JP2016216267A - コンクリートスラッジ微粉末を結合材とする水硬化性硬化体 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水硬化性硬化体において、前記コンクリートスラッジ微粉末は、残コンクリートまたは戻りコンクリートに水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、該スラリーから砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、該脱水ケーキを破砕・乾燥する破砕・乾燥工程とからなる回収工程によって製造されていることを特徴とする水硬化性硬化体として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の水硬化性硬化体において、前記結合材は、前記コンクリートスラッジ微粉末を質量比で40%以上含んでいることを特徴とする水硬化性硬化体として構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の水硬化性硬化体において、前記結合材は、高炉スラグ微粉末またはフライアッシュ、あるいはその両方を含んでいることを特徴とする水硬化性硬化体として構成される。
(1)スラリー化工程
残コンクリートまたは戻りコンクリートに水を加えてスラリー化し、セメント分が加えられた水に十分に溶け込むようにする。このようなスラリーには、アジテータトラックのミキサを洗浄した洗浄排水や、レディミクストコンクリート工場における洗浄排水が含まれていてもよい。
(2)分離工程
分離工程は、スラリー化工程で得られたスラリーから骨材等の固形分を除去する工程である。本実施の形態においては、分離工程は骨材分離工程と、微砂分除去工程とからなる。分離工程は、メッシュの大きさの異なる複数の振動篩によって実施され、スラリー化工程で得られたスラリーを順次処理して砂利、砂等の骨材を分離する。回収された骨材は、再利用に供するために粒径に応じて所定のビンに送られる。骨材が分離されて残った篩下は、セメント分が含まれているスラッジ水になっている。微砂分除去工程は、本実施の形態においては湿式サイクロンによって実施され、スラッジ水から微細な砂、つまり微砂分を除去する工程である。この工程によって微砂分が除去されたスラッジ水は、次の脱水工程で処理されてもよいし、あるいはスラリー化工程において他の残コンクリートや戻りコンクリートをスラリー化する水として再利用されてもよい。後者のようにするとスラッジ水はセメント分が濃縮される。すなわち濃縮スラッジ水になる。スラッジ水、あるいは濃縮スラッジ水は、本実施の形態においては含砂率が10質量%以下になるように、砂利、砂、微砂分が除去され、次の脱水工程に送られる。
(3)脱水工程
スラッジ水あるいは濃縮スラッジ水をフィルタプレスによって処理して脱水し、脱水ケーキを得る。本実施の形態においては脱水ケーキの含水率は、25〜45質量%になるようにする。
(4)破砕・乾燥工程
本実施の形態においては、この工程において所定のドラムを使用する。ドラムは、内部において高速に回転する破砕攪拌翼が設けられていると共に熱風が吹き込まれるようになっている。従って脱水ケーキをドラム内に入れてドラムを閉鎖する。破砕攪拌翼を回転させると共に熱風を吹き込むと破砕攪拌翼によって破砕され、熱風によって乾燥される。つまり破砕と乾燥が実質的に同時に実施される。これによって脱水ケーキは細分化されて表面積が大きくなって速やかに乾燥することができ、セメント分の水和反応が進行しないうちにセメント分を含んだ微粉末、つまりコンクリートスラッジ微粉末を製造することができる。なお、この破砕・乾燥工程はバッチ的に実施してもよいが、連続的に実施してもよい。すなわち特許文献1(特許第4472776号公報)に記載されている回転ドラムのような、一方の端部に脱水ケーキの投入部が、他方の端部にコンクリートスラッジ微粉末の回収部が設けられている、横型の回転ドラムを使用してもよい。回転ドラムは内周面にリフターが設けられている。従って回転ドラムが回転すると内部の脱水ケーキが所定の高さまで持ち上げられて落下するようになっている。このようにして落下する脱水ケーキが、回転ドラム内に設けられて高速で回転するようになっている破砕攪拌翼によって破砕され、そして供給される熱風によって乾燥されるようになっている。この横型の回転ドラムにおいて投入部から連続的に脱水ケーキを投入し、回転ドラム内で脱水ケーキの破砕と乾燥とを同時に実施すると、他方の端部からコンクリートスラッジ微粉末を連続的に回収できる。
水硬化性硬化体の製造:
図2の表において、No.A、B1、C1、…b3、c3として示されているように、色々な種類の結合材と骨材と石膏とを混練して、水硬化性硬化体を得た。具体的には、No.A、aは、それぞれ普通ポルトランドセメントのみを結合材とするモルタルとコンクリートである。またNo.B1、B2、…b1、…b3の水硬化性硬化体は、結合材にコンクリートスラッジ微粉末を含むが、石膏は含まない水硬化性硬化体である。これに対してNo.C1、C2、…c1、…c3の水硬化性硬化体は、結合材にコンクリートスラッジ微粉末と石膏とを含む水硬化性硬化体である。つまり本発明の実施の形態に係る水硬化性硬化体である。
凝結時間の試験:
No.A、B1、C1、…b3、c3のそれぞれの水硬化性硬化体について、JISA1147「コンクリートの凝結時間試験方法」に準拠して始発時間を測定し、図2の表に示されている結果を得た。No.Aはいわゆるモルタルであり、この始発時間4.1時間を基準とし、始発時間が基準の0.9倍より長い場合には合格、短い場合には不合格として、No.B1、C1、…C4のそれぞれの水硬化性硬化体について合否判定した。同様にNo.aのコンクリートの始発時間6.5時間を基準とし、始発時間がその0.9倍より長い場合には合格、短い場合には不合格として、No.b1、c1、…c3のそれぞれの水硬化性硬化体について合否判定した。得られた合否判定が図2の表に示されている。
硬化時の収縮量の試験:
No.A、B1、C1、…b3、c3のそれぞれの水硬化性硬化体について
直径100mm、高さ200mmの円柱状の試験体の型枠に打設し、試験体には埋込みひずみ計を埋設した。それぞれの試験体は材齢7日まで20℃封かん養生を、そして材齢7日から以降は20℃、相対湿度60%の気乾養生を実施した。No.A、B1、C1、…c3のそれぞれの試験体について乾燥材齢182日における自由ひずみを測定し、図2の表のように得た。No.Aの水硬化性硬化体すなわちモルタルの自由ひずみ992μmを基準とし、自由ひずみが基準の1.1倍以下であれば合格、それ以上であれば不合格として、No.B1、C1、…C4のそれぞれの水硬化性硬化体について合否判定した。同様にNo.aの水硬化性硬化体すなわちコンクリートの自由ひずみ49μmを基準とし、自由ひずみが基準の1.1倍以下であれば合格、それ以上であれば不合格として、No.b1、c1、…c3のそれぞれの水硬化性硬化体について合否判定した。得られた合否判定が図2の表に示されている。
グラフについて:
No.A、B1、…b3、c3のそれぞれの水硬化性硬化体について、合否判定が不合格となったものについては「×」印で、合格となったものについては「○」印でそれぞれプロットしたグラフを図3に示す。
結合材としてコンクリートスラッジ微粉末を含むが石膏を含まないNo.B1、B2、b1、b2、b3の水硬化性硬化体については、いずれも普通ポルトランドセメントのみを結合材とするNo.A、aのモルタルやコンクリートに比して、始発時間は早く、自由ひずみが大きいことが分かる。つまり凝結時間が早く、硬化時の収縮量は大きい。これに対して、結合材としてコンクリートスラッジ微粉末と石膏とを含むNo.C1、C2、C3、C4、c1、c2、c3の水硬化性硬化体については、始発時間が比較的遅く、自由ひずみも小さい。つまり石膏を結合材に含有させることによって、凝結時間を遅らせると共に硬化時の収縮量を抑制できることが確認できた。なお、石膏の混合割合がコンクリートスラッジ微粉末に対して2.9%のNo.C1の水硬化性硬化体は、始発時間も自由ひずみも共に不合格になったが、これは合否判定の判断基準によって不合格になっただけであり、No.C1の水硬化性硬化体も、石膏を含まないNo.B1の水硬化性硬化体に比して、始発時間は遅くなり、自由ひずみも小さくなっていることが確認できた。
Claims (4)
- 結合材と、骨材と、必要に応じて添加される混和剤とから練混ぜされて得られる水硬化性硬化体であって、
前記結合材は石膏と、残コンクリート、戻りコンクリート等から回収されたセメント分を含む微粉末であるコンクリートスラッジ微粉末とを含むと共に、普通ポルトランドセメントは含有しない、もしくは前記コンクリートスラッジ微粉末より少量だけ含有し、
前記石膏は前記コンクリートスラッジ微粉末の質量に対して無水物換算で4.0%以上含まれていることを特徴とする水硬化性硬化体。 - 請求項1に記載の水硬化性硬化体において、前記コンクリートスラッジ微粉末は、残コンクリートまたは戻りコンクリートに水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、該スラリーから砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、該脱水ケーキを破砕・乾燥する破砕・乾燥工程とからなる回収工程によって製造されていることを特徴とする水硬化性硬化体。
- 請求項1または2に記載の水硬化性硬化体において、前記結合材は、前記コンクリートスラッジ微粉末を質量比で40%以上含んでいることを特徴とする水硬化性硬化体。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の水硬化性硬化体において、前記結合材は、高炉スラグ微粉末またはフライアッシュ、あるいはその両方を含んでいることを特徴とする水硬化性硬化体。
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