JP2016198055A - 植物栽培装置 - Google Patents

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あゆみ 三好
聡一 須藤
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Abstract

【課題】低コストで精度の高い栽培実験や研究を効率良く促進させることができる植物栽培装置を提供する。
【解決手段】装置本体11の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された生育空間12が形成され、生育空間12に植物を収納したままの状態で、生育中の植物を撮影するカメラ21と植物の撮影時に撮影用の光を照射する撮影用光源20と、撮影用光源20を制御可能であり、植物の撮影時における光の照射を所定時間内に制限する撮影用光源制御手段(コントロールユニット100)を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、植物の生育に影響を与える各要素を調整可能な環境条件下にて、所定の最小株数の植物を育成するための植物栽培装置に関する。
従来より、植物の最適な育成環境を見出すための実験に使用される研究用の植物育成装置について、様々な提案がなされている。従来の植物育成装置では、例えば特許文献1,2に開示されているように、通常はいわゆるチャンバー(恒温恒湿槽)を備えており、チャンバー内部に複数株の植物を入れて実験を行うことが一般的であった。
このような植物育成装置において、植物の生育状況をモニタする手段として、装置内部にカメラを設置することが知られている。カメラで撮影した画像は、目視で観察するだけのデータとして保存したり、周知の画像解析の手法を用いて解析され、植物の状態を判定するデータとして活用されていた。かかる画像の撮影に際しては光が必要であり、装置内部で植物に光を照射しない時間帯では、照度不足となり撮影は困難であった。
かかる撮影時の照度不足を解決すべく、例えば特許文献3には、複数株の植物を入れるチャンバー内部において、各装置ごとに異なる光源の特性や外乱光の影響を受けずに、植物の画像を撮影することを目的として、カメラにより植物を撮影するタイミングで光源を制御して光を照射する機能を備えた技術が開示されている。
特許第3982897号公報 特許第5034030号公報 特開2012−183021号公報
前述した従来の植物育成装置では、植物を例えば1株等の最小株数で育成を検証する場合に、チャンバー内に複数株を収納すると、個体間で相互作用が働いてしまい単体としての検証には適さないという問題があった。このような個体間の相互作用を防ぐために、チャンバー内を何らかの形で1株ごとのエリアに区切ると、一部の植物に対して光や風が遮られてしまうことがあり、植物の置かれている環境の均一性が確保できなくなる虞があった。
また、チャンバー内を複数のエリアに区切ることなく、株の配置間隔を広げる場合は、限られたチャンバー内に僅かな株数しか収納することができないという問題が生じる。しかも、チャンバーは、植物を複数株まとめて収納できる大きさであるため、限られたスペースに多くの装置を設置するにも限界があった。
また、チャンバー内の環境条件は、収納した植物の株数に関わらず、原則として同じ温度や湿度等と一律にしか調整できなかった。従って、多くの環境条件を設定して栽培実験を行う場合には、多くの装置を用意して同時並行して実験するか、一つの実験が終わってから次の環境条件を設定し、時間的にシリーズで実験することになる。そのため、余計にコストがかかるだけでなく、実験に時間がかかるという問題があった。
さらに、従来の植物育成装置では、カメラで植物を撮影する際には、前述した特許文献3に記載したように、あくまで撮影のための観点だけから光の照射を制御するに過ぎなかった。従って、敢えて植物に光を与えないような条件下で撮影を行う場合には、撮影のための光の照射によって植物の生育に意図しない影響を及ぼすことがあり、実験の精度が損なわれるという問題があった。
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、植物を最小単位で育成するに際し、植物単体の能力や人工的に制御された環境下での栽培を検証することができ、また、省スペース化の要請にも応じることができ、しかも、植物を撮影する際に、植物の生育に影響を与えることなく、鮮明な画像を得ることができる植物栽培装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]植物の生育に影響を与える各要素を調整可能な環境条件下にて、所定の最小株数の植物を育成するための植物栽培装置(10)において、
装置本体(11)の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された生育空間(12)が形成され、
前記生育空間(12)に植物を収納したままの状態で、生育中の植物を撮影する撮影手段(21)と、
前記撮影手段(21)による植物の撮影時に、撮影用に必要な光を照射する撮影用光源(20)と、
前記撮影用光源(20)を制御可能であり、植物の撮影時における光の照射を所定時間内に制限する撮影用光源制御手段(100)と、を備えることを特徴とする植物栽培装置(10)。
[2]前記撮影手段(21)は、前記装置本体(11)の内部にて移動可能に配置されたことを特徴とする前記[1]に記載の植物栽培装置(10)。
[3]前記撮影用光源(20)は、前記装置本体(11)の内部にて移動可能に配置されたことを特徴とする前記[1]または[2]に記載の植物栽培装置(10)。
[4]植物の生育に影響を与える各要素の1つである光を植物に照射する光照射部(20)を備え、
前記光照射部(20)が前記撮影用光源(20)を兼用することを特徴とする前記[1],[2]または[3]に記載の植物栽培装置(10)。
[5]前記撮影用光源制御手段(100)は、前記撮影手段(21)による植物の撮影時に、
前記光照射部(20)が点灯状態で照度が撮影用に足りている場合は、当該点灯状態をそのまま維持する一方、
前記光照射部(20)が点灯状態でも照度が撮影用に足りない場合、および前記光照射部(20)が消灯状態の場合は、前記光照射部(20)から撮影用に必要な光を照射することを特徴とする前記[4]に記載の植物栽培装置(10)。
[6]前記撮影用光源制御手段(100)は、前記撮影用光源(20)により光を所定時間内に限り照射した後、連続する一定時間に亘り前記撮影用光源(20)による光の照射ないし前記撮影手段(21)による撮影を禁止することを特徴とする前記[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の植物栽培装置(10)。
[7]前記撮影用光源制御手段(100)は、前記撮影用光源(20)により光を所定時間内に限り照射した後、さらに前記撮影用光源(20)が点灯している場合には、強制的に消灯させることを特徴とする前記[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の植物栽培装置(10)。
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の植物栽培装置(10)は、植物を所定の最小株数だけ育成するものであり、一つの装置本体(11)の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された一連の生育空間(12)が形成される。この生育空間(12)において、植物の生育に影響を与える各要素が調整された環境条件に制御される。これにより、植物を育成するための多様な環境条件を簡易かつ低コストで実現することができる。
生育空間(12)は、植物を所定の最小株数だけ収納する最小限の範囲に設定されるから、装置全体を極力小型化することが可能となる。これにより、植物を最小株数の単位で効率良く栽培実験や研究を進めることができるだけでなく、限られたスペース内でも、より多くの装置による環境条件の設定が可能となり、また、装置自体の価格やエネルギー消費も抑えることができる。
生育空間(12)は、基本的には閉鎖系となるが、植物の生育に影響を与える各要素である水分や二酸化炭素(空気)等を、装置本体(11)の外部から供給するように構成すると良い。これにより、装置本体(11)自体をいっそう小型化することが可能となる。また、生育空間(12)における余分な水分や空気等は、外部に排出できるように構成する。
このような植物栽培装置(10)において、植物の生育状況をモニタする手段として、撮影手段(21)により、生育空間(12)に植物を収納したままの状態で、生育中の植物を撮影する。ここで撮影した画像は、そのまま観察するデータとして保存したり、画像解析の手法を用いて解析して、植物の状態を判定するデータとして活用することができる。
前記撮影手段(21)による植物の撮影時には、撮影用光源(20)によって撮影用に必要な光を照射する。これにより、植物の周囲の輝度を向上させて、鮮明な画像を得ることができる。撮影用光源(20)は、撮影用光源制御手段(100)によって点灯ないし消灯等が制御されるが、特に、植物の撮影時における光の照射は、所定時間内に制限される。
ここで所定時間内とは、主として植物の生育に影響を与えない時間に設定されるものである。これにより、植物に生育用の光を与えていない条件下で撮影を行う場合であっても、単に撮影が可能となるだけでなく、撮影用の光の照射によって植物の生育に意図しない影響を及ぼすことがなくなり、実験の精度を向上させることができる。
前記撮影手段(21)は、前記[2]に記載したように、装置本体(11)の内部にて移動可能に配置すると良い。これにより、植物を撮影する位置を植物の生育度合いに合わせて移動させたり、一つの撮影手段(21)でも、植物を広範囲に亘って撮影することが可能となる。植物を様々な角度から撮影することにより、複数の画像データを収集することが可能となり、これらデータに基づく検証の精度を高めることができる。
前記撮影用光源(20)に関しても、前記[3]に記載したように、装置本体(11)の内部にて移動可能に配置すると良い。これにより、植物に対する撮影用の光の照射範囲を適宜変更することができ、前記撮影手段(21)による撮影範囲や植物の生育度合いに合わせて移動させれば、より確実に撮影時の照度不足を防止することができる。
また、前記[4]に記載したように、植物栽培装置(10)は通常であれば、植物の生育に影響を与える各要素の1つである光を植物に照射する光照射部(20)を備えるため、この光照射部(20)により前記撮影用光源(20)を兼用すると良い。これにより、撮影用の光源を別途用意する必要がなくなり、構成を簡易化することができる。
光照射部(20)で撮影用光源(20)を兼用する場合には、前記[4]に記載したように制御すると良い。すなわち、撮影用光源制御手段(100)は、撮影手段(21)による植物の撮影時に、光照射部(20)が点灯状態で照度が撮影用に足りている場合は、当該点灯状態をそのまま維持する。このように、植物の生育用の光照射を、そのまま撮影用の光として利用することができる。
一方、前記光照射部(20)が点灯状態でも、照度が撮影用に足りない場合、および光照射部(20)が消灯状態の場合は、光照射部(20)から撮影用に必要な光を照射する。ここでの照射は、光照射部(20)が既に点灯状態であれば、前述の所定時間内で一時的に照度を高めることになり、光照射部(20)が消灯状態であれば、前述の所定時間内で一時的に点灯させることになる。何れにせよ、光照射部(20)による撮影用の光の照射が植物の生育に影響を及ぼすことはない。
また、前記[6]に記載の植物栽培装置(10)によれば、撮影用光源制御手段(100)は、撮影用光源(20)により光を所定時間内に限り照射した後、連続する一定時間に亘り撮影用光源(20)による光の照射ないし撮影手段(21)による撮影を禁止する。これにより、撮影用の光が植物の生育に影響を及ぼすような時間に亘って照射される事態を確実に防止することができる。
さらに、前記[7]に記載の植物栽培装置(10)によれば、撮影用光源制御手段(100)は、撮影用光源(20)により光を所定時間内に限り照射した後、さらに撮影用光源(20)が点灯している場合には、強制的に消灯させる。このような制御によっても、撮影用の光が植物の生育に影響を及ぼすような時間に亘って照射される事態を確実に防止することができる。
本発明に係る植物栽培装置によれば、植物を最小株数で育成するに際し、他の植物の影響を受けにくい人工的に制御された環境下での栽培実験や研究を、安価に短い期間で、しかも高い精度で効率良く行うことが可能となり、植物の種類に見合った最適な環境条件を容易に解明することができる。これにより、植物工場や施設栽培の発展に寄与することができる。また、植物の最小株数に応じて小型化したことにより、限られたスペース内でも、同時に多くの装置ごとに環境条件の設定が可能となり、省スペース化の要請にも応じることができると共に、装置自体の価格やエネルギー消費も抑えることができる。
しかも、植物の生育状況をモニタする手段として、撮影手段により、生育空間に植物を収納したままの状態で、生育中の植物を撮影することができ、取得した画像を植物の状態を検証するデータとして活用することができる。特に、植物に生育用の光を与えていない条件下で撮影を行う場合であっても、単に撮影が可能となるだけでなく、撮影のための光の照射によって植物の生育に意図しない影響を及ぼすことがなく、実験の精度を向上させることができ。
本発明の実施の形態に係る植物栽培装置を模式的に表した縦断面図である。 本発明の実施の形態に係る植物栽培装置の制御系の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る植物栽培装置における栽培ないし画像に基づく判定を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る植物栽培装置における植物の撮影と撮影用の光照射の関係を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態に係る植物栽培装置において植物の撮影後に撮影用の光を連続的に照射させないための制御の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態に係る植物栽培装置において植物の撮影後に撮影用の光が消灯しない場合に強制的に消灯させる制御の一例を示すタイミングチャートである。 本発明の別の実施の形態に係る植物栽培装置を概念的に示す説明図である。
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施の形態を説明する。
最初に、図1によって、本実施の形態に係る植物栽培装置10の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る植物栽培装置10の要部を模式的に表した縦断面図である。植物栽培装置10は、植物の生育に影響を与える各要素を調整可能な環境条件下にて、所定の最小株数の植物を育成するための装置である。
図1に示すように、植物栽培装置10は、一つの装置本体11の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された一連の生育空間12を形成するように構成されている。ここで「所定の最小株数」とは、植物の種類ごとに適宜定められる数であり、必ずしも1株のみに限定されるものではない。例えば、予め定めた最小限の容積ないし形状に定められた生育空間12に対して、比較的大きく成長する植物では1株だけが適する。これより小さい植物では、1株または2株、1株から3株、1株から4株、あるいは1株から5株程度が適するが、この数の限りではなく、生育空間12において予想される植物の占有率等に基づき適宜設定される。
また「最小限の範囲」とは、前述した最小株数の植物が、自然な生育形態で収まる最小限の容積ないし形状であり、かかる範囲(スペース)で生育空間12は外部から区画される。このように生育空間12を内部とする装置本体11全体の外形は、特に限定されるものではない。例えば、円筒状、直方体、球形、卵形、紡錘形、壷形等の様々な外形が考えられるが、本実施の形態では、図1に示すように、下部が円筒形で上部が丸味を帯びたカプセル型を採用している。
装置本体11の内部の生育空間12では、植物の生育に影響を与える各要素が調整された環境条件に制御される。ここで各要素とは、植物の光合成に必要な水分、光、二酸化炭素や、栄養素、温度、湿度等と多岐に亘るが、本実施の形態における制御対象は、光、水分である養液、空気中の二酸化炭素、空気の温度および湿度等が該当する。これらの各要素は、植物の生理に合うよう制御されることで、互いに相関を保ちながら植物の育成を促進する。
装置本体11にて生育空間12を区画する各面壁11aは、例えば、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂、あるいはアルミニウムやその合金等の金属によって構成されている。かかる各面壁11aの材質には、光触媒作用のある酸化チタン等を混合させれば、表面における雑菌の繁殖を抑制でき、表面の汚れを防ぐことができる。
また、各面壁11aの外面は遮光材で覆うと良い。ここで遮光材の材質は、外部からの光を透過させないものであれば何でも良いが、断熱材を兼ねるものにすると良い。具体的には例えば、発泡スチロールや塩化ビニール等の断熱性に優れた合成樹脂が適している。また、各面壁11a自体を、遮光性や断熱性を有する材質によって形成することもできる。なお、各面壁11aの外面を遮光材で覆うことにより、生育空間12の光環境は後述の光照射部20だけで制御されることになり、光照射部20以外の外部光が入射することはない。
さらに、各面壁11aの内面には反射材を設けると良い。ここで反射材としては、後述の光照射部20から照射された光を反射できるものであれば何でも良いが、具体的には例えば、白色反射シートや鏡面反射シートを各面壁11aの内面に貼り付けたり、白色塗料や光反射塗料を各面壁11aの内面に塗布して構成することができる。
装置本体11の下部には、上面側が生育空間12に開口した養液槽13が設けられている。養液槽13は、例えば、底が円板形で周壁が円筒形断面の底浅の槽として形成され、その材質は、前記装置本体11の各面壁11aと同様に合成樹脂や金属等が用いられる。養液槽13の内部は、水耕栽培用の養液で満たされるが、他に土壌栽培用の土や培地栽培用に固形培地等を充填しても良い。この種の植物栽培装置10において、最も扱いやすい栽培方法は水耕栽培であり、本実施の形態では、一般的な湛液型水耕(DFT)を採用している。
ここで養液とは、植物が成長するために必要な栄養素(必須元素)を溶かした水溶液である。栄養素としては、例えば、窒素(N)リン(P)、カリウム(K)等があり、これらはイオン化された状態で水に溶けている。養液は、育成する植物の種類に応じて、また目標とする育成結果を得るために、各栄養素の濃度、pH(水素イオン濃度)、EC(電気伝導度)等が異なる様々な種類が存在する。
養液槽13には、装置本体11の面壁11aを貫通して外部から養液を供給するための給液管14と、不要な養液を外部へ排出するための排液管15が接続されている。給液管14や排液管15の途中には、それぞれ開閉可能なバルブ(例えば電磁弁等)が設けられており、給液管14の途中には、送液用の電動ポンプ等も配設されている。なお、給液管14や排液管15は、断熱材を外周に被覆する等して断熱すると良い。
装置本体11の面壁11aにおいて養液槽13の上方には、生育空間12に外部から空気(二酸化炭素)を供給するための給気管16が接続されている。また、装置本体11の天井部には、生育空間12の空気を外部へ排出するための排気管17も接続されている。給気管16や排気管17の途中には、それぞれ開閉可能なバルブ(例えば電磁弁等)が設けられ、給気管16の途中には、送風用の電動ポンプや送風ファン等も配設されている。なお、給気管16や排気管17も、断熱材を外周に被覆する等して断熱すると良い。
また、装置本体11の天井部には、下方に位置する植物に対して光を照射する光照射部20が設けられている。光照射部20は、それ自体が光源として構成される場合と、外部の光源から導光された光を照射する場合があるが、何れの場合も、下方に向けて光を照射する状態に配置される。光照射部20自体が光源となる場合は、具体的には例えば、LED(発光ダイオード)、小型の蛍光灯や白熱灯、そのほか有機EL(エレクトロルミネッセンス)等により構成すると良い。
特にLEDは、他の光源に比べて小型化が可能であり、低消費電力であり、長寿命である等の利点を有するため、光源として適している。LEDには、様々な発光色を発するものがあり、例えば、赤色光、青色光、緑色光、白色光、遠赤光等の複数の発光色のものを所定の割合(例えば発光面積の比)で適宜組み合わせ、互いに異なる分光分布(ナロー、ブロード、波長合成)や光量(光量子束密度)の種類を用意すると良い。
植物の生育に光が必要なのは、植物が光合成を行うためであるが、植物の主な集光色素であるクロロフィルaやクロロフィルbで最も吸収されやすい波長は、400〜500nm付近の青色光と、600〜700nm付近の赤色光である。これらの波長域の光が、光合成にとって有効であることが知られている。よって、この2つの波長域の光をメインとした照射を行うように、光源の発光色を制御すると良い。
また、外部に光源がある場合は、例えば、太陽光等の自然光を光ファイバーによって光照射部20まで導光して照射するように構成したり、あるいは、外部にあるLED等からの人工光を光ファイバーによって光照射部20まで導光して照射するように構成しても良い。光照射部20とは別に外部光源がある場合には、太陽光やLED等の光をレンズ等から成る集光機により効率的に集め、この集光した光を、光ファイバーで光照射部20まで導くことになる。ここで光ファイバーの光を出射する先端部が、主として光照射部20に相当することになる。
さらに、本植物栽培装置10は、生育空間12に植物を収納したままの状態で、生育中の植物の画像に基づき植物の状態を判定するための植物判定手段を備えている。ここで植物判定手段は、生育中の植物を撮影する撮影手段と、撮影された画像を分析する画像処理手段とを備えている。また、本植物栽培装置10は、前記撮影手段に関連して、撮影用に必要な光を照射する撮影用光源と、撮影手段の動作を制御する撮影制御手段と、撮影用光源の動作を制御する撮影用光源制御手段も備えている。
撮影手段は、植物を撮影して画像を取得するものであり、具体的には例えば、CCDイメージセンサやCMOSセンサ等を搭載した一般的なデジタルカメラやビデオカメラ、あるいはハイパースペクトルカメラ等のカメラ21が該当する。ハイパースペクトルカメラとは、ハイパースペクトル情報をもった画像を撮影可能なカメラであり、ハイパースペクトル情報とは、光を波長として捉え、各波長における光の強度を測定したものである。
カメラ21は、装置本体11の内部にて、生育空間12における植物の全体を撮影できるように、例えば、天井部の内側等に斜め下向きに配置される。さらに、カメラ21は、装置本体11の内部にて移動可能に配置すると良い。すなわち、カメラ21を前記面壁11aの内面に対し、支持具等を介して取り付け位置を適宜変更できるようにしたり、所定の軌跡上にて移動可能に取り付けても良い。なお、カメラ21は、比較的狭い生育空間12にて最小株数の植物を撮影できれば足りるため、通常は1つだけで足りるが、必要に応じて複数設けることも考えられる。
カメラ21は、後述するコントロールユニット100に接続されており、コントロールユニット100に含まれる電源ユニットを通じて給電され、また、コントロールユニット100によって動作が制御される。カメラ21で撮影された画像は、コントロールユニット100に送信されて取り込まれ、画像解析に用いられると共に、そのまま植物の生育状態に関する栽培記録として保存するように設定すると良い。
カメラ21による植物の撮影時には、植物の周囲の輝度を向上させて撮影を補助するための撮影用光源が必要となる。この撮影用光源は、植物の撮影時に必要な光を一時的に照射できれば何でも良く、前記光照射部20をそのまま兼用することができる。光照射部20の点灯時には、通常はそのままカメラ21により撮影可能だが、光照射部20の点灯時の光量が足りなかったり、あるいは光照射部20の消灯時には、光照射部20の動作を特別に制御する必要がある。かかる制御は、詳しくは後述するが撮影用光源制御手段により実行される。
また、撮影用光源は、前記光照射部20と兼用することなく、例えば、フラッシュランプやハロゲンランプ等によって別に構成しても良い。このような撮影用光源は、装置本体11の内部にて、前記カメラ21によって植物の撮影される箇所に光を照射可能な位置ないし向きに配置される。撮影用光源は、前記カメラ21自体の構成の一部として付設したり、あるいは別体として前記カメラ21と同様に、装置本体11の内部にて移動可能に配置しても良い。なお、撮影用光源は、1つに限らず複数設けても良い。
撮影制御手段と、撮影用光源制御手段、それに画像処理手段は、それぞれコントロールユニット100の機能として実現されるものである。コントロールユニット100とその各機能について詳しくは後述するが、コントロールユニット100は、植物栽培装置10の制御系の主要部をなすものである。かかるコントロールユニット100は、防水性のケースに密閉された状態で、図1に示すように、装置本体11の内部にて前記養液槽13の下方等に配設されている。
撮影制御手段は、前記カメラ21の動作を制御するものであり、後述する操作手段101からの指令(制御信号)に基づき、自動あるいは手動により画像の撮影を行わせるものである。
撮影用光源制御手段は、前記撮影用光源の動作を制御するものであり、後述する操作手段101からの指令(制御信号)に基づき、光源ユニット120を介して撮影用光源としての光照射部20を制御可能であり、詳しくは後述するが、植物の撮影時における光の照射を所定時間内に制限する。
画像処理手段は、前記カメラ21が撮影した画像を解析して画像解析データを取得し、該画像解析データに基づき植物の状態を判定可能なものである。先ず画像処理手段は、前記カメラ21で撮影した画像のうち、植物に相当する範囲を背景から抜き出した植物画像を生成して前記画像解析データとする。ここで植物画像は、植物の外観的な特徴(形状や大きさ等)を表す画像解析データの一つとして、植物の生育度合いを知るための指標となる。
画像処理手段は、次いで前記植物画像をさらに解析して、R(赤)、G(緑)、B(青)からなる色の3属性に変換して前記画像解析データとする。ここで色の3属性に変換した画像解析データは、通常はRGBヒストグラムとして、横軸が色の明るさ(左側が暗く右側が明るい)を示し、縦軸が色の明るさ毎の画素数を積み上げるように示したグラフとして表示出力される。RGBヒストグラムは、植物に含まれる3原色それぞれの輝度分布を知るための指標となる。
次に、生育空間12に設けられた制御系の各構成要素について説明する。ここで制御系の構成要素とは、生育空間12における環境条件の制御に関与するものである。図1中では図示省略したが、装置本体11内にある養液槽13内の適所には、養液の水温を検出する温度センサが設けられている。温度センサ自体の構成は、一般的であるので省略するが、温度センサは、後述するコントロールユニット100に、検出した養液の水温の測定値を出力するように設定されている。
養液の水温を調整する構成要素(被制御機器)としては、加温器や冷却器が考えられる。これら制御対象となる構成要素は、本実施の形態では、養液槽13内に直接設けることなく、装置本体11の外部にある養液生成ユニット140に設けられている。かかる養液生成ユニット140で水温等を調整した養液を、前記給液管14を通して装置本体11内の養液槽13に供給するように構成している。
養液槽13では、さらに水感センサを設けてオーバーフローを検知可能として、養液の供給ないし排出量の調整や、養液を一定量に保つ制御も行っている。さらに、養液中の各栄養素の濃度、pH(水素イオン濃度)、EC(電気伝導度)等を検知して、センシングデータを出力する各種センサを設け、それぞれの要素についてもフィードバック制御を行うように構成しても良い。
また、装置本体11内には、養液槽13の上方に位置する各面壁11aの内側等の適所に、生育空間12の空気に関するセンシングデータを出力する温度センサ、湿度センサ、二酸化炭素センサ等が設けられている。これらのセンサ自体の構成も、一般的であるので省略するが、各種センサもコントロールユニット100に信号線を介して接続され、検出した測定値をコントロールユニット100に出力するように設定されている。
空気の温度を調整する構成要素としては、前記養液の水温制御と同様に加温器や冷却器が考えられる。また、湿度を調整する構成要素として加湿器が、二酸化炭素濃度を調整する構成要素として炭酸ガス発生器も考えられる。これらも、装置本体11内に設けることなく、後述の空気生成ユニット130として装置本体11の外部に設け、温度等の環境条件を調整した空気を、給気管16を通して生育空間12に供給するように構成している。さらに、装置本体11内には、必要に応じて風量センサを設け、前記給気管16からの空気の吹き出し量を検知し、空気の供給ないし排出量(送風量)の制御を行っても良い。
また、光の環境条件に関するセンシングデータを出力する照度センサや、光量(光量子束密度)センサ等も、装置本体11内にてスペース的に余裕のある適所に設けられている。これらの光に関する各種センサ自体の構成も、一般的であるので省略するが、各種センサは、前記温度センサ等と同様に、コントロールユニット100に信号線を介して接続され、検出した測定値(センシングデータ)をコントロールユニット100に出力するように設定されている。
さらに、装置本体11内の適所には、植物の成長に応じて変化する値(例えば生体電位等)を検出するためのセンサ等を設けても良い。なお、装置本体11内の植物を直接観察できるように、各面壁11aの適所に必要に応じて開閉可能な窓部を設けても良い。かかる窓部は、それ自体には透光性がなく、開いた時だけ開口より内部を視認できるものとする。
次に、本実施の形態に係る植物栽培装置10の制御系について、図2を参照して説明する。図2は、植物栽培装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
植物栽培装置10は、前記装置本体11に付帯する制御系の構成として、コントロールユニット100のほか、光源ユニット120、空気生成ユニット130、養液生成ユニット140等を備えている。また、コントロールユニット100は、LAN、インターネット、あるいは電話回線等の通信回線を介して、外部のコンピュータ200とも接続されている。
図2において、コントロールユニット100は、前記装置本体11の生育空間12における環境条件を制御するものであり、前記装置本体11の底部に配設されている。コントロールユニット100は、例えば、CPU、RAM、ROM、インターフェース等から構成されたマイクロコンピュータから構成されている。かかるコントロールユニット100は、各種制御を実行するための制御プログラムを作成する手段、前記各センサからのセンシングデータや制御プログラム等を記憶するメモリ、センシングデータや制御プログラム等を表示する表示部等を備えている。
コントロールユニット100は、光源ユニット120、空気生成ユニット130、養液生成ユニット140に、それぞれ含まれる被制御機器のほか、入力操作を行うスイッチ等の操作手段101、前述した各種センサ等に、通信I/Fを介して通信可能に接続されている。すなわち、コントロールユニット100は、各センサからのセンシングデータの受信、被制御機器との間で制御信号の送信や電源の供給等を行うように設定されている。また、コントロールユニット100は、通信回線を介して外部のコンピュータ200との間で、センシングデータの送信や制御信号の送受を行うように設定されている。
ここでセンシングデータとしては、養液の水温、養液の供給量、空気の温度や湿度、二酸化炭素濃度、送風量、照度、光量のほか、実際に設けたセンサに応じて、養液中の各栄養素の濃度、pH(水素イオン濃度)、EC(電気伝導度)、スペクトル、画像データ等が該当する。また、制御信号としては、加温器や冷却器の制御信号、送風手段や電動ポンプの制御信号、そのほか各種の被制御機器のON/OFFや稼働出力に関する制御信号等が該当する。また、コントロールユニット100は、前述したようカメラ21等にも接続されている。
コントロールユニット100の操作手段101によって、育成する植物の種類や状態等に応じた被制御機器の設定値として、目標とする養液の水温、養液の供給量、空気の温度や湿度、二酸化炭素濃度、送風量、照度、光量等の具体的な値を適宜入力することができる。ここで入力された設定値は、通信回線を介してコンピュータ200にも送信され、該コンピュータ200にあるメモリにも保存される。
コントロールユニット100は、操作手段101から入力された、あるいはコンピュータ200から送信された被制御機器の設定値を受信すると、これを時系列にメモリに保存する。この設定値と前記センシングデータ(測定値)に基づいて、各被制御機器へ制御信号を送信して制御する。なお、設定値は、植物栽培装置10における植物栽培の開始日から相対的な経過日数(時間)ごとに適宜定めることができる。
また、操作手段101は、カメラ21による撮影や撮影用光源の動作のタイミング等に関する入力操作を受け付けて、コントロールユニット100に入力する。ここでコントロールユニット100の制御プログラムには、生育空間12における環境条件の制御に関する機能のほか、前述した植物判定手段のうちの画像処理手段や、撮影制御手段、撮影用光源制御手段に関する機能も含まれている。
次いで、養液生成ユニット140について説明する。
養液生成ユニット140は、前記養液槽13内に供給する養液を生成して貯えるタンク141のほか、タンク141に対して養液を供給する補給手段、タンク141内で養液を混ぜる撹拌手段、タンク141内の養液の水温を調整する加温器および冷却器、生成した養液を養液槽13へ送る給液管14等を含む送出手段等を、必要に応じて備えている。これらの被制御機器は、前記コントロールユニット100に接続され、コントロールユニット100からの制御信号に応じて制御される。
ここでタンク141は、断熱材で覆われており、給水手段、補給手段、送出手段には、その経路の途中に電磁弁や電動ポンプ、フィルター等が設けられている。送出手段からは、流量調整弁を介して所定量の養液が送出されるように構成されている。送出手段の給液管14の下流端は、前記養液槽13に接続されている。
加温器は、タンク141の内の養液を加温するものであり、具体的には例えば、タンク141内に配されたラジエーター(例えば加熱管等)に加熱水の供給経路から加熱水が供給されることにより、タンク141内の養液を加温するように構成されている。ここで加熱水は、例えば、別途設置されたヒートポンプ給湯機等によって加熱されたものが随時供給される。
冷却器は、タンク141の内の養液を冷却するものであり、具体的には例えば、タンク141内に配されたラジエーター(例えば冷却管等)に冷却水の供給経路から冷却水が供給されることにより、タンク141内の養液を冷却するように構成されている。ここで冷却水は、地下水や水道水を利用したり、例えば、別途設置されたヒートポンプ等によって冷却されたものが随時供給される。
このような冷却器および加温器によって、タンク141から養液槽13内に供給する養液の温度を、所定の範囲内で任意の設定温度(設定値)に制御できるように加温ないし冷却が可能に構成されている。養液生成ユニット140で生成された養液は、断熱された給液管14を介して養液槽13内に随時供給される。なお、養液生成ユニット140の適所(例えばタンク141内等)にも、前記装置本体11に設けた温度センサを必要に応じて設けても良い。
次いで、植物栽培装置10の空気生成ユニット130について説明する。
空気育成ユニット130は、装置本体11の生育空間12に供給する空気を調整して貯えるタンク131のほか、タンク131に対して空気(大気)を供給する給気手段、タンク131内の空気を撹拌する撹拌手段、タンク131内の空気の温度を調整する加温器および冷却器、湿度を調整する加湿器、炭酸ガス発生器、それに調整した空気を装置本体11内へ送る前記給気管16等を含む送出手段等を、必要に応じて備えている。これらの被制御機器は、前記コントロールユニット100に接続され、コントロールユニット100からの制御信号に応じて制御される。
ここでタンク131は、断熱材で覆われており、給気手段、送出手段には、その経路の途中に電磁弁や電動ポンプ、フィルター等が設けられている。送出手段からは、圧力調整弁を介して所定の流量で空気が送出されるように構成されている。送出手段の給気管16の下流端は、装置本体11に接続されている。また、加温器や冷却器は、前記養液生成ユニット140に設けたものと基本的に同様に構成されており、タンク131内の空気を加温ないし冷却して所望の設定温度に調整できるものである。
冷却器および加温器によって、タンク131から生育空間12に供給する空気の温度を、所定の範囲内で任意の設定温度(設定値)に制御できるように加温ないし冷却が可能に構成されている。また、一般的なシーズヒーターやパネルヒーターをタンク131内に直接配設して加温(または冷却)したり、ヒートポンプ等の温風(または冷風)により加温(または冷却)するように構成しても良い。なお、ペルチェ素子(熱電冷却素子)を利用した温度調整手段によって、一つの装置で加温ないし冷却を行うように構成しても良い。
加湿器は、図示省略したが前記タンク131内の空気を加湿するものであり、具体的には例えば、超音波式加湿器等が該当し、タンク131内の空気の湿度を任意の設定値に調整可能なものであれば良い。
炭酸ガス発生器は、図示省略したがタンク131内に炭酸ガスを供給するものであり、具体的には例えば、液化炭酸ガスボンベに取り付けた電磁弁、レギュレーターや圧力計等から構成され、炭酸ガスを任意の圧力ないし流量に調整して供給できるものであれば足りる。
次いで、植物栽培装置10の光源ユニット120について説明する。
光源ユニット120は、前記装置本体11の天井部に設けた光照射部20(LED)の点灯制御回路や電力供給用の電源装置等を、必要に応じて備えている。また、外部の光源から装置本体11内に光を導く場合には、光ファイバー等の導光のための手段等も、光源ユニット120の構成要素として捉えても良い。なお、点灯制御回路等の一部の構成要素は、装置本体11内にスペース的な余裕があれば、装置本体11内の適所に配置してもかまわない。
点灯制御回路や電源装置等は、前述したコントロールユニット100に接続され、コントロールユニット100からの制御信号に応じて光照射条件が制御される。ここで光照射条件とは、例えば、光照射部20がLEDからなる場合、点灯させるLEDの数ないし位置、点灯させるLEDの光量、LEDの点灯時間(暗闇時間、点滅サイクル周期等)、パルス制御等の様々な光の照射条件が該当する。なお、撮影用光源を光照射部20とは別に設けた場合は、その制御や給電も光源ユニット120を介して行うよう構成しても良い。
次いで、外部のコンピュータ200についても説明する。
コンピュータ200は、例えば、通常のパーソナルコンピュータからなり、前述したコントロールユニット100に通信回線を介して接続されている。ここでコンピュータ200に接続される植物栽培装置10の数は、1つに限られることなく、複数の植物栽培装置10,10…を接続しても良い。コンピュータ200に、複数の植物栽培装置10,10…を接続した場合は、各植物栽培装置10の生育環境における環境条件をまとめて同時に異なる状況下に制御することができる。
すなわち、コンピュータ200は、複数の植物栽培装置10ごとに各センサからのセンシングデータ等の各種情報を受信し、複数の植物栽培装置10をまとめて制御、監視、記録することができるように設定されている。コンピュータ200は、複数の植物栽培装置10における様々なデータを蓄積するデータベースを備えており、必要なデータを所定の形式で比較したり整理したものを表示することができるように設定されている。
以下、本実施の形態に係る植物栽培装置10の作用について説明する。
本植物栽培装置10では、一つの装置本体11の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された一連の生育空間12が形成される。かかる生育空間12では、植物の生育に影響を与える環境条件のセンシングのほか、所望の環境条件に制御することが可能であり、また、植物の生育状態を記録することができるオールインワンの実験装置の構築が容易となる。
これにより、植物を育成するための多様な栽培実験や研究を簡易かつ低コストで実施することができ、植物の種類に見合った最適な環境条件を容易に解明することが可能となる。しかも、生育空間12は、所定の最小株数の植物を収納するだけの最小限の範囲に設定されるから、植物栽培装置10全体の外形を極力コンパクトに構成することができる。
よって、植物を最小株数単位で効率良く栽培実験や研究を進めることができるだけでなく、ラックに収納し多段に配置できる等、限られたスペース内でも、より多く装置による環境条件の設定が可能となる。また、装置自体の価格やエネルギー消費も抑えることができる。さらに、小容積であることから、温度の制御や外界との断熱も容易となる。
本実施の形態では、生育空間12は基本的には閉鎖系となるが、植物の生育に影響を与える各要素である水分や空気(二酸化炭素)等を、装置本体11の外部にある養液生成ユニット140や空気生成ユニット130から供給している。これにより、装置本体11自体をよりいっそう小型化することが可能となる。しかも、本植物栽培装置10では、詳しくは後述するが、生育空間12に植物を収納したままの状態で、生育中の植物の画像に基づき植物の状態を判定することができる。
また、装置本体11の各面壁11aを遮光材で覆った場合には、外部からの光の侵入を防ぐことができるので、生育空間12の光環境を光照射部20からの光だけに依存させることができる。従って、外部からの光の影響を受けることがなく、精度の高い所望の光照射制御が可能となる。例えば、狭いスペースに植物栽培装置10を密に並べたとしても、隣の植物栽培装置10からの光の影響を受けることを防止することができる。
さらに、前記遮光材を、断熱材を兼ねる材質により形成すれば、外部からの熱の侵入を防ぐことができるので、生育空間12の温度環境を空気生成ユニット130からの空気だけに依存させることができる。従って、外部の温度の影響を受けることがなく、より精度の高い所望の温度制御が可能となる。
図3は、植物栽培装置10による植物の栽培ないし画像による植物の判定の手順を示すフローチャートである。植物栽培装置10で植物の栽培を開始するに際して、先ず初期設定を行う(ステップS101)。すなわち、図2に示す操作手段101により、栽培する植物の種類に応じた栽培方法を選択し、所望の環境条件に合致する各種の設定値を入力する。例えば、養液の水温、養液の供給量、空気の温度や湿度、二酸化炭素濃度、送風量、照度、光量等の具体的な値を適宜入力する。
植物の種類や栽培方法に応じた各種の設定値等の入力データは、例えば、予めコンピュータ200に登録してある複数のパターンの中から呼び出し、コントロールユニット100にある表示部等で確認しながら選択できるようにしても良い。ここで設定値は、植物の栽培開始時に入力した値に限定されるわけではなく、植物の生長度合いに応じて途中で変更したり、あるいは植物の栽培開始日から相対的な経過日数(時間)ごとに、予め細かく定めることもできる。
また、前記初期設定に続けて、同じく操作手段101の操作により、栽培する植物に関するデータを登録する(ステップS102)。ここでデータとは、例えば、各植物ごとの病気に関する情報(病名や症状、対処法等)や、それぞれの病気に特徴的なRGBヒストグラム(画像解析データ)等である。これらのデータは、コンピュータ200のデータベースに互いに関連付けて予め登録しておき、その中から今回栽培する植物に関するデータを選択してコントロールユニット100に登録すると良い。
そして、装置本体11に未だ植物を収納していない空の状態で、後述する植物の画像による判定に備え、生育空間12の画像を撮影し、この画像を背景画像として取得する(ステップS103)。すなわち、コントロールユニット100の制御により、撮影用光源を点灯させた状態でカメラ21を作動させ、空の状態の生育空間12を撮影する。ここで撮影された画像は、コントロールユニット100に背景画像として取り込まれ保存される。撮影の終了後、撮影用光源は消灯する。
背景画像の取得は、任意のタイミングで行えば良く、前述した初期設定(ステップS101)や各種データの登録(ステップS102)の前に行ってもかまわない。また、コントロールユニット100の制御により自動で撮影を行うこともでき、あるいは、操作手段101の操作に基づき手動で撮影を行っても良い。なお、背景画像の撮影時における光照射部20の制御は、カメラ21の作動時に撮影に必要な光量で点灯していれば足りる。
次いで、コントロールユニット100により、前記初期設定に基づいた生育空間12の環境条件の制御を実行する(ステップS104)。コントロールユニット100は、操作手段101から入力された、あるいはコンピュータ200から呼び出された設定値を受信すると、これを時系列にメモリに保存する。
また、コントロールユニット100は、一定時間ごとに前記各種センサから送信されたセンシングデータ(測定値)を取得し、環境条件に関する栽培記録として時系列にメモリに保存する。ここでの測定値は、コンピュータ200にも送信してデータベースに記録する。なお、コンピュータ200では、植物栽培装置10の各センサ類が取得したデータの現在値や積算値の確認を行うことができるようにすると良い。
そして、コントロールユニット100は、各種センサからのセンシングデータ(測定値)と、それぞれ対応する被制御機器の前記設定値とを比較する。かかる比較結果に基づいて、目標とする設定値に実際の測定値を近づけるべく、各被制御機器に対して所定の制御信号を送信する。ここでの制御信号は、装置本体11の外部にある養液生成ユニット140、空気生成ユニット130、光源ユニット120に備えられた各被制御機器へ送信される。
このような環境条件の制御において、装置本体11の下部にある養液槽13内には、装置本体11の外部にある養液生成ユニット140によって生成された養液が供給される。養液生成ユニット140では、前記コントロールユニット100の制御により、前記操作手段101で設定された条件に合った養液が生成される。すなわち、養液生成ユニット140を構成するタンク141(図2参照)内には、水や各栄養素(養分)が必要量だけ供給されて撹拌され、所望の設定温度に調整される。
養液の温度制御に関して、コントロールユニット100は、前記操作手段101により定められた設定温度と、前記養液槽13内の温度センサから出力された測定値とを比較する。この比較結果に基づき、タンク141に設けた冷却器と加温器のどちらか一方を制御するのか決定し、温度センサからの測定値を設定温度に近づける制御信号を出力する。かかる制御信号に基づいて、冷却器または加温器はON/OFF制御される。
すなわち、養液槽13内の養液の水温の測定値が、設定値より低い場合は、冷却器をOFFとし加温器をONとすることに決定し、タンク141内で生成する養液の温度を上昇させる。一方、測定値が設定値よりも高い場合には、加温器をOFFとし冷却器をONとすることに決定し、タンク141内で生成する養液の温度を低下させる。なお、測定値が設定値と同じである場合は、加温器と冷却器の両方ともOFFとする。
このように養液生成ユニット140によって生成された養液は、タンク141から必要量だけ給液管14によって養液槽13内へ供給される。一方、養液槽13内で既存の古くなった養液は、排液管15等を介して随時排出される。かかる養液の給排量も、植物の種類や育成度合いに応じてコントロールユニット100によって制御され、養液槽13内の養液は一定量に保たれている。
また、装置本体11内の主要部を占める生育空間12には、装置本体11の外部にある空気生成ユニット130によって生成された空気が供給される。空気生成ユニット130では、前記コントロールユニット100の制御により、前記操作手段101で設定された条件に合った空気が生成される。
すなわち、図1に示すタンク131内には、空気(大気)や湿気、二酸化炭素が必要量だけ供給されて撹拌され、所望の設定温度に調整される。ここで空気の温度制御に関しては、前記養液生成ユニット140での養液の温度制御と同様に、タンク131に設けた冷却器と加温器のON/OFFによって、装置本体11内にある温度センサからの測定値を設定温度に近づけるように制御される。
空気の湿度制御に関しては、コントロールユニット100は、前記操作手段101により定められた設定湿度と、装置本体11内にある湿度センサから出力された測定値とを比較する。この比較結果に基づき、空気生成ユニット130にある加湿器のONまたはOFFを決定し、湿度センサからの測定値を設定湿度に近づける制御信号を出力する。かかる制御信号に基づいて、前記加湿器はON/OFF制御される。
すなわち、湿度の測定値が設定値より低い場合は、加湿器のONを決定し加湿器を作動させ湿度を上昇させる。一方、湿度の測定値が設定値以上の場合は、加湿器のOFFを決定し加湿器を停止させ湿度を低下させる。
その他、空気中の二酸化炭素濃度の制御に関しては、コントロールユニット100から出力された炭酸ガス設定濃度に関する制御信号に基づき、空気生成ユニット130にある炭酸ガス発生器をON/OFF制御する。これにより、装置本体11内にある二酸化炭素センサからの測定値を設定値に近づけることができる。
空気生成ユニット130によって生成された空気は、タンク131から必要量だけ給気管16を介して生育空間12へ供給される。ここで生育空間12の下方より空気を供給すれば、均一で安定した上昇気流を発生させることができる。装置本体11の天井部まで上昇した空気は、天井部に接続された排気管17から外部へ随時排出される。かかる上昇気流により、生育空間12の空気は常時循環され、植物の葉における二酸化炭素の吸収や蒸散を補助するだけでなく、温度センサおよび湿度センサに対して空気を淀みなく接触させることになり、生育空間12における正確な温度や湿度の検出を可能とする。
このような装置本体11における空気の給排量も、植物の種類や育成度合いに応じてコントロールユニット100によって制御される。具体的には例えば、給気管16の途中に設けた送風ファン等の送気手段をON/OFF制御することにより、任意の送風量に調整することが可能となる。なお、装置本体11は外気圧に対して陽圧に保たれることで、給気管16以外からの空気の侵入を防ぐことができる。
また、光照射部20による光照射条件は、装置本体11の外部にある光源ユニット120によって制御される。光照射部20に関する制御系も、装置本体11の外部で別途ユニット化している。従って、装置本体11には、光照射部20等の必要最小限の構造しか設ける必要がなくなり、極力簡易化かつ小型化することが可能となる。特に、光照射部20を外部の光源から導光された光を照射するものとすれば、装置本体11自体には光源を設ける必要もなく、より簡易化かつ小型化することができる。外部の光源は、光源ユニット120に設けると良い。
このように、外部の光源から導光すれば、光源の大きさを装置本体11内の限られたスペースに収まるように限定する必要はなく、例えば、太陽光のほか、大型のハロゲンランプやメタルハライドランプ等を光源として用いることも可能となる。また、装置本体11の各面壁11aのうち生育空間12に接する内面に反射材を設ければ、光照射部20から出射された光が面壁11aの内面に吸収されることなく反射され、植物の光吸収率を高めることができる。
光源ユニット120は、コントロールユニット100から送信された光照射条件に関する制御信号に基づき、図1中の光照射部20の点灯時の光量や点灯時間/消灯時間等が光照射条件に合致するように制御する。このような光照射条件は、一定に保つこともあれば、時間の経過と共に変化させることも考えられる。また、植物の生育を促進するには、単に光を連続的に照射するだけでなく、短いサイクルで点滅を繰り返すようなパルス照射も効果的であり、点滅サイクル周期等の制御も適宜行うようにすると良い。
以上のようにして、生育空間12の環境条件が整った段階で、装置本体11内に植物を収納して実際に栽培を開始する(ステップS105)。装置本体11内では、植物の根を養液槽13に植えるよう保持し、植物の茎や葉を生育空間12の上方に向けて展開させる。また、植物を未だ種子の段階から栽培を開始するようにしても良い。なお、植物を装置本体11内に予め収納してから、前述した環境条件の制御(ステップS104)を実行するようにしても良い。何れにせよ環境条件の制御(ステップS104)は、植物の栽培を終了しない限り継続して行われる。
このような植物栽培装置10によれば、必要最小限の生育空間12にて植物の生育に影響を与える各要素を低コストかつ安定して効率良く調整して、植物を栽培することが可能となる。また、省スペース化の要請にも応じることができると共に、装置自体の価格も抑えることができ、精度の高い栽培実験や研究を効率良く促進させることが可能となる。
植物の栽培中においては、植物の画像による判定を行うことができる。この判定に先立ち、前記操作手段101によって、判定を行う所定のタイミング、すなわちカメラ21で植物を撮影するタイミングを適宜設定しておく(ステップS106)。ここで設定したタイミングは、撮影用タイマーとしてコントロールユニット100に登録される。例えば、1日あるいは数日おきに所定の時刻になると撮影するように、撮影用タイマーを適宜設定することが可能である。
撮影時刻になると(ステップS107でY)、コントロールユニット100の撮影用光源制御手段によって、撮影用光源である光照射部20の動作が制御されると共に、コントロールユニット100の撮影制御手段によって、撮影手段であるカメラ21の動作が制御される。ここで、先ず撮影用光源制御手段により、光照射部20の点灯状態や照度が確認される。光照射部20が点灯状態で照度も撮影用に足りている場合は、当該点灯状態がそのまま維持される。そして、撮影制御手段からカメラ21に制御信号が出力され、カメラ21により植物が撮影される(ステップS108)。
一方、光照射部20が消灯状態、あるいは点灯状態でも照度が撮影用に足りない場合には、光照射部20をストロボ代わりに動作させる。すなわち、撮影用光源制御手段から光源ユニット120を介して光照射部20に制御信号が出力され、光照射部20から植物の撮影に必要な光が一時的に照射される。かかる照射と同期して、撮影制御手段からカメラ21に制御信号が出力され、カメラ21により植物が撮影される(ステップS108)。
何れの場合にせよ、撮影された植物の画像はコントロールユニット100に送信されて取り込まれる(ステップS109)。また、植物の画像はコンピュータ200にも送信してデータベースに保存すると良い。なお、予め設定した撮影時刻(ステップS106,S107)とは関係なく、操作手段101による手動操作に基づいて、所望のタイミングで何時でも撮影を行えるようにすると良い。
図4は、撮影用光源である光照射部20と、撮影手段であるカメラ21の、それぞれの動作の前述した関係を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートにも示した通り、生育空間12において光照射部20が点灯状態(照明ON)の時は、予め設定した撮影時刻のタイミングにて、特に光照射部20を別途制御することなく、そのままカメラ21で植物を鮮明に撮影することができる。また、光照射部20が点灯状態でも照度が撮影用に不十分な場合には、光照射部20の照度を一時的に高めるように制御することになる。
また、栽培中において、植物に光を与えることができないとき、すなわち光照射部20が消灯状態(照明OFF)であっても、植物の撮影時のみ光照射部20を点灯させて撮影用に必要な光を照射する。これにより、植物の周囲の輝度を向上させて、鮮明な画像を得ることができる。かかる撮影用の光の照射は所定時間内に制限される。ここで所定時間とは、主として植物の生育に影響を与えない時間である。
これにより、植物に生育用の光を与えていない条件下で撮影を行う場合であっても、単に植物を鮮明に撮影できるだけでなく、撮影用の光の照射が植物の生育に意図しない影響を及ぼすことがなくなり、実験の精度を向上させることができる。所定時間の具体的な数値は、植物の種類ごとに異なるものであり、各植物ごとに予備実験等で予め定めておくと良い。この所定時間も、栽培する植物に関するデータの1つとして登録される(ステップS102)。
次いで、コントロールユニット100に取り込まれた植物の画像は、コントロールユニット100の機能である画像処理手段によって解析され、先ずは植物に相当する領域を背景から抽出した植物画像が生成される(ステップS110)。すなわち、画像処理手段は、今回取得した画像と予め取得してある前記背景画像とを比較して、前記背景画像には存在しない植物が占める領域を抽出した植物画像を生成する。
かかる植物画像の生成は、一般的な背景差分の手法によって可能であり、その詳細な説明は省略する。その他、画像の三原色データに基づいて該画像を、植物に相当する領域の色調から予め定めた閾値で2値化処理したり、さらに2値化した画像をラベリング処理して、前記画像から植物に相当する領域のみ抽出することもできる。なお、このように生成された植物画像には、さらに公知のノイズ除去処理を加えて、ノイズを除去する修正を行うと良い。
何れの手法にせよ、画像を解析して得られた植物画像は、植物の外観的な特徴(形状や大きさ等)を表すものであり、この植物画像に基づいて、植物の生育度合いを知ることができる。例えば、植物画像の面積は、そのまま植物の生育度合いに比例するものとなり、通常は時間の経過と共に増大するが、病気で葉が枯れ落ちた場合等には、植物画像の面積が途中で減少することもある。
続いて、前記画像処理手段により、植物画像はさらに解析されて、画像中の色情報が赤(R)、緑(G)及び青(B)からなる色の3属性に変換される。この色の3属性に変換して得られた画像解析データからRGBヒストグラムが生成される(ステップS111)。RGBヒストグラムは、植物の外観的な特徴である色に関して、RGBそれぞれの輝度分布を表すものである。よって、RGBヒストグラムを分析することで(ステップS112)、植物の状態を判定することができる(ステップS113)。なお、色の3属性の変換やRGBヒストグラムの生成は、一般的な画像の処理手法であり、詳細な説明は省略する。
植物にチップバーン(緑腐れ病)等の異常が生じた場合には、植物画像における色調が大きく変化するため、RGBヒストグラムも植物が正常時のものとは異なることになる。この差異を分析することで、植物における異常の発生を判定することができる。すなわち、今回取得した植物画像を分析して得たRGBヒストグラムと、予め取得してある各植物ごとの正常時の基準とするRGBヒストグラムとをそれぞれ比較し、互いのグラフ形状が一致すれば問題ないが、大きく異なるときは植物に異常が生じたと判断できる。
例えば、今回のRGBヒストグラムのグラフ形状が、その縦軸において上方に大きく変化している場合には、植物の葉等の色合いが白色化している傾向となるため、かかる病状の病気が発生したと判断できる。また、前記コンピュータ200のデータベースには、各植物ごとの病気に関する各情報が、それぞれの病気に特徴的なRGBヒストグラムと関連付けられて登録されている。従って、今回取得したRGBヒストグラムを、データベースに保存された病気に関するRGBヒストグラムと比較して、その比較結果が一致した場合は、植物の病気に関する情報を特定することも可能となる。
画像解析データである植物画像やRGBヒストグラムの判定結果は、元の画像や撮影時の各種環境条件に関する栽培記録と共に、コントロールユニット100自体のメモリに出力して記録するほか、コンピュータ200にも出力してデータベースに記録すると良い。コントロールユニット100等には、表示部やプリンターが付設されており、画像分析の結果等は、テキストやグラフ化したものを表示したり、印刷することができる(ステップS114)。
以上のような本植物栽培装置10における画像分析によれば、装置本体11内から植物を外に取り出したりすることなく、植物の栽培中にそのままの状態で、繰り返し実施することができる(ステップS115)。すなわち、栽培の実験を継続する限り(ステップS115でN)、画像分析を繰り返し実施して各分析結果を比較すれば、時系列な検証が自動で可能となり、しかも観察者の感性に左右されない定量的な検証が可能となる。これにより、限られた空間内で制御された栽培環境下において、個々の環境条件が植物の生育にどのように影響するのかを、その推移と共に検証することが可能となる。
ところで、植物栽培装置10は、コントロールユニット100と通信回線を介して接続されたコンピュータ200によって単独でも制御できるが、図2に示すように、複数の植物栽培装置10を設置した上で、それぞれのコントロールユニット100に対し、コンピュータ200によりネットワークを構築すると良い。これにより、1台のコンピュータ200により複数の植物栽培装置10を集中的に管理することができ、また、遠隔制御することによって管理が容易となる。このように、多くの植物栽培装置10を備えた大規模な設備にも適用することができる。
また、前記撮影用光源制御手段における別の制御形態として、植物の撮影後に撮影用の光を連続的に照射させないための制御を行うように設定しても良い。すなわち、図5のタイミングチャートに示すように、光照射部20が消灯状態(照明OFF)の時に撮影用に点灯させた場合、撮影用光源制御手段によって点灯禁止信号を一定時間発生させ、その間はカメラ21に撮影を指示する制御信号(トリガ)が入力されたとしても、光照射部20を点灯させないように制御する。
このように、撮影用光源制御手段により、撮影用光源で撮影用の光を所定時間内に限り照射した後、連続する一定時間(点灯禁止時間)に亘り撮影用光源による光の照射ないしカメラ21による撮影を禁止する。これにより、撮影用の光が植物の生育に影響を及ぼすような時間に亘って照射される事態を確実に防止でき、連続発光による植物の反応を阻止することが可能となる。ここでの撮影用光源制御手段による制御は、コントロールユニット100の制御プログラムや、光源ユニット120の点灯制御回路によって、容易に実現することができる。
さらに、前記撮影用光源制御手段における別の制御形態として、植物の撮影後に撮影用の光が消灯しない場合に強制的に消灯させる制御を行うように設定しても良い。すなわち、図6のタイミングチャートに示すように、光照射部20が消灯状態(照明OFF)の時に、光照射部20を撮影用に点灯させた後、前記所定時間を過ぎても連続的に光照射部20が点灯したままの状況が判明した場合は、光照射部20を強制的に消灯させるように制御する。
このように、撮影用光源制御手段により、撮影用光源で撮影用の光を所定時間内に限り照射した後、さらに前記撮影用光源が点灯している場合には、何らかの形で撮影用光源を強制的に消灯させる。これにより、前述した図5の制御と同様に、撮影用の光が植物の生育に影響を及ぼすような時間に亘って照射される事態を確実に防止でき、連続発光による植物の反応を阻止することが可能となる。
撮影用光源の強制的な消灯については、電源の供給を停止させたり、積極的に消灯させる信号を出力したりすること等が考えられる。また、撮影用光源の連続的な点灯状態をモニタする手段としては、装置本体11の内部に受光素子と受光回路を用意しておき、消灯状態(照明OFF)の時に撮影用光源の連続的な点灯を検知できるようにする。そして、受光素子からの受光信号が予め定めた連続点灯限度時間を越えた時に異常判定フラグを出力して、この出力後の所定のタイミングで撮影用光源を強制的に消灯させるように設定すると良い。
さらに、装置本体11に関する別の実施の形態として、装置本体11を一体に構成することなく、複数のユニットを組み合わせて構成するセパレート構造としても良い。例えば図7に示すように、養液槽13を含む装置本体11の下半部11Aと、光照射部20を含む装置本体11の上半部11Bの2つのユニットに分割しておき、これらを組み合わせて、その内部に一連の生育空間12を形成するように構成する。
装置本体11を分割する各ユニットは、例えば、装置本体11に備わる機能別、または装置本体11での位置ごと、あるいは装置本体11内の植物の配置等に応じて、複数の部位(ブロック)に区分けした単位となる。かかるユニットの数は、装置本体11の上下2つに限定されるものではなく、他に例えば、光照射部20を含む天井部も別途分割したり、あるいは光照射部20を単独でユニットとして、装置本体11に対し着脱可能に構成しても良い。
ここで各ユニットは、それぞれ同種の部位ごとに異なる複数種類を用意しておき、その中から任意に選択して組み合わせることで、一つの装置本体11を構成すると良い。具体的には例えば、装置本体11内の下半部11Aについては、水耕栽培用や土壌栽培用のもの等の異なる種類が用意されている。また、上半部11Bは、様々な外形ないし容積の違い、光照射部20の違い、あるいはカメラ21の種類等で異なる種類が用意されている。また、光照射部20も単独でユニットとした場合、その外部光源か内部光源かの違いや、光源の種類が違う異なるもの用意すると良い。
このように、各ユニットごとに、それぞれ複数種類ある中から、使用者の意図に合わせて任意の条件のものを適宜選択して組み合わせることにより、栽培する植物やその栽培方法に見合った装置本体11を容易に構成することが可能となる。従って、多様な環境条件を簡易かつ低コストで実現することができ、栽培実験や研究を効率良く促進させることが可能となり、植物工場や施設栽培の発展に寄与することができる。
また、各ユニットが対向する接合箇所には、互いに密閉状態に係合する凸部ないし凹部を設ける。このような組み合わせの構造により、各ユニットを容易に分離したり組み合わせることができる。特に、各ユニットは鉛直方向に重なる状態で組み合わされる場合、上方のユニットは、下方のユニットに対して自重により係合した状態に保持される。また、凸部や凹部の接触面にパッキンを設ければ、密閉度合いを高めることができ、より確実に組み合わせた状態に固定することができる。
そして、前述した別の実施の形態に係る構成より、次の発明概念が導かれる。
すなわち、植物の生育に影響を与える各要素を調整可能な環境条件下にて、所定の最小株数の植物を育成するための植物栽培装置10において、装置本体11における各部位に応じて互いに分割された複数のユニットを備え、各ユニットは着脱可能に組み合わされて、その内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された一連の生育空間12を形成する。ここで各ユニットのうち少なくとも何れか一つは、それぞれ同種の部位ごとに異なる複数種類が用意され、その中から任意に選択されて組み合わされる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、画像処理手段において、画像を解析して画像解析データを取得する機能と、画像解析データに基づき植物の状態を判定する機能とを、別々の手段として分けて捉えてもかまわない。
また、撮影用光源を点灯させたことで、その間に植物が急激に変化してしまう場合は、直ちに撮影用光源を消灯させる制御を付加しても良い。例えば、装置本体11内に重量センサ等を用意し、撮影用光源が消灯状態のときに、センサの測定値が大きく変化するようなことがあれば、植物が育成のための何らかの挙動を示していると判断し、その間は撮影頻度を制限する等の制御の付加が考えられる。
また、生育空間12の環境条件の一因として制御する各要素は、光、水分である養液、空気中の二酸化炭素、空気の温度および湿度に限られることなく、このうちの一部を植物の生育に支障を来さない範囲で省略したり、他に例えば、空気中の酸素量や風量等も制御するように構成しても良い。
さらにまた、前記コントロールユニット100も、他のユニットである光源ユニット120、空気生成ユニット130、養液生成ユニット140と同様に、装置本体11の外部に設けたり、あるいは、外部のコンピュータ200にて、コントロールユニット100の機能を兼用するように構成することもできる。
本発明に係る植物栽培装置は、植物に関する様々な栽培実験や研究を進めるための装置として幅広く利用することができる。
10…植物栽培装置
11…装置本体
11a…面壁
12…生育空間
13…養液槽
14…給液管
15…排液管
16…給気管
17…排気管
20…光照射部(撮影用光源)
21…カメラ(撮影手段)
100…コントロールユニット
101…操作手段
120…光源ユニット
130…空気生成ユニット
131…タンク
140…養液生成ユニット
141…タンク
200…コンピュータ

Claims (7)

  1. 植物の生育に影響を与える各要素を調整可能な環境条件下にて、所定の最小株数の植物を育成するための植物栽培装置において、
    装置本体の内部に、所定の最小株数の植物を収納する最小限の範囲で外部から区画された生育空間が形成され、
    前記生育空間に植物を収納したままの状態で、生育中の植物を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段による植物の撮影時に、撮影用に必要な光を照射する撮影用光源と、
    前記撮影用光源を制御可能であり、植物の撮影時における光の照射を所定時間内に制限する撮影用光源制御手段と、を備えることを特徴とする植物栽培装置。
  2. 前記撮影手段は、前記装置本体の内部にて移動可能に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
  3. 前記撮影用光源は、前記装置本体の内部にて移動可能に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培装置。
  4. 植物の生育に影響を与える各要素の1つである光を植物に照射する光照射部を備え、
    前記光照射部が前記撮影用光源を兼用することを特徴とする請求項1,2または3に記載の植物栽培装置。
  5. 前記撮影用光源制御手段は、前記撮影手段による植物の撮影時に、
    前記光照射部が点灯状態で照度が撮影用に足りている場合は、当該点灯状態をそのまま維持する一方、
    前記光照射部が点灯状態でも照度が撮影用に足りない場合、および前記光照射部が消灯状態の場合は、前記光照射部から撮影用に必要な光を照射することを特徴とする請求項4に記載の植物栽培装置。
  6. 前記撮影用光源制御手段は、前記撮影用光源により光を所定時間内に限り照射した後、連続する一定時間に亘り前記撮影用光源による光の照射ないし前記撮影手段による撮影を禁止することを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の植物栽培装置。
  7. 前記撮影用光源制御手段は、前記撮影用光源により光を所定時間内に限り照射した後、さらに前記撮影用光源が点灯している場合には、強制的に消灯させることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の植物栽培装置。
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