JP2016200410A - 放射線検出器およびそれを備えた放射線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線を電子雲に変換する変換層を備えた直接変換型のX線検出器において、1つの電子雲を複数の検出素子により検出されてしまうことに起因する画像のボケを防止して微細なX線のイメージングを確実に行う。
【解決手段】本発明のX線検出器の検出面4sの画素対応素子4pに挟まれる位置にX線画像上に反映されない緩衝領域を設けている。そして、本発明の構成では、緩衝領域にも電子雲を検出する検出素子(参照素子4r)を配置し、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力した場合は、電子雲は画素対応素子4pの間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、電子雲が検出された扱いとはしないようにしている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明のX線検出器の検出面4sの画素対応素子4pに挟まれる位置にX線画像上に反映されない緩衝領域を設けている。そして、本発明の構成では、緩衝領域にも電子雲を検出する検出素子(参照素子4r)を配置し、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力した場合は、電子雲は画素対応素子4pの間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、電子雲が検出された扱いとはしないようにしている。
【選択図】図2
Description
本発明は、放射線検出器およびそれを備えた放射線撮影装置に関する。
放射線を検出する放射線検出器は、産業分野や医用分野などに広く利用されている。このような放射線検出器の中には、放射線を電荷に変換して、電荷を検出することで放射線の検出を行う直接変換型と呼ばれるタイプがある。放射線検出器としては、他には、放射線を蛍光に変換してこれを検出する間接変換型の放射線検出器がある。直接変換型と間接変換型とは放射線を検出する原理が互いに異なるので区別される(例えば特許文献1参照)。
図29は、直接変換型の放射線検出器の構造を説明している。放射線検出器60は、放射線を電子とホールのキャリア対に変換する変換層53と、変換層53で生じた電子を検出する検出素子54aが縦横に配列されて構成される検出素子マトリックスとを有している。
図30は、直接変換型の放射線検出器が放射線を検出する様子を示している。変換層53に入射した放射線は、変換層53の中を進む間に電子とホールのキャリア対を多数発生する。この変換層53で発生した多数のキャリアは、検出素子マトリックスの検出素子54aのいずれかで検出される。キャリアを検出した検出素子54aを特定すれば、放射線が変換されて生じたキャリアが変換層53のどこに存在していたかが分かる。放射線検出器は、このような原理に基づいて放射線の2次元的な分布をイメージングすることができる。
ところで、変換層53内で生じた多数のキャリアは、図30において円の点線で示すように広い空間に広がって存在している。この例では、キャリアのうち電子に注目し、広がった電子を電子雲と呼ぶことにする。
検出素子54aは、電子を検出することができる素子である。この検出素子54aは、電子雲を検出することで動作する。
しかしながら、従来構成の放射線検出器は次のような問題点がある。
すなわち、従来構成では、検出素子54aの微細化に限界がある。
すなわち、従来構成では、検出素子54aの微細化に限界がある。
検出素子54aがある程度大きい場合は、電子雲が検出素子54aに対して十分に小さくなるため不具合は特にない。しかし、図31に示すように検出素子54aが微細化されることにより、検出素子54aの大きさが電子雲の大きさに近づいてくると、新たな問題が生じる。
すなわち、図31に示すように電子雲が互いに隣り合う検出素子54aに跨がってしまうのである。このような事態となると、電子雲が2つの検出素子54aで検出されてしまう。2つの検出素子54aのどちらで電子雲を検出したのかを区別することはできない。このような1つの放射線から生じたキャリアを複数の検出素子54aで検出する現象をチャージシェアリングと呼ぶ。
放射線検出器の空間分解能は、検出素子54aの大きさで決まる。検出素子54aが小さいほどそれだけ微細なイメージングをすることができるようになる。したがって、検出素子54aを微細にするのは放射線検出器の空間分解能を高める目的がある。
ところが、検出素子54aを小さくすればするほどチャージシェアリング現象が頻発するようになる。チャージシェアリング現象が起こると、放射線検出器の空間分解能期待される分解能の半分しか得られないことになる。放射線を2つの検出素子54aで検出することになるからである。また、電子雲を2つの検出素子54aで例えば半分ずつ検出したとすると、検出素子54a1個あたりからは電子雲半分に相当する検出信号しか出力されない。したがって、チャージシェアリング現象は画像のボケに繋がる。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、放射線を電荷に変換する変換層を備えた直接変換型の放射線検出器において、チャージシェアリング現象により1つの放射線を複数の検出素子により検出されてしまうことに起因する画像のボケを防止して微細な放射線のイメージングを確実に行うことにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線検出器は、放射線を電荷に変換する変換層と、変換層で生じた電荷を検出する検出素子が縦横に配列している検出面を有する検出基板を備え、検出基板の検出面を構成する検出素子には放射線画像を構成する各画素に対応している画素対応素子と画素対応素子の隣に位置する放射線画像上には反映されない参照素子とがあり、画素対応素子が電荷を検出した際、画素対応素子および当該画素対応素子の隣の参照素子から出力される検出信号を比較して、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したのかそれとも参照素子側に入力したのかを判定する判定部と、判定部の比較結果に基づいて、検出面の画素対応素子側に入力した放射線についてのみカウントするカウント部を備えることを特徴とするものである。
すなわち、本発明に係る放射線検出器は、放射線を電荷に変換する変換層と、変換層で生じた電荷を検出する検出素子が縦横に配列している検出面を有する検出基板を備え、検出基板の検出面を構成する検出素子には放射線画像を構成する各画素に対応している画素対応素子と画素対応素子の隣に位置する放射線画像上には反映されない参照素子とがあり、画素対応素子が電荷を検出した際、画素対応素子および当該画素対応素子の隣の参照素子から出力される検出信号を比較して、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したのかそれとも参照素子側に入力したのかを判定する判定部と、判定部の比較結果に基づいて、検出面の画素対応素子側に入力した放射線についてのみカウントするカウント部を備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明によれば、放射線を電荷に変換する変換層を備えた直接変換型の放射線検出器において、1つの放射線を複数の検出素子により検出されてしまうことに起因する画像のボケを防止して微細な放射線のイメージングを確実に行うことができる。すなわち、本発明の放射線検出器の検出面には、放射線画像を構成する各画素に対応している画素対応素子に挟まれる位置に放射線画像上に反映されない緩衝領域を設けている。画素対応素子同士は、この緩衝領域に阻まれることになる。
しかし、これだけでは、画像のボケを阻止することはできない。変換層で発生した電荷が画素対応素子に挟まれた緩衝領域そのものに入力した場合、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子のいずれもがこの電荷を検出してしまう可能性があるからである。つまり、単に緩衝領域を設けただけでは、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子が1つの電荷を同時に検出されてしまうことが起こりえる。
そこで、本発明の構成では、緩衝領域にも電荷を検出する検出素子(参照素子)を配置し、変換層で発生した電荷と緩衝領域との位置関係を検出するようにしている。すなわち、本発明によれば、画素対応素子が電荷を検出した際、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したのかそれとも参照素子側に入力したのかを判定する。放射線が検出面の画素対応素子側に入力した場合は、放射線の検出があったものとしてカウントを行う。一方、放射線が検出面の緩衝領域側に入力した場合は、放射線は画素対応素子の間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、放射線が検出された扱いとはしないようにしている。
本発明によれば、緩衝領域に入力された1つの放射線に対して緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子が反応してしまった場合は、電荷が検出面の画素対応素子側に入力しているから、いずれの画素対応素子も電荷が検出された扱いにならない。本発明はこのような原理に基づいて1つの電荷を複数の検出素子により検出されてしまうことで生じる画質の劣化現象を抑制している。
しかし、これだけでは、画像のボケを阻止することはできない。変換層で発生した電荷が画素対応素子に挟まれた緩衝領域そのものに入力した場合、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子のいずれもがこの電荷を検出してしまう可能性があるからである。つまり、単に緩衝領域を設けただけでは、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子が1つの電荷を同時に検出されてしまうことが起こりえる。
そこで、本発明の構成では、緩衝領域にも電荷を検出する検出素子(参照素子)を配置し、変換層で発生した電荷と緩衝領域との位置関係を検出するようにしている。すなわち、本発明によれば、画素対応素子が電荷を検出した際、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したのかそれとも参照素子側に入力したのかを判定する。放射線が検出面の画素対応素子側に入力した場合は、放射線の検出があったものとしてカウントを行う。一方、放射線が検出面の緩衝領域側に入力した場合は、放射線は画素対応素子の間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、放射線が検出された扱いとはしないようにしている。
本発明によれば、緩衝領域に入力された1つの放射線に対して緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子が反応してしまった場合は、電荷が検出面の画素対応素子側に入力しているから、いずれの画素対応素子も電荷が検出された扱いにならない。本発明はこのような原理に基づいて1つの電荷を複数の検出素子により検出されてしまうことで生じる画質の劣化現象を抑制している。
また、上述の放射線検出器において、判定部は、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも大きい場合、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したものと判定し、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも小さい場合、放射線が検出面の参照素子側に入力したものと判定すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。すなわち、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも大きい場合、放射線が検出面の画素対応素子側に入力したものと判定し、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも小さい場合、放射線が検出面の参照素子側に入力したものと判定すれば、より確実に放射線の入力位置を判定することができる。
また、上述の放射線検出器において、2つの参照素子が左右から1つの画素対応素子に隣接していればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。2つの参照素子が左右から1つの画素対応素子に隣接していれば、画素対応素子の左右両隣に他の画素対応素子が存在せず、1つの放射線を複数の画素対応素子が重複して検出してしまうことがない。
また、上述の放射線検出器において、4つの参照素子が上下左右から1つの画素対応素子に隣接していればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。2つの参照素子が左右から1つの画素対応素子に隣接し、2つの参照素子が上下から1つの画素対応素子に隣接していれば、画素対応素子の上下左右について他の画素対応素子が存在せず、1つの放射線を複数の画素対応素子が重複して検出してしまうことがない。
また、上述の放射線検出器において、参照素子が画素対応素子に隣接する方向である隣接方向についての参照素子の幅は、隣接方向についての画素対応素子の幅よりも狭くなっていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。参照素子が画素対応素子に隣接する方向である隣接方向についての参照素子の幅は、隣接方向についての画素対応素子の幅よりも狭くなっていれば、放射線画像を生成するときに放射線の不感領域の扱いとされる参照素子の面積を極力小さくすることができる。
また、上述の放射線検出器において、画素対応素子の間には複数の参照素子が配置されていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。本発明は、使用の目的に合わせて画素対応素子の間に複数の参照素子を設けるようにすることもできる。
また、上述の放射線検出器において、検出面の画素対応素子を参照素子に切り替え、参照素子を画素対応素子に切り替える切り替え部を備えればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は本発明の具体例を示している。参照素子は、放射線画像を生成するときに放射線の不感領域の扱いとされてしまうので、放射線検出器は、この部分についてのイメージングをすることができない。検出面の画素対応素子を参照素子に切り替え、参照素子を画素対応素子に切り替えることができるようにすれば、素子の切り替え前後で2回の撮影を行って、このときの撮影結果を1枚の放射線画像に合成すれば、検出面の全域についてのイメージングが可能となる。
本発明によれば、放射線を電荷に変換する変換層を備えた直接変換型の放射線検出器において、1つの放射線を複数の検出素子により検出されてしまうことに起因する画像のボケを防止して微細な放射線のイメージングを確実に行うことができる。すなわち、本発明の放射線検出器の検出面の画素対応素子に挟まれる位置に放射線画像上に反映されない緩衝領域を設けている。そして、本発明の構成では、緩衝領域にも電荷を検出する検出素子(参照素子)を配置し、放射線が検出面の緩衝領域側に入力した場合は、電荷は画素対応素子の間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、放射線が検出された扱いとはしないようにしている。
本発明は、X線を検出するX線検出器に関するものである。X線は、本発明の放射線に相当する。
<X線検出器の全体構成>
図1は、本発明に係るX線検出器10の全体構成を示す機能ブロック図である。X線検出器は、X線をキャリア対(電子とホールの対)に変換する変換層3と、変換層3で生じた電子を検出する検出基板4とを備えている。変換層3は、例えばSi,アモルファスセレン、CdTe,CdZnTeなどの素材で構成される。検出基板4は、変換層3で生じた電子を検出する検出素子4aが縦横に配列している検出面4sを有している。
図1は、本発明に係るX線検出器10の全体構成を示す機能ブロック図である。X線検出器は、X線をキャリア対(電子とホールの対)に変換する変換層3と、変換層3で生じた電子を検出する検出基板4とを備えている。変換層3は、例えばSi,アモルファスセレン、CdTe,CdZnTeなどの素材で構成される。検出基板4は、変換層3で生じた電子を検出する検出素子4aが縦横に配列している検出面4sを有している。
<本発明の最も特徴的な構成>
図2は、検出面4sの構成を説明したものとなっている。本発明の最も特徴的な構成は、検出面4sに配列されている検出素子4aには2つのタイプがあることである。この点について説明する。X線検出器10にX線を照射すると、X線の検出結果を示すX線検出データがX線検出器10から出力される。このX線検出データは、検出素子4aのいずれかがX線を検出した結果を表している。この点は本発明のX線検出器10も従来の構成と共通している。本発明のX線検出器10が特徴的なのは、検出素子4aの中には、X線を検出してもX線検出器10が検出データを出力しないものがあるということである。
図2は、検出面4sの構成を説明したものとなっている。本発明の最も特徴的な構成は、検出面4sに配列されている検出素子4aには2つのタイプがあることである。この点について説明する。X線検出器10にX線を照射すると、X線の検出結果を示すX線検出データがX線検出器10から出力される。このX線検出データは、検出素子4aのいずれかがX線を検出した結果を表している。この点は本発明のX線検出器10も従来の構成と共通している。本発明のX線検出器10が特徴的なのは、検出素子4aの中には、X線を検出してもX線検出器10が検出データを出力しないものがあるということである。
X線検出データは、検出素子ごとに検出したX線量を表したものとなっており、検出されたX線量の2次元分布を表している。したがって、X線検出データは、X線画像を生成する元のローデータである。X線検出データに基づいてX線画像を生成すると、X線画像を構成する画素の各々は、異なる検出素子で検出されたX線量を表している。したがって、検出素子とX線画像を構成する画素の各々には対応関係があるのが普通である。ある検出素子のX線の検出結果はX線画像上の画素のどれかに反映されているはずである。
しかし、本発明の構成においては、X線画像上の画素のどれにも反映されない検出素子が検出面4s上に設けられている。図2における画素対応素子4pは、X線画像を構成する各画素に対応している検出素子であり、参照素子4rは、X線画像上には反映されない検出素子となっている。しかしながら、画素対応素子4p,参照素子4rは、いずれも検出素子4aであり、変換層3で生じた電子を検出する能力を有している。検出面4sにおいては、2つの参照素子4rが左右から1つの画素対応素子4pに隣接している。
検出面4s上において画素対応素子4pは、縦一列に配列されてアレイを構成し、参照素子4rも縦一列に配列されてアレイを構成している。画素対応素子4pのアレイと参照素子4rのアレイとは交互に出現するように横方向に配列される。その結果、検出面4sには、検出素子4aが縦横に配列される構成となっている。
<画素対応素子4pがX線を検出する原理>
続いて、画素対応素子4pが電子雲を検出する原理について説明する。1つの画素対応素子4pが電子雲を検出する過程には、画素対応素子4pとその両隣に位置する2つの参照素子4rが関係している。この横方向に並んでいる3つの画素を素子グループGと呼ぶことにする。
続いて、画素対応素子4pが電子雲を検出する原理について説明する。1つの画素対応素子4pが電子雲を検出する過程には、画素対応素子4pとその両隣に位置する2つの参照素子4rが関係している。この横方向に並んでいる3つの画素を素子グループGと呼ぶことにする。
図3は、図2で説明した素子グループGを抜き出して表している。素子グループGに属する3つの検出素子の出力端子は、シェイパsを通じて素子グループGに対応する判定部11Gに接続されている。シェイパsは、出力端子から出力される電気信号の波形を整形する構成となっている。判定部11Gの出力端子は、素子グループGに対応するカウント部12Gに接続されている。
図4は、素子グループGが電子雲を検出する様子を表している。図4の場合、電子雲は、素子グループGの画素対応素子4pとその左隣の参照素子4rとに跨がっており、両素子4p,4rで検出される。
図4の場合、電子雲は、画素対応素子4p側に位置している。従って、画素対応素子4pから出力される検出信号は、左隣の参照素子4rから出力される検出信号よりも大きくなる。判定部11Gは、画素対応素子4p,参照素子4rより出力された検出信号を比較して、どちらの検出信号が大きかったかを示す判定結果をカウント部12Gに送出する。このように、判定部11Gは、画素対応素子4pが電子雲を検出した際、画素対応素子4pおよび当該画素対応素子4pの隣の参照素子4rから出力される検出信号を比較して、電子雲が検出面4sの画素対応素子4p側に入力したのかそれとも参照素子4r側に入力したのかを判定する。判定部11は、画素対応素子4p由来の検出信号の強度が参照素子4r由来の検出信号の強度よりも大きい場合、電子雲が検出面4sの画素対応素子4p側に入力したものと判定する。
カウント部12Gは、画素対応素子4p由来の検出信号が参照素子4r由来の検出信号よりも大きかった場合、画素対応素子4pが電子雲を検出したものと認定して、電子雲の検出をカウントする。カウント部12Gはこの動作を繰り返すことにより、画素対応素子4pが何個の電子雲を検出したのかカウントし続ける。
図5も、電子雲が素子グループGの画素対応素子4pとその左隣の参照素子4rとに跨がっており、両素子4p,4rで検出される様子を示している。図5の場合、電子雲は、参照素子4r側に位置している。従って、参照素子4rから出力される検出信号は、画素対応素子4pから出力される検出信号よりも大きくなる。判定部11Gは、右隣の画素対応素子4p,参照素子4rより出力された検出信号を比較して、どちらの検出信号が大きかったかを示す判定結果をカウント部12Gに送出する。判定部11は、画素対応素子4p由来の検出信号の強度が参照素子4r由来の検出信号の強度よりも小さい場合、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力したものと判定する。なお、判定部11は、画素対応素子4p由来の検出信号の強度と参照素子4r由来の検出信号の強度とが同じ場合、電子雲が検出面4sの画素対応素子4p側に入力したものと判定する構成としてもよいし、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力したものと判定する構成としてもよい。
カウント部12Gは、参照素子4r由来の検出信号が画素対応素子4p由来の検出信号よりも大きかった場合、画素対応素子4pが電子を検出しなかったものと認定して、電子雲の検出をカウントしない。このように、カウント部12は、判定部11の比較結果に基づいて、検出面4sの画素対応素子4p側に入力した電子雲についてのみカウントする。
カウント部12Gはこのような動作をX線の検出時間中に続行し、X線の検出の終了時に蓄積していたカウント数を示す信号を出力する。このカウント数は、X線の検出時間中に何個のX線を画素対応素子4pが検出したのかを示したものであり、参照素子4rが検出したX線の個数を反映するものではない。
図4,図5は、画素対応素子4pとその左隣の参照素子4rとに電子雲が跨がっている場合を想定して説明しているが、判定部11Gおよびカウント部12Gは、画素対応素子4pとその右隣の参照素子4rについても同様の動作を行う。
なお、図3,図4,図5は、検出面4s上のある画素対応素子4pについての素子グループGについてのものである。検出面4sには、素子グループGに係るもの以外にも画素対応素子4pが存在している。これら検出面4sに存在する他の画素対応素子4pについても対応する素子グループG1,G2,G3,…の概念がある。ある参照素子4rは、左隣の画素対応素子4p対応する素子グループGnの一員でもあるし、右隣の画素対応素子4p対応する素子グループGn+1の一員でもある。
本発明のX線検出器10は、素子グループG1,G2,G3,…の各々に対応する判定部11G1,11G2,11G3,…とカウント部12G1,12G2,12G3,…とが備えられている。検出面4sに存在する全ての画素対応素子4pが検出したX線の検出回数は、対応するカウント部12G1,12G2,12G3,…によってカウントされる。
図1における判定部11は、各画素対応素子4pに対応する判定部11G1,11G2,11G3,…をまとめて表現したものであり、カウント部12は、各画素対応素子4pに対応するカウント部12G1,12G2,12G3,…をまとめて表現したものとなっている。
検出面4s上のある素子グループGnに注目する。素子グループGnを構成する参照画素4rには、その隣の素子グループGn+1の一員ともなっているものがある。この参照画素4rは、1つの出力端子を備えており、その出力端子は、判定部11Gnの入力と判定部11Gn+1の入力とに接続されている。このようにすることでX線検出器10を構成する配線数を削減することができる。この構成は、検出面4s上の全ての素子グループGで共通している。また、後述する素子グループHも同様の構成となっている。
本発明のような参照素子4rを備えるような構成にすれば、互いに隣接する素子の間で生じるチャージシェアリングの問題を解決することができる。チャージシェアリングとは、互いに隣接する2つの素子で1つの電子雲を検出してしまう現象であり、X線画像の画質の悪化の原因となっている。本発明によれば、互いに隣接する2つの素子で電子雲を検出したとしても、電子雲が画素対応素子4pと参照素子4rとのどちら側で検出されたのかを区別することができる。そして、電子雲が画素対応素子4pの側で検出された場合は、画素対応素子4pがX線を検出したと考えることができ、逆に電子雲が参照素子4rの側で検出された場合は、画素対応素子4pがX線を検出しなかった考えることができる。したがって、本発明のX線検出器10によれば、電子雲を検出した検出素子4aがいったいどれなのかが特定された場合に限って検出イベントのカウントを行うようにしているので、出力される検出データにチャージシェアリングの影響が現れない。検出データに基づいて生成されるX線画像にはボケが生じない。
<参照素子4rを設けたことによる欠点を解決する構成>
このように、参照素子4rを設けたことによりチャージシェアリングの問題は解決することができる。しかし、参照素子4rを設けたことにより、X線を検出できる検出素子4aの個数が事実上半分になってしまうという問題がある。図2で示した参照素子4rは、X線検出器10全体で見れば、X線の検出データを送出しない不感領域となってしまっている。X線検出器10は、飛び飛びの位置でしかX線を検出できないのである。
このように、参照素子4rを設けたことによりチャージシェアリングの問題は解決することができる。しかし、参照素子4rを設けたことにより、X線を検出できる検出素子4aの個数が事実上半分になってしまうという問題がある。図2で示した参照素子4rは、X線検出器10全体で見れば、X線の検出データを送出しない不感領域となってしまっている。X線検出器10は、飛び飛びの位置でしかX線を検出できないのである。
本発明は、このような理由で生じるX線検出器10の不感領域を抑制する目的で切り替え部13を備えている(図1参照)。切り替え部13は、図6に示すように、検出面4s上の画素対応素子4pを参照素子4rに切り替え、参照素子4rを画素対応素子4pに切り替える構成となっている。画素対応素子4pと参照素子4rとの並びが図2と同じ状態を状態1とよび、並びが逆になっている状態を状態2と呼ぶことにする。
このような素子の切り替えは、判定部11およびカウント部12の設定を変更することで実現される。すなわち、X線検出器10には、図2に示す参照素子4rから切り替わった画素対応素子4pに対しても上述の素子グループH1,H2,H3,…の概念がある。図2に示す画素対応素子4pから切り替わった参照素子4rは、左隣の画素対応素子4p対応する素子グループHnの一員でもあるし、右隣の画素対応素子4p対応する素子グループHn+1の一員でもある。
本発明のX線検出器10は、素子グループH1,H2,H3,…の各々に対応する判定部11H1,11H2,11H3,…とカウント部12H1,12H2,12H3,…とが備えられている。図2に示す参照素子4rから切り替わった画素対応素子4pが検出した電子の検出回数は、対応するカウント部12H1,12H2,12H3,…によってカウントされる。
図1における判定部11は、図2に示す参照素子4rから切り替わった画素対応素子4pに対応する判定部11H1,11H2,11H3,…をもまとめて表現している。同様に、カウント部12は、図2に示す参照素子4rから切り替わった画素対応素子4pに対応するカウント部12H1,12H2,12H3,…をまとめて表現したものとなっている。
本発明のX線検出器10でX線画像を撮影するときには、まず、検出面4sを状態1にしてX線検出を行い、続いて検出面4sを状態2にしてX線検出を行う。図7は、検出面4sを状態1にしてX線検出を行った場合を説明している。状態1の検出面4sでは、参照素子4rに係る部分がストライプ状の不感領域を有しているので、このときのX線検出で得られる検出データを用いてX線画像P1を生成したとすると、不感領域がそのまま残ったような画像となる。
図8は、検出面4sを状態2にしてX線検出を行った場合を説明している。状態2の検出面4sも参照素子4rに係る部分がストライプ状の不感領域を有しているので、このときのX線検出で得られる検出データを用いてX線画像P2を生成したとすると、やはり不感領域がそのまま残ったような画像となる。
X線画像P1に現れている不感領域は、検出面4sが状態1となっているときの参照素子4rに相当する部分である。この参照素子4rは、検出面4sが状態2となったときの画素対応素子4pに相当する。X線画像P2は、この画素対応素子4pを用いて生成された画像である。ということは、X線画像P2は、X線画像P1の不感領域に相当する画像となっているということになる。また、逆にX線画像P2にとっては、X線画像P1は、自身の不感領域に相当する画像となっている。このように、X線画像P1およびX線画像P2は、互いの死角を補い合う相補的な関係を有している。
従って、図9に示すようにX線画像P1とX線画像P2とを合成することにより、互いの不感領域を消去すれば、不感領域が画像上に現れていないX線画像P0を得ることができる。
検出面4sにおいて参照素子4rは、X線画像を生成するときにX線の不感領域の扱いとされてしまうので、X線検出器は、この部分についてのイメージングをすることができない。検出面4sの画素対応素子4pを参照素子4rに切り替え、参照素子4rを画素対応素子4pに切り替えることができるようにすれば、素子の切り替え前後で2回の撮影を行って、このときの撮影結果を1枚のX線画像に合成すれば、検出面4sの全域についてのイメージングが可能となる。
また、参照素子4rを設けたことによって死角が発生してしまうという課題を解決する方法としては、図10に示すように、参照素子4rを画素対応素子4pに対して小さくしてもよい。このようにすると、検出面4s上の不感領域を極力小さくすることができる。この構成は、図6,図7,図8,図9で説明した素子を切り替えてX線検出を2回行う構成と比べて、X線検出を1回にすることができるというメリットがある。参照素子4rが画素対応素子4pに隣接する方向である隣接方向(横方向)についての参照素子4rの幅は、隣接方向についての画素対応素子4pの幅よりも狭くなっていれば、X線画像を生成するときにX線の不感領域の扱いとされる参照素子4rの面積を極力小さくすることができる。
図11は、本発明のX線検出器10を搭載したX線撮影装置を表している。撮影装置11は、図11に示すように被写体Mを載置する載置台12と、載置台12の上側に設けられるとともに角錐形状に広がるX線ビームを照射するX線源13と、X線源13から生じ、載置台2上の被写体Mを透過してきたX線を検出するX線検出器10を備えている。
X線源制御部16は、X線源13を制御する目的で設けられている。撮影中、X線源制御部16は、パルス状にX線ビームを繰り返し出力するようにX線源13を制御する。画像生成部31は、X線検出器10から出力されるX線検出データに基づいて図7,図8で説明したX線画像P1,P2を生成する。画像処理部32は、画像生成部31が出力したX線画像P1,P2を合成して図9で説明したX線画像P0を生成する。
主制御部21は、各部16,31,32を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部21は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各部を実現している。また、これら各部は、これらを担当する演算装置に分割して実行されてもよい。各部は必要に応じて記憶部27にアクセスすることができる。操作卓25は、操作者の指示を入力する目的で設けられている。また、表示部26は、透視像を表示する目的で設けられている。
以上のように、本発明によれば、X線を電子雲に変換する変換層3を備えた直接変換型のX線検出器において、1つの電子雲を複数の検出素子により検出されてしまうことに起因する画像のボケを防止して微細なX線のイメージングを確実に行うことができる。すなわち、本発明のX線検出器の検出面4sには、X線画像を構成する各画素に対応している画素対応素子4pに挟まれる位置にX線画像上に反映されない緩衝領域を設けている(図12左側参照)。画素対応素子4p同士は、この緩衝領域に阻まれることになる。
しかし、これだけでは、画像のボケを阻止することはできない。変換層3で発生した電子雲が画素対応素子4pに挟まれた緩衝領域そのものに入力した場合、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子4pのいずれもがこの電子雲を検出してしまう可能性があるからである(図12右側参照)。つまり、単に緩衝領域を設けただけでは、緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子4pが1つの電子雲を同時に検出されてしまうことが起こりえる。
そこで、本発明の構成では、図13左側に示すように緩衝領域にも電子雲を検出する検出素子(参照素子4r)を配置し、変換層3で発生した電子雲と緩衝領域との位置関係を検出するようにしている。すなわち、本発明によれば、画素対応素子4pが電子雲を検出した際、電子雲が検出面4sの画素対応素子4p側に入力したのかそれとも参照素子4r側に入力したのかを判定する。電子雲が検出面4sの画素対応素子4p側に入力した場合は、電子雲の検出があったものとしてカウントを行う。一方、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力した場合は、電子雲は画素対応素子4pの間の緩衝領域に入力されたという判断がなされ、電子雲が検出された扱いとはしないようにしている。
本発明によれば、緩衝領域に入力された1つの電子雲に対して緩衝領域の右隣と左隣の画素対応素子4pが反応してしまった場合は、電子雲が検出面4sの参照素子4r側に入力しているから、図13右側に示すように、いずれの画素対応素子4pも電子雲が検出された扱いにならない。本発明はこのような原理に基づいて1つの電子雲を複数の検出素子により検出されてしまうことで生じる画質の劣化現象を抑制している。
続いて実施例2に係るX線検出器10およびそれを備えたX線撮影装置について説明する。実施例2に係るX線撮影装置は、散乱X線をイメージングする装置となっている。
図14は、散乱X線イメージングについて説明している。図14左側に示すように物体のごく一部にX線を照射したとする。X線は物体を透過してX線検出器で検出されることになる。ここで、図14右側に示すように物体の内部にX線を散乱させるような散乱源があったとする。物体の内部におけるX線の通り道にこのような散乱源があると、X線の一部は散乱源により散乱されて進行方向が変わる。すると、X線検出器上でX線が届く範囲が変化する。この変化はX線検出器10で検出可能である。
実施例2に係るX線撮影装置は、このような原理に基づいて物体の内部構造のイメージングを行う。つまり、X線撮影装置は、X線検出器10によりX線が届く範囲を検出することで物体内部の散乱源の存在を認識し、物体内部の散乱源の分布をイメージングする。
図14の例では、散乱源のイメージングを物体の一部についてしか行うことができない。そこで、図15に示すように実施例2に係るX線撮影装置は、物体の複数箇所にX線を当てることで、物体全体についての散乱源の分布をイメージングできるようにしている。
図16は、実施例2に係るX線撮影装置の構成を説明している。実施例2に係るX線撮影装置は、実施例1の装置と同様の装置構成となっている。大きく異なる点は、X線源13と載置台12との間にマスク15が設けられていることにある。このマスク15が図15で説明したストライプ状のX線ビームを生成する構成となっている。
図17は、マスク15の構成を説明している。マスク15は、縦方向に伸びた吸収線15aが横方向に配列した構成となっている。この吸収線15aは、X線を吸収する。したがって、マスク15は、通過するX線ビームからしてみれば縦方向に伸びたスリットが横方向に配列していることになる。
<X線検出器10の検出面4sの構成>
実施例2のX線検出器10の検出面4sは特徴的であるのでこれについて説明する。検出面4sには、図18に示すように、正方形の形状をした検出素子4aと縦長の長方形の形状をした検出素子4aとが設けられている。長方形の検出素子4aの横方向の幅は、正方形の検出素子4aの横方向の幅の半分となっている。長方形の検出素子4aの右隣または左には対をなすもう1つの長方形の検出素子4aが位置している。対をなす2つの検出素子4aを検出素子ペア4dと呼ぶことにする。検出素子ペア4dは、検出面4s上において、縦1列に配列されている。この検出素子ペア4dの配列をペアアレイPeと呼ぶことにする。一方、正方形の検出素子4aは、検出面4s上において、縦1列に配列されている。この検出素子4aのアレイをソロアレイSoと呼ぶことにする。
実施例2のX線検出器10の検出面4sは特徴的であるのでこれについて説明する。検出面4sには、図18に示すように、正方形の形状をした検出素子4aと縦長の長方形の形状をした検出素子4aとが設けられている。長方形の検出素子4aの横方向の幅は、正方形の検出素子4aの横方向の幅の半分となっている。長方形の検出素子4aの右隣または左には対をなすもう1つの長方形の検出素子4aが位置している。対をなす2つの検出素子4aを検出素子ペア4dと呼ぶことにする。検出素子ペア4dは、検出面4s上において、縦1列に配列されている。この検出素子ペア4dの配列をペアアレイPeと呼ぶことにする。一方、正方形の検出素子4aは、検出面4s上において、縦1列に配列されている。この検出素子4aのアレイをソロアレイSoと呼ぶことにする。
検出面4sには、ソロアレイSoとペアアレイPeとが交互に出現するように横方向に配列されている。このうちソロアレイSoに属する正方形の検出素子4aは、画素対応素子4pとなっている。ペアアレイPeに属する長方形の検出素子4aは、画素対応素子4pと参照素子4rとの間で切り替えることができる。この切り替えは、図1で説明した切り替え部13が実行する。
図19左側は、ペアアレイPeに属する検出素子4aの全てが参照素子4rに切り替えられている状態を示している。この検出面4sの状態を状態1と呼ぶことにする。この状態1は、図19右側に示すように互いのソロアレイSoの間に位置するペアアレイ1幅分の領域が不感領域となっている。この場合、画素対応素子4pの間には複数の参照素子4rが配置されていることになる。
図20左側は、ペアアレイPeに属する検出素子4aのうち右側の素子が参照素子4rに切り替えられ、左側の素子が画素対応素子4pに切り替えられている状態を示している。この検出面4sの状態を状態2と呼ぶことにする。この状態2は、図20右側に示すようにソロアレイ1.5個分の幅に対しペアアレイPe半分幅分の不感領域が現れるようなパターンを有している。
図21左側は、ペアアレイPeに属する検出素子4aのうち左側の素子が参照素子4rに切り替えられ、右側の素子が画素対応素子4pに切り替えられている状態を示している。この検出面4sの状態を状態3と呼ぶことにする。ソロアレイ1.5個分の幅に対しペアアレイPe半分幅分の不感領域が現れるようなパターンを有している点は、状態3とは、状態2との間で共通している。ただし、図21右側に示すように検出面4s上で不感領域の現れる位置が状態2と状態3との間で互いに異なっている。
切り替え部13は、状態1,2,3の間で検出面4sの状態を切り替えることができる。
図19の左側において太枠で囲まれた3つの検出素子は、図2で説明した素子グループを意味している。また、図20の左側における素子グループは、太枠で囲まれた2つの検出素子である。したがって、図20の左側には2つの素子グループがそれぞれ太枠で囲まれていることになる。このような事情は図21についても同様である。実施例2においても、図3,図4,図5で説明した動作が実行され、画素対応素子4p側で検出された電子雲のみをカウントするようにしている。
図22は、マスク15がX線検出器10に投影される様子の一例を示している。マルチスリット15が有する吸収線15aが伸びる縦方向と、X線検出器10の縦方向は一致している。したがって、吸収線15aがX線検出器10上に投影されてできる影は、ソロアレイSoおよびペアアレイPeの伸びる方向に伸びている。しかも、吸収線15aの影は、ペアアレイPeに位置している。マルチスリット15がX線検出器10に投影される様式は、図22が示す様式に限られるものではない。
図23は、マルチスリット15を通過したX線が検出面4sのソロアレイSoに入射する様子を示している。この場合、マルチスリット15を通過したX線は、ペアアレイPe側にはみ出すことなくソロアレイSoに入射している。
図24は、マルチスリット15とX線検出器10の間に物体が置かれた状態を示している。この場合、マルチスリット15を通過したX線は、物体を透過してX線検出器10に入射する。物体内部に図14で説明した散乱源があると、ソロアレイSoに入射するはずだったX線が散乱されてペアアレイPeに入射するようになる。図24では、ソロアレイSoを構成する検出素子4aの左側にはみ出した散乱X線がその検出素子4aの左隣の検出素子に入射する様子と、ソロアレイSoを構成する検出素子4aの右側にはみ出した散乱X線がその検出素子4aの右隣の検出素子に入射する様子を示している。ソロアレイSoの隣はペアアレイPeであることからすると、散乱X線はペアアレイPeまで届くということになる。
実施例2の構成によれば、検出面4sの状態が互いに異なる撮影を行う。検出面4sの状態は3つあるのでX線画像も3枚できることになる。検出面4sが状態1のときに得られるX線画像をX線画像P1とし、検出面4sが状態2のときに得られるX線画像をX線画像P2とする。検出面4sが状態3のときに得られるX線画像をX線画像P3とする。
図25は、検出面4sを状態1にしてX線画像P1を撮影している様子を示している。このとき、検出面4s上で画素対応素子4pとなっているのは、図中の正方形で示す正方形の検出素子のみである。正方形の検出素子の間ではチャージシェアリングは生じない。検出素子同士は参照素子4rとなっている2つの長方形の検出素子に阻まれているからである。検出面4sを状態1にした撮影によれば、マルチスリット15の投影が物体を透過してできる縞模様のパターンが検出できる。この縞模様は、物体がX線の一部を吸収することで作られたものなので、実測しないと得られないものである。X線画像P1はこの縞模様が写り込んでいる。
図26は、検出面4sを状態2にしてX線画像P2を撮影している様子を示している。このとき、検出面4s上で画素対応素子4pとなっているのは、図中の正方形で示す正方形の検出素子(例えば検出素子a)とその右隣の長方形の検出素子(例えば検出素子b)である。検出素子bと、その右側にある正方形の検出素子cとの間ではチャージシェアリングは生じない。検出素子b,c同士は参照素子4rとなっている2つの長方形の検出素子に阻まれているからである。したがって、検出面4sを状態2にした撮影によれば、マルチスリット15の投影が物体の散乱作用によってどのように乱れるかを確実に検出できる。もっとも、このとき検出できるのは、X線が正方形の検出素子の右側にはみ出して広がる乱れである。
図27は、検出面4sを状態3にしてX線画像P3を撮影している様子を示している。このとき、検出面4s上で画素対応素子4pとなっているのは、図中の正方形で示す正方形の検出素子(例えば検出素子f)とその左隣の長方形の検出素子(例えば検出素子e)である。検出素子eと、その左側にある正方形の検出素子dとの間ではチャージシェアリングは生じない。検出素子d,e同士は参照素子4rとなっている2つの長方形の検出素子に阻まれているからである。したがって、検出面4sを状態3にした撮影によれば、マルチスリット15の投影が物体の散乱作用によってどのように乱れるかを確実に検出できる。もっとも、このとき検出できるのは、X線が正方形の検出素子の左側にはみ出して広がる乱れである。
こうして撮影されたX線画像P2,P3は、物体の散乱作用を示した画像となっている。しかし、X線画像P2,P3に目立って写り込んでいるのは、マルチスリット15の投影の縞模様である。X線画像P2,P3における物体の散乱作用は、縞模様がわずかに乱れていることで表現されているに過ぎない。そこで、撮影装置は、X線画像P2からX線画像P1を、X線画像P3からX線画像P1をそれぞれ減算する構成となっている。X線画像P1は、X線の散乱がなかったときに得られるマルチスリット15の投影の縞模様を意味している。したがって、X線画像P2からX線画像P1を減算すれば、X線画像P2に含まれるマルチスリット15の投影の縞模様を消去して、散乱X線に関する成分を取り出すことができる。また、X線画像P3の減算について同様の効果がある。
減算処理後のX線画像P2,P3を画像処理すれば、物体内の散乱源の分布がイメージングされたX線画像P0を生成することができる。このとき画像処理としては、具体的には、X線画像P2,P3を加算する処理が考えられる。
X線画像P1,P2,P3は、図11で説明した画像生成部31が生成し、X線画像同士の減算処理および、加算処理は画像処理部32が実行する。
以上のように、本発明に係るX線検出器は、使用目的に合わせて種々の構成とすることができる。
本発明は上述の構成に限られず下記のように変形実施することができる。
(1)実施例1,2は、画素対応素子4pの右隣、左隣が参照素子4rとなっていたが、本発明はこの構成に限られない。図28に示すように、画素対応素子4pの上下左右に参照素子4rを備えるような構成としてもよい。本変形例によれば、画素対応素子4pと参照素子4rとが検出面4sにおいて市松模様のように配列されている。図28における太枠は、画素対応素子4pに対応する画素グループを意味している。本変形例の画素グループは、1つの画素対応素子4pとそれに上下左右から隣接する4つの参照素子4rから構成される。実施例2においても、図3,図4,図5で説明した動作が実行され、画素対応素子4p側で検出された電子雲のみをカウントするようにしている。
図28に示すように2つの参照素子4rが左右から1つの画素対応素子4pに隣接し、2つの参照素子4rが上下から1つの画素対応素子4pに隣接していれば、画素対応素子4pの上下左右について他の画素対応素子4pが存在せず、1つの電子雲を複数の画素対応素子4pが重複して検出してしまうことがない。
(2)図3,図4,図5で説明したカウント部12Gは、画素対応素子4p由来の検出信号が参照素子4r由来の検出信号よりも大きかった場合、画素対応素子4pが電子を検出したものと認定して、電子の検出をカウントする構成となっていたが、本発明はこの構成に限られない。画素対応素子4p由来の検出信号を参照素子4r由来の検出信号で除算した値が1とは異なる閾値より大きいかどうかで電子の検出をカウントする稼働かを決めるようにしてもよい。
(3)実施例1では、X線画像の撮影を行い、その後、画素対応素子4pと参照素子4rとを互いに切り替えてもう一度X線画像の撮影を行うことにより、検出面4s上の不感領域を補填するようにしていたが(図6,図7,図8参照),本発明はこの構成に限られない。X線画像の撮影を行い、その後、X線検出器10を横方向に検出素子1個分だけ移動させてもう一度X線画像の撮影を行うことにより、検出面4s上の不感領域を補填するようにしてもよい。
3 変換層
4 検出基板
4p 画素対応素子
4r 参照素子
4s 検出面
11 判定部
12 カウント部
13 切り替え部
4 検出基板
4p 画素対応素子
4r 参照素子
4s 検出面
11 判定部
12 カウント部
13 切り替え部
Claims (8)
- 放射線を電荷に変換する変換層と、
前記変換層で生じた電荷を検出する検出素子が縦横に配列している検出面を有する検出基板を備え、
前記検出基板の前記検出面を構成する検出素子には放射線画像を構成する各画素に対応している画素対応素子と前記画素対応素子の隣に位置する放射線画像上には反映されない参照素子とがあり、
前記画素対応素子が電荷を検出した際、前記画素対応素子および当該画素対応素子の隣の参照素子から出力される検出信号を比較して、放射線が前記検出面の画素対応素子側に入力したのかそれとも参照素子側に入力したのかを判定する判定部と、
前記判定部の比較結果に基づいて、前記検出面の画素対応素子側に入力した放射線についてのみカウントするカウント部を備えることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1に記載の放射線検出器において、
前記判定部は、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも大きい場合、放射線が前記検出面の画素対応素子側に入力したものと判定し、画素対応素子由来の検出信号の強度が参照素子由来の検出信号の強度よりも小さい場合、放射線が前記検出面の参照素子側に入力したものと判定することを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線検出器において、
2つの前記参照素子が左右から1つの前記画素対応素子に隣接していることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検出器において、
4つの前記参照素子が上下左右から1つの前記画素対応素子に隣接していることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記参照素子が前記画素対応素子に隣接する方向である隣接方向についての前記参照素子の幅は、前記隣接方向についての前記画素対応素子の幅よりも狭くなっていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記画素対応素子の間には複数の参照素子が配置されていることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の放射線検出器において、
前記検出面の前記画素対応素子を前記参照素子に切り替え、前記参照素子を前記画素対応素子に切り替える切り替え部を備えることを特徴とする放射線検出器。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の放射線検出器を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
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JP2020038145A (ja) * | 2018-09-05 | 2020-03-12 | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 | 放射線検出器、放射線診断装置及びチャージシェアリングの判定方法 |
-
2015
- 2015-04-07 JP JP2015078527A patent/JP2016200410A/ja active Pending
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JP2020038145A (ja) * | 2018-09-05 | 2020-03-12 | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 | 放射線検出器、放射線診断装置及びチャージシェアリングの判定方法 |
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