JP2016207858A - 多波長レーザ光源及び誘導放出抑制顕微鏡 - Google Patents

多波長レーザ光源及び誘導放出抑制顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】 光軸が容易に一致し、異なる2以上の波長のレーザ光を出力可能な小型の多波長レーザ光源及び誘導放出抑制顕微鏡を提供する。
【解決手段】
誘導放出抑制顕微鏡は、多波長レーザ光源から出射された2以上のレーザ光が入射し、これらの波長のレーザ光を被測定対象に照射する対物レンズ60と、レーザ光の照射によって被測定対象から出力されたレーザ光をモニタするカメラとを備えている。多波長レーザ光源の回折格子層6は、第1回折格子領域と、第2回折格子領域とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多波長レーザ光源及び誘導放出抑制顕微鏡に関する。
誘導放出抑制顕微鏡(STED:Stimulated Emission Depletion microscopy)は、誘導放出による蛍光抑制現象を利用した顕微鏡である。すなわち、蛍光体に単峰性強度分布の励起光を照射すると、蛍光体が励起され、蛍光が発生する。この励起状態で、励起光よりも長波長で、且つ、ドーナッツ状強度分布の発光抑制光(STED光)を照射すると、誘導放出が生じて、蛍光体におけるドーナッツ状の領域において、蛍光の発生が抑制され、強制的に基底状態になる。発光抑制光の照射量を増加させると、ドーナッツ状の領域で蛍光強度が減少していき、中央の微小なスポット光のみが残る。現在、このスポットサイズは、概ね数十nmと言われており、照明光の回折限界を超える顕微鏡技術として期待されている。
特表2007−504499号公報
しかしながら、STED顕微鏡用の光源においては、励起光及び発光抑制光の同軸化が必要であり、励起光用の光源及び発光抑制用の光源、これら2つの光源を採用した場合、これらの光軸を一致させるのが難しく、また、装置が大型化するという問題がある。また、光軸が不一致であると、STED顕微鏡における分解能は低下する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光軸が容易に一致し、異なる2以上の波長のレーザ光を出力可能な小型の多波長レーザ光源及び分解能を向上可能な誘導放出抑制顕微鏡を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、第1の多波長レーザ光源は、一対のクラッド層と、前記クラッド層間に位置する活性層と、前記活性層に光学的に結合した1又は複数の回折格子層と、を備えた多波長光源であって、平面視で見た場合において、前記回折格子層は、第1波長を選択するための屈折率分布を有する第1回折格子領域と、前記第1回折格子領域を囲み、前記第1波長よりも長い第2波長を選択するための屈折率分布を有する第2回折格子領域とを備えることを特徴とする。
この多波長レーザ光源によれば、第1回折格子領域と、第2回折格子領域との相対位置関係は、活性層に対して光学的に結合する位置に予め固定されているので、これらの光軸が容易に一致する。それぞれの結晶領域においては、出力する波長が異なる。第2回折格子領域は、第1回折格子領域を囲んでおり、ドーナッツ状のレーザ光を対象物に照射する。第1回折格子領域は、短波長を選択して励起光を出力するが、そのスポットの周辺にはドーナッツ状の発光抑制光が照射され、中央のスポットによる蛍光スポットサイズが小さくなる。
特定の物質に結合する蛍光標識は、レーザ光の照射される蛍光体として用いることができる。
第2の多波長レーザ光源においては、前記活性層は、複数の井戸層を備えた量子井戸構造を有しており、前記井戸層のうちの少なくとも1つは、前記第1波長用の第1エネルギーバンドギャップを有しており前記井戸層のうちの少なくとも他の1つは、前記2波長用の第2エネルギーバンドギャップを有していることを特徴とする。
この場合、活性層からの出力光に第1波長と第2波長が含まれているので、第1波長及び第2波長のレーザ光の強度が高くなる。
第3の多波長レーザ光源においては、前記活性層は、不均一な量子ドットを有することを特徴とする。この場合、活性層は、広い利得波長を有し、多数のレーザ光の波長を選択できるので、回折格子が、第1波長及び第2波長のレーザ光を選択して出力しやすくなる。
第4の多波長レーザ光源においては、前記活性層は、前記第1回折格子領域に対向した第1活性領域と、前記第2回折格子領域に対向した第2活性領域と、を備えており、前記第1活性領域と前記第2活性領域とは、エネルギーバンドギャップ構造が異なることを特徴とする。
この場合、異なる波長を出力する第1及び第2回折格子領域毎に、第1及び第2活性領域を対向させているので、第1波長及び第2波長のレーザ光の強度が高くなる。
第5の多波長レーザ光源においては、前記回折格子層は、基本層と、前記基本層とは異なる屈折率を有し、前記基本層内に周期的に配置された複数の異屈折率領域と、を備えており、平面視において、前記第1回折格子領域における前記異屈折率領域の形状は、回転非対称であり、前記第2回折格子領域における前記異屈折率領域の形状は、回転対称であることを特徴とする。
回折格子層は、異屈折率領域の埋め込みにより、二次元的に屈折率変化する周期構造を有しているため、回折格子として機能すると共に、フォトニック結晶層として機能している。
異屈折率領域が回転非対称の形状を有している場合、単峰性の強度分布を有するビームパターンが得られ、回転対称の形状を有している場合、前記第2回折格子領域が開口を有するので、中心部に暗部を有するドーナッツ状ビームパターンが得られ、好適に蛍光スポットのサイズを小さくすることができる。このとき、回転対称の形状であるため、回折格子層と平行な方向での光の電界分布が回転対称となり、光出力が得られる方向すなわち回折格子層に対して垂直な方向に回折する光同士の打ち消しあいが生じることから、回折格子層に対して垂直な方向の光漏れが少なくなるため低閾値電流で動作し、低消費電力での動作が可能となる。
前記回折格子領域1および2の異屈折率領域が回転非対称の形状を有している場合、偏光方向を制御することが出来る。このとき、前記回折格子領域1では単峰性の強度分布を有するビームパターンが得られ、前記回折格子領域2は中心部に暗部を有するため、中心部に暗部を有するドーナッツ状ビームパターンが得られ、前記回折格子領域1および2の偏光方向を制御して、好適に蛍光スポットのサイズを小さくすることができる。
第6の多波長レーザ光源においては、前記第1回折格子領域と前記第2回折格子領域との間に、これらの光学的結合を分離する分離手段を更に備えることを特徴とする。
すなわち、第1回折格子領域と第2回折格子領域との間が生じると、クロストークが発生し、全体の光量が低下する恐れがあるため、これらの間を分離しておくと、クロストークを抑制し、光量の低下を抑制することができる。
上述の多波長レーザ光源を用いた誘導放出抑制顕微鏡は、上述のいずれかの多波長レーザ光源と、前記多波長レーザ光源から出射された2以上のレーザ光が入射し、これらの波長のレーザ光を被測定対象に照射する対物レンズと、前記レーザ光の照射によって被測定対象から出力された蛍光をモニタするカメラを備えることを特徴とする。
多波長レーザ光源による蛍光位置分解能が高いため、蛍光体を含む被測定対象から出力された蛍光をモニタすると、高い分解能の誘導放出顕微鏡を実現することができる。
多波長レーザ光源及び誘導放出抑制顕微鏡によれば、半導体を用いて小型で形成することができるにも拘らず、2以上の波長のレーザ光の光軸を容易に一致させることができ、したがって、誘導放出抑制顕微鏡の分解能を上げることができる。
誘導放出抑制(STED)顕微鏡のブロック図である。 XY平面内におけるレーザビームスポットについて説明する図である。 多波長レーザ光源(第1実施形態)の断面図である。 多波長レーザ光源の回折格子層6の平面図である。 多波長レーザ光源の回折格子層6の平面図である。 活性層4の近傍の構造(第2実施形態)の断面図である。 活性層4の近傍の構造(第3実施形態)の断面図である。 多波長レーザ光源(第4実施形態)の断面図である。 分離溝の一例を示す多波長レーザ光源の断面図である。 分離溝の一例を示す多波長レーザ光源の断面図である。 2つの回折格子層を備えた多波長レーザ光源の縦断面図である。
以下、実施の形態に係る多波長レーザ光源及び誘導放出抑制(STED)顕微鏡について説明する。同一要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、誘導放出抑制(STED)顕微鏡のブロック図である。
多波長レーザ光源を用いた誘導放出抑制顕微鏡は、多波長レーザ光源10と、多波長レーザ光源10から出射された2以上のレーザ光が入射し、これらの波長のレーザ光を被測定対象としての試料70に照射する対物レンズ60と、レーザ光の照射によって試料70から出力された蛍光をモニタするカメラを備えている。
詳説すれば、多波長レーザ光源10から出力された2種のレーザ光は、コリメータレンズ20を介して平行化され、Yスキャナ30、ダイクロイックミラー40で反射されて、Xスキャナ50、対物レンズ60を介して、試料70に照射される。試料70はビーカやスライドガラスなどの試料ホルダHDによって保持されており、試料ホルダHDは、XYZ直交座標空間内で、三次元移動可能なテーブルTB上に載置されている。
Yスキャナ30は、XY平面内におけるY軸方向にビーム走査を行うガルバノメータであり、Xスキャナ50は、XY平面内におけるX軸方向にビーム走査を行うガルバノメータである。また、対物レンズ60は、テレセントリックfθ対物レンズであり、これに入射したレーザ光は、テーブルTBの表面に対して垂直な進行方向を維持したまま走査される。したがって、像分解能が高いという特性がある。fθレンズは入射角度θに比例した像高を有しており、像高Y、焦点距離fの場合、Y=fθを満たす。fθレンズを使用することにより等速度スキャンができるという利点もある。
ダイクロイックミラー40は、多波長レーザ光源10からのレーザ光の波長の光を反射し、試料70において励起された蛍光成分を含む帯域の光を透過させる。試料70において発生し、対物レンズ60、Xスキャナ50、ダイクロイックミラー40を透過した蛍光成分を含む光は、(バンドパス)フィルタ80を透過することで、蛍光成分のみがこれを透過し、結像レンズ90によって固体撮像素子100の撮像面上に結像する。
本例では、フィルタ80、結像レンズ90及び固体撮像素子100は、カメラを構成しているが、撮像用のカメラ構成としては、これに限定されるものではなく、固体撮像素子に代えて、イメージ管などを用いることも可能である。
次に、多波長レーザ光源10について説明する。
図2は、XY平面内におけるレーザビームスポットについて説明する図である。
本例の多波長レーザ光源10は、2種類のレーザ光を出力する。1種類目は、短波長の励起光であり、単峰性のスポット形状を有する第1レーザ光LB1である。2種類目は、励起光よりも長い波長を有するドーナッツ状の第2レーザ光LB2である。なお、ドーナッツの内径は、スポットの外径よりも小さい。
これらの2種類の光は、重心位置が略一致する。はじめに前記1種類目の励起光LB1を試料内の蛍光体(蛍光標識)に照射されると、蛍光体の前記重心位置において、蛍光体の電子が基底準位S0から励起準位S2に励起される。一般的に蛍光発光は、励起準位S2に励起後、無放射緩和により、低い励起準位S1の状態に遷移の後に発生する。次に、前記2種類目の励起準位S1と基底準位S0のエネルギー差程度に相当する波長のドーナッツ状の励起光LB2を照射する。このとき、蛍光体の励起スポットの中で、第2レーザ光LB2、すなわち発光抑制光(STED光)、が照射されたドーナッツ状の領域で誘導放出が生じて、強制的にキャリアが基底準位S0の状態へと失活する。その結果、ドーナッツ状光の中央の微小なスポット光のみで蛍光を発し、元々のスポット径よりも小さな領域からの蛍光を観察することが出来る。
次に、多波長レーザ光源10について説明する。
図3は、多波長レーザ光源(第1実施形態)の断面図である。xyz直交座標系は、図1のXYZ座標系と比較すると、z軸方向がX軸方向に一致する必要があるが、他の軸は、適当に設定すればよい。
半導体基板1の−z軸方向の表面上に、順次、各半導体層がエピタキシャル成長されるものとする。この場合、−z軸方向を上向きとした場合、半導体基板1上には、下部クラッド層2、下部光ガイド層3、上部光ガイド層5、回折格子層6、上部クラッド層7、及びコンタクト層8が順次形成される。なお、製造時においても、この順番に沿って、順次各化合物半導体層が形成される。
半導体基板1の+z軸側の表面上には開口電極EFが形成されており、開口内には反射防止膜Rが形成されている。また、コンタクト層8の−z軸側の表面上には、内側電極EB1と、内側電極EB1を囲む外側電極EB2が形成されている。内側電極EB1は、基板中央に位置する内側領域R1内に形成され、外側電極EB2は、内側領域R1を囲む外側領域R2内に位置している。コンタクト層8上の残余の表面上にはSiOやシリコン窒化物などからなる絶縁膜Pが形成されている。なお、明示はしていないが、反射防止膜Rおよびコンタクト層8の膜厚は、内側電極EB1と外側電極EB2下で、それぞれ適切な波長および効率に合うように調整されるものとする。
平面視(z軸に沿ってみた場合)において、中央の内側領域R1には、回折格子層6において、第1回折格子領域(異屈折率領域6B(1)が含まれる領域)が位置し、周囲の外側領域R2には、第2回折格子領域(異屈折率領域6B(2)が含まれる領域)が位置している。回折格子層6は、基本層6Aと、これと異なる屈折率を有する異屈折率領域6Bからなり、異屈折率領域6Bは、xy平面内において、2次元的な周期構造を有している。この周期構造によって、活性層4によって発生したレーザ光のうちのどの波長成分を選択するかが異なる。
内側領域R1内の異屈折率領域6B1(1)と、外側領域R2内の異屈折率領域6B(2)は、平面形状、深さ及び配列間隔の少なくともいずれかが異なる。したがって、中央の内側領域R1からは、第1波長の第1レーザ光LB1が+z軸方向に向かって出射され、外側領域R2からは、第2波長の第2レーザ光LB2が+z軸方向に向かって出射される。
図4は、多波長レーザ光源の回折格子層6の平面図である。
例えば、内側領域R1内の異屈折率領域6B(1)の平面形状は(直角)三角形であり、外側領域R2内の異屈折率領域6B(2)の平面形状は円形である。これらはxy平面内のいける正方格子の格子点位置にされている。なお、格子間隔aの正方格子の場合、直交座標の単位ベクトルをx、yとすると、基本並進ベクトルa1=ax、a2=ayであり、基本並進ベクトルa1、a2に対する基本逆格子ベクトルb1=(2π/a)y、b2=(2π/a)xである。回折格子層からなるフォトニック結晶のフォトニックバンドにおけるΓ点、すなわち、波数ベクトルk=nb1+mb2(n、mは任意の整数)の場合に、格子間隔aが波長λに等しい共振モード(xy平面内における定在波)が得られる。このとき、外側領域R2の異屈折率領域6B(2)の平面形状が回転対称の形状であるため、回折格子層と平行な方向での光の電界分布が回転対称となり、光出力が得られる方向すなわち回折格子層に対して垂直な方向に回折する光同士の打ち消しあいが生じることから、回折格子層に対して垂直な方向の光漏れが少なくなるため低閾値電流で動作し、低消費電力での動作が可能となる。
図5は、多波長レーザ光源の回折格子層6の平面図である。
例えば、内側領域R1内の異屈折率領域6B(1)の平面形状は(直角)三角形であり、外側領域R2内の異屈折率領域6B(2)の平面形状も(直角)三角形である。その他の構成と配置は、図4に記載ものと同一である。このとき、内側領域R1と外側領域R2の発光の偏光方向を制御することが出来、偏光依存性を持つ蛍光体であっても、適切な励起が可能となる。
なお、内側領域R1と外側領域R2との境界には、これらの領域で発生するレーザ光の電気的および光学的なクロストークを抑制するための分離溝Grv(分離手段)を設けることとしてもよいが、設けなくてもよい。分離溝Grvは、平面視において、矩形環状を有しており、内側領域R1を囲んでいる。分離溝Grvの内部には、カーボンブラックなどの遮光材料を埋め込むこともできるが、空気などの気体が充填される構造でもよい。クロストークを抑制できるものであれば、溝ではなく、遮光材料などからなる凸部であってもよい。
図9は、分離溝Grvの一例を示す多波長レーザ光源の断面図である。
上記分離溝Grvは、第1回折格子領域(内側領域R1)と第2回折格子領域(外側領域R2)との間に設けられ、これらの電気的および光学的結合を分離している。第1回折格子領域と第2回折格子領域との間でクロストークが発生すると、全体の制御性が低下し、光量が低下する恐れがあるため、これらの間を分離しておくと、クロストークを抑制し、光量の低下を抑制することができる。
分離溝Grvは、深さ方向である+z軸方向に沿って、基板の露出表面から、コンタクト層8、上部クラッド層7及び基本層6Aに至るまで延びているが、光ガイド層や活性層には到達していない。活性層へのダメージを抑制した状態で、電気的にクロストークを抑制することが可能となる。
図10は、分離溝Grvの一例を示す多波長レーザ光源の断面図である。
分離溝Grvは、深さ方向である+z軸方向に沿って、基板の露出表面から、下部クラッド層2に至るまで延びている。これにより、光学的なクロストークを大幅に抑制することが可能となる。
図6は、活性層4の近傍の構造(第2実施形態)の断面図である。
本実施形態は、上述の多波長レーザ光源において、活性層4の構造のみを変更した例である。
すなわち、この多波長レーザ光源においては、活性層4は、複数のバリア層間に複数の井戸層4a、4cを備えた量子井戸構造を有しており、井戸層のうちの少なくとも1つの井戸層4aは、第1波長用の第1エネルギーバンドギャップEg1を有しており、井戸層のうちの少なくとも他の1つの井戸層4cは、2波長用の第2エネルギーバンドギャップEg2を有している。バリア層は、(量子)井戸層よりもエネルギーバンドギャップが大きな層であり、本例では、キャリアブロック層4bがバリア層を構成している。また、下部光ガイド層3、上部光ガイド層5は、それぞれ、井戸層よりエネルギーバンドギャップが大きく、クラッド層より屈折率の大きい導波路層であるが、エネルギーバンドギャップのみに着目すると、バリア層としても機能している。
この場合、活性層4からの出力光に第1波長と第2波長が含まれているので、第1波長及び第2波長を選択する第1及び第2回折格子領域において、それぞれの波長を容易に選択することができ、適切な動作条件で駆動することで、第1波長及び第2波長のレーザ光の強度が高くなる。
図7は、活性層4の近傍の構造(第3実施形態)の断面図である。
本実施形態は、上述の多波長レーザ光源において、活性層4の構造のみを変更した例である。
この多波長レーザ光源においては、活性層4は、不均一な量子ドットを有することを特徴とする。この場合、活性層は、広い利得波長を有し、多数のレーザ光の波長を選択できるので、回折格子が、第1波長及び第2波長のレーザ光を選択して出力しやすくなる。活性層4を構成する基本層の材料は、GaAsやAlGaAsやInGaAsなどの化合物半導体材料であり、量子ドットを構成する材料は、InAsやGaInAsなどの化合物半導体材料である。不均一な量子ドットは、下地材料と量子ドット材料の材料同士の歪みを利用する成長モード(Stranski−Krastanov成長モード)で自己形成により製造することができる。
図8は、多波長レーザ光源(第4実施形態)の断面図である。
この例は、上述の構造において、内側領域R1における活性層4の構造と、回折格子層6の位置のみを変更したものである。すなわち、内側領域R1の活性層4(1)(及び光ガイド層3(1)、5(1))と、外側領域R2の活性層4(2)(及び光ガイド層3(2)、5(2))は、別の層構造を有しており、別工程で製造する。活性層4(1)、4(2)の構造は、それぞれ第1波長のレーザ光、第2波長のレーザ光を出射するようにする。
第1波長(980nm)のレーザ光を出射する構造は、例えば以下の通りである。
活性層の材料と組成比:量子井戸構造(井戸層In0.14Ga0.86As、バリア層Al0.1Ga0.9As)
活性層の厚み:井戸層幅10nm
活性層の不純物濃度:ノンドープ
第2波長(1060nm)のレーザ光を出射する構造は、以下の通りである。
活性層の材料と組成比:量子井戸構造(井戸層In0.22Ga0.78As、バリア層Al0.1Ga0.9As)
活性層の厚み:井戸層幅9nm
活性層の不純物濃度:ノンドープ
このように、活性層は、第1回折格子領域に対向した第1活性領域(第1波長を発生する領域)と、第2回折格子領域に対向した第2活性領域(第2波長を発生する領域)とを備えており、第1活性領域と第2活性領域とは、エネルギーバンドギャップ構造が異なる。
この場合、異なる波長を出力する第1及び第2回折格子領域毎に、第1及び第2活性領域を対向させているので、第1波長及び第2波長のレーザ光の強度が高くなる。
なお、回折格子層6は、下部クラッド層2と下部光ガイド層3との間に挿入することとし、これらの間に、エッチングストップ層9を介在させることとした。エッチングストップ層9は、AlGaAsやGaInPなどからなり、エッチング量を制御することができる。
図11は、2つの回折格子層を備えた多波長レーザ光源の縦断面図である。
上述の例では、1つの回折格子層を用いたが、これは2つ以上であってもよい、すなわち、下部クラッド層2と下部光ガイド層3との間、及び、上部光ガイド層5と上部クラッド層7との間に、共に、上述の回折格子層6を設けることとしたものであり、他の構造は、上記と同一である。この場合も、活性層4で発生したレーザ光は、双方の回折格子と結合して、回折格子の周期構造に応じたレーザ光LB1、LB2が出力される。
なお、各要素の材料の一例として、半導体基板1はGaAsからなり、下部クラッド層2はAlGaAsからなり、下部光ガイド層3はAlGaAsからなり、活性層4は多重量子井戸構造MQW(バリア層:AlGaAs/井戸層:InGaAs)からなり、上部光ガイド層5は、下層AlGaAs/上層GaAsからなり、上部クラッド層7がAlGaAsからなり、コンタクト層8がGaAsからなる。回折格子層(位相変調層、屈折率変調層)6は基本層6AがGaAs、基本層6A内に埋め込まれた異屈折率領域(埋込層)6BがAlGaAsからなる。
なお、各層には、第1導電型(N型)の不純物又は、第2導電型(P型)の不純物が添加されており(不純物濃度は1×1017〜1×1021/cm)、半導体基板1をN型、下部クラッド層2をN型、下部光ガイド層3をI型、活性層4をI型、上部光ガイド層5の下層をP又はI型、上層をI型、回折格子層6をI型、上部クラッド層7をP型、コンタクト層8をP型とすることができる。なお、意図的にはいずれの不純物も添加されていない領域は真性(I型)となっている。I型の不純物濃度は1×1016/cm以下である。
また、例えば、半導体基板1の厚みを150μm(80μm〜350μm)、下部クラッド層2の厚みを2×10nm(1×10nm〜3×10nm)、下部光ガイド層3の厚みを150nm(0〜300nm)、活性層4の厚みを30nm(10nm〜100nm)、上部光ガイド層5の下層の厚みを50nm(10nm〜100nm)、上層の厚みを50nm(10nm〜200nm)、回折格子層6の厚みを100nm(50nm〜300nm)、上部クラッド層7の厚みを2×10nm(1×10nm〜3×10nm)、コンタクト層8の厚みを200nm(50nm〜500nm)とすることができる。なお、括弧内は好適値である。
また、クラッド層のエネルギーバンドギャップは、光ガイド層のエネルギーバンドギャップよりも大きく、光ガイド層のエネルギーバンドギャップは活性層4の井戸層のエネルギーバンドギャップよりも大きく設定されている。AlGaAsにおいては、Alの組成比を変更することで、容易にエネルギーバンドギャップと屈折率を変えることができる。AlGa1−XAsにおいて、相対的に原子半径の小さなAlの組成比Xを減少(増加)させると、これと正の相関にあるエネルギーバンドギャップは小さく(大きく)なり、GaAsに原子半径の大きなInを混入させてInGaAsとすると、エネルギーバンドギャップは小さくなる。すなわち、クラッド層のAl組成比は、光ガイド層のAl組成比よりも大きく、光ガイド層のAl組成比は、活性層の障壁層(AlGaAs)と同等か大きい。クラッド層のAl組成比は0.2〜0.4に設定され、本例では0.3とする。光ガイド層及び活性層における障壁層のAl組成比は0.1〜0.15に設定され、本例では0.1とする。なお、ガイド層には電子の活性層からのリークを抑制するために、第2導電型(p型)クラッド層との間にクラッド層と同等のAl組成で10〜100nm程度の層を挿入しても良い。なお、回折格子層6における柱状の異屈折率領域を空隙とし、空気、窒素又はアルゴン等の気体が封入されてもよい。また、回折格子層6においては、XY平面内における正方格子又は三角格子の格子点位置に異屈折率領域6Bが配置されている。この正方格子における縦及び横の格子線の間隔は、レーザ光の波長を等価屈折率で除算した程度であり、具体的には300nm程度に設定されることが好ましい。正方格子の格子点位置でなく、三角格子における格子点位置に異屈折率領域を配置することもできる。三角格子の場合の横及び斜めの格子線の間隔は、波長を等価屈折率で除算し、さらにSin60°で除算した程度であり、具体的には350nm程度に設定されることが好ましい。
次に、多波長レーザ光源の製造方法について説明する。
第1実施形態(図3)の場合、第一導電型(N型)のGaAsからなる半導体基板1上に、第1導電型(N型)のAlGaAsからなる下部クラッド層2、AlGaAsからなる下部光ガイド層3、多重量子井戸構造(MQW)(バリア層:AlGaAs,井戸層InGaAs)からなる活性層4、AlGaAsからなる上部光ガイド層5、GaAsからなる回折格子層(屈折率変調層)6を、MOCVD法またはMBE法を用いて結晶成長する。
このとき、多重量子井戸層(MQW)には少なくとも2種類以上の異なる幅の井戸層を有する構造(図6)、あるいは、InAsやGaInAsからなる自己形成量子ドット構造(図7)を用いることができる。
次に回折格子層6の表面に微細加工技術を用いて、第1回折格子領域と第2回折格子領域を形成する。第1回折格子領域では、領域200μm角に、正方格子の格子点位置に、格子間隔a1で、直角二等辺三角形の孔が配置され、そして、第1回折格子領域の周囲に、5μm隔てて、幅200μmの領域に、正方格子の配置に従って、格子間隔a2で、円形の孔が配置される。
格子定数a1、a2は、例えばλ1=976nmの励起光とλ2=1064nmの励起抑制光の波長に対応して定めることができ、等価屈折率がおよそ3〜3.5(略3.3)程度であることから、格子定数a1は296nm、格子定数a2は322nmと定めることが出来る。
続いて、第二導電型(P型)のAlGaAsからなる上部クラッド層7、第二導電型(P型)のGaAsコンタクト層8をMOCVD法により結晶成長する。このとき、回折格子層6には、GaAsからなる基本層6Aと,AlGaAsまたは空洞からなる埋込層6Bが形成される。
続いて、レーザ光源の上面に、第1回折格子領域の略直上に反射防止膜を、第2回折格子領域の略直上にも反射防止膜を形成し、第1回折格子領域を中心に、第2回折格子領域を取り囲む500μm角の領域に表面電極EFを形成する。このとき、表面電極EFは第一の導電型(N型)に対応して、AuGe/Auなどの材料を用いることができる。一方、反射防止膜Rは、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)などの誘電体単層膜或いは誘電体多層膜からなり、それぞれの領域に形成される反射防止膜Rは、それぞれ、励起光λ1と励起抑制光λ2に応じた膜厚に調整される。
続いて、内側領域R1に裏面電極EB1を、外側領域R2に裏面電極EB2を設け、裏面電極EB1、EB2の周囲には絶縁膜Pが設けられる。このとき、裏面電極EB1、EB2には、第二導電型(P型)に対応して、Ti/Au,Ti/Pt/Au、Cr/Auなどの材料を用いることが出来、絶縁膜Pには、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)などを用いることができる。
次に、本レーザ光源では、裏面電極EB1と裏面電極EB2毎に異なる取り出し電極を有するハンダパターンを形成したサブマウント上にマウントすることで、個別に第1及び第2の回折格子領域をそれぞれ個別に駆動することが可能となる。このとき、ハンダ材にはIn,Au/Snなどを用いることができる。
以上の、第1回折格子領域では単峰ビームが出射されるのに対し、第2回折格子領域では、ドーナツ状のビームが同軸上に出射されるため、STED光源モジュールへの適用が可能となる。
また、本装置のレーザ光を照射することで、LiB(LBO)結晶などの非線形光学結晶による第二高調波が発生するので、488nmの青色のレーザ光と、532nmの緑色のレーザ光を同軸上で出射することが可能となり、各種色素の励起が可能となる。
次に、複数種の活性層を備える構造(図8)について説明する。
第一導電型(N型)のGaAsからなる半導体基板1上に、第1導電型(N型)のAlGaAsからなる下部クラッド層2、GaAsからなる回折格子層6を、MOCVD法またはMBE法を用いて結晶成長する。
次に回折格子層6の表面に微細加工技術を用いて、第1回折格子領域と第2回折格子領域の2つの異なった部分から構成される屈折率変調構造を形成する。第1回折格子領域では、領域200μm角に、正方格子の格子点位置の配置に従って、格子間隔a1で、直角二等辺三角形の孔が配置され、そして、第1回折格子領域の周囲に、5μm隔てて、幅200μmの領域に、正方格子の格子点位置の配置に従って、格子間隔a2で、円形の孔が配置される。格子定数a1、a2は、例えばλ1=976nmの励起光とλ2=1064nmの励起抑制光の波長に対応して定めることができ、等価屈折率がおよそ3〜3.5(略3.3)程度であることから、格子定数a1は296nm、格子定数a2は322nmと定めることが出来る。
続いて、AlGaAsからなる下部光ガイド層3、多重量子井戸構造(MQW)(バリア層:AlGaAs,井戸層InGaAs)からなる活性層4、AlGaAsからなる上部光ガイド層5、第二導電型(P型)のAlGaAsからなる上部クラッド層7、第二導電型(P型)のGaAsからなるコンタクト層8をMOCVD法またはMBE法を用いて結晶成長する。このとき、多重量子井戸層MQWの駆動時の利得波長を中心部の格子定数に合わせてλ1とした量子井戸層を有する構造、あるいは、InAsやGaInAsからなる自己形成量子ドット構造を用いる。
続いて、微細加工技術を用いて、内側領域R1を残して、外側領域R2をエッチングにより取り去る。このとき、AlGaAsやGaInPなどからなるエッチングストップ層9を設けることで、エッチング量を制御することが出来る。
続いて、MOCVD法またはMBE法の再成長を用いて、AlGaAsからなる下部光ガイド層3、多重量子井戸構造(MQW)(バリア層:AlGaAs,井戸層InGaAs)からなる活性層4、AlGaAsからなる上部光ガイド層6、第二導電型(P型)のAlGaAsからなる上部クラッド層7、第二導電型(P型)のGaAsからなるコンタクト層8をMOCVD法またはMBE法を用いて結晶成長する。このとき、多重量子井戸層MQWの駆動時の利得波長を外周部の格子定数に合わせてλ2とした量子井戸層を有する構造、あるいは、InAsやGaInAsからなる自己形成量子ドット構造を用いる。
その後、微細加工技術を用いて、中心領域Iの上に成長された構造をエッチングにより除去する。
続いて、レーザ光源の上面に、第1回折格子領域の略直上に第1反射防止膜を、第2回折格子領域の略直上に第2反射防止膜を形成し、第1回折格子領域を中心に、第2回折格子領域を取り囲む500μm角の領域に表面電極EFを形成する。このとき、表面電極EFは第一の導電型(N型)に対応して、AuGe/Auなどの材料を用いることができる。一方、第1及び第2反射防止膜Rは、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)などの誘電体単層膜或いは誘電体多層膜からなり、第1及び第2反射防止膜はそれぞれ、励起光λ1と励起抑制光λ2に応じた膜厚に調整される。
続いて、半導体基板1の下面に、第1回折格子領域の直下に裏面電極EB1を、第2回折格子領域の直下に裏面電極EB2を設け、裏面電極EB1、EB2の周囲には絶縁膜Pが設けられる。このとき、裏面電極EB1、EB2には、第二導電型(P型)に対応して、Ti/Au,Ti/Pt/Au、Cr/Auなどの材料を用いることが出来、絶縁膜Pには、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)などを用いることができる。
次に、第1の裏面電極EB1と第2の裏面電極EB2毎に異なる取り出し電極を有するハンダパターンを形成したサブマウント上にマウントすることで、個別に第1及び第2回折格子領域をそれぞれ個別に駆動することが可能となる。このとき、ハンダ材にはIn,Au/Snなどを用いることができるが、他の工程は上記と同一である。
本発明により、発光抑制光と励起光の光軸が一致したSTED用光源モジュールを実現することができ、光軸調整が容易なSTED光学系を実現することが可能となる。
以上、説明したように、上述の多波長レーザ光源は、一対のクラッド層と、クラッド層間に位置する活性層4と、活性層4に光学的に結合した1又は複数の回折格子層6と、を備えた多波長光源であって、平面視で見た場合において、回折格子層6は、第1波長を選択するための屈折率分布を有する第1回折格子領域と、第1回折格子領域を囲み、第1波長よりも長い第2波長を選択するための屈折率分布を有する第2回折格子領域とを備えている。
この多波長レーザ光源によれば、第1回折格子領域と、第2回折格子領域との相対位置関係は、活性層4に対して光学的に結合する位置に予め固定されているので、これらの光軸が容易に一致する。それぞれの結晶領域においては、出力する波長が異なる。第2回折格子領域は、第1回折格子領域を囲んでおり、ドーナッツ状のレーザ光を対象物に照射する。第1回折格子領域は、短波長を選択して励起光を出力するが、そのスポットの周辺にはドーナッツ状の発光抑制光が照射され、中央のスポットによる蛍光スポットサイズが小さくなる。また、特定の物質に結合する蛍光標識は、レーザ光の照射される蛍光体として用いることができる。
また、上述の回折格子層6は、基本層6Aと、基本層6Aとは異なる屈折率を有し、基本層6A内に周期的に配置された複数の異屈折率領域6Bとを備えており、平面視において、第1回折格子領域における異屈折率領域の形状は、回転非対称であり、第2回折格子領域における異屈折率領域6Bの形状は、回転対称である。回折格子層6は、異屈折率領域の埋め込みにより、二次元的に屈折率変化する周期構造を有しているため、回折格子として機能すると共に、フォトニック結晶層として機能している。なお、第2回折格子領域における異屈折率領域6Bの形状は非回転対称であっても良い。
第1回折格子では、異屈折率領域6B(1)では回転非対称の形状を有している場合、単峰性の強度分布を有するビームパターンが得られる。一方、第2回折格子は開口を有するため、中心に暗部を有するドーナッツ状ビームパターンが得られ、好適に蛍光スポットのサイズを小さくすることができる。このとき、異屈折率領域6B(2)が回転対称の形状を有している場合、低閾値電流で動作し、低消費電力での動作が可能となる。一方、異屈折率領域6B(2)が非回転対称の形状を有している場合、レーザ光の偏光方向を制御することが出来る。
また、多波長レーザ光源による蛍光位置分解能が高いため、蛍光体を含む被測定対象から出力された蛍光をモニタすると、高い分解能の誘導放出顕微鏡を実現することができる。
なお、製造においては、各化合物半導体層は、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いることが好適である。半導体基板1の(001)面上に結晶成長を行うが、これに限られるものではない。AlGaAsを用いたレーザ素子の製造においては、AlGaAsの成長温度は500℃〜850℃であって、実験では550〜700℃を採用し、成長時におけるAl原料としてTMA(トリメチルアルミニム)、ガリウム原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびTEG(トリエチルガリウム)、As原料としてはAsH3(アルシン)、N型不純物用の原料としてSi2H6(ジシラン)、P型不純物用の原料としてDEZn(ジエチル亜鉛)を用いる。AlGaAsの成長においては、TMA、TMG、アルシンを用い、GaAsの成長においては、TMGとアルシンを用いるが、TMAは用いない。InGaAsは、TMGとTMI(トリメチルインジウム)とアルシンを用いて製造する。絶縁膜の形成は、その構成物質を原料としてターゲットをPCVDまたは、スパッタにより形成すればよい。
4…活性層、6…回折格子層。

Claims (8)

  1. 一対のクラッド層と、
    前記クラッド層間に位置する活性層と、
    前記活性層に光学的に結合した1又は複数の回折格子層と、
    を備えた多波長光源であって、
    平面視で見た場合において、
    前記回折格子層は、
    第1波長を選択するための屈折率分布を有する第1回折格子領域と、
    前記第1回折格子領域を囲み、前記第1波長よりも長い第2波長を選択するための屈折率分布を有する第2回折格子領域と、
    を備えることを特徴とする多波長レーザ光源。
  2. 前記活性層は、複数の井戸層を備えた量子井戸構造を有しており、
    前記井戸層のうちの少なくとも1つは、前記第1波長用の第1エネルギーバンドギャップを有しており、
    前記井戸層のうちの少なくとも他の1つは、前記2波長用の第2エネルギーバンドギャップを有している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザ光源。
  3. 前記活性層は、不均一な量子ドットを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザ光源。
  4. 前記活性層は、
    前記第1回折格子領域に対向した第1活性領域と、
    前記第2回折格子領域に対向した第2活性領域と、
    を備えており、
    前記第1活性領域と前記第2活性領域とは、エネルギーバンドギャップ構造が異なる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザ光源。
  5. 前記回折格子層は、
    基本層と、
    前記基本層とは異なる屈折率を有し、前記基本層内に周期的に配置された複数の異屈折率領域と、
    を備えており、
    平面視において、
    前記第1回折格子領域における前記異屈折率領域の形状は、回転非対称であり、
    前記第2回折格子領域における前記異屈折率領域の形状は、回転対称である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多波長レーザ光源。
  6. 前記回折格子層は、
    基本層と、
    前記基本層とは異なる屈折率を有し、前記基本層内に周期的に配置された複数の異屈折率領域と、
    を備えており、
    平面視において、
    前記異屈折率領域の形状は、回転非対称である、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多波長レーザ光源。
  7. 前記第1回折格子領域と前記第2回折格子領域との間に、これらの光学的結合を分離する分離手段を更に備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多波長レーザ光源。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多波長レーザ光源と、
    前記多波長レーザ光源から出射された2以上のレーザ光が入射し、これらの波長のレーザ光を被測定対象に照射する対物レンズと、
    前記レーザ光の照射によって被測定対象から出力された蛍光をモニタするカメラと、
    を備える、
    ことを特徴とする誘導放出抑制顕微鏡。
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