JP2016214093A - キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム - Google Patents

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Abstract

【課題】キメラ抗原レセプターによる本来の治療効果を維持しつつ、副作用を低減できる新たな手段を提供することを課題とする。
【解決手段】tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、を含む、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システムが提供される。
【選択図】なし

Description

本発明はキメラ抗原レセプター遺伝子を発現させるためのシステム及びその用途に関する。詳しくは、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子の発現の制御が可能なシステム及びそれを用いた治療等に関する。
キメラ抗原レセプター(Chimeric Antigen Receptor。以下、「CAR」とも呼ぶ)は、抗体の単鎖可変領域を細胞外ドメインとし、それに膜貫通領域とCD3ζと共刺激シグナルを伝える分子の細胞内ドメインをつないだものである。抗体の特異性に従って抗原に結合することによりT細胞にシグナルが伝達され標的細胞の傷害・サイトカイン放出・刺激後のT細胞分裂が起こる。遺伝子導入によってT細胞に特異性を与えることが可能であり、細胞の調製は内在性の腫瘍特異的T細胞レセプター(TCR)陽性T細胞を培養増幅する場合に比べて総じて容易である。また、CARを利用した治療法(CAR-T療法)は、抗体療法と比べて高い細胞傷害活性を示すこと、1回の輸注で抗原刺激によって自律的に増幅するために複数回の治療が必要ない点において優れている。TCR遺伝子導入では、HLAとその上に提示されるペプチドの複合体を標的としているために、患者が特定のHLAを持つ場合にのみ治療可能であるが(HLA拘束性)、CARにはHLA拘束性がない点においてより有利である。すなわち腫瘍細胞に標的抗原が陽性であれば、標的抗原陽性の全ての患者を対象として治療が可能である。その一方で、抗原陽性であれば全ての細胞を標的とするため、標的細胞以外に抗原が発現している場合には正常組織も標的としてしまう(On-target副反応)。こうした通常は起こりえないような過剰に強力な免疫反応により、高い臨床的有効性を示しているが、その反面、強い免疫反応をコントロールできず不帰の転帰をとる症例も存在する。また、これまでのところ、CD19/20のような分化抗原以外には完全に腫瘍細胞特異的な標的抗原は得られておらず、どうしても多少の正常組織での標的抗原の発現は見られることから、上記のような強力な免疫反応が正常組織で起こってしまう可能性があることは、CAR-T療法が今後汎用性を高める際に問題となりうる。
CARは、CD28や4-1BBなどの細胞内ドメインをCD3ζとつなぐことによって、標的細胞から共刺激が伝わらなくても、CARからのシグナルだけで共刺激があったように活性化することが出来る。通常、腫瘍細胞はCD80/86などのリガンドは発現していないため、内在性の腫瘍特異的なT細胞が存在したとしても不完全な刺激しか伝わらず、anergyに陥ってしまう可能性があるが、CARは標的抗原との結合という、ひとつのシグナルだけで共刺激も賄うことが出来る。このことはTCR遺伝子導入療法と比べて有利な点であると同時に上記のような過剰な免疫反応の原因といえる。
CAR-T療法は前述のようにその標的抗原が腫瘍以外に少しでも発現していると、On-target副反応が発現し、大きな副作用に見舞われ、時に致死的となることがあった。そのため、前述のように標的抗原の選択が最も重要であり、これまで行われてきたCAR-T療法の臨床試験において最も先行しているのはCD20/CD19などのB細胞分化抗原である。ペンシルベニア大学のグループはマウス由来のCD19単鎖抗体と4-1BBの細胞内ドメインを前述のようにつないでCARを作成し、化学療法抵抗性慢性リンパ性白血病の末梢血T細胞に遺伝子導入した。これを患者に投与するとほとんどの場合において寛解が得られるという驚異的な効果を報告している(非特許文献1)。CD19CAR-T療法の有効性は特許文献1、非特許文献2においても報告されている。
特許第5312721号公報
N Engl J Med. 2011;365:725-733. Cancer Res 2006;66:10995-11004. Hum Mol Genet 20 (R1):R93-99, 2011 N Engl J Med 2011; 365(18): 1673-1683.
CAR遺伝子導入T細胞療法では、上記のように標的抗原陽性細胞に対して抗原特異的かつ非常に強力な反応が起こることが利点である。その反面、抗腫瘍反応が強すぎてコントロールできないことや腫瘍細胞以外に異所性に発現する標的抗原に対してはCARが応用できないなどの問題がある。このような問題に対処するため、CAR遺伝子導入に加えて自殺遺伝子を併用する技術が取り入れられてきた。ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ (HSV-TK)遺伝子を導入し、ガンシクロビル特異的に細胞死を誘導するHSV-TK遺伝子導入やiCaspase9遺伝子導入療法(変異型カスパーゼ9をあらかじめ標的細胞に遺伝子導入しておき、そのうえでAP1903と呼ばれる薬剤投与によって二量体化を引き起こし、変異型カスパーゼ9を活性化型にすることによって標的細胞死を誘導する)などがその例である。HSV-TKについては臨床的な有用性も報告されている(例えば非特許文献3、4を参照)。しかしながら、これらの自殺遺伝子導入においては、その有効性を示すためにはCAR遺伝子導入T細胞を死滅させることになり、その後の再発などに際して再び治療の必要性が生じた場合には再度遺伝子導入T細胞を輸注する必要が生じる可能性がある。つまり、このような方法は安全性の向上には有効であるものの、CAR遺伝子導入T細胞療法の治療効果を減弱させる。
そこで本発明の課題は、CARによる本来の治療効果を維持しつつ、副作用を低減できる新たな手段の提供にある。
上記課題に鑑み本発明者らは、薬剤投与によってCARの発現そのものを制御するシステムの開発を目指した。検討を進める中で、テトラサイクリン系化合物(例えばドキシサイクリン(Doxycycline))を投与することによって遺伝子発現をコントロールするシステム(テトラサイクリン遺伝子発現誘導システム)に着目し、その有効性を検討した。検討の結果、テトラサイクリン遺伝子発現誘導システムが有効に機能し、良好な応答性でCARの発現のコントロールが可能であることが明らかとなった。また、従来の方法でCARを恒常的に発現させた場合と比較して同等の抗腫瘍効果を発揮できることも判明した。更には、実用化する上で重要且つ興味深い知見も得られた。
主として以上の成果に基づき、以下の発明が提供される。
[1]tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、
免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、
を含む、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム。
[2]標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子が、CD19キメラ抗原レセプター遺伝子である、[1]に記載のシステム。
[3]CD19キメラ抗原レセプターが、抗CD19モノクローナル抗体のscFv断片を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、免疫細胞のエフェクター機能のための細胞内シグナルドメインと、を含む、[2]に記載のシステム。
[4]第1発現カセットが検出用遺伝子を更に含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のシステム。
[5]検出用遺伝子が、自己開裂ペプチドをコードする配列を介して標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子に連結している、[4]に記載のシステム。
[6]検出用遺伝子が細胞内ドメインを欠く上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子である、[4]又は[5]に記載のシステム。
[7]第1発現カセットが第1ベクターに保持されており、第2発現カセットが第2ベクターに保持されている、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のシステム。
[8]第1発現カセットと第2発現カセットが一つのベクターに保持されている、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のシステム。
[9]ベクターがレトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載のシステム。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載のシステムが導入された免疫細胞。
[11][1]〜[6]のいずれか一項に記載のシステムがトランスポゾンを利用して導入された免疫細胞。
[12]免疫細胞がT細胞である、[10]又は[11]に記載の免疫細胞。
[13][10]〜[12]のいずれか一項に記載の免疫細胞を治療上有効量含む、細胞製剤。
[14]tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、を保持するベクター。
[15]レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、[14]に記載のベクター。
[16][10]〜[12]のいずれか一項に記載の免疫細胞を、治療上有効量、がん患者に投与するステップを含む、がんの治療法。
Tet-on制御を受けるCD19-CAR(Tet-CD19CAR)の設計。遺伝子導入に用いたベクターの構成を示す。 Tet-CD19CAR遺伝子導入実験の結果。untdxは遺伝子導入なしを表す。CD19CAR-ORは従来のCD19CARを恒常的に発現するシステムを用いて作成したものを表す。 CAR発現を誘導するために必要なドキシサイクリン(Dox)濃度の検討。EGFRはEGFR発現で見た結果を、FcはFc発現で見た結果をそれぞれ表す。 Dox投与開始後のCAR発現動態の検討。Dox投与開始後のCARの発現の変化を示す。EGFRはEGFR発現で見た結果を、FcはFc発現で見た結果をそれぞれ表す。 Dox投与中止後のCAR発現動態の検討。Dox投与中止後のCARの発現の変化を示す。 ヒト末梢血由来CD8陽性T細胞に対する遺伝子導入実験のスキームと結果。 Tet-CD19CAR遺伝子導入後のtEGFRを用いた純化。 Tet-CD19CAR T細胞を用いた実験のスキーム。 Tet-CD19CAR T細胞の細胞傷害活性。untdxは遺伝子導入なしを表す。 細胞内インターフェロンガンマ(IFN-γ)染色の結果。untdxは遺伝子導入なしを表す。 IL-2 ELISAの結果。untdxは遺伝子導入なしを表す。NS:有意差なし。****:有意差あり(p<0.0001) CD19刺激後のTet-CD19CAR T細胞の増殖。untdxは遺伝子導入なしを表す。
1.標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム
本発明の第1の局面は標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム(以下、「本発明のシステム」とも呼ぶ)に関する。本発明は、標的抗原特異的キメラ抗原レセプターの発現制御を可能にするものであり、テトラサイクリン遺伝子発現誘導システム(以下、「TC遺伝子発現誘導システム」とも呼ぶ)を利用する。TC遺伝子発現誘導システムとは、テトラサイクリン又はその類縁体(以下、これらをまとめて「TC系化合物」と呼ぶ)によって目的遺伝子の発現状態を制御できるシステムである。TC遺伝子発現誘導システムを利用することにより、TC系化合物の存在に応答して目的遺伝子である標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子(以下、「CAR遺伝子」とも呼ぶ)が発現する。TC系化合物の濃度依存的な発現誘導も可能である。本発明で用いるTC遺伝子発現誘導システムでは、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(以下、「rtTA」と呼ぶ)が用いられ、テトラサイクリン系化合物が存在するときに、rtTAがtetオペレーター配列に結合し、CAR遺伝子の発現を誘導する。
TC系化合物の例はテトラサイクリン、ドキシサイクリン、デオキシサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、シアノテトラサイクリン、クロロテトラサイクリンである。テトラサイクリン系化合物については、Hlavka and Boothe, "The Tetracyclines," in Handbook of Experimental Pharmacology 78, R.K.. Blackwood et al. (eds.), SpringerVerlag, Berlin-New York, 1985やL.A. Mitscher "The Chemistry of the Tetracycline Antibiotics, Medicinal Research 9, Dekker, New York, 1978等に詳しい。
本発明のシステムは、TC系化合物によるCAR遺伝子の発現制御を実現するために、特徴的な二つの発現カセット、即ち第1発現カセットと第2発現カセットを含む。第1発現カセットは、tetオペレーター配列、当該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び当該プロモーター配列の下流に配置されたCAR遺伝子を含む。
tetオペレーター配列(tetO)とはrtTAが結合できる配列である。rtTAが結合するとtetOの制御下にあるプロモーターが活性化する。このような特徴を示す配列であればtetOの配列は特に限定されない。例えば、Gossenら(Gossen M. and Bujard M., (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 5547-5551)に示されるtetOの配列を用いることができる。任意のクラス(例えばA、B、C、D、E)のtetOを用いることができる。好ましくは、複数個のtetOが用いられる。その場合、複数個のtetOは通常、連続して配置される。但し、隣接するtetOの間に他の配列が介在していてもよい。tetOの数(コピー数)は特に限定されないが、例えば2〜10である。tetOを含むベクターが市販されており(例えばClontec社が提供する)、当該ベクターから所望のtetOを調製することが可能である。
tetOの制御下にはプロモーター配列が存在する。即ち、プロモーター配列はtetOと機能的に連結している。通常は、tetOの下流側(3'側)にプロモーター配列が連結される。tetOとプロモーター配列との距離は、プロモーター配列がtetOの制御下にある限り特に限定されない。典型的には、tetOの直後に(間隔を空けずに)プロモーター配列を配置する。プロモーター配列としては、典型的には、最小プロモーター配列が用いられる。「最小プロモーター配列」とは、転写開始部位を規定するものの、それ自体では効率的な転写を開始できない部分的プロモーター配列のことである。最小プロモーター配列の活性は、テトラサイクリン系化合物によって制御されたrtTAのtetOへの結合に依存する。最小プロモーター配列の具体例として、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーターを挙げることができる。
最小プロモーター内のTATAボックスから転写が開始される。転写産物の安定性を増すため、通常、目的遺伝子の上流にイントロンが存在する。イントロン配列の具体例として、ウサギ由来ベータグロビンイントロンを挙げることが出来る。
イントロン配列の下流には標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子(CAR遺伝子)が存在する。即ち、本発明では、発現させる遺伝子(目的遺伝子)として、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター(CAR)をコードする遺伝子が用いられる。CARは、標的抗原に特異的な抗体に由来する細胞外ドメインと、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナルドメインを含む構造体である。本発明のCARは、抗標的抗原モノクローナル抗体のscFv断片を含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び免疫細胞のエフェクター機能のための細胞内シグナルドメインを含む。以下、各ドメインについて説明する。
(1)細胞外ドメイン
細胞外ドメインは標的抗原に特異的な結合性を示す。細胞外ドメインは、抗標的抗原モノクローナル抗体のscFv断片を含む。例えば、齧歯類(マウス、ラット、ウサギなど)の抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体等の抗標的抗原モノクローナル抗体が用いられる。ヒト化モノクローナル抗体は、他の動物種(例えばマウスやラット)のモノクローナル抗体の構造をヒトの抗体の構造に類似させた抗体であり、抗体の定常領域のみをヒト抗体のものに置換したヒト型キメラ抗体、及び定常領域及び可変領域に存在するCDR(相補性決定領域)以外の部分をヒト抗体のものに置換したヒト型CDR移植(CDR-grafted)抗体(P.T.Johons et al., Nature 321,522(1986))を含む。ヒト型CDR移植抗体の抗原結合活性を高めるため、マウス抗体と相同性の高いヒト抗体フレームワーク(FR)を選択する方法、相同性の高いヒト型化抗体を作製する方法、ヒト抗体にマウスCDRを移植した後さらにFR領域のアミノ酸を置換する方法の改良技術もすでに開発され(米国特許第5585089号、米国特許第5693761号、米国特許第5693762号、米国特許第6180370号、欧州特許第451216号、欧州特許第682040号、特許第2828340号などを参照)、ヒト化抗体の作製に利用することもできる。
標的抗原には、腫瘍細胞に特異的な発現が認められる抗原が用いられる。ここでの「特異的な発現」とは、腫瘍以外の細胞に比較して有意ないし顕著な発現が認められることをいい、腫瘍以外の細胞において全く発現がないものに限定する意図はない。標的抗原の例として、CD19抗原、CD20抗原、GD2抗原、CD22抗原、CD30抗原、CD33抗原、CD44variant7/8抗原、CEA抗原、Her2/neu抗原、MUC1抗原、MUC4抗原、MUC6抗原、IL-13 receptor-alpha2、イムノグロブリン軽鎖、PSMA抗、VEGF receptor2などを挙げることができる。
本発明では、抗標的抗原モノクローナル抗体のscFv断片を細胞外ドメインに利用する。scFv断片とは、免疫グロブリンの軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)がリンカーを介して連結された構造体であり、抗原との結合能を保持している。リンカーとしては、例えばペプチドリンカーを用いることができる。ペプチドリンカーとは、直鎖状にアミノ酸が連結したペプチドからなるリンカーである。ペプチドリンカーの代表例は、グリシンとセリンから構成されるリンカー(GGSリンカーやGSリンカー)である。GGSリンカー及びGSリンカーを構成するアミノ酸であるグリシンとセリンは、それ自体のサイズが小さく、リンカー内で高次構造が形成されにくい。リンカーの長さは特に限定されない。例えば、アミノ酸残基数が5〜25個のリンカーを用いることができる。リンカーの長さは好ましくは8〜25、更に好ましくは15〜20である。
(2)膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインは、細胞外ドメインと細胞内シグナルドメインの間に介在する。膜貫通ドメインとしては、CD28、CD3ε、CD8α、CD3、CD4又は4-1BBなどの膜貫通ドメインを用いることができる。人工的に構築したポリペプチドからなる膜貫通ドメインを用いることにしてもよい。
(3)細胞内シグナルドメイン
細胞内シグナルドメインは、免疫細胞のエフェクター機能の発揮に必要なシグナルを伝達する。即ち、細胞外ドメインが標的の抗原と結合した際、免疫細胞の活性化に必要なシグナルを伝達することが可能な細胞内シグナルドメインが用いられる。細胞内シグナルドメインには、TCR複合体を介したシグナルを伝達するためのドメイン(便宜上、「第1ドメイン」と呼ぶ)と、共刺激シグナルを伝達するためのドメイン(便宜上、「第2ドメイン」と呼ぶ)が含まれる。第1ドメインとして、CD3ζの他、FcεRIγ等の細胞内ドメインを用いることができる。好ましくは、CD3ζが用いられる。また、第2ドメインとしては共刺激分子の細胞内ドメインが用いられる。共刺激分子としてCD28、4-1BB(CD137)、CD2、CD4、CD5、CD134、OX-40又はICOSを例示することができる。好ましくは、CD28又は4-1BBの細胞内ドメインを採用する。
第1ドメインと第2ドメインの連結態様は特に限定されないが、好ましくは、過去の事例においてCD3ζを遠位につないだ場合に共刺激が強く伝わったことが知られていることから、膜貫通ドメイン側に第2ドメインを配置する。同一又は異種の複数の細胞内ドメインをタンデム状に連結して第1ドメインを構成してもよい。第2ドメインについても同様である。
第1ドメインと第2ドメインは、これらを直接連結しても、これらの間にリンカーを介在させてもよい。リンカーとしては例えばペプチドリンカーを用いることができる。ペプチドリンカーとは、直鎖状にアミノ酸が連結したペプチドからなるリンカーである。ペプチドリンカーの構造、特徴等は前述の通りである。但し、ここでのリンカーとしては、グリシンのみから構成されるものを用いてもよい。リンカーの長さは特に限定されない。例えば、アミノ酸残基数が2〜15個のリンカーを用いることができる。
(4)その他の要素
CARの分泌を促すために、リーダー配列(シグナルペプチド)が用いられる。例えば、GM-CSFレセプターのリーダー配列を用いることができる。また、細胞外ドメインと膜貫通ドメインがスペーサードメインを介して連結した構造にするとよい。即ち、好ましい態様のCARは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間にスペーサードメインを含む。スペーサードメインは、CARと標的抗原との結合を促進させるために用いられる。例えば、ヒトIgG(例えばヒトIgG1、ヒトIgG4)のFc断片をスペーサードメインとして用いることがきる。その他、CD28の細胞外ドメインの一部やCD8αの細胞外ドメインの一部等をスペーサードメインとして用いることもできる。尚、膜貫通ドメインと細胞内シグナルドメインの間にもスペーサードメインを設けることもできる。
尚、これまでにCARを利用した実験、臨床研究などの報告がいくつかあり(上掲の非特許文献1〜4、特許第5312721号公報、特開2010−189402号公報など)、これらの報告を参考にして本発明のCARを構築することができる。
CAR遺伝子の下流にはポリA付加シグナル配列を配置する。ポリA付加シグナル配列の使用によって転写を終了させる。ポリA付加シグナル配列としては目的遺伝子自体のポリA付加配列やSV40のポリA付加配列、ウシ由来成長ホルモン遺伝子のポリA付加配列等を用いることができる。
発現カセット内に検出用遺伝子(レポーター遺伝子、細胞又は組織特異的な遺伝子、選択マーカー遺伝子など)、エンハンサー配列、WRPE配列等を含めることにしてもよい。検出用遺伝子は、発現カセットの導入の成否や効率の判定、CAR遺伝子の発現の検出又は発現効率の判定、CAR遺伝子が発現した細胞の選択や分取、等に利用される。一方、エンハンサー配列の使用によって発現効率の向上が図られる。検出用遺伝子としては、ネオマイシンに対する耐性を付与するneo遺伝子、カナマイシン等に対する耐性を付与するnpt遺伝子(Herrera Estrella、EMBO J. 2(1983)、987-995)やnptII遺伝子(Messing & Vierra.Gene 1 9:259-268(1982))、ハイグロマイシンに対する耐性を付与するhph遺伝子(Blochinger & Diggl mann,Mol Cell Bio 4:2929-2931)、メタトレキセートに対する耐性を付与するdhfr遺伝子(Bourouis et al.,EMBO J.2(7))等(以上、マーカー遺伝子)、ルシフェラーゼ遺伝子(Giacomin、P1. Sci. 116(1996)、59〜72;Scikantha、J. Bact. 178(1996)、121)、β-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、GFP(Gerdes、FEBS Lett. 389(1996)、44-47)やその改変体(EGFPやd2EGFPなど)等の蛍光タンパク質の遺伝子(以上、レポーター遺伝子)、細胞内ドメインを欠く上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子等の遺伝子を用いることができる。検出用遺伝子は、例えば、バイシストロニック性制御配列(例えば、リボソーム内部認識配列(IRES))や自己開裂ペプチドをコードする配列を介してCAR遺伝子に連結している。自己開裂ペプチドの例はThosea asigna virus由来の2Aペプチド(T2A)であるが、これに限定されるものではない。自己開裂ペプチドとして蹄疫ウイルス(FMDV)由来の2Aペプチド(F2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV)由来の2Aペプチド(E2A)、porcine teschovirus(PTV-1)由来の2Aペプチド(P2A)等が知られている。
本発明における第1発現カセットの具体例としては、上流側(5'側)から順に、tetO(繰り返し数7回)、CMV最小プロモーター、イントロン、CAR遺伝子、T2A、tEGFR(truncated EGFR)遺伝子、ポリA付加シグナル配列が配置された構造、或いはこれとは逆の順序(即ち、3'側から順にtetO(繰り返し数7回)、CMV最小プロモーター、イントロン、CAR遺伝子、T2A、tEGFR(truncated EGFR)遺伝子、ポリA付加シグナル配列)で配置された構造を有するものを挙げることができる。
第2発現カセットは、免疫細胞で機能するプロモーター配列、当該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)をコードする配列を含む。プロモーターとしては、免疫細胞で機能するプロモーターが用いられる。構成的プロモーター、T細胞特異的プロモーター、最小プロモーター等を用いることができる。プロモーターの具体例を挙げると、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、CMVプロモーター、CAGプロモーター、SV40ori、レトロウイルスLTP、SRα、EF1α、βアクチンプロモーター、nuclear factor of activated T cells (NFAT)-制御性プロモーターなどである。
rtTAは、TC系化合物の非存在下ではtetOへ結合せず、TC系化合物の存在下でtetOへ結合する。rtTAはrtetリプレッサー(rTetR)と転写活性化ドメインを含む融合タンパク質である。rTetRは、TetRの変異体として見出された(Gossen M, Freundlieb S, Bender G, Muller G, Hillen W, Bujard H. Transcriptional activation by tetracyclines in mammalian cells. Science 1995; 268: 1766-1769.)。転写活性化ドメインとしては、酸性活性化ドメイン、プロリンリッチ転写活性化ドメイン、セリン/スレオニンリッチ転写活性化ドメイン、グルタミンリッチ活性化ドメインなどが用いられる。好適には、酸性活性化ドメインである単純ヘルペスウイルスビリオンタンパク質16(VP16)(Labow et al.,(1990)Mol. Cell Biol. 10, 3343-3356; Baim et al., (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8, 5072-5076等)を転写活性化ドメインとして採用する。
rtTAは特に限定されない。いくつかのrtTAが報告されており(Gossen, M. & Bujard, H. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89(12):5547-5551.;Gossen, M. et al., (1995) Science 268(5218):1766-1769.; Urlinger et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97(14):7963-7968.)、これら既報のものを用いることができる。好ましくは、ドキシサイクリンに対する反応性が高められた改変型のrtTA(Zhou, X. et al. (2006) Gene Ther. 13(19):1382-1390.)を用いる。
rtTAをコードする配列はプロモーターの制御下に配置される。即ち、第2発現カセットにおいて、プロモーター配列とrtTAをコードする配列は機能的に連結している。
第1発現カセットの場合と同様に、第2発現カセット内に、検出用遺伝子(レポーター遺伝子、細胞又は組織特異的な遺伝子、選択マーカー遺伝子など)、エンハンサー配列、WRPE配列等を含めることにしてもよい。
本発明における第2発現カセットの具体例としては、上流側(5'側)から順に、構成的プロモーター(例えばPGKプロモーター)、rtTAをコードする配列、ポリA付加シグナル配列が配置された構造を有するものを挙げることができる。
第1発現カセットと第2発現カセットは標的細胞への導入のためにベクターに搭載される。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸分子をターゲット(即ち免疫細胞又はその前駆細胞)内へと輸送することができる核酸性分子をいい、形態、由来などは特に限定されるものではない。様々な種類のベクターが利用可能である。好適なベクターの例はウイルスベクターであるが、非ウイルスベクターを用いることもできる。ウイルスベクターを用いた遺伝子導入法は、ウイルスが細胞へと感染する現象を巧みに利用するものであり、高い遺伝子導入効率が得られる。ウイルスベクターとしてレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイウイルスベクター等が開発されている。この中でレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターではベクターに組み込んだ目的遺伝子が宿主染色体へと組み込まれ、安定かつ長期的な発現が期待できる。各ウイルスベクターは既報の方法に従い又は市販される専用のキットを用いて作製することができる。非ウイルスベクターの例としては、プラスミドベクター、リポソームベクター、正電荷型リポソームベクター(Felgner, P.L., Gadek, T.R., Holm, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 84:7413-7417, 1987)、YACベクター、BACベクターを挙げることができる。トランスポゾンを利用して本発明のシステムを構築してもよい。実際、CAR遺伝子の導入法としてトランスポゾンを利用した方法(例えばNakazawa Y, et al., J Immunother 32:826-836, 2009、Nakazawa Y et al., J Immunother 6:3-10, 2013を参照)が開発されており、本発明のシステムを実現する上でも有用である。
本発明のシステムの一態様では第1発現カセットと第2発現カセットが別々のベクターに搭載される。即ち、第1発現カセット用のベクター(「第1発現ベクター」と呼ぶ)と第2発現カセット用のベクター(「第2発現ベクター」と呼ぶ)を用意する。この態様の場合、第1発現ベクターと第2発現ベクターを標的細胞に導入することになる。導入の順序は特に限定されないが、好ましくは、第2発現ベクターの導入を先行させる。この順序を採用した場合、第2発現ベクターが適切に導入された標的細胞を選択或いは濃縮ないし純化した上で第1発現ベクターを導入し、本発明のシステムの導入率向上を図るとよい。
本発明のシステムの別の態様では、第1発現カセットと第2発現カセットが一つのベクターに搭載される。換言すると、第1発現カセットと第2発現カセットの両者を保持するベクターを用意する。この態様の場合、一つのベクターを標的細胞に導入すれば、本発明のシステムが導入された標的細胞を得ることができる。一つのベクターの導入という操作(典型的には1回の導入操作)で本発明のシステムを導入できることは、本発明の臨床応用を図る上で大きなメリットとなる。この態様のベクターでは、tetオペレーター配列、当該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び当該プロモーター配列の下流に配置されたCAR遺伝子を含む第1発現カセットと、T細胞で機能するプロモーター配列、当該プロモーター配列の下流に配置されたrtTAを含む第2発現カセットが保持されることになる。尚、現在、TC遺伝子発現誘導システムに必要な要素を搭載したベクター(rtTAが順方向に発現し、目的遺伝子が逆方向に発現する)が市販されており(Tet-OneTM System:Clontech社)、当該ベクターを利用して、第1発現カセットと第2発現カセットが一つのベクターに搭載された当該態様のシステムを構築することができる。
2.標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システムが導入された細胞
本発明の第2の局面は、本発明のシステムが導入された免疫細胞(以下、「本発明の細胞」と呼ぶ)を提供する。本発明のシステムが機能することにより、本発明の細胞の表面にはCARが発現する。本発明の細胞は、その細胞表面上に存在するCARが標的抗原を認識・結合することによって細胞内にシグナルが伝達し、活性化される。本発明の細胞は標的細胞に対して本発明のシステムを導入することによって作製される。通常は、本発明のシステムを含む組換え発現ベクター(第1発現カセットを搭載した第1発現ベクターと第2発現カセットを搭載した第2発現ベクターの併用、又は第1発現カセットと第2発現カセットを搭載したベクターの使用)で標的細胞を形質転換する。標的細胞にはT細胞、NK細胞又はその前駆細胞(造血幹細胞、リンパ球前駆細胞等)を用いることができる。ここでのT細胞として、CD4陽性CD8陰性T細胞、CD4陰性CD8陽性T細胞、CD4陰性CD8陰性T細胞、CD4陽性CD8陽性T細胞、iPS細胞から調製されたT細胞、αβ-T細胞、γδ-T細胞を挙げることができる。上記の如きT細胞又は前駆細胞を含むものであれば、様々な細胞集団を用いることができる。末梢血から採取されるPBMC(末梢血単核細胞)は好ましい標的細胞の一つである。生体から採取された細胞集団を継代及び/又は純化することによって得られた細胞集団を標的細胞にすることもできる。
標的細胞の形質転換は常法で行えばよい。例えば、感染(ウイルスベクターを使用する場合)、エレクトロポレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1987))等の方法により形質転換を行うことができる。尚、その操作から明らかな通り、本発明の細胞は生体外で(ex vivo)調製される。
本発明の細胞は、CAR-T療法が有効と考えられる各種疾患(以下、「標的疾患」と呼ぶ)の治療、予防又は改善に利用され得る。標的疾患の代表はがんであるが、これに限定されるものではない。標的疾患の例を挙げると、各種B細胞リンパ腫(濾胞性悪性リンパ腫、びまん性悪性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、血管内B細胞性リンパ腫、CD20陽性ホジキンリンパ腫など)、治療抵抗性慢性リンパ性白血病、治療抵抗性特発性血小板減少性紫斑病、治療抵抗性全身性エリテマトーデス、凝固インヒビターを持つ血友病、神経芽腫、脳腫瘍、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫、肺小細胞腫、メラノーマ、卵巣がん、横紋筋肉腫、腎臓がん、膵臓がん、悪性中皮腫、前立腺がん、その他の腺癌、抗HLA抗体により輸血効果が得られなくなった再生不良性貧血等である。「治療」とは、標的疾患に特徴的な症状又は随伴症状を緩和すること(軽症化)、症状の悪化を阻止ないし遅延すること等が含まれる。「予防」とは、疾病(障害)又はその症状の発症/発現を防止又は遅延すること、或いは発症/発現の危険性を低下させることをいう。一方、「改善」とは、疾病(障害)又はその症状が緩和(軽症化)、好転、寛解、又は治癒(部分的な治癒を含む)することをいう。
本発明の細胞を細胞製剤の形態で提供することもできる。本発明の細胞製剤には、本発明の細胞が治療上有効量含有される。例えば1回の投与用として、104個〜1010個の細胞を含有させる。細胞の保護を目的としてジメチルスルフォキシド(DMSO)や血清アルブミン等、細菌の混入を阻止する目的で抗生物質等、細胞の活性化、増殖又は分化誘導などを目的とした各種の成分(ビタミン類、サイトカイン、成長因子、ステロイド等)等の成分を細胞製剤に含有させてもよい。
本発明の細胞又は細胞製剤の投与経路は特に限定されない。例えば、静脈内注射、動脈内注射、門脈内注射、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、又は腹腔内注射によって投与する。全身投与によらず、局所投与することにしてもよい。局所投与として、目的の組織・臓器・器官への直接注入を例示することができる。投与スケジュールは、対象(患者)の性別、年齢、体重、病態などを考慮して作成すればよい。単回投与の他、連続的又は定期的に複数回投与することにしてもよい。
細胞又は細胞製剤を投与した後、テトラサイクリン系化合物(TC系化合物)を投与し、本発明のシステムを機能させる。TC系化合物の投与量は、本発明のシステムが機能する限りにおいて特に限定されない。健常成人にドキシサイクリン錠200mgを投与すると、最高血中濃度は2〜4時間後に得られ、約3μg/mlの値となることが知られている(ビブラマイシン錠インタビューフォームより)。本発明者らの検討では100ng/ml以上の濃度でCARの発現はピークに達するため(後述の実施例)、例えば、ドキシサイクリン錠200mgを1錠投与することによって本発明のシステムを機能させる濃度を容易に達成できる。連続的又は間欠的に投与すれば本発明のシステムを持続的に機能させることができる。副作用の兆候が認められた場合など、本発明のシステムを停止することが必要な場合には、TC系化合物の投与を中止する。症例、患者の状態などに配慮しつつ、副作用が生じないように投与計画を立てるとよい。例えば、低投与量で投与を開始し、経過を見つつ投与量を増大させていくといった投薬方法や、初回投与後に経過を見つつ必要があれば次の投与を行うといった投与方法、或いは、初回投与後に十分な間隔を空けて次の投与を行うといった投薬方法等を採用することができる。
これまで、テトラサイクリン遺伝子発現誘導システムとしてTet-On system/Tet-Off systemが知られてきたが、このシステムではテトラサイクリン発現調節タンパク(tet-on 3Gタンパク)を発現させるための遺伝子と、目的遺伝子(tet-on 3Gタンパクが結合しtetracycline依存性に転写を起こすためのプロモーター領域(PTRE 3G)の下流に配置される)を別々に遺伝子導入する必要があった。近年これらの二つの遺伝子をひとつのウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行うことが可能となり(Tet-OneTM System:Clontech社)、T細胞のような浮遊細胞においてもその効率は劇的に改善することが期待された。そこで、当該システムを利用することで、薬剤投与によってCAR発現を制御することが可能か検討した。そのためのモデルとしてCD19-CARを用いた。
(1)Tet-on制御を受けるCD19-CAR (Tet-CD19CAR)の設計(図1)
Tet-on 3GタンパクはヒトPGKプロモーターによって転写される。転写されたtet-on 3Gタンパクはドキシサイクリン(Dox)との結合によって3G tet response elementプロモーター(PTRE 3G)に結合し、下流の遺伝子の転写をオン(on)にする。Dox非投与時のバックグラウンドの転写を低減するため、目的遺伝子(CD19-CAR-T2A-tEGFR遺伝子)は通常とは逆向きにベクターに組み込まれている。こうして作成したtet-on-CD19CARプラスミドベクターをレトロウイルスパッケージング用細胞であるPhoenix-Ampho細胞に導入し、その後培養上清を採取してレトロウイルスベクターを得た。CD19-CAR-T2A-tEGFRは、ヒトGM-CSF受容体リーダー配列(配列番号1)、マウスCD19抗体(FMC63)の軽鎖可変領域(VL)(配列番号2)、リンカー(配列番号3)、マウスCD19抗体(FMC63)の重鎖可変領域(VH)(配列番号4)、ヒトIgG4由来のFc(ヒンジ、CH2、CH3)(配列番号5)、CD28膜貫通領域(配列番号6)、CD28細胞内ドメイン(配列番号7)、グリシンリンカー(GGG)、CD3ζ(配列番号8)、T2A配列(配列番号9)、tEGFR(truncated EGFR)(配列番号10)が連なった構造を有する。CD19-CAR-T2A-tEGFRをコードするヌクレオチド配列(CD19-CAR-T2A-tEGFR遺伝子)を配列番号11に示す。
(2)Tet-CD19CAR遺伝子導入
作成したレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入が可能か、また、Dox投与によって発現誘導が可能かなどを検討するため、ヒトT細胞性白血病腫瘍株であるSUPT1に対してTet-CD19CAR遺伝子を遺伝子導入した。遺伝子導入後に遺伝子発現を確認し、陽性分画を分取した結果を示す(図2)。Tet-CD19CAR Dox (-)はDox投与後にCARを発現している部分を分取し、Dox非投与にてCAR発現を検討した結果である。同様にTet-CD19CAR Dox (+)はDox投与後のCAR発現を検討したものである。Dox (+)とDox (-)の間に発現量の差が見られる。
(3)CAR発現を誘導するために必要なDox濃度の検討
SUPT1-tet-CD19CAR細胞を用いて、CAR発現を誘導するために必要なDox濃度を検討した。EGFR抗体による染色およびFcに対する抗体による染色の双方でDox 100ng/ml以上の投与によってそれ以上の濃度と同等の発現が見られた(図3)。
(4)Dox投与開始および投与中止後のCAR発現動態の検討
SUPT1-tet-CD19CAR細胞を用いて、Dox投与開始後および投与中止後のCAR発現動態を検討した。EGFR抗体による染色およびFcに対する抗体による染色の双方で検討し、Dox投与開始後24時間でCAR発現はピークに達した(図4)。またDox投与中止後48時間でCAR発現はバックグラウンドレベルに到達した(図5)。
(5)ヒト末梢血由来CD8陽性T細胞に対する遺伝子導入実験
実験手順は以下の通りとした。CD8陽性細胞を健常ドナーの末梢血から分離し、Tet-CD19CARレトロウイルスを用いて遺伝子導入を行った。培養開始から8日目にCAR発現を検討した。Dox非投与群ではTet-CD19CARではCAR発現は見られなかったが、Dox投与群では発現が見られた(図6)。Dox(-)群でも低い発現を示す分画が6.9%存在する。Dox(+)群では弱い発現を示す分画が3.3%、高い発現を示す分画が5.8%存在した。
(6)Tet-CD19CAR遺伝子導入後のtEGFRを用いた純化
CD19CAR-ORおよびTet-CD19CAR Dox (+)細胞をtEGFRを用いて純化した。Tet-CD19CARの遺伝子導入効率は5〜10%程度とCD19CAR-OR細胞に比べて不良であるが、tEGFR純化後には約80%の純度を示した(図7)。
(7)培養後半の実験日程(図8)
培養開始から8日目にtEGFRを用いて純化を行い、その後CD3/28ビーズを用いて刺激を行った。培養開始から11日目以後Dox (+)群とDox (-)群に分けて、それぞれDox (+)あるいはDox (-)にて培養を継続した。その後培養開始から15日目近辺で細胞機能を測定した。
(8)Tet-CD19CAR T細胞の細胞傷害活性
(5)の様に遺伝子導入を行った後、(6)の純化後のTet-CD19CAR T細胞を用いて、CD19を遺伝子導入したK562 (K562-CD19)および遺伝子導入していないK562細胞を標的として標準的クロム放出試験を行った。恒常的に発現するCD19CAR(CD19CAR-OR)とTet-CD19CAR Dox (+)では、K562-CD19に対して同等の細胞傷害活性が見られた(図9)。K562に対しては有意に細胞傷害活性は減弱していた(図9)。一方でTet-CD19CAR Dox (-)はK562/K562-CD19ともに傷害しなかった(図9)。このことからTet-CD19CAR Dox (-)にフローサイトメトリーで見られる弱いCAR発現は、細胞傷害活性を発揮する範囲よりも弱い発現であることが分かる。
(9)細胞内インターフェロンガンマ (IFN-γ)染色
(6)の純化後のTet-CD19CAR T細胞を用いてK562/K562-CD19との4時間の共培養を行い、細胞内IFN-γ染色を行った。遺伝子非導入細胞では反応は見られず、CD19CAR-OR遺伝子導入細胞では従来通りの反応が見られた(図10)。Tet-CD19CAR Dox (-)細胞ではごく低いIFN-γ陽性細胞比率であったが、Tet-CD19CAR Dox (+)細胞ではCD19CAR-ORと同等の反応が見られた(図10)。
(10)IL-2 ELISA
(6)の純化後のTet-CD19CAR T細胞を用いてK562/K562-CD19との共培養を行い、16時間後の培養上清においてELISA法にてIL-2を定量した。遺伝子非導入細胞では反応は見られず、CD19CAR-OR遺伝子導入細胞では従来通りの良好な反応が見られた(図11)。Tet-CD19CAR Dox (-) 細胞ではごく低いIL-2放出が見られるのみであったが、Tet-CD19CAR Dox (+)細胞ではCD19CAR-ORと同等のIL-2産生が見られた(図11)。
(11)CD19刺激後の細胞増殖効果
(6)の純化後のTet-CD19CAR T細胞を用いて、K562-CD19にてそれぞれの細胞を1:1刺激し、刺激後の細胞増殖を検討した。遺伝子非導入細胞およびTet-CD19CAR Dox (-)細胞はK562-CD19刺激後、増殖反応は見られなかった(図12)。一方でCD19CAR-OR遺伝子導入細胞およびTet-CD19CAR Dox (+)細胞では同等の細胞増殖反応が見られた(図12)。
(12)まとめ
・Tet-CD19CARをコードするレトロウイルスベクターを作成し、これを用いてTet-CD19CAR T細胞を作成することが出来た。
・Tet-CD19CAR T細胞においてCARを発現させるために必要なドキシサイクリンは100ng/mlであった。即ち、低濃度の薬剤でCARの発現が可能であった。この点は臨床応用する上で重要である。
・Tet-CD19CAR T細胞におけるドキシサイクリン投与後のCARの発現は24時間でピークに達し、ドキシサイクリン中止後48時間でバックグラウンドレベルに低下した。即ち、良好な応答性が認められた。特に、発現低下の際の応答性は期待を超えるものであり、本戦略の有効性を裏づける。
・Dox (+) Tet-CD19CAR T細胞は、CD19刺激によってCD19CAR-OR遺伝子導入T細胞と同等のCD19特異的細胞傷害活性、IL-2産生能および刺激後の増殖能を示した。この事実は、今回の戦略が臨床応用に適することを支持する。
・Dox (-) Tet-CD19CAR T細胞は、CD19刺激によって有意に減弱した細胞傷害活性細胞傷害活性を示し、サイトカイン産生および刺激後の細胞増殖をほとんど示さなかった。
(13)テトラサイクリン遺伝子発現誘導システムを利用した標的抗原特異的CAR発現(Tet-on CAR)の利点
以上の通り、標的抗原特異的CARの発現にテトラサイクリン遺伝子発現誘導システムが有効に機能することが示された。当該戦略には以下の利点がある。即ち、CAR遺伝子導入T細胞を死滅させることなくCARの発現をコントロールできる。有害事象の発現時には薬剤投与を中止することによって、免疫反応を収束させうる。Tet-CD19CAR T細胞は体内に残存しているため薬剤の再投与によって再度活性化し、治療を再開できる。
この戦略はCD19CARに限らず、他の標的抗原に応用可能である。真にがん特異的な抗原はこれまで得られておらず、これからも得られる見込みは少ない。即ち、今後CAR-T細胞療法の標的抗原は多少の標的細胞外の発現は見込まなければならないことが予測される。そういった状況において新規のCARの開発にあたって安全性を担保するために、今回開発したTet-on CARシステムを用いることが出来る。Tet-on CARシステムと新規CARの併用によれば、より安全に臨床応用に進めることが可能となると考えられる。
本発明では、テトラサイクリン遺伝子発現誘導システムシステムを利用してCARを発現させる。本発明によれば、必要な時にはCARを発現させ、強すぎる反応が出現しているときには発現をオフ(Off)にすることで過剰な免疫反応を回避できる。本発明は、腫瘍細胞以外の正常組織に少量発現している標的抗原に対するCARを用いる場合にも有効であり、副作用を軽減しつつ治療効果を得ることができる。このように、本発明はCARの有用性を飛躍的に高める。本発明を適用することにより、発現を誘導する薬剤を投与したときだけ少しずつ抗腫瘍効果を得るような治療を想定できる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (16)

  1. tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、
    免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、
    を含む、標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子発現システム。
  2. 標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子が、CD19キメラ抗原レセプター遺伝子である、請求項1に記載のシステム。
  3. CD19キメラ抗原レセプターが、抗CD19モノクローナル抗体のscFv断片を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、免疫細胞のエフェクター機能のための細胞内シグナルドメインと、を含む、請求項2に記載のシステム。
  4. 第1発現カセットが検出用遺伝子を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
  5. 検出用遺伝子が、自己開裂ペプチドをコードする配列を介して標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子に連結している、請求項4に記載のシステム。
  6. 検出用遺伝子が細胞内ドメインを欠く上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子である、請求項4又は5に記載のシステム。
  7. 第1発現カセットが第1ベクターに保持されており、第2発現カセットが第2ベクターに保持されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
  8. 第1発現カセットと第2発現カセットが一つのベクターに保持されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
  9. ベクターがレトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステム。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステムが導入された免疫細胞。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステムがトランスポゾンを利用して導入された免疫細胞。
  12. 免疫細胞がT細胞である、請求項10又は11に記載の免疫細胞。
  13. 請求項10〜12のいずれか一項に記載の免疫細胞を治療上有効量含む、細胞製剤。
  14. tetオペレーター配列、該tetオペレーター配列の制御下にあるプロモーター配列、及び該プロモーター配列の下流に配置された標的抗原特異的キメラ抗原レセプター遺伝子、を含む第1発現カセットと、免疫細胞で機能するプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に配置されたリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードする配列、を含む第2発現カセットと、を保持するベクター。
  15. レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターである、請求項14に記載のベクター。
  16. 請求項10〜12のいずれか一項に記載の免疫細胞を、治療上有効量、がん患者に投与するステップを含む、がんの治療法。
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