(概要)
以下に説明する設備管理装置は、対象空間の空気調和を行うための空気調和設備の動作を管理するように構成される。対象空間は、空気調和設備により空気調和を行う空間であって、一般的には、住宅における一室あるいは住宅の全体、またはオフィスビルあるいは商業ビルにおける一室などである。住宅は、戸建て住宅だけではなく、集合住宅を構成する1つの住戸であってもよい。空気調和設備を用いて行う空気調和は、主として温度を対象にしているが、湿度、空気清浄度などを対象に含む場合がある。
空気調和設備は、電力のようなエネルギー資源を消費することにより空気調和を行う能動型設備であるか、エネルギー資源を消費せずに空気調和を行う受動型設備であるかを問わない。能動型設備は、たとえばヒートポンプ式のエアコン、換気扇、ヒータ、床暖房設備などがあり、受動型設備は、たとえば窓、シャッタ、カーテン、外付けブラインド、オーニングなどがある。ただし、受動型設備は、電動式であって、与えられた指示に応じて動作するように構成されている。空気調和設備は、動作の制御が可能であればよく、地中熱を利用する設備、ミストを発生させて気化熱の利用により気温を下げる設備、建物の外皮に散水することにより気温を下げる設備などを用いることを妨げない。
以下の説明において、空気調和設備がエアコンである場合を主として説明し、外付けブラインド、窓、換気扇を併用する場合についても説明する。ここでは、エアコンは電力によってヒートポンプを動作させる構成であり、換気扇は電動モータで駆動されるファンを備えた構成である。また、外付けブラインドと窓とは、電動で開閉が行われる構成を想定する。すなわち、以下の説明において、空気調和設備は電気機器の一種である。
対象空間は、エアコンにより空気調和を行う住宅の一室を想定するが、窓、換気扇を空気調和設備として用いる場合は、住宅において、エアコンにより空気調和を行う部屋ではない場所の窓、換気扇を用いることが可能である。対象空間には、対象空間に関して少なくとも温度を監視するために環境センサが配置され、設備管理装置は、環境センサから対象空間の環境に関する空間情報として温度に関する情報を取得する。環境センサは、対象空間の環境に関する空間情報として、温度以外に、湿度、空気清浄度などを計測する場合もある。
設備管理装置は、空気調和設備と通信することが可能である。設備管理装置は、空気調和設備との通信によって空気調和設備に対して対象空間の空気調和のために使用するか否かを指示する。空気調和設備がエアコンあるいは換気扇である場合、対象空間の空気調和を行うために空気調和設備を使用する指示は、空気調和設備を運転する指示になる。空気調和設備が外付けブラインドあるいは窓である場合、対象空間の空気調和を行うために空気調和設備を使用する指示は、対象空間の環境に応じて異なるが、空気調和設備を開けるか閉じる指示になる。
たとえば、対象空間の温度を下げる場合であって、対象空間の外部の温度が内部の温度よりも低ければ、設備管理装置は、窓を使用して対象空間の空気調和を行うために、窓に対して開けるように指示を与える。また、対象空間の温度を下げる場合であって、対象空間に日射が入射していれば、設備管理装置は、外付けブラインドを使用して対象空間の空気調和を行うために、外付けブラインドに対して閉じるように指示を与える。設備管理装置は、空気調和設備である窓に対して、換気扇を運転するときに開け、換気扇を停止させるときに閉じるように指示することも可能である。窓は通気を行う際に開けられ、外付けブラインドは日除けを行う際に閉じられる。
設備管理装置は、対象空間の空気調和のために空気調和設備の使用を許可する許可期間の開始時刻と終了時刻との少なくとも一方を定めている。たとえば、許可期間の開始時刻と終了時刻との両方を定めている場合、空気調和設備は、開始時刻と終了時刻との間でのみ空気調和のために使用が許可される。このように空気調和設備の使用が許可される許可期間を制限していることにより、許可期間の制限がない場合と比較すると電力消費量の抑制が可能になる。
消費電力量を抑制するには、電力を消費して空気調和を行う構成の空気調和設備を使用する時間を短縮することが望ましい。そのため、以下に説明する構成例では、設備管理装置において、空気調和設備の使用が必要か否かの判断基準になる制御条件を定めている。設備管理装置は、許可期間において制御条件を用いた判断によって空気調和設備の使用が必要と判断した期間にのみ空気調和設備の使用を指示する。
制御条件は、対象空間に関する空間情報に対して定められている。空間情報は、少なくとも対象空間の温度に関する情報を含む。対象空間の温度を上げるように空気調和設備を使用する場合、設備管理装置は、対象空間の温度に対する下限値を定め、対象空間について監視している温度の値が下限値以下であることを制御条件に定めることが望ましい。一方、対象空間の温度を下げるように空気調和設備を使用する場合、設備管理装置は、対象空間の温度に対する上限値を定め、対象空間について監視している温度の値が上限値以上であることを制御条件に定めることが望ましい。設備管理装置は、上述のように制御条件を定めており、許可期間であっても制御条件が成立しなければ空気調和設備を使用しないから、空気調和設備による電力消費量をさらに抑制することが可能になる。
制御条件は、対象空間の温度に関する条件だけではなく、対象空間の湿度に関する条件など、対象空間の環境に対して条件を定めることが可能である。
(システム構成例)
図1に基づいて、設備管理装置10が、HEMS(Home Energy Management System)のコントローラ100における機能の一部として実現されている場合の構成例を簡単に説明する。コントローラ100は、分電盤32に付設された計測装置33と通信し、また電気機器25と通信するように構成されている。
分電盤32は、住宅30に設置されるキャビネットを備え、キャビネットの中には、1個の主幹ブレーカと複数個の分岐ブレーカとが収納される。分電盤32は、電力系統を通して住宅30に供給された電力を複数系統の分岐回路34に分配する。分電盤32は、太陽光発電設備あるいは風力発電設備のような発電設備が発電した電力、蓄電設備が備える蓄電池あるいは電動車両に搭載された蓄電池から供給される電力、燃料電池システムからの電力などを扱うように構成されていてもよい。
計測装置33は、キャビネットの中に収納される構成と、キャビネットの外部に隣接して配置される構成とがある。計測装置33は、分岐回路34ごとに通過した電力を計測するように構成されている。すなわち、計測装置33は、複数個の分岐ブレーカと一対一に対応する複数個の電流センサを備え、分岐回路34ごとの通過電流を電流センサにより計測する。本実施形態では、電流センサは、コアレス型のコイルであるロゴスキーコイルを採用している。ただし、電流センサは、環状コアを備えるカレントトランス、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子のような磁気抵抗素子、シャント抵抗などから選択してもよい。
計測装置33は、主幹ブレーカの2次側で、分岐回路34の線間の電圧を計測する。計測された電圧値は、電流センサが分岐回路34ごとに計測した電流値と併せて計測装置33に与えられ、複数の分岐回路34のそれぞれを通過する電力値が求められる。電力値は、所定の単位時間ごとの積算値として求められる。単位時間は、たとえば、1秒から10分程度の範囲から選択され、望ましくは30秒から2分程度の範囲から選択される。
計測装置33が求めた単位時間ごとの電力値は、電気機器25が消費した電力値のデータとして、計測装置33からコントローラ100に引き渡される。計測装置33とコントローラ100との間のデータの授受は通信によって行われる。コントローラ100は、通信用のインターフェイス部を備えており、コントローラ100は計測装置33との間で通信を行うだけではなく、住宅30で使用する少なくとも一部の電気機器25との間でも直接通信を行うことが可能である。コントローラ100が電気機器25との間で直接通信を行う場合、たとえば、ECHONET Lite(商標)の規格を満足するように通信プロトコルが用いられる。計測装置33および電気機器25が通信を行うための構成を備えていない場合には、コントローラ100との間の通信が可能な通信ユニットを付設することにより、コントローラ100との間でデータを授受可能にしてもよい。
電力値のデータを計測装置33からコントローラ100に引き渡すタイミングは、計測装置33とコントローラ100とのいずれかが定める。つまり、計測装置33からコントローラ100にプッシュ型の通信を行うことにより電力値のデータをコントローラ100に引き渡す構成と、コントローラ100からの要求に応えて計測装置33から電力値のデータをコントローラ100に引き渡す構成とのいずれかが採用される。コントローラ100が分岐回路34ごとに消費された電力値のデータを取得するタイミングは、定期的であるか不定期的であるかは問わない。
コントローラ100は、住宅30で使用される一部の電気機器25と直接通信する機能を有している。コントローラ100が電気機器25と直接通信するときには、通信プロトコルにおける物理層のような下位層の伝送媒体は、とくに制約はなく、電波を伝送媒体に用いた無線通信と電力線搬送通信のような有線通信とが適宜に選択される。以下の説明における無線通信には、たとえば、920MHz帯の電波を伝送媒体とする特定小電力無線が用いられる。ただし、無線通信の周波数および通信の方式は適宜に選択される。
コントローラ100は、ルータ41を通して、インターネットのような宅外の通信ネットワーク42と接続することが可能であり、またルータ41を通してLAN(Local Area Network)のような宅内の通信ネットワーク43と接続することが可能である。コントローラ100が宅内の通信ネットワーク43と接続されている場合、コントローラ100は宅内の通信ネットワーク43に接続された電気機器25との間でも通信することが可能である。
すなわち、電気機器25としては、コントローラ100と直接通信する構成と、宅内の通信ネットワーク43を通してコントローラ100と通信する構成とを採用可能である。また、操作表示装置40は、コントローラ100と直接通信する構成と、宅外の通信ネットワーク42を通してコントローラ100と通信する構成と、宅内の通信ネットワーク43を通してコントローラ100と通信する構成とが選択可能である。
コントローラ100と通信する電気機器25は、エアコン21のような空気調和設備20に限らず、照明器具、冷蔵庫、洗濯機、IHクッキングヒータ、食器洗い乾燥機、テレビジョン受像機などでもよい。また、コントローラ100と通信する電気機器25は、電力を消費する電気機器に限らず、太陽光発電設備、燃料電池システムのように電力を創出する設備、蓄電装置のように電力の蓄積と放出とが可能な設備などを含んでいてもよい。要するに、電気機器25は住宅30で使用するHEMS対応機器であればよい。
図1に示す構成例では、設備管理装置10は、コントローラ100の機能の一部として構成されているから、特定の電気機器25と通信可能である。すなわち、設備管理装置10は、電気機器25の動作を制御することが可能であり、また電気機器25の動作を監視することが可能である。電気機器25に対する制御の内容は、操作表示装置40を用いて指示することが可能であり、電気機器25を監視した内容は、操作表示装置40に表示することが可能である。
(実施形態1)
実施形態1について、図1、図2に示す構成例に基づいて説明する。この構成例は、住宅30の一室(部屋31)を対象空間として想定している。図2に示す住宅30は、空気調和設備20として、ヒートポンプ式のエアコン21と換気扇22と外付けブラインド23と窓24とを備える。外付けブラインド23と窓24とは電動式であることを想定している。すなわち、エアコン21と換気扇22と外付けブラインド23と窓24とは、電気機器25であって、コントローラ100と通信する。
上述したように、設備管理装置10は、HEMSのコントローラ100の機能の一部として実現されている。コントローラ100は、エアコン21と換気扇22と外付けブラインド23と窓24とのそれぞれと通信可能であり、空気調和設備20それぞれの動作状態を監視し、空気調和設備20それぞれに動作を指示するように構成されている。
本実施形態において空気調和設備20として用いるエアコン21と換気扇22と外付けブラインド23と窓24とは、いわゆるHEMS対応機器である。ただし、空気調和設備20が日本電機工業会規格(JEM)で定めたHA端子(HA:Home Automation)を備えている場合には、コントローラ100との通信が可能になるようにアダプタがHA端子に接続される。このアダプタは、HA端子の信号と、コントローラ100が通信に用いる信号とを相互に変換する。
コントローラ100の通信プロトコルは、たとえば、ECHONET Lite(商標)の規格を満足するように定められている。通信プロトコルにおける物理層のような下位層の伝送媒体については、とくに制約はなく、無線通信と有線通信とのいずれを用いるかは適宜に選択される。以下の説明における無線通信には、たとえば、920MHz帯の電波を伝送媒体とする特定小電力無線が用いられる。ただし、無線通信の周波数および通信の方式は適宜に選択される。
図1、図2には、上述のように、エアコン21と換気扇22と外付けブラインド23と窓24との4種類の空気調和設備20を部屋31に設けた例を示しているが、以下では、まずエアコン21を使用する場合の例を説明する。
設備管理装置10は、図1に示すように、時刻管理部11と空間情報取得部12と条件管理部13と判断部14と指示部15を備える。設備管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを備えたコンピュータにプログラムを実行させることにより実現可能である。このコンピュータは、CPUとメモリとが個別のデバイスで構成されるほか、1チップのマイコン(Microcontroller)で構成されていてもよい。プログラムは、コンピュータを、少なくとも時刻管理部11、空間情報取得部12、条件管理部13、判断部14、および指示部15として機能させる。プログラムは、ROM(Read Only Memory)に書き込まれているか、コンピュータで読取可能な記録媒体により提供される。また、インターネットのような通信ネットワークを通してプログラムが提供されてもよい。
設備管理装置10は操作表示装置40との間で情報を授受する。操作表示装置40は、設備管理装置10に接続される専用装置、あるいはスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの汎用の端末装置から選択される。設備管理装置10は、汎用の端末装置と通信するための通信用インターフェイスを備える。設備管理装置10は、ルータ41に接続され、ルータ41を通してLANあるいはインターネットあるいは移動体通信網のような通信ネットワーク42に接続される。したがって、ルータ41を通して設備管理装置10と通信する端末装置を操作表示装置40として用いることも可能である。端末装置は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどから選択される。
設備管理装置10と通信する端末装置は、ルータ41を経由するか否かにかかわらず、操作表示装置40と同様に、操作入力を受け付ける機能を有している。すなわち、操作表示装置40と端末装置とは、情報の提示を行う提示装置として用いられるだけではなく、操作入力を受け付けるためにも用いられ、設備管理装置10におけるユーザインターフェイスとして機能する。
時刻管理部11は、エアコン21の使用を許可する許可期間の開始時刻と終了時刻との少なくとも一方を境界時刻として定める。境界時刻は、ユーザが操作表示装置40を用いて任意に設定可能である。境界時刻は通常は1日の単位で設定され、この場合は、毎日同じ境界時刻が使用される。1週間を単位として境界時刻を設定する場合、曜日ごとに境界時刻を変えてもよい。時刻管理部11には、境界時刻の初期値として、1日の単位あるいは1週間の単位の最初の時刻と最後の時刻とがあらかじめ設定されていてもよい。要するに、境界時刻の初期値では、許可期間に制限が設定されていなくてもよい。
また、操作表示装置40を用いて、エアコン21の運転を開始する時刻として境界時刻を設定してもよい。つまり、エアコン21を自動的に運転させる時刻を境界時刻として設定しておき、いわゆるタイマ運転を行うようにしてもよい。この場合、許可期間は開始時刻のみが設定されることになる。
境界時刻を1日の単位で設定するか、1週間の単位で設定するかにかかわらず、2週間、1ヶ月、3ヶ月などに定めた期間ごとに境界時刻を変更してもよい。このような期間で境界時刻を変更すると、境界時刻に季節が反映される。本実施形態では、説明を簡単にするために許可期間の開始時刻と終了時刻との両方が時刻管理部11に設定されている場合について説明する。
空間情報取得部12は、対象空間である部屋31の空間情報として部屋31の温度に関する情報を取得する。温度に関する情報は、部屋31の気温、または体感温度が用いられる。部屋31の気温は空気の温度であるが、体感温度は、部屋31の相対湿度により気温を補正した値、部屋31の気流により気温を補正した値などを用いる。また、部屋31の気温だけではなく、壁、天井、床などからの輻射熱を考慮した温度を空間情報として用いることも可能である。
空間情報取得部12が取得する空間情報は、部屋31の温度に関する情報のほかに、部屋31の湿度に関する情報などであってもよい。部屋31の温度に関する情報は、上述したように、体感温度であってもよい。
図1、図2では、部屋31の温度を監視する環境センサ51と、屋外の温度を監視する環境センサ52とを配置してあり、これらの環境センサ51、52と設備管理装置10とが通信することにより、空間情報取得部12が空間情報(部屋31の温度、屋外の温度)を取得する構成例を示している。空間情報取得部12は、環境センサ51、52から情報を継続的に取得している。環境センサ51、52は、温度だけではなく、湿度も監視することが望ましく、また空気清浄度を監視してもよい。
環境センサ51、52から空間情報取得部12が空間情報を取得するタイミングは、定期的に定めた時点、または環境センサ51、52が監視している空間情報に変化が生じた時点とする。空間情報取得部12が環境センサ51、52から情報を定期的に取得する場合、情報を取得する周期は、30秒から30分程度の範囲から選択され、望ましくは1から10分程度の範囲から選択される。また、環境センサ51、52が監視する空間情報に変化が生じた時点で空間情報取得部12が空間情報を取得する場合、空間情報が温度であれば0.5℃から2℃程度の範囲から選択される閾値を設定する。環境センサ51、52は、監視している温度の値に閾値を超える変化が検出されると空間情報を送信する。前者の動作では、設備管理装置10からプル型通信を行うことにより、通信環境による情報の欠落の可能性が低減される。一方、後者の動作では、環境センサ51、52と設備管理装置10との間の通信量が低減される。
条件管理部13は、空間情報取得部12が取得する空間情報に対して、エアコン21の使用が必要か否かの判断基準になる制御条件を定めている。時刻管理部11での境界時刻と同様に、条件管理部13の制御条件は、ユーザが操作表示装置40を用いて任意に設定することが可能である。条件管理部13には、初期の制御条件があらかじめ定められていてもよい。空間情報が温度の値で場合、初期の制御条件は、たとえば、「エアコン21で冷房時に温度の値が28℃以上ならば運転が必要」、「エアコン21の暖房時に温度の値が20℃以下ならば運転が必要」などどと定められる。制御条件は、空気調和設備の種類(エアコンなど)、空気調和設備の動作状態(冷房時、暖房時など)、空間情報の値(温度の値など)などを組み合わせた条件であり、空気調和設備を該当する動作状態で使用することが必要か否かの判断基準になる。
判断部14は、境界時刻と制御条件とを用いて、エアコン21を使用して部屋31の空気調和を行うか否かの判断を行う。判断部14は、境界時刻により許可期間か否かを判断するために日時の情報を用いる必要がある。本実施形態では、設備管理装置10を構成するコンピュータが備えるリアルタイムクロックのような内蔵時計から判断部14が日時の情報を取得し、取得した日時と時刻管理部11に定めた境界時刻とを判断部14が比較するように構成されている。ただし、判断部14が内蔵時計を備えていてもよい。
判断部14は、取得した日時が許可期間である場合には、条件管理部13に定められている制御条件に照らしてエアコン21の使用が必要か否かを判断する。判断部14は、開始時刻に制御条件が成立している場合には、開始時刻からエアコン21の使用が必要と判断する。また、判断部14は、開始時刻に制御条件が成立していない場合、開始時刻にはエアコン21の使用は必要ないと判断し、その後、開始時刻と終了時刻との間で、制御条件が成立すれば、その時点でエアコン21の使用が必要と判断する。さらに、判断部14は、エアコン21の使用が必要と判断した場合は、終了時刻に達するまでエアコン21の使用を続けるように判断する。
ここで、許可期間の開始時刻を午前7時とする。また、制御条件は、エアコン21が対象であり、暖房時であって部屋31の温度が20℃以下ならば使用し、かつ設定温度は28℃という内容とし、冷房時であって部屋31の温度が28℃以上ならば使用し、かつ設定温度は25℃という内容とする。ここに、エアコン21を使用するとは、エアコン21を運転することを意味する。
この場合、判断部14は、午前7時において、環境センサ51から取得した部屋31の温度の値が20℃以下であれば、設定温度を28℃にしてエアコン21を使用すると判断する。また、判断部14は、午前7時において、環境センサ51から取得した部屋31の温度の値が28℃以上であれば、設定温度を25℃にしてエアコン21を使用すると判断する。
一方、午前7時において、環境センサ51から取得した温度の値が20℃を超え28℃未満である場合、判断部14は、開始時刻である午前7時にはエアコン21の使用は必要ないと判断する。ただし、判断部14は、午前7時に温度の値が20℃を超えていても、午前7時を過ぎた後で許可期間内に、環境センサ51から取得した部屋31の温度の値が20℃以下になると、その時点で、設定温度を28℃にしてエアコン21を使用すると判断する。同様に、判断部14は、午前7時に温度の値が28℃未満であっても、午前7時を過ぎた後で許可期間内に、環境センサ51から取得した部屋31の温度の値が28℃以上になると、その時点で、設定温度を25℃にしてエアコン21を使用すると判断する。
エアコン21の使用が開始された後、判断部14は、許可期間の終了時刻に達すると空間情報にかかわらずエアコン21の使用を中止する判断を行う。言い換えると、判断部14は、許可期間の終了時刻までエアコン21の使用を続けるように判断する。
指示部15は、判断部14の判断を受けてエアコン21に動作を指示する。判断部14がエアコン21を使用すると判断した場合(つまり、エアコン21の使用が必要と判断した場合)、判断部14は、制御条件の内容を指示部15に引き渡す。制御条件には、空気調和設備20の種類(ここでは、エアコン21)、運転状態(たとえば、暖房運転と冷房運転と停止の別)、設定温度などの内容が含まれているから、指示部15は、制御条件の内容に従ってエアコン21を制御する。
エアコン21は、許可期間において運転している場合、判断部14が許可期間の終了時刻に達したと判断すると停止する。また、判断部14とは関係なく、許可期間においてユーザが停止の操作を行えば、エアコン21は停止する。なお、エアコン21は、運転中には、部屋31の温度が設定温度付近に保たれるように自律的に動作しており、環境センサ51から取得する温度の値が設定温度に達してもエアコン21が停止することはない。
図3、図4に動作例を示す。図3はエアコン21の暖房運転時の動作例であり、図4はエアコン21の冷房運転時の動作例である。図3に示す動作例では、許可期間Tpは、開始時刻tsが午前8時、終了時刻teが午前11時に定められている。制御条件は、「取得した温度の値が10℃以下ならばエアコン21を設定温度18℃で使用する」という内容に定められている。また、図4に示す動作例において、許可期間Tpは、開始時刻tsが午前11時、終了時刻teが午後3時(15時)に定められている。制御条件は、「取得した温度の値が30℃以上ならばエアコン21を設定温度25℃で使用する」という内容に定められている。
図3に示す動作では、許可期間Tpの開始時刻tsである午前8時において、空間情報取得部12が取得している温度の値は制御条件に設定された温度(10℃)以下である。したがって、判断部14は、開始時刻tsである午前8時に、制御条件に照らして空間情報がエアコン21を使用する条件を満足していることを確認し、エアコン21を使用すると判断する。判断部14の判断は指示部15に引き渡され、指示部15は、判断部14が判断に用いた制御条件の内容に応じて、設定温度を18℃にして運転するようにエアコン21に指示する。
指示部15からの指示を受けたエアコン21は、設定温度を18℃にして運転を開始する。以後の動作は、エアコン21の通常の動作であって、エアコン21が備える温度センサの監視温度に基づいて自律的に動作する。すなわち、エアコン21は、温度センサの監視温度が設定温度である18℃に達するまでは急速に温度を上昇させるように動作し、監視温度が設定温度付近に達した後は、監視温度が設定温度付近に維持されるように動作する。この動作状態は、許可期間Tpの終了時刻teである午前11時まで継続する。午前11時になると、判断部14は、エアコン21の使用が以後は許可されないと判断する。そのため、指示部15は、午後11時にエアコン21に停止を指示する。
一方、図4に示す動作では、許可期間Tpの開始時刻tsである午前11時において、空間情報取得部12が取得している温度の値は制御条件に設定された温度(30℃)以下である。したがって、判断部14は、開始時刻tsである午前11時に、制御条件に照らして空間情報がエアコン21を使用する条件を満足していないことを確認し、エアコン21を停止した状態に維持する。その後、許可期間Tpである午後1時(13時)頃に、空間情報取得部12が取得する温度の値が30℃以上になると、判断部14は制御条件が満たされたと判断し、エアコン21を使用すると判断する。すなわち、判断部14の判断が指示部15に引き渡され、指示部15は、エアコン21に対して設定温度を25℃にして運転するように指示する。
図4に示す動作例では、図3に示した動作と同様に、指示部15からの指示を受けたエアコン21は設定温度を25℃にして運転を開始し、エアコン21が備える温度センサの監視温度に基づいて自律的に動作する。したがって、環境センサ51が監視する温度が時間の経過に伴って低下する。この動作状態は、許可期間Tpの終了時刻teである午後3時(15時)まで継続する。判断部14は、午後3時になると、以後はエアコン21の使用が許可されないと判断する。そのため、指示部15は、午後3時にエアコン21に停止を指示する。
本実施形態において、HEMSのコントローラ100とは別に設備管理装置10を構成することは可能であり、コントローラ100がインターネットのような電気通信回線を通してウェブサーバと通信可能である場合、設備管理装置10は、ウェブサーバの機能の一部として実現されていてもよい。あるいはまた、コントローラ100が住宅30に設置されたホームサーバと通信可能である場合、設備管理装置10は、ホームサーバの機能の一部として実現されていてもよい。さらに、コントローラ100とウェブサーバとホームサーバとが連携することによって設備管理装置10を実現してもよい。
上述した構成例では、許可期間Tpの開始時刻tsと終了時刻teとの両方を時刻管理部11に定めているが、時刻管理部11は、開始時刻tsと終了時刻teとの一方のみを定めていてもよい。たとえば、時刻管理部11に開始時刻tsのみを定め、終了時刻teは定時(たとえば、午前1時など)とするか、終了時刻teを定めずに、エアコン21の停止はユーザに委ねる構成を採用することが可能である。あるいは、時刻管理部11に終了時刻teのみを定め、開始時刻tsは定時(たとえば、午前6時など)とするか、開始時刻tsを定めずに、ユーザがエアコン21を使用する操作を行った時点を開始時刻tsに代えて用いてもよい。開始時刻tsを定めない場合でも、判断部14は制御条件を考慮してエアコン21を使用するか否かを判断する。したがって、ユーザがエアコン21を使用する操作を行った時点を開始時刻tsに代えて用いる場合、ユーザの操作時点において制御条件が満たされていなければ、エアコン21は運転せずに停止状態に保たれる。終了時刻teまでに制御条件が満たされると、エアコン21は制御条件の内容に従って運転を開始する。
制御条件は、空間情報に含まれる温度の値と所定の温度範囲との関係に関する条件を含んでいてもよい。たとえば、制御条件は、空気調和設備20を用いて部屋31の温度を下げる場合は、温度の値が温度範囲の上限値よりも高いときに空気調和設備20の使用を許可するように定められる。また、制御条件は、空気調和設備20を用いて部屋31の温度を上げる場合は、温度の値が温度範囲の下限値よりも低いときに空気調和設備20の使用を許可するように定められる。
この構成を採用すると、許可期間Tpにおいて、部屋31の温度が所定の温度範囲の上限値より高いか、部屋31の温度が所定の温度範囲の下限値より低い場合に、空気調和設備20の使用が許可される。そのため、温度範囲を適正に設定すれば、年間を通して空気調和設備20を自動的に運転することが可能になる。
また、上述した構成例は、部屋31の温度に着目して説明しているが、空間情報は、部屋31の湿度に関する情報を含んでいてもよい。この場合、制御条件は、部屋31の湿度が所定範囲を逸脱している場合に、エアコン21を運転するように定められる。空間情報として、湿度だけではなく温度も併用する場合、温度について所定条件が成立し、かつ湿度が所定範囲を逸脱している場合に、エアコン21を運転するように定めてもよい。
この構成を採用すると、許可期間において、部屋31の湿度が所定範囲を逸脱するときに、空気調和設備20の使用が許可される。そのため、部屋31の湿度が適正化されるように空気調和を行うことが可能になる。もちろん、上述した構成のように、部屋31の温度も空間情報として用いると、部屋31の湿度だけではなく、温度も併せて適正化することが可能である。
上述した設備管理装置10の動作を図5に簡単にまとめる。図5に示す動作は、開始時刻tsと終了時刻teとを持つ許可期間Tpが時刻管理部11に定めてあることが前提である。判断部14は、開始時刻tsになると(S1:yes)、制御条件が成り立つか否かを判断する(S2)。許可期間Tpにおいて制御条件が成立すると(S2:yes)、指示部15は、空気調和設備20に対して、制御条件の内容に従って運転あるいは使用を指示する(S3)。その後、ユーザが操作表示装置40を用いて空気調和設備20の運転あるいは使用を停止する要求を行うか(S4)、許可期間Tpの終了時刻teになると(S5)、指示部15は空気調和設備20に対して停止の指示を行う(S6)。
以上説明した本実施形態の設備管理装置10は、時刻管理部11と空間情報取得部12と条件管理部13と判断部14と指示部15とを備える。時刻管理部11は、空気調和設備20を備える対象空間(部屋31)において空気調和設備20の使用を許可する許可期間Tpの開始時刻tsおよび終了時刻teを定める。空間情報取得部12は、対象空間の環境に関する空間情報を取得する。条件管理部13は、空間情報に対して空気調和設備20の使用が必要か否かの制御条件を定める。判断部14は、開始時刻tsと制御条件とを用い、空気調和設備20の使用するか否かの判断を行う。指示部15は、判断に従って空気調和設備20に動作を指示する。さらに、判断部14は、開始時刻tsに制御条件が成立している場合には、開始時刻tsから空気調和設備20の使用を開始し、その後、終了時刻teに達するまで空気調和設備20の使用を続けるように判断を行う。また、判断部14は、開始時刻tsに制御条件が成立していない場合、開始時刻tsには空気調和設備20を使用しないように判断を行う。
この構成によれば、対象空間(部屋31)の環境に関する空間情報に対して定めた制御条件が開始時刻tsに成立していると、空気調和設備20の使用が開始される。したがって、許可期間Tpの開始時刻tsになり、かつ対象空間の環境が制御条件を満足している場合に、空気調和設備20の使用が開始される。また、開始時刻tsに対象空間の環境が制御条件を満足していなければ、空気調和設備20の使用が開始されないから、空気調和が不要な環境では、空気調和設備20を使用することがない。すなわち、開始時刻tsになると空気調和設備20の運転を開始するようなタイマ制御に比べると、空気調和設備20を使用する時間が短くなる。たとえば、空気調和を行う間にエネルギーを継続的に消費する空気調和設備20を用いる場合、空気調和設備20を許可期間Tpに継続して運転する場合に比べて、省エネルギーになる。また、シャッタのように空気調和を行う間にはエネルギーを消費しない空気調和設備20を用いる場合でも、対象空間の環境を代える必要のないときに変化させることがないから、省エネルギーになる。
また、本実施形態の設備管理方法では、空気調和設備20を備える対象空間(部屋31)の環境に関する空間情報を空間情報取得部12が取得する。また、空気調和設備20の使用を許可するように定めた許可期間Tpと、空間情報に対して空気調和設備20の使用が必要か否かを定めた制御条件とを用いて、空気調和設備20の使用するか否かの判断を判断部14が行う。この判断に従って指示部15が空気調和設備20に動作を指示する。さらに、判断部14は、許可期間Tpの開始時刻tsに制御条件が成立している場合には、開始時刻tsから空気調和設備20を運転を開始し、その後、許可期間Tpの終了時刻teに達するまで空気調和設備20の使用を続けるように判断を行う。また、判断部14は、開始時刻tsに制御条件が成立していない場合、開始時刻tsには空気調和設備20を使用しないように判断を行う。
ここに、判断部14は、開始時刻tsに制御条件が成立していない場合には、開始時刻tsと終了時刻teとの間で制御条件が成立した時点で、空気調和設備20の使用を開始するように判断を行うことが望ましい。
この構成によれば、許可期間Tpの中で制御条件が成立すると、空気調和設備20を使用することが可能になる。そのため、対象空間(部屋31)が空気調和設備20による空気調和が必要な環境になると空気調和設備20の使用が可能になる。
(実施形態2)
実施形態1は、部屋31の空気調和を行うために空気調和設備20を使用するか否かの判断を、許可時間と制御条件とに基づいて決定している。この動作を、以下では連動モードの動作という。一方、空気調和設備20は、設備管理装置10からの指示に従って動作する状態だけではなく、許可時間および制御条件とは無関係に、ユーザの操作に従って動作する状態を選択可能であることが望ましい。そのため、本実施形態の設備管理装置10は、図6に示すように、連動モードを有効にするか無効にするかを選択する切替部16を備える。
切替部16が連動モードを有効にする選択を行っている場合には、実施形態1で説明した処理を行うことにより、許可期間および空間情報に対応した制御条件に応じて、空気調和設備20の動作が決定される。一方、切替部16が連動モードを無効にする選択を行っている場合には、空気調和設備20は、許可期間および制御条件とは無関係に、ユーザの操作に従って動作することが可能になる。
切替部16は、部屋31に人が存在するか否かの情報、曜日に関する情報、部屋31に隣接する外部(ここでは、屋外)の環境に関する情報のうちの少なくとも一種類の情報を取得し、取得した情報に基づいて連動モードの有効と無効とを切り替える。すなわち、切替部16は、連動モードの有効と無効とを切り替える情報として、部屋31に人が存在するか否かの情報、曜日の情報、屋外の温度に関する情報、屋外の天候に関する情報などから選択した情報を用いる。
切替部16が取得する情報が部屋31に人が存在するか否かの情報である場合、切替部16は、部屋31に人が存在すれば連動モードを有効にし、部屋31に人が不在であれば連動モードを無効にする。また、切替部16が取得する情報が曜日に関する情報である場合、切替部16は、特定の曜日(たとえば、月曜日から金曜日)であれば連動モードを有効にし、特定の曜日ではない曜日(たとえば、土曜日および日曜日)であれば連動モードを無効にする。切替部16が、曜日によって連動モードを有効にするか無効にするかを選択すれば、時刻に対する生活行動に規則性のある曜日には連動モードを有効にし、時刻に対する生活行動に規則性がほとんどない曜日には連動モードを無効にすることが可能になる。
切替部16が取得する情報が屋外の環境である場合、切替部16は、屋外の環境が所定条件を逸脱していれば連動モードを有効にし、屋外の環境が所定条件を満足していれば連動モードを無効にする。屋外の環境について、連動モードを有効にするか無効にするかを決定するための条件は、たとえば屋外の温度、湿度、天候などについて定められる。条件が温度あるいは湿度に対して定められる場合、たとえば、屋外の気温あるいは湿度に対する標準範囲を定めておき、標準範囲を逸脱するときには連動モードを有効にし、標準範囲内であるときには連動モードを無効にすればよい。条件が屋外の天候に対して定められる場合、たとえば、空気調和設備20を用いて部屋31の温度を下げる場合であると、切替部16は、晴天時には連動モードを有効にし、雨天時には連動モードを無効にする。あるいは、空気調和設備20を用いて部屋31の温度を上げる場合であると、切替部16は、晴天時には連動モードを無効にし、雨天時には連動モードを有効にする。
上述した動作例では、切替部16は、屋外の環境のみを用いているが、屋外の環境を部屋31の環境と比較してもよい。たとえば、部屋31の環境に対して屋外の環境のほうが良好であれば、部屋31の環境が換気によって改善するから、切替部16は、換気を行う空気調和設備20(たとえば、換気扇22、窓24)のみについて連動モードを有効にする。また、部屋31の環境が屋外の環境よりも良好であれば、換気を行わないほうが部屋31の環境を改善しやすいから、換気を行わない空気調和設備20(たとえば、エアコン21、外付けブラインド23)のみについて連動モードを有効にする。
以上のように、切替部16が取得した情報に応じて、連動モードを有効にするか無効にするかを選択する。図6に示す構成例では、切替部16は、指示部15から電気機器25に対して指示を行うか否かを選択することによって、連動モードの有効と無効との一方を選択しているが、切替部16の位置にとくに制限はない。すなわち、設備管理装置10において、連動モードを有効にするか無効にするかを選択することができる部位であれば、切替部16は設備管理装置10のどの部位に設けてもよい。
曜日に関する情報は、判断部14と同様に、設備管理装置10を構成するコンピュータが備えるリアルタイムクロックのような内蔵時計から取得する。ただし、切替部16が内蔵時計を備えていてもよい。屋外の温度に関する情報は、屋外に設置される環境センサ52により監視することが可能である。また、屋外の天候に関する情報は、屋外に設置される環境センサ52に晴雨計を設けることにより、取得することが可能である。なお、インターネットのような電気通信回線を通して天候に関する情報を取得してもよい。
部屋31に人が存在するか否かの情報は、部屋31を単位として監視する場合と、住宅30を単位として監視する場合とがある。住宅30に人が存在していない状態では、多くの場合に住宅30のエアコン21を運転することはなく、また対象空間である部屋31に人が存在していない状態では、多くの場合に該当する部屋31のエアコン21を運転することはない。
部屋31を単位として監視する場合には、焦電型赤外線センサを備える人感センサ、カメラの画像を解析する監視装置などを用いることが可能であるが、住宅30を単位として監視する場合、ユーザである住人が外出しているか否かを判断しなければならない。そのため、本実施形態では、住宅30の屋内配線に電力系統から供給している電力の変化を用いて人が住宅30に存在しているか否かと、部屋31に人が存在しているか否かとの推定を行っている。
住宅30で使用される電気機器25が消費した電力は、図6のように、分電盤32に付設した計測装置33が、分電盤32で分岐された分岐回路34ごとに計測する。また、計測装置33は、分電盤32において分岐回路34に分岐する前の主幹回路でも電力を計測する。すなわち、計測装置33は、住宅30の全体で消費した電力と、分岐回路34ごとに消費した電力とを計測する。計測装置33が電力を計測する時間間隔は、1秒から30分程度の範囲から選択され、望ましくは30秒から2分程度の範囲から選択される。つまり、計測装置33は、上述のような時間間隔で電力のサンプリングを行う。分岐回路34は、一般的には、1つの部屋31に対応するか、あるいは1つの電気機器25に対応する。したがって、特定の分岐回路34において電気機器25が消費した電力は、特定の部屋31で消費された電力、あるいは特定の電気機器25が消費した電力を表す。
計測装置33が計測した電力は、HEMSのコントローラ100に引き渡される。図6の構成例では、設備管理装置10がコントローラ100の機能の一部として実現されている。コントローラ100は、電力のデータを用いることができる。そのため、コントローラ100は、計測装置33が計測した電力の推移を用いて住宅30あるいは部屋31に人が存在しているか否かを推定する。
計測装置33から引き渡された電力のデータを用いて部屋31に人が存在するか否かをコントローラ100が簡易に判断するには、電力値と適宜の閾値とを比較する。閾値を定めるには、過去の電力の推移から電力値が相対的に小さい状態が継続している期間、あるいは相対的に大きい状態が継続している期間を抽出する。
電力値が相対的に小さい状態が継続している期間を用いて上述した閾値を定めるには、電力の推移に関する以下の特性を用いる。すなわち、計測装置33から引き渡される電力のデータの最小値は、電気機器25が動作していない状態または電気機器25の待機電力を表している。この電力値は、1日のうちに比較的多く出現する。このような特性を利用すると、上述した閾値を電力の推移から定めることが可能である。たとえば、1日の電力のデータから電力値の度数分布において度数がピークである区間(電力値の区間)のうちの最小の区間を求める。次に、1日の電力の推移の中で最小の区間に対応する電力値が連続して出現する回数を求め、この回数が所定回数以上であれば、この区間の電力値に一定値を加算した値を閾値に定めればよい。ここでの所定回数は、たとえば、1日のうちで1時間を超える程度の所定時間に相当する回数である。
コントローラ100は、電力値が上述した閾値より大きい状態が継続している場合に、電気機器25がユーザにより使用されていると判断する。継続しているとは、連続しているとは限らず、5分から30分程度の休止期間を含んでいる場合を含む。つまり、電力の推移から電気機器25が運転中である状態が継続しているとみなせる場合を含む。上述した判断を行うと、たとえば、エアコン21のように、設定温度に達するまでは比較的多くの電力を消費し、設定温度に達した後は一旦停止することによって運転中に電力の消費が大きく変動する場合でも運転中であることを認識することが可能になる。
以上のように、コントローラ100は、電力の推移に基づいて、電気機器25が使用されている期間と、電気機器25が使用されていない期間とを判別することが可能である。ただし、電気機器25が使用されていない期間でも、人が不在であるとは限らない。そのため、分岐回路34の電力の推移に基づいて、電気機器25が使用された時間帯と使用された期間と使用された順序とを求め、これらの情報の組み合わせを人の行動と対応付けておくことにより、人の不在を推定することが望ましい。
たとえば、平日であれば、住宅30の住人の行動には、規則性が見出せる可能性が高いから、行動の規則性から生じる電気機器25の使用に関する規則性を抽出することが可能である。電気機器25の使用に関する規則性が見出されていれば、分岐回路34の電力の変化から住人の行動を推定することが可能になる。住人が部屋31に存在するか否か、あるいは住人が外出しているか否かという行動は、1つの分岐回路34における電力の推移だけで推定可能な場合がある。しかしながら、複数の分岐回路34における電力の推移を組み合わせて用いると、人の存在と不在とをより精度よく推定することが可能である。
住宅30あるいは部屋31に人が存在するか否かに関する情報は、上述したように計測装置33で計測した電力の推移を用いるほかに、住人に申告させたスケジュールから抽出することが可能である。また、住人がセキュリティ機器の動作状態を変更するなどの目的で操作する外出スイッチの切替状態を、住人が存在するか否かに関する情報に用いてもよい。さらには、電力の推移、スケジュール、外出スイッチの切替状態のような複数種類の情報を併用すれば、住宅30あるいは部屋31において人が存在するか否かの情報の推定精度を高めることが可能である
上述した構成例では、連動モードを有効にするか無効にするかを切り替える切替部16を設けているが、連動モードを有効にするか無効にするかを選択するには、指示部15に対して有効か無効かの情報を与えるようにしてもよい。この場合、設備管理装置10は、図7に示すように、指示部15に情報を与える選択部17を備えるように構成される。指示部15は、選択部17から与えられた情報に応じて、判断部14の判断によって空気調和設備20に動作を指示するか否かを選択するように構成される。つまり、指示部15には、判断部14の判断を有効とするか無効とするかを選択するスイッチに相当する構成を有し、このスイッチを選択部17から与えられた情報で開閉する。スイッチに相当する構成は、アンド回路に相当する構成で実現される。
選択部17は、切替部16と同様に、人が部屋31に存在するか否かの情報、曜日の情報、屋外の環境に関する情報などから選択される情報を取得し、取得した情報を用いて、連動モードを有効にするか無効にするかを決定する。
本実施形態の他の構成および動作は実施形態1と同様である。
以上説明した本実施形態の設備管理装置10は、判断部14の判断に従って空気調和設備20に動作を指示する連動モードの有効と無効とを切り替える切替部16を備える。
この構成によれば、許可期間Tpおよび空間情報に対する制御条件によって空気調和設備20を動作させる連動モードを、有効にするか無効にするかの選択が可能になる。
切替部16は、対象空間(部屋31)に人が存在するか否かに関する情報を取得することが望ましい。この場合、当該情報が対象空間における人の存在を示す場合に連動モードを有効にし、当該情報が前記対象空間における人の不在を示す場合に連動モードを無効にすればよい。
この構成によれば、対象空間に人が不在であれば、空気調和設備20を使用しないことによって、空間情報と制御条件とを用いて空気調和設備20を自動的に運転しながらも、人が不在であるときには空気調和設備20を停止させることが可能である。その結果、空気調和を行う間にエネルギーを継続的に消費する空気調和設備20を用いる場合、エネルギーの無駄な消費を避けることができる。
また、切替部16は、曜日に関する情報を取得してもよい。この場合、当該情報が特定の曜日を示す場合に連動モードを有効にし、当該情報が前記特定の曜日を示さない場合に連動モードを無効にすればよい。
この構成によれば、空間情報と制御条件とを用いて空気調和設備20を自動的に運転する動作を、特定の曜日に行うから、対象空間を使用するユーザの1週間の行動に応じて、空気調和設備20を使用した環境をつくることが可能である。
あるいは、切替部16は、対象空間に隣接する外部の環境に関する情報を取得してもよい。この場合、外部の環境が所定範囲から逸脱していることを当該情報が示す場合に連動モードを有効にし、外部の環境が所定範囲内であることを当該情報が示す場合に連動モードを無効にすればよい。
この構成によれば、対象空間に隣接する外部の環境(たとえば、温度、湿度)が所定範囲から逸脱しているときに、空気調和設備20の使用が許可される。そのため、対象空間に隣接する外部の環境によって、空気調和設備20を、夏季あるいは冬季のような季節に対応させて運転することが可能になる。
設備管理装置10は、連動モードの有効を無効との一方を選択する選択部17を備えていてもよい。この場合、指示部15は、判断部14が空気調和設備20の使用を許可する判断を行い、かつ選択部17が連動モードの有効を選択している場合に、判断部14の判断に従って空気調和設備20に動作を指示する。
この構成によれば、切替部16を設けている場合と同様に、許可期間Tpおよび空間情報に対する制御条件によって空気調和設備20を動作させる連動モードを、有効にするか無効にするかの選択が可能になる。
(実施形態3)
実施形態1、実施形態2では、住宅30における1個の環境センサ51に着目しているが、住宅30には複数の環境センサ51が配置される場合もある。あるいはまた、住宅30の複数の部屋31にエアコン21が設置されている場合がある。このような場合、設備管理装置10は、どの環境センサ51から取得した空間情報に基づいてエアコン21を制御するかの選択が可能になるように構成されていることが望ましい。
ここでは、図8のように、複数の環境センサ51が住宅30に配置される場合を想定する。住宅30に複数の環境センサ51が配置される場合には、エアコン21と環境センサ51との関係付けが必要である。そのため、本実施形態の設備管理装置10は、複数の環境センサ51それぞれを空気調和設備20に関係付けるセンサ管理部18を備える。空間情報取得部12は、センサ管理部18が管理している情報を用いることにより、複数の環境センサ51のいずれかから取得した空間情報を、センサ管理部18で関係付けられているエアコン21の動作を決めるための空間情報に用いる。
要するに、センサ管理部18を備えることにより、エアコン21の使用が必要か否かを判断部14が判断する際に、エアコン21に関係付けた環境センサ51の空間情報を用いることが可能になる。その結果、エアコン21による空気調和を行う部屋31には無関係な環境センサ51からの空間情報を用いることがなく、目的とする部屋31のエアコン21のみを使用して空気調和を行うことが可能になる。
なお、センサ管理部18は、1台のエアコン21に、1個の環境センサ51を関係付けるとは限らず、複数個の環境センサ51を関係付けることも可能である。この場合、判断部14は、1台のエアコン21に関係付けた複数個の環境センサ51から取得した空間情報の平均値、最小値、あるいは最大値が制御条件を満足するか否かを判断すればよい。
また、複数種類の空気調和設備20が存在する場合、センサ管理部18は、空気調和設備20の種類に応じて環境センサ51を関係付けることも可能であり、空気調和設備20の種類ごとに異なる制御条件で使用することが可能になる。また、部屋31ごとに設けたエアコン21に、それぞれ環境センサ51を関係付けることも可能である。
本実施形態の他の構成および動作は実施形態1または実施形態2と同様である。
本実施形態の設備管理装置10は、対象空間(部屋31)に配置された複数の環境センサ51から選択した環境センサ51を空気調和設備20に関係付けるセンサ管理部18を備える。複数の環境センサ51は、対象空間の空間情報を監視し、空間情報取得部12は、センサ管理部18が空気調和設備20に関係付けるように選択した環境センサ51から空間情報を取得する。
この構成によれば、センサ管理部18が、空気調和設備20と環境センサ51とを関係付けているので、空気調和設備20が空気調和を行う対象空間とは無関係な環境センサ51の空間情報を判断に用いることがない。
(制御例1)
以下では、空気調和設備20の制御例を説明する。第1の制御例は、上述した動作例と同様に、空気調和設備20がエアコン21である場合について説明する。ここでは、許可期間Tpは開始時刻tsのみが定められ、開始時刻tsは午前7時とする。つまり、午前7時にエアコン21の運転が自動的に開始されるように、ユーザが操作表示装置40を用いて開始時刻tsを指定することによって、いわゆるタイマ運転を行う場合を想定する。
エアコン21により部屋31の温度を上げる場合の設定温度は28℃、エアコン21により部屋31の温度を下げる場合の設定温度は25℃とする。また、制御条件は、環境センサ51が計測する部屋31の温度であって、部屋31の温度を上げる場合は20℃以下でエアコン21の使用を許可し、部屋31の温度が28℃以上でエアコン21の使用を許可するように設定されている場合を例にする。
冬季のようにエアコン21を用いて部屋31の温度を上げる場合、上述した条件では、午前7時に環境センサ51が計測した温度が20℃に達していなければ、エアコン21が設定温度を28℃にして運転を開始する。一方、午前7時に環境センサ51が計測した温度が20℃を超えている場合は、エアコン21は運転を開始せず、20℃以下になった時点で運転を開始する。
また、夏季のようにエアコン21を用いて部屋31の温度を下げる場合、上述した条件では、午前7時に環境センサ51が計測した温度が28℃以上であれば、エアコン21が設定温度を25℃にして運転を開始する。一方、午前7時に環境センサ51が計測した温度が28℃に達していれば、エアコン21は運転を開始せず、28℃以上になった時点で運転を開始する。
一般的なタイマ運転では、運転開始の時刻が午前7時の設定であれば、午前7時になるとエアコン21の運転が開始されるが、本実施形態では、午前7時になっても制御条件が満たされていなければ、エアコン21の運転は開始されない。したがって、一般的なタイマ運転と比べると、エアコン21の稼働時間が短縮され、結果的に省エネルギーにつながる。
また、上述した動作例では、環境センサ51が計測した温度が20℃を超え28℃未満の温度範囲では、エアコン21が運転を開始することがない。春季、秋季では、環境センサ51が計測する温度は、20℃を超え28℃未満の温度範囲である可能性が高いから、エアコン21が運転する可能性は低く、タイマ運転の設定を変更しなくともエアコン21が無駄に運転される可能性がない。早春、晩秋などの季節には、上述した温度範囲の下限値以下になる可能性がある。そのため、許可期間において環境センサ51が計測する温度が下限値以下になると、部屋31の温度を上げるようにエアコン21を自動的に運転させれば、部屋31の温度環境の快適性を確保しやすくなる。また、初夏、晩夏などの季節には、上述した温度範囲の上限値以上になる可能性がある。そのため、許可期間において環境センサ51が計測する温度が上限値以上になると、部屋31の温度を下げるようにエアコン21を自動的に運転させれば、部屋31の温度環境の快適性を確保しやすくなる。
(制御例2)
空気調和設備20として外付けブラインド23を用いる場合は、以下のように制御することが望ましい。外付けブラインド23は、雨戸として風雨を防ぎ、カーテンのように遮光するという目的だけではなく、日中に使用すれば日射を遮ることによって部屋31の温度上昇を抑制することが可能である。
許可期間Tpは、開始時刻tsが午前7時に定められ、終了時刻teは設定されていない場合を想定する。判断部14は、環境センサ51が監視する部屋31の温度が、年間を通して20℃を超え28℃未満の温度範囲に保たれるように、外付けブラインド23を使用するか否かを判断する。たとえば、夏季であって許可期間Tpである日中に、環境センサ51が監視する部屋31の温度が28℃以上であると、判断部14は、部屋31に日射が入射しないように、外付けブラインド23を閉じるという判断を行う。一方、冬季であって許可期間Tpである日中に、環境センサ51が監視する温度が20℃以下であると、判断部14は、部屋31に日射が入射するように、外付けブラインド23を開くという判断を行う。
この制御例では、許可期間Tpの開始時刻tsに外付けブラインド23を使用する(開くか閉じる)という単純なタイマ制御ではなく、環境センサ51が監視する部屋31の温度を制御条件の一部に用いている。ここでは、外付けブラインド23は、遮熱によって部屋31の温度上昇を抑制し、また日射を部屋31に取り入れることによって部屋31の温度上昇に貢献する。つまり、部屋31に日射が入射する時間帯であって、夏季の日中のように部屋31の温度を下げることが必要であれば、外付けブラインド23を閉じることが望ましい。一方、部屋31に日射が入射する時間帯であって、冬季の日中のように部屋31の温度を上げることが必要であれば、外付けブラインド23を開くことが望ましい。
また、外付けブラインド23は、部屋31に日射が入射しない状態において、部屋31の温度よりも外気温が低い場合は、開くことによって部屋31からの放熱を促進し、閉じることによって部屋31からの放熱を抑制することが可能である。つまり、夏季の夜間のように部屋31の温度を下げる必要があれば、外付けブラインド23を開いて部屋31から排熱することが望ましい。一方、冬季の夜間のように部屋31の温度を上げる必要があれば、外付けブラインド23を閉じて部屋31からの放熱を抑制することが望ましい。
上述したように、外付けブラインド23は、部屋31の温度の上昇を抑制するか、部屋31の温度の低下を抑制するために使用される。外付けブラインド23を開くか閉じるかは、環境センサ51が計測する部屋31の温度が上述した温度範囲(20℃を超え28℃未満)を保つために、外付けブラインド23を開くべきか閉じるべきかを判断部14が判断することにより定まる。また、判断部14は、外付けブラインド23だけでは、所望の温度範囲を実現することができない場合は、エアコン21を併用するように判断する。
この制御例は、外付けブラインド23だけではなく、空気調和設備20が、カーテンあるいはオーニングなどであっても、部屋31に入射する日射を調節する目的では、同様の制御を適用することが可能である。
(制御例3)
空気調和設備20として換気扇22および窓24を用いる場合は、以下のように制御することが望ましい。換気扇22および窓24は、部屋31の空気を強制的に排出し、かつ部屋31に屋外の空気を取り入れるために用いられ、換気によって部屋31の温度を調節する目的で使用される。
許可期間Tpは、開始時刻tsが午前7時に定められ、終了時刻teは設定されていない場合を想定する。判断部14は、環境センサ51が監視する部屋31の温度が、年間を通して20℃を超え28℃未満の温度範囲に保たれるように、換気扇22および窓24を使用するか否かを判断する。
たとえば、夏季であって許可期間Tpである日中に、環境センサ51が監視する部屋31の温度が28℃以上であり、かつ環境センサ52が監視する屋外の温度が28℃未満であるときに、判断部14は、換気扇22を運転し、窓24を開くという判断を行う。換気扇22および窓24を、この判断に応じて動作させると、部屋31からの排熱を行い、かつ屋外の空気を取り入れて部屋31の温度を下げることが可能になる。
ここで、屋外の温度が部屋31の温度よりも高い場合には、換気扇22を運転させ、かつ窓24を開くと、かえって部屋31の温度が上昇する。そのため、環境センサ51により部屋31の温度を監視するだけではなく、環境センサ52により屋外の温度を監視することが望ましい。判断部14は、屋外の空気を部屋31に取り入れると部屋31の温度が上昇すると判断した場合は、換気扇22を停止させ、窓24を閉じた状態で、エアコン21あるいは外付けブラインド23などの他の空気調和設備20を用いるように判断する。省エネルギーの観点では、外付けブラインド23がエアコン21に優先して使用されるように判断することが望ましい。つまり、外付けブラインド23によって、部屋31の温度の上昇を抑制し、必要に応じてエアコン21を用いて温度を下げることが望ましい。
一方、冬季であって許可期間Tpである日中に、環境センサ51が監視する部屋31の温度が20℃以下であると、判断部14は、換気扇22を停止させ、窓24を閉じるという判断を行う。つまり、部屋31に屋外の空気を取り入れないことによって、部屋31の温度を維持する。ここで、換気扇22を停止させ、窓24を閉じているだけでは、部屋31の温度が所望の温度範囲に保たれない場合があるから、温度範囲を保つように、エアコン21あるいは外付けブラインド23のような他の空気調和設備20を併用することが望ましい。
上述した構成例では、部屋31の温度にのみ着目しているが、部屋31の湿度を考慮してもよい。温度と同様に、環境センサ51が監視する部屋31の湿度に比べて、環境センサ52が監視する屋外の湿度のほうがユーザにとっての環境がよい場合、換気扇22および窓24を使用すれば、部屋31の環境を改善することができる。たとえば、判断部14は、部屋31の相対湿度と屋外の相対湿度との関係を用いて、部屋31の相対湿度を40〜60%に維持するように、換気扇22および窓24を使用する。
なお、部屋31の相対湿度を調節するために、エアコン21を併用することも可能である。エアコン21を使用して部屋31の相対湿度を調節する場合は、換気扇22は停止させ、窓24は閉じることが望ましい。
上述した制御例は一例であり、本発明を制御例に限定する主旨ではない。上述した許可期間Tpは、空気調和設備20の種類に応じて定められていてもよい。たとえば、空気調和設備20が窓24である場合、人が対象空間に不在であれば、防犯の観点から窓24を閉じておくことが望ましい。つまり、空気調和のために窓24を開けることが望ましい場合でも、人が対象空間に不在であれば窓24を閉じた状態に維持することが望ましい。そのため、対象空間において人が存在する期間にのみ、窓24を開けて対象空間の換気を行うことを許可することが望ましい。つまり、窓24は、対象空間に人が存在する期間にのみ空気調和のための使用を許可することが望ましい。同様に、窓24は、雨天である期間にも閉じた状態に維持することが望ましい。つまり、窓24は、雨天以外の期間に使用を許可することが望ましい。
一方、外付けブラインド23は、対象空間の温度を下げる場合には、晴天である期間に閉じ、対象空間の温度を上げる場合には、晴天である期間に開くことが望ましい。また、外付けブラインド23のルーバは、雨天である期間には閉じておき、晴天である期間には開いておくことが望ましい。
なお、上述した実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんのことである。