(本発明の実施形態に係る遊技機の基本的な構成等)
以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a)、(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16、図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20、図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102、102を取着すると共に該側板102、102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102、102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132、132…が穿設されている。
[外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1、図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102、102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26、図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g、112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h、112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g、112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1、図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a、301b、301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a、211b、211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33、図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b、214b、214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33、図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a、214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b、214b、214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a、301b、301cと、該リール301a、301b、301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a、301b、301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a、301b、301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314、314を切り起こし、該ベルト通し314、314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315、315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4、図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404、404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404、404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404、404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404、404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407、407、407が設けられ、さらに側板404、404の補強部材407、407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443、443が形成されている。この天窓部443、443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132、132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132、132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2、図5、図6、図12に示したように複数のボス410、410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114、114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410、410は、図2、図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114、114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415、415を形成し、該車輪414の鍔415、415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1、図2、図18、図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1、図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118、118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4、図5、図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5、図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419、419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a、301b、301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a、301b、301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a、301b、301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g、420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g、420hの夫々にピン孔420i、420jが形成されている。このピン孔420i、420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[画像表示体−ロック片]
図11、図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b、215b、215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41、図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443、443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4、図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a、301b、301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a、301b、301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a、301b、301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a、301b、301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a、301b、301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a、301b、301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組み合わせて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205、206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4、図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122、123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122、123のうち、図14、図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14、図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124、125が通る大小2つの開口126、127と、該開口126、127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102、102側に振り分けられ、該側板102、102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
[配線手段−コネクタ425、427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124、125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425、427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425、427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5、図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425、427とコネクタ124、125の結合が外れない。
[配線中継基板−コネクタ425、427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425、427は配線中継部材113のコネクタ124、125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425、427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5、図6、図12、図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435、435、435とを有する。この内向き爪片435、435、435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435、435、435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435、435、435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425、427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424、426の先にあるコネクタ425、427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)から図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425、427が配線中継部材113のコネクタ124、125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5、図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
[コネクタ425、427とコネクタ124、125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425、427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425、427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425、427とコネクタ124、125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425、427と配線中継部材113側のコネクタ124、125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425、124とコネクタ427、125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122、123を分割してそれぞれにコネクタ124、125を装着し、そのコネクタ基板122、123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425、コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425、124、427、125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425、124の方がもう一方のコネクタ427、125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425、427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124、125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122、123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425、427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122、123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4、図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438、438が開設されている。この配線口438、438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302に向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438、438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409、演出制御基板510、画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438、438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438、438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[各リールの図柄、図柄列]
各リール301a、301b、301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a、301b、301cに付されたそれぞれのリール帯321a、321b、321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。
そして、各リール301a、301b、301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。なお、図柄表示窓401は解決手段に記載の図柄表示部に相当する。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という」)、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)がある。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル図柄1」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル図柄2」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a、301b、301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」、「BET2」、「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」、「BET2」、「BET3」の1、2、3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組み合わせは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組み合わせ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組み合わせ態様(すなわちハズレの図柄の組み合わせ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、通常ゲームでは、メダルを3枚投入するとゲームを実行することが可能となる。このとき、右上がりの直線型の並び及び右下がりの直線型の並びが有効ラインとなる。
なお、有効ラインは上記のような右上がりの直線型の並びや右下がりの直線型の並びに限られるものではない。さらに、本実施形態のスロットマシン1は3枚賭け専用機であるが、これに代えて、ベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、賭け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとしている。
図47の図柄表示窓401内に表示されている図柄の組み合わせは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205、206や始動レバー210、リール停止ボタン211a、211b、211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作用ボタンは図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a、301b、301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a、211b、211cが操作されると、リール301a、301b、301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a、301b、301cをそれぞれ左リール301a、中リール301b、右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a、211b、211cを左リール停止ボタン211a、中リール停止ボタン211b、右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a、301b、301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a、341b、341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a、301b、301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。なお、リール駆動モータ341a、341b、341cは解決手段に記載の可動表示体駆動手段に相当する。
また各リール301a、301b、301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a、331b、331cを有しており、各リール301a、301b、301cにはそれぞれ位置センサ331a、331b、331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a、341b、341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a、301b、301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a、211b、211cを操作すると、対応する各リール301a、301b、301cが停止制御され、そして、全てのリール301a、301b、301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a、301b、301cには、それぞれリール帯321a、321b、321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a、301b、301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組み合わせ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)のうち少なくともいずれか1つのラインに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。このとき、右上がりライン623bと右下がりライン623aとで、別の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して表示された場合には、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が同時に表示されたと判断されて、それぞれの払出数を合算した数量のメダルの払い出しが行われる。すなわち、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓401内の有効ライン上に表示されるものとなる)。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組み合わせが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a、301b、301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組み合わせ態様について説明する。
[当選役と図柄の組み合わせ]
ここで、スロットマシン1の役(当選役及びハズレ)と、これに対応する図柄の組み合わせについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。なお、図49に示す当選確率は一例であり、本発明の実施形態では、スロットマシン1の設定値毎に所定の当選役及びハズレの確率に差を設けている(図示省略)。
図49は、スロットマシン1の各入賞役についての当選確率を示す図であり、当たり値判定テーブルとして予めROM1112等に格納されているものである。図50は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図51〜53は、各条件装置に対応する図柄の組み合わせ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
本実施形態のスロットマシン1における遊技状態としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、SB中、ボーナス内部中、及びボーナス中が用意されている。各当選役についての当選確率は、図49に示されるように、遊技状態毎に決められている。なお、チャンスRTには、図49に示されるように、ハズレの確率が異なるチャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3がある。そして、抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組み合わせ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組み合わせについて、図49に示される「RB1+ベル2」、「スイカ」、「AT1」〜「AT10」、「ALL」、「SB1」〜「SB3」、「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」を例に挙げて説明する。
「RB1+ベル2」は、RB1とベル2とが同時に重複して当選する重複役である。このとき、RB1及びベル2の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、ベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出され、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、後述するRB1ゲームが開始される。ただし、RB1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせの両方について有効ライン上に表示されることが許容されたとしても、ベル2に対応する図柄の組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるようにリール停止処理が行われる。ここで、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームに限って、有効ライン上に表示されることが許容される。一方、RB1に対応する図柄の組み合わせは、当選した当該ゲームだけに限らず、次ゲーム以降においても、RB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるまで継続して、有効ライン上に表示されることが許容される。
なお、重複役とは、1回の抽選機会において複数の役が同時に選び出される役であることを意味する。例えば、当選成立状態が次ゲーム以降に持ち越される持ち越し役が1ゲーム目に選び出されたもののこの持ち越し役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合において、例えば2ゲーム目で第1の役が選び出されたときは、持ち越し役と第1の役との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会において選び出されているから、重複役に該当しない。これとは逆に、単独役とは、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される役を意味する。
また、BB1、BB2、RB1及びRB2をボーナス役とし、図51〜53においてメダルの払い出しがある役(例えばチェリー、スイカ、ベル1、ベル2等)を小役とし、前回ゲームと同じゲームを実行できる役(例えば通常リプ等)をリプレイ役とし、複数の図柄組み合わせについて有効ライン上に表示されることが同時に許容されたとき、リプレイ役、小役、ボーナス役の優先順位で、これらに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
また、「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組み合わせが表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される。
なお、抽選の結果、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組み合わせは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って停止操作(リール停止ボタン211a、211b、211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されなければ、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
「AT1」〜「AT10」は、いずれも、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合と、各々に決められた適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合とで、賞として払い出されるメダル枚数が異なっている。
具体的には、「AT1」及び「AT2」についての適正な押し順は、「左→中→右」(以下「順押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、作動している条件装置のうち小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。なお、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるときには、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ず、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。
また、すべての押し順が不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、1の有効ライン上に賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせ(以下「1枚払出図柄組み合わせ」という)が表示され、他の有効ライン上に賞として2枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせ(以下「2枚払出図柄組み合わせ」という)が表示される。すべての押し順が不適正な押し順としては、例えば「AT1」及び「AT2」の場合には、「右→左→中」、「中→右→左」となる。ただし、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。このとき、賞としてのメダルは払い出されない。
すなわち、抽選の結果が「AT1」又は「AT2」であるとき、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作される限り必ずベル1の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、1枚払出図柄組み合わせ及び2枚払出図柄組み合わせが各有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、ハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。
なお、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合における上記の「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT1」であるときと「AT2」であるときとで異なっている。より具体的には、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT1」であるときにおける「不適正なタイミング」は、抽選の結果が「AT2」であるときにおける「適正なタイミング」となる。
また、「AT3」及び「AT4」についての適正な押し順は「左→右→中」(以下「はさみ押し」と称する)であり、「AT5」及び「AT6」についての適正な押し順は「中→左→右」又は「中→右→左」(以下これらを「中押し」と称する)であり、「AT7」及び「AT8」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆押し」と称する)であり、「AT9」及び「AT10」についての適正な押し順は「右→左→中」(以下「逆はさみ押し」と称する)である。そして、この適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。ただし、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されるとハズレの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなる。ここで、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となり、抽選の結果が「AT3」、「AT5」、「AT7」及び「AT9」である場合における「不適正なタイミング」は、それぞれ、抽選の結果が「AT4」、「AT6」、「AT8」及び「AT10」である場合における「不適正なタイミング」となる。
なお、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、不適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作され、さらに不適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたことによって有効ライン上に表示されたハズレの図柄組み合わせは、この実施形態において「ベルこぼ目」と称する。
「ALL」は、ボーナスゲーム中に限って抽選対象となる役であり、抽選の結果が「ALL」であるとき、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合であっても、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。上述したとおり、小物17の図柄組み合わせを構成する図柄は、リールの引き込み制御を実行可能な範囲内に配置されているので、抽選の結果が「ALL」であるときには、常に、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。そして、小物17の図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、賞として例えば9枚のメダルが払い出される。
「SB1」〜「SB3」は、いずれも、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態、通常RT及びSB中のうちのいずれかの状態であるときに限り、抽選対象とされる。そして、抽選の結果が「SB1」〜「SB3」のいずれかであると、それぞれに対応する図柄の組み合わせについて、有効ライン上に表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、「SB1」〜「SB3」に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームに限り、遊技状態が「SB」に制御される(この次ゲームはシングルボーナスゲームと呼ばれる)。
具体的には、抽選の結果が「SB3」であるときには、SB3に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB3に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容され、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
抽選の結果が「SB2」であるときには、SB2に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB2に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。また、抽選の結果が「SB1」であるときには、SB1に対応する条件装置が作動し、この作動した条件装置に対応する図柄の組み合わせ(SB1に対応する図柄の組み合わせ)について有効ライン上に表示されることが許容される。そして、SB2に対応する図柄の組み合わせ又はSB1に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、次ゲームの遊技状態が図49に示される「SB中」となる。
なお、抽選の結果が「SB1」である場合及び「SB2」である場合には、いずれも、有効ライン上には、表示された図柄の組み合わせを遊技者が容易に把握することができない組み合わせ(所謂バラケ目と呼ばれる組み合わせ)で表示される。これに対し、抽選の結果が「SB3」である場合には、図50に示される図柄の組み合わせが有効ライン上に表示され、このとき、有効ライン上ではないものの各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃う。これにより、遊技者は、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。
「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」は、いずれも、シングルボーナスと通常リプレイとが同時に重複して当選する役であり、一般状態、通常RT及びSB中では抽選対象とならず、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)であるときに限り、抽選対象とされる。言い換えると、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされる遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とはされず、「SB1」〜「SB3」が抽選対象とされない遊技状態では「SB1+通常リプ」〜「SB3+通常リプ」が抽選対象とされる。なお、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。
ここで、ボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役(ベル1、ベル2)、チェリー役(チェリー1、チェリー2)、スイカ役、AT専用役、ALL役、ボーナスゲーム専用役)、シングルボーナス役(SB1、SB2、SB3)について説明する。
[ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1、BB2、RB1又はRB2といったボーナス役に当選し、これらいずれかの役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム又はRB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームにわたって、遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。ただし、遊技者が大量のメダルを獲得することが可能なものは、図50に示されるように、BB1ゲーム及びBB2ゲームだけである。
また、スロットマシン1では、右上がりライン523b及び右下がりライン623aのうち少なくともいずれかの有効ラインに、作動した条件装置に対応する図柄組み合わせ(図50に示された図柄組み合わせ)が停止すると、1回のゲーム結果として、有効ラインに停止した図柄組み合わせに応じた賞が付与される。ただしこの場合、右上がりライン523b及び右下がりライン623aといった二つの有効ラインに、同時に重複して二つの当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合には、この二つの図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出される。なお、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインの数が二つであるが、有効ラインの数を三つ以上とし、この三つの有効ラインに、同時に重複して三つ以上の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、この三つ以上の図柄の組み合わせに応じたメダルが賞として払い出されるようにしてもよい。ただし、1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1には、上述したとおり、SB1、SB2及びSB3といったシングルボーナス役も用意されている。このシングルボーナス役に当選すると、次ゲームに限り、当選したSB役に応じて、図49に示されるSB中に制御されるとともに、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のいずれかであるときに適正な押し順が遊技者に教えられるATゲームの上乗せ抽選が行われる。
[リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)として、通常リプレイ(図49では「通常リプ」と記載)とARTリプレイ1〜3(図49では「ARTリプ1」、「ARTリプ2」、「ARTリプ3」と記載)とが用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組み合わせが揃ったと判定される。なお、上記のリプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。
リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを賭ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ないといえる。従って、スロットマシン1では、通常状態(本実施形態における一般状態及び通常RTが相当する)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(詳細は後述)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a、301b、301cにリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組み合わせ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、通常リプレイに対応する図柄の組み合わせが表示されたゲームと同じゲームを再遊技として実行できるだけであるが、ARTリプレイ1〜3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRTへ移行する契機として機能している。
[ベル]
本実施形態のスロットマシン1には、ベル役として、上述したとおり、「ベル1」と「ベル2」とが用意されている。このベル役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、ベル役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、ベル役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば9枚)が払い出される。なお、ベル2に対応する図柄の組み合わせは、図49を見ても分かるように遊技者がすぐに把握し難いものであるが、有効ラインではないものの中段ラインに「ベル1図柄orベル2図柄−ベル1図柄−ベル1図柄orベル2図柄」の組み合せが表示されることで、遊技者は、ベル2に入賞したことを把握することが可能となる。なお、ベル1図柄とベル2図柄とは形態に若干違いがあるものの、ベルといった同じ観念を遊技者に生じさせる点で両図柄は共通する。
ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、規定枚数(例えば9枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。このように、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせは、ゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できたり、メダルの消費を抑えることが期待できたりする。ただし、ベル1に対応する図柄の組み合わせ又はベル2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される頻度が高くなると、遊技者はゲームを進めていくだけでメダルを増加させることが可能となる。なお、ベル1に対応する図柄の組み合わせ及びベル2に対応する図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[チェリー役]
本実施形態のスロットマシン1には、チェリー役として、上述したとおり、「チェリー1」と「チェリー2」とが用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。そして、チェリー役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、チェリー役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば2枚)が払い出される。
[スイカ役]
スイカ役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。このスイカ役に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されると、スイカ役の図柄組み合わせが揃ったと判定され、賞としてのメダル(例えば5枚)が払い出される。
[AT専用役]
本実施形態のスロットマシン1には、AT専用役として、上述したとおり、「AT1」〜「AT10」が用意されている。これらAT専用役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。すなわち、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであって且つ適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示される。ただし、抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであったとしても、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合には、賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせが表示されるか、ハズレの図柄組み合わせが表示されることとなる。賞として1枚のメダルが払い出される図柄の組み合わせを構成する図柄は、目押しすることなく有効ライン上に表示することができるように、各リール上に配置されている。
[ALL役]
ALL役に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。ただし、いかなる押し順で且ついかなるタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されたとしても、作動した条件装置のうち小物17に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されるように、リール制御される。
[ボーナスゲーム専用役]
さらに、ボーナスゲーム中(BB1ゲーム中、BB2ゲーム中、RB1ゲーム中及びRB2ゲーム中)にのみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役がある。このボーナスゲーム専用役は、図49の「ロゴ1」〜「ロゴ7」に相当し、これらに対応する図柄(ボーナスゲーム専用役図柄)の組み合わせは、図49に示されるとおりである。
ボーナスゲーム中にボーナスゲーム専用役図柄が揃うと、規定枚数(例えば10枚)のメダルの払い出しが行われる。このときのメダルの払い出しは当該ゲームにて行われる。つまり、ボーナスゲーム専用役図柄が揃うと10枚のメダルの払出しという遊技特典が付与される。そして、ボーナスゲーム中はこのボーナスゲーム専用役を揃いやすくすることにより、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームを集中して実行することができる。従って、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせを構成する各図柄は、目押しを行うことなく有効ライン上に揃えることができるものとなっている。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲームにおいて、上記ボーナスゲーム専用役とALL役とが抽選対象とされているが、これらとは異なる当選役を設けてもよい。さらには、ボーナスゲーム専用役のようなボーナスゲーム中限定の当選役を設けずに、ベル役やスイカ役を代わりに用いるものとしてもよい。この場合、一般状態中とボーナスゲーム中とで、メダルの払い出し枚数を変えるようにしてもよい。
[SB役]
本実施形態のスロットマシン1には、SB役として、上述したとおり、「SB1」〜「SB3」が用意されている。これらSB役に対応する図柄の組み合わせ態様は、図51〜53に示されるとおりである。また、SB役には、上述したとおり、通常状態(一般状態、通常RT)では単独役として抽選されるが、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常リプレイとの重複役として抽選される。そして、通常状態では、上述したとおり、SB1に対応する図柄の組み合わせ又はSB2に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても遊技者に把握され難いが、SB3に対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に表示されたときは、各リール301a〜301cの下段にリプレイ図柄が揃うので、抽選の結果が「SB3」であることを把握することが可能となる。なお、上記では、一般状態及び通常RTを通常状態と称しているが、一般状態や通常RTと同じような確率でハズレとなるような本実施形態のチャンスRT1に相当する状態についても、後述するARTゲームが実行されていなければ、通常状態と称されることもある。
しかし、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、上述したとおり、SB1〜SB3は、いずれも、単独で抽選されることはなく、通常リプレイと同時に重複して当選するかたちで抽選される。そして、通常リプレイと同時に重複して当選した場合、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄の組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。この再遊技1に対応する図柄の組み合わせは、有効ラインではないものの中段にリプレイ図柄が表示される組み合わせである。ここで、SB1〜SB3に当選した場合には、ATゲームの上乗せ抽選が行われる。
したがって、とくに内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と変わらないチャンスRT1に制御されているときには、通常状態に制御されているときと比べて、ATゲームの上乗せ抽選が行われる出目が表示される頻度が高められ、ひいては遊技者に期待感を与える頻度が高められることとなる。
一方、内部抽選にてハズレとなる確率が通常状態(一般状態、通常RT)と比べて極めて低い遊技状態に制御されていたり、本実施形態のように内部抽選にてハズレとならないチャンスRT1に制御されているときには、通常リプレイに対応する図柄組み合わせの出現頻度が極めて高くなるので、通常リプレイに対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、ATゲームの上乗せ抽選が行われたか否かの判断が困難となる。これにより、上乗せ抽選が行われた可能性があることや、上乗せ抽選に当選した可能性があるといったような遊技者が興味を惹くような期待演出を行う場合には、かかる期待演出を、効果的に行うことが可能となる。
[ハズレ]
図51〜53に示された図柄の組み合わせのいずれにも該当しない場合は、ハズレとなる。そして、ハズレとなった当該ゲームでは、メダルの付与は行われず、また次回以降のゲームに変化を及ぼすこともない。なお、ハズレは遊技者に当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて何の遊技特典も付与しない役であるともいえる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組み合わせ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
[ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図54は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1は、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚賭け専用機である。したがって、1枚投入ボタン205を備えていなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a、301b、301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a、301b、301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a、301b、301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a、301b、301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a、211b、211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a、211b、211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a、301b、301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において、図47の「バー図柄−リプレイ図柄−正図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、図47の「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして全てのリール301a、301b、301cが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組み合わせ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB1、RB2、SB1、SB2、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等の各種遊技特典に付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、一連の外部操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[始動処理]
図55は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1は、3枚賭け専用機であり、3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
次にステップS105では、始動レバー210の操作がなされると、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行うとともに、リール301a、301b、301cの回転が開始される。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行っても所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS106では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかを判定(乱数値の照合)する。この判定では、上述した当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブルを決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグに対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグには、通常RT中フラグ、チャンスRT1中フラグ、チャンスRT2中フラグ、チャンスRT3中フラグ、SB中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがある。そして、これらのゲーム状態フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS106にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組み合わせを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組み合わせは、図51〜53に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行うものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。
次のステップS107では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば、4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS108に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS108では、ステップS107におけるウェイトタイマのタイムアップにより、始動レバー210の操作を無効化する。そして、ウェイト状態が終了すると、始動レバー210の操作を無効化する。
ステップS109では、全てのリール301a、301b、301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a、301b、301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a、211b、211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から59999までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から59999)内の乱数値のうち、RB2に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「RB2に当選した」ということになり、RB2の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びRB2に対応する乱数値から、RB2の当選確率(RB2が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。上記の例(RB2)でいえば、〔 RB2に対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数 〕が、2/60000となり、RB2の当選確率は1/30000であるということになる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(RB2)では、抽出範囲内の乱数値「1」がRB2に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、一の当選役のみに当選する単独役(例えばRB2、ベル1、ベル2等)の他に、複数の当選役が同時に当選する重複役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)が用意されている。したがって、このような重複役については、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、重複役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が重複役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「SB1+通常リプ」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図55のステップS107参照)にて、図50に示されるように、SB1に対応する条件装置及び通常リプレイに対応する条件装置を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、ボーナス中は、ALL役とボーナスゲーム専用役(ロゴ1〜ロゴ7)の当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。従って、ボーナスゲームが実行されると、このボーナスゲームが実行されている期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
また、図49を見ても分かるように、一般状態中、通常RT中及びSB中は、SB1、SB2及びSB3の単独役に当選する可能性があるとともに、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選しない。一方、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)中は、SB1、SB2及びSB3といった単独役に当選する可能性はないものの、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」といったSBと通常リプレイとの重複役には当選する可能性がある。しかも、一般状態中、通常RT中及びSB中においてSB1、SB2又はSB3の単独役に当選する確率は、チャンスRT中において「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」の重複役に当選する確率と同じである。すなわちこれは、チャンスRT中は、一般状態中、通常RT中及びSB中において当選する可能性のあるSB1、SB2及びSB3の単独役に代えて、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」及び「SB3+通常リプ」に当選する可能性があるということになる。
なお、上述したとおり、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したとき、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせよりも、通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが優先して有効ライン上に表示されるように、ステップSのリール停止処理が行われる。ここで、リプレイ図柄は、各リール301a〜301c上において、リールの引き込み制御可能な範囲内で万遍なく配置されているので、通常リプレイ役に当選しているにもかかわらず通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されない(所謂取りこぼす)といった事態は生じない。そうすると、「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」又は「SB3+通常リプ」に当選したときには、常に通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることとなり、たとえSB役(SB1、SB2、SB3)が重複役として当選していたとしても、このSB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることは、本実施形態のスロットマシン1ではあり得ないこととなる。
[遊技状態の遷移]
図56は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行制御処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS151)、ボーナスゲームが終了すると(ステップS152におけるYES)、チャンスRTに移行される(ステップS153)。
ステップS151においてボーナスゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム、RB1ゲーム、RB2ゲーム)中でないと判断されると(ステップS151におけるNO)、ボーナス内部中であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(BB1、BB2、RB1、RB2)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。そして、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS155におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。
ステップS154においてボーナス内部中でないと判断されると(ステップS154におけるNO)、SB(SB1、SB2、SB3)中であるか否かが判断される(ステップS157)。SB中であるときには、1ゲームのSBゲームが実行され、このSBゲームが終了すると(ステップS158におけるYES)、元の遊技状態すなわちSBゲームが実行される直前の遊技状態に移行する(ステップS159)。
ステップS157においてSB中でないと判断されると(ステップS157におけるNO)、チャンスRTであるか否か(チャンスRT1、チャンスRT2及びチャンスRT3のうちのいずれかであるか否か)が判断される(ステップS160)。チャンスRTであるときには(ステップS160におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS161)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS161におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS161においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS161におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS163)。このチャンスRTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS163におけるYES)、通常RTに移行する(ステップS164)。なお、ここで図示していないが、内部抽選にてボーナス当選したにもかかわらずボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されなかった場合にはボーナス内部中に移行し、内部抽選にてSB当選した場合にはSB中に移行する。これは、後述する通常RT及び一般状態においても同様である。
ステップS160においてチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)でないと判断されると(ステップS160におけるNO)、通常RTであるか否かが判断される(ステップS165)。通常RTであるときには(ステップS165におけるYES)、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS166)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS166におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS167)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS166においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS166におけるNO)、内部抽選の結果がARTリプレイであるか否か判断される(ステップS168)。ここで、内部抽選の結果がARTリプレイであると判断されると(ステップS168におけるYES)、ARTリプレイに対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているか否かにかかわらず、チャンスRTに移行される(ステップS169)。なお、図示しないが、通常RTにおいて「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されると、一般状態に遊技状態が移行する。
なお、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選したとき(ステップS168におけるYES)は、先ずはチャンスART1に遊技状態が移行する。そして、図56では図示していないが、チャンスART1における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART2に遊技状態が移行する。さらに、同じく図56では図示していないが、チャンスART2における内部抽選においてARTリプレイに当選すると、チャンスART3に遊技状態が移行する。なお、チャンスART1、チャンスART2及びチャンスART3のうちいずれの遊技状態に制御されていたとしても、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたときには、通常RTに遊技状態が移行する。
ステップS165において通常RTでないと判断されたときには(ステップS165におけるNO)、遊技状態が一般状態に制御されていることとなる。この一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
そしてこの一般状態においても、ボーナスであるか否か、すなわちボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたか否かが判断され(ステップS170)、ボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS170におけるYES)、ボーナス中に移行し(ステップS171)、ボーナスゲームが実行される。一方、ステップS170においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されていないと判断されると(ステップS170におけるNO)、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されたか否かが判断される(ステップS172)。この一般状態において「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されたと判断されると(ステップS172におけるYES)、通常RTに移行される(ステップS173)。
ところで、通常RTでは、一般状態と同様に、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、通常RTは、一般状態と同様に、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
なお、一般状態、通常RT、チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)、SB中、ボーナス内部中及びボーナス中の各遊技状態における内部抽選において、各入賞役が当選する確率は、図148に示されるとおりである。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。例えば、チャンスRTでは、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順が、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出により明示される。このように、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるときに、リール停止ボタン211a〜211cについての適正な押し順を遊技者に明示する演出は、例えば一般状態や通常RTでは行われない。したがって、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、一般状態や通常RTに制御されているときよりもチャンスRTに制御されているときの方が、「AT1」〜「AT10」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となる。この点で、チャンスRTは、一般状態や通常RTと比べて遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、通常状態(一般状態や通常RT)とチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)とを含む遊技状態のうちいずれかに制御される。
そして、上記の通常状態においては、通常リプレイ役とSB(SB1、SB2、SB3)役とについては、いずれも、同じ抽選機会において他の役と同時に選び出されない単独役として内部抽選が行われる。なお、通常状態では、所定の確率でハズレが選び出される。
チャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、SB(SB1、SB2、SB3)役が選び出される確率が60000分の600であり、これは通常状態と同じ確率である。ただし、チャンスRTでは、通常リプレイ役とSB役とが同じ抽選機会において同時に選び出されるように、内部抽選が行われる。
すなわちチャンスRT(チャンスRT1、チャンスRT2、チャンスRT3)では、通常状態では単独役でしかなかったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態では単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRTにおいても単独役のままである。すなわち、チャンスRTでは、SB役と重複して通常リプレイ役が選び出される分だけ、通常リプレイ役が選び出される確率が高くなる。なお、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代わって通常リプレイ役が選び出される。
そしてさらに本遊技機では、チャンスRTにおける内部抽選において、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が選び出されたとき、及び、SB役と重複していない通常リプレイ役の単独役が選び出されたときは、いずれも、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように、回転表示状態にあるリール301a〜301cの停止制御が行われる。ここで、SB役と通常リプレイ役との重複役が選び出された場合には、SB役に対応する図柄組み合わせは表示されないものの、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合には、ART付与条件を満たすこととなる。
とくにチャンスRT1にあるときは、通常状態にあるときとハズレ確率が同じであるから、通常状態よりも、SB役に当選する期待ひいてはART付与条件を満たす頻度が高められるように遊技者に感じさせることが可能となる。これにより、チャンスRT1では、ART付与条件を満たすか否かに対して期待を持つことが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRT2にあるときは、一般状態、通常RT及びチャンスRT1ではハズレであったものが全て通常リプレイとなり、しかも、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役、及び、通常リプレイ役(単独役)のうちいずれが内部抽選にて選び出された場合であっても、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示される。したがって、SB役に当選することが後述するART付与条件である場合に、再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたとしても、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄の組み合わせの態様からは、はたしてART付与条件を満たしたのか否かを把握することが困難となる。
このように本実施形態のスロットマシン1では、原則的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。ただし、SB役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合であっても、特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技1に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御されることに代えて、他の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
具体的には、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。また、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合と「SB3+通常リプ」である場合とに特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で有効ライン上に表示されるようにリール制御される。
なお、内部抽選にて選び出された役が「SB1+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときに、作動した条件装置のうち、SB1の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技2の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。同様に、内部抽選にて選び出された役が「SB2+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB2の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよく、内部抽選にて選び出された役が「SB3+通常リプ」である場合に特定条件が成立したときには、作動した条件装置のうち、SB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが最優先で、次いで、再遊技3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御されるようにしてもよい。
ところで、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることを、上記の特定条件としている。具体的には、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、「左→中→右」の順押し、「左→右→中」のはさみ押し、「中→左→右」の中押し、「中→右→左」の中押し、「右→左→中」の逆押し、及び、「右→左→中」の逆はさみ押しの6通りの押し順のうち、いずれか一の押し順に決定される。そして、決定された押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合には、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されたものとして、上記の特定条件が成立する。
なお、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役が内部抽選にて選び出された場合には、上記6通りの押し順のうちいずれか一の押し順に決定されるようにしたが、決定される押し順の通り数は1に限られず、2以上の通り数であってもよい。
また、上記の特定条件は、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されることに限られないことは言うまでもない。例えば、三つのリール301a〜301cのうち少なくとも一のリール又は全てのリールが適正なタイミングで停止されるように、リール停止ボタン211a〜211cが停止操作されたこととしてもよい。
ところで、SB(SB1、SB2、SB3)役及び通常リプレイ役は、いずれも、当選成立状態が次ゲーム以降にまで持ち越されない。したがって、SB役と通常リプレイ役との重複役に当選し、今回のゲームで通常リプレイに対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次回ゲーム以降に改めてSB役に当選しない限りSB役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができないので、上記の特定条件が成立しなかった場合には、内部抽選の結果がSB役と通常リプレイ役との重複役であったのか単なる単独役としての通常リプレイ役であったのかを、ただちに遊技者に把握されることがない。したがって、内部抽選にてSB役と通常リプレイとの重複役に当選した場合にはかかる当選したゲームから実際にARTゲームが実行されるまでの間に、また内部抽選にて上記重複役に当選していなかったとしても任意の間に、種々の期待演出を行うことによって、遊技者に与える期待感の持続を図ることが可能となり、興趣の低下を抑制することができる。
また、チャンスRTのうちチャンスRT2では、ハズレに代えて通常リプレイ役が選び出される。すなわち、通常状態ではハズレであった抽出乱数値が、全て通常リプレイ役とされており、ハズレの確率は0となっている。また、SB(SB1、SB2、SB3)役については、当選確率が通常状態と同じ60000分の600であるものの、SB役と通常リプレイ役との重複役となっている。すなわちこのチャンスRT2では、通常状態(一般状態、通常RT)やチャンスRT1でハズレであったものがこのハズレに代えて通常リプレイ役に当選成立するようになる。
また、このチャンスRT2でも、通常状態では単独役であったSB(SB1、SB2、SB3)役に代えて、SB役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出される重複役となる。ただし、通常状態で単独役であった通常リプレイ役については、チャンスRT2においても単独役のままであり、さらには、通常状態ではハズレであった分まで通常リプレイ役となっている。したがって、このチャンスRT2では、たとえ通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、その出現頻度が極めて高いものとなる(本実施形態ではハズレとなる確率が50%以上である)から、チャンスRT1の場合とは違って、重複役ひいては通常リプレイ役に対応する図柄組み合わせがたとえ表示されたとしても、SB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役とが同じ抽選機会において同時に選び出されたことに対する期待感が希薄なものとなる。これにより、チャンスRT2では、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからは、ART付与抽選が行われたか否かを把握し難くすることができる。その結果、例えばART付与抽選が行われること又はART付与抽選に当選した可能性があること等を遊技者に明示するような演出を実行するような場合には、複数のリール301a〜301cが停止されたときの図柄の組み合わせからはART付与抽選が行われたか否かを把握し難いので、かかる演出に面白みを持たせることが可能となる。
[チャンスRT]
本実施形態のスロットマシン1では、上述したとおり、通常RTにおける内部抽選においてARTリプレイに当選すると、次ゲームからチャンスRTが開始される。
ここで、チャンスRTとは、チャンスRTが開始されてから有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されるまでのゲーム期間におけるゲームであり、このチャンスRTでは、図49を見ても分かるように、リプレイの当選確率が一般状態に比べて当選しやすくされている。なお、チャンスRTでは、一定ゲーム数の間、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されることを回避するために、演出制御基板510のCPU1118により、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出が実行される。すなわち、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちいずれかであるときに、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないように、適正な押し順でのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出、又は、適正なタイミングでのリール停止ボタン211a〜211cの操作を促す演出等が実行される。このようにして促された演出に基づいてリール停止ボタン211a〜211cが操作されることによって、一定ゲーム数の間、チャンスRTを継続させることが可能となる。そして、一定ゲーム数のゲームが実行されると、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されないようにするための演出が終了する。そうすると、いずれは、内部抽選にて「AT1」〜「AT10」のうちいずれかに当選し、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されて、チャンスRTが終了することとなる。
また、チャンスRT中は、遊技者に向けてその遊技状態がチャンスRT中であることを認識(識別)できる態様にて実行させる。具体的には、チャンスRT中であることの表示(画像表示体500等による)や、効果音(スピーカ512等による)により識別可能なものとする。
[リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作)待ちの状態となる。図57では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202、S210、S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a、211b、211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 左リール→中リール→右リール 〕、あるいは、〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 右リール→中リール→左リール 〕、あるいは、〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、〔 中リール→左リール→右リール 〕、あるいは、〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a、211b、211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a、301b、301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212、S214、S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218、S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211、S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a、301b、301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる(前述の図46参照)。これは、通常リプレイ役、ベル1、ベル2、ALL役等のそれぞれに対応する図柄組み合わせを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである。
なお、リプレイ図柄についてさらに着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役である場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組み合わせが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組み合わせが表示されるからである。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[判定処理]
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図58では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a、301b、301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることもある。
ステップS301、S302、S303では、それぞれ、SBゲーム中であるか、RBゲーム中であるか、BBゲーム中であるかを判定する。これはSB中フラグ、RBゲーム中フラグ、BBゲーム中フラグというゲーム状態フラグのON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。
SB中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされ、ステップS390に移る。同様にして、RBゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS302の判定が満たされ、ステップS380に移る。またBBゲーム中フラグがON(=1)となっているとステップS303の判定が満たされ、ステップS370に移る。
SB中フラグ、RBゲーム中フラグ及びBBゲーム中フラグのいずれもOFF(=0)となっている場合、ステップS301、S302、S303の判定がいずれも満たされず、ステップS304に移る。
ステップS304で、RTゲーム終了判定処理(詳細は後述する)を実行した後、いずれかの有効ライン上に揃っている当選役図柄に応じて、さらに以下のステップS310、S320、S330、S340、S350のいずれかに移る。
ステップS310では、BB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っている場合(「赤7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS312に移る。
次のステップS312では、BBゲーム開始処理を実行する。ここでは、BBゲームとして、メダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS320では、RB図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にRB図柄が揃っている場合(「白7図柄−赤7図柄−赤7図柄」、この判定が満たされ、次のステップS322に移る。
次のステップS322では、RBゲーム開始処理を実行する。ここでは、RBゲームとして、BBゲームに準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS330では、SB役(SB1、SB2、SB3)に対応する図柄組み合わせが揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にSB役に対応する図柄組み合わせが揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS332に移る。
次のステップS332では、SBゲーム開始処理を実行する。ここでは、SBゲームとして、SB役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたゲームの次ゲームに限り、入賞役についての当選確率に準じたメダルの獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われるための処理をすることになる(詳細は後述する)。
ステップS340では、リプレイ図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上にリプレイ図柄が揃っている場合(「リプベル図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」)、この判定が満たされ、次のステップS342に移る。
次のステップS342では、リプレイゲーム処理を実行する。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
そして、ステップS344では、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS350では、小役図柄が揃っているかを判定する。いずれかの有効ライン上に小役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS352に移る。
次のステップS352では、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
そして、ステップS354では、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
有効ライン上にいずれの当選役図柄も揃っていない場合、上記のステップS310、S320、S330、S340、S350のいずれの判定も満たされず、ステップS360に移る。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組み合わせ態様)」とも呼ばれる。
ステップS360では、ハズレ処理を実行する。このハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがBB及びRBを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。
上記のステップS304からステップS360までの処理は、一般状態、通常RTの場合に実行する処理となる。次にステップS370以降の処理について説明する。ここでの処理は、BBゲーム(BB1ゲーム、BB2ゲーム)、RBゲーム(RB1ゲーム、RB2ゲーム)及びSBゲーム(SB1ゲーム、SBゲーム、SB3ゲーム)の場合に実行する処理である。
まず、ステップS370では、BBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「BBゲーム時払出役」とは、ALL役及びボーナスゲーム専用役の総称である。そして、いずれかの有効ライン上にBBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS372に移る。
次のステップS372では、揃っているBBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該BBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS372に次いで、ステップS374では、BBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS376に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS370の判定が満たされない場合、ステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。特にこの例では、取りこぼしが生じないため、当該成立フラグにはハズレフラグが該当する。すなわち、ステップS378では、当該ハズレフラグをOFF(=0)にする。
次にステップS380以降の説明をする。ステップS380では、RBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「RBゲーム時払出役」も、前述のBBゲーム時払出役と同様にRBゲーム中に払い出しがある当選役の総称であり、本実施形態では、「BBゲーム時払出役」と同じである。そして、いずれかの有効ライン上にRBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS382に移る。
次のステップS382では、揃っているRBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該RBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS382に次いで、ステップS384では、RBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS380の判定が満たされない場合、前述のステップ378に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したため、説明は省略する。
次にステップS390以降の説明をする。ステップS390では、SBゲーム時払出役図柄が揃っているかを判定する。なお、この「SBゲーム時払出役」も、SBゲーム中に払い出しがある当選役の総称である。いずれかの有効ライン上にSBゲーム時払出役図柄が揃っている場合、この判定が満たされ、次のステップS392に移る。
次のステップS392では、揃っているSBゲーム時払出役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)これにより、遊技者には当該SBゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS392に次いで、ステップS394では、CRBゲーム終了判定処理を実行する(詳細は後述する)。その後、ステップS386に移り、RTゲーム開始処理(詳細は後述する)を実行する。
また、上記のステップS390の判定が満たされない場合、ステップ396に移り、当該成立フラグをOFF(=0)にする。これは先に説明したステップS378と同じ内容であるため、説明は省略する。
[BBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS310の判定が満たされた場合、BBゲーム開始処理を実行する。このBBゲーム開始処理について図59を用いて説明する。
まず、ステップS401では、BBフラグ(BB1フラグ、BB2フラグ)がON(=1)となっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、BBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときBBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS406にて、BBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてBBゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、BBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、BB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[BBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS374のBBゲーム終了判定処理について図60を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図58のステップS372にてメダルの払い出しがあったことを受けて、BBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数が300枚(BB2の場合は200枚)を超えたかを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、BBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。また、ステップS452の判定が満たされると、ステップS460に移る。
ステップS460では、BBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS462にてCRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[RBゲーム開始処理]
前述の図58のステップS320の判定が満たされた場合、RBゲーム開始処理を実行する。このRBゲーム開始処理について図61を用いて説明する。
まず、ステップS501では、RBフラグがON(=1)となっているかを判定する。ステップS501の判定が満たされると、ステップS504に移る。ステップS504では、RBゲーム中フラグをON(=1)にする。また図示はしないが、このときRBフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS506にて、RBゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、通常ゲームと同様の賭け数3ベット(3枚賭け)にてRBゲームが開始される。このことにより、遊技者は通常ゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
また、ステップS501の判定が満たされない場合、ステップS502に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、RBフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、RB図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[RBゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図58のステップS384のRBゲーム終了判定処理について図62を用いて説明する。
まず、ステップS551では、前述の図58のステップS382にてメダルの払い出しがあったことを受けて、RBゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS552では、累計払出枚数が20枚を超えたかを判定する。このステップS552の判定が満たされない場合、ステップS554に移り、RBゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
また、ステップS552の判定が満たされると、ステップS556に移る。
ステップS556では、RBゲーム中フラグをOFF(=0)にした後、ステップS558にてLRTゲーム開始フラグをON(=1)にして処理を終了する。
[ARTゲーム開始処理]
ARTゲームは、チャンスRTにおいて実行されるゲームであり、通常RTにおいてARTリプレイに当選し(遊技状態がチャンスRTに移行し)、さらにART付与抽選に当選したときに実行される。
ART付与抽選は、所定の条件が成立したことに基づいて行われる。本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)であることが、上記の所定の条件の一つに含まれる。すなわち、内部抽選の結果がSB役であることに基づいてART付与抽選が行われる。このART付与抽選に当選すると、SARTゲーム及びLARTゲームのうちいずれを実行するかが決定される。なお、ART付与抽選は、内部抽選の結果がSB役(SB1、SB2、SB3)の単独役であるときのみならず、通常リプレイとの重複役(「SB1+通常リプ」、「SB2+通常リプ」、「SB3+通常リプ」)であるときにも行われる。
ところで、上述したように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の結果がSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であったとしても、特定条件が成立しない限り、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示される。したがって、遊技状態がとくにチャンスRT2やチャンスRT3といったハズレがない遊技状態である場合やハズレがあったとしてもその確率が低い遊技状態である場合には、ART付与抽選が行われたのか否かを、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から把握することが困難となっている。ただし、特定条件が成立した場合には、上述したように、通常リプレイ役(単独役)に対応する図柄組み合わせ(再遊技1の条件装置に対応する図柄組み合わせ)よりも、再遊技1、再遊技2、SB1、SB2又はSB3の条件装置に対応する図柄組み合わせが優先的に有効ライン上に表示されるようにリール制御される。これにより、チャンスRT2では、遊技者は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することは原則的には困難であるものの、特定条件が成立した場合に限り、有効ライン上に表示された図柄組み合わせの態様から、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能となる。よって、遊技者は、チャンスRT2において、適正な押し順で操作されることを願ってリール停止ボタン211a〜211cを操作することとなり、リール停止ボタン211a〜211cの操作に面白みを持たせることが可能となる。とくに、内部抽選の結果が重複役であったとしても、次ゲーム以降にゲーム結果が持ちこされないSB(SB1、SB2、SB3)役と通常リプレイ役との重複役であるから、ART付与抽選が行われるか否かを把握することが可能なゲームが1ゲーム限りとなる。
ART付与抽選に当選すると、SARTゲーム及びLARTゲームのうちいずれを実行するかが決定されることについては上述したとおりであるが、SARTゲームは、例えば50ゲームを1セットとするARTゲームであり、LARTゲームは、例えば100ゲームを1セットとするARTゲームである。
ART付与抽選に1回当選すると、1セットのARTゲームが実行される。そして、ARTゲーム中にART付与抽選が行われると、このART付与抽選に当選する毎に1セットのARTゲームが上乗せされていく。そして、この上乗せされた個数分のARTゲームが全て消化されるまで、ARTゲームが継続することとなる。以下、ARTゲーム開始処理について、図63を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS801では、SARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS802では、例えば、SARTゲーム回数を「50回」にセットする。
そして、次のステップS804では、SARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときSARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからSARTゲームが開始される。
一方、ステップS801の判定が満たされない場合、ステップS810に移り、LARTゲーム開始フラグがON(=1)であるかを判定する。この判定が満たされた場合、ステップS812では、例えば、LARTゲーム回数を「100回」にセットする。
そして、次のステップS814では、LARTゲーム中フラグをON(=1)にする。また、図示はしないが、このときLARTゲーム開始フラグをOFF(=0)にする。これにより、次ゲームからLARTゲームが開始される。
また、上記のステップS801、S810の判定がいずれも満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
[ARTゲーム終了判定処理]
次にARTゲーム終了判定処理について、図64を用いて詳細に説明する。前述の図58の判定処理において、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示された場合、セットされた回数のARTゲームが行われた場合、ARTゲーム終了判定処理が実行される。
まず、ステップS901では、ARTゲーム中フラグ(SARTゲーム中フラグ、またはLARTゲーム中フラグのいずれか)がON(=1)となっているかを判定する。この判定が満たされない場合、いずれの処理も行われず終了となる。
そして、ステップS901の判定が満たされると、次のステップS902では、ARTゲーム回数を「1」だけ減算して、ステップS904に移る。
ステップS904では、残りのRTゲーム回数が「0」であるかを判定する。ARTゲーム回数が「0」であれば、この判定が満たされ、次のステップS906に移り、ARTゲーム中フラグ(SARTゲーム中フラグまたはLARTゲーム中フラグ)をOFF(=0)にする。
一方、ステップS904の判定が満たされない場合、ステップS910に移り、有効ライン上に「ベルこぼ目」が表示されていないか否かを判定する。
そして、ステップS910の判定が満たされると、次にステップS906に移り、ARTゲーム中フラグをOFF(=0)にして処理を終了する。
ステップS910の判定が満たされない場合、処理は終了となる。
[演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBBであった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBBやRBなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、通常RT、チャンスRT中、ボーナス中等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば通常RT中であるのかチャンスRT中であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
そして、ARTゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、SARTゲームの回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者はSARTゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
(本発明の第1実施形態における特徴的な構成や動作等)
次に、図65から図67を参照して、上述した基本的なスロットマシン1の構成のほか、本発明の第1実施形態における特徴的な構成や動作等について説明する。図65は、抽選に関するデータテーブルを示す図である。図66は画像表示体における表示例を示す図である。図67は遊技移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
本発明の第1実施形態に係るスロットマシン1は、以下の技術思想としてあらわすことができる。
複数の当選役に関しての抽選が実行されると図柄が付された可動体を回転させ、当該抽選の結果に基づいて決定された当選役に関する図柄組合せを表示する遊技機であって、
前記複数の当選役のうち何れの当選役を決定する当選役決定手段と、
前記図柄組合せに基づいて特典を付与し得る特典付与手段と、
前記特典とは異なる特典を付与するか否かの抽選を実行し得る特典抽選手段と、を備え、
前記当選役決定手段で決定された当選役が何れの当選役であったとしても、該当選役が決定されている中で前記特典抽選手段による抽選を複数回実行し得ることで遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させ得る抽選頻度増大手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記の遊技機(スロットマシン1)は、複数の当選役に関しての抽選が実行されると図柄が付された可動体(リール301a、301b、301c)を回転させ、抽選の結果に基づいて決定された当選役に関する図柄組合せを表示する(図柄組み合わせを図柄表示窓401内に表示する)遊技機であって、当選役決定手段(CPU1110)は、複数の当選役のうち何れの当選役を決定し、特典付与手段(CPU1110)は、図柄組合せに基づいて(図柄表示窓401内に表示された図柄組み合わせに基づいて)特典を付与し、特典抽選手段(CPU1110)は、上記特典とは異なる特典を付与するか否かの抽選を実行する(例えばARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行する)。
そして、抽選頻度増大手段(CPU1110)は、上記当選役決定手段で決定された当選役が何れの当選役であったとしても、当選役が決定されている中で、上記特典抽選手段による抽選を複数回実行し得ることで遊技者に特典を付与する抽選機会を増加する。詳細については後述する。
通常、遊技者の始動レバー210の操作に基づいて当選役に関する抽選を実行するとともにリール301a、301b、301cの回転を開始し、この回転しているリール301a、301b、301cを遊技者がリール停止ボタン211a、211b、211cを操作することにより停止し、停止させたときに図柄表示窓401に表示された図柄組み合わせに基づいて遊技者に特典を付与する(メダルを付与、再遊技、有利な遊技状態へ移行する等)ゲームを実行している。しかしながら、当選役に関する抽選は1回のゲームに1回実行されるものの、それでは抽選機会が少なく満足できないことから興趣が低下してしまう。
しかし、上記の遊技機によれば、決定された当選役が何れの当選役であったとしても、当選役が決定されている中、遊技者に特典を付与する抽選を複数回実行することで遊技者に特典を付与する抽選機会を増加する。つまり、決定された当選役で何回も抽選を実行可能にすることにより抽選機会を増加している。
なお、以下の本発明の第1実施形態では、決定された当選役が何れの当選役であったとしても、当選役が決定されている中、上述したARTゲームへ移行するか否かの抽選(以下、特典抽選と称する)を複数回実行することで、遊技者を満足させて興趣の低下を抑制する場合について説明する。詳細については後述する。
[データテーブルの構成]
次に、図65を参照して、ROM1112に記憶されているデータテーブルの構成について説明する。ROM1112には、メイン基板409(CPU1110)が参照するデータテーブルであって、抽選に関するデータテーブル等が記憶されている。
はじめに、図65(a)を参照して、遊技状態を移行(特典抽選遊技状態へ移行)するか否かを決定するための遊技状態移行抽選データテーブルについて説明する。この遊技状態移行抽選データテーブルには、一般遊技中に上述した内部抽選により決定した当選役を示す当選役データと、この当選役データにそれぞれ対応する選択率データとが規定されている。
具体的には、遊技状態が一般遊技中に、図65(a)に示す確率で遊技状態が移行するように遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲が規定されている(図示省略)。そして、内部抽選により抽出した乱数値が遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かにより遊技状態を移行するか否かを決定する。遊技状態の移行が決定されると、上述したARTゲームへ移行するか否かの抽選を行う特典抽選遊技状態へ移行する。
ここで、本発明の第1実施形態では、「一般遊技」として、遊技者にとって有利な遊技状態でありARTゲームへ移行するか否かの抽選を行う「特典抽選遊技状態」の遊技状態を有している。そして、「特典抽選遊技状態」は、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1回実行する低確率遊技状態と、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を複数回実行し得る高確率遊技状態とを有する。
図65(a)に示す遊技状態移行抽選データテーブルでは、当選役データが「ベル」の場合、特典抽選遊技状態へ移行する確率(選択率)は「1.3%」、当選役データ「リプレイ」の場合、移行する確率は「0.7%」、当選役データ「スイカ」の場合、移行する確率は「65%」、当選役データが「チェリー」の場合、移行する確率は「33%」と規定している。
このように規定した遊技状態移行抽選データテーブルにより、遊技状態が一般遊技中、内部抽選により「ベル」や「リプレイ」が決定されると特典抽選遊技状態へ移行する確率が低いが、「スイカ」や「チェリー」のように、内部抽選により当選する確率が低い所謂レア小役(例えば図49参照)が決定されると特典抽選遊技状態へ移行する確率が高くなる。
次に、図65(b)を参照して、ARTゲームへ移行するか否かの抽選の回数を決定するための抽選回数データテーブルについて説明する。この抽選回数データテーブルには、特典抽選遊技状態へ移行する前に内部抽選により決定した当選役を示す当選役データと、この当選役データにそれぞれ対応する抽選回数データ(図65(b)では処理データ)とが規定されている。
具体的には、遊技状態が特典抽選遊技状態中に、図65(b)に示す確率で抽選回数が決定するように抽選回数用の乱数値の範囲が規定されている(図示省略)。そして、内部抽選により抽出した乱数値が抽選回数用の乱数値のいずれの範囲に該当するか否かにより抽選回数を決定する。抽選回数が決定されると、ARTゲームに移行するか否かについて決定された回数の抽選が実行される。
そして、抽選回数データには、特典抽選遊技状態中にARTゲームに移行するか否かについて1回の抽選が実行される抽選回数データA(処理データA)と、ARTゲームに移行するか否かについて3回の抽選が実行される抽選回数データB(処理データB)とが規定されている。
図65(b)に示す抽選回数データテーブルでは、当選役データが「ベル」の場合、抽選回数データAが決定される確率は「80%」、抽選回数データBが決定される確率は「20%」、当選役データが「リプレイ」の場合、抽選回数データAが決定される確率は「90%」、抽選回数データBが決定される確率は「10%」、当選役データが「スイカ」の場合、抽選回数データAが決定される確率は「15%」、抽選回数データBは決定される確率は「85%」、当選役データが「チェリー」の場合、抽選回数データAが決定される確率は「5%」、抽選回数データBが決定される確率は「95%」と規定している。
このように規定した抽選回数データテーブルにより、遊技状態が一般遊技状態中、内部抽選により「ベル」や「リプレイ」が決定されると、特典抽選遊技状態へ移行した際に抽選回数データAが決定される確率が高い。つまり、「ベル」や「リプレイ」が決定されるとARTゲームに移行するか否かについての抽選が1回行われる可能性が高い(低確率遊技状態である可能性が高い)。一方、「スイカ」や「チェリー」のようにレア小役が決定されると特典抽選遊技状態へ移行した際に抽選回数データBが決定される確率が高い。つまり、「スイカ」や「チェリー」が決定されるとARTゲームに移行するか否かについての抽選が3回行われる可能性が高い(高確率遊技状態である可能性が高い)。
次に、図65(c)を参照して、遊技状態を移行(ARTゲームへ移行)するか否かを決定するためのART初当たり抽選データテーブルについて説明する。このART初当たり抽選データテーブルには、一般遊技中に内部抽選により決定した当選役を示す当選役データと、この当選役データにそれぞれ対応する選択率データとが規定されている。
具体的には、特典抽選遊技状態から図65(c)に示す確率で遊技状態が移行するようにART初当たり抽選用の乱数値の範囲が規定されている(図示省略)そして、内部抽選により抽出した乱数値がART初当たり抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かによりARTゲームへ移行するか否かを決定する。ARTゲームへ移行するか否かの抽選(特典抽選)によりARTゲームへの移行が決定されると、ART初当たりとなり、一般遊技状態から遊技者にとって有利な遊技状態であるARTゲームへ移行する。
図65(c)に示すART初当たり抽選データテーブルでは、当選役データが「ベル」の場合、ARTゲームへ移行する確率(選択率)は「10%」、当選役データが「リプレイ」の場合、移行する確率は「5%」、当選役データが「スイカ」の場合、移行する確率は「50%」、当選役データが「チェリー」の場合、移行する確率は「35%」と規定している。
なお、図65(c)に示すART初当たり抽選データテーブルでは、抽選回数に対応してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定する。このため、抽選毎にそれぞれ異なるART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定される場合がある(図示省略)。つまり、内部抽選で決定した当選役が「チェリー」で当選回数が3回と決定した場合、1回目、2回目、3回目の当たり値の範囲が異なって決定される場合がある。
詳細には、上述した当たり値判定テーブルに規定された「チェリー」の当たり値が0〜99で、1/10でARTゲームに初当たりする場合について説明すると、上述したステップS106において抽出した乱数値が「93」の場合であって、1回目の当たり値が0〜9、2回目の当たり値が40〜49、3回目の当たり値が90〜99と決定された場合、1回目と2回目はARTゲーム初当たりとならないが、抽出した乱数値が3回目の当たり値に該当するため、ARTゲーム初当たりとなる。
つまり、3回の特典抽選を実行する際、3回とも同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲を参照した場合、3回の特典抽選を実行したとしても3回とも同じ結果となるが、本発明の第1実施形態では、抽選毎に異なる乱数値の範囲が決定される場合があるため、3回とも同じ結果(3回ともハズレ)とならない場合があり1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。
このようにして、本発明の第1実施形態では、図65(a)の遊技状態移行抽選データテーブルが規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されると特典抽選遊技状態へ移行し易くなる。このため、レア小役が当選することで特典抽選の実行に対して期待感を向上させることができる。
また、図65(b)に示す抽選回数データテーブルが規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されると特典抽選遊技状態中にARTゲームに移行するか否かの特典抽選の回数が多くなり易くなる。このため、遊技者に対して抽選機会を多く提供することができる。また、内部抽選によりレア小役に当選すると、特典抽選遊技状態へ移行し易く、さらには抽選回数が増加する可能性が高いことから、内部抽選でレア小役に当選することによりART初当たりに対して期待を膨らませることができる。
さらに、図65(c)に示すART初当たり抽選データテーブルが規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されるとARTゲームへ移行し易くなる。このため、レア小役に当選することにより有利な遊技状態であるARTゲームへの移行に対して期待を膨らませることができる。
また、上述したように、複数の抽選回数に対してART初当たり抽選用の乱数値の範囲がそれぞれ異なるように決定される場合があるため、特典抽選が3回実行される場合、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。このため、毎回に抽選でART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、当然ながら、ART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定するのはランダムで決定するため、例えば1回目と2回目が同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲となることもある。
[画像表示体の表示例]
次に、図66を参照して、遊技状態が一般状態中に画像表示体500において実行される演出態様の例について説明する。図66(a)は、画像表示体500にてARTの初当たり抽選が実行される場合の演出画像の例である。図66(b)は、画像表示体500にて初当たり抽選が実行されている場合の演出画像の例である。図66(c)は、画像表示体500にてARTゲームへ移行が決定したことを示す演出を実行した場合の演出画像の例である。
図66(a)に示すように、遊技状態が特典抽選遊技状態へ移行すると遊技者に対してARTゲームへ移行するか否かの特典抽選が何回実行されるのかを報知する演出画像が表示される。ここでは、特典抽選の回数を示す文字情報が表示される例を示す。図66(a)に示す例では、「3回いくよ!」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる抽選回数報知画像2501を画像表示体500に表示して、遊技者に対して特典抽選が3回実行されることを報知する。
特典抽選が実行されると、図66(b)に示すように、抽選の実行回数と実行された抽選結果が表示される。ここでは、1回目の抽選が実行され、実行された抽選の結果がハズレの場合に文字情報が表示される例を示す。図66(b)に示す例では、「1回目×」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる抽選結果情報画像2502を画像表示体500に表示して、遊技者に対して1回目の抽選ではハズレであったことを報知する。なお、3回特典抽選の実行が決定された場合には、1回目の抽選、2回目の抽選、3回目の抽選毎に抽選の実行回数と実行された抽選結果を表示する。
そして、特典抽選が実行され、この抽選の結果、当選した場合には、図66(c)に示すように、ARTに初当たりとなったことを示す演出画像が表示される。ここでは、当選したことを示す文字情報が表示される例を示す。図66(c)に示す例では、「WIN」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる当選画像2503を画像表示体500に表示してART初当たりしてARTゲームが開始されることを報知する。
なお、特典抽選が実行され、この抽選の結果、ハズレであった場合には、「おしい」、「残念」等の文字情報を画像表示体500に表示することでART初当たりしていないことを報知する(図示省略)。
また、遊技状態が特典抽選遊技状態へ移行している間、内部抽選で決定した当選役に関する情報を画像表示体500に表示することができる。上述したように、特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選の回数、特典抽選は、内部抽選により抽出した乱数値を用いており、内部抽選によりレア小役に当選するとART初当たりとなる可能性が高いため、画像表示体500に示された当選役によっては(レア小役が当選していることが示されると)、遊技者に対してART初当たりに対して期待感を向上させることができる。
[遊技状態移行処理]
次に、図67を参照して、本発明の実施形態の遊技状態移行処理について説明する。この遊技状態移行処理では、メイン基板409(CPU1110)において、遊技状態が一般遊技中に実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
なお、遊技状態移行処理は、図55を参照して説明した始動処理のステップS107とステップS108の間で実行される(図55では図示省略)。
はじめに、メイン基板409のCPU1110は、第1抽選処理を実行する(テップS2001)。具体的には、CPU1110は、ステップS106及びステップS107(図55参照)において内部抽選により決定した当選役と、この内部抽選により抽出した乱数値とを遊技状態移行抽選データテーブル(図65(a))にて照合する。つまり、内部抽選により抽出した乱数値が上述した遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かにより遊技状態を移行するか否かを決定する。このように第1抽選処理により上述した特典抽選遊技状態へ移行するか否かを決定する。
次に、CPU1110は、第1抽選処理で当選したか否かを判定する(ステップS2002)。つまり、ステップS2001において特典抽選遊技状態への移行を決定したか否かを判定する。CPU1110は、特典抽選遊技状態へ移行しない場合には(ステップS2002:NO)、遊技状態移行処理を終了する。
一方、CPU1110は、特典抽選遊技状態への移行を決定した場合には(ステップS2002:YES)、リール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間、リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)フリーズ状態とし、可変処理を実行する(ステップS2003)。具体的には、CPU1110は、ステップS106及びステップS107(図55参照)において内部抽選により決定した当選役と、この内部抽選により抽出した乱数値とを抽選回数データテーブル(図66(b))にて照合する。つまり、内部抽選により抽出した乱数値が上述した抽選回数用の乱数値の範囲のいずれかに該当するか否かにより特典抽選の実行回数を決定する。このように可変処理によりARTゲームへ移行するか否かについての特典抽選の実行回数を決定する。
次に、CPU1110は、所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS2004)。具体的には、CPU1110は、抽選回数データテーブルを参照して抽選回数データA(処理データA)が決定したか否かを判定する。つまり、ARTゲームに移行するか否かについての特典抽選を3回実行する高確率遊技状態とすることを決定したか、又は、ARTゲームに移行するか否かについての特典抽選を1回実行する低確率遊技状態とすることを決定したかを判定する。
CPU1110は、所定の条件を満たすと判定した場合には(ステップS2004:YES)、カウンタAをセットする処理を行う(ステップS2005)。具体的には、CPU1110は、ARTゲームへ移行するか否かについての特典抽選を3回実行するため、RAM1114に設けられた抽選カウンタに「3」をセットする。
一方、CPU1110は、所定の条件を満たさないと判定した場合には(ステップS2004:NO)、カウンタBをセットする処理を行う(ステップS2006)。具体的には、CPU1110は、ARTゲームへ移行するか否かについての特典抽選を1回実行するため、RAM1114に設けられた抽選カウンタに「1」をセットする。
次に、CPU1110は、第2抽選処理を実行する(ステップS2007)。つまり、CPU1110は、ステップS106及びステップS107(図55参照)において内部抽選により決定した当選役と、この内部抽選により抽出した乱数値とをART初当たり抽選データテーブル(図65(c))にて照合する。つまり、内部抽選により抽出した乱数値が上述したART初当たり抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かによりARTゲームへ移行するか否かを決定する。このように第2抽選処理によりARTゲームへ移行するか否かについての特典抽選を実行する。
次に、CPU1110は、ステップS2005又はステップS2006においてセットした抽選カウンタから「1」を減算する(ステップS2008)。そして、CPU1110は、抽選カウンタが「0」であるか否かを判定する(ステップS2009)。CPU1110は、抽選カウンタが「0」ではないと判定した場合には(ステップS2009:NO)、ステップS2007に移る。つまり、抽選カウンタが「0」になるまで第2抽選処理(特典抽選)を実行する。
一方、CPU1110は、カウンタが「0」であると判定した場合には(ステップS2009:YES)、第2抽選に当選したか否かを判定する(ステップS2010)。つまり、第2抽選処理(特典抽選)の実行によりARTゲームへの移行を決定したか否かを判定する。
CPU1110は、第2抽選に当選しARTゲームへの移行を決定したと判定した場合には(ステップS2010:YES)、遊技状態をARTゲームへ移行する移行処理を実行する(ステップS2011)。
なお、CPU1110は、第2抽選に当選していない(ハズレ)と判定した場合には(ステップS2010:NO)、遊技状態移行処理を終了する。
[本発明の第1実施形態の作用効果]
このようにして、本発明の第1実施形態では、抽選により決定した当選役が何れの当選役であったとしても、当選役が決定されている中で、遊技者に特典を付与する抽選を複数回実行して特典を付与する抽選機会を増加する。
通常、遊技者の始動レバー210の操作に基づいて当選役に関する抽選を実行するとともにリール301a、301b、301cの回転を開始し、この回転しているリール301a、301b、301cを遊技者がリール停止ボタン211a、211b、211cを操作することにより停止し、停止させたときに図柄表示窓401に表示された図柄組み合わせに基づいて遊技者に特典を付与する(メダルを付与、再遊技、有利な遊技状態へ移行する等)ゲームを実行している。しかしながら、当選役に関する抽選は1回のゲームに1回実行されるものの、それでは抽選機会が少なく満足できないことから興趣が低下してしまう。
特に、前回の遊技開始から予め設定された最小遊技時間(例えば、4.1秒)経過前の場合、次回の遊技が開始できないように制限されるため(ウェイト状態となるため)、当選役を決定する抽選がなされてから停止操作することにより図柄の組み合わせが表示されるまでにはある程度の時間が必要となる。このため、抽選が実行される機会が限られたものとなることから、抽選機会が少なく遊技に対して興趣が低下して遊技を止めてしまう。
しかし、本発明の第1実施形態では、始動レバー210の操作を契機に実行された内部抽選により決定した当選役(ステップS106及びステップS107(図55参照)において決定した当選役)が何れの当選役であったとしても、当選役が決定されている中で、ARTゲームへ移行するか否かの抽選(特典抽選)を複数回実行することにより、抽選機会を増加している。
詳細には、内部抽選で当選役が決定している中で、この内部抽選を決定するために抽出した乱数値を用いて特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選の実行回数、特典抽選を実行することで、決定された当選役で何回も抽選を実行可能にして抽選機会を増加している。つまり、内部抽選で決定した当選役と無関係に複数回の抽選を実行するのではなく、内部抽選で決定した当選役で遊技者に有益を与える特典抽選を複数回実行可能にしている。
そして、上述したように、特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選の回数、特典抽選を内部抽選により抽出した乱数値を用いて行うため、これらの抽選毎に新たに乱数を抽出する必要がないことから、抽選を行う処理の処理量を削減しつつ抽選回数を増加することができる。
特に、内部抽選で特典抽選の期待度が高い(ART初当たりとなる期待度が高い)特定の当選役(例えば、強チェリーや強スイカ等)の役が内部抽選で決定されると、特定の当選役に当選しているかもしれないから特典抽選の抽選機会が多くなるのではないか、また、抽選機会が多く得られるならART初当たりとなるのではないかと期待感を膨らますことができ、また、複数回の特典抽選の実行が決定されると、この特典抽選が実行される抽選毎にART初当たりに対して期待を高めさせることができる。
特に、特典抽選で当選すると遊技者に対して多くのメダルを付与するARTゲームに移行することから、内部抽選で決定された当選役が特定の当選役の場合には、メダルを多く獲得できる遊技状態への移行に対して遊技者に大きな期待感を抱かせることができる。
そして、上述したように、本発明の第1実施形態では、遊技状態移行抽選データテーブル(図65(a))が規定されていることから、始動レバー210の操作を契機に実行された内部抽選によりレア小役が決定されると特典抽選遊技状態へ移行し易くなる。このため、レア小役が当選することで特典抽選の実行に対して期待感を向上させることができる。
また、抽選回数データテーブル(図65(b))が規定されていることから、始動レバー210の操作を契機に実行された内部抽選によりレア小役が決定されていると、特典抽選遊技状態中にARTゲームに移行するか否かの抽選回数が多くなり易くなる。このため、遊技者に対して抽選機会を多く提供することができる。また、抽選によりレア小役に当選すると、特典抽選遊技状態へ移行し易く、さらに、抽選回数が増加する可能性が高いことから、レア小役に当選することによりART初当たりに対して期待を膨らませることができる。
さらに、ART初当たり抽選データテーブル(図65(c))が規定されていることから、始動レバー210の操作を契機に実行された抽選によりレア小役が決定されると、ARTゲームへ移行し易くなる。このため、レア小役に当選することにより有利な遊技状態であるARTゲームへの移行に対して期待を膨らませることができる。
また、ART初当たり抽選データテーブル(図65(c))では、抽選回数に対応してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定するため、抽選毎にそれぞれ異なるART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定される場合がある(図示省略)。つまり、当選役データが「チェリー」で当選回数が3回と決定した場合、ランダムで1回目、2回目、3回目の当たり値の範囲を決定するため、抽選毎に当たり値の範囲が異なって決定される場合がある。このように、抽選毎に異なる乱数値の範囲が決定される場合があるため、3回とも同じ結果とならない場合があり1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。このため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。
(本発明の第1実施形態の他の実施形態における特徴的な構成や動作等)
次に、本発明の第1実施形態の他の実施形態の特徴的な構成や動作等について説明する。なお、他の実施形態に係るスロットマシン1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1と略同様の構成等を有するため、同様の構成に関しては説明を省略するものとする。
[他の実施形態における特典抽選の実行タイミング]
上述した本発明の第1実施形態では、特典抽選はリール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)いわゆるフリーズ中に実行する場合について説明したが、前回の遊技開始から予め設定された最小遊技時間(例えば、4.1秒)経過前に、次回の遊技が開始できないように制限するためのウェイト状態中に実行してもよい。このように、ウェイト状態中に特典抽選を実行しても、特典を付与する抽選機会を増加することができる。また、ウェイト状態とならない場合であったとしても特典抽選を実行してもよい。
そして、ウェイト状態となることにより、始動レバー210を操作してからリール停止ボタン211a、211b、211cを操作するまでの待ち時間があるため、その待ち時間を利用して、上述した図66(a)の抽選回数の報知を所定時間かけて遊技者に楽しませることができる(報知回数教示手段)。さらには、リール停止ボタン211a、211b、211cを操作するまでの期間において所定期間以下(ウェイトが略無い状態)である場合には、いきなり報知回数を教示することができる(速攻教示手段)。このように、報知回数教示手段や速攻教示手段を設けることにより、リール停止ボタン211a、211b、211cをすぐに操作したい遊技者にも興趣を抱かせることができる。
また、全てのリール301a、301b、301cが停止した後に特典抽選を実行してもよい。この場合、始動レバー210の操作を契機に実行した抽選で決定した当選役がレア小役のときに、特典抽選遊技状態へ移行し易く、抽選回数が増加する可能性が高く、ARTゲームへの移行を決定し易くすることにより(ART初当たりし易くすることにより)、レア小役に基づく図柄が図柄表示窓401内に表示されることに対する期待を膨らませることができ、レア小役に基づく図柄が図柄表示窓401内に表示されるとART初当たりへの期待感をさらに向上させることができる。例えば、特典抽選の抽選回数の期待が高い所謂レア小役が図柄表示窓401内に表示されたときに、上述した報知回数教示手段を実行し特典抽選を実行することで、従来の遊技機のように特典抽選に当選したか否かに対して期待をさせていたゲーム性ではなく、何回の特典抽選が遊技者に付与されるのかといった斬新なゲーム性を提供することもできる。
なお、上述したようにウェイト状態中に特典抽選を実行する場合、ウェイト状態中を作り出すために、所定の遊技状態(遊技状態が一般状態中)において、全てのリール301a、301b、301cが停止することにより遊技者に遊技の結果が示された後にゲーム毎に同一内容の促進演出を実行する。つまり、ゲームの結果を表示する前であるリール301a、301b、301cのいずれかが回転状態である場合、遊技者は図柄表示窓401に停止表示する図柄の組み合わせに期待感を持つが、本実施形態では、図柄表示窓401に図柄が停止表示することによりゲームの結果を示した後に促進演出の実行を開始し、また、促進演出がゲーム毎に同一の演出内容であるため、遊技者はこの促進演出に注目しなくなり期待感を持たなくさせる。そして、ゲーム毎に同一の演出内容である促進演出が実行されることにより、遊技者が演出を見ようと思わなくなることから演出に注目しなくなり、期待感を持つことができないことから遊技速度を加速させて遊技の高速消化を促進し、ウェイト状態を作り出す。
そして、ウェイト状態を作り出し、このウェイト状態中に特典抽選を実行すると、遊技(リール301a、301b、301が回転してから停止するまでの遊技)と関係が薄いウェイト状態を無駄な時間とすることなく、遊技全体を楽しむことができるため、全ての遊技期間を楽しむことができる。また、この遊技と関係の薄い時間を利用することで遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させることができる。
また、上述した本発明の第1実施形態では、特典抽選はリール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)いわゆるフリーズ中に実行する場合について説明したが、リール301a、301b、301cの回転後であって、リール停止ボタン211a、211b、211cのうち1又は2のリール停止ボタン211の操作がなされた後、残りのリール停止ボタン211の操作を有効化するタイミングを遅延させるフリーズ中に特典抽選を実行することができる。このようなフリーズ中に特典抽選を実行しても、遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させることができる。
さらに、リール301a、301b、301cの回転中に特典抽選を実行することができる。このようにリール301a、301b、301cの回転中に特典抽選を実行しても、遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させることができる。
また、上述したような特典抽選を実行する期間において、遊技者が例えば始動レバー210やリール停止ボタン211等の操作部の操作を契機に特典抽選を実行することができる。この場合、遊技者に対して始動レバー210等の操作を促す演出(図示はしないが、次に始動レバー210等の操作が行われたときに抽選するよ!等の演出)を実行することで、ART初当たりに対して期待感をこめて始動レバー210等の操作を行わせることができる。なお、従来から始動レバー210で当選役の抽選を行うことは知られており、リール停止ボタン211a、211b、211cは基本的には回転中のリール301a、301b、301cを停止させるものである。しかし、リール停止ボタン211a、211b、211cの操作が有効となっている間に上述した促す演出を実行すると、リール停止ボタン211a、211b、211cを操作する意味がリール301a、301b、301cを停止させることと抽選を実行することという、1の操作で2以上の興趣を遊技者に提供することが出来るお得手段を備えることもできる。
[他の実施形態における特典抽選]
上述した本発明の第1実施形態では、ART初当たり抽選データテーブル(図65(c))は、複数回実行される抽選に対してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定することで、抽選毎にそれぞれ異なるART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定されるときがある場合について説明したが、特典抽選でハズレの場合にART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定することができる。つまり、上述したように内部抽選で当選役を決定する際に抽出した乱数値を用いるが、特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定する。この場合であっても、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、上述したように、ART初当たり抽選用の乱数値の範囲はランダムで決定するため、例えば1回目と2回目が同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲となることもある。しかし、同じ乱数値の範囲だと抽選の結果が変わらないので、同じ乱数値の範囲を決定した場合は前回と異なる乱数値の範囲を決定するまで繰り返し乱数値の範囲を決定してもよい(再取得手段)。
また、上述した本発明の第1実施形態では、特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選の回数、特典抽選は、内部抽選により抽出した乱数値を用いる場合について説明したが、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出することができる。このように、別途乱数値を抽出しても遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させることができる。
特に、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合にART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定することができる(ハズレにかかわらず抽選毎にランダムに決定してもよい)。つまり、抽選毎に別途乱数値を抽出し、特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定する(ランダム取得手段)。この場合であっても、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、上述した再取得手段を設けてもよい。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合に抽出する乱数の抽出範囲を変更して乱数値を変えることができる。つまり、今回の特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の抽出範囲を前回と異なる抽出範囲へ変更する(乱数抽出範囲変更手段)。例えば、特典抽選が3回実行される場合において、1回目で0〜99の抽出範囲から乱数値を抽出し、特典抽選で当選となる当たり値が0〜299であって特典抽選でハズレの場合は、2回目では抽出する乱数値が1回目で抽出した乱数値と異なるように100〜199の抽出範囲から乱数値を抽出し、2回目で特典抽選に当選した場合、3回目は2回目と同じ乱数値とすることができるし、2回目の特典抽選でハズレの場合は、3回目では抽出する乱数が1回目、2回目で抽出した乱数値と異なるように200〜299の抽出範囲から乱数値を抽出する。これにより、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
さらに、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合に抽出する乱数に所定の値を加算又は減算して乱数値を変えることができる。例えば、特典抽選が3回実行される場合において、1回目で155の乱数値を抽出し特典抽選でハズレの場合は、2回目では1回目で抽出した乱数値に任意に決定した64を加算した219を乱数値とする(乱数値加算手段、乱数値減算手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、抽出した乱数値に任意に決定した値を加算又は減算して、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する際の抽出周期を前回の抽出周期を異ならせることができる。例えば、特典抽選を実行する際に、0.001秒周期で乱数値を抽出する場合、1回目の特典抽選でハズレの場合は、2回目は1回目の周期を超えてから(例えば、0.002秒後に抽出する等で周期をずらして)乱数を抽出することができる(乱数抽出周期超過手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数値を抽出する抽出周期を異ならせて、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
さらに、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する際の抽出周期を変更することができる。例えば、特典抽選を実行する際に、1回目は0.001秒周期で乱数値を抽出し特典抽選でハズレの場合は、2回目は1回目と異なる0.002秒周期で乱数値を抽出することができる(乱数抽出周期変更手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数を抽出する抽出周期を変更して1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する時間を変更することができる。例えば、予め特典抽選の際に抽出する乱数値の抽出周期を0.001秒、0.002秒、0.003秒と規定し、この中から任意の乱数周期を選択することができる。この場合、1回目で抽出乱数値を0.001秒と決定し特典抽選にハズレの場合は、2回目、3回目は、1回目と異なる抽出周期を選択する(乱数周期時間選択手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数を抽出する時間を変更して1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
上述した本発明の第1実施形態では、抽選回数データテーブル(図66(b))を参照して特典抽選の抽選回数を決定する場合について説明したが、当選役に基づいて決定してもよい。詳細には、当選役が「ベル」の場合、抽選回数は「2回」、当選役が「リプレイ」の場合、抽選回数は「1回」、当選役が「スイカ」の場合、抽選回数は「3回」、当選役が「チェリー」の場合、抽選回数は「5回」と規定して、当選役に応じて抽選回数を決定してもよい。このように、当選役に基づいて抽選回数を決定しても遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させつつ、抽選回数が多く規定されたスイカやチェリー(レア小役)が内部抽選で当選することでART初当たりに対して期待感を膨らますことができる。
また、上述した本発明の第1実施形態では、遊技状態移行抽選データテーブル(図65(a))を参照して特典抽選遊技状態へ移行する場合について説明したが、さらに、特典抽選遊技状態として特典抽選当選確定モードを設け、当選するまで特典抽選を繰り返し実行することができる(特典抽選繰り返し実行手段)。このように、当選するまで繰り返し実行しても特典を付与する抽選機会を増加することができる。また、特典抽選遊技状態又は特典抽選当選確定モードのいずれかへ移行するようにすることで、特典抽選当選確定モードへ移行するのではないかと期待感を高めることができる。
上記のように、特典抽選当選確定モードを設ける場合、始動レバー210の操作を契機に実行した内部抽選の結果、決定した当選役が「ベル」、「リプレイ」の場合は特典抽選遊技状態へ移行し易くし、当選役が「スイカ」、「チェリー」の場合は特典抽選当選確定モードに移行し易くする。このように、当選役がレア小役の場合に特典抽選当選確定モードに移行し易くすることで、「スイカ」や「チェリー」が内部抽選で当選すると、よりART初当たりに対して期待感を膨らますことができる。
さらに、上述した本発明の第1実施形態では、特典抽選としてARTゲームへ移行するか否かの抽選を複数回実行する場合について説明したが、ARTゲーム中に特典抽選を実行しARTゲームを延長(所謂ARTゲーム数の上乗せ、セット数の上乗せ)してもよい。このように、特典抽選に当選するとARTゲームを延長しても遊技者に特典を付与する抽選機会を増加させることができる。
[他の実施形態における報知内容]
上述したように、本発明の第1実施形態では、ARTの初当たり抽選が実行されると、抽選の実行回数と実行された抽選結果を画像表示体500にて表示する場合について説明したが、残りの抽選回数と抽選結果を表示することができる。つまり、ARTの初当たり抽選を3回実行することが決定され、既に2回の抽選が実行された場合には、「残り1回!」という文字情報を画像表示体500にて表示する(残り抽選数報知手段)。このように、残りの抽選回数を示すことにより、遊技者に対して何回抽選が実行されるのかを把握させ易くする。
また、抽選が実行される毎に抽選結果を表示せずに特典抽選が全て実行された後に抽選結果を画像表示体500に表示することができる。つまり、ARTの初当たり抽選を3回実行することが決定され、抽選が実行されている間は抽選結果を表示せず、3回抽選が実行された後に3回の抽選のうち何れかの抽選で当選したことを表示する(抽選終了後結果報知手段)。
さらに、特典抽選遊技状態へ移行することを決定した後に始動レバーの操作を契機に抽選を実行するように構成することで、始動レバー210の操作の前に、「今、チェリーを引けば3回の特典抽選が行われるよ!」、「今、チェリーを引けば3回の特典抽選が行われる可能性があるよ!」等を画像表示体500に表示して、レア小役を引けば複数回の特典抽選がなされることを教示してもよい(予告教示手段)。
また、始動レバーの操作を契機に抽選を実行した後に特典抽選遊技状態へ移行した場合は、抽選により決定した当選役を画像表示体500で示唆してもよい(当選役示唆手段)。例えば、チェリーが当選した場合には画像表示体500における演出の背景を「赤色」に表示され易くする等、当選役と観念上の繋がりを有する演出やキャラクタ画像等により、チェリーが当選したかもしれないから高確率遊技状態やART初当たりとなることに対してさらに期待感を向上させることができる。
(本発明の第2実施形態における特徴的な構成や動作等)
次に、図68から図70を参照して、上述した基本的なスロットマシン1の構成のほか、本発明の第2実施形態における特徴的な構成や動作等について説明する。図68は、抽選に関するデータテーブルを示す図である。図69は画像表示体における表示例を示す図である。図70は遊技移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
本発明の第2実施形態に係るスロットマシン1は、以下の技術思想としてあらわすことができる。
当選役に関しての抽選が実行されると図柄が付された複数の可動体を回転し、当該抽選の結果に基づいて表示された図柄組合せによって遊技者に特典を付与するゲームを実行する遊技機であって、
前記ゲームが繰り返し行われると前記ゲームを実行するために用いられる遊技媒体の数は減少していくなかで、遊技者にとって有利な高確率遊技状態及び該高確率遊技状態よりも不利な低確率遊技状態を少なくとも含む複数種の遊技状態の何れかの遊技状態に制御する遊技状態制御手段と、
前記遊技状態制御手段によって前記高確率遊技状態および前記低確率遊技状態に制御されているときに、前記特典とは異なる特典を付与するか否かの抽選を実行し得る特典付与抽選手段と、を備え、
前記特典付与抽選手段による抽選に用いられる抽選テーブルが規定されており、さらには、遊技者にとって優劣がつけられている前記複数種の遊技状態の数よりも当該抽選テーブルの数を少なくする抽選テーブル軽減手段、
を備えることを特徴とする遊技機。
上記の遊技機(スロットマシン1)は、当選役に関しての抽選が実行されると図柄が付された複数の可動体(リール301a、301b、301c)を回転し、抽選の結果に基づいて表示された図柄組合せ(図柄表示窓401内に表示された図柄組み合わせ)によって遊技者に特典を付与するゲームを実行する遊技機であって、遊技状態制御手段(CPU1110)は、ゲームが繰り返し行われるとゲームを実行するために用いられる遊技媒体(メダル)の数は減少していくなかで、遊技者にとって有利な高確率遊技状態及び高確率遊技状態よりも不利な低確率遊技状態を少なくとも含む複数種の遊技状態の何れかの遊技状態に制御し、特典付与抽選手段(CPU1110)は、上記遊技状態制御手段によって高確率遊技状態および低確率遊技状態に制御されているときに、上記特典とは異なる特典を付与するか否かの抽選を実行する(ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行する)。
そして、抽選テーブル軽減手段(CPU1110)は、上記特典付与抽選手段による抽選に用いられる抽選テーブルが規定されており、さらには、遊技者にとって優劣がつけられている複数種の遊技状態の数よりも抽選テーブルの数を少なくする。
通常、当選役が当選する確率は同じであるが、遊技者にとって有利又は不利な複数の遊技状態で遊技を実行可能にすることで複雑なゲーム性を実現し、興趣の低下を抑制しようとしている。しかしながらその一方で、複雑なゲーム性にすればするほど、ソフトのデータ量が嵩んでしまう。
しかし、上記の遊技機によれば、遊技者にとって優劣がつけられている複数種の遊技状態(以下の実施形態では、高確率遊技状態と低確率遊技状態)の数よりも、特典を付与するか否か(上述したARTゲームへ移行するか否か)の抽選に用いられる抽選テーブル(ART初当たり抽選テーブル)の数を少なくしている。これにより、抽選テーブルを格納する容量を小さくしてデータ量が嵩んでしまうことを防止している。詳細については後述する。
なお、以下の本発明の第2実施形態では、ゲームが繰り返し行われるとゲームを実行するために用いられるメダルの数が減少する上述した一般状態は、上述したARTゲームへ移行する確率が高いことから遊技者にとって有利な高確率遊技状態と、ARTゲームに移行する確率が高確率遊技状態よりも低いことから遊技者にとって不利な低確率遊技状態との2つの遊技状態を有しており、高確率遊技状態と低確率遊技状態において、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1つの抽選テーブル(後述するART初当たり抽選テーブル)で実行する場合について説明する。つまり、高確率遊技状態と低確率遊技状態は、ゲームを繰り返し実行するとメダルが減少してく点で共通するが、有利度合いが異なる(ARTゲームへ移行する確率が異なる)遊技状態であり、このような高確率遊技状態と低確率遊技状態において、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1つの抽選テーブルで実行する。
[データテーブルの構成]
次に、図68を参照して、ROM1112に記憶されているデータテーブルの構成について説明する。ROM1112には、メイン基板409(CPU1110)が参照するデータテーブルであって、抽選に関するデータテーブル等が記憶されている。
はじめに、図68(a)を参照して、遊技状態を高確率遊技状態へ移行するか否かを決定するための遊技状態移行抽選データテーブルについて説明する。この遊技状態移行抽選データテーブルには、一般遊技中に上述した内部抽選により決定した当選役を示す当選役データと、この当選役データにそれぞれ対応する選択率データとが規定されている。
具体的には、遊技状態が一般遊技中に、図68(a)に示す確率で遊技状態が高確率遊技状態へ移行するように遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲が規定されている(図示省略)。そして、内部抽選により抽出した乱数値が遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かにより遊技状態を高確率遊技状態へ移行するか否かを決定する。
ここで、本発明の第2実施形態では、一般遊技中であって、ゲームが繰り返し行われるとゲームで付与されるメダルの数からゲームを実行するために用いるメダルの数を差し引いた差枚数の期待値が負であるが、ARTゲームへ移行する確率が高い遊技者にとって有利な「高確率遊技状態」と、ARTゲームに移行する確率が高確率遊技状態よりも低く遊技者にとって不利な「低確率遊技状態」との2つの遊技状態を有している。
図68(a)に示す遊技状態移行抽選データテーブルでは、当選役データが「ベル」の場合、高確率遊技状態へ移行する確率(選択率)は「1.3%」、当選役データ「リプレイ」の場合、移行する確率は「0.7%」、当選役データ「スイカ」の場合、移行する確率は「65%」、当選役データが「チェリー」の場合、移行する確率は「33%」と規定している。
このように規定した遊技状態移行抽選データテーブルにより、遊技状態が一般遊技中、内部抽選により「ベル」や「リプレイ」が決定されると高確率遊技状態へ移行する確率が低いが、「スイカ」や「チェリー」のように、内部抽選により当選する確率が低い所謂レア小役(図49参照)が決定されると高確率遊技状態へ移行する確率が高くなる。
次に、図68(b)を参照して、ARTゲームへ移行するか否かの抽選の回数を決定するための抽選回数データテーブルについて説明する。この抽選回数データテーブルには、遊技状態を示す遊技データと、この遊技データにそれぞれ対応する抽選回数データ(図68(b)では処理データ)とが規定されている。
図68(b)に示す抽選回数データテーブルでは、遊技状態が低確率状態であることを示す「遊技データA」の場合は、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1回実行することを決定するための「処理データA」が規定されており、遊技状態が高確率遊技状態であることを示す「遊技データB」の場合は、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を3回実行することを決定するための「処理データB」が規定されている。
このように規定した抽選回数データテーブルにより、遊技状態が低確率遊技状態の場合にはARTゲームへ移行するか否かの抽選が1回行われることとなり、遊技状態が高確率遊技状態の場合にはARTゲームへ移行するか否かの抽選が3回行われることとなる。
次に、図68(c)を参照して、遊技状態を移行(ARTゲームへ移行)するか否かを決定するためのART初当たり抽選データテーブルについて説明する。このART初当たり抽選データテーブルには、一般遊技中に内部抽選により決定した当選役を示す当選役データと、この当選役データにそれぞれ対応する選択率データとが規定されている。
具体的には、図68(c)に示す確率でARTゲームへ移行するようにART初当たり抽選用の乱数値の範囲が規定されている(図示省略)そして、内部抽選により抽出した乱数値がART初当たり抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かによりARTゲームへ移行するか否かを決定する。ARTゲームへ移行するか否かの抽選(特典抽選)によりARTゲームへの移行が決定されると、ART初当たりとなり、一般遊技状態から遊技者にとって有利な遊技状態であるARTゲームへ移行する。
図68(c)に示すART初当たり抽選データテーブルでは、当選役データが「ベル」の場合、ARTゲームへ移行する確率(選択率)は「1.8%」、当選役データが「リプレイ」の場合、移行する確率は「0.2%」、当選役データが「スイカ」の場合、移行する確率は「55%」、当選役データが「チェリー」の場合、移行する確率は「43%」と規定している。
なお、図68(c)に示すART初当たり抽選データテーブルでは、抽選回数に対応してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定する。このため、抽選毎にそれぞれ異なってART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定される場合がある(図示省略)。つまり、内部抽選で決定した当選役が「チェリー」で当選回数が3回と決定した場合、1回目、2回目、3回目の当たり値の範囲が異なって決定される場合がある。
詳細には、上述した当たり値判定テーブルに規定された「チェリー」の当たり値が0〜99で、1/10でARTゲームに初当たりする場合について説明すると、上述したステップS106において抽出した乱数値が「93」の場合であって、1回目の当たり値が0〜9、2回目の当たり値が40〜49、3回目の当たり値が90〜99と決定された場合、1回目と2回目はARTゲーム初当たりとならないが、抽出した乱数値が3回目の当たり値に該当するため、ARTゲーム初当たりとなる。
つまり、3回の特典抽選を実行する際、3回とも同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲を参照した場合、3回の特典抽選を実行したとしても3回とも同じ結果となるが、本発明の第1実施形態では、抽選毎に異なる乱数値の範囲が決定される場合があるため、3回とも同じ結果(3回ともハズレ)とならない場合があり1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。
このようにして、本発明の第2実施形態では、図68(a)の遊技状態移行抽選データテーブルが規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されると高確率遊技状態へ移行し易くなる。このため、レア小役が当選することで特典抽選の実行に対して期待感を向上させることができる。
また、図68(b)に示す抽選回数データテーブルが規定されていることから、高確率遊技状態ではARTゲームに移行するか否かの抽選回数が多くなる。このため、内部抽選によりレア小役に当選すると、高確率遊技状態へ移行し易くなり、さらに、複数回の抽選が実行されることからARTゲームへ移行する確率が高くなる。このため、内部抽選でレア小役に当選することによりART初当たりに対して期待を膨らませることができる。
さらに、図68(c)に示すART初当たり抽選データテーブルが規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されるとARTゲームへ移行し易くなる。このため、レア小役に当選することにより有利な遊技状態であるARTゲームへの移行に対して期待を膨らませることができる。
また、上述したように、複数の抽選回数に対してART初当たり抽選用の乱数値の範囲がそれぞれ異なって決定される場合があるため、特典抽選が3回実行される場合、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。このため、毎回に抽選でART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、当然ながら、例えばART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定するのはランダムで決定するため、1回目と2回目が同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲となることもある。
[画像表示体の表示例]
次に、図69を参照して、遊技状態が一般状態中に画像表示体500において実行される演出態様の例について説明する。図69(a)は、画像表示体500にて一般遊技中の遊技状態を示す場合の演出画像の例である。図69(b)は、画像表示体500にて初当たり抽選の実行がなされている場合の演出画像の例である。図69(c)は、画像表示体500にてARTゲームへの移行が決定したことを示す演出を実行した場合の演出画像の例である。
図69(a)に示すように、遊技状態が高確率遊技状態へ移行すると、遊技者に対して遊技状態が高確率遊技状態であることを報知する演出画像が表示される。ここでは、遊技状態が高確率遊技状態であることを示す文字情報が表示される例を示す。図69(a)に示す例では、「高確率中!!」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる遊技状態報知画像2601を画像表示体500に表示して、遊技者に対して遊技状態が高確率遊技状態であることを報知する。なお、遊技状態が低確率遊技状態である場合には、「低確率中・・・」という文字情報を表示する。
特典抽選が実行されると、図69(b)に示すように、抽選の実行回数と実行された抽選結果が表示される。ここでは、高確率遊技状態であるため3回の特典抽選が予定され、2回の特典抽選が既に実行され、実行された抽選の結果がハズレの場合に文字情報が表示される例を示す。図69(b)に示す例では、「3回いくよ!」という文字情報が表示され、特典抽選が実行される毎に「1回目×」、「2回目×」、そしてこれから3回目を実行することを示す「3回目・・・」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる抽選結果情報画像2602を画像表示体500に表示することにより、遊技者に対して3回の特典抽選の実行が予定され、1回目と2回目の抽選ではハズレであり、次に3回目の抽選が実行されることを報知する。そして、その後に3回目の特典抽選が実行された場合には、3回目の抽選の結果を表示する。
なお、遊技状態が低確率遊技状態であることから1回の特典抽選が予定された場合は、「1回いくよ!」という文字情報を表示し、特典抽選が実行されると「1回目×」又は「1回目○」という文字情報を特典抽選の結果に基づいて画像表示体500に表示する。
そして、特典抽選が実行され、この抽選の結果、当選した場合には、図69(c)に示すように、ARTに初当たりとなったことを示す演出画像が表示される。ここでは、抽選に当選したことを示す文字情報が表示される例を示す。図69(c)に示す例では、「WIN」という文字情報と犬のキャラクタ画像からなる当選画像2603を画像表示体500に表示してART初当たりしてARTゲームが開始されることを報知する。
なお、特典抽選が実行され、この抽選の結果、ハズレであった場合には、「おしい」、「残念」等の文字情報を画像表示体500に表示することでART初当たりしていないことを報知する(図示省略)。
また、遊技状態が特典抽選遊技状態へ移行している間、内部抽選で決定した当選役に関する情報を画像表示体500に表示することができる。上述したように、特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選の回数、特典抽選は、内部抽選により抽出した乱数値を用いており、内部抽選によりレア小役に当選するとART初当たりとなる可能性が高いため、画像表示体500に示された当選役によっては(レア小役が当選していることが示されると)、遊技者に対してART初当たりに対して期待感を向上させることができる。
[遊技状態移行処理]
次に、図70を参照して、本発明の実施形態の遊技状態移行処理について説明する。この遊技状態移行処理では、メイン基板409(CPU1110)において、遊技状態が一般遊技中に実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
なお、遊技状態移行処理は、図55を参照して説明した始動処理のステップS107とステップS108の間で実行される(図55では図示省略)。
はじめに、メイン基板409のCPU1110は、抽選を実行するか否かを判定する(テップS3001)。具体的には、CPU1110は、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行するか否かを決定する。なお、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行するか否かは、内部抽選により抽出した乱数値を用いて実行してもよいし、別途、乱数値を抽出して抽選を行ってもよい。
CPU1110は、抽選を実行しないと判定した場合には(ステップS3001:NO)、遊技状態移行処理を終了する一方で、CPU1110は、抽選を実行すると判定した場合には(ステップS3001:YES)、リール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間、リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)フリーズ状態とし、第1抽選処理を実行する(ステップS3002)。具体的には、CPU1110は、ステップS106及びステップS107(図55参照)において内部抽選により決定した当選役と、この内部抽選により抽出した乱数値とを遊技状態移行抽選データテーブル(図68(a))にて照合する。つまり、内部抽選により抽出した乱数値が上述した遊技状態移行抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かにより遊技状態を移行するか否かを決定する。このように第1抽選処理により上述した高確率遊技状態へ移行するか否かを決定する。
次に、CPU1110は、所定の条件を満たしたか否かを判定する(ステップS3003)。具体的には、ステップS3002において第1抽選処理により高確率遊技状態への移行を決定したか否かを判定する。
CPU1110は、所定の条件を満たしたと判定した場合、つまり、高確率遊技状態への移行を決定したと判定した場合には(ステップS3003:YES)、カウンタAをセットする処理を行う(ステップS3004)。具体的には、CPU1110は、抽選回数データテーブル(図68(b))を参照して、高確率遊技状態を示す遊技データAに対応する抽選回数データA(処理データA)を決定してARTゲームに移行するか否かについての抽選を3回実行する高確率遊技状態とするため、RAM1114に設けられた抽選カウンタに「3」をセットする。
一方、CPU1110は、所定の条件を満たしていないと判定した場合、つまり、低確率遊技状態への移行を決定したと判定した場合には(ステップS23003:NO)、カウンタBをセットする処理を行う(ステップS3005)。具体的には、CPU1110は、抽選回数データテーブル(図68(b))を参照して、低確率遊技状態を示す遊技データBに対応する抽選回数データB(処理データB)を決定してARTゲームに移行するか否かについての抽選を1回実行する低確率遊技状態とするため、RAM1114に設けられた抽選カウンタに「1」をセットする。
次に、CPU1110は、第2抽選処理を実行する(ステップS3006)。つまり、CPU1110は、ステップS106及びステップS107(図55参照)において内部抽選により決定した当選役と、この内部抽選により抽出した乱数値とをART初当たり抽選データテーブル(図68(c))にて照合する。つまり、内部抽選により抽出した乱数値が上述したART初当たり抽選用の乱数値の範囲に該当するか否かによりARTゲームへ移行するか否かを決定する。このように第2抽選処理によりARTゲームへ移行するか否かについての特典抽選を実行する。
次に、CPU1110は、ステップS3004又はステップS3005においてセットした抽選カウンタから「1」を減算する(ステップS3007)。そして、CPU1110は、抽選カウンタが「0」であるか否かを判定する(ステップS3008)。CPU1110は、抽選カウンタが「0」ではないと判定した場合には(ステップS3008:NO)、ステップS3006に移る。つまり、抽選カウンタが「0」になるまで第2抽選処理(特典抽選)を実行する。
一方、CPU1110は、カウンタが「0」であると判定した場合には(ステップS3008:YES)、第2抽選に当選したか否かを判定する(ステップS3009)。つまり、第2抽選処理(特典抽選)の実行によりARTゲームへの移行を決定したか否かを判定する。
CPU1110は、第2抽選に当選しARTゲームへの移行を決定したと判定した場合には(ステップS3009:YES)、遊技状態をARTゲームへ移行する移行処理を実行する(ステップS3010)。
なお、CPU1110は、第2抽選に当選していないと判定した場合には(ステップS3009:NO)、遊技状態移行処理を終了する。
[本発明の第2実施形態の作用効果]
このようにして、本発明の第2実施形態では、遊技者にとって優劣がつけられている複数種の遊技状態(本発明の第2実施形態では高確率遊技状態と低確率遊技状態)の数よりも、特典を付与するか否か(ARTゲームへ移行するか否か)の抽選に用いられる抽選テーブル(ART初当たり抽選テーブル)の数を少なくしている。
通常、当選役が当選する確率は同じであるが、遊技者にとって有利又は不利な複数の遊技状態で遊技を実行可能にすることで複雑なゲーム性を実現し、興趣の低下を抑制しようとしている。しかしながらその一方で、複雑なゲーム性にすればするほど、ソフトのデータ量が嵩んでしまう。
しかし、本発明の第2実施形態では、遊技者にとって優劣がつけられている複数種の遊技状態(高確率遊技状態と低確率遊技状態)の数よりも、ARTゲームへ移行するか否かの抽選に用いられるART初当たり抽選テーブルの数を少なくしている。これにより、抽選テーブルを格納する容量を小さくしてデータ量が嵩んでしまうことを防止している。
詳細には、ゲームが繰り返し行われるとゲームを実行するために用いられるメダルの数が減少する一般状態は、ARTゲームへ移行する確率が高い遊技者にとって有利な高確率遊技状態と、ARTゲームに移行する確率が高確率遊技状態よりも低く遊技者にとって不利な低確率遊技状態との2つの遊技状態を有しており、高確率遊技状態と低確率遊技状態において、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1つのART初当たり抽選テーブルで実行する。つまり、高確率遊技状態と低確率遊技状態は、ゲームを繰り返し実行するとメダルが減少してく点で共通するが、ARTゲームへ移行する確率が異なる遊技状態であり、このような高確率遊技状態と低確率遊技状態において、遊技者に有益を与える特典抽選を1つのART初当たり抽選テーブルで実行することにより、抽選テーブルを格納する容量を小さくしている。
そして、特典抽選で当選すると遊技者に対して多くのメダルを付与するARTゲームに移行することから、メダルを多く獲得できる遊技状態への移行に対して遊技者に大きな期待感を抱かせつつ、抽選テーブルを格納する容量を小さくしている。また、複雑なゲーム性を実現するためには長い開発期間が必要とされるが、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を1つのART初当たり抽選テーブルで実行して開発期間への影響を少なくしている。
また、上述したように、本発明の第2実施形態では、遊技状態移行抽選データテーブル(図68(a))が規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されると高確率遊技状態へ移行し易くなる。このため、レア小役が当選することで特典抽選の実行に対して期待感を向上させることができる。
また、抽選回数データテーブル(図68(b))が規定されていることから、高確率遊技状態ではARTゲームに移行するか否かの抽選回数が多くなる。このため、内部抽選によりレア小役に当選すると、高確率遊技状態へ移行し易くなり、さらに、複数回の抽選が実行されることからARTゲームへ移行する確率が高くなる。このため、内部抽選でレア小役に当選することによりART初当たりに対して期待を膨らませることができる。
さらに、ART初当たり抽選データテーブル(図68(c))が規定されていることから、内部抽選によりレア小役が決定されるとARTゲームへ移行し易くなる。このため、レア小役に当選することにより有利な遊技状態であるARTゲームへの移行に対して期待を膨らませることができる。
また、ART初当たり抽選データテーブル(図68(c))では、抽選回数に対応してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定するため、抽選毎にそれぞれ異なってART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定される場合がある(図示省略)。つまり、当選役データが「チェリー」で当選回数が3回と決定した場合、ランダムで1回目、2回目、3回目の当たり値の範囲を決定するため、抽選毎に当たり値の範囲が異なって決定される場合がある。このように、抽選毎に異なる乱数値の範囲が決定される場合があるため、3回とも同じ結果とならない場合があり1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性がある。このため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。
(本発明の第2実施形態の他の実施形態における特徴的な構成や動作等)
次に、本発明の第2実施形態の他の実施形態の特徴的な構成や動作等について説明する。なお、他の実施形態に係るスロットマシン1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1と略同様の構成等を有するため、同様の構成に関しては説明を省略するものとする。
[他の実施形態における特典抽選の実行タイミング]
上述した本発明の第2実施形態では、特典抽選はリール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)いわゆるフリーズ中に実行する場合について説明したが、前回の遊技開始から予め設定された最小遊技時間(例えば、4.1秒)経過前に、次回の遊技が開始できないように制限するためのウェイト状態中に実行してもよい。このように、ウェイト状態中に特典抽選を実行しても、抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。また、ウェイト状態とならない場合であったとしても特典抽選を実行してもよい。
また、全てのリール301a、301b、301cが停止した後に特典抽選を実行してもよい。この場合、始動レバー210の操作を契機に実行した内部抽選で決定した当選役がレア小役のときに、高確率遊技状態へ移行し易く、ARTゲームへの移行を決定し易くすることにより(ART初当たりし易くすることにより)、レア小役に基づく図柄が図柄表示窓401内に表示されることに対する期待を膨らませることができ、レア小役に基づく図柄が図柄表示窓401内に表示されるとART初当たりへの期待感をさらに向上させることができる。
なお、上述したようにウェイト状態中に特典抽選を実行する場合、ウェイト状態中を作り出すために、所定の遊技状態(遊技状態が一般状態中)において、全てのリール301a、301b、301cが停止することにより遊技者に遊技の結果が示された後にゲーム毎に同一内容の促進演出を実行する。つまり、ゲームの結果を表示する前であるリール301a、301b、301cのいずれかが回転状態である場合、遊技者は図柄表示窓401に停止表示する図柄の組み合わせに期待感を持つが、本実施形態では、図柄表示窓401に図柄が停止表示することによりゲームの結果を示した後に促進演出の実行を開始し、また、促進演出がゲーム毎に同一の演出内容であるため、遊技者はこの促進演出に注目しなくなり期待感を持たなくさせる。そして、ゲーム毎に同一の演出内容である促進演出が実行されることにより、遊技者が演出を見ようと思わなくなることから演出に注目しなくなり、期待感を持つことができないことから遊技速度を加速させて遊技の高速消化を促進し、ウェイト状態を作り出す。
そして、ウェイト状態を作り出し、このウェイト状態中に特典抽選を実行すると、遊技(リール301a、301b、301が回転してから停止するまでの遊技)と関係が薄いウェイト状態を無駄な時間とすることなく、遊技全体を楽しむことができるため、全ての遊技期間を楽しむことができる。また、この遊技と関係の薄い時間を利用して抽選テーブルを格納する容量を小さくし、さらに、開発期間への影響を少なくすることができる。
また、上述した本発明の第2実施形態では、特典抽選はリール停止ボタン211a、211b、211cの操作を有効化するタイミングを遅延させる(所定時間リール301a、301b、301cの回転開始を待機させる)いわゆるフリーズ中に実行する場合について説明したが、リール301a、301b、301cの回転後であって、リール停止ボタン211a、211b、211cのうち1又は2のリール停止ボタン211の操作がなされた後、残りのリール停止ボタン211の操作を有効化するタイミングを遅延させるフリーズ中に特典抽選を実行することができる。このようなフリーズ中に特典抽選を実行しても、抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
さらに、リール301a、301b、301cの回転中に特典抽選を実行することができる。また、このようにリール301a、301b、301cの回転中に特典抽選を実行しても、抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
また、上述したような特典抽選を実行する期間において、遊技者が例えば始動レバー210やリール停止ボタン211等の操作部の操作を契機に特典抽選を実行することができる。この場合、遊技者に対して始動レバー210等の操作を促す演出(図示はしないが、次に始動レバー210等の操作が行われたときに抽選するよ!等の演出)を実行することで、ART初当たりに対して期待感をこめて始動レバー210等の操作を行わせることができる。なお、従来から始動レバー210で当選役の抽選を行うことは知られており、リール停止ボタン211a、211b、211cは基本的には回転中のリール301a、301b、301cを停止させるものである。しかし、リール停止ボタン211a、211b、211cの操作が有効となっている間に上述した促す演出を実行すると、リール停止ボタン211a、211b、211cを操作する意味がリール301a、301b、301cを停止させることと抽選を実行することという、1の操作で2以上の興趣を遊技者に提供することが出来るお得手段を備えることもできる。
なお、複数回の特典抽選が実行される場合のみ、フリーズ状態とすることができる。このように、複数回の特典抽選が実行される場合のみフリーズ状態としても、抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
[他の実施形態における抽選テーブル]
上述した本発明の第2実施形態では、高確率遊技状態ではART初当たり抽選データテーブル(図65(c))を参照して特典抽選を3回、低確率遊技状態ではART初当たり抽選データテーブル(図65(c))を参照して特典抽選を1回実行する場合について説明したが、他のART初当たり抽選データテーブルを用いて特典抽選を実行することができる。例えば、従来のスロットマシンにおいて、低確率遊技状態で参照する抽選テーブルでは、内部抽選により決定した当選役が「ベル」では「1/200」、「スイカ」では「1/5」、「チェリー」では「1/10」の確率でARTゲームへ移行するように規定し、高確率遊技状態で参照する抽選テーブルでは、内部抽選により決定した当選役が「ベル」では「1/100」、「スイカ」では「1/2.5」、「チェリー」では「1/5」の確率でARTゲームへ移行するように規定している場合、抽選テーブルは2つ必要となる。しかし、本発明の第2実施形態の他の実施形態では、内部抽選により決定した当選役が「ベル」では「1/200」、「スイカ」では「1/5」、「チェリー」では「1/10」と規定した1つのART初当たり抽選データテーブルを規定し、これを参照して、低確率遊技状態では1回、高確率遊技状態では2回の特典抽選を実行する。このように、抽選回数を異ならせることで、従来のスロットマシンとARTゲームへ移行する確率を同一として抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
また、上述した本発明の第2実施形態では、遊技状態移行抽選データテーブル(図68(a))とART初当たり抽選データテーブル(図68(c))とが規定されている場合について説明したが、この2つの抽選データテーブルを共通にすることができる。つまり、1つの抽選テーブルを参照して、高確率遊技状態へ移行するか否かの抽選と特典抽選とを実行する。このように、2つの抽選データテーブルを共通にすることにより、抽選テーブルを格納する容量をさらに小さくすることができる。
さらに、上述した本発明の第2実施形態では、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行する場合について説明したが(図70のステップS3001)、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行しないようにすることができる。つまり、遊技状態が一般状態中、毎遊技において高確率遊技状態へ移行するか否かの抽選と特典抽選を実行することができる。このように、ARTゲームへ移行するか否かの抽選を実行しなくとも、抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
[他の実施形態における特典抽選]
上述した本発明の第2実施形態では、ART初当たり抽選データテーブル(図68(c))は、複数回実行される抽選に対してランダムでART初当たり抽選用の乱数値の範囲を決定することで、抽選毎にそれぞれ異なってART初当たり抽選用の乱数値の範囲が決定されるときがある場合について説明したが、特典抽選でハズレの場合にART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定することができる。つまり、上述したように内部抽選で当選役を決定する際に抽出した乱数値を用いるが、特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定する。この場合であっても、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、上述したように、ART初当たり抽選用の乱数値の範囲はランダムで決定するため、例えば1回目と2回目が同じART初当たり抽選用の乱数値の範囲となることもある。しかし、同じ乱数値の範囲だと抽選の結果が変わらないので、同じ乱数値の範囲を決定した場合は前回と異なる乱数値の範囲を決定するまで繰り返し乱数値の範囲を決定してもよい(再取得手段)。
また、上述した本発明の第2実施形態では、特典抽選遊技状態へ移行するか否かの抽選、特典抽選は、内部抽選により抽出した乱数値を用いる場合について説明したが、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出することができる。このように、別途乱数値を抽出しても抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
特に、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合にART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定することができる(ハズレにかかわらず抽選毎にランダムに決定してもよい)。つまり、抽選毎に別途乱数値を抽出し、特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の範囲をランダムに決定する。この場合であっても、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるため、抽選毎にART初当たりに対して期待感を持たせることができる。なお、上述した再取得手段を設けてもよい。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合に抽出する乱数の抽出範囲を変更して乱数値を変えることができる。つまり、今回の特典抽選でハズレの場合には次のART初当たり抽選用の乱数値の抽出範囲を前回と異なる抽出範囲へ変更する(乱数抽出範囲変更手段)。例えば、特典抽選で当選となる当たり値が0〜299であって特典抽選が3回実行される場合において、1回目で0〜99の抽出範囲から乱数値を抽出し、特典抽選でハズレの場合は、2回目では抽出する乱数値が1回目で抽出した乱数値と異なるように100〜199の抽出範囲から乱数値を抽出し、2回目で特典抽選に当選した場合、3回目は2回目と同じ乱数値とすることができるし、2回目の特典抽選でハズレの場合は、3回目では抽出する乱数が1回目、2回目で抽出した乱数値と異なるように200〜299の抽出範囲から乱数値を抽出する。これにより、3回とも必ず同じ結果とならず、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
さらに、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、特典抽選でハズレの場合に抽出する乱数に所定の値を加算又は減算して乱数値を変えることができる。例えば、特典抽選が3回実行される場合において、1回目で155の乱数値を抽出し特典抽選でハズレの場合は、2回目では1回目で抽出した乱数値に任意に決定した64を加算した219を乱数値とする(乱数値加算手段、乱数値減算手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、抽出した乱数値に任意に決定した値を加算又は減算して、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する際の抽出周期を前回の抽出周期を異ならせることができる。例えば、特典抽選を実行する際に、0.001秒周期で乱数値を抽出する場合、1回目の特典抽選でハズレの場合は、2回目は1回目の周期を超えてから(例えば、0.002秒後に抽出する等で周期をずらして)乱数を抽出することができる(乱数抽出周期超過手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数値を抽出する抽出周期を異ならせて、1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
さらに、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する際の抽出周期を変更することができる。例えば、特典抽選を実行する際に、1回目は0.001秒周期で乱数値を抽出し特典抽選でハズレの場合は、2回目は1回目と異なる0.002秒周期で乱数値を抽出することができる(乱数抽出周期変更手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数を抽出する抽出周期を変更して1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
また、内部抽選の乱数値を用いることなく抽選毎に別途乱数値を抽出する場合においては、乱数を抽出する時間を変更することができる。例えば、予め特典抽選の際に抽出する乱数値の抽出周期を0.001秒、0.002秒、0.003秒と規定し、この中から任意の乱数周期を選択することができる。この場合、1回目で抽出乱数値を0.001秒と決定し特典抽選にハズレの場合は、2回目、3回目は、1回目と異なる抽出周期を選択する(乱数周期時間選択手段)。このように、3回とも必ず同じ結果とならないように、乱数を抽出する時間を変更して1回目、2回目、3回目のいずれかでARTゲームに初当たりする可能性があるようにすることができる。
上述した本発明の第2実施形態では、遊技状態移行抽選データテーブル(図68(a))を参照して特典抽選遊技状態へ移行する場合について説明したが、さらに、特典抽選遊技状態として特典抽選当選確定モードを設け、当選するまで特典抽選を繰り返し実行することができる(特典抽選繰り返し実行手段)。このように、当選するまで繰り返し実行しても特典を付与する抽選機会を増加することができる。また、特典抽選遊技状態又は特典抽選当選確定モードのいずれかへ移行するようにすることで、特典抽選当選確定モードへ移行するのではないかと期待感を高めることができる。
上記のように、特典抽選当選確定モードを設ける場合、始動レバー210の操作を契機に実行した内部抽選の結果、決定した当選役が「ベル」、「リプレイ」の場合は特典抽選遊技状態へ移行し易くし、当選役が「スイカ」、「チェリー」の場合は特典抽選当選確定モードに移行し易くする。このように、当選役がレア小役の場合に特典抽選当選確定モードに移行し易くすることで、「スイカ」や「チェリー」が内部抽選で当選すると、よりART初当たりに対して期待感を膨らますことができる。
また、上述した本発明の第2実施形態では、特典抽選としてARTゲームへ移行するか否かの抽選を複数回実行する場合について説明したが、ARTゲーム中に特典抽選を実行しARTゲームを延長(所謂ARTゲーム数の上乗せ、セット数の上乗せ)してもよい。このように、特典抽選に当選するとARTゲームを延長しても抽選テーブルを格納する容量を小さくすることができる。
[他の実施形態における報知内容]
上述したように、本発明の第2実施形態では、ARTの初当たり抽選が実行されると、抽選の実行回数と実行された抽選結果を画像表示体500にて表示する場合について説明したが、残りの抽選回数と抽選結果を表示することができる。つまり、ARTの初当たり抽選を3回実行することが決定され、既に2回の抽選が実行された場合には、「残り1回!」という文字情報を画像表示体500にて表示する(残り抽選数報知手段)。このように、残りの抽選回数を示すことにより、遊技者に対して何回抽選が実行されるのかを把握させ易くする。
また、抽選が実行される毎に抽選結果を表示せずに特典抽選が全て実行された後に抽選結果を画像表示体500に表示することができる。つまり、ARTの初当たり抽選を3回実行することが決定され、抽選が実行されている間は抽選結果を表示せず、3回抽選が実行された後に3回の抽選のうち何れかの抽選で当選したことを表示する(抽選終了後結果報知手段)。
さらに、始動レバーの操作を契機に抽選を実行する前のタイミングで、「今、チェリーを引けば3回の特典抽選が行われるよ!」、「今、チェリーを引けば3回の特典抽選が行われる可能性があるよ!」等を画像表示体500に表示して、レア小役を引けば複数回の特典抽選がなされることを教示してもよい(予告教示手段)。
また、始動レバーの操作を契機に抽選を実行した後に特典抽選遊技状態へ移行した場合は、抽選により決定した当選役を画像表示体500で示唆してもよい(当選役示唆手段)。例えば、チェリーが当選した場合には画像表示体500における演出の背景を「赤色」に表示され易くする等、当選役と観念上の繋がりを有する演出やキャラクタ画像等により、チェリーが当選したかもしれないから高確率遊技状態やART初当たりとなることに対してさらに期待感を向上させることができる。
以上、本発明のスロットマシンを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上述した本発明の実施形態では、遊技機は、複数の図柄の変動表示を停止して表示される図柄に基づいて特定の入賞態様が成立するように、遊技者の操作により変動表示を停止可能に構成されているスロットマシンの場合について説明したが、これに限定されない。例えば、遊技機は、コインやメダル、遊技球、トークン等の他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技するものであってもよい。
上記のように構成したとしても、本発明の実施形態に係るスロットマシン1と同様の作用効果を得ることができる。