JP2016204419A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系硬化剤、(C)シランカップリング剤、及び(D)無機充填材を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分とが、それぞれトリフェニルメタン骨格、及び/又はナフタレン骨格を含み、
前記(C)成分が、炭素数2〜4のアルコキシ基を有するグリシドキシプロピルトリアルコキシシランを含有する、封止用エポキシ樹脂成形材料。
【選択図】なし
Description
パワー半導体にとって電力変換効率はその性能を決定する非常に重要な項目であるが、ここにきて、従来のSi素子より変換効率の高い炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)等の化合物半導体の研究開発や市場での流通が活況を呈するようになってきた。
したがって、上記化合物半導体を封止するエポキシ樹脂成形材料には、高温耐性及びNiメッキへの密着力の両立が求められることになるが、高温耐性を高めるために樹脂のTgを上げるとNi等への密着性が低下することが多く、一般にその両立は困難である。
また、非特許文献1には、金属Ni粉末/エポキシ樹脂複合材料において、カップリング剤としてエポキシシランやチタネートシラン等を用いてNi粒子表面を改質し、接着力を向上させる方法が開示されている。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系硬化剤、(C)シランカップリング剤、及び(D)無機充填材を含有し、前記(A)成分と前記(B)成分とが、それぞれトリフェニルメタン骨格、及び/又はナフタレン骨格を含み、前記(C)成分が、炭素数2〜4のアルコキシ基を有するグリシドキシプロピルトリアルコキシシランを含有する、封止用エポキシ樹脂成形材料。
[2]前記グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランである、上記[1]に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[3]前記(C)成分が、さらにイソシアネートプロピルトリアルコキシシランを含有する、上記[1]又は[2]に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[4]前記イソシアネートプロピルトリアルコキシシランが、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランである、上記[3]に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[5]前記(D)成分が、シラザンにより表面処理されたシリカを含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[6]前記(A)成分が、下記一般式(I)で表されるトリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂、下記一般式(II)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び下記一般式(III)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[7]前記(B)成分が、下記一般式(IV)で表されるトリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、下記一般式(V)で表されるナフタレン骨格を有するフェノール樹脂、及び下記一般式(VI)で表されるナフタレン骨格を有するフェノール樹脂から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える電子部品装置。
[9]表面にNiメッキが施されたリードフレームを備える、上記[8]に記載の電子部品装置。
(封止用エポキシ樹脂成形材料)
まず、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料(以下、単に「樹脂成形材料」ともいう)の各成分について述べる。
〔(A)エポキシ樹脂〕
本発明で用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、一分子中に2個以上のエポキシ基を有し、トリフェニルメタン骨格、及び/又はナフタレン骨格を含む。具体的には、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂、及びナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含む硬化性エポキシ樹脂である。
上記トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
なお、上記一般式(I)〜(III)で表されるエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲内となるように調製する。
なお、上記樹脂を併用する場合、その配合量は(A)成分のエポキシ樹脂100質量部に対し、30質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることが更に好ましい。
本発明で用いる(B)成分のフェノール系硬化剤は、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、トリフェニルメタン骨格、及び/又はナフタレン骨格を含む。具体的には、トリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、及びナフタレン骨格を有するフェノール樹脂のうち少なくとも1種を含む。
上記トリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(IV)で表されるフェノール樹脂が挙げられる。
なお、上記一般式(IV)〜(VI)で表されるフェノール樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲内となるように調製する。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、無水酸系硬化剤、アミン系硬化剤等を併用してもよい。
なお、上記樹脂を併用する場合、その配合量は(B)成分のフェノール系硬化剤100質量部に対し、30質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることが更に好ましい。
本発明で用いる(C)成分のシランカップリング剤は、炭素数2〜4のアルコキシ基を有するグリシドキシプロピルトリアルコキシシランを含有し、Niメッキとの密着性を向上させる効果を有する。中でも、Niメッキとの密着性向上の観点から、アルコキシ基の炭素数が2である3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
炭素数2〜4のアルコキシシラン系カップリング剤は、炭素数1のトリメトキシシラン系カップリング剤と比較してアルコキシ基の加水分解性が低く、後述する(D)成分のシリカ等の無機充填材との反応性が相対的に低いため、エポキシ樹脂成形材料と被着体との界面に上記無機充填材がブリードアウトしやすく、両者の密着性向上に有利に働くものと考えられる。
上記イソシアネートプロピルトリアルコキシシランの具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。中でも、Niメッキとの密着性向上の観点からは、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記トリメトキシシラン系カップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、(D)成分の無機充填材を含有する。無機充填材を含有することで、硬化物の機械強度、線膨張係数、熱伝導性等の向上を図ることができる。
上記(D)成分の無機充填材は、一般に封止用成形材料に用いられるものを適宜選択して使用することができ、特に限定されない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、窒化アルミ、窒化ホウ素等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ表面をシラザン処理する方法としては、例えば、ヘキサメチルジシラザンを用い、80〜100℃程度の温度下で湿式処理する方法等が挙げられる。
上記離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、数平均分子量800〜2000の酸化型ポリエチレン系離型剤を単独で用いると、Niメッキとの密着性が高くなる傾向があり、好ましく用いることができる。数平均分子量800〜2000の酸化型ポリエチレン系離型剤の市販品としては、例えば、三井化学(株)製のハイワックスHW−4051E、HW−4052E、HW−4202E、HW−4252E等が挙げられる。
上記硬化促進剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記封止用エポキシ樹脂成形材料の硬化物は、Niメッキとの密着性に優れ、200℃で1000時間放置後でも剥離やクラックが発生しにくい。
本発明の電子部品装置は、上記封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える。上記電子部品装置とは、リードフレーム、単結晶シリコン半導体素子又はシリコン、ガリウム等の化合物半導体素子等の支持部材、これらを電気的に接続するためのワイヤやバンプ等の部材、及びその他の構成部材一式に対し、必要部分を上記封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された電子部品装置のことである。
また、上記リードフレームの表面にNiメッキが施されていても、上記封止用エポキシ樹脂成形材料を用いることにより、Niメッキとの密着性に優れ、高温放置後でも剥離やクラックを発生しにくくすることができる。
表1及び表2に記載の種類及び配合量の各成分を小型押出機で混練し、封止用エポキシ樹脂成形材料を調製した。なお、各実施例及び比較例における混練温度は、約80℃に設定した。
<エポキシ樹脂>
〔(A)成分〕
・EPPN−502H:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(一般式(I)中のn=0〜3であるエポキシ樹脂が主成分)、日本化薬(株)製、商品名、エポキシ当量168、軟化点67℃
・ESN−375:ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(一般式(II)中のm=0〜3であるエポキシ樹脂が主成分)、新日鉄住金化学(株)製、商品名、エポキシ当量172、軟化点75℃
・HP−4710:ジヒドロキシナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(一般式(III)で表されるエポキシ樹脂)、DIC(株)製、商品名、エポキシ当量161、軟化点82℃
〔その他〕
・NC−3000:ビフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬(株)製、商品名、エポキシ当量270、軟化点52℃
<フェノール系硬化剤>
〔(B)成分〕
・MEH−7500:トリフェニルメタン型フェノール樹脂(一般式(IV)中のx=1〜4であるフェノール樹脂が主成分)、明和化成(株)製、商品名、水酸基当量97、軟化点110℃
・SN−485:ナフトールアラルキル樹脂(一般式(V)中のy1=0〜3であるフェノール樹脂が主成分)、新日鉄住金化学(株)製、商品名、水酸基当量215、軟化点87℃
・SN−395:ジヒドロキシナフタレンアラルキル樹脂(一般式(VI)中のy2=0〜3であるフェノール樹脂が主成分)、新日鉄住金化学(株)製、商品名、水酸基当量109、軟化点85℃
〔その他〕
・HE−200C−10:ビフェニレンアラルキル樹脂、エア・ウォーター(株)製、商品名、水酸基当量204、軟化点70℃
<シランカップリング剤>
〔(C)成分〕
・KBE−403:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名
〔その他〕
・KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名
・KBE−9007:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名
・KBE−402:3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名
・KBE−903:3−アミノプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、商品名
<無機充填材>
〔成分(D)〕
・FB−105:溶融球状シリカ、電気化学工業(株)製、商品名、平均粒径18μm、比表面積4.5m2/g
・SC−2500SQ:合成微細球状シリカ(予めシラザン処理を施されている)、(株)アドマテックス製、商品名、平均粒径0.6μm、比表面積6m2/g
<その他>
・カルナバワックス:離型剤、東洋アドレ(株)製、商品名
・HW−4252E:離型剤(数平均分子量1000の酸化型ポリエチレン系離型剤)、三井化学(株)製、商品名
・PP−200:硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)、北興化学工業(株)製、商品名
・MA−600:着色剤(カーボンブラック)、三菱化学(株)製、商品名
・ラビトルFP−100:難燃剤(シクロホスファゼン)、(株)伏見製薬所製、商品名
<評価項目>
(1)ガラス転移温度(Tg)
エポキシ樹脂成形材料の硬化物の耐熱性の目安としてガラス転移温度(Tg)を測定した。まず、縦4mm×横4mm×高さ20mmの金型を用いて、エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、更に、上記条件で後硬化させ、試験片(縦4mm×横4mm×厚み20mm)を作製した。該試験片のガラス転移温度(Tg)を、熱分析装置(セイコーインスツル(株)製、SSC/5200)を用いて測定した。
無電解Niメッキ((株)三井ハイテック製、商品名「VQFP208p」)上に、エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、更に、上記条件で後硬化させた成形品をそれぞれ4個作製した。ボンドテスター(西進商事(株)製、SS−30WD)を用いて、Niメッキ上に成形したφ3.5mmのプリント状成形物を、成形品の下部より0.5mmの高さから速度0.1mm/秒でせん断方向に引き剥がし、成形物とNiメッキとの密着力を測定した。これを4回行い、平均値を求めた。なお、7MPa以上を合格とする。
無電解Niメッキ((株)三井ハイテック製、商品名「VQFP208p」)上に、エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、更に、上記条件で後硬化させた成形品をそれぞれ20個作製した。該成形品を200℃で1000時間放置した後、超音波映像装置((株)日立製作所製、FS300II)を用いて、該成形品を観察し、剥離やクラックの有無について確認した。なお、剥離又はクラック数が20個中3個以下を合格とする。
(C)成分として、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとイソシアネートプロピルトリエトキシシランとを含む実施例3は、(C)成分としてグリシドキシプロピルトリエトキシシランのみ用いた実施例2と比較して、Niメッキとの密着性がより高い結果を示している。また、(D)成分として、シラザンにより表面処理されたシリカを含む実施例7は、(D)成分としてシラザンにより表面処理されていないシリカのみを用いた実施例6と比較して、Niメッキとの密着性がより高い結果を示している。
一方、(C)成分を含まない比較例1〜7は、高温放置後に剥離・クラックの発生数が多い結果となった。また、(B)成分を含まない比較例5、及び(A)成分を含まない比較例6では、いずれもガラス転移温度が150℃と低い結果となった。
Claims (9)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系硬化剤、(C)シランカップリング剤、及び(D)無機充填材を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分とが、それぞれトリフェニルメタン骨格、及び/又はナフタレン骨格を含み、
前記(C)成分が、炭素数2〜4のアルコキシ基を有するグリシドキシプロピルトリアルコキシシランを含有する、封止用エポキシ樹脂成形材料。 - 前記グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランである、請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 前記(C)成分が、さらにイソシアネートプロピルトリアルコキシシランを含有する、請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 前記イソシアネートプロピルトリアルコキシシランが、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランである、請求項3に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 前記(D)成分が、シラザンにより表面処理されたシリカを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 前記(A)成分が、下記一般式(I)で表されるトリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂、下記一般式(II)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、及び下記一般式(III)で表されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 前記(B)成分が、下記一般式(IV)で表されるトリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、下記一般式(V)で表されるナフタレン骨格を有するフェノール樹脂、及び下記一般式(VI)で表されるナフタレン骨格を有するフェノール樹脂から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える、電子部品装置。
- 表面にNiメッキが施されたリードフレームを備える、請求項8に記載の電子部品装置。
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