《第1実施形態》
以下に本発明の第1実施形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯める遊技メダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリール樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において固定部材218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参照))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、上記の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し上記の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、 前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、
前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,演出制御基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号0番から20番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という」)、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル1図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル2図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がり有効ライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がり有効ライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組み合わせは、有効ラインの一つである右下がり有効ライン有効623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。なお、リール駆動モータ341a,341b,341cは解決手段に記載のリール駆動手段に相当する。
また、各リール301a,301b,301cには、それぞれの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cが設けられている。このうち、左リール位置センサ331aは左リール301a内に設けられ、リール位置センサ331bは中リール301b内に設けられている。さらに、右リール位置センサ331cは右リール301c内に設けられている。位置センサ331a,331b,331cは、リール301a,301b,301cにおける基準位置を検出した際に、メイン基板409に対して検出信号(インデックス信号)を出力する。メイン基板409では、位置センサ331a,331b,331cから出力された検出信号と、リール駆動モータ341a,341b,341cに印加した電気パルス数に基づいて、リール301a,301b,301cの回転位置情報や停止位置情報を得ることができる。
リール駆動モータ341a,341b,341cとしてのステッピングモータは、252個の歯を有するロータ(回転子)を備えており、これらのロータにおける歯に0〜251のステップ番号が付されている。これらのステップ番号が付されたステップが、解決手段に記載の判定対象位置に相当する。また、リール301a,301b,301cには21個の図柄が配置されている。このため、1個の図柄が表示されている領域(以下「図柄表示領域」という)には、12個のステップ番号が割り当てられている。たとえば、図49に示すように、配列番号0の第0図柄表示領域D0には、ステップ番号1〜12が割り当てられ、配列番号20の第20図柄表示領域D20には、ステップ番号241〜0が割り当てられている。図柄表示領域は、リール301a,301b,301cにおける複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされており、解決手段に記載の図柄配置領域に相当する。さらに、21個の図柄表示領域には、図50に示すように、252のステップ数が割り当てられており、たとえば、左リール301aにおける配列番号0の第0図柄表示領域(正図柄)には、ステップ番号1〜12が割り当てられ、配列番号1の第1図柄表示領域(リプレイ図柄)にはステップ番号13〜24が割り当てられている。このように、各リール301a,301b,301cにおける全ての図柄について、ステップ番号が割り当てられている。なお、第20図柄表示領域におけるステップ番号241〜0については、ステップ番号241〜251とステップ番号0が含まれている。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定値1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に停止表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がり有効ライン623b及び右下がり有効ライン623a)のうち少なくともいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がり有効ライン623bと右下がり有効ライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを「(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う」あるいは「当選役図柄が揃った」という。有効ライン623a,623b上における停止図柄の判断は、判定位置におけるステップ番号に基づいて行う。たとえば、左リール301aにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄は、図51に示すように、図柄表示窓401に表示される左リール301aの下端部における左判定位置BLLのステップ番号に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号「11」の「バー図柄」が表示されているが、ここでは、左判定位置BLLのステップ番号「133」となっていることで、左リール301aにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄が配列番号「11」の「バー図柄」であると判定される。
同様に、中リール301bにおける右上がり有効ライン623b上の図柄は、図柄表示窓401に表示される中リール301bの下端部における中判定位置BCLのステップ番号に「12」を加算した数に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号「11」の「リプレイ図柄」が表示されているが、ここでは、中判定位置BCLのステップ番号「121」となっていることで、中リール301bにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄が配列番号「11」の「リプレイ図柄」であると判定される。なお、ステップ番号に「12」を加算した数が「251」を超える場合には、中リール301bにおける右上がり有効ライン623b上の図柄は、当該数から「252」を減算した数に基づいて判断される。以下、各リール301a,301b,301cにおける判断においても同様の処理が施される。
さらに、右リール301cにおける右上がり有効ライン623b上の図柄は、図柄表示窓401に表示される右リール301cの下端部における右判定位置BRLのステップ番号に「24」を加算した数に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号「18」の「義図柄」が表示されているが、ここでは、右判定位置BRLのステップ番号「193」となっていることで、右リール301cにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄が配列番号「18」の「義図柄」であると判定される。なお、左判定位置BLL、中判定位置BCL、右判定位置BRLを総称して、単に判定位置BLということがある。
また、左リール301aにおける右下がり有効ライン623a上の停止図柄は、図51に示すように、図柄表示窓401に表示される左リール301aの下端部における左判定位置BLLのステップ番号に「24」を加算した数に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号「13」の「ベル図柄」が表示されているが、ここでは、左判定位置BLLのステップ番号「133」となっていることで、左リール301aにおける右下がり有効ライン623a上の停止図柄が配列番号「13」の「ベル図柄」であると判定される。
同様に、中リール301bにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄は、図柄表示窓401に表示される中リール301bの下端部における中判定位置BCLのステップ番号に「12」を加算した数に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号「11」の「リプレイ図柄」が表示されているが、ここでは、中判定位置BCLのステップ番号「121」となっていることで、中リール301bにおける右上がり有効ライン623b上の停止図柄が配列番号「11」の「リプレイ図柄」であると判定される。このように、中リール301bでは、右上がり有効ライン623bと右下がり有効ライン623aとの判定位置は共通している。
さらに、右リール301cにおける右下がり有効ライン623a上の停止図柄は、図柄表示窓401に表示される右リール301cの下端部における右判定位置BRLのステップ番号に基づいて判断される。図51に示す例では、配列番号16の「ベル図柄」が表示されているが、ここでは、右判定位置BRLのステップ番号「193」となっていることで、右リール301cにおける右下がり有効ライン623a上の停止図柄が配列番号「16」の「ベル図柄」であると判定される。
このように、本実施形態においては、図柄表示窓401に表示される各リール301a,301b,301cの下端に設定された判定位置BLにおけるステップ番号を基準とし、このステップ番号に加算、減算を施すことで停止図柄を判定している。これに対して、停止図柄の判定態様は他の態様とすることもできる。たとえば、判定位置を図柄表示窓401に表示される各リール301a,301b,301cの任意の高さ位置に設定することができる。具体的には、図柄表示窓401に表示される各リール301a,301b,301cの上段または中段の下端部とすることもできるし、上中下段の下端部とすることもできる。さらには、これらの上中下段の高さ方向中央部とすることもできるし、その他の高さ位置とすることもできる。あるいは、各リール301a,301b,301c毎に判定位置の高さを変えることもでき、たとえば左リール301aでは下段の下端部、中リール301bでは中段の下端部、右リール301cでは上段の下端部とすることもできる。これらの場合、判定位置を各リール301a,301b,301cにおける有効ライン623a,623bの下端部または上端部などとすることもできる。
特に、本実施形態では、有効ライン623a,623bがそれぞれ一直線上に並んで設定されている有効ラインをその他のラインに設定することもできる。たとえば、左リール301aの上段−中リール301bの下段−右リール301cの上段を結んだいわゆる「V型」、左リール301aの上段−中リール301bの中段−右リール301cの上段を結んだいわゆる「小V型」、あるいは左リール301aの下段−中リール301bの上段−右リール301cの下段を結んだいわゆる「山型」の有効ラインなどとすることもできる。これらの場合においても、図柄表示窓401に表示される各リール301a,301b,301cの下端部を基準として停止図柄を判定することもできるし、各リール301a,301b,301cにおける有効ラインの下端部、具体的には左リール301aの上段、中リール301bの下段、右リール301cの上段の下端部または上端部を判定位置として、停止図柄を判定することもできる。
さらに、本実施形態では、停止図柄を判定するにあたり、判定位置BLにおけるステップ番号を検出しているが、その他の態様とすることもできる。たとえば、停止ボタン211a,211b,211cが操作されたタイミングにおける各リール301a,301b,301cの回転位置と、停止ボタン211a,211b,211cが操作された後に移動した(滑った)ステップ数に基づいて、停止図柄を判定することもできる。この場合、リール301a,301b,301cが停止されたときの判定位置BLにおける実際のステップ番号を検出することなく、停止ボタン211a,211b,211cが操作されたタイミングの各リール301a,301b,301cの回転位置と、停止ボタン211a,211b,211cが操作された後に移動したステップ数とから、停止図柄を予測して停止図柄を判定することもできる。あるいは、リール301a,301b,301cが停止されたときの判定位置BLにおける実際のステップ番号から判定される停止図柄と、停止ボタン211a,211b,211cが操作されたタイミングの各リール301a,301b,301cの回転位置および停止ボタン211a,211b,211cが操作された後に移動したステップ数から判定される停止図柄とを比較して、両者が一致する場合に停止図柄を確定させる態様とすることもできる。この場合、リール301a,301b,301cが停止されたときの判定位置BLにおける実際のステップ番号から判定される停止図柄と、停止ボタン211a,211b,211cが操作されたタイミングの各リール301a,301b,301cの回転位置および停止ボタン211a,211b,211cが操作された後に移動したステップ数から判定される停止図柄とが一致しない場合には、いわゆるイリーガルヒットエラーが発生する。本実施形態では、このイリーガルヒットエラーの判定を行うようにしている。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図52に示された各当選役に対応して許容される図柄の組み合わせ態様について説明する。
[当選役と図柄の組み合わせ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組み合わせについて、図52、図53及び図54〜56を用いて説明する。図52は、スロットマシン1の各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図53は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図54〜56は、各条件装置に対応する図柄の組み合わせ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。このうち、一般状態、通常RT、およびボーナス内部中では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態、通常RTおよびボーナス内部中は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。また、チャンスRTおよびボーナス中は、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数よりもゲームの結果として払い出されるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、チャンスRTおよびボーナス中は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が増加していく遊技状態である。なお、SB中は1ゲームで完結する遊技状態である。
各当選役についての当選確率は、図52に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組み合わせ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組み合わせについて、「RB1+ベル2」、「スイカ」、「AT1」〜「AT10」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+ベル2」は、RB1とベル2とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びベル2の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、ベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、ベル2に対応する図柄の組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図54〜56においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル1、ベル2等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組み合わせについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT1」〜「AT10」は、いずれも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT1」及び「AT2」についての適正な押し順は、「左→中→右」(以下「順押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として例えば2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
すなわち、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベル1の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT1」であるときと「AT2」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3」及び「AT4」についての適正な押し順は「左→右→中」(以下「はさみ押し」と称する)であり、「AT5」及び「AT6」についての適正な押し順は「中→左→右」又は「中→右→左」(以下これらを「中押し」と称する)であり、「AT7」及び「AT8」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆押し」と称する)であり、「AT9」及び「AT10」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆はさみ押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されるとハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。
「SB1」〜「SB3」は、いずれも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちのいずれかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」のいずれかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図52に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図52に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、いずれも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図53に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、いずれも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役(ベル1、ベル2)、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、チャンス役(チャンス目1、チャンス目2)、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。また、小役のうち、ボーナス役と重複する可能性が比較的高いレア役(チェリー役、スイカ役、チャンス目役)についても合わせて説明する。
[ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これらいずれかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図53に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がり有効ライン523b及び右下がり有効ライン623aのうち少なくともいずれかの有効ラインに、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせ(図53に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がり有効ライン523b及び右下がり有効ライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図52に示されるSB中に制御されるとともに、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のいずれかであるときに適正な押し順が遊技者に教えられるATゲームの上乗せ抽選が行われる。
[リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図52では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図52では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、図52を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、最大スベリコマ数が「4」コマ以内であったとしても、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
ここで、スベリコマ数について、左リール301aを例として説明する。ただし、スベリコマ数については、中リール301b、右リール301cについても同様に考えることができる。スベリコマ数とは、左リール301aが回転中であり、停止可能状態となっているときに左リール停止ボタン211aが操作された場合に、左リール停止ボタン211aが操作されてから左リール301aが移動するコマ数である。スベリコマ数を計数する際には、左リール停止ボタン211aが操作されたとき(以下「停止ボタン操作時」という)に有効ライン判定位置に位置するステップのステップ番号を基準とする。基準となるステップ番号が12の倍数(0を含む)である場合には、当該ステップ番号が含まれる図柄表示領域の1コマ上の図柄表示領域を「0」コマとして、移動する図柄表示領域の数をスベリコマ数として表現する。
たとえば、図57(a)に示すように、左リール301aにおいて、左リール停止ボタン211a(図48参照)が操作されたときに有効ライン判定位置BLにステップ番号「0」が位置している場合、ステップ番号「0」は配列番号「20」の「義図柄」に含まれるので、スベリコマ数が「0」コマのときには、配列番号「0」の「正図柄」が有効ライン、ここでは右上がり有効ライン623b(図47参照)上に表示される。また、スベリコマ数が「1」コマのときには配列番号「1」の「リプレイ図柄」、スベリコマ数が「2」コマのときには配列番号「2」の「ベル図柄」、スベリコマ数が「3」コマのときには配列番号「3」の「赤7図柄」、スベリコマ数が「4」コマのときには配列番号「4」の「リプレイ図柄」がそれぞれ右上がり有効ライン623b上に表示される。
また、基準となるステップ番号が12の倍数(0を含む)以外の数である場合には、当該ステップ番号が含まれる図柄表示領域の1コマ上の図柄表示領域を「0」コマとして、移動する図柄表示領域の数をスベリコマ数として表現する。たとえば、図57(b)に示すように、左リール停止ボタン211aが操作されたときに有効ライン判定位置BLにステップ番号「1」が位置している場合、スベリコマ数が「0」コマのときには、配列番号「1」の「リプレイ図柄」が右上がり有効ライン623b上に表示される。また、スベリコマ数が「1」コマのときには配列番号「2」の「ベル図柄」、スベリコマ数が「2」コマのときには配列番号「3」の「赤7図柄」、スベリコマ数が「3」コマのときには配列番号「4」の「リプレイ図柄」、スベリコマ数が「4」コマのときには配列番号「5」の「ベル図柄」がそれぞれ右上がり有効ライン623b上に表示される。
ところで、左リール301aが回転しているときに左リール停止ボタン211aが操作されると、左リール停止ボタン211が操作されてから所定時間内に左リール301aが停止する制御が実行される。ここでの所定時間は、遊技状態によって異なっており、遊技状態がRB1ゲームまたはRB2ゲームに制御されているときには、いわゆるCT(チャレンジタイム)状態とされる。CT状態の際には、第1リールについては、所定時間が75msとされている。なお、「第1リール」とは、リール301a,301b,301cのうち、第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。同様に、「第2リール」とは、第2番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第2番目に停止するリールのことをいい、「第3リール」とは、第3番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第3番目に停止するリールのことをいう。所定時間が75msとなるの場合の最大スベリコマ数は「1」コマあるいは「2」コマとなる。したがって、左リール301aが第1リールとなる際には左リール301aは、左リール停止ボタン211aが操作されてから75ms以内に停止されることとなる。なお、CT状態中、第1リール以外の第2リールおよび第3リールについては、所定時間が190msとされている。また、遊技状態がRB1ゲームまたはRB2ゲーム以外の遊技状態に制御されているときには、所定時間が190msとされている。この場合の最大スベリコマ数は「4」コマあるいは「5」コマとなる。リール301a,301b,301cを停止させるための制御については、後にさらに説明する。
[ベル役]
本実施形態のスロットマシン1には、ベル役として、上述したとおり、「ベル1」と「ベル2」とが用意されている。このベル役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。そして、ベル役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、ベル役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば9枚)が払い出される。なお、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、図52を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「ベル1図柄orベル2図柄−ベル1図柄−ベル1図柄orベル2図柄」の組み合せが表示されることで、遊技者は、ベル2に入賞したことを把握することが可能となる。なお、ベル1図柄とベル2図柄とは形態に若干違いがあるものの、ベルといった同じ観念を遊技者に生じさせる点で両図柄は共通する。
ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、規定枚数(例えば9枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。このように、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせは、ゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できたり、メダルの消費を抑えることが期待できたりする。ただし、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される頻度が高くなると、遊技者はゲームを進めていくだけでメダルを増加させることが可能となる。なお、ベル1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、リプレイ役と同様の態様で各リール上に満遍なく配置されている。なお、以下の説明においては、「ベル1図柄」と「ベル2図柄」とを総称して「ベル図柄」ということがある。
[チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[チャンス目役]
チャンス目役としては、上述したとおり、「チャンス目1」と「チャンス目2」とが用意されている。このチャンス目役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。そして、チャンス目役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チャンス目役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば1枚)が払い出される。ただし、賞としてのメダルは0枚であり、メダルが払い出されることはない態様とすることもできる。
[AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT1」〜「AT10」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、リプレイ役と同様の態様で各リール上に満遍なく配置されている。
[ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図54〜56に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図52の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図52に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図54〜56に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、いずれも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。ここで、SB1〜SB3に当選した場合には、ATゲームの上乗せ抽選が行われる。
したがって、とくに内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲームの上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT1に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲームの上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[レア役]
本実施形態において、レア役とは、当選率が比較的低い小役の総称であり、具体的には、チェリー役、スイカ役、およびチャンス目役が含まれる。これらのレア役は、ボーナス役と重複する可能性が比較的高い小役であり、レア役に当選していると、同時にボーナス役に当選している可能性が高まる。このため、レア役に当選することによって、ボーナスへの移行に対する期待感を高められる。
レア役当選時におけるボーナスとの重複当選の割合は、図52に示すとおりである。図52に示すように、チェリー2とボーナス役との重複割合と、チェリー1とのボーナス役との重複割合を比較すると、チェリー2とボーナス役との重複割合の方が、チェリー1とのボーナス役との重複割合よりも高くなっている。このため、チェリー2に当選した方がチェリー1に当選した場合よりもボーナスの移行に対する期待感が大きくなる。
[ハズレ]
図54〜56に示された図柄の組み合わせのいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図58は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。したがって、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全ての右上がり有効ライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がり有効ライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして
が停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB1、RB2、SB1、SB2、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図52に示される遊技状態の変更)や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[始動処理]
図59は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、3枚のメダルが投入されると、右上がり有効ライン623bと、右下がり有効ライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行っても所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図53を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図52に示されるとおりである)。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、通常RT中フラグ、チャンスRT1中フラグ、チャンスRT2中フラグ、チャンスRT3中フラグ、SB中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがある。そして、これらのゲーム状態フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図53を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組み合わせを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組み合わせは、図54〜56に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図58のステップS3)に相当する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、
〔 RB2に対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数 〕
が、2/60000となり、RB2の当選確率は1/30000であるということになる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図52に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図59のステップS107参照)にて、図53に示されるように、SB1に対応する条件装置及び通常リプレイに対応する条件装置を同時に成立させるということである。
また、図52によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行されると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図52を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、ステップSのリール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[遊技状態の遷移]
図60は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断される(ステップS151)。ここで、ボーナス中であると判断されると、ボーナスゲームが終了したか否かを判断し(ステップS152)、ボーナスゲームが終了していないと判断した場合には、そのまま遊技状態移行処理を終了する。また、ボーナスゲームが終了したと判断した場合には、一般状態に移行して(ステップS153)遊技状態移行制御処理を終了する。
また、ステップS151においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS151におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。続いて、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されてボーナスとなったか否かを判断し(ステップS155)、ボーナスとなっていないと判断した場合には、そのまま処理を終了する。また、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されてボーナスとなったと判断した場合には、ボーナス中に移行して(ステップS156)遊技状態移行制御処理を終了する。
ステップS154においてボーナス内部中でないと判断されると、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS157)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行される。その後、SBが終了したか否かを判断し(ステップS158)、SBが終了していないと判断した場合には、そのまま遊技状態移行制御処理を終了する。また、SBゲームが終了してSBが終了したと判断した場合には、SBゲームが実行される直前の遊技状態(元の遊技状態)に移行する(ステップS159)。こうして、遊技状態移行制御処理を終了する。
ステップS157においてSB中でないと判断されると(ステップS157におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちのいずれかであるか否か)が判断される(ステップS160)。チャンスRTであるときには(ステップS160におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS161)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると、ボーナス中に移行し(ステップS162)、ボーナスゲームが実行される。こうして、遊技状態移行制御処理を終了する。一方、ステップS161においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS163)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS163におけるYES)、通常RTに移行して(ステップS164)遊技状態移行処理を終了する。一方、「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されていないと判断されると、そのまま遊技状態移行制御処理を終了する。なお、チャンスART1、チャンスART2及びチャンスART3のうちいずれの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。また、ここで図示していないが、内部抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、内部抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RTおよび一般状態においても同様である。
ステップS160においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると、通常RTであるか否かが判断される(ステップS165)。通常RTであるときには、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS166)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると、ボーナス中に移行し(ステップS167)、ボーナスゲームが実行される。こうして、遊技状態移行制御処理を終了する。一方、ステップS166においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると、内部抽選の結果としてARTリプレイに当選したか否か判断される(ステップS168)。ここで、内部抽選の結果としてARTリプレイに当選したと判断されると、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS169)。こうして、遊技状態移行制御処理を終了する。
また、内部抽選の結果としてARTリプレイに当選していないと判断されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS170)。この通常RTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると、一般状態に移行して(ステップS171)遊技状態移行制御処理を終了する。一方、通常RTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されていないと判断されると、そのまま遊技状態移行制御処理を終了する。
なお、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選したときは、先ずはチャンスART1に遊技状態が移行する。そして、図60では図示していないが、チャンスART1における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図60では図示していないが、チャンスART2における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART3に遊技状態が移行する。
ステップS165において通常RTでないと判断されたときには、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS172)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると、ボーナス中に移行し(ステップS173)、ボーナスゲームが実行される。こうして、遊技状態移行制御処理を終了する。一方、ステップS172においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると、内部抽選の結果等を参照して実行されるART移行抽選に当選したか否かを判断する(ステップS174)。その結果、ART移行抽選に当選した場合には、通常RTに移行して(ステップS175)遊技状態移行制御処理を終了する。また、ART移行抽選に当選していない場合には、そのまま遊技状態移行制御処理を終了する。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における内部抽選において、各入賞役が当選する確率は、図52に示されるとおりである。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される。このように、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるときに、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT1」〜「AT10」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、通常状態(一般状態や通常RT)とチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、いずれも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として内部抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の600であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、内部抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける内部抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、いずれも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうちいずれが内部抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、内部抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件としている。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、いずれか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうちいずれか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、いずれも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、内部抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、内部抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また内部抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図52を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、いずれは、内部抽選にて「AT1」〜「AT10」のうちいずれかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
なお、スロットマシン1には複数の設定値(設定値1から4までの4段階)を設けている(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やARTリプレイの内部抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。以下、図61を参照してリール停止処理の処理の流れを説明する。図61は、リール停止処理の処理手順を示すフローチャートである。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。このリール停止制御テーブルを用いた制御をテーブル方式のリール停止制御という。
ここで、テーブル方式で用いられるリール停止制御テーブルについて、作動している条件装置が「通常リプ」に対応するパターンのリール停止制御テーブルの例として説明する。図62は、条件装置が「通常リプ」に対応するパターンのリール停止制御テーブルを示す図である。図62に示すように、リール停止制御テーブルには、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が行われたときの判定位置BLにおける図柄の配列番号に応じたスベリコマ数が記憶されている。たとえば、リール停止ボタン211a,211b,211cの停止ボタン操作時に、判定位置BLには配列番号「0」の「正図柄」に含まれるステップ番号(1〜12)が位置していたときには、スベリコマ数を「0」コマとする。
同様に、停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「1」の「リプレイ図柄」に含まれるステップ番号(13〜24)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「2」コマとし、判定位置BLに配列番号「2」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(25〜36)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「1」コマとし、判定位置BLに配列番号「3」の「赤7図柄」に含まれるステップ番号(27〜48)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「0」コマとする。また、停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「4」の「リプレイ図柄」に含まれるステップ番号(49〜60)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「2」コマとし、判定位置BLに配列番号「5」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(61〜72)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「1」コマとし、判定位置BLに配列番号「6」の「赤7図柄」に含まれるステップ番号(73〜84)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「0」コマとする。
さらに、停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「7」の「リプレイ図柄」に含まれるステップ番号(85〜96)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「4」コマとし、判定位置BLに配列番号「8」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(97〜108)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「3」コマとし、判定位置BLに配列番号「9」の「スイカ図柄」に含まれるステップ番号(109〜120)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「2」コマとする。停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「10」の「チェリー図柄」に含まれるステップ番号(121〜132)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「1」コマとし、判定位置BLに配列番号「11」の「バー図柄」に含まれるステップ番号(133〜144)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「0」コマとし、判定位置BLに配列番号「12」の「リプレイ図柄」に含まれるステップ番号(145〜156)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「4」コマとする。
また、停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「13」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(157〜168)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「3」コマとし、判定位置BLに配列番号「14」の「スイカ図柄」に含まれるステップ番号(169〜180)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「2」コマとし、判定位置BLに配列番号「15」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(181〜192)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「1」コマとし、判定位置BLに配列番号「16」の「青7図柄」に含まれるステップ番号(193〜204)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「0」コマとする。そして、停止ボタン操作時において判定位置BLに配列番号「17」の「リプレイ図柄」に含まれるステップ番号(205〜216)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「4」コマとし、判定位置BLに配列番号「18」の「ベル図柄」に含まれるステップ番号(217〜228)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「3」コマとし、判定位置BLに配列番号「19」の「スイカ図柄」に含まれるステップ番号(229〜240)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「2」コマとし、判定位置BLに配列番号「20」の「義図柄」に含まれるステップ番号(241〜0)のいずれかが位置していたときには、スベリコマ数を「1」コマとする。
なお、判定位置BLにどの図柄が位置しているかについては、ステッピングモータでリール301a,301b,301cを停止させる際に判定位置BLに停止させるステップ番号を図63に示す停止図柄判定テーブルに参照することによって判定する。具体的に、判定位置BLにステップ番号「0」を停止させる制御を行った場合には、図63に示すように、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「0」の図柄、左リール301aについていえば「正図柄」が位置していると判定する。同様に、判定位置BLにステップ番号「12」を停止させる制御を行った場合には、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「1」の図柄が位置していると判定し、判定位置BLにステップ番号「24」を停止させる制御を行った場合には、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「2」の図柄が位置していると判定する。以下同様に、図63に示す関係をもって判定位置BLにおけるステップ番号から下段の図柄を判定する。
さらに、中段に停止させる図柄および上段に停止させる図柄については、下段に停止させる図柄が決定されることによって自動的に決定されることとなる。具体的に、中段に停止される図柄は、下段に停止される図柄の配列番号に「1」を加算した配列番号の図柄(左リール301aにおいて、下段に停止している図柄が「正図柄」である場合には「リプレイ図柄」)であり、上段に停止される図柄は、下段に停止される図柄の配列番号に「2」を加算した配列番号の図柄(左リール301aにおいて、下段に停止している図柄が「正図柄」である場合には「ベル図柄」)である。
このように、各条件装置に対応するリール停止制御テーブルは、すべての条件装置に対していずれの配列番号に対応するスベリコマ数が記憶されている。ただし、後に説明するように、テーブル方式ではなく、ステップ数を参照したリール停止制御が行われる条件装置については、当該ステップ数方式で制御される配列番w号に対応するスベリコマ数を省略することもできる。以下、ステップ数を参照したリール停止制御を「ステップ数方式」という。リール停止制御テーブルにおいて、当該領域のスベリコマ数の記憶を省略することにより、当該領域のスベリコマ数を記憶している場合と比較して、メイン基板409におけるROM1112の記憶量を軽減することができる。
なお、本実施形態において、テーブル方式とステップ数方式を比較した場合にスベリコマ数が異なるのは、判定対象ステップ番号が「33」〜「36」、「61」「63」「65」「67」「69」「71」「81」〜「84」の場合である。判定対象ステップ番号がその他のステップ番号である場合には、テーブル方式とステップ数方式でスベリコマ数は共通となる。以下、ステップ数方式による制御でテーブル方式による制御でのスベリコマ数と異なるスベリコマ数を「特定スベリコマ数」ということがある。また、ステップ数方式による制御でテーブル方式による制御でのスベリコマ数と共通するスベリコマ数を「通常スベリコマ数」ということがある。
また、ステップ数方式による制御は、条件装置としてチェリー2が成立した場合に実行される。チェリー2が成立した場合には、ボーナス(RB1、BB1、BB2)も同時に成立している可能性が比較的高い。このため、ステップ数方式による制御が実行されるのは、ボーナスなどの遊技者に有利となる状態に移行する可能性がある、または可能性が高いときとされている。さらに、遊技者に有利となる状態、たとえばボーナスの他にARTなどに移行する可能性がある、または可能性が高い条件が成立する際にステップ数方式による制御を行うこともできる。この場合、ステップ数方式による制御が実行された際、遊技者に有利となる状態への移行に対する期待感を高めることができる。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。以下の説明では、「順押し」で操作された場合を主として説明する。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。この例(「順押し」)では、左リール301aが第1リールとなるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理である左リール第1リール停止処理が行われる。以下、左リール第1リール停止処理について説明する。図64は、左リール第1リール停止処理の処理手順を示すフローチャートである。図64に示すように、左リール第1リール停止処理では、まず、成立した条件装置がチェリー2(強チェリー)であるか否かを判断する(ステップS251)。
その結果、成立した条件装置がチェリー2であると判断した場合には、左リール停止ボタン211aの停止ボタン操作時に左判定位置BLLに位置しているステップ番号(以下「判定対象ステップ番号」という)を判定する。続いて、ここで判定対象ステップ番号がステップ番号33〜120のいずれかであるか否かを判断する(ステップS252)。
その結果、判定対象ステップ番号がステップ番号33〜120のいずれかであると判断した場合には、ステップ数停止制御を行う。このステップ数停止制御では、移動ステップ数(スベリステップ数)の判定を行う(ステップS253)。移動ステップ数の判定は、図65に示す移動ステップ数判定テーブルを参照して行う。移動ステップ数判定テーブルは、読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に予め格納されている。図65は、移動ステップ数判定テーブルを示す図である。
図65に示すように、判定対象ステップ番号に対応する移動ステップ数が記憶されている。移動ステップ数判定テーブルに記憶されている移動ステップ数は、最大63ステップのうち、左リール301aにおける「チェリー図柄」が、右下がり有効ライン623a(図47参照)上の位置(以下「左上有効停止位置という」)または右上がり有効ライン623b上位置(以下「左下有効停止位置」という)に位置されるステップ数とされている。たとえば、判定対象ステップ番号が「50」の場合には、移動ステップ数は「46」となる。ちなみに、このときに移動コマ数は「3」となる。ただし、移動ステップ数判定テーブルには移動コマ数は記憶されておらず、説明の便宜上、図65の移動ステップ数判定テーブルに移動コマ数を表示している。ただし、移動ステップ数判定テーブルに移動コマ数を記憶させておくこともできる。この移動ステップ数判定テーブルに対象ステップ番号を参照することにより、移動ステップ数を判定する。
また、移動ステップ数判定テーブルに記憶されている移動ステップ数としては、停止ボタン操作時から左リール301aを停止させるまでの最長時間が190msである点との関係において、「チェリー図柄」を左上有効停止位置また左下有効停止位置までしか移動させることができない移動ステップ数となる場合には、そのステップ数が記憶されている。具体的に、判定対象ステップ番号がステップ番号「33」〜「56」であるときには、「チェリー図柄」は、左上有効停止位置にしか停止できず、判定対象ステップ番号がステップ番号「97」〜「120」であるときには、「チェリー図柄」は、左下有効停止位置にしか停止できない。これらの場合には、「チェリー図柄」を左上有効停止位置または左下有効停止位置に停止させる移動ステップ数が記憶されている。
それに対して、判定対象ステップ番号がステップ番号「57」〜「96」であるときには、停止ボタン操作時から左リール301aを停止させるまでの最長時間が190msの範囲内で、「チェリー図柄」を左上有効停止位置および左下有効停止位置のいずれにも停止させることができる。移動ステップ数判定テーブルでは、この点に着目して、たとえば1の図柄表示領域内のステップ番号が対象ステップ番号となったときでも、異なるスベリコマ数となる制御が可能となるようにしている。
たとえば、ステップ番号「49」〜「60」までは、1の図柄表示領域である(配列番号「4」)に含まれるところ、対象ステップ番号がステップ番号「57」の場合には、スベリコマ数が「5」コマとされている。その一方、対象ステップ番号がステップ番号「49」〜「56」、「57」〜「60」の場合には、スベリコマ数が「3」コマとされている。このため、停止ボタン操作時の対象ステップ番号が1の図柄表示領域に含まれる場合でも、移動コマ数を異なることがあるようにされている。
このように、スロットマシン1では、停止ボタン操作時の対象ステップ番号が1の図柄表示領域に含まれる場合でも、移動コマ数を異なることがある図柄表示領域(以下「特定図柄表示領域」という)として、3つの特定図柄表示領域が設定されている。第1特定図柄表示領域として配列番号「4」の図柄表示領域(ステップ番号「49」〜「60」)、第2特定図柄表示領域として配列番号「5」の図柄表示領域(ステップ番号「61」〜「72」)、第3特定図柄表示領域として、配列番号「5」の図柄表示領域(ステップ番号「73」〜「84」)の図柄表示領域が設定されている。
このうち、第1特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が1のステップ番号(ステップ番号「57」)となったときのみ、他のステップ番号となったときと移動コマ数が異なる設定とされている。また、第2特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が奇数のステップ番号(ステップ番号「61」「63」「65」「67」「69」「71」)となったときと、偶数のステップ番号(ステップ番号「62」「64」「66」「68」「70」「72」)となったときとで、移動コマ数が異なる設定とされている。さらに、第3特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が後半の一部のステップ番号(ステップ番号「81」〜「84」)となったときと、その他の前部(ステップ番号「73」〜「80」)となったときとで、移動コマ数が異なる設定とされている。
それから、判定した移動ステップ数を第1リールのスベリステップ数として第1リール301aを停止させ、内部抽選フラグに対応する当選役図柄であるチェリーの停止位置の制御を実行する(ステップS254)。たとえば、対象ステップ番号が「90」である場合には、スベリステップ数を「6」に設定して第1リール301aを停止させる。このように第1リール301aを停止させることで、第1リール301aにおける右下がり有効ライン623a上には「チェリー図柄」が停止表示される。
他方、ステップS251において条件装置がチェリー2でないと判断された場合、およびステップS252において、判定対象ステップ番号がステップ番号33〜120のいずれでもないと判断した場合には、ステップS255に移行する。ステップS255では、ステップS201で選択したリール停止制御テーブルを参照して第1リール301aを停止させ、内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。こうして、左リール第1リール停止処理を終了し、図61に示すステップS206に移行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がり有効ラインと右下がり有効ラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
また、ステップS204において、第1リール停止フラグがONとなっていないと判断した場合には、左リール停止処理を行う(ステップS205)。この処理は、「順押し」で操作された場合には行われず、「逆押し」または「中押し」で操作された場合の処理であるが、ステップS205の処理については、便宜上ここで説明する。
ステップS205では、左リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は後に説明するステップS214またはステップS221で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。このとき、ステップS214またはステップS221で決定するリール停止制御テーブルは、共通のテーブルとなるようにしている。ただし、これらのテーブルを異なるテーブルとなるようにすることもできる。さらには、共通するテーブルまたは異なるテーブルのいずれかとなるようにすることもできる。この場合、たとえば、適正な押し順が設定されてない条件装置が作動している場合には共通するテーブルを決定し、適正な押し順が設定されている条件装置が作動している場合には異なるテーブルを決定する態様とすることができる。この態様では、適正な押し順が設定されている条件装置が作動している状態で不適正な押し順で操作がなされたときの出目の決定を容易に行うことができる。そして、このとき左リール301aは、第2番目または第3番目に停止するリール(第2リールまたは第3リール)となり、ステップS204,S206,S207は全て迂回され、ステップS208に移り、左リール停止フラグLFをON(LF=1)としてステップS209に移る。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはOON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[リール停止制御]
リール停止制御としては、上記のテーブル方式およびステップ数方式のほか、従来公知のコントロール方式がある。このコントロール方式による制御では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。リール301a,301b,301cを停止させる際のリール停止制御は、メイン基板409によって実行される。メイン基板409は、解決手段に記載のリール停止制御手段に相当する。
リール停止制御の実行するにあたり、具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、メイン基板409は、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄表示領域「4」コマ分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄表示領域「4」コマ分とすれば、停止ボタン操作時における判定位置に相当する図柄表示領域を基点にしてさらに図柄表示領域「4」コマ分までリールの回転移動が可能となり、最大スベリコマ数が「4」コマとなる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
さらに、上記のテーブル方式においては、リール停止制御テーブルで引き込みコマ数を設定しておくことができる。このため、図柄表示領域4コマ分とすることがあるテーブルとすることで、テーブル方式における最大スベリコマ数は、上記のコントロール方式と同様に「4」コマとされている。
ところで、コントロール方式やテーブル方式においても、最大スベリコマ数を「5」コマあるいは「6」コマ以上とすることが考えられる。ところが、スロットマシン1では、リールの最高回転速度および停止ボタン操作時からリールを停止させるまでの時間がリール作動条件として決められていることが多い。このリール作動条件の下では、最大スベリコマ数が「4」コマに限定されるが、この理由を以下に説明する。
上記のリール作動条件として、具体的には、リールの最高回転速度は750ms/周とされていることが多い。また、停止ボタンを操作してからリール301a,301b,301cを停止させるまでの時間は、所定時間、たとえば190msまたは75ms以内とされていることが多い。
上記のリール作動条件の下で、最大スベリコマ数について考える。上記のテーブル方式およびコントロール方式では、図柄表示領域(コマ数)を単位としてスベリコマ数を決定する。このため、図柄表示領域のどの点が判定位置に位置する場合でも同様のスベリコマ数が決定することとなる。上記のリール作動条件の下では、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のコマ数は、下記(1)式によって求めることができる。
190×21÷750=5.32 ・・・(1)
上記の(1)式より、上記のリール作動条件の下では、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでに、リールを最大「5.32」コマ回転移動させられることが分かる。また、停止ボタン操作時のリールの回転位置によっては、最大11/12(≒0.92)コマ回転移動させたとしても、スベリコマ数が「0」コマとなる点が存在する。
停止ボタン操作時におけるリールの回転位置は、リールを回転させるステッピングモータの判定位置におけるステップ番号に基づいて検出される。ステッピングモータのステップ番号は、リールの1コマ(図柄表示領域)に12個設定されている。また、停止ボタンが操作される前のリールは、回転方向が一定であり逆方向に移動できないことから、たとえば、図柄表示領域の最下端から1ステップ進んだステップ番号が判定位置に位置しているときには、「0」コマスベリでリールを停止させる場合であっても11/12(≒0.92)コマ回転移動させる必要がある。このため、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させることできる最大移動コマ数は、下記(2)式の結果よりも小さいもっとも大きな整数である「4」コマとなる。
5.32−0.92=4.40 ・・・(2)
以上の説明のように、図柄表示領域(コマ数)を単位としてスベリコマ数を決定するコントロール方式およびテーブル方式では、リールの最大スベリコマ数が「4」コマとなる。
これに対して、ステップ数方式では、ステップ数を単位としてスベリコマ数を決定する点でコントロール方式およびテーブル方式とは大きく異なっている。ここで、ステップ数方式における最大スベリコマ数について説明する。ステップ方式であっても、コントロール方式やテーブル方式と同様のリール作動条件の下で最大スベリコマ数を求める。
ステップ数方式で最大スベリコマ数を算出するにあたり、上記のリール作動条件の下では、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のステップ数は、下記(3)式の結果よりも小さいもっとも大きな整数である「63」ステップとなる。
190×252÷750=63.84 ・・・(3)
停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のステップ数が「63」ステップであるところ、1の図柄表示領域には12個のステップ番号が設けられている。このため、最大スベリコマ数は下記(4)式を用いて求められる。
63÷12=5.25 ・・・(4)
コントロール方式やテーブル方式では、スベリコマ数を決定する際に、図柄表示領域(コマ数)を単位としていたことから、この場合の最大スベリコマ数は「4」コマであった。これに対して、ステップ数方式では、ステップ数を単位としてスベリコマ数を決定している。このため、停止ボタン操作時における判定位置のステップ番号が図柄表示領域におけるおおよそ下部〜中部に位置するステップ数の場合には、最大スベリコマ数が「4」コマとなる。さらには、停止ボタン操作時における判定位置のステップ番号が図柄表示領域におけるおおよそ上部に位置するステップ数の場合には、最大スベリコマ数が「5」コマとなる。このように、ステップ数方式を用いた場合は、上記のリール作動条件の下においても、最大スベリコマ数を「5」コマとするリール停止制御を行うことができる。
なお、リール停止条件として、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでの所定時間がまたは75msである場合でも、上記の同様の考え方から、コントロール方式およびテーブル方式における最大スベリコマ数は「1」コマとなる。これに対して、ステップ数方式では、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のステップ数は下記(5)式の結果よりも小さいもっとも大きな整数である「25」ステップとなる。このため、最大スベリコマ数は「2」コマとすることができる。
75×252÷750=25.2 ・・・(5)
また、本実施形態においては、RB1ゲームまたはRB2ゲームがいわゆるCT状態とされている。CT状態中には、停止ボタン操作時からリール停止までの時間が75ms以内とされていることが多いが、本実施形態ではCT状態であるRB1ゲームまたはRB2ゲームにおいて、第1リールについては停止ボタン操作時からリール停止までの時間が75ms以内とされている。
なお、本実施形態においては、CT状態の際には第1リールについて、停止ボタン操作時からリール停止までの最長時間である所定時間が75msとされているが、所定時間についてはその他の態様とすることもできる。たとえば、第2リールについて所定時間を75msとしたり、第3リールについて所定時間を75msとしたりすることができる。あるいは、第1リールから第3リールのうちの2つまたは3つのリールについて所定時間を75msとすることもできる。
さらに、ステップ数方式による制御について、たとえば一般状態またはチャンスARTが所定ゲーム数、たとえば300ゲーム連続するまでは特定スベリコマ数となり得る制御を実行せず、当該所定ゲーム数に到達した時点で特定スベリコマ数となり得る制御を実行することもできる。あるいは、一般状態またはチャンスARTが進行している過程において、所定のレア役(チェリーやスイカ等)の当選回数または入賞回数が所定回数、たとえば10回に到達した場合に特定スベリコマ数となり得る制御を実行することもできるし、所定のレア役以外の役(リプレイやAT1〜AT10のいずれか等)の当選回数またはリプレイやベルの入賞回数、ベルこぼ目の表示回数が所定回数、たとえば100回に到達した場合に、特定スベリコマ数となり得る制御を実行することもできる。
さらには、たとえば一般状態中に特定スベリコマ数となる制御が実行された場合には、通常スベリコマ数となる制御が実行された場合よりも、チャンスARTへの移行確率などが高くなるようにすることができる。このように、チャンスARTへの移行確率を高くすることにより、一般状態が長いゲーム数続いた後にはチャンスARTに移行する可能性が高くなるので、一般状態中であって、遊技者に対して、遊技を継続させようとすることできる。また、また、チャンスART中に特定スベリコマ数となる制御が実行された場合には、通常スベリコマ数となる制御が実行された場合よりも、ゲーム数上乗せが発生する確率が高くなったり、ゲーム数上乗せが発生した場合の上乗せゲーム数が大きくなるようにしたりすることができる。このように、ARTゲームが長時間続いた場合にゲーム数上乗せの優位性を与えることにより、ARTゲームを消化する際の惰性感を抑制することができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる(前述の図46参照)。これは、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で「4」コマ分の図柄おきに配置されているからである。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で「4」コマ分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、テーブル方式のリール停止制御を行う場合でも、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
[判定処理]
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図66では、この判定処理の内容を具体的に説明する。図66は、判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS301、S302、S303では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかを判定する。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS390に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS302の判定が満たされ、ステップS380に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS303の判定が満たされ、ステップS370に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグのいずれもOFF(=0)となっている場合、ステップS301、S302、S303の判定がいずれも満たされず、ステップS304に移る。
ステップS304で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。なお、ステップS312のBBゲーム開始処理は解決手段に記載の特別遊技状態開始手段の一例に相当する。
ステップS320では、RB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「白7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
次のステップS322では、RBゲーム開始処理を実行する。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS330では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、SBゲーム開始処理を実行する。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。なお、ステップS332のCRBゲーム開始処理は解決手段に記載の強制当選遊技状態開始手段に相当する。
ステップS340では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS342に移る。
次のステップS342では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS344では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS350では、小役図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS352に移る。
次のステップS352では、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
そして、ステップS354では、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310,S320,S330,S340,S350のいずれの判定も満たされず、ステップS360に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS360では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
上記のステップS304からステップS360までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS370以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
まず、ステップS370では、BBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。そして、いずれかの有効ライン上にBBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS372に移る。
次のステップS372では、揃っているBBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該BBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS372に次いで、ステップS374では、BBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS376に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS370の判定が満たされない場合、ステップS378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。特にこの例では、取りこぼしが生じないため、当該成立フラグにはハズレフラグが該当する。すなわち、ステップS378では、当該ハズレフラグをOFF(=0)にする。
次にステップS380以降の説明をする。ステップS380では、RBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「RBゲーム時払出役」も、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。そして、いずれかの有効ライン上にRBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS382に移る。
次のステップS382では、揃っているRBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該RBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS382に次いで、ステップS384では、RBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS380の判定が満たされない場合、前述のステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したため、説明は省略する。
次にステップS390以降の説明をする。ステップS390では、SBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。いずれかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS392に移る。
次のステップS392では、揃っているSBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該SBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS392に次いで、ステップS394では、CRBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS390の判定が満たされない場合、ステップS396に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したステップS378と同じ内容であるため、説明は省略する。
[演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、ARTゲームの回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者はARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
また、ARTゲームの回数のカウント表示は特に行わないものであってもよい。回数のカウント表示を行わないことは、例えば、遊技者がARTゲームの規定回数を知り得ていない場合、いつまでARTゲームが続くのか分からずハラハラしながらARTゲームを続けられるという効果を奏することができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
以上の説明のように、本実施形態に係るスロットマシン1においては、ステップ数方式によるリール停止制御を行っている。このため、同じ図柄表示領域が判定位置に位置している場合でも、異なるスベリコマ数となるリール停止制御を行うことができる。したがって、リールの動きを多様化させることでリールの動きが単調となる事態を抑制することができ、興趣の低下を抑制するこができる。
具体的に、第1特定図柄表示領域(配列番号「4」、ステップ番号「49」〜「60」)では、対象ステップ番号が1のステップ番号(ステップ番号「57」)となったときのみ、他のステップ番号となったときと移動コマ数が異なる設定とされている。このため、配列番号「4」の範囲が判定位置に含まれるときに左リール停止ボタン211aを操作して左リール301aを停止させる場合でも、「3」コマスベリとなって左リール301aの右下がり有効ライン623aに「チェリー図柄」が停止表示される場合もあり、「5」コマスベリとなって左リール301aの右上がり有効ライン623bに「チェリー図柄」が停止表示される場合もある。このように、同じ配列番号の図柄表示領域の位置で停止ボタンが操作された場合でも、異なるスベリコマ数とすることできるので、リールの動きを多様化させることができる。
特に、第1特定図柄領域では、「5」コマスベリとなるのは、12ステップのうちの1ステップであり、単純には1/12の割合となる。このため、「5」コマスベリとなるのは稀であるので、「5」コマスベリが発生したことに対する驚きなどを遊技者に与えることができる。
さらに、「5」コマスベリなどの特定スベリコマ数となるのは、チェリー2が成立した場合のみであり、チェリー2が成立したときは、ボーナスへの移行に対する期待感が大きくなるときである。このため、特定スベリコマ数となったときには、チェリー2が成立したこととなるので、特定スベリコマ数となったことによって、ボーナスへの移行に対する期待感が高まる。したがって、特定スベリコマ数となり、ボーナスへの移行に対する期待感が高まったことに対する喜びや驚きを遊技者に与えることができる。
さらに、左リール301aにおける有効ライン623a,623b上に「チェリー図柄」が停止表示されるのは、チェリー1またはチェリー2が成立した場合のみである。ここで、成立した条件装置がチェリー2である場合、成立した条件装置がチェリー1である場合よりもボーナスへの移行に対する割合が非常に大きい。このため、成立した条件装置がチェリー2であるかチェリー1であるかによって遊技者に与える喜びに差が生じることがある。ここで、左リール301aにおける有効ライン623a,623b上に「チェリー図柄」が停止表示された時点では、成立した条件装置がチェリー2であるかチェリー1であるかが分からないことがある。この点、たとえば特定スベリコマ数でチェリー図柄が停止表示された場合には、成立した条件装置がチェリー2であることとなる。したがって、特定スベリコマ数で左リール301aにおける有効ライン623a,623b上に「チェリー図柄」が停止表示された場合には、いち早くボーナスに対する期待感を大きくすることができる。
また、第2特定図柄表示領域(配列番号「4」、ステップ番号「61」〜「72」)では、対象ステップ番号が奇数のステップ番号(ステップ番号「61」「63」「65」「67」「69」「71」)となったときと、偶数のステップ番号(ステップ番号「62」「64」「66」「68」「70」「72」)となったときとで、移動コマ数が異なる設定とされている。このため、同じ配列番号の図柄表示領域の位置で停止ボタンが操作された場合でも、異なるスベリコマ数とすることできるので、リールの動きを多様化させることができるのは、第1特定図柄表示領域の場合と同様である。
さらに、第2特定図柄表示領域では、「2」コマスベリとなるのと「4」コマスベリとなるのはそれぞれ6ステップずつである。このため、「2」コマスベリおよび「4」コマスベリは、単純にはそれぞれ1/2の割合で発生することとなるので、いずれのスベリコマ数となるかを遊技者に分かりにくくすることができ、その分スベリコマ数に対する興味を増大させることができる。
また、第3特定図柄表示領域(配列番号「5」ステップ番号「73」〜「84」)では、対象ステップ番号が後半の一部のステップ番号(ステップ番号「81」〜「84」)となったときと、その他の前部(ステップ番号「73」〜「80」)となったときとで、移動コマ数が異なる設定とされている。このため、同じ配列番号の図柄表示領域の位置で停止ボタンが操作された場合でも、異なるスベリコマ数とすることできるので、リールの動きを多様化させることができるのは、第1特定図柄表示領域の場合と同様である。
さらに、第3特定図柄表示領域では、「1」コマスベリとなる領域と「3」コマスベリとなる領域とがそれぞれ固まって配置されている。このため、「1」コマスベリまたは「3」コマスベリとなることを遊技者に比較的狙わせやすい態様とすることができる。したがって、いわゆる目押し上級者などが目押しの正確性を競うための指標などとすることもできる。
また、上記の実施形態においては、停止ボタン操作時における判定対象ステップ番号に応じてリール301a,301b,301cの停止位置を決定している。さらには、特定図柄表示領域では、判定対象ステップ番号が共通する図柄表示領域に属するにも拘わらず、異なる移動コマ数となるようにリールを停止させうる制御を実行している。従来のテーブル方式によるリール停止制御の場合には、リール停止制御テーブルを参照してスベリコマ数を設定するため、判定対象ステップ番号が同じ図柄配置領域に属する場合には、同じスベリコマ数となる。ただし、テーブル方式では、互いに異なるスベリコマ数が記憶された複数のリール停止制御テーブルを用意しておき、条件装置が成立した際に抽選等を行い、複数のリール停止制御テーブルの中から使用するテーブルを決定する態様とすることはできる。この場合、判定対象ステップ番号が所定の図柄配置領域に属する場合であっても、異なるスベリコマ数となるようにリール301a,301b,301cを停止させる制御を実行可能である。しかしながら、このようなテーブル方式の制御では、停止制御を開始する際の判定対象ステップ番号が全く同じ位置である場合でも、異なるスベリコマ数でリール301a,301b,301cが停止することがあるなど、遊技者に違和感を与えるおそれがあった。
この点、上記の実施形態に係る遊技機では、判定対象ステップ番号に応じてリール301a,301b,301cの停止位置を決定するステップ数方式による制御を実行している。このため、判定対象ステップ番号が共通する場合には、同じスベリコマ数(スベリステップ数)でリール301a,301b,301cが停止する。したがって、本実施形態に係るスロットマシン1において実行されるステップ数方式では、上記のテーブル方式によるリール停止制御のように、判定対象ステップ番号が共通する場合でも異なるスベリコマ数でリール301a,301b,301cが停止するといったことはなく、ある判定対象ステップ番号の場合には、必ず同じスベリコマ数でリール301a,301b,301cが停止するので、遊技者に与える違和感を軽減することができる。
また、上記の実施形態では、テーブル方式とステップ数方式を併用したリール停止制御を行っている。これに対して、ステップ数方式のみによるリール停止制御を行うこともできるし、テーブル方式に代えてコントロール方式を採用し、コントロール方式とステップ数方式を併用したリール停止制御を行うこともできる。さらには、ステップ数方式のほか、テーブル方式およびコントロール方式を合わせて用いることもできる。
ただし、ステップ数方式におけるリール停止制御に用いられる移動ステップ数判定テーブルは、必要とする記憶容量が大きくなる傾向にある。このため、ステップ数方式のみによる場合と比較して、テーブル方式やコントロール方式を併用することで、必要とする記憶容量の負担を軽減することができる。
さらに、上記の実施形態では、成立した条件装置がチェリー2(強チェリー)であり、左リール301aにおけるステップ番号「33」〜「120」の範囲において、ステップ数方式によるリール停止制御を実行するようにしている。これに対して、他の条件装置が成立した場合にステップ数方式によるリール停止制御を実行することもできるし、他のステップ番号、他のリールについてステップ数方式によるリール停止制御を実行することもできる。さらには、上記の実施形態ではステップ番号「33」〜「120」の範囲という1箇所の範囲についてステップ数方式によるリール停止制御を行っているが、複数の範囲についてステップ数方式によるリール停止制御を行うようにすることもできる。
また、成立した条件装置がチェリー2である場合のみならず、成立した条件装置がチェリー1である場合にも、ステップ数方式によるリール停止制御を行う態様とすることもできる。この場合、成立した条件装置がチェリー2である場合とチェリー1である場合とで共通する制御とすることもできるが、異なる制御とすることもできる。また、成立した条件装置がチェリー2である場合とチェリー1である場合とで異なる制御とする場合、成立した条件装置がチェリー2である場合には、成立した条件装置がチェリー1である場合よりも特定スベリコマ数となる割合が大きくなるようにすることができる。この場合、特定スベリコマ数となる制御が実行されたとき、成立した条件装置はチェリー1とチェリー2のいずれであることもあるが、チェリー2であることが多くなる。したがって、特定スベリコマ数となった場合には、チェリー2の成立、さらにはボーナスへの移行に対する期待感を高めることができる。
また、上記の実施形態では、押し順によってはリール停止制御の態様が異なることはないようにされているが、押し順によって異なるリール停止制御とする態様とすることもできる。具体的には、所定のリールにおける所定のステップ番号の範囲において、順押し時にはステップ数方式によるリール停止制御を行うものの、逆押し時および中押し時にはテーブル制御を行う態様などとすることもできる。この場合、順押し時には左リールでステップ数方式によるリール停止制御を行い、逆押し時には右リールでステップ数方式によるリール停止制御を行うなどとすることもできる。また、これらの場合に、それぞれ異なる移動ステップ数判定テーブルを用いる態様とすることもできる。これらの態様によれば、リールの動きの多様化を促進することができ、さらに興趣の低下を抑制することができる。
さらに、上記の実施形態においては、ステップ数方式によるリール停止制御を行うにあたって、移動ステップ数判定テーブルを用いていたが、このようなテーブルを用いることなくステップ数方式によるリール停止制御を行うこともできる。たとえば、条件装置ごとに停止可能となるステップ数である停止可能ステップ数を定めておき、対象ステップ数に63を加算した範囲内にある停止可能ステップ数のうち、もっとも小さい停止可能ステップ数に基づいてリールを停止させる態様とすることができる。ただし、このときに他の条件をつけることでリールの停止態様の多様化を図ることができる。たとえば、対象ステップ数に63を加算した範囲で停止可能ステップ数が複数ある場合、対象ステップ数が偶数であれば小さい方の停止可能ステップ数に基づいてリールを停止させ、対象ステップ数が奇数であれば大きいほうの停止可能ステップ数に基づいてリールを停止させるなどの態様とすることもできる。
また、上記の実施形態においては、同じ図柄表示領域が判定位置に位置している場合に停止ボタンが操作されたときに、異なるスベリコマ数を実現できるようにしている。ここで、同じ図柄表示領域が判定位置に位置している場合に停止ボタンが操作されたときに、異なるスベリコマ数となった場合に、特定の特典を付与することもできる。たとえば、1コマ中の12ステップのうち、11ステップのスベリコマ数が「3」コマであり、1ステップのスベリコマ数が「5」コマである場合には、「5」コマスベリが生じた場合に、所定の特典を付与することもできる。所定の特典とは、たとえば遊技状態が遊技者に有利となる遊技状態に移行し易くなるいわゆる高確移行抽選の当選や、特典画像、あるいは設定値毎に異なる演出が実行されるいわゆる設定示唆演出の発生割合の上昇などを挙げることができる。
特に、RB1ゲーム又はRB2ゲーム中におけるCT状態でこのような特典を付与可能とすることで、CT状態を特定の遊技状態とすることができる。たとえば、CT状態中に異なるスベリコマ数が発生した場合に設定示唆演出の発生割合を高くすることで、CT状態が、特定の遊技状態として、設定推測の要素を盛り込んだ遊技状態とすることができる。あるいは、CT状態中に異なるスベリコマ数が発生した場合に特典画像が提供される割合を高くすることで、CT状態が、特定の遊技状態として、特典画像獲得チャンス状態となる遊技状態とすることができる。
ここで、スベリコマ数に応じて特典を付与するにあたり、目押しの極めて優れた遊技者である場合には、ステップ数単位での目押しを実行できる場合がある。このような遊技者によれば、上記の特典を容易に獲得することができることとなり、遊技者間の技量の差による不公平が拡大するおそれがある。このため、ここで付与する特典として、特典の度合いが小さい特典、たとえば上記の特典画像や設定推測要素の示唆の付与などにとどめ、たとえば、遊技状態の移行など、払出メダル数に関与し易い特典を避けることで、遊技者間の不公平感を軽減することができる。
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係るスロットマシンは、上記第1実施形態に係るスロットマシンと比較して、ステップ数方式によるリール停止制御の態様が主に異なっている。以下、上記の第1実施形態との相違点を中心として、本実施形態に係るスロットマシンについて説明する。
本実施形態に係るスロットマシンは、上記第1の実施形態に係るスロットマシンと比較して、移動ステップ数判定テーブルおよび停止図柄判定テーブルの態様が主に異なっている。また、移動ステップ数判定テーブルが異なることに呼応して、リール301a,301b,301cが停止する際、判定位置BL(図51参照)の位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号以外のステップ番号が停止することがある態様とされている。図67は、移動ステップ数判定テーブルを示す図、図68は、停止図柄判定テーブルを示す図である。
図67に示すように、本実施形態に係るスロットマシンにおける移動ステップ数判定テーブルでは、図65に示す上記第1の実施形態に係るスロットマシンにおける移動ステップ数判定テーブルと同様、判定対象ステップ番号に対応する移動ステップ数が記憶されている。また、移動ステップ数判定テーブルに記憶されている移動ステップ数は、最大63ステップのうち、左リール301aにおける「チェリー図柄」が、左上有効停止位置または左下有効停止位置」というステップ数とされている。この点は、上記第1の実施形態と同様である。
さらに、停止ボタン操作時から左リール301aを停止させるまでの最長時間が190msである点との関係において、「チェリー図柄」を左上有効停止位置また左下有効停止位置までしか移動させることができない移動ステップ数となる場合には、そのステップ数が記憶されている点についても、上記の第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、特定図柄表示領域として第10特定図柄表示領域〜第15特定図柄表示領域の6つの図柄表示領域が設けられている。これらの特定図柄領域としては、図67に示すように、第10特定図柄表示領域として配列番号「3」の図柄表示領域(ステップ番号「25」〜「36」)、第11特定図柄表示領域として配列番号「3」の図柄表示領域(ステップ番号「37」〜「48」)、第12特定図柄表示領域として配列番号「4」の図柄表示領域(ステップ番号「49」〜「60」)が設定されている。さらに、第13特定図柄表示領域として配列番号「5」の図柄表示領域(ステップ番号「61」〜「72」)、第14特定図柄表示領域として配列番号「6」の図柄表示領域(ステップ番号「73」〜「84」)の図柄表示領域、第15特定図柄表示領域として配列番号「7」の図柄表示領域(ステップ番号「85」〜「96」)の図柄表示領域が設定されている。
このうち、第10特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が「25」〜「29」の場合には、有効ライン上にチェリー図柄を引き込むことができない設定とされているので、ここでのスベリコマ数の説明は省略する。そのほか、第10特定図柄表示領域において、対象ステップ番号が所定の2つのステップ番号のいずれか(ステップ番号「30」〜「32」)となったときに、他のステップ番号(ステップ番号「33」〜「36」)となったときと左リール301aの停止位置が異なる設定とされている。
さらに説明すると、対象ステップ番号が「32」このときのスベリコマ数は、「5」コマよりも1ステップ分短いコマ数となり(このときのコマ数を図67において「5s1」コマと表示している)、対象ステップ番号が「31」このときのスベリコマ数は、「5」コマよりも2ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「5s2」コマと表示している)。また、対象ステップ番号が「30」このときのスベリコマ数は、「5」コマよりも3ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「5s3」コマと表示している)。
さらに説明すると、本実施形態では、停止ボタン操作時における判定位置BLでのステップ番号が上記のステップ番号「30」〜「32」のいずれかである場合には、スベリコマ数が「5s1」コマ、「5s2」コマ、または「5s3」コマとなる、このため、判定位置BLの位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号以外のステップ番号が位置して左リール301aが停止する状態とされている。このように、本実施形態では、左リール301aにおける停止が許容される停止許容位置は、左リール301aにおける図柄の数よりも多く設定されている。なお、左リール301aのみならず、他のリール301b,301cについても図柄の数よりも多い停止許容位置を設定することもできる。
以下、停止ボタン操作時における判定位置BLのステップ番号である際に、判定位置BLの位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号が位置して左リール301aが停止することとなるステップ番号を「通常停止ステップ番号」という。また、判定位置BLの位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号以外のステップ番号が位置して左リール301aが停止することとなるステップ番号を「特定停止ステップ番号」という。さらに、定位置BLの位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号が位置して左リール301aが停止する態様を「通常左リール停止状態」といい、また、定位置BLの位置に12の倍数(0を含む)のステップ番号以外のステップ番号が位置して左リール301aが停止する状態を「特定左リール停止状態」という。また、「通常左リール停止状態」と「特定左リール停止状態」とをまとめて「左リール停止状態」という。
第11特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が所定の3つのステップ番号のいずれか(ステップ番号「39」「42」「45」)となったときのスベリコマ数は、「4」コマよりも3ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「4s」コマと表示している)。なお、本実施形態において、特定左リール停止状態となるのは、条件装置としてチェリー2が成立した場合のみである。
また、第12特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が前半の一部のステップ番号(ステップ番号「57」〜「60」)とであるときと後半の残りの部分ステップ番号(ステップ番号「61」〜「72」)とであるときとで、左リール停止状態が異なる設定とされている。このうちの前半の一部のステップ番号(ステップ番号「57」〜「60」)が特定停止ステップ番号となる。第2特定図柄表示領域において対象ステップ番号が特定停止ステップ番号となったときのスベリコマ数は、「3」コマよりも3ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「3s」コマと表示している)。
第13特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が後半の一部のステップ番号(ステップ番号「69」〜「72」)とであるときと前半の残りの部分ステップ番号(ステップ番号「61」〜「68」)とであるときとで、左リール停止状態が異なる設定とされている。このうちの後半の一部のステップ番号(ステップ番号「69」〜「72」)が特定停止ステップ番号となる。第3特定図柄表示領域において対象ステップ番号が特定停止ステップ番号となったときのスベリコマ数は、「2」コマよりも3ステップ分長いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「2l」コマと表示している)。
さらに、第14特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が中頃の一部のステップ番号(ステップ番号「78」〜「80」)とであるときと残りの部分ステップ番号(ステップ番号「73」〜「77」、「81」〜「84」)とであるときとで、左リール停止状態が異なる設定とされている。このうちの中頃の一部のステップ番号(ステップ番号「78」〜「80」)が特定停止ステップ番号となる。第4特定図柄表示領域において対象ステップ番号が特定停止ステップ番号となったときのスベリコマ数は、「1」コマよりも1ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「1m」コマと表示している)。
第15特定図柄表示領域では、対象ステップ番号が最初のステップ番号(ステップ番号「85」)とであるときと他の残りの部分ステップ番号(ステップ番号「86」〜「96」)とであるときとで、左リール停止状態が異なる設定とされている。このうちの最初のステップ番号(ステップ番号「85」)が特定停止ステップ番号となる。第5特定図柄表示領域において対象ステップ番号が特定停止ステップ番号となったときのスベリコマ数は、「2」コマよりも3ステップ分短いコマ数となる(このときのコマ数を図67において「2s」コマと表示している)。
また、判定位置BLにどの図柄が位置しているかについては、上記の実施形態と同様、ステッピングモータでリール301a,301b,301cを停止させる際に判定位置BLに停止させるステップ番号を図柄判定テーブルに参照することによって判定する。ただし、参照する図柄判定テーブルは、図68に示す停止図柄判定テーブルとなる。
図63に示すように、上記第1実施形態に係る停止図柄判定テーブルでは、判定位置BLに停止させるステップ番号を1種類のみ特定して停止図柄を判定していた。これに対して、本実施形態に係る停止図柄判定テーブルでは、図68に示すように、判定位置BLに停止させるステップ番号を複数種類に広げて停止図柄を判定する。
具体的に、図68に示すように、判定位置BLにステップ番号「249」から「3」のいずれかを停止させる制御を行った場合には、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「0」の図柄、左リール301aについていえば「正図柄」が位置していると判定する。同様に、判定位置BLにステップ番号「9」〜「15」のいずれかを停止させる制御を行った場合には、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「1」の図柄が位置していると判定し、判定位置BLにステップ番号「21」〜「27」のいずれかを停止させる制御を行った場合には、リール301a,301b,301cにおける下段位置に配列番号「2」の図柄が位置していると判定する。以下同様に、図68に示す関係をもって判定位置BLにおけるステップ番号から下段の図柄を判定する。
また、中段に停止させる図柄および上段に停止させる図柄については、上記の第1実施形態と同様、下段に停止させる図柄が決定されることによって自動的に決定されることとなる。具体的に、中段に停止される図柄は、下段に停止される図柄の配列番号に「1」を加算した配列番号の図柄であり、上段に停止される図柄は、下段に停止される図柄の配列番号に「2」を加算した配列番号の図柄である。
このように、本実施形態に係るスロットマシンにおいては、ステップ数方式によるリール停止制御を行う際に、通常左リール停止状態のほかに特定左リール停止状態となることがある。たとえば、通常左リール停止状態を含むリール301a,301b,301cの停止状態を図69に示し、特定左リール停止状態を含むリール301a,301b,301cの停止状態を図70に示す。
左リール301aが通常左リール停止状態で停止する場合には、たとえば図69に示すように、リール301a,301b,301cの各図柄が横一直線に見えるように、リール301a,301b,301cが停止される。これを個別的に見ると、下段のラインにおいて「ベル図柄」−「リプレイ図柄」−「チェリー図柄」が水平に横一直線に並んでいるように見える。同様に、中段のラインにおいては「スイカ図柄」−「チェリー図柄」−「リプレイ図柄」、上段のラインにおいては「チェリー図柄」−「ベル図柄」−「ベル図柄」がそれぞれ水平に横一直線に並んでいるように見える。これらの図柄が水平に横一直線に並んでいる様は、ある意味特定のラインに特定の図柄が並んでいるか否かの判断を容易にすると考えられる一方で、図柄表示窓401との相対的な位置関係が常に固定されていることとなる。このため、リール301a,301b,301cが停止した際における図柄表示窓401に表示される図柄組合せの表示パターンに多様性が乏しく、興趣の低下を招くおそれがある。
この点、本実施形態に係るリール停止制御において、ステップ数方式によって左リール301aを停止させるとき、判定位置BLの位置に12の倍数以外の特定停止ステップ番号が位置するように左リール301aを停止させる特定左リール停止状態で左リール301aを停止させることがある。この場合の例として、判定位置BLの位置に特定停止ステップ番号「93」が位置する左リール停止状態の場合には、図70に示すように、左リール301aにおける停止位置が、中右リール301b、301cと比較してずれた位置、さらにいえば下方にずれた位置に停止している様に見える。このため、下段のラインにおいて、左リール301aの「ベル図柄」の位置に対して、中右リール301b、301cの「リプレイ図柄」−「チェリー図柄」の位置が高い場所に位置していることとなる。
同様に、中段のラインにおいては、左リール301aの「スイカ図柄」の位置に対して、中右リール301b、301cの「チェリー図柄」−「リプレイ図柄」の位置が高い場所に位置していることとなる。さらには、上段のラインにおいて、左リール301aの「チェリー図柄」の位置に対して、中右リール301b、301cの「ベル図柄」−「ベル図柄」の位置が高い場所に位置していることとなる。
このように、左リール301aを特定左リール停止状態で停止させることがあるので、左リール301aの停止パターンを特定左リール停止状態と通常左リール停止状態との複数のパターンとすることができる。このため、リール301a,301b,301cが停止した際における図柄表示窓401に表示される図柄組合せの表示パターンに多様性を持たせることができる。したがって、その分興趣の低下を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、特定停止ステップ番号を複数設定し、特定左リール停止状態を複数設定している。具体的には、特定停止ステップ番号は「93」「94」「95」「99」の3種類とされている。これらの特定停止ステップ番号が判定位置BLに位置して左リール301aが停止する特定左リール停止状態は以下のとおりである。特定停止ステップ番号「93」が判定位置BLに位置して左リール301aが停止する特定左リール停止状態となるのは、対象ステップ番号が「30」「39」「42」「45」「57」〜「60」のときであり、特定停止ステップ番号「94」が判定位置BLに位置して左リール301aが停止する特定左リール停止状態となるのは、対象ステップ番号が「31」のときである。また、特定停止ステップ番号「95」が判定位置BLに位置して左リール301aが停止する特定左リール停止状態となるのは、対象ステップ番号が「32」「78」〜「80」のときである。さらに、特定停止ステップ番号「99」が判定位置BLに停止する特定左リール停止状態となるのは、対象ステップ番号が「69」〜「72」のときである。
このように、特定停止ステップ番号が判定位置BLに位置する特定左リール停止状態を複数設定することにより、特定左リール停止状態の種類によっても表示パターンを多様化でき、その分興趣の低下を抑制することができる。また、最大移動ステップ数が63ステップである条件の下では図柄の引き込み範囲が限定され、たとえば特定左リール停止状態がない場合には、「チェリー図柄」を左リール301aにおける右上がり有効ライン623b上に停止させるためには、対象ステップ番号が「33」〜「96」の範囲に限定されてしまう。これに対して、本実施形態では、特定左リール停止状態を設定することで、対象ステップ番号が「30」〜「32」の際にも「チェリー図柄」を左リール301aにおける右上がり有効ライン623b上に停止させることができる。したがって、特定左リール停止状態が設定されていない状態に対して、図柄がずれた位置に停止しているという認識を遊技者に与えにくくしながら、図柄の引き込み範囲を拡大することができる。
特に、本実施形態において、特定左リール停止状態となるのは、条件装置としてチェリー2が成立したときのみであり、条件装置としてチェリー2が成立すると、ボーナスへの移行の期待感が高まる。してみると、特定左リール停止状態となったときには、そのままボーナスへの期待感が高まることとなる。このため、特定左リール停止状態となっているか否かは、遊技者にとって大きな関心事となり得る。この点、第2特定左リール停止状態における停止位置は、通常左リール停止状態における停止位置との差が小さくされていることから、ずれているか否かを遊技者に確認させる興味を大きくすることができる。
さらに、特定停止ステップ番号の配置の態様に応じた興趣の低下の抑制を図っている。たとえば、特定ステップ番号「57」〜「60」は、4ステップ分のステップ番号が並んで配置されており、特定停止ステップ番号「39」「42」「45」は2ステップ分の間隔を置いて配置されている。
このため、特定左リール停止状態で左リール301aを停止させようとする遊技者にとっては、特定ステップ番号「57」〜「60」を狙って目押しした場合には、4ステップ分の余裕があるところ、特定停止ステップ番号「39」「42」「45」のいずれかを狙って目押しした場合には1ステップ分の余裕しかない。このため、特定ステップ番号「57」〜「60」を狙うことで、特定停止ステップ番号「39」「42」「45」のいずれかを狙うよりも容易に左リール停止状態で左リール301aを停止させることができる。
また、目押しの程度を試したい遊技者にとっては、4ステップ分の余裕がある場合よりも1ステップ分の余裕の方が、目押し力が高いこととなる。このため、1ステップ分の余裕の目押しを試すために、特定停止ステップ番号「39」「42」「45」のいずれかをを狙わせるようにすることができる。
また、特定ステップ番号「57」〜「60」の4ステップ分の余裕があるものの、この目押しは困難であることから、これらのステップ番号の近辺をランダムに目押しした場合には、通常左リール停止状態となることもあり、特定左リール停止状態となることもある。このため、左リール停止状態が通常左リール停止状態となるか特定左リール停止状態となるかに対する興味を持たせることもできる。
特に、対象ステップ番号「39」「42」「45」のように、特定左リール停止状態で左リール301aが停止するパターンの対象ステップ番号が間隔をおいて配置されていることで、当該対象ステップ番号を目押しすることは非常に困難なものとなる。このため、特定左リール停止状態で左リール301aが停止するパターンがランダムに発生することが多くなり、遊技者に意外性を与えることができるので、その分興趣の低下を抑制することができる。
また、本実施形態に係るスロットマシンでは、リール301a,301b,301cが停止した際に判定位置BLに位置するステップ番号が、通常停止ステップ番号のほかに特定停止ステップ番号となることがある。このため、たとえば上記図63に示す第1実施形態における停止図柄判定テーブルのように、ステップ番号と図柄の配列番号との関係が1対1であると、有効ライン623a,623b上における図柄の判定が困難となる。
この点、本実施形態に係るスロットマシンでは、図68に示すように、配列番号を特定するためのステップ番号を各配列番号について7ステップ分含ませて設定している。本実施形態に係るスロットマシンで実施されるリール停止制御において、特定左リール停止状態となる際にずれる可能性があるステップ数は、最大で3ステップ分である。このため、有効ライン623a,623b上におけるステップ番号を判定する際に、通常停止ステップ番号に±3とした範囲のステップ番号を含ませることにより、有効ライン623a,623b上の図柄を精度良く検出することができる。
以上の説明のように、本実施形態に係るスロットマシンにおいては、上記第1実施形態と同様、ステップ数方式によるリール停止制御を行っている。このため、同じ図柄表示領域が判定位置に位置している場合でも、異なるスベリコマ数となるリール停止制御を行うことができる。したがって、リールの動きを多様化させることでリールの動きが単調となる事態を抑制することができ、興趣の低下を抑制するこができる。
また、第1実施形態と同様、ステップ数方式のみによるリール停止制御を行うこともできるし、テーブル方式に代えてコントロール方式を採用し、コントロール方式とステップ数方式を併用したリール停止制御を行うこともできる。さらには、ステップ数方式のほか、テーブル方式およびコントロール方式を合わせて用いることもできる。
さらに、上記第1実施形態と同様、成立した条件装置がチェリー2(強チェリー)以外の条件装置が成立した場合にステップ数方式によるリール停止制御を実行することもできるし、他のステップ番号、他のリールについてステップ数方式によるリール停止制御を実行することもできる。さらには、複数の範囲についてステップ数方式によるリール停止制御を行うようにすることもできる。
また、上記第1実施形態と同様、押し順によって異なるリール停止制御とする態様とすることもできる。さらに、ステップ数方式によるリール停止制御を行うにあたって、移動ステップ数判定テーブルを用いていたが、このようなテーブルを用いることなくステップ数方式によるリール停止制御を行うこともできる。
また、本実施形態に係るスロットマシンでは、有効ライン623a,623b上の図柄を判定する際に判定位置BLに位置するステップ番号として、12の倍数(0を含む)のステップ番号に±3とした範囲のすべてのステップ番号を含ませている。このような12の倍数(0を含む)のステップ番号に±3とした範囲のすべてのステップ番号を含ませている態様に変えて、通常停止ステップ番号のほか、有効ライン623a,623b上の図柄を判定する際に判定位置BLに位置するステップ番号とすることもできる。この場合、停止ステップ番号の記憶量を少なくすることができるので、必要とする記憶容量の負担を軽減することができる。
また、上記の実施形態においては、いわゆるイリーガルヒットエラーの判定を行っているが、このイリーガルヒットエラーの判定を行わない態様とすることもできる。イリーガルヒットエラーの判定とは、当選役と有効ライン623a,623bに表示されている図柄組合せとを比較し、当該比較の結果に応じてメダルの払出の可否を決定するための判定である。ここで、イリーガルヒットエラーの判定を行う場合、当選役と有効ライン623a,623bに表示されている図柄組合せとが対応しているときに所定枚数のメダルの払出を実行し、当選役と有効ライン623a,623bに表示されている図柄組合せとが対応していないときにはメダルの払出を行わないようにすることができる。あるいは、当選役と有効ライン623a,623bに表示されている図柄組合せとが対応していないとき、何らかの不正が行われている可能性があるので、所定の警報等を発する態様とすることもできる。また、イリーガルヒットエラーの判定を行わない場合には、当選役との対応に拘わらず、有効ライン623a,623bに表示されている図柄組合せに応じてメダルの払出を行う。この場合、イリーガルヒットエラーの判定の処理が省けるので、その分制御負担を軽減することができる。
また、上記の各実施形態においては、各リール301a,301b,301cに付された図柄列が21個の図柄で構成された態様としているが、図柄列が21個の図柄で構成されておらず、たとえば図71に示すように、20個の図柄で構成されている態様とすることもできる。図柄列が20個の図柄で構成されている態様の場合において、200個の歯を有するロータを備えるステッピングモータを用いることで、各図柄表示領域に割り当てられるステップ数を10としたものとすることができる。
この場合、たとえば図72に示すように、20個の図柄表示領域には、200のステップ数が割り当てられており、たとえば、左リール301aにおける配列番号0の第0図柄表示領域(正図柄)には、ステップ番号1〜10が割り当てられ、配列番号1の第1図柄表示領域(リプレイ図柄)にはステップ番号11〜20が割り当てられている。このように、各リール301a,301b,301cにおける全ての図柄について、ステップ番号が割り当てられている。なお、第19図柄表示領域におけるステップ番号191〜0については、ステップ番号191〜199とステップ番号0が含まれている。このように、各リールに付された図柄列が20個の図柄で構成された態様とすることができる。なお、この図柄列が20個である変形例においては、当選役に対応する図柄の組み合わせについては、上記第1実施形態における図54〜図56とは異なるものとなるが、ここではその説明については省略する。
図柄列が20個の図柄で構成され、ステップ数が200である場合の最大スベリコマ数について考える。リールの最高回転速度を750ms/周、停止ボタンを操作してからリールを停止させるまでの所定時間を190msとした場合、停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のステップ数は、下記(5)式の結果よりも小さいもっとも大きな整数である「50」ステップとなる。
ステップ数方式による制御を行う際には、下記(5)式で求めることができる。
190×200÷750=50.67 ・・・(5)
停止ボタン操作時からリールを停止させるまでにリールを回転移動させられる最大のステップ数が「63」ステップであるところ、1の図柄表示領域には10個のステップ番号が設けられている。このため、最大スベリコマ数は下記(6)式を用いて求められる。
50÷10=5.00 ・・・(6)
このように、図柄列が20個の図柄で構成され、ステップ数が200である態様においても、ステップ数方式では、最大スベリコマ数を「5」コマとするリール停止制御を行うことができる。
さらに、上記の各実施形態において用いられるステッピングモータのステップ数は252であり、上記の変形例についてのステッピングモータのステップ数は200とされているがステッピングモータのステップ数についても適宜の数の態様とすることができる。たとえば、上記の各実施形態において、各リールに21個の図柄が付された図柄列の場合、ステッピングモータのステップ数が252のほか、210や315など、21の倍数の態様とすることができるし、200や320など、21の倍数以外の数の態様とすることもできる。また、各リールに付された図柄列については、21個や20個に限定されず、他の個数、たとえば16個や12個などとすることもできる。
上記の発明を実施するための形態で説明したスロットマシン1は、以下の技術思想としてあらわすことができる。
[技術思想1]
複数の図柄がそれぞれに配置されている複数のリールと、
前記リールを回転させるリール駆動手段と、
前記リールを停止させるためのリール停止ボタンの操作を検出する停止操作検出手段と、
前記停止操作検出手段の検出タイミングに基づいて前記リールの停止制御を行うリール停止制御手段と、を備え、
前記リール停止制御手段による前記リールの停止を許容する停止許容位置は、前記リールに配置された図柄の数よりも多く設定されていることを特徴とする遊技機。
より詳しくは、以下の技術思想2として表現することができる。
[技術思想2]
複数の図柄がそれぞれに配置されている複数のリールと、
前記リールを回転させるリール駆動手段と、
前記リールを停止させるためのリール停止ボタンの操作を検出する停止操作検出手段と、
前記停止操作検出手段の検出タイミングに基づいて前記リールの停止制御を行うリール停止制御手段と、を備え、
前記リールにおける前記複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域には、前記リールの停止位置を判定する停止対象位置が複数設定されており、
前記リール駆動手段は、前記リールにおける前記複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域における複数の停止対象位置のいずれかが所定の停止判定位置に相当する位置で前記リールを停止可能としており、
前記図柄配置領域における停止対象位置のうちの複数の停止対象位置が前記停止判定位置に相当する位置で前記リールを停止可能とすることで、前記リールを停止させる際の停止可能範囲を拡大する拡停手段を備えることを特徴とする遊技機。
さらに、より詳しくは、以下の技術思想3として表現することができる。
[技術思想3]
複数の図柄がそれぞれに配置されている複数のリールと、
前記リールを回転させるリール駆動手段と、
所定の抽選条件が成立したときに、役の抽選を実行する役抽選実行手段と、
前記リールを停止させるためのリール停止ボタンの操作を検出する停止操作検出手段と、
前記停止操作検出手段の検出タイミングに基づいて前記リールの停止制御を行うリール停止制御手段と、
前記複数のリールにおける図柄配置領域を結んだ有効ライン上における図柄組合せを判定する図柄組合せ判定手段と、を備え、
前記リールにおける前記複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域には、前記リールの停止位置を判定する停止対象位置が複数設定されており、
前記リール駆動手段は、前記リールにおける前記複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域における複数の停止対象位置のいずれかが所定の停止判定位置に相当する位置で前記リールを停止可能としており、
前記図柄配置領域における停止対象位置のうちの複数の停止対象位置が前記停止判定位置に相当する位置で前記リールを停止可能とすることで、前記リールを停止させる際の停止可能範囲を拡大する拡停手段を備え、
前記図柄組合せ判定手段は、前記リール停止制御手段によって前記リールが停止制御された際、前記停止判定位置に相当する停止対象位置を含む図柄配置領域における図柄に基づいて、有効ライン上における図柄組合せを判定する調整判定手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記技術思想3に係る遊技機は、複数の図柄がそれぞれに配置されている複数のリール(リール301a,301b,301c)と、リールを回転させるリール駆動手段(リール駆動モータ341a,341b,341c)と、所定の抽選条件が成立したときに、役の抽選を実行する役抽選実行手段(メイン基板409)と、を備える。また、リールを停止させるためのリール停止ボタンの操作を検出する停止操作検出手段(停止ボタン211a,211b、211c)と、リールの停止制御を行うリール停止制御手段(メイン基板409)と、複数のリールにおける図柄配置領域を結んだ有効ライン(有効ライン623a,623b)上における図柄組合せを判定する図柄組合せ判定手段(メイン基板409)と、を備える。さらに、リールにおける複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域には、リールの停止位置を判定する停止対象位置(ステップ番号)が複数設定されており、リール駆動手段は、リールにおける複数の図柄に含まれる個々の図柄の配置領域とされる図柄配置領域における複数の停止対象位置のいずれかが所定の停止判定位置(判定位置BL)に相当する位置でリールを停止可能としており、図柄配置領域における停止対象位置のうちの複数の停止対象位置が前記停止判定位置に相当する位置でリールを停止可能とすることで、前記リールを停止させる際の停止可能範囲を拡大する拡停手段(メイン基板409)を備え、図柄組合せ判定手段は、前記リール停止制御手段によって前記リールが停止制御された際、前記停止判定位置に相当する停止対象位置を含む図柄配置領域における図柄に基づいて、有効ライン上における図柄組合せを判定する調整判定手段(メイン基板409)と、を備える。
技術思想3に係る遊技機においては、図柄配置領域における停止対象位置のうちの複数の停止対象位置が停止判定位置に相当する位置でリールを停止可能とすることで、リールを停止させる際の停止可能範囲を拡大する拡停手段を備えている。このため、図柄組合せの表示パターンに多様性を持たせることができる。したがって、その分興趣の低下を抑制することができる。
ここで、リールを停止させる際の停止可能範囲を拡大すると、有効ライン上における図柄の判定が困難となることが考えられる。この点、本発明に係る遊技機では、有効ライン上における図柄組合せを判定する調整判定手段を備えている。このため、有効ライン上の図柄を精度良く検出することができる。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、本発明は上記の形態に限定されることはない。たとえば、スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機(いわゆる「パロット」)等であっても本発明を適用することができる。パロットは、パチスロ機を基調としており、遊技媒体としてメダルではなく遊技球を用いる点でパチスロ機と主に異なるものである。このパロットでは、パチスロ機においてメダルの増加または減少する状態に対応する状態として、遊技球が増加または減少する状態となる。