JP2016208651A - 回転負荷結合体及び回転負荷結合体を具備する空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転負荷結合体の回転軸の構造において、軸受部が三ヶ所であることから、支点が三点となり同軸度のずれが生じ、軸受への負荷が増大し軸受が消耗しやすいこと、軸受部の電食(電蝕)を抑制することとを兼ねる構成における新規な課題を解消すること。
【解決手段】回転子2の回転軸1には、回転軸1を支持する金属焼結含油軸受5が取り付けられている。回転軸1は金属焼結含油軸受5の内径にある複数の軸受摺動部により支承され、回転子2が回転自在に回転する。電動機には制御回路を含めた駆動回路を実装した印刷配線板12が内蔵されている。この印刷配線板12を内蔵したのち、負荷接続側のブラケット13を固定子10に圧入することにより、電動機が形成される。
【選択図】図1A
【解決手段】回転子2の回転軸1には、回転軸1を支持する金属焼結含油軸受5が取り付けられている。回転軸1は金属焼結含油軸受5の内径にある複数の軸受摺動部により支承され、回転子2が回転自在に回転する。電動機には制御回路を含めた駆動回路を実装した印刷配線板12が内蔵されている。この印刷配線板12を内蔵したのち、負荷接続側のブラケット13を固定子10に圧入することにより、電動機が形成される。
【選択図】図1A
Description
本発明は、空気調和機等に具備される回転負荷結合体に関する。
従来の空気調和装置等に具備される回転負荷結合体としては、図2及び図3に示されるような構成のものが知られている。例えば、電動機の負荷としてのクロスフローファン21は複数のブレード22と、このブレード22を支持する支持板23及び電動機側端板24及びベアリング側端板25を超音波溶着等の手段で軸方向に連結して構成されている。
そして、電動機側端板24には、振動の吸収と取付のためのゴムボス26と取付軸27が配設されており、ベアリング側端板25には、軸28が配設されていて、駆動用の電動機29の軸30に取付軸27を固定ネジ31により固定し、他方は玉軸受32で支持されクロスフローファン21は回転駆動される(例えば特許文献12参照)。
また、負荷を駆動する電動機29は、例えば、図4に示す構成のものが知られている。図4において、駆動用の電動機29は、固定子磁心41と、固定子巻線42と、インシュレータ43と、アース端子44と、絶縁キャップ45とから構成され、モールド樹脂46と、固定子磁心41と固定子巻線42をモールドして外被を形成するとともに、反負荷側軸受ハウジングも一体成型している。金属製のブラケット47で、負荷側軸受ハウジングと取付フランジを備えている。
回転子48は、回転軸となるシャフト49を一体で備える構成である。玉軸受50a及び玉軸受50bは、シャフト49の負荷接続側及び非負荷接続側に各々設けられている。そして、図4の例では、金属製のカバー51及びネジ52を具備する構成となっている(例えば特許文献13参照)。
そして、従来の空気調和装置等に具備される回転負荷結合体の回転軸は、図2、図3、図4に示すとおり、玉軸受32、玉軸受50a及び玉軸受50bによって支承される。つまり、回転負荷結合体の回転軸は、負荷側の玉軸受と電動機内の二つの玉軸受の三か所で回転軸を支える構成となるため、各玉軸受の配置の誤差に起因する同軸度のずれに対応する必要性があった。これに対応する方法として電動機内の二つの軸受それぞれに調芯機能を持たせることが必要であり、玉軸受又は調芯機能を有する含油軸受が用いられていた。
さて、近年においては、電動機をインバータ駆動するケースが多い。そして、インバータ駆動される電動機は、軸電圧・軸電流が増加する傾向が多く、電動機に玉軸受を採用した場合においては、軸電圧・軸電流による電食が玉軸受に生じやすく、玉軸受の軸受の内輪、軸受の外輪又は軸受ボールに波状摩耗痕が発生して異常音に至ることもあった。例えば、空気調和装置等の室内機や室外機において、装置内部に配置されたファンを含む回転負荷結合体の電動機の玉軸受に上述の電食が生じると、軸受の電食に起因する振動や異常音が回転軸を経由してファンの翼各々に伝播し、翼自体から振動や異常音が拡大放射され、騒音として空気調和装置等の使用者やその周辺にて感知する。当然、装置の不具合として課題認識に至り、装置の修理や、改善要望へと展開する。
さて、電動機の軸受に生じる電食については、古くから良く知られた不具合現象であるが、電食の発生原因の解析は、不十分なまま、対処策を試行錯誤的に図ることがほとんどで、技術的視点での解決が望まれるものであった。
以下では、電動機の軸受に生じる電食について、三相交流回路という電気回路の回路解析の視点から考察する。
周知のとおり、正弦波による対称三相交流回路において各相の回路条件を等しくするときは、Y結線の中性点は常に一定値を示し、電源側のY結線の中性点と負荷側のY結線の中性点との間には、電位差は生じない。なお、この際の三相電源の正弦波は、高調波成分を含まない無歪の正弦波であることが、前提であることは言うまでもない。
また、三相回路の各相の回路ループの条件が不平衡のときは、Y結線の負荷側の中性点は零電位ではなく、ある値の電位を示す。これらのことは、例えば特許文献1などのとおり、良く知られている。なお、軸電圧の観測は、三相交流回路のいずれかの回路箇所や、便宜的に設けた分圧回路の中点による擬似的中性点などとの電位差として測定するなどの多少の工夫を要するものである。
実際の対称三相交流回路においては、種々の要因により、三相電源の不平衡や、三相電源の正弦波に若干の高調波成分を含み、電源側のY結線の中性点及び負荷側のY結線の中性点に多少の電位の発生が観測される。さらに、この中性点の電位変化に起因して、発電機の回転軸や、電動機の回転軸に誘起される電圧値、所謂、軸電圧が観測される。この軸電圧は、回転軸を回転自在に支承する軸受けの内輪へも印加されることとなる。
一方、軸受の外輪は、電気的には発電機又は電動機の外郭や、接地部位と接続されているために、軸受の内輪の電位とは、異なる電位となり、軸受けの内輪と外輪間には電位差が生じる。そして、軸受けの転動体を介して、外輪と内輪とが電気的に接続されると、外輪、転動体、内輪、これらの間に放電が起きる。この放電の箇所には放電痕が生じ、この放電痕を電食と呼称している。そして、この放電痕、つまり電食によって軸受の回転には不具合を起こす。
例えば、特許文献2〜4などに記されているように、三相電源の発電機には、発電機の組み立ての不整に起因する磁気回路の不平衡によって、対称三相交流が得られずに不平衡の三相交流が生じ、中性点電位発生に起因する軸電圧が発生する。
また、発電機の励磁巻線の励磁電源が、サイリスタ等による励磁装置である場合は、励磁巻線に高調波を多量に含む非正弦波波形の電圧が印加されることとなる。この非正弦波波形の電圧は、励磁巻線ほかの発電機の構成部材による等価インピーダンス成分を介して、上述の励磁装置の励磁電力に起因する軸電圧の発生となる。
また、前述の特許文献などに記されているように、発電機特有の現象としては、蒸気タービンの羽に衝突した蒸気の一部がイオン化して、帯電する。そして、蒸気のイオン化による電荷は、発電機の構成部材による等価インピーダンス成分を介して回転軸へと伝わり、発電機の軸電圧として現れて、軸受けの電食を招くことが知られている。
一方、三相交流回路における負荷側の電動機においても、例えば特許文献5などに記されているように、三相交流の不平衡に起因する軸電圧による軸受けの電食の発生が知られている。また、同文献等に記されているように、電動機をインバータ装置を用いて駆動した場合には、電源のスイッチング毎に一瞬に起こる電圧不平衡により非常に高い周波数成分(数MHz)の中性点電位の変動に起因する軸電圧(軸電流)が発生し、電動機の軸受けの電食が生じる。
昨今、電動機の分野にては、インバータ装置による駆動技術が隆盛を極めている。このインバータ装置による駆動は、無歪の正弦波電圧原による駆動とは全く異なるものであり
、矩形波状の電圧源を構成して、擬似的な三相駆動を図っている。インバータ装置による駆動では、上述の特許文献5ごとく、中性点電位の変動に起因する軸電流(軸電圧)が発生し、電動機の軸受けの電食が生じ易い。
、矩形波状の電圧源を構成して、擬似的な三相駆動を図っている。インバータ装置による駆動では、上述の特許文献5ごとく、中性点電位の変動に起因する軸電流(軸電圧)が発生し、電動機の軸受けの電食が生じ易い。
周知のとおり、インバータ装置による駆動は、無歪の正弦波による対称三相交流による駆動ではない。従って、電動機のY結線の中性点では、各相の電圧値が互いに打ち消しあって、常に零レベルになることは無く、何らかの電圧値が、生じていることは自ずと明らかである。
例えば、非特許文献1などに記されるとおり、インバータ装置によって駆動される電動機のY結線の中性点には、最大値はインバータ装置の電源電圧値にも達する凸状波形波及び方形波による周期的な大きな振幅の電圧変化を示す。そして、同非特許文献などに記されるとおり、この中性点の電位変化に起因して、回転軸には軸電圧が観測される。
非特許文献1などにも記されるように、インバータ装置からの各相の駆動電圧は、電動機の固定子の固定子巻線から固定子構成部材のインピーダンス成分を経て固定子の外部へ電気的エネルギーとして伝播する。この電気的エネルギーの伝播は、電動機の固定子及び回転子間の分布容量成分を介して、電動機の回転子へと伝播し、さらには、回転子構成部材のインピーダンス成分を経由して回転軸に到達する。ここで回転軸は、三相交流回路の等価的なY結線の中性点に位置することから、この回転軸には何らかの電位の変化が観測される。この電位の変化は、軸電圧と呼称されることは、上述のとおりである。
ところで、三相交流回路における各相の第3次高調波成分であるが、これは互いに相殺されることはなく、Y結線の中性点にて観測され得ることは、周知のとおりである。またY結線の中性点にては、各相の不平衡成分も観測され得ることは、周知のとおりである。
さて、インバータ駆動であるが、具体的には、パルス幅変調(Pulse Width
Modulation)方式(以下、PWM方式という)のインバータにより駆動する方式を採用するケースが多い。こうしたPWM方式のインバータ駆動の場合、巻線の中性点の電位は零とならず何らかの電圧が発生する理由は、上述のとおりである。
Modulation)方式(以下、PWM方式という)のインバータにより駆動する方式を採用するケースが多い。こうしたPWM方式のインバータ駆動の場合、巻線の中性点の電位は零とならず何らかの電圧が発生する理由は、上述のとおりである。
また、上述の中性点の電位変化について、電動機の各構成要素の電気的な等価インピーダンス成分による等価回路を三相交流回路としての視点で解析した場合には、電動機の回転軸は前述の等価回路における等価的なY結線の中性点とも考察され、何らかの電位変化が回転軸に生じることはいうまでもない。
例えば、電動機の各構成要素の等価インピーダンス成分を抽出し、電動機の各構成要素を含めた電動機の等価回路を解析することで、軸電圧を算出することも試みられている。
このように、電動機の各構成要素の電気的な等価インピーダンス成分による等価回路の視点で、軸電圧の発生を解析し、電食の抑制を図ることについては、前述の特許文献5や、非特許文献1などの公知文献に散見される。電動機の等価回路は、分布定数回路の視点での解析によるものや、分布定数回路の主要な回路素子毎に集中定数素子化して集中定数回路へとモデル化して解析するなど、多岐である。
なお、電動機の各構成要素を含めた電動機の等価回路は、電動機の種類や構造によって異なる。具体的には、固定子巻線及び固定子磁心を絶縁性樹脂で覆うような電動機と、固定子巻線及び固定子磁心を金属製筐体にて覆うような電動機とは、電動機の等価回路が異なることは明らかである。
また、電動機の回転子の構成体によっても、電動機の等価回路は異なる。例えば、回転子のバックヨークを成す回転子磁心の有無、磁極を構成する磁石の抵抗値が高いか低いかなど、これらの組み合わせによっても、電動機の等価回路が異なることは明らかである。
また、電動機の回転軸方向における構造に着目すると、回転軸方向にて回転子の中央部を境にして、非対称な構造に至るケースが大半である。具体的には、電動機の回転軸の負荷接続側と、非負荷接続側とで、軸受を配置する箇所のブラケットの形状や材質の相違する。このため、電動機の等価回路についても、電動機の回転軸の負荷接続側の等価回路と、非負荷接続側の等価回路とは、回転軸方向にて回転子の中央部を境にして、対象な回路構成となることは稀で、非対称な回路構成を為す場合が多い。
例えば、上述のような、電動機の回転軸の負荷接続側の等価回路と、非負荷接続側の等価回路とが、回転軸方向にて回転子の中央部を境にして、非対称な回路構成を為す場合は、回転軸の負荷接続側の軸受の内輪の電位、回転軸の負荷接続側の軸受の外輪の電位、回転軸の非負荷接続側の軸受の内輪の電位、回転軸の非負荷接続側の軸受の外輪の電位、これら4箇所の電位が全て相違するため、回転軸を回路の経路として、回転軸の負荷接続側から非負荷接続側へ向かう循環電流又は回転軸の負荷接続側から非負荷接続側へ向かう循環電流が生じる。仮に、この循環電流が、電食の主要因の場合には、回転軸の途中に絶縁物を設ける構成(例えば特許文献18に記される様態)や回転軸の両端の軸受の外輪同士を電気的に短絡する構成(例えば特許文献19に記される様態)が有効である。
しかしながら、上記の循環電流の抑制しても軸電圧(軸電流)の抑制には至らない。つまり、電動機の軸受の内輪から回転軸、回転子、回転子と固定子間の空隙、固定子巻線に至る経路の電動機の等価回路と、電動機の軸受の外輪からブラケット、固定子の外装、固定子巻線に至る経路の電動機の等価回路とは、その経路を成す構成要素の相違に起因して、回路構成や、回路の素子値が相違する。このため、電動機の軸受の内輪の電位と、電動機の軸受の外輪の電位とは、同電位には成り得ず、異なる電位を示す。
更には、電動機の種類や構造毎に、電動機の各構成要素を含めた電動機の等価回路が異なることから、好適な電食の低減技術は電動機の種類や構造毎に異なり、全ての種類の電動機に対して一様に適用し得る電食の低減技術の確立は困難を極める。当然、電動機の種類や構造毎に、電食の低減技術を確立することの方が、一般的であり、これまでも数々の電食の低減技術が提案されている。
さて、上述のとおり、電動機のインバータ駆動による軸電圧の発生に起因して、軸受の外輪と内輪との間に電位差が発生する。この軸電圧には、スイッチングによる高周波成分を含んでいる。そして、軸電圧に起因する電位差が軸受内部の油膜(潤滑用グリース)の絶縁破壊電圧に達すると、軸受の内部に高周波電流が流れ、軸受内部には電食が発生する。この電食が進行した場合、軸受内輪または外輪の内部に波状摩耗現象が発生して異常音に至ることがあり、電動機における代表的な不具合現象となる。
なお、軸受の内部の潤滑用グリースに水が入り込み、この水に何らかの電解質物質が溶出すると、軸電圧の電気エネルギーによって水の電気分解と共に水素が生じる。そしてこの水素が軸受の金属材料を侵す、いわゆる水素脆性によって、電食痕がさらに拡大するとの考察も記されている(例えば特許文献16等)。
上述のごとく、電食は、主に軸受材料がアーク放電によって損傷を受ける現象であり、軸電圧に起因する軸受の内輪と軸受の外輪との間に発生した電位差によって、軸受の内輪−玉−軸受の外輪という経路で軸電流が流れることによる。従って、電動機の電食を抑制するためには、以下のような対策が提案される。
(1)軸受の内輪と軸受の外輪とを導通状態にする。
(2)軸受の内輪と軸受の外輪とを絶縁状態にする。
(3)軸受の内輪の電位と軸受の外輪の電位とを略等しくする。
(1)軸受の内輪と軸受の外輪とを導通状態にする。
(2)軸受の内輪と軸受の外輪とを絶縁状態にする。
(3)軸受の内輪の電位と軸受の外輪の電位とを略等しくする。
さて、上記(1)の具体的方法としては、軸受の潤滑剤を導電性にすることが挙げられる。ただし、導電性潤滑剤は、時間経過とともに導電性特性が劣化することや摺動信頼性に欠けるなどの課題がある。また、回転軸にブラシを設置し、導通状態にする方法も考えられるが、この方法もブラシ摩耗粉やスペースが必要となるなどの課題がある。
また、上記(1)の別の方法として、軸受を滑り軸受とする構成も考察される。例えば、金属焼結含油軸受を採用することによって、軸受部を導通状態にすることが可能である。周知のとおり、近年のPWM方式のインバータ駆動の電動機では一対の玉軸受を採用する電動機が主流となっているが、以前は一対の焼結含油軸受を用いる電動機が見られた。
例えば、特許文献6、特許文献7などに記されたものは一例である。軸受部は導通状態であるため放電の発生はなく、電食は生じないが、シャフトの回転精度は玉軸受を用いたものよりも劣り、また、軸受損失が大きいため、玉軸受を用いたものよりも電動機の効率が低下してしまうことは、周知のとおりである。
さて、上記(2)の具体的方法としては、軸受の内部の転動体の材質を導電性材料の鉄などの金属材から絶縁体のセラミックス材などに置換することが挙げられる。この方法は、電食の防止には非常に効果はあるが、セラミックス材の場合はコストが高く、経済的側面の課題を招く。
また、上記(2)の別の方法として、軸受を絶縁性の滑り軸受とする構成も考察される。例えば、特許文献8などに記された樹脂を用いた絶縁性の滑り軸受を採用することによって、軸受部を絶縁状態にすることが可能である。絶縁性を有する軸受部には、電食は生じることはない。しかし、上述と同様に、シャフトの回転精度は玉軸受を用いたものよりも劣り、また、軸受損失が大きいため、玉軸受を用いたものよりも電動機の効率が低下してしまうことは、周知のとおりである。
さて、上記(3)の具体的方法としては、回転子に誘電体層を設けることで、軸受の内輪の電位と同軸受の外輪の電位との電位差を低減し、電食の発生を抑制する方法が知られている(例えば特許文献9、特許文献17参照)。
また、上記(3)の別の方法として、固定子磁心と導電性を有した金属製のブラケットとを電気的に短絡させることで、静電容量を変化させて軸電圧を低減する方法が知られている(例えば特許文献10参照)。また、電動機の固定子磁心などを大地のアースへ電気的に接続し、かつ軸受の内輪と外輪とを短絡する構成も知られている(例えば特許文献11参照)。なお、大地へのアースを施す場合には、雷サージ試験という観点での考察を要することは言うまでもない。雷サージの影響を考慮しなければならない構成を付加するからである。
以上、述べたとおり、回転軸が駆動されているときの玉軸受の軸受ボールの表面は、潤滑油・潤滑材による油膜にて覆われているため玉軸受の軸受内輪と軸受外輪との間は、電気的に絶縁状態であるが、油膜の厚みの低下や、軸電圧が過大であると放電が生じ、この放電によって電食(波状摩耗痕)が生成される。
また、上述の金属焼結含油軸受を採用する場合については、特許文献14に、次のことが記されている。玉軸受に換えて金属焼結含油軸受を用いると特許文献14の第1表及び
第11図に示されるとおり、回転軸と軸受部との間は、電気的に恒に低抵抗状態(0.45〜0.58Ω,0.55〜0.64Ω)であることから、電動機の回転軸側と固定子側とを電気的に短絡したに等しい状態となる。したがって、空気調和装置等に具備される回転負荷結合体の回転軸のいずこかに玉軸受が配置されていても、玉軸受の外輪側と内輪側との間に軸電圧・軸電流が印加・通電されることはなく、当然、放電による波状摩耗痕も生成されない。
第11図に示されるとおり、回転軸と軸受部との間は、電気的に恒に低抵抗状態(0.45〜0.58Ω,0.55〜0.64Ω)であることから、電動機の回転軸側と固定子側とを電気的に短絡したに等しい状態となる。したがって、空気調和装置等に具備される回転負荷結合体の回転軸のいずこかに玉軸受が配置されていても、玉軸受の外輪側と内輪側との間に軸電圧・軸電流が印加・通電されることはなく、当然、放電による波状摩耗痕も生成されない。
なお、この場合でも、軸電圧・軸電流の値は、出来るだけ小さな値にすることが好ましいことは、言うまでもない。当然、過度に軸電圧・軸電流の値が大きければ、金属焼結含油軸受の摺動面における軸電流の値も過大な値となり、軸電流の電流値が大きいことによる副作用の有無についての考察を要し、新たな課題となる。例えば、金属焼結含油軸受の寿命に関するが、金属焼結含油軸受の潤滑油の早期劣化や、金属焼結含油軸受の摺動面の変性や、金属焼結含油軸受の摺動面の焼付きなどの課題についての検討を要することとなる。
調芯機能を持った金属焼結含油軸受は同軸度のずれと電食に対応しているが、金属焼結含油軸受は油切れによるロック寿命が問題となる。そこで金属焼結含油軸受の潤滑油の漏れ防止対策として、例えば、特許文献15では油表面改質材を添加した樹脂材料のリング状のワッシャを回転子用軸にハウジング外側から嵌め合わせ、軸受端面に密着させることにより、軸受油の流出を防止する技術思想が示されている。なお、特許文献15には、金属焼結含油軸受を回転軸の負荷接続側及び非負荷接続側に各々配置する構成について示している。
「富士時報 第72巻、第2号(1999年2月)」、インバータ駆動誘導電動機の軸電圧 P.144〜P.149
本発明の解決しようとする課題は、従来の空気調和装置等に具備される回転負荷結合体の回転軸の構造において、軸受部が三ヶ所であることから、支点が三点となり同軸度のずれが生じ、軸受への負荷が増大し軸受が消耗しやすいことを解消することである。
また、従来の空気調和装置等に具備される回転負荷結合体の回転軸の構造において、軸受部の電食(電蝕)を解消することを意図して、軸受部のいずれかを金属焼結含油軸受にて構成する場合は、回転軸を伝って、電動機の外部に軸受の潤滑油が流出しやすく、外観不良、軸受の短寿命化に至るという課題があり、この課題も合わせて解消し得る発明を提案するものである。
上記課題を解決するために、第一の発明の回転負荷結合体は、電動機の回転軸と、この回転軸に接続される負荷の軸と、この負荷の軸の他方端を回動自在に支承する軸受とから成る回転負荷結合体において、前記電動機は回転軸の非負荷接続端側でのみ前記回転軸を回動自在に支承する金属焼結含油軸受を具備する。
また、第二の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、この回転負荷結合体に含む電動機の構成要素は、固定子磁心と前記固定子磁心に巻装される固定子巻線とを含む固定子と、前記固定子の内周面と対向して配置される磁性を有する内転型の回転子と、前記回転子を軸通する回転軸と、前記回転軸を回転自在に支承する金属焼結含油軸受と、前記金属焼結含油軸受の外周面の少なくとも一部及びこの金属焼結含油軸受の片端面とを覆う有底円筒形状のハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と前記固定子の少なくとも一部とを埋設する樹脂外装体とを含む。
また、第三の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、前記金属焼結含油軸受は、この金属焼結含油軸受の内径側に一つ又は複数の軸受摺動部を具備する。
また、第四の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、回転軸と回転子との接続箇所と回転軸と金属焼結含油軸受との摺動部との間の回転軸の部分に、前記金属焼結含油軸受から滲み出す潤滑油を回転軸の回転運動による遠心力で飛散させる円環状板体の油切板を具備する。
また、第五の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、この鍔部の外周端部の表面に塗布される撥油剤を含む。
また、第六の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、さらに、前記鍔部の外周部から前記回転軸方向へ延設される円筒部を具備し、この円筒部の開口部の端面部の表面に塗布される撥油剤を含む。
また、第七の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、さらに、前記鍔部の外周部から前記回転軸方向へ延設される円筒部を具備し、この円筒部の先端部の表面に塗布される撥油剤を含む回転負荷結合体。
また、第八の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、金属焼結含油軸受に換えて、樹脂のすべり軸受けを具備する。
また、第九の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、回転軸の静止時及び回転軸が2000r/m以下で回転駆動されるときに、回転軸と金属焼結含油軸受の外周部との間のインピーダンスの値の上限値を10Ωとする。
また、第十の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、固定子と対向する回転子の対向面のスラスト方向の長さ寸法を1とする場合に、金属焼結含油軸受の各軸受摺動部のスラスト方向の長さ寸法の総合計の寸法の比率の値は0.2から1の範囲であり、かつ、前記軸受摺動部各々のスラスト方向の間隔の寸法の比率の値は0.05から0.8の範囲である回転負荷結合体。
また、第十一の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、金属焼結含油軸受と回転軸とのクリアランスの値の範囲は、2μm〜10μmである。
また、第十二の発明の回転負荷結合体は、第一の発明の回転負荷結合体において、負荷がクロスフローファンである。
また、第十三の発明は、第一から第十二の発明の回転負荷結合体を具備する空気調和機である。
このように、本発明に係る回転負荷結合体は、電動機軸をカップリングで延長した先に負荷と軸受を有する装置に取り付ける電動機の軸受構造を含む。そして、電動機の回転軸を金属焼結含油軸受で片持ちに支えた電動機の軸受構造である。この電動機の軸受構造としては、軸受摺動部を内径側に複数個一体成型した金属焼結含油軸受を、電動機の反出力側に設けた構造や、スラスト荷重を樹脂のすべり軸受けで支持した構造、また負荷としてクロスフローファンを用いた構造が可能である。
そして、本発明の構成により、与圧機構、調芯機構が不要となり、軸受部を小型化でき、電動機全体の体積を低減可能である。また、反出力側に設置した場合、軸受が接触する回転軸の部位は電動機外部と内部の温度差の影響を受けにくくなるため、電動機軸受の潤滑油が外部に流出するのを防止できるので、長寿命化が可能となることから、小型で長寿命な電動機及び回転負荷結合体を実現することが可能である。
本発明によれば、小形化、薄型化と、軸受の長寿命化を両立させた回転負荷結合体及び電動機が得られる、という効果を奏する。
以下、本発明について、図面及び表を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態又は実施例によって本発明が限定されるものではない。
図1A及び図1Bは、本発明の回転負荷結合体の電動機の断面を示した構造図である。本実施例では、電気機器としてのエアコン用に搭載され、送風ファンを駆動するための電動機である電動機の一例を挙げて説明する。また、本実施例では、回転子が固定子の内周側に回転自在に配置された内転型の電動機の一例について説明する。
図1A及び図1Bにおいて、固定子磁心9には、固定子磁心9を絶縁する樹脂によるインシュレータ11が介在して、固定子巻線8が巻装されている。そして、このような固定子磁心9は、他の固定部材とともに樹脂材料によって一体成形されて樹脂外装部7の内部に封止されている。本実施例では、これらの部材を樹脂材料によって一体成形することにより、外形が略円筒形状を成す固定子10を構成する。
固定子10の内側には、空隙を介して回転子2が挿入されている。回転子2は、回転子磁心15を含む円板状の回転体17と、回転体17の中央を貫通するようにして回転体17を締結した回転軸1とを有している。回転体17は、固定子10の内周側に対向して周方向に永久磁石であるフェライト樹脂の磁石16を保持している。
図1A及び図1Bでは、回転体17として、回転子磁心15とフェライト樹脂による略円筒形状の磁石16とを一体成形する構成例を示している。このように、固定子10の内周側と回転体17の外周側とを対向するように配置する構成である。
回転子2の回転軸1には、回転軸1を支持する金属焼結含油軸受5が取り付けられている。図1A及び図1Bでは、以上のような構成により回転軸1は金属焼結含油軸受5の内径にある複数の軸受摺動部により支承され、回転子2が回転自在に回転する。
さらに、本実施例の電動機には制御回路を含めた駆動回路を実装した印刷配線板12が内蔵されている。この印刷配線板12を内蔵したのち、負荷接続側のブラケット13を固定子10に圧入することにより、電動機が形成される。また、印刷配線板12には、巻線の電源電圧Vdc、制御回路の電源電圧Vcc及び回転数を制御する制御電圧Vspを印加するリード線や制御回路のグランド線などの接続線18が接続されている。
なお、駆動回路を実装した印刷配線板12上のゼロ電位点部は、大地のアース及び1次側(電源)回路とは絶縁され、大地のアース及び1次側電源回路の電位とは、フローティングされた状態である。ここで、ゼロ電位点部とは、印刷配線板12上における基準電位としての0ボルト電位の配線のことであり、通常グランドと呼ばれるグランド配線を示している。接続線18に含まれるグランド線は、このゼロ電位点部、すなわちグランド配線に接続される。
また、駆動回路が実装された印刷配線板12に接続される巻線の電源電圧を供給する電源回路、制御回路の電源電圧を供給する電源回路、制御電圧を印加するリード線及び制御回路のグランド線などは、巻線の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路、制御回路の電源電圧を供給する電源回路に対する1次側(電源)回路、これら1次側(電源)回路と接続された大地のアース及び独立して接地された大地のアースのいずれとも電気的に絶縁されている。
つまり、1次側(電源)回路電位及び大地のアースの電位に対して、印刷配線板12に実装された駆動回路は電気的に絶縁された状態であることから、電位が浮いた状態となっている。これは電位がフローティングされた状態とも表現され、よく知られている。また、このようなことから、印刷配線板12に接続される巻線の電源電圧を供給する電源回路
及び制御回路の電源電圧を供給する電源回路の構成は、フローティング電源とも呼称され、これもよく知られた表現である。
及び制御回路の電源電圧を供給する電源回路の構成は、フローティング電源とも呼称され、これもよく知られた表現である。
以上のように構成された本電動機に対して、接続線18を介して各電源電圧及び制御信号を供給することにより、印刷配線板12の駆動回路により固定子巻線8が駆動される。固定子巻線8が駆動されると、固定子巻線8に駆動電流が流れ、固定子磁心9から磁界が発生する。そして、固定子磁心9からの磁界とフェライト樹脂の磁石16からの磁界とにより、それら磁界の極性に応じて吸引力及び反発力が生じ、これらの力によって回転軸1を中心に回転子2が回転する。そして、金属焼結含油軸受5に対して、金属焼結含油軸受5の外周径とほぼ等しい外周径のブラケット6により固定している。また、このブラケット6は、樹脂外装部7とモールド一体成形されている。
図1Aに示す電動機においては、ブラケット6は中空円筒状となるカップ形状を有しており、より具体的には、一方を開いたブラケットの円筒部6aと、閉じた側の円筒端部から外方向に少しだけ広がった環状のブラケットの鍔部6bとを有している。ブラケットの円筒部6aの内周径は金属焼結含油軸受5の外周径より狭く、ブラケットの円筒部6aに金属焼結含油軸受5を圧入することにより固定され、金属焼結含油軸受5はブラケット6を介するようにして樹脂外装部7にも固定されることになる。
また、ブラケットの鍔部6bの外周径は、金属焼結含油軸受5の外周径よりも大きく、かつ少なくとも回転体17の外周径よりも小さくしている。ブラケット6をこのような形状とすることにより、例えば、鍔部が回転体17の外周を超えて固定子10まで広がるような構造に比べて、コスト高となる金属材料の使用を抑制している。そして、ブラケットの底部外周の凸部6cは樹脂外装部7に埋設する抜止部を構成する。また、金属焼結含油軸受5と回転体17との間の回転軸1の一部分に樹脂製の油切4を配置し、かつ、金属のブラケット6の鍔部6bの端面には撥油剤を塗布している。このようにすることで、油の流出を防ぎ、長寿命なモータを実現することが可能である。
また、図1Bに示す電動機においては、ブラケット6は中空円筒状となるカップ形状を有しており、より具体的には、一方を開いたブラケットの円筒部6aと、閉じた側の円筒端部から外方向に少しだけ広がった環状のブラケットの中断部6dと、この中断部6dから回転軸方向の負荷接続側に向かって開口する円筒部6eとを有している。ブラケットの円筒部6aの内周径は金属焼結含油軸受5の外周径より狭く、ブラケットの円筒部6aに金属焼結含油軸受5を圧入することにより固定され、金属焼結含油軸受5はブラケット6を介するようにして樹脂外装部7にも固定されることになる。
また、ブラケットの底部外周の凸部6cは樹脂外装部7に埋設する抜止部を構成する。また、金属焼結含油軸受5と回転体17との間の回転軸1の一部分に樹脂製の油切4を配置し、かつ、金属のブラケット6の円筒部6eの開口部の端部には撥油剤を塗布している。このようにすることで、油の流出を防ぎ、長寿命なモータを実現することが可能である。なお、図1Bに示す電動機においては、油切4の位置は、円筒部6eの開口部の端部より開口部内側のスラスト板3の側に配置しても良い。油の流出を、抑制可能である。
また、図1A及び図1Bに示す電動機においては、金属焼結含油軸受5は、金属焼結含油軸受5の円筒内面に、一箇所又は複数個所の摺動部を有する構成である。そして、磁石16のスラスト方向の長さ寸法に対して、金属焼結含油軸受5の各摺動部のスラスト方向寸法の総合計値ほかの各部の比率は、以下に述べる構成が好適であった。つまり、磁石16のスラスト方向の長さを1としたときに、金属焼結含油軸受5の摺動部のスラスト方向寸法の総合計値の比率が0.2〜1.0、かつ、金属焼結含油軸受5の摺動部各々の間隔間の距離が0.05〜0.8であり、回転軸1と金属焼結含油軸受5の摺動部とのクリア
ランスを2〜10μmで構成する。
ランスを2〜10μmで構成する。
この構成によって、金属焼結含油軸受5と回転軸1とのインピーダンス値は、初期値の値として10Ω以下の状態に至り、恒常的に摺動部が接触した通電状態となるため、電食の抑制が可能となる。また金属焼結含油軸受5が回転軸1と接触する摺動部を金属焼結含油軸受5の円筒内面に互いに近接させて集中配置にすることで、軸受部が従来の3点支持から2点支持と同等な状態となり、同軸度のずれが良化し金属焼結含油軸受5の負荷が減ることから効率を良化可能である。
さて、図1Aに示すような電動機の構成にて、軸受には円筒形状の金属焼結含油軸受5を用い、金属のブラケット6に圧入している。本実施例では磁石16のスラスト方向の長さを24mmとする。金属焼結含油軸受5の各摺動部のスラスト方向の長さ寸法の合計値は、9mmとする。回転軸の径は8mmであり、回転軸と軸受間とのクリアランスが5μmである。このように構成することで、回転軸1と金属焼結含油軸受5の外径部との間でのインピーダンス値の初期値は、8Ωとなった。また、金属のブラケット6の中に配置する金属焼結含油軸受5と回転体17との間の回転軸1の一部分に樹脂製の油切4を配置し、金属のブラケット6の鍔部6bの端面に撥油剤を塗布する。このような構成の電動機を、常温常湿の環境にて、電動機の回転数を1000r/minとして、10000時間に至るまでの駆動試験を実施し、その評価結果は表1に示す。
なお、磁石16のスラスト方向の長さを1として、軸受の摺動部のスラスト方向の長さの合計の比率が0.2未満となると、回転軸1を支承不能となり、回転子の外周面が固定子の内周面に接触し動作不良となる。
また、軸受の摺動部のスラスト方向の長さの合計が1を超えると、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンスの値が10Ωを超えるため、例えば、10000時間に至るまでの駆動試験を経ると騒音の値は増大し、好ましくない。また、軸受のスラスト方向の寸法は長くなるため、電動機の小型化は図れない。
また、金属焼結含油軸受5の摺動部間の長さが0.05未満となると、軸受にかかる回転軸とロータの重量を受ける面積が減ることで圧力が増加し、摺動部での発熱が増加することで軸受がオイルの劣化温度に達する為使用できない。
また、金属焼結含油軸受5の摺動部間の長さが0.8を超えると回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンスが10Ωを超えるため、例えば、10000時間に至るまでの駆動試験を経ると騒音の値は増大し、好ましくない。
また、回転軸と軸受の内面との間のクリアランスが2μm未満になると回転軸と軸受の摺動摩耗音による初期騒音が大きくなる。
また、回転軸と軸受の内面との間のクリアランスが10μmを超えると回転軸と軸受の接触音による初期騒音が大きくなる。
そして、電動機側端板24には、振動の吸収と取付のためのゴムボス26と取付軸27が配設されており、ベアリング側端板25には、軸28が配設されていて、駆動用の電動機29の軸30に取付軸27を固定ネジ31により固定し、他方は玉軸受32で支持され、電動機の回転軸によってクロスフローファン21は回転駆動される。そして、本発明の回転負荷結合体33を搭載した空気調和機は、軸受に電食が生じることも抑制され、電食による騒音が生じることも抑制され、より高品質な空気調和機が提供可能である。
(第一の比較例)
図5には、第1の比較例の電動機の概要を示す。第一の比較例の電動機においては、回転軸1の片側にのみ、金属焼結含油軸受を配置する構成に換えて、出力側軸受及び反出力側軸受の両方にJIS呼び番号が608である単列深溝玉軸受を配置する構成である。この玉軸受の主な構成要素は、軸受の内輪、軸受の外輪、転動体(玉)及び潤滑剤(グリス)である。潤滑剤(グリス)は、予圧バネからの予圧の作用によって潤滑剤による油膜(グリス油膜)を形成し、軸受の内輪、軸受の外輪及び転動体(玉)が潤滑剤による油膜(グリス油膜)を介して潤滑されている。
図5には、第1の比較例の電動機の概要を示す。第一の比較例の電動機においては、回転軸1の片側にのみ、金属焼結含油軸受を配置する構成に換えて、出力側軸受及び反出力側軸受の両方にJIS呼び番号が608である単列深溝玉軸受を配置する構成である。この玉軸受の主な構成要素は、軸受の内輪、軸受の外輪、転動体(玉)及び潤滑剤(グリス)である。潤滑剤(グリス)は、予圧バネからの予圧の作用によって潤滑剤による油膜(グリス油膜)を形成し、軸受の内輪、軸受の外輪及び転動体(玉)が潤滑剤による油膜(グリス油膜)を介して潤滑されている。
潤滑剤(グリス)には、基油としてはエステル系オイルを用い、増ちょう剤としてはリチウム石鹸を用いるものである。図5に示すとおり、金属ブラケットの内径は、玉軸受の外径とほぼ等しく、玉軸受14及び軸受22を各ブラケットに圧入して構成するものである。
なお、その他の構成については、図1A及び図1Bに示す実施例1の構成と同様の構成である。このような第一の比較例の構成の電動機を、常温常湿の環境にて、電動機の回転数を1000r/minとして、10000時間に至るまでの駆動試験を実施し、その評価結果は表1に示す。なお、第1の比較例においては、第一の比較例の各構成要素は、各々相当する実施例1の各構成要素と同一の符号番号を付している。また、第一の比較例における各構成要素毎の説明は、実施例1における各構成要素毎の説明と同一の内容となるため割愛する。
(第二の比較例)
図6には、第二の比較例の電動機の概要を示す。第二の比較例の電動機においては、回転軸1の片側にのみ、金属焼結含油軸受を配置する構成に換えて、出力側軸受及び反出力側軸受の両方に焼結含油軸受100を用いた。焼結含油軸受100の形状は球形であり、ばね102により支えられ調芯機能を有し、また軸受間の距離は40mmとする構成である。両側に調芯機能を有する焼結含油軸受を40mmの間隔で配置する構成である。また、保油体102も具備する構成である。
図6には、第二の比較例の電動機の概要を示す。第二の比較例の電動機においては、回転軸1の片側にのみ、金属焼結含油軸受を配置する構成に換えて、出力側軸受及び反出力側軸受の両方に焼結含油軸受100を用いた。焼結含油軸受100の形状は球形であり、ばね102により支えられ調芯機能を有し、また軸受間の距離は40mmとする構成である。両側に調芯機能を有する焼結含油軸受を40mmの間隔で配置する構成である。また、保油体102も具備する構成である。
なお、その他の構成については、図1A及び図1Bに示す実施例1の構成と同様の構成である。このような第二の比較例の構成の電動機を、常温常湿の環境にて、電動機の回転数を1000r/minとして、10000時間に至るまでの駆動試験を実施し、その評価結果は表1に示す。なお、第一の比較例においては、第一の比較例の各構成要素は、各々相当する実施例1の各構成要素と同一の符号番号を付している。
(表1の結果と考察)
表1に示す駆動試験の結果について考察を述べる。回転数を1000r/minとして駆動するときの騒音の値と、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンスの値とについて、駆動試験の開始時の初期値と、駆動試験の10000時間経過後の値とを比較する。
表1に示す駆動試験の結果について考察を述べる。回転数を1000r/minとして駆動するときの騒音の値と、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンスの値とについて、駆動試験の開始時の初期値と、駆動試験の10000時間経過後の値とを比較する。
まず、騒音の値の変化は、つぎのとおりである。実施例1の騒音の変化は、−1dBであり、僅かながら良化する。第一の比較例では電食の発生を確認し、騒音の値は、27dBの増加であり、騒音量の増大は顕著である。第二の比較例の騒音の変化は、4dBの増加であった。
第一の比較例では10000時間の連続駆動を経て、軸受の内部は摺動によって面粗度の悪化から、油膜の厚みは低下し、この油膜の厚みの低下と共に軸受の絶縁破壊耐電圧も同時に低下したことが想定される。
傾向として、軸受の絶縁破壊耐電圧は、電動機の駆動時間と共に次第に低下する。軸受は、駆動試験による老化・劣化の無い初期においては、軸受の絶縁破壊耐電圧を軸電圧よりも高い状態に設定為し得ていても、電動機の駆動試験の累積時間の増大による軸受の摺動面には老化・疲労が蓄積され、このため軸受の絶縁破壊電圧は軸電圧よりも低下してしまうことが観察される。
一方、実施例1においては、駆動騒音が良化したが、これは、焼結含油軸受の特長を示す一現象であると考察する。軸受の摺動面が回転軸に対してなじむことにより、駆動試験の開始の時よりも、駆動試験の経過後の方が騒音の値は、良化する。
また、第二の比較例では、焼結含油軸受としての特長により一旦は、騒音良化した可能性も推定されるが、調芯機能を持ち油膜厚みが増大したために絶縁層として作用し、玉軸受と同様な油膜の状態に移行したため、玉軸受と同様な電食が発生したものと考察される。ちなみに、空気調和機の評価指標の一例には、30000時間の稼動経過後でも、騒音の値は35dB以下を満たすことが要求されている。第二の比較例における10000時間経過の騒音の値(30dB)では、余裕度や、安全率や、ディレーティングなどの観点を加味すると、満足な水準には達していないものと評価する。
つぎに、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンス値の変化についての考察を述べる。まず、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンス値により、回転軸と軸受間の接触・摺動状態を数値的に評価可能であることを示す。まず、予備的な評価試験の結果から
、インピーダンス値は、10Ωを境として、摺動時における電食の発生の有無を予測可能であるとの推論を得ている。10Ω以下の場合には、電食の発生は観測されず、10Ωを越す値の場合には、電食の発生を観測した。
、インピーダンス値は、10Ωを境として、摺動時における電食の発生の有無を予測可能であるとの推論を得ている。10Ω以下の場合には、電食の発生は観測されず、10Ωを越す値の場合には、電食の発生を観測した。
さて、第二の比較例においては、焼結含油軸受に調芯機能を持たせた構成であったことにより、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンス値が10Ωを超す値であった。また、回転軸と軸受の外周面との間の軸電圧の波形を観測すると、回転軸と軸受の外周面との間で放電が発生した場合には電圧波形の不規則変化を示し、軸受の摺動面には放電痕による電食が観察される。第二の比較例における、回転軸と軸受の外周面との間の軸電圧の波形は、電圧波形の不規則変化を示しており、電食が生じているものと判定する。また、以上の結果から、第二の比較例における焼結含油軸受の油膜の厚みは、実施例1より厚く、油膜が絶縁層としての役割を成しているものと考察する。
一方、実施例1では、試験時間10000時間経過後においても、回転軸と軸受の外周面との間のインピーダンス値は8Ωを維持継続しており、電食が発生する油膜の厚みまで油膜は厚くならず摺動させることができるため、例えば、試験時間30000時間経過後においても、電食による騒音増加の可能性は少ないものと見込まれる。
なお、騒音測定の試験方法は、気温が20℃、回転数1000r/minの同一運転条件下で測定を行った。運転時の電動機姿勢は、回転軸水平とし、電動機から15cm離れた場所にマイクを設置してA特性で騒音を測定した。また、電動機を駆動させていないときの騒音(暗騒音)は13dBであった。
本発明によれば、小形化、薄型化と、軸受の長寿命化を両立させた回転負荷結合体及び電動機が得られる、という効果を奏する。
1 回転軸
2 回転子
3 スラスト板
4 油切
5 金属焼結含油軸受
6 ブラケット
7 樹脂外装部
8 固定子巻線
9 固定子磁心
10 固定子
11 インシュレータ
12 印刷配線板
13 ブラケット
14 玉軸受
15 回転子磁心
16 磁石
17 回転体
18 接続線
19 電動機
28 軸
29 電動機
30 軸
32 玉軸受
41 固定子磁心
42 固定子巻線
43 インシュレータ
46 モールド樹脂
47 ブラケット
48 回転子
50a 玉軸受
50b 玉軸受
100 金属焼結含油軸受
101 ばね
102 保油体
2 回転子
3 スラスト板
4 油切
5 金属焼結含油軸受
6 ブラケット
7 樹脂外装部
8 固定子巻線
9 固定子磁心
10 固定子
11 インシュレータ
12 印刷配線板
13 ブラケット
14 玉軸受
15 回転子磁心
16 磁石
17 回転体
18 接続線
19 電動機
28 軸
29 電動機
30 軸
32 玉軸受
41 固定子磁心
42 固定子巻線
43 インシュレータ
46 モールド樹脂
47 ブラケット
48 回転子
50a 玉軸受
50b 玉軸受
100 金属焼結含油軸受
101 ばね
102 保油体
Claims (13)
- 電動機の回転軸と、この回転軸に接続される負荷の軸と、この負荷の軸の他方端を回動自在に支承する軸受とから成る回転負荷結合体において、前記電動機は回転軸の非負荷接続端側でのみ前記回転軸を回動自在に支承する金属焼結含油軸受を具備する回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、この回転負荷結合体に含む電動機の構成要素は、
固定子磁心と前記固定子磁心に巻装される固定子巻線とを含む固定子と、前記固定子の内周面と対向して配置される磁性を有する内転型の回転子と、前記回転子を軸通する回転軸と、前記回転軸を回転自在に支承する金属焼結含油軸受と、前記金属焼結含油軸受の外周面の少なくとも一部及びこの金属焼結含油軸受の片端面とを覆う有底円筒形状のハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と前記固定子の少なくとも一部とを埋設する樹脂外装体とを含む回転負荷結合体。 - 請求項1記載の回転負荷結合体において、前記金属焼結含油軸受は、この金属焼結含油軸受の内径側に一つ又は複数の軸受摺動部を具備する回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、回転軸と回転子との接続箇所と回転軸と金属焼結含油軸受との摺動部との間の回転軸の部分に、前記金属焼結含油軸受から滲み出す潤滑油を回転軸の回転運動による遠心力で飛散させる円環状板体の油切板を具備する回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、この鍔部の外周端部の表面に塗布される撥油剤を含む回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、さらに、前記鍔部の外周部から前記回転軸方向へ延設される円筒部を具備し、この円筒部の開口部の端面部の表面に塗布される撥油剤を含む回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、有底円筒形状のハウジングは、そのハウジングの開口部に鍔部を具備し、さらに、前記鍔部の外周部から前記回転軸方向へ延設される円筒部を具備し、この円筒部の先端部の表面に塗布される撥油剤を含む回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、金属焼結含油軸受に換えて、樹脂のすべり軸受けを具備する回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、回転軸の静止時及び回転軸が2000r/m以下で回転駆動されるときに、回転軸と金属焼結含油軸受の外周部との間のインピーダンスの値の上限値を10Ωとする回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、固定子と対向する回転子の対向面のスラスト方向の長さ寸法を1とする場合に、金属焼結含油軸受の各軸受摺動部のスラスト方向の長さ寸法の総合計の寸法の比率の値は0.2から1.0の範囲であり、かつ、前記軸受摺動部各々のスラスト方向の間隔の寸法の比率の値は0.05から0.8の範囲である回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、金属焼結含油軸受と回転軸とのクリアランスの値の範囲は、2μm〜10μmである回転負荷結合体。
- 請求項1記載の回転負荷結合体において、負荷がクロスフローファンである回転負荷結合体。
- 請求項1乃至12のいずれかに記載の回転負荷結合体を具備する空気調和機。
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Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022259394A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | 三菱電機株式会社 | モータ、ファン、換気扇、及び空気調和機 |
-
2015
- 2015-04-22 JP JP2015087215A patent/JP2016208651A/ja active Pending
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WO2022259394A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | 三菱電機株式会社 | モータ、ファン、換気扇、及び空気調和機 |
JP7450817B2 (ja) | 2021-06-09 | 2024-03-15 | 三菱電機株式会社 | モータ、ファン、換気扇、及び空気調和機 |
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