JP2016199499A - (2s)−2−メチルアミノ−n−ヒドロキシ−n’,2−ジメチルプロパンジアミドを有する化合物の結晶形及びそれらの製造方法 - Google Patents

(2s)−2−メチルアミノ−n−ヒドロキシ−n’,2−ジメチルプロパンジアミドを有する化合物の結晶形及びそれらの製造方法 Download PDF

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哲也 藪内
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佑大 今井
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Yosuke Yamada
洋介 山田
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洋樹 浦部
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Abstract

【課題】(2S)−2−メチルアミノ−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドを有する化合物の医薬原体としての安定な結晶形及び該結晶形の製造方法を提供する。【解決手段】(d)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度にピークを有する;(e)融点(分解)が166〜171℃である;並びに(f)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1にある;前記物性を有する(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのB形結晶などにより解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド及びそのp−トルエンスルホン酸塩の結晶多形及びそれらの製造方法に関する。
本発明は、グラム陰性細菌及びその薬剤耐性菌に対して抗菌活性を有する新規なヒドロキサム酸誘導体に関する。
グラム陰性細菌には、グラム陽性細菌には存在しない脂質二重層からなる外膜が存在する。したがって、薬剤透過性の問題からグラム陽性細菌と比較して、グラム陰性細菌は強い薬剤抵抗性を有する傾向にある。また、グラム陰性細菌は複数の薬剤排出蛋白を持つことが知られている。非特許文献1には、薬剤排出蛋白も薬剤抵抗性に関与していることが開示されている。さらに、外膜の主要な構成成分の一つであるリポポリサッカライド(LPS)は、エンドトキシンとして毒性に大きく関与している。
グラム陰性細菌の中でも、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は各種の抗菌薬に自然耐性を示す傾向が強いことが知られている。緑膿菌は自然環境や生活環境中に広く常在するが、健常者には通常病原性を示さない弱毒細菌である。しかし、重篤な基礎疾患を持つ患者や、移植等により免疫抑制剤を使用するいわゆるコンプロマイズドホストといわれる患者、医療用カテーテルや気管挿管、外科手術等の医療行為を行っている患者に対しては、緑膿菌は敗血症等の重篤な急性感染症を引き起こす病原菌となる。それゆえに、緑膿菌は日和見感染症や院内感染症の重要な起因細菌の一つである。
近年、医療現場において、本来緑膿菌に効果が期待される第3世代セフェム系薬、カルバペネム系薬、又はアミノ配糖体系薬等に耐性を獲得した緑膿菌がしばしば臨床分離されている(非特許文献2)。また、前記3系統薬全てに耐性を獲得した多剤耐性緑膿菌も分離されている(非特許文献3)。
多剤耐性緑膿菌に感染すると有用な薬剤がほとんどないことから、多剤耐性緑膿菌は、難治性の感染症疾患の起因菌として世界的に大きな問題となっている。そこで、新規作用機序を有する薬剤の開発が切望されている。
UDP−3−O−アシル−N−アセチルグルコサミンデアセチラーゼ(LpxC)は、外膜の構成成分であるLPSの疎水性アンカーであるリピドAの合成を担う酵素である。リピドA生合成は10段階の反応からなる。LpxCはその生合成反応の第2段階を触媒し、UDP−3−O−アシル−N−アセチルグルコサミンのアセチル基を離脱させる(非特許文献4)。リピドAは外膜形成に必須な成分であり、結果的にグラム陰性細菌の生存に必須である(非特許文献5)。
すなわち、LpxCは、リピドA生合成過程において律速となる重要な酵素の一つであり、リピドA生合成に必須な酵素である。したがって、LpxCの活性を阻害する薬剤は、緑膿菌を含むグラム陰性細菌に対して、特に従来薬剤と異なる作用機序を有することから薬剤耐性緑膿菌に対して有効な抗菌剤になり得ることが強く期待される。
LpxC阻害剤として、アミド構造を有する阻害剤が特許文献1〜10及び非特許文献6〜13に開示されている。
これらの中で、マロン酸アミド骨格を有する化合物として、特許文献5及び9には、マロン酸アミド骨格及びジエチニル構造を有する化合物が開示されている。
特許文献5には、具体的に、シクロプロピル環をジエチニル末端部分に有する化合物507が開示されている。
特許文献9には、具体的に、シクロプロピル環を有する化合物として化合物233が開示されている。特許文献9には、化合物197、化合物209及び化合物221が開示され、化合物8は合成法及び抗菌活性が開示されている。
また、本発明の化合物に関して、医薬品としては工業的規模における取り扱い易さと製品の保存安定性の面から優れた物理的特性が望まれる。
国際公開第2004/062601号 国際公開第2007/069020号 国際公開第2008/154642号 国際公開第2010/031750号 国際公開第2011/132712号 国際公開第2012/154204号 国際公開第2013/039947号 国際公開第2013/170030号 国際公開第2013/170165号 国際公開第2014/142298号
Antimicrobial Resistance(2002)Mar 1,34,p.634−640. J.Antimicrob.Chemother.(2003)Jan 14,51,p.347−352. Jpn.J.Antibiotics(2006),59(5),p.355−363. J.Biol.Chem.(1995)Dec 22,270,p.30384−30391. J.Bacteriol.(1987),169,p.5408−5415 J.Med.Chem.(2002),45,p3112−3129. Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2007),104,p18433−18438. Chem.Biol.(2011),18,p38−47. Bioorg.Med.Chem.(2011),19,p852−860. Bioorg.Med.Chem.Lett.(2011),21,p1155−1161. Current Med.Chem.(2012),19,p2038−2050. Bioorg.Med.Chem.Lett.(2013),23,p2362−2367. J.Med.Chem.(2013),56,p6954−6966.
本発明の目的は、緑膿菌をはじめとするグラム陰性細菌及びその薬剤耐性菌に対して抗菌活性を有し、医薬品として有用な新規化合物を提供することにある。
また、本発明の目的は、医薬品として工業的規模における取り扱い易さと保存安定性の面で医薬品や医薬品原料としての使用環境で好ましい安定な結晶形とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、下記式[1]で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(以下、本明細書では化合物Aと記載することもある)には、緑膿菌をはじめとするグラム陰性細菌及びその薬剤耐性菌に対して強い抗菌活性を有し、A形結晶及びB型結晶が存在することを見出した。
Figure 2016199499
また、化合物Aはp−トルエンスルホン酸と1:1の下記式[2]で表される塩の結晶を形成することを見出した。
Figure 2016199499
本発明は、以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)
下記(a)〜(c)の物性を有する、
式[1]
Figure 2016199499
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのA形結晶。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=5.6度、13.2度,15.0度及び18.9度にピークを有する;
(b)融点(分解)が143〜148℃である;並びに
(c)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1686cm-1、1601cm-1、1399cm-1、1041cm-1、及び846cm-1にある。
(2)
下記(d)〜(f)の物性を有する、
式[1]
Figure 2016199499
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのB形結晶。
(d)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度にピークを有する;
(e)融点(分解)が166〜171℃である;並びに
(f)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1にある。
(3)
下記(g)〜(i)の物性を有する、
式[2]
Figure 2016199499
で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド p−トルエンスルホン酸塩の結晶。
(g)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.0度、13.3度,19.1度及び22.0度にピークを有する;
(h)融点(分解)が146〜151℃である;並びに
(i)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1700cm-1、1614cm-1、1180cm-1、1036cm-1及び1010cm-1にある。
(4)
クロロホルム、メタノール及びアセトニトリル混合溶液に溶解した(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドに、アセトニトリル及びイソプロピルエーテルを加えて結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする(1)に記載の結晶の製造方法。
(5)
アセトニトリルに(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドを溶解させた後に結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする(2)に記載の結晶の製造方法。
(6)
(1)に記載の結晶形を有する(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのA形結晶と共に、(2)に記載の結晶形を有する(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのB形結晶をアセトニトリル中で撹拌して、(2)に記載のB形結晶形に転移させた後に結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする(2)に記載のB形結晶の製造方法。
(7)
(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド及びp−トルエンスルホン酸を酢酸エチルあるいは酢酸エチル及びメタノール混合液中で攪拌して結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の結晶の製造方法。
本発明で見出した化合物AのA形結晶、B形結晶及び化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の結晶は、いずれも取り扱いやすく有用な医薬品原料となりうることが確認された。
また、本発明により該結晶を、同一品質で簡便に取得するための製造方法を提供することができ、該結晶形を用いることにより、化合物Aはグラム陰性細菌への抗菌剤として好ましく使用することができる。
化合物AのA形結晶の粉末X線回折パターンを示す。 化合物AのA形結晶の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 化合物AのA形結晶の赤外吸収スペクトル(ATR法)を示す。 化合物AのB形結晶の粉末X線回折パターンを示す。 化合物AのB形結晶の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 化合物AのB形結晶の赤外吸収スペクトル(ATR法)を示す。 化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。 化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の赤外吸収スペクトル(ATR法)を示す。
以下、本発明を実施するための形態について以下詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明において、「薬学的に許容される塩」とは、細菌感染症の化学療法及び予防において使用される塩を意味する。
「薬学的に許容される塩」としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ステアリン酸、コハク酸、エチルコハク酸、マロン酸、ラクトビオン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(トシル酸)、ラウリル硫酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、システイン、N−アセチルシステイン、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、ヨウ化水素酸、ニコチン酸、シュウ酸、ピクリン酸、チオシアン酸、ウンデカン酸、アクリル酸ポリマー及びカルボキシビニルポリマー等の酸との塩、モルホリン及びピペリジン等の有機アミンとの塩、並びにアミノ酸との塩などが挙げられる。
「薬学的に許容される塩」としては、無機塩基との塩であってもよい。無機塩基との塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩などが挙げられる。
本発明化合物は、水和物を形成していてもよく、溶媒和物を形成していてもよい。本発明の化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合、それらも本発明の範囲内に含まれる。
本発明化合物が「溶媒和物」を形成する場合の「溶媒」とは特に示さない限り、例えば極性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及びブタノール等のアルコール系溶媒並びに酢酸エチル等)、不活性溶媒(例えば、クロロホルム及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド及びアセトニトリル等の非プロトン性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類並びにヘキサン及びシクロヘキサン等の炭化水素類など)、2−ブタノン及びアセトンなどを意味する。「溶媒」としては、ここに例示した溶媒の混合溶媒であってもよい。
本発明において、「抗菌剤」とは、グラム陽性細菌やグラム陰性細菌といった細菌に作用してその生育を抑制又は殺菌する能力を持つ物質を意味する。菌の繁殖を抑えたり、一部の菌を殺してその数を減少させたりするようなものでもよい。
グラム陽性細菌としては、例えば、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌等)、連鎖球菌属(化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌及び肺炎球菌等)、腸球菌属(エンテロコッカス・フェカーリス及びエンテロコッカス・フェシウム等)などが挙げられる。
グラム陰性細菌としては、例えば、シュードモナス属(緑膿菌等)、大腸菌属(大腸菌等)、クレブシエラ属(肺炎桿菌及びクレブシエラ・オキシトカ等)、ヘモフィルス属(インフルエンザ菌及びパラインフルエンザ菌等)、ボルデテラ属(百日咳菌及び気管支敗血症菌等)、セラチア属(セラチア・マルセッセンス等)、プロテウス属(プロテウス・ブルガリス及びプロテウス・ミラビリス等)、エンテロバクター属(エンテロバクター・エアロジェネシス及びエンテロバクター・クロアカ等)、カンピロバクター属(カンピロバクター・ジェジュニ等)、シトロバクター属(シトロバクター・フレウンディ等)、プロビデンシア属(プロビデンシア・スチュアーティ等)、ステノトロフォモナス属(ステノトロフォモナス・マルトフィリア等)、ビブリオ属(腸炎ビブリオ及びコレラ菌等)、モルガネラ属(モルガネラ・モルガニ等)、サルモネラ属(チフス菌及びパラチフス菌等)、シゲラ属(赤痢菌等)、アシネトバクター属(アシネトバクター・バウマニー及びアシネトバクター・カルコアセチカス等)、レジオネラ属(レジオネラ・ニューモフィラ等)、バクテロイデス属(バクテロイデス・フラジリス等)、ナイセリア属(淋菌及び髄膜炎菌等)、モラキセラ属(モラキセラ・カタラーリス等)、クラミジア属(クラミジア・トラコマティス及びクラミジア・シッタシー等)及びヘリコバクター属(ヘリコバクター・ピロリ等)などが挙げられる。
本発明の化合物は、一つ又は二つ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合せて医薬的組成物とすることができる。
上記担体、賦形剤及び希釈剤として、例えば、水、乳糖、デキストロース、フラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デンプン、ガム、ゼラチン、アルギネート、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、セルロース、水シロップ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルキルパラヒドロキシベンゾソルベート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリン及び各種油(ゴマ油、オリーブ油及び大豆油等)などが挙げられる。
医薬組成物には、上記担体、賦形剤又は希釈剤に加え、必要に応じて一般に使用される増量剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、溶解剤及び着香剤等の添加剤を混合してもよい。
医薬組成物は、常用の製剤技術によって錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、注射剤(筋肉内注射剤及び静脈内注射剤を含む)、点滴静注剤及び皮膚貼付剤などの経口又は非経口用医薬として調製することができる。
本発明の化合物は、成人患者に対して30〜3000mg、好ましくは100〜1500mgを1日1回又は数回に分けて非経口又は経口で投与することが可能である。好ましい投与形態は、点滴静脈内注射又は静脈内注射であり、より好ましい投与形態は点滴静脈内注射である。投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重及び症状などに応じて、適宜増減することが可能である。また、本発明の化合物は、他の薬剤との組み合わせで使用することも可能である。
本発明の(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)のA形結晶は、クロロホルム、メタノール及びアセトニトリル混合溶液に、アセトニトリル及びイソプロピルエーテル混合液を加えて結晶化させることで製造することができる。
化合物AのA形結晶の粉末X線回折パターンは図1に示した通りであり、5.6度、13.2度,15.0度及び18.9度付近の回折角(2θ)にピークを有することを特徴とする。
化合物AのA形結晶の示差熱分析/熱質量測定カーブは図2に示した通りであり、融点(分解)に由来する示差熱分析の吸熱ピーク(オンセットの温度)が143〜148度であるという特徴を有する。なお、吸熱ピークは測定ごとにずれることもあり、幅をもった記載とした。
化合物AのA形結晶の赤外吸収スペクトルは図3に示した通りであり、1686cm-1、1601cm-1、1399cm-1、1041cm-1、及び846cm-1付近の特性吸収帯を有することを特徴とする。
本発明の(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)のB形結晶は、アセトニトリル溶液で結晶化させることで製造することができる。また、A形結晶の粉末とB形結晶の粉末のアセトニトリル懸濁液を攪拌して結晶形を転移させることで製造することができる。
化合物AのB形結晶の粉末X線回折パターンは図4に示した通りであり、9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度付近の回折角(2θ)にピークを有することを特長とする。
化合物AのB形結晶の示差熱分析/熱質量測定カーブは図5に示した通りであり、融点(分解)に由来する示差熱分析の吸熱ピーク(オンセットの温度)が166〜171℃であるという特徴を有する。なお、吸熱ピークは測定ごとにずれることもあり、幅をもった記載とした。
化合物AのB形結晶の赤外吸収スペクトルは図6に示した通りであり、1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1付近の特性吸収帯を有することを特徴とする。
本発明の(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)のp−トルエンスルホン酸塩の結晶は、酢酸エチルあるいは酢酸エチル/メタノール混合液中で結晶化させることで製造することができる。
化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の粉末回折パターンは図7に示した通りであり、9.0度、13.3度,19.1度及び22.0度付近の回折角(2θ)にピークを有することを特徴とする。
化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の示差熱分析/熱質量測定カーブは図8に示した通りであり、融点(分解)に由来する示差熱分析の吸熱ピーク(オンセットの温度)が146〜151℃であるという特徴を有する。なお、吸熱ピークは測定ごとにずれることもあり、幅をもった記載とした。
化合物Aのp−トルエンスルホン酸塩の赤外吸収スペクトルは図9に示した通りであり、1700cm-1、1614cm-1、1180cm-1、1036cm-1及び1010cm-1付近の特性吸収帯を有することを特徴とする。
以上より、本発明の製造方法により製造されるA形結晶、B形結晶及びp−トルエンスルホン酸塩の結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。
後述の試験例で示されるように、本発明の製造方法により製造されるB形結晶は、特に医薬品として使用される環境において安定な結晶であるから、医薬品の原薬として好ましく利用できる。すなわち、本発明によれば、医薬組成物又は医薬品を製造するために、A形結晶に加えてB形結晶及びp−トルエンスルホン酸塩の使用をも提供できる。
以下に、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、また、本発明の範囲内で適宜、変化させてもよい。
MS(マススペクトル)はLCMS−IT−TOF(島津製作所製)の装置にて測定した。イオン化法としては、ESI(Electrospray Ionization、エレクトロスプレーイオン化)法又は、ESIとAPCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization、大気圧化学イオン化)法とのデュアルイオン化法を用いた。データは実測値(found)を記載した。通常、分子イオンピークが観測されるが、水酸基(−OH)を有する化合物の場合、フラグメントピークとしてHOが脱離したピークが観測されることもある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピーク若しくはフラグメントイオンピークが観測される。
高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は、以下の条件を用いた。
測定機械:Agilent社製 Agilent1290及びAgilent社製 Agilent6130
カラム:Waters社製 Acquity UPLC(登録商標) CSH(登録商標)C18 1.7μm 2.1x50mm
イオン化法:電子衝撃イオン化法(Electron Spray Ionization: ESI)
溶媒:A液;0.1%ぎ酸含有水、B液;0.1%ぎ酸含有アセトニトリル
(条件1)
流速:0.8mL/min
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2分(A液/B液=80/20)、1.4分(A液/B液=1/99)
(条件2)
流速:0.8mL/min(0分−1.2分)、1.0mL/min(1.2分−1.38分)
グラジエント:0分(A液/B液=95/5)、1.2分(A液/B液=50/50)、1.38分(A液/B液=3/97)
NMRスペクトルはプロトンNMRを示し、内部基準としてテトラメチルシランを用いて、δ値をppmで示した。
元素分析はvario MICRO cube(elementar製)の装置にて測定した。
OH型シリカゲルクロマトグラフィー及びNH型シリカゲルクロマトグラフィーにおける担体は、グレースジャパン株式会社製のREVELERIS(登録商標)などのパックドカラムを用いた。フェーズセパレーターは、バイオタージ株式会社製のものを用いた。
実施例中の略号を以下に示す。
AcOEt:酢酸エチル
APCI:大気圧化学イオン化法
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N、N−ヂメチルホルムアミド
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
IPE:ジイソプロピルエーテル
LC:液体クロマトグラフィー
MeI:ヨウ化メチル
MeNH:メチルアミン
MeOH:メタノール
n−BuNH:ノルマルブチルアミン
p−TsOH・HO:p−トルエンスルホン酸一水和物
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
s:シングレット
br.s.:ブロードシングレット(幅広いシングレット)
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
m:マルチプレット
t:トリプレット
q:カルテット
br.q.:ブロードカルテット(幅広いカルテット)
本発明において、「p−」は、パラを意味する。「n−」はノルマルを、「t−」はターシャリーを意味する。また、室温とは10〜30度を意味し、場合によっては1〜30度を意味する。
<実施例1> A形結晶の製造例
(スキーム1)
Figure 2016199499
参考例に記載の方法で得られた(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、22.6g)をMeOH(226mL)に溶かして氷浴攪拌した。そこへp−トルエンスルホン酸一水和物(13.9g)を5分かけて分割投入して、室温で45分攪拌した。反応液に対し、別途に炭酸水素ナトリウム(6.51g)と水(69mL)で調製した炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルム(1L)で2回、クロロホルム(400mL)とメタノール(100mL)の混媒で1回、抽出を行った。有機層をフェーズセパレーターに通して、溶媒を減圧下留去した。得られた残留物を珪藻土に吸着させて、OH型シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0→80/20)にて精製して、カラムフラクションを濃縮した。溶媒が少なくなったところにアセトニトリル(60mL)を加えて更に濃縮した。50mLくらい留去したところで析出し始めたので濃縮を止め、アセトニトリル(60mL)を追加した。そこへイソプロピルエーテル(140mL)を1時間以上かけてゆっくり滴下しながら終夜攪拌した。析出物をろ過して、イソプロピルエーテル(80mL)でケーキ洗浄して乾燥して、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A、12.2g、肌色固体、66%)の結晶を得た。
LCMS保持時間:0.58分(条件2)
MS(ESI):m/z=381(M−H)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.85 - 0.89 (m, 2 H) 0.95 - 1.00 (m, 2 H) 1.61 (s, 3 H) 2.62 - 2.65 (m, 3 H) 2.98 (s, 3 H) 7.47 - 7.68 (m, 4 H) 8.50 (d, J=4.5 Hz, 1 H) 8.96 (br. s., 1 H) 10.95 (br. s., 1 H)
得られた化合物Aの結晶の粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(SmartLab)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=5.6度、13.2度,15.0度及び18.9度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、窒素雰囲気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、143〜148℃(オンセットの温度)に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
赤外スペクトルを島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計(IRAffinity−1)を用い、全反射法(ATR法)にて積算回数45回、分解能:2cm-1の条件で測定した。1686cm-1、1601cm-1、1399cm-1、1041cm-1、及び846cm-1付近にピークが認められた。
本実施例1で得られた化合物Aの結晶形をA形結晶とした。
<実施例2−1> B形結晶の製造例1
(スキーム2)
Figure 2016199499
参考例に記載の方法で得られた(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、14.3g)をMeOH(307mL)に溶かして氷浴攪拌した。そこへp−トルエンスルホン酸一水和物(7.00g)を加えて、室温で1時間攪拌した。反応液に対し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで3回抽出を行った。水層を更に飽和塩化アンモニウム水溶液により中性とした後、クロロホルムで3回抽出を行った。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄後、フェーズセパレーターに通して、溶媒を減圧下留去した。得られた残留物を珪藻土に吸着させて、OH型シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=96/4→66/34)にて精製して、カラムフラクションを濃縮し、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)の粗生成物(5.20g)を得た。このものに同様にして得られた化合物Aの粗生成物(250mg)を混合し、5倍量のアセトニトリルに溶解させ、撹拌した。析出した固体を濾別し、化合物Aの結晶(2.71g、無色固体、23%)を得た。
LCMS保持時間:0.57分(条件2)
MS(ESI):m/z=381(M−H)
1H NMR (600 MHz, MeOH-d3) δ ppm 0.94 - 1.08 (m, 4 H) 1.76 (s, 3 H) 2.78 (s, 3 H) 3.13 (s, 3 H) 7.35 - 7.75 (m, 4 H)
得られた化合物Aの結晶の粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(SmartLab)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、窒素雰囲気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、166〜171℃(オンセットの温度)に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
赤外スペクトルを島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計(IRAffinity−1)を用い、全反射法(ATR法)にて積算回数45回、分解能:2cm-1の条件で測定した。1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1付近にピークが認められた。
本実施例2−1で得られた化合物Aの結晶形をB形結晶とした。
<実施例2−2> B形結晶の製造例2
(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)のA型結晶(50mg)に、化合物AのB型結晶(5mg)を添加し、アセトニトリル(1mL)で室温下終夜撹拌した。析出物を濾別して、化合物Aの結晶(37mg、無色固体、67%)を得た。
得られた化合物Aの結晶の粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(SmartLab)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、窒素雰囲気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、166〜171℃(オンセットの温度)に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
赤外スペクトルを島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計(IRAffinity−1)を用い、全反射法(ATR法)にて積算回数45回、分解能:2cm-1の条件で測定した。1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1付近にピークが認められた。
本実施例2−2で得られた化合物Aの結晶形はB形結晶であった。
<実施例3> p−トルエンスルホン酸塩の結晶の製造例
(スキーム3)
Figure 2016199499
参考例に記載の方法で得られた(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、100mg)の酢酸エチル溶液(5mL)にメタノール(5mL)、p−トルエンスルホン酸一水和物(81mg)を加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し反応混合物を3分の1程度に濃縮後、酢酸エチル5mLを加え再度溶媒を減圧留去し反応混合物を約5mLまで濃縮した。得られた懸濁液をろ過し、固体を酢酸エチルで洗浄後乾燥して(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド(化合物A)のp−トルエンスルホン酸塩(111mg、無色固体、94%)を結晶として得た。
MS(ESI):m/z=381(M−H)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.34 - 1.45 (m, 4 H), 1.61 (s, 3 H), 2.29 (s, 3 H), 2.63 (d, J=4.5 Hz, 3 H), 2.97 (s, 3 H), 7.10 - 7.12 (m, 2 H), 7.46 - 7.48 (m, 2 H), 7.56 - 7.58 (m, 2 H), 7.67 - 7.68 (m, 2 H), 8.51 (br. q., J=4.5 Hz, 1 H), 8.71 (br. s., 3 H), 8.97 (br. s., 1 H), 10.96 (br. s, 1 H)
得られた結晶の粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(SmartLab)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=9.0度、13.3度,19.1度及び22.0度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、窒素雰囲気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、146〜151℃(オンセットの温度)に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
赤外スペクトルを島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計(IRAffinity−1)を用い、全反射法(ATR法)にて積算回数45回、分解能:2cm-1の条件で測定した。1700cm-1、1614cm-1、1180cm-1、1036cm-1及び1010cm-1付近にピークが認められた。
ここで、中間体1は、以下の参考例で示される方法によって合成する事が可能である。
(参考例1)
(スキーム4)
Figure 2016199499
(1)2−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)マロン酸ジエチル(25・7g)のDMF(250mL)溶液に、炭酸セシウム122gを加えた後、水浴下でヨウ化メチル(23.2mL)を滴下した。滴下終了後、反応系を密閉系にして室温で5日間攪拌した。反応液に水を加え、n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1溶液(700mL)を加えて抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウム及び活性炭(2g)を加えて1時間攪拌し、セライト(登録商標)濾過した。濾液を減圧下濃縮して、2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−2−メチルマロン酸ジエチルを得た(25.0g、淡黄色油状物、88%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=326(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.27 (6H, t, J=7.0 Hz), 1.38 - 1.47 (9H, m), 1.68 (3H, s), 2.87 (3H, s) 4.22 (4H, q, J=7.0 Hz)
(スキーム5)
Figure 2016199499
(2)参考例1−(1)で得られた化合物(22.8g)に、リン酸バッファー水溶液(680mL)を加え、これにPLE(Pig Liver Esterase、豚肝臓エステラーゼ)(342mg)を加えて室温で26時間攪拌した。リン酸バッファー水溶液は、0.2mol/Lのリン酸二水素ナトリウム水溶液(65mL)及び0.2mol/Lのリン酸水素二ナトリウム水溶液(435mL)の混合物を水で希釈して1000mLにしたものを用いた。反応液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(75mL)を加えてpH8〜9に調整した後、トルエン(0.5L)を用いて抽出した。この際に混合液が泡状になったため、セライト(登録商標)濾過を2度実施した。抽出後得られた水層にリン酸(20mL)を加えてpH2〜3に調整し、酢酸エチル(1L)を用いて抽出した。この際にも混合液が泡状になったため、セライト(登録商標)濾過を実施した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。残留物を酢酸エチル(0.2L)に溶かして活性炭(1.8g)を加えて1時間攪拌した。活性炭を濾別し溶媒を減圧下留去して、(R)−2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−3−エトキシ−2−メチル−3−オキソプロパン酸を得た(18.0g、淡黄色シロップ状物、87%、ee>99%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=298(M+Na)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.11 - 1.19 (3H, m), 1.32 (9H, br. s.), 1.54 (3H, s), 2.73 (3H, s), 4.02 - 4.13 (2H, m)
参考例1−(2)で得られた化合物のキラル分析は、以下の要領で実施した。
測定機器は、島津製作所製高速液体クロマトグラフィーを用いた。各機器の型番は以下の通りである。
ポンプ:LC−30AD、オートサンプラー:SIL−30AC、カラムオーブン:CTO−20AC、光ダイオードアレイ検出器:SPD−M20A、デガッサー:DGO−20A5R。
キラルカラムは、株式会社ダイセル製AD3を、4.6×150mmと4.6×250mmを直列連結して用いた。展開溶媒はn−ヘキサン/エタノール=98/2、流速は1.0mL/毎分であった。
210nmにおける吸収波長で検出し、2−((t−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)−3−エトキシ−2−メチル−3−オキソプロパン酸のラセミ体のピークの保持時間は、(S)体が26.5分、(R)体が37.9分であった。
上記条件のもとで実施例1−(7)で得られた化合物の分析を実施した結果、(R)体のみが検出され、(S)体は検出限界以下であった。鏡像体過剰率(ee)は>99%であった。
(スキーム6)
Figure 2016199499
(3)参考例1−(2)で得られた化合物(13.3g)のトルエン(121mL)溶液に氷冷下で塩化チオニル(10.5mL)を滴下し、室温に昇温して16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して(S)−3−クロロ−2−メチル−2−(メチルアミノ)−3−オキソプロパン酸エチルを粗精製物として得た(9.37g、褐色固体)。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.30 (3H, t, J=7.8 Hz), 1.72 (3H, s), 2.93 (3H, s), 4.23 - 4.33 (2H, m)
Anal.cald for C7H12ClNO3 : C, 43.42; H, 6.25; N, 7.23;
Found : C, 45.49; H, 6.09; N, 6.75;
(スキーム7)
Figure 2016199499
(4)O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(1.00g)をトルエンで2回共沸乾燥後、トルエン(5.0mL)を加えた溶液にTEA(3.57mL)を加え、氷冷下で参考例1−(3)で得られた化合物(1.95g)のトルエン(25mL)/THF(5.0mL)混合物を5分間かけて滴下し、室温に昇温して16時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(10mL)を加えた懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮して得られた粗精製物をOH型シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50→0/100)にて精製して、(2R)−2−メチル−2−(メチルアミノ)−3−オキソ−3−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)アミノ)プロパン酸エチルを得た(1.78g、淡褐色油状物、76%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=275(M+H),273(M−H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.25 - 1.30 (3H, m), 1.43 - 1.90 (6H, m), 1.53 (3H, s), 2.30 (3H, s), 3.58 - 3.67 (1H, m), 3.88 - 4.00 (1H, m), 4.13 - 4.34 (2H, m), 4.82 - 5.02 (1H, m), 9.68 (1H, br. s.)
(スキーム8)
Figure 2016199499
(5)参考例1−(4)で得られた化合物(540mg)に、40%のメチルアミンメタノール溶液(6.0mL)を室温で加え、49時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をOH型シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50→0/100→クロロホルム/メタノール=19/1)にて精製して、(2S)−N,2−ジメチル−2−(メチルアミノ)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミドを得た(433mg、淡黄色油状物、85%)。
LCMS保持時間:0.28分(条件2)
MS(ESI):m/z=260(M+H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.48 - 1.94 (6H, m), [1.529] 1.532 (3H, s), 2.29 (3H, d, J=4.5 Hz), 2.84 (3H, dd, J=5.0, 1.2 Hz), 3.62 - 3.70 (1H, m), 3.93 - 4.06 (1H, m), 4.93 - 5.03 (1H, m), 7.60 - 7.91 (1H, m), 10.72 (1H, br. s.)
(スキーム9)
Figure 2016199499
(6)1−エチニルシクロプロピルアミン塩酸塩(10.0g)のメタノール(100mL)溶液に、TEA(14.2mL)を室温で加え、5分撹拌した。反応液にエチルトリフルオロアセテート(11.2mL)を室温で加えて終夜撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、水を加えて酢酸エチルにて2回抽出した。得られた有機層を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。残渣よりN−(1−エチニルシクロプロピル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミドを得た(14.9g、淡黄色固体、99%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=200(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.19 - 1.23 (2H, m), 1.35 - 1.43 (2H, m), 2.23 (1H, s), 6.74 (1H, br. s.)
(スキーム10)
Figure 2016199499
(7)塩化銅(I)(44mg)を30%ブチルアミン水溶液(74mL)に溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(36.7mg)を加えた。反応液に、参考例1−(6)で得られたN−(1−エチニルシクロプロピル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(4.3g)を加えた後、直ちに反応液を氷冷し、5分撹拌した。反応液に4−ブロモエチニル安息香酸(5.0g)を加えて室温に昇温したのち、ヒドロキシルアミン塩酸塩(22.0mg)を加えて30分撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルで2回抽出した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた淡黄色固体をIPEで洗浄、乾燥して4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)安息香酸を得た(1.8g、淡紫色固体、25%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=344(M+Na)
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.18 - 1.29 (2H, m), 1.32 - 1.43 (2H, m), 7.62 (2H, d, J=8.3 Hz), 7.83 - 7.97 (2H, m), 10.23 (1H, s)
(スキーム11)
Figure 2016199499
(8)参考例1−(7)で得られた4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)安息香酸(2.0g)のテトラヒドロフラン(16mL)溶液に、氷冷下、塩化オキサリル(590μL)、DMF(15μL)を加えて、氷冷下で3時間撹拌した。反応液にトルエン(20mL)を加えて、10mLまで減圧濃縮し、更にトルエン(15mL)を加えて15mLまで減圧濃縮した。得られた懸濁液に、ノルマルヘプタン(15mL)を加えて、室温で2時間撹拌した。得られた固体を濾別して、塩化 4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンゾイルを得た(2.0g、淡茶色固体、93%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=338(M−H)
1H NMR (500 MHz, ACETONE-d6) δ ppm 1.32 - 1.53 (4 H, m) 7.77 (2 H, d, J=8.9 Hz) 8.15 (2 H, d, J=8.9 Hz) 9.24 (1 H, br. s.)
(スキーム12)
Figure 2016199499
(9)参考例1−(8)で得られた塩化4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンゾイル(2.00g)の酢酸エチル(40mL)溶液に、参考例1−(5)で得られた(2S)−N,2−ジメチル−2−(メチルアミノ)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミド(1.75g)、DIPEA(1.23mL)の酢酸エチル(20mL)溶液を15分かけて滴下して、室温で2時間撹拌した。反応液に水(50mL)を加えて、分層した後、有機層を0.2mol/Lクエン酸水溶液(50mL)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で順次洗浄した。得られた有機層を、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を酢酸エチル(60mL)に溶解し、アミノシリカゲル(6.0g)を加えて、室温で2時間撹拌した。これを濾別し、酢酸エチル(80mL)で洗浄した。得られた溶液を減圧留去し、酢酸イソプロピル(6mL)に溶解させ、メチル−t−ブチルエーテル(32mL)とノルマルヘプタン(8mL)の混液に滴下して、室温で3時間撹拌した。得られた固体を濾取し、(2S)−N,2−ジメチル−2−(N−メチル−4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンズアミド)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミドを得た(2.66g、淡黄色固体、80%)。
MS(ESI/APCI dual):m/z=585(M+Na)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.27 - 1.34 (2H, m), 1.41 - 1.51 (2H, m), 1.49 - 1.90 (9H, m), 2.84 (3H, m), 3.15 (3H, m), 3.50 - 3.74 (1H, m), 3.83 - 4.09 (1H, m), 4.86 - 5.06 (1H, m), 6.94 - 7.62 (6H, m), 9.98 - 10.57 (1H, m)
(スキーム13)
Figure 2016199499
(10)参考例1−(9)で得られた(2S)−N,2−ジメチル−2−(N−メチル−4−((1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)シクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル)ベンズアミド)−N’−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)マロンアミド(2.85g)のメタノール溶液(29mL)に1mol/L炭酸カリウム水溶液(29mL)を室温で加えて17時間室温で撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてpH7〜8に調製し、クロロホルムで抽出した。有機層をフェーズセパレーターに通し、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過により除去した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣の酢酸エチル溶液をクエン酸水溶液(pH3〜4)で4回抽出し、水層を酢酸エチル/n−ヘキサンで洗浄した。水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてpH7〜8に調整後、酢酸エチルで4回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過により除去した後、濾液を減圧下濃縮して得た残渣を酢酸エチルに溶かし、NH型シリカゲル(3.0g)を加え5分間室温で撹拌した。混合物をろ過し、濾液を減圧下濃縮して、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N,2−ジメチル−N’−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパンジアミド(中間体1、1.84g、淡黄色固体、78%)を得た。
MS(ESI):m/z=467(M+H),465(M−H)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.00 - 1.02 (2H, m), 1.06 - 1.08 (2H, m), 1.39 - 2.13 (6H, m), [1.79], 1.80 (3H, s), 2.83 - 2.85 (3H, m), [3.13], 3.16 (3H, s), 3.55 - 3.66 (1H, m), 3.84 - 4.02 (1H, m), 4.89 - 5.00 (1H, m), 7.41 - 7.55 (4H, m), [6.97], 7.61 (1H, br. s.), [10.07], 10.48 (1H, br. s.)
本発明化合物の作用、物理的特性は以下の試験により確認された。
<試験例1> 抗菌活性評価試験
最小発育阻止濃度(MIC)測定はCLSI(クリニカル アンド ラボラトリー スタンダーズ インスティテュート)標準法に準じ、下記に示す微量液体希釈法を用いた。
Legionella pneumophilia ATCC33152については、BCYE寒天培地で72時間培養した被検菌体を掻き取り、マクファーランド0.5相当に懸濁し、得られた懸濁液を10倍に希釈して接種菌液とした。接種菌液0.005mLを、被検化合物を含む、BYEα培地に接種し、35℃にて72時間培養した。
Haemophilus influenza ATCC43095については、チョコレートII寒天培地で24時間培養した被検菌体を掻き取り、マクファーランド0.5相当に懸濁し、得られた懸濁液を10倍に希釈して接種菌液とした。接種菌液0.005mLを、被検化合物を含む、HTM培地に接種し、35℃にて22時間培養した。
上述の菌株以外の菌株については、ハートインフュージョン寒天培地で1晩培養した被検菌体を掻き取り,マクファーランド0.5相当に懸濁し、得られた懸濁液を10倍に希釈して接種菌液とした。接種菌液0.005mLを、被検化合物を含む、カチオン調整ミューラーヒントン培地、または終濃度が5%となるようにヒト血清アルブミン(HSA)を添加したカチオン調整ミューラーヒントン培地に接種し、35℃にて18時間培養した。菌の発育が肉眼的に認められない最小の薬剤濃度をもってMICとした。
化合物Aの各種グラム陰性菌に対する試験結果を表1に示した。
Figure 2016199499
<試験例2> 感受性分布試験
緑膿菌30株及び肺炎桿菌27株の臨床分離株の最小発育阻止濃度(MIC)を測定し、90%の菌株の発育を阻止したMICをMIC90として算出した。各臨床分離株のMIC測定は試験例1で示したものと同様に行った。
化合物AのMIC90は、緑膿菌では2μg/mLであり、肺炎桿菌では2μg/mLであった。
<試験例3> 安定性試験
化合物AのB形結晶、約20mgをガラス瓶に量りとり、密栓後、25℃又は40℃に保存した。それぞれ保存後3カ月で、結晶形を粉末X線回折により確認した。その結果、結晶形の変化はなかった。
<試験例4> 溶解度試験
化合物AのB形結晶の過剰量を生理食塩水1mLに加え、1N塩酸を加えpH4に調整し、速やかに振とうした。振とう後の溶解量をHPLCにより測定し、溶解度を測定した。本試験は25℃で実施した。その結果、B形結晶の溶解度は15.6mg/mLであった。
B形結晶は、優れた熱安定性を有しており、製造時及び長期保存時の安定性の面で医薬品原体として有用である。
本発明により、(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドおよびそのp−トルエンスルホン酸塩の安定な結晶形及びその製造方法を提供することが可能となった。該結晶は、優れた熱安定性を有しており医薬品原体として有用であり、細菌感染症に対する新しいタイプの薬剤の開発が期待される。

Claims (7)

  1. 下記(a)〜(c)の物性を有する、
    式[1]
    Figure 2016199499
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのA形結晶。
    (a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=5.6度、13.2度,15.0度及び18.9度にピークを有する;
    (b)融点(分解)が143〜148℃である;並びに
    (c)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1686cm-1、1601cm-1、1399cm-1、1041cm-1、及び846cm-1にある。
  2. 下記(d)〜(f)の物性を有する、
    式[1]
    Figure 2016199499
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのB形結晶。
    (d)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.2度、14.5度,17.7度及び19.9度にピークを有する;
    (e)融点(分解)が166〜171℃である;並びに
    (f)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1675cm-1、1623cm-1、1370cm-1、1032cm-1、及び839cm-1にある。
  3. 下記(g)〜(i)の物性を有する、
    式[2]
    Figure 2016199499
    で表される(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド p−トルエンスルホン酸塩の結晶。
    (g)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.0度、13.3度,19.1度及び22.0度にピークを有する;
    (h)融点(分解)が146〜151℃である;並びに
    (i)赤外線吸収スペクトルにおいて、特性吸収帯が1700cm-1、1614cm-1、1180cm-1、1036cm-1及び1010cm-1にある。
  4. クロロホルム、メタノール及びアセトニトリル混合溶液に溶解した(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドに、アセトニトリル及びイソプロピルエーテルを加えて結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶の製造方法。
  5. アセトニトリルに(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドを溶解させた後に結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の結晶の製造方法。
  6. 請求項1に記載の結晶形を有する(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドのA形結晶と共に、請求項2に記載のB形結晶形を有する(2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミドの結晶をアセトニトリル中で撹拌して、請求項2に記載のB形結晶形に転移させた後に結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のB形結晶の製造方法。
  7. (2S)−2−[{4−[4−(1−アミノシクロプロピル)ブタ−1,3−ジイン−1−イル]ベンゾイル}(メチル)アミノ]−N−ヒドロキシ−N’,2−ジメチルプロパンジアミド及びp−トルエンスルホン酸を酢酸エチルあるいは酢酸エチル及びメタノール混合液中で攪拌して結晶化させ、得られた結晶を分取する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の結晶の製造方法。
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