JP2016209121A - X線撮影装置、x線画像処理装置、x線画像処理方法、および、x線画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない演算量で容易に、散乱X線像をX線画像から除去する。【解決手段】生成したX線画像の画素を所定の割合で抽出して、X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成する。生成した縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成する。拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像をX線画像の大きさに拡大し、X線画像から差し引く。これにより、所定の周波数帯域のデータをX線画像から除去する。【選択図】図10
Description
本発明は、X線撮影画像の画質向上のための技術に関する。
X線撮影画像を臨床現場で活用するためには、基本的な画質(例えばノイズ、精細度、等を指標とする)の良好性に加え、使用目的に応じた画質(例えばコントラストやエッジの強調等)の最適化が求められる。
画質を低下させる一要因として、被検体内におけるX線の散乱が知られている。被検体内では確率的に散乱が発生し、散乱されないか散乱角が小さいX線は、略直進するが、散乱X線は、大きく偏向され、散乱されていないX線とは大きく異なる位置の検出器に到達する。そのため、散乱X線の位置情報は、被検体の構造を正しく反映しておらず、撮影された画像に、被検体の構造を反映しない輝度むらを発生させる。これにより、画像のコントラスト等が劣化する。
散乱X線による画像の輝度むらを防ぐため、散乱X線を検出器に到達させないようにするグリッドを被検体と検出器との間に配置する方法が知られている。グリッドは、X線の直進方向に向いた複数の開口を有しており、偏向された散乱X線はグリッドを通過できず、グリッドの壁面に吸収される。
また、特許文献1には、予め散乱X線の検出器上の分布を示す応答関数を求めておき、撮影条件を用いて応答関数を補正してフィルタ関数を生成し、フィルタ関数をX線原画像に適用することにより散乱X線画像を求め、X線原画像から差し引く画像処理方法が開示されている。特許文献1では、このような処理を、フーリエ変換とコンボリューション演算等によって行っている。
上述したようにグリッドにより散乱X線を除去する方法は、散乱されていないX線や、散乱角が小さいX線も、グリッドにより一定割合で遮蔽されるため、X線検出器に到達するX線線量が減少するという問題がある。また、グリッド構造周期とX線検出器の構造周期の関係から、画像にモアレによる輝度むらが発生することがある。
一方、上記特許文献1に記載の発明により、散乱X線による像を精度よく除去するためには、空間周波数が非常に低い応答関数を用いる必要があるため、演算処理すべき周波数帯域が広く、演算処理量が多くなる。例えば、被検体となる身体部位の内、水分を多く含む部位は、散乱X線が多く発生し、被検体像の全体をぼかしたように散乱X線による画像の濃淡が生じる。被検体の撮影部位は、検出器の視野全体を占めるように配置されることが多いため、散乱X線による画像の濃淡の周期が、撮影視野の幅に半周期程度しか入らないことも多く、散乱X線による画像の濃淡の空間周波数は非常に低い。このような低周波数の散乱X線画像と、同様に低い空間周波数の被検体像とを、特許文献1の画像処理により分離して除去するためには、低い周波数帯域において高い分解能で、X線画像を周波数分解しなければならない。そのため、演算処理すべき周波数帯域が広く、かつ、分解能が要求されるため、演算処理量が増加し、画像処理装置の回路規模が増大する。
本発明の目的は、少ない演算量で容易に、散乱X線像をX線画像から除去することができる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線管装置と、被検体を通過したX線を検出するX線検出部と、X線検出部の検出信号からX線画像を生成する画像処理部とを有する。画像処理部は、生成したX線画像の画素を所定の割合で抽出して、X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成する。生成した縮小画像を複数個配列して縮小画像よりも大きい拡大画像を生成し、拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択する。選択した分解画像を縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像をX線画像の大きさに拡大し、X線画像から差し引く。これにより、所定の周波数帯域のデータをX線画像から除去する。
本発明によれば、被検体のX線画像から散乱X線像を、少ない演算量で容易に除去することが可能になる。
以下、本発明の一実施形態のX線撮影装置について説明する。
本実施形態のX線撮影装置は、生成したX線画像の画素を所定の割合で抽出して、X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成する。生成した縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成する。拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像をX線画像の大きさに拡大し、X線画像から差し引く。これにより、所定の周波数帯域のデータをX線画像から除去する。
このように、X線画像の画素を抽出して縮小画像を生成してから、それを複数配列して拡大画像を生成することにより、データ量を増加させることなく、画像のサイズ(撮像視野)を大きくしたのと同等の拡大画像を得ることができる。よって、拡大画像からX線画像に含まれる画像幅よりも周期が大きい低周波データを精度よく抽出できるため、低周波データとして現れる散乱X線データを効率よく除去できる。
周波数分解は、例えば、離散ウエーブレット変換によって行うことができる。これにより、少ない演算量で周波数分解を行うことができる。
また、X線画像の画素を所定の割合で抽出する前に、X線画像の画素間に所定の割合でデータを補完してアップコンバートすることも可能である。これにより、周波数分解した際に、所定の周波数帯域が複数の分解画像に分割されないように調整できる。
拡大画像は、X線画像と同じ画素数にすることができる。
周波数分解を行う回数を、所定の周波数帯域、および、画素ピッチに基づいて演算により算出するも可能である。
なお、散乱X線データの除去に限らず、所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、X線画像に加算することにより、所定の周波数帯域のデータをX線画像において強調することも可能である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について具体的に説明する。
以下、第1の実施形態について具体的に説明する。
<X線透視撮影装置の全体構成>
第1の実施形態のX線透視撮影装置の全体構成の一例について図1および図2を用いて説明する。
第1の実施形態のX線透視撮影装置の全体構成の一例について図1および図2を用いて説明する。
X線透視撮影装置は、図1のように、X線管装置102と、被検体100を搭載する寝台111と、X線管装置102の支持機構123と、高電圧発生装置108と、絞り装置104と、X線検出部110と、制御装置118と、画像処理装置210と、表示部116と、操作部120とを備えている。
X線管装置102は、被検体100にX線を照射する。図2のように、X線検出部110は、寝台111の内部に配置されている。寝台111内部には、X線検出部110を寝台111の長手(X1)方向および幅(Z1)方向に移動させる移動機構122が配置されている。X線検出部110は、FPD(フラットパネルディテクタ)やイメージングプレート等であり、移動機構122により、X線管装置102に対向する位置に配置され、被検体100を透過したX線を検出する。絞り装置104は、被検体100に対するX線照射領域を設定する。
X線管装置102の支持機構123は、図2のように寝台111に対してX線管装置102を支持し、寝台111の長手方向、幅方向および寝台111にそれぞれ移動させるための機構126と、主平面に平行な軸P2に対して回転させることのできる機構(不図示)を備えている。寝台111には、寝台111を主平面に平行な軸P1を中心に起倒動させる機構130が備えられている。
高電圧発生装置108は、所定の電力(管電圧・管電流)を発生し、X線管装置102に供給する。また、X線管装置102の陽極を回転させる電力を生成し、X線管装置102の陽極駆動部に供給する。
画像処理装置121は、X線検出部110から出力されたX線信号に対して所定の処理を行うことによりX線画像(透視画像(動画)を含む)を生成するとともに画像処理を行う画像処理部112と、生成した画像を記憶する画像記憶部114とを含む。画像処理部112は、生成したX線画像を表示部116に表示させる。
制御装置118は、上記各構成要素の動作を制御する。操作部120は、操作者から指令やパラメータの入力を受け付けて、制御装置118に受け渡す。操作部120は、曝射スイッチ125を含む。
本実施形態では、生成したX線画像から散乱X線像を除去するための散乱X線像除去部124を画像処理部112内に配置している。
<散乱X線除去>
以下、散乱X線像除去部124について詳しく説明する。
以下、散乱X線像除去部124について詳しく説明する。
散乱X線像除去部124は、画像処理部112が生成したX線画像から、散乱X線像を画像処理により高い分解能で分離、除去する。これにより、低被曝で、高画質なX線画像を取得することができる。
まず、除去すべき散乱X線像について説明する。図3は、被検体100として、水を本体とし、その内部に低吸収部301と高吸収部302が配置されたファントムをX線撮影した場合に、シミュレーションにより得られたX線画像を示している。低吸収部301と高吸収部302の厚さは部位毎に一定である。
図4(a)にシミュレーションで得られたX線画像(X線分布画像)を示す。図4(a)中の破線に沿ったX線強度のプロファイルを図4(b)に示す。図4(a)の画像において、低吸収部301に対応する明るい領域と高吸収部302に対応する暗い領域が確認できる。低吸収部301および高吸収部302に対応しない領域は、被検体100の本体であるため、本来は一様なX線透過量となり、均一なX線強度が得られるべきであるが、図4(b)のように、X線画像の中央部よりも周辺部の方がX線強度が低下する分布が生じている。この強度分布を発生させる原因が、散乱X線である。図4(b)に示す通り、中央付近にピークを有し、周辺部で低下するX線強度分布の成分のみを抽出すると、図5(b)のようになり、低い空間周波数成分であることがわかる。これを図4(a)に対応する画像で表すと、図5(a)のようになる。図5(a)が、被検体100による散乱X線の像である。
図5(a),(b)の散乱X線像および強度分布を図4(a)、(b)から差し引くと、図6(a)、(b)が得られる。図4(b)で見られた中央部をピークとし、端部で低下する強度変化が補正され、被検体100の本体部分におけるX線強度が均一になっていることがわかる。
このように、散乱X線の影響を含むX線画像から、散乱X線像を除去することにより、被検体100の本来の構造が明確な高精度な画像を得ることができる。
図7は、画像内のX線強度分布の周波数成分と、その周波数成分を検出するために必要なサンプリング周期と画像の空間サイズを示す概念図である。図7より、X線強度分布の周波数が高い(周期が小さい)の空間データ列701の波形を検出するために、短いサンプリング周期703でサンプリングする必要があるが、散乱X線のように、X線強度分布の周波数が低い(周期が大きい)の空間データ列702は、短いサンプリング周期でサンプリングする必要はないが、画像の幅(空間サイズ)704が小さい場合には、その低周波の波形の全体を検出することが難しいことがわかる。
図7に示した概念に基づいて、本実施形態では、画素毎にサンプリングされているX線画像を間引き、得られた間引き画像を空間的に繰り返し配列することにより、仮想的に空間サイズが大きな画像を得て、これを周波数分解する。これにより、データ量を増加させることなく、X線画像の低周波成分を容易に抽出する。抽出した低周波成分をX線画像から差し引くことにより、散乱X線像を除去した画像を生成する。
X線透視撮像装置の動作および散乱X線像除去部124の動作を図面を用いて具体的に説明する。
図1の制御装置118は、CPUとメモリとを備え、CPUがメモリに予め格納されているプログラムを読み込んで実行することにより、図8のフローのように各部を制御して、撮像および画像処理を実行する。
まずステップ11において、制御装置118は、表示部116に必要な撮影条件3202を受け付けるための画面を表示し、操作者による撮像条件の入力を操作部120を介して受け付ける。撮像条件としては、照射するX線エネルギーの値、照射時間、透視の場合のフレームレート、X線管装置102のX線管の焦点とX線検出部110との距離(SID)、被検体の撮影部位、被写体サイズ(撮像視野サイズ)、被写体の細線構造有無、ならびに、細線構造有りの場合の細線構造の周期等、を受け付ける。
ステップ12において、制御装置118は、ステップ11で受け付けた撮影条件を実現するために各部に制御指令を出力する。例えば、制御装置118は、高電圧発生装置108に、照射すべきX線エネルギーに対応する電力(管電流、管電圧)を設定する。絞り装置104には、被写体サイズ(撮像視野サイズ)を設定し、絞りの開度を調整させる。画像処理部112には、X線検出部110からのデータ取り込みのレートを設定する。X線管装置123の支持機構123には、X線検出部110との距離(SID)を設定し、X線管装置123を上下動させる。また、支持機構123と、X線検出部110の移動機構122には、X線管装置102とX線検出部110には、撮影部位までの水平移動量を設定する。
ステップ12において各部に制御指令を出力した後、制御装置118は、操作者が、操作部120の曝射スイッチ125を操作するまで待機する(ステップ。操作者が曝射スイッチ125を操作したならば、ステップ14に進み、高電圧発生装置108からX線管装置102に管電圧・管電流を供給し、設定された照射時間でX線を発生させる。これにより、絞り装置104を通過したX線が被検体100に照射され、被検体100を透過したX線が、X線検出部110によって検出され、X線撮影が実行される。
次に、ステップ15において、制御装置118の制御下で、画像処理部112は、X線検出部110の出力信号を取り込んで、所定の画像処理を施し、X線強度分布の画像(X線画像3203)を生成する。透視撮影の場合には、X線画像を所定のフレームレートで生成する。生成したX線画像3203は、画像記憶部114に格納する。画像処理部112は、CPUとメモリとを内蔵し、CPUがメモリ内に予め格納されている画像生成用のプログラムを読み込んで実行することにより、画像生成の動作を実現する。
つぎに、ステップ16において、散乱X線像除去部124が、X線画像3203から散乱X線像を除去する処理を行う。この動作を図9のフローを用いて説明する。散乱X線像除去部124の動作は、画像処理部112内のCPUがメモリ内に予め格納されている散乱X線像除去用プログラムを読み込んで実行することにより実現する。
まず、図9のステップ21において、散乱X線像除去部124は、図8のステップ11において受け付けた撮像条件3202を取り込む。また、画像処理部112内のメモリには、画像処理条件として、データの縮小率(間引き周期)N、抽出する周波数帯域f1〜f2、ゲインα、オフセットβ、X線画像のアップコンバート係数γ、の値の組み合わせが、設定可能な撮像条件ごとに予め格納されている。ステップ22において、散乱X線像除去部124は、ステップ21で取り込んだ撮影条件に対応するN,f1〜f2、α、β、γを選択する。なお、X線画像のアップコンバート処理は、本実施形態では行わないので、γ=1が設定されている。
ステップ23に進み、散乱X線像除去部124は、ステップ15において生成したX線画像3203を画像記憶部114から取り込む。X線画像3203は、画素毎に値(データ)を有しているので、画素サイズの周期でサンプリングされたデータ列である。
散乱X線像除去部124は、データ量を増加させることなく、低周波数成分を抽出可能にするため、ステップ23において、まず、ステップ22で選択した画像処理条件のデータ縮小率(間引き周期)Nで、X線画像3203のデータ列からデータを抽出し、データを間引く。具体的には、N画素周期で1画素のデータを選択することにより、縮小画像3204を生成する。図10のように、縦横100×100画素のX線画像3203を、N=4場合には、4画素に1画素選択することにより、縦横25×25画素の画像(縮小)3204を生成する。これにより、図11(a),(b)のように、X線画像3203のデータ列から低周波成分のみ画像3204が得られる。
次に、ステップ24に進み、散乱X線像除去部124は、ステップ23で生成した縮小画像を、縦N個、横N個、繰り返し並べることにより拡大する。これにより、元のX線画像3203と同じサイズの、繰り返し配列画像3205を生成する。
繰り返し配列画像3205は、図11(c)のように、データ量(画素数(サンプリング数))は、元のX線画像3203と同じである。繰り返し配列画像3205は、元のX線画像3203の被写体サイズ(撮影視野)を、縦N倍、横N倍に拡大したのと同等である。例えば、元のX線画像3203の画像幅に図7のように半周期しか含まれていない低周波のデータ列702があった場合、N=4のときには、繰り返し配列画像3205では2周期分含まれている。よって、繰り返し配列画像3205から図7の低周波のデータ列702を次のステップ25において容易に抽出できる。
ステップ25では、繰り返し配列画像3205のデータに対して、離散ウエーブレット変換を行い、周波数分解画像を得る。例えば、繰り返し配列画像3205のデータg(x)を下式(1)により、離散ウエーブレット変換して、周波数分解画像を得る。
ここで、ウエーブレットの基本信号(基本ウエーブレット)を関数Ψ(t) (ただし、tは時間)で表す。基本信号の複素共役信号をΨ’(t)とする。基本信号の時間方向の拡大を与える係数をa、基本信号の時間方向のシフトを与える係数をbとすると、拡大およびシフト後の基本信号Ψ(t)は、Ψ((t-b)/a)で表される。係数aおよびbを2進分割で、時間方向の拡大率aが1/2、1/4、1/8・・・となるように離散化すると、
a=2(L−M)
b=k*2(L−M)
で表される。ただし、L,Mは整数であり、Mは、多重解像度解析のレベルを表し、後述の繰り返し回数Mに相当する。
a=2(L−M)
b=k*2(L−M)
で表される。ただし、L,Mは整数であり、Mは、多重解像度解析のレベルを表し、後述の繰り返し回数Mに相当する。
上記基本信号と、係数a、bとを用いて、データg(x)を離散ウエーブレット変換したデータは、下式(1)によりXM(k、b)で表される。
XM(k、b)=(1/√(2(L−M))Σg(x)Ψ’((t/√(2(L-M)))-k)
・・・(1)
ただし、kは、空間周波数を表す。
XM(k、b)=(1/√(2(L−M))Σg(x)Ψ’((t/√(2(L-M)))-k)
・・・(1)
ただし、kは、空間周波数を表す。
1回の離散ウエーブレット変換(M=1)により、図11(d)のように、繰り返し配列画像3205のデータから、破線部分の高周波側の周波数帯域のデータが分離される。分離されたデータ(画像)25−1は、画像記憶部114に格納する。
図11(d)の周波数分解後のデータ(実線部分のデータ)3205−1にもう一度離散ウエーブレット変換を繰り返すと、図11(e)のように、破線部の高周波側のデータ(画像)25−2が分離される。分離されたデータ(画像)25−2は、画像記憶部114に格納する。
この処理を予め定めたM回繰り返し、その都度得られたデータ(画像)25−3〜25−Mをそれぞれ画像記憶部114に格納する。分離されたデータ(画像)25−1〜25−M(M=9)の例を図10に示す(ただし、図10のデータ(画像)25−1〜25−M(M=9)は、周波数を濃淡分布で認識できるようにするためにステップ27により逆ウエーブレット変換後の画像サイズを調整した画像を示している。)図10から明らかなように、高周波数側のデータ(画像)25−1から順次分離され、低周波側のデータ(画像)25−Mが得られている。
ステップ26に進み、散乱X線像除去部124は、ステップ25で得られたデータ(画像)25−1〜25−Mの中から、ステップ22で選択した帯域f1〜f2を含む画像を一つ選択する。例えば、データ(画像)25−Mを選択する。
ステップ27において、散乱X線像除去部124は、選択したデータ(画像)25−Mに対して、逆ウエーブレット変換を施す。逆ウエーブレット変換後の画像25−Mは、縦横N×N倍した繰り返し配列画像3205のサイズに対応しているため、逆ウエーブレット変換後の画像25−Mの画像を縦横N分割して、縦横1/Nにした領域を抽出した後、抽出した画像を縦横N倍する(画像再構成)。これにより、元のX線画像3203に対応する画像サイズで、所望の低周波数帯域f1〜f2の画像を得ることができる。得られた画像が散乱X線像である。
つぎに、ステップ28に進み、得られた散乱X線像データを、ステップ22で選択した画像処理条件のゲインαで増幅し、オフセットβでオフセットして調整する。
ステップ29において、ステップ21で読み込んだ元のX線画像3203から、ステップ28で取得した低周波数の散乱X線像を差し引く(加算する)。これにより、ステップ15で得られたX線画像から散乱X線像を除去する画像処理を行うことができる。
図8のステップ17に進み、散乱X線除去後のX線画像を表示部116に表示する。
上述してきたように、第1の実施形態の散乱X線除去処理(図8のステップ16、図9の各ステップ)は、X線画像のデータを間引いて1/Nにした後、縦横N個繰り返し配列して繰り返し配列画像3205を得て、この繰り返し配列画像3205に対して周波数分離を行う。よって、データ量を増加させることなく、縦横N倍したサイズと同等の画像を得て、周波数分離処理を行うことができ、演算量を増加させることなく、低周波成分(散乱X線像)を抽出できる。
比較例として、図9のステップ23,24を行わず、X線画像3203をそのままステップ25により離散ウエーブレット変換して得られた周波数分解データ(画像)35−1〜35−M(M=9)を図12に、その処理を図13(a),(b),(c)に示す。図12の周波数分解データ(画像)35−1〜35−M(M=9)を図10の周波数分解データ(画像)25−1〜25−M(M=9)と比較すると明らかなように、本実施形態の図10のデータの方が、低周波数成分が抽出されている。これは、繰り返し配列画像3205を生成することにより、実質的に画像サイズをN倍しているため、より低周波成分が容易に抽出可能となったためである。また、繰り返し配列画像3205は、元のX線画像3203とデータ量は変わらないため、演算量が増加しない。また、図13(c)と図11(e)を対比すると、比較例の図13(c)よりも本実施形態の図11(e)の周波数分解データの方が、分解能が向上していることがわかる。
また、本実施形態では、離散ウエーブレット変換により周波数分解を行っているため、少ない演算量で周波数分解を行うことができる。ただし、本実施形態は離散ウエーブレット変換に限定されるものではなく、フーリエ変換等の他の演算により周波数分解を行うことももちろん可能である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態として、元のX線画像3203のデータ配列に対して、画素と画素の間に所定の割合いでデータを補間するアップコンバート処理を施し、データ量を増加させた後、図9のステップ23の間引き処理を行う場合について説明する。
第2の実施形態として、元のX線画像3203のデータ配列に対して、画素と画素の間に所定の割合いでデータを補間するアップコンバート処理を施し、データ量を増加させた後、図9のステップ23の間引き処理を行う場合について説明する。
第1の実施形態と同様に、図9のステップ22において画像処理条件を選択する。第1の実施形態では、アップコンバート係数γは、γ=1であったが、第2の実施形態ではγは1ではない。ステップ23で間引き処理を行う前に、第2の実施形態では、ステップ15で生成したX線画像3203を画像記憶部114から読み出して、アップコンバート係数γに応じてアップコンバートする(ステップ31,32)。例えば、γ=2である場合、X線画像3203のデータ量が2倍になるように、データとデータの間を補完するデータを追加する。補完方法としては、一般的なsinc関数補間等を用いることができる。これにより、図14(a)、(b)に示すように、データ量を2倍にする。
その後、ステップ23において、アップコンバート後のX線画像3207に対してデータを間引き、1/Nに縮小処理し、縮小画像を得る(ステップ23)。縮小画像のデータ量は、アップコンバートしない場合の縮小画像のγ倍になる(図14(c))。
この縮小画像に対して、第1の実施形態と同様に、縦横N個ずつ配列して繰り返し配列画像を得る(図14(d))。繰り返し配列画像を周波数分解する(図14(e)〜(g))。
このようにアップコンバートすることにより、周波数分解処理により得られる周波数帯域を、アップコンバートしない場合とは異なる帯域にすることができる(図14(e)〜(g))。よって、アップコンバートしない場合に所望の周波数帯域f1〜f2が、二つの周波数分解後のデータに分割される場合であっても、アップコンバート係数γを調整することにより、周波数分解帯域をずらすことができ、一つの周波数分解後のデータ内に帯域f1〜f2を入れることができる。
このように、アップコンバート係数γの値を、除去したい散乱X線像の周波数帯域がすべて、一つの周波数分解後のデータに含まれるように調整することにより、ステップ29において散乱X線像を高精度に元のX線画像3203から除去することができる。
他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、図9のステップ22においてデータの縮小率(間引き周期)N、X線画像のアップコンバート係数γ等を選択するが、第3の実施形態は、散乱X線像除去部124は、ステップ22の後に、ステップ30を行って、繰り返し回数Mにより所望の帯域f1〜f2が算出できるように、間引きによる縮小率Nとアップコンバート係数γの値の調整を行う。
第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、図9のステップ22においてデータの縮小率(間引き周期)N、X線画像のアップコンバート係数γ等を選択するが、第3の実施形態は、散乱X線像除去部124は、ステップ22の後に、ステップ30を行って、繰り返し回数Mにより所望の帯域f1〜f2が算出できるように、間引きによる縮小率Nとアップコンバート係数γの値の調整を行う。
まず、散乱X線像除去部124は、ステップ22において、データの縮小率(間引き周期)N、抽出すべき周波数帯域f1〜f2、X線画像のアップコンバート係数γ等を選択したならば、ステップ30に進む。
ステップ30の動作を、図15のフローのステップ41〜43を用いて説明する。散乱X線像除去部124は、ステップ41において、空間周波数の最大値(fmax)を、現在の画素ピッチ(dp)を間引きによる縮小率Nおよびアップコンバート係数γから算出し、fmax=1/2/dpによって算出する。また、離散ウエーブレット変換をM回繰り返した際に得られる周波数を、fmax/Mにより、離散ウエーブレット変換をM+1回繰り返した際に得られる周波数を、fmax/(M+1)によりそれぞれ算出する。
そして、抽出すべき周波数帯域は、f1〜f2であるので、ステップ42において、M回繰り返した際に得られる周波数fmax/Mがf2より大きく(f2<fmax/M)、M+1回繰り返した際に得られる周波数fmax/(M+1)が、f1より小さい(fmax/(M+1)<f1)という条件を満たすかどうかを判定する。
ステップ42において、条件を満たすと判定した場合には、ステップ44に進み、M、N、γを現在の値のままで決定し、ステップ23に進む。ステップ42において、条件を満たしていない場合は、ステップ43に進み、γを現在のγの値よりも所定量だけ小さい値に変更する。さらに、このγにより、dp、Nを更新する。具体的には、現在のdp値にγを乗算して、更新後のdpとし、現在のN値をγで除算する。そして、ステップ41に戻る。
これにより、抽出すべき周波数帯域f1〜f2が、繰り返し回数Mで抽出可能な、データの縮小率(間引き周期)N、X線画像のアップコンバート係数γに調整することができる。なお、ステップ43において、Mの値を調整することも可能である。
他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
<第4の実施形態>
第4の実施形態について説明する。第1〜第3の実施形態では、低周波数帯域f1〜f2を含む周波数分解画像を図9のステップ26において選択し、低周波数の散乱X線像をX線画像から除去する構成であった。しかしながら、本発明は、低周波帯域の除去に限られるものではなく、他の周波数帯域を除去することも可能であるし、所定の周波数帯域を強調することも可能である。
第4の実施形態について説明する。第1〜第3の実施形態では、低周波数帯域f1〜f2を含む周波数分解画像を図9のステップ26において選択し、低周波数の散乱X線像をX線画像から除去する構成であった。しかしながら、本発明は、低周波帯域の除去に限られるものではなく、他の周波数帯域を除去することも可能であるし、所定の周波数帯域を強調することも可能である。
他の周波数帯域を除去する場合には、ステップ26において、所望の周波数帯域を含む分解画像を選択し、ステップ27以降は、第1の実施形態と同様に処理すればよい。これにより、所望の周波数帯域を含む分解画像を除去することができる。
一方、所望の周波数帯域を強調する場合、図16(a)のように、所望の周波数帯域を選択しておき、図16(b)のように周波数分解処理が図9のステップ25においてなされたならば、ステップ26において所望の周波数帯域を含む分解画像を選択する(図16(c))。そして、これを強調するために、ステップ28において、選択した周波数帯域の画像の値に所定の係数をかける等して増幅する。増幅後の画像を、ステップ29において、元のX線画像3203に加算する。これによって、所望の周波数帯域が強調された、X線画像が生成できる。
この強調処理によって、被検体100の画像の所望のエッジのみを強調することができる。
なお、図16(a)で強調したいエッジ領域が中〜高周波数帯域である場合には、図9のステップ23、24の縮小処理および拡大処理を省略することも可能である。
<第5の実施形態>
第1〜第4の実施形態は、撮影したX線画像(透視画像を含む)にリアルタイムで散乱X線除去処理等の画像処理を行うX線透視撮像装置について説明したが、予め撮像しておいたX線画像に対して、後処理として画像処理を行う画像処理装置を構成することも可能である。
第1〜第4の実施形態は、撮影したX線画像(透視画像を含む)にリアルタイムで散乱X線除去処理等の画像処理を行うX線透視撮像装置について説明したが、予め撮像しておいたX線画像に対して、後処理として画像処理を行う画像処理装置を構成することも可能である。
この場合、図1の画像処理装置121を独立の装置とし、画像処理装置121は、予めX線透視撮影装置が撮影しておいたX線画像を受け取って、散乱X線像除去部124が図9の各ステップの処理を行えばよい。
その場合、第1の実施形態では、図8のステップ11において、操作者から撮像部位の設定等を受け付けたが、画像処理装置121は、受け取ったX線画像に基づいて、パターン認識を用いて、撮影されている部位を判別する機能や、視野範囲を推定する機能を備える構成にすることもできる。
また、上述の各実施形態においては、X線画像の全体に対して散乱X線像除去等の画像処理を行ったが、図17のようにX線画像3203内に設定した注目領域171の画素データのみを選択して画像処理を行うことも可能である。
本発明は、X線透視撮影装置の他、X線CT装置等のX線画像診断装置に利用可能である。
102 X線管装置、100 被検体、110 X線検出部、121 画像処理装置、112 画像処理装置、120 操作部、124 散乱X線像除去部、125 曝射スイッチ
Claims (9)
- 被検体にX線を照射するX線管装置と、前記被検体を通過したX線を検出するX線検出部と、前記X線検出部の検出信号からX線画像を生成する画像処理部とを有し、
前記画像処理部は、
生成した前記X線画像の画素を所定の割合で抽出して、前記X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成し、
生成した前記縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成し、
前記拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像を前記X線画像の大きさに拡大し、前記X線画像から差し引くことにより、所定の周波数帯域のデータを前記X線画像から除去することを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記画像処理部は、前記周波数分解を離散ウエーブレット変換によって行うことを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記画像処理部は、前記X線画像の画素を所定の割合で抽出する前に、前記X線画像の画素間に所定の割合でデータを補完してアップコンバートすることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記拡大画像は、前記X線画像と同じ画素数であることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記画像処理部は、前記周波数分解を行う回数を、前記所定の周波数帯域、および、画素ピッチに基づいて演算により算出することを特徴とするX線撮影装置。
- 被検体にX線を照射するX線管装置と、前記被検体を通過したX線を検出するX線検出部と、前記X線検出部の検出信号からX線画像を生成する画像処理部とを有し、
前記画像処理部は、
生成した前記X線画像の画素を所定の割合で抽出して、前記X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成し、
生成した前記縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成し、
前記拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像を前記X線画像の大きさに拡大し、前記X線画像に加算することにより、所定の周波数帯域のデータを前記X線画像において強調することを特徴とするX線撮影装置。 - X線画像を受け取って、前記X線画像の画素を所定の割合で抽出して、前記X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成し、
生成した前記縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成し、
前記拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、分割後の画像を前記X線画像の大きさに拡大し、前記X線画像から差し引くことにより、所定の周波数帯域のデータを前記X線画像から除去することを特徴とするX線画像処理装置。 - X線画像の画素を所定の割合で抽出して、前記X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成し、
生成した前記縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成し、
前記拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択し、
選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割し、
分割後の画像を前記X線画像の大きさに拡大して、前記X線画像から差し引くことにより、所定の周波数帯域のデータを前記X線画像から除去することを特徴とするX線画像処理方法。 - コンピュータを、
X線画像の画素を所定の割合で抽出して、前記X線画像よりも画素数の少ない縮小画像を生成する手段、
生成した前記縮小画像を複数個配列して前記縮小画像よりも大きい拡大画像を生成する手段、
前記拡大画像を周波数分解して複数の分解画像を得て、そのうち所定の周波数帯域を含む分解画像を選択する手段、
選択した分解画像を前記縮小画像の大きさに分割する手段、
分割後の画像を前記X線画像の大きさに拡大して、前記X線画像から差し引くことにより、所定の周波数帯域のデータを前記X線画像から除去する手段、
として機能させるためのX線画像処理プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2015093414A JP2016209121A (ja) | 2015-04-30 | 2015-04-30 | X線撮影装置、x線画像処理装置、x線画像処理方法、および、x線画像処理プログラム |
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Cited By (1)
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JP2019105919A (ja) * | 2017-12-11 | 2019-06-27 | シャープ株式会社 | 平滑画像生成装置、異常判定装置、平滑画像生成方法、およびプログラム |
-
2015
- 2015-04-30 JP JP2015093414A patent/JP2016209121A/ja active Pending
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