(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態である検出装置1の構成を示す回路図である。図1に示すように、検出装置1は、複数(N個)の焦電素子PY1〜PYN(図1の例ではN=5)、検出回路20およびポーリング回路30を含んでいる。ポーリング回路30は、複数(N個)のスイッチSW1〜SWN(図1の例ではN=5)およびポーリング制御部32を含んでいる。なお、N個の焦電素子PY1〜PYNおよびN個のスイッチSW1〜SWNを各々区別しないときは、焦電素子PYnおよびスイッチSWnと表記する(n=1〜N)。
検出装置1は、例えば、焦電型赤外線センサーである。検出装置1の焦電素子PYnは、赤外線を検出する検出素子である。ここで、焦電素子PYnについてより詳細に説明する。焦電素子PYnに赤外線が到達すると、焦電素子PYnは、その赤外線を吸収して熱を発生する。この熱により、当該焦電素子PYnでは、焦電材料の温度が上昇する。この温度上昇に応じて、当該焦電材料内の分極量が変化し、当該焦電素子PYnの一方の電極では正の電荷が発生し、他方の電極では負の電荷が発生する。このように、焦電素子PYnの一対の電極の各々において電荷が発生する結果、焦電素子PYnに焦電流が生じる。
検出装置1のN個の焦電素子PY1〜PYNは、例えば、同一チップ上に形成される。N個の焦電素子PY1〜PYNは、図1に示すように、ノードN1とノードN2との間に直列接続されている。N個の焦電素子PY1〜PYNの各々に赤外線が到達すると各焦電素子PYnの各電極において電荷が発生し、ノードN1およびノードN2間には、各焦電素子PYnの各電極において発生した電荷が発生する。
ノードN1にはスイッチSWV3を介して検出回路20が接続され、ノードN2にはスイッチSWV4を介して検出回路20が接続されている。検出回路20は、直列接続されたN個の焦電素子PY1〜PYNに発生する電荷を取り出して検出装置1の検出結果を示す検出信号を出力する回路である。本実施形態の検出回路20は、オペアンプ22を用いた積分回路である。より詳細には、オペアンプ22の反転入力端子はスイッチSWV3を介してノードN1に接続されており、オペアンプ22の非反転入力端子はスイッチSWV4を介してノードN2に接続されている。オペアンプ22の出力端子は、検出装置1の出力端子Toに接続されている。オペアンプ22の反転入力端子とオペアンプ22の出力端子との間には、コンデンサー24が介挿されている。オペアンプ22の正電源端子には電圧Vccが印加され、オペアンプ22の負電源端子には電圧Vssが印加される。オペアンプ22の非反転入力端子とスイッチSWV4との間のノードN4は、端子T4に接続されている。この端子T4には、(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が印加される。例えば、オペアンプ22の負電源端子に印加される電圧Vssが0vである場合、端子T4には、オペアンプ22の正電源端子に印加される電圧Vccの半分の電圧(Vcc/2)が印加される。ここで、オペアンプ22では、その出力信号をコンデンサー24を介して反転入力端子に帰還させる負帰還動作が行われる。この負帰還動作により、オペアンプ22は、反転入力端子の電位を非反転入力端子の電位(具体的には(Vcc−Vss)/2+Vss)に一致させたバーチャルショート状態となる。
検出装置1では、スイッチSWV3およびSWV4がオフの状態からオンされると、ノードN1およびノードN2間に蓄積されていた焦電素子PY1〜PYNの電荷が検出回路20のオペアンプ22の反転入力端子に流入される。これにより、オペアンプ22の反転入力端子の電位が上昇する。すると、オペアンプ22の出力電圧が低下し、この電圧低下がコンデンサー24を介してオペアンプ22の反転入力端子へ負帰還され、反転入力端子の電位の上昇が抑制される。この負帰還動作により、焦電素子PY1〜PYNの電荷がコンデンサー24に移動する。この結果、オペアンプ22の出力電圧は、焦電素子PY1〜PYNの電荷に比例した電圧(図1では電圧Vout)だけ増減する。検出回路20は、このようなオペアンプ22の出力電圧の増減を検出信号として出力する。すなわち、本実施形態の検出回路20は、電荷−電圧変換回路として機能する。なお、電圧を出力する検出回路20では、負荷が大きい次段回路を電圧降下させずに駆動するために出力インピーダンスを低くしている。
焦電素子は、製造直後などでは、当該焦電素子内の結晶ドメインの分極方向が結晶ドメイン毎にバラバラになっている。このような状態の焦電素子を用いた検出装置では、赤外線の到達を感度良く検出することが困難である。これに対して、本実施形態の検出装置1は、検出装置1の感度を良くするためにポーリング回路30を有している。ポーリング回路30は、焦電素子PYnに接続されている。
ポーリング回路30は、焦電素子PYnにポーリング(分極処理)を施す回路である。ポーリングは、焦電素子PYnの電極間に比較的高い電圧(以下、ポーリング電圧という)を与えて、当該焦電素子PYn内の各結晶ドメインの分極方向を概ね揃えて、当該焦電素子PYn全体としての分極量を大きくする処理である。本実施形態のポーリング回路30は、N個の焦電素子PY1〜PYNが直列接続されたノードN1およびノードN2間にポーリング電圧を印加して、ノードN1およびノードN2間のN個の焦電素子PY1〜PYNのうちのポーリング対象として選択した1個の焦電素子PYnにポーリングを施す。このポーリングは、ポーリング回路30がスイッチSW1〜SWNのオン/オフを制御することで実現される。このポーリングは、例えば、検出装置1の工場出荷時等において行われる。なお、ポーリングは、検出装置1の工場出荷後において行われても良い。
ポーリング回路30において、スイッチSW1〜SWNは、例えば、電界効果トランジスターなどであり、焦電素子PYnが形成されるチップ上に実装される。第n番目のスイッチSWnは、第n番目の焦電素子PYnに並列接続されている。このように、N個のスイッチSW1〜SWNは、焦電素子PYnに各々並列接続されるとともにノードN1およびノードN2間に直列接続されている。
ポーリング回路30の端子T1およびT2は、ポーリング電圧を発生させるポーリング電源(図示略)に接続される。具体的には、端子T1は、ポーリング電源の正極に接続されてポーリング電圧の高電位側の電位(+Vpol)になっており、端子T2は、ポーリング電源の負極に接続されてポーリング電圧の低電位側の電位(−Vpol)になっている。端子T1は、スイッチSWV1を介してノードN1に接続されている。端子T2は、スイッチSWV2を介してノードN2に接続されている。スイッチSWV1およびSWV2も、スイッチSWnと同様に、例えば、電界効果トランジスターなどである。
ポーリング制御部32は、N個のスイッチSW1〜SWN、スイッチSWV1、スイッチSWV2、スイッチSWV3およびスイッチSWV4のそれぞれのオン/オフの切り替えを予め定められた順番で行うことにより、ポーリング対象とする焦電素子PYn毎のポーリングの実行を制御する回路である。各スイッチSW1〜SWN、SWV1、SWV2、SWV3およびSWV4が電界効果トランジスターの場合、ポーリング制御部32は、各スイッチSW1〜SWN、SWV1、SWV2、SWV3およびSWV4の各ゲートにゲート信号を与えることにより各スイッチSW1〜SWN、SWV1、SWV2、SWV3およびSWV4のオン/オフを制御する。
ポーリング制御部32は、焦電素子PYnのポーリングを実行しない期間においては、スイッチSWV1およびSWV2をオフした状態に維持する。また、ポーリング制御部32は、検出装置1が赤外線の検出動作を行う際には、スイッチSW1〜SWN、SWV1およびSWV2をオフした状態で、スイッチSWV3およびSWV4のオン/オフを繰り返す。より詳細には、ポーリング制御部32は、焦電素子PYnが赤外線の照射を受けている所定期間にわたり、スイッチSWV3およびSWV4をオフ状態にしておき、ノードN1およびノードN2間に電荷を蓄積する。その後、ポーリング制御部32は、スイッチSWV3およびSWV4をオンして、ノードN1およびノードN2間に蓄積した電荷を検出回路20へ送る。また、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1とSWV3とが同時にオンした状態にならないようにスイッチSWV1とSWV3のオン/オフを制御する。これは、ポーリング電圧の高電位側の電位(+Vpol)になっている端子T1と、(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が現れているオペアンプ22の反転入力端子とがショートしないようにするためである。同様に、ポーリング制御部32は、スイッチSWV2とSWV4とが同時にオンした状態にならないようにスイッチSWV2とSWV4のオン/オフを制御する。これは、ポーリング電圧の低電位側の電位(−Vpol)になっている端子T2と、(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が現れているオペアンプ22の非反転入力端子とがショートしないようにするためである。
ポーリング制御部32は、例えば、工場出荷時等における作業者の操作によってポーリングの開始が指示されると、概略的には以下の動作を行う。ポーリング制御部32は、まず、N個のスイッチSW1〜SWNのオン/オフを制御する動作(以下「第1のステップ」という)を実行する。具体的には、第1のステップは、N個のスイッチSW1〜SWNのうちのポーリング対象とする第n番目の焦電素子PYnに並列接続された第n番目のスイッチSWnをオフし、N個のスイッチSW1〜SWNのうちのポーリング対象としない第1番目から第n−1番目の焦電素子PY1〜PYn−1および第n+1番目から第N番目の焦電素子PYn+1〜PYNの各々に並列接続された第1番目から第n−1番目のスイッチSW1〜SWn−1および第n+1番目から第N番目のスイッチSWn+1〜SWNをオンする動作である。第1のステップの実行後に、ポーリング制御部32は、ノードN1とノードN2との間にポーリング電圧を印加する動作(以下「第2のステップ」という)を実行する。具体的には、第2のステップは、スイッチSWV1およびSWV2をオンすることでノードN1およびノードN2間にポーリング電圧を印加する動作である。ポーリング制御部32は、N個の焦電素子PY1〜PYNにおけるポーリング対象とする焦電素子PYnを第1番目の焦電素子PY1から第N番目の焦電素子PYNまで順次切り替えつつ、このようなポーリング設定制御(すなわち、第1のステップと第2のステップ)を繰り返す。
図2は、ポーリング制御部32が焦電素子PY3に並列接続されたスイッチSW3のみをオフし、その他のスイッチSW1、SW2、SW4およびSW5をオンした場合の検出装置1の一部を示す回路図である。図2は、焦電素子PY3をポーリング対象とする場合を示している。図2の例では、スイッチSWV1およびSWV2がオンしているため、ノードN1が高電位側のポーリング電位(+Vpol)、ノードN2が低電位側のポーリング電位(−Vpol)となっている。図2の例では、スイッチSW1およびSW2がオンしているため、焦電素子PY3のノードN1側の電極は、ノードN1と同じ高電位側のポーリング電位(+Vpol)となる。また、スイッチSW4およびSW5がオンしているため、焦電素子PY3のノードN2側の電極は、ノードN2と同じ低電位側のポーリング電位(−Vpol)となる。すなわち、図2の例では、ノードN1およびノードN2間に印加されるポーリング電圧と同じ電圧が焦電素子PY3に印加される。また、図2の例では、焦電素子PY1の両端の電極および焦電素子PY2の両端の電極は、いずれもノードN1と同じ高電位側のポーリング電位(+Vpol)となるため、焦電素子PY1およびPY2にはポーリング電圧が印加されない。また、焦電素子PY4の両端の電極および焦電素子PY5の両端の電極は、いずれもノードN2と同じ低電位側のポーリング電位(−Vpol)となるため、焦電素子PY4およびPY5にはポーリング電圧が印加されない。従って、ポーリング制御部32がこのように各スイッチSWnをオン/オフすることにより、本実施形態の検出装置1では、N個の焦電素子PY1〜PYNのうちポーリング対象とする1個の焦電素子PYnにのみ選択的にポーリング電圧を印加することができる。
図1を参照して、ポーリング制御部32が実行する制御内容を詳細に説明する。まず、ポーリング制御部32は、ポーリングの開始が指示されると、スイッチSWV3およびSWV4をオフして、ポーリング回路30と検出回路20とを電気的に切り離す。そして、ポーリング制御部32は、すべてのスイッチSW1〜SW5、SWV1〜SWV4をオフの状態にしておく。この状態において、ポーリング制御部32は、ポーリング対象となる焦電素子PY1に並列接続されたスイッチSW1のオフ状態を維持しつつ、ポーリング対象としない焦電素子PY2〜PY5に並列接続されたスイッチSW2〜SW5をオンする第1のステップを実行する。そして、スイッチSW1がオフの状態でスイッチSW2〜SW5がオンの状態において、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオンすることでノードN1とノードN2との間にポーリング電圧を印加する第2のステップを実行する。第2のステップによるポーリング電圧の印加は所定時間にわたり維持される。以上に説明した第1のステップおよび第2のステップの結果、ポーリング対象に選択した焦電素子PY1にポーリング電圧が印加される。
次に、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオフし、ノードN1およびノードN2へのポーリング電圧の印加を止める。次に、ポーリング制御部32は、スイッチSW2〜SW5をオフし、すべてのスイッチSW1〜SW5、SWV1〜SWV4をオフの状態に戻す。
次に、ポーリング制御部32は、ポーリング対象となる焦電素子PY2に並列接続されたスイッチSW2のオフ状態を維持しつつ、ポーリング対象としない焦電素子PY1、PY3〜PY5に並列接続されたスイッチSW1、SW3〜SW5をオンする第1のステップを実行する。そして、スイッチSW2がオフの状態でスイッチSW1、SW3〜SW5がオンの状態において、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオンすることでノードN1とノードN2との間にポーリング電圧を印加する第2のステップを実行する。第2のステップによるポーリング電圧の印加は所定時間にわたり維持される。以上に説明した第1のステップおよび第2のステップの結果、ポーリング対象に選択した焦電素子PY2にポーリング電圧が印加される。
次に、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオフし、ノードN1およびノードN2へのポーリング電圧の印加を止める。次に、ポーリング制御部32は、スイッチSW1、SW3〜SW5をオフし、すべてのスイッチSW1〜SW5、SWV1〜SWV4をオフの状態に戻す。
以降の焦電素子PY3〜PY5についても、以上に例示した焦電素子PY1またはPY2と同様に、第1のステップおよび第2のステップと、スイッチSW1〜SW5およびSWV1〜SWV4をオフする動作とが順次に実行される。このように、ポーリング制御部32は、スイッチSW1〜SW5、SWV1およびSWV2が同時にオンの状態にならないように各スイッチSW1〜SW5、SWV1およびSWV2のオン/オフの制御を行っている。
以上のように、本実施形態の検出装置1によれば、ポーリング電圧が印加されるノード間に直列接続されたN個の焦電素子PY1〜PYNに各々並列接続されたN個のスイッチSW1〜SWNのオン/オフを制御することにより、N個の焦電素子PY1〜PYNのうちの任意の1個の焦電素子PYnを対象としてポーリング電圧を印加して結晶ドメインの分極方向が揃えられる。結晶ドメインの分極方向が揃えられた焦電素子は分極量が大きくなる。分極量が大きくなった焦電素子PYnの温度が変化すると、焦電素子PYnの分極量は大きく変化する。分極の変化に応じて発生する電荷量は分極の変化量と等価のため、結晶ドメインの分極方向が揃えられた焦電素子PYnでは、結晶ドメインの分極方向が揃えられていない焦電素子に比べ、小さな温度変化に対して大きな電荷が発生する。従って、本検出装置によれば、焦電素子PYnにポーリングを施すことにより感度を高くすることができる。
また、本実施形態の検出装置1のポーリング回路30は、ポーリング対象とする焦電素子PYnに並列接続されたスイッチSWnをオフし、ポーリング対象としない焦電素子PYnに並列接続されたスイッチSWnをオンしてノードN1およびN2間にポーリング電圧を印加する。従って、本実施形態の検出装置1によれば、オフしたスイッチSWnに並列接続された焦電素子PYnにのみポーリング電圧が印加されるため、直列接続されたすべての焦電素子PYnにポーリング電圧が印加される場合に比べ、ノードN1およびノードN2間に印加するポーリング電圧を低くすることができる。また、検出装置1では、ノードN1およびノードN2間に印加するポーリング電圧を低くすることができることにより、各スイッチSWn、SWV1およびSWV2を高耐圧のスイッチにする必要がない。このため、検出装置1では、チップ上に形成する各スイッチSWn、SWV1およびSWV2のパターン面積を小さくすることができる。さらに、検出装置1を安価なプロセスで製造することができる。
本実施形態の検出装置1では、すべてのスイッチSWnをオフした状態で赤外線の検出動作を行う。ここで、検出装置1のスイッチSWnのオフ抵抗は、焦電素子PYnのリーク抵抗よりもはるかに大きい。このため、N個の焦電素子PY1〜PYNが直列接続され、かつ、各焦電素子PYnにスイッチSWnが並列接続されている回路の抵抗値は、ほぼ焦電素子PYn全体のリーク抵抗となる。従って、この回路に発生する熱雑音も焦電素子PYnのリーク抵抗で決まり、スイッチSWnのオフ抵抗は熱雑音に寄与しない。すなわち、本実施形態の検出装置1では、焦電素子PYnにスイッチSWnが接続されたことによる熱雑音の増加は生じない。
図3は、検出動作時のノイズ密度の周波数特性を示す図である。図3の実線W1は、検出装置1のノイズ密度の周波数特性である。図3の破線W2は、検出装置1からスイッチSWnを削除した検出装置、すなわち、複数の焦電素子PYnを直列接続しただけの検出装置のノイズ密度の周波数特性である。図3に示すように、実線W1と破線W2はほぼ重なっている。すなわち、焦電素子PYnにスイッチSWnを接続してもノイズ(具体的には熱雑音)の増加は生じない。なお、図3に示す各周波数特性は、実験やシミュレーションによって求めることができる。
図3の一点鎖線W3は、次の図4の回路における検出動作時のノイズ密度の周波数特性である。図4は、焦電素子にポーリング電圧を印加するためのスイッチを焦電素子に接続した他の検出装置の構成を例示した回路図である。図4の検出装置では、例えば、焦電素子PY1に直列接続されたスイッチS11とスイッチS22とをオンすることで、焦電素子PY1にポーリング電圧を印加する。図3から明らかなように、一点鎖線W3が表す図4の検出装置のノイズ密度は、実線W1が表す本実施形態の検出装置1のノイズ密度よりも高くなっている。従って、本実施形態の検出装置1は、図4の検出装置に比べ、検出動作時のノイズ密度が大きくならないため、S/N比が低下しない。
なお、図1では、ノードN1およびノードN2間には、5個の焦電素子PYnが直列接続されていた。しかし、焦電素子PYnの直列接続の個数Nは5個に限らない。従って、スイッチSWnの個数Nも5個に限定されず、焦電素子PYnの個数に応じて変更され得る。
また、ポーリング制御部32は、ノードN1およびN2間のすべての焦電素子PYnのポーリングが完了するまでポーリング対象とする焦電素子PYnを切り換えていたが、ノードN1およびN2間のすべての焦電素子PY1〜PYNのポーリングが完了する前にポーリング設定制御を終了しても良い。少なくとも、N個の焦電素子PYnのうちの1つでもポーリングが施されれば、まったくポーリングが施されていない態様に比べ、検出装置の感度が高くなるからである。また、ノードN1およびN2間におけるポーリングを施す焦電素子PYnの個数を変えることで検出装置1の感度の微調整を行うこともできる。
(第2実施形態)
図5は、この発明の第2実施形態である検出装置1Aの構成を示す回路図である。本実施形態の検出装置1Aは、複数(N個)の焦電素子PY1〜PYNが直列接続されている点において第1実施形態の検出装置1と同様であるが、図5では、4個の焦電素子PY1〜PY4が直列接続されている例を示す。検出装置1Aは、ポーリング回路30に代えてポーリング回路30Aを有する点において検出装置1と異なる。ポーリング回路30Aは、N個よりも少ない数の複数(K個)のスイッチSW1〜SWK(図5の例では、K=2)を有する点においてポーリング回路30と異なる。なお、複数のスイッチSW1〜SWKを区別しないときは、スイッチSWkと表記する(k=1〜K)。すなわち、検出装置1Aでは、焦電素子PYnの個数NよりもスイッチSWkの個数Kが少なくなっている。
ポーリング回路30AのスイッチSWkは、N個の焦電素子PY1〜PYNのうちの直列接続された2個の焦電素子PYnに対して並列接続されている。そして、K個のスイッチSW1〜SWKは、ノードN1およびノードN2間に直列接続されている。より詳細に説明する。焦電素子PY1と焦電素子PY2は、ノードN1およびノードNA11間に直列接続されている。このノードN1およびノードNA11間には、スイッチSW1が焦電素子PY1およびPY2に対して並列接続されている。また、焦電素子PY3と焦電素子PY4は、ノードNA11およびN2間に直列接続されている。このノードNA11およびノードN2間には、スイッチSW2が焦電素子PY3およびPY4に対して並列接続されている。
本実施形態のポーリング制御部32は、ポーリングの開始が指示されると、以下の動作を行う。ポーリング制御部32は、まず、すべてのスイッチSW1、SW2、SWV1〜SWV4をすべてオフの状態に維持する。この状態において、ポーリング制御部32は、まず、ポーリング対象となる焦電素子PY1およびPY2に並列接続されたスイッチSW1のオフ状態を維持しつつ、ポーリング対象としない焦電素子PY3およびPY4に並列接続されたスイッチSW2をオンする第1のステップを実行する。この状態において、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオンすることでノードN1およびノードN2との間にポーリング電圧を印加する第2のステップを実行する。このようにして、ポーリング制御部32は、焦電素子PY1と焦電素子PY2に対して同時にポーリングを施す。ポーリング制御部32は、焦電素子PY1およびPY2のポーリングが完了するとスイッチSWV1およびSWV2をオフする。そして、ポーリング制御部32は、スイッチSW2をオフして、すべてのスイッチSW1、SW2、SWV1〜SWV4をオフの状態に戻す。
次に、ポーリング制御部32は、ポーリング対象となる焦電素子PY3およびPY4に並列接続されたスイッチSW2のオフ状態を維持しつつ、ポーリング対象としない焦電素子PY1およびPY2に並列接続されたスイッチSW1をオンする第1のステップを実行する。この状態において、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオンすることでノードN1およびノードN2との間にポーリング電圧を印加する第2のステップを実行する。このようにして、ポーリング制御部32は、焦電素子PY3と焦電素子PY4に対して同時にポーリングを施す。ポーリング制御部32は、焦電素子PY3およびPY4のポーリングが完了するとスイッチSWV1およびSWV2をオフする。そして、ポーリング制御部32は、スイッチSW1をオフして、すべてのスイッチSW1、SW2、SWV1〜SWV4をオフの状態に戻す。
以上のように、本実施形態の検出装置1Aは、スイッチSWkのオン/オフを制御することによりポーリング対象の焦電素子PYnのポーリングを行う点において第1実施形態の検出装置1と同様であるため、第1実施形態と同様に、感度を高くすることができる。
また、検出装置1Aでは、N個の焦電素子PY1〜PYNのうちの直列接続された2個の焦電素子PYnに対して1個のスイッチSWkが並列接続されている。検出装置1Aは、スイッチSWkが焦電素子PYnに並列接続されている点において第1実施形態の検出装置1と同様であるため、第1実施形態と同様に、焦電素子PYnにスイッチSWkが接続されたことによる熱雑音の増加はなく、S/N比が低下しない。
また、本実施形態の検出装置1Aでは、直列接続された2個の焦電素子PYn毎にポーリングを施すため、1個の焦電素子PYn毎にポーリングを施す第1実施形態の検出装置1に比べ、ポーリング電圧を高くする必要があるものの、直列接続されたすべて(N個)の焦電素子PY1〜PYN(図5では4個の焦電素子PY1〜PY4)に対して同時にポーリングを施す態様に比べ、ポーリング電圧を低くすることができる。
また、本実施形態の検出装置1Aでは、直列接続された2個の焦電素子PYn毎にスイッチSWkが設けられているため、1個の焦電素子PYn毎にスイッチSWnが設けられている第1実施形態の検出装置1に比べ、ノードN1およびノードN2間に直列接続されたすべて(N個)の焦電素子PY1〜PYNのポーリングに必要なスイッチSWkのオン/オフの回数が少なく、ノードN1およびノードN2間に直列接続されたすべての焦電素子PY1〜PYNのポーリングを早く完了することができる。
(第3実施形態)
図6は、この発明の第3実施形態である検出装置1Bの構成を示す回路図である。本実施形態の検出装置1Bは、複数の検出装置1、検出装置1の個数と同数のトランジスターTW、行選択回路40および読出回路50を有している。図6は、検出装置1Bが検出装置1およびトランジスターTWを各々4個有する場合を例示している。検出装置1は、第1実施形態の検出装置1と同じ構成を有している。トランジスターTWは、例えば、電界効果トランジスターである。
行選択回路40には、複数(I個)の行線WL0〜WLI−1が接続されている。なお、I個の行線WL0〜WLI−1を区別しないときは、行線WLiと表記する(i=0〜I−1)。行選択回路40は、各行線WLiを選択する回路であり、各行線WLiへ選択信号を出力する回路である。読出回路50には、複数(J個)の列線DL0〜DLJ−1が接続されている。なお、J個の列線DL0〜DLJ−1を区別しないときは、列線DLjと表記する(j=0〜J−1)。読出回路50は、各列線DLjを介した検出信号の読み出しを行う回路である。
図6に示すように、行線WLiと列線DLjの各交差位置には、各々、検出装置1およびトランジスターTWが配置されている。より詳細には、トランジスターTWのゲートが行線WLiに接続されており、トランジスターTWのドレインが検出装置1の出力端子Toに接続されており、トランジスターTWのソースが列線DLjに接続されている。
検出装置1Bでは、例えば、行選択回路40が行線WL0を選択すると、選択された行線WL0に接続されているトランジスターTWがオンする。トランジスターTWがオンすると、当該トランジスターTWに接続されている検出装置1は、列線DLjを介して検出信号を読出回路50へ出力する。そして、選択する行線WLiを行選択回路40が順次変えてゆくことで、検出装置1Bは、各検出装置1の検出信号を読出回路50へ順次に読み出す。
このように、本実施形態の検出装置1Bは、第1実施形態の検出装置1を複数有している。このため、検出装置1Bは、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、検出装置1Bを用いれば、例えば、高感度の赤外線カメラ等を実現することができる。
また、検出装置1Bでは、各検出装置1がポーリング回路30を有している。このため、検出装置1Bでは、検出装置1毎に焦電素子PYnのポーリングを行うことができる。従って、検出装置1Bでは、検出装置1毎にポーリングの微調整を行うことができ、検出装置1毎に感度の微調整を行うことができる。
なお、検出装置1Bの検出装置1は、第1実施形態の検出装置1に限らない。例えば、検出装置1Bの検出装置1は、第2実施形態の検出装置1Aであっても良い。また、行線WLiおよび列線DLjは、ともに複数個(I個およびJ個)であったが、行線WLiおよび列線DLjの少なくとも一方が1個となっていても良い。
(変形)
以上、この発明の各実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)第1実施形態の検出装置1では、1個の焦電素子PYn毎にスイッチSWnが並列接続され、第2実施形態の検出装置1Aでは、直列接続された2個の焦電素子PYn毎にスイッチSWkが並列接続されていた。しかし、直列接続された3個以上の焦電素子PYnのグループ毎にスイッチが並列接続されていても良い。また、検出装置1および1Aでは、スイッチSWnおよびSWkに対応する焦電素子PYnの個数がスイッチSWnおよびSWk毎に同じであった。しかし、焦電素子PYnの個数がスイッチ毎に異なっていても良い。例えば、5個の焦電素子PY1〜PY5が直列接続されており、焦電素子PY1〜PY2に対して1個のスイッチが並列接続され、かつ、焦電素子PY3〜PY5に対して1個のスイッチが並列接続されている、という具合である。
また、第1実施形態の検出装置1では、ポーリング対象の焦電素子PYnを1個のスイッチで決定していた。しかし、ポーリング対象の焦電素子PYnを複数のスイッチで決定しても良い。例えば、第1実施形態の検出装置1において、スイッチSW1およびSW2をともにオフし、スイッチSW3〜SW5をオンすることで焦電素子PY1およびPY2をポーリング対象に決定して当該焦電素子PY1およびPY2を同時にポーリングしても良い。
また、第1実施形態の検出装置1では、スイッチSW1〜SWNがノードN1とノードN2との間に直列接続されていた。しかし、焦電素子に並列接続されるスイッチは、ポーリング電圧が印加されるノード間に直列接続されていなくても良い。例えば、第1実施形態の検出装置1のスイッチSW5を省略することも可能である。この検出装置では、ノードN1とノードN2との間にポーリング電圧を印加すると、焦電素子PY1〜PY4のうちのポーリング対象に選択された焦電素子PYnとスイッチが並列接続されていない焦電素子PY5とが直列接続された両端にポーリング電圧が印加されることになる。この検出装置では、ノードN1とノードN2との間のスイッチSW1〜SW4をすべてオンの状態にしてもノードN1とノードN2との間はショートしない。
すなわち、検出装置は、ポーリング電圧が印加されるノード間に直列接続された複数の焦電素子と、複数の焦電素子のうちの1個以上の焦電素子に各々が並列接続された複数のスイッチを有し、その複数のスイッチのオン/オフを制御することにより、1個以上の焦電素子に対してポーリング電圧を印加して結晶ドメインの分極方向を揃えるポーリング回路と、を有していれば良い。
(2)第1実施形態の検出装置1のポーリング制御部32は、ポーリング設定制御において第1のステップに後続して第2のステップを行っていた。しかし、ポーリング電圧が印加されている端子T1および端子T2間がショートしないようにスイッチSW1〜SW5、SWV1、SWV2のいずれか1つ以上のスイッチをオフした状態を維持していれば、第1のステップと第2のステップの実行順は逆であっても良い。例えば、スイッチSW1〜SW5、SWV1、SWV2のすべてがオフとなっている状態において、ポーリング制御部32は、スイッチSWV1およびSWV2をオンして、ノードN1およびN2間にポーリング電圧を印加する。次に、ポーリング制御部32は、ポーリング対象に選択した焦電素子PYnに並列接続されたスイッチSWnのオフ状態を維持しつつ、ポーリング対象でない焦電素子PY1〜PYn−1、PYn+1〜PYNに並列接続されたスイッチSW1〜SWn−1、SWn+1〜SWNをオンする、という具合である。
また、ポーリング電圧が印加されている端子T1および端子T2間がショートしないようにスイッチSWV1およびSWV2をオフした状態を維持していれば、ポーリング制御部32は、第1のステップにおけるポーリング対象とする第n番目の焦電素子PYnに並列接続された第n番目のスイッチSWnをオフする制御と、第1のステップにおけるポーリングポーリング対象としない第1番目から第n−1番目の焦電素子PY1〜PYn−1および第n+1番目から第N番目の焦電素子PYn+1〜PYNの各々に並列接続された第1番目から第n−1番目のスイッチSW1〜SWn−1および第n+1番目から第N番目のスイッチSWn+1〜SWNをオンする制御とを同時に行っても良いし、前者の制御と後者の制御のいずれか一方を行った後に他方の制御を行っても良い。
(3)第1実施形態の検出装置1のポーリング制御部32は、ポーリング対象の焦電素子PYnを切り換えつつ第1および第2のステップを繰り返していた。しかし、ポーリング電圧が印加されている端子T1および端子T2間がショートしないようにスイッチSW1〜SW5のいずれか1つ以上のスイッチをオフした状態を維持していれば、ポーリング制御部32は、ポーリング対象とする焦電素子PYnの切り替えに際し、第2のステップを再度行わなくても良い。例えば、ポーリング制御部32は、ポーリング対象の切り替え前においてスイッチSWV1およびSWV2をオンの状態に維持しておき、その状態でスイッチSW1〜SWNをすべてオフし、切り替え後のポーリング対象の焦電素子PYn+1に並列接続されたスイッチSWn+1のオフ状態を維持しつつ、切り替え後のポーリング対象でない焦電素子PY1〜PYn、PYn+2〜PYNに並列接続されたスイッチSW1〜SWn+1、SWn+2〜SWNをオンする、という具合である。他の例として、ポーリング制御部32は、ポーリング対象の切り替え前においてスイッチSWV1およびSWV2をオンの状態に維持しておき、切り替え後のポーリング対象の焦電素子PYn+1に並列接続されたスイッチSWn+1をオフし、そのスイッチSWn+1のオフ状態を維持しつつ、切り替え前のポーリング対象の焦電素子PYnに並列接続されたスイッチSWnをオンする、という具合である。すなわち、ポーリング制御部32は、ポーリング対象とする焦電素子PYnの切り替え毎に、少なくとも複数のスイッチのいずれか1つ以上のスイッチをオフした状態を維持しつつ第1のステップを行えば良い。
(4)第1実施形態の検出装置1は、焦電素子PYnと焦電素子PYnに並列接続されるスイッチSWnとが同一のチップ上に形成されていた。しかし、検出装置は、焦電素子PYnとスイッチSWnとが同一のチップ上に形成されたものに限らない。例えば、検出装置は、焦電素子PYnとスイッチSWnとが別個のチップ上に各々形成され、配線によって接続されたものであっても良い。また、検出装置は、焦電素子PYnに対してポーリング回路30が着脱可能であっても良い。例えば、焦電素子PYnとポーリング回路30を結合して焦電素子PYnのポーリングを施し、ポーリングが完了した後に焦電素子PYnとポーリング回路30とを分離して焦電素子PYnを出荷しても良い。
(5)第1および第2実施形態の検出回路20は、オペアンプ22を用いた積分回路を含んでいた。しかし、検出回路20は、積分回路に限らず、例えば、電界効果トランジスターを用いた電荷−電圧変換回路であっても良い。また、第1および第2実施形態の検出装置1および1Aは、検出回路20を含んでいたが、検出装置は、検出回路20を含んでいなくても良い。例えば、検出装置は、当該検出装置のノードN1を出力端とし、当該検出装置の外部に設けられた検出回路が当該検出装置のノードN1に接続されても良い。
(6)第1実施形態では、ノードN1に高電位側のポーリング電位(+Vpol)を与え、ノードN2に低電位側のポーリング電位(−Vpol)を与えていた。しかし、ノードN1に低電位側のポーリング電位(−Vpol)を与え、ノードN2に高電位側のポーリング電位(+Vpol)を与えても良い。また、ポーリングの対象となる焦電素子PYnのポーリング毎に、ノードN1およびN2の電位の大きさや高低を変化させても良い。
(7)第1実施形態の検出装置1では、端子T1の電位を+Vpolとし、端子T2の電位を−Vpolとして、ノードN1およびノードN2間にポーリング電圧を印加していた。しかし、ポーリング電圧をノードN1およびノードN2間へ印加する態様は、この態様に限らない。図7は、この変形例の検出装置1Cの構成を示す回路図である。図7の検出装置1Cは、スイッチSWV1およびスイッチSWV3を削除した点において第1実施形態の検出装置1と異なる。図7のポーリング制御部32は、ポーリングの実行時には、スイッチSWV4をオフした状態に維持する。また、図7のポーリング制御部32は、検出動作時には、スイッチSW1〜SWNおよびスイッチSWV2をオフした状態で、スイッチSWV4のオン/オフを繰り返す。
検出装置1Cでは、端子T4に(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が印加されており、検出回路20のオペアンプ22がバーチャルショートの状態であるため、ポーリングの実行時において、ノードN1に(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が現れる。このため、検出装置1Cでは、ポーリング制御部32がスイッチSWV2をオンすると、ノードN1およびノードN2間に(Vcc−Vss)/2+Vssと−Vpolとの差分のポーリング電圧が印加される。このように、検出装置1Cでは、ポーリングの際にもポーリング回路30と検出回路20とを電気的に切り離さず、検出回路20をポーリングの実行に必要な回路の一部として用いている。
以上のように、検出装置1Cでは、ポーリング電圧が印加される一方のノード(図7の例ではノードN1)に、検出回路20が検出信号を出力する検出動作を行うためのバイアス(具体的には、(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧)が印加される。
なお、検出装置1Cでは、端子T2が低電位側のポーリング電位(−Vpol)となっていたが、端子T2が高電位側のポーリング電位(+Vpol)となっていても良い。
また、図7の検出装置1Cは、第1実施形態の検出装置1からスイッチSWV1およびSWV3を削除したものであった。しかし、この変形例の他の構成の検出装置として、第1実施形態の検出装置1からスイッチSWV2およびSWV4を削除した検出装置が挙げられる。この検出装置では、ノードN2に(Vcc−Vss)/2+Vssの電圧が印加される。
(8)第3実施形態の検出装置1Bは、ポーリングを検出装置1毎に行うものであった。しかし、検出装置1Bにおいて、複数の検出装置1に対して同時に焦電素子PYnのポーリングを実行しても良い。検出装置1Bが有する複数の検出装置1のうち行線WLiが共通するJ個の検出装置1の一部または全部に対して同時にポーリングを実行しても良いし、検出装置1Bが有するすべて(縦I行×横J列)の検出装置1に対して同時にポーリングを実行しても良いし、検出装置1Bが有するすべての検出装置1に対して同時にポーリングを実行しても良い。複数の検出装置1に対して同時にポーリングを実行する態様は、それら複数の検出装置1の各々に設けられたポーリング制御部32が相互に連動することにより実現される。また、検出装置1Bでは、検出装置1毎に独立したポーリング制御部32が設けられていた。しかし、検出装置1Bの一部またはすべての検出装置1がポーリング制御部32を共有していても良い。例えば、行単位でポーリングを実行する構成では、行線WLiが共通するJ個の検出装置1にわたり1個のポーリング制御部32が共用され、列単位でポーリングを実行する構成では、列線DLiが共通するI個の検出装置1にわたり1個のポーリング制御部32が共用される。これにより、上記のように複数の検出装置1に対して同時にポーリングを実行することができる。
(9)第1実施形態の検出装置1のポーリング制御部32は、検出動作の際に、スイッチSW1〜SWN、SWV1およびSWV2をオフした状態でスイッチSWV3およびSWV4のオン/オフを繰り返すことで電荷の蓄積と電荷の送出を繰り返していた。しかし、ポーリング制御部32は、検出動作の際に、スイッチSW1〜SWN、SWV1およびSWV2をオフした状態でスイッチSWV3およびSWV4をオンした状態に維持することで、焦電素子PYnに電荷が発生する都度、その発生した電荷を検出回路20へ送出しても良い。また、ポーリング制御部32は、検出動作の際に、スイッチSW1〜SWN、SWV1およびSWV2をオフした状態に維持しつつ、スイッチSWV4をオンした状態に維持しておき、スイッチSWV3のオン/オフを繰り返すことで電荷の蓄積と電荷の送出を繰り返しても良い。
(10)各実施形態の検出装置1〜1Bを各種の電子機器に具備させても良い。これにより、例えば、FPA(Focal Plane Array:焦点面アレイ)を用いた赤外線カメラや赤外線カメラを用いた電子機器を実現することができる。赤外線カメラを適用した電子機器としては、例えば、夜間の物体像を撮像するナイトビジョン機器、物体の温度分布を取得するサーモグラフィー機器、人の侵入を検知する侵入検知機器、物体の物理情報の解析(測定)を行う解析機器(測定機器)、火や発熱を検知するセキュリティー機器、工場などに設けられるFA(Factory Automation)機器などが想定できる。また、サーモグラフィー機器に適用すれば、インフルエンザ検疫等に利用することができる。