JP2016213324A - 有機半導体トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲート駆動電圧の上昇を抑制しつつ、移動度の向上を図ることが可能なトップゲート構造の有機半導体トランジスタを提供する。
【解決手段】ゲート絶縁膜5のうち少なくとも有機半導体薄膜4と接している部分を有機金属化合物と金属酸化物との混合体とする。有機金属化合物としては、例えばアルコーンを用い、金属酸化物としてはアルミナを用いる。これらが化学的に結合されており、両者の領域を物理構造的に区分けできない状態となる混合体とする。これにより、移動度の低下を抑制しつつ、ゲート駆動電圧の上昇を抑制することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、トップゲート構造の有機半導体トランジスタに関するものである。
従来より、有機半導体膜を用いた有機半導体トランジスタが知られている。有機半導体トランジスタでは、有機半導体薄膜と接するゲート絶縁膜の比誘電率が高いとトラップが形成されることで移動度が低下する。このため、特許文献1において、ゲート絶縁膜のうち有機半導体薄膜と接する部分を比誘電率が1.5〜3.5の低誘電率ポリマーとし、有機半導体薄膜と接していない部分を比誘電率が4以上のポリマーとする構造が提案されている。
特開2005−175386号公報
有機半導体トランジスタとして、ゲート電極がソース電極やドレイン電極よりも上層に配置されたトップゲート構造の有機半導体トランジスタがある。トップゲート構造の有機半導体トランジスタは、ゲート絶縁膜により有機半導体薄膜が被覆された構造であるため、大気中の酸素や水分から有機半導体薄膜を隔離することができ、耐久性などの面で極めて有利である。
このトップゲート構造の有機半導体トランジスタでは、有機半導体薄膜の上にゲート絶縁膜が配置されることになるが、有機半導体薄膜の上にSAM(自己組織化単分子層:Self-Assembled Monolayers)を形成できない。有機半導体薄膜の上にSAMを形成してからゲート絶縁膜を形成できれば、有機半導体トランジスタの特性が良好となり、ゲート絶縁膜のうち有機半導体薄膜と接する部分の比誘電率を低くした場合と同様の効果が得られる。しかしながら、有機半導体薄膜の上にSAMを形成できないことから、そのような効果を得ることができない。このため、特許文献1で開示されているように、ゲート絶縁膜のうち有機半導体薄膜に接する部分の比誘電率を低くすることが移動度の低下抑制に有効となる。
ところが、特許文献1の有機半導体トランジスタでは、ゲート絶縁膜にポリマーを用いていることから、耐圧が低くなる。一般的に、ポリマー材料の耐圧は低く、特にパイ電子や非共有電子対を有するポリマー材料では耐圧が低下するとされている。このため、耐圧の低下を補償するためにはポリマー材料を厚膜化しなければならず、ゲート絶縁膜のトータルの比誘電率を大きくできなくなり、ゲート絶縁膜の容量が低下する。このゲート絶縁膜の容量の低下がゲート駆動電圧に影響し、有機半導体トランジスタを駆動するのにより高いゲート駆動電圧が必要になる。このため、トータルの比誘電率を高くしてゲート絶縁膜の容量を大きくすることでゲート駆動電圧の上昇を抑制しつつ、移動度の低下抑制を図れるようにすることが望まれる。
本発明は上記点に鑑みて、ゲート駆動電圧の上昇を抑制しつつ、移動度の向上を図ることが可能なトップゲート構造の有機半導体トランジスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1ないし6に記載の発明では、基材(1)と、基材の上に離間して配置されたソース電極(2)およびドレイン電極(3)と、ソース電極とドレイン電極との間を連結するように配置された有機半導体薄膜(4)と、有機半導体薄膜のうちソース電極およびドレイン電極の間に配置された部分をチャネル領域として、該チャネル領域に接して設けられたゲート絶縁膜(5)と、ゲート絶縁膜を挟んでチャネル領域の反対側に配置されたゲート電極(6)と、を有し、ゲート絶縁膜のうち、少なくとも有機半導体薄膜と接している部分は、比誘電率が4〜6の絶縁材料で構成されていると共に、該絶縁材料が有機金属化合物もしくは有機化合物と金属酸化物との混合体からなり、該混合体中の構成材料が化学的に結合していることを特徴としている。
このように、ゲート絶縁膜のうち少なくとも有機半導体薄膜と接している部分を有機金属化合物もしくは有機化合物と金属酸化物との混合体としている。これにより、ゲート絶縁膜の少なくとも有機半導体薄膜と接している部分にトラップが形成されることによる移動度の低下を抑制できる。そして、その混合体の比誘電率を4〜6と有機金属化合物のみで構成する場合よりも高くできることから、ゲート駆動電圧の上昇を抑制することも可能となる。よって、移動度の低下を抑制しつつ、ゲート駆動電圧の上昇を抑制することが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタの断面構成を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタの断面構成を示す図である。 有機半導体とアルミナとの間に挿入された混合体の膜厚と内部応力との関係を示した図である。 金属酸化物をアルミナで構成した場合におけるブレイクダウン耐圧を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタについて説明する。本実施形態で説明する有機半導体トランジスタは、例えば有機EL素子の駆動用トランジスタなどに適用される。
まず、図1を参照して、本実施形態にかかる有機半導体トランジスタの構成について説明する。
本実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタは、絶縁性の基材1の上に有機半導体トランジスタの各構成要素を備えることで形成されている。例えば、基材1としては、ガラス基板やフィルム(エチレンナフタレート(PEN)もしくはポリイミド(PI))などが用いられている。
基材1上の所望位置には、ソース電極2およびドレイン電極3が互いに離間して配置されている。ソース電極2やドレイン電極3は、例えば金(Au)や銀(Ag)もしくは銅(Cu)などの電極材料によって構成された金属により形成されている。
そして、これらソース電極2やドレイン電極3を覆うように基材1の上に、例えば高分子有機半導体材料や低分子有機半導体材料にて構成される有機半導体薄膜4が形成されている。有機半導体材料としては、低熱膨張係数で構成される耐熱性の材料であるのが好ましく、例えば化学式1で示される低分子有機半導体や、ペンタセン系やチオフェン系材料などを用いている。そして、有機溶媒に有機半導体材料を溶かすことで有機半導体材料を含むインクを形成し、これを塗布したのち乾燥させることによって有機半導体薄膜4を形成している。ここでは、例えば化学式1で示される低分子有機半導体としてn=1とした材料を用いて有機半導体薄膜4を形成しており、20nmの厚みとしている。
Figure 2016213324
このような構成とされることで、有機半導体薄膜4はソース電極2とドレイン電極3との間を連結するように配置されている。
さらに、有機半導体薄膜4の表面を覆うように、ゲート絶縁膜5が形成されている。ゲート絶縁膜5は、原子層堆積法(以下、ALD(Atomic Layer Deposition)法という)によって形成されている。ALD法によれば極めて緻密な膜が形成されることから、耐圧を向上させる点において特に好ましい。
ゲート絶縁膜5の少なくとも有機半導体薄膜4と接している部分、つまりゲート絶縁膜5の全部もしくは一部は、ポリマーではない比誘電率が4〜6の絶縁材料で構成されており、本実施形態の場合、その部分を有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成している。ゲート絶縁膜5のうち有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成されている部分の膜厚を3nm未満とされている。この混合体は、混合体の構成材料、すなわち有機金属化合物と金属酸化物とが化学的に結合されており、両者の領域を物理構造的に区分けできない状態になっている。例えば、電子顕微鏡を用いて混合体を解析しても、混合体の各材料を区別できない状態となっている。
例えば、ゲート絶縁膜5のうちの有機半導体薄膜4と接している部分を構成している混合体の分子構造を確認すると、有機金属化合物と金属酸化物とが化学的に結合した状態になっていた。
有機金属化合物は、比誘電率が金属酸化物と比較して低い材料であり、トラップが形成され難い材料である。金属酸化物は、比誘電率が有機金属化合物と比較して高い材料であり、金属酸化物のみでゲート絶縁膜5を形成するとトラップが形成されて移動度の低下を招くが、有機金属化合物と化学的に結合することで、トラップが形成され難くなる。また、金属酸化物のうち有機金属化合物と未反応のものも存在する可能性があり、その部分においてトラップが形成され得るが、未反応のものは多くはなく、トラップが形成されたとしても多くは形成されない。少なくとも、金属酸化物のみでゲート絶縁膜5を形成する場合と比較すると、本実施形態の構造であれば大幅にトラップを低減できる。
このような有機金属化合物としては、例えばアルコーン(Alucone)を用いることができ、金属酸化物としては、アルミナを用いることができる。アルコーンは、例えばトリメチルアルミニウム(AlCH3、以下、TMA(Trimethylaluminium)という)とエチレングリコール(C22(OH)2)との反応によって形成可能である。アルミナをTMAと水(H2O)との反応によって形成する場合には、アルコーンとアルミナの製造においてTMAを共通材料として用いることができる。
ただし、アルコーンは、凝集性があり、平坦性・密着性に乏しく移動度を低下させることから、ゲート絶縁膜5としてアルコーンのみを用いることは好ましくない。また、アルコーンのみでは比誘電率が低く、アルミナとの混合体とすることで比誘電率を向上させられる。このため、アルコーンとアルミナとの混合体を用いてゲート絶縁膜5の少なくとも有機半導体薄膜4と接している部分を構成している。
これにより、ゲート絶縁膜5の少なくとも有機半導体薄膜4と接している部分にトラップが形成されることによる移動度の低下を抑制できる。そして、その混合体の比誘電率を4〜6と有機金属化合物のみで構成する場合よりも高くできることから、ゲート駆動電圧の上昇を抑制することも可能となる。
さらに、このように構成されたゲート絶縁膜5の上にはゲート電極6が形成されている。具体的には、有機半導体薄膜4のうちソース電極2とドレイン電極3との間に位置する部分をチャネル領域として、チャネル領域と接するようにゲート絶縁膜5が配置されており、このゲート絶縁膜5を挟んでチャネル領域と対向する位置にゲート電極6が形成されている。ゲート電極6は、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)などの電極材料によって構成されている。
以上のようにして、本実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタが構成されている。
このように構成された有機半導体トランジスタでは、ゲート絶縁膜5のうち少なくとも有機半導体薄膜4と接している部分を有機金属化合物と金属酸化物との混合体としている。これにより、移動度の低下を抑制しつつ、ゲート駆動電圧の上昇を抑制することが可能となる。
また、ゲート絶縁膜5のうち有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成されている部分の膜厚を3nm未満としている。これは、混合体の熱膨張係数が混合体の接している有機半導体薄膜4の熱膨張係数よりも小さいためである。混合体と有機半導体薄膜4との間の熱膨張係数に差が有る場合、温度変化に応じた応力が発生する。このため、混合体が厚いと、応力の影響でゲート絶縁膜5と有機半導体薄膜4との間に亀裂が入ったり、混合体の部分にクラックが入り、ゲートリークが発生して耐久性が得られなくなる可能性がある。
本発明者らが調査したところ、ゲート絶縁膜5のうち有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成されている部分の膜厚が3nm以上になると耐久性が低下し、その膜厚は3nm未満になると耐久性が得られることが確認された。このため、本実施形態ではゲート絶縁膜5のうち有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成されている部分の膜厚は3nm未満としている。これにより、ゲート絶縁膜5の少なくとも一部を有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成しても、有機半導体トランジスタの耐久性を確保することが可能となる。
さらに、トップゲート型の有機半導体トランジスタの場合、SAMを用いることができないため、有機半導体材料としては末端に側鎖を有し、かつ、結晶性を有する低分子有機半導体が好ましい。また、ALD法によってゲート絶縁膜5を形成する場合には、より高温で成膜した方が良質なゲート絶縁膜5を得ることができるため、より高耐熱な有機半導体材料を用いるのが好ましい。
有機半導体薄膜4を上記した化学式1で示される低分子有機半導体によって構成した場合、耐熱性に優れているし、末端に側鎖を有していることから、下地となる基材1との界面にSAMと同様の構造を生成することも可能となる。このようなSAMと同様の構造を生成できる場合、ゲート絶縁膜5のうち有機半導体薄膜4との界面の部分の比誘電率を低くした場合と同様にトラップが形成され難くなるようにできる。したがって、化学式1で示される低分子有機半導体を用いることで、耐熱性を向上させられると共に、さらに移動度の向上を図ることも可能となる。
比誘電率が大きいゲート絶縁膜の場合には双極子モーメントが大きいため、有機半導体分子、特に電子密度の高いπ電子雲部分との相互作用によりトラップが形成されやすくなる。このため、ゲート絶縁膜と有機半導体の界面に該相互作用を妨げるSAMを挿入することで特性が改善される。側鎖にアルキル鎖を有するチオフェン系有機半導体は、へリングボーン型の結晶構造をとることが一般的に知られている。この場合、有機半導体分子はゲート絶縁膜に対して長軸方向に立った構造をとるため、SAMと同様にアルキル鎖が上記相互作用を妨げる効果を発現する。
続いて、本実施形態にかかるトップゲート構造の有機半導体トランジスタの製造方法について説明する。
まず、基材1の表面にソース電極2およびドレイン電極3を形成する。例えば、印刷や蒸着などによる成膜法、および、フォトリソグラフィなどによるパターニング法などを用いて、ソース電極2およびドレイン電極3を形成している。具体的には、ソース電極2およびドレイン電極3の形成予定位置以外の部分をレジストやマスクなどでマスキングし、この状態で印刷や蒸着による成膜を行う。その後、マスキングを解除すれば、ソース電極2およびドレイン電極3が形成される。ここでは、例えば蒸着によって金を50nm形成することで、ソース電極2およびドレイン電極3を形成している。
続いて、ソース電極2およびドレイン電極3を形成した基材1の上に有機半導体薄膜4を配置する。例えば、高分子有機半導体材料や低分子有機半導体材料にて有機半導体薄膜4を形成しており、有機半導体材料を溶媒に溶かした溶液からなるインクを用いた印刷や、蒸着によって有機半導体薄膜4を形成している。ここでは、上記した化学式1に示される低分子有機半導体としてn=10とした化合物を印刷により20nm形成した。
さらに、ソース電極2およびドレイン電極3や有機半導体薄膜4を覆うように、ALD法によってゲート絶縁膜5を成膜する。このとき、チャンバー内の雰囲気を有機金属酸化物の成膜雰囲気と金属酸化物の成膜雰囲気とを交互に繰り返して切替えていくことで、有機金属酸化物と金属酸化物の混合体が形成されるようにする。
例えば、有機金属酸化物をアルコーンで構成する場合には、TMAをチャンバー内に導入し、余剰なTMAを排気することで、基板上に1分子相当のTMAを吸着させる。その後、エチレングリコールを同様にチャンバー内に導入し余剰分を排気することで、TMA1分子上にエチレングリコール1分子が吸着され、両分子の化学反応により基板上に1分子相当のアルコーンが形成される。このサイクルを繰り返すことで、分子層レベルに膜厚を制御しながら、所望の膜厚のアルコーンを形成することができる。
また、金属酸化物をアルミナで構成する場合には、TMAをチャンバー内に導入し、余剰なTMAを排気することで、基板上に1分子相当のTMAを吸着させる。その後、水を同様にチャンバー内に導入し余剰分を排気することで、TMA1分子上に水1分子が吸着され、両分子の化学反応により基板上に1分子相当のアルミナが形成される。このサイクルを繰り返すことで、分子層レベルに膜厚を制御しながら、所望の膜厚のアルミナを形成することができる。
このとき、有機金属酸化物と金属酸化物のそれぞれが膜状になる前、例えば平均1nm未満の厚みとなるよう、具体的には基板上にガス分子が均一に吸着しないようにガス導入時間を短く制御しながらチャンバー内の雰囲気を切替えていくことで、有機金属酸化物と金属酸化物とが交互に膜状となるバイレイヤーとはならず、これらが化学的に結合した混合体を作り出すことができる。これらアルコーンとアルミナをそれぞれ平均2nm以上形成すると、明確なバイレイヤー構造になる。比誘電率の制御という観点では、混合体であってもバイレイヤー構造であってもよいが、混合体の方が密着性が著しく向上することを実験的に見出している。これは、バイレイヤー構造では明確な界面が存在し、界面を起点とした剥離が発生しやすいためである。したがって、本実施形態のように、バイレイヤー構造ではない混合体とすることで、高い密着性が得られるようにしている。
また、このときの混合体の比誘電率の制御は、有機金属酸化物と金属酸化物の混合比率によって決定され、具体的にはこれらの厚みを制御することによって行っている。ここでは、アルコーンとアルミナの比率を1:1に制御し、比誘電率が4となる混合体を3nm形成した。
このように、チャンバー内の雰囲気を有機金属酸化物の成膜雰囲気と金属酸化物の成膜雰囲気とを交互に繰り返して切替えていくことで、有機金属酸化物と金属酸化物とが化学的に結合した混合体を形成できる。そして、有機金属酸化物をアルコーンで構成し、金属酸化物をアルミナで構成する場合、共通材料としてTMAを用いることができることから、エチレングリコールと水を切替えるだけで済み、製造工程の簡素化を図ることもできる。
この後、ゲート絶縁膜5の上にゲート電極6の構成材料として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)などを成膜する。例えば、印刷や蒸着などによる成膜法、または、フォトリソグラフィ等によるパターニング法を採用することで、ゲート電極6を形成する。具体的には、レジストやマスクなどでマスキングし、この状態で印刷や蒸着による成膜を行う。その後、マスキングを解除すれば、ゲート電極6が形成される。ここでは、例えば蒸着によって金を50nm形成することで、ゲート電極6を形成している。これにより、本実施形態にかかる有機半導体トランジスタが完成する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してゲート絶縁膜5の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図2に示すように、本実施形態の有機半導体トランジスタでは、ゲート絶縁膜5を二層構造としている。具体的には、有機半導体薄膜4に接している第1層5aを上記第1実施形態で説明した有機金属化合物と金属酸化物との混合体によって構成し、その上の第2層5bを金属酸化物によって構成している。第2層5bを構成している金属酸化物としてはアルミナを用いている。
第2層5bを構成しているアルミナなどの金属酸化物は、第1層5aを構成している混合体と比較して、比誘電率が高い。このため、ゲート絶縁膜5のトータルの比誘電率を高くすることができる。特に、第1層5aを構成している混合体の比誘電率も、第1層5aをポリマーなどで構成する場合と比較して高い値となっていることから、第1層5aと第2層5bの比誘電率を合算したトータルの比誘電率は高い値となる。例えば、本実施形態の場合、ゲート絶縁膜5のトータルの比誘電率を6以上とすることが可能となる。したがって、よりゲート駆動電圧の上昇を抑制することが可能になる。
また、第2層5bを構成する金属酸化物は、第1層5aを構成する混合体と比較して熱膨張係数が高い。このため、熱膨張係数の低い第1層5aを構成する混合体を熱膨張係数の高い有機半導体薄膜4と第2層5bを構成する金属酸化物とによって挟み込んだ構造にでき、有機半導体薄膜4と第1層5aとの熱膨張係数の差に起因する応力を低減することが可能となる。
したがって、応力の影響でゲート絶縁膜5と有機半導体薄膜4との間に亀裂が入ったり、混合体で構成された第1層5aの部分にクラックが入ることでゲートリークが生じることを抑制でき、より耐久性に優れた有機半導体トランジスタにできる。さらに、第1実施形態で説明したように第1層5aの厚みを3nm未満にすると、特に第1層5aの低い熱膨張係数の影響を抑制でき、より耐久性に優れた有機半導体トランジスタにできる。
実験として、石英基板上に有機金属酸化物と金属酸化物との混合体や金属酸化物であるアルミナを成膜した膜サンプルについて反り量測定を行った。当該測定から算出される内部応力は混合体とアルミナとで符号が反転していた。具体的には、アルミナは正であるため引っ張り応力、混合体は負であるため圧縮応力となった。このことから、少なくとも熱膨張係数の関係は、混合層<石英基板<アルミナであると解釈される。
本実施形態で示したようなトップゲート型構造においては、熱膨張係数の大きい有機半導体上に、熱膨張係数の小さい混合体を形成するため、混合体が無い場合と比較して内部応力が大きくなるためクラックが発生しやすい。
実際に、有機半導体に有機金属酸化物と金属酸化物の混合体と金属酸化物であるアルミナとを積層したトップゲート型構造において、有機半導体とアルミナとの間に挿入された混合体の膜厚と内部応力との関係を調べた。その関係を図3に示す。この図から判るように、混合体の膜厚が3nmよりも大きくなると応力に変化が見られ、実際に10nm程度ではクラックが発生することが確認された。ゲート絶縁膜にクラックが発生すると、上下電極間がショートしトランジスタが動作しなくなる。よって、クラック抑止の観点から、混合体の膜厚は3nm以下が好ましい。
さらに、実験として、上記第1実施形態と同様の製造方法を用いて、本実施形態にかかる有機半導体トランジスタを製造した。ただし、有機半導体薄膜4については、アルコーンとアルミナの比率を1:1に制御して、比誘電率が4となる混合体を厚さ3nm形成することで第1層5aを成膜したのち、さらに比誘電率が8のアルミナを厚さ100nm形成することで第2層5bを成膜した。これによる第1層5aと第2層5bとによるゲート絶縁膜5の全比誘電率は7.8であった。また、絶縁耐圧は4.5MV/cmであった。また、このように形成した有機半導体トランジスタの伝達特性を評価したところ、ゲート電圧10V、ソース−ドレイン間電圧15Vにおける移動度が3.0cm2/Vsであった。これらの結果からも、高い耐圧が得られ、かつ、高い移動度が得られていることが判る。
より具体的に、金属酸化物をアルミナで構成した場合におけるブレイクダウン耐圧について調べたところ、図4に示す結果が得られた。この図から判るように、4MV/cm以上という高い絶縁耐圧が得られている。このため、ゲート絶縁膜5を厚膜化することによる耐圧の補償は必要とされない。
なお、ここでいう耐圧とは、リーク電流の傾きが変化する電界点を意味している。金属酸化物で構成される第2層5bをアルミナとした場合、膜厚が70nm未満になるとブレイクダウン耐圧の低下が顕著に見られることから、好ましくは70nm以上の膜厚にすると良い。
(第2実施形態の変形例)
上記した第2実施形態の構造の有機半導体トランジスタにおいて、第1層5aと第2層5bの構成を変更したものを作成した。
具体的には、有機半導体薄膜4について、アルコーンとアルミナの比率を1:2に制御して、比誘電率が5.1となる混合体を厚さ3nm形成することで第1層5aを成膜したのち、さらに比誘電率が8のアルミナを厚さ100nm形成することで第2層5bを成膜した。これによる第1層5aと第2層5bとによるゲート絶縁膜5の全比誘電率は7.9であった。また、絶縁耐圧は4.5MV/cmであった。これ以外については、第2実施形態で示した構造とした。
このように形成した有機半導体トランジスタの伝達特性を評価したところ、ゲート電圧10V、ソース−ドレイン間電圧15Vにおける移動度が2.8cm2/Vsであった。これらの結果からも、高い耐圧が得られ、かつ、高い移動度が得られていることが判る。
(比較例)
上記した第2実施形態の構造の有機半導体トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜5に混合体からなる第1層5aを備えていないものを作成した。これ以外については、第2実施形態で示した構造とした。
このように形成した有機半導体トランジスタの伝達特性を評価したところ、ゲート電圧10V、ソース−ドレイン間電圧15Vにおける移動度が1.2cm2/Vsであった。この結果からも、第1層5aを備えていないと、高い移動度が得られないことが判る。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、トップゲート構造と呼ばれる有機半導体トランジスタの構造は、図1や図2に示した構造以外にもあり、いずれの構造のものに対しても本発明を適用できる。具体的には、基材1の上に離間して配置されたソース電極2およびドレイン電極3の間にのみ有機半導体薄膜4が配置され、これらソース電極2およびドレイン電極3と有機半導体薄膜4の上にゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が備えられた構造であっても良い。また、基材1の上に配置した有機半導体薄膜4の上にソース電極2およびドレイン電極3を離間して配置し、さらにソース電極2およびドレイン電極3や有機半導体薄膜4の上にゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が備えられた構造であっても良い。
また、上記各実施形態では、ゲート絶縁膜5のうちの有機半導体薄膜4と接する部分を構成する混合体を有機金属化合物と金属酸化物とによって構成する場合について説明した。これに限らず、その部分を有機化合物と金属酸化物との混合体によって構成しても良い。例えば、有機化合物としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)などを用いることができ、金属酸化物としてはアルミナなどを用いることができる。
さらに、上記第2実施形態では、ゲート絶縁膜5を第1層5aと第2層5bの二層構造とする場合について説明したが、これ以上の複数層としても良い。すなわち、二層以上の複数層とする場合、ゲート絶縁膜5のうち有機半導体薄膜4と接する第1層5aを有機金属化合物または有機化合物と金属酸化物との混合体で構成し、それよりも上層に金属酸化物で構成された層を少なくとも1層有していれば、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、有機半導体トランジスタを構成する各部の材質や寸法などについては一例を示したに過ぎない。さらに、基材1の上に直接有機半導体トランジスタを構成する各部を形成するようにしたが、必要に応じて基材1の上に絶縁膜などを形成してから有機半導体トランジスタを構成する各部を形成するようにしても良い。
1 基材
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 有機半導体薄膜
5 ゲート絶縁膜
5a 第1層
5b 第2層
6 ゲート電極

Claims (6)

  1. 基材(1)と、
    前記基材の上に離間して配置されたソース電極(2)およびドレイン電極(3)と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間を連結するように配置された有機半導体薄膜(4)と、
    前記有機半導体薄膜のうち前記ソース電極および前記ドレイン電極の間に配置された部分をチャネル領域として、該チャネル領域に接して設けられたゲート絶縁膜(5)と、
    前記ゲート絶縁膜を挟んで前記チャネル領域の反対側に配置されたゲート電極(6)と、を有し、
    前記ゲート絶縁膜のうち、少なくとも前記有機半導体薄膜と接している部分は、比誘電率が4〜6の絶縁材料で構成されていると共に、該絶縁材料が有機金属化合物もしくは有機化合物と金属酸化物との混合体からなり、該混合体中の構成材料が化学的に結合していることを特徴とする有機半導体トランジスタ。
  2. 前記混合体は有機金属化合物と金属酸化物とによって構成され、
    前記有機金属化合物は、トリメチルアルミニウムとエチレングリコールとの反応により生成されたアルコーンであり、前記金属酸化物は、トリメチルアルミニウムと水との反応により生成されたアルミナであることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体トランジスタ。
  3. 前記ゲート絶縁膜は、前記有機半導体薄膜と接している部分を構成している第1層(5a)と、該第1層よりも上に形成された第2層(5b)の少なくとも二層を有する複数層構造とされており、
    前記第2層は、金属酸化物にて構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機半導体トランジスタ。
  4. 前記複数層構造とされた前記ゲート絶縁膜のトータルの比誘電率が6以上とされていることを特徴とする請求項3に記載の有機半導体トランジスタ。
  5. 前記ゲート絶縁膜は、前記有機半導体薄膜と接している部分を構成している前記混合体の厚みが3nm未満であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の有機半導体トランジスタ。
  6. 前記有機半導体薄膜を構成する有機半導体は、
    Figure 2016213324
    で表される材料であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の有機半導体トランジスタ。
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