップ率(=出力軸側回転数/入力軸側回転数×100)の挙動に反映される。
上記構成では、特に実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返しに着目し、実トルコンスリップ率(ETR1)が第1の閾値(U1)を超える挙動(U1を下から上へ通過する挙動)と、それから制限時間(ΔT1)以内に第2の閾値(L1)を下回る挙動(L1を上から下へ通過する挙動)を検知した場合にLC圧制御用リニアソレノイド(66a)はオンスタック故障であると判定される。このように、急締結ショックに関する第1の閾値(U1)と、揺り返しに関する第2の閾値(L2)と、第1の閾値(U1)を超えてから第2の閾値(L1)を下回るまでに要した時間についての制限時間(ΔT1)をそれぞれ設けることによって、LC圧制御用リニアソレノイド(66a)のオンスタック故障に対する検知性を確保しつつ誤検知タフネスを向上させることが可能となる。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第2の特徴は、前記制御装置(70)は故障検知カウンタ(FC)を備え、前記実トルコンスリップ率(ETR1)が前記第1の閾値(U1)を超えてから前記制限時間(ΔT1)内に前記第2の閾値(L1)を下回った場合に前記故障検知カウンタ(FC)の故障カウント数を1つ増加するように構成されている、ことである。
上記構成では、実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返し状態の検知(一次揺り返し検知)を故障検知カウンタ(FC)によって計数し、そのカウント数(故障カウント数)によってLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を判定する。これによりロックアップクラッチ急締結による実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返し状態を精度良く検知することが出来る。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第3の特徴は、前記制御装置(70)は、前記第1の閾値(U1)よりも小さい第3の閾値(U2)と、該第3の閾値(U2)よりも小さく且つ前記第2の閾値(L1)より大きい第4の閾値(L2)とを備え、前記制限時間(ΔT1)内に該第1の閾値(U1)を超え且つ該第2の閾値(L1)を下回り更に前記第3の閾値(U2)を超え且つ前記第4の閾値(L2)を下回った場合に前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)は故障であると判定するように構成されている、ことである。
上記構成では、上記第1の閾値(U1)及び第2の閾値(L1)による実トルコンスリップ率(ETR1)に対する一次揺り返し検知と、上記第3の閾値(U2)及び第4の閾値(L2)による二次揺り返し検知とによって、実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返しを検知するため、実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返しに対する検知精度が向上し、これによりLC圧制御用リニアソレノイド(66a)のオンスタック故障の検知精度をさらに向上させることが出来る。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第4の特徴は、前記制御装置(70)は故障検知カウンタ(FC)を備え、前記実トルコンスリップ率(ETR1)が前記第1の閾値(U1)を超えてから前記制限時間(ΔT1)内に前記第2の閾値(L1)を下回った場合、或いは該制限時間(ΔT1)内に該第1の閾値(U1)を超え且つ該第2の閾値(L1)を下回り更に前記第3の閾値(U2)を超え且つ前記第4の閾値(L2)を下回った場合に前記故障検知カウンタ(FC)の故障カウント数を1つ増加するように構成されている、ことである。
上記構成では、実トルコンスリップ率(ETR1)の一次及び二次の揺り返し状態の検知を故障検知カウンタ(FC)によって計数し、そのカウント数(故障カウント数)によってLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を判定する。これによりロックアップクラッチ急締結による実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返し状態を精度良く検知することが出来る。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第5の特徴は、前記制御装置(70)は前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)が正常であると判定されるまで前記故障カウント数を保持するように構成されている、ことである
上記構成では、上記故障カウント数を保持することにより1回のドライビングサイクル(発進から停止)だけでなく、複数回例えば2回のドライビングサイクルに渡って実トルコンスリップ率の挙動を観測(検知)することが可能となる。これにより、実トルコンスリップ率の揺り返しに対する高い検知精度と相俟って、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確実に検知することが可能となる。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第6の特徴は、前記制御装置(70)は前記制限時間(ΔT1)が経過した時、車両の次の発進まで前記実トルコンスリップ率(ETR1)の検知を行わないように構成されている、ことである。
実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返しは、ロックアップクラッチ急締結後に急激に立ち上がり時間の経過とともに減衰する特性を有している。つまり、急締結後の所定の時間(制限時間)を経過すると、実トルコンスリップ率(ETR1)の挙動は穏やかとなるため、実トルコンスリップ率(ETR1)の揺り返しを精度良く検知することが難しくなる。
上記構成では、実トルコンスリップ率(ETR1)の検知は、揺り返し状態を精度良く検知することが出来る上記制限時間(ΔT1)内に行うこととし、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障検知に対する検知精度の向上を図っている。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第7の特徴は、前記制御装置(70)は車両の発進から停止に至るドライビングサイクルにおいて前記故障カウント数が所定の閾値を超えた時に、前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)は故障であると確定すると共に所定のフェールセーフアクションを実施するように構成されている、ことである。
上記構成では、1回目のドライビングサイクルにおいて上記故障カウント数が所定の閾値を超えた時に、制御装置はLC圧制御用リニアソレノイド(66a)は故障であると確定している。つまり、上記第1の閾値(U1)、上記第2閾値(L1)及びタイマーの設定時間(ΔT1)については、LC圧制御用リニアソレノイド(66a)のオンスタック故障が1回目のドライビングサイクルにおいて確定されるように構成されている。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第8の特徴は、前記制御装置(70)は2回目の前記ドライビングサイクルにおいて前記故障カウント数が閾値を超えた時に、前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイド(66a)はオンスタック故障であると確定すると共に所定のフェールセーフアクションを実施するように構成されている、ことである。
上記構成では、2回目のドライビングサイクルにおいて上記故障カウント数が所定の閾値を超えた時に、制御装置はLC圧制御用リニアソレノイド(66a)は故障であると確定している。つまり、上記閾値上限(U1、U2)、上記閾値下限(L1、L2)及びタイマーの設定時間(ΔT1)については、LC圧制御用リニアソレノイド(66a)のオンスタック故障が2回目のドライビングサイクルにおいて確定されるように構成されている。
本発明の車両用自動変速機の制御装置に係る第9の特徴は、前記制御装置(70)は所定の検知実施条件が成立しているか否かを判定し該検知実施条件が成立している場合にのみ、前記実トルコンスリップ率(ETR1)の検知可能状態にするように構成されている、ことである。
上記構成では、想定される車両の発進時以外の走行モードでの実トルコンスリップ率(ETR1)の検知を排除している。これにより検知精度を向上させることが可能となる。
本発明の車両用自動変速機の制御装置によれば、車両の発進時におけるLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障を確実に検知することが可能となる。
本発明の制御装置を含む自動変速機を示すスケルトン図である。 本実施形態に係る油圧制御回路を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るLC圧制御用リニアソレノイド(LCC−LS)のオンスタック故障を検知する方法を示すフロー図である。 図3のステップS1の検知前条件判定処理を示すフロー図である。 リニアソレノイドオンスタック故障に係る一次揺り返し検知を示す説明図である。 リニアソレノイドオンスタック故障に係る二次揺り返し検知を示す説明図である。 ロックアップクラッチ急締結時のトルコンスリップ率の時系列挙動を示す説明図である。 低車速クリープ走行時のトルコンスリップ率の時系列挙動を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の制御装置を含む自動変速機100を示すスケルトン図である。なお、説明の都合上、エンジン10についても併せて図示されている。
この自動変速機100は、駆動力を発生するエンジン10と、エンジン10で発生した駆動力を流体を介して変速機30へ伝達するトルクコンバータ20と、トルクコンバータ20から伝達される駆動力の回転数を所望の回転数へ変速する変速機30と、トルクコンバータ20のロックアップクラッチLC等の油圧作動機器(アクチュエータ)に油圧を供給する油圧制御回路50と、各センサ情報に基づいて変速制御ならびにロックアップクラッチの締結制御及びスリップ率制御に係る各処理を実行するコントローラ70と、変速機30から伝達される駆動力を左右駆動輪(タイヤ)へ分配する差動装置DGと、左右の駆動輪(タイヤ)WL,WRへ駆動力を伝達する左右駆動軸DL,DRと、左右駆動軸DL,DRから伝達される駆動力を路面へ伝え、その反力で車両を前進又は後進させる左右の駆動輪(タイヤ)WL,WRとを具備して構成されている。以下、各構成について更に説明する。
エンジン10は、回転駆動力を出力するものであれば良くその機構は特に限定されない。一例を挙げるとガソリンエンジン等の内燃機関の他、電動エンジン又はハイブリッドエンジン等である。
トルクコンバータ20は、流体を介してエンジン10で発生した駆動力を変速機30へ伝達する流体伝動装置であり、エンジン10のクランクシャフト11に連結されたポンプインペラ21と、変速機30のメインシャフトMSに連結されたタービンランナ22と、ワンウェイクラッチ24を介して変速機ケースに連結されたステータ23と、エンジン10のクランクシャフト11とタービンランナ22とを直結するロックアップクラッチLCとを備えている。
変速機30はベルト式の無段変速機であり、エンジン10からの駆動力が入力されるメインシャフトMSと、メインシャフトMSと同心構造を成すサブメインシャフトSMSと、ドライブプーリーとしての第1プーリー31と、ドリブンプーリーとしての第2プーリー32と、第1プーリー31から第2プーリー32へ駆動力を伝達するVベルト33と、ギヤ34が設けられると共に第2プーリー32の回転軸となるカウンターシャフトCSと、ギヤ34と対を成すギヤ36及びファイナルドライブギヤ38がそれぞれ設けられたセカンダリーシャフトSSと、車両の前進と後進を切り換える前後進切換機構40と、を備えている。
第1プーリー31は、第1固定半プーリー31aと第1可動半プーリー31bとから成り、第1固定半プーリー31aはサブメインシャフトSMS上に固定され軸方向に摺動(相対変位)することは出来ない。これに対し、第1可動半プーリー31bはサブメインシャフトSMSに対し軸方向に摺動することが可能である。
また、第1プーリー31にはシリンダ室31cが設けられ、第1可動半プーリー31bはシリンダ室31cに供給されるオイルの油圧(側圧)に応じてサブメインシャフトSMSに対し軸方向に摺動することが可能である。従って、シリンダ室31cに供給されるオイルの油圧(側圧)を変えることにより、第1固定半プーリー31aと第1可動半プーリー31bとのプーリー幅(溝幅)を変えることが可能である。
第2プーリー32は、第2固定半プーリー32aと第2可動半プーリー32bとから成り、第2固定半プーリー32aはカウンターシャフトCSに固定され軸方向に摺動(相対変位)することは出来ない。これに対し、第2可動半プーリー32bにはシリンダ室32cが設けられ、第2可動半プーリー32bはシリンダ室32cに供給されるオイルの油圧(側圧)に応じてカウンターシャフトCSに対し軸方向に摺動することが可能である。従って、そのシリンダ室32cに供給されるオイルの油圧(側圧)を変えることにより、第2固定半プーリー32aと第2可動半プーリー32bとのプーリー幅(溝幅)を変えることが可能である。
Vベルト33は、多数のエレメント(図示せず)とその両側に嵌め込まれた2本のリング(図示せず)から成り、エレメントに形成されたV字面がリングによって各プーリー面に押圧され、そのV字面とプーリー面との摩擦力によってエンジン10からの駆動力を第1プーリー31から第2プーリー32へ伝達する。従って、第1プーリー31と第2プーリー32の両側圧をそれぞれ増減させることによって各プーリー幅を変化させ、Vベルト33の両プーリーに対する巻付け半径を変化させることにより、エンジン10から伝達されて来る駆動力を巻付け半径の比に応じた変速比で第1プーリー31から第2プーリー32へ伝達することが可能となる。
前後進切換機構40は、第1固定半プーリー31aをメインシャフトMSに回転同期させる前進クラッチ41と、キャリア43bの回転を停止させるリバースブレーキ42と、第1固定半プーリー31aにメインシャフトMSとは逆回転の駆動力を伝達する遊星歯車機構43とを備えている。
前進クラッチ41は、湿式多板クラッチであり、第1固定半プーリー31aに直結されたクラッチドラム41aと、メインシャフトMSに固定されたクラッチハブ41bと、その間に設けられたピストン(図示せず)とを備える。クラッチドラム41aの内周面には複数の第1摩擦板41cがクラッチドラム41aの内周面にスプライン結合していると共に、クラッチハブ41bの外周面には複数の第2摩擦板41dがクラッチハブ41bの外周面にスプライン結合し、第1摩擦板41cと第2摩擦板41dが交互に対向して配設されている。そして、メインシャフトMSの内部に形成された油路(図示せず)を介してピストンに油圧が供給されると、ピストンが変位して第1摩擦板41cを第2摩擦板41dに押し付け、クラッチドラム41aとクラッチハブ41bがピストンによって締結され、メインシャフトMSと第1固定半プーリー31aとが前進クラッチ41を介して連結される。他方、油圧が油路を介して排出される時、ピストンの押圧が解除され、クラッチドラム41aとクラッチハブ41bとの締結が解放され、メインシャフトMSと第1固定半プーリー31aとが非連結状態になる。
リバースブレーキ42は、クラッチドラムが固定部材上に形成され、クラッチハブが後述する遊星歯車機構43によって支持されている。従って、クラッチハブは解放状態においてはキャリア43bと一体となって回転する。なお、リバースブレーキ42の締結/解放の機構は前進クラッチ41と殆ど同じである。
遊星歯車機構43は、メインシャフトMSに固設されたサンギヤ43aと、ピニオンギヤ43dを自転可能に支持するキャリア43bと、前進クラッチ42のクラッチドラム41aと同心直列一体に形成されたリングギヤ43cとから成る。前進クラッチ41が解放された状態においてリバースブレーキ42が締結される時、メインシャフトMSの駆動力はピニオンギヤ43dを介してメインシャフトMSとは逆回転に第1固定半プーリー31aへ伝達され、第1プーリー31→Vベルト33→第2プーリー32→カウンターシャフトCS→ギヤ34→ギヤ36→セカンダリーシャフトSS→ファイナルドライブギヤ38→差動装置DGという動力伝達経路に沿って出力される。これにより後進モードを実現することができる。
油圧制御回路50は、詳細については図2を参照しながら後述するが、リザーブタンク、オイルポンプ、複数の弁(調圧弁、切換弁および制御弁)、複数の電磁弁(リニアソレノイドバルブ、オン/オフソレノイドバルブ)、並びにこれらを連結する複数の油路等から構成されている。
図2は、本実施形態に係る油圧制御回路50を示す説明図である。なお、ここではロックアップクラッチLCに対する油圧供給系統について説明することとし、第1プーリー31、第2プーリー32、前進クラッチ41及びリバースブレーキ42に係る各油圧供給系統についてはここでは省略することとする。
ロックアップクラッチLCに対する油圧供給系統は、油圧ポンプ52から吐出された作動油を所定のライン圧(PH圧)又はロックアップクラッチ作動圧(LC圧)に減圧する高圧調圧弁(PH調圧弁)53と、上記PH圧を更にクラッチ作動圧(クラッチリデューシング圧またはCR圧)まで減圧するCR弁55と、CR圧を更にモジュレート圧(MOD圧)に減圧するMOD弁63と、上記LC圧をトルクコンバータ20内のピストン室25、或いはピストン背面側油室26の何れか一方に選択的に供給するロックアップクラッチシフトバルブ(LCシフト弁)64と、LCシフト弁64にMOD圧をパイロット圧(操作圧)として供給するON/OFF電磁弁65と、LC制御弁67にパイロット圧としてCR圧を供給するロックアップクラッチ圧コントロールバルブ(LC圧制御弁)66と、ロックアップクラッチの締結状態を制御するロックアップクラッチコントロールバルブ(LC制御弁)67と、を有している。
上記LC圧制御弁66の軸端部にはLC圧制御用リニアソレノイド(LCC−LS)66aが連結されている。LC圧制御用リニアソレノイド66aは通電量に応じてソレノイドが軸方向に移動してLC圧制御弁66の開度を調節する。
ON/OFF電磁弁65は電圧オフ状態で開状態となり電圧オン状態で閉状態となる、いわゆるノーマルオープンバルブである。
ここで、LCシフト弁64に作用する油圧について見ると、ライン圧としてPH調圧弁53によって調圧されたLC圧が油路L1を介してLCシフト弁64に作用する。他方、パイロット圧としてON/OFF電磁弁65を経由したMOD圧と、シフトインヒビター弁61を経由したMOD圧が油路L7または油路L9を介してLCシフト弁64にそれぞれ作用する。
従って、ON/OFF電磁弁65が開状態(電圧オフ状態)では、上記油路L7,L9を経由してLCシフト弁64に作用するMOD圧は互いにキャンセルし合う。その結果スプール(図示せず)の移動はスプリング(図示せず)の弾性力に支配される。この場合、スプールが右動して油路L1と油路L3が連通してLC圧が油路L3を介してトルクコンバータ20のピストン背面側油室26に供給される。この場合、ピストン背面側油室26の油圧がピストン室25の油圧より高くなるため、ロックアップクラッチLCはオフ状態(解放状態)となる。なお、供給されたLC圧は油路L4→LC制御弁67→油路L5を経由して排出され、一部がリザーブタンク51に戻されると共に残部がベアリング等に潤滑油として供給される。
一方、ON/OFF電磁弁65が閉状態(電圧オン状態)では、MOD圧は上記油路L9を経由してのみLCシフト弁64に作用する。その結果スプールの移動は油路L9からのMOD圧に支配される。この場合、スプールが左動して油路L1と油路L2が連通してLC圧が油路L2を介してトルクコンバータ20のピストン室25に供給される。この場合、ピストン室25の油圧がピストン背面側油室26の油圧より高くなるため、ロックアップクラッチLCはオン状態(締結状態)となる。なお、ピストン背面側油室26の油圧(作動油)は油路L3→LCシフト弁64→油路L10→LC制御弁67→油路L6を経由して排出され、リザーブタンク51に戻される。
つまり、油圧ポンプ52が定常運転状態においてON/OFF電磁弁65にオン電圧が印加されるとロックアップクラッチLCがオン状態(締結状態)となる。なお、この場合ロックアップクラッチLCはまだ完全締結状態(トルコンスリップ率≒100%)ではない。
LC制御弁67にはパイロット圧としてLC圧制御弁66からのCR圧が作用している。LC制御弁67に作用するCR圧の油量はLC圧制御用リニアソレノイド66aによって調節される。すなわち、通電量に応じてLC圧制御用リニアソレノイド66aのソレノイド(図示せず)が右動してLC圧制御弁66の油路L11に対する開度を増大させ、これにより油路L11を流れる油量が増大してLC制御弁67に作用するパイロット圧が高くなり、その結果LC制御弁67のスプール(図示せず)をスプリング(図示せず)とつり合う位置まで左方へ移動させる。その結果、油路L6に対するLC制御弁67の開度が増大し、ピストン背面側油室26からの作動油の排出量が増大する。その結果、ピストン室25とピストン背面側油室26との間の圧力差が増大し、ロックアップクラッチLCの締結圧がルーズ状態からタイト状態(ロック状態)に変化する。
つまり、LC圧制御用リニアソレノイド66aの通電量に応じて油路L6に対するLC制御弁67の開度が増大し、ロックアップクラッチLCの締結圧がルーズ状態からタイト状態(ロック状態)に変化する。
従って、LC圧制御用リニアソレノイド66aがオンスタック故障した場合(消磁後もソレノイドが右動した状態にある場合)、もし油路L6に対するLC制御弁67の開度が大きい場合、ON/OFF電磁弁65が閉状態(電圧オン状態)となると同時にピストン背面側油室26の作動油が油路L3→LCシフト弁64→油路L10→LC制御弁67→油路L6を経由して一気に排出されるため、ロックアップクラッチLCが急締結される。発進時においてロックアップクラッチLCが急締結されると、急締結に伴うショック及び車体の揺り返しが発生する。以下、LC圧制御用リニアソレノイド66aのオンスタック故障を検知する方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るLC圧制御用リニアソレノイド(LCC−LS)66aのオンスタック故障を検知する方法を示すフロー図である。
先ず、ステップS1では検知前条件判定処理を実行する。なお、この検知前条件判定処理については図4を参照しながら後述するが、車両が発進状態、停止状態または故障確定状態等か否かを判定するための処理である。コントローラ70は検知前条件判定処理を実行後「検知条件成立フラグ」及び「検知実施フラグ」をそれぞれ立てる。
ステップS2ではステップS1の検知条件成立フラグが「1」か否かを判定する。ここで言う「検知条件成立フラグ」とは図4のサブステップSS1からサブステップSS7に示される判定処理が全て真(YES)であるか否かを示すフラグである。検知条件成立フラグが「1」の場合(YES)、すなわちサブステップSS1からサブステップSS7に示される判定処理が全て真(YES)の場合、ステップS3の処理を実行する。一方、検知条件成立フラグが「0」の場合(NO)、ステップS23の処理を実行する。
ステップS3では検知中フラグが「0」か否かを判定する。ここで言う「検知中フラグ」とは、実トルコンスリップ率ETR1の検知が既に開始している状態か否かを示すフラグである。つまり、図5に示されるようにロックアップクラッチLCの急締結が既に発生し、実トルコンスリップ率ETR1の挙動が第1の閾値(故障判定トルコンスリップ率Hi)U1を超え検知実行タイマーTが作動している状態か否かを示すフラグである。従って、検知中フラグが「0」の場合(YES)、つまり検知実行タイマーTがまだ作動していない状態の場合、ステップS4の処理を実行する。一方、検知中フラグが「1」の場合(NO)、すなわちロックアップクラッチLCの急締結が既に発生した状態の場合はステップS9の処理を実行する。
ステップS4では急締結判定が有ったか否かを判定する。ここで言う「急締結判定」とは、実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えたとコントローラが判定したことである。急締結判定が有った場合、ステップS5からステップS8の各処理を実行する。一方、急締結判定が無かった場合、ステップS22の処理を実行する。
ステップS5では正常検知カウンタ(OKカウンタ)をゼロに設定する。ここで言う「正常検知カウンタ」とは、検知実行タイマーTの作動時間ΔT1内に実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えなかったと判定された回数(急締結判定が無かった回数)である。ここでは正常検知カウンタの初期値としてゼロが設定される。
ステップS6では検知実行タイマーをセットする。図6及び図7に示されるように検知実行タイマーTが開始され、コントローラ70は実トルコンスリップ率ETR1の観測(検知)を開始する。
ステップS7では検知中フラグを「1」に設定する。
ステップS8では故障検知カウンタFCの値として前回値を保持する。
なお、検知中フラグが「1」の間(検知実行タイマーTが作動している間)は、コントローラ70はステップS8を実行した後フローから出て再度ステップS1→ステップS2→ステップS3と進み、ステップS3の分岐においてステップS9へ進む。
ステップS9では検知実行タイマーTの残時間がゼロより大きいか否かを判定する。なお、検知実行タイマーTは、実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えた時にセットされ所定時間ΔT1が経過した後実トルコンスリップ率ETR1の検知をオフとするオフタイマーである。なお、検知実行タイマーTが作動し始めるのは実トルコンスリップ率ETR1の挙動が第1の閾値(故障判定トルコンスリップ率Hi)U1を超えた時である。
従って検知実行タイマーTの残時間がゼロより大きい場合(YES)、ステップS10の処理を実行する。一方、検知実行タイマーTの残時間がゼロの場合(NO)、すなわち実トルコンスリップ率ETR1の検知が終了している場合はステップS18の処理を実行する。
ステップS10では揺り返し判定が有ったか否かを判定する。なお、ここで言う「揺り返し判定」とは、図5に示されるように、実トルコンスリップ率ETR1の挙動が第1の閾値(故障判定トルコンスリップ率一次Hi)U1を超えた後(図5中の(1))、検知実行タイマーTの設定時間ΔT1の間に、続けて第2の閾値(故障判定トルコンスリップ率二次Lo)L1を下回った(図5中の(2))ことをコントローラ70が判定したことである。特に、上記第1及び第2の閾値U1,L1によって検知される「揺り返し」のことを「一次揺り返し」と呼ぶ場合がある。
従って、揺り返し判定が有った場合(YES)、ステップS11の処理を実行する。他方、揺り返し判定が無かった場合(NO)、すなわち実トルコンスリップ率ETR1の検知中の場合はステップS21の処理を実行する。
ステップS11ではLC圧制御用リニアソレノイド66aのオンスタック1次故障フラグ(以下、「LCオン1次故障発生フラグ」とも言う。)を「1」に設定する。
なお、揺り返しの検知精度を更に高めるために、第1及び第2の閾値U1,L1よりもヒステリシス幅の小さい第3及び第4の閾値U2,L2(図6)を別途設定し、上記第3及び第4の閾値U2,L2によって検知される揺り返し(以下、「二次揺り返し」と言う。)を検知することも可能である。この場合、下記ステップS12からステップS14をオプションとして追加することが出来る。
ステップS12では二次揺り返し検知処理を実行する。ここで言う「二次揺り返し検知処理」とは、図6に示されるように検知実行タイマーTの作動時間ΔT1内において実トルコンスリップ率ETR1の挙動が第1の閾値U1を超えて(図6中の(1))第2の閾値L1を下回った(図6中の(2))後、更に第3の閾値(故障判定トルコンスリップ率二次Hi)U2を超えて(図6中の(3))さらに第4の閾値(故障判定トルコンスリップ率二次Lo)L2を下回った(図6中の(4))状態をコントローラ70が検知することである。
ステップS13では二次揺り返し判定が完了したか否かを判定する。なお、ここで言う「二次揺り返し判定」とは、図6に示されるように、検知実行タイマーTの作動時間ΔT1内において実トルコンスリップ率ETR1の挙動が第1の閾値U1を超えて(図6中の(1))第2の閾値L1を下回った(図6中の(2))後、更に第3の閾値U2を超えて(図6中の(3))さらに第4の閾値L2を下回った(図6中の(4))ことをコントローラ70が判定したことである。
従って、二次揺り返し判定が完了している場合(YES)、ステップS14の処理を実行する。他方、二次揺り返し判定が完了していない場合、すなわち実トルコンスリップ率ETR1の検知中の場合、ステップS21の処理を実行する。
ステップS14では二次揺り返し検知が有ったか否かを判定する。二次揺り返しが有ったと判定された場合、すなわちコントローラ70が図6中の(1)、(2)、(3)及び(4)を検知した場合(YES)、ステップS15の処理を実行する。他方、二次揺り返しが無かったと判定された場合(NO)、ステップS18の処理を実行する。
ステップS15では故障検知カウンタFCをインクリメントする(故障検知カウンタFCをアップする)。なお、二次揺り返しを検知する場合は、一次揺り返し及び二次揺り返しを検知されたことを以て故障検知カウンタFCをアップする。
ステップS16では故障検知カウンタFCの値が閾値(NG閾値)より大きいか否かを判定する。故障検知カウンタFCの値がNG閾値より大きい場合(YES)、ステップS17の処理を実行する。一方、故障検知カウンタFCの値がNG閾値より小さい場合(NO)、ステップS18の処理を実行する。
ステップS17ではLC圧制御用リニアソレノイド(LCC−LS)66aはオンスタック故障であるとコントローラ70が確定し、フェールセーフアクションを実施する。フェールセーフアクションはコントローラ70がON/OFF電磁弁65の電源供給系統を切断し、ロックアップクラッチLCをオフ状態(解放状態)とすることである。
ステップS18では実トルコンスリップ率ETR1に対する検知が終了している(検知実行タイマーTが切れている)ため、検知中フラグを「0」に設定する。
ステップS19では故障検知カウンタFCの値として前回値を保持する。
ステップS20では検知実施フラグを「1」に設定する。ここで言う「検知実施フラグ」とは、検知実行タイマーTにおいて設定時間ΔT1が経過し、実トルコンスリップ率ETR1の検知が終了したか否かを示すフラグである。ここでは検知が終了したことを示す「1」が立てられる。
ステップS21では故障検知カウンタFCの値として前回値を保持する。
ステップS22では正常検知カウンタ(OKカウンタ)をインクリメントする。
ステップS23では検知実行タイマーTを「0」に設定する。
ステップS24では検知中フラグを「0」に設定する。
ステップS25ではLCオン故障発生一次フラグを「0」に設定する。
ステップS26ではLCオン故障発生二次フラグを「0」に設定する。
ステップS27では正常検知カウンタの値が閾値(OK閾値)より小さいか否かを判定する。正常検知カウンタの値がOK閾値より小さい場合(YES)、ステップS28の処理を実行する。一方、正常検知カウンタの値がOK閾値以上の場合(NO)、ステップS29の処理を実行する。
ステップS28では故障検知カウンタFCの値として前回値を保持する。
ステップS29では故障検知カウンタFCの値を「0」に設定する。
ステップS30では検知実施フラグを「1」に設定する。
なお、上記ステップS9、ステップS14及びステップS16に示す通り、本LC圧制御用リニアソレノイド(LCC−LS)66aのオンスタック故障を検知する方法では、検知条件が成立して検知実行タイマーTの設定時間ΔT1が経過する間、実トルコンスリップ率ETR1の検知を行った場合、故障検知カウンタFCのカウント数をアップする/しないに関わらず、次の発進(検知条件成立フラグ=1かつ検知実施フラグ=0)まで実トルコンスリップ率ETR1の検知は行われない。
また、上記ステップS27、ステップS28及びステップS29において示される通り、一度カウントした故障検知カウンタは正常検知カウンタが閾値(OK閾値)を超えるまで前回値が保持される。
図4は、図3のステップS1の検知前条件判定処理を示すフロー図である。
先ず、サブステップSS1では、LC圧制御用リニアソレノイドの故障が確定していないか否かを判定する。故障が確定していない場合(YES)はサブステップSS2の処理を実行する。一方、故障が確定している場合はサブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS2では、関連デバイスが正常であるか否かを判定する。ここで言う「関連デバイス」とはアクセルペダルAP、スロットルTH等を指している。関連デバイスが正常である場合(YES)はサブステップSS3を実行する。一方、関連デバイスが正常でない場合(NO)、サブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS3では、検知実施フラグが「0」であるか否かを判定する。検知実施フラグが「0」の場合(YES)はサブステップSS4の処理を実行する。一方、検知実施フラグが「0」でない場合(NO)、サブステップSS11の処理を実行する。
サブステップSS4では、車速が所定値未満であるか否かを判定する。車速が所定値未満の場合(YES)はサブステップSS5を実行する。一方、車速が所定値以上である場合(NO)はサブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS5では、アクセルペダルの変化量ΔPの絶対値が所定値未満であるか否かを判定する。アクセルペダルの変化量ΔPの絶対値が所定値未満の場合(YES)はサブステップSS6の処理を実行する。一方、アクセルペダルの変化量ΔPの絶対値が所定値以上の場合(NO)はサブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS6では、アクセルペダルの踏み込み開度が条件範囲内であるか否かを判定する。アクセルペダルの踏み込み開度が条件範囲内である場合(YES)はサブステップSS7の処理を実行する。一方、アクセルペダルの踏み込み開度が条件範囲外(踏み込み開度条件不成立)である場合(NO)はサブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS7では、実トルコンスリップ率ETR1が目標トルコンスリップ率の範囲内であるか否かを判定する。実トルコンスリップ率ETR1が目標トルコンスリップ率の範囲内である場合(YES)はサブステップSS8の処理を実行する。一方、実トルコンスリップ率ETR1が目標トルコンスリップ率の範囲内外である場合(NO)はサブステップSS10の処理を実行する。
サブステップSS8では検知条件成立フラグに「1」を立てる。
サブステップSS9では検知実施フラグに「0」を立てる。
サブステップSS10では検知条件成立フラグに「0」を立てる。
サブステップSS11では検知条件成立フラグに「0」を立てる。
サブステップSS12では完全停止の判断が無いか否かを判定する。ここで言う「完全停止」とは車両が車速ゼロの状態で停止していることを意味する。完全停止の判断が無い場合(YES)はサブステップSS13の処理を実行する。一方、完全停止の判断が有る場合(NO)はサブステップSS9の処理を実行する。
サブステップSS13では検知実施フラグに「1」を立てる。
以上の通り、本検知前条件判定処理ではサブステップSS1からサブステップSS7において全て真(YES)の場合にのみ検知条件成立フラグに「1」が立てられ、1つでも偽(NO)があると検知条件成立フラグに「0」が立てられる。
以上、図3及び図4において説明した通り、本発明の実施形態に係るLC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障検知方法では、ロックアップクラッチLCの急締結に伴う実トルコンスリップ率ETR1の揺り返しの挙動に着目し、実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えた時に検知実行タイマーTが作動し、検知実行タイマーTの設定時間ΔT1内に、実トルコンスリップ率ETR1が第2の閾値L1を下回った時に、LC圧制御用ソレノイドバルブ(LCC−LS)66aのオンスタック故障であると判定する。つまり、ロックアップクラッチLCの急締結に関する第1の閾値U1、その揺り返しに関する第2の閾値L1、並びに実トルコンスリップ率ETR1が第1の閾値U1を超えてから第2の閾値L1を下回るまでの制限時間ΔT1を設けることにより、実トルコンスリップ率ETR1の揺り返し状態(振動状態)を精度良く検知することが可能となる。これにより、LC圧制御用ソレノイドバルブ(LCC−LS)66aのオンスタック故障に対する検知性を確保しつつ誤検知タフネスを向上させることが可能となる。
また、実トルコンスリップ率ETR1に係る第1及び第2の閾値U1,L1による一次揺り返し検知に加えて、より変動幅の狭い第3及び第4閾値U2,L2による二次揺り返し検知を更に適用することにより、実トルコンスリップ率ETR1の揺り返し状態(振動状態)を更に精度良く検知することが可能となる。これにより、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障に対する検知精度を更に向上させ、同時に誤検知タフネスを向上させることが可能となる。
また、発進時に一度実トルコンスリップ率ETR1の検知を実行した後は、次の発進まで実トルコンスリップ率ETR1の検知は行われないと共に、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障の確定は、故障検知カウンタFCのカウント値が閾値(NG閾値)を超えたことによって判断される。これにより、LC圧制御用リニアソレノイドのオンスタック故障に対する検知精度を更に向上させることが可能となる。
10 エンジン
20 トルクコンバータ
30 変速機
31 第1プーリー
32 第2プーリー
33 Vベルト
34 ギヤ
36 ギヤ
38 ファイナルドライブギヤ
40 前後進切換機構
41 前進クラッチ
42 リバースブレーキ
43 遊星歯車機構
MS メインシャフト
SMS サブメインシャフト
CS カウンターシャフト
SS セカンダリーシャフト
70 油圧供給回路
100 自動変速機

Claims (9)

  1. 駆動源からの駆動力を流体を介して変速機へ伝達するトルクコンバータと、該トルクコンバータのロックアップクラッチ圧を調節する油圧制御回路と、該油圧制御回路を制御する制御装置とを備えた車両用自動変速機において、
    前記油圧制御回路は、前記トルクコンバータのロックアップクラッチの締結状態を制御するロックアップクラッチ制御弁と、該ロックアップクラッチ制御弁にパイロット圧を供給するロックアップクラッチ圧制御弁と、該ロックアップクラッチ圧制御弁を駆動するロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドとを備え、
    前記制御装置は、前記トルクコンバータの実トルコンスリップ率に関する第1の閾値と該第1の閾値よりも小さい第2の閾値とを備え、計測される前記実トルコンスリップ率が前記第1の閾値を超えてから所定の制限時間内に前記第2の閾値を下回った場合に前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドは故障であると判定するように構成されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記制御装置は故障検知カウンタを備え、前記実トルコンスリップ率が前記第1の閾値を超えてから前記制限時間内に前記第2の閾値を下回った場合に前記故障検知カウンタの故障カウント数を1つ増加するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記制御装置は、前記第1の閾値よりも小さい第3の閾値と、該第3の閾値よりも小さく且つ前記第2の閾値より大きい第4の閾値とを備え、前記制限時間内に該第1の閾値を超え且つ該第2の閾値を下回り更に前記第3の閾値を超え且つ前記第4の閾値を下回った場合に前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドは故障であると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に自動変速機の制御装置。
  4. 前記制御装置は故障検知カウンタを備え、前記実トルコンスリップ率が前記第1の閾値を超えてから前記制限時間内に前記第2の閾値を下回った場合、或いは該制限時間内に該第1の閾値を超え且つ該第2の閾値を下回り更に前記第3の閾値を超え且つ前記第4の閾値を下回った場合に前記故障検知カウンタの故障カウント数を1つ増加するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記制御装置は前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドが正常であると判定されるまで前記故障カウント数を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記制御装置は前記制限時間が経過した時、車両の次の発進まで前記実トルコンスリップ率の検知を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記制御装置は車両の発進から停止に至るドライビングサイクルにおいて前記故障カウント数が所定の閾値を超えた時に、前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドは故障であると確定すると共に所定のフェールセーフアクションを実施するように構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  8. 前記制御装置は2回目の前記ドライビングサイクルにおいて前記故障カウント数が閾値を超えた時に、前記ロックアップクラッチ圧制御用リニアソレノイドはオンスタック故障であると確定すると共に所定のフェールセーフアクションを実施するように構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
  9. 前記制御装置は所定の検知実施条件が成立しているか否かを判定し該検知実施条件が成立している場合にのみ、前記実トルコンスリップ率の検知可能状態にするように構成されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の自動変速機の制御装置。
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