JP2016205785A - 媒体輸送システム、蓄熱システム及びヒートポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】媒体輸送システム30は、内部が減圧された減圧容器50の下側に配置され、減圧容器50に気密状態で連結され、減圧容器50から落下された液相の媒体を収容する第1容器62と、減圧容器50の上側に配置され、第1容器62及び減圧容器50に気密状態で連結され、減圧容器50に液相の媒体を落下させる第2容器72と、第1容器62に収容されている液相の媒体を加熱して蒸発させ、第2容器72内の気相の媒体を冷却して凝縮させて、第1容器62から第2容器72に媒体を気相で輸送させる輸送部90と、を備えている。
【選択図】図1
Description
蓄熱システム10は、図1に示されるように、蓄熱器20と、媒体輸送システム30と、蒸発凝縮器50と、制御部40と、を含んで構成されている。なお、蓄熱システム10は、予め定められた量の水W(又は水蒸気WV)を各構成要素で構成される閉じた系で動作させるシステムである。そして、この閉じた系は、大気圧よりも気圧が低い環境(減圧環境)とされている。
蓄熱器20は、加熱対象を加熱するために放熱する機能と、熱源から移動させた熱を蓄熱する機能とを有する。蓄熱器20は、図1に示されるように、容器22と、蓄熱材24と、流路部26とを含んで構成されている。
容器22は、円筒状とされており、周壁22Aと、上壁22Bと、下壁22Cと、で構成されている。また、周壁22Aには装置高さ方向に並ぶ2ヶ所の貫通穴が形成されており、下壁22Cには1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器22は、断熱材(図示省略)により覆われている。
蓄熱材24は、容器22内に配置されている。別言すれば、蓄熱器20は、その内部に蓄熱材24を有している。本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウム(CaO)の成形体とされている。なお、本実施形態の蓄熱材24は、一例として酸化カルシウムの粉体を粘土鉱物等のバインダと混練し焼成され、容器22内に嵌り込むように円筒状に形成されている。
式1 CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2
式2 CaO + H2O → Ca(OH)2 + Q
式3 Ca(OH)2 + Q → CaO + H2O
となる。式2は蓄熱材24が水和に伴って発熱量Qに相当する熱を放熱する化学反応を示し、式3は水酸化カルシウムの脱水に伴って蓄熱量Qに相当する熱を蓄熱する化学反応を示している。なお、本実施形態の蓄熱材24の単位質量当たりの蓄熱容量は、一例として1.86[MJ/kg]とされている。
流路部26は、熱媒体が流通する流路とされている。本実施形態の流路部26は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器22の外壁22Aの2ヶ所の貫通穴にシールされた状態で固定されている。そして、流路部26は、その上側端部(一端部)の開口26Aから送り込まれる熱媒体をその下側端部(他端部)の開口26Bから送り出すようになっている。なお、流路部26における容器22内に配置されている部分の外壁は、蓄熱材24に接触している。
以上のとおり、蓄熱器20を要素に分けて説明したが、以下、蓄熱器20について補足する。
蓄熱器20は、後述する蒸発凝縮器50で蒸発された水蒸気WV(図9参照)を蓄熱材24に反応(水和)させて放熱するようになっている。ここで、水蒸気WVは、気相の媒体の一例である。その結果、流路部26を流通する熱媒体は、熱を吸収するようになっている。また、蓄熱器20は、流路部26を流通する熱媒体から与えられる熱により水酸化カルシウムを反応(脱水)させて蓄熱するようになっている。ここで、水酸化カルシウムを反応(脱水)させるとは、水蒸気WVと反応(水和)した蓄熱材24から水蒸気WVを生成することを意味する。その結果、流路部26を流通する熱媒体は、熱を奪われるようになっている。なお、本実施形態の蓄熱器20は、放熱する場合、熱媒体を一例として80℃から200℃に加熱し、蓄熱する場合、熱媒体を一例として200℃から80℃に冷却するようになっている。
蓄熱器20(の容器22)は、後述する蒸発凝縮器50に気密状態で連結されている。具体的には、容器22の下壁22Cの貫通穴に後述する第1連結部82のパイプF1の一端がシールされた状態で固定されている。そして、パイプF1の他端は、後述する蒸発凝縮器50の容器52の上壁52Bの貫通穴にシールされた状態で固定されている。
流路部26の開口26Aは、熱源を通るパイプ(図示省略)又は加熱対象を通るパイプ(図示省略)に、切替手段(図示省略)により切替可能に連結されている。
蒸発凝縮器50は、水蒸気WVを凝縮させる機能と、水Wを蒸発させる機能とを有する。また、前述のとおり、蒸発凝縮器50内は、大気圧よりも気圧が低い環境とされている。ここで、蒸発凝縮器50は、減圧容器の一例である。また、水Wは、液相の媒体の一例である。蒸発凝縮器50は、図1に示されるように、容器52と、流路部54とを含んで構成されている。なお、蒸発凝縮器50は、蓄熱器20の下側に配置されている。
容器52は、円筒状とされており、周壁52Aと、上壁52Bと、下壁52Cと、で構成されている。また、周壁52Aには装置高さ方向に並ぶ3ヶ所の貫通穴が形成されており、上壁52B及び下壁52Cにはそれぞれ1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器52は、断熱材(図示省略)により覆われている。
流路部54は、水(冷却水又は加熱水)が流通する流路とされている。本実施形態の流路部54は、図1に示されるように、一例としてパイプとされており、その一端部及び他端部が、それぞれ容器52の外壁52Aの3ヶ所の貫通穴のうち下側の2ヶ所にシールされた状態で固定されている。そして、流路部54は、その上側端部(一端部)の開口54Aから送り込まれる水をその下側端部(他端部)の開口54Bから送り出すようになっている。
媒体輸送システム30は、図1に示されるように、第1収容部60と、第2収容部70と、第2連結部84と、第3連結部86と、第4連結部88と、を含んで構成されている。そして、媒体輸送システム30は、蒸発凝縮器50で凝縮された水Wを収容部(第1収容部60及び第2収容部70)に収容させて、再度蒸発凝縮器50に戻す(輸送する)機能を有する。
第1収容部60は、図1に示されるように、容器62と、流路部64と、を含んで構成されている。ここで、容器62は、第1容器の一例である。第1収容部60は、蒸発凝縮器50の下側に配置されている。
容器62は、蒸発凝縮器50から落下された水Wを収容する機能を有する。容器62は、円筒状とされており、周壁62Aと、上壁62Bと、下壁62Cと、で構成されている。また、周壁62Aには装置高さ方向に並ぶ3ヶ所の貫通穴が形成されており、上壁62Bには1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器62は、断熱材(図示省略)により覆われている。
流路部64は、容器62に収容されている水Wを加熱して蒸発させることで、容器62内に水蒸気WVを生成させる機能を有する。ここで、流路部64は、加熱部の一例である。
第2収容部70は、図1に示されるように、容器72と、加熱冷却部74と、を含んで構成されている。ここで、容器72は、第2容器の一例である。また、加熱冷却部74は、冷却部及び調整部の一例である。第2収容部70は、蒸発凝縮器50の上側に配置されている。
容器72は、前述のとおり、第1収容部60の容器62から水蒸気WVとして輸送され、凝縮された水Wを収容する機能と、収容されている水Wを蒸発凝縮器50に落下させる機能とを有する。容器72は、円筒状とされており、周壁72Aと、上壁72Bと、下壁72Cと、で構成されている。また、周壁72Aには装置高さ方向に並ぶ2ヶ所の貫通穴が形成されており、上壁72B及び下壁72Cにはそれぞれ1ヶ所の貫通穴が形成されている。なお、容器72は、断熱材(図示省略)により覆われている。
加熱冷却部74は、容器72内の水蒸気WVを冷却して凝縮させる機能と、容器72内の圧力を調整する機能を有する。具体的には、加熱冷却部74は、容器72内の水蒸気WVを冷却して、容器72内の水蒸気WVを凝縮させて容器72内の圧力を低く調整するようになっている。その結果、容器72内の圧力が第1収容部60の容器62内の圧力よりも低い状態でバルブV3が開くと、水蒸気WVは、容器72内と容器62内の圧力差により容器62から容器72へ輸送されるようになっている(図5参照)。また、加熱冷却部74は、容器72に収容されている水Wを加熱して、加熱されて蒸発した水蒸気WVにより容器72内の圧力を高く調整するようになっている。すなわち、加熱冷却部74は、水蒸気WVを冷却又は水Wを加熱して、容器72内の圧力を調整する機能を有する。
前述のとおり、容器62から第2収容部70の容器72への水蒸気WV(水Wを気相にして)の輸送は、第1収容部60の流路部64により容器62内の水Wを加熱して蒸発させ、第2収容部70の加熱冷却部74により容器72内の水蒸気WVを冷却して凝縮させることによる、容器62内の圧力と容器72内の圧力との差の関係に基づき実現する。つまり、流路部64と、加熱冷却部74との組み合わせ(輸送部90という。)は、水蒸気WVを輸送する機能を有する。
制御部40は、蓄熱システム10を構成する制御部40以外の構成要素を制御する機能を有する。制御部40についての具体的な説明は、蓄熱システム10の動作の説明の中で行う。
次に、本実施形態の蓄熱システム10の動作(本実施形態の媒体輸送システム30の動作を含む。)について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の蓄熱システム10の動作は、蓄熱モードと、媒体輸送モードと、放熱モードと、を含む。また、蓄熱システム10の動作は、制御部40が制御部40以外の構成要素を制御することで行われる。
また、本実施形態の蓄熱システム10の動作を説明するに当たり、蓄熱システム10を構成する各構成要素の初期状態を以下のとおりとする。
蓄熱材24は、水和可能な最大量の水Wが水和した状態である。そのため、本実施形態の蓄熱材24は、酸化カルシウムが水Wと反応(水和)して、水酸化カルシウムとなっている。また、容器22の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。
容器52の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。容器62の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。容器72の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。連結部80を構成する第1〜第4連結部82、84、86、88の温度は5℃、圧力は0.9kPaである。
蓄熱モードは、熱媒体から与えられる熱により水酸化カルシウムを反応(脱水)させて蓄熱するモードである。
媒体輸送モードは、蒸発凝縮器50で凝縮された水Wを収容部(第1収容部60及び第2収容部70)に収容させて、再度蒸発凝縮器50に戻す(輸送する)モードである。媒体輸送モードは、制御部40が、蓄熱システム10を構成する構成要素のうち媒体輸送システム30を制御することで行われる。すなわち、媒体輸送モードは、本実施形態の媒体輸送システム30の動作に相当する。なお、媒体輸送モードは、蓄熱モードの終了後に行われる。
放熱モードは、蒸発凝縮器50で蒸発された水蒸気WVを蓄熱材24に反応(水和)させて放熱するモードである。なお、放熱モードは、媒体輸送モードの終了後に行われる。
次に、本実施形態の作用(第1〜第3の作用)について、以下に説明する各比較形態と比較しつつ図面を参照して説明する。なお、各比較形態において本実施形態で用いた部品等を用いる場合又は本実施形態の動作の各モードを行う場合、その部品、モード等の符号、名称等をそのまま用いて説明する。
まず、本実施形態の第1の作用について説明する。第1の作用は、媒体輸送システム30が流路部64を備えており、かつ、第2収容部70が蒸発凝縮器50の上側に配置されていることの作用である。なお、第1の作用については、本実施形態を以下の第1比較形態と比較して説明する。
次に、本実施形態の第2の作用について説明する。第2の作用は、第2収容部70に加熱冷却部74が備えられていることの作用である。なお、第2の作用については、本実施形態を以下の第2比較形態と比較して説明する。
次に、本実施形態の第3の作用について説明する。第3の作用は、媒体輸送モードにおいて第1収容部60の容器62内の水Wを加熱して蒸発させ、水蒸気WVとして容器62から第2収容部70の容器72に輸送することの作用である。なお、第3の作用については、本実施形態を以下の第3比較形態と比較して説明する。
10C 蓄熱システム、ヒートポンプ
20 蓄熱器
24 蓄熱材
30 媒体輸送システム
30C 媒体輸送システム
50 蒸発凝縮器(減圧容器の一例)
62 容器(第1容器の一例)
64 流路部(加熱部の一例)
72 容器(第2容器の一例)
74 加熱冷却部(冷却部の一例、調整部の一例)
90 輸送部
W 水(液相の媒体の一例)
WV 水蒸気(気相の媒体の一例)
Claims (5)
- 内部が減圧された減圧容器の下側に配置され、前記減圧容器に気密状態で連結され、前記減圧容器から落下された液相の媒体を収容する第1容器と、
前記減圧容器の上側に配置され、前記第1容器及び前記減圧容器に気密状態で連結され、前記減圧容器に液相の媒体を落下させる第2容器と、
前記第1容器に収容されている液相の媒体を加熱して蒸発させ、第2容器内の気相の媒体を冷却して凝縮させて、前記第1容器から前記第2容器に前記媒体を気相で輸送させる輸送部と、
を備えた媒体輸送システム。 - 前記第2容器内の圧力を調整する調整部、
を備えた請求項1記載の媒体輸送システム。 - 前記調整部は、前記第2容器に収容されている液相の媒体を加熱又は冷却して、前記圧力を調整する、
請求項2記載の媒体輸送システム。 - 液相の媒体を蒸発させ、気相の媒体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、
請求項1〜3の何れか1項に記載の媒体輸送システムと、
前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気相の媒体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、前記媒体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気相の媒体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、
を備えた蓄熱システム。 - 液相の媒体を蒸発させ、気相の媒体を凝縮させる前記減圧容器としての蒸発凝縮器と、
請求項1〜3の何れか1項に記載の媒体輸送システムと、
前記蒸発凝縮器に気密状態で連結され、内部に蓄熱材を有し、前記蒸発凝縮器で蒸発させた気相の媒体を前記蓄熱材に反応させて発熱し、前記媒体と反応した前記蓄熱材から前記蒸発凝縮器で凝縮される気相の媒体を生成させて蓄熱する蓄熱器と、
を備えたヒートポンプ。
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