JP2016215532A - 積層装置および積層方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材の凹凸として尖った部分を有するものに対しても、樹脂フィルムを基材の凹凸に完全に追従させることができる積層装置および積層方法を提供する。【解決手段】凹凸を有する基材のその凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを載置した仮積層体3を搬送する搬送手段と、搬送された仮積層体3を収容する密閉空間形成手段と、上記密閉空間形成手段によって形成された密閉空間を負圧にする負圧形成手段と、上記負圧状態の密閉空間において仮積層体3を基材側から加熱し、樹脂フィルムを軟化する加熱手段と、上記負圧状態の密閉空間を常圧または加圧にし、非接触状態で上記軟化した樹脂フィルムを基材の凹凸に沿わせて密着させ上記仮積層体3から本積層体4を形成するようにした。【選択図】図1
Description
本発明は、電子回路基板および半導体装置の製造において、凹凸を有する基材に樹脂フィルムを積層する装置に関するものであり、更に詳しくは基材に追従した樹脂フィルムの膜厚均一性が高く、積層後の小さな気泡(マイクロボイド)の発生を抑制するとともに、基材の凹凸にワイヤが使用されていても樹脂フィルムに破れやワイヤの折れを生じさせない積層装置および積層方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い電子回路基板の高密度化、多層化が進行している。このような電子回路基板の多層化においては、樹脂フィルムを、凹凸を有する基材へ積層した積層体の表面が平滑になることが求められる。このような要求に対応する積層装置として、本出願人は、まず、樹脂フィルムと基材とが一体化した仮積層体を加圧積層手段により形成し、ついで非接触状態でこの仮積層体を加圧積層手段により本積層体に形成する積層装置をすでに提案している(特許文献1参照)。この装置によれば、非接触状態での加圧に先立ち、接触状態でのプレス加圧を行って樹脂フィルムを基材の凸部に仮留めしているため、加熱等により樹脂フィルムが反ったり、歪んだりすることなく、基材の凹凸に沿って厚みが均一な状態で基材と樹脂フィルムとを完全に密着させることができる。
しかしながら、上記の装置は、加熱等による樹脂フィルムの反りや歪みを防止するため、非接触積層に先立ち、樹脂フィルムを基材に接触状態で加圧ラミネーションしている。このため、基材の凹凸として尖った部位を有しないもの、例えば、基材の凹凸がフリップチップ実装により形成されているものには、厳密なレベルで樹脂フィルムの膜厚を均一に保ったまま基材に追従させることができるという優れた効果を奏するが、基材の凹凸として尖った部位を有するもの、例えば、基材の凹凸がワイヤボンディングにより形成されているもの、に対しては、接触状態での加圧ラミネーションの際に、基材の尖った部分にフィルムが押圧されて破れる、また、押圧によりワイヤボンディングに用いられるワイヤが倒れる等の問題が生じるおそれがあり、改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、基材の凹凸として尖った部分を有するもの、例えば、ワイヤボンディングにより半導体素子が実装されている基材に対しても、ワイヤを倒すことなく樹脂フィルムを基材の凹凸に完全に追従させることができ、追従させた樹脂フィルムの膜厚をより厳密なレベルで均一にすることができる積層装置および積層方法の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、凹凸を有する基材のその凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを載置した仮積層体を搬送する搬送手段と、搬送された仮積層体を収容する密閉空間形成手段と、上記密閉空間形成手段によって形成された密閉空間を負圧にする負圧形成手段と、上記負圧状態の密閉空間において仮積層体を基材側から加熱し、樹脂フィルムを軟化する加熱手段と、上記負圧状態の密閉空間を加圧して非接触状態で上記軟化した樹脂フィルムを基材の凹凸に沿わせて密着させ上記仮積層体から本積層体を形成する加圧手段および上記負圧状態の密閉空間の負圧状態を解除して非接触状態で上記軟化した樹脂フィルムを基材の凹凸に沿わせて密着させ上記仮積層体から本積層体を形成する常圧手段の少なくとも一方とを備えている積層装置を第1の要旨とする。
また、凹凸を有する基材のその凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを載置した仮積層体を密閉空間に収容する工程と、上記密閉空間を負圧にした後仮積層体を基材側から加熱して樹脂フィルムを軟化させ、基材の凹凸面との間が負圧の状態で樹脂フィルムを基材の凹凸面に沿わせる工程と、上記樹脂フィルムが基材の凹凸面に沿った後に上記密閉空間の負圧を解除する工程および上記樹脂フィルムが基材の凹凸面に沿った後に上記密閉空間を加圧する工程の少なくとも一方とを備え、非接触状態で仮積層体から本積層体を形成する積層方法を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、ワイヤボンディングにより半導体素子が実装されている基材に対しても樹脂フィルムをその凹凸に完全に追従させること、および追従させた樹脂フィルムの膜厚をより厳密なレベルで均一にすること等を課題として、本出願人が先に提案した装置の改良のため、一連の研究を重ねた。その過程で、前記積層装置において、樹脂フィルムが破れる、ワイヤが倒れる等の問題が生じることがあるのは、先に述べたように、非接触で積層するのに先立ち、まず、可撓性シート等を膨らませて樹脂フィルムにプレスする、いわば接触状態で樹脂フィルムを基材に仮留めするためであることを突き止めた。そこで、このような接触積層手段を行わずに、最初から非接触で樹脂フィルムを基材に積層することができないか、研究に研究を重ねた。その結果、樹脂フィルムとして熱硬化性樹脂を選択し、それをBステージ状態にして単に基材に重ねただけの仮積層体を作製し、この仮積層体を密閉空間内に入れ、この密閉空間を負圧にして仮積層体を基材側から加熱して樹脂フィルムを軟化させ、その状態でこの密閉空間の負圧を解くようにすると、接触ラミネーションを行って仮積層体を形成しなくても樹脂フィルムが反ったり、歪んだりせずに基材の凹凸にその厚みを均一にした状態で追従させた本積層体を形成することができることを見出し、本発明に到達した。
したがって、本発明の積層装置によれば、仮積層体形成の際に、樹脂フィルムを基材に対してプレスせず、単に載置するだけであることから、装置の簡略化を図ることができる。さらに、プレスを必要としないため、樹脂フィルムを、基材の凹凸として尖った部位を有するもの、例えば、ボンディングワイヤを有するものに対しても、樹脂フィルムが破れる、ワイヤが倒れる等の問題を発生させずに積層することができる。そして、非接触で基材の凹凸に樹脂フィルムを積層するため、積層後の樹脂フィルムの膜厚をプレスの押圧力差により生じる不均一な膜厚ではなく、より厳密なレベルで均一とすることができ、光学的に色むらの少ない優れた光半導体装置を製造することができる。
また、負圧状態の密閉空間において仮積層体を基材側から加熱し、樹脂フィルムを軟化する加熱手段が、上記搬送手段上の仮積層体に対し、搬送手段を介して熱源を基材に当接するものであると、熱源を基材に当接させて樹脂フィルムに均一的に熱を伝えることができるため、不均一な熱が与えられることによって樹脂フィルムが波打ったり、反り返ったりする等をより防止することができる。
さらに、本発明の積層方法によれば、複雑な装置を用いずに、迅速に、ワイヤボンディングにより半導体素子が実装されている基材に対しても、樹脂フィルムを破損させたり、ワイヤを倒すことなく、樹脂フィルムを基材の凹凸に完全に追従させることができ、また、追従させた樹脂フィルムの膜厚をより厳密なレベルで均一にすることができる。
なお、本発明において、「仮積層体」とは、凹凸を有する基材の凹凸面に、Bステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムが載置されただけで、密着追従していない状態の積層体をいう。そして、樹脂フィルムがBステージ状態であるとは、熱硬化性樹脂において、硬化反応の中間の段階にあるものをいう。
また、本発明において、「『非接触状態』で樹脂フィルムを加圧する」とは、「樹脂フィルムに『可撓性シート等の有体物が接触しない状態』で加圧する」ことをいう。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の積層装置の一実施の形態を示している。この積層装置Aは、表裏両面の少なくとも一方に凹凸を有する基材1の凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム2を載置してなる仮積層体3〔図2(a)参照〕を、搬送フィルム16に載せて図示の左側から右側へ矢印のように間欠的に搬送する搬送手段〔A−2〕と、その搬送の過程で、密閉空間の形成部5’を有し、形成された密閉空間5内において、樹脂フィルム2に接触しない非接触状態で、その樹脂フィルム2を基材の凹凸に追従させた本積層体4〔図2(b)〕を形成する本体部〔A−1〕を備えている。なお、上記本体部〔A−1〕では、搬送フィルム16は一時停止する。また、図1、図2(a)、図2(b)において、各部分は模式的に示されている(以下の図においても同じ)。
より詳しく述べると、上記本体部〔A−1〕は、図3にその部分拡大図で概略を示すように、上側真空枠8、接続口9および接続口10を有する上部プレート部11と、昇降自在の下側ヒーター板12、可動枠13を備えた下側真空枠14を有する下部プレート部15(密閉空間形成手段)と、を有しており、上記接続口9、10には真空吸引装置(負圧形成手段)および空気加圧装置(加圧手段)(いずれも図示せず)が切換え可能に接続されている。上記プレート部11は、金属プレート下面を凹状に切削したものである。下部プレート部15も上部プレート部11と同様、金属プレートからなり、上面の凹所内に四角状の下側ヒーター板12(熱源,加熱手段)を図示しない断熱板を介して昇降自在に備えている。下部プレート部15は、油圧シリンダー19により、昇降自在になっていて、図1の状態から上昇し、上部プレート部11と、上側真空枠8、可動枠13および下側真空枠14を介して密着するようになっている(図4参照)。このようにして、上部プレート部11と下部プレート部15とで区切られた密閉空間5が形成される。仮積層体3は、この密閉空間5内で本積層体4となる。
上記搬送部〔A−2〕は、図1にその概略を示すように、搬送フィルム16が巻回された巻き出しユニット17と、搬送フィルム16を巻き取るための巻き取りユニット18とを有しており、巻き出しユニット17と巻き取りユニット18との間に掛け渡された搬送フィルム16が、上記本体部〔A−1〕の上部プレート部11と下部プレート部15との間を通るように配置されている(搬送手段)。そして、巻き出しユニット17から送り出され巻き取りユニット18で巻き取られる搬送フィルム16は、ニップロール20、上記巻き出しユニット17および巻き取りユニット18により一定の張力を有するように制御されている。そして、搬送フィルム16上に載置された仮積層体3は、紙面の左から右に向かって搬送されるため、本体部〔A−1〕内に搬入されて本積層体4が形成され、本体部〔A−1〕から搬出されるという一連の工程を連続的に行うことができる。
なお、積層装置Aには、上記搬送手段、密閉空間形成手段、負圧形成手段、加熱手段、加圧手段のそれぞれを制御する制御手段が設けられており、これらの制御は、操作パネル23を操作することによって行うことができる。
つぎに、動作について説明する。まず、凹凸を有する基材として、図2(a)に示すように絶縁性を有する基材と導体パターンからなる基材1に、発光素子21がワイヤボンディングにより所定間隔に凸部として設けられ、その凸部と凸部との間が凹部となっているものを用いる。そして、この凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム2が載置された仮積層体3を、樹脂フィルム2を基材1の凹凸に追従、密着させた本積層体4〔図2(b)参照〕にする場合を例にして詳述する。すなわち、上記基材1は、その凸部にワイヤボンディングに用いられるワイヤ22を有している。
上記仮積層体3に用いられるBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム2は、熱硬化性樹脂において、硬化反応の中間の段階にあるものであり、Bステージ品として市販されているものの他、Aステージ状態(未硬化)の樹脂に熱を与えてBステージ状態にしたものも用いることができる。Bステージ状態の樹脂フィルムであるか否かを判断する一つの指標として、それ自身自己保形性を有し、それを保護する保護フィルム、それを支持する支持体フィルムを容易に剥離することができるかをあげることができる。保護フィルム、支持体フィルムを容易に剥離できない、あるいはこれらを剥離した状態で所定形状を保つことができない場合は、適正なBステージ状態でないといえる。
本発明においては、仮積層体3に用いる樹脂フィルム2がBステージ状態であることが重要な要件の一つであり、Aステージ状態の樹脂フィルムを用いて仮積層体を形成したものを用いても、所期の効果を奏することはできない。すなわち、Aステージ状態の樹脂フィルムでは、仮積層体を加熱すると急速に硬化反応が進み、フィルムが反ったり、歪んだりするため、均一な厚みで基材の凹凸に沿わせることができない。また、つぎに記載するように、樹脂フィルム2を支持体フィルムや保護フィルム等から剥離し単独で基材1に載置する必要性からも、樹脂フィルム2が適正なBステージ状態であることが重要である。
さらに、本発明においては、樹脂フィルム2を、裸の状態で基材1に載置して仮積層体3を形成することが重要な要件の一つである。すなわち、保護フィルムや支持体フィルムを有した状態のままでは柔軟性が不足し、非接触状態で基材1の凹凸の細部にまで沿わした状態で積層することが困難となるためである。
したがって、保護フィルム、支持体フィルム等の保護材をすべて剥離した上記Bステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム2のみを基材1上の所定位置に載置して、仮積層体3を形成する〔図2(a)参照〕。そして、この仮積層体3を図1に示す搬送フィルム16に載せて、図の白抜き矢印の方向に搬送し、上部プレート部11と下部プレート部15との間の、密閉空間の形成部5’に搬入する(図3参照)。そして、その状態で搬送フィルム16を間欠停止する。このとき、上記仮積層体3の樹脂フィルム2は、基材1上に置かれただけの状態であるが、Bステージ状態の硬化完了前のものであるため、自身の形状は保ちつつ、自身の有する粘性により、基材1の凸部(発光素子21)に軽く付着した状態になっている〔図2(a)参照〕。
つぎに、図1の状態から油圧シリンダー19を上昇作動させて、図4に示すように、上部プレート部11と下部プレート部15とを、上側真空枠8、可動枠13、下側真空枠14を介して当接させ、密閉空間5を形成する。このとき、仮積層体3は、搬送フィルム16上にあり、上部プレート部11にも下部プレート部15にも接触していない。この状態で、接続口9、10に、切り替え可能に接続された真空吸引装置により、密閉空間5内の空気を吸引し、密閉空間5を負圧にする。
密閉空間5を負圧にした後、下部プレート部15の下側ヒーター板12を上昇させ、図5に示すように、搬送フィルム16を介して仮積層体3に基材1側から下側ヒーター板12を当接する。これにより、下側ヒーター板12からの熱が、搬送フィルム16および基材1を介してBステージ状態の樹脂フィルム2に伝えられ、ゆるやかに、かつ均一な状態で樹脂フィルム2を加熱することができる。したがって、仮積層体3の樹脂フィルム2がゆっくりと軟化し、反り返える、歪みが生じる等することなく、ゆるやかに基材1の凹凸に沿うようになる。
つぎに、下側ヒーター板12による加熱を継続した状態のまま、接続口9、10に切り替え可能に接続された空気加圧装置を作動させ、密閉空間5内に圧縮空気を送る。そうすると、基材1の凹凸にゆるやかに沿っていた樹脂フィルム2が、基材1の凹凸に関わらず均一的に、空気に強く押されることになり、図6に示すように、基材1の凹凸に完全に沿った状態で密着する。そして、上記継続される加熱により樹脂フィルム2の硬化反応を完了させることにより、基材1の凹凸(基材1および発光素子21とからなる凹凸)に完全に沿った状態で樹脂フィルムが固着した、本積層体4を形成することができる。
本積層体4が形成されると、下側ヒーター板12による加熱および密閉空間5への加圧を停止し、下部プレート部15を下側ヒーター板12ごと下降させ、上側真空枠8と下側真空枠14の係合を解き、密閉を解除する(図7参照)。そして、図1に示すように、本積層体4が載置される搬送部〔A−2〕の搬送フィルム16を、間欠停止状態から巻き取りユニット18で巻き取り動作させることにより、上記本積層体4を本体部A−1から搬出することができる。
このように、この実施の形態の積層装置Aによれば、先願装置の仮積層体作製時のプレス工程を省きながらも、樹脂フィルム2に完全に非接触で基材1の凹凸に沿わせることができるため、基材1にワイヤボンディングにより発光素子21が搭載されていても、樹脂フィルム2が破れる、ワイヤが倒れる等の問題が生じることなく、樹脂フィルムを基材の凹凸に高度に追従させることができる。また、凹凸を有する基材1に追従させた樹脂フィルム2膜厚をより厳密なレベルで均一の厚みとすることができるため、この積層装置Aは、通常のプリント基板の封止はもとより、それ以外の用途にも有用であり、特に、ワイヤボンディングされたLED基板やPDP基板の封止に有用である。さらに、先願装置のような、基材1と樹脂フィルム2との間に負圧の密閉空間を有する、特殊な仮積層体を作製せずに済むため、多種多様の基材および樹脂フィルムに対応できるとともに、本積層体形成の迅速化を図ることができる。そして、プレス工程が不要となることから、装置の簡素化および省スペース化も実現することができる。
上記の実施の形態においては、搬送部〔A−2〕として、搬送フィルム16、巻回された巻き出しユニット17および搬送フィルム16を巻き取るための巻き取りユニット18を用いて仮積層体3または本積層体4の搬送を行っているが、他の手段を用いて行うようにしてもよい。このような手段としては、例えば、図1の本体部〔A−1〕の下部プレート部15を左右にスライド自在にしておき、図1の状態から下部プレート部15を左方にスライドさせ、スカラロボット(図示せず)を用いて、仮積層体3を下部プレート部15に直接セットし、スライドさせて所定位置に戻すことがあげられる。また、本積層体4を取り出す際にも同様に、下部プレート部15を図1の右方にスライドさせ、同一又は別のスカラロボット(図示せず)を用いて直接取り出すようにしてもよい。これにより、搬送部〔A−2〕を設置するスペースが不要になるため、省スペース化が図られる。また、搬送フィルム16やこれを廃棄する費用が不要となるため、コスト削減も実現できる。
そして、上記の実施の形態では、接続口9,10を上部プレート部11にのみ設けているが、上下のプレート部各々に接続口を設けるようにしてもよい。また、接続口を多数設けるようにしてもよく、真空吸引装置、空気加圧装置を切換え可能に接続せずに、それぞれ別の接続口に設けるようにしてもよい。
本発明に用いる凹凸を有する基材1としては、樹脂またはセラミック等の絶縁性の基板の上に、発光素子(LED)を所定間隔で設けたLED基板等、基材の凹凸が比較的大きいものに特に好適に用いられる。その他、銅等のパターンを施したプリント基板や、ビルドアップ工法で用いられる多積層基板等の基材の凹凸が比較的小さいものにも用いることができる。したがって、本発明の積層装置は、ウエハーレベルでの半導体装置の封止、有機基板上に搭載された半導体チップ表面の保護、LEDデバイスの封止、太陽電池の封止、半導体およびLED、光デバイス、太陽電池に用いられる基板のレジスト層の形成などに有効的に用いることができる。
また、樹脂フィルム2としては、粘着性や絶縁性、接着性、ホットメルト性に優れる性質を有する樹脂組成物が適しており、例えば、熱硬化性樹脂に、安定剤、硬化剤、色素、滑剤等を配合した樹脂フィルム(樹脂組成物)が適している。具体的には、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂など、また、それらに各種無機質充填材を添加した組成物などをあげることができる。上記無機質充填材としては、シリカ、微粉末シリカ、アルミナ、YAGなどの蛍光体、酸化チタンの他、熱伝導性フィラー、電気伝導性にすぐれた充填剤、カーボンブラックなどの着色剤等があげられる。
そして、負圧形成手段によって形成される密閉空間5の負圧の程度は、100〜0Paであることが好ましく、より好ましくは70〜0Paである。そして、密閉空間5の負圧の状態は、0.5〜10分間維持することが好ましく、1〜5分間維持することがより好ましい。
また、負圧の密閉空間5において仮積層体3を基材1側から加熱する加熱手段として用いる際の下側ヒーター板12の温度は、100〜180℃であることが好ましく、120〜150℃であることがさらに好ましい。温度が高すぎると、基材1の凹凸への樹脂フィルム2が追従不足になる、樹脂フィルム2の破損(破れ)が生じる等の傾向がみられ、逆に、温度が低すぎても、基材1の凹凸への樹脂フィルム2の追従が不足する傾向がみられるためである。
なお、上記の実施の形態では、接続口9、10に空気加圧装置を接続し、負圧の密閉空間5に対して加圧しているが、基材1の凹凸の程度や樹脂フィルム2の素材等によっては、接続口9,10に大気導入管(常圧手段)等を接続し、密閉空間5を加圧ではなく、常圧にし、樹脂フィルム2に接触しない非接触状態で仮積層体3から本積層体4を形成するようにしてもよい。
本発明の積層装置を用いた実施例を比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示す積層装置Aによって、下記に示す基板Iと樹脂フィルムαとの積層を行った。すなわち、樹脂フィルムαを支持体フィルムから剥離して、基板Iと重ね合わせ、樹脂フィルムαと基板Iとからなる仮積層体3を形成した。この仮積層体3を、搬送部〔A−2〕の搬送フィルム16上に載置し、本体部〔A−1〕に搬送した。本体部〔A−1〕では、密閉空間形成手段により形成された密閉空間5内に仮積層体3が収容され、ついで、仮積層体3が収容された密閉空間5を接続口9、10に、切換え自在に接続された負圧形成手段(真空吸引装置)により50Paの負圧にし、140℃に熱せられた下側ヒーター板12(熱源)を、搬送フィルム16を介して仮積層体3に基材1側から当接し、その状態を3分間維持した。そして、接続口9、10に、切換え自在に接続された大気導入管(常圧手段)を用いて、密閉空間5内に大気圧の空気を導入し、その状態を30秒間維持して、目的とする本積層体4を得た。
<基板I>
所定の導電パターン(高さ50μm)を有する正負の電極を配設した(セラミック)基板に半導体発光素子(窒化ガリウム)をワイヤボンディングにより実装した基板。
この基板は、正方形の形状をしており、一辺が70mmで基板の厚みが600μmであり、基板の表面から導電パターン上にマウントされた半導体発光素子の頂部までの厚みが200μmとなっている。上記半導体発光素子は、この基板に1cm間隔で縦横5列、合計25個実装されている。
<樹脂フィルムα>
Bステージ状態の市販品(樹脂厚み100μm)。
図1に示す積層装置Aによって、下記に示す基板Iと樹脂フィルムαとの積層を行った。すなわち、樹脂フィルムαを支持体フィルムから剥離して、基板Iと重ね合わせ、樹脂フィルムαと基板Iとからなる仮積層体3を形成した。この仮積層体3を、搬送部〔A−2〕の搬送フィルム16上に載置し、本体部〔A−1〕に搬送した。本体部〔A−1〕では、密閉空間形成手段により形成された密閉空間5内に仮積層体3が収容され、ついで、仮積層体3が収容された密閉空間5を接続口9、10に、切換え自在に接続された負圧形成手段(真空吸引装置)により50Paの負圧にし、140℃に熱せられた下側ヒーター板12(熱源)を、搬送フィルム16を介して仮積層体3に基材1側から当接し、その状態を3分間維持した。そして、接続口9、10に、切換え自在に接続された大気導入管(常圧手段)を用いて、密閉空間5内に大気圧の空気を導入し、その状態を30秒間維持して、目的とする本積層体4を得た。
<基板I>
所定の導電パターン(高さ50μm)を有する正負の電極を配設した(セラミック)基板に半導体発光素子(窒化ガリウム)をワイヤボンディングにより実装した基板。
この基板は、正方形の形状をしており、一辺が70mmで基板の厚みが600μmであり、基板の表面から導電パターン上にマウントされた半導体発光素子の頂部までの厚みが200μmとなっている。上記半導体発光素子は、この基板に1cm間隔で縦横5列、合計25個実装されている。
<樹脂フィルムα>
Bステージ状態の市販品(樹脂厚み100μm)。
〔実施例2〜10〕
下側ヒーター板12の温度(℃)、真空吸引装置の作動時間(分)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体4を得た。
下側ヒーター板12の温度(℃)、真空吸引装置の作動時間(分)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体4を得た。
〔実施例11〕
大気導入管に代えて空気加圧装置を用い、密閉空間5内に0.3MPaの圧縮空気を導入して、その状態を30秒間維持した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体4を得た。
大気導入管に代えて空気加圧装置を用い、密閉空間5内に0.3MPaの圧縮空気を導入して、その状態を30秒間維持した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体4を得た。
〔比較例1〕
樹脂フィルム2を、Aステージ状態の樹脂フィルムβ(樹脂厚み50μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体を得た。なお、樹脂フィルムβは、Aステージ状態であるため粘性が高く、支持体フィルムおよび保護フィルムを剥離することが非常に困難であった。
樹脂フィルム2を、Aステージ状態の樹脂フィルムβ(樹脂厚み50μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体を得た。なお、樹脂フィルムβは、Aステージ状態であるため粘性が高く、支持体フィルムおよび保護フィルムを剥離することが非常に困難であった。
〔比較例2〕
支持体フィルムを剥離しなかった以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体を得た。なお、支持体フィルムは本積層体形成後に剥離した。
支持体フィルムを剥離しなかった以外は、実施例1と同様にして、目的とする本積層体を得た。なお、支持体フィルムは本積層体形成後に剥離した。
〔比較例3〕
比較例1で用いたAステージ状態の樹脂フィルムβを支持体フィルムごと基材Iに接触ラミネーションし(予め140℃に加熱したラミネーション装置を用いて、5秒間の圧締)、これらが一体化した仮積層体を形成した。ついで、この仮積層体を140℃に調節した減圧加圧槽内に収容し、この減圧加圧槽内を減圧(50Pa)した状態で2分間保持して、上記仮積層体の基板Iと樹脂フィルムβとの間に減圧雰囲気の密封空間(S)を有する仮積層体を形成した。仮積層体を形成した後、減圧加圧槽の開口部から大気を減圧加圧槽内に導入し、更に0.3Mpaの圧縮空気を減圧加圧槽内に導入し、減圧加圧槽の密閉空間と仮積層体の密封空間(S)との気圧の差を利用して、基板Iと樹脂フィルムβとの密着状態での積層を完了し、目的とする本積層体を得た。すなわち、比較例2の本積層体は、先願の積層装置で形成したものと同等である。なお、支持体フィルムは仮積層体形成後に剥離した。
比較例1で用いたAステージ状態の樹脂フィルムβを支持体フィルムごと基材Iに接触ラミネーションし(予め140℃に加熱したラミネーション装置を用いて、5秒間の圧締)、これらが一体化した仮積層体を形成した。ついで、この仮積層体を140℃に調節した減圧加圧槽内に収容し、この減圧加圧槽内を減圧(50Pa)した状態で2分間保持して、上記仮積層体の基板Iと樹脂フィルムβとの間に減圧雰囲気の密封空間(S)を有する仮積層体を形成した。仮積層体を形成した後、減圧加圧槽の開口部から大気を減圧加圧槽内に導入し、更に0.3Mpaの圧縮空気を減圧加圧槽内に導入し、減圧加圧槽の密閉空間と仮積層体の密封空間(S)との気圧の差を利用して、基板Iと樹脂フィルムβとの密着状態での積層を完了し、目的とする本積層体を得た。すなわち、比較例2の本積層体は、先願の積層装置で形成したものと同等である。なお、支持体フィルムは仮積層体形成後に剥離した。
上記実施例1〜11および比較例1〜3で得られた本積層体のそれぞれについて、追従性、ワイヤ倒れの評価を以下の要領で行った。行った評価の結果を後記の表1および2に示す。
〔追従性〕
凹凸を有する基板に対する樹脂フィルムの追従性を100倍顕微鏡で目視確認して以下のように評価した。
○…凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全に充填されている。
△…ほぼ凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全に充填されているが、凹凸を有する基板の凹部(凹面)の一部に気泡がわずかに見られる。
×…凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全には充填されておらず、凹凸を有する基板の凹部(凹面)に気泡が残る。
凹凸を有する基板に対する樹脂フィルムの追従性を100倍顕微鏡で目視確認して以下のように評価した。
○…凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全に充填されている。
△…ほぼ凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全に充填されているが、凹凸を有する基板の凹部(凹面)の一部に気泡がわずかに見られる。
×…凹凸を有する基板の凹部に樹脂フィルムが完全には充填されておらず、凹凸を有する基板の凹部(凹面)に気泡が残る。
〔ワイヤ倒れ〕
本積層体を目視で観察して、以下のように評価した。
〇…基板上の発光素子を実装しているワイヤの倒れが全くない。
×…基板上の発光素子を実装しているワイヤの過半が倒れている。
本積層体を目視で観察して、以下のように評価した。
〇…基板上の発光素子を実装しているワイヤの倒れが全くない。
×…基板上の発光素子を実装しているワイヤの過半が倒れている。
本発明の積層装置は、電子回路基板および半導体装置の製造において、凹凸を有する基材、特にワイヤボンディングにより半導体素子が実装された基材に樹脂フィルムを積層する装置として利用できる。
3 仮積層体
4 本積層体
4 本積層体
Claims (3)
- 凹凸を有する基材のその凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを載置した仮積層体を搬送する搬送手段と、搬送された仮積層体を収容する密閉空間形成手段と、上記密閉空間形成手段によって形成された密閉空間を負圧にする負圧形成手段と、上記負圧状態の密閉空間において仮積層体を基材側から加熱し、樹脂フィルムを軟化する加熱手段と、上記負圧状態の密閉空間を加圧して非接触状態で上記軟化した樹脂フィルムを基材の凹凸に沿わせて密着させ上記仮積層体から本積層体を形成する加圧手段および上記負圧状態の密閉空間の負圧状態を解除して非接触状態で上記軟化した樹脂フィルムを基材の凹凸に沿わせて密着させ上記仮積層体から本積層体を形成する常圧手段の少なくとも一方とを備えていることを特徴とする積層装置。
- 負圧状態の密閉空間において仮積層体を基材側から加熱し、樹脂フィルムを軟化する加熱手段が、上記搬送手段上の仮積層体に対し、搬送手段を介して熱源を基材に当接するものである請求項1記載の積層装置。
- 凹凸を有する基材のその凹凸面にBステージ状態の熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを載置した仮積層体を密閉空間に収容する工程と、上記密閉空間を負圧にした後仮積層体を基材側から加熱して樹脂フィルムを軟化させ、基材の凹凸面との間が負圧の状態で樹脂フィルムを基材の凹凸面に沿わせる工程と、上記樹脂フィルムが基材の凹凸面に沿った後に上記密閉空間の負圧を解除する工程および上記樹脂フィルムが基材の凹凸面に沿った後に上記密閉空間を加圧する工程の少なくとも一方とを備え、非接触状態で仮積層体から本積層体を形成することを特徴とする積層方法。
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