JP2016215095A - 調湿シート - Google Patents

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Abstract

【課題】含浸や塗工とは異なる方法で防カビ剤及び調湿性能を有する成分を付与した調湿シートとその製造方法の提供。
【解決手段】防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を備え、調湿層が乾式法で設けられ、調湿層が繊維を含み、繊維によって形成される空隙に防カビ剤及びシリカゲルが保持され、更に調湿層が熱融着性樹脂Aを含み、防カビ剤とシリカゲルを含む混合物中で、熱融着性樹脂Aが溶融することにより構成される調湿シート。また、調湿層に隣接する層に熱融着性樹脂Bを配置し、更に接着層が設けられている調湿シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、調湿シートに関する。本発明の調湿シートは、冷蔵庫の庫内や内壁、冷凍庫の庫内や内壁、各建築物の天井、床、内壁等、電気電子部品が装着される筐体の内壁等で使用されることができる。
調湿シートは、周囲の環境下の湿度が高い場合においては水分(湿気)を吸収するとともに、周囲の環境下の湿度が低い場合においては、既に吸収した前記水分(湿気)を放出することが可能なシートである。例えば、調湿シートを各建築物の内壁に使用すると、前記建築物の空間の湿度が高い場合では結露を生じることを防ぐことができるとともに、前記建築物の空間の湿度が低い場合では周囲が乾燥状態下になることを防ぐことができる。また、調湿シートを野菜が保管された冷蔵庫内で使用すると、前記庫内の空間の湿度が高い場合では結露や水溜まりによる野菜の鮮度劣化を防ぐことができるとともに、前記庫内の空間の湿度が低い場合では乾燥による野菜の鮮度劣化を防ぐことができる。つまり、調湿シートは、設置された空間内において、適切な湿度に維持することが可能である。
例えば特許文献1は、調湿材を収納する食品保存庫を開示している。前記調湿材は、前記調湿材が所定孔径の通気孔を有する多孔質膜で覆われていて、前記調湿材または多孔質膜の少なくともいずれかに防カビ剤(防黴剤、防かび剤)が含浸されていることが記載されている。
特許第2999642号
水分(湿気)が適度に存在する空間ではカビが発生する場合がある。このような場合、特許文献1のように調湿材に防カビ剤を付与することは、前記空間でカビの発生を防げるという意味で有益である。
しかしながら、特許文献1では、調湿材を防カビ剤に含浸させることで防カビ剤を付与している。かかる方法では、防カビ剤の機能が劣化(失活)した形で付与されることとなり、防カビ性に劣る場合があることを発明者は見いだした。
また、特開2001−37863号公報(特許文献2)には、シリカゲル等を担体とする抗菌剤を含む抗菌防黴性脱臭シートが記載されているが、かかるシートもまた基材を前記抗菌剤に含浸したり塗工することで付与している。かかる方法では、シリカゲルの機能が劣化した形で付与されることとなることを発明者は見出した。
本発明の目的は、防カビ性および調湿性に優れた調湿シートを提供することにある。より具体的には、含浸や塗工とは異なる方法で防カビ剤及び調湿性能を有する成分を付与した調湿シート、及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の態様を有する。
1. 防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を備え、且つ、前記調湿層が乾式法で設けられたことを特徴とする、調湿シート。
2. 前記調湿層が、繊維を含み、
前記繊維によって形成される空隙に前記防カビ剤及び前記シリカゲルが保持されている、上記項1に記載の調湿シート。
3. 前記調湿層が、熱融着性樹脂Aを含み、
前記調湿層は、前記防カビ剤と前記シリカゲルと前記熱融着性樹脂Aとを含む混合物中の前記熱融着性樹脂Aを溶融することにより得られたものである、上記項1または2に記載の調湿シート。
4. 前記調湿層に隣接する層が、熱融着性樹脂Bを含み、
前記調湿層に隣接する層は、前記調湿層の表面に前記熱融着性樹脂Bを配置して熱により前記熱融着性樹脂Bを溶融することにより得られたものである、上記項1〜3のいずれかに記載の調湿シート。
5. ヒートシール加工されている、上記項1〜4のいずれかに記載の調湿シート。
6. 前記調湿層に隣接して接着層が設けられている、上記項1〜5のいずれかにに記載の調湿シート。
7. エンボス加工されている、上記項1〜6のいずれかに記載の調湿シート。
本発明の調湿シートは、防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を備え、前記調湿層が乾式法で設けられたシートである。
本発明では、前記調湿層が乾式法で設けられていることにより、防カビ剤及びシリカゲルを水等の液体を介さずにシートに包含させることができる。そのため、本発明のシートは、防カビ剤及びシリカゲルが前記液体を介した時に生じる機能の劣化を生じさせることなく防カビ剤及びシリカゲルが付与されている。その結果、当該シートは、防カビ性及び調湿性に優れており、シート製造後にある程度の時間が経過していても良好な防カビ性及び調湿性を示すことができる。
また、本発明では、前記調湿層が乾式法で設けられていることにより、防カビ剤及びシリカゲルはシート中でシートに加えた時のままの形態を維持することができる。防カビ剤及びシリカゲルを、溶媒(液体)中に溶解又は分散させずにシートに含有させることができるため、シート中の防カビ剤及びシリカゲルの配合量を増やすことが可能である。また、シートの面内方向および厚み方向の任意の部位に容易に防カビ剤及びシリカゲルを局在させることができる。
本発明の調湿シートの構成例を示す図である。 本発明の調湿シートの製造方法において使用可能なウェブ形成装置を示す模式図である。
(調湿シート)
本発明の調湿シートは、防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を備え、且つ、前記調湿層が乾式法で設けられたことを特徴とするシートである。ここで、以下、「防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層」を単に「調湿層」と称する場合がある。つまり、以下に記載された調湿層は、少なくとも防カビ剤及びシリカゲルを含有することを意味する。
図1を参照して、本発明の範囲に含まれる調湿シートの構成について説明する。図1は、本発明の調湿シートの構成を限定目的ではなく例示目的で示す図である。図中において、同一の符号は同一の構成要素を示す。同一の構成要素に関しては、重複する説明を割愛する場合がある。
図1(a)〜(c)は、本発明に係る、防カビ剤M及びシリカゲルSを含有する調湿層100を備える調湿シートを示す。図1(a)は、調湿層100のみからなる調湿シートである。図1(b)および(c)は、調湿層100の片面または両面に他の層300が積層された調湿シートである。
本発明の調湿シートは、このように、単層構造を有していてもよく、2層、3層、または図示しない4層以上の多層構造を有していてもよい。前記調湿シートは、調湿層100を2層以上含んでいてもよい。他の層300は、例えば、調湿シートの表面を改質する目的や、調湿シートに強度(剛性)を付与する目的など、調湿シートに何らかの機能性を付与する目的等で配設することができる。他の層300には、例えば、布、不織布、紙、フィルム等のシートを用いることができる。他の層300には、熱融着性樹脂が含まれていてもよい。調湿シートが複数の層300を備える場合、これらの層300は、同一材料であっても異なる材料であってもよい。
調湿層100には、防カビ剤及びシリカゲルのみが含まれていることができる。このとき、防カビ剤は、一種類に限定されず、複数種類の防カビ剤が含まれていることができる。シリカゲルもまた、一種類に限定されず、複数種類のシリカゲルが含まれていることができる。例えば、平均粒子径の異なるシリカゲルを複数種類使用することができる。防カビ剤及びシリカゲルの詳細(例えば、防カビ剤の種類など)については、後述する。
また、調湿層100には、防カビ剤及びシリカゲルに加えて、繊維、熱融着性樹脂、および効果促進剤などが含まれていてもよい。
調湿シートから防カビ剤やシリカゲルが脱落(例:粉落ち)しないための構成の例として、以下の調湿態様から第6の態様に示すような具体的態様を説明する。
(第1の態様)
図1(d)は、調湿層100が繊維Fを含む例である。繊維F、防カビ剤M及びシリカゲルSを含む調湿層110において、防カビ剤M及びシリカゲルSは、繊維Fによって形成される空隙、すなわち繊維Fが構成する繊維構造物中の空隙に保持されることによって、脱落が防止されている。
繊維を含む前記調湿層110には、防カビ剤M及びシリカゲルS、並びに繊維Fのみが含まれていることができる。また、繊維を含む前記調湿層110には、防カビ剤M及びシリカゲルS並びに繊維Fに加えて、熱融着性樹脂、および効果促進剤などが含まれていてもよい。また、繊維F自体が、熱融着性樹脂であってもよい。
本態様において、調湿シートは、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、繊維Fを含む前記調湿層110の片面または両面に他の層300が積層された多層構造(不図示)を有していてもよい。
(第2の態様)
図1(e)は、調湿層100が熱融着性樹脂Aを含む例である。熱融着性樹脂A、防カビ剤M及びシリカゲルSを含む調湿層120は、防カビ剤MとシリカゲルSと熱融着性樹脂Aとを含む混合物中の熱融着性樹脂Aを溶融することにより得られたものである。
熱融着性樹脂Aを含む前記調湿層120において、防カビ剤M及びシリカゲルSは、溶融した熱融着性樹脂Aが固化する際に、一部が被覆された状態で固着されることによって、脱落が防止されている。また、熱融着性樹脂Aは、防カビ剤M及びシリカゲルSの全体を被覆しないような量で配合されており、防カビ剤M及びシリカゲルSは、それぞれ、熱融着性樹脂Aによって被覆されていない部分を有し、それぞれの性能(即ち、防カビ性能及び調湿性能)が保証されている。
熱融着性樹脂Aを含む前記調湿層120には、防カビ剤M及びシリカゲルS並びに熱融着性樹脂Aのみが含まれていることができる。また、熱融着性樹脂Aを含む前記調湿層120には、防カビ剤M及びシリカゲルS並びに熱融着性樹脂Aに加えて、繊維、および効果促進剤などが含有されていてもよい。また、熱融着性樹脂A自体が、繊維状であってもよい。
本態様において、調湿シートは、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、熱融着性樹脂Aを含む前記調湿層120の片面または両面に他の層300が積層された多層構造(不図示)を有していてもよい。
(第3の態様)
図1(f)は、調湿層100に隣接する層が熱融着性樹脂Bを含む例である。
調湿層に隣接する、熱融着性樹脂Bを含む層200は、調湿層100の表面に熱融着性樹脂Bを配置して熱により熱融着性樹脂Bを溶融することにより得られたものである
調湿層100に含まれる、防カビ剤M及びシリカゲルSは、これに隣接する熱融着性樹脂Bを含む層200において溶融した熱融着性樹脂Bが固化する際に、一部が被覆されて固着されることによって、脱落が防止されている。また、防カビ剤M及びシリカゲルSは、それぞれ、熱融着性樹脂Bによって被覆されていない部分を有し、それぞれの性能(防カビ性能及び調湿性能)が保証されている。
熱融着性樹脂Bを含む層200には、熱融着性樹脂Bのみが含まれていることができる。また、熱融着性樹脂Bを含む層200には、熱融着性樹脂Bに加えて、繊維、および効果促進剤などが含まれていてもよい。これら他の成分が含まれる場合は、熱融着性樹脂Bを含む層200は、調湿層100の表面に熱融着性樹脂Bとこれら他の成分との混合物を配置して熱により熱融着性樹脂Bを溶融することにより得ることができる。
図1(f)に示す例の調湿シートは、詳細には、熱融着性樹脂Bを含む層200と、防カビ剤MとシリカゲルSからなる調湿層100と、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120と、からなる3層構造を有する。この例の場合、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120もまた、中間層として位置付けられた調湿層100に含まれる防カビ剤M及びシリカゲルSの脱落防止に寄与し得る。また、ここでは調湿層100と熱融着性樹脂Aを含む調湿層120とを別々の層として図示および説明したが、この2つの層が一体的に構成されていて1層の熱融着性樹脂Aを含む調湿層120を成している構成も、本態様に含まれる。本態様によれば、特に、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120において、防カビ剤M及びシリカゲルSが表面側に偏在している場合に、脱落を有効に防止することができる。
本態様において、熱融着性樹脂Bを含む層200は、前記調湿層の両面に設けられていてもよい。
本態様において、調湿シートは、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、調湿層および熱融着性樹脂Bを含む層200の積層体の外面のうちの片面または両面に他の層300が積層された多層構造(不図示)を有していてもよい。
(第4の態様)
上述の本発明に係る調湿シートは、ヒートシール加工によって形成されていてもよい。1つの例として、図1(g)は、調湿層100の両面に熱融着性樹脂を含む他の層300が積層され、四辺がヒートシールされた構成を示す。
(第5の態様)
図1(h)は、調湿層100に隣接して接着層が設けられている例である。調湿層に隣接する、接着層500は、調湿層の表面に接着層500を配置することにより得られたものである。接着層としては、調湿層100に含まれる防カビ剤M及びシリカゲルSの脱落が防止されるように粘着機能を示す層であれば特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。
詳細には、図1(h)に示す調湿シートは、調湿層100と他の層300との間に、例えば熱可塑性樹脂のようなホットメルト接着剤からなる接着層500を介在させて、ホットメルト加工により層間接着された構成を示す。
より詳細には、図1(h)に示す例の調湿シートは、調湿層100の、接着層500とは反対側の面に、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120を有する。図1(h)に示す例の調湿シートにおいても、図1(f)に示す例の場合と同様に、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120は、中間層として位置付けられた調湿層100に含まれる防カビ剤M及びシリカゲルSの脱落防止に寄与し得る。また、ここでは調湿層100と熱融着性樹脂Aを含む調湿層120とを別々の層として図示および説明したが、この2つの層が一体的に構成されていて1層の熱融着性樹脂Aを含む調湿層120を成している構成も、本態様に含まれる。本態様によれば、特に、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120において、防カビ剤M及びシリカゲルSが表面側に偏在している場合に、脱落を有効に防止することができる。
(第6の態様)
上述の本発明に係る調湿シートは、エンボス加工によって形成されていてもよい。1つの例として、図1(i)は、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120の両面に層300が積層され、エンボス加工により層間接着された構成を示す。
以上、図1(a)から(i)を用いて本発明の調湿シートの構成を説明した。しかしながらこれらは例示であり、これ以外の構成、例えば例示した各態様の組み合わせも本発明の範囲に含まれる。例えば、図中で調湿層100として示した層は、繊維Fを含む調湿層110、または熱融着性樹脂Aを含む調湿層120であってもよく、あるいは、繊維Fおよび熱融着性樹脂Aの両方を含む層であってもよい。同様に、これらの層間で層を置き換えた構成は、本発明の範囲に含まれる。
以下に、本発明に係る調湿シートの構成要素の詳細について説明する。
(防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層)
本発明の調湿層は、防カビ剤とシリカゲルを含む層である。防カビ剤とシリカゲルは、それぞれ、粉末(粒子)として含まれる。調湿層には、防カビ剤及びシリカゲルのみが含まれていることができる。防カビ剤としては、一種類に限定されず、複数種類が含まれていてもよい。また、調湿層には、防カビ剤及びシリカゲルに加えて、繊維、熱融着性樹脂、および効果促進剤などが含有されていてもよい。
(防カビ剤)
本発明で用いられる防カビ剤の種類は、特に限定されない。例えば、無機系防カビ剤、有機系防カビ剤のいずれも使用できる。
無機系防カビ剤としては、(1)金属及びその化合物系(銀、動、亜鉛とそれらの化合物)防カビ剤、(2)無機/有機複合系防カビ剤、(3)酸化物光触媒系防カビ剤などが挙げられる。前記(1)の防カビ剤としては、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等のリン酸塩系;ゼオライト、ケイ酸カルシウム、粘土鉱物等のケイ酸塩系が挙げられ、前記(2)の防カビ剤としては、層状リン酸塩−四級アンモニウム等が挙げられ、(3)の防カビ剤としては酸化チタン等が挙げられる。
有機系防カビ剤としては、(1’)合成有機系防カビ剤、(2’)天然有機系防カビ剤などが挙げられる。前記(1’)の防カビ剤としては、(a)含窒素系防カビ剤のほか、(b)アルデヒド系、(c)フェノール系、(d)ハロゲン系(有機ヨード系、例えば3-ヨード-2-プロピルブチルカルバメート)、(e)ジスルフィド系、(f)有機金属系(有機ヒ素系、有機銅系、アミノ酸金属石鹸)、(g)アルコール系、(h)カルボン酸系、(i)エステル系、などが挙げられる。前記(a)含窒素系防カビ剤としては、具体的には、(a1)含窒素複素環系(5員環系、6員環系)、(a2)ビグアナイド系、(a3)ニトリル系、(a4)アニリド系、(a5)チオカーバメート系、(a6)有機ケイ素四級アンモニウム塩系、(a7)四級アンモニウム塩系(陽イオン活性剤)、(a8)アミノ酸系(両性活性剤)、などが挙げられる。例えば、イミダゾール系(5員環系)である2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、2-ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、2-メチルカルボニルアミノベンツイミダゾール;チアゾール系(5員環系)である2-(4-チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール;イソチアゾリン系(5員環系)である2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ピリジン系(6員環系)である2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホン)ピリジン、ビス(ピリジン-2-チオール-1-オキシド)亜鉛酸,2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム塩、2,2’-ジチオビスピリジン-1-オキシド;トリアジン系(6員環系)であるヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-S-トリアジン、ビグアナイド系であるグルコン酸クロルヘキシジン;ニトリル系である2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル;アニリド系であるトリクロロカルバニリド;チオカーバメート系であるソジウムN-メチルジチオカルバメート;有機ケイ素四級アンモニウム塩系であるオクタデシルジメチル(3-トリメトキシプロピル)アンモニウムクロライド;四級アンンモニウム塩系(陽イオン活性剤)である塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;アミノ酸(両性活性剤)であるアルキルジアミノグリシン塩酸塩などは、いずれも含窒素系防カビ剤である。前記(2’)の防カビ剤としては、ヒノキチオール系、キトサン系、カラシ抽出物系、ユーカリ抽出物系、などが挙げられる。有機系防カビ剤としては合成有機系防カビ剤が好ましく、含窒素系及びハロゲン系からなる群から選ばれた少なくとも1種の防カビ剤がより好ましい。なお、前記より好ましい防カビ剤(含窒素系及びハロゲン系からなる群から選ばれた少なくとも1種の防カビ剤)の中には、含窒素系であり且つハロゲン系である、含窒素-ハロゲン系防カビ剤も当然包含する(本明細書では、前記含窒素-ハロゲン系防カビ剤は便宜上、含窒素系防カビ剤に包含されるものとする)。
本発明では、販売品・市販品の防カビ剤を使用することができる。例えば、東亞合成製カビノン800,カビノン900,カビノン930V,カビノン940、ラサ工業(株)製のラサップシリーズ、北興産業(株)製のホクスター(商標登録)HP,ホクサイド(商標登録)シリーズ(AM−48,IPB,6500),ホクトミン(商標登録),ホクバリン(商標登録)シリーズ(MX,B100)、日本曹達(株)製のバイオカットシリーズ(BM100F,BM100,2210,NT,ZP,SP100)、大和化学工業(株)製のアモルデンPST−310,アモルデンSK−20H,アモルデンSK−950、(株)シナネンゼオミック製のエッセンガード10,エッセンガード20、(株)エプロ製のインナーミル302、などの粉末系防カビ剤が挙げられる。その他、販売品・市販品の液体防カビ剤を粉体化させた防カビ剤もまた使用することができる。
防カビ剤の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、1〜1000μm程度が好ましい。
防カビ剤の含有量については、後述する。
(シリカゲル)
本発明では、シリカゲルが使用される。シリカゲルの種類は特に限定されず、例えばA型シリカゲル、B型シリカゲルのいずれも使用できる。本発明においては、B型シリカゲルが好ましい。シリカゲルは、販売品・市販品を使用することができる。
本発明で使用されるシリカゲルの平均粒子径は特に限定されないが、例えば、5〜4000μm程度が好ましく、10〜1000μmがより好ましく、100〜800μmがさらに好ましく、300〜800μmが特段好ましい。なお、シリカゲルの物性(表面積、細孔容積、見掛比重、平均細孔直径等)についていずれも特に限定されない。
シリカゲルの含有量については、後述する。
(繊維)
繊維としては、パルプ、レーヨン、麻、綿、絹、羊毛、鉱物繊維等の天然繊維、ポリ乳酸、ナイロン、ポリビニルアルコール(PVA)、高分子吸収繊維(SAF)等の合成繊維を用いることができる。これらの繊維は、吸水性を有するため、吸水性材料として配合して、調湿シートを高湿度環境下で使用する時の水分の吸収を促進させることもできる。また、本発明の繊維として、非吸水性の繊維を用いることもできる。以下に説明する熱融着性樹脂を、繊維の形態で使用してもよい。これらの繊維は、例えば解繊ショートカットファイバーの形態で用いることができる。これらの繊維は、2種以上を併用しても構わない。
(熱融着性樹脂)
本発明における熱融着性樹脂は、構成成分を結着させるバインダ樹脂となる。また、熱融着性樹脂は、調湿シートにおける強度付与の効果を有し、調湿シートは熱融着性樹脂を含むことにより形状が維持されやすくなる。
熱融着性樹脂AおよびBは、防カビ剤同士、シリカゲル同士、防カビ剤とシリカゲル、および他の成分が含まれる場合は防カビ剤及び/又はシリカゲル並びに他の成分を結着させることができる。熱融着性樹脂AおよびBは、防カビ剤の機能やシリカゲルの水分の吸放出を妨げないように、溶融され固化する際に、防カビ剤の粉末(粒子)及びシリカゲルの粉末(粒子)の全体を被覆しないような量で配合される。
熱融着性樹脂は繊維状であってもよいし、粒子状であってもよい。強度がより高くなる点からは、熱融着性樹脂は繊維状であることが好ましい。熱融着性樹脂は、例えば、ショートカットファイバーの形態であってもよい。
熱融着性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、低融点ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリアミド、低融点ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
熱融着性樹脂は、2種類以上の樹脂の複合体であってもよい。例えば、芯部分と鞘部分とからなる芯鞘繊維、長手方向に垂直な断面において片側の半分ともう一方の片側の半分とが異なる樹脂からなるサイドバイサイド繊維、異なる樹脂からなるコアとシェルとを有するコアシェル粒子等が挙げられる。
熱融着性樹脂は2種類以上を併用しても構わない。すなわち、熱融着性樹脂AおよびBは、同一の熱融着性樹脂であってもよく異なる熱融着性樹脂であってもよい。熱融着性樹脂Aおよび熱融着性樹脂Bとして、それぞれ、1種類の熱融着性樹脂を用いてもよく、また、複数種類の熱融着性樹脂を併用してもよい。調湿シートが、後述する他の層300を含む場合であって、他の層300が熱融着性樹脂を含む場合は、他の層300に含まれる熱融着性樹脂は、熱融着性樹脂AおよびBと同一であってもよく異なっていてもよく、1種類であっても複数種類の併用であってもよい。
(他の層)
本発明の調湿シートは、調湿層100、110、120に加えて、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、他の層300を含むことができる。
他の層300としては、例えば、不織布、布、紙などの水分を通す性質(通水性)および/または水分を吸収する性質(吸水性)を有する任意のシートを用いることができる。また、任意のフィルムを用いることができる。他の層300は、熱融着性樹脂を含んでいてもよい。調湿シートの1つの面に通気性が相対的に低いフィルムを用いると、放出された水分がその面から放散することを防止できる。調湿シートの外層となる他の層300の表面には、凹凸などの表面加工を施してもよい。
(効果促進剤)
本発明の調湿シートには、その用途に応じて、1つまたは複数の効果促進剤を配合することができる。
効果促進剤としては、例えば:油性基剤、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、炭酸塩、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類およびその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、金属含有化合物、不飽和単量体、多価アルコール、高分子添加剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、補助剤、湿潤剤、収れん剤、増粘剤、粘着付与物質、止痒剤、角質軟化剥離剤、油性原料、紫外線遮断剤、防腐殺菌剤、抗酸化物質、液状マトリックス、脂溶性物質、高分子カルボン酸塩、添加剤、金属セッケン、吸水性材料等、が挙げられる。
効果促進剤は、調湿層100、110、120に配合することができる。また、調湿シートが、調湿層と他の層とを含む多層構造である場合は、複数の層のうちのいずれか1つまたは複数の層に配合することができる。
(ヒートシール)
ヒートシールは、ヒートシーラーなどの加熱手段により熱を加えて層間接着させる方法である。本発明においては、例えば、防カビ剤及びシリカゲルのみからなる調湿層を中間層とし、その両面に、熱融着性樹脂を含む層200を配置して、四隅をヒートシールすることにより、多層構造の調湿シートを形成することができる。
(接着層)
接着層の形成方法は特に限定されないが、ホットメルト加工によって得られた接着層であることが好ましい。ホットメルト加工は、熱可塑性樹脂を溶かして押し出し、シートとシートを接着する加工方法である。調湿層と他の層を接合する際の層間接着に用いることができる。
ホットメルト加工に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などがあり、一般にホットメルト接着剤として知られている樹脂を用いることができる。
(エンボス加工)
エンボス加工は、凸凹模様を彫った押し型で強圧し、熱を加える加工である。この方法もまた、多層構造の層間接着に用いることができる。また、この方法は、単層または多層構造の調湿シートに凹凸などの表面加工を施すために用いることもできる。
(各成分の含有比率)
調湿シートにおける防カビ剤の配合量は、限定的ではないが、シート全量に占める防カビ剤の量が0.01質量%以上が好ましい。0.01質量%以上であれば、防カビ剤を効果的に機能させることができる。防カビ剤の配合量の上限もまた限定的ではないが、シート全量に対して10質量%以下が好ましい。
また、調湿シートにおけるシリカゲルの配合量は、限定的ではないが、シート全量に占めるシリカゲルの量が0.01質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特段好ましい。シリカゲルの配合量が0.01質量%以上であれば、調湿効果を効果的に機能させることができる。シリカゲルの配合量の上限もまた限定的ではないが、シート全量に対して80質量%以下が好ましい。
(坪量)
調湿シートの坪量は、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、10〜4000g/mであることが好ましく、350〜4000g/mがより好ましい。
(乾式法による調湿層の形成)
本発明において、調湿層は、乾式法で設けられた層である。本発明で用いることのできる乾式法には、水を使用しない任意の層形成方法が含まれる。
(調湿シートの製造方法)
例えば、エアレイド法を採用するウェブ形成装置で防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を作製し、他の層が含まれる場合は、調湿層に対して他の層を別途積層させる製造方法を用いることができる。そのような方法として、調湿層の表面に、例えばポリエチレン(PE)のような熱融着性樹脂Bを配置し、熱融着性樹脂Bを熱により溶融させて接合する方法がある。あるいはまた、エアレイド法を採用するウェブ形成装置で調湿層(例えば、熱融着性樹脂Aを含む調湿層120)を作製する際に、調湿層120となるウェブ層を搬送するためのキャリアシートに本発明の他の層300を用いることによって、他の層300と調湿層120との積層体を形成して、本発明に係る層構成を有する調湿シートを得てもよい。また、別途作製した調湿シートの各層を、エンボス加工やヒートシール加工により接合させてもよい。また、調湿シートの各層の接合面の少なくとも一方に熱可塑性樹脂のようなホットメルト接着剤などにより接着層(粘着層)を設けて、ホットメルト加工により各層を接合させる方法などもある。製造時における、防カビ剤やシリカゲルの機能劣化や凝集等を防ぐために、本発明において、これらの積層は乾式法にて行う。
(エアレイド法を採用する調湿シートの製造方法)
エアレイド法を採用する本実施形態の調湿シートの製造方法は、解繊工程と混合工程とウェブ形成工程と結着工程とを任意選択的に有する。
(解繊工程)
解繊工程は、ショートカットファイバーの形態の材料を、空気流によって解繊して解繊ショートカットファイバーを得る工程である。
ショートカットファイバーの空気流による解繊方法では、ブロアー等によって空気流を形成し、その空気流にショートカットファイバーを供給し、空気流の攪拌効果によって解繊する。
解繊方法としては、旋回する空気流で解繊することが好ましい。旋回する空気流を利用した解繊方法によれば、ショートカットファイバーを充分に解繊することができ、エアレイド法によってエアレイドウェブを形成する際に、解繊ショートカットファイバーの分散性をより高めることができる。
旋回する空気流を利用した解繊方法としては、例えば、ブロアーの中にショートカットファイバーを投入してブロアーにて解繊する方法が挙げられる。また、ブロアーによって円筒容器内に、周方向に沿うように空気を送って旋回流を形成し、その旋回流の中にショートカットファイバーを供給し、攪拌して解繊する方法が挙げられる。
空気流の流速は、ショートカットファイバーの量に応じて適宜選択されるが、通常は、10〜150m/秒の範囲内である。
(混合工程)
混合工程は、防カビ剤の粉末(粒子)、シリカゲルの粉末(粒子)と解繊ショートカットファイバーの形態の材料(含まれる場合)とを混合してウェブ原料を得る工程である。このとき同時に、任意の他の材料を混合することができる。任意の他の材料の形状は、繊維状でも粒子状でもよい。任意の他の材料の例としては、熱融着性樹脂、効果促進剤等の必要に応じて添加される助剤等が挙げられる。これらの材料の添加順に特に限定は無く、また、これらの材料は、混合工程よりも後の工程で、例えば散布等によって添加することもできる。
混合に際しては、解繊ショートカットファイバーの分散性を向上させるために、解繊ショートカットファイバーと他の材料とを攪拌することが好ましい。ただし、解繊ショートカットファイバーの破断を防ぐために、機械的剪断力を利用した攪拌ではなく、空気流を用いた攪拌を適用することが好ましい。
混合工程は、解繊工程の後でもよいし、解繊工程と同時でもよい。混合工程を解繊工程と同時とする場合には、解繊工程での空気流を利用して、解繊ショートカットファイバーと任意の材料を混合する。また、後述する粒子散布工程で解繊ショートカットファイバーのウェブ形成ラインに防カビ剤の粉末(粒子)、シリカゲルの粉末(粒子)および/または任意の粒子を投入し、混合してもよい。
(ウェブ形成工程)
ウェブ形成工程は、エアレイド法によってウェブ原料からエアレイドウェブを得る工程である。ここで、エアレイド法とは、空気流を利用して繊維を3次元的にランダムに堆積させてウェブを形成する方法である。
(粒子散布工程)
粒子散布工程は、既知の方法よってウェブ原料に粉末(粒子)の形態の材料を配合する工程である。繊維に粉末(粒子)の形態の材料を混合してウェブを形成する方式もしくはウェブの表面もしくはキャリアシート上に散布する方式のいずれを用いてもよい。
本実施形態におけるウェブ形成工程では、例えば、図2に示すウェブ形成装置1を用いる。このウェブ形成装置1は、コンベア10と透気性無端ベルト20とウェブ原料供給手段30と第1のキャリアシート供給手段40と第2のキャリアシート供給手段50とサクションボックス60と備える。
ここで、コンベア10は、複数のローラー11によって構成されている。透気性無端ベルト20は、コンベア10に装着されて回転するようになっている。ウェブ原料供給手段30は、透気性無端ベルト20にウェブ原料を空気流と共に供給するものである。第1のキャリアシート供給手段40は、透気性無端ベルト20に向けて第1のキャリアシート41を供給するものである。第2のキャリアシート供給手段50は、透気性無端ベルト20を通過した第1のキャリアシート41に向けて第2のキャリアシート51を供給するものである。サクションボックス60は、透気性無端ベルト20をその内側から吸引するものである。
ウェブ形成装置1においては、ウェブ原料供給手段30は透気性無端ベルト20の上方に設置され、第1のキャリアシート供給手段40は透気性無端ベルト20よりも上流に設置され、第2のキャリアシート供給手段50は透気性無端ベルト20よりも下流に設置されている。
上記ウェブ形成装置1を用いたウェブ形成工程では、各ローラー11を同方向に回転させることによりコンベア10を駆動させて透気性無端ベルト20を回転させる。また、透気性無端ベルト20の上に接触するように、第1のキャリアシート41を第1のキャリアシート供給手段40から繰り出す。
次いで、サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、ウェブ原料供給手段30から空気流と共にウェブ原料を下降させ、透気性無端ベルト20上の第1のキャリアシート41上に繊維混合物を落下、堆積させる。これにより、エアレイドウェブWを形成する。
次いで、エアレイドウェブWの上に、第2のキャリアシート51を第2のキャリアシート供給手段50より供給して、エアレイドウェブ含有積層シートを得る。
(結着工程)
結着方式は、水を使わずに結着させる観点から、サーマルボンド方式を使用することが好ましい。サーマルボンド方式による結着工程は、エアレイドウェブを加熱処理して、解繊ショートカットファイバー同士を熱融着性樹脂によって結着させる工程である。
エアレイドウェブの加熱処理としては、熱風処理、赤外線照射処理が挙げられ、装置が低コストである点では、熱風処理が好ましい。
熱風処理としては、エアレイドウェブを、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤに接触させて熱処理する方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、エアレイドウェブを、ボックスタイプドライヤに通し、エアレイドウェブに熱風を通過させることで熱処理する方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
本実施形態のように、エアレイドウェブが第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートに挟まれて積層シートになっている場合には、積層シートのまま熱風処理してもよい。第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートは、熱風処理後にエアレイドウェブから剥離することができる。加熱処理温度は、熱融着性樹脂が溶融する温度とすればよい。
結着工程の後には、調湿シートの厚みおよび密度を微調整する目的で、加熱ロールに通して圧縮処理してもよい。
(作用効果)
上記製造方法では、防カビ剤の粉末(粒子)およびシリカゲルの粉末(粒子)を、水を介さずに、粉末(粒子)の形態のまま、調湿層中に含有させることができる。そのため、製造工程中に防カビ剤およびシリカゲルの機能劣化が少なく、結果として、製造された調湿シートは良好な防カビ性能および調湿性能を示す。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
<調湿シート(防カビ剤及びシリカゲル含有シート)の製造>
ショートカットの芯部分がポリエチレンテレフタレート(PET)であり鞘部分がポリエチレン(PE)である芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PE複合芯鞘繊維、繊度2.2dtex、繊維長5mm、鞘部融点130℃)を、旋回流式ジェット気流解繊装置を用いて解繊処理して、解繊ショートカットファイバーを得た。
次いで、富士シリシア化学(株)製のシリカゲル(フジシリカゲル(フジシリシア)B型、平均粒子径150μm)を用意した。また、防カビ剤として販売品の含窒素-ハロゲン系防カビ剤と、ポリエチレン(PE)パウダーと、を20/80の割合(質量比)で混合し、防カビ剤とPEパウダーとの粒子混合物を得た。
次いで、(1)解繊ショートカットファイバー、(2)シリカゲル、(3)防カビ剤/PEパウダーの粒子混合物、を、それぞれ220:400:10の割合(質量比)で空気流により均一に混合して、繊維含有混合物(ウェブ原料)を得た。
次いで、キャリアシート上に、図2に示すウェブ形成装置1を用い、繊維含有混合物からエアレイドウェブを形成したシートを得た。
具体的には、コンベア10に装着されて走行する透気性無端ベルト20の上に、第1のキャリアシート供給手段40によって、PET不織布(坪量20g/m)からなる第1のキャリアシート41を繰り出した。
サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、その第1のキャリアシート41の上に、ウェブ原料供給手段30から空気流と共に上記繊維含有混合物を落下堆積させた。その際、(1)解繊ショートカットファイバーの坪量が220g/m、(2)シリカゲルの坪量が400g/m、(3)防カビ剤/PEパウダーの粒子混合物の坪量が10g/m となるように、繊維含有混合物を供給した。その上に、前記防カビ剤とPEパウダーとの粒子混合物(防カビ剤とPEパウダーの割合=20/80(質量比))8g/mを散布した後、PET不織布(坪量20g/m)からなる第2のキャリアシート51を積層して、エアレイドウェブ含有積層シートを得た。
得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理して、坪量678g/mの調湿シート(防カビ剤・シリカゲル含有シート)を得た。
[比較例1]
シリカゲルを使用しない以外は、実施例1と同様にして、坪量278g/mのシートを得た。
(調湿シートの官能評価1)
実施例1のシートに対して、JIS Z 2911-2010に基づく試験を行った。具体的には、幅50mm、長さ50mmの試験片を3枚作製し、各試験片を精製水で洗浄した後、水を切り、平板培地の培養面の中央に密着するように置いた。次いで、混合胞子懸濁液1mLを培養面と試験片の上面とに均等に吹き付け、温度26±2℃に保った場所において、2週間培養し、カビ抵抗性を判定した。カビ種は、Aspergillus niger NBRC105649、Penicillium pinophilum NBRC33285、Paecilomyces varitotii NBRC33284、Trichoderma virens NBRC6355、Chaetomium globosum NBRC6347である。
その結果、肉眼及び顕微鏡下でかびの発育は認められなかった。
(調湿シートの官能評価2)
実施例1で得られた調湿シートとシリカゲル無配合シートを裁断して、A4判サイズ(幅210mm、長さ297mm)の試験片を1枚ずつ作製した。各試験片をそれぞれ23℃50%条件下の恒温恒湿槽に2時間放置させ、重量測定した。その後、各々の試験片を40℃80%条件下の恒温恒湿槽に2時間放置し、その後に重量測定した。その後、吸湿した重量を測定した。その後、再び23℃50%条件下の恒温恒湿槽に2時間放置し、次は放出した水分量を測定した。結果を次に示す。
Figure 2016215095
1 ウェブ形成装置
30 ウェブ原料供給手段
41 第1のキャリアシート
51 第2のキャリアシート
W エアレイドウェブ
A 熱融着性樹脂A
B 熱融着性樹脂B
M 防カビ剤
S シリカゲル
100 調湿層(防カビ剤及びシリカゲル含有層)
110 繊維を含む調湿層(繊維、防カビ剤及びシリカゲル含有層)
120 熱融着性樹脂Aを含む調湿層(熱融着性樹脂A、防カビ剤及びシリカゲル含有層)
200 熱融着性樹脂Bを含む層
300 他の層
500 接着層

Claims (7)

  1. 防カビ剤及びシリカゲルを含有する調湿層を備え、且つ、前記調湿層が乾式法で設けられたことを特徴とする、調湿シート。
  2. 前記調湿層が、繊維を含み、
    前記繊維によって形成される空隙に前記防カビ剤及び前記シリカゲルが保持されている、
    請求項1に記載の調湿シート。
  3. 前記調湿層が、熱融着性樹脂Aを含み、
    前記調湿層は、前記防カビ剤と前記シリカゲルと前記熱融着性樹脂Aとを含む混合物中の前記熱融着性樹脂Aを溶融することにより得られたものである、請求項1または2に記載の調湿シート。
  4. 前記調湿層に隣接する層が、熱融着性樹脂Bを含み、
    前記調湿層に隣接する層は、前記調湿層の表面に前記熱融着性樹脂Bを配置して熱により前記熱融着性樹脂Bを溶融することにより得られたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の調湿シート。
  5. ヒートシール加工されている、請求項1〜4のいずれかに記載の調湿シート。
  6. 前記調湿層に隣接して接着層が設けられている、請求項1〜5のいずれかにに記載の調湿シート。
  7. エンボス加工されている、請求項1〜6のいずれかに記載の調湿シート。
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