JP2016213122A - 有機エレクトロルミネッセンスデバイス、及びその製造方法 - Google Patents

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純一 長瀬
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孝洋 中井
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仁 吉川
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才将 西森
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Abstract

【課題】 長期間に亘って発光性能を維持し得る有機ELデバイスを提供する。【解決手段】 本発明の有機ELデバイス1は、基板2と、前記基板2上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子4を有する積層体3と、包埋樹脂層7と、を有し、前記包埋樹脂層7が、前記積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている。【選択図】 図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、及びその製造方法に関する。
一般的に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子を含む積層体が積層された構造を有する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも第1導電層と、有機層と、第2導電層とを有する。近年、このような有機エレクトロルミネッセンスデバイスを照明装置などに応用することが検討されている。以下、「有機エレクトロルミネッセンス」を単に「有機EL」と表す。
有機EL素子は、水分や酸素によって劣化し、特に、有機層は劣化し易い。有機EL素子が劣化すると、長期間に亘り有機ELデバイスの安定した発光を維持できない虞がある。そのため、有機ELデバイスの劣化防止のためには、有機EL素子への(特に、有機層への)水分や酸素の侵入を防ぐ必要がある。
有機ELデバイスの劣化を防止するため、例えば、基板上に設けられた有機EL素子を樹脂層で封止することが知られている(例えば、特許文献1)。同文献では、基材上に設けられた有機EL素子が樹脂層によって封止され、さらに、樹脂層の上に封止基材が貼り合わされている。同文献で用いられる樹脂層は、耐透湿性に優れているため、樹脂層の内側に外部から水分や酸素が侵入し難い。従って、有機EL素子の劣化を防止することができる。
しかしながら、このように有機EL素子を樹脂によって封止したとしても、有機ELデバイスを長期間に亘って使用した場合、安定して発光性能を維持できない場合がある。このような問題は、特に、薄型で可撓性を有する有機ELデバイスを作製した場合に顕著である。
特開2010−135213号公報
本発明の目的は、長期間に亘り安定して発光性能を維持し得る有機ELデバイスを提供することである。
本発明者が鋭意研究したところ、有機ELデバイスの発光性能が劣化する一因は、有機ELデバイスを構成する各部材が、各部材間の界面において剥離することにあることを見出した。以下、図16を参照しつつ具体的に説明する。
図16は、従来公知の有機ELデバイス1Aの層構成を示す概略断面図である。図16において、有機ELデバイス1Aは、基板2Aと、基板2A上に設けられた有機EL素子4Aと、を有している。有機EL素子4Aは、基板2A上面に積層された第1導電層41A、第1導電層41Aの上面に積層された有機層42A、及び有機層42A上に積層された第2導電層43Aと、を有する。
第1導電層41Aは、有機層42Aよりも外側(基板2Aの端縁が存在する側)に延出した第1端子部411Aを有し、第2導電層43Aは、有機層42Aよりも外側であって第1端子部411Aの延出方向とは反対側に延出した第2端子部431Aを有する。
有機EL素子4Aの上面及び端面には、第1端子部411A及び第2端子部431Aを除いて、封止樹脂層5Aが設けられており、さらに封止樹脂層5Aの上面には、封止フィルム6Aが設けられている。封止樹脂層5A及び封止フィルム6Aは、有機ELデバイス1Aの外側から水分や酸素が侵入することを防止することにより、有機EL素子4Aの劣化を防ぐ層である。
しかし、この有機ELデバイス1Aを長期間に亘って使用した場合、封止樹脂層5Aと第1及び第2端子部411A,431Aとの界面、第1及び第2端子部411A,431Aと基板2Aとの界面、並びに、封止フィルム6Aと封止樹脂層5Aとの界面が徐々に剥離する。即ち、有機ELデバイス1Aを構成する各部材が、各部材間の界面において徐々に剥離する。このように各部材が剥離すれば、そこから水分や酸素が侵入し、有機ELデバイス1Aの発光性能が劣化する。
特に、薄型で可撓性を有する有機ELデバイス1Aにおいては、上記各部材間の界面剥離は顕著に生じる。つまり、薄型で可撓性を有する有機ELデバイス1Aは、撓んだ状態で使用される場合が多いため、より各部材が界面剥離を生じやすい。
本発明者は、有機ELデバイスを構成する各部材が界面剥離を発生し難くすることにより有機ELデバイスの劣化を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の有機ELデバイスは、基板と、前記基板上に設けられた有機EL素子を有する積層体と、包埋樹脂層と、を有し、前記包埋樹脂層が、前記積層体の上面及び端面から基板の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている。
好ましくは、本発明の有機ELデバイスは、前記積層体が、外部から電力を供給する導電部材を電気的に接続するための、通電予定部を有し、前記通電予定部が露出している。
好ましくは、本発明の有機ELデバイスは、前記積層体が、外部から電力を供給する導電部材を電気的に接続するための、通電予定部と、前記通電予定部に接続された前記導電部材と、を有し、前記包埋樹脂層が、前記導電部材の上面から前記基板の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている。
好ましくは、本発明の有機ELデバイスは、前記包埋樹脂層が、前記積層体の上面全体及び前記基板の下面全体に設けられている。
また、好ましくは、前記包埋樹脂層と前記基板の間及び前記包埋樹脂層と前記積層体の間のうち少なくとも何れか一方の間に無機膜が設けられている。
本発明の別の局面によれば、有機ELデバイスの製造方法を提供する。
本発明の有機ELデバイスの製造方法は、基板上に、有機EL素子を有する積層体を形成する工程と、前記積層体に、外部から電力を供給する、導電部材を電気的に接続する工程と、前記積層体の上側に第1熱可塑性樹脂フィルムを配置し、且つ、前記基板の下側に第2熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、前記第1及び第2熱可塑性樹脂フィルムを溶融させ、両フィルムの周縁部を一体化させる工程と、前記一体化させた熱可塑性樹脂フィルムを硬化させる工程と、を有する。
本発明の有機ELデバイスは、包埋樹脂層が、積層体の上面及び端面から基板の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている。そのため、有機ELデバイスを構成する各部材が界面剥離を生じ難くなり、その結果、長期間に亘り安定して発光性能を維持し得る有機ELデバイスを提供できる。
第1実施形態に係る有機ELデバイスを示す平面図。 図1の有機ELデバイスをII−II線で切断した拡大断面図。 図1の有機ELデバイスをIII−III線で切断した拡大断面図。 図1の有機ELデバイスをIV−IV線で切断した拡大断面図。 第2実施形態に係る有機ELデバイスを図1のIII−III線と同様の位置で切断した拡大断面図。 第3実施形態に係る有機ELデバイスを示す平面図。 第4実施形態に係る有機ELデバイスを示す平面図。 第5実施形態に係る有機ELデバイスを図1のII−II線と同様の位置で切断した拡大断面図。 第6実施形態に係る有機ELデバイスの第1例を示す拡大断面図。 図9の有機ELデバイスを一部拡大断面図。 第6実施形態に係る有機ELデバイスの第2例を示す一部拡大断面図。 第6実施形態に係る有機ELデバイスの第3例を示す一部拡大断面図。 積層体の上側及び基板の下側に熱可塑性樹脂フィルムを配置した状態を表す平面図。 図13の積層体及び基板をXIV−XIV線で切断した拡大断面図。 図14の積層体の上側及び基板の下側に配置された熱可塑性樹脂フィルムを加熱し、軟化させた状態を表す拡大断面図。 従来の有機ELデバイスを示す拡大断面図。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。ただし、各図における層厚及び長さなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。また、本明細書において、用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するためだけに付されたものであり、順序や優劣などの特別な意味を持たない。
さらに、本明細書において、方向を意味する「上」は、便宜上、図2及び図3に示すような水平面に置いた有機ELデバイスを基準に、図面の上側を指し、「下」は図面の下側を指す。また、ある部材又は部分の面のうち、上側にある面を「上面」といい、下側にある面を「下面」といい、ある部材又は部分の厚みを構成する面を「端面」という。
<第1実施形態に係る有機ELデバイス>
図1は、本発明の一実施形態に係る有機ELデバイス1を示す平面図であり、図2乃至図4は、同拡大断面図である。なお、図4に表される2本の一点鎖線は、両一点鎖線間に存在する有機ELデバイス1の描写を、便宜上、省略していることを意味する。
また、本明細書において例示する有機ELデバイス1は、全て図1に示すように平面視帯状であるが、本発明において有機ELデバイス1の平面視形状は特に限定されない。もっとも、有機ELデバイス1の平面視形状は帯状であることが好ましい。複数の平面視帯状の有機ELデバイス1を並設し、それらを電気的に接続することで、一枚の大きな発光装置を構成することができるためである。
平面視帯状の有機ELデバイス1の寸法は特に限定されないが、一般的には、有機ELデバイス1の幅:長さは、1:3〜1:20であり、好ましくは、1:3〜1:10である。
本明細書では、便宜上、図1に示すように、有機ELデバイス1の幅方向における第1端が位置する側(図1の左側)を第1側、幅方向における第2端が位置する側(図1の右側)を第2側、長さ方向における第1端が位置する側(図1の上側)を第3側、及び長さ方向における第2端が位置する側(図1の下側)を第4側という。
図2及び図3では、その左側が第1側であり、その右側が第2側であり、図4では、その左側が第3側であり、その右側が第4側である。
また、本明細書では、第1側乃至第4側に位置する部材又は部分の端面全てを合わせて「周面」と称する場合がある。
図1乃至図4に示すように、本発明の有機ELデバイス1は、基板2と基板2上に設けられた積層体3と、包埋樹脂層7と、を有する。
なお、図1において、ドット状模様を付した部分は、包埋樹脂層7が設けられた部分であり、ドット状模様を付していない白色の部分は、包埋樹脂層7が設けられていない部分(後述する通電予定部411a,431a)である。
積層体3は、少なくとも有機EL素子4を有する。
有機EL素子4は、第1導電層41と、第1導電層41上に設けられた有機層42と、有機層42上に設けられた第2導電層43と、を有する。有機層42は、第1導電層41の上面に設けられており、第2導電層43は、有機層42の上面に設けられている。
第1導電層41は、有機層42よりも第1側に延設された第1端子部411を有する。また、第2導電層43は、有機層42よりも第2側に延設された第2端子部431を有する。
図1に示すように、第1端子部411は、その上面に、有機ELデバイス1の外部から電気を供給する導電部材が接続されるための、第1通電予定部411aを有する。第1通電予定部411aは、第1端子部411の上面における任意の領域である。本実施形態では、図1に示すように、第1端子部411の上面の一部(ドット状模様が付されていない白色の部分)が第1通電予定部411aである。第1通電予定部411aの平面視形状は特に限定されず、接続される導電部材の形状に合わせて適宜設定することができる。また、第2端子部431も、第1端子部411と同様に、第2通電予定部431aを有する。
両通電予定部411a,431aに導電部材を接続することにより、有機ELデバイス1に電気が供給可能となる。両通電予定部411a,431aが接受した電気は、有機層42に供給され、その結果、有機層42(正確には、有機層42に含まれる発光層422)が発光する。
第1実施形態に係る有機ELデバイス1では、図2乃至図4に示すように、積層体3は、有機EL素子4と、有機EL素子4の上面(但し、第1及び第2端子部411,431を除く)及び端面に設けられた封止樹脂層5と、封止樹脂層5の上面に設けられた封止フィルム6と、を有する。
もっとも、本発明において、積層体3は、少なくとも有機EL素子4を有していればよく、封止樹脂層5及び封止フィルム6を有していなくてもよい。
本発明では、積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて、包埋樹脂層7が連続的に設けられている。包埋樹脂層7が連続的に設けられるとは、包埋樹脂層7が途切れることなく設けられることを意味する。即ち、本発明の有機ELデバイス1は、断面視した際に、積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて包埋樹脂層7が連続した部分を有する。
本発明において、包埋樹脂層7は、積層体3及び基板2に直接設けられていてもよく、他部材を介して間接的に設けられていてもよい。
包埋樹脂層7が、積層体3及び基板2に直接設けられるとは、包埋樹脂層7が積層体3及び基板2と直接接するように設けられることを意味する。また、包埋樹脂層7は、その一部が、積層体3及び基板2に直接設けられていてもよく、それ以外の部分が、積層体3及び基板2に他部材を介して間接的に設けられていてもよい。
図1乃至図4に示す本発明の第1実施形態では、包埋樹脂層7は、積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて、直接設けられている。
具体的には、本実施形態において、包埋樹脂層7は、上から順に積層体3の最上面(第2導電層43の最上面)全体、積層体3の周面(第1側乃至第4側に位置する端面)全体、第1通電予定部411aを除く第1端子部411の上面全体、及び第2通電予定部431aを除く第2端子部431の上面全体、並びに、基板2の周面(第1側乃至第4側に位置する端面)全体、及び基板2の下面全体にかけて直接設けられている。
第1及び第2通電予定部411a,431aには、包埋樹脂層7は設けられていない。即ち、両通電予定部411a,431aは、露出している。露出した両通電予定部411a,431aに導電部材を接続することで、有機ELデバイス1に電気を供給することができる。
本発明では、積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて、包埋樹脂層7が連続的に設けられている。つまり、上から順に積層体3の上面、積層体3の端面、基板2の端面、及び基板2に下面にかけて途切れることなく設けられている。そのため、基板2と積層体3は、包埋樹脂層7によって挟持される。換言すれば、基板2と積層体3は、包埋樹脂層7によって結束される。
包埋樹脂層7によって結束された基板2及び積層体3は、界面剥離を生じ難くなり、水分や酸素が有機EL素子4にまで侵入し難くなる。そのため、有機ELデバイス1の劣化を防止することができ、その発光性能を長期間に亘って維持することができる。
また、有機ELデバイス1の基板2として金属を用いた場合、一般的に、その端縁が鋭利となり易く、有機ELデバイス1を取り扱う際に、基板2の端縁で怪我をし易い(即ち、有機ELデバイス1の取り扱い性が低い)。
これに対し、本発明では、包埋樹脂層7が積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて連続して設けられているため、基板2の端縁は、包埋樹脂層7によって覆われている(即ち、露出していない)。そのため、本発明の有機ELデバイス1は、金属基板を用いた場合であっても、その端縁で怪我をし難く、取り扱い性に優れる。
以下、本発明の有機ELデバイス1を構成する各部材の形成材料などについて詳述する。なお、本明細書では、有機ELデバイス1の第1導電層41が陽極層であり、且つ、第2導電層43が陰極層であることを前提としている。しかし、本発明の有機ELデバイス1は、第1導電層41が陰極層であり、且つ、第2導電層43が陽極層であってもよい。
[基板]
基板は、その上面に積層体が設けられる板状の部材である。
基板の形成材料は、特に限定されない。基板の形成材料としては、例えば、ガラス、セラミック、金属、樹脂などが挙げられる。基板は、透明及び不透明の何れでよいが、ボトムエミッション型の有機ELデバイスを形成する場合には、透明な基板が用いられる。
また、基板は、駆動時に有機ELデバイスの温度上昇を防止するため、放熱性に優れていることが好ましく、有機EL素子に水分や酸素が侵入することを防止するため、ガスバリア性を有することが好ましい。
放熱性やガスバリア性を考慮すると、基板の形成材料としては、金属を用いることが好ましい。
基板の形成材料として樹脂を用いる場合、この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられ、好ましくは、ポリイミド系樹脂が用いられる。
基板の形成材料として金属を用いる場合、この金属としては、例えば、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、及びこれらの合金等が挙げられ、好ましくは、ステンレスが用いられる。
また、基板は、可撓性を有することが好ましい、このような可撓性を有する基板の形成材料としては、銅やアルミニウムが挙げられる。
なお、「可撓性を有する」は、基板に力を加えた際に、基板の厚み方向に大きく変化する(撓む)ものの、基板の面内方向(厚み方向と直交する方向)には殆ど変形しない性質を有することを表し、具体的には、基板の厚さをx(μm)とした場合、x1/2×10(cm)の直径を有する丸棒に基板を巻き付けても、基板に破断及びクラックの発生が生じないことをいう。
基板の厚みは特に限定されず、通常、10μm〜100μmであり、好ましくは、20μm〜50μmである。また、基板の平面視形状は特に限定されず、適宜変更することができる。図1に示すように、本発明では、平面視帯状の基板が用いられている。
[積層体]
積層体は、基板の上面に設けられる、複数の層から成る部材である。積層体は、少なくとも有機EL素子を有しており、有機EL素子の有機層に含まれる発光層が発光性を有している。有機EL素子は、第1導電層(陽極層)、有機層、及び第2導電層(陰極層)を有し、この順に基板上に積層されている。
(第1導電層)
第1導電層(陽極層)は、導電性を有する膜からなる。
陽極層の形成材料は、特に限定されないが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウム;金;白金;ニッケル;タングステン;銅;合金;などが挙げられる。陽極層は、透明及び不透明の何れでよいが、ボトムエミッション型の有機ELデバイスを形成する場合には、透明な形成材料が用いられる。陽極層の厚みは特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
陽極層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。例えば、金属によって陽極を形成する場合には、蒸着法が用いられる。
(有機層)
有機層は、少なくとも2つの機能層からなる積層体である。有機層の構造としては、例えば、(A)正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層の、3つの層からなる構造、(B)正孔輸送層及び発光層の、2つの層からなる構造、(C)発光層及び電子輸送層、の2つの層からなる構造、などが挙げられる。前記(B)の有機層は、発光層が電子輸送層を兼用している。前記(C)の有機層は、発光層が正孔輸送層を兼用している。
本発明の有機ELデバイス1の有機層42は、上記(A)〜(C)の何れの構造であってもよい。
なお、図1乃至図12に示す、本発明の有機ELデバイス1は、全て(A)の構造を有する。即ち、図1乃至図12の有機ELデバイス1は、下から順に正孔輸送層421、発光層422、及び電子輸送層423が積層された3層構造の有機層を有する。
有機層42に含まれる正孔輸送層421は、発光層422に正孔を注入する機能を有し、電子輸送層423は、発光層422に電子を注入する機能を有する。
第1及び第2端子部411,431に電気が流れると、発光層422に注入された正孔及び電子が再結合することにより、励起子(エキシトン)を生じる。この励起子が基底状態に戻るときに発光層422が発光する。以下、3層構造の有機層42に含まれる各層について説明する。
正孔輸送層は、第1導電層(陽極層)の上面に設けられる。正孔輸送層は、発光層に正孔を注入する機能を有する層である。
正孔輸送層の形成材料は、正孔輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。正孔輸送層の形成材料としては、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(略称:TcTa)などの芳香族アミン化合物;1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9’−スピロビスフルオレン(略称:Spiro−NPB)などのスピロ化合物;高分子化合物;などが挙げられる。正孔輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、正孔輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
正孔輸送層の厚みは、特に限定されないが、有機ELデバイスの駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
また、正孔輸送層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法、コート法などが挙げられる。
発光層は、正孔輸送層の上面に設けられる。
発光層の形成材料は、発光性を有する材料であれば特に限定されない。発光層の形成材料としては、例えば、低分子蛍光発光材料、低分子燐光発光材料などの低分子発光材料を用いることができる。
このような低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(略称:DPVBi)などの芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾールなどのオキサジアゾール化合物;3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのスチリルベンゼン化合物;ベンゾキノン誘導体;ナフトキノン誘導体;アントラキノン誘導体;フルオレノン誘導体;アゾメチン亜鉛錯体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などの有機金属錯体;などが挙げられる。
発光層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2nm〜500nmが好ましい。
また、発光層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、通常、蒸着法によって形成される。
電子輸送層は、発光層の上面(陰極層の下面)に設けられる。電子輸送層は、発光層に電子を注入する機能を有する。
電子輸送層の形成材料は、電子輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。電子輸送層の形成材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)などの金属錯体;2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン(略称:Bpy−FOXD)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’'−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)などの複素芳香族化合物;ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)などの高分子化合物;などが挙げられる。電子輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、電子輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
電子輸送層の厚みは、特に限定されないが、有機ELデバイスの駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
また、電子輸送層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法、コート法などが挙げられる。
(第2導電層)
第2導電層(陰極層)は、導電性を有する膜からなる。
陰極層の形成材料は、特に限定されない。陰極層の形成材料としては、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウムなどの導電性金属を添加した酸化亜鉛(ZnO:Al);マグネシウム−銀合金などが挙げられる。陰極層は、透明及び不透明の何れでよいが、トップエミッション型の有機ELデバイスを形成する場合には、透明な形成材料が用いられる。陰極層の厚みは特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
陰極層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。例えば、ITOによって陰極層を形成する場合には、スパッタ法が用いられ、マグネシウム−銀合金又はマグネシウム−銀積層膜によって陰極層を形成する場合には、蒸着法が用いられる。
(その他の機能層)
本発明では、積層体は、少なくとも有機EL素子を有していればよく、有機EL素子以外の機能層を有していてもよい。
例えば、基板の形成材料として金属を用いる場合、積層体は、絶縁層を有する。絶縁層は、基板の上面に設けられる絶縁性の層であり、基板と第1導電層(陽極層)及び第2導電層(陰極層)との短絡を防止する機能を有する。絶縁層の形成材料としては、後述する無機膜と同様の材料を用いることができる。
また、本発明の第1実施形態では、積層体3は封止樹脂層5を有する。封止樹脂層5は、図2乃至図4に示すように、第1及び第2端子部411,431を除く有機EL素子4(第2導電層43)の上面全体と、有機EL素子4の周面(第1側乃至第4側に位置する端面)全体を被覆するように設けられている。
封止樹脂層5は、有機EL素子4が傷つくことを防止する機能を有すると共に、水分及び酸素の侵入を防止する機能(ガスバリア性)を有する。
封止樹脂層の形成材料は、特に限定されない。封止樹脂層としては、例えば、熱硬化型樹脂は光硬化型樹脂を用いることができる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、又はメラミン樹脂などを主成分とする樹脂が挙げられる。
光硬化型樹脂としては、代表的には、紫外線硬化型の樹脂を用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、又は紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
封止樹脂層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5μm〜1mmである。
封止樹脂層の形成方法は特に限定されず、ロールコート、スプレーコート、スピンコート等による塗布を採用することができる。
さらに、本発明の第1実施形態では、積層体3は、その最上層として封止フィルム6を有する。封止フィルム6は、図2乃至図4に示すように、封止樹脂層5の上面に設けられた機能層である。有機EL素子4が傷つくことを防止する機能を有すると共に、ガスバリア性を有する。
封止フィルムの形成材料としては、例えば、エチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、延伸ナイロン(ONy)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂を好適に用いることができる。前記封止フィルムは、透明又であってもよく不透明であってもよいが、トップエミッション型の有機ELデバイスを形成する場合には、透明な封止フィルムが用いられる。
前記封止フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば、5μm〜1mmであり、好ましくは10μm〜200μmである。封止フィルムは、接着剤などを用いて封止樹脂層の上面に張り合わすことができる。
[包埋樹脂層]
包埋樹脂層は、上述の通り、積層体と基板を結束することにより、有機ELデバイスを構成する各部材の界面剥離を防止する層である。包埋樹脂層の形成材料は特に限定されず、好ましくは、熱可塑性樹脂が用いられる。後述するように、熱可塑性樹脂を用いることで包埋樹脂層を容易に形成することができるためである。また、より好ましくは、包埋樹脂層の形成材料は、有機EL素子に対する水分や酸素の侵入を防止するため、熱可塑性に加え、ガスバリア性を有する樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの酢酸ビニル樹脂;エチレン−メタクリレート樹脂などのアクリル樹脂;アミド樹脂;エステル樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどの各種エラストマー;ゴム;アイオノマー樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用できる。
これらのなかでも、熱可塑性とガスバリア性の両方を具備していることから、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、又はアイオノマー樹脂が特に好ましく用いられる。
包埋樹脂層の厚みは特に限定されない。もっとも、包埋樹脂層が薄すぎると、長期間に亘り有機ELデバイスの発光性を維持できない虞がある。また、包埋樹脂層が厚すぎると、有機ELデバイスの可撓性が損なわれる虞がある。
このような観点から、包埋樹脂層の厚みは、好ましくは、1μm〜5mmであり、より好ましくは、5μm〜1mmであり、さらに好ましくは、10μm〜800μmであり、特に好ましくは50μm〜500μmである。
以下、本発明の他の実施形態に係る有機ELデバイスについて説明する。もっとも、以下の説明において、主として第1実施形態に係る有機ELデバイスと異なる構成について説明し、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
<第2実施形態に係る有機ELデバイス>
本発明において、包埋樹脂層7が設けられる対象である部材や部分は、その全体に包埋樹脂層7が設けられていてもよく、その一部のみに包埋樹脂層7が設けられていてもよい。例えば、「積層体3の上面に包埋樹脂層7が設けられている」とは、積層体3の上面全体に包埋樹脂層7が設けられている場合だけでなく、積層体3の上面の一部に包埋樹脂層亜7が設けられている場合を含む。
本発明の第2実施形態では、図5に示すように、基材2の下面の中央部を除く全体に包埋樹脂層7が設けられている。即ち、基板2の下面の一部にのみ包埋樹脂層7が設けられている。また、本実施形態では、積層体3についても同様に、その上面の中央部を除く全体に包埋樹脂層7が設けられている。
このような場合であっても、積層体3の上面及び端面から基板の2端面及び下面にかけて包埋樹脂層7が連続的に設けられているため、積層体3と基板2を束ねることができ、有機ELデバイス1の発光性能を長期間に亘って維持することができる。
もっとも、有機ELデバイス1のガスバリア性を向上させるため、基板2の下面及び積層体3の上面に設けられる包埋樹脂層7の占める割合(以下、単に被覆率と称する)は高い方が好ましい。具体的には、基板2の下面全体又は積層体3の上面全体の表面積を100%とした場合、包埋樹脂層7の被覆率は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
<第3実施形態に係る有機ELデバイス>
第1及び第2実施形態では、包埋樹脂層7は積層体3及び基板2の周面(第1側乃至第4側に位置する端面)全体に設けられているが、積層体3の一部の端面にのみ包埋樹脂層7が設けられていてもよい。
本発明の第3実施形態では、図6に示すように、積層体3及び基板2の第3側及び第4側における端面に包埋樹脂層7が設けられていない。このような場合であっても、積層体3及び基板2の第1側及び第2側において、包埋樹脂層7が積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて連続的に設けられているため、積層体3と基板2を束ねることができ、その結果、有機ELデバイス1の発光性能を長期間に亘って維持することができる。
<第4実施形態に係る有機ELデバイス>
本発明では、通電予定部411a,431aは、第1及び第2端子部411,431の上面における任意の領域である。本発明の第4実施形態では、図7に示すように、第1及び第2端子部411,431の上面全体を第1及び第2通電予定部411a,431aと観念してもよい。この場合、第1及び第2端子部411,431の上面全体に包埋樹脂層7が設けられていない。即ち、第1及び第2端子部411,431の上面全体が露出している。本実施形態では、通電予定部411a,431aの上面全体に導電部材が接続されるため、有機ELデバイス1に安定的に電力を供給することができる。
本実施形態では、包埋樹脂層7は、積層体3の最上面(第2導電層43の最上面)全体及び積層体3の周面全体、並びに、基板2の周面全体及び基板2の下面全体に設けられている。このような場合であっても、積層体3の上面及び端面から基板2の端面及び下面にかけて包埋樹脂層7が連続的に設けられているため、積層体3と基板2を束ねることができ、その結果、有機ELデバイス1の発光性能を長期間に亘って維持することができる。
<第5実施形態に係る有機ELデバイス>
本発明では、基板2及び積層体3に、他部材を介して間接的に包埋樹脂層7が設けられていてもよい。本実施形態では、基板2と包埋樹脂層7の間及び積層体3と包埋樹脂層7の間のうち少なくとも何れか一方の間に無機膜8が介在されており、この無機膜8を介して包埋樹脂層7が間接的に基板2及び積層体3に設けられている。
図8に示す例では、無機膜8は、包埋樹脂層7と基板2の間及び積層体3と包埋樹脂層7の間の両方に設けられている。具体的には、無機膜8は、積層体3の最上面(第2導電層43の最上面)全体、積層体3の周面全体、第1通電予定部411aを除く第1端子部411の上面全体、及び第2通電予定部431aを除く第2端子部431の上面全体、並びに、基板2の周面全体及び基板2の下面全体に設けられており、包埋樹脂層7は、該無機膜8の外面全体に設けられている。
無機膜は、ガスバリア性を有する膜であり、無機物を主成分として含む。なお、「無機物を主成分として含む」とは、無機膜の全成分中、無機物の占める割合(質量)が最も多いことを意味し、無機膜が無機物のみからなる場合だけでなく、無機膜の機能(ガスバリア性)を阻害しない範囲で他の成分(例えば、有機物)を微量に含んでいる場合も含む。
無機膜は、一般的に、樹脂に比してガスバリア性が高い。そのため、基板及び積層体に直接包埋樹脂層を設けるよりも、無機膜を介して間接的に設けた方が、有機ELデバイスのガスバリア性をより高めることができる。
無機膜に含まれる無機物は特に限定されない。このような無機物は、金属であってもよく、半金属であってもよい。なお、無機膜は、好ましくは絶縁性を有することが好ましい。無機膜が絶縁性を有する場合、第1端子部から第2端子部にわたって連続的に無機膜が設けられていても短絡を生じない。
金属としては、例えば、亜鉛、アルミニウム、チタン、銅、マグネシウムなどがあげられ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウム、などがあげられる。
無機膜の形成材料として金属又は半金属を用いる場合、好ましくは、金属及び半金属は、酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、及び酸化窒化炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
より好ましくは、無機物は、酸化ケイ素(SiO)、酸化炭化ケイ素(SiOC)、酸化窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(SiN)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは酸化ケイ素である。これらのケイ素化合物は優れたガスバリア性と絶縁性を具備するため、無機膜の形成材料として好ましい。
特に好ましくは、無機物は、無機高分子化合物であるポリシラザンをシリカ転化反応させて得られたシリカ転化物である。シリカ転化物には、酸化ケイ素が含まれる。
ポリシラザンは、その主鎖成分に珪素−窒素結合を有する無機高分子化合物であり、セラミック前駆体となる化合物である。ポリシラザンをシリカ転化反応させて得られるシリカ転化物には、酸化ケイ素の他、例えば、窒化ケイ素や水酸化ケイ素等の未転化物が含まれ得る。
なお、「無機高分子化合物」は、その主鎖成分が炭素以外の元素(例えば、金属原子、半金属原子、酸素、又は窒素など)によって構成された高分子であり、その側鎖成分に炭素を有する高分子化合物を含む。
好ましくは、ポリシラザンは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2016213122
一般式(1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルシリル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルアミノ基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルコキシ基であり、nは、1〜60の整数を表す。
一般式(1)中、R、R、及びRは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基であることが好ましく、より好ましくは、R、R、及びRは、全て水素原子である。
、R、及びRが全て水素原子であるポリシラザン(パーヒドロポリシラザン)を用いた場合、シリカ転化物の緻密性が高くなるため、よりガスバリア性に優れた無機膜を形成できる。
また、R、R、及びRとして炭素数1〜8のアルキル基を用いることにより、ポリシラザンの構造に柔軟性を付与することができる。ポリシラザンの構造に柔軟性を付与することにより、そのシリカ転化物にも柔軟性を付与することができ、無機膜の膜厚を厚くした場合でもクラックが発生し難くなる。
本発明では、R、R、及びRが全て水素原子である繰り返し単位Aと、R、R、及びRの一部又は全部が炭素数1〜8のアルキル基である繰り返し単位Bと、を共に有するポリシラザンを用いることが好ましい。繰り返し単位Aと繰り返し単位Bの比率を変化させることにより、十分なガスバリア性を担保したまま無機膜の柔軟性を任意に調整することができる。
無機膜の厚みは特に限定されない。もっとも、無機膜が薄すぎると、長期間に亘り有機ELデバイスのガスバリア性を維持できない虞がある。また、無機膜が厚すぎると、無機膜にクラックが生じ易くなり、ガスバリア性が低下する虞がある。
このような観点から、無機膜の厚みは、好ましくは、10nm〜3μmであり、より好ましくは、50nm〜2μmであり、さらに好ましくは、0.1μm〜1μmであり、特に好ましくは、0.3μm〜0.5μmである。
<第6実施形態に係る有機ELデバイス>
上記第1乃至第5実施形態に係る有機ELデバイス1は、第1及び第2通電予定部411a,431aが露出した状態であるが、本発明は上記実施形態に限定されず、第1及び第2通電予定部411a,431aが露出していなくてもよい。本発明の第6実施形態について、図9乃至図12を参照しつつ説明する。
図9は、本発明の第6実施形態に係る有機ELデバイス1の拡大断面図であり、図10は図9の有機ELデバイス1の第2端子部431及びその近傍をさらに拡大した部分断面図である。図11及び図12は、第6実施形態の変形例に係る有機ELデバイス1の部分断面図である。
なお、図10乃至図12は、有機ELデバイス1の第2端子部431及びその近傍のみを示しているが、第1端子部411及びその近傍についても同様の構成である。また、図の視認性を良くするため、図10乃至図12において、導電部材9の断面部分にハッチングを施しておらず、包埋樹脂層7の断面部分はハッチングに代えてドット状模様を付している。
本実施形態では、第1及び第2通電予定部411a,431aに導電部材9の一部(例えば、導電部材の端部91)が電気的に接続されている。さらに、包埋樹脂層7は、導電部材9の上面から基板2の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている。例えば、図10では、導電部材9の上面、基板2の端面、及び基板2の下面に包埋樹脂層7が直接設けられており、図11及び図12では、導電部材9の上面、基板2の端面、及び基板2の下面に包埋樹脂層7が無機膜8を介して間接的に設けられている。
このように、本実施形態では、包埋樹脂層7によって導電部材9と基板2が束ねられているため、導電部材9が第1及び第2通電予定部411a,431aから界面剥離することを防止することができ、その結果、導電部材9が第1及び第2通電予定部411a,431aから脱落し難くなる。
導電部材9の端縁から積層体3までの距離Xは、特に限定されないが、好ましくは0mm〜2mmであり、より好ましくは0mm〜1.5mmであり、さらに好ましくは0mm〜1mmであり、特に好ましくは0mmである。距離Xが0mmの場合、導電部材9の端縁と積層体3が接している。
距離Xを短くすればするほど、第1及び第2通電予定部411a,431aに接続される導電部材9の下面の表面積が広くなり、導電部材9と第1及び第2通電予定部411a,431aをより強固に接続することができる。従って、導電部材9が第1及び第2通電予定部411a,431aから脱落することを効果的に防止できる。
本実施形態では、図9に示すように、第1及び第2通電予定部411a,431aと接続した導電部材9の端部91、積層体3、及び基板2の全体に包埋樹脂層7が設けられていることが好ましい。換言すれば、第1及び第2通電予定部411a,431aと接続した導電部材9の端部91、積層体3、及び基板2は、包埋樹脂層7によって封入されていることが好ましい。これらが包埋樹脂層7によって封入されていれば、有機ELデバイス1を構成する各部材の界面剥離をより確実に防止することができ、その結果、有機ELデバイス1の発光性をより長期間に亘って維持することができる。
導電部材9は、導電性を有する細長状の部材であり、図10乃至図12に示すように、その端部91が通電予定部431aに電気的に接続されており、その他端部92が外部電源10に接続されている。外部電源10から供給された電気は、導電部材9を介して有機ELデバイス1に供給され、有機ELデバイス1の発光層が発光する。
導電部材の形成材料は、特に限定されず、白金、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン等の金属;ITO等の金属酸化物;黒鉛等の無機材料;などの導電性材料が挙げられる。電気抵抗が低いことから、導電部材の形成材料は、銅が好ましい。
導電部材と通電予定部を電気的に接続する方法は特に限定されない。導電部材と通電予定部は、好ましくは異方性導電フィルム(ACF)を用いて接続される。ACFは、導電性を持つ微細な金属粒子が熱硬化性樹脂に混ぜ合わさったフィルムである。ACFを用いた接続方法については、有機ELデバイスの製造方法の欄において詳述する。
図9乃至図11に示す本発明の第6実施形態において、包埋樹脂層7は、導電部材9の外面(上面、端面、及び下面)に対して直交する垂直面71を有する。
しかし、図12に示すように、包埋樹脂層7は、導電部材9の外面に対して鈍角を成して交叉する傾斜面72を有することが好ましい。即ち、導電部材9に設けられる包埋樹脂層7は、積層体3側から外部電源10側にかけて、徐々にその厚みが減少するように設けられることが好ましい。
図12に示すように、導電部材9に設けられる包埋樹脂層7の厚みを、積層体3側から外部電源10側にかけて徐々に減少させることで、導電部材9が、包埋樹脂層7との界面において強く結束され過ぎず、ある程度の柔軟性を保持することができる。従って、導電部材9が包埋樹脂層7との界面において断線し難くなり、有機ELデバイス1の寿命を長期間に亘って担保することができる。このような包埋樹脂層7は、例えば、後述するように積層体3の上側と基板2の下側に熱可塑性樹脂フィルムを配置し、これを溶融させることによって容易に形成することができる。
包埋樹脂層7の傾斜面72と導電部材9の外面との成す角度αは、鈍角であれば特に限定されないが、好ましくは、120°〜170°であり、より好ましくは、140°〜170°であり、さらに好ましくは150°〜160°である。
[有機ELデバイスの製造方法]
以下、本発明の有機ELデバイスの製造方法の一例について説明する。
本発明の有機ELデバイスの製造方法は、例えば、以下の5つの工程を有する。
(工程A)基板上に、有機EL素子を有する積層体を設ける工程。
(工程B)積層体に、外部から電気を供給する、導電部材を電気的に接続する工程。
(工程C)積層体の上側に第1熱可塑性樹脂フィルムを配置し、且つ、基板の下側に第2熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程。
(工程D)第1及び第2熱可塑性樹脂フィルムを溶融させ、両フィルムの周縁部を一体化させる工程。
(工程E)一体化させた熱可塑性樹脂フィルムを硬化させる工程。
本発明の有機ELデバイスの製造方法によれば、本発明の第6実施形態のように、導電部材の上面から基板の端面及び下面にかけて連続的に包埋樹脂層が設けられた有機ELデバイスを容易に製造することができる。以下、各工程について説明する。
工程Aは、基板上に有機EL素子を有する積層体を形成する工程である。有機EL素子を構成する第1導電層、有機層、及び第2導電層の形成方法については、上述の通りである。また、必要に応じて、封止樹脂層や封止フィルムを有機EL素子上に設けてもよい。これらの形成方法についても、上述の通りである。
工程Bは、積層体が有する通電予定部に導電部材を電気的に接続する工程である。導電部材を電気的に接続する手段については特に限定されないが、好ましくは、ACFが用いられる。ACFを用いた接続は、例えば、下記の工程によって達成される。
(a)積層体の通電予定部にACFを介して導電部材を重ね合わせる工程。
(b)加熱ヘッドにより、導電部材を加熱及び加圧し、通電予定部と導電部材を接着する工程。
加熱ヘッドにより、通電予定部に重ね合わされた導電部材を加熱及び加圧すると、ACFに含まれる熱硬化性樹脂が溶融し、導電部材と通電予定部が機械的に接続される。さらに、ACFに含まれる金属粒子によって、加熱及び加圧されたACFの一部分のみに導通性が付与される。即ち、ACFのうち、加熱及び加圧された部分は、導電性の接着層になる一方、ACFのうち、加熱及び加圧されなかった部分は、絶縁層となる。このように、ACFを用いることにより、導電性の接着層を介して導電部材の端部と通電予定部を電気的に接続することができる。
工程Cは、積層体3の上側に第1熱可塑性樹脂フィルム71を配置し、且つ、基板2の下側に第2熱可塑性樹脂フィルム72を配置する工程である。両熱可塑性樹脂フィルム71,72に含まれる樹脂成分としては、上述した包埋樹脂層7の形成材料で例示したものを用いることができる。
図13は、両熱可塑性樹脂フィルム71,72を配置した積層体3及び基板2の平面図であり、図14は、その断面図である。
第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72の平面視形状は、図13に示すように、基板2の平面視形状よりも大きい相似形(本実施形態では帯状)であることが好ましい。図13及び図14に示すように、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72は、その周縁部711,721が基板2と重なり合わないように配置される。具体的には、第2熱可塑性樹脂フィルム72の上面中央部に基板2の下面が接するように基板2及び積層体3を重ね合わせ、第1熱可塑性樹脂フィルム71を、その下面が積層体3の上面と接するように重ね合わせる。第1熱可塑性樹脂フィルム71は、平面視した際に、第2熱可塑性樹脂フィルム72と完全に重なり合うように配置されることが好ましい(図13参照)。
なお、図13及び図14では、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72は、同形同大であるが、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72の形状は互いに異なっていてもよい。
また、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72の樹脂成分は、同一で合ってもよいし、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72の樹脂成分が同じであれば、以下の工程Dにおいて、良好に第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72を一体化させることができる。
熱可塑性樹脂フィルム71,72の厚みは特に限定されない。しかし、あまりに熱可塑性樹脂フィルム71,72が薄すぎれば、積層体3と基板2を十分に束ねることができない虞がある。また、あまりに熱可塑性樹脂フィルム71,72が厚すぎれば、製造した有機ELデバイス1の可撓性が損なわれる虞がある。
このような点を考慮し、熱可塑性樹脂フィルム71,72の厚みは、好ましくは1μm〜30μmであり、より好ましくは5μm〜20μmであり、さらに好ましくは5μm〜10μmである。
工程Dは、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72を溶融させ、両フィルムの周縁部711,721を一体化させる工程である。工程Dは、好ましくは真空状態で行われる。
図15に示すように、第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72の周縁部711,721は、加熱によって軟化し、積層体3及び基板2の端面に近付くように折れ曲がる。そして、さらに両フィルム71,72を加熱すると、両フィルム71,72の周縁部711,721が、基板2の端面及び積層3の端面に接するように折れ曲がる(図示せず)。
そして、さらに第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム71,72を加熱することにより、両フィルム71,72は溶融し、その周縁部711,721が一体化される。換言すれば、第1熱可塑性樹脂フィルム71と第2熱可塑性樹脂フィルム72は、両フィルム71,72の溶融により、その周縁部711,721において継ぎ目を有することなく連続的に繋がる。
工程Eは、一体化させた熱可塑性樹脂フィルムを硬化させる工程である。具体的には、一体化させた熱可塑性樹脂フィルムは、冷却によって硬化する。熱可塑性樹脂フィルムの冷却方法は特に限定されず、自然冷却であってもよく、冷却装置を用いた強制的な冷却であってもよく、自然冷却と冷却装置による強制的な冷却を併用してもよい。
冷却によって硬化した熱可塑性樹脂フィルムが、本発明の包埋樹脂層である。
なお、本発明の有機ELデバイスの製造方法では、必要に応じて、工程Bと工程Cの間で下記の工程F及びGを行ってもよい。工程F及びGを行うことにより、無機膜を有する有機ELデバイスを製造することができる。
(工程F)基板及び積層体を、無機物を含んだ無機処理液に接触させる工程。
(工程G)基板及び積層体に付着した無機処理液を硬化させ、無機膜を形成する工程。
工程Fは、基板及び積層体を無機膜の形成材料を含む無機処理液に接触させ、付着させる工程である。基板及び積層体と無機処理液の接触方法は特に限定されず、例えば、無機処理液の満たされた槽(処理槽)に基板及び積層体を浸漬するディップコート法が挙げられる。ディップコート法を用いれば、基板及び積層体の外面全体に無機処理液を容易に付着できる。
その他、無機処理液の接触方法としては、スプレーコート法、ロールコート法、フローコート法、及びグラビア印刷法などが挙げられる。
無機処理液は、無機物と溶媒を含んでいる。無機物は、上述した無機膜に含まれる無機物と同様である。
無機処理液に含まれる溶媒は、無機物を溶解又は分散させるものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。このような溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素;などが挙げられる。
なお、無機物としてポリシラザンのシラン転化物を用いる場合、溶媒には、ポリシラザンのシラン転化反応を促進する各種触媒を添加することもできる。このような触媒としては、例えば、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルなどの金属触媒や、それらのカルボン酸錯体などが挙げられる。
無機処理液中における無機物の濃度は、特に限定されないが、通常、0.1質量%〜40質量%である。
工程Gは、無機処理液を硬化させることにより無機膜を形成する工程である。無機処理液の硬化方法は、無機処理液に含まれる無機物の種類によって適宜変更することができる。例えば、無機物が、金属又は半金属である場合、無機処理液を乾燥させる(即ち、無機処理液に含まれる溶媒を揮発させる)ことにより無機膜を形成することができる。無機処理液の乾燥は、自然乾燥でもよく、乾燥装置を用いた強制的な乾燥でもよく、自然乾燥と乾燥装置による強制的な乾燥を併用してもよい。
また、無機処理液に含まれる無機物がポリシラザンである場合、無機処理液は上記乾燥以外に、ポリシラザンのシリカ転化処理を経て硬化される。
ポリシラザンのシリカ転化処理は、例えば、無機処理液を水蒸気酸化処理及び/又は加熱酸化処理することによって達成される。ポリシラザンのシリカ転化処理によって、無機処理液に含まれる大部分のポリシラザンが酸化ケイ素に転化し、シリカ転化物を含む無機膜が形成される。
ポリシラザンのシリカ転化処理は、好ましくは、水蒸気酸化処理である。例えば、無機処理液が付着した基板及び積層体を高温高湿槽(例えば、60℃、90%RH)で水蒸気に所定時間暴露することにより水蒸気酸化処理が施される。
このように、本欄では、本発明の第6実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法を例示したが、本発明の有機ELデバイスの製造方法は本欄で例示した方法に限定されない。
例えば、工程Aの後に工程B乃至工程Eを行わず、その代わりに、下記の工程H乃至工程Kを行うことよって、本発明の第1乃至第4実施形態に係る有機ELデバイスを製造することができる。
(工程H)積層体及び基板の外面にマスキング材を設ける工程。
(工程I)マスキング材を設けた積層体及び基板を、硬化型化合物を含む有機処理液に接触させる工程。
(工程J)積層体及び基板に付着した有機処理液を硬化させ、包埋樹脂層を形成する工程。
(工程K)マスキング材を取り除く工程。
工程Hは、積層体及び基板の外面であって、包埋樹脂層を設けない部分にマスキング材を設ける工程である。マスキング材を設ける部分は、適宜設定することができる。例えば、本発明の第1実施形態に係る有機ELデバイスを形成する場合、第1及び第2端子部の上面における一部の領域にマスキング材が設けられ、本発明の第4実施形態に係る有機ELデバイスを形成する場合、第1及び第2端子部の上面全体にマスキング材が設けられる。
マスキング材は、特に限定されず、任意のものを用いることができる。例えば、マスキング材は、基材フィルムの一面に粘着剤からなる粘着層が積層されたマスキングテープであってもよく、樹脂を含むマスキングインクであってもよい。もっとも、マスキング材の形成材料は、後述する有機処理液に溶解しないものが用いられる。
工程Iは、マスキング材を設けた積層体及び基板に有機処理液を接触させ、その外面に付着させる工程である。有機処理液の接触方法は特に限定されず、例えば、上記工程Fの説明で例示したディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、フローコート法、及びグラビア印刷法などが挙げられる。好ましくは、ディップコート法が用いられる。
有機処理液は、硬化型化合物と溶媒を含む溶液である。
硬化型化合物は、重合によって包埋樹脂層となり得る樹脂モノマー又はオリゴマーである。例えば、包埋樹脂層の形成材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いる場合、エチレンモノマー及び酢酸ビニルモノマーが有機処理液に含まれる硬化型化合物である。
有機処理液に含まれる溶媒は、硬化型化合物を溶解又は分散させるものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;などが挙げられる。
工程Jは、積層体及び基板の外面に付着した有機処理液を硬化させる(即ち、硬化型化合物を重合させる)工程である。なお、有機処理液を硬化させる前に(即ち、硬化型化合物を重合させる前)に、有機処理液を乾燥させ、溶媒を揮発させることが好ましい。
硬化型化合物が熱硬化型樹脂モノマー又はオリゴマーの場合、積層体及び基板の外面に付着した有機処理液を加熱することで有機処理液を硬化させることができる。また、硬化型化合物が電離放射線硬化型樹脂モノマー又はオリゴマーの場合、その種類に応じたエネルギー線を有機処理液に照射することで有機処理液を硬化させることができる。
例えば、エチレンモノマー及び酢酸ビニルモノマーを硬化型化合物として含む有機処理液を加熱することにより、両モノマーが重合し、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む包埋樹脂層が形成される。
工程Kは、積層体及び基板に設けたマスキング材を取り除くことにより、有機ELデバイスを得る工程である。マスキング材を取り除くことより、マスキング材によって覆われていた部分が包埋樹脂層の非形成領域として露出する。
マスキング材を取り除く方法は特に限定されず、マスキング材の種類により適宜変更することができる。例えば、マスキング材としてマスキングテープを用いた場合、マスキングテープを剥がすことによりマスキング材を取り除くことができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されるものではない。
<有機ELデバイスの評価方法>
(封止性の評価)
実施例及び比較例で作製した有機ELデバイスを60℃湿度90%の恒温恒湿の環境下に保管し、1000時間後における発光面積の減少度合いを評価した。具体的には、作製直後の有機ELデバイスの発光面積(100%)を基準とし、恒温恒湿の環境に1000時間曝した後における有機ELデバイスの発光面積を目視にて算定した。
(界面剥離の評価)
実施例及び比較例で作製した有機ELデバイスを、順に常温常湿下(20℃湿度60%)、低温下(−40℃)、及び高温高湿下(80℃湿度80%)に4時間ずつ置いた。これを1サイクルとし、有機ELデバイスの封止フィルムが剥離するまで(剥離が生じない場合は、最大100サイクル)繰り返し耐久試験を行った。
(導電層の劣化の評価)
実施例及び比較例で作製した有機ELデバイスを、順に常温常湿下(20℃湿度60%)、低温下(−40℃)、及び高温高湿下(80℃湿度80%)に4時間ずつ置いた。これを1サイクルとし、有機ELデバイスの導電層が酸化による白化を生じるまで(酸化を生じない場合は、最大100サイクル)繰り返し耐久試験を繰り返した。
[実施例1]
(積層体の形成)
基板として厚み50μmのガラス板を用意し、その上面に、陽極層としてAl(アルミニウム)を200nm、正孔輸送層としてNPB(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン)を50nm、発光層および電子輸送層としてAlq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を45nm、電子注入層としてLiF(フッ化リチウム)を0.5nm、陰極層としてMg/Agを5/15nm(共蒸着)、をこの順番に真空蒸着し、トップエミッション型の有機EL素子を有する積層体を設けた。
次に、積層体の上面、及び、第1端子部(陽極端子部)と第2端子部(陰極端子部)を除く積層体の周面全体に樹脂フィルム(三井化学(株)製、製品名:「XMF−T」)を貼り付け、封止樹脂層を形成し、封止樹脂層の上面にさらに封止フィルム(三菱樹脂(株)製、製品名:「X−BARRIER」)を貼り付けた。
次に、積層体の第1端子部と第2端子部にACF(デクセリアルズ(株)製:製品名「DP3342MS」)を用いて導電部材(ニッカン工業(株)製:製品名「F30VC1−75−RC1−1」)の端部を電気的に接続した。
(無機膜の形成)
ポリシラザン溶液(メルクパフォーマンスマテリアルズ合同会社製:製品名「NL 120A−20」)を無機膜の形成材料として用意し、これを溶媒であるキシレンと混合し、2質量%の無機処理液を調製した。
次に、導電部材を接続した積層体及び基板を無機処理液に3分間浸漬し、導電部材の端部、積層体及び基板全体に無機処理液を付着させた。その後、付着した無機処理液を100℃の恒温室にて30分間加熱し乾燥させることにより、無機膜を形成した。
(包埋樹脂層の形成)
無機膜が設けられた積層体及び基板の上面及び下面(即ち、封止フィルムの上面及び基板の下面)にEVAフィルム(三井・デュポン ポリケミカル(株)製、製品名:「エバフレックスEV260」、厚み:400μm)を積層し、真空チャンバー内において両EVAフィルムを100℃で30分間加熱して一体化させた。
このようにして、無機膜を介して包埋樹脂層が積層体及び基板に設けられた有機ELデバイスを作製した(実施例1の有機ELデバイスの層構成については、図11を参照)。
作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
[実施例2]
無機膜を設けなかったこと以外は、実施例1と同様に有機ELデバイスを作製した。作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
[実施例3]
包埋樹脂層の形成材料としてEVAフィルムに代えてアイオノマー樹脂フィルム(三井・デュポン ポリケミカル(株)製:製品名「ハイミラン」、厚み400μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に有機ELデバイスを作製した。作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
[実施例4]
無機膜を設けなかったこと以外は、実施例3と同様に有機ELデバイスを作製した。作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
[比較例1]
無機膜及び包埋樹脂層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様に有機ELデバイスを作製した。作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
[比較例2]
包埋樹脂層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様に有機ELデバイスを作製した。作製した有機ELデバイスを上記項目に従って評価した。その結果を下記の表1に表す。
Figure 2016213122
[評価]
実施例1乃至4の有機ELデバイスは、包埋樹脂層を有するため、60℃湿度90%の恒温恒湿の環境下に1000時間保管しても発光面積の著しく低下しなかった。他方、比較例1及び2の有機ELデバイスは、同条件で保管した結果、包埋樹脂層を有さないため発光面積が著しく低下した。
また、実施例1乃至4の有機ELデバイスは、100サイクルの耐久試験を行ったにもかかわらず、封止フィルムの剥離と導電層の酸化は生じなかった。一方、包埋樹脂層を有さない比較例1及び2では、3サイクルの耐久試験で封止フィルムが剥離し、導電層が酸化(白化)した。
実施例1と2を比較し、実施例3と4を比較すると、包埋樹脂層だけでなく無機膜を設けた方が有機ELデバイスの発光面積が低下し難いことが分かる。
本発明の有機ELデバイスは、例えば、照明装置、画像表示装置などとして利用できる。
1…有機ELデバイス、2…基板、3…積層体、4…有機EL素子、7…包埋樹脂層、8…無機膜、9…導電部材

Claims (6)

  1. 基板と、前記基板上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子を有する積層体と、包埋樹脂層と、を有し、
    前記包埋樹脂層が、前記積層体の上面及び端面から基板の端面及び下面にかけて、連続的に設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
  2. 前記積層体が、外部から電力を供給する導電部材を電気的に接続するための、通電予定部を有し、
    前記通電予定部が露出している請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
  3. 前記積層体が、外部から電力を供給する導電部材を電気的に接続するための、通電予定部と、前記通電予定部に接続された前記導電部材と、を有し、
    前記包埋樹脂層が、前記導電部材の上面から前記基板の端面及び下面にかけて、連続的に設けられている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
  4. 前記包埋樹脂層が、前記積層体の上面全体及び前記基板の下面全体に設けられている請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
  5. 前記包埋樹脂層と前記基板の間及び前記包埋樹脂層と前記積層体の間のうち少なくとも何れか一方の間に無機膜が設けられている請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
  6. 基板上に、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体に、外部から電力を供給する、導電部材を電気的に接続する工程と、
    前記積層体の上側に第1熱可塑性樹脂フィルムを配置し、且つ、前記基板の下側に第2熱可塑性樹脂フィルムを配置する工程と、
    前記第1及び第2熱可塑性樹脂フィルムを溶融させ、両フィルムの周縁部を一体化させる工程と、
    前記一体化させた熱可塑性樹脂フィルムを硬化させる工程と、を有する有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法。
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