JP2016200080A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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雄大 越智
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Abstract

【課題】本発明は、ガソリンのように自着火温度が比較的高い燃料を用いてディーゼル燃焼をより好適に行うことを目的とする。
【解決手段】本発明では、圧縮工程中に火花点火によるプレ燃焼が行われる。その後、圧縮行程上死点前に、筒内噴射弁によるメイン噴射が実行される。これにより、プレ燃焼によって生じた火炎を起点として、メイン噴射によって噴射された燃料の燃焼が開始され、さらに燃料の自着火および拡散燃焼が生じる。そして、本発明では、上記のような燃焼制御を行う運転領域において、内燃機関の機関負荷が所定負荷より高い場合は、該機関負荷が該所定負荷以下の場合に比べて、内燃機関の有効圧縮比または圧縮比を低くする。
【選択図】図10

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
燃焼室内の圧縮空気に対して燃料を直接噴射して該燃料を自着火させ拡散燃焼させる燃焼形態である、いわゆるディーゼル燃焼は、火花点火による燃焼と比べて熱効率が高い。近年、このようなディーゼル燃焼の利点をガソリンエンジンにおいても享受すべく、ガソリンの自着火および拡散燃焼による燃焼を成立させるための技術が開発されている。
例えば、特許文献1に開示の技術では、先ず、筒内噴射弁によって圧縮行程前半に第1の燃料噴射を行うことで燃焼室内全域にほぼ均質な混合気を形成する。そして、第1の燃料噴射によって形成された混合気に対し火花点火を行う。その後に第2の燃料噴射を行って噴射された燃料を燃焼させ、さらに、この燃焼による燃焼室内の温度および圧力上昇により残りの燃料を自着火させる。
また、特許文献2には、自着火温度が比較的高い天然ガス等を燃料としてディーゼル燃焼を実現させるための技術が開示されている。この特許文献2に開示の技術では、先ず、燃焼室内の所定の火花点火領域において圧縮行程の初期又は中期に燃料噴射を行うことで火花点火可能な混合気を形成する。そして、この火花点火領域に形成された混合気に対して圧縮行程上死点直前の時期に点火することで火花点火燃焼を行う。これによって、燃焼室内が天然ガスの自着火が可能な高温且つ高圧の状態となる。その後、高温高圧状態の燃焼室内に直接燃料を噴射して該燃料をディーゼル燃焼させる。
また、特許文献3には、圧縮着火式内燃機関において、吸気弁の閉弁時期を遅角させることで有効圧縮比を低くすることが記載されている。圧縮着火式内燃機関においては、有効圧縮比を低くすることで、圧縮上死点での筒内温度を低下させることができ、その結果、排気中のNOxやスモークを低減させることができる。
特開2002−276442号公報 特開2003−254105号公報 特開2012−057490号公報
本発明は、ガソリンのように自着火温度が比較的高い燃料を用いてディーゼル燃焼をより好適に行うことを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射可能な燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧が点火可能領域を通過し該燃料噴霧に直接に点火可能となるように、該燃料噴射弁に対する相対位置が決定された点火装置と、圧縮行程中のプレ噴射時期に前記燃料噴射弁によるプレ噴射を実行するとともに該プレ噴射によって形成される燃料噴霧であるプレ噴霧に対し前記点火装置によって点火を行い、さらに、前記点火装置による前記プレ噴霧への点火後であり且つ圧縮行程上死点前の時期であって、前記プレ噴霧への点火によって生じた火炎を起点として噴射燃料の燃焼が開始され
るように設定されたメイン噴射時期に前記燃料噴射弁によるメイン噴射の実行を開始することで、燃料の自着火を発生させるとともに少なくとも前記メイン噴射によって噴射された燃料の一部を拡散燃焼させる所定燃焼制御を実行する燃焼制御手段と、前記燃焼制御手段が前記所定燃焼制御を実行する運転領域において、内燃機関の機関負荷が所定負荷より高い場合は、該機関負荷が該所定負荷以下の場合に比べて、内燃機関の有効圧縮比または圧縮比を低くする圧縮比制御手段と、を備える内燃機関の制御装置。
本発明によれば、ガソリンのように自着火温度が比較的高い燃料を用いてディーゼル燃焼をより好適に行うことができる。
本発明の実施例が適用される内燃機関と、その吸気系及び排気系との概略構成を示す図である。 図1に示す内燃機関に搭載される点火プラグの配置を説明するための図である。 本発明の実施例において実行される燃焼制御を説明するための図である。 本発明の実施例に係る燃焼制御が行われたときの燃焼室での熱発生率の推移を示す図である。 本発明の実施例に係る燃焼制御でのプレ噴射における、プレ噴射燃料量と、プレ噴射燃料の燃焼効率との相関を示す図である。 本発明の実施例に係る燃焼制御においてプレ噴射燃料量とメイン噴射燃料量との比率を変更した場合における燃焼室内での熱発生比率の推移の変化を示す図である。 本発明の実施例に係る吸気弁の開閉時期を示す図である。図7(a)は内燃機関の機関負荷が所定負荷以下のときの吸気弁の開閉時期を示しており、図7(b)は内燃機関の機関負荷が所定負荷より高いときの吸気弁の開閉時期を示している。 本発明の実施例に係る燃焼制御に用いられる制御マップを示す図である。 本発明の実施例に係る燃焼制御の制御フローを示すフローチャートである。 本発明の実施例に係る有効圧縮比制御の制御フローを示すフローチャートである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明を適用する内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、複数の気筒を備えた4ストローク・サイクルの火花点火式内燃機関(ガソリンエンジン)である。なお、図1では、複数の気筒のうち1気筒のみが示されている。
内燃機関1の各気筒2には、ピストン3が摺動自在に内装されている。ピストン3は、コネクティングロッド4を介して図示しない出力軸(クランクシャフト)と連結されている。また、気筒2の内部は、吸気ポート7及び排気ポート8と連通している。気筒2内における吸気ポート7の開口端は、吸気弁9により開閉される。気筒2内における排気ポート8の開口端は、排気弁10により開閉される。吸気弁9と排気弁10は、図示しない吸気カムと排気カムとにより各々開閉駆動される。また、内燃機関1には、吸気弁9の開閉時期を可変に制御する可変動弁機構90が設けられている。
また、各気筒2には、燃料噴射弁6および点火プラグ5が設けられている。燃料噴射弁6は、気筒2内に形成される燃焼室の中央頂部に配置されており、気筒内に燃料を直接噴射する。点火プラグ5は、気筒2の燃焼室内において、燃料(噴霧又は混合気)に対し点火を行う。
ここで、図2に基づいて、気筒2における点火プラグ5の配置について説明する。本実施例に係る燃料噴射弁6は、図2に示すように放射状に16方向に燃料を噴射可能となるように噴孔6aを有している。そして、点火プラグ5の点火可能領域である電極間の領域5aに対して、噴孔6aから噴射された燃料噴霧の少なくとも一つが通過するように、且つ、その通過した噴霧に対して領域5aにおける電極間で生じた火花によって直接点火できるように、燃料噴射弁6に対する点火プラグ5の相対位置が決定されている。このように構成された点火プラグ5と燃料噴射弁6は、スプレーガイド燃焼を実現可能とする。すなわち、燃料噴射弁6および点火プラグ5は、内燃機関1の吸気弁9の開弁時期やピストン3の位置にかかわらず任意の時期に、領域5aを通過する燃料噴霧に対する点火を可能とする。なお、本実施例においては、点火プラグ5は、吸気弁9および排気弁10の動作に干渉しないように、2つの吸気ポート7の開口部の間に位置している。ただし、本発明に係る点火装置の位置は、2つの吸気ポートの開口部の間に限られるものではない。また、本実施例では、図2に示すように、噴孔6aから噴射された燃料噴霧の一つと点火プラグ5の電極とが重なるような構成とした。しかしながら、点火プラグ5の点火可能領域は、その電極間の領域5aに限られるものではなく、該電極近傍の領域も含まれる。したがって、噴孔6aから噴射された燃料噴霧と点火プラグ5の電極とが必ずしも重なる必要はない。つまり、点火プラグ5aは、必ずしも、噴孔6aからの燃料の噴射方向上(噴霧の中心軸上)に配置される必要はない。噴孔6aから噴射された燃料噴霧が点火プラグ5の電極からずれていても、該燃料噴霧が点火可能領域を通過すれば、点火プラグ5の電極間で生じる火花を起点とするスプレーガイド燃焼を実現することは可能である。つまり、本実施例においては、燃料噴射弁6に対する点火プラグ5の相対位置はスプレーガイド燃焼を実現可能な位置であればよく、点火プラグ5が、噴孔6aからの燃料の噴射方向上(噴霧の中心軸上)からずれた位置に配置されていてもよい。
ここで図1に戻ると、吸気ポート7は、吸気通路70と連通している。吸気通路70には、スロットル弁71が配置されている。スロットル弁71より上流の吸気通路70には、エアフローメータ72が配置されている。一方で、排気ポート8は、排気通路80と連通している。排気通路80には、内燃機関1から排出される排気を浄化するための排気浄化触媒81が配置されている。なお、後述するように、内燃機関1から排出される排気の空燃比は、ストイキ空燃比よりも高いリーン空燃比である。そのため、排気浄化触媒81としては、リーン空燃比の排気中のNOx浄化が可能な選択還元型のNOx触媒や排気中の粒子状物質(PM)を捕集可能なフィルタを採用することができる。
そして、内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。このECU20は内燃機関1の運転状態や排気浄化装置等を制御するユニットである。ECU20には、上述したエアフローメータ72や、クランクポジションセンサ21及びアクセルポジションセンサ22が電気的に接続され、各センサの検出値がECU20に入力される。したがって、ECU20は、エアフローメータ72によって検出される吸入空気量、クランクポジションセンサ21の検出値に基づいて算出される機関回転速度、およびアクセルポジションセンサ22の検出値に基づいて算出される機関負荷等の内燃機関1の運転状態を把握可能である。また、ECU20には、可変動弁機構90、燃料噴射弁6、点火プラグ5、およびスロットル弁71等が電気的に接続され、これらの各要素がECU20によって制御される。
<燃焼制御>
上記のように構成される内燃機関1において実行される燃焼制御について、図3に基づいて説明する。図3は、図の左側から右側に進む時系列において、内燃機関1で行われる燃焼制御に関する燃料噴射及び点火の流れ(図3(a)の上段を参照)と、その燃料噴射及び点火により燃焼室で生じると想定される燃焼に関する事象の変遷(図3(a)の下段を参照)を模式的に示したものである。また、図3(b)には、図3(a)に示す燃料噴射であるプレ噴射とメイン噴射、および点火の時間的相関が示されている。なお、図3に示す形態は、あくまでも本実施例に係る燃焼制御を説明するために模式的に示したものであり、本発明をこの形態に限定して解釈すべきではない。
本実施例に係る燃焼制御では、1燃焼サイクルにおいて、燃料噴射弁6によってプレ噴射とメイン噴射とが実行される。プレ噴射は圧縮行程中に実行される燃料噴射である。メイン噴射は、プレ噴射よりも後の時期であって圧縮行程上死点(TDC)より前の時期に実行が開始される燃料噴射である。なお、メイン噴射は、TDCより前の時期に実行が開始されるが、TDC以降までその実行が継続されてもよい。そして、図3(b)に示すように、プレ噴射の噴射開始時期(以下、単に「プレ噴射時期」と称する)をTpとし、メイン噴射の噴射開始時期(以下、単に「メイン噴射時期」と称する)をTmとする。また、プレ噴射時期とメイン噴射時期との間隔(Tm−Tp)を噴射インターバルDiと定義する。また、プレ噴射による燃焼は上述したスプレーガイド燃焼として実行される。つまり、プレ噴射によって噴射された燃料(以下、「プレ噴射燃料」と称する)によって形成されるプレ噴霧に対して点火プラグ5による点火が行われる。この点火時期を、図3(b)に示すようにTsとする。また、プレ噴射の実行が開始されてから点火が行われるまでの間隔(Ts−Tp)を点火インターバルDsと定義する。
次に、本発明に係る燃焼制御の流れについて説明する。
(1)プレ噴射
燃焼制御では、一燃焼サイクル中において、先ず、圧縮行程中のプレ噴射時期Tpにプレ噴射が行われる。なお、プレ噴射時期Tpは、後述するメイン噴射時期Tmとの相関に基づいて決定される。プレ噴射が実行されることで、図2に示すように、燃料噴射弁6から噴射されたプレ噴射燃料によって形成されたプレ噴霧は、燃焼室内において点火プラグ5の点火可能領域5aを通過する。また、プレ噴霧はペネトレーションが小さいため燃焼室内において広く拡散しない。そのため、プレ噴射の実行直後においては、プレ噴射燃料によって燃焼室内に成層混合気が形成される。
(2)プレ噴射燃料への点火
そして、プレ噴射時期から所定の点火インターバルDsが経過した点火時期Tsに、点火プラグ5によるプレ噴霧への点火が行われる。上記の通り、プレ噴射の実行直後においては、プレ噴射燃料は成層化されている。そのため、該プレ噴射燃料量が少量であっても点火プラグ5周囲の局所的な空燃比は、当該点火による燃焼が可能な空燃比となっている。この点火により、プレ噴射燃料が火炎伝播によって燃焼する。つまり、プレ噴射燃料によるスプレーガイド燃焼が行われることになる。換言すれば、スプレーガイド燃焼が可能となるように点火インターバルDsが設定されている(以下、プレ噴射燃料によるスプレーガイド燃焼を「プレ燃焼」と称する。)。そして、ピストン3の圧縮作用による圧力上昇に加えて、プレ燃焼が行われることで、燃焼室内の更なる温度上昇が得られることになる。ただし、プレ噴射燃料のうち、このプレ燃焼によって燃焼する燃料は一部である。つまり、プレ噴射燃料の多くは点火によって生じる火炎伝播による燃焼には供されずに該点火以後も「燃え残り燃料」として燃焼室内に存在することになる。これは、プレ噴射燃料によって形成された成層混合気における点火プラグ5の電極間から比較的離れた部分においては、その空燃比が高いために火炎が伝播できなくなるためである。ただし、当該燃え残り燃料は、燃焼室内でプレ噴射燃料の一部が燃焼することで高温雰囲気に晒されることになる。そのため、燃え残り燃料の少なくとも一部は燃焼には至らない状況下での低温酸
化反応により燃焼性が高められた物性に改質された状態となることが期待される。ただし、本発明におけるプレ噴射燃料の燃え残りは、点火によって生じる火炎伝播による燃焼には供されずに該点火以後も燃焼室内に未燃の状態で残った燃料を指すものであり、その燃え残った燃料が特定の物性を示す状態になっていることが必ずしも要求されるものではない。
(3)メイン噴射
次に、プレ噴射時期から所定の噴射インターバルDiが経過した圧縮行程上死点前のメイン噴射時期Tm(点火プラグ5による点火時期TsからDi1−Dsの時間が経過した時期Tm)に、燃料噴射弁6によるメイン噴射の実行が開始される。なお、内燃機関1においては、後述するようにメイン噴射燃料は自着火または拡散燃焼に供され、機関出力に寄与することになる。そのため、メイン噴射時期Tmは、機関負荷等によって決定される量のメイン噴射燃料の燃焼によって得られる機関出力が概ね最大となる時期(以下、「適正噴射時期」という)に設定される。そして、メイン噴射燃料は、プレ噴霧に対する点火によって生じた火炎が火種となって燃焼する。つまり、メイン噴射時期Tmが適正噴射時期に設定されるとともに、プレ噴霧への点火によって生じた火炎を起点としてメイン噴射燃料の燃焼が開始されるように噴射インターバルDiが設定されている。メイン噴射時期Tmと噴射インターバルDiとがこのように設定されることで、プレ噴射時期Tpは必然的に決まることになる。そして、メイン噴射燃料の燃焼が開始されると燃焼室内の温度が更に上昇する。その結果、プレ噴射燃料の燃え残りとメイン噴射燃料とがその温度上昇場において自着火し、さらにはこれらの燃料が拡散燃焼に供されることになる。このとき、上記のようにプレ噴射燃料の燃え残りの燃焼性が高められている場合には、メイン噴射の実行開始後の燃料の自着火がより促進されることが期待される。
ここで、図4に本実施例に係る燃焼制御が行われたときの燃焼室での熱発生率の推移を示す。なお、図4においては、4つの異なる制御形態L1〜L4に対応する熱発生率の推移が示されている。これらの制御形態L1〜L4においては、プレ噴射時期Tp、プレ噴射燃料量(すなわち、プレ噴射の実行期間)、メイン噴射時期Tm、点火時期Tsは同一となっているが、メイン噴射燃料量(すなわち、メイン噴射の実行期間)が制御形態ごとに異なっている。すなわち、メイン噴射燃料量は、L1>L2>L3>L4となっている。つまり、図4には、プレ噴射時期Tp、プレ噴射燃料量、メイン噴射時期Tm、および点火時期Tsを同一としたときのメイン噴射燃料量の増減に応じた熱発生率の推移の変化が示されていることになる。
ここで、図4中、点線で囲まれたZ1の部分で、熱発生率の一次ピークが表れている。この一次ピークは、プレ噴射燃料が点火によって燃焼することで発生した熱(つまり、プレ燃焼によって発生した熱)を示している。この熱発生率の一次ピークが表れる時期においては、メイン噴射はまだ行われておらず、燃焼室内にはプレ噴射燃料に対する点火によって生じた火炎と、該点火では燃焼していないプレ噴射燃料である燃え残り燃料が存在していることになる。ここで、図5に基づいてプレ噴射燃料の燃え残りについて説明する。図5は、燃焼制御でのプレ噴射における、プレ噴射燃料量と、プレ噴射燃料の燃焼効率(以下、プレ燃焼効率と称する。)との相関を、3つの燃焼条件L5〜L7のそれぞれについて示した図である。具体的には、L5、L6、L7の順で、燃焼条件であるプレ噴射時期Tpと点火時期Tsとが、両時期のインターバルである点火インターバルDsを一定とした状態で進角されている。なお、図5においては、メイン噴射は行われずに、プレ噴射及び点火のみ(つまり、スプレーガイド燃焼のみ)が行われた場合の上記相関が示されている。
プレ燃焼効率は、プレ噴射燃料の燃え残り率と以下の式1に示す関連性を有する。つまり、プレ燃焼効率が高くなるほどプレ噴射燃料の燃え残り率は低くなる。
プレ噴射燃料の燃え残り率 = 1− プレ燃焼効率 ・・・(式1)
ここで、図5からは、プレ噴射燃料量が一定の場合に、プレ噴射時期Tpおよび点火時期Tsを進角させると(すなわち、噴射インターバルDiを大きくすると)、プレ燃焼効率は下がり、故に燃え残り率は高くなる傾向が見出せる。また、プレ噴射燃料量を変化させた場合であっても、プレ噴射時期Tp及び点火時期Tsの進角量を調整することで、プレ燃焼効率と燃え残り率とを一定に制御することもできる。このように本実施例に係る燃焼制御では、プレ噴射燃料量と、プレ噴射時期Tpおよび点火時期Tsの進角量(すなわち、噴射インターバルDi)とを調整することで、プレ噴射燃料の燃え残り率を制御することができる。
ここで、図4に戻ると、熱発生率の一次ピークが生じる時期よりも後であって圧縮行程上死点前の時期Tmにおいてメイン噴射の実行が開始される。このとき、メイン噴射燃料は、上述したように、先ずは、プレ燃焼によって生じた火炎を起点として燃焼し始め、その後、プレ噴射燃料の燃え残りとともに自着火し、さらに拡散燃焼に供される。その結果、圧縮行程上死点を過ぎた時期に熱発生率の最大ピークである二次ピークが発生する。ここで、図4では、メイン噴射燃料量の増加にしたがって(すなわち、メイン噴射期間が長くなるのにしたがって)、熱発生率の二次ピークの値が大きくなるとともに、二次ピークの発生時期が遅くなっている。このことは、メイン噴射燃料量の増加にしたがってメイン噴射燃料の燃焼期間が長くなっていることを意味する。このことから、メイン噴射燃料およびプレ噴射燃料の燃え残りは、拡散燃焼に供されているものと推察することができる。
更に、図6に基づいて、本実施例に係る燃焼制御において発生する燃料の自着火について説明する。図6は、本実施例に係る燃焼制御において、一燃焼サイクル中の合計噴射量(プレ噴射燃料量とメイン噴射燃料量との合計)を一定としたままプレ噴射燃料量とメイン噴射燃料量との比率を変更した2つの形態L8,L9それぞれの、燃焼室内での熱発生比率の推移を示している。また、L9の形態の方がL8の形態に比べてプレ噴射燃料量の比率が高くなっている。すなわち、L9の形態の方がL8の形態に比べて、プレ噴射燃料量が多く、その結果、プレ噴射燃料の燃え残り量も多くなっている。この場合、図6に示すように、L9の形態では、L8の形態に比べて、圧縮行程上死点後の熱発生率の二次ピーク値が大きくなっている。さらに、L9の形態では、L8の形態に比べて、熱発生率の二次ピーク値からの立ち下り速度(二次ピーク以後のグラフの傾き)が大きくなっている。これらは、メイン噴射開始後のプレ噴射燃料の燃え残りおよびメイン噴射燃料の燃焼において、L9の形態では、L8の形態に比べて、自着火による燃焼がより促進されている(すなわち、自着火によって燃焼する燃料の割合が高くなり、拡散燃焼によって燃焼する燃料の割合が低くなっている)ことを意味するものと推察される。このことから、プレ噴射燃料の燃え残りがメイン噴射後の燃料の自着火の促進に寄与していると考えられる。また、本実施に係る燃焼制御において、プレ噴射燃料量以外にプレ噴射時期Tpや点火時期Tsを調整することでプレ噴射燃料の燃え残り量を多くした場合もメイン噴射後の燃料の自着火が促進されていることを、本発明の発明者は確認した。つまり、本実施例に係る燃焼制御においては、プレ噴射や点火に関するパラメータを調整してプレ噴射燃料の燃え残り率を高めることで、メイン噴射実行開始後のプレ噴射燃料の燃え残りとメイン噴射燃料との燃焼において自着火を促進させることが可能である。
以上説明したように、本実施例に係る燃焼制御では、プレ噴射と点火プラグ5での点火とによるスプレーガイド燃焼ののちにメイン噴射が実行されることで燃料の自着火および拡散燃焼を生じさせる。そのため、当該燃焼制御による燃焼はいわゆるディーゼル燃焼に相当する。したがって、燃焼室内の混合気の空燃比を極めて高いリーン空燃比(20〜70程度)とすることができる。また、このようなリーン空燃比での燃焼を実現するため、本実施例に係る燃焼制御では、従来のガソリンエンジンの燃焼制御(均質ストイキ制御)に比べてスロットル弁71の開度が大きくされる。そのため、内燃機関1でのポンプ損失
を小さくすることができる。さらに、機関出力に寄与する燃焼が自着火および拡散燃焼により行われることで内燃機関1での冷却損失も従来の均質ストイキ制御時と比べて小さくすることができる。したがって、本実施例に係る燃焼制御によれば、従来のガソリンエンジンの燃焼制御では実現され得ない高い熱効率を達成することができる。
なお、プレ噴射は圧縮行程中のプレ噴射時期Tpに行われる。そのため、プレ噴射燃料が点火プラグ5による点火によって燃焼すると内燃機関1の機関出力を妨げるように作用するとも考えられる。しかしながら、プレ噴射燃料のプレ噴霧への点火による燃焼では、メイン噴射燃料の燃焼のための火種となる火炎が形成されればよい。そのため、上記のように、プレ噴射燃料において、点火によって生じる火炎伝播による燃焼に供されるのは、そのうちの一部である。したがって、プレ噴射燃料のスプレーガイド燃焼による機関出力を妨げるような作用は小さい。そして、スプレーガイド燃焼には供されないプレ噴射燃料の燃え残りはメイン噴射後においてメイン噴射燃料とともに自着火または拡散燃焼に供されるため機関出力に寄与することになる。そのため、プレ噴射燃料量を増量するとともにその燃え残り率を上昇させることでも、機関負荷の上昇に対応することができる。
また、上記のように、メイン噴射時期は内燃機関1の機関出力が概ね最大となる適正噴射時期に設定されている。そのため、メイン噴射燃料量を増量することによって機関負荷の上昇にある程度までは対応することができる。しかしながら、メイン噴射は、圧縮行程上死点近傍の燃焼室内の圧力が非常に高い時に行われるため、燃料噴射弁6から噴射された燃料噴霧のペネトレーションが小さくなる。つまり、メイン噴射によって噴射された燃料噴霧は広範囲に拡散し難い。そのため、メイン噴射燃料量が過剰に増量されると、メイン噴射燃料の噴霧の周囲に存在する酸素、即ち、メイン噴射燃料の燃焼に供される酸素の量が燃料に対して不足した状態となり、その結果、スモークの発生量が増加する虞がある。また、本実施例に係る燃焼制御では、メイン噴射後に燃料の自着火を生じさせる必要があるが、メイン噴射燃料量が過剰に多くなると、該メイン噴射燃料の気化潜熱によって燃焼室内の温度が低下し、燃焼が不安定となる虞もある。一方、メイン噴射時期においては、プレ噴射燃料の燃え残りは燃焼室内においてメイン噴射燃料よりも広範囲に拡散している。そのため、プレ噴射燃料の燃え残りが自着火または拡散燃焼に供される際には十分な酸素を確保し易い状態となっている。したがって、プレ噴射燃料の増量およびその燃え残り率の上昇により機関負荷の上昇に対応した場合、メイン噴射燃料量を増量した場合に比べてスモークの発生量を抑制することができる。
<有効圧縮比制御>
上述したように、本実施例に係る燃焼制御では、プレ噴射燃料の一部を点火プラグ5による点火によって生じる火炎伝播(すなわち、スプレーガイド燃焼における火炎伝播)によって燃焼させる。そして、プレ噴射燃料の燃え残りはメイン噴射実行開始後の燃焼に供される。しかしながら、内燃機関1の機関負荷が高くなると、圧縮行程中における気筒2内の圧力および温度が上昇する。そのため、内燃機関1の機関負荷がある程度以上高くなると、圧縮行程中のプレ噴射時期にプレ噴射を実行した際に、本来であれば、スプレーガイド燃焼における火炎伝播に供されるか、または、燃え残りとなるべきプレ噴射燃料が、メイン噴射時期よりも前に自着火する虞がある。プレ噴射燃料がメイン噴射時期よりも前に自着火すると、上述したようなプレ噴射燃料の燃え残りがメイン噴射実行開始後の燃焼に供されることによる効果を得ることができなくなる。そのため、スモークの発生量が増加することになる。また、圧縮行程の途中で燃料の自着火が発生することになるため、熱効率の低下や燃焼騒音の増大を招くことになる。
そこで、本実施例においては、内燃機関1の機関負荷が所定負荷より高い場合は、可変動弁機構90によって吸気弁9の開閉時期を制御することで、該機関負荷が該所定負荷以下の場合に比べて内燃機関1の有効圧縮比を低くする。図7は、本実施例に係る吸気弁の
開閉時期を示す図である。図7(a)は内燃機関の機関負荷が所定負荷以下のときの吸気弁の開閉時期を示しており、図7(b)は内燃機関の機関負荷が所定負荷より高いときの吸気弁の開閉時期を示している。なお、図7(a),(b)において、TDCは上死点(Top Dead Center)を表しており、BDCは下死点(Bottom Dead Center)を表している
この図7に示すように、内燃機関1の機関負荷が所定負荷より高いときは、可変動弁機構90によって吸気弁9の閉弁時期を、該機関負荷が該所定負荷以下のときよりも遅角させる。これによって、内燃機関1の機関負荷が所定負荷より高い場合は、該機関負荷が該所定負荷以下の場合に比べて内燃機関1の有効圧縮比を低くすることができる。内燃機関1の有効圧縮比を低くすることで、圧縮行程中における気筒2内の圧力および温度を低下させることができる。そのため、プレ噴射燃料がメイン噴射時期よりも前に自着火することを抑制することができる。その結果、プレ噴射燃料の燃え残りをメイン噴射実行開始後の燃焼に供することが可能となるため、スモークの発生量を抑制することができる。また、熱効率の向上や燃焼騒音の低減を図ることができる。
<燃焼制御マップ>
ここで、本実施例に係る燃焼制御に用いられる制御マップについて図8に基づいて説明する。図8の上段(a)では、内燃機関1の機関負荷とプレ噴射燃料量の相関を線L21で示し、該機関負荷とメイン噴射燃料量との相関を線L22で示し、該機関負荷と該機関負荷に対応した燃料噴射量である負荷対応噴射量との相関を線L20で示している。また、図8(a)において、S1は、運転領域R1(以下、低負荷領域R1と称する)とR2(以下、中負荷領域R2と称する)との境界となる機関負荷に対応する燃料噴射量を表している(以下、第1所定量S1と称する)。また、S2(>S1)は、中負荷領域R2と運転領域R3(以下、高負荷領域R3と称する)との境界となる機関負荷に対応する燃料噴射量を表している(以下、第2所定量S2と称する)。
また、図8の下段(b)では、内燃機関1の機関負荷とプレ噴射時期Tpの相関を線L31で示し、該機関負荷と点火時期Tsとの相関を線L30で示し、該機関負荷とメイン噴射時期Tmとの相関を線L32で示している。そして、線L31と線L32との間隔が噴射インターバルDiを示し、線L31と線L30との間隔が点火インターバルDsを示している。なお、図8(b)の縦軸は圧縮行程上死点を基準としたクランク角(BTDC: Before Top Dead Center)を表しており、その値が大きくなるほど圧縮行程におけるより早い時期であることを意味する。
負荷対応噴射量が第1所定量S1より少ない場合、すなわち、内燃機関1の機関負荷が低負荷領域R1に属する場合、図8(a)に示すように、プレ噴射燃料量Spが最小プレ噴射燃料量Spminに設定される。ここで、最小プレ噴射燃料量Spminは、メイン噴射が実行された際にメイン噴射燃料の燃焼開始のための火種となる火炎を形成することが可能なプレ噴射燃料量の下限値である。そして、図8(a)に示すように、低負荷領域R1では、機関負荷の増加に対してはメイン噴射燃料量Smのみの増加によって対応する。
また、メイン噴射時期Tmは、内燃機関1の熱効率を向上させるために圧縮行程上死点前の適正噴射時期に設定される。そして、低負荷領域R1では、適正噴射時期に設定されたメイン噴射時期Tmに対し、プレ噴射燃料量Spが最小プレ噴射燃料量Spminである場合に熱効率が好適な状態となる噴射インターバルDiが確保されるように、プレ噴射時期Tpが設定される。なお、上述のように、低負荷領域R1では、プレ噴射燃料量Spは最小プレ噴射燃料量Spminで固定される。そのため、低負荷領域R1では、噴射インターバルDiも一定に維持される。したがって、図8(b)に示すように、低負荷領域
R1では、機関負荷が増加することでメイン噴射燃料量Smが増加し、それに伴ってメイン噴射時期Tmが進角された場合、当該メイン噴射時期Tmの進角に連動してプレ噴射時期Tpも進角される。
また、図8(b)に示すように、プレ噴射時期Tpと点火時期Tsとのインターバルである点火インターバルDsは一定に維持される。そのため、低負荷領域R1では、メイン噴射時期Tmの増加に連動してプレ噴射時期Tpが進角された場合、当該プレ噴射時期Tpの進角に連動して点火時期Tsも進角される。
負荷対応噴射量が第1所定量S1以上であり且つ第2所定量S2より少ない場合、すなわち、内燃機関1の機関負荷が中負荷領域R2に属する場合、図8(a)に示すように、
機関負荷の増加に対してメイン噴射燃料量Smのみならずプレ噴射燃料量Spも増量することで対応する。したがって、中負荷領域R2では、図8(a)の線L21に示すように、内燃機関1の機関負荷が高いほどプレ噴射燃料量Spは増量される。さらに、中負荷領域R2では、図8(b)で線L31に示すように、プレ噴射燃料量Spの増量に従ってプレ噴射時期Tpが進角される。これにより、内燃機関1の機関負荷が高いほど、プレ噴射燃料の燃え残り量が多くなる。また、中負荷領域R2では、図8(a)で線L22に示すように、内燃機関1の機関負荷が高いほどメイン噴射燃料量Smも増量される。ただし、図8(a)で線L22に示すように、該中負荷領域R2におけるメイン噴射燃料量Smの増量比率(機関負荷の上昇量に対するメイン噴射燃料量Smの増加量の比率)は、プレ噴射燃料量Spが固定されている低負荷領域R1におけるメイン噴射燃料量Smの増量比率よりも小さくなる。これにより、メイン噴射燃料量の増量に起因するスモークの発生量の増加や、メイン噴射燃料の気化潜熱の増加に起因する失火の発生を抑制することができる。
また、中負荷領域R2では、図8(b)に示すように、内燃機関1の機関負荷が高いほど、噴射インターバルDiが大きくなるようにプレ噴射時期Tpが進角される。このようにプレ噴射時期Tpを制御することで、プレ噴射燃料の燃え残り量が多くなっても、プレ噴射燃料の燃え残りとメイン噴射燃料とが重なった部分の燃料濃度が高くなることを抑制することができる。その結果、これらの燃料の重なりに起因するスモークの発生量を抑制することができる。また、図8(b)に示すように、中負荷領域R2においても、低負荷領域R1と同様、プレ噴射時期Tpと点火時期Tsとのインターバルである点火インターバルDsは一定に維持される。
また、負荷対応噴射量が第2所定量S2より多い場合、すなわち、内燃機関1の機関負荷が高負荷領域R3に属する場合、図8(a)に示すように、メイン噴射燃料量Smは最
大メイン噴射燃料量Smmaxに設定される。ここで、最大メイン噴射燃料量Smmaxは、安定した燃焼を確保でき且つ過剰なスモークの発生を抑制できるメイン噴射燃料量の上限値である。そして、図8(a)に示すように、高負荷領域R3では、機関負荷の増加に対してはプレ噴射燃料量Spのみを増量することで対応する。このとき、図8(a)で線L21に示すように、高負荷領域R3におけるプレ噴射燃料量Spの増量比率は、中負荷領域R2におけるプレ噴射燃料量Spの増量比率よりも大きくなっている。
また、高負荷領域R3では、図8(b)の線L32に示すように、メイン噴射時期Tmが、最大メイン噴射燃料量Smmaxに対応する適正噴射時期に固定される。そして、高負荷領域R3では、図8(b)の線L31に示すように、プレ噴射燃料量Spの増加に応じてプレ噴射時期Tpを進角させる。すなわち、噴射インターバルDiが機関負荷の増加に応じて拡大するようにプレ噴射時期Tpが設定される。このとき、高負荷領域R3では、プレ噴射燃料量Spの増量比率が中負荷領域R2よりも大きいため、プレ噴射時期Tpの進角量の増量比率(機関負荷の上昇量に対するプレ噴射時期Tpの進角量の増量の比率
)も中負荷領域R2よりも大きくなる。これにより、スモークの発生量の抑制が図られる。
また、高負荷領域R3では、図8(b)の線L30に示すように、点火時期Tsも機関負荷の増加に従って進角される。ただし、このときの点火時期Tsの進角量の増量比率は、プレ噴射時期Tpの進角量の増量比率よりも小さい。つまり、高負荷領域R3では、点火インターバルDsが機関負荷の増加に応じて拡大していくことになる。これにより、プレ噴射燃料の燃え残り率をより高めることができる。つまり、メイン噴射燃料とともに燃焼に供される、プレ噴射燃料の燃え残り量をより増加させることができる。そのため、要求された機関負荷を満たすとともに内燃機関1の熱効率を好適に維持することが可能となる。
<燃焼制御フロー>
次に、本実施例に係る燃焼制御の制御フローについて図9に基づいて説明する。図9は、本実施例に係る燃焼制御の制御フローを示すフローチャートである。この制御フローは、ECU20に予め記憶されており、内燃機関1が稼働している間、ECU20に格納された制御プログラムが実行されることで、所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ず、S101において、アクセルポジションセンサ22の検出値に基づいて、内燃機関1の機関負荷Qeが算出される。次に、S102において、S101で算出された機関負荷Qeに基づき、本実施例に係る燃焼制御を実現するためのパラメータである、プレ噴射燃料量Sp、メイン噴射燃料量Sm、プレ噴射時期Tp、メイン噴射時期Tm、および点火時期Tsが決定される。このとき、図8に示す制御マップを用いて各パラメータの値が決定される。次に、S103において、S102で決定されたプレ噴射燃料量Sp、メイン噴射燃料量Sm、プレ噴射時期Tp、メイン噴射時期Tm、および点火時期Tsに従って、燃料噴射弁6によるプレ噴射およびメイン噴射と、点火プラグ5による点火とが実行される。これにより、本実施例に係る燃焼制御が実現される。
なお、図8に示す制御マップは、あくまで、本実施例に係る燃焼制御に用いられる制御マップの一例であって、内燃機関1の機関負荷と、燃焼制御における各制御パラメータとの相関はこの図8に示すものに限られるものではない。
<有効圧縮比制御フロー>
次に、本実施例に係る有効圧縮比制御の制御フローについて図10に基づいて説明する。図10は、本実施例に係る有効圧縮比制御の制御フローを示すフローチャートである。この制御フローは、ECU20に予め記憶されており、内燃機関1が稼働している間、ECU20に格納された制御プログラムが実行されることで、所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ず、S201において、アクセルポジションセンサ22の検出値に基づいて、内燃機関1の機関負荷Qeが算出される。次に、S202において、S201で算出された機関負荷Qeが所定負荷Qeth以下であるか否かが判別される。本実施例において、この所定負荷Qethは、図8に示すように、負荷対応噴射量が第1所定量S1より多く且つ第2所定量S2より少ない第3所定量S3となる機関負荷として定められている。ただし、所定負荷Qethは、必ずしも、中負荷領域R2に属する機関負荷である必要はない。
S202において肯定判定された場合、次にS203において、吸気弁9の開閉時期が、図7(a)に示す時期に設定される。一方、S202において否定判定された場合、つまり、機関負荷Qeが所定負荷Qethより高い場合、次にS204において、吸気弁9
の開閉時期が、図7(b)に示す時期に設定される。
上記フローによれば、内燃機関1の機関負荷Qeが所定負荷Qethより高い場合は、該機関負荷Qeが該所定負荷Qeth以下の場合に比べて内燃機関1の有効圧縮比が低くされることになる。
なお、本実施例では、有効圧縮比を低くする際に、図7に示すように、吸気弁9の作用角を維持した状態でその閉弁時期を遅角させるため、その開弁時期も同程度に遅角された。しかしながら、可変動弁機構90が吸気弁9の作用角を可変に制御することができる機構である場合は、吸気弁9の開弁時期を変更せずにその閉弁時期のみを遅角させることで有効圧縮比を低くしてもよい。
また、内燃機関1には、可変動弁機構90に代えて、燃焼室の容積を変更することで内燃機関の圧縮比を制御する可変圧縮比機構を設けてもよい。そして、この場合は、内燃機関1の機関負荷が所定負荷より高いときは、可変圧縮比機構によって、該機関負荷が該所定負荷以下のときに比べて内燃機関1の圧縮比を低くしてもよい。このような圧縮比の制御を実行することによっても、上述したような有効圧縮比の制御を実行した場合と同様の効果を得ることができる。なお、可変圧縮比機構としては、周知のどのような機構を適用してもよい。
また、本実施例においては、一燃焼サイクル中において、プレ噴射およびメイン噴射に加えて第3噴射を実行するようにしてもよい。この場合、第3噴射は、圧縮行程中におけるプレ噴射時期よりも前であって、且つ、噴射燃料がメイン噴射実行開始後の自着火または拡散燃焼に供される時期に実行される。これによれば、第3噴射によって噴射された燃料も内燃機関1の出力に寄与することとなる。そのため、より高い負荷領域においても、熱効率の高いディーゼル燃焼を実現することが可能となる。そして、このような第3噴射を実行する運転領域において、上述した有効圧縮比または圧縮比を低くする制御を実行することで、プレ噴射燃料のメイン噴射時期よりも前の自着火のみならず、第3噴射によって噴射された燃料がメイン噴射時期よりも前に自着火することも抑制することができる。
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・ピストン
5・・・点火プラグ
6・・・燃料噴射弁
7・・・吸気ポート
8・・・排気ポート
9・・・吸気弁
10・・排気弁
20・・ECU
21・・クランクポジションセンサ
22・・アクセルポジションセンサ
71・・スロットル弁
72・・エアフローメータ
90・・可変動弁機構

Claims (1)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射可能な燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧が点火可能領域を通過し該燃料噴霧に直接に点火可能となるように、該燃料噴射弁に対する相対位置が決定された点火装置と、
    圧縮行程中のプレ噴射時期に前記燃料噴射弁によるプレ噴射を実行するとともに該プレ噴射によって形成される燃料噴霧であるプレ噴霧に対し前記点火装置によって点火を行い、さらに、前記点火装置による前記プレ噴霧への点火後であり且つ圧縮行程上死点前の時期であって、前記プレ噴霧への点火によって生じた火炎を起点として噴射燃料の燃焼が開始されるように設定されたメイン噴射時期に前記燃料噴射弁によるメイン噴射の実行を開始することで、燃料の自着火を発生させるとともに少なくとも前記メイン噴射によって噴射された燃料の一部を拡散燃焼させる所定燃焼制御を実行する燃焼制御手段と、
    前記燃焼制御手段が前記所定燃焼制御を実行する運転領域において、内燃機関の機関負荷が所定負荷より高い場合は、該機関負荷が該所定負荷以下の場合に比べて、内燃機関の有効圧縮比または圧縮比を低くする圧縮比制御手段と、を備える内燃機関の制御装置。
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