JP2016196674A - 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。 - Google Patents

電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。 Download PDF

Info

Publication number
JP2016196674A
JP2016196674A JP2015076101A JP2015076101A JP2016196674A JP 2016196674 A JP2016196674 A JP 2016196674A JP 2015076101 A JP2015076101 A JP 2015076101A JP 2015076101 A JP2015076101 A JP 2015076101A JP 2016196674 A JP2016196674 A JP 2016196674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anode
electrochemical cell
cathode
electrochemical
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015076101A
Other languages
English (en)
Inventor
典裕 吉永
Norihiro Yoshinaga
典裕 吉永
赤坂 芳浩
Yoshihiro Akasaka
芳浩 赤坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2015076101A priority Critical patent/JP2016196674A/ja
Publication of JP2016196674A publication Critical patent/JP2016196674A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Landscapes

  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Drying Of Gases (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)

Abstract

【課題】反応電位に基づく腐食が起こり難い電気化学セル、このセルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫を提供する。【解決手段】貫通孔を有し、導電性を有する基材の上に担持された触媒を有するカソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードの間に配置されたカチオン交換性の電解質膜と、を有する電気化学セルであって、前記基材の前記貫通孔の開口が9.5個/cm2以上180個/cm2以下の開口率を有し、かつ前記開口1個当たり0.4mm2以上6.0mm2以下の開口面積と、0.128mm以上0.55mm以下の基材の厚みを有する電気化学セル。【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、例えば電気分解をする電解セル等に使用される電気化学セル、このセルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫に関する。
従来からエクスパンド、エッチング、またはパンチングによって加工された導電性の多孔体が、電解セルや電池等に用いられる電極または電極基材として使われている。
例えば、水酸化ナトリウムの製造に使用される電気化学セルのアノードの基材としては、メッシュ構造のチタン板上に触媒が塗りつけられた触媒被覆チタンメッシュが用いられる。メッシュ構造のチタン板は、触媒の担体としてだけでなく、ガス等反応対象物質の拡散経路、給電体としての役割も同時に担っている。
この水酸化ナトリウム製造における反応式は次の通りである。
カソードでの反応 2HO+2e→H+2OH
アノードでの反応 2Cl→Cl+2e
全反応 2HO+2NaCl→2NaOH+Cl+H
水酸化ナトリウム製造のアノードの基材としてチタンを用いる理由は、アノード電位が非常に高電位になるためである。ステンレス、銅、ニッケルなどをアノードの基材として用いた場合、アノード電位が高電位になると、溶出が起こることがある。
基材材質の選択に関しては、所望の反応のときに電極にかかる電位で溶けにくいものを選ぶのが好ましい。例えば、前記反応式において水素発生を伴うカソードの基材としては、チタン以外に、ステンレス、銅、カーボンなどを用いることができる。
前記例では基材としての多孔体を示したが、Pt、Ni、Pdなどのそれ自体触媒作用がある材料を多孔構造に加工することにより、多孔体電極として用いることも可能である。
ここで、エクスパンド、エッチング、パンチングなどの大量生産可能な方法によって、ある厚みの導電性の板からなる基材に多数の孔を開口する場合、基材厚が薄いほど、小径な開口を加工することが可能になる。一般的には加工性の問題から基材厚よりも開口間距離を短くすることは難しい。このため、可能な限り単位面積当たりに多数の孔を開けようとする場合、すなわち開口数密度をできるだけ上げたい場合、基材厚が薄いほど開口間距離が短くなるので、有利である。
このような多孔構造の基材を用いた電極は、ゼロギャップ電気化学セルの電極等に用いられている。ゼロギャップ電気化学セルでは、電極が固体電解質膜に隙間なく密着して配設される。
この電気化学セルでの電気化学反応は、イオンが移動可能な電解質膜と触媒の界面で起こる。
そのため開口1つ当たりの開口面積が小さいほど反応面積が大きくなり反応には有利である。そこで一般的には開口率を変えた電極を用いて議論する例が多い。
しかし、反応物質や生成物質が膜とは逆の方向から移動する場合、開口サイズが小さすぎると反応物質の供給や排出ができにくくなる問題が発生する。反応対象物質や生成物の物質移動を考えると、開口間距離が短いほど電解質膜と電極が密着した狭いパスを移動する距離が短くなる。拡散距離が短いほど、拡散抵抗が抑えられるので、電気化学セルに掛かる電圧は減少するはずである。そのため反応物質律速を引き起こす反応においては、もう一つのパラメータとして開口数密度を考慮することが重要になる。
ここで開口数密度とは単位面積当たりいくつの開口が開いているのかを示すものである。開口間距離は極力短い方が物質の移動には有利であり、そのためには単位面積当たり出来るだけ多くの開口を有することが好ましい。そして開口面積と開口数密度の2つを決めるとおのずと基材の概略の仕様が決定する。開口数密度は例えば次の文献でパラメータとして用いられている。
特許文献1乃至2では開口数密度が10個/インチ以上が好ましいと記載している。しかし、この文献では開口面積の範囲を記載していないため、基材の形状は決定できず、例えば100個/インチでも1つの開口の穴が極端に小さと、生成物質が排出できずに性能がより低くなってしまう可能性もある。そのため、開口数密度だけで議論することは好ましくない。
このように開口数密度と開口面積のいずれかについては範囲限定しているが、両方を網羅的に規定している文献は見当たらない。
ところで、このようにメッシュの開口を微細制御するために電極の基材を薄くした場合、基材自体の導電パスが細くなり、集電抵抗が増加する。一般的に量産による開口作製方法では、開口間距離を基材の厚み以下に作製することはできない。すなわち、基材の厚みが厚い場合、開口数密度を上げることは困難である。そのため、開口数密度を上げたい場合は基材の厚みを薄くしなければならないが、この場合、同時に集電抵抗の増加の課題も抱えてしまう。そのため、メッシュ構造をなした電極基材に、集電板や給電板を接合して、集電抵抗を下げることが試みられている。
また、集電板や給電板はセルの締めつけも同時に担っている。締めつけが均一で無い場合、電極面内で抵抗のばらつきが発生し、均一に電流が流れないため電解性能が低下するだけでなく、電流が局所的に集中するためセルの寿命も短くなってしまう。そのため、集電板や給電体は極力厚くしておくのが好ましい。
しかし、この構成において、集電板や給電板にも電解質イオンの進入がある場合、電極基材と同様、反応の起きている電位(以下反応電位と称す)で溶出しない材質を選んで、集電板や給電板を形成する必要がある。さらに、前記反応電位で溶出しない材料であっても、チタンやアルミニウムのように表面に酸化被膜が形成される材料で集電板や給電板を形成した場合は、電極との接触抵抗が増大してしまう。そのため、集電板や給電板を形成する材料が直接電極に接して酸化しないように、集電板や給電板を形成する材料の表面に、耐腐食性物質をコーティングする必要がある。このようなプロセスはコスト・時間が必要であり避けることが好ましい。
特開2007−130557号公報 特開平11−241196号公報
本実施形態は、集電板と触媒被覆メッシュを2枚同時に使うことなく、1枚の単純な構成で、電解質膜との界面で生じる反応速度及び給電性能をバランス可能であり、反応電位に基づく腐食が起こり難い電気化学セル、このセルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫を提供する。
前記課題を解決するために、本実施形態の電気化学セルは、貫通孔を有し、導電性を有する基材の上に担持された触媒を有するカソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードの間に配置された電解質膜と、を有する電気化学セルであって、前記基材の前記貫通孔の開口が9.5個/cm以上180個/cm以下の開口率を有し、かつ前記開口1個当たり0.4mm以上6.0mm以下の開口面積と、0.128mm以上0.55mm以下の基材の厚みを有する。
第1の実施形態に係る電気化学セル。 図1に示した電気化学セルにおける開口数密度と電圧との関係を示す図。 図1に示した電気化学セルにおける開口面積と電圧との関係を示す図。 図1に示した電気化学セルにおけるアノード電極の厚みと電圧との関係を示す図。 第2の実施形態に係る電気化学装置。 第3の実施形態に係る保管庫。 図1に示した電気化学セルの変形例。
(第1の実施形態)
図1に示す第1実施形態の電気化学セル10は、アノード1と、カソード2と、これらの間に挟まれた電解質膜3とを備えている。第1実施形態では、アノード1、カソード2にはそれぞれ集電板4が設けられており、これらの各集電板4は外部回路5により直流の電源6と接続されている。この電源6によりアノード1とカソード2との間に電圧を印加することで化学反応が進行する。
次に、上記電気化学セル10の動作について説明する。酸性電解質においてはアノード1では外部から電圧が印加されると水が電気分解されて式(1)の反応がおこる。
2HO → O +4H +4e ・・・(1)
このとき発生するプロトン(H )は電解質膜3を通り、電子(e )は外部回路5を通ってカソード2に達する。カソード2では式(2)の反応により酸素を消費して水を発生する。
+4H +4e → 2HO ・・・(2)
アノード1では水が消費されることから空間の湿度の低下が可能となり、除湿用途として電気化学セル10を用いることができる。また、アノード1では酸素が富化されるため、酸素濃縮用途として電気化学セル10を用いることもできる。カソード2では酸素が消費されることから、これを利用して減酸素用途として電気化学セル10を用いることもできる。
印加電圧が高すぎると、カソード2で水素発生を誘発してしまう。これは印加電圧が大きくカソード2の電極電位が0V(vsRHE)以下になると、白金を触媒として式(3)の反応により水素が発生してしまうためである。ここで「RHE」は水素電極電位を意味し、「vsRHE」は水素電極に対する電位を表す。
2H+2e → H ・・・(3)
このため、カソード3の電位を0V(vsRHE)以下としないことが水素を発生させない方法の一つであるが、カソード3の電位を測定することは容易ではないため、アノード1で起こる式(1)の反応開始電位である1.23V(vsRHE)と、水素発生電位の0V(vsRHE)の電位差である1.23V(vsRHE)の電圧以上に電圧を印加しないことが最も容易な水素発生抑制方法である。
〔アノード〕
アノード1は、電気化学セルの電極をなす部材であり、触媒の担体としてだけでなく、ガス等の反応対象物質の拡散経路、及び集電体や給電体としての役割も同時に担っている。アノード1の電極基材は、開口を有する一枚の導電板で形成されており、基材の表面に反応を促進する触媒がコーティングされている。
アノード1の触媒層(アノード触媒層とも称する)を支持する電極基材の材料としては、Ta、Ti、SUS、Ni等の金属元素またはこれらの合金、カーボン等を挙げることができる。これらの材料はアノード1の反応電位によって使い分けられる。こうした材料を選択する基準は、一般的にpH−電位図などにより確認することが可能である。例えば、水酸化ナトリウム製造に使用されるアノードの電極基材の場合、NiやSUSは溶出してしまうため用いることができず、チタン(Ti)を用いる必要がある。
電極基材自体が触媒として機能して反応に対して活性を有する場合は、この電極基材そのものでアノード1を形成することができるので、この場合には触媒層を要しない。こうした電極基材をなす材料として、例えば白金(Pt)等の白金族系貴金属触媒を挙げることができる。更に、アノード1は、電気化学セルの使用条件に応じて反応とともに電極が消耗する溶出電極として用いることも可能である。
アノード1は基材自体が触媒性能を持たない場合、その電極基材の片面もしくは両面にアノード触媒層が形成される。この触媒層を形成する触媒材料はアノードでの反応に応じて使い分ける必要がある。
例えば、電解水素発生や水素酸化・メタノール酸化など行なう燃料電池用のアノードの触媒層を形成する材料としては、白金族系貴金属触媒(Pt、PtCo、PtFe、PtNi、PtPd、PtIr、PtRu、PtSnなども含む)を用いることがより好ましい。しかし、その他金属触媒、窒素置換炭素触媒、酸化物触媒などを用いることもできる。
また、食塩電解用アノードや酸素発生用アノードの触媒層を形成する材料としては、白金、パラジウムなどの貴金属触媒や鉛酸化物、イリジウム複合酸化物、ルテニウム複合酸化物、酸化物触媒などを用いることができる。これらの触媒の作製方法としては、熱分解法、ゾルゲル法、錯体重合法、スパッタ法等が挙げられる。前記酸化物をなす複合金属としては、Ti、Nb、V、Cr、Mn、Co、Zn、Zr、Mo、Ta、W、Tl、RuとIrのうち少なくともいずれか一種の金属が挙げられる。
前記構成を有するアノードは、ソーダ電解や水分解用の電極として好適に使用できるが、これらの用途に限られることなく、一般的なゼロギャップ電極として用いることが可能である。
アノード1は、多孔構造である。すなわち、アノード1は、複数の貫通した孔部を有している。
以上説明した構成を有するアノード1は、導電性の電極基材を、例えばウェットエッチング、エクスパンド加工、パンチング加工等で製造できる。またフォトエッチングやレーザー、精密切削などによる加工で製造することも可能である。
上記したように水素発生が起きない1.23V(vsRHE)以下の印加電圧を維持するための条件を実験にて求めた。その結果、メッシュ孔部の開口数密度(開口率)の範囲は、9.5個/cm〜180個/cmが好ましいことが分かった。この関係を図2に示す。図2においてd1=9.5個/cm、d3=180個/cm、d2=45個/cmである。
また、開口1個当たりの開口面積の範囲は0.4mm〜6.0mmが好ましいことが分かった。この関係を図3に示す。図3においてs1=0.4mm、S3=6.0mm、s2=0.9mmである。
さらにアノードの電極の厚みの範囲は0.12mm〜0.55mmが好ましいことが分かった。この関係を図4に示す。図4においてt1=0.12mm、t3=0.55mm、t2=0.22mmである。
図2〜4は図1に示した構成で孔部の数が様々なサンプルを作成し、これらのサンプルを電気化学セルのアノード1に用い、さらにこの電極の外側から樹脂の締付板7で締め付けることで電極のたわみをなくし、電気化学セルのアノード1とカソード2の間に掛かる電圧を測定した結果である。それぞれのパラメータ間は相互に関係があり、例えば基材厚みが厚いと加工性の問題から、開口数密度は小さくなり、開口面積は大きくなる。そのため、抵抗は低くなるが、物質移動は抑制され性能は高くない。以上の結果から上記の3つのパラメータの決定が重要であることが今回の検証により示された。
そして図2〜4から9.5個/cm〜180個/cmの開口数密度範囲であり、かつ開口1個当たり0.4mm〜6.0mmの開口面積範囲、厚みが0.12mm〜0.55mmの範囲となる開口を有する電極が電気化学セル1に掛かるセル電圧を1.23V以下に抑制する上で好ましい。
〔締付板〕
締付板7としては電気化学的に反応不活性であることが条件となる。例えばPEEK、PS、PEI、PE、PP、PS、PMMA等の樹脂、TiO、SiOなどの金属酸化物が好ましい。これら締付板7の厚みは電極を締付けたときにたわみが発生しないような厚さにすることが好ましく、樹脂や金属酸化物の剛性で選択すればよい。なお、上記の材料の例は一例であり、運転を行う電位において電気化学反応的に不活性であれば良い。
なお、ここで締付板とはMEAが浮かないようにする機能を有する抑え板を意味する。例えば、所定の締付圧により強制的にMEAに圧力を与える構成が例示される。
もし締付板7を用いない場合、アノード1およびカソード2が電解質膜3と略均等に面接触しせずに浮いてしまう可能性があり、この場合、急激な電圧の上昇が起こる。今回の評価においても、締付板7を置かない場合は上記電極基材の開口条件内でも電圧が1.23Vを超える場合があることが確認されている。また、Niなどの電気化学的に活性な金属を締付板として選択した場合、運転とともに腐食が発生し、締付性能の低下だけでなく、腐食物の影響で反応電極自体が影響を受ける可能性があり不適切である。
〔カソード〕
アノード1の対極をなすカソード2は、電極基材(カソード基材と称することもできる)と、この基材の一面に形成される触媒層(カソード触媒と称される)とで構成される場合と、電極基材そのもので構成される場合とがある。
カソード2の触媒層を支持する電極基材をなす材料としては、Ta、Ti、SUS、Ni等の金属材料およびこれらの合金、カーボン又はカーボンから構成されるガス拡散層(GDL)等を挙げることができる。これらの材料はカソードの反応電位によって使い分けられる。燃料電池や減酸素素子用の酸素還元酸化反応用触媒としては、白金族系貴金属触媒(Pt、PtCo、PtFe、PtNi、PtPd、PtIr、PtRu、PtSnなども含む)がより好ましいが、その他金属触媒、窒素置換炭素触媒、酸化物触媒などを用いることもできる。
また、食塩電解用カソードや酸素発生用カソードとしては、銀やパラジウム、白金などが好ましく、その他金属触媒、窒素置換炭素触媒、酸化物触媒、さらには炭素などを用いることもできる。
カソード2の触媒層は、電極基材上に、スパッタにより作製することができる。また、触媒粉末を水、アルコール等で分散させた縣濁液を電極基材に直接塗布して製作することができる。なお、前記したような電極基材上への触媒塗布だけでなく、電極基材自体が触媒として機能して反応に活性を持つ場合は、この基材そのものでカソード2を形成することができるので、この電極には触媒層を要しない。こうした電極基材をなす材料として、例えば白金(Pt)等の白金族系貴金属触媒が挙げられる。更に、アノードは、電気化学セルの使用条件に応じて反応と共に電極が消耗する溶出電極として用いることも可能である。
〔電解質膜〕
電解質膜3には、高分子電解質膜、例えば陽イオン交換固体高分子電解質膜、具体的にはカチオン交換性の膜、又はアニオン交換性の膜、或いは炭化水素系の膜を用いることができる。カチオン交換性の膜としては、Nafion(商標)112、115、117、フレミオン(商標)、アシプレックス(商標)、ゴアセレクト(商標)が挙げられる。アニオン交換性の膜としては、A201(株式会社トクヤマ製)等が挙げられる。
(第2の実施形態)
〔電気化学セル〕
前記構成の電気化学セル10は、電解質膜3をアノード1とカソード2とで挟んだ状態で、ホットプレスすることにより、電解質膜3とアノード1を接合するとともに、電解質膜3とカソード1を接合して製作される。
この電気化学セル10を備えた電気化学装置20を図5に示す。図5に示した電解室12内は、仕切り部材11、例えば仕切り壁と電気化学セル10とによってアノード室(第1室)12Aとカソード室(第2室)12Cとに仕切られている。仕切り壁11には電気化学セル10が取付けられている。
電気化学装置20は、更に電圧印加手段6、例えば直流の電源6と、電圧測定手段13、例えば電圧計13と、電流測定手段14、例えば電流計14と、制御手段15を有している。
電源6の両極はアノード1およびカソード2に電気的に接続されている。制御手段15は電源6を制御し、電気化学セル10に電圧を印加する。電圧計13は、アノード1とカソード2に電気的に接続されていて、電気化学セル10に印加される電圧を測定する。その測定情報は制御手段15に供給される。電流計14は、電気化学セル10に対する電圧印加回路に挿入されていて、電気化学セル10を流れる電流を測定する。その測定情報は制御手段15に供給される。制御手段15は、それが有するメモリに記憶されたプログラムに従い、各測定情報に応じて電源6の出力を制御し、電気化学セル10に対する電圧を印加するか、または負荷を変化させる等の制御を行う。
なお、電気化学セル10が電池反応に用いられる場合、この電気化学セル10に対して電圧が負荷される。電気化学セル10が電池反応以外の反応、例えば減酸素反応等に用いられる場合にはその電気化学セル10に対して電圧が印加される。
電気化学装置20は、アノード室12A及びカソード室12Cに反応対象物質が供給された状態で、アノード1とカソード2との間に電圧を負荷し、電気化学反応を進行させる。
電気化学セル10が有するアノード1を導電性の電極基材で形成させることにより、電極と集電部材を兼ねさせる。電気化学的に不活性な締付板7をアノード1の外部に有しており、アノード1に対して締付板兼集電部材を設置した場合のように、反応電位に基づく腐食に対する耐性を与えるための特殊な加工をする必要はない。
(実施例1)
図5に示す電気化学セル10及びこれを備えた電気化学装置20を作製し、この電気化学装置20を用いて水電解特性評価を行った。
この実施例1では以下説明するカソード2を用いた。Pt/C(田中貴金属工業株式会社製)705mgに水5ccと5wt%のNafion(商標)溶液を3mL混合する。この混合液を超音波で30分間分散させる。これらの処理により形成された懸濁液を、撥水処理(20wt%)されたカーボンペーパー(CETEK製GDL25BC、厚み0.32mm、面積235cm)上にスプレーし、乾燥させた。乾燥したカーボンペーパーを3cm×4cmに切り取り、それをカソード2とした。
更に、実施例1では以下説明するアノード1を用いた。塩化イリジウム(IrCl3・nH2O)に1−ブタノールを0.25M(Ir)になるように加えて調整した溶液を、あらかじめ、10wt%シュウ酸水溶液中1時間80℃で処理した。こうして調整された溶液をアノード1の電極基材に塗布した後、乾燥及び焼成処理を行った。この場合、乾燥は80℃で10分間行ない、焼成は450℃で10分間行なった。このような塗布と乾燥と焼成を5回繰り返した電極基材を、3cm×4cmに切り出して、それをアノード1とした。
この場合、電極基材はチタン製で、菱形に開放された鈍角は120°、鋭角は60°である。なお、前記線状部位の幅Wは電極基材の厚みT1との関係において、T1≦Wの式を満たして形成される。
今回、実施例1で用いたアノード1の開口の仕様は表1に示す7種類を用いた。
また、締付板としてはPPS製の1.5mm厚の樹脂板を用いた。
次に、上述のようにして作製したアノード1とカソード2で、ポリマーの電解質膜3である厚さ50μmのNafion(商標)211を両側から挟み、これを、150℃、0.36MPaの圧力で3分間ホットプレスして、実施例1で用いた膜電極接合体である電気化学セル10を作製した。
この実施例1の電気化学装置20は、アノード室12Aに純水を入れた状態で、電気化学セル10の電極間、つまり、アノード1とカソード2間に、電源6により電圧をかけて、運転した。それにより、水の電気分解が起こって、アノード1から酸素が発生し、カソード2から水が発生した。
この場合の反応式は以下の通りである。
アノードでの反応 2HO→2O+4e+4H ・・・ (1)
カソードでの反応 2O+4e+4H→2HO ・・・ (2)
このときの200mA/cmの電流密度で運転したときの電圧を表1に示す。
Figure 2016196674
表1に示した結果から、水素発生が起こらない1.23V以下の電圧になるようにするには、9.5個/cm〜180個/cmの開口数密度、開口1個当たり0.4mm〜6.0mmの開口面積、電極の厚みが0.12mm〜0.55mmである電極が必要であることがわかる。
(比較例1)
実施例1と同様に電気化学セル10を備えて図5に示した電気化学装置20の構成と、MEAに当たる部分の締め付け板7Aを取り除き、単に枠7Fのみを用いた図7に記載の電気化学装置の2つを用意した。メッシュ仕様としては開口面積1.66mm、開口数密度28.3個/cm、厚み0.3mmとした。また、締付板としては、PPS製の1.5mm厚の樹脂板を用いた。締付板を有するセルの電圧は1.19Vであったのに対し、締付板が無いセルの電圧は1.5Vであった。この結果から、締付板が必要なことは明らかである。
(第3の実施形態)
図6は電気化学装置20を備えた保管庫30の概念図である。図6に示す保管庫30が備える保管庫本体21に減酸素室22を有している。なお、保管庫30を模式的に示した図6において、他の冷蔵室や冷凍室との識別を容易にするために、減酸素室22は平行斜線を付して示した。
保存空間である減酸素室22を区画した図示しない壁には冷媒が流通される。それにより、減酸素室22は、出し入れされる野菜などの保存対象物を適切な温度範囲で保存可能である。保存対象物を出し入れするために、減酸素室22は保管庫本体21の前面に開口されている。この開口は開閉部材23で開閉され、開閉部材23が閉じられた状態で減酸素室22は密閉状態に保持されるようになっている。
減酸素室22を開閉する開閉部材23は、保管庫本体21に回動可能に枢着された断熱性の開閉扉でもよく、或いは、減酸素室22にその前面開口を通って前後方向に移動される引出しの前壁を兼ねる断熱性の開閉蓋であってもよい。
保管庫30が備える電気化学装置20には、電気化学セル10を減酸素用途に備えた電気化学装置、例えば図5に示した電気化学装置20を用いることができる。この場合、電気化学装置20は、そのカソード2が減酸素室22内の酸素と反応できるとともに、アノード1に給水手段(図示省略)を経由して水が供給されるように配設される。なお、図5に示した電気化学装置20を備えた保管庫30の場合、図5に示した開閉部材23を保管庫30の開閉扉として実施すればよい。
図6の保管庫30では、保管庫本体21の1室が減酸素室22になっているが、保管庫本体21の1室のうちの一部が減酸素室22であってもよい。電気化学装置20は保管庫本体21内のどの位置に配置してもよい。生鮮食品を保存する保管庫内で減酸素動作を行うと、食品の酸化を抑えることができる。また、保管庫30において、電気化学セル10を減酸素用途に用いた電気化学装置20の代わりに、電気化学セル10を加湿用途または除湿用途に用いてもよい。
また、制御手段15によって、吸排気、給排水、密閉領域等を切り替えて、減酸素運転と、除湿運転と、加湿運転のいずれかの動作になるように制御可能な装置を、電気化学装置20の代わりに備えてもよい。更に、酸素濃度計や湿度計を保管庫本体21に設けて、電気化学装置20の減酸素運転による効果を容易に確認できるようにしてもよい。また、任意の酸素濃度または湿度になるように制御してもよい。これらの制御は、マイコンやFPGAなどのプログラム可能なICを用い電子的制御で実現してもよいし、手動制御により実現してもよい。
(実施例2)
図6に示した保管庫30の電気化学装置20は、そのアノード1とカソード2との間に電圧を印加して減酸素運転を行なう。こうして、電気化学装置20を動作させると、電気化学セル10を流れる電流に応じて減酸素室22内の酸素濃度が、所定の時間内で理論通りに減少し、約21%から約10%まで濃度が低下したことを確認した。
図6に示した保管庫30では、開閉部材23が閉じられることで減酸素室22が密閉される。この開閉部材23の閉じた状態において電気化学装置20が運転される。これに伴い、食品などが収容される減酸素室22の酸素濃度が減少するため、酸化による食品の腐食を抑え、食品の保存期間を延ばすことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、明細書中で説明した元素の一部は元素記号で記載したものもある。
1…アノード
2…カソード
3…電解質膜
4…集電板、4C…カソード集電板
5…外部回路
6…電源
7…締付板、7A…アノード締付板、7C…カソード締付板
7F…枠
8…ガスケット、8A…アノードガスケット、8C…カソードガスケット
9…水供給路
10…電気化学セル
11…仕切り部材(仕切り壁)
12…電解室、12A…アノード室、12C…カソード室
13…電圧測定手段
14…電流測定手段
15…制御手段
20…電気化学装置
21…保管庫本体
22…減酸素室
23…開閉部材
30…保管庫

Claims (5)

  1. 貫通孔を有し、導電性を有する基材の上に担持された触媒を有するカソードと、
    アノードと、
    前記カソードと前記アノードの間に配置された電解質膜と、
    を有する電気化学セルであって、
    前記基材の前記貫通孔の開口が9.5個/cm以上180個/cm以下の開口率を有し、かつ前記開口1個当たり0.4mm以上6.0mm以下の開口面積と、0.128mm以上0.55mm以下の基材の厚みを有する電気化学セル。
  2. 貫通孔を有する絶縁層を更に有し、
    前記カソードまたは前記アノードの前記電解質膜に対向する主面に対して反対側にある裏面が前記絶縁層に接触している請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記絶縁層の厚みが、前記基材の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気化学セルと、
    前記カソード及びアノードに電圧を印加可能な電源と、
    を有する電気化学装置。
  5. 密閉可能な室と、
    前記室に接続された請求項4に記載の電気化学セルと、
    を有する保管庫。
JP2015076101A 2015-04-02 2015-04-02 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。 Pending JP2016196674A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015076101A JP2016196674A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015076101A JP2016196674A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016196674A true JP2016196674A (ja) 2016-11-24

Family

ID=57357595

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015076101A Pending JP2016196674A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016196674A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018131519A1 (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 旭化成株式会社 電解用電極、電解槽、電極積層体及び電極の更新方法
JP2022542176A (ja) * 2019-11-29 2022-09-29 ▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司 電極板、電気分解装置及び衣類処理機器

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018131519A1 (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 旭化成株式会社 電解用電極、電解槽、電極積層体及び電極の更新方法
CN110023541A (zh) * 2017-01-13 2019-07-16 旭化成株式会社 电解用电极、电解槽、电极层积体和电极的更新方法
TWI666343B (zh) * 2017-01-13 2019-07-21 日商旭化成股份有限公司 電解用電極、電解槽、電極積層體及電極之更新方法
JPWO2018131519A1 (ja) * 2017-01-13 2019-11-07 旭化成株式会社 電解用電極、電解槽、電極積層体及び電極の更新方法
CN110023541B (zh) * 2017-01-13 2022-02-08 旭化成株式会社 电解用电极、电解槽、电极层积体和电极的更新方法
JP2022542176A (ja) * 2019-11-29 2022-09-29 ▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司 電極板、電気分解装置及び衣類処理機器
JP7311203B2 (ja) 2019-11-29 2023-07-19 ▲無▼▲錫▼小天鵝電器有限公司 電極板、電気分解装置及び衣類処理機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Schuler et al. Towards a generic understanding of oxygen evolution reaction kinetics in polymer electrolyte water electrolysis
Yoo et al. Role of lattice oxygen participation in understanding trends in the oxygen evolution reaction on perovskites
JP5638433B2 (ja) 電解装置および冷蔵庫
Lyons et al. Mechanism of oxygen reactions at porous oxide electrodes. Part 2—Oxygen evolution at RuO2, IrO2 and IrxRu1− xO2 electrodes in aqueous acid and alkaline solution
JP6038604B2 (ja) 電気化学セル、及びこのセルを用いた減酸素装置、並びにこの減酸素装置を用いた冷蔵庫
Siracusano et al. Electrochemical characterization of single cell and short stack PEM electrolyzers based on a nanosized IrO2 anode electrocatalyst
US20060099482A1 (en) Fuel cell electrode
US20170204526A1 (en) Electrode, electrochemical cell, electrochemical apparatus and method for manufacturing electrode
Fedotov et al. Characterization of carbon-supported platinum nano-particles synthesized using magnetron sputtering for application in PEM electrochemical systems
JP6009911B2 (ja) 減酸素装置及び冷蔵庫
CN110199055B (zh) 阳极、水电解用阳极、电解单元以及氢的制造方法
JP5679639B2 (ja) ガス拡散電極およびその製法
Petkucheva et al. Gold-supported magnetron sputtered Ir thin films as OER catalysts for cost-efficient water electrolysis
Marini et al. Oxygen evolution in alkali with gas diffusion electrodes
Tackett et al. Metal-modified niobium carbides as low-cost and impurity-resistant electrocatalysts for hydrogen evolution in acidic and alkaline electrolytes
JP5072652B2 (ja) 水電解装置
Zhong et al. Microenvironment alters the oxygen reduction activity of metal/N/C catalysts at the triple-phase boundary
Kang et al. Electronic effect in methanol dehydrogenation on Pt surfaces: potential control during methanol electrooxidation
EP2599149A1 (en) Electro-catalyst
JP2016196674A (ja) 電気化学セル、この電気化学セルを用いた電気化学装置、及びこの電気化学装置を用いた保管庫。
Komiya et al. Electrolyte Engineering Applying Concentrated Chloride Ions with Mixed Buffer Solutions for a Versatile High-Productivity Water-Splitting System
JP5823587B2 (ja) 電解装置、冷蔵庫、電解装置の運転方法及び冷蔵庫の運転方法
JP4868394B2 (ja) ガス拡散電極とその製造方法、及び当該ガス拡散電極を用いる燃料電池及び食塩電解セル
JP6258444B2 (ja) 電気化学セル、及びこのセルを用いた減酸素装置、並びにこの減酸素装置を用いた冷蔵庫と電気化学装置
JP6345663B2 (ja) 燃料電池用電極及びその製造方法、並びに膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20170220