JP2016207949A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な外観を実現しながら光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供すること。【解決手段】少なくとも1つの光電変換セルを有し、光電変換セルが、透明基板および透明基板の上に設けられる透明導電層を有する導電性基板と、導電性基板に対向する対向基板と、導電性基板又は対向基板上に設けられる酸化物半導体層と、酸化物半導体層に担持される色素と、導電性基板及び対向基板を接合させる環状の封止部と、少なくとも導電性基板と封止部との間に設けられる絶縁材とを備え、絶縁材が着色されており、波長を横軸とした色素の吸収スペクトルおよび絶縁材の反射スペクトルをそれぞれ、色素の吸光度の最大値、および、絶縁材の反射スペクトルの反射率の最大値が1となるように規格化し、色素の吸収スペクトルと横軸との間の第1領域の面積をSとし、色素の第1領域と絶縁材の反射スペクトル及び横軸の間の第2領域との重複領域の面積をS1とした場合において、S1/Sが0.5以上である光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池素子などの色素を用いた光電変換素子が注目されており、このような光電変換素子に関して種々の開発が行われている。
色素を用いた光電変換素子は一般に、少なくとも1つの光電変換セルを備えており、光電変換セルは、導電性基板と、対極などの対向基板と、導電性基板と対向基板とを連結する環状の封止部とを備えている。そして、導電性基板は、透明基板と、その上に形成された透明導電層とを有し、導電性基板と対向基板との間には酸化物半導体層が設けられ、酸化物半導体層には色素が担持されている。
このような光電変換素子として、例えば下記特許文献1記載のものが知られている。下記特許文献1には、透明導電性基板と、透明導電性基板に対向する対極と、透明導電性基板上に設けられ、所定の色を呈する多孔質酸化チタン層と、透明導電性基板と対極との間に設けられる封止材とを有する光電変換セルからなる光電変換素子が開示されている。
特開2010−3468号公報
しかし、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の光電変換素子では、光電変換素子を基板の光入射面側から見た場合に、封止部を通して酸化物半導体層の周囲に望ましくない色や形状等が見える場合があった。すなわち、外観が良好でない場合があった。
ここで、外観を改善するために封止部と透明導電性基板との間に着色した絶縁材を設けることが考えられる。しかし、この場合、光電変換素子の光電変換特性が低下する場合があった。
そのため、良好な外観を実現しながら光電変換特性を向上させることができる光電変換素子が求められていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な外観を実現しながら光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した。例えば上記特許文献1の光電変換素子において封止部と透明導電性基板との間に着色した絶縁材を設ける場合、酸化物半導体層には、光が直接入射されるだけでなく、絶縁材で散乱又は反射された光も入射するものと考えられる。この場合、絶縁材で散乱又は反射された光の量が多ければ、光電変換特性は向上するものと考えられる。しかし、絶縁材において、色素が吸収する波長の光が十分に吸収されてしまうと、絶縁材で散乱又は反射された光を酸化物半導体層に十分に入射させることができない。そこで、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも1つの光電変換セルを有し、前記光電変換セルが、透明基板および前記透明基板の上に設けられる透明導電層を有する導電性基板と、前記導電性基板に対向する対向基板と、前記導電性基板又は前記対向基板上に設けられる酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層に担持される色素と、前記導電性基板及び前記対向基板を接合させる環状の封止部と、少なくとも前記導電性基板と前記封止部との間に設けられる絶縁材とを備え、前記絶縁材が着色されており、波長を横軸とした前記色素の吸収スペクトルおよび前記絶縁材の反射スペクトルをそれぞれ、前記色素の吸光度の最大値、および、前記絶縁材の反射スペクトルの反射率の最大値が1となるように規格化し、前記色素の吸収スペクトルと前記横軸との間の第1領域の面積をSとし、前記色素の前記第1領域と前記絶縁材の反射スペクトル及び前記横軸の間の第2領域との重複領域の面積をS1とした場合において、S1/Sが0.5以上である、光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、絶縁材が着色されているため、光電変換素子を導電性基板側から見た場合に、絶縁材の裏側にある封止部や対向基板の色や形状を隠すことが可能となる。さらに、絶縁材を着色させることにより、光電変換素子の導電性基板に所望の文字やデザインを自由に表示させることが可能となる。このため、良好な外観を実現することができる。また、本発明の光電変換素子によれば、S1/Sが0.5以上であるため、S1/Sが0.5未満である場合に比べて、絶縁材に入射した光のうち色素で吸収される波長の光が絶縁材においてより十分に散乱又は反射されることになる。このため、酸化物半導体層に担持された色素が吸収する光の量を増加させることができる。従って、光電変換素子の光電変換特性を向上させることもできる。
上記光電変換素子において、前記S1/Sが0.6以上であることが好ましい。
この場合、S1/Sが0.6未満である場合に比べて、絶縁材に入射した光のうち色素で吸収される波長の光がより十分に散乱又は反射されることになる。このため、酸化物半導体層に担持された色素が吸収する光の量をより増加させることができる。従って、光電変換素子の光電変換特性をより向上させることができる。
また上記光電変換素子は、前記透明基板のうち前記透明導電層と反対側の表面に被覆層をさらに有し、前記被覆層が、前記透明基板の厚さ方向に前記被覆層を見た場合に前記酸化物半導体層を覆っており、前記被覆層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長と、前記色素を担持した状態の前記酸化物半導体層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長とが互いに異なることが好ましい。
この場合、被覆層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長が、色素を担持した状態の酸化物半導体層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長と異なる。このため、酸化物半導体層に担持された色素で十分に吸収されるべき光が被覆層で十分に吸収されることを抑制することができる。従って、光電変換素子における光電変換特性の低下を抑制できる。また光電変換素子の酸化物半導体層の色を所望の色に調整することもできる。
なお、本発明において、「着色されている」とは、L色空間のL*が35未満であることを言う。ここで、Lは、CIEのD65標準光に対する700nmの分光反射率をx、546.1nmをy、435.8nmをzとしたときに下記式で定義される。
=116×(0.2126z+0.7152y+0.0722x)1/3−16
さらに本発明において、「光電変換素子」には、光増感色素を用いて発電が行われる色素増感光電変換素子が含まれる。また「色素増感光電変換素子」には、太陽光によって発電が行われる色素増感光電変換素子、及び、屋内灯などの太陽光でない光によって発電が行われる色素増感光電変換素子が含まれる。
また本発明において、「光電変換セル」には、光増感色素を用いて発電が行われる色素増感光電変換セルが含まれる。また「色素増感光電変換セル」には、太陽光によって発電が行われる色素増感光電変換セル、及び、屋内灯などの太陽光でない光によって発電が行われる色素増感光電変換セルが含まれる。
本発明によれば、良好な外観を実現しながら光電変換特性を向上させることができる光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す切断面端面図である。 本発明の光電変換素子の第1実施形態の一部を示す平面図である。 図1の光電変換素子における透明導電層のパターンを示す平面図である。 図1の光電変換素子を導電性基板側から見た平面図である。 色素の吸収スペクトルと絶縁材の反射スペクトルとの関係の一例を示す図である。 絶縁材およびバックシートを固定するための連結部を形成した作用極を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態を示す切断面端面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態の一部を示す平面図である。 絶縁材、及び、バックシートを固定するための光透過防止層を形成した作用極を示す平面図である。 図7の光電変換素子を導電性基板側から見た平面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態の一部を導電性基板側から見た状態を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第3実施形態の一部を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第4実施形態を導電性基板側から見た状態を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第5実施形態の一部を示す切断面端面図である。 本発明の光電変換素子の第6実施形態の一部を示す平面図である。 本発明の光電変換素子の第7実施形態の一部を示す切断面端面図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の光電変換素子の第1実施形態について図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す切断面端面図、図2は、本発明の光電変換素子の第1実施形態の一部を示す平面図、図3は、図1の光電変換素子における透明導電層のパターンを示す平面図、図4は、図1の光電変換素子を導電性基板側から見た平面図、図5の(a)〜(c)は、色素の吸収スペクトルと絶縁材の反射スペクトルとの関係の一例を示す図である。
図1に示すように、光電変換素子100は、複数(図1では4つ)の光電変換セル(以下、単に「セル」と呼ぶことがある)50と、セル50を覆うように設けられるバックシート80とを有している。図2に示すように、複数のセル50は、導電材としての配線材60Pによって直列に接続されている。以下、説明の便宜上、光電変換素子100における4つのセル50をセル50A〜50Dと呼ぶことがある。
図1に示すように、複数のセル50の各々は、導電性基板15と、導電性基板15に対向する対向基板20と、導電性基板15及び対向基板20を接合させる環状の封止部30Aと、導電性基板15と対向基板20との間に設けられる酸化物半導体層13とを備えている。導電性基板15、対向基板20及び環状の封止部30Aによって形成されるセル空間には電解質40が充填されている。また酸化物半導体層13には色素が担持されている。
対向基板20は、本実施形態では対極で構成されており、基板と電極を兼ねる金属基板21と、金属基板21の導電性基板15側に設けられて触媒反応を促進する触媒層22とを備えている。また隣り合う2つのセル50において、対向基板20同士は互いに離間している。
図1および図2に示すように、導電性基板15は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる電極としての透明導電層12とを有している。透明基板11は、セル50A〜50Dの共通の透明基板として使用されている。導電性基板15の透明導電層12の上には少なくとも1つの酸化物半導体層13が設けられている。酸化物半導体層13は、環状の封止部30Aの内側に配置されている。また導電性基板15の透明導電層12上には接続端子16が設けられている。また導電性基板15と封止部30Aとの間には、着色された絶縁材33が設けられている。本実施形態では、導電性基板15及び酸化物半導体層13によって作用極10が構成されている。
図2および図3に示すように、透明導電層12は、互いに絶縁された状態で設けられる透明導電層12A〜12Fで構成されている。すなわち、透明導電層12A〜12Fは互いに溝90を介在させて配置されている。ここで、透明導電層12A〜12Dはそれぞれ複数のセル50A〜50Dの透明導電層12を構成している。また透明導電層12Eは、封止部30Aに沿って折れ曲がるようにして配置されている。透明導電層12Fは、バックシート80の周縁部80aを固定するための環状の透明導電層12である(図1参照)。
図3に示すように、透明導電層12A〜12Dはいずれも、側縁部12bを有する四角形状の本体部12aと、本体部12aの側縁部12bから側方に突出する突出部12cとを有している。
図2に示すように、透明導電層12A〜12Dのうち透明導電層12Cの突出部12cは、セル50A〜50Dの配列方向Xに対して側方に張り出す張出し部12dと、張出し部12dからセル50A〜50Dの配列方向Xに沿って延びて、隣りのセル50Dの本体部12aに溝90を介して対向する対向部12eとを有している。
セル50Bにおいても、透明導電層12Bの突出部12cは、張出し部12dと対向部12eとを有している。またセル50Aにおいても、透明導電層12Aの突出部12cは、張出し部12dと対向部12eとを有している。
なお、セル50Dは、既にセル50Cと接続されており、他に接続されるべきセル50が存在しない。このため、セル50Dにおいて、透明導電層12Dの突出部12cは対向部12eを有していない。すなわち透明導電層12Dの突出部12cは張出し部12dのみで構成される。
但し、透明導電層12Dは、光電変換素子100で発生した電流を外部に取り出すための第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続し、透明導電層12A〜12Cの側縁部12bに沿って延びる接続部12gとをさらに有している。第1電流取出し部12fは、セル50Aの周囲であって透明導電層12Aに対して透明導電層12Bと反対側に配置されている。
一方、透明導電層12Eも、光電変換素子100で発生した電流を外部に取り出すための第2電流取出し部12hを有しており、第2電流取出し部12hは、セル50Aの周囲であって透明導電層12Aに対して透明導電層12Bと反対側に配置されている。そして、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hは、セル50Aの周囲において溝90を介して隣り合うように配置されている。ここで、溝90は、環状の封止部30Aの外形に沿って形成される第1の溝90Aと、透明導電層12のうち本体部12aを除く部分の縁部に沿って形成され、バックシート80の周縁部80aと交差する第2の溝90Bとで構成されている。具体的には、第1の溝90Aは、透明導電層12の本体部12aの縁部に沿って形成されている。
また、透明導電層12A〜12Cの各突出部12cおよび透明導電層12Eの上には、接続端子16が設けられている。接続端子16は具体的には、光電変換素子100を透明基板11側から導電性基板15の厚さ方向に見た場合に封止部30Aの外側に設けられている。各接続端子16は、配線材60Pと接続され、封止部30Aの外側で封止部30Aに沿って延びる配線材接続部16Aと、配線材接続部16Aから封止部30Aの外側で封止部30Aに沿って延びる配線材非接続部16Bとを有する。
そして、セル50Cにおける透明導電層12Cの突出部12c上に設けられる接続端子16の配線材接続部16Aと隣りのセル50Dにおける対向基板20の金属基板21とが配線材60Pを介して接続されている。配線材60Pは、封止部30Aの上を通るように配置されている。同様に、セル50Bにおける接続端子16の配線材接続部16Aと隣りのセル50Cにおける対向基板20の金属基板21とは配線材60Pを介して接続され、セル50Aにおける接続端子16の配線材接続部16Aと隣りのセル50Bにおける対向基板20の金属基板21とは配線材60Pを介して接続され、透明導電層12E上の接続端子16の配線材接続部16Aと隣りのセル50Aにおける対向基板20の金属基板21とは配線材60Pを介して接続されている。別言すると、配線材60Pの一端はセル50Cの接続端子16に接続され、配線材60Pの他端はセル50Dの対向基板20の金属基板21に接続されている。同様に、配線材60Pの一端がセル50Bの接続端子16に接続され、配線材60Pの他端がセル50Cの対向基板20の金属基板21に接続されている。さらに配線材60Pの一端がセル50Aの接続端子16に接続され、配線材60Pの他端がセル50Bの対向基板20の金属基板21に接続されている。さらに配線材60Pの一端が透明導電層12E上の接続端子16に接続され、配線材60Pの他端がセル50Aの対向基板20の金属基板21に接続されている。
また第1電流取出し部12f、第2電流取出し部12h上にはそれぞれ、外部接続端子18a,18bが設けられている。
図1に示すように、封止部30Aは、導電性基板15と対向基板20との間に設けられる環状の第1封止部31Aと、第1封止部31Aと重なるように設けられ、第1封止部31Aと共に対向基板20の縁部20aを挟持する第2封止部32Aとを有している。そして、隣り合う第1封止部31A同士は一体化されて第1一体化封止部31を構成している。なお、本実施形態では、第1封止部31A(絶縁材33)の内壁面と酸化物半導体層13との間には隙間が設けられている。別言すると、第1封止部31A(絶縁材33)の内壁面と酸化物半導体層13とは互いに離間している。
また図1に示すように、第1封止部31Aと導電性基板15との間には、隣り合う透明導電層12A〜12F同士間の溝90に入り込み且つ隣り合う透明導電層12にまたがるように、環状の封止部30Aの外形に沿って全周に絶縁材33が設けられている。詳しく述べると、絶縁材33は、溝90のうち透明導電層12の本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aが形成されている部分においては、第1の溝90Aに入り込むとともに、連続して第1の溝90Aを形成している本体部12aの縁部をも覆っている。一方、第1の溝90Aが形成されていない本体部12aと突出部12cとの間においても、透明導電層12上に絶縁材33が形成され、封止部30Aの外形に沿って、全周に渡って絶縁材33が形成されている。また、絶縁材33は、第1の溝90Aを挟んで本体部12aと反対側の透明導電層12の縁部も連続して覆っており、封止部30Aの外側まで設けられている。なお、本実施形態では、溝90のうち第2の溝90Bや、第1の溝90Aと第2の溝90Bとを接続する溝は絶縁材33で覆われていない。
ここで、図5の(a)〜(c)に示すように、波長を横軸とした色素の吸収スペクトル(実線)および絶縁材33の反射スペクトル(破線)をそれぞれ、色素の吸光度の最大値、および、絶縁材33の反射スペクトルの反射率の最大値が1となるように規格化し、色素の吸収スペクトルと横軸との間の第1領域Aの面積をSとし、色素の第1領域Aと絶縁材33の反射スペクトル及び横軸の間の第2領域Bとの重複領域Cの面積をS1とした場合において、絶縁材33は、S1/Sを0.5以上とするものとなっている。
図1に示すように、導電性基板15の上にはバックシート80が設けられている。バックシート80は、セル50を、透明基板11のうち透明導電層12が設けられている面側で覆うように設けられている。バックシート80は、耐候性層と、金属層とを含む積層体80Aと、積層体80Aに対し金属層と反対側に設けられ、着色された絶縁性の連結部14(以下、「絶縁材14」と呼ぶ)を介して導電性基板15と接着する接着部80Bとを含む。ここで、接着部80Bは、バックシート80を導電性基板15に接着させるためのものであり、図1に示すように、積層体80Aの周縁部に形成されていればよい。但し、接着部80Bは、積層体80Aのうちセル50側の面全体に設けられていてもよい。バックシート80の周縁部80aは、接着部80Bによって、絶縁材14を介して透明導電層12のうち透明導電層12D,12E,12Fと接続されている。ここで、接着部80Bはセル50の封止部30Aと離間している。また絶縁材14も封止部30Aと離間している。
また透明導電層12Dにおいては、本体部12a、接続部12gおよび第1電流取出し部12fを通るように、配線材17が延びている。ここで、配線材17は集電配線であり、透明導電層12Dよりも低い抵抗及び集電機能を有する。この配線材17は、バックシート80と導電性基板15との間の絶縁材14と交差しないように配置されている。別言すると、配線材17は、絶縁材14よりも内側に配置されている。
なお、図2に示すように、各セル50A〜50Dにはそれぞれ、バイパスダイオード70A〜70Dが並列に接続されている。具体的には、バイパスダイオード70A〜70Dは、第2一体化封止部32上に固定されている。そして、バイパスダイオード70A〜70Dを通るように対向基板20の金属基板21に配線材60Qが固定されている。またバイパスダイオード70A,70B間、バイパスダイオード70B,70C間、バイパスダイオード70C,70D間の配線材60Qからはそれぞれ配線材60Pが分岐し、透明導電層12A上の配線材接続部16A、透明導電層12B上の配線材接続部16A、透明導電層12C上の配線材接続部16Aにそれぞれ接続されている。またセル50Aの対向基板20の金属基板21にも配線材60Pが固定され、この配線材60Pは、バイパスダイオード70Aと、透明導電層12E上の接続端子16の配線材接続部16Aとを接続している。さらにバイパスダイオード70Dは、配線材60Pを介して透明導電層12Dに接続されている。
また、図1に示すように、各セル50の対向基板20上には、乾燥剤95が設けられている。
上記光電変換素子100によれば、絶縁材33が着色されているため、光電変換素子100を図4に示すように、導電性基板15から見た場合に、絶縁材33の裏側にある第1封止部31Aや対向基板20の色や形状を隠すことが可能となる。さらに、絶縁材33を着色させることにより、光電変換素子100の導電性基板15に所望の文字やデザインを自由に表示させることが可能となる。このため、良好な外観を実現することができる。
また光電変換素子100によれば、S1/Sが0.5以上であるため、S1/Sが0.5未満である場合に比べて、絶縁材33に入射した光のうち色素で吸収される波長の光が絶縁材33においてより十分に散乱又は反射されることになる。このため、酸化物半導体層13に担持された色素が吸収する光の量を増加させることができる。従って、光電変換素子100の光電変換特性を向上させることもできる。
また光電変換素子100では、絶縁材33は、封止部30Aの外形に沿って、全周に渡って設けられているため、外部からの水分の侵入経路を全周に渡って遮断することができ、より優れた耐久性を有することが可能となる。
さらに光電変換素子100は、隣接するセル50の透明導電層12の間の第1の溝90Aにも絶縁材33が入り込んでいるため、透明導電層12同士の間に流れる電流を抑制することができ絶縁性を十分に確保することができる。このため、光電変換特性を向上させることができる。
また光電変換素子100では、封止部30Aと絶縁材33とが重なるように配置されている。このため、絶縁材33が封止部30Aと重ならないように配置されている場合に比べて、光電変換素子100の受光面側から見た、発電に寄与する部分の面積をより増加させることができる。このため、開口率をより向上させることができる。
次に、導電性基板15、接続端子16、酸化物半導体13、絶縁材14、33、色素、対向基板20、封止部30A、電解質40、配線材60P,60Q、バックシート80および乾燥剤95について詳細に説明する。
(導電性基板)
導電性基板15に含まれる透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、および、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜10000μmの範囲にすればよい。
導電性基板15に含まれる透明導電層12に含まれる材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOを含むことが好ましい。透明導電層12は、ガラスフリットをさらに含んでもよい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
なお、透明導電層12に形成される溝90は、第1の溝90Aと第2の溝90Bとを有しているが、溝90は、必ずしも第2の溝90Bを有していなくてもよい。
(接続端子)
接続端子16は、金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。
(酸化物半導体層)
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成される。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化シリコン(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層13は通常、光を吸収するための吸収層で構成されるが、吸収層と吸収層を透過した光を反射して吸収層に戻す反射層とで構成されてもよい。
酸化物半導体層13の厚さは通常は、0.5〜50μmとすればよいが、18〜35μmとすることが好ましい。この場合、厚さが18μm未満である場合に比べて、酸化物半導体層13からの反射光又は散乱光により、光電変換素子100を導電性基板15側から見た場合に、酸化物半導体層13の周囲が明るく見えることを十分に抑制することができる。一方、厚さが18〜35μmであると、厚さが35μmを超える場合に比べて、透明導電層12からの酸化物半導体層13の剥離や、酸化物半導体層13におけるひび割れの発生をより十分に抑制できる。
(絶縁材)
絶縁材33としては、着色されたガラスフリット等の無機材料や、着色された樹脂を用いることができる。中でも、絶縁材33は、着色されたガラスフリットであることが好ましい。着色されたガラスフリットは樹脂材料に比べて高い封止能を有するため、第1の溝90Aからの水分等の侵入を効果的に抑制することができる。絶縁材33の厚さは通常、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。また、絶縁材33が透明導電層12の縁部を覆う幅は、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。透明導電層12の縁部を覆う幅を0.2mm以上とすることで、隣接するセル50の透明導電層12の間の絶縁性を十分に確保することができる。但し、絶縁材33が透明導電層12の縁部を覆う幅は、5mm以下であることが好ましい。
絶縁材33は、S1/Sを0.5以上とするものであれば特に限定されるものではないが、0.6以上とするものであることが好ましい。
絶縁材33は、より発電性能が高くなるという理由から、S1/Sを0.8以上とするものであることがより好ましい。但し、絶縁材33は、ハレーション(一部が白光する現象)が起こりにくい、すなわち外観がより向上するという理由から、S1/Sを0.98以下とするものであることが好ましい。
絶縁材14を構成する材料は、バックシート80と透明導電層12とを接着させることができ、着色されており且つ絶縁性を有するものであれば特に制限されず、絶縁材14を構成する材料としては、例えば色付きのガラスフリット、封止部31Aに用いられる樹脂材料と同様の樹脂材料に着色剤を配合してなるものなどを用いることができる。中でも、絶縁材14は、色付きのガラスフリットであることが好ましい。色付きのガラスフリットは樹脂材料に比べて高い封止能を有するため、バックシート80の外側からの水分等の侵入を効果的に抑制することができる。
絶縁材14は着色されているので、絶縁材14によってバックシート80の色や表面形状を隠すことが可能となる。また、絶縁材14を着色させることにより、光電変換素子100の導電性基板15に所望の文字やデザインを自由に表示させることが可能となる。このため、光電変換素子100がバックシート80を備える場合でも良好な外観を実現することができる。
なお、絶縁材14は、S1/Sを0.5以上とするものであってもよく、0.5未満とするものであってもよい。
(色素)
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイトなどの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となる。
上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体からなる光増感色素が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
(対向基板)
対向基板20は、上述したように、基板と電極を兼ねる金属基板21と、金属基板21のうち導電性基板15側に設けられて対向基板20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22とを備える。
金属基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミ、ステンレス等の耐食性の金属材料で構成される。金属基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜0.1mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。中でも、光電変換素子100を導電性基板15の光入射側から見た場合に、酸化物半導体層13と封止部30Aとの間の隙間から見える対向基板20の色や形状等を目立たなくするという観点からは、炭素系材料が好ましい。ここで、炭素系材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ及びケッチェンブラックなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
(封止部)
封止部30Aは、第1封止部31Aと、第2封止部32Aとで構成される。
第1封止部31Aを構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
第1封止部31Aの厚さは通常、40〜90μmであり、好ましくは60〜80μmである。
第2封止部32Aを構成する材料としては、第1封止部31Aと同様、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
第2封止部32Aの厚さは通常、20〜45μmであり、好ましくは30〜40μmである。
なお、封止部30Aにおいて第2封止部32Aは省略されてもよい。
また、第2一体化封止部32は、対向基板20のうち作用極10と反対側に設けられる本体部32dと、隣り合う対向基板20同士の間に設けられる接着部32eとを有している。第2一体化封止部32は、接着部32eによって第1一体化封止部31に接着されていることが好ましい。
この場合、対向基板20に対して作用極10から離れる方向の応力が作用しても、その剥離が第2封止部32Aによって十分に抑制される。また、第2一体化封止部32の仕切部32bは、隣り合う対向基板20同士間の隙間Sを通って第1封止部31Aに接着されているため、隣り合うセル50の対向基板20同士が接触することが確実に防止される。
ここで、対向基板20の縁部20aが第1封止部31Aと第2封止部32Aとによって挟持されていることがより好ましい。
但し、第2封止部32Aは第1封止部31Aに接着されていなくてもよい。また隣り合うセル50の環状の第1封止部31A同士は必ずしも一体化されていなくてもよい。すなわち、環状の第1封止部31A同士は互いに離間されていてもよい。
(電解質)
電解質40は、例えばヨウ素とヨウ化物塩を混合することで形成される酸化還元対(I/I など)などと有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、グルタロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチロニトリル、フェニルアセトニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、オキサロニトリル、ペンタニトリル、アジポニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/I のほか、臭素/臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩などが用いられる。このようなヨウ素塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、1−メチルベンゾイミダゾール(NMB)、1−ブチルベンゾイミダゾール(NBB)などのベンゾイミダゾール、LiI、I、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネートなどが挙げられる。中でも、ベンゾイミダゾールが添加剤として好ましい。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質40は、ヨウ素とヨウ化物塩を混合することで形成される酸化還元対(I/I )を含み、I の濃度が0.006mol/リットル以下であることが好ましい。この場合、電子を運ぶI の濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。特に、I の濃度は0.005mol/リットル以下であることが好ましく、0〜6×10−6mol/リットルであることがより好ましく、0〜6×10−8mol/リットルであることがさらに好ましい。この場合、光電変換素子100を導電性基板15の光入射側から見た場合に、電解質40の色を目立たなくすることができる。
(配線材)
配線材60P,60Qとしては、例えば金属膜が用いられる。金属膜を構成する金属材料としては、例えば銀又は銅などを用いることができる。
(バックシート)
バックシート80は、上述したように、耐候性層と、金属層とを含む積層体80Aと、積層体80Aのセル50側の面に設けられ、積層体80Aと絶縁材14とを接着する接着部80Bとを含む。
耐候性層は、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートで構成されていればよい。
耐候性層の厚さは、例えば50〜300μmであればよい。
金属層は、例えばアルミニウムを含む金属材料で構成されていればよい。金属材料は通常、アルミニウム単体で構成されるが、アルミニウムと他の金属との合金であってもよい。他の金属としては、例えば銅、マンガン、亜鉛、マグネシウム、鉛、及び、ビスマスが挙げられる。具体的には、98%以上の純アルミニウムにその他の金属が微量添加された1000系アルミニウムが望ましい。これは、この1000系アルミニウムが、他のアルミニウム合金と比較して、安価で、加工性に優れているためである。
金属層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば12〜30μmであればよい。
積層体80Aは、さらに樹脂層を含んでいてもよい。樹脂層を構成する材料としては、例えばブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。樹脂層は、金属層のうち耐候性層と反対側の表面全体に形成されていてもよいし、周縁部にのみ形成されていてもよい。
接着部80Bを構成する材料としては、例えばブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。接着部80Bの厚さは特に制限されるものではないが、例えば300〜1000μmであればよい。
なお、バックシート80と透明導電層12とは、必ずしも絶縁材14を介して接着されている必要はない。また光電変換素子100は、必ずしもバックシート80を有していなくてもよい。
(乾燥剤)
乾燥剤95は、シート状であっても、粒状であってもよい。乾燥剤95は、例えば水分を吸収するものであればよく、乾燥剤95としては、例えばシリカゲル、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。
次に、光電変換素子100の製造方法について図3および図6を参照しながら説明する。図6は、溝を覆う絶縁材およびバックシートを固定するための連結部(絶縁材)を形成した作用極を示す平面図である。
まず1つの透明基板11の上に透明導電層を形成してなる積層体を用意する。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法又はCVD法などが用いられる。
次に、図3に示すように、透明導電層に対して溝90を形成し、互いに溝90を介在させて絶縁状態で配置される透明導電層12A〜12Fを形成する。具体的には、セル50A〜50Dに対応する4つの透明導電層12A〜12Dは、四角形状の本体部12a及び突出部12cを有するように形成する。このとき、セル50A〜50Cに対応する透明導電層12A〜12Cについては、突出部12cが張出し部12dのみならず、張出し部12dから延びて、隣りのセル50の本体部12aに対向する対向部12eをも有するように形成する。また透明導電層12Dについては、四角形状の本体部12a及び張出し部12dのみならず、第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続する接続部12gとを有するように形成する。このとき、第1電流取出し部12fは、透明導電層12Aに対し、透明導電層12Bと反対側に配置されるように形成する。さらに、透明導電層12Eは、第2電流取出し部12hが形成されるように形成する。このとき、第2電流取出し部12hは、透明導電層12Aに対し、透明導電層12Bと反対側に配置され、且つ、第1電流取出し部12fの隣りに溝90を介して配置されるように形成する。
溝90は、例えばYAGレーザ又はCOレーザ等を光源として用いたレーザスクライブ法によって形成することができる。
こうして、透明基板11の上に透明導電層12を形成してなる導電性基板15が得られる。
次に、透明導電層12A〜12Cのうちの突出部12c上に、配線材接続部16Aと配線材非接続部16Bとで構成される接続端子16の前駆体を形成する。具体的には、接続端子16の前駆体は、配線材接続部16Aが対向部12e上に設けられるように形成する。また透明導電層12Eにも接続端子16の前駆体を形成する。接続端子16の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
さらに、透明導電層12Dの接続部12gの上には配線材17の前駆体を形成する。配線材17の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
また、透明導電層12Dの第1電流取出し部12f及び透明導電層12Eの第2電流取出し部12h上にはそれぞれ外部に電流を取り出すための外部接続用端子18a,18bの前駆体を形成する。外部接続用端子の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
さらに、本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aに入り込み且つ本体部12aの縁部をも覆うように、絶縁材33の前駆体を形成する。絶縁材33は、例えば着色されたガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
またバックシート80を固定するために、絶縁材33と同様にして、絶縁材33を囲むように且つ透明導電層12D、透明導電層12E、透明導電層12Fを通るように環状の絶縁材14の前駆体を形成する。
さらに透明導電層12A〜12Dの各々の本体部12aの上に、酸化物半導体層13の前駆体を形成する。酸化物半導体層13の前駆体は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、乾燥させることで形成することができる。
酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
そして、接続端子16の前駆体、配線材17の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、絶縁材33の前駆体、絶縁材14の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成し、接続端子16、配線材17、外部接続用端子18a,18b、絶縁材33、絶縁材14、および酸化物半導体層13を形成する。
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして、図6に示すように、絶縁材33とバックシート80を固定するための絶縁材14が形成された作用極10が得られる。
次に、作用極10の酸化物半導体層13に色素を担持させる。このためには、作用極10を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって色素を酸化物半導体層13に吸着させても、色素を酸化物半導体層13に担持させることが可能である。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。
次に、第1一体化封止部31を形成するための第1一体化封止部形成体を準備する。第1一体化封止部形成体は、第1一体化封止部31を構成する材料からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムにセル50の数に応じた四角形状の開口を形成することによって得ることができる。第1一体化封止部形成体は、複数の第1封止部形成体を一体化させてなる構造を有する。
そして、この第1一体化封止部形成体を、作用極10の上に接着させる。このとき、第1一体化封止部形成体は、絶縁材33と重なるように作用極10に接着する。第1一体化封止部形成体の作用極10への接着は、第1一体化封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。また第1一体化封止部形成体は、透明導電層12の本体部12aが第1一体化封止部形成体の内側に配置されるように作用極10に接着する。
一方、セル50の数と同数の対向基板20を用意する。
対向基板20は、金属基板21上に、対向基板20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22を形成することにより得ることができる。
次に、上述した第1一体化封止部形成体をもう1つ用意する。そして、複数の対向基板20の各々を、第1一体化封止部形成体の各開口を塞ぐように貼り合わせる。
次に、対向基板20に接着した第1一体化封止部形成体と、作用極10に接着した第1一体化封止部形成体とを重ね合わせ、第1一体化封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させる。こうして作用極10と対向基板20との間に第1一体化封止部31が形成される。第1一体化封止部31の形成は、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
次に、第2一体化封止部32を準備する(図5参照)。第2一体化封止部32は、複数の第1封止部32Aを一体化させてなる構造を有する。第2一体化封止部32は、1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムにセル50の数に応じた四角形状の開口を形成することによって得ることができる。第2一体化封止部32は、第1一体化封止部31と共に対向基板20の縁部20aを挟むように対向基板20に貼り合わせる。第2一体化封止部32の対向基板20への接着は、第2一体化封止部32を加熱溶融させることによって行うことができる。
封止用樹脂フィルムとしては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。第2一体化封止部32の形成のための封止用樹脂フィルムの構成材料は、第1一体化封止部31の形成のための封止用樹脂フィルムの構成材料よりも高い融点を有することが好ましい。この場合、第2封止部32Aは、第1封止部31Aよりも硬くなるため、隣り合うセル50の対向基板20同士の接触を効果的に防止することができる。また第1封止部31Aは第2封止部32Aよりも軟らかくなるため、封止部30Aに加わる応力を効果的に緩和することができる。
次に、第2一体化封止部32にバイパスダイオード70A,70B,70Cを固定する。またセル50Dの封止部30A上にもバイパスダイオード70Dを固定する。
そして、バイパスダイオード70A〜70Dを通るように配線材60Qをセル50B〜50Cの対向基板20の金属基板21に固定する。さらにバイパスダイオード70A,70B間、バイパスダイオード70B,70C間、バイパスダイオード70C,70D間の各配線材60Qと、透明導電層12A上の配線材接続部16A、透明導電層12B上の配線材接続部16A、透明導電層12C上の配線材接続部16Aとをそれぞれ接続するように配線材60Pを形成する。また、透明導電層12E上の配線材接続部16Aとバイパスダイオード70Aとを接続するようにセル50Aの対向基板20の金属基板21に配線材60Pを固定する。さらに、透明導電層12Dとバイパスダイオード70Dとを配線材60Pによって接続する。
このとき、配線材60Pは、配線材60Pを構成する金属材料を含むペーストを用意し、このペーストを、対向基板20から、隣りのセル50の接続端子16の配線材接続部16Aにわたって塗布し、硬化させる。配線材60Qは、配線材60Qを構成する金属材料を含むペーストを用意し、このペーストを、各対向基板20上に隣り合うバイパスダイオードを結ぶように塗布し、硬化させる。このとき、上記ペーストとしては、色素への悪影響を避ける観点から、90℃以下の温度で硬化させることが可能な低温硬化型のペーストを用いることが好ましい。
最後に、バックシート80を用意し、このバックシート80の周縁部80aを絶縁材14に接着させる。このとき、バックシート80の接着部80Bとセル50の封止部30Aとが離間するようにバックシート80を配置する。
以上のようにして光電変換素子100が得られる。
なお、上述した説明では、接続端子16、配線材17、外部接続用端子18a,18b、絶縁材33、絶縁材14、および酸化物半導体層13を形成するために、接続端子16の前駆体、配線材17の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、絶縁材33の前駆体、絶縁材14の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成する方法を用いているが、接続端子16、配線材17、外部接続用端子18a,18b、絶縁材33、絶縁材14、および酸化物半導体層13はそれぞれ別々に前駆体を焼成して形成してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の光電変換素子の第2実施形態について図7〜図10を参照しながら詳細に説明する。図7は、本発明の光電変換素子の第2実施形態を示す切断面端面図、図8は、本発明の光電変換素子の第2実施形態の一部を示す平面図、図9は、絶縁材、およびバックシートを固定するための光透過防止層を形成した作用極を示す平面図、図10は、図7の光電変換素子を導電性基板側から見た平面図である。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図7〜図10に示すように、本実施形態の光電変換素子200は、配線材17の一端が、透明導電層12Dに直接接続される端子部35aに接続され、配線材17の他端が、透明導電層12Dに直接接続される端子部35bに接続される点で第1実施形態の光電変換素子100と相違する。
また本実施形態の光電変換素子200は、導電性基板15上であってセル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域のうち、絶縁材14及び絶縁材33が設けられていない領域に、少なくとも接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bと隣接するように設けられ、光の透過を防止する絶縁性の光透過防止層34をさらに備える点でも第1実施形態の光電変換素子100と相違する。
ここで、光透過防止層34は着色されている。また接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bは、導電性基板15上であってセル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域のうち、絶縁材14及び絶縁材33が設けられていない領域に、透明導電層15と接触するように設けられている。接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bは着色されている。
ここで、光透過防止層34は、導電性基板15のうち封止部30A側の表面において、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域のうち、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に少なくとも絶縁材14、絶縁材33及び導電部以外の領域の全てを覆うように設けられている。ここで、絶縁材14が着色され、光透過防止層34と同一材料で構成される場合、絶縁材14は光透過防止層34を兼ねることになる。この場合、光透過防止層34は絶縁材33を包囲するように設けられることになる。ここで、光透過防止層34は絶縁材33と一体になっている。従って、光透過防止層34は、封止部30Aの外側に設けられる透明導電層12同士間の第2の溝90Bをも覆っている。なお、「導電部」とは、接続端子16、外部接続端子18a,18b、端子部35a,35b、配線材17,60Pを言うものとする。
また本実施形態では、光透過防止層34は、導電性基板15の厚さ方向において、配線材60Pと重なるように配線材60Pと導電性基板15との間に設けられている。ここで、光電変換素子200では、端子部35a,35bの間において、配線材17の少なくとも一部が光透過防止層34上に直接設けられていていてもよく、光透過防止層34上に直接設けられていなくてもよい。
なお、「全てを覆う」とは、絶縁材14が光透過防止層34を兼ねる場合、光透過防止層34が、導電性基板15のうち封止部30A側の表面を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域の90%以上を覆っていることを言うものとする。ここで、仮に導電性基板15に開口が形成される場合には、開口の縁部も導電性基板15の縁部を構成するため、その開口の面積は、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域の面積から除外される。
上記光電変換素子200では、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bが着色されるとともに、光透過防止層34も着色されている。そして、光透過防止層34が接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bに隣接している。このため、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bが際立って見えることを十分に抑制することが可能となる。このため、良好な外観を実現することができる。また、光電変換素子200によれば、透明導電層12を着色させないで済むため、光電変換素子200の光電変換特性の低下を十分に抑制することができる。
また光電変換素子200では、導電性基板15と配線材60Pとの間において、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に配線材60Pと光透過防止層34とが重なるように光透過防止層34が設けられている。また、導電性基板15と配線材17との間には、配線材17と光透過防止層34とが重なるように光透過防止層34が設けられている。このため、光透過防止層34の裏側にある配線材60P及び配線材17を隠すことが可能となる。従って、より良好な外観を実現することができる。
また光電変換素子200では、光透過防止層34が絶縁性であるため、透明導電層12A〜12C及び12Eの接続端子16同士が短絡することを防止することができる。
また光電変換素子200では、絶縁材33が、光透過防止層34と一体となって、光の透過を防止する層として機能する。このため、光電変換素子200を図10に示すように、導電性基板15からその厚さ方向に見た場合に、絶縁材33の裏側にある第1封止部31Aや対向基板20の色や形状を隠すことも可能となる。このため、良好な外観を実現することができる。また、光電変換素子200では、絶縁材33及び光透過防止層34が一体化されている。このため、バックシート80内に水分が侵入したとしても、絶縁材33と光透過防止層34との間に界面が生じないので、一体となって水分の侵入を防止することができる。このため、より一層優れた耐久性を有することが可能となる。
また光電変換素子200では、導電性基板15のうち封止部30A側の表面において、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の外周縁との間の領域のうち、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に少なくとも絶縁材14、絶縁材33及び導電部以外の領域の全てを覆うように、光の透過を防止する絶縁性の光透過防止層34が環状に設けられている。このため、光電変換素子200を透明基板11側から導電性基板15の厚さ方向に見た場合に、封止部30Aと、導電性基板15の縁部との間の領域のうち、絶縁材14、絶縁材33及び導電部以外の領域が光透過防止層34によって隠されるので、より良好な外観を実現できる。
また光電変換素子200では、バックシート80の周縁部80aの全周にわたって、絶縁性の光透過防止層34が設けられているため、バックシート80の外側からバックシート80の内側に水分が侵入することを十分に抑制することができる。特に、光電変換素子200では、バックシート80の周縁部80aと交差する第2の溝90Bが光透過防止層34で覆われている。このため、次の効果が得られる。すなわち、光電変換素子200では、第2の溝90Bに光透過防止層34が入り込み、光透過防止層34が、透明導電層12のうち本体部12aを除く部分の縁部をも覆っているため、第2の溝90Bを通じて水分がバックシート80の周縁部80aの内側に侵入した場合でも、バックシート80の外側からバックシート80と導電性基板15との間の空間への水分の侵入が十分に抑制される。このため、バックシート80と導電性基板15との間の空間に侵入した水分が封止部30Aを通じて封止部30Aの内側に入り込むことが十分に抑制される。このため、光電変換素子200の耐久性の低下を十分に抑制することが可能となる。
次に、光透過防止層34及び導電部について説明する。
(光透過防止層)
光透過防止層34を構成する材料は、光の透過を防止することが可能で且つ着色されている絶縁材料で構成されていればよい。このような絶縁材料としては、着色された樹脂や着色された無機絶縁材料が挙げられるが、中でも、着色された無機絶縁材料が好ましい。この場合、次の効果が得られる。すなわち、光透過防止層34は第2の溝90Bをも覆っている。ここで、光透過防止層34が樹脂ではなく無機絶縁材料で構成されると、第2の溝90Bからの水分の侵入をより十分に抑制できる。
着色された無機絶縁材料としては、例えば着色されたガラスフリット等の無機絶縁材料が用いられる。
ここで、着色されている接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bと、光透過防止層34との間におけるL色空間のL*の差は特に制限されるものではないが、3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。この場合、光透過防止層34の色が接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bの色により近づくことになるため、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bが際立って見えることをより十分に抑制することが可能となる。
また酸化物半導体層13と光透過防止層34との間におけるL色空間のL*の差も特に制限されるものではないが、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
光透過防止層34の色は着色されている限り特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の色を用いることが可能である。光透過防止層34の厚さは通常、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。
なお、光透過防止層34は、S1/Sを0.5以上とするものであってもよく、0.5未満とするものであってもよい。
(導電部)
接続端子16は、金属材料、カーボンなどの導電材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。中でも、導電材料はカーボンで構成されることが好ましい。カーボンは優れた導電性を有しながらも黒色であるため、銀などの金属材料を含む場合に比べて、接続端子16が際立って見えることがより十分に抑制される。
接続端子16は、上記導電材料のほか、樹脂も含む。樹脂としては、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられるが、中でも、高温になっても熱膨張しにくく、抵抗の経時的変化をより小さくできることから、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。
酸化物半導体層13と、着色されている接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bとの間におけるL色空間のL*の差は特に制限されるものではないが、酸化物半導体層13と光透過防止層34との間におけるL色空間のL*の差が5以下である場合には、5以下であることが好ましい。この場合、接続端子16、外部接続端子18a,18b、端子部35a,35b、及び、光透過防止層34の各々の色を酸化物半導体層13の色により近づけることが可能となる。別言すると接続端子16、外部接続端子18a,18b、端子部35a,35b、光透過防止層34及び酸化物半導体層13の色を単一色に近づけることが可能となる。このため、接続端子16、外部接続端子18a,18b、端子部35a,35b及び光透過防止層34が酸化物半導体層13に対して際立って見えることがより十分に抑制される。ここで、酸化物半導体層13と、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bとの間におけるL色空間のL*の差は3以下であることがより好ましい。
外部接続端子18a,18bは、着色されている限り、接続端子16と同一の材料で構成されても異なる材料で構成されてもよいが、同一の材料で構成されることが好ましい。
端子部35a,35bも、着色されている限り、接続端子16と同一の材料で構成されても異なる材料で構成されてもよいが、同一の材料で構成されることが好ましい。
配線材17及び配線材60Pは、光透過防止層34のうち導電性基板15と反対側に、光透過防止層34と重なるように設けられている場合には、着色されていてもよいし、着色されていなくてもよい。配線材17及び配線材60Pが着色されている場合には、配線材17及び配線材60Pは、接続端子16と同一の材料で構成されても異なる材料で構成されてもよいが、同一の材料で構成されることが好ましい。ここで、配線材17及び配線材60Pはいずれも、色付きの着色導電層と、着色されていない非着色導電層との積層体で構成されてもよい。
また配線材17は、導電性基板15の透明導電層12上に直接設けられていてもよい。すなわち、配線材17は、光透過防止層34のうち導電性基板15側に直接設けられていてもよい。この場合、配線材17は、着色されていてもよいし、着色されていなくてもよいが、着色されていることが好ましい。
次に、本実施形態の光電変換素子200の製造方法について説明する。
本実施形態の光電変換素子200の製造方法は、作用極10の製造方法の点でのみ第1実施形態の光電変換素子100の製造方法と相違する。そこで、以下、作用極10の製造方法について説明する。
まず第1実施形態と同様にして導電性基板15を得る。
次に、導電性基板15の透明導電層12A〜12Cのうちの突出部12c上に、配線材接続部16Aと配線材非接続部16Bとで構成される接続端子16の前駆体を形成する。具体的には、接続端子16の前駆体は、配線材接続部16Aが対向部12e上に設けられるように形成する。また透明導電層12Eにも接続端子16の前駆体を形成する。また配線材非接続部16Bの前駆体は、配線材接続部16Aの幅よりも狭くなるように形成する。接続端子16の前駆体は、例えば導電材を含むペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。ここで、導電材がカーボンで構成される場合には、カーボンと樹脂とを含む着色されたマスターバッチをペーストに含めることが好ましい。樹脂としては、上述したように、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。
また、透明導電層12Dの第1電流取出し部12f及び透明導電層12Eの第2電流取出し部12h上にはそれぞれ、第1実施形態と同様にして外部に電流を取り出すための外部接続用端子18a,18bの前駆体を形成する。
また、透明導電層12Dの本体部12a及び第1電流取出し部12fの上には端子部35a,35bの前駆体を形成する。端子部35a,35bの前駆体としては、接続端子16の前駆体と同様のものを用いることができる。端子部35a,35bの前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
さらに、本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aに入り込み且つ本体部12aの縁部をも覆うように、且つ、導電性基板15の透明導電層12側の表面のうち、接続端子16、外部接続端子18a,18b、及び端子部35a,35bの前駆体を除く領域を覆うように絶縁材33及び光透過防止層34の前駆体を形成する。絶縁材33及び光透過防止層34は、例えば着色されたガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
次に、光透過防止層34の前駆体の上に、端子部35a,35bを接続するように、配線材17の前駆体を形成する。配線材17の前駆体としては、接続端子16の前駆体と同様のものを用いることができる。
さらに透明導電層12A〜12Dの各々の本体部12aの上に、第1実施形態と同様にして酸化物半導体層13の前駆体を形成する。
そして、接続端子16の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、端子部35a,35bの前駆体、絶縁材33及び光透過防止層34の前駆体、配線材17の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成し、接続端子16、外部接続用端子18a,18b、端子部35a,35b、絶縁材33、光透過防止層34、配線材17および酸化物半導体層13を形成する。
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして、図9に示すように、絶縁材33とバックシート80を固定するための光透過防止層34とが形成された作用極10が得られる。
作用極10の酸化物半導体層13への色素の担持は、第1実施形態と同様にして行えばよい。このとき、接続端子16の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、及び、端子部35a,35bの前駆体が、カーボンと樹脂とを含む着色されたマスターバッチを含むペーストで構成される場合には、作用極10を、色素溶液中に浸漬する前に、接続端子16の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、及び、端子部35a,35bの前駆体を保護フィルムで予め覆うことが好ましい。この場合、作用極10が、色素溶液中に浸漬されても、着色されたマスターバッチやカーボンが色素溶液中に溶け出すことが十分に防止され、色素が劣化することを十分に抑制することができる。このとき、保護フィルムとしては、例えばリニアポリエチレンフィルムなどを用いることができる。
なお、本実施形態では、導電性基板15のうち封止部30A側の表面において、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の外周縁との間の領域のうち、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に少なくとも絶縁材14、絶縁材33及び導電部以外の領域の全てを覆うように光透過防止層34が環状に設けられているが、光透過防止層34は、導電性基板15のうち封止部30A側の表面において、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の外周縁との間の領域のうち、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に少なくとも絶縁材14、絶縁材33及び導電部以外の領域の全てを覆っていることは必ずしも必要ではない。要するに、光透過防止層34は、少なくとも接続端子16、外部接続端子18a,18b、端子部35a,35bで構成される端子部に隣接していさえすればよい。
また本実施形態では、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bの全てが着色されているが、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bのうちいずれか一つのみが着色されていてもよい。例えば光電変換素子が筐体内に収容される場合、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bのうち光電変換素子200を外から見た場合に筐体によって隠される部分については、着色されていなくてもよい。但し、接続端子16、外部接続端子18a,18b及び端子部35a,35bのうち筐体によって隠されていない部分については着色されていることが好ましい。例えば端子部35aや端子部35bは筐体によって隠される場合があるので、その場合には、端子部35a,35bは着色されていなくてもよい。
また端子部35a,35bは筐体によって隠されなくても、導電性が最も必要な部分であるため、接続端子16及び外部接続端子18a,18bが着色されている場合には、必ずしも着色されていなくてもよい。
また本実施形態では、配線材60Pの一端は、接続端子16を介して透明導電層12に接続されているが、配線材60Pの一端は、透明導電層12に直接接続されていてもよい。
また本実施形態では、配線材17の一端は、端子部35aを介して透明導電層12に接続されているが、配線材17の一端は透明導電層12に直接接続されていてもよい。この場合は、端子部35aは不要となる。また本実施形態では、配線材17の他端は、第2接続部としての端子部35bを介して透明導電層12に接続されているが、配線材17の他端は透明導電層12に直接接続されていてもよい。
また本実施形態では、光電変換素子100が配線材17を有しているが、本発明の光電変換素子は、必ずしも配線材17を有していなくてもよい。この場合は端子部35a,35bも不要となる。この場合、導電部は、接続端子16及び外部接続端子18a,18bのみで構成されることになる。
さらに本実施形態では、光透過防止層34と絶縁材33とが同一の材料で構成され、一体となっているが、絶縁材33と光透過防止層34とは別々の材料で構成されていてもよい。例えば光透過防止層34は着色させなくてもよいし、着色させる場合でも、S1/Sを0.5未満とする材料で構成されてもよい。
さらに本実施形態では、配線材60Pと対向基板20の金属基板21とが接続されているが、配線材60Pが、対向基板20の金属基板21の一部で構成されてもよい。
また本実施形態では、図11に示すように、導電性基板15において、光電変換素子を透明基板11側から導電性基板15の厚さ方向に見た場合に、導電性基板15に光透過防止層34と異なる色を有する異色部Mが設けられていることが好ましい。この場合、異色部Mは光透過防止層34と異なる色を示すため、光電変換素子を導電性基板15の厚さ方向から見た場合にその異色部Mによって所望の文字やデザインを表示させることが可能となる。ここで、導電性基板15に異色部Mが設けられる場合、光透過防止層34は、導電性基板15のうち封止部30A側の表面において、セル50A〜50Dの第1封止部31Aと導電性基板15の縁部との間の領域のうち、光電変換素子200を導電性基板15の厚さ方向に見た場合に少なくとも絶縁材14、絶縁材33、導電部及び異色部M以外の領域の全てを覆うように設けられることが好ましい。
図11に示す異色部Mは、導電性基板15の透明導電層12の上に直接設けられており、その上に光透過防止層34が重なるように設けられている。異色部Mは、透明導電層12の上に直接印刷することなどによって形成することが可能である。ここで、「光透過防止層34と異なる色」とは、異色部MのL色空間のL*と光透過防止層34のL色空間のL*との差の値が5以上であることを言う。
また異色部Mの上には、光透過防止層34が設けられていなくてもよい。さらに異色部Mは、光透過防止層34によって空間を包囲することによって形成することも可能である。
さらに本実施形態では、光透過防止層34は絶縁材料で構成されているが、光透過防止層34は、溝90をまたぐように設けられないならば、導電性材料で構成されてもよい。
本発明は、上記第1実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態では、バックシート80と導電性基板15との間の絶縁材14と交差する第2の溝90Bが、絶縁材33で覆われていないが、図12に示す光電変換素子300のように、絶縁材33が溝90のすべてに入り込むとともに、すべての溝90の両側の透明導電層12の縁部を覆っていることが好ましい。この場合、絶縁材33がすべての溝90に入り込むとともにすべての溝90の両側の透明導電層12の縁部を覆っているため、そもそも溝90に水分が侵入できず、溝90に形成されたクラックにも水分が侵入できなくなるため、溝90を介して水分が侵入することをより一層抑制することができる。また、絶縁材33がすべての溝90の両側の透明導電層12の縁部も覆っているため、溝90の両側の透明導電層12の間での絶縁性も十分に確保することができる。また、光電変換素子300では、隣接するセル50の透明導電層12の間の第1の溝90Aのすべてにも絶縁材33が入り込んでいるため、透明導電層12同士の間に流れる電流をより抑制することができ絶縁性を十分に確保することができる。このため、光電変換特性をより向上させることができる。
また上記第1実施形態では、第1封止部31A(絶縁材33)の内壁面と酸化物半導体層13との間には隙間が設けられているが、図13に示す光電変換素子400のように、第1封止部31A(絶縁材33)の内壁面と酸化物半導体層13との間には隙間が設けられていなくてもよい。すなわち、第1封止部31Aの内壁面と酸化物半導体層13とは互いに接していてもよい。この場合、第1封止部31Aの内壁面と酸化物半導体層13との間の隙間を通じて見える電解質40の色や、対向基板20の色又は形状を隠すことができる。第2実施形態の光電変換素子200においても、第1封止部31Aの内壁面と酸化物半導体層13との間には隙間が設けられていなくてもよい。
また上記第1実施形態では、透明基板11のうち透明導電層12と反対側の表面に何らの膜も形成されていないが、図14に示す光電変換素子500のように、透明基板11のうち透明導電層12と反対側の表面に被覆層96がさらに設けられてもよい。ここで、被覆層96は、透明基板11の厚さ方向に被覆層96を見た場合に酸化物半導体層13を覆っており、被覆層96の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長と、色素を担持した状態の酸化物半導体層13の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長とが互いに異なることが好ましい。この場合、被覆層96の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長(λ1)が、酸化物半導体層13の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長(λ2)と異なる。このため、色素を担持した状態の酸化物半導体層13で十分に吸収されるべき光が被覆層96で十分に吸収されることを抑制することができる。すなわち、光電変換素子500における光電変換特性の低下を抑制できる。また光電変換素子500の酸化物半導体層13の色を所望の色に調整することもできる。λ1−λ2は0でなければよく、特に限定されないが、好ましくは50〜300nmであり、より好ましくは100〜300nmである。ここで、被覆層96の色は、色素を担持した状態の酸化物半導体層13の補色であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体層13と被覆層96とを重ねてみた場合に見える色が黒色であることが好ましい。この場合、色素を担持した状態の酸化物半導体層13で十分に吸収されるべき光が被覆層96で十分に吸収されることをより十分に抑制することができる。ここで、黒色とは、L値が26以下となる色を言う。また被覆層96の屈折率は導電性基板15の屈折率と同程度にすることが好ましい。具体的には、導電性基板15と被覆層96との屈折率の差が0〜0.5とすることが好ましい。この場合、導電性基板15と被覆層96との界面反射がより十分に抑制され、色をよりきれいに調整することができる。
被覆層96の上には、被覆層96を保護する観点から、さらにオーバーコート層が設けられてもよい。
なお、第2実施形態の光電変換素子200においても、図14に示す光電変換素子500のように、透明基板11のうち透明導電層12と反対側の表面に被覆層96がさらに設けられてもよい。
さらに上記実施形態では、第1の溝90Aは、透明導電層12の本体部12aの縁部に沿って形成されているが、図14に示す光電変換素子500のように、環状の封止部30Aの外形に沿ってさえいれば、透明導電層12の本体部12aの縁部に沿って形成されていなくてもよい。具体的には、透明導電層12上の環状の封止部30Aよりも外側に離れた位置おいて第1の溝90Aが形成されている。この場合でも、絶縁材33は、環状の封止部30Aの外形に沿って形成された第1の溝90Aに入り込むとともに、連続して本体部12aの縁部を覆っている。第2実施形態の光電変換素子200においても、第1の溝90Aは、環状の封止部30Aの外形に沿ってさえいれば、図14に示す光電変換素子500のように、透明導電層12の本体部12aの縁部に沿って形成されていなくてもよい。
また、上記第1実施形態では、絶縁材33と絶縁材14は離間していたが、図14に示す光電変換素子500のように、同一の材料で構成され一体化されていることが好ましい。この場合、絶縁材33と絶縁材14が同一材料からなり一体化されているため、バックシート80内に水分が侵入したとしても、絶縁材14と絶縁材33との間に界面が生じないので、一体となって水分の侵入を防止することができ。このため、より一層優れた耐久性を有することが可能となる。
さらに上記実施形態では、対向基板20が、基板と電極を兼ねる金属基板21と触媒層22とを備えているが、金属基板21に代えて、導電性基板15と同様の構成を有する基板を用いてもよい。
さらに上記第1実施形態では、複数のセル50が用いられているが、図15に示す光電変換素子600のように、本発明では、セルは1つのみ用いてもよい。なお、図15に示す光電変換素子600は、光電変換素子100においてセル50A〜セル50Cを省略し、第2電流取出部12h上に設けられた接続端子16と、セル50Dの対向基板20の金属基板21とが配線材60Pを介して電気的に接続したものである。また光電変換素子600においては、接続端子16が配線材接続部16Aのみで構成され、この配線材接続部16Aは、封止部30Aと絶縁材14との間に配置されている。すなわち、配線材接続部16Aは、セル50Dの透明導電層12Dのうちの本体部12aの側縁部12bに対向する位置に配置されていない。このため、第1実施形態の光電変換素子100において配線材接続部16Aが配置されていた部分のスペースまで酸化物半導体層13を拡大することが可能となる。この場合、無駄なスペースが有効利用されるとともに発電面積を拡大することができる。なお、第2実施形態の光電変換素子200においても、図15に示す光電変換素子600のように、セルが1つのみ用いられていてもよい。
さらに上記実施形態では、複数のセル50が直列接続されているが、並列接続されていてもよい。
また上記実施形態では、対向基板20が対極で構成されているが、図16に示す光電変換素子700のように、対向基板としては、対極に代えて、絶縁性基板701を用いてもよい。この場合、絶縁性基板701と封止部30Aと導電性基板15との間の空間に酸化物半導体層13、多孔質絶縁層703及び対極720で構成される構造体702が配置される。構造体702は、導電性基板15のうち絶縁性基板701側の面上に設けることができる。構造体702は、導電性基板15側から順に、酸化物半導体層13、多孔質絶縁層703及び対極720で構成される。また上記空間には電解質40が配置されている。電解質40は、酸化物半導体層13及び多孔質絶縁層703の内部にまで含浸される。ここで、絶縁性基板701としては、例えばガラス基板又は樹脂フィルムなどを用いることができる。また対極720としては、上記実施形態の対向基板20と同様のものを用いることができる。あるいは、対極720は、例えばカーボン等を含む多孔質の単一の層で構成されてもよい。多孔質絶縁層703は、主として、酸化物半導体層13と対極720との物理的接触を防ぎ、電解質40を内部に含浸させるためのものである。このような多孔質絶縁層703としては、例えば酸化物の焼成体を用いることができる。なお、図16に示す光電変換素子700においては、封止部30Aと導電性基板15と絶縁性基板701との間の空間に構造体702が1つのみ設けられているが、構造体702は複数設けられていてもよい。また、多孔質絶縁層703は、酸化物半導体層13と対極720との間に設けられているが、酸化物半導体層13と対極720との間に設けず、酸化物半導体層13を囲むように、導電性基板15と対極720の間に設けてもよい。この構成でも、酸化物半導体層13と対極720との物理的接触を防ぐことができる。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電層を形成してなる積層体を準備した。次に、図3に示すように、COレーザ(ユニバーサルシステム社製V−460)によって透明導電層12に溝90を形成し、透明導電層12A〜12Fを形成した。このとき、溝90の幅は1mmとした。また透明導電層12A〜12Cはそれぞれ、4.6cm×2.0cmの四角形状の本体部と、本体部の片側側縁部から突出する突出部とを有するように形成した。また透明導電層12Dは、4.6cm×2.1cmの四角形状の本体部と、本体部の片側側縁部から突出する突出部とを有するように形成した。また透明導電層12A〜12Dのうち3つの透明導電層12A〜12Cの突出部12cについては、本体部12aの片側縁部12bから張り出す張出し部12dと、張出し部12dから延びて、隣りの透明導電層12の本体部12aに対向する対向部12eとで構成されるようにした。また透明導電層12Dの突起部12cについては、本体部12aの片側縁部12bから張り出す張出し部12dのみで構成されるようにした。このとき、張出し部12dの張出し方向(図2のX方向に直交する方向)の長さは2.1mmとし、張出し部12dの幅は9.8mmとした。また対向部12eの幅は2.1mmとし、対向部12eの延び方向の長さは9.8mmとなるようにした。
また透明導電層12Dについては、本体部12aおよび突出部12cのみならず、第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続する接続部12gとを有するように形成した。透明導電層12Eについては、第2電流取出し部12hを有するように形成した。このとき、接続部12gの幅は、1.3mmとし、長さは59mmとした。また接続部12gの抵抗値を四端子法にて測定したところ、100Ωであった。
次に、透明導電層12A〜12Cのうちの突出部12c上に、配線材接続部16Aと配線材非接続部16Bとで構成される接続端子16の前駆体を形成した。具体的には、接続端子16の前駆体は、配線材接続部16Aの前駆体が対向部12e上に設けられるように、配線材非接続部16Bの前駆体が張出し部12d上に設けられるように形成した。このとき、配線材非接続部16Bの前駆体は、配線材接続部16Aの幅よりも狭くなるように形成した。接続端子16の前駆体は、スクリーン印刷により銀ペースト(福田金属箔粉工業社製「GL−6000X16」)を塗布し乾燥させることで形成した。
さらに、透明導電層12Dの接続部12gの上に配線材17の前駆体を形成した。配線材17の前駆体は、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
また、透明導電層12Dの第1電流取出し部12f及び透明導電層12Eの第2電流取出し部12h上にそれぞれ外部に電流を取り出すための外部接続用端子18a,18bの前駆体を形成した。外部接続用端子18a,18bの前駆体は、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
さらに、絶縁材33の前駆体を、第1の溝90Aに入り込み且つ第1の溝90Aの両側の透明導電層の縁部を覆うように形成した。絶縁材33の前駆体は、スクリーン印刷によりガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。このとき、ガラスフリットとしては、緑色のガラスフリット(商品名「カラーフリット31」、佐竹ガラス社製)を乳鉢で粉砕したものと、無色のガラスフリット(商品名「B20」、セントラル硝子社製)を、1:4(質量比)の割合で混合したものを用いた。また、このとき、絶縁材33で覆った透明導電層の縁部の幅は、溝90から0.2mmであった。
またバックシート80を固定するために、絶縁材33と同様にして、絶縁材33を囲むように且つ透明導電層12D、透明導電層12E、透明導電層12Fを通るようにガラスフリットからなる環状の絶縁材14の前駆体を形成した。またこのとき、絶縁材14の前駆体は、その内側に配線材17の前駆体が配置されるように形成した。また絶縁材14の前駆体は、その外側に、外部接続用端子18a,18bの前駆体が配置されるように形成した。絶縁材14の前駆体は、スクリーン印刷によりガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。
さらに透明導電層12A〜12Dの各々の本体部12aの上に、酸化物半導体層13の前駆体を形成した。酸化物半導体層13の前駆体は、平均粒径21nmのチタニア粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペースト(日揮触媒化成社製「PST−21NR」)をスクリーン印刷により3回塗布し、乾燥させることで形成した。
次に、接続端子16の前駆体、配線材17の前駆体、外部接続用端子18a,18bの前駆体、絶縁材33の前駆体及び絶縁材14の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を500℃で15分間焼成し、接続端子16、配線材17、外部接続用端子18a,18b、絶縁材14及び絶縁材33を形成した。さらに酸化物半導体層13の前駆体を、絶縁材33の一部を覆うように4回繰り返し塗布した後、500℃で15分間焼成した。こうして酸化物半導体層13を形成した。このとき、接続端子16のうち配線材接続部の幅は1.0mmであり、配線材非接続部の幅は0.3mmであった。また配線材接続部の延び方向に沿った長さは7.0mmであり、配線材非接続部の延び方向に沿った長さは7.0mmであった。また配線材17、外部接続用端子18a,18b、絶縁材14、および酸化物半導体層13の寸法はそれぞれ以下の通りであった。

配線材17:厚さ4μm、幅200μm、図2のX方向に沿った長さ79mm、図2のX方向に直交する方向に沿った長さ21mm
外部接続用端子18a,18b:厚さ20μm、幅2mm、長さ7mm
絶縁材14:50μm、幅3mm
酸化物半導体層13:厚さ18μm、図2のX方向の長さ56mm、図2のX方向に直交する方向の長さ91mm
次に、作用極を、D102からなる光増感色素(赤色)を0.2mM含み、溶媒を、アセトニトリルとtertブタノールとを1:1の体積比で混合してなる混合溶媒とした色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。
次に、酸化物半導体層の上に、3−メトキシプロピオニトリルからなる溶媒中に、へキシルメチルイミダゾリウムヨージド2M、n−メチルベンゾイミダゾール0.3M、グアニジウムチオシアネート0.1Mからなる電解質を塗布し乾燥させて電解質を配置した。
次に、第1封止部を形成するための第1一体化封止部形成体を準備した。第1一体化封止部形成体は、8.0cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、4つの四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、各開口が1.7cm×4.4cm×50μmの大きさとなるように、且つ、環状部の幅が2mm、環状部の内側開口を仕切る仕切部の幅が2.6mmとなるように第1一体化封止部形成体を作製した。
そして、この第1一体化封止部形成体を、作用極上の絶縁材33に重ね合わせた後、第1一体化封止部形成体を加熱溶融させることによって作用極上の絶縁材33に接着させた。
次に、4枚の対極を用意した。4枚の対極のうち2枚の対極は、4.6cm×1.9cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。4枚の対極のうち残りの2枚の対極は、4.6cm×2.0cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。また、上記第1一体化封止部形成体をもう1つ準備し、この第1一体化封止部形成体を、対極のうち作用極と対向させる面に、上記と同様にして接着させた。
そして、作用極に接着させた第1一体化封止部形成体と、対極に接着させた第1一体化封止部形成体とを対向させ、第1一体化封止部形成体同士を重ね合わせた。そして、この状態で第1一体化封止部形成体を加圧しながら第1一体化封止部形成体を加熱溶融させた。こうして作用極と対極との間に第1封止部を形成した。このとき、第1一体化封止部の仕切部と対極のうち透明導電性基板側の面との接着部の幅P、第1一体化封止部のうちの環状部と対極のうち透明導電性基板側の面との接着部の幅Q、第1一体化封止部の仕切部の幅Rおよび環状部の幅Tはそれぞれ以下の通りであった。

P=1.0mm
Q=2.0mm
R=2.6mm
T=2.2mm
次に、第2一体化封止部を準備した。第2一体化封止部は、8.0cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、4つの四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、各開口が、1.7cm×4.4cm×50μmの大きさとなるように且つ、環状部の幅が2mmで、環状部の内側開口を仕切る仕切部の幅が2.6mmとなるように第2一体化封止部を作製した。第2一体化封止部は、第1一体化封止部と共に対極の縁部を挟むように対極に貼り合わせた。このとき、第2一体化封止部を対極に押しつけながら第1一体化封止部及び第2一体化封止部を加熱溶融させることによって対極及び第1一体化封止部に貼り合せた。
次に、各対極の金属基板上に、乾燥剤シートを両面テープで貼り付けた。乾燥剤シートの寸法は、厚さ1mm×縦3cm×横1cmであり、乾燥剤シートとしては、ゼオシート(商品名、品川化成社製)を用いた。
次に、図2に示すように、第2一体化封止部の3つの仕切部にそれぞれバイパスダイオード70A〜70Cを、低温硬化型の銀ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD500)を、バイパスダイオードの両端の端子から対向基板20の金属基板21につながるように塗布することによって固定した。また4つのセル50A〜50Dのうちセル50Dの第2一体化封止部の環状部上にバイパスダイオード70Dを、上記低温硬化型の銀ペーストを、バイパスダイオードの両端の端子のうち一方の端子から対極につながるように塗布することによって固定した。こうして、4つのバイパスダイオード70A〜70Dに対して、隣り合う2つのバイパスダイオード同士を結ぶように配線材60Qを形成した。このとき、配線材60Qは、上記低温硬化型の銀ペーストを30℃で12時間硬化させることによって形成した。バイパスダイオードとしては、ローム社製RB751V−40を用いた。
またバイパスダイオード間の各配線材60Qと、3つの透明導電層12A〜12C上の配線材接続部とをそれぞれ接続するように低温硬化型の銀ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD−500)を塗布し、硬化させることによって配線材60Pを形成した。さらにバイパスダイオード70Aについては、透明導電層12E上の配線材接続部と接続するように上記低温硬化型の銀ペーストを塗布し硬化させることによって配線材60Pを形成した。このとき、配線材60Pは、上記低温硬化型の銀ペーストを、30℃で12時間硬化させることによって形成した。
次に、ブチルゴム(アイカ工業社製「アイカメルト」)を200℃で加熱しながらディスペンサで絶縁材14上に塗布し、接着部の前駆体を形成した。一方、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂フィルム(厚さ50μm)、アルミ箔(厚さ25μm)、バイネル(商品名、デュポン社製)からなるフィルム(厚さ50μm)をこの順に積層した積層体を用意した。そして、この積層体80Aの周縁部と接着部80Bの前駆体の上に重ね合わせ、10秒間加圧した。こうして、絶縁材14に、接着部80Bと積層体80Aとで構成されるバックシート80を得た。以上のようにして光電変換素子を得た。
なお、絶縁材33として用いた緑色のガラスフリットについて、波長を横軸とした反射スペクトルを測定し、この反射スペクトルを、反射率の最大値が1となるように規格化した。一方、光増感色素について、波長を横軸とした吸収スペクトルを測定し、この吸収スペクトルを、吸光度の最大値が1となるように規格化した。そして、光増感色素の吸収スペクトル及び横軸の間の第1領域Aと絶縁材33の反射スペクトル及び横軸の間の第2領域Bとの重複領域Cの面積S1を算出するとともに、色素の第1領域Aの面積Sを算出し、これらの値を用いてS1/Sの値を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、青色のガラスフリット(商品名「カラーフリット6」、佐竹ガラス社製)」を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例2)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、黄色のガラスフリット(商品名「カラーフリット34」、佐竹ガラス社製)」を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例3)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、赤色のガラスフリット(商品名「カラーフリット40」、佐竹ガラス社製)」を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
色素として、D102からなる光増感色素(赤色)の代わりに、D131からなる光増感色素(黄色)を用い、絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例1の青色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例4)
絶縁材33として、青色のガラスフリットの代わりに、実施例1の緑色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例2と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例5)
絶縁材33として、青色のガラスフリットの代わりに、比較例2の黄色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例6)
絶縁材33として、青色のガラスフリットの代わりに、比較例3の赤色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例3)
色素として、D102からなる光増感色素(赤色)の代わりに、D205からなる光増感色素(赤紫色)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例7)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例1の青色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例8)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例2の黄色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例9)
絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例3の赤色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例4)
色素として、D102からなる光増感色素(赤色)の代わりに、SQ2からなる光増感色素(青色)を用い、絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例2の黄色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例5)
色素として、D102からなる光増感色素(赤色)の代わりに、SQ2からなる光増感色素(青色)を用い、絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例3の赤色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例10)
絶縁材33として、黄色のガラスフリットの代わりに、比較例1の青色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例11)
絶縁材33として、黄色のガラスフリットの代わりに、実施例1の緑色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例4と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(実施例6)
色素として、D102からなる光増感色素(赤色)の代わりに、N749からなる光増感色素(緑色)を用い、絶縁材33として、緑色のガラスフリットの代わりに、比較例2の黄色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例12)
絶縁材33として、黄色のガラスフリットの代わりに、比較例1の青色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例6と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例13)
絶縁材33として、黄色のガラスフリットの代わりに、実施例1の緑色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例6と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(比較例14)
絶縁材33として、黄色のガラスフリットの代わりに、比較例3の赤色のガラスフリットを用いたこと以外は実施例6と同様にして光電変換素子を作製した。そして、実施例1と同様にしてS1/Sの値を算出した。結果を表1に示す。
(特性評価)
(光電変換特性)
実施例1〜6および比較例1〜14で得られた光電変換素子について、初期出力(η)を測定した。一方、絶縁材33として着色されていない(無色の)ガラスフリットを使用した場合の初期出力(A)も測定した。そして、測定した初期出力(η)及び初期出力(A)の値を用い、下記式:
規格化後の初期出力=η/A
に基づいて規格化後の初期出力を算出した。結果を表1に示す。
(外観)
また実施例1〜6および比較例1〜14で得られた光電変換素子について、光入射側から見たときの外観を評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、外観は以下の基準に基づいて評価した。
A・・・電解質の色や対極の色又は形状が全く見えない
B・・・電解質の色や対極の色又は形状がわずかに見える
C・・・電解質の色や対極の色又は形状がよく見える
Figure 2016207949
表1に示すように、実施例1及び比較例1〜3の光電変換素子はいずれも、良好な外観を実現できることが分かった。また実施例1の光電変換素子は、比較例1〜3の光電変換素子に比べて、光電変換特性を向上させることができることが分かった。
実施例2及び比較例4〜6の光電変換素子はいずれも、良好な外観を実現できることができることが分かった。また実施例2の光電変換素子は、比較例4〜6の光電変換素子に比べて、光電変換特性を向上させることができることが分かった。
実施例3及び比較例7〜9の光電変換素子はいずれも、良好な外観を実現できることが分かった。また実施例3の光電変換素子は、比較例7〜9の光電変換素子に比べて、光電変換特性を向上させることができることが分かった。
実施例4〜5及び比較例10〜11の光電変換素子はいずれも、良好な外観を実現できることができることが分かった。また実施例4〜5の光電変換素子は、比較例10〜11の光電変換素子に比べて、光電変換特性を向上させることができることが分かった。
実施例6及び比較例12〜14の光電変換素子はいずれも、良好な外観を実現できることができることが分かった。また実施例6の光電変換素子は、比較例12〜14の光電変換素子に比べて、光電変換特性を向上させることができることが分かった。
以上より、本発明の光電変換素子によれば、良好な外観を実現しながら光電変換特性を向上させることができることが確認された。
11…透明基板
12…透明導電層
12a…本体部
13…酸化物半導体層
14…絶縁材
15…透明導電性基板(導電性基板)
20…対極(対向基板)
30A…封止部
33…絶縁材
50,50A〜50D…光電変換セル
100〜700…光電変換素子

Claims (3)

  1. 少なくとも1つの光電変換セルを有し、
    前記光電変換セルが、
    透明基板および前記透明基板の上に設けられる透明導電層を有する導電性基板と、
    前記導電性基板に対向する対向基板と、
    前記導電性基板又は前記対向基板上に設けられる酸化物半導体層と、
    前記酸化物半導体層に担持される色素と、
    前記導電性基板及び前記対向基板を接合させる環状の封止部と、
    少なくとも前記導電性基板及び前記封止部の間に設けられる絶縁材とを備え、
    前記絶縁材が着色されており、
    波長を横軸とした前記色素の吸収スペクトルおよび前記絶縁材の反射スペクトルをそれぞれ、前記色素の吸光度の最大値、および、前記絶縁材の反射スペクトルの反射率の最大値が1となるように規格化し、前記色素の吸収スペクトルと前記横軸との間の第1領域の面積をSとし、前記色素の前記第1領域と前記絶縁材の反射スペクトル及び前記横軸の間の第2領域との重複領域の面積をS1とした場合において、S1/Sが0.5以上である、光電変換素子。
  2. 前記S1/Sが0.6以上である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記透明基板のうち前記透明導電層と反対側の表面に被覆層をさらに有し、
    前記被覆層が、前記透明基板の厚さ方向に前記被覆層を見た場合に前記酸化物半導体層を覆っており、前記被覆層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長と、前記色素を担持した状態の前記酸化物半導体層の可視光の波長領域における最大吸収ピーク波長とが互いに異なる、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
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