以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における農業支援システムを示している。農業支援システムは、施設園芸、植物工場等の施設における農業を支援するシステムである。
まず、施設園芸の施設(施設園芸施設)を例にとり、施設について説明する。
図1に示すように、施設園芸施設1は、イチゴ、トマト、ピーマン、キュウリ、スイカ、ナス、メロン等の作物を生育するハウス10と、ハウス10内の環境を制御する環境制御装置20とを備えている。ハウス10は、複数の構造材11を連結することによって構成されたフレーム12と、フレーム12に設けられた被覆材とを有している。構造材11は、例えば、I形鋼、H形鋼、C形鋼、角形鋼、丸形鋼等の様々な鋼材である。複数の構造材11で構成されたフレーム12は、施設園芸施設1の躯体を構成している。被覆材は、少なくとも太陽光を取り入れ可能な透光性を有する部材であって、合成樹脂、ガラス等で構成されている。
環境制御装置20は、少なくともハウス10内の温度、湿度、光、二酸化炭素、風向及び風速(空気流動)のいずれかを制御する装置である。
環境制御装置20は、天窓装置20aと、側窓装置20bとを含んでいる。天窓装置20aは、フレーム12の上部に開閉自在に設けられた窓部(本体)31と、窓部を開閉する開閉機構とを含んでいる。
窓部(本体)31は、フレーム12に対して先端部を揺動することで開閉する跳ね上げ式、フレーム12に対して水平方向にスライドさせることで開閉するスライド式、被覆材自体を巻き取ることで開閉する巻き取り式、ワイヤ等の部材で上下に移動させることで開閉する吊り上げ式等である。
天窓装置20aの開閉機構は、窓部31に連結されたワイヤ、シャフト等の稼働部材を含んでいる。天窓装置20aの稼働部材を操作したり、電気信号によって電動モータ等の第1駆動装置41を駆動することにより、窓部31の開度を変更することができる。例えば、天窓装置20aの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作すれば、第1駆動装置41が駆動し、当該第1駆動装置41の駆動により窓部31を開閉することができる。
側窓装置20bは、フレーム12の側部に開閉自在に設けられた窓部(本体)32と、窓部を開閉する開閉機構とを含んでいる。窓部(本体)32は、天窓装置20aと同様に、跳ね上げ式、スライド式、巻き取り式等である。側窓装置20bの開閉機構は、側窓装置20bの窓部32に連結されたワイヤ、シャフト等の稼働部材を含んでいる。側窓装置20bの稼働部材を機械式の装置で操作したり、電気信号によって電動モータ等の第2駆動装置42を駆動することにより、窓部32の開度を変更することができる。例えば、側窓装置20bの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作すれば、第2駆動装置42が駆動し、窓部32を開閉することができる。
したがって、天窓装置20a、側窓装置20bを開閉することによって、ハウス10の自然換気を行うことができ、ハウス10内の温度、湿度、二酸化炭素の濃度等の環境を制御することができる。なお、上述した実施形態では、第1駆動装置41と第2駆動装置42とが別々に構成されているが一体であってもよいし、それぞれの制御盤が一体化されていてもよい。
環境制御装置20は、換気扇20cを含んでいる。換気扇20cは、フレーム12に設けられて、ハウス10内の空気を外部に排出したり、外部の空気をハウス10内に取り入れる装置である。換気扇20cは、回転自在に支持されたファンと、ファンに回転力を付与する電動モータ等の第3駆動装置43を含んでいる。
例えば、換気扇20cの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第3駆動装置43を駆動させることができ、操作部材の操作量等によってファンの回転数を変更することができる。その結果、換気扇20cによって、ハウス10内の強制換気を行うことができ、ハウス10内の温度、湿度、二酸化炭素の濃度等の環境を制御することができる。
環境制御装置20は、循環扇20dを含んでいる。循環扇20dは、ハウス10内に設置されていて、ハウス10内の空気を所定の方向に循環させる装置である。循環扇20dは、回転自在に支持されたファンと、ファンに回転力を付与する電動モータ等の第4駆動装置44を含んでいる。
例えば、循環扇20dの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第4駆動装置44を駆動させることができ、操作部材の操作量等によってファンの回転数を変更することができる。その結果、循環扇20dによって、ハウス10内に強制的に気流を発生することができ、ハウス10内の風向及び風速(空気流動)の環境を制御することができる。
環境制御装置20は、日射制御装置を含んでいる。日射制御装置は、外部からハウス10内に入射する光を遮光することで日射量を制御する装置である。日射制御装置は、カーテン20eである。カーテン20eは、フレーム12の上部又は側部に設けられ、光を遮断することが可能な部材で形成された遮光部(本体)33と、遮光部33を開閉する開閉機構とを含んでいる。遮光部33は、遮光シート、不織布等で構成されていて、フレーム12の上部及び/又は側部を覆うことが可能である。遮光部33は、被覆材13の外側又は内側に配置されている、遮光部33の枚数(層数)は、1枚(層)~3枚(層)である。なお、遮光部33の層数は限定されない。
カーテン20eの開閉機構は、遮光部33に連結されたワイヤ、シャフト等の稼働部材を含んでいる。カーテン20eの稼働部材を機械式の装置で操作したり、電気信号によって電動モータ等の第5駆動装置45を駆動することにより、遮光部33のフレーム12に対する位置を変更することができる。例えば、カーテン20eの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって第5駆動装置45が駆動する。操作部材の操作量等によって、遮光部33の位置を設定することができる。
したがって、遮光部33を開閉することによって、ハウス10(被覆材13)の所定の部分を覆ったり、露出することができ、ハウス10内における光、温度等の環境を制御することができる。
環境制御装置20は、熱交換装置20fを含んでいる。熱交換装置20fはハウス10の温度を変更可能な装置であり、例えば、ヒートポンプ構成されている。ヒートポンプ(熱交換装置)20fは、ハウス10内に設置されていて、ハウス10内に熱源(温風)を供給する装置である。ヒートポンプ20fは、少なくとも2つのファンを有する温風発生装置と、温風発生装置を駆動する電動モータ等の第6駆動装置46を含んでいる。温風発生装置は、外気を取り入れて熱交換をすることによって温風を発生させる。
例えば、ヒートポンプ20fの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第6駆動装置46を駆動させることができ、操作部材の操作量等によってファンの回転数や温風発生装置が発生する温風の温度等を変更することができる。その結果、2つのファンのうち、一方のファンの駆動によって外気を取り入れると共に内部で熱交換した温風を、他方のファンの駆動によってハウス10内に取り入れることができる。ヒートポンプ20fによって、ハウス10内に温風を入れることができ、ハウス10内の温度等の環境を制御することができる。
なお、上述したヒートポンプ20fは、外気との熱交換を行うことにより温風を発生しているが、温風の発生方式は限定されず、地熱の熱交換又は温水の熱交換による温風を発生させる方式であっても、重油を燃焼させることにより温風を発生させる方式であってもよく限定されない。
環境制御装置20は、噴霧装置20gを含んでいる。噴霧装置20gは、ハウス10内に設置されていて、当該ハウス10内にミスト等を噴霧する装置である。噴霧装置20gは、ミスト等を噴霧するノズル34と、ノズル34に接続された管材と、管材に水等を供給する第7駆動装置47とを含んでいる。第7駆動装置47は、管材に水を供給するポンプ、又は/及び、管材の中途部に設けられた開閉弁である。第7駆動装置47がポンプである場合は、当該ポンプの吐出量を変更することでノズル34から噴射されるミスト等の噴射量を設定することができる。或いは、第7駆動装置47が開閉弁である場合は、当該開閉弁の開度を変更することでノズル34から噴射されるミスト等の噴射量を設定することができる。
例えば、噴霧装置20gの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第7駆動装置47を駆動させることができ、操作部材の操作量等によってミストの噴射の有無、噴射量の調整を行うことができる。したがって、噴霧装置20gにより、ハウス10内の温度、湿度等の環境を制御することができる。
環境制御装置20は、二酸化炭素供給装置20hを含んでいる。二酸化炭素供給装置20hは、ハウス10内に設置されていて、当該ハウス10内に強制的に二酸化炭素を供給する装置である。二酸化炭素供給装置20hは、燃料を燃焼させることで二酸化炭素を発生させる燃焼部と、燃焼部で発生した二酸化炭素を送り出すファンと、燃焼部及び/又はファンを駆動する第8駆動装置48とを含んでいる。第8駆動装置48は、燃焼部における二酸化炭素の燃焼(燃焼部に供給する燃料の供給量等)を制御したり、ファンの回転数等を制御する。
したがって、二酸化炭素供給装置20hの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第8駆動装置48を駆動させることができ、操作部材の操作量等に基づいて燃焼部における二酸化炭素の発生の有無、供給する二酸化炭素の供給量、ファンの回転数等を変更することができる。その結果、二酸化炭素供給装置20hによって、ハウス10内の二酸化炭素の濃度を制御することができる。
環境制御装置20は、潅水装置20iを含んでいる。潅水装置20iは、ハウス10内に設置されていて、ハウス10内に設けられた区画80に水等を供給する装置である。潅水装置20iは、区画80内に設置された管材と、管材に水等を供給する第9駆動装置49とを含んでいる。第9駆動装置49は、管材に水を供給するポンプ、又は/及び、管材の中途部に設けられた開閉弁である。第9駆動装置49がポンプである場合は、当該ポンプの吐出量を変更することで区画80に供給する水量(潅水量)を調整することができる。或いは、第9駆動装置49が開閉弁である場合は、当該開閉弁の開度を変更することで区画80に供給する水量(潅水量)を調整することができる。
例えば、潅水装置20iの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、第9駆動装置49を駆動させることができ、操作部材の操作量によって潅水量等を設定することができる。
環境制御装置20は、施肥装置20jを含んでいる。施肥装置20jは、ハウス10内に設置されていて、ハウス10内に設けられた区画80に肥料等を供給する装置である。施肥装置20jは、肥料を貯留するケースとケース内の肥料を区画80に供給する供給装置とを含んでいる。供給装置を作動させることで、区画80に肥料を供給することができる。供給装置は、肥料を繰り出す繰り出し部と、繰り出し部を作動させる電動モータとを含んでいて、電動モータの回転数等を変えることで施肥量を調整することができる。
例えば、施肥装置20jの制御盤に設けられたスイッチ等の操作部材を操作することによって、施肥装置20jの電動モータ等を駆動させることができ、操作部材の操作量によって施肥量等を設定することができる。
なお、上述した実施形態では、環境制御装置20は、天窓装置20a、側窓装置20b、換気扇20c、循環扇20d、カーテン20e、ヒートポンプ20f、噴霧装置20g、二酸化炭素供給装置20h、潅水装置20i、施肥装置20jを含んでいたが、全てを含む必要は無く、少なくとも1つを含んでいればよい。また、天窓装置20a、側窓装置20b、換気扇20c、循環扇20d、カーテン20e、ヒートポンプ20f、噴霧装置20g、二酸化炭素供給装置20h、潅水装置20i、施肥装置20jのそれぞれには制御盤が設けられていたが、複数の装置に共通する制御盤(総合制御盤)を設けてもよい。
施設園芸施設1は、環境検出装置50を有している。環境検出装置50は、例えば、ハウス10内の環境、例えば、温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等のいずれかを検出可能な装置である。環境検出装置50によって検出された温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等は、通信装置53に出力される。なお、環境検出装置50は、ハウス10内の環境に加えて、ハウス10外の環境を検出してもよい。
施設園芸施設1は、生育検出装置51を備えている。生育検出装置51は、施設園芸施設1内(ハウス10内)に設置されていて、施設園芸施設1等で生育している作物の生体情報(生体情報)を検出する装置である。生育検出装置51は、CCDカメラ等から構成された撮像装置51aを含んでいる。撮像装置51aは、ハウス10内の作物全体を上方から撮像したり、作物の茎、葉、果実等を上方又は側方から撮像する。
生育検出装置51は、生育演算部51bを有している。生育演算部51bは、生育検出装置51に設けられた電気・電子部品、プログラム等から構成されている。生育演算部51bは、作物の画像(撮像画像)に基づいて作物の生長(生育)に関する指標(数値)を演算し、演算した結果を生体情報とする。
図2Aに示すように、生育演算部51bは、撮像装置51aが撮像した撮像画像に基づいて、ハウス10内で生育している作物の繁茂状態を演算する。生育演算部51bは、撮像装置51aが撮像した撮像画像の中から作物に対応する画像(作物画像)を抽出し、撮像画像に対する作物画像の割合を数値化し、数値化した値を、繁茂状態を示す値(繁茂指数)とする。例えば、繁茂指数が大きい場合は、繁茂状態が良好に進み、繁茂指数が小さい場合は、生育が未熟であることを示している。なお、繁茂状態の求め方は、上述した実施形態に限定されない。
図2Bに示すように、生育演算部51bは、作物画像に基づいて、所定の作物を群落に分けて当該群落毎の層別LAI(葉面積指数)を演算する。生育演算部51bは、撮像装置51aが撮像した撮像画像の中から所定の作物画像を抽出して、所定の作物の作物画像において、作物を3段階の群落に分ける。生育演算部51bは、3つの群落のそれぞれに対して、葉面積指数を求める。なお、葉面積指数の算出に際しては、施設園芸施設1内の全ての作物に対して葉面積指数を求めてもよいが、施設園芸施設1内の複数の作物のうち、葉面積指数を求める作物を予め定めておき、当該作物に対して葉面積指数を求めてもよい。
図2Cに示すように、生育演算部51bは、作物画像に基づいて、所定の作物のしおれ状態を演算する。生育演算部51bは、撮像装置51aが撮像した撮像画像の中から作物画像を抽出して、作物画像に対して画像処理を行うことによりしおれ度合を数値化し、数値化した値を、しおれ状態を示す値(しおれ指数)とする。例えば、生育演算部51bは、しおれがない作物の作物画像を基準とし、基準の作物画像と、生育検出装置51で検出した作物画像とを比較することで、しおれ指数を求める。例えば、しおれ指数が大きい場合は、作物がしおれの度合が大きく、しおれ指数が小さい場合は、作物はしおれ度合が小さい。なお、しおれ指数の算出に際しては、施設園芸施設1内の全ての作物に対してしおれ指数を求めてもよいが、施設園芸施設1内の複数の作物のうち、しおれ指数を求める作物を予め定めておき、当該作物に対してしおれ指数を求めてもよい。
以上のように、生育検出装置51によれば、作物画像、繁茂状態(繁茂指数)、葉面積指数(LAI)、しおれ状態(しおれ指数)を生体情報として検出することができる。なお、上述した生体情報は、一例であり、限定されない。例えば、生育検出装置51は、生体情報として、作物の傾斜被覆率、草丈、果房間長、出葉速度、葉数、茎径、光合成速度・葉の水ポテンシャル、花の大きさ、花数、花色、蒸散速度、気孔開度、葉温度、クロロフィル蛍光等を検出してもよい。
生育検出装置51は、予め定められた条件(検出条件)に基づいて生体情報を検出可能である。検出条件は、時刻、時間帯、温度、湿度、日射、風速、CO2濃度(二酸化炭素の濃度)等である。検出条件が時刻である場合、生育検出装置51は、検出条件で定められた同一の時刻に撮像装置51aの撮像を実行することで、同一時刻の生体情報を検出する。
また、検出条件が時間帯である場合、生育検出装置51は、同一の時間帯に撮像装置51aの撮像を実行することで、同一の時間帯の生体情報を検出する。同様に、検出条件が温度、湿度、日射、風速、CO2濃度のいずれかである場合、環境検出装置50で測定した温度、湿度、日射、風速、CO2濃度のいずれかが、検出条件で定められた値と一致した場合に、生育検出装置51は、同一の時間帯に撮像装置51aの撮像を実行することで、同一の温度での生体情報、同一の湿度での生体情報、同一の日射量での生体情報、同一の風速での生体情報、同一のCO2濃度での生体情報を検出することができる。
図1に示すように、農業支援システムは、管理装置52Aと、通信装置53とを備えている。管理装置52Aは、サーバ、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の外部機器で構成されている。この実施形態では、管理装置52Aは、サーバで構成されている。
通信装置53は、施設園芸施設1(ハウス10)の機器と外部とを接続する装置であって、有線又は無線等によって管理装置52Aに接続可能である。即ち、通信装置53と管理装置52Aとは、様々なデータ(情報)を互いに送受信可能である。
通信装置53には、環境制御装置20が接続されている。この実施形態では、通信装置53には、天窓装置20a、側窓装置20b、換気扇20c、循環扇20d、カーテン20e、ヒートポンプ20f、噴霧装置20g、二酸化炭素供給装置20h、潅水装置20i、施肥装置20jが接続されている。即ち、第1駆動装置41~第9駆動装置49のそれぞれが通信装置53に接続されている。また、通信装置53には、環境検出装置50及び生育検出装置51が接続されている。
さて、農業支援システムは、環境制御装置20によって環境を制御したときの駆動情報、環境情報を取得したり、生育検出装置51で検出した生体情報を取得することができる。
図3に示すように、駆動情報とは、環境制御装置20が環境を制御したときの当該環境制御装置20の駆動に関する情報である。駆動情報とは、例えば、天窓装置20aの窓部31の開度、側窓装置20bの窓部32の開度、換気扇20cの風量、風向、循環扇20dの風量、風向、カーテン20eの遮光部33の位置、開閉の有無、ヒートポンプ20fの温風の温度、風量、噴霧装置20gの噴射量、二酸化炭素供給装置20hの二酸化炭素の供給量、濃度、潅水装置20iの水量(潅水量)、施肥装置20jの施肥量等である。環境情報とは、環境検出装置50によって検出された温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等である。したがって、通信装置53は、環境制御装置20が環境を制御したとき(当該環境制御装置20が駆動したとき)の駆動情報、環境検出装置50によって検出した環境情報(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)を取得することができる。
また、通信装置53は、作物画像、繁茂指数、葉面積指数、しおれ指数等の生体情報を取得することができる。通信装置53が取得した生体情報、駆動情報及び環境情報は、当該通信装置53から管理装置52Aに送信され、管理装置52Aが生体情報、駆動情報及び環境情報を取得することが可能である。管理装置52Aが生体情報、駆動情報及び環境情報を取得すると、記憶部54に取得した生体情報、駆動情報及び環境情報を記憶する。なお、環境検出装置50が取得した環境情報を生体情報とは別に、記憶部54に記憶してもよい。
図1に示すように、生育検出装置51が有していた生育演算部51bを代わりに管理装置52Aが有していてもよい。この場合、管理装置52Aは、生育検出装置51の撮像装置51aが撮像した撮像画像を、通信装置53を介して取得する。生育演算部51bは、撮像画像に基づいて、繁茂指数、葉面積指数、しおれ指数等を演算する。生育演算部51bによって演算した繁茂指数、葉面積指数、しおれ指数は、記憶部54に記憶される。
農業支援システムは、表示装置55Aを備えている。表示装置55Aは、環境情報と生体情報とを関連付けて表示することが可能な装置である。表示装置55Aは、管理装置52Aに設けられたモニタ、通信装置53又は管理装置52Aに接続可能な端末57Aのモニタである。この実施形態は、図1に示すように、表示装置55Aは、通信装置53又は管理装置52Aに接続可能な端末57Aのモニタである。端末57Aは、パーソナルコンピュータ等の固定端末、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯端末である。
例えば、端末57Aが管理装置52Aにログインして所定の操作が行われると、端末57Aの表示装置55Aは、管理装置52Aの記憶部54に記憶された環境情報及び生体情報を表示可能である。
図4A~図4Cは、表示装置55Aに表示した環境情報と生体情報とを表示した生育環境画面M1の一例を示している。図4A~図4Cに示すように、生育環境画面M1は、生体情報を表示する状態表示部56aと、環境情報を表示する環境表示部56bとを含んでいる。状態表示部56a、環境表示部56bは縦又は横に並べられていて、時間軸のスケールはそれぞれ互いに対応しており、同一の時間を見ると、生体情報、環境情報との関係が把握できるようになっている。
図4Aに示すように、表示装置55Aは、状態表示部56aに繁茂指数を時刻、日付等の時系列で表示する。また、表示装置55Aは、環境表示部56bに、繁茂指数の時刻又は日付等に関連(対応)させて、温度、日射量、CO2濃度等の環境情報を、数値、グラフ等で表示する。
図4Bに示すように、表示装置55Aは、状態表示部56aに層別LAIを時系列で表示する。また、表示装置55Aは、環境表示部56bに、層別LAIの時刻又は日付等に関連(対応)させて、温度、湿度、CO2濃度等の環境情報を、数値、グラフ等で表示する。
図4Cに示すように、表示装置55Aは、状態表示部56aにしおれ指数を時系列で表示する。また、表示装置55Aは、環境表示部56bに、しおれ指数の時刻又は日付等に関連(対応)させて、温度、湿度、潅水量、施肥量等の環境情報を、数値、グラフ等で表示する。
したがって、表示装置55Aは、環境情報と生体情報とを関連させて表示するため、環境制御装置20によるハウス10内の環境を制御した結果と、作物の生体情報とを直接見比べることができ、生体情報に応じて環境制御装置20によるハウス10内の環境を自動又は手動で調整を行うことができる。
図4Dに示すように、表示装置55Aは、生育環境画面M1で表示する項目を設定する項目設定画面M2を表示して、項目を変更できるようにしてもよい。項目設定画面M2では、状態表示部56aに表示する生体情報の項目(繁茂指数、層別LAI、しおれ指数等)を選択可能である。また、項目設定画面M2では、環境表示部56bに表示する環境情報を選択可能である。これにより、表示装置55Aの生育環境画面M1に、生体情報及び環境情報の様々な組み合わせの表示を行うことができる。
さて、管理装置52Aは、生育検出装置51が検出する検出条件を変更可能である。表示装置55Aを有する端末57Aが管理装置52Aに接続している状況において、端末57Aから検出条件の変更の要求が行われると、図4Eに示すように、当該管理装置52Aは、表示装置55Aに条件設定画面M3を表示する。条件設定画面M3では、時刻、時間帯、温度、湿度、日射量、風速、CO2濃度のそれぞれの検出条件を入力する入力部(検出条件入力部)56cが表示される。入力部56cへの検出条件の入力が完了すると、入力された検出条件は、管理装置52Aに送信される。管理装置52Aは、検出条件を受信すると、受信した検出条件を記憶部54に記憶する。また、管理装置52Aは、検出条件が更新されると、更新された検出条件を通信装置53に送信し、生育検出装置51に記憶(設定)されている検出条件を書き換える。このようにすることで、管理装置52A(表示装置55A)を用いて、検出条件を任意に変更することができる。
上述したように、環境制御装置20による環境の制御は、環境制御装置20のそれぞれに設けられた制御盤等の操作部材(スイッチ等)を操作することによって作業者等が手動で行うことができるが、環境制御装置20の制御盤の操作部材で設定された設定値を、管理装置52Aからの設定信号によって変更することが可能である。
次に、環境制御装置20による環境の制御と、管理装置52Aとの関係について説明する。
管理装置52Aは、天窓装置20aの第1駆動装置41に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第1駆動装置41は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて窓部31の開度を変更する。また、管理装置52Aは、側窓装置20bの第2駆動装置42に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第2駆動装置42は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて窓部32の開度を変更する。管理装置52Aは、換気扇20cの第3駆動装置43に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第3駆動装置43は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてファンの回転数、ファンの向き等(換気扇20cの風量、風向)を変更する。管理装置52Aは、循環扇20dの第4駆動装置44に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第4駆動装置44は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてファンの回転数、ファンの向き等(循環扇20dの風量、風向)を変更する。
管理装置52Aは、カーテン20eの第5駆動装置45に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第5駆動装置45は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて遮光部33の位置を変更する。管理装置52Aは、ヒートポンプ20fの第6駆動装置46に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第6駆動装置46は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてヒートポンプ20fの温風の温度やファンの回転等による風量等を変更する。管理装置52Aは、噴霧装置20gの第7駆動装置47に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第7駆動装置47は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて噴射量等を変更する。
管理装置52Aは、二酸化炭素供給装置20hの第8駆動装置48に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第8駆動装置48は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて二酸化炭素の供給量、濃度等を変更する。管理装置52Aは、潅水装置20iの第9駆動装置49に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第9駆動装置49は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて水量(潅水量)を変更する。管理装置52Aは、施肥装置20jに通信装置53を介して設定信号を送信可能である。施肥装置20jは、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて施肥量を変更する。
図4Fは、表示装置55Aに表示した設定変更画面M4を示している。図4Fに示すように、設定変更画面M4では、環境制御装置20の現在の設定値ST1を表示すると共に、指標部ST2の位置を変更することにより、設定値ST3を変更可能である。設定変更画面M4にて設定値ST3の変更が完了すると、端末57Aは設定値ST3を管理装置52Aに送信する。管理装置52Aは、受信した設定値ST3を設定信号として通信装置53に送信する。
したがって、管理装置52Aが所定の環境制御装置20に設定信号を送信することによって、当該環境制御装置20による環境の制御を変更することができる。
さて、環境制御装置20は、生育検出装置51で検出した生体情報に基づいて、ハウス10内の環境を制御可能である。
例えば、生育検出装置51が検出したしおれ指数が予め定められた閾値よりも大きい場合、管理装置52Aは、潅水装置20iにて設定されている現在の潅水量を大きくする設定信号を第9駆動装置49に出力して潅水量を増加させる。
また、生育検出装置51が検出した繁茂指数の上昇が緩やかである場合、光合成を促進されるために、例えば、管理装置52Aは、カーテン20eの第5駆動装置45に設定信号を出力して日射量を増加させたり、二酸化炭素供給装置20hの第8駆動装置48に設定信号を出力してハウス10内の二酸化炭素の濃度を上昇させる。
或いは、管理装置52Aは、第1駆動装置41、第2駆動装置42に設定信号を出力して、窓部31、32の開度を現在の値よりも増減させることで温度、湿度(飽差)、空気流動を変更する。或いは、管理装置52Aは、第3駆動装置43、第4駆動装置44に設定信号を出力して、換気扇20c、循環扇20dの風量を現在の値よりも増減することで、ハウス10内の空気流動の状態を変更する。或いは、管理装置52Aは、第7駆動装置47に設定信号を出力し、噴霧装置20gの噴射量を現在の値よりも増減することで、ハウス10内の湿度(飽差)を適正値に変更する。或いは、管理装置52Aは、ヒートポンプ20fの第6駆動装置46に設定信号を出力して、温風の供給量等を現在の値よりも増減することで、ハウス10内の温度を変更する。上述した実施形態では、光合成を促進するために、温度、湿度(飽差)、日射量、二酸化炭素、空気流動等について説明したが、具体的な方法は、一例であり限定されない。
以上によれば、環境制御装置20は、生育検出装置51で検出した生体情報に基づいて、例えば、作物のしおれ状態が改善する方向、作物の光合成が促進する方向に環境を制御するため、より作物の生育(生長)を反映させた環境の制御を行うことができる。
なお、生体情報によるハウス10内の環境の変更を行うか否か(有効又は無効)の設定(生育環境制御の設定)は、例えば、端末57Aによる設定、環境制御装置20による設定、通信装置53による設定で行われるようにし、有効に設定されている場合のみ、環境制御装置20が管理装置52Aの設定信号に応じて設定値を変更することが好ましい。
例えば、図5Aに示すように、生育環境制御の設定を、天窓装置20a、側窓装置20b、換気扇20c、循環扇20d、カーテン20e、ヒートポンプ20f、噴霧装置20g、二酸化炭素供給装置20h、潅水装置20i、施肥装置20jのそれぞれに対して行えるようにして、有効になっている場合は、上述したように、管理装置52Aの設定信号に基づいて設定値を変更し、無効になっている場合は、管理装置52Aの設定信号に基づく設定値の変更を行わない。
上述した実施形態では、生育環境制御の設定は、環境制御装置20に対して有効又は無効であるかを設定していたが、図5Bに示すように、生体情報に基づいて、有効又は無効であるかを設定してもよい。例えば、しおれ指数に関しては生育環境制御が有効であり、繁茂指数及び層別LAIは無効というように、有効とされた生体情報については生育環境制御を実行し、無効とされた生体情報については生育環境制御を行わない。
また、生育環境制御の設定は、端末57Aを管理装置52Aに接続することにより行ってもよいし、通信装置53又は環境制御装置20に生育環境制御の設定を行うスイッチ等を設けて行ってもよいし、設定方法は限定されない。
なお、上述した管理装置52A、環境制御装置20による環境の制御は、同一の条件で検出した生体情報でなくてもよく様々な状況下で得られた生体情報に基づいて環境を制御している。これに代えて、管理装置52Aは、環境制御装置20は、同一の条件で検出した生体情報に基づいて、環境を制御してもよい。例えば、管理装置52Aは、同一の時刻又は時間帯における生体情報を参照し、同一の時刻又は時間帯における生体情報に基づいて環境を制御する。具体的な環境の制御は上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。
以上、農業支援システムによれば、環境制御装置20と、生育検出装置51とを備えている。このため、施設園芸施設1等で生育させた作物の生体情報に基づいて、環境制御装置20を制御することができる。即ち、生体情報の変化に応じて環境を制御することができ、より作物の生育を促進することができる。
また、生育検出装置51は、予め定められた条件に基づいて生体情報を検出し、環境制御装置20は、同一の条件で検出した生体情報に基づいて、環境を制御する。このため、同一の条件での生体情報の変化を把握することができ、同一の条件で環境を制御することで作物の生育を安定化させることができる。
条件を変更する管理装置52Aを備えている。このため、条件を変えることで様々な状況下での生体情報を把握することができる。
生育検出装置51で検出された生体情報から得られた作物の生長を演算する生育演算部51bを備え、表示装置55Aは、生育演算部51bで得られた作物の生長を表示する。生育演算部51bによって簡単に作物の生長を求めることができ、表示装置55Aによって、求めた結果(作物の生長)を即座に確認することが可能である。
また、農業支援システムによれば、表示装置55Aを備えている。このため、施設園芸施設1の環境との関係を、表示装置55Aを見ることによって把握することができる。図4Aに示すように、例えば、繁茂指数と、温度、日射量、CO2濃度とがどのように関係しているかを把握することができる。図4Bに示すように、葉面積指数と、温度、日射量、CO2濃度とがどのように関係しているかを把握することができる。或いは、図4Cに示すように、しおれ指数と温度、湿度、潅水量、施肥量とがどのように関係しているかを把握することができる。つまり、施設園芸施設1において様々な環境の制御を実施している中で、環境制御装置20による環境の制御と作物の生体情報との関係がどのようになっているかを見つけ、作物の生長を促進することができる。
上述した実施形態では、生育環境制御の設定が有効である場合、生育検出装置51で検出した生体情報に基づいてハウス10内の環境を制御していたが、生育環境制御の設定が無効である場合は、管理装置52Aは、ハウス10内の現在の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)に基づいて環境制御装置20を制御してもよい。
まず、ハウス10内の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)について、作業者等が表示装置55Aを用いて設定する。例えば、表示装置55Aは、温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等の環境(環境設定値)を入力する入力部を表示し、入力部に入力された値を環境設定値に設定する。表示装置55A等で設定された環境設定値は、管理装置52Aに送信される。なお、上述した実施形態では、作業者が表示装置55Aを用いて環境設定値を設定しているが、管理装置52Aや端末57Aが自動的にハウス10に対応して環境設定値を設定してもよい。また、時刻毎に環境設定値を設定できるようにしてもよい。
例えば、環境検出装置50で検出した環境情報が予め定められた環境設定値より大きい場合や小さい場合は、管理装置52Aは、現在の環境が環境設定値に一致するように、環境制御装置20を制御する。
管理装置52Aは、現在の環境(環境現在値)を環境検出装置50から取得して、環境現在値と環境設定値とを比較する。管理装置52Aは、環境現在値と環境設定値との偏差が所定以上である場合(乖離している場合)、第1駆動装置41、第2駆動装置42に設定信号を出力して、窓部31、32の開度を現在の値よりも変更することで温度、湿度(飽差)の偏差を小さくする。或いは、管理装置52Aは、環境現在値と環境設定値との偏差が所定以上である場合、第3駆動装置43、第4駆動装置44に設定信号を出力して、換気扇20c、循環扇20dの風量を現在の値よりも増減することで、風速の偏差を小さくする。或いは、管理装置52Aは、環境現在値と環境設定値との偏差が所定以上である場合、第7駆動装置47に設定信号を出力し、噴霧装置20gの噴射量を現在の値よりも増減することで、ハウス10内の湿度(飽差)の偏差を小さくする。或いは、管理装置52Aは、環境現在値と環境設定値との偏差が所定以上である場合、ヒートポンプ20fの第6駆動装置46に設定信号を出力して、温風の供給量等を現在の値よりも増減することで、ハウス10内の温度の偏差を小さくする。上述した実施形態では、環境現在値が環境設定値に一致するように、温度、湿度(飽差)、日射量、二酸化炭素、空気流動等を変更する方法について説明したが、具体的な方法は、一例であり限定されない。
以上によれば、農業支援システムは、施設園芸施設1の環境を示す環境情報を検出する環境検出装置50と、作物の生体情報を検出する生育検出装置51と、作物を生育する施設の環境を制御する環境制御装置20と、を備え、環境制御装置20は、環境検出装置50で検出した環境情報に基づいて環境を制御している。これによれば、作物の生体情報を検出する生育検出装置51を有する施設においても、現在の環境情報をフィードバックしながら施設園芸施設1の環境を制御することで、作物の生長を促進することができる。
また、管理装置52Aは、環境検出装置50で検出した環境情報(環境現在値)と、生育検出装置51で検出した生体情報との両方に基づいて、環境制御装置20を制御してもよい。例えば、生育検出装置51で検出した生体情報(繁茂状態(繁茂指数)、葉面積指数(LAI)、しおれ指数)が閾値から外れている場合、管理装置52Aは、環境現在値(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)を参照し、環境現在値が変更できる状態(環境の変更に余裕がある状態)であれば、生体情報が閾値を満たすように環境を変更する。一方、生育検出装置51で検出した生体情報(繁茂状態(繁茂指数)、葉面積指数(LAI)、しおれ指数)が閾値から外れている場合であっても、環境現在値が上限値又は下限値に近く、実質的に環境現在値の変更ができない状態(環境の変更に余裕が無い状態)であれば、環境を変更しない。つまり、管理装置52Aは、生体情報を基づく制御を行う場合に環境現在値を考慮した制御を実行する。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態における農業支援システムを示している。第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成は説明を省略する。
図6に示すように、農業支援システムは、作業取得部60と、表示装置55Bとを備えている。作業取得部60は、サーバ、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の外部機器に設けられている。この実施形態では、作業取得部60は、管理装置52Aに設けられている。作業取得部60は、管理装置52Aに設けられた電気・電子部品、プログラム等から構成されている。作業取得部60は、作物に対する手入れ作業を実施したことを取得する。
表示装置55Bは、生体情報と作業取得部60が取得した手入れ作業とを関連付けて表示可能な装置である。表示装置55Bは、管理装置52Aに設けられたモニタ、通信装置53又は管理装置52Aに接続可能な端末57Bのモニタである。この実施形態は、図6に示すように、表示装置55Bは、管理装置52Aに接続可能な端末57Bのモニタである。端末57Bは、パーソナルコンピュータ等の固定端末、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯端末である。なお、上述した端末57Aの表示装置55Aに、この実施形態で示した表示装置55Bの機能を設けてもよい。言い換えれば、端末57Aと端末57Bとを同一の端末(一体化した端末)とすることで、表示装置55Aと表示装置55Bとを共用してもよい。
次に、端末57B、表示装置55Bについて詳しく説明する。
端末57Bが管理装置52Aにログインをした後、端末57Bから作業内容の入力要求があった場合、管理装置52Aは、図7に示すように、端末57Bの表示装置55Bに入力画面M5を表示させる。入力画面M5は、時間入力部61と、作業入力部62とを含んでいる。時間入力部61には、作業を行った日付、時刻等を入力することが可能である。作業入力部62に作業内容を入力することが可能である。作業入力部62には、予め管理装置52Aに登録されている作業内容の一覧が表示され、一覧の中から所定の作業内容を選択することで当該作業入力部62に作業内容を入力することができる。
図7に示すように、作業内容には、手入れ作業として、摘芯、芽かき、誘引、収穫、適葉、摘果、整枝、側枝(脇芽)を伸ばす、吊る下し等が含まれている。ここで、手入れ作業とは、作物に対して手を入れることで当該作物の全体の形状が変化する作業のことである。例えば、収穫では、葉、茎を残して果実が無くなり、適葉では、葉の数が減り、摘果では果実が減り、整枝では、茎の一部、葉の一部が無くなることで、作物の全体の形状が変化する。言い換えれば、手入れ作業とは、施設園芸等の農作業において、作物の形状を直接変化させる作業のことである。
入力画面M5において、時間入力部61への入力、作業入力部62への入力が完了すると、端末57Bは、当該入力画面M5に入力された手入れ作業を示す作業内容(摘芯、芽かき、誘引、収穫、適葉、摘果、整枝、側枝(脇芽)を伸ばす、吊る下し等)と時間とを管理装置52Aに送信する。管理装置52Aの作業取得部60は、当該管理装置52Aが時間及び作業内容の受信することで手入れ作業を取得する。管理装置52Aの作業取得部60が時間及び作業内容を取得した場合、当該管理装置52Aは記憶部54に時間及び作業内容を記憶する。記憶部54は、手入れ作業を行う毎、即ち、作業取得部60が作業内容を取得する毎に、手入れ作業を示す作業内容と手入れ作業を行った時間とを蓄積する。
なお、上述した実施形態では、入力画面M5に予め登録された作業内容の一覧を表示して、一覧表の中から所定の作業内容を選択するとしていたが、実際に行った作業内容が登録されていない場合には、端末57Bの表示装置55Bに登録されていない作業内容を入力後に管理装置52Aに送信することで、登録されていない作業内容を当該管理装置52Aに登録することができる。
また、端末57Bが管理装置52Aにログインして所定の操作が行われると、端末57Bの表示装置55Bは生育環境画面M6を表示する。
図8A~図8Cは、表示装置55Bに表示した環境情報と生体情報とを表示した生育環境画面M6の一例を示している。図8A~図8Cに示すように、生育環境画面M6は、状態表示部56aと、環境表示部56bと、作業表示部56dを含んでいる。作業表示部56dは、作業内容を表示する部分であって、管理装置52Aの記憶部54に記憶されている作業内容を時刻又は日付等に対応させて表示する。例えば、作業表示部56dは、収穫、適葉、摘果、整枝等の開始時刻又は開始日から、終了時刻又は終了日までの区間を矩形等のバーで表示する。
状態表示部56a、環境表示部56b、作業表示部56dは縦又は横に並べられていて、時間軸のスケールはそれぞれ互いに対応しており、同一の時間を見ると、生体情報、環境情報、作業内容との関係が把握できるようになっている。
図8Aに示すように、表示装置55Bは、状態表示部56aに繁茂指数、環境表示部56bに温度、日射量、CO2濃度等の環境情報、作業表示部56dに作業内容を表示する。ここで、表示装置55Bは、作業内容に手入れ作業が含まれる場合、手入れ作業前の環境情報と、手入れ作業後の環境情報とを区別して表示する。例えば、表示装置55Bは、環境表示部56bにおいて、手入れ作業の開始時刻又は開始日よりも、前の時刻又は日である部分に手入れ作業前の環境情報である旨を示す表示を行い、手入れ作業の終了時刻又は終了日よりも、後の時刻又は日である部分に手入れ作業後の環境情報である旨を示す表示を行う。或いは、表示装置55Bは、手入れ作業の開始時刻又は開始日と、終了時刻又は終了日との区間(手入れ区間)を、環境表示部56bに表示することで、手入れ作業の前又は後を区別する。
図8Bに示すように、表示装置55Bは、状態表示部56aに層別LAIを表示し、環境表示部56bに温度、湿度、CO2濃度等の環境情報を表示し、作業表示部56dに作業内容を表示する。
図8Cに示すように、表示装置55Bは、状態表示部56aにしおれ指数を表示し、環境表示部56bに温度、湿度、潅水量、施肥量等の環境情報を表示し、作業表示部56dに作業内容を表示する。
なお、上述した実施形態では、表示装置55Bは、手入れ作業前の環境情報と手入れ作業後の環境情報とを区別して表示していたが、手入れ作業前の生体情報と手入れ作業後の生体情報とを区別して表示してもよい。例えば、表示装置55Bは、状態表示部56aにおいて、手入れ作業の開始時刻又は開始日よりも、前の時刻又は日である部分に手入れ作業前の生体情報である旨を示す表示を行い、手入れ作業の終了時刻又は終了日よりも、後の時刻又は日である部分に手入れ作業後の生体情報である旨を示す表示を行う。或いは、表示装置55Bは、手入れ作業の開始時刻又は開始日と、終了時刻又は終了日との区間(手入れ区間)を、状態表示部56aに表示することで、手入れ作業の前又は後を区別する。
したがって、表示装置55Bは、環境情報、生体情報、手入れ作業を関連させて表示するため、環境制御装置20によるハウス10内の環境を制御した結果と、作物の生体情報と、手入れ作業との関係を直接見比べることができ、それぞれの関係を見ながら環境制御装置20によるハウス10内の環境の調整を行うことができる。特に、表示装置55Bでは、手入れ作業を行う前の環境情報又は生体情報と、手入れ作業を行った後の環境情報又は生体情報とを区別しているため、手入れ作業(変化点)を基準とした環境情報と生体情報との変化を把握することができる。
さて、環境制御装置20は、少なくとも手入れ作業に基づいて環境を制御する。具体的には、環境制御装置20は、生育検出装置51で検出した生体情報と、手入れ作業に基づいて環境を制御する。例えば、手入れ作業後において、生育検出装置51が検出したしおれ指数が閾値以下に低下した場合、管理装置52Aは、潅水装置20iにて設定されている現在の潅水量を大きくする設定信号を第9駆動装置49に出力して潅水量を増加させる。一方、手入れ作業後において、生育検出装置51が検出したしおれ指数が閾値にならなかった場合、管理装置52Aは、潅水装置20iにて設定されている現在の潅水量を維持する。
また、手入れ作業後において、所定期間における繁茂指数の上昇の程度が緩やかである場合、環境制御装置20は、光合成を促進するように環境を変化させる。一方で、手入れ作業後において、所定期間における繁茂指数の上昇が閾値以上で緩やかでない場合は、環境制御装置20は、現在の設定値に基づく環境の制御を行う。
光合成を促進するための環境を変化させる場合、管理装置52Aは環境制御装置20に対して設定信号を出力する。なお、光合成を促進するための環境の変化の方法は、上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、環境制御装置20は、手入れ作業の内容に基づいて環境を制御してもよい。例えば、手入れ作業が収穫であった場合、手入れ作業後は、ハウス10内の環境を果実に転流が進む環境に設定する。即ち、ソース器官からシンク器官への転流が進む環境に制御を行う。
例えば、管理装置52Aは、第1駆動装置41、第2駆動装置42に設定信号を出力して、窓部31、32の開度を現在の値よりも増減させることで、ハウス10内の温度を、果実に転流の進む領域に設定する。
或いは、管理装置52Aは、カーテン20eの第5駆動装置45に設定信号を出力して日射量を増加させたり、二酸化炭素供給装置20hの第8駆動装置48に設定信号を出力してハウス10内の二酸化炭素の濃度を上昇させることにより、果実への転流を促進する。なお、果実への転流の促進方法は一例であり、上述した実施形態に限定されない。
以上、農業支援システムによれば、環境制御装置20と、作業取得部60とを備えている。これによれば、環境制御装置20は、手入れ作業に基づいて環境の制御が可能となる。つまり、環境制御装置20によって、収穫、適葉、摘果、整枝等の手入れ作業中、手入れ作業後等の温度、湿度、光、CO2濃度、風向及び風速(空気流動)、潅水量、施肥量等を変更することができる。例えば、手入れ作業前、手入れ作業中、手入れ作業後の様々な作業に応じて、環境制御装置20による環境を制御した場合は、精密に作物の生長を促進することができる。例えば、収穫、適葉、摘果、整枝等を行った後での環境の調整することで、栄養成長、生殖成長のどちらかに重点を置きながら作物を生長させることができる
また、農業支援システムによれば、表示装置55Bは、手入れ作業前の環境情報と、手入れ作業後の環境情報とを区別して表示する。このため、手入れ作業前の環境情報と、手入れ作業後の環境情報とを見比べながら、環境を変化させることができる。
なお、手入れ作業に基づいて、生育検出装置51で検出した生体情報を補正してもよい。図24Aは、手入れ作業と生体情報の1つである繁茂指数との関係を示した図である。図24Aに示すように、手入れ作業を行っていない場合は、繁茂指数は時間に伴って増加する傾向にある。例えば、時期Q1において、手入れ作業を行った場合、繁茂指数はL10からL11に減少する。生育演算部51bは、手入れ作業前(直前)の繁茂指数L10と手入れ作業後(直後)の繁茂指数L11との差、即ち、手入れ作業における繁茂指数の減少値L12を演算し、手入れ作業後は、減少値L12に新たに計算した繁茂指数L13を加算することで、手入れ作業後の繁茂指数を修正する。これによれば、時期Q1以降において、手入れ作業後の繁茂指数を、仮想的に繁茂指数L14に設定することができ、修正後の繁茂指数L14を用いて様々な制御を行うことができる。
例えば、図24Bに示すように、生体情報が作物の草丈である場合、時期Q1にて草丈を調整する手入れ作業を行うと、繁茂指数と同様に手入れ作業後の草丈が減少する。生育演算部51bは、手入れ作業前(直前)の草丈L20と手入れ作業後(直後)の草丈L21との差、即ち、手入れ作業における草丈の減少値L22を演算し、手入れ作業後は、減少値L22に新たに計算した草丈L23を加算することで、手入れ作業後の草丈を修正する。これによれば、時期Q1以降において、手入れ作業後の草丈を、仮想的に草丈L24に設定することができ、当該草丈L24を用いて様々な制御を行うことができる。
上述した実施形態では、繁茂指数、草丈を例にあげて、生体情報の修正について説明したが、生体情報は、手入れ作業後に変化するものであれば何でもよく上述した例に限定されない。
図24A、図24B等に示したように、表示装置55Bが、修正前の生体情報(L11,L12、K13、L21、L22、L23)と、修正後の生体情報(L14、L24)を表示してもよい。
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態における農業支援システムを示している。第3実施形態において、第1実施形態又は第2実施形態と同じ構成は説明を省略する。また、第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれに適用可能である。また、第3実施形態に、第1実施形態及び第2実施形態の両方を適用してもよい。
図9に示すように、農業支援システムは、生長予測部65を備えている。生長予測部65は、サーバ、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の外部機器に設けられている。この実施形態では、生長予測部65は、管理装置52Aに設けられている。生長予測部65は、管理装置52Aに設けられた電気・電子部品、プログラム等から構成されている。生長予測部65は、環境制御装置20で環境を制御したときの環境情報に基づいて作物の生長を予測する。
生長予測部65は、予め定められたシミュレーションモデルに基づいて、作物の生長として果実の積算の収穫量を算出可能である。図10は、シミュレーションモデルのブロック図である。図10に示すように、生長予測部65は、環境検出装置50で検出した環境情報(日射量、CO2濃度、気温等)から光合成産物量Pgを求め、光合成産物量Pgから維持呼吸量Mresp及び生長呼吸による損失を減算することで、総乾物量を求める。また、生長予測部65は、各器官(葉、茎、果実)のそれぞれのシンク強度を求め、求めたシンク強度から果実の器官の分配率を決定し、総乾物重に果実の分配率を求めることで、作物の生長として積算の収穫量(収量)を求める。シミュレーションモデルに葉面積指数LAI等の生体情報を適用し、積算の収穫量を求める場合は、「LAI」のパラメータが付加される。つまり、生長予測部65は、少なくともLAI等の生体情報に基づいて作物の生長を予測することができる。
なお、シミュレーションモデルとして、「J.W.Jones,E.Dayan,L.H.Allen,H.Van Keulen,H.Challa A Dynamic Tomato Growth and Yield Model(TOMGRO),March-April.1991 Vol.34(2),663-672」、「E.Heuvelink.Evaluation of a Dynamic Simulation Model for Tomato Crop Growth and Development 1999 Annals of Botany 83:413-422」を採用することができる。また、生長予測部65は、上述したように、生体情報に基づいて作物の生長を予測してもよいし、生体情報及び環境情報の両方を用いて生長を予測してもよいし、環境情報のみを用いて作物の成長を予測してもよい。
農業支援システムの表示装置55Cは、生長予測部65で予測した生長を示す予測情報を表示する装置である。表示装置55Cは、管理装置52Aに設けられたモニタ、管理装置52Aに接続可能な端末57Cのモニタである。端末57Cは、パーソナルコンピュータ等の固定端末、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯端末である。なお、上述した端末57Aの表示装置55Aに、この実施形態で示した表示装置55Cの機能を設けてもよい。或いは、上述した端末57Bの表示装置55Bに、この実施形態で示した表示装置55Cの機能を設けてもよい。また、端末57A、端末57B、端末57Bを同一の端末(一体化した端末)とすることで、表示装置55A、表示装置55B、表示装置55Cとを共用してもよい。
端末57Cが管理装置52Aにログインして所定の操作が行われると、生長予測部65による作物の収穫量の予測の演算が実行される。また、生長予測部65による作物の収穫量の予測の演算が完了すると、図11Aに示すように、端末57Cの表示装置55Cは生育予測画面M7を表示する。生育予測画面M7は、生長予測部65が予測した作物の収穫量の推移を表示する画面であり、例えば、横軸に日付等の時間軸が表示され、縦軸に作物の収穫量の軸が表示される。作物の収穫量は、作物の生育を開始してからの積算の収穫量(積算収穫量という)である。
したがって、シミュレーションモデルに環境制御装置20で制御したときの環境情報と、生体情報とを適用することで作物の収穫量を予測し、予測情報である収穫量(積算収穫量)を表示するため、作物の生育を開始してから現在までの収穫量の推移を把握することができる。
さて、管理装置52Aは、第1取得部71と、第2取得部72とを有している。第1取得部71及び第2取得部72は、管理装置52Aに設けられた電気・電子部品、プログラム等から構成されている。
第1取得部71は、作物の市場情報を取得する。第1取得部71は、例えば、作物を卸す卸売市場のサーバ(コンピュータ)、作物の市場情報を提供している提供会社等のサーバに接続して、市場情報として作物の価格(市場価格)を取得する。
例えば、端末57Cを管理装置52Aに接続し、当該端末57C等を用いて作物名、作物の品種、地域等を予め登録する。第1取得部71は、作物名、作物の品種、地域の登録後、当該管理装置52Aに登録された作物名に対応する作物、品種に一致する市場価格を、登録された地域別に取得する。第1取得部71が取得した市場価格は、作物名、品種、地域毎に記憶部54に記憶される。
なお、図11Bに示すように、表示装置55Cに作物名、品種、地域を入力する入力画面M8を表示し、当該入力画面M8への作物名、品種、地域の入力が完了すると、端末57Cが入力された作物名、品種、地域等を管理装置52Aに送信し、管理装置52Aの第1取得部71は、作物名、品種、地域等を受信後に、作物名、品種、地域等に対応する市場価格を定期的又は不定期に取得してもよい。
第2取得部72は、作物の収量の目標を示す目標収量を取得する。第2取得部72は、記憶部54に記憶されている過去の環境情報を抽出する。第2取得部72は、抽出した過去の環境情報の日射量、CO2濃度、気温を生長予測部65に提供する。生長予測部65は、第2取得部72からの過去の環境情報を受けて、過去の環境情報に基づく作物の収量(積算収穫量)の推移を求める。第2取得部72は、生長予測部65に対して過去の環境情報に基づく積算収穫量の推移の要求を行い、当該生長予測部65から提供された積算収穫量を取得し、取得した積算収穫量を目標収量にする。なお、シミュレーションモデルによる収量は、総乾物量に対する果実の割合を果実シンク強度等により求めることで算出することができる。
表示装置55Cは、市場価格、生長予測部65が予測した積算収穫量、目標収量を表示する。端末57Cが管理装置52Aにログインして所定の操作が行われると、図12Aに示すように、表示装置55Cは、経営管理画面M9を表示する。経営管理画面M9は、市場価格の推移を示す価格推移P1と、積算収穫量の推移(生長の推移)P2と、目標収量の推移P3とを同じグラフ上、即ち、同一の画面に表示する。経営管理画面M9には、横軸に月、日付等の時間の軸が表示され、縦軸に作物の収穫量の軸、価格の軸が表示される。
経営管理画面M9では、横軸において現在がどの位置に対応するかを現在表示部73により表示する。現在表示部73よりも左側が過去の価格推移P1、積算収穫量の推移P2、目標収量の推移P3である。一方、現在表示部73よりも右側が将来の価格推移P1、積算収穫量の推移P2、目標収量の推移P3である。ここで、将来の価格推移P1は、例えば、過去における月毎又は週毎(月次、週毎)の価格変動の実績から予測した値であって、現在の価格を基準として月毎又は週毎の変動率(%)を乗算することにより求めた値である。なお、将来の価格推移P1は、過去における月毎又は週毎の価格変動に基づいて予測するとしているが、これに限定されず、価格シミュレーションで求めた市場価格の推移を適用してもよい。
将来の積算収穫量の推移P2は、現在から将来の区間T1において、区間T1における過去の環境情報(例えば、日射量、CO2濃度、気温)を上述したシミュレーションモデルに適用して、生長予測部65によって求めた推移である。例えば、図12Aに示すように、現在が2月(2/1)である場合に、2月(2/1以降)から4月(4/15)までの区間T1における過去の日照量、CO2濃度、気温等に基づいて、作物の収穫量(果実の量)を求めることで将来の積算収穫量を求めることができる。
以上によれば、表示装置55Cは、市場価格の推移を示す価格推移P1と、生長の推移である積算収穫量の推移P2とを同一画面に表示しているため、市場価格と積算収穫量との関係を一目で把握することができ、現時点から先に積算収穫量をどのような推移をさせていくことで利益の向上が見込めるかを検討することができる。
また、図12Bに示すように、表示装置55Cは、市場価格の推移P1、積算収穫量の推移P2、目標収量の推移P3に加えて、利益の推移P4、実際の積算収穫量の推移P5、補正の積算収穫量P6を経営管理画面M9に表示してもよい。説明の便宜上、積算収穫量の推移P2のことを「予測推移P2」、実際の積算収穫量の推移P5のことを「実績推移P5」、補正の積算収穫量P6のことを「修正推移P6」という。
利益の推移P4は、市場価格と収量とを乗算することで売上金額を求め、売上金額からコスト(経費)を差し引いた値である。利益は、管理装置52A又は端末57Cにより求めることができる。実績推移P5は、作物の生育を開始してから現在に至るまでの実際に出荷した作物の出荷量を積算した値であり、管理装置52A又は端末57Cにより求めることができる。
修正推移P6は、現在から先のハウス10内の環境(将来の予定環境)を設定することで得られた値である。予定環境を設定するに際しては、例えば、図12Cに示すように、表示装置55Cに、生産管理画面M10を表示し、現在から先について、CO2濃度、気温の目標値等の予定環境を入力する。生長予測部65は、生産管理画面M10に入力された予定環境をシミュレーションモデルに適用して、現在から先の積算収穫量の推移を求める。表示装置55Cは、生長予測部65が求めた現在から先の積算収穫量の推移を修正推移P6に適用し、経営管理画面M9に表示する。
以上によれば、表示装置55Cは、ハウス10内の環境を変更した場合の修正推移P6を表示することができる。そのため、例えば、実績推移P5が目標収量の推移P3から乖離している場合に、修正推移P6を近づけることで、作物の収量を目標収量に達成できるかを判断することができる。例えば、現在が2月であり、2月~3月では作物の市場価格が現在よりも下がることが価格推移P1から予想される場合には、無理をして2月~3月の間に修正推移P6を目標収量に近づけることを止め、市場価格が上昇する3月以降に修正推移P6を目標収量の推移P3に近づけるという作業計画を立てることができる。
なお、表示装置55Cが予測情報(積算収穫量)に基づいて、立案された作業計画を表示することが好ましい。具体的には、表示装置55Cは、図12Bに示すように、予測情報(積算収穫量)の修正推移P6を表示した場合、作業計画として、市場価格が上昇する3月以降に収穫を集中させる提案を表示する。例えば、表示装置55Cは、「3月以降に収穫を集中させた場合に利益率が上がります」といった内容を表示したり、「3月の作業計画表を表示し、作業計画表に示した収穫日を自動的に示す」といった表示を行う。なお、表示装置55Cにおける作業計画の立案の表示は、一例であり限定されない。
また、環境制御装置20は、少なくとも生長予測部65が予測した作物の生長、例えば、市場価格の推移P1と積算収穫量の推移P2とに基づいて、ハウス10内の環境を制御してもよい。
まず、管理装置52Aは、現在から先(将来)について、CO2濃度、気温の目標値等の予定環境を複数作成(複数用意)する。管理装置52Aの生長予測部65は、複数の予定環境を用いて、それぞれの予定環境に対応する修正推移P6を求める。複数の修正推移P6が求めた後、管理装置52Aは、将来の価格推移P1とそれぞれの修正推移P6とに基づいて、売上金額を求め、売上金額からコスト(経費)を差し引くことで利益を算出する。管理装置52Aは、最も利益が高い修正推移P6に示された予定環境を、環境制御装置20に送信する。環境制御装置20は、環境検出装置50によって検出された環境情報が、修正推移P6に示された予定環境に一致するように設定値を変更する。なお、上述した実施形態では、環境制御装置20は、環境検出装置50によって検出された環境情報が、修正推移P6に示された予定環境に一致するように設定値を変更していたが、これに代え、管理装置52Aが環境検出装置50によって検出された環境情報を、通信装置53を介して取得し、取得した環境情報が予定環境に一致するように所定の環境制御装置20に設定信号を送信することで、ハウス10内の環境を制御してもよい。
以上によれば、農業支援システムは、環境制御装置20と、生長予測部65と、表示装置55Cとを備えている。これによれば、生長予測部65により生体情報に基づいて作物の生長がどのように推移するかを予測し、予測した作物の生長を、表示装置55Cの予測情報を見ることによって把握することができる。即ち、環境と作物の生長との関係を把握することができるため、作物の生長をコントロールすることができる。
農業支援システムは、第1取得部71を備え、表示装置55Cは、第1取得部71が取得した市場情報と、予測情報とを表示する。作物の生長の推移と、作物の市場情報との関係を把握することができる。例えば、作物の生長の推移により収穫時期に対応する収穫量と、作物の市場価格との関係を見比べることができ、収益の予想をしたり、将来において収穫時期、収穫量を調整することで収益の調整を行うことができる。
農業支援システムは、第2取得部72を備え、記表示装置55Cは、市場情報、予測情報、第2取得部72が取得した目標収量を表示する。例えば、作物の生長の推移により収穫時期に対する収穫量と、目標収量と、市場価格との3者関係を把握することができる。
表示装置55Cは、市場情報として市場価格の推移を示す価格推移と、予測情報として生長の推移とを同一の画面で示す。これによれば、価格推移と生長の推移との比較が行い易い。
環境制御装置20は、市場情報及び予測情報に基づいて環境を制御する。環境制御装置20によって、市場価格に連動して作物の生長をコントロールすることができる。例えば、作物の生長の予測によって、将来の収穫時期に対応する収穫量が予測できる場合において、収穫時期及び収穫量を環境によって変更することにより、市場価格が高い時期に収穫量を増加させて収益を上げることができる。言い換えれば、現時点から考えて市場価格が低く推移すると予測される場合は、収穫量を増加させる方向に作物の生長をコントロールするのではなく、作物に対して栄養生長に重点を置いたコントロールを行う。その後、市場価格が上昇に移行すると考えられる場合には、収穫量を増加させる方向に作物の生長をコントロールすることで、収益を増加させることができる。
環境制御装置20は、市場情報、予測情報及び目標収量に基づいて環境を制御する。上述した例と同様に、将来の収穫時期に対応する収穫量が予測できる場合において、市場価格に連動して作物の生長をコントロールするだけでなく、目標収量を達成するために作物の生長をコントロールすることができる。
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態における農業支援システムを示している。第4実施形態において、第1実施形態~第3実施形態と同じ構成は説明を省略する。また、第4実施形態は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態のそれぞれに適用可能である。また、第4実施形態に、第1実施形態~第3実施形態を適用してもよい。
農業支援システムは、管理装置52Bを備えている。管理装置52Bは、サーバ、携帯端末、パーソナルコンピュータ等の外部機器で構成されている。この実施形態では、管理装置52Bは、サーバで構成されている。
管理装置52Bは、複数の施設園芸施設1を管理する装置である。管理装置52Bは、複数の施設園芸施設1に接続可能である。即ち、管理装置52Bは、複数の施設園芸施設1の通信装置53に接続可能である。管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に情報を記憶する記憶部90を有している。
図14は、記憶部90に記憶された情報の一例を示している。図14に示すように、記憶部90は、施設園芸施設1毎、即ち、ハウス10毎に割り当てられた施設識別情報と、生体情報と、環境情報とを記憶している。
例えば、2つのハウス10A、10Bがあった場合、記憶部90は、ハウス10Aに対応する施設識別情報、ハウス10Aに設けられた生育検出装置51から得られた生体情報、ハウス10Aの環境情報を対応付けて記憶している。また、記憶部90は、ハウス10Bに対応する施設識別情報、ハウス10Bに設けられた生育検出装置51から得られた生体情報、ハウス10Bの環境情報を対応付けて記憶している。
図15は、管理装置52Bにおける情報の取得の流れを示している。説明の便宜上、施設園芸施設1(ハウス10)は、ハウス10A、ハウス10Bであるとして説明をする。当然の如く、施設園芸施設1(ハウス10)の数は限定されない。
図15に示すように、管理装置52Bは、ハウス10Aの通信装置53Aに、環境情報及び生体情報の送信の要求を行う(S1)。ハウス10Aの通信装置53Aは、管理装置52Bの要求に応じて、ハウス10内の環境検出装置50が検出した環境情報を、当該管理装置52Bに送信する(S2)。また、ハウス10Aの通信装置53Aは、ハウス10Aの生育検出装置51が検出した撮像画像、繁茂指数、葉面積指数、しおれ指数等の生体情報を当該管理装置52Bに送信する(S3)。管理装置52Bは、ハウス10Aの通信装置53Aから送信された環境情報及び生体情報を記憶する(S4)。なお、ハウス10Aの通信装置53Aは、当該通信装置53Aに割り当てられた施設識別情報を、環境情報及び生体情報と共に管理装置52Bに送信することが好ましい。
また、管理装置52Bは、ハウス10Bの通信装置53Bに、環境情報及び生体情報の送信の要求を行う(S5)。ハウス10Bの通信装置53Bは、管理装置52Bの要求に応じて、ハウス10内の環境検出装置50が検出した環境情報を当該管理装置52Bに送信する(S6)。また、ハウス10Bの通信装置53Bは、ハウス10Bの生育検出装置51が検出した撮像画像、繁茂指数、葉面積指数、しおれ指数等の生体情報を当該管理装置52Bに送信する(S7)。管理装置52Bは、ハウス10Bの通信装置53Bから送信された環境情報及び生体情報を記憶する(S8)。なお、ハウス10Bの通信装置53Bは、当該通信装置53Bに割り当てられた施設識別情報を、環境情報及び生体情報と共に管理装置52Bに送信することが好ましい。
したがって、管理装置52Bによれば、ハウス10Aとハウス10Bとのそれぞれの情報を取得し、取得した情報をハウス10A、10B毎に記憶する。特に、管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に、生育検出装置51で検出した生体情報と、環境検出装置50によって検出された環境情報とを取得して管理することができる。
農業支援システムは、表示装置55Dを備えている。表示装置55Dは、環境情報と生体情報とを関連付けて表示することが可能な装置である。表示装置55Dは、管理装置52Bに接続可能な端末57Dのモニタである。端末57Dは、パーソナルコンピュータ等の固定端末、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯端末である。
例えば、端末57Dが管理装置52Bにログインして所定の操作が行われると、表示装置55Dは、生育環境画面M11を表示する。図16A~図16Cは、表示装置55Dに表示した環境情報と生体情報とを表示した生育環境画面M11の一例を示している。図16A~図16Cに示すように、生育環境画面M11は、入力部(施設情報入力部)56eを除き、上述した生育環境画面M1と同じである。生育環境画面M1と異なる構成について説明する。
生育環境画面M11は、施設情報を入力する入力部56eを備えていて、入力部56eには、施設識別情報又は施設識別情報に対応する施設の名称等の施設情報を入力可能である。例えば、作業者がハウス10Aに対応する施設識別情報(KA-00010)を入力すると、端末57Dは、入力部56eに入力されたKA-00010を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、端末57Dから送信されたKA-00010に対応する環境情報と生体情報を記憶部90から検索して、ハウス10Aに対応する環境情報及び生体情報を表示装置55Dに表示させる。同様に、作業者がハウス10Bに対応する施設識別情報(KA-00020)を入力すると、端末57Dは、入力部56eに入力されたKA-00020を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、端末57Dから送信されたKA-00020に対応する環境情報と生体情報を記憶部90から検索して、ハウス10Bに対応する環境情報及び生体情報を表示装置55Dに表示させる。
以上のように、表示装置55Dによれば、ハウス10毎に環境情報及び生体情報を認識することができ、作業者はハウス10を個別に環境を変更することができる。
管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に環境制御装置20に対して環境の変更を指令可能である。即ち、管理装置52Bは、ハウス10Aの環境制御装置20と、ハウス10Bの環境制御装置20とに独立して別々に指令を行うことができる。
管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第1駆動装置41に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第1駆動装置41は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて窓部31の開度を変更する。また、管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第2駆動装置42に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第2駆動装置42は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて窓部32の開度を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第3駆動装置43に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第3駆動装置43は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてファンの回転数、ファンの向き等(換気扇20cの風量、風向)を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第4駆動装置44に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第4駆動装置44は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてファンの回転数、ファンの向き等(循環扇20dの風量、風向)を変更する。
管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第5駆動装置45に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第5駆動装置45は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて遮光部33の位置を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第6駆動装置46に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第6駆動装置46は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいてヒートポンプ20fの温風の温度やファンの回転等による風量等を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第7駆動装置47に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第7駆動装置47は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて噴射量等を変更する。
管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第8駆動装置48に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第8駆動装置48は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて二酸化炭素の供給量、濃度等を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの第9駆動装置49に通信装置53を介して設定信号を送信可能である。第9駆動装置49は、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて水量(潅水量)を変更する。管理装置52Bは、ハウス10A及びハウス10Bのそれぞれの施肥装置20jに通信装置53を介して設定信号を送信可能である。施肥装置20jは、設定信号を受信すると当該設定信号に基づいて施肥量を変更する。
図17Aは、表示装置55Dに表示した設定変更画面M12を示している。設定変更画面M12は、入力部(施設情報入力部)56fを除き、上述した設定変更画面M4と同じである。設定変更画面M4と異なる構成について説明する。設定変更画面M12は、施設情報を入力する入力部56fを備えていて、入力部56fには、施設識別情報又は施設識別情報に対応する施設の名称等の施設情報を入力可能である。例えば、作業者がKA-00010を入力すると、端末57Dは、KA-00010を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、KA-00010を受信すると、KA-00010に対応するハウス10Aの通信装置53に接続して、当該ハウス10Aの駆動情報を取得し、設定変更画面M12に現在の設定値ST1を表示する。設定変更画面M12にて設定値ST3の変更が完了すると、端末57Dは設定値ST3をKA-00010と共に管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、KA-00010に対応するハウス10Aの通信装置53に設定値ST3を示す設定信号を送信する。
一方、作業者がKA-00020を入力すると、端末57Dは、KA-00020を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、KA-00020を受信すると、KA-00020に対応するハウス10Bの通信装置53に接続して、当該ハウス10Bの駆動情報を取得し、設定変更画面M12に現在の設定値ST1を表示する。設定変更画面M12にて設定値ST3の変更が完了すると、端末57Dは設定値ST3をKA-00020と共に管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、KA-00020に対応するハウス10Bの通信装置53に設定値ST3を示す設定信号を送信する。
したがって、入力部56fに施設情報を入力することによって、例えば、ハウス10A、10Bの環境を個別に変更することができる。入力部56fに設定した設定値は、季節や時刻毎に変更してもよい。また、入力部56fに設定した設定値は、ハウス10A、10Bの設置状況(北向き、南向き、西向き、東向き)、ハウス10A、10Bで生育している品種、後述するようにハウス10A、10B毎に設定した重要項目等に応じて設定してもよい。
管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に得られた環境情報に基づいて当該施設園芸1毎の環境を変更してもよい。
まず、ハウス10A、10B毎の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)について、作業者等が表示装置55Dを用いて設定する。例えば、表示装置55Dは、温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等の環境(環境設定値)を入力する入力部をハウス10A、10B毎に表示し、ハウス10A、10B毎の入力部に入力された値をハウス10A、10B毎の環境設定値に設定する。表示装置55D等で設定された環境設定値は、管理装置52Bに送信される。なお、上述した実施形態では、作業者が表示装置55Dを用いて環境設定値を設定しているが、管理装置52Bや端末57Aが自動的にハウス10A、10B毎に対応して環境設定値を設定してもよい。また、時刻毎に環境設定値を設定できるようにしてもよい。
例えば、管理装置52Bは、ハウス10Aの環境現在値を取得し、取得した環境現在値とハウス10Aに対して設定した環境設定値との偏差が小さくなるように、ハウス10Aの環境制御装置20を制御する。管理装置52Bにおける環境設定値と環境現在値とに基づく環境制御装置20の制御方法は、上述した管理装置52Aと同様であるため説明を省略する。
以上によれば、管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に得られた環境情報に基づいて、環境制御装置20に対して環境の変更を指令する。これによれば、複数の施設園芸施設1がある場合に、それぞれの施設園芸施設1に対応して個別に現在の環境をフィードバックしながら環境を制御することができ、施設園芸施設1毎に作物の生長を異ならせることができる。
さて、管理装置52Bは、生育検出装置51で検出した生体情報に基づいて、ハウス10内の環境を制御可能である。
例えば、ハウス10A及びハウス10Bのうち、ハウス10Aの生育検出装置51が検出したしおれ指数が予め定められた閾値よりも大きい場合、管理装置52Bは、ハウス10Aの潅水装置20iにて設定されている現在の潅水量を大きくする設定信号を、ハウス10Aの第9駆動装置49に出力して潅水量を増加させる。
また、ハウス10A及びハウス10Bのうち、ハウス10Aの生育検出装置51が検出した繁茂指数の上昇が緩やかである場合、光合成を促進されるために、例えば、管理装置52Bは、ハウス10Aの第5駆動装置45に設定信号を出力して日射量を増加させたり、ハウス10Aの第8駆動装置48に設定信号を出力してハウス10A内の二酸化炭素の濃度を上昇させる。
或いは、管理装置52Bは、ハウス10Aの第1駆動装置41、第2駆動装置42に設定信号を出力して、ハウス10Aの窓部31、32の開度を現在の値よりも増減させることで温度、湿度(飽差)、空気流動を変更する。或いは、管理装置52Bは、ハウス10Aの第3駆動装置43、第4駆動装置44に設定信号を出力して、ハウス10Aの換気扇20c、循環扇20dの風量を現在の値よりも増減することで、ハウス10A内の空気流動の状態を変更する。或いは、管理装置52Bは、ハウス10Aの第7駆動装置47に設定信号を出力し、ハウス10Aの噴霧装置20gの噴射量を現在の値よりも増減することで、ハウス10Aの湿度(飽差)を適正値に変更する。或いは、管理装置52Bは、ハウス10Aの第6駆動装置46に設定信号を出力して、温風の供給量等を現在の値よりも増減することで、ハウス10Aの温度を変更する。上述した実施形態では、光合成を促進するために、温度、湿度(飽差)、日射量、二酸化炭素、空気流動等について説明したが、具体的な方法は、一例であり限定されない。
以上によれば、管理装置52Bは、ハウス10毎の生育検出装置51で検出した生体情報に基づいて、例えば、作物のしおれ状態が改善する方向、作物の光合成が促進する方向に環境を制御するため、より作物の生育(生長)を反映させた環境の制御を行うことができる。なお、この実施形態においても第1実施形態と同様に、ハウス10毎に、生育環境制御の有効又は無効を設定可能である。この場合、生育環境制御の有効である場合は、管理装置52Bは生体情報に基づいてハウス10の環境を制御し、生育環境制御の設定が無効である場合は、管理装置52Bは、ハウス10の現在の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)に基づいて環境制御装置20を制御する。
また、管理装置52Bも、管理装置52Aと同様に、環境現在値と生体情報との両方に基づいて、環境制御装置20を制御してもよい。例えば、生育検出装置51で検出した生体情報(繁茂状態が閾値から外れている場合、管理装置52Bは、環境現在値を参照し、環境現在値が変更できる状態(環境の変更に余裕がある状態)であれば、生体情報が閾値を満たすように環境を変更する。一方、生育検出装置51で検出した生体情報が閾値から外れている場合であっても、環境現在値の変更ができない状態(環境の変更に余裕が無い状態)であれば、環境を変更しない。つまり、管理装置52Bは、生体情報を基づく制御を行う場合に環境現在値を考慮した制御を実行する。
さて、管理装置52Bは、ハウス10毎に重視項目を設定して環境を制御してもよい。重視項目とは、作物を生育するにあたって重視する項目であり、例えば、作物の収量を重視する項目(収穫重視)、作物の糖度を重視する項目(糖度重視)、省エネルギーを重視する項目(省エネ重視)等である。
図17Bは、表示装置55Dに表示した条件設定画面M13を示している。条件設定画面M13は、重視項目を設定する画面である。図17Bに示すように、条件設定画面M13は、施設識別情報等の施設情報を入力する入力部(施設情報入力部)81と、重視項目を入力する入力部(重視項目入力部)82とを有している。入力部82には、予め登録された重視項目の一覧が表示され、表示された一覧から所定の重要項目を選択可能である。
例えば、入力部81にKA-00010が入力され、入力部82に収穫重視が入力されると、ハウス10Aは収穫重視に設定される。同様に、入力部81にKA-00020が入力され、入力部82に糖度重視が入力されると、ハウス10Bは糖度重視に設定される。
条件設定画面M13にて設定された施設情報及び重視項目は、端末57Dを介して管理装置52Bに送信され、当該管理装置52Bは、端末57Dから送信された施設情報及び重視項目を記憶部90に記憶する。重視項目と環境制御装置20の設定値とは、当該重視項目に応じて予め設定されている。例えば、天窓装置20a、側窓装置20b、換気扇20c、循環扇20d、カーテン20e、ヒートポンプ20f、噴霧装置20g、二酸化炭素供給装置20h、潅水装置20i、施肥装置20jの設定値が、重視項目と対応してそれぞれ設定されている。設定値は、収穫重視である場合は収穫が上がる値に決められ、糖度重視である場合は糖度が上がる値に決められ、省エネ重視は消費するエネルギーが小さくなる値に決められている。なお、収穫重視、糖度重視、省エネ重視の設定値は、過去の実績から自動的に設定してもよいし、作業者等が予め端末57Dを用いて、収穫重視、糖度重視、省エネ重視の設定値を管理装置52Bに手動で登録してもよく方法は限定されない。
管理装置52Bは、条件設定画面M13で設定されたハウス10毎の重要項目に応じて、環境制御装置20の設定値をセットし、重要項目に応じた設定値に対応する設定信号をそれぞれのハウス10に送信する。
なお、管理装置52Bは、重要項目に応じて環境を変更する場合と生体情報に応じて環境を変更する場合との両方を用いて環境制御装置20を制御してもよい。例えば、管理装置52Bは、生体情報において環境を変化させる必要があるか否かを判断し、環境を変化させる必要がある場合(例えば、繁茂指数、しおれ指数が閾値以下等)は生体情報における環境の変更を実行し、環境を変化させる必要が無い場合(繁茂指数、しおれ指数が閾値よりも大きい等)は重要項目に応じた環境を設定する。
以上によれば、管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に、生育検出装置51で検出した生体情報と、環境検出装置50によって検出した環境情報とを取得する。作物の生体情報と、環境情報との関係を施設園芸施設1毎に把握しながら、施設園芸施設1毎に作物の生長をコントロールすることができる。
例えば、施設園芸施設1の設置状況(北向き、南向き、西向き、東向き)が異なる場合には、設置状況に応じて施設園芸施設1毎に環境を変えながら作物の生長をコントロールすることができる。
或いは、施設園芸施設1毎に作物の品種が異なる場合には、品種毎に作物の生長をコントロールすることができる。また、施設園芸施設1毎に作物の生育において、収穫、糖度、省エネ等の重視項目を決めた場合には、重視項目に応じて作物の生長をコントロールすることができる。なお、設置状況、品種、重要項目など組み合わせて施設園芸施設1に設定して、設定した事項(設定事項)に基づいて作物の生長をコントロールすることができる。
管理装置52Bは、施設園芸施設1毎に得られた生体情報に基づいて、環境制御装置20に対して環境の変更を指令する。例えば、施設園芸施設1毎に定めた設定事項(設置状況、品種、重要項目等)に応じて環境を変化させることができ、設定項目に応じた作物の生長を作物の生体情報を見ながらコントロールすることができる。
また、表示装置55Dは、施設園芸施設1毎に得られた生体情報及び環境情報を表示する。これによれば、施設園芸施設1の作物の状態と環境情報とを把握することができる。
図18は、第4実施形態における農業支援システムの変形例を示している。上述した実施形態では、管理装置52Bは、施設園芸施設1(ハウス10)毎に管理を行う装置であったが、これに代えて、少なくとも施設園芸施設1に設けられた区画80毎に管理を行う。
図19に示すように、区画80とは、ハウス10内において、作物の生育する区切られた区域であって、ハウス10内には所定の間隔で複数の区画80が配置されている。複数の区画80には、潅水装置20iが接続されていて、区画毎に潅水を行うことが可能である。また、複数の区画80には、施肥装置20jが接続されていて、区画毎に施肥を行うことが可能である。図20に示すように、複数の区画80には、区画を識別する区画識別情報又は区画識別情報に対応する区画の名称等の区画情報が割り当てられ、割り当てられた区画情報は記憶部90に記憶されている。また、図20に示すように、施設情報と区画情報とは予め対応付けられていて、例えば、KA-00010には、SP01~SP10が対応付けられて記憶部90に記憶され、KA-00020には、SP21~SP30が対応付けられて記憶部90に記憶されている。したがって、記憶部90における施設識別情報と区画識別情報とを見ると、KA-00010に対応するハウス10Aには、SP01~SP10で示される10個の区画80が配置され、KA-00020に対応するハウス10Bには、SP21~SP30で示される10個の区画80が配置されていることを把握することができる。なお、施設情報と区画情報との関係は、端末57D等を用いて予め管理装置52Bに登録することができる。
また、複数の区画80における位置に関する情報(位置情報)が区画情報に対応付けられて記憶部90に記憶されている。例えば、図19に示すように、ハウス10Aにおいて、SP01~SP10の区画80が2列(横2列)×5列(縦2列)で配置している場合、それぞれの区画80が縦、横のどの列に対応しているかを位置情報として記憶部90は記憶している。なお、上述した位置情報は一例であって、縦列、横列の配列以外に、ハウス10A内の位置を予め決めて座標系で示してもよいし、その他の情報に基づいて位置を設定してもよい。
図18に示すように、管理装置52Bは、生育演算部51bを有している。生育演算部51bは、作物の画像(撮像画像)及び区画80の位置情報に基づいて、区画80毎の撮像画像を抽出し、抽出した区画80毎の撮像画像(区画画像という)を用いて、区画80毎の繁茂状態を演算する。例えば、生育演算部51bは、区画80毎の作物の作物画像(区画作物画像という)を抽出し、区画画像に対する区画作物画像の割合を数値化し、数値化した値を繁茂指数とする。
生育演算部51bは、区画作物画像を用いて区画80毎に層別LAIを演算する。なお、層別LAIの求め方は上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。生育演算部51bは、区画作物画像を用いて区画80毎にしおれ状態を演算する。なお、しおれ状態(しおれ指数)の求め方は上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。
生育演算部51bが繁茂指数、LAI、しおれ指数等の生体情報を求めた後は、管理装置52Bの記憶部90は、繁茂指数、LAI、しおれ指数等と区画識別情報等とを対応付けて記憶する。また、管理装置52Bは、通信装置53から送信された環境情報も記憶する。つまり、管理装置52Bは、区画80に対応した生体情報と環境情報との両方を取得して、記憶部90に記憶することができる。なお、記憶部90は、区画画像と区画識別情報等とを対応付けて記憶してもよい。
さて、管理装置52Bは、区画80毎の生体情報に基づいて、ハウス10内の環境を制御可能である。以下、SP01で示される区画80(第1区画80aという)を例にとり、SP02で示される区画80(第2区画80bという)を例にとり、区画80毎の環境の制御について説明する。
例えば、第1区画80aのしおれ指数が予め定められた閾値よりも大きい場合、管理装置52Bは、第1区画80aへの潅水量を現在よりも大きくする設定信号を、通信装置53を介して潅水装置20iに送信する。潅水装置20iは、管理装置52Bから送信された設定信号を受信すると、第1区画80aへの潅水量を上昇させる。
また、第1区画80aの繁茂指数と他の区画80との繁茂指数との差が閾値よりも大きく且つ第1区画80aの繁茂指数が他の区画80よりも小さい場合、管理装置52Bは、第1区画80aへの潅水量を現在よりも大きくする設定信号を、通信装置53を介して潅水装置20iに送信する。潅水装置20iは、管理装置52Bから送信された設定信号を受信すると、第1区画80aへの潅水量を上昇させる。また、第1区画80a以外の区画80も同様に、繁茂指数、しおれ指数に基づいて、所定の区画80の環境を制御する。
例えば、第1区画80a及び第2区画80bのしおれ指数が予め定められた閾値よりも大きい場合、管理装置52Bは、第1区画80a及び第2区画80bへの潅水量を現在よりも大きくする設定信号を、通信装置53を介して潅水装置20iに送信する。潅水装置20iは、管理装置52Bから送信された設定信号を受信すると、第1区画80a及び第2区画80bへの潅水量を上昇させる。
なお、上述した実施形態は一例であり、繁茂指数、しおれ指数に限定されず、LAIに適用してもよい。このように、管理装置52Bは、繁茂指数、LAI、しおれ指数等の生体情報を用いて、所定の区画80の環境の制御を行うことができる。
管理装置52Bは、区画80毎に得られた環境情報に基づいて環境を変更してもよい。この場合、区画80毎に環境情報を検出する環境検出装置50を設ける。区画80毎の環境(温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等)は、表示装置55Dを用いて設定可能である。例えば、表示装置55Dは、温度、湿度、日射量、二酸化炭素、風速等の環境(環境設定値)を入力する入力部を第1区画80a、第2区画80b毎に表示し、第1区画80a、第2区画80b毎の入力部に入力された値を第1区画80a、第2区画80b毎の環境設定値に設定する。表示装置55D等で設定された環境設定値は、管理装置52Bに送信される。なお、上述した実施形態では、作業者が表示装置55Dを用いて環境設定値を設定しているが、管理装置52Bや端末57Aが自動的に第1区画80a、第2区画80b毎に対応して環境設定値を設定してもよい。また、時刻毎に環境設定値を設定できるようにしてもよい。
例えば、管理装置52Bは、第1区画80aの環境現在値を取得し、取得した環境現在値と第1区画80aに対して設定した環境設定値との偏差が小さくなるように、環境制御装置20を制御する。また、管理装置52Bは、第2区画80bの環境現在値を取得し、取得した環境現在値と第2区画80bに対して設定した環境設定値との偏差が小さくなるように、環境制御装置20を制御する。管理装置52Bにおける環境設定値と環境現在値とに基づく環境制御装置20の制御方法は、上述した管理装置52Aと同様であるため説明を省略する。
以上によれば、管理装置52Bは、区画80毎に得られた環境情報に基づいて、環境制御装置20に対して環境の変更を指令する。これによれば、複数の区画80がある場合に、それぞれの区画80に対応して個別に現在の環境をフィードバックしながら環境を制御することができ、区画80毎に作物の生長を異ならせることができる。
区画80毎に環境を制御する場合において、管理装置52Bは、区画80毎の環境現在値と生体情報との両方に基づいて、環境制御装置20を制御してもよい。例えば、所定の区画80において、生育検出装置51で検出した生体情報(繁茂状態が閾値から外れている場合、管理装置52Bは、所定の区画80の環境現在値を参照し、当該所定の区画80の環境現在値を変更できる状態であれば、生体情報が閾値を満たすように環境を変更する。一方、生育検出装置51で検出した生体情報が閾値から外れている場合であっても、所定の区画80の環境現在値が変更できる状態でなければ、環境を変更しない。つまり、管理装置52Bは、生体情報を基づく制御を行う場合に環境現在値を考慮した制御を実行する。
この変形例では、表示装置55Dは、区画80毎に得られた生体情報及び環境情報を表示する。例えば、端末57Dが管理装置52Bにログインして所定の操作が行われると、表示装置55Dは、生育環境画面M14を表示する。図21A~図21Cは、表示装置55Dに表示した環境情報と生体情報とを表示した生育環境画面M14の一例を示している。図21A~図21Cに示すように、生育環境画面M14は、入力部56fを除き、上述した生育環境画面M11と同じである。生育環境画面M11と異なる構成について説明する。
生育環境画面M14は、区画情報を入力する入力部56fを備えていて、入力部56fには、区画識別情報又は区画の名称等の施設情報を入力可能である。例えば、作業者が入力部56fにSP01を入力すると、端末57Dは、入力部56fに入力されたSP01を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、端末57Dから送信されたSP01に対応する環境情報と生体情報を記憶部90から検索して、第1区画80aに対応する環境情報及び生体情報を表示装置55Dに表示させる。同様に、作業者が第2区画80bに対応するSP02を入力すると、端末57Dは、入力部56fに入力されたSP02を管理装置52Bに送信する。管理装置52Bは、端末57Dから送信されたSP02に対応する環境情報と生体情報を記憶部90から検索して、第2区画80bに対応する環境情報及び生体情報を表示装置55Dに表示させる。
以上のように、表示装置55Dによれば、区画80毎に環境情報及び生体情報を認識することができ、作業者は区画80を個別に環境を変更することができる。
さて、管理装置52Bは、区画80毎に重視項目を設定して環境を制御してもよい。
図22は、表示装置55Dに表示した条件設定画面M15を示している。図22に示すように、条件設定画面M15は、入力部(区画情報入力部)83を除き、上述した条件設定画面M13と同じである。条件設定画面M13と異なる構成について説明する。条件設定画面M15は、区画情報を入力する入力部83を備えている。例えば、入力部83にSP01が入力され、入力部82に収穫重視が入力されると、第1区画80Aは収穫重視に設定される。同様に、入力部83にSP02が入力され、入力部82に糖度重視が入力されると、区画80Bは糖度重視に設定される。
条件設定画面M15にて設定された区画情報及び重視項目は、端末57Dを介して管理装置52Bに送信され、当該管理装置52Bは、端末57Dから送信された区画情報及び重視項目を記憶部90に記憶する。重視項目と環境制御装置20の設定値とは、当該重視項目に応じて予め設定されている。なお、区画80における重視項目に対応する設定値は、少なくとも区画80毎に環境を制御することができる装置(区画制御装置)に対する設定値であることが好ましい。例えば、区画80毎に環境を制御が行うことができる区画制御装置(潅水装置20i、施肥装置20j)の設定値が、重視項目と対応してそれぞれ設定されている。収穫重視、糖度重視、省エネ重視に対応する区画制御装置の設定値は、過去の実績から自動的に設定してもよいし、作業者等が予め端末57Dを用いて、収穫重視、糖度重視、省エネ重視の設定値を管理装置52Bに手動で登録してもよく方法は限定されない。また、区画80毎ではなくハウス10の全体の環境を制御する環境制御装置20における設定値は、手動又は自動で任意に変更できるようにするのが好ましい。
管理装置52Bは、条件設定画面M15で設定された区画80毎の重要項目に応じて、区画制御装置の設定値をセットし、重要項目に応じた設定値に対応する設定信号をそれぞれの区画80に送信する。
なお、管理装置52Bは、重要項目に応じて環境を変更する場合と生体情報に応じて環境を変更する場合との両方を用いて区画制御装置を制御してもよい。例えば、管理装置52Bは、生体情報において環境を変化させる必要があるか否かを判断し、環境を変化させる必要がある場合(例えば、繁茂指数、しおれ指数が閾値以下等)は生体情報における環境の変更を実行し、環境を変化させる必要が無い場合(繁茂指数、しおれ指数が閾値よりも大きい等)は重要項目に応じた環境を設定する。
管理装置52Bは、施設変換部85を備えている。施設変換部85は、管理装置52Bに設けられた電気・電子部品、プログラム等から構成されている。施設変換部85は、区画80毎の情報を施設園芸施設1毎の情報に変換する。例えば、作業者等が端末57Dを操作することにより、管理装置52Bに対して当該端末57Dから区画80を施設に変化する指令(変換指令)を送信すると、施設変換部85は起動して、区画80毎の情報を施設園芸施設1毎に変換する(情報変換処理)。なお、端末57Dから管理装置52Bへ変換指令を出力しない場合は、施設変換部85は停止しており、情報変換処理は停止している。
図23は、施設変換部85によって情報変換処理を行う例を示している。図23に示すように、例えば、施設変換部85は、SP01~SP10に対応する区画80に関する情報を、KA-00010に対応するハウス10Aの情報として変換を実行する。例えば、施設変換部85は、SP01~SP10に対応付けられた環境情報及び生体情報を、ハウス10Aの環境情報及び生体情報として変換する。例えば、施設変換部85は、SP01~SP10のそれぞれの繁茂指数、層別LAI、しおれ指数を平均して、繁茂指数、層別LAI、しおれ指数のそれぞれの平均値を、ハウス10Aの代表値として設定する。また、施設変換部85は、SP01~SP10のそれぞれの潅水量、施肥量を平均して、潅水量、施肥量の平均値を、ハウス10Aの代表値として設定する。なお、潅水装置20i、施肥装置20jの他に、区画80毎に環境を制御することができる環境制御装置20を設けた場合は、環境制御装置20の平均値をハウス10の代表値としてもよい。
また、施設変換部85は、SP01~SP10に共通する気温、湿度、日射量等の環境情報をハウス10Aの環境情報に設定する。
また、上述した施設変換部85による変換方法は、一例であり限定されず、例えば、区画80に対応する指数(繁茂指数、層別LAI、しおれ指数)の下限値又は上限値、区画80に対応する潅水量、施肥量をハウス10の代表値にしてもよいし、その他の方法であってもよい。
また、施設変換部85による変換後は、管理装置52Bは、当該施設変換部85によって変換された生体情報及び/又は環境情報に基づいて、施設園芸施設1の環境、即ち、環境制御装置20による環境の制御を行う。なお、管理装置52Bによる制御方法は、上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。
以上によれば、管理装置52Bは、施設園芸施設1の区画80毎に、生育検出装置51で検出した生体情報と、環境検出装置50により検出された環境情報とを取得する。これによれば、作物の生体情報と、環境情報との関係を区画80毎に把握しながら、区画80毎に作物の生長をコントロールすることができる。
例えば、区画80毎に作物の品種が異なる場合には、品種毎に作物の生長をコントロールすることができる。また、区画80毎に作物の生育において、収穫、糖度、省エネ等の重視項目を決めた場合には、重視項目に応じて作物の生長をコントロールすることができる。なお、品種、重要項目など組み合わせて区画80に設定して、設定した事項(設定事項)に基づいて作物の生長をコントロールすることができる。
管理装置52Bは、区画80毎に得られた生体情報に基づいて、環境制御装置20に対して環境の変更を指令する。例えば、区画801毎に定めた設定事項(品種、重要項目等)に応じて環境を変化させることができ、設定項目に応じた作物の生長を作物の生体情報を見ながらコントロールすることができる。
農業支援システムは、区画80毎を施設に変換する施設変換部85を備え、管理装置52Bは、施設変換部85によって施設に変換された生体情報に基づいて、環境制御装置20に対して環境の変更を指令する。区画80毎を、施設園芸施設1の単位に切り換えることができ、施設園芸施設1の単位で環境を変更しつつ作物を生育することができる。
表示装置55Dは、区画80毎に得られた生体情報及び環境情報を表示する。これによれば、区画80の作物の状態と環境情報とを把握することができる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、層別の葉面積指数について説明しているが、これに代えて、作物1つ1つの葉面積指数を求めてもよいし、層別でなくてもよい。