JP2016217367A - 流体ダンパー - Google Patents
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Abstract
【課題】作動流体の圧縮剛性による変形分のロスを低減して流体ダンパーのエネルギー吸収能力を向上させる。【解決手段】流体で満たされた流体室と、前記流体室から流体が送り込まれ、送り込まれた流体を前記流体室へ戻す循環路と、前記循環路に設けられ、通過する流体に通過抵抗を付与する制限通路と、前記流体室に回転可能に配設され、流体を前記循環路へ送り出すとともに前記流体室へ戻す流れを回転してつくる回転体と、前記回転体に回転力を与える回転部材と、前記回転部材と係合し、往復直動して前記回転部材を回転させる変換部材と、を有する流体ダンパー。【選択図】図1
Description
本発明は、減衰力を発生させてエネルギー吸収を行う流体ダンパーに関する。
特許文献1には、建物の柱梁架構内に取り付けられて建物の揺れを抑制する油圧ダンパーが開示されている。
このような油圧ダンパーは、油を介して力の伝達が行われるので、油圧ダンパーに加わった変形は油の圧縮剛性による油の変形分をロスして、油圧ダンパーに備えられた減衰弁に伝わり、このロスした分だけ油圧ダンパーのエネルギー吸収能力が低減されてしまう。このことは、油以外の流体を作動流体とする流体ダンパーにおいても起こり得る。
本発明は係る事実を考慮し、作動流体の圧縮剛性による変形分のロスを低減して流体ダンパーのエネルギー吸収能力を向上させることを課題とする。
第1態様の発明は、流体で満たされた流体室と、前記流体室から流体が送り込まれ、送り込まれた流体を前記流体室へ戻す循環路と、前記循環路に設けられ、通過する流体に通過抵抗を付与する制限通路と、前記流体室に回転可能に配設され、流体を前記循環路へ送り出すとともに前記流体室へ戻す流れを回転してつくる回転体と、前記回転体に回転力を与える回転部材と、前記回転部材と係合し、往復直動して前記回転部材を回転させる変換部材と、を有する流体ダンパーである。
第1態様の発明では、変換部材を往復直動させることにより回転部材を回転させ、これに伴い回転体を回転させて、流体を流体室から循環路へ送り出すとともに循環路から流体室へ戻す流れをつくる。これにより、制限通路に流体を通過させて減衰力を発生させ、エネルギー吸収を行うことができる。
また、流体室の容積(流体室に満たされる流体の量)が、流体ダンパーのストロークに依存しない(流体ダンパーのストロークが大きくなっても、流体室の容積を大きくしなくてよい)ので、流体室に満たされる流体の量を少なくすることができ、流体室に満たされる流体の圧縮剛性を高めることができる。これにより、流体室に満たされる流体の圧縮剛性による変形分のロスを低減して流体ダンパーのエネルギー吸収能力を向上させることができる。
第2態様の発明は、第1態様の流体ダンパーにおいて、前記流体は、油であり、前記制限通路は、減衰弁である。
第2態様の発明では、減衰弁に油を通過させることにより減衰力を発生させて、エネルギーを吸収することができる。
第3態様の発明は、第1又は第2態様の流体ダンパーにおいて、前記回転部材は、シリンダー部材であり、前記変換部材は、前記シリンダー部材に挿入されるとともにボールネジ機構を構成し、往復直動して前記シリンダー部材を回転させるシャフト部材であり、前記回転体は、前記シリンダー部材に連結され、回転して流体を移動させるスクリュー部材である。
第3態様の発明では、シャフト部材を往復直動させることにより、ボールネジ機構によってシリンダー部材を回転させることができる。また、シリンダー部材の回転によりスクリュー部材を回転させて流体を移動させ、流体を流体室から循環路へ送り出すとともに循環路から流体室へ戻す流れをつくることができる。
本発明は上記構成としたので、作動流体の圧縮剛性による変形分のロスを低減して流体ダンパーのエネルギー吸収能力を向上させることができる。
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態に係る流体ダンパーについて説明する。
図1の側面図に示すように、本実施形態の流体ダンパーとしての油圧ダンパー10は、建物12の基礎14と、基礎14上に免震支持された上部構造物16との間に形成された基礎免震層18に配置され、一方の端部(シャフト部材32の端部20)が基礎14に接続され、他方の端部(筐体46の端部22)が上部構造物16に接続されている。
油圧ダンパー10は、地震等により基礎14に対して上部構造物16が水平方向24へ振動したときに、減衰力を発生させて振動エネルギーを吸収し、この振動を抑制する。油圧ダンパー10は、運動変換部26と、減衰力生成部28とを有して構成されている。
運動変換部26は、回転部材としてのシリンダー部材30と、変換部材としてのシャフト部材32とを有して構成されている。シャフト部材32の端部20は、基礎14に設けられた接続部材34にピン接続されている。
シャフト部材32は、シリンダー部材30の内部に挿入されており、シリンダー部材30の端部に設けられた軸受36を介して、シリンダー部材30の軸方向38に対して往復直動可能にシリンダー部材30に設けられている。
シャフト部材32は、シリンダー部材30の内壁面に形成された雌ネジ部40にねじ込まれる雄ネジ部42を先端部に備え、この雄ネジ部42と、雌ネジ部40と雄ネジ部42の間に多数入れられて転動する鋼球(不図示)と、雌ネジ部40とで、ボールネジ機構44を構成している。
このボールネジ機構44により、シャフト部材32は、シリンダー部材30と係合し、シリンダー部材30に対して軸方向38へ往復直動してシリンダー部材30を回転させる。このように、運動変換部26では、シャフト部材32を往復直動させることにより、ボールネジ機構44によってシリンダー部材30を回転させる。
減衰力生成部28は、筐体46、流体室48、タンク室50、及び回転体としてのスクリュー部材52を有して構成されている。筐体46の端部22は、上部構造物16に設けられた接続部材54にピン接続されている。
流体室48は、筐体46内に備えられ、この流体室48に封入された流体としての油Fで満たされている。流体室48には、材軸を一致させてシリンダー部材30と一体に連結され、シリンダー部材30と連動して回転する軸部材56が貫通して配設されている。軸部材56の左右端部は、筐体46に設けられた軸受58、60を介して筐体46に回転可能に支持され、シール部材62、64によって筐体46の外部への油Fの漏れが防がれている。
流体室48の略中央部(軸部材56の軸方向の略中央部)には、回転体としてのスクリュー部材52が回転可能に配設されている。流体室48は、スクリュー部材52によって2つの油室66、68に仕切られている。
スクリュー部材52は、シリンダー部材30に連結された軸部材56と一体に設けられており、シリンダー部材30の回転に伴ってシリンダー部材30から回転力を与えられて回転する。そして、このスクリュー部材52の回転により、油室68から油室66へ、又は油室66から油室68へ油Fを移動させる。本実施形態では、スクリュー部材52が、シリンダー部材30側からスクリュー部材52を見て時計回りに回転する(以下、「時計回りに回転する」とする)ことにより、油室68から油室66へ油Fが移動し、スクリュー部材52が、シリンダー部材30側からスクリュー部材52を見て反時計回りに回転する(以下、「反時計回りに回転する」とする)ことにより、油室66から油室68へ油Fが移動する。
タンク室50は、筐体46内に備えられている。タンク室50には、油Fが蓄えられている。また、タンク室50の内部は、タンク室50の天井部に形成された通気孔70により、外気と同じ大気圧になっている。なお、通気孔70は必要に応じて適宜設ければよく、タンク室50に通気孔70を設けなくてもよい。
油室66とタンク室50は、流路72、74によって繋がれており、油室68とタンク室50は、流路76、78によって繋がれている。
流路72には、油室66からタンク室50へ向う方向の油Fの通過を許容し、タンク室50から油室66へ向う方向の油Fの通過を阻止する制限通路としての減衰弁80が設けられ、流路74には、タンク室50から油室66へ向う方向の油Fの通過を許容し、油室66からタンク室50へ向う方向の油Fの通過を阻止するチェック弁82が設けられている。
流路76には、油室68からタンク室50へ向う方向の油Fの通過を許容し、タンク室50から油室68へ向う方向の油Fの通過を阻止する制限通路としての減衰弁84が設けられ、流路78には、タンク室50から油室68へ向う方向の油Fの通過を許容し、油室68からタンク室50へ向う方向の油Fの通過を阻止するチェック弁86が設けられている。
減衰弁80、84は、この減衰弁80、84を通過する油Fに通過抵抗を付与して、減衰力を発生させる。
そして、流路72(減衰弁80)、タンク室50、及び流路78(チェック弁86)により、この順に油Fが流れる第1循環路が構成され、流路76(減衰弁84)、タンク室50、及び流路74(チェック弁82)により、この順に油Fが流れる第2循環路が構成されている。すなわち、流体室48(油室66)から第1循環路へ油Fが送り込まれ、この送り込まれた油Fが第1循環路から流体室48(油室68)へ戻る。また、流体室48(油室68)から第2循環路へ油Fが送り込まれ、この送り込まれた油Fが第2循環路から流体室48(油室66)へ戻る。
スクリュー部材52は、時計回りに回転することにより、油Fを油室68から油室66へ移動させ、これに伴って油Fを流体室48(油室66)から第1循環路へ送り出すとともに、第1循環路から流体室48(油室68)へ戻す流れをつくる。また、スクリュー部材52は、反時計回りに回転することにより、油Fを油室66から油室68へ移動させ、これに伴って油Fを流体室48(油室68)から第2循環路へ送り出すとともに、第2循環路から流体室48(油室66)へ戻す流れをつくる。
次に、本発明の実施形態に係る流体ダンパーの作用と効果について説明する。
本実施形態の油圧ダンパー10では、図1に示すように、地震等により建物12の基礎14に対して上部構造物16が水平方向24へ振動したときに、シリンダー部材30に対してシャフト部材32が軸方向38へ往復直動し、これに伴いシリンダー部材30がボールネジ機構44により回転するとともにスクリュー部材52が回転する。
図2の側面図に示すように、シリンダー部材30に対してシャフト部材32が右方向へ移動したときに、スクリュー部材52は、時計回りに回転することにより油Fを油室68から油室66へ移動させる。これに伴い、油室66の油Fの圧力が高められて油室66からタンク室50へ流路72を介して油Fが送り出されるとともに、タンク室50へ送り出された油Fの圧力は下がって大気圧となる。また、油室68の油Fの圧力が下げられてタンク室50から油室68へ流路78を介して油Fが送り出される。すなわち、スクリュー部材52が時計回りに回転することにより、油Fを流体室48から第1循環路へ送り出すとともに第1循環路から流体室48へ戻す流れがつくられる。
また、図3の側面図に示すように、シリンダー部材30に対してシャフト部材32が左方向へ移動したときに、スクリュー部材52は、反時計回りに回転することにより油Fを油室66から油室68へ移動させる。これに伴い、油室68の油Fの圧力が高められて油室68からタンク室50へ流路76を介して油Fが送り出されるとともに、タンク室50へ送り出された油Fの圧力は下がって大気圧となる。また、油室66の油Fの圧力が下げられてタンク室50から油室66へ流路74を介して油Fが送り出される。すなわち、スクリュー部材52が反時計回りに回転することにより、油Fを流体室48から第2循環路へ送り出すとともに第2循環路から流体室48へ戻す流れがつくられる。
そして、油室66、68からタンク室50へ流路72、76を介して油Fが送り出されるときに、油Fが減衰弁80、84を通過して減衰力が発生し、エネルギー吸収を行うことができる。これにより、建物12の振動を抑制することができる。
また、図1〜3に示すように、流体室48の容積(流体室48に満たされる油Fの量)が、油圧ダンパー10のストロークに依存しない(油圧ダンパー10のストロークが大きくなっても、流体室48の容積を大きくしなくてよい)ので、流体室48に満たされる油Fの量を少なくすることができ、流体室48に満たされる油Fの圧縮剛性を高めることができる。これにより、流体室48に満たされる作動流体としての油Fの圧縮剛性による変形分のロスを低減して油圧ダンパー10のエネルギー吸収能力を向上させることができる。
図4の側面図に示すように、従来の油圧ダンパー88では、シリンダー部材90に流体室92が設けられている。流体室92は、この流体室92に封入された流体としての油Fで満たされている。
シリンダー部材90の内部には、シャフト部材94が挿入されており、シリンダー部材90の端部と中間部に設けられたシール部材96、98を介して、シリンダー部材90の軸方向100に対して往復直動可能にシリンダー部材90に設けられている。
シャフト部材94は、流体室92を貫通するように設けられており、このシャフト部材94の中間部に一体に設けられたピストン部材102によって、流体室92が2つの油室104、106に仕切られている。
ピストン部材102には、流路108、110が設けられている。流路108には、油室104から油室106へ向う方向の油Fの通過を許容し、油室106から油室104へ向う方向の油Fの通過を阻止する減衰弁112が設けられ、流路110には、油室106から油室104へ向う方向の油Fの通過を許容し、油室104から油室106へ向う方向の油Fの通過を阻止する減衰弁114が設けられている。
このような従来の油圧ダンパー88に、地震等により建物116の基礎118に対して上部構造物120が水平方向122へ振動したときに、シャフト部材94がシリンダー部材90に対してシリンダー部材90の軸方向100へ往復直動する。
図5の側面図に示すように、シリンダー部材90に対してシャフト部材94が右方向へ移動したときに、これと連動してシリンダー部材90に対してピストン部材102が右方向へ移動し、油室104内の高圧になった油Fが流路108を介して油室104から油室106へ移動する。このときに、油Fが減衰弁112を通過して減衰力が発生し、エネルギー吸収を行うことができる。これにより、建物116の振動を抑制することができる。
また、図6の側面図に示すように、シリンダー部材90に対してシャフト部材94が左方向へ移動したときに、これと連動してシリンダー部材90に対してピストン部材102が左方向へ移動し、油室106内の高圧になった油Fが流路110を介して油室106から油室104へ移動する。このときに、油Fが減衰弁114を通過して減衰力が発生し、エネルギー吸収を行うことができる。これにより、建物116の振動を抑制することができる。
このような従来の油圧ダンパー88では、流体室92の容積(流体室92に満たされる油Fの量)が、油圧ダンパー88のストロークに依存するので、ストロークの大きい油圧ダンパー88においては、流体室92の容積が大きくなり流体室92に満たされる油Fの量が多くなるので、流体室92に満たされる油Fの圧縮剛性が小さくなってしまう。これにより、油圧ダンパー88に加わった変形は油Fの圧縮剛性による油Fの変形分をロスして、減衰弁112、114に伝わり、このロスした分だけ油圧ダンパー88のエネルギー吸収能力が低減されてしまう。
これに対して、本実施形態の油圧ダンパー10では、図1に示すように、ストロークが大きくなってもシリンダー部材30の長さを長くするだけでよく、流体室48の容積(流体室48に満たされる油Fの量)が、油圧ダンパー10のストロークに依存しない(油圧ダンパー10のストロークが大きくなっても、流体室48の容積を大きくしなくてよい)ので、流体室48に満たされる油Fの量を少なくすることができ、流体室48に満たされる油Fの圧縮剛性を高めることができる。これにより、流体室48に満たされる作動流体としての油Fの圧縮剛性による変形分のロスを低減して油圧ダンパー10のエネルギー吸収能力を向上させることができる。
ここで、本実施形態の油圧ダンパー10の流体室48に満たされた作動流体としての油Fの圧縮剛性を高めることにより、油圧ダンパー10のエネルギー吸収能力が向上できることについて実例を挙げて説明する。
作動流体となる油の圧縮性を考慮した油圧ダンパーは、図7に示すように、バネKとダッシュポットCとを直列に繋いだ、所謂、マックスウェルモデルで表すことができる。
図4で示した油圧ダンパー88のような従来のダンパーのモデル(以下、「ダンパーモデル1」とする)のK、Cを、K=200kN/mm、C=30kN・s/mmとし、このダンパーモデル1の両端に周期1秒、振幅5mmの正弦変位を与えると、ダンパーモデル1に入力された荷重に対する変位(ストローク量)は、図8のグラフの値124になる。図8のグラフは、縦軸に、ダンパーに入力された荷重が示され、横軸に、ダンパーの変位が示されている。
これに対して、図1で示した油圧ダンパー10のモデル(以下、「ダンパーモデル2」とする)のKをダンパーモデル1のKの5倍にして、ダンパーモデル2のK、Cを、K=1000kN/mm、C=30kN・s/mmとし、このダンパーモデル2の両端に周期1秒、振幅5mmの正弦変位を与えると、ダンパーモデル2に入力された荷重に対する変位(ストローク量)は、図8のグラフの値126のようになる。
ダンパーの吸収するエネルギーは、値124、126で囲まれた面積に相当するので、ダンパーモデル2は、作動流体としての油の圧縮剛性(バネK)をダンパーモデル1の5倍にすることで、エネルギー吸収能力が大幅に向上していることがわかる。
このことをもう少し定量的に述べると、円振動数ωの正弦変位で加力した場合、作動流体としての油の圧縮剛性を考慮したダンパー全体としての減衰能力は、作動流体としての油が圧縮されないとした場合の減衰係数をCとすると、K2/(K2+C・ω2)倍に低減される。
よって、K=200kN/mm、C=30kN・s/mmとしたダンパーモデル1で吸収できるエネルギーは、作動流体としての油が圧縮されないとした場合の油圧ダンパーの53%となり、K=1000kN/mm、C=30kN・s/mmとしたダンパーモデル2で吸収できるエネルギーは、作動流体としての油が圧縮されないとした場合の油圧ダンパーの97%となる。すなわち、ダンパーモデル2は、ダンパーモデル1の1.8倍以上のエネルギー吸収能力を発揮することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態では、図1に示すように、流体ダンパーを、作動流体を油Fとした油圧ダンパー10とした例を示したが、流体ダンパーは、粘性流体、MR流体(Magneto-Rheological fluid、磁気反応機能性流体)、及び空気などの気体等の他の流体を作動流体としたダンパーとしてもよい。
作動流体を粘性流体とする場合には、流路72、76に設ける制限通路を、通過する粘性流体に通過抵抗を付与できる大きさの孔径を有する貫通孔とすればよい。また、作動流体をMR流体とする場合には、流路72、76に磁場を発生させる装置を設けて、この磁場が発生する流路72、76の部分を制限通路とすればよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、ボールネジ機構44により変換部材としてのシャフト部材32の往復直動を回転部材としてのシリンダー部材30の回転運動に変換し、これに伴い回転体としてのスクリュー部材52を回転させた例を示したが、他の機構によって、変換部材の往復直動を回転部材の回転運動に変換してもよい。例えば、変換部材をラックギヤとし、回転部材をピニオンギヤとして、ラックギヤの往復直動をピニオンギヤの回転運動に変換するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、回転体をスクリュー部材52とした例を示したが、回転体は、回転により流体を移動させることができるものであればよい。例えば、スクリューポンプやギヤポンプをダンパーに備えるようにしてもよい。スクリューポンプを備える場合には、作動流体を送り出すスクリュー部材が回転体となり、ギヤポンプを備える場合には、作動流体を送り出すギヤが回転体となる。
図9の断面図には、外接式のギヤポンプPを備えた油圧ダンパー128の例が示され、図10の断面図には、ギヤポンプPの内部構造が示されている。
図9及び図10に示すように、油圧ダンパー128の減衰力生成部130は、筐体144、流体室132、タンク室134、及び回転体としての2つのギヤ136、138を有して構成されている。
流体室132は、ギヤポンプPの本体内に備えられ、流体としての油Fで満たされている。
流体室132の中央部には、回転体としてのギヤ136、138が噛み合うように回転可能に配設されている。流体室132は、ギヤ136、138によって2つの油室140、142に仕切られている。油室140、142は、筐体144内に備えられた補助油室146、148に流路150、152を介して繋がれている。
タンク室134は、筐体144内に備えられている。タンク室134には、油Fが蓄えられている。また、タンク室134の内部は、タンク室134の天井部に形成された通気孔154により、外気と同じ大気圧になっている。
補助油室146とタンク室134は、流路156、158によって繋がれており、補助油室148とタンク室134は、流路160、162によって繋がれている。
流路156には、補助油室146からタンク室134へ向う方向の油Fの通過を許容し、タンク室134から補助油室146へ向う方向の油Fの通過を阻止する制限通路としての減衰弁164が設けられ、流路158には、タンク室134から補助油室146へ向う方向の油Fの通過を許容し、補助油室146からタンク室134へ向う方向の油Fの通過を阻止するチェック弁166が設けられている。
流路160には、補助油室148からタンク室134へ向う方向の油Fの通過を許容し、タンク室134から補助油室148へ向う方向の油Fの通過を阻止する制限通路としての減衰弁168が設けられ、流路162には、タンク室134から補助油室148へ向う方向の油Fの通過を許容し、補助油室148からタンク室134へ向う方向の油Fの通過を阻止するチェック弁170が設けられている。
減衰弁164、168は、この減衰弁164、168を通過する油Fに通過抵抗を付与して、減衰力を発生させる。
そして、流路150、補助油室146、流路156(減衰弁164)、タンク室134、及び流路162(チェック弁170)、補助油室148、流路152により、この順に油Fが流れる第1循環路が構成され、流路152、補助油室148、流路160(減衰弁168)、タンク室134、及び流路158(チェック弁166)、補助油室146、流路150により、この順に油Fが流れる第2循環路が構成されている。
図10に示すように、ギヤポンプPでは、ギヤ136が時計回りに回転し、ギヤ138が反時計回りに回転することにより、ギヤ136、138の外周を回って(矢印172)油Fを油室142から油室140へ移動させ、これに伴って油Fを流体室132(油室140)から第1循環路へ送り出すとともに、第1循環路から流体室132(油室142)へ戻す流れをつくる。
また、ギヤポンプPでは、ギヤ136が反時計回りに回転し、ギヤ138が時計回りに回転することにより、ギヤ136、138の外周を回って(矢印174)油Fを油室140から油室142へ移動させ、これに伴って油Fを流体室132(油室142)から第2循環路へ送り出すとともに、第2循環路から流体室132(油室140)へ戻す流れをつくる。
図9及び図10に示すように、油圧ダンパー128では、図1で示した油圧ダンパー10の運動変換部26等により、回転体としてのギヤ136、138を回転させる。ギヤポンプPのギヤ136が時計回りに回転し、ギヤ138が反時計回りに回転したときに、油Fは油室142から油室140へ移動する。これに伴い、油室140の油Fの圧力が高められて油室140からタンク室134へ、流路150、補助油室146、及び流路156を介して油Fが送り出されるとともに、タンク室134へ送り出された油Fの圧力は下がって大気圧となる。また、油室142の油Fの圧力が下げられてタンク室134から油室142へ、流路162、補助油室148、及び流路152を介して油Fが送り出される。すなわち、ギヤ136、138が回転することにより、油Fを流体室132から第1循環路へ送り出すとともに第1循環路から流体室132へ戻す流れがつくられる。
また、ギヤポンプPのギヤ138が時計回りに回転し、ギヤ136が反時計回りに回転したときに、油Fは油室140から油室142へ移動する。これに伴い、油室142の油Fの圧力が高められて油室142からタンク室134へ、流路152、補助油室148、及び流路160を介して油Fが送り出されるとともに、タンク室134へ送り出された油Fの圧力は下がって大気圧となる。また、油室140の油Fの圧力が下げられてタンク室134から油室140へ、流路158、補助油室146、及び流路150を介して油Fが送り出される。すなわち、ギヤ136、138が回転することにより、油Fを流体室132から第2循環路へ送り出すとともに第2循環路から流体室132へ戻す流れがつくられる。
そして、油室140、142からタンク室134へ流路156、160を介して油Fが送り出されるときに、油Fが減衰弁164、168を通過して減衰力が発生し、エネルギー吸収を行うことができる。
また、本実施形態では、図1に示すように、油室66、68からタンク室50へ流路72、76を介して油Fが送り出される例を示したが、流路72、76にリリーフ弁を設けて、過大な荷重がシャフト部材32に作用したときに油圧ダンパー10が損傷するのを防ぐようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、油室66、68からタンク室50へ流路72、76を介して油Fが送り出されるときに、油Fが減衰弁80、84を通過して減衰力を発生させる例を示したが、減衰弁80、84を、減衰係数の変更が可能な可変減衰弁として、油圧ダンパー10を、減衰力をコントロールできるセミアクティブダンパーにしてもよい。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、回転部材としてのシリンダー部材30を回転させることにより、回転体としてのスクリュー部材52を回転させた例を示したが、図11の側面図に示すように、シリンダー部材30の外周面に質量が集中するように、この外周面に質量体176を設けて、所謂、ダイナミック・マスを構成してもよい。このようにすれば、シャフト部材32の往復直動の振動を増幅させて、エネルギー吸収効果を高めることができる。
また、本実施形態では、建物12の基礎免震層18に油圧ダンパー10を配設した例を示したが、油圧ダンパー10は、建物の中間免震層に配設してもよい。また、油圧ダンパー10は、建物の免震層に配設して免震層に減衰力を付与する以外の用途に用いてもよい。本実施形態の油圧ダンパー10は、ストロークが大きい流体ダンパーに適用するのが特に有効である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10、128 油圧ダンパー(流体ダンパー)
30 シリンダー部材(回転部材)
32 シャフト部材(変換部材)
44 ボールネジ機構
48 流体室
52 スクリュー部材(回転体)
80、84、164、168 減衰弁(制限通路)
136、138 ギヤ(回転体)
F 油(流体)
30 シリンダー部材(回転部材)
32 シャフト部材(変換部材)
44 ボールネジ機構
48 流体室
52 スクリュー部材(回転体)
80、84、164、168 減衰弁(制限通路)
136、138 ギヤ(回転体)
F 油(流体)
Claims (3)
- 流体で満たされた流体室と、
前記流体室から流体が送り込まれ、送り込まれた流体を前記流体室へ戻す循環路と、
前記循環路に設けられ、通過する流体に通過抵抗を付与する制限通路と、
前記流体室に回転可能に配設され、流体を前記循環路へ送り出すとともに前記流体室へ戻す流れを回転してつくる回転体と、
前記回転体に回転力を与える回転部材と、
前記回転部材と係合し、往復直動して前記回転部材を回転させる変換部材と、
を有する流体ダンパー。 - 前記流体は、油であり、前記制限通路は、減衰弁である請求項1に記載の流体ダンパー。
- 前記回転部材は、シリンダー部材であり、
前記変換部材は、前記シリンダー部材に挿入されるとともにボールネジ機構を構成し、往復直動して前記シリンダー部材を回転させるシャフト部材であり、
前記回転体は、前記シリンダー部材に連結され、回転して流体を移動させるスクリュー部材である請求項1又は2に記載の流体ダンパー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015099043A JP2016217367A (ja) | 2015-05-14 | 2015-05-14 | 流体ダンパー |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015099043A JP2016217367A (ja) | 2015-05-14 | 2015-05-14 | 流体ダンパー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016217367A true JP2016217367A (ja) | 2016-12-22 |
Family
ID=57580555
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015099043A Pending JP2016217367A (ja) | 2015-05-14 | 2015-05-14 | 流体ダンパー |
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JP (1) | JP2016217367A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019196818A (ja) * | 2018-05-10 | 2019-11-14 | 清水建設株式会社 | 減衰機構 |
CN112900629A (zh) * | 2021-01-20 | 2021-06-04 | 同济大学 | 适用于钢-混凝土组合结构抗连续倒塌的杆式液压联动机构 |
-
2015
- 2015-05-14 JP JP2015099043A patent/JP2016217367A/ja active Pending
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JP7133974B2 (ja) | 2018-05-10 | 2022-09-09 | 清水建設株式会社 | 減衰機構 |
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