JP2016204594A - 油田装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を用いたシール部材を備える油田装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる油田装置は、シール部材を備える。シール部材は、ゴムに解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散し、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む直径が0.1mm以上の凝集体を有しないゴム組成物からなる。ゴム組成物は、ゴム100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含む。酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmである。セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が1nm〜200nmである。
【選択図】図9

Description

本発明は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を用いたシール部材を備える油田装置に関するものである。
近年、天然セルロース繊維をナノサイズに解繊したセルロースナノファイバーが注目されている。天然セルロース繊維は、木材などのパルプを原料とするバイオマスであって、これを有効利用することによって、環境負荷低減が期待される。
例えば、ゴムラテックスとセルロース繊維の水分散液とを混合した後、少なくとも水の一部を除去してセルロース繊維/ゴム複合体を得る工程と、この工程で得られた複合体とゴムとを混合する工程と、を有するゴム組成物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
セルロース繊維は、水の一部を除去する乾燥工程において水素結合を形成して凝集するため、ゴム組成物中にセルロース繊維が塊となって残る。したがって、セルロース繊維の塊がゴム組成物中の欠陥となり、ゴム組成物をセルロース繊維によって十分に補強することができなかった。
また、油田装置の用途では、炭素繊維複合材料を用いたシール材が提案され、世界各地で採用されている(例えば、特許文献2〜7等)。しかしながら、炭素繊維複合材料の原料となるカーボンナノチューブは、比較的高価であり、大量生産による低価格化が望まれているが、未だにその要望は満たされていない。
特開2013−18918号公報 特開2013−14699号公報 特開2013−23575号公報 国際公開WO/2011/077598A1公報 国際公開WO/2011/077596A1公報 国際公開WO/2011/077595A1公報 国際公開WO/2009/125503A1公報
本発明の目的は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を用いたシール部材を備える油田装置を提供することにある。
本発明にかかる油田装置は、
ゴムに解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散し、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む直径が0.1mm以上の凝集体を有しないゴム組成物からなるシール部材を備え、
前記ゴム組成物は、ゴム100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含み、
酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmであり、
セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が1nm〜200nmであることを特徴とする。
本発明にかかる油田装置によれば、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方によって補強され、体積抵抗率、剛性、強度、及び耐疲労性に優れたゴム組成物からなるシール部材を備えることができる。そのため、油田装置によれば、カーボンナノチューブを用いたシール部材に比べて価格競争力のあるシール部材を備えることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された無端状のシール部材であることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記油田装置は、坑井内において検層を行う検層装置であることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのステータであることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのロータであることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記流体駆動モータは、マッドモータであることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記ゴムは、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であり、
前記ゴム組成物は、体積固有抵抗値が10Ω・cm〜1010Ω・cmであることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記ゴム組成物は、120℃、最大引張応力1N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が3,000回以上であることができる。
本発明にかかる油田装置において、
前記ゴム組成物は、切断時伸びが330%以上であることができる。
ゴム組成物の製造方法における分散工程を模式的に示す図である。 ゴム組成物の製造方法における分散工程を模式的に示す図である。 ゴム組成物の製造方法における分散工程を模式的に示す図である。 ダウンホール装置の使用状態を説明する模式図である。 ダウンホール装置の一部を示す模式図である。 ダウンホール装置の圧力容器の連結部分を示す縦断面図である。 ダウンホール装置用のOリングの他の一使用形態を示す縦断面図である。 ダウンホール装置用のOリングの他の一使用形態を示す縦断面図である。 海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。 図9の検層装置を模式的に示す部分断面図である。 図10の検層装置のマッドモータを模式的に示すX−X’断面図である。 地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。 比較例1のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。 比較例2のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。 実施例1のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。 実施例4のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。 実施例7のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる油田装置は、ゴムに解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散し、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む直径が0.1mm以上の凝集体を有しないゴム組成物からなるシール部材を備え、前記ゴム組成物は、ゴム100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含み、酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmであり、セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が1nm〜200nmであることを特徴とする。
以下の説明では、油田装置に用いるシール部材の原料、シール部材に用いるゴム組成物の製造方法、ゴム組成物、シール部材の順に説明し、最後に油田装置について説明する。
A.シール部材の原料
A−1.水溶液
水溶液は、酸化セルロース繊維を含む水溶液と、セルロースナノファイバーを含む水溶液と、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーを含む水溶液がある。
酸化セルロース繊維を含む水溶液は、例えば天然セルロース繊維を酸化して酸化セルロース繊維を得る酸化工程により製造することができる。
セルロースナノファイバーを含む水溶液は、例えば天然セルロース繊維を酸化して酸化セルロース繊維を得る酸化工程と、酸化セルロース繊維を微細化処理する微細化工程と、を含む製造方法によって得ることができる。
酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーを含む水溶液は、酸化セルロース繊維を含む水溶液と、セルロースナノファイバーを含む水溶液と、を混合することで得ることができる。
まず、酸化工程は、原料となる天然セルロース繊維に対して水を加え、ミキサー等で処理して、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。
ここで、天然セルロース繊維としては、例えば、木材パルプ、綿系パルプ、バクテリアセルロース等が含まれる。より詳細には、木材パルプとしては、例えば針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等を挙げることができ、綿系パルプとしては、コットンリンター、コットンリントなどを挙げることができ、非木材系パルプとしては、麦わらパルプ、バガスパルプ等を挙げることができる。天然セルロース繊維は、これらの少なくとも1種以上を用いることができる。
天然セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリル束とその間を埋めているリグニン及びヘミセルロースから構成された構造を有する。すなわち、セルロースミクロフィブリ
ル及び/又はセルロースミクロフィブリル束の周囲をヘミセルロースが覆い、さらにこれをリグニンが覆った構造を有していると推測される。リグニンによってセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束間は、強固に接着しており、植物繊維を形成している。そのため、植物繊維中のリグニンはあらかじめ除去されていることが、植物繊維中のセルロース繊維の凝集を防ぐことができるという点で好ましい。具体的には、植物繊維含有材料中のリグニン含有量は、通常40質量%程度以下、好ましくは10質量%程度以下である。また、リグニンの除去率の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%に近いほど好ましい。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により測定することができる。
セルロースミクロフィブリルとしては、幅4nm程のセルロースミクロフィブリルが最小単位として存在し、これをシングルセルロースナノファイバーと呼ぶことができる。本発明において、「セルロースナノファイバー」とは、天然セルロース繊維及び/又は酸化セルロース繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたものであり、特に繊維径の平均値が1nm〜200nmであり、さらに1nm〜150nmであることができ、特に1nm〜100nmのセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束であることができる。すなわち、セルロースナノファイバーは、シングルセルロースナノファイバー単体、またはシングルセルロースナノファイバーが複数本集まった束を含むことができる。
セルロースナノファイバーのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、平均値で、10〜1000であることができ、さらに10〜500であることができ、特に100〜350であることができる。
なお、セルロースナノファイバーの繊維径及び繊維長の平均値は、電子顕微鏡の視野内のセルロースナノファイバーの少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。
次に、酸化工程として、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒として天然セルロース繊維を酸化処理して酸化セルロース繊維を得る。セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOとも表記する)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。
酸化工程後、例えば水洗とろ過を繰り返す精製工程を実施し、未反応の酸化剤や各種副生成物等の、スラリー中に含まれる酸化セルロース繊維以外の不純物を除去することができる。酸化セルロース繊維を含む溶媒は、例えば水に含浸させた状態であり、この段階では酸化セルロース繊維はセルロースナノファイバーの単位まで解繊されていない。溶媒は、水を用いることができるが、例えば、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用することができる。
酸化セルロース繊維は、セルロースナノファイバーの水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性され、カルボキシル基を有する。
酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmである。なお、酸化セルロース繊維の繊維径の平均値は、電子顕微鏡の視野内の酸化セルロース繊維の少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。
酸化セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリルの束であることができる。酸化セ
ルロース繊維は、後述する混合工程および乾燥工程において、セルロースナノファイバーの単位まで解繊されることを要しない。酸化セルロース繊維は微細化工程においてセルロースナノファイバーに解繊することができる。
微細化工程は、酸化セルロース繊維を水等の溶媒中で撹拌処理することができ、セルロースナノファイバーを得ることができる。
微細化工程において、分散媒としての溶媒を水とすることができる。また、水以外の溶媒として、水に可溶な有機溶媒、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
微細化工程における撹拌処理は、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。
また、微細化処理における酸化セルロース繊維を含む溶媒の固形分濃度は、例えば50質量%以下とすることができる。この固形分濃度が50質量%を超えると、分散に高いエネルギーを必要とすることになる。
微細化工程によってセルロースナノファイバーを含む水溶液を得ることができる。セルロースナノファイバーを含む水溶液は、無色透明又は半透明な懸濁液であることができる。懸濁液には、表面酸化されると共に解繊されて微細化した繊維であるセルロースナノファイバーが水中に分散されている。すなわち、この水溶液においては、ミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化工程によるカルボキシル基の導入によって弱め、更に微細化工程を経ることで、セルロースナノファイバーが得られる。そして、酸化工程の条件を調整することにより、カルボキシル基含有量、極性、平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
このようにして得られた水溶液は、セルロースナノファイバーを0.1質量%〜10質量%含むことができる。また、例えば、セルロースナノファイバーの固形分1質量%に希釈した水溶液であることができる。さらに、水溶液は、光透過率が40%以上であることができ、さらに光透過率が60%以上であることができ、特に80%以上であることができる。水溶液の透過率は、紫外可視分光光度計を用いて、波長660nmでの透過率として測定することができる。
A−2.ゴムラテックス
ゴムラテックスは、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものを用いることができる。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエン系ゴム、ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエン系ゴム、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを乳化重合により製造したものを用いることができる。
ゴムラテックスは、分散溶媒中に多数のゴムの微粒子が分散している。
ゴムは、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であることができる。水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムは、水素化ニトリルゴム、水素添加ニトリル
ゴムあるいは水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどと呼ばれることがある。以下の説明では、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムをH−NBRと省略する。H−NBRは、ニトリルゴム(NBR)に含まれる二重結合を水素添加することによって得ることができる。H−NBRは、比較的高温特性に優れ、耐摩耗性に優れることから、例えば検層装置のシール部材に用いることができる。H−NBRは、175℃未満の高温の環境においても使用可能であり、特に150℃までの環境において好適に用いることができる。本実施の形態に用いるH−NBRは、アクリロニトリル含有量が30〜50質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50〜100、水素化率90%以上であることができる。アクリロニトリル含有量が30質量%以上であると耐油性に優れ、ガス透過性が大きいことが原因のブリスター(blister)になりにくく、アクリロニトリル含有量が50質量%以下であれば耐水性があるので水系に使用可能である。また、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50以上であると引張強さ(TB)や引張永久ひずみ(PS)などの基本要求性能を有することができ、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が100以下であれば適度な粘度を有するので加工することができる。水素化率90%以上であれば耐熱性に優れることができる。
B.シール部材の製造方法
図1〜図3は、シール部材に用いるゴム組成物の製造方法を模式的に示す図である。
ゴム組成物の製造方法は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む水溶液と、ゴムラテックスと、を混合して第1の混合物を得る混合工程と、前記第1の混合物を乾燥して第2の混合物を得る乾燥工程と、前記第2の混合物をオープンロールによって薄通ししてゴム組成物を得る分散工程と、を含むことを特徴とする。
B−1.混合工程
混合工程は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む水溶液と、ゴムラテックスと、を混合して第1の混合物を得る。混合工程としては、例えばロール混練装置によるロール混練法や、プロペラ式撹拌装置、ホモジナイザー、ロータリー撹拌装置、及び電磁撹拌装置による撹拌操作又は手動での撹拌操作などを用いることができる。特に、混合工程は、ロール混練法を用いることができる。
ロール混練法に用いるロール混練装置は、例えばオープンロールを用いることができる。また、ロール混練法に用いるロール混練装置は、例えば二本ロール又は三本ロールを用いることができる。
水溶液とゴムラテックスの混合物は、ロール間距離を所定間隔に設定したロール混練装置に徐々に投入する。ロール間距離は、水溶液とゴムラテックスの混合物がロールに巻き付く程度であって、かつロール間から混合物が落下しない程度の距離に設定することができる。ロール混練装置に投入された混合物は、混練されることによって徐々に粘度が高くなる。混合物の粘度が高くなったら、混合物をロール混練装置から取り出し、ロール間距離をさらに狭く設定して、再びロール混練装置に投入することができる。この工程を複数回実施することができる。
混合工程を実施することによって、ロール間を通る間に、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方がゴムの微粒子の中に入り込むことが予想できる。特に、ロール混練法を用いることによって、他の撹拌操作に比べて、繊維による補強効果がより向上することができる。
混合工程で得られる第1の混合物は、乾燥工程後の質量比で、ゴム固形成分100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質
量部〜60質量部を含むことができる。酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が1質量部以上であると補強効果が得られ、60質量部以下であれば乾燥工程後の加工も可能である。
B−2.乾燥工程
乾燥工程は、混合工程で得られた第1の混合物を乾燥して第2の混合物を得る工程である。例えば、第1の混合物は、水分を含むので、水を除去するための一般的な方法を採用することができる。例えば、乾燥工程は、自然乾燥、オーブン乾燥、凍結乾燥、噴露乾燥、パルス燃焼などの公知の乾燥方法を採用することができる。
乾燥工程は、ゴム、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーが熱分解しない温度で実施することができ、例えば100℃で加熱して乾燥することができる。
第2の混合物は、ゴム成分と、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方と、を含む。第2の混合物は、例えば、ゴム100質量部に対して酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含むことができる。さらに、第2の混合物は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜50質量部含むことができ、特に、5質量部〜40質量部含むことができる。第2の混合物中に酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部以上含むとゴム組成物の補強効果を得ることができ、溶媒中に酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を60質量部以下含むと容易に加工することができる。
B−3.分散工程
分散工程は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む第2の混合物をオープンロールで薄通ししてゴム組成物を得ることができる。
まず、薄通しの前に、図1に示すように、第1のロール10に巻き付けられた第2の混合物30の素練りを行なうことができ、第2の混合物中のゴムの分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたゴムのフリーラジカルが酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方と結びつきやすい状態となる。
次に、図2に示すように、第1のロール10に巻き付けられた第2の混合物30のバンク34に、配合剤80を適宜投入し、混練して中間混合物を得る混練工程を行うことができる。ここで配合剤80は、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、受酸剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、混合の過程の適切な時期にゴムに投入することができる。
図1〜図2の中間混合物36を得る工程については、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図3に示すように、薄通しを行うことができる。薄通しの工程は、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール2を用いて、0℃〜50℃で薄通しを行って未架橋のゴム組成物50を得る工程を行うことができる。この工程では、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mm〜0.5mmの間隔に設定し、図2で得られた中間混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを1回〜複数回行なうことができる。薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00で
あることができ、さらに1.05〜1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出されたゴム組成物50は、ゴムの弾性による復元力で図3のように大きく変形し、その際にゴムと共に酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が大きく移動する。薄通しして得られたゴム組成物50は、ロールで圧延されて所定厚さ、例えば100μm〜500μmのシート状に分出しされる。
この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0℃〜50℃に設定して行うことができ、さらに5℃〜30℃の比較的低い温度に設定して行うことができる。ゴム組成物の実測温度も0℃〜50℃に調整されることができ、さらに5℃〜30℃に調整されることができる。
このような温度範囲に調整することによって、ゴムの弾性を利用して酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を解繊し、解繊されたセルロースナノファイバーをゴム組成物中に分散することができる。
この薄通しの工程における高い剪断力により、ゴムに高い剪断力が作用し、凝集していた酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方がゴムの分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、ゴム中に分散される。特に、ゴムは、弾性と、粘性と、を有するため、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を解繊し、分散することができる。そして、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方の分散性および分散安定性(酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が再凝集しにくいこと)に優れたゴム組成物50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでゴムと酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方とを混合すると、粘性を有するゴムが酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方の相互に侵入する。酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方の表面が例えば酸化処理によって適度に活性が高いと、特にゴムの分子と結合し易くできる。次に、ゴムに強い剪断力が作用すると、ゴムの分子の移動に伴って酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方も移動し、さらに剪断後の弾性によるゴムの復元力によって、凝集していた酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分離されて、ゴム中に分散されることになる。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。
B−4.凝固工程
混合工程と乾燥工程との間に、第1の混合物中のゴムラテックスを凝固する凝固工程をさらに含むことができる。
前記B−1における混合工程で得られた第1の混合物は、そのままでは大量の水分を含むので、前記B−2における乾燥工程で水分を取り除くために長時間を要することになる。そこで、凝固工程は、水溶液である第1の混合物に、ゴムラテックスを凝固する公知の凝固剤を所定量投入して、撹拌混合する。第1の混合物中のゴム成分は凝固剤によって凝固する。凝固工程は、この凝固物に対して、脱水と洗浄とを含むことができる。脱水と洗浄は、複数回繰り返し行うことができる。
この工程における脱水は、乾燥工程における乾燥時間を短縮できる程度の水分が取り除
ければよく、凝固したゴム成分と水分とをある程度分離するものである。脱水は、例えば、一般的な回転式脱水機(遠心分離)、ゴム被膜ロール、プレス機等を用いて行うことができる。また、この工程における洗浄は、例えば水によって行うことができる。
凝固剤は、第1の混合物中のゴムラテックスの種類に応じて適宜公知のラテックス凝固剤を採用することができる。凝固剤としては、例えば、公知の酸や塩を用いることができ、高分子凝集剤を塩に代えて、または塩と共に用いてもよい。凝固剤に用いる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、炭酸などを用いることができる。凝固剤に用いる塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸カルシウムなどを用いることができる。高分子凝集剤としては、アニオン型、カチオン型、ノニオン型の高分子凝集剤のいずれでも用いることができる。
凝固工程において第1の混合物から大量の水分を取り除くことができるので、凝固工程の後に行われる乾燥工程の加熱時間を短縮することができ、作業効率が向上する。
C.ゴム組成物
ゴム組成物は、前記ゴム組成物の製造方法によって得られた解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散したゴム組成物である。
また、ゴム組成物は、ゴムに解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散し、直径が0.1mm以上の酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む直径が0.1mm以上の凝集体を有しない。
酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む凝集体は、これらの繊維が寄り集った状態の塊であり、酸化セルロース繊維の凝集体、セルロースナノファイバーの凝集体、及び酸化セルロース繊維とセルロースナノファイバーからなる凝集体を含むものである。
本実施形態におけるゴム組成物によれば、凝集体を有しておらず、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が解繊した状態で分散することで補強され、剛性、強度、及び耐疲労性に優れる。
ゴム組成物は、ゴム100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含むことができる。
ここで説明したゴム組成物の製造方法において、通常、ゴムの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、充填剤、着色剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、混合の過程の適切な時期にゴムに投入することができる。
ゴム組成物は、高い絶縁性能を有することができ、例えば、体積固有抵抗値が10Ω・cm以上であることができる。ゴム組成物は、ゴムが水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であるとき、体積固有抵抗値が10Ω・cm〜1010Ω・cmであることができ、さらに体積固有抵抗値が1.1×10Ω・cm〜1010Ω・cmであることができる。ゴム組成物によれば、油田装置において絶縁性が要求される部分のシール部材に用いることができ、油田装置の電子部品等を保護することができる。
また、ゴム組成物は、高温における高い耐摩耗性能を有することができ、例えば、120℃、最大引張応力1N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が3,0
00回以上であることができる。ゴム組成物は、ゴムが水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であるとき、120℃、最大引張応力1N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が3,000回以上であることができ、さらに同試験における破断回数が3,300回以上であることができる。
また、ゴム組成物は、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を配合して補強しても、高い柔軟性を維持することができ、例えば、切断時伸びが330%以上であることができる。ゴム組成物は、ゴムが水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であるとき、切断時伸びが330%以上であることができ、さらに切断時伸びが340%以上であることができる。
D.シール部材
シール部材は、前記Cで説明したゴム組成物からなる。シール部材は、ゴム組成物を所望の形状に成形して得られる。ゴム組成物の成形では、ゴム組成物に含まれるゴムを架橋剤によって架橋することができる。
架橋剤は、ゴムと酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方との混合前、混合中、あるいは薄通し後の分出しされたゴム組成物に、混合することができる。架橋剤が配合されたゴム組成物のゴム成分を架橋して架橋体のゴム組成物とすることができる。架橋剤は、例えば、用途に応じて適宜選択されたゴムに適用される公知の架橋剤を用いることができる。
シール部材は、ゴム組成物を一般に採用されるゴムの成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えば無端状に成形することで得ることができる。シール部材は、架橋されたゴム組成物からなることができる。
シール部材は、油田装置における固定部分に使われるガスケットや、油田装置における可動部分に使われるパッキンとして用いることができ、例えば、油田装置内に配置された無端状のシール部材であることができる。無端状シール部材は、外形が連続する無端状である。無端状シール部材は、外形が円形だけでなく、シール部材を配置する溝や部材の形状に併せて例えば多角形であってもよい。無端状シール部材としては、横断面が円形のOリングであることができる。また、無端状シール部材としては、例えば、いわゆるDリング、Xリング、リップリング(Uリップリング、Vリップリングなど)の中から選択することができる。
また、シール部材は、油田装置内に配置された流体駆動モータのステータであることができる。シール部材は、油田装置内に配置された流体駆動モータのロータであることができる。油田装置におけるシール部材については、以下の油田用途においてさらに詳細に説明する。
E.油田用途
シール部材は、油田用途として、例えば、油田装置(Oilfield Apparatus)に用いることができる。油田装置の代表的な実施形態について以下に説明する。
図4は、ダウンホール装置の使用状態を説明する模式図である。図5は、ダウンホール装置の一部を示す模式図である。図6は、ダウンホール装置の圧力容器の連結部分を示す縦断面図である。図7は、ダウンホール装置用のOリングの他の一使用形態を示す縦断面図である。図8は、ダウンホール装置用のOリングの他の一使用形態を示す縦断面図である。
図4に示すように、地下資源の探査は、例えば海52に浮くプラットホーム51から海底54に設けられた縦穴や横穴などで構成される井戸56内にダウンホール装置60を進入させ、地中の地質構造などを探査し、目標物質である例えば石油の有無を探査する。ダウンホール装置60は、例えばプラットホームから延びる長いロッドの先端に固定され、図5に示すような複数の圧力容器62a、62bを有し、さらにその先端に図示しないドリルビットを有してもよい。圧力容器62a、62bは、その両端の連結部64a、64b、64cで隣接する圧力容器と液密にシールして連結している。圧力容器62a、62bの内部には、例えば音波検層システムなどの電子機器63a,63bが封入され、地中の地質構造などを探査することが可能である。
図6に示すように、圧力容器62aの端部66aは、圧力容器62bの端部66bの内径よりも多少小さな外径を有する円筒状であり、端部66aの外周に設けられた無端状溝68aに前記Dで説明した無端状のシール部材例えばOリング70がはめ込まれている。Oリング70は、シール部材を用いて形成されかつ外形が連続する円形の無端状シール部材であって、横断面が円形である。圧力容器62aの端部66aが圧力容器62bの端部66bの内側に入り込み、Oリング70を偏平に押しつぶして組み付けられることによって圧力容器62a、62bの連結部64bは液密にシールされている。ダウンホール装置60は、地中深く掘られた井戸56内で作業するため、高温・高圧力下で圧力容器62a,62b内を液密に保たなければならない。本実施形態にかかるダウンホール装置60用のOリング70は、高温によるエラストマーの劣化が少なく、しかも高温においても高い柔軟性と高い強度を維持することができる。
図7に示すように、例えば、Oリング70と共に無端状溝68a内に樹脂製のバックアップリング72を設置してもよいし、図8に示すように、例えばOリング70a,70bを2本並べて無端状溝68a内に設置してシール性を向上させてもよい。
また、シール部材は、例えば、検層装置(logging tool)やモータのような回転機械やピストンのような往復動機械などの動的シール部材に用いることができる。検層装置は、例えば掘削された坑井(borehole)内及び坑井周辺の地層、油層などの物理的特性や坑井あるいはケーシングの幾何学的特性(孔径、方位、傾斜等)、油層の流れの挙動などを深度毎に記録するための装置であって、例えば油田(oilfield)において用いることができる。
油田用途の検層装置としては、例えば、図9に示す海底(subsea)用途と、図12に示す地下(underground)用途と、を挙げることができる。検層装置には、ワイヤーライン検層(Wireline log/logging)や泥水検層(Mud logging)などがあり、測定機器が掘削アッセンブリーに装備されている掘削中検層(LWD:Logging While Drilling)や掘削中測定(MWD:Measurement While Drilling)などがある。これらの検層装置は、地中の深い位置で作業するため、周囲環境は動的シール部材にとって苛酷になり、高温特に175℃以上にさらされた状態で摩擦に耐えて液密状態を保たなければならない場合があり、H−NBRの複合材よりも高い耐熱性が要求されることがある。
図9〜図12を用いて、検層装置に用いられる動的シール部材について説明する。図9は、本発明の一実施形態にかかる海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。図10は、本発明の一実施形態にかかる図9の検層装置を模式的に示す部分断面図である。図11は、図10の検層装置のマッドモータを模式的に示すX−X’断面図である。図12は、本発明の一実施形態にかかる地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、海洋における、掘削アッセンブリーに装備された測定機器による地下資源の探査は、例えば海152に浮くプラットホーム150から海底154に設けられた縦穴や横穴などで構成される坑井156内に検層装置として例えば穴底組立体(BHA:bottom hole assembly)160を進入させ、地中の地質構造などを探査し、目標物質である例えば石油の有無を探査する。穴底組立体160は、例えばプラットホーム150から延びる長いドリル・ストリング(drill string)153の先端に固定され、複数のモジュールを有し、例えば、先端から順に、ドリルビット162、回転操作システム(RSS:rotary steerable system)164、マッドモータ(Mud moter)166、掘削中測定モジュール168、及び掘削中検層モジュール170を連結して有することができる。ドリルビット162は、坑井156の坑底部156aにおいて回転によって掘削を進めることができる。
図10に示す回転操作システム164は、ドリルビット162を回転させたまま一定の方向へビットを偏向させる図示しない偏向機構を有し、傾斜制御掘削を可能とするシステムである。回転操作システム164は、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。回転操作システム164は、例えば最大約210℃において高い耐摩耗性をもった動的シール部材や、様々な泥水への暴露に対する高い耐薬品性を有する動的シール部材が必要である。従来の動的シール部材は、ゴムの摩耗及び断裂によって機能しなくなる傾向があった。特に、厳しい化学的環境においては、問題は深刻となる傾向があった。米国特許出願公開第2006/0157283号に示されているようなロータリー・ステアラブル・システムのための動的シール部材は、高い摺動速度(〜100mm/sec)で機能を果たすことが要求されるが、使用温度におけるエラストマーの特性低下及び掘削流体の摩耗特性により、動的シール部材の前記問題が助長される傾向があった。これに対して、動的シール部材を回転操作システム164の動的シール部材に用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加えて、粒子を含む掘削マッドから密閉するための高い耐摩耗性、広範な掘削流体に対するより優れた耐薬品性、及び断裂を減少させる高温におけるより優れた機械的特性により、前記の諸課題を解決することができる。回転操作システム164は、回転しない円筒形の筐体164aと、筐体164a内を貫通してマッドモータ166の回転力をドリルビット162へ伝える伝達軸164bと、伝達軸164bを筐体164a内で回転可能に支持する動的シール部材164cとを有する。動的シール部材164cは、筐体164aに設けられた環状溝にはめ込まれた例えば無端状のOリングであることができ、回転する伝達軸164bの表面との間で密封する機能を有する。この動的シール部材164cが前記Eで得られたシール部材であることで、高温例えば175℃程度までの地下の過酷な環境においても耐摩耗性に優れるため、長時間密封機能を維持することができる。このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2006/0157283号と米国特許第7,188,685号とにおいて見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2006/0157283号の図5は、ロータリー可変アセンブリのバイアス装置の穴30を密閉するピストン36上のシール部材38を示している。米国特許第7,188,685号は、バイアス装置を示している。
図11に示すマッドモータ166は、ダウンホール・モーターとも呼ばれ、泥水の流力を動力として、ドリルビット162を回転させるための流体駆動モータである。マッドモータ166は、例えば、偏距坑井掘削用(for deviated wellbore
drilling applications)のマッドモータを挙げることができ、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。マッドモータ166は、例えば、最大約150℃〜200℃の高温特性を持った動的シール部材、極度の摩耗条件下で機能することができる動的シール部材、あるいは様々な掘削マッドを取り扱うための耐薬品性を有する動的シール部材が必要である。従来のマッドモータの動的シール部材は、例えば、動的シール部材の膨張、クラック及び動的シール部材本体の大き
な断片の脱落(チャンキング現象)による密閉不足、高温における摩耗による密閉不足、そして動的シール部材の摩耗作用による動的シール部材の局部加熱及びさらなる劣化が生じる傾向があった。これに対して、シール部材をマッドモータ166の動的シール部材に用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加えて、高温におけるより優れた機械的特性により断裂及び脱落を減少させ、優れた耐薬品性による広範な掘削流体に対する耐性、より優れた熱伝導性による局部加熱部分の減少などにより、前記の諸課題を解決することができる。マッドモータ166は、円筒形の筐体166aと、筐体166aの内周面には管状のステータ166bが固定され、ステータ166bの内側にはロータ166cが回転可能に配置されている。ステータ166bの内周面166dは、例えば5本の螺旋状の溝が回転操作システム164側から掘削中測定モジュール168側へと延びている。ステータ166bは、前記Dで得られたシール部材を用いることができる。例えば金属製のロータ166cの外周面166eは、例えば4本の螺旋状に突出したねじ山を有し、ステータ166bの内周面166dの溝に沿って配置されている。ステータ166bの内周面166dとロータ166cの外周面166eとは、図11のように一部で接触し、内周面166dと外周面166eとのに泥水を流す流路が形成される。この隙間を流れる泥水とロータ166cの外周面166eが接触することによって、ロータ166cがステータ166b内を例えば図10,図11の矢印の方向へ偏心回転することができる。このとき、ステータ166bの内周面166dとロータ166cの外周面166eとは、接触し、かつ、泥水によって偏心回転するため、ステータ166bの内周面166dはいわゆる動的シール部材と同様に機能する。したがって、前記したような地下の過酷な環境においても耐摩耗性に優れるため、マッドモータ166のロータ166cを長時間回転駆動させることができる。なお、本実施の形態においては、流体駆動モータとしてマッドモータ166を用いて説明したが、同様の構造を有しかつ流体を用いて駆動する他の流体駆動モータに採用することができ、また、ロータを前記Dで得られたシール部材で形成し、ステータを例えば金属で形成することもできる。このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2006/0216178号と、米国特許第6,604,922号とにおいて見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2006/0216178号の図3は、ロータを密閉してロータ上に掘削トルクを発生するエラストマーステータ(ライニング)としてのシール部材を示している。マッドは、ステータとロータの間を流れる。また、同じく図4は、ステータを密閉する、ロータに取り付けられたエラストマースリーブとしてのシール部材を示している。同じく図5は、ステータを密閉するロータ上のエラストマースリーブとしてのシール部材を示している。米国特許第6,604,922号の図4は、ステータに取り付けられたライナーの弾性層は密閉機能を有することを示し、この弾性層がシール部材として機能する。同じく図13は、エラストマー層からなるロータライニングが密閉機能を有することを示し、このエラストマー層がシール部材として機能する。
掘削中測定モジュール168は、ドリルカラー(drill collar)と呼ばれる厚い壁を有するパイプの壁部に設けられたチャンバー内に図示しない掘削中測定器具が配置されている。掘削中測定器具は、各種センサを含み、例えば、方位、傾斜、ビットの向き、荷重、トルク、温度、圧力等の坑底データを計測するとともに、これらの計測データをリアルタイムに地上へ伝送することができる。
掘削中検層モジュール170は、ドリルカラー(drill collar)と呼ばれる厚い壁を有するパイプの壁部に設けられたチャンバー170a内に図示しない掘削中検層器具が配置されている。掘削中検層器具は、各種センサを含み、例えば、比抵抗、孔隙率、音波速度及びガンマ線等を測定し、物理検層データを取得することができ、この物理検層データをリアルタイムに地上へ伝送することができる。
掘削中測定モジュール168及び掘削中検層モジュール170は、各種センサを泥水など
から守るため、チャンバー内において前記Dで得られたシール部材を用いることができる。
図12に示すように、地表155における、掘削アッセンブリーに装備された測定機器による地下資源の探査は、例えば坑井(borehole)156の上方に配置されたプラットホーム及びデリック組立体151と、デリック組立体151から地下に設けられた縦穴や横穴などで構成される坑井156内に配置された検層装置として例えば穴底組立体(BHA:bottom hole assembly)160と、を有する。デリック組立体151は、例えば、フック151aと、回転スイベル(rotary swivel)151bと、ケリー(kelly)151cと、回転テーブル151dと、を含むことができる。穴底組立体160は、例えばデリック組立体151から延びる長いドリル・ストリング(drill string)153の先端に固定される。ドリル・ストリング153の内部には、図示していないポンプから回転スイベル151bを介して泥水が送り込まれ、穴底組立体160の流体駆動モータを駆動させることができる。穴底組立体160については、基本的に図10,11において説明した海底用途の検層装置と同様であるので、ここでは説明を省略するが、地下用途の検層装置においても本発明の一実施形態のシール部材を採用することができる。なお、孔底組立体160は、一実施形態として、ドリルビット162と、回転操作システム164と、マッドモータ166と、掘削中測定モジュール168と、掘削中検層モジュール170と、を有する例について説明したが、これに限らず、検層用途に合わせて選択して組み合わせることができる。
油田用途は、前記検層装置に限定されない。例えば、ワイヤーライン検層に用いられるダウンホール・トラクターに、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このようなダウンホール・トラクターの一例としては、シュルンベルジェ社のMaxTRAC又はTuffTRAC(いずれもシュルンベルジェ社の商標)がある。このようなダウンホール・トラクターは、高い耐摩耗性をもった往復動シール部材を、最大約175℃において、長期の運用年数と信頼性のために必要とする。
これまでの動的シール部材は、ダウンホール・トラクターにあるシーリングピストンの表面に対して高度な研磨を必要としていた。このように動的シール部材を研摩することで、製造の際に鏡面加工されたピストンやシリンダの表面の高い歩留まりにつながっていた。通常のエラストマーからなる従来の動的シール部材は、摩耗、漏洩、機器の寿命の低下、故障が発生していた。また、動的シール部材は、最大2000ft/hourの高い摺動速度で使用される場合もある。ダウンホール・トラクターに用いられる動的シール部材は、両側に油圧オイルが存在する状態又は一方の側に油圧オイルが存在し、他方の側に場合によっては粒子を含む泥水又は流体が存在する状態で機能する必要がある。また、トラクター作業においては、牽引距離よりも大きな摺動距離にわたって摺動動的シール部材が十分に機能することが必要となる。例えば、10,000フィートのトラクター作業では、動的シール部材は最大20,000フィート以下の累積摺動距離にわたって確実に機能することが求められる。さらに、動的シール部材は、通常、最大で200psiの差圧を受けることになる。
これに対して、前記Dで説明したシール部材をシール部材としてダウンホール・トラクターに用いることによって、上述の動的シール部材の特性により、前記の諸課題を解決することができる。特に、密閉性のピストンや円筒の表面に対する加工が緩和され、製造費用を低減することができる。また、優れた耐摩耗性は、より長寿命かつ信頼できるシール機能に役立つことになる。さらに、長寿命は、低摩擦性によっても可能となる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,179,055号において見られる。より詳細に述べると、この米国特許の図9
A及び図10Aはピストン上のシール部材を示している。この特許の図9B,10B,12も同様である。この特許の図15,12,16Bは、管材及びハウジングを密封するピストン上のシール部材を示している。また、この米国特許の図16Bは、ロッド上のシール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、地層検査及び油層流体サンプリング機器(Formation testing and reservoir fluid sampling tool)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このような機器は、例えば、シュルンベルジェ社のモジュラー・フォーメーション・ダイナミックス・テスター(MDT:シュルンベルジェ社の商標)を含む。このような地層検査及び油層流体サンプリング機器は、ポンプアウトモジュール及びその他ピストンにおいて、高い耐摩耗性を持った動的シール部材を必要とする。また、地層検査及び油層流体サンプリング機器は、坑井を密封するために、高い耐摩耗性と最大約210℃の高温特性を持った動的シール部材を必要とする。
これまでの動的シール部材は、ポンプアウトモジュールの移動装置(displacement unit)のピストンにおいては、多数の往復動が、油層流体を移動し、抽出し、供給して、サンプリングと、機器作動と、分析とをしていた。通常の動的シール部材を使用した従来のピストン動的シール部材は摩耗し、限られた寿命後に機能しなくなる傾向があった。この問題は、より高い温度において顕著に発生した。また、流体中の粒子の存在は、動的シール部材の摩耗及び破損を加速した。
これに対して、シール部材を地層検査及び油層流体サンプリング機器に用いることによって、上述の動的シール部材の特性により、前記の諸課題を解決することができる。特に、高温において高い耐摩耗性を有する動的シール部材は、寿命を向上することができる。低摩擦性を有する動的シール部材は、摩耗の減少及び寿命を向上することができる。また、高温における高い機械的特性を有する動的シール部材は、寿命及び信頼性を向上することができる。さらに、高い耐薬品性を有する動的シール部材は、高温における油井及び流体へ暴露する使用もできる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,058,773号及び米国特許第3,653,436号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第6,058,773号の図2は、ポンプアウトモジュールに設けられた移動装置(DU)内のシャトルピストン上の往復運シール部材を示している。また、米国特許第3,653,436号の図2、図3、図4は、マッドケーキでライニングされた坑井表面を密閉しているエラストマー部材を示している。
また、油田用途として、例えば、その場流体サンプリングボトル(In situ fluid sampling bottles)及びその場流体分析・サンプリングボトル(In situ fluid analysis and sampling bottles)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このような機器は、例えば、地層検査及び油層流体サンプリング機器やワイヤーライン検層に用いることができる。このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、低温及び高温において、高圧での使用を可能とする動的シール部材を必要とする。また、このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、産出された様々な流体に暴露された場合に、高い耐薬品性を有する動的シール部材を必要とする。さらに、このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、耐ガス性を有する動的シール部材を必要とする。
このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルにおいて、油層流体は、高圧高温を有する現場の油層条件で回収されていた。これらのボトルを地表まで回収すると、温度が低下するけれども圧力は高いままであった。回収後、サンプルは他の貯蔵用、輸送用又は分析用の容器に移された。サンプルボトル内の摺動ピストン上の動的シール部材は、サンプルの回収中はサンプルの輸送中と同様に、以下に説明する重要な機能を担っていた。例えば、地表まで回収する際に高圧低温密封ができない場合の深海域等におけるサンプルのロス、回収時の地表におけるサンプルのロス、サンプルとの化学的な不適合性及びガス吸収による膨張によって生じる密閉不良によるサンプルのロス、ガス吸収した動的シール部材が膨張してピストンの摩擦と抗力が増加する、動的シール部材の過度の膨張によりサンプルをボトルから他の貯蔵場所又は分析装置に移す際に固着及び密閉不足又はその他の問題、及び作業時に複数のサンプルボトルが重ねて使用されことによる問題などがあった。回収時の地表におけるサンプルのロスは、特にサンプルがHS、CH,COなどの物質を含む場合に、何らかの問題につながる可能性があった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材としてその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルに用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加え、高い耐ガス性と、高い耐薬品性と、高圧高温要求特性を満たしながら優れた低温密閉性能を達成することにより、前記の諸課題を解決することができる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,058,773号、米国特許第4,860,581号、及び米国特許第6,467,544号(brown他)において見られる。より詳細に述べると、米国特許第6,058,773号の図7は、サンプルボトル内のピストン上のシール部材を示している。米国特許第4,860,581号の図2における2つのボトルからなる構成は、サンプルボトル内のピストン上のシール部材を示している。米国特許第6,467,544号の図1は、シール弁を示している。
また、油田用途として、例えば、その場流体分析機器(IFA:InSitu Fluid Analysis tool)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このようなその場流体分析機器は、ダウンホールPVT用の高い耐摩耗性及び耐ガス性を有する動的シール部材を必要とする。PVTは、圧力、体積、及び温度を分析することを意味する。また、その場流体分析機器は、産出した流体を取り扱うための高い耐薬品性有する動的シール部材を必要とする。さらに、その場流体分析機器は、高圧と最大約210℃の高温特性と高い耐ガス性とをもったフローライン固定動的シール部材を必要とする。フローラインは、サンプリングした流体に暴露される領域のことである。
その場流体分析機器は、例えば、ダウンホールPVTでは、油層流体サンプルを回収し、圧力を減少させてガス生成を開始させると共にバブルポイントを決定することが必要となっていた。減圧は非常に急速で例えば3000psi/分超であり、PVTサンプル室に直接接続された動的シール部材において急激な減圧が生じることがあった。動的シール部材は、200以上のPVTサイクルに耐えることができなければならなかった。また、ダウンホールPVT用の動的シール部材は、急激な減圧によるガスによって機能しなくなることがあった。そのため、従来の市販の動的シール部材では、210℃でダウンホールPVTを行うことができなかった。従来の動的シール部材では、フローライン中において、膨張による不良及びガス透過による水泡形成が生じることがあった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材としてその場流体分析機
器に用いることによって、前記の諸課題を解決することができる。高圧高温における機械的特性が優れている動的シール部材は、膨張傾向を減少することができる。酸化セルロースナノファイバーやセルロースナノファイバーによって動的シール部材中の空隙が減少した動的シール部材は、耐ガス性を向上することができる。動的シール部材の材料特性の向上によって、膨張及び急激な減圧に対する耐性を向上することができる。耐薬品性に優れた動的シール部材は、広範な産出流体に対して耐薬品性を向上することができる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2009/0078412号、米国特許第6,758,090号、米国特許第4,782,695号、及び米国特許第7,461,547号において見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2009/0078412号の図7は弁上のシール部材を示し、図5はピストンシール装置上のシール部材を示している。米国特許第6,758,090号の図21aは、弁及びピストン上のシール部材を示している。米国特許第4,782,695号は、ニードルとPVT処理室の間のシール部材を示している。米国特許第7,461,547号は、PVT分析用PVCU(圧力体積制御装置)内のピストンスリーブ装置のシール部材として、PVCUにおいて流体を隔離するための弁上のシール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、ワイヤーライン検層、掘削中検層、坑井試験、穿孔(perforation)、サンプリング作業に用いられる全ての機器にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このような機器は、例えば、低温及び高温における高圧密閉を可能にする動的シール部材を必要とする。
このような機器は、例えば、深海における利用では、低温から高温にかけて広い温度範囲で機能する動的シール部材が要求され、低温において動的シール部材が正常に機能しない場合には、電子部品等の空気室への漏洩や機器の故障が生じる可能性があった。また、深海域や北海等の冷水域でのサンプリングにおいて、動的シール部材は、低温から高温にかけて広い温度範囲で機能しなければならなかった。このような水域において、地中で回収したときのサンプルは高温であるが、地表へ運んだサンプルの温度は地表温度まで低下するからである。例えば、動的シール部材による高圧低温における密閉が不十分な場合には、サンプルの漏洩やロス及びその他の問題が生じる可能性があった。このような機器の多くは、油圧オイルで充填され、100〜200psiに加圧されるため、低温において十分に機能する動的シール部材を使用しない場合には、冷表面条件においてオイルの漏洩が生じたり、低温の深海部からの回収時に不具合が生じたりする可能性があった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材としてこのような機器に用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加え、優れた低温密封性、高温におけるより優れた機械的特性による高圧高温における優れた密閉性によって、前記の諸課題を解決することができる。
また、油田用途として、例えば、側壁コアリング機器(Side wall Coring Tool)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このような側壁コアリング機器は、例えば、低摩擦性・高耐摩耗性を有する動的シール部材、長い寿命及び高い密閉信頼性を有する動的シール部材、最大約200℃の高温特性を持った動的シール部材、あるいはデルタPが100psi以下(低速摺動)である動的シール部材を必要とする。ここで、デルタPはピストンの動的シール部材両側における圧力差であり、例えば動的シール部材が低摩擦性を有することで、デルタPは小さくなり、すなわち小さな圧力差でピストンを動かすことができることを示す。
このような側壁コアリング機器は、例えば、動的シール部材が固着又は摩擦力の増加を
もたらす場合には、コアリングを停止する場合があった。また、各コアの掘削では、地層を切断する間、動的シール部材と係合させることによってドリルビットを回転・摺動させることが要求された。さらに、高いコア掘削効率を維持するためには、動的シール部材における低いシーリング摩擦性が重要であった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材としてこのような機器に用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加え、以下の特性によって、前記の諸課題を解決することができる。低摩擦性の動的シール部材は、コア掘削作業及び作動/移動のための電力消費量を減少することができる。また、低摩擦性の動的シール部材は、固着(sticking)及び転がり摩耗(rolling)の傾向が減少し、コア掘削作業の効率を向上することができる。さらに、高い耐摩耗性を有する動的シール部材は、摩耗性を有する流体中における密閉寿命を向上することができる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許公開第2009/0133932号、米国特許第4,714,119号、及び米国特許第7,191,831号において見られる。より詳細に述べると、米国特許公開第2009/0133932号の図4及び図5は、モータによって駆動されるコアリングアセンブリのコアリングビット上のシール部材を示している。米国特許第4,714,119号の図3B、図7、図8は、最大2000rpmでモータによって試錐孔からコアを採掘するように駆動されたドリルビット上のシール部材を示している。米国特許第7,191,831号の図2A及び図2Bは、モータによって駆動されるコアリングビット及びコアリングアセンブリ間のシール部材を示し、図3及び図4符号201〜204で示される部品の境界又は図8Bのビットとハウジング間には、本実施形態のシール部材のような低摩擦性シール部材を用いることで高い効率を達成することができる。
また、油田用途として、例えば、掘削用途のためのテレメトリー・発電機器(Telemetry and power generation tool in Drilling applications)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このようなテレメトリー・発電機器は、例えば、高い耐摩耗性を有する回転動的シール部材、低摩擦性を有する回転・摺動シール部材、最大約175℃の高温特性を持った動的シール部材を必要とする。
このようなテレメトリー・発電機器、例えば、米国特許第7,083,008号に開示されているようなマッドパルステレメトリ装置は、オイルで充填された機器の内部を、回転動的シール部材によって坑井流体(掘削泥水)から保護することが要求された。しかしながら、坑井流体中に粒子が含まれるため、動的シール部材の摩耗や断裂が増加する傾向があった。また、動的シール部材の摩滅及び摩耗による不十分な密閉により、泥水が侵入すると機器の故障が発生する可能性があった。また、米国特許第7,083,008号に開示されているテレメトリー及び発電機器は、外部流体で内部油圧を補償するピストン上の摺動動的シール部材を使用して動作しており、動的シール部材の摩耗、摩滅、膨張、固着により、外部流体の侵入による機器の故障が発生する可能性があった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材としてテレメトリー・発電機器に用いることによって、上述の動的シール部材の特性に加え、動的シール部材の耐摩耗性及び低摩擦性の向上により、より信頼性の高い作業及びより長いシール寿命が得られることによって、前記の諸課題を解決することができる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第7,083,008号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第7,083,008号の図2はロータ間の動的シール部材/軸受アセンブリにおけるロータ
リー動的シール部材を示し、図3aは圧力補償室内において油と坑井流体(マッド)を分離する補償形ピストン上の摺動動的シール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、サンプリング及び地層検査のために坑井の一部を隔離するために使用される膨張パッカー(inflate packer)にも、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として適用することができる。このような膨張パッカーにおける動的シール部材は、坑井内の複数の位置における膨張・収縮の繰り返し作業を可能とするために高い摩耗強度と高温特性を有することが必要である。
従来のパッカーにおける動的シール部材は、所望の高温特性を有していないために密閉機能に劣化・低下する傾向があった。また、従来のパッカーの動的シール部材は、所望の寿命を満たさない傾向があった。
これに対して、前記Dで説明したシール部材を動的シール部材として膨張パッカーに用いることによって、動的シール部材がより優れた耐摩耗性及びより高い高温特性を有することにより、パッカー部材の寿命と信頼性を向上することができる。
このような動的シール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第7,578,342号、米国特許第4,860,581号、及び米国特許第7,392,851号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第7,578,342号の図1A、図1B、図1Cは、シール部材が膨張して発破孔を密閉し、符号16で示される部材を隔離することを示している。また、図4Aのエラストマーシール部材(パッカー部材)又は図7、図8の符号712、812で示される部材がシール部材を示している。米国特許第4,860,581号の図1は、坑井を密閉する膨張パッカー部材を示している。米国特許第7,392,851号は、膨張パッカー部材を示している。
以上のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1−1)実施例1〜4のサンプルの作製
水溶液を得る工程:
特開2013−18918号の製造例1に開示された方法と同様にして、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーを得た。
具体的には、針葉樹の漂白クラフトパルプをイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%を20℃でこの順で添加した。水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化反応を120分行った後に滴下を停止し、TEMPO酸化した酸化セルロース繊維を10質量%含む水溶液を得た。酸化セルロース繊維は、元のパルプと同程度の繊維径10μm〜30μm、繊維長さ1mm〜5mmであった。
さらに、イオン交換水を用いて酸化セルロース繊維を十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化セルロース繊維をイオン交換水により固形分1質量%に調整し、高
圧ホモジナイザーを用いて微細化処理を行い、セルロースナノファイバーを1質量%含む水分散液を得た。セルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト
比は225であった。
混合工程:
このセルロースナノファイバーを1質量%含む水溶液に水素化ニトリルゴム(以下、「H−NBR」という)ラテックス(日本ゼオン社製ZLx−B:固形分濃度40質量%の水分散体)を投入し、ジューサーミキサーを用いて回転数10000rpmで混合して、第1の混合物を得た。
実施例2−4では、さらにミキサーの混合の後、ニップを10μmに設定したEXAKT社製の三本ロール(M−50)に回転数200rpmで通して、追加の混合を行い、第1の混合物を得た。
乾燥工程:
第1の混合物を50℃に設定したオーブン内で4日間加熱乾燥して、第2の混合物を得た。乾燥後の第2の混合物における配合割合は、表1に示した。なお、表1〜表3における配合量は、質量部(phr)である。
分散工程:
第2の混合物をロール間隔1.5mmで素練りし、ロール間隙0.3mmのオープンロールに投入し、10℃〜30℃で薄通しをしてゴム組成物サンプルを得た。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
加硫工程:
薄通しして得られたゴム組成物サンプルに、架橋剤としてパーオキサイド8質量部を加えて、分出ししたシートを170℃、10分間圧縮成形して厚さ1mmのシート状の架橋体ゴム組成物サンプルを得た。
(1−2)実施例5〜7のサンプルの作製
混合工程:
TEMPO酸化した酸化セルロース繊維1質量%を含む水溶液にH−NBRラテックス(日本ゼオン社製ZLx−B)を投入し、ジューサーミキサーを用いて回転数10000rpmで混合して、第1の混合物を得た。
実施例6,7では、さらにミキサーの混合の後、ニップを10μmに設定したEXAKT社製の三本ロール(M−50)に回転数200rpmで通して、追加の混合を行い、第1の混合物を得た。
乾燥工程:
第1の混合物を50℃に設定したオーブン内で4日間加熱乾燥して、第2の混合物を得た。乾燥後の第2の混合物における配合割合は、表2に示した。
分散工程:
第2の混合物をロール間隔1.5mmで素練りし、ロール間隙0.3mmのオープンロールに投入し、10℃〜30℃で薄通しをしてゴム組成物サンプルを得た。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
加硫工程:
薄通しして得られたゴム組成物サンプルに架橋剤としてパーオキサイド8質量部を加えて分出ししたシートを170℃、10分間圧縮成形して厚さ1mmのシート状の架橋体ゴム組成物サンプルを得た。
(1−3)実施例8〜10のサンプルの作製
前記(1−1)の実施例4の混合工程における三本ロールに替えて、実施例8ではホモジナイザー、実施例9ではロータリー攪拌機を追加の混合に用いて、他の条件は実施例4と同様にして、実施例8,9のシート状の架橋体ゴム組成物サンプルを得た。実施例8,9の配合は、表3に示した。
ホモジナイザイーとしては、日本精機製作所社製のUS−300TSを用いて、300ワットで20分間混合した。ロータリー攪拌機としては、シンキー社製の自転公転式ミキサーARE−310を用いて、回転数2000rpmで5分間混合した。
実施例10は、前記(1−1)の実施例4の混合工程と乾燥工程との間に、凝固工程を行い、乾燥工程の時間を2日間(実施例4に比べて2日減った)にして、他の条件は実施例4と同様にして、実施例10のシート状の架橋体ゴム組成物サンプルを得た。実施例10の配合は、表3に示した。
凝固工程は、実施例4の混合工程と同様にして得られた第1の混合物(水溶液)に、凝固剤を(第1の混合物中のゴム成分100質量部に対して5質量部)を投入して、撹拌混合した。ゴム成分は凝固剤によって凝固した。こうして得られた凝固物に対して、脱水と水による洗浄とを三度繰り返した。
脱水は、回転式脱水機を用いた。凝固剤は、酢酸のシクロヘキシルアミン塩の20%メタノール溶液を用いた。
(1−4)比較例1〜5のサンプルの作製
比較例1は、H−NBRラテックス(日本ゼオン社製ZLx−B)を50℃に設定した
オーブン内で数日間加熱乾燥して得たいわゆる純ゴム配合であった。
比較例2は、特開2013−18918号公報における実施例と同様の工程で以下のようにサンプルを作製した。
まず、TEMPO酸化した酸化セルロース繊維1質量%を含む水溶液を高圧ホモジナイザー(スターバーストラボ HJP−25005、スギノマシン株式会社製)を用いて、
245MPaで微細化処理を2回行い、セルロースナノファイバーを1質量%含む水溶液を得た。このセルロースナノファイバーを1質量%含む水溶液にH−NBRラテックス(日本ゼオン社製ZLx−B)を投入し、ジューサーミキサーを用いて回転数10000rpmで混合し、50℃に設定したオーブン内で4日間加熱乾燥して、セルロースナノファイバー50質量%の混合物を得た。乾燥後の混合物における配合割合は、表4に示した。
次に、この混合物を三本ロールに投入し、乾燥後H−NBRラテックスを表4に記載の配合量になるように追加して混合し、乾燥後、ロール間隙1.5mmのオープンロールで混練し、さらに架橋剤としてパーオキサイド8質量部を加えて分出ししたシートを170℃、10分間圧縮成形して厚さ1mmのシート状の架橋体ゴム組成物サンプルを得た。
比較例3〜比較例5として、SAFグレードのカーボンブラック(表4では「CB」)を表4に示す配合でロール間隙0.3mmのオープンロールに投入し、薄通しをしてゴム組成物を作製した。ゴム組成物サンプルは、実施例と同様に架橋した。
(2−1)基本特性試験
ゴム組成物サンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS A))をJIS K6253試験に基づいて測定した。
ゴム組成物サンプルについて、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))及び100%変形時の応力(σ100(MPa))を、JIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片で、島津製作所社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い測定した。
ゴム組成物サンプルについて、引裂き強さ(Tr(N/mm))を、JIS K6252切込み無しのアングル形試験片で、島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂き試験を行い、最大引裂き力(N)を測定した。
ゴム組成物サンプルについて、短冊片40mm×1mm×2mm(巾)の試験片で、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温
度−100〜300℃(昇温ペース3℃/min)、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い、−50℃〜260℃の温度範囲における貯蔵弾性率(E’(MPa))を測定した。各測定結果は、表5〜表7に示した。
表5、7の結果から、実施例1〜4のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、引張強さ、50%変形時の応力、100%変形時の応力、引裂き強さ、及び貯蔵弾性率が向上した。特に、実施例3のゴム組成物は、同じくセルロースナノファイバーを10質量部含む比較例2に比べて、引張強さ、50%変形時の応力、100%変形時の応力、引裂き強さ、及び貯蔵弾性率が向上した。
表5、6の結果から、実施例5〜7のゴム組成物は、酸化セルロース繊維によって補強され、引張強さ、50%変形時の応力、100%変形時の応力、引裂き強さ、及び貯蔵弾性率が向上した。
表6、7の結果から、実施例8,9のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、引張強さ、50%変形時の応力、100%変形時の応力、引裂き強さ、及び貯蔵弾性率が比較例1,2に比べて向上した。また、実施例8,9のゴム組成物は、三本ロールによる追加の混合を行った実施例4に比べると、150℃〜200℃における貯蔵弾性率がわずかに小さかった。
表6、7の結果から、実施例10のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、引張強さ、50%変形時の応力、100%変形時の応力、引裂き強さ、及び貯蔵弾性率が比較例1,2に比べて向上した。
(2−2)体積抵抗率の測定
ゴム組成物サンプル(幅50mm×長さ50mm×厚さ1mm)をJIS K 6271に基づいて、23℃における体積固有抵抗値(Ω・cm)を測定した。測定結果は、表5〜表7に示した。
表6〜表7の結果から、実施例1〜10のゴム組成物は、少量のセルロースナノファイバーまたは酸化セルロース繊維の配合によって補強されながらも、純ゴムである比較例1のサンプルと同等の高い絶縁性能を有していた。これに対して、比較例3〜5のサンプルは、補強効果を得るためにカーボンブラックの配合量を増やす必要があるが、カーボンブラックの配合量を増やすと絶縁性能が失われてしまうことになった。
(2−3)光学顕微鏡観察
ゴム組成物サンプルの引張試験後の破断面について、ハイロックス社製デジタルマイクロスコープKG−7700を用いて、光学顕微鏡観察を行い、セルロースナノファイバー又は酸化セルロース繊維の凝集体の有無を確認した。
実施例1〜10のゴム組成物サンプルには凝集体は確認できなかった。比較例2のゴム組成物サンプルには0.1mm以上の凝集体が多数確認できた。
図13は、比較例1のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。図14は、比較例2のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。図15は、実施例1のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。図16は、実施例4のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。図17は、実施例7のゴム組成物の光学顕微鏡写真である。図13〜図17における上下の黒い帯に挟まれた灰色の部分がゴム組成物サンプルである。
図13、図15〜図17のゴム組成物サンプルにはセルロースナノファイバー凝集体の塊が確認できないが、図14のゴム組成物サンプルには破線で囲った部分にセルロースナノファイバー凝集体の白い塊が確認できた。
(2−4)引裂き疲労寿命試験
ゴム組成物サンプルについて、引裂き疲労寿命(表8〜表10において「引裂き疲労回数」で示した。)として、試験サンプルを10mm×幅4mm×厚さ1mm(長辺が列理方向)の短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へカミソリ刃によって深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、試験片の両端の短辺付近をチャックにて保持して、120℃の大気雰囲気中、周波数1Hzの条件で繰り返し引張荷重(1N/mm〜4N/mm)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまで回数を測定した。試験片が破壊されない場合には、20万回で試験を終了した。各測定結果を表8〜表10に示した。
表8及び表10の結果から、実施例1〜4のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、引裂き疲労寿命が向上した。特に、実施例3のゴム組成物は、同じくセルロースナノファイバーを10質量部含む比較例2に比べて、引裂き疲労寿命が向上した。
表8及び表9の結果から、実施例5〜7のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、引裂き疲労寿命が向上した。
表9及び表10の結果から、実施例8,9のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、比較例1,2に比べて引裂き疲労寿命が向上した。また、実施例8,9のゴム組成物は、実施例4に比べると、負荷が3.0N/mm及び4.0N/mmの試験における破断するまでの回数が少なかった。
表9及び表10の結果から、実施例10のゴム組成物は、セルロースナノファイバーによって補強され、比較例1,2に比べて引裂き疲労寿命が向上した。
(2−5)熱時物性
実施例2〜4のゴム組成物サンプル及び比較例1,4,5のサンプルについて、熱時(雰囲気温度が120℃)において前記(2−1)と同様に試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力(σ100(MPa))、及び引裂き強さ(Tr(N/mm))を測定した。熱時の測定結果と前記(2−1)の測定結果とに基づいて、その変化率(熱時物性変化率(ΔTS等)=(120℃の各物性−23℃の各物性)/23℃の各物性×100)を求めた。各測定結果は、ΔTS,ΔEb,Δσ50,Δσ100,ΔTrとして表11に示した。
表11の結果から、実施例2〜4のゴム組成物は、比較例1,4,5のサンプルに比べ
てσ50、σ100、Trの変化が小さく、熱時においても高い物性を維持していた。また、実施例2〜4のゴム組成物は、Ebの減少がみられるが、23℃におけるEbが高い値を示していたので、熱時においても比較例1,4,5に比べれば高い値を維持していた。
2 オープンロール、10 第1のロール、20 第2のロール、30 第2の混合物、34 バンク、36 中間混合物、50 ゴム組成物、51 プラットホーム、52 海、54 海底、56 井戸、60 ダウンホール装置、62a、62b 圧力容器、64a、64b、64c 連結部、66a 端部、66b 端部、68a 無端状溝、70
Oリング、70a Oリング、70b Oリング、80 配合剤、150 プラットホーム、151 デリック組立体、151a フック、151b 回転スイベル、151c
ケリー、151d 回転テーブル、152 海、153 ドリル・ストリング、154
海底、155 地表、156 坑井、156a 坑底部、160 穴底組立体、162
ドリルビット、164 回転操作システム、164a 筐体、164b 伝達軸、164c 動的シール部材、166 マッドモータ、166a 筐体、166b ステータ、166c ロータ、166d 内周面、166e 外周面、168 掘削中測定モジュール、170 掘削中検層モジュール、V1,V2 回転速度

Claims (9)

  1. ゴムに解繊された酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方が分散し、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を含む直径が0.1mm以上の凝集体を有しないゴム組成物からなるシール部材を備え、
    前記ゴム組成物は、ゴム100質量部に対して、酸化セルロース繊維及びセルロースナノファイバーの少なくとも一方を1質量部〜60質量部含み、
    酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmであり、
    セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が1nm〜200nmである、油田装置。
  2. 請求項1において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された無端状のシール部材である、油田装置。
  3. 請求項1において、
    前記油田装置は、坑井内において検層を行う検層装置である、油田装置。
  4. 請求項1において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのステータである、油田装置。
  5. 請求項1において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのロータである、油田装置。
  6. 請求項4または5において、
    前記流体駆動モータは、マッドモータである、油田装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記ゴムは、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)であり、
    前記ゴム組成物は、体積固有抵抗値が10Ω・cm〜1010Ω・cmである、油田装置。
  8. 請求項7において、
    前記ゴム組成物は、120℃、最大引張応力1N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が3,000回以上である、油田装置。
  9. 請求項7または8において、
    前記ゴム組成物は、切断時伸びが330%以上である、油田装置。
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