JP2016197187A - 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御でき、かつ、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、非晶性樹脂とトランス−1,4−ポリイソプレンとを含有し、当該非晶性樹脂が、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法に関し、特に、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御でき、かつ、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という。)は、画像形成装置の省エネルギー化や高速化を図るために、より一層の低温定着性に優れたトナーが望まれている。このようなトナーとして、例えば結着樹脂として非晶性樹脂にシャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂を導入することにより、結着樹脂のガラス転移温度や溶融粘度を低くなるよう設計したものが知られている。これは、ガラス転移温度40℃以上の非晶性ポリエステル樹脂と、溶融温度130〜200℃の範囲内の結晶性ポリエステル樹脂とを混合して用いる技術である。
また、非晶性樹脂と低融点結晶性樹脂を混合し、相溶化度を制御することで低温定着を達成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、低温定着を達成することができるが、定着画像が過度の光沢をもつという問題を生じる。
そこで、光沢度を制御し低光沢度の画像を得るトナーとして、非晶性樹脂と結晶性樹脂を含む結着樹脂からなるトナーのトナー表層部のアルミニウム含有量とトナー内部のアルミニウム含有量を規定する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この技術によれば、トナー粒子表面のアルミニウムをキレート剤で除去し架橋密度を下げ、粒子内部の架橋密度との差を設けることで、低温定着と低光沢度の両立を図ることができる。しかしながら、トナー表層部のアルミニウム含有量とトナー内部のアルミニウム含有量を制御することは困難であった。
特開2004−206081号公報 特開2010−204243号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、イオン架橋の量をトナー表層部とトナー内部で制御する場合に比べて、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御でき、かつ、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に嵩高い置換基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有する非晶性樹脂、及びトランス−1,4−ポリイソプレンを含有することにより、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御でき、かつ、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供できることを見い出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、非晶性樹脂とトランス−1,4−ポリイソプレンとを含有し、
当該非晶性樹脂が、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記トランス−1,4−ポリイソプレンが、前記結着樹脂中に含有する樹脂全体に対して5〜15質量%の範囲内で含有することを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60〜85℃の範囲内であることを特徴とする第3項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基のアルキル基部分の炭素数が、3〜10の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記非晶性樹脂において、前記スチレン誘導体構造の繰り返し単位が、前記スチレン構造の繰り返し単位に対して、10質量%以上含有されていることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の上記手段により、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御でき、かつ、画像再現性に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
トランス−1,4−ポリイソプレンは、常温で硬い結晶のミクロドメイン構造をとることから、画像中で光を散乱し過度な光沢を抑制することができると推定されている。また、トランス−1,4ポリイソプレンの融点は約70℃であるから、トナー中にトランス−1,4ポリイソプレンが存在すると、定着時に融点に達した段階で融解するため、トナーの低温定着性を阻害しないという効果を得ることができる。
したがって、本発明では、非晶性樹脂からなる結着樹脂に、トランス−1,4−ポリイソプレンを混合し、トナー母体粒子中に分散することにより、上記のトランス−1,4ポリイソプレンの効果により、定着後の画像光沢度を過度に上げることがなく、また、光沢度の定着温度依存性を低減することができる。よって、低温定着性を損なわずに画像の光沢度を制御することができる。
しかしながら、トランス−1,4−ポリイソプレンは、ポリスチレンとの相溶性が低く、このため、トナーの機械的強度が低下してしまうという問題がある。そこで、ポリスチレンとの相溶性を向上させる手段を検討した結果、スチレンのベンゼン環の4位に嵩高い置換基を導入することで、相溶性を高め機械的強度を向上させることができた。その結果、トナー粒子の機械的強度が向上し、現像器内での撹拌により破砕することもなく、画像再現性にも優れる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が、非晶性樹脂とトランス−1,4−ポリイソプレンとを含有し、当該非晶性樹脂が、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記トランス−1,4−ポリイソプレンが、前記結着樹脂中に含有する樹脂全体に対して5〜15質量%の範囲内で含有することが、好適な光沢度を得られる点で好ましい。
また、前記結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、低温定着性が良好となる点で好ましい。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60〜85℃の範囲内であることが、低温定着性を阻害することなく、また、耐熱保管性が向上する点で好ましい。
また、前記分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基のアルキル基部分の炭素数が、3〜10の範囲内であることが、重合しやすく、また、トランス−1,4−ポリイソプレンとの相溶性の点で好ましい。
また、前記非晶性樹脂において、前記スチレン誘導体構造の繰り返し単位が、前記スチレン構造の繰り返し単位に対して、10質量%以上含有されていることが、トランス−1,4−ポリイソプレンと相溶し、低温定着性、過度の高光沢度の抑制及びトナー粒子の機械的強度付与を両立できる点で好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、上記静電荷像現像用トナーを製造することを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子を含有した静電荷像現像用トナーである。
そして、結着樹脂が、非晶性樹脂とトランス−1,4−ポリイソプレンとを含有し、当該非晶性樹脂が、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする。
また、結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
なお、本発明において、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子といい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いる。
<トランス−1,4−ポリイソプレン>
トランス−1,4−ポリイソプレンは、結着樹脂中に含有する樹脂全体に対して、5〜15質量%の範囲内で含有することが好ましい。より好ましくは、7〜15質量%の範囲内である。
また、トランス−1,4−ポリイソプレンは、樹脂中のトランス−1,4結合の割合が少なくとも80%有することが好ましい。すなわち、ポリイソプレンの結合様式は、トランス−1,4結合、シス−1,4結合、1,2−結合、3,4−結合の4種類の構造単位が存在するが、これらのうちトランス−1,4結合の割合が80%以上有することが好ましい。
(ポリイソプレンの結合方式算出方法)
ポリイソプレンの結合方式の含有割合は、イソプレン系重合体のNMRスペクトルを測定し、例えば、公知文献、W.M.Dong、T.Masuda、.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.,40,1838 (2002)、A.S.Khatchaturov、E.R.Dolinskaya、L.K.Prozenko、E.L.Abramenko and V.A.Kormer, Polymer, 18, 871 (1976)に記載の方法に基づき、前記各構造単位に帰属されるピークの積分値を求めて、それを比較することで算出することができる。
トランス−1,4−ポリイソプレンは、スチレン系樹脂と相溶しないため、トランス−1,4−ポリイソプレンはスチレン系樹脂とブレンドした場合、両者は界面で相溶せずに機械的な応力に対して弱い微粉の発生等が起こる。すなわち、トナー粒子の機械的強度が低下して、現像器内での撹拌により破砕され微粉発生が起こる。
一方、トナー粒子内で一部相溶すれば、機械的強度を増し、微粉の発生が抑制される。このために、トランス−1,4−ポリイソプレンと相溶する樹脂として、スチレンの4位に嵩高い基を導入した後述のスチレン誘導体構造の繰り返し単位を有する共重合体を添加することで、機械的強度も増すとともに、非相溶なトランス−1,4−ポリイソプレンのミクロドメインが存在することで過度の光沢が抑制される。
本発明に用いられるポリイソプレン樹脂は、イソプレンモノマーをラジカル重合することで、トランス−1,4結合が主たる結合である樹脂を合成することができる。例えば、撹拌装置を備えた耐圧反応器に、イソプレン、純水、及び界面活性剤を投入し、窒素置換をした後に、ラジカル重合開始剤水溶液を加え、所望の温度で乳化重合を行うことで合成することができる。
また、市販のトランス−1,4−ポリイソプレンを有機溶媒に溶解し、公知の方法により界面活性剤水溶液中で乳化し、脱溶媒することで分散液を得ることができる。
さらに、市販のトランス−1,4−イソプレンを有機溶媒に溶解し、界面活性剤水溶液に加え乳化を行った後、有機溶媒を脱溶媒し、乳化分散液を調製したものも用いることができる。
本発明に用いられるトランス−1,4−ポリイソプレンの重量平均分子量(Mw)は、15000〜1000000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、20000〜700000の範囲内である。
本発明に用いられるトランス−1,4−ポリイソプレンは、必要に応じて他のラジカル重合性モノマーと共重合することができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸を有するビニルモノマーを添加することで、トランス−1,4−ポリイソプレン樹脂微粒子の乳化安定性を付与、制御することができる。これら他のラジカル重合性モノマーは、イソプレン構造の繰り返し単位に対して、2〜10質量%を共重合することが好ましく、さらに好ましくは3〜8質量%の範囲内が好ましい。
<非晶性樹脂>
本発明において、非晶性樹脂は、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする。
本発明に係る非晶性樹脂は、以下において詳述するように、当該非晶性樹脂を構成するモノマーとして、スチレン及びスチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基等の置換基を有するスチレン誘導体等を用いて重合反応により合成することができる。
また、本発明に係る非晶性樹脂は、スチレン構造の繰り返し単位を有する重合体のうちの一部の繰り返し単位中のベンゼン環の4位に分岐アルキル基等の置換基を導入することによっても製造することができる。
スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基等の置換基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位において、上記分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基のアルキル基部分の炭素数が、3〜10の範囲内であることが、重合しやすく、また、トランス−1,4−ポリイソプレンとの相溶性の点で好ましい。さらに好ましくは、炭素数4〜6が好ましい。
分岐アルキル基としては、特に炭素数4のブチル基が好ましい。
また、分岐アルキル基として、例えばtert−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ヘキシル基、sec−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐アルコキシ基としては、例えばtert−ブチロキシ基、sec−ブチロキシ基、tert−ペントキシ基、sec−ペントキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
分岐アルキルカルボニルオキシ基としては、例えばtert−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ペンチルカルボニルオキシ基、sec−ペンチルカルボニルオキシ基、tert−ヘキシルカルボニルオキシ基、sec−ヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
具体的なスチレン誘導体構造の繰り返し単位としては、4−tert−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−tert−ペンチルスチレン、4−tert−ブチロキシスチレン、4−sec−ブチロキシスチレン、4−tert−ブチルカルボニルオキシスチレン等が挙げられる。好ましくは4−tert−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−tert−ブチロキシスチレン、4−sec−ブチロキシスチレン、4−tert−ブチルカルボニルオキシスチレン、4−sec−ブチルカルボニルオキシスチレン等が挙げられる。さらに好ましくは、4−tert−ブチルスチレン、4−tert−ブチロキシスチレン、4−tert−ブチルカルボニルオキシスチレンが挙げられる。
上記の共重合体は、スチレン・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂の一部を置換することにより合成することができる。
また、別の方法として、スチレン・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂と、スチレン誘導体・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂とを併用し用いることも可能である。このような併用も本発明の技術的範囲とする。
また、非晶性樹脂において、前記スチレン誘導体構造の繰り返し単位が、前記スチレン構造の繰り返し単位に対して、10質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、10〜30質量%の範囲内である。
また、非晶性樹脂として、上記共重合体の他に、さらに公知の種々のものを含有していてもよい。具体的には、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂などを用いることができる。非晶性ポリエステルとしては、2価及び3価のカルボン酸と多価アルコール成分からなる縮合物等を用いることができる。
本発明において、非晶性樹脂とは、上記の示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピークを有さないものをいう。
本発明に係る非晶性樹脂は、ガラス転移点が25〜60℃の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは35〜55℃の範囲内である。
非晶性樹脂のガラス転移点が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性及び優れた保存安定性が得られる。
非晶性樹脂のガラス転移点は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。
測定手順としては、試料(非晶性樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
また、非晶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量は、低温定着性と耐熱保管性両立の観点から、7000〜30000であることが好ましく、より好ましくは10000〜25000の範囲である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量及びピーク分子量の測定は、具体的には、装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。
次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
非晶性樹脂微粒子の粒径は、トナー性能及び製造適合性の観点から、体積基準のメディアン径が50〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは80〜300nmの範囲内である。
非晶性樹脂微粒子の粒径は、「ナノトラックWave-EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定できる。
<結晶性ポリエステル樹脂>
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂に由来する部分であって、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂ユニットをいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂は、上記定義したとおりであれば特に限定されない。例えば、結晶性ポリエステル樹脂そのものを含有してもよい。又は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂ユニットによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂や、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂で、この樹脂を含むトナーが上記のように明確な吸熱ピークを示すものを含有してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分から生成される。この際、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを構成する多価カルボン酸成分の炭素数C(acid)及び多価アルコール成分の炭素数C(alcohol)からなり、また、多価カルボン酸成分及び多価アルコール成分の価数としては、好ましくはそれぞれ2〜3であり、特に好ましくはそれぞれ2であるため、特に好ましい形態として価数がそれぞれ2である場合(すなわち、ジカルボン酸成分、ジオール成分)について説明する。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジカルボン酸成分は、一種類のものに限定されるものではなく、二種類以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
脂肪族ジカルボン酸と共に用いることのできる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。ジカルボン酸成分における脂肪族ジカルボン酸の含有量が50構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの結晶性を十分に確保することができる。
また、ジオール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、直鎖型のものを用いることが好ましい。直鎖型のものを用いることによって、結晶性が向上するという利点がある。ジオール成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。
必要に応じて用いられる脂肪族ジオール以外のジオールとしては、二重結合を有するジオール、スルホン酸基を有するジオールなどが挙げられ、具体的には、二重結合を有するジオールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオールなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成するためのジオール成分としては、脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは70構成モル%以上であり、さらに好ましくは80構成モル%以上であり、特に好ましくは100構成モル%である。ジオール成分における脂肪族ジオールの含有量が50構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られると共に最終的に形成される画像に光沢性が得られる。
結晶性ポリエステル樹脂の形成方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を形成することができる。
上記の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との使用比率は、ジオール成分のヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸成分のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5の範囲内とされることが好ましく、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。具体的には、スズ化合物としては、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩等などを挙げることができる。
チタン化合物としては、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどなどのチタンキレートなどを挙げることができる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。
さらにアルミニウム化合物としては、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられ、トリブチルアルミネートなどを挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度や重合時間は特に限定されるものではなく、重合中には必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂の場合は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの含有量は、ハイブリッド樹脂の全量に対して50質量%以上98質量%未満であると好ましい。上記範囲とすることにより、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。なお、ハイブリッド樹脂中の各ユニットの構成成分及び含有割合は、例えば、NMR測定、メチル化反応P−GC/MS測定により特定することができる。
ここで、ハイブリッド樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニットの他に、以下で詳述するポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを含む。
ハイブリッド樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニット及びポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを含むものであれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれの形態であってもよいが、グラフト共重合体であると好ましい。グラフト共重合体とすることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの配向を制御しやすくなり、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。
さらに、上記観点からは、結晶性ポリエステル樹脂ユニットが、結晶性ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを主鎖として、グラフト化されていると好ましい。すなわち、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、主鎖としてポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットを有し、側鎖として結晶性ポリエステル樹脂ユニットを有するグラフト共重合体であると好ましい。
上記形態とすることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの配向をより高めることができ、ハイブリッド樹脂の結晶性を向上させることができる。
なお、ハイブリッド樹脂には、さらにスルホン酸基、カルボキシ基、ウレタン基などの置換基が導入されていてもよい。上記置換基の導入は、結晶性ポリエステル樹脂ユニット中でもよいし、以下で詳説するポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット中であってもよい。
(ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニット)
ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂ユニットは、上記結晶性ポリエステル樹脂以外の非晶性樹脂に由来する部分である。ハイブリッド樹脂中(さらには、トナー中)に非晶性樹脂ユニットを含有することは、その構造により、NMR測定、P−GC/MS測定、メチル化反応P−GC/MS測定等から適した分析法を選択し、化学構造を特性することができる。
また、非晶性樹脂ユニットは、当該ユニットと同じ化学構造及び分子量を有する樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂ユニットである。
非晶性樹脂ユニットは、上記定義したとおりであれば特に限定されない。例えば、非晶性樹脂ユニットによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂や、非晶性樹脂ユニットを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂を含むトナーが上記のような非晶性樹脂ユニットを有するものであれば、その樹脂は、本発明でいう非晶性樹脂ユニットを有するハイブリッド樹脂に該当する。
非晶性樹脂ユニットは、結着樹脂に含まれる非晶性樹脂(すなわち、ハイブリッド樹脂以外の樹脂)と同種の樹脂で構成されると好ましい。このような形態とすることにより、ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との親和性がより向上し、ハイブリッド樹脂が非晶性樹脂中にさらに取り込まれやすくなり、帯電均一性等がより一層向上する。
ここで、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合が共通に含まれていることを意味する。ここで、「特徴的な化学結合」とは、物質・材料研究機構(NIMS)物質・材料データベース(http://polymer.nims.go.jp/PoLyInfo/guide/jp/term_polymer.html)に記載の「ポリマー分類」に従う。すなわち、ポリアクリル、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル及びその他のポリマーの計22種によって分類されたポリマーを構成する化学結合を「特徴的な化学結合」という。
また、樹脂が共重合体である場合における「同種の樹脂」とは、共重合体を構成する複数のモノマー種の化学構造において、上記化学結合を有するモノマー種を構成単位としている場合、特徴的な化学結合を共通に有する樹脂同士を指す。したがって、樹脂自体の示す特性が互いに異なる場合や、共重合体中を構成するモノマー種のモル成分比が互いに異なる場合であっても、特徴的な化学結合を共通に有していれば同種の樹脂とみなす。
例えば、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)と、スチレン、ブチルアクリレート及びメタクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)とは、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有しているため、これらは同種の樹脂である。さらに例示すると、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)と、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸、テレフタル酸及びフマル酸によって形成される樹脂(又は樹脂ユニット)とは、互いに共通する化学結合として、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有している。したがって、これらは同種の樹脂である。
非晶性樹脂ユニットを構成する樹脂成分は特に制限されないが、例えば、ビニル樹脂ユニット、ウレタン樹脂ユニット、ウレア樹脂ユニットなどが挙げられる。中でも、熱可塑性を制御しやすいという理由から、ビニル樹脂ユニットが好ましい。
ビニル樹脂ユニットとしては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂ユニット、スチレン−アクリル酸エステル樹脂ユニット、エチレン・酢酸ビニル樹脂ユニットなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレンアクリル樹脂ユニットの形成方法は、特に制限されず、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系又はジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。
アゾ系又はジアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン等が挙げられる。
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は、水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等が挙げられる。
非晶性樹脂ユニットの含有量は、ハイブリッド樹脂の全量に対して、3〜50質量%の範囲内であると好ましい。さらに、上記含有量は、5〜30質量%の範囲内であるとより好ましい。上記範囲とすることにより、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与することができる。
≪ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(ハイブリッド樹脂)の製造方法≫
本発明に係る結着樹脂に含まれるハイブリッド樹脂の製造方法は、上記結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとを分子結合させた構造の重合体を形成することが可能な方法であれば、特に制限されるものではない。ハイブリッド樹脂の具体的な製造方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
(1)非晶性樹脂ユニットをあらかじめ重合しておき、当該非晶性樹脂ユニットの存在下で結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法
この方法では、まず、上述した非晶性樹脂ユニットを構成する単量体(好ましくは、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体といったビニル単量体)を付加反応させて非晶性樹脂ユニットを形成する。
次に、非晶性樹脂ユニットの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールとを重合反応させて結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する。このとき、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させると共に、非晶性樹脂ユニットに対し、多価カルボン酸又は多価アルコールを付加反応させることにより、ハイブリッド樹脂が形成される。
上記方法において、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性樹脂ユニット中に、これらユニットが互いに反応可能な部位を組み込んでおくと好ましい。具体的には、非晶性樹脂ユニットの形成時、非晶性樹脂ユニットを構成する単量体の他に、結晶性ポリエステル樹脂ユニットに残存するカルボキシ基[−COOH]又はヒドロキシ基[−OH]と反応可能な部位及び非晶性樹脂ユニットと反応可能な部位を有する化合物も使用する。すなわち、この化合物が結晶性ポリエステル樹脂ユニット中のカルボキシ基[−COOH]又はヒドロキシ基[−OH]と反応することにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットは非晶性樹脂ユニットと化学的に結合することができる。
若しくは、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの形成時、多価アルコール又は多価カルボン酸と反応可能であり、かつ、非晶性樹脂ユニットと反応可能な部位を有する化合物を使用してもよい。
上記の方法を用いることにより、非晶性樹脂ユニットに結晶性ポリエステル樹脂ユニットが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を形成することができる。
(2)結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド樹脂を製造する方法
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する。また、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成する反応系とは別に、上述した非晶性樹脂ユニットを構成する単量体を付加重合させて非晶性樹脂ユニットを形成する。このとき、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが互いに反応可能な部位を組み込んでおくと好ましい。なお、このような反応可能な部位を組み込む方法は、上述のとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、上記で形成した結晶性ポリエステルユニットと、非晶性樹脂ユニットとを反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を形成することができる。
また、上記反応可能な部位が結晶性ポリエステル樹脂ユニット及び非晶性樹脂ユニットに組み込まれていない場合は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが共存する系を形成しておき、そこへ結晶性ポリエステル樹脂ユニット及び非晶性樹脂ユニットと結合可能な部位を有する化合物を投入する方法を採用してもよい。そして、当該化合物を介して、結晶性ポリエステル樹脂ユニットと非晶性樹脂ユニットとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を形成することができる。
(3)結晶性ポリエステル樹脂ユニットをあらかじめ形成しておき、当該結晶性ポリエステル樹脂ユニットの存在下で非晶性樹脂ユニットを形成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて重合を行い、結晶性ポリエステル樹脂ユニットを形成しておく。
次に、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの存在下で、非晶性樹脂ユニットを構成する単量体を重合反応させて非晶性樹脂ユニットを形成する。このとき、上記(1)と同様に、結晶性ポリエステル樹脂ユニット又は非晶性樹脂ユニット中に、これらユニットが互いに反応可能な部位を組み込んでおくと好ましい。なお、このような反応可能な部位を組み込む方法は、上述のとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
上記の方法を用いることにより、結晶性ポリエステル樹脂ユニットに非晶性樹脂ユニットが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を形成することができる。
上記(1)〜(3)の形成方法の中でも、(1)の方法は非晶性樹脂鎖に結晶性ポリエステル樹脂鎖をグラフト化した構造のハイブリッド樹脂を形成し易いことや生産工程を簡素化できるため好ましい。
(1)の方法は、非晶性樹脂ユニットをあらかじめ形成してから結晶性ポリエステル樹脂ユニットを結合させるため、結晶性ポリエステル樹脂ユニットの配向が均一になりやすい。したがって、本発明で規定するトナーに適したハイブリッド樹脂を確実に形成することができるので好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂粒子の融点Tmは、60〜85℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは65〜80℃の範囲内である。Tmが、60〜85℃の範囲内であれば、低温定着性と耐熱保管性を両立することができる。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点測定法)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができる。
例えば、「Diamond DSC」(パーキンエルマー社製)を用いて求めることができる。測定手順としては、試料3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットした。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、昇温過程における吸熱ピークを融点とした。
<着色剤>
トナーを構成しうる着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。
磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロムなどを用いることができる。
マゼンタ又はレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同81:4、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等が挙げられる。
また、オレンジ又はイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同139、同155、同162、同180、同185、C.I.ソルベントイエロー93等が挙げられる。
さらに、グリーン又はシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は、必要に応じて単独又は二つ以上を選択併用することも可能である。
着色剤の添加量は、トナー全体に対して好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%の範囲内で、これらの混合物も用いることができる。このような範囲内であると、画像の色再現性を確保できる。
また、トナー中の着色剤分散径としては、体積平均粒径で、10〜1000nm、50〜500nmの範囲内が好ましく、さらには80〜300nmの範囲内が特に好ましい。
<離型剤>
トナーを構成する離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1、18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の融点は、好ましくは40〜160℃の範囲内であり、より好ましくは50〜120℃の範囲内である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等を起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中の離型剤の含有量は、1〜30質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。
<荷電制御剤>
また、本発明に係るトナー母体粒子には、必要に応じて、荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体などが挙げられる。
荷電制御剤の含有割合は、トナー中に含有する樹脂全体に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内とされる。
<トナー母体粒子の平均円形度>
まず、本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度について説明する。本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度は、0.850〜0.990の範囲内が好ましい。
ここで、トナー母体粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
<トナー粒子の粒径>
次に、本発明で用いられるトナー粒子の粒径について説明する。本発明で用いられるトナー粒子の粒径は、体積平均粒径(D50%径)、すなわち体積基準メディアン径で3〜10μmの範囲内のものであることが好ましい。
体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、例えば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能になる。
トナー粒子の体積基準メディアン径(D50%径)は、例えば、「Multisizer 3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて、前述と同様に測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(D50%径)とする。
また、トナー母体粒子の粒径も同様にして測定することができる。
<トナーの軟化点>
本発明のトナーの軟化点は、90〜120℃の範囲内が好ましい。トナーの軟化点がこの範囲であるときに、好ましい低温定着性が得られる。
軟化点の測定は、前述の方法、すなわち、「フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)により測定することができる。
[トナーの製造方法]
<トナー母体粒子の製造方法>
本発明のトナー母体粒子を製造する方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー母体粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化によって製造された樹脂の粒子(以下、「樹脂粒子」ともいう)の分散液を、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、樹脂粒子は、任意に離型剤及び荷電制御剤などを含有していてもよい。
本発明のトナー母体粒子は、乳化凝集法で製造することが好ましい。すなわち、上記スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含む非晶性樹脂の微粒子の水系分散液と、トランス−1,4−ポリイソプレンの微粒子の水系分散液と、着色剤微粒子の水系分散液とを混合し、それぞれの微粒子を凝集し、次いで、融着させることによって、本発明のトナー母体粒子とすることができる。
また、本発明では、非晶性樹脂の微粒子の水系分散液と、トランス−1,4−ポリイソプレンの微粒子の水系分散液と、着色剤微粒子の水系分散液とを混合する際に、結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の水系分散液も混合することが好ましい。
本発明のトナー母体粒子を乳化凝集法によって製造する場合の、着色剤を含有するトナー母体粒子の製造例を具体的に示すと、
(a)水系媒体中に、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有した非晶性樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(b)水系媒体中で、トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子の分散液を調製する工程
(c)水系媒体中で、着色剤微粒子の分散液を調製する工程
(d)前記非晶性樹脂微粒子の分散液と、前記トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子の分散液と、前記着色剤微粒子の分散液とを混合し、当該非晶性樹脂微粒子と、当該トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子と、当該着色剤微粒子とを凝集・融着させて凝集粒子を成長させ、次いで熱エネルギーにより熟成させて、トナー母体粒子の形状を調整する熟成工程、を経てトナー母体粒子が形成される。
上記(d)の工程の後、さらに、トナー母体粒子の水系分散液からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程、洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程、から構成され、必要に応じて、乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程を加えることでトナー粒子を製造することができる。
また、上記(d)の工程の際に、必要に応じて、上記各分散液に結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液も混合して、結晶性ポリエステル樹脂粒子も凝集させてもよい。
《非晶性樹脂微粒子の分散液を調製する工程》
非晶性樹脂微粒子分散液は、トナーの技術分野において公知の製造方法、例えば、乳化重合法、転相乳化法、懸濁重合法、溶解懸濁法などにより製造することができる。中でも、乳化重合法による製造が好ましい。
乳化重合法においては、結着樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂微粒子が形成される。使用される単量体としては、<非晶性樹脂>の項で記述したものを使用することができ、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有することが特徴である。共重合体の合成方法は、上述したとおり、スチレン・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂の一部を置換することにより合成したり、別の方法として、スチレン・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂と、スチレン誘導体・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸からなる非晶性樹脂を併用し用いることも可能である。
上記共重合体の合成の際に使用可能な触媒としては、来公知の種々のものを用いることができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)が好ましく用いられる。その他、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物、アゾビスイソブチロニトリルなどを用いてもよい。
非晶性樹脂として、上記共重合体以外の樹脂も含有させることができ、この場合、常法にしたがった乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する多段重合法を採用することができる。
また、ミニエマルション重合法により、離型剤を内包させることも可能である。
(水系媒体)
本実施形態において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を用いることが好ましい。
また、水系媒体には、必要に応じて、アミンやアンモニアが溶解されていてもよい。
(界面活性剤)
上記の水系媒体中においては、必要に応じて、通常のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの界面活性剤が溶解されていてもよい。界面活性剤としては、非晶性樹脂による油滴の分散安定性に優れ、また、温度変化に対する安定性が得られることから、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、及びその誘導体類などを挙げることができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
乳化分散させる具体的な手段としては、機械的エネルギーを付与することが挙げられ、機械的エネルギーを付与するための分散装置としては、特に限定されるものではなく、例えば高速回転可能なローターを備えた撹拌装置や、超音波分散装置や機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザーなどの装置を用いることができる。
《トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子の分散液を調製する工程》
トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子の分散液は、上述したように、例えば、イソプレン、純水、界面活性剤を混合し窒素置換をした後に、ラジカル重合開始剤水溶液を加え、所望の温度で乳化重合を行うことで、調製することができる。
また、市販のトランス−1,4−ポリイソプレンを有機溶媒に溶解し、公知の方法により界面活性剤水溶液中で乳化し、脱溶媒することで分散液を得ることができる。
さらに、市販のトランス−1,4−イソプレンを有機溶媒に溶解し、界面活性剤水溶液に加え乳化を行った後、有機溶媒を脱溶媒し、乳化分散液を調製したものも用いることができる。
《着色剤微粒子の分散液を調製する工程》
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
この着色剤微粒子の分散液を調製する工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメディアン径で10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメディアン径は、「ナノトラックWave-EX150」(日機装社製)を用いて動的光散乱法によって測定した。
《トナー母体粒子形成工程》
トナー母体粒子形成工程においては、非晶性樹脂微粒子、トランス−1、−4−ポリイソプレン微粒子及び着色剤微粒子とともに、必要に応じて、離型剤などのオフセット防止剤や荷電制御剤などのその他のトナー構成成分の微粒子を凝集させることもできる。
非晶性樹脂微粒子、トランス−1、−4−ポリイソプレン微粒子及び着色剤微粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度以下の温度に加熱することによって、非晶性樹脂微粒子、トランス−1、−4−ポリイソプレン微粒子及び着色剤微粒子などの粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法である。
この方法においては、凝集剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くして速やかに、これらの樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、これら混合物の融解ピーク温度以下の温度に加熱することが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によっては粒子の凝集状態が変動して粒径分布が不安定になったり、融着させた粒子の表面性が変動したりする問題が発生することが懸念されるためである。この昇温までの時間としては通常30分間以内であることが好ましく、10分間以内であることがより好ましい。また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー母体粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上することができる。
(凝集剤)
このトナー母体粒子形成工程において使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。
金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム及びリチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン及び銅などの2価の金属塩;鉄及びアルミニウムなどの3価の金属塩などが挙げられる。
具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム及び硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このトナー母体粒子形成工程において得られるトナー母体粒子の粒径は、例えば、体積基準のメディアン径(D50%径)が2〜9μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜7μmである。
トナー母体粒子の体積基準のメディアン径は、「Multisizer 3」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
《熟成工程》
上記のトナー母体粒子形成工程における加熱温度の制御により、ある程度トナーにおけるトナー粒子の形状の均一化を図ることができるが、さらなる形状の均一化を図るために、熟成工程を経ることが好ましい。
この熟成工程は、加熱温度と時間の制御を行うことにより、粒径が一定で分布が狭く形成したトナー母体粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものとなるよう制御する。具体的には、トナー母体粒子形成工程において加熱温度を低めにして樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、この熟成工程においても加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてトナー母体粒子を所望の平均円形度となる、すなわち表面が均一な形状のものとなるよう制御する。
《洗浄・乾燥工程》
洗浄・乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。すなわち、上記熟成工程にて所望の平均円形度まで熟成した後、例えば遠心分離器などの公知の方法により、固液分離し洗浄を行い、減圧乾燥にて有機溶媒を除去し、さらに、フラッシュジェットドライヤー及び流動層乾燥装置など公知の乾燥装置にて水分及び微量の有機溶媒を除去する。乾燥温度は、トナーが融着しない範囲であればよい。
《外添剤処理工程》
この外添剤処理工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に必要に応じて外添剤を添加、混合することにより、トナー粒子を調製する工程である。
乾燥工程までの工程を経て作製されたトナー母体粒子は、そのままトナー粒子として使用することが可能であるが、トナーとしての帯電性能や流動性、又はクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑材を外添剤として添加することが好ましい。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子及び酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子及びステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、又はチタン酸ストロンチウム及びチタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸又はシリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
これらの外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー及びコーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
[現像剤]
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト及びマグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム又は鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmの範囲内のものが好ましく、25〜80μmの範囲内のものがより好ましい。
[トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液の調製]
撹拌機、温度計を備えた耐圧反応容器に、純水750質量部、界面活性剤ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)4質量部、イソプレン200質量部を投入し、反応容器内を窒素置換した。さらに、撹拌を行いながら内温を70℃とした後、純水50質量部に過流酸カリウム2質量部を溶解した重合開始剤水溶液を加え、撹拌を行いつつ70℃で反応を8時間行った後、冷却し反応液を取り出した。
重量平均分子量は115000、体積平均粒径は220nm、固形分濃度は20%であった。また、トランス−1,4結合は、樹脂全体の88%であった。これをトランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液とした。
[シアン着色剤微粒子分散液の調製]
純水600質量部に界面活性剤ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)5質量部を加え、界面活性剤水溶液を調製した。シアン着色剤C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン)150質量部を加え、クレアミックス(エムテクニック社)を用い、撹拌速度8000rpm分散を行い、シアン着色剤微粒子分散液を得た。固形分濃度は20質量%、体積平均粒径は210nmであった。
[ブラック着色剤微粒子分散液の調製]
純水600質量部に界面活性剤ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)5質量部を加え、界面活性剤水溶液を調製した。ブラック着色剤カーボンブラック(モーガルL キャボット社)150質量部を加え、クレアミックス(エムテクニック社)を用い、撹拌速度8000rpmで分散を行い、ブラック着色剤微粒子分散液を得た。固形分濃度は20質量%、体積平均粒径は170nmであった。
[非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕の調製]
スチレン68質量部、4−tert−ブチルスチレン10質量部、n−ブチルアクリレート17質量部及びメタクリル酸5質量部に、ベヘン酸ベヘニル15質量部を加え、内温を70℃にし溶解し、モノマー溶液とした。純水410質量部に界面活性剤ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)5質量部を加え溶解し、同様に70℃に維持した。界面活性剤水溶液にモノマー溶液を加え、内温を70℃に維持しクレアミックス(エムテクニック社)を用い撹拌速度10000rpmで分散を行い、モノマー乳化液を調製した。
撹拌装置、窒素導入管、冷却管及び温度センサーを備えた反応容器に、モノマー乳化液を加え、窒素気流下75℃に昇温、維持し撹拌を行った。過流酸カリウム3質量部を純水30質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加した後、n−オクチルメルカプタン1.1質量部を30分にわたって滴下を行った。さらに、窒素気流下、撹拌を行いつつ5時間重合を行った後、内温を80℃に昇温し、30分間撹拌を行い重合を完結させ、室温まで冷却を行った。
体積平均粒径は210nm、重量平均分子量(Mw)は18000、ガラス転移点点は59℃、固形分濃度は20質量%であった。
[非晶性樹脂微粒子分散液〔2〕〜〔6〕の調製]
非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕の調製において、モノマーの組成を表1に示すように変えた以外は、非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕の調製と同様に行い、非晶性樹脂微粒子分散液〔2〕〜〔6〕を調製した。重量平均分子量、体積平均粒径及びガラス転移点を、下記表1に示す。
Figure 2016197187
[結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の合成]
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール430質量部、セバシン酸691質量部、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート4質量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しつつ10時間反応させた。さらに0.007〜0.026MPaの減圧下に水を留去しながら反応させ、酸価が10mgKOH/gになった時点で取り出し、結晶性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。重量平均分子量(Mw)は16000、酸価は9.1mgKOH/gであり、融点は67℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂〔2〕の合成]
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の合成において、1,6−ヘキサンジオール430質量部、セバシン酸691質量部を、1,9−ノナンジオール583質量部、ドデカン二酸787質量部に変えた以外は同様の方法で結晶性ポリエステル樹脂〔2〕を合成した。重量平均分子量(Mw)は15500、酸価は8.1mgKOH/gであり、融点は72℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂〔3〕の合成]
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の合成において、1,6−ヘキサンジオール430質量部、セバシン酸691質量部を、デカンジオール634質量部、ドデカン二酸787質量部は変えた以外は同様の方法で結晶性ポリエステル樹脂〔3〕を合成した。重量平均分子量(Mw)は15500、酸価は8.6mgKOH/gであり、融点は81℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕の調製]
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部をトリメチルアミン1.65質量部及びメチルエチルケトン400質量部に投入し、60℃に加温し撹拌を行い溶解し、溶液を調製した。0.1%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)水溶液400質量部を60℃に加熱し、結晶性ポリエステル樹脂溶液を加え、ホモジナイザーを用い高速撹拌を行い乳化した。さらに、乳化液を減圧しメチルエチルケトンを留去し、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。この分散液は、ナノトラックWave EX-150(日機装社製)を用い体積平均粒径を測定した。体積平均粒径は210nm、固形分濃度は20%であった。
[結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔2〕の調製]
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕の調製において、結晶性ポリエステル樹脂〔1〕を結晶性ポリエステル樹脂〔2〕に変え、トリエチルアミンの添加量を1.46質量部に変えた以外は同様の方法で行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子微分散液〔2〕を得た。体積平均粒径は225nm、固形分濃度は20%であった。
[結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔3〕の調製]
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕の調製において、結晶性ポリエステル樹脂〔1〕を結晶性ポリエステル樹脂〔3〕に変え、トリエチルアミンの添加量を1.55質量部に変えた以外は同様の方法で行い、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔3〕を得た。体積平均粒径は220nm、固形分濃度は20%であった。
[トナー母体粒子〔1〕の合成]
撹拌装置、冷却管及び温度センサーを備えた反応容器に、初期の分散液として、非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕450質量部、トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液61質量部、シアン着色剤微粒子分散液31質量部、純水100質量部及びポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)9質量部を投入し、撹拌を行いつつ、1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを10に調整した。さらに、撹拌を行いつつ水酸化マグネシウム・6水和物11.6質量部を純水11.6質量部に溶解した水溶液を添加し、撹拌を行いつつ内温を70℃とした。
サンプリングを行い、Multisizer 3(ベックマン・コールター社製)を用い粒径を測定し、平均粒径が2μmに達したところで、1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを10に調整した非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕100質量部を分散液の追加液として30分かけて滴下した。
さらに、内温を80℃に昇温し、Multisizer 3(ベックマン・コールター社製)を用い、粒径を測定し粒径が6μmに達したところで、塩化ナトリウム16質量部を純水63質量部に溶解した水溶液を投入した。さらに、80℃、で撹拌を行いつつサンプリングを行い、Multisizer 3を用い粒径を、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)を用い、円形度を測定し、円形度が0.96に到達した時点で、室温まで冷却した。
この反応液を洗浄、濾過を繰り返した後、乾燥を行いトナー母体粒子〔1〕を得た。体積平均粒径は6.14μm、平均円形度は0.963であった。
[トナー母体粒子〔2〕の合成]
撹拌装置、冷却管及び温度センサーを備えた反応容器に、初期の分散液として、非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕360質量部、トランス−1,4−ポリイソプレン分散液61質量部、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕153質量部、シアン着色剤微粒子分散液31質量部、純水100質量部及びポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分27%)9質量部を投入し、撹拌を行いつつ1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを10に調整した。さらに、撹拌を行いつつ水酸化マグネシウム・6水和物11.6質量部を純水11.6質量部に溶解した水溶液を添加し、撹拌を行いつつ内温を70℃とした。
サンプリングを行い、Multisizer 3(ベックマン・コールター社製)を用い、粒径を測定し、平均粒径が2μmに達したところで、1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを10に調整した非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕100質量部を分散液の追加液として30分かけて滴下した。さらに、内温を80℃に昇温し、Multisizer 3(ベックマン・コールター社製)を用い、粒径を測定し粒径が6μmに達したところで、塩化ナトリウム16質量部を純水63質量部に溶解した水溶液を投入した。さらに、80℃で撹拌を行いつつサンプリングを行い、Multisizer 3を用い粒径を、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)を用い、円形度を測定し、円形度が0.96に到達した時点で、室温まで冷却した。
この反応液を洗浄、濾過を繰り返した後、乾燥を行いトナー母体粒子〔2〕を得た。体積平均粒径は6.09μm、平均円形度は0.964であった。
[トナー母体粒子〔3〕の合成]
トナー母体粒子〔1〕の合成において、シアン着色剤微粒子分散液をブラック着色剤微粒子分散液に変更した以外は同様の方法で合成を行い、トナー母体粒子〔3〕を得た。体積平均粒径は6.23μm、平均円形度は0.967であった。
[トナー母体粒子〔4〕〜〔8〕の合成]
トナー粒子〔2〕の合成において、非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕を非晶性樹脂微粒子分散液〔2〕〜〔6〕に変更した以外は同様の方法でトナー母体粒子〔4〕〜〔8〕を得た。体積平均粒径及び平均円形度の結果は表2に示す。
[トナー母体粒子〔9〕及び〔10〕の合成]
トナー母体粒子〔2〕の合成において、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕を結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔2〕及び〔3〕に変更した以外は同様の方法でトナー母体粒子〔9〕及び〔10〕を得た。体積平均粒径及び平均円形度の結果は表2に示す。
[トナー母体粒子〔11〕の合成]
トナー母体粒子〔2〕の合成において、トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液を35質量部、初期の分散液として非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕を386質量部に変えた以外は同様の方法でトナー母体粒子〔11〕を得た。体積平均粒径及び平均円形度の結果は表2に示す。
[トナー母体粒子〔12〕の合成]
トナー母体粒子〔1〕の合成において、初期の分散液として非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕を非晶性樹脂微粒子分散液〔6〕510質量部に変え、トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液を除いた以外は同様の方法でトナー母体粒子〔12〕を得た。体積平均粒径及び平均円形度の結果は表2に示す。
[トナー母体粒子〔13〕の合成]
トナー母体粒子〔2〕の合成において、初期の分散液として非晶性樹脂微粒子分散液〔1〕を非晶性樹脂微粒子分散液〔6〕420質量部に変え、トランス−1,4−ポリイソプレン微粒子分散液を除いた以外は同様の方法でトナー母体粒子〔13〕を得た。体積平均粒径及び平均円形度の結果は表2に示す。
Figure 2016197187
[トナー〔1〕〜〔13〕の製造]
上記で得られたトナー母体粒子〔1〕〜〔13〕に対し、疎水性シリカ(数平均一次粒子径:10nm、疎水化度:60)2質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、目開き45μmの篩を用い、粗大粒子を取り除きトナー〔1〕〜〔13〕を得た。
[現像剤〔1〕〜〔13〕の製造]
トナー〔1〕〜〔13〕の各々に対し、アクリル樹脂で被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度6質量%になるよう添加し、混合することにより現像剤〔1〕〜〔13〕を製造した。
[評価]
<破砕性試験>
容器にトナー濃度6%になるようにキャリアを加え、ローターを用い1時間撹拌を行った後、取り出し、キャリアとトナーを分離し、トナーの粒度分布をFPIA−2100を用い、試験前後の2μm以下の個数%を測定した。破砕性試験前後の個数%が1個数%以上増加し、かつ、2個数%以上となったトナーを不合格とした。結果を表3に示した。
<低温定着性>
定着温度及び定着速度を可変にできるよう改造したbizhub PRO C6500(コニカミノルタ社製)を用い、トナー付着量9g/mのベタ画像を出力し、定着温度が180℃から5℃ごとに100℃まで設定し、420mm/secの線速で定着を行った後、画像部分を谷折りにし画像が剥がれ折れ目が現れる幅が0.5mm以下になった定着温度を最低定着温度(MFT)とした。
低温定着性評価では、135℃以下を合格とした。結果を表4に示した。
<定着画像光沢度>
定着温度及び定着速度を可変にできるよう改造したbizhub PRO C6500(コニカミノルタ社製)を用い、トナー付着量9g/mのベタ画像を出力し、180℃の定着温度で線速100mm/sec及び420mm/secの速度で定着を行った。この定着画像を光の入射角75度での光沢度をGloss Meter GM−26D(村上色彩工学研究所製)を用いて測定した。
光沢度は20以下、又は、定着速度による光沢度の差が5以下を合格とした。結果を表4に示した。
<ドキュンメトオフセット性>
bizhub PRO C6500(コニカミノルタ社製)を用い、トナー付着量9g/mのベタ画像を2枚出力し、定着温度150℃、定着線速420mm/secで定着を行った。得られた定着画像の画像部同士を重ね、その上に80g/cm相当の質量の加重をかけ、温度60℃、湿度50%RHの環境に3日間放置した後、重ねた2枚の定着画像を剥離し、画像欠損について下記の評価基準に従って評価した。
本発明においては下記評価基準の「G5」又は「G4」である場合を合格とした。結果を表4に示した。
(評価基準)
G1:画像部が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部への明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:互いの画像表面に画像のあれやグロスの低下は発生するが、画像としての欠損はほとんどない。非画像部に若干の画像の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の定着画像を剥離するときに、パリッという音がし、非画像部に僅かな画像の移行が見られるが、画像欠損はない。
G5:画像部及び非画像部ともに画像欠損や画像の移行が見られない。
Figure 2016197187
Figure 2016197187
以上の表3及び表4の結果から明らかなように、本発明のトナーを用いた現像剤は、低温定着性に優れ光沢度も低く、定着速度の線速が異なっても光沢度の変動が小さい。また、ドキュメントオフセットも良好であり、低温定着、画像光沢度安定性及びドキュメントオフセット性を両立したトナーである。

Claims (7)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が、非晶性樹脂とトランス−1,4−ポリイソプレンとを含有し、
    当該非晶性樹脂が、スチレン構造の繰り返し単位と、スチレンのベンゼン環の4位に分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基を有するスチレン誘導体構造の繰り返し単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トランス−1,4−ポリイソプレンが、前記結着樹脂中に含有する樹脂全体に対して5〜15質量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂が、さらに結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60〜85℃の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記分岐アルキル基、分岐アルコキシ基又は分岐アルキルカルボニルオキシ基のアルキル基部分の炭素数が、3〜10の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記非晶性樹脂において、前記スチレン誘導体構造の繰り返し単位が、前記スチレン構造の繰り返し単位に対して、10質量%以上含有されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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JP2017171845A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 日立造船株式会社 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた樹脂成形品

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