JP2016199774A - 鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉 - Google Patents

鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉 Download PDF

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潔 木下
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Abstract

【課題】硫化物などの脱マンガン剤や造滓材、あるいは可燃性ガスを要せず、生成スラグの少ない鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉であって、マンガン含有量の高い鋳鉄用原材料からマンガンを迅速・効率的に除去して所要のマンガン等含有量の鋳鉄溶湯を供給することができる鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉を提供する。
【解決手段】本発明に係る鋳鉄の精錬炉は、鋳鉄溶湯を受け入れる炉体10と、その炉体10を精錬作業位置に回転させる回転手段20と、炉体10に受湯された鋳鉄溶湯の上面に酸素を供給する酸素供給手段14と、炉体10に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を供給する給気管18が炉体10の側面から炉体軸に対し下方に傾斜して前記炉体内に開口するように設けられた空気供給手段17と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、マンガン含有量の高い鋳鉄用原材料を用い、所要のマンガン等の含有量を有する鋳鉄溶湯を供給することができる鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉に関する。
鋳鉄鋳物は自動車部品や機械部品などに使用されており、鋳鉄鋳物の生産量の約半分が自動車用鋳物として生産され、自動車総重量の約10%を鋳鉄鋳物が占めている。この鋳鉄鋳物の製造に供される原材料は自動車用鋼板の鋼屑が利用されているところ、近年の軽量化の要請から自動車用鋼板のマンガン含有量が増加しており、マンガンがパーライト化促進元素であるため靱性が低下すること、また、内部欠陥を生じ易くなるということから問題になっている。
この鋳鉄部品の製造に供される原材料のマンガン含有量増加問題に対し、以下のような提案がされている。例えば、特許文献1に、マンガンを含む鋳鉄溶湯中に硫黄を含む脱マンガン処理剤を加え、硫化マンガンとして浮上させて溶湯中からマンガンを除去する鋳鉄の脱マンガン処理方法が提案されている。そして、マンガンの除去について、溶湯中で生成したMnSは浮上し溶湯表面のスラグ中に除去され、浮上除去を促進するためには、溶湯の入った取鍋底部のポーラスプラグからガスを吹込むなど、溶湯を攪拌することが有効であると記載されている。また、吹込みガスは、圧縮空気や窒素ガスが安価で使い易く、溶湯中の酸素量、窒素量の増加を抑えるためにはAr等の不活性ガスの方が好ましいと記載されている。
特許文献2に、熱源として天然ガス、液化石油ガス又は灯油等と純酸素を利用する回転炉による溶解において、装入材料地金として鋼屑と戻り屑又は鋼屑のみを用い、酸化性燃焼期に脱Mn溶解を行うことにより得られる原湯と、他炉であらかじめ溶解し、成分調整した溶湯とを併せ湯手段により得られる球状黒鉛鋳鉄の製造方法が提案されている。そして、この球状黒鉛鋳鉄の製造方法の実施例として、鋼屑60%と戻り屑40%の配合割合の材料地金を材料装入口より回転炉内に装入し、その上部に造滓剤として1.62%珪砂と0.30%石灰石を散布した後、純酸素と天然ガス(CH4)の容量比を1.95〜2.10の範囲に調整しながら溶解を行った実施例が記載されている。
特許文献3には、あらかじめ溶融された鋳鉄溶湯中に含まれている炭素およびシリコンの減耗を抑制しながら、マンガンを含む不純物を除去する方法であって、前記鋳鉄溶湯の温度を1250℃以上1500℃未満に維持して、該溶湯と酸性スラグ層とを接触させながら、燃料と酸素との理論燃焼比(酸素量(体積)×5/燃料(体積)量)が1〜1.5である酸素過剰の火炎を前記鋳鉄溶湯の表面に直接暴露して、該表面を過熱する鋳鉄溶湯中の不純物除去方法が提案されている。この不純物除去方法は、理論燃焼比が、1未満では過剰酸素不足で脱Mnは進まず、1.5以上では火炎の温度が上がらず脱Mnが効率よく進まないとされる。そして、炉体には、溶湯の表面をバーナーの火炎が直接暴露するように酸素バーナーが設置され、ランスにより溶湯内の下部に空気が吹き込まれるようになった実施例が図面とともに記載されている。
特開2003-105420号公報 特許平7-268432号公報 特開2011-153359号公報
特許文献1に記載のマンガン除去方法は、脱マンガン剤として硫化物を使用し、質量%で数パーセントの量が必要とされ、硫黄を含有する多量のスラグを生じるという問題がある。特許文献2に記載のマンガン除去方法は、併せ湯をしなければならず、造滓材を要するという問題がある。特許文献3に記載のマンガン除去方法は、高温作業を行う現場において可燃性ガスを使用するので好ましくないという問題がある。一方、特許文献3に記載のマンガン除去方法のようにマンガンを酸化して除去する方法は、酸化鉄の生成による鉄の減耗、スラグの増大を伴うので、マンガンの更なる迅速・効率的な除去方法が求められている。
本発明は、このような従来の問題点及び要請に鑑み、硫化物などの脱マンガン剤や造滓材、あるいは可燃性ガスを要せず、生成スラグの少ない鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉であって、マンガン含有量の高い鋳鉄用原材料からマンガン等を迅速・効率的に除去して所要のマンガン等含有量の鋳鉄溶湯を供給することができる鋳鉄の精錬方法及びこれに用いられる精錬炉を提供することを目的とする。
本発明に係る鋳鉄の精錬炉は、鋳鉄溶湯を受け入れる炉体と、その炉体を精錬作業位置に回転させる回転手段と、前記炉体に受湯された鋳鉄溶湯の上面に酸素を供給する酸素供給手段と、前記炉体に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を供給する給気管が前記炉体の側面から炉体軸に対し下方に傾斜して前記炉体内に開口するように設けられた空気供給手段と、を有する。
上記発明において、回転手段は、給気管の空気噴出方向が受湯された鋳鉄溶湯の表面と平行方向になるように炉体を回転させて精錬作業を行う制御部を有するのがよい。
また、給気管は、炉体内に開口する開口部が、空気供給手段から所定の空気が供給されるようになったときにのみ炉体に受湯された鋳鉄溶湯中にあるように設けられているのがよい。
本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、前記酸素の供給量を調整することによって前記鋳鉄溶湯中のマンガンの除去速度又は残存量を調整する方法である。
また、本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、前記酸素の供給量を調整することによって、前記鋳鉄溶湯中のシリコンが除去されるのを抑制しつつ、マンガンの除去を行う方法である。
また、本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、前記酸素の供給量を調整することによって、前記鋳鉄溶湯中のマンガンの除去を行うとともに、ボロンの除去を行う方法である。
上記鋳鉄の精錬方法において、鋳鉄溶湯を受湯した炉体を傾斜させて行うことは、鋳鉄に含有される成分と酸素との反応界面を増大することができるので好ましい。
本発明によれば、マンガン含有量の高い鋳鉄用原材料からマンガン等を迅速・効率的に除去して所要のマンガン等含有量の鋳鉄溶湯を供給することができる。また、本発明によれば、鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に維持しつつ、酸素供給量を調整することによって、迅速かつ効率的にマンガン及びボロンを除去し、あるいは、シリコンが除去されるのを抑制しつつマンガンの除去を行うことができる。そして、本発明に係る鋳鉄の精錬炉によって、本発明に係る鋳鉄の精錬方法を効果的に実施することができる。
本発明に係る鋳鉄の精錬方法を実施する炉を示した模式図である。 本発明に係る鋳鉄の精錬方法を好適に実施することができる鋳鉄の精錬炉を示す模式図である。 鋳鉄の精錬試験に係る実施例の酸素及び空気の供給状況を示すグラフである。 本発明に係る鋳鉄の精錬方法における鋳鉄溶湯の温度変化と、含有C、Si、Mn及びBが除去される様子(残存率曲線)を示すグラフである。 供給する酸素量とMn除去の関係を示すグラフである。 供給する酸素量とSi除去の関係を示すグラフである。 供給する酸素量と鋳鉄溶湯の温度変化との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明をする。本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉内に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法である。そして、前記酸素の供給量を調整することによって前記鋳鉄溶湯中のマンガンの除去速度又は残存量を調整する精錬方法である。例えば、図1に示す炉において炉1に受湯された鋳鉄溶湯5に給気管2を通じて空気を吹き込むとともに、酸素供給管3を通じて鋳鉄溶湯5の上面に酸素を供給し、その酸素の供給量を調整することによって本発明に係る鋳鉄の精錬方法が実施される。
酸素の供給量は、供給する酸素の流量、流速を制御することによって調整することができる。この場合、供給する酸素の流速をソニック効果が期待できる音速以上の流速にすることによって、鋳鉄溶湯表面のスラグを流動させ酸素の鋳鉄溶湯への供給を促進させることも考えられる。
鋳鉄溶湯中への空気の吹き込みも、酸素の場合と同様に、その流量を制御することによって調整するのがよい。鋳鉄溶湯中への空気の吹き込みは、鋳鉄中のマンガン等を空気中の酸素によって酸化し除去する効果があるが、本鋳鉄の精錬方法においては、空気の吹き込みによる鋳鉄溶湯表面の攪拌作用をその主要目的としている。このため、本鋳鉄の精錬方法においては、空気の吹き込みによる鋳鉄溶湯表面の攪拌作用が期待できるように、例えば鋳鉄溶湯5の表面下100mm〜200mmの位置に空気を供給できるようにする。本鋳鉄の精錬方法においては、酸素に接する鋳鉄溶湯表面は広い方が好ましく、酸素に接する鋳鉄溶湯表面を広くすることができる炉を使用するのが好ましい。本鋳鉄の精錬方法に使用する炉は、必ずしも特別の加熱手段を有する炉に限らず、取鍋のようなものであってもよく、反射炉や平炉なども使用することができる。
本鋳鉄の精錬方法における空気の吹き込み量は、例えば鋳鉄溶湯量が500kgの場合に200L/minの流量で行うことができる。空気の吹き込みのみによって鋳鉄中の含有マンガン等の酸化促進を期待するには、例えば400L/minの流量の空気吹き込みを要す。このような空気の吹き込みは、鋳鉄溶湯の全体を激しく攪拌して炉体を振動させるほどであり、あまり好ましくない。
このような鋳鉄溶湯中への空気の吹き込みは、例えば図1に示すような給気管2を鋳鉄溶湯5に差し込んで行われる。この給気管2は、鋳鉄溶湯に所定量の空気を供給しているとき(作業中)はその内部に鋳鉄溶湯が入り込むことはない。しかし、作業開始時や作業完了時のように空気の供給量が少ないか又は空気の供給がないときは、鋳鉄溶湯が給気管内部に侵入して凝固し、給気管が使用不可能になる不具合を生じ易い。このため、給気管2の高さ調整が可能な炉が考えられるが、図2に示す回転手段を有する炉が好ましい。このような炉によれば、上記給気管2の問題を解決するとともに、鋳鉄溶湯の酸素との反応界面を増大させマンガン等の除去促進を図る効果を得ることができる。
図2(a)に示す鋳鉄の精錬炉は、鋳鉄溶湯を受け入れる炉体10と、その炉体10を精錬作業位置に回転させる回転手段20と、炉体10に受湯された鋳鉄溶湯の上面に酸素を供給する酸素供給手段14と、炉体10に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を供給する給気管18が炉体10の側面から炉体軸に対し下方に傾斜して前記炉体内に開口するように設けられた空気供給手段17と、を有している。鋳鉄溶湯の上面への酸素の供給は、酸素供給管15によって行われる。炉体10の蓋12には、排ガス吸引口13を設けることができる。
本鋳鉄の精錬炉において、鋳鉄溶湯の受湯は、図2(b)に示すように炉体10が垂直状態(立った状態)で行う。このとき、鋳鉄溶湯30の表面35は、図2(b)に示す状態になっており、給気管18が炉内に開口した開口部は、鋳鉄溶湯30の上部にある。そして、精錬作業を行うときは、回転手段20により炉体10を回転して傾斜させた状態にし、図2(c)に示すように給気管18から鋳鉄溶湯30に空気を供給できるようにする。給気管18は、鋳鉄溶湯30の表面下100mm〜200mmの位置に空気を供給できるようにするのがよい。
本鋳鉄の精錬炉は、給気管18を炉体10の側面から炉体軸に対し下方に傾斜して炉体内に開口するように設けていることが特徴であり、炉体軸に対する傾斜角や給気管18の炉体内に開口する開口部の位置を所定の位置に設ける必要がある。すなわち、給気管18の開口部は、本鋳鉄の精錬炉の出湯量を考慮し、空気供給手段17から所定の空気が供給されるようになったときにのみ炉体10に受湯された鋳鉄溶湯中にあるような高さ位置に設けるようにしなければならない。
炉体10は、特に限定されないが、鋳鉄溶湯の受湯、出湯、スラグ除去又は移送等を容易に行うため基台50に設置できるものとすることができる。回転手段20は、精錬作業を行うとき、給気管18の空気噴出方向が受湯された鋳鉄溶湯30の表面と平行方向になるように炉体10を所定の位置、傾斜状態に回転させることができる制御部を有するものが好ましい。回転手段20の駆動部は、電動モータ、油圧シリンダなどを使用することができる。
図2に示す炉を使用し、鋳鉄中のマンガン等を除去する精錬試験を行った。試験は、表1に示す成分範囲に溶解した鋳鉄溶湯を、予め余熱を行った炉に受湯して行った。本試験中の鋳鉄溶湯の成分測定は、炉から適時試料を採取したサンプルについて発光分光分析装置(株式会社島津製作所製PDA-7020)を使用して行った。鋳鉄溶湯の温度測定は、浸漬型の熱電対により行った。鋳鉄注湯量は500kg又は300kgであった。酸素の供給源は液体酸素ボンベを使用した。なお、本試験に使用した鋳鉄溶湯は、表1に表示した成分以外に、V、Sn、Zn、Ca等を微小量含有するが、Moは検出されなかった。
Figure 2016199774
鋳鉄溶湯の上面への酸素の供給は、図3(a)に示すように酸素流量を各種変えて行った。鋳鉄溶湯中への空気の供給は、図3(b)に示すように行った。図3において、横軸は受湯後の処理時間を示し、縦軸は流量を示す。試験番号(1)の場合を説明すると、酸素の供給は、流量25N3/hで開始し、処理時間7分後に流量15N3/hに変更し、次に、処理時間29分後に流量25N3/hに変更して行った(図3(a))。空気の供給は、流量200L/minで開始し、処理時間13分後に流量230L/minに変更して行った(図3(b))。図3において、試験番号(5)の場合は、酸素の供給は行わず、受湯から処理時間15分まで10〜20kgの木炭を炉内に断続的に投入した(図3(a))。試験番号(2)〜(6)の場合は、200L/minの一定流量で空気の供給を行い、試験番号(1)及び(7)の場合のみ、200L/minの流量から試験途中に流量を変化させて空気の供給を行った(図3(b))。
図4に、試験番号(1)の鋳鉄溶湯中の炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)及びボロン(B)の含有量の時間変化(残存率)を示す。図4において、横軸は処理時間で、縦軸は残存率を示す。残存率とは、鋳鉄中の含有成分について、当初含有量に対する残留含有量の比を示す。この残存率曲線の勾配により、鋳鉄中の含有成分の除去速度を知ることができる。図4に示すように、本鋳鉄の精錬方法は、鋳鉄溶湯中のCの含有量がほぼ一定に保持された状態でMnを除去することができ、処理時間が30分程度でMnの含有量を半減以下にすることができる。そして、本鋳鉄の精錬方法は、Bの除去速度はMnの除去速度より速く、Bを急速に除去することができる方法である。また、図4において、□印は鋳鉄溶湯の温度(℃×10-3)の変化状態を示すが、試験開始後次第に低下していた湯温が処理時間25分後から上昇に向かって変化していることが観察される。すなわち、本鋳鉄の精錬方法は、特別な加熱手段が無くても比較的安定した溶湯温度で鋳鉄のMn等の除去を行うことができる方法である。
図5は、酸素の供給流量を各種変えた場合のMn残存率を示すグラフである。図5には、酸素の供給量によってMn残存率が左右されることが示されており、酸素の供給量を調整することによって、鋳鉄中のMnの除去量又は除去速度を調整することができることが示されている。図5の◇印で示す試験番号(3)は、処理時間10〜20分において酸素の供給量とMn除去の関係を示す様子が顕著に表れている。すなわち、このMn残存率曲線の形状は、酸素流量が15N3/hで試験開始され、処理時間11分後に酸素流量20N3/h、処理時間16分後に酸素流量25N3/hと次第に酸素供給流量を増大させた経過(図3(a))によく対応している。
また、☆印で示す試験番号(2)は、酸素流量50N3/hで試験開始し、処理時間7分後に酸素流量20N3/h、処理時間15分後に酸素流量15N3/hと次第に供給流量を減少させた場合であるが、処理時間0〜5分において急速なMn減少が観察され、その後、Mn残存率曲線は下に凸の形状になり、Mn減少量が次第に少なくなっているのが観察される。▲印で示す試験番号(5)は、鋳鉄溶湯中への空気の供給のみで、酸素の供給は行わなかった場合であるが、Mnの除去速度が最も遅くなっている。図5を概観すると、鋳鉄溶湯への酸素の供給量はある程度以上が必要であること、酸素供給量は多いほどよいこと、また、酸素の供給は試験開始時又は試験開始の早い時期に多いほうが好ましいように観察される。
図6は、酸素の供給流量を各種変えた試験のSi残存率を示すグラフである。図6を図5と比較すると、Siの酸化による除去の様子は、Mnの酸化による除去の様子と類似していることが解る。しかしながら、図6によると、Siの残存率曲線の方が、Mnの残存率曲線の場合より、酸素の供給量による影響が明瞭であるように観察される。例えば、●印で示す試験番号(1)は、酸素流量25N3/hで試験開始し、処理時間7分後に酸素流量15N3/h、処理時間29分後に酸素流量25N3/hと酸素供給量を変化させているが、図6のSiの残存率曲線は、この供給される酸素量の変化によく対応してことが観察される。一方、図5に示すMn残存率曲線には、処理時間29分後に酸素流量25N3/hに増加させた効果が現れていない。また、Siの残存率曲線は、酸素供給量の多い試験番号(1)、(2)のグループと、酸素供給量の少ない試験番号(4)〜(7)のグループの2つに明瞭に二分されている。そして、酸素の供給を行わなかった試験番号(5)は、酸素の供給量が5N3/hであった試験番号(4)〜(7)のSi残存率曲線とほとんど同じである。
図7は、酸素の供給流量を各種変えた場合の鋳鉄溶湯の温度変化を示すグラフである。図7において、横軸は処理時間、縦軸は溶湯温度を示す。図7に示す温度変化曲線も、酸素供給量の多い試験番号(1)〜(3)のグループと、酸素供給量の少ない試験番号(4)〜(7)のグループにほぼ二分されている。試験番号(1)〜(3)のグループは、試験途中で溶湯温度が上昇しており、試験番号(2)は処理時間が10分過ぎに、試験番号(1)、(3)は処理時間20分前後に溶湯温度が上昇している。一方、試験番号(4)〜(7)は溶湯温度がほぼ下降するのみである。
上述のように、試験番号(1)〜(3)のグループは、試験開始から下降していた溶湯温度が途中から上昇し始めるが、この鋳鉄溶湯の温度上昇範囲においては、鉄の酸化スラグ量が増大しているように観察される。このため、鋳鉄に含有されるMnの効率的な除去を行うには、処理時間30分以内、好ましくは、処理時間15〜20分の間に行うのがよい。このような短時間でMnの除去、あるいはMn、Bなどの除去を行うことができれば鋳鉄溶湯の温度低下も少なく、その精錬を行った鋳鉄溶湯を効率的、経済的に次工程につなげることができる。
1 炉
2 給気管
3 酸素供給管
5 鋳鉄溶湯
10 炉体
12 蓋
13 排ガス吸引口
14 酸素供給手段
15 酸素供給管
17 空気供給手段
18 給気管
20 回転手段
30 鋳鉄溶湯
35 表面
50 基台

Claims (7)

  1. 鋳鉄溶湯を受け入れる炉体と、その炉体を精錬作業位置に回転させる回転手段と、前記炉体に受湯された鋳鉄溶湯の上面に酸素を供給する酸素供給手段と、前記炉体に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を供給する給気管が前記炉体の側面から炉体軸に対し下方に傾斜して前記炉体内に開口するように設けられた空気供給手段と、を有する鋳鉄の精錬炉
  2. 回転手段は、給気管の空気噴出方向が受湯された鋳鉄溶湯の表面と平行方向になるように炉体を回転させて精錬作業を行う制御部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳鉄の精錬炉。
  3. 給気管は、炉体内に開口する開口部が、空気供給手段から所定の空気が供給されるようになったときにのみ炉体に受湯された鋳鉄溶湯中にあるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鋳鉄の精錬炉。
  4. 炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、
    前記酸素の供給量を調整することによって前記鋳鉄溶湯中のマンガンの除去速度又は残存量を調整する鋳鉄の精錬方法。
  5. 炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、
    前記酸素の供給量を調整することによって、前記鋳鉄溶湯中のシリコンが除去されるのを抑制しつつ、マンガンの除去を行う鋳鉄の精錬方法。
  6. 炉に受湯された鋳鉄溶湯中に空気を吹き込むとともに、その鋳鉄溶湯上面に酸素を供給し、前記鋳鉄溶湯中の炭素含有量をほぼ一定に保持して行う鋳鉄の精錬方法であって、
    前記酸素の供給量を調整することによって、前記鋳鉄溶湯中のマンガンの除去を行うとともに、ボロンの除去を行う鋳鉄の精錬方法。
  7. 鋳鉄溶湯を受湯した炉体を傾斜させて行うことを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の鋳鉄の精錬方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102164211B1 (ko) * 2019-04-22 2020-10-12 한양대학교 에리카산학협력단 고엔트로피 합금의 제조 방법 및 이를 이용하여 제조된 고엔트로피 합금

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