JP2016216306A - シリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法 - Google Patents

シリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法 Download PDF

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【課題】ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を制御することができる抵抗率制御方法を提供する。【解決手段】シリコン単結晶の引上げ長に応じて、棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入するパターンを計算する工程と、シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、原料融液の湯面位置を変化させるパターンに応じて、棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入するパターンに、原料融液の湯面位置を変化させる分の補正を加える工程と、該補正を加えた棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入するパターンを用いて、シリコン単結晶の育成中に棒状シリコン結晶の挿入を行う工程とを有することを特徴とするシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法(Czochralski method:CZ法)によって育成されるシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法に関する。
絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transister:IGBT)などパワー用などに用いられるスイッチングデバイスでは主にN型結晶が用いられる。従来は抵抗率制御が比較的容易なエピタキシャルウェーハ(EPW)や、浮遊溶融帯域製造方法(Floating Zone Method:FZ法)により製造されたウェーハ(FZ−PW)が用いられてきた。
しかしEPWは、CZ法により製造されたウェーハ(CZ−PW)と比較して余分な工程(エピタキシャル成長工程)が含まれるため高価なウェーハであるし、FZ法は結晶径を大きくすることが容易ではないという問題があり、CZ−PWにエピタキシャル層を積まずにそのまま使うCZ−PWが注目されつつある。しかしCZ法により製造されたシリコン単結晶では、ドーパントの偏析現象があり、軸方向(引上げ軸方向)の抵抗率分布を均一にすることは難しい。
これを解決できる方法として特許文献1、2に、主ドーパントと反対極性で偏析係数の小さい副ドーパントを添加する、いわゆるカウンタードープ方法が開示されている。また、単結晶の引上げ中に原料シリコンを投入して融液中のドーパント濃度を制御する技術(連続チャージ法(Continuous Czochralski Method:CCZ法))の応用として、ドーパントを含まない棒状シリコン結晶を浸漬させながら結晶引上げを行う技術もある。
これらの方法を用いることによって、CZ単結晶の軸方向の抵抗率分布を改善することが可能である。ただし、N型単結晶の製造において最も良く用いられるドーパントはP(リン)であり、その偏析係数は0.35程度である。これに対して、カウンタードープ法で抵抗率分布を改善しようとした場合、反対極性であってPの偏析係数より偏析係数が小さい元素はGa、In、Alなどがある。
しかしながら、例えば重金属が酸化膜中に含まれると酸化膜の電気的特性が劣化するなどの報告もあり、これらの元素を添加したことでデバイス特性にどのように影響するかが明らかではない。このため、P型ドーパントとしてはB(ボロン)が主流であり、デバイスを作製する上で広く用いられている元素なので、可能であれば反対極性の元素としてBを用いることが好ましい。しかしBの偏析係数は0.78程度と、Pより偏析係数が大きいため、上述の技術を用いることができない。
副ドーパントの偏析係数の方が大きい場合に上記の技術が適用できない理由は、副ドーパントの軸方向の濃度変化が主ドーパントに対して少なく、主ドーパントの濃度が高くなる直胴部後半で十分に打ち消すことができないためである。さらに主ドーパントの濃度が低い直胴部前半部でも副ドーパントの濃度は比較的高いため、直胴部全体で見た抵抗率分布はむしろカウンタードープを行わない場合に比べて悪化する。
副ドーパントに偏析係数の大きい元素を用いてカウンタードープを行うには、単結晶の成長に応じて副ドーパントを連続的、または断続的に投入していけばよい。このようにすれば、主ドーパントの濃度が高くなる直胴部後半で、副ドーパントの濃度を十分高くすることができる。この技術は例えば特許文献3に開示されており、均一な抵抗率分布を得るのに適したドーパントの添加量の計算方法が示されている。
シリコン融液への副ドーパントの投入方法は、ドーパント元素を含んだシリコン結晶を融液に添加する方式が一般的である。ただし粒状のシリコン結晶を投入した場合、投入した粒状のシリコン結晶が融液に融解する前に育成されるシリコン単結晶に到達し接触してしまう場合があり、有転位化の原因となり得る。それに対して棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入する方式では、融解していない固体シリコンが育成中のシリコン単結晶に触れることがないため、より優れている。
特開2002−128591号公報 特開2004−307305号公報 特開平3−247585号公報 特開2007−290906号公報 特開2008−195545号公報
このように、棒状シリコン結晶を原料融液に浸漬させることにより副ドーパントの添加を行う場合、所望の抵抗率分布の結晶を得るためには、棒状シリコン結晶の溶解量の制御が重要である。特に、粒状のシリコン結晶を融液に落として入れる方法と異なり、湯面位置の変化による棒状シリコン結晶の溶解量変化が問題となってくる。
単結晶引上げ中の湯面位置は、所望の品質の結晶を得るために意図的に変化させる場合と、ルツボの変形や直径変動といった要因で意図せずに発生するものがある。このうち後者に関しては、例えば特許文献4、5に示すような方法で、操業中の湯面位置を検出し、一定に制御すれば解決できる。
しかしながら、意図的に湯面位置を変化させる操業の場合、湯面位置を一定に保つ制御ではないため、湯面位置の変動パターンに伴い棒状シリコン結晶の溶解量が変化してしまうという問題があった。具体的には、操業中に湯面位置を上げる場合は想定よりも過剰に棒状シリコン結晶が溶解してしまい、湯面位置を下げる場合は想定よりも棒状シリコン結晶の溶解量が不足してしまう。このように、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業の場合に、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように(例えば、均一に)制御することができなかった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を制御することができる抵抗率制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させながら、チョクラルスキー法によって前記原料融液からシリコン単結晶を引上げて育成する際に、棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入することで、育成される前記シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を制御する方法であって、
前記シリコン単結晶の引上げ長に応じて、前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンを計算する工程と、
前記シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、前記原料融液の前記湯面位置を変化させるパターンに応じて、前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンに、前記原料融液の前記湯面位置を変化させる分の補正を加える工程と、
該補正を加えた前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンを用いて、前記シリコン単結晶の育成中に前記棒状シリコン結晶の挿入を行う工程とを有することを特徴とするシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法を提供する。
このようにすれば、シリコン単結晶の育成中にルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように(例えば、均一に)制御することができる。
このとき、前記棒状シリコン結晶として、前記シリコン単結晶の導電型となる主ドーパントと反対極性の導電型の副ドーパントを含むものを用いることが好ましい。
このようにすれば、主ドーパントの偏析によって生じるシリコン単結晶の軸方向の抵抗率あるいはドーパント濃度の変化を、主ドーパントと反対極性の導電型の副ドーパントにより相殺することができる。そのため、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように制御することがより確実にできる。
またこのとき、前記副ドーパントを、前記主ドーパントよりも偏析係数が大きいものとすることができる。
このように、主ドーパント及び副ドーパントの偏析係数が上記のような関係にある場合であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように制御することができる。
本発明のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法であれば、シリコン単結晶の育成中にルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように制御することができる。特には均一になるように制御できる。
本発明のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法の一例を示した工程図である。 本発明のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法で用いることができる単結晶育成装置の一例を示した概略図である。 実施例及び比較例において、シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、原料融液の湯面位置を変化させるパターンを示したグラフである。 実施例および比較例における棒状シリコン結晶の原料融液への挿入パターンを示したグラフである。 実施例において育成したシリコン単結晶の軸方向の抵抗率分布を示したグラフである。 比較例において育成したシリコン単結晶の軸方向の抵抗率分布を示したグラフである。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上述したように、シリコン単結晶の育成中にルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業の場合、湯面位置の変動パターンに伴い棒状シリコン結晶の溶解量が変化してしまうという問題があった。
そこで、本発明者らはこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、原料融液の湯面位置を変化させるパターンに応じて、棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入するパターンに、原料融液の湯面位置を変化させる分の補正を加えることを見出した。これにより、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を所望のように制御することができることを発見した。そして、これらを実施するための最良の形態について精査し、本発明を完成させた。
まず、本発明のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法において用いることができる単結晶育成装置について図2を参照して説明する。
図2に示すように、単結晶育成装置17は、原料多結晶シリコンを収容して溶融するための部材や、熱を遮断するための断熱部材などを有しており、これらは、メインチャンバー1内に収容されている。メインチャンバー1の天井部(トップチャンバー11)に、そこから上に延びる引上げチャンバー2が連接されており、この上部にシリコン単結晶3をワイヤーで引上げる機構(不図示)が設けられている。
メインチャンバー1内には、溶融された原料融液4を収容する石英ルツボ5とその石英ルツボ5を支持する黒鉛ルツボ6が設けられ、これらのルツボ5、6は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在にルツボ軸で支持されている。そして、ルツボ5、6を囲繞するように、原料を溶融させるための加熱ヒーター7が配置されている。この加熱ヒーター7の外側には、断熱部材8がその周囲を取り囲むように設けられている。
また、引上げチャンバー2の上部にガス導入口10が設けられており、アルゴンガス等の不活性ガスが導入され、メインチャンバー1の下部のガス流出口9から排出されるようになっている。さらに原料融液4と対向するように遮熱部材13が設けられ、原料融液4の表面からの輻射をカットするとともに原料融液4の表面を保温するようにしている。
さらに、原料融液4の上方には、ガスパージ筒12が設けられ、ガス導入口10から導入された不活性ガスにより単結晶棒3の周囲をパージすることができる構成になっている。
トップチャンバー11には、棒状シリコン結晶挿入機14が設けられている。棒状シリコン結晶挿入機14は、棒状シリコン結晶15を原料融液4中に挿入できる構成になっている。ここで、棒状シリコン結晶挿入機14は、例えば図2に示すような上下方向に移動可能な可動装置とすることができる。そして、チャンバーを封止(セット)する前に棒状シリコン結晶挿入機14の先端部分に、棒状シリコン結晶15を取り付けておき、シリコン単結晶3の育成中に棒状シリコン結晶15を原料融液4の表面まで伸ばすことで、棒状シリコン結晶15の浸漬を行うことができる。
このとき、石英ルツボ5に近い部分に棒状シリコン結晶15を浸漬させることができるものが望ましい。このようなものであれば、育成中のシリコン単結晶3のすぐ近くに棒状シリコン結晶15が挿入されることを防ぐことができるので、例えば、棒状シリコン結晶15が副ドーパントを含んだものとした場合に、高濃度のドーパントを含む融液が攪拌される前にシリコン単結晶3に到達して面内及び軸方向の抵抗率分布が意図せず不均一になったり、シリコン単結晶付近の融液温度が低温であるために浸漬部に固化が発生してシリコン単結晶3の有転位化につながったりすることを抑制することができる。
また、メインチャンバー1の水平方向の外側に磁場印加装置16をさらに設置したものとすることができる。これによって、原料融液4に水平方向あるいは垂直方向等の磁場を印加して原料融液4の対流を抑制し、シリコン単結晶3の安定成長をはかる、いわゆるMCZ法による単結晶育成装置とすることもできる。
次に、図1、2を参照しながら、本発明のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法を説明する。なお、ここでは軸方向において均一な抵抗率分布を得る例について説明するが、当然これに限定されず、所望の抵抗率分布となるように適宜調整可能である。
(挿入パターン計算工程:図1のSP1)
まず、シリコン単結晶3の引上げ長に応じて、棒状シリコン結晶15を原料融液4へ挿入するパターンを計算する。このように、まず、原料融液4の湯面位置の変化を勘案せずに、シリコン単結晶3の引上げ長に応じた棒状シリコン結晶15の挿入パターンを計算により求める。
このとき、シリコン単結晶3の軸方向の抵抗率を均一にすることができる棒状シリコン結晶15の挿入パターンとして、例えば特許文献3に開示される計算式を元に計算で求めることができる。
(挿入パターン補正工程:図1のSP2)
次に、シリコン単結晶3の直胴部を育成する際に、原料融液4の湯面位置を変化させるパターンに応じて、上記のSP1において求めた棒状シリコン結晶15を原料融液4へ挿入するパターンに、原料融液4の湯面位置を変化させる分の補正を加える。
シリコン単結晶3の直胴部を育成させる際に原料融液4の湯面位置を変化させる変化量は、棒状シリコン結晶15の原料融液4への挿入を開始する時点の湯面位置に対して±10mm以下の範囲にすることが望ましい。直胴部育成中の湯面位置の変化は主に結晶欠陥分布を直胴部全体にわたってフラット化させるために用いられる。用いるHZ(ホットゾーン)や所望する欠陥領域にもよるが、通常は±10mm以下の範囲内で湯面位置を変動させれば、結晶の各種品質に与える影響を小さく抑えることができるため好ましい。
例えば、シリコン単結晶3の直胴部を10cm育成させる間に、原料融液4の湯面位置が2mm下がるパターンを用いるとする。この場合、シリコン単結晶3の直胴部を10cm育成させるのに相当する時間を引上げ設定速度から計算する。そして、その時間の間に、棒状シリコン結晶15が2mmだけ余分に進むように、棒状シリコン結晶挿入機14による棒状シリコン結晶15の挿入速度に補正をかければよい。
上記の区間のシリコン単結晶の引上げ速度を仮に0.5mm/minとすると、シリコン単結晶3を10cm引上げるのに200分かかる。この間に、棒状シリコン単結晶15を2mm余分に進めればよいので、棒状シリコン結晶挿入機14による棒状シリコン結晶15の挿入速度に+0.01mm/min=0.6mm/hだけ補正を加えればよいことになる。
このようにして、原料融液4の湯面位置の変動パターンに応じて、棒状シリコン結晶15を原料融液4へ挿入するパターンへ加える分の補正量を求めていき、新たな挿入パターンとする。
(棒状シリコン結晶挿入工程:図1のSP3)
上記のようにして補正を加えた棒状シリコン結晶15を原料融液4へ挿入するパターンを用いて、シリコン単結晶3の育成中に棒状シリコン結晶15の挿入を行う。
このようにすれば、ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させるような操業であっても、シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を均一に制御することができる。
条件によっては、棒状シリコン結晶挿入機14による棒状シリコン結晶15の挿入速度は1mm/h前後の非常にゆっくりしたものとなる。そのため、連続的に棒状シリコン結晶15を挿入させる方式は、棒状シリコン結晶挿入機14の精度上困難な場合がある。そのような場合には、棒状シリコン結晶15の挿入は、湯面位置の変動に追従させると共に棒状シリコン結晶の浸漬を例えば10分に1回だけにするような間欠式とすることが好ましい。
本発明は、IGBT等のパワーデバイス向けに用いられるN型単結晶、具体的には抵抗率が30Ωcm以上3000Ωcm以下程度の比較的高抵抗品のものを育成するときに特に有効である。
このような範囲の比較的抵抗率が高いシリコン単結晶の場合、抵抗率分布を均一にするために必要な副ドーパントの体積が小さい。このような場合、湯面位置の変化によって生じる副ドーパントの溶融量の変動による抵抗率への影響が大きいため、湯面位置を変化させる分の補正を考慮する本発明は特に好適に適用することができる。
また、このとき、棒状シリコン結晶15として、シリコン単結晶3の導電型となる主ドーパントと反対極性の導電型の副ドーパントを含むものを用いることが好ましい。
このようにすれば、主ドーパントの偏析によって生じるシリコン単結晶3の軸方向の抵抗率あるいはドーパント濃度の変化を、主ドーパントと反対極性の導電型の副ドーパントにより相殺することができるので、シリコン単結晶3の軸方向の抵抗率を所望のように制御できる。特には、シリコン単結晶3の軸方向の抵抗率分布を均一に制御できる。
またこのとき、副ドーパントを、主ドーパントよりも偏析係数が大きいものとすることが好ましい。
このように、主ドーパント及び副ドーパントの偏析係数が上記のような関係にある場合であっても、本発明を好適に適用することができる。直胴部後半であっても、必要に応じて主ドーパントを十分に打ち消すことができる。
具体的には、例えば、主ドーパントはP(リン)、副ドーパントはB(ボロン)を用いることができる。主ドーパントをP、副ドーパントをBとしたN型シリコン単結晶であれば、どちらの元素もデバイス製造にとって広く用いられている元素であり、予想外の影響が出る心配が少ない。
また、副ドーパントの添加に用いる棒状シリコン結晶15におけるB濃度は、シリコン単結晶3の狙い抵抗率にもよるが6×1019atoms/cm程度以下が望ましい。
このようなB濃度を持つ棒状シリコン結晶15であれば、例えばルツボ5、6の位置精度の誤差に起因して、棒状シリコン結晶15の溶解量が変化した場合にも、その影響をある程度抑えることができるので、狙った抵抗率を得ることができる。
棒状シリコン結晶15中の副ドーパントの濃度の上限をどの程度に設定すべきかは、シリコン単結晶3の狙い抵抗率や原料融液4の体積、棒状シリコン結晶15の寸法といった多くのパラメータによって、適宜変更することが好ましい。
例えば、具体的には、シリコン単結晶3の狙い抵抗率がN型100Ωcmで、ルツボ5、6の位置精度誤差が0.1mmとしたときの棒状シリコン結晶15のB濃度を考える。N型100Ωcmのシリコン単結晶中のP濃度は、カウンタードープを行わない場合で約4.2×1013atoms/cmなので、Bの濃度誤差が比較的大きく影響するのはおよそ1×1012atoms/cm程度からといえる。棒状シリコン結晶15の湯面との接触面積を25mm、原料融液4の重量を380kgとした場合、ルツボ位置0.1mmの誤差で原料融液4中のB濃度が1×1012atoms/cm以上変化するのは、棒状シリコン結晶15のB濃度が約6×1019atoms/cm以上のときである。従って、この程度以下の濃度とすることが好ましい。
もちろん、上記は狙い抵抗率などが変われば変動するため、あくまで一例である。
一方、棒状シリコン結晶15のB濃度が低すぎると、抵抗率を一定に保つために必要な棒状シリコン結晶15の体積が増大し、取り扱いのしにくさ等から問題が出てくる。ただし棒状シリコン結晶15の濃度下限をどの程度に設定すべきかは、シリコン単結晶3の狙い抵抗率や原料融液4の体積、棒状シリコン結晶15の寸法に加えてシリコン単結晶3の引上げ重量でも変わってくるため、具体的に限定することは難しい。各条件に応じて適宜決定できる。
目安としては、例えば、シリコン単結晶3の引上げを通して必要となる棒状シリコン結晶15の長さが30cm以下となるような濃度下限にすれば、棒状シリコン結晶15の準備や取り扱いを容易にすることができるため好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
図2に示すような単結晶育成装置17を用いて、MCZ法にてN型リンドープのシリコン単結晶3の引上げを行った。
シリコン単結晶3の育成の条件として、チャージ量を380kg、引上げるシリコン単結晶3の直径を306mm、カウンタードープ後の狙い抵抗率を65Ωcm(抵抗率規格65±10%)とした。
カウンタードープ用の棒状シリコン結晶15は、浸漬可能部分の寸法が5mm×5mm×100mm、B濃度が5×1018atoms/cmである。また、欠陥分布の制御のため、直胴部育成中のルツボ5、6の位置に補正を加えることで図3のように湯面位置を変化させている。正の値は現在の湯面位置に対し湯面位置を下げる補正、負の値は湯面位置を上げる補正であることを示す。
まず、石英ルツボ5内に多結晶シリコンとリンのドープ剤を投入し、ルツボ5、6を回転させながらアルゴン雰囲気中で原料を加熱することでシリコン融液(原料融液4)を形成した。
次に、磁場印加装置16から中心磁場強度が4000Gの水平磁場を原料融液4に印加した。原料融液4の温度が安定したところで、原料融液4に種結晶を浸漬させ、種結晶を回転させながら徐々に引上げることでシリコン単結晶3の成長を開始した。途中、直胴部の引上げ長さ率(直胴部の引上げ長さ/最終的な直胴部の引上げ長さ)が26%のところで棒状シリコン結晶15を融液表面に触れさせ、カウンタードープを開始した。
カウンタードープ時の棒状シリコン結晶15の挿入パターンは予め求めておいた。まず、挿入パターン計算工程で、狙い抵抗率とシリコン単結晶3の引上げ速度から計算によって求めた。なお、前述したように、この挿入パターン計算工程では原料融液4の湯面位置の変化を勘案していない。
そして、挿入パターン補正工程で、原料融液4の湯面位置を変化させるパターンに応じて、上記の挿入パターン計算工程で求めた棒状シリコン結晶15を原料融液4へ挿入するパターンに、原料融液4の湯面位置を変化させる分の補正を加え、図4に示すグラフの実施例のようにした。これにより、実施例において、挿入パターン補正工程で求めた補正後の挿入パターンは、計5.5mm分の湯面位置の変化に対する補正が加えられたものとなった。
操業後、棒状シリコン結晶15の溶解量を計測したところ53.2mmとなっていた。引上がったシリコン単結晶3の各切断端面から検査サンプルを切り出し、抵抗率を測定した結果を図5に示す。図5に示したように、直胴部全体で狙い抵抗率どおりの抵抗率分布を得ることができた。
(比較例)
シリコン単結晶の引上げ長に応じて、図4の比較例に示すような、棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入するパターンの通りに、棒状シリコン結晶を原料融液へ挿入したこと以外、実施例と同様な条件で、シリコン単結晶の製造を行った。なお、この比較例のパターンは、実施例での補正前のパターン、すなわち、挿入パターン計算工程で求めたパターンと同様であり、湯面位置の変化による影響を考慮していないものである。
操業後に、棒状シリコン結晶の溶解量を計測したところ、58.7mmだった。
また、比較例において育成されたシリコン単結晶の軸方向の抵抗率分布を測定し、図6に示した。その結果、図6に示したように、比較例において育成されたシリコン単結晶の軸方向の抵抗率は、後半に行くに従って抵抗率が高くなっていることが分かる。そして、終盤部では、抵抗率の規格から外れてしまった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…メインチャンバー、 2…引上げチャンバー、 3…シリコン単結晶、
4…原料融液、 5…石英ルツボ、 6…黒鉛ルツボ、 7…加熱ヒーター、
8…断熱部材、 9…ガス流出口、 10…ガス導入口、 11…トップチャンバー、
12…ガスパージ筒、 13…遮熱部材、 14…棒状シリコン結晶挿入機、
15…棒状シリコン結晶、 16…磁場印加装置、 17…単結晶育成装置。

Claims (3)

  1. ルツボ内の原料融液の湯面位置を変化させながら、チョクラルスキー法によって前記原料融液からシリコン単結晶を引上げて育成する際に、棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入することで、育成される前記シリコン単結晶の軸方向の抵抗率を制御する方法であって、
    前記シリコン単結晶の引上げ長に応じて、前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンを計算する工程と、
    前記シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、前記原料融液の前記湯面位置を変化させるパターンに応じて、前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンに、前記原料融液の前記湯面位置を変化させる分の補正を加える工程と、
    該補正を加えた前記棒状シリコン結晶を前記原料融液へ挿入するパターンを用いて、前記シリコン単結晶の育成中に前記棒状シリコン結晶の挿入を行う工程とを有することを特徴とするシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法。
  2. 前記棒状シリコン結晶として、前記シリコン単結晶の導電型となる主ドーパントと反対極性の導電型の副ドーパントを含むものを用いることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法。
  3. 前記副ドーパントを、前記主ドーパントよりも偏析係数が大きいものとすることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶の軸方向の抵抗率制御方法。
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