JP2016196418A - 抗炎症剤 - Google Patents

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卓夫 築野
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隆夫 庭野
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Yohei Kadoi
洋平 角井
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Abstract

【課題】安全性が高く、例えばサイトカインやエラスターゼ活性を抑制する抗炎症機能を有し、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品として優れた抗炎症剤を提供すること。【解決手段】β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤。【選択図】なし

Description

本発明は、安全性が高く、例えばサイトカインやエラスターゼ活性を抑制する機能を有し、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品として優れた抗炎症剤を提供する。
特許文献1の背景技術の欄には、ステロールエステル含有製剤を用いることにより炎症抑制効果がもたらされることが記載されている。しかし、ステロールエステルの中でも特にどのようなステロールが炎症抑制効果に優れているかは不明であった。なお、特許文献1には抗炎症効果を確認したin vitro等の薬理試験の結果が示されていないため、特許文献1は、抗炎症という用途に関して、特許文献1に記載の発明は引用発明とはならない。
特開2006−176422
本発明は、本発明は、安全性が高く、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品として優れた新規の抗炎症剤を提供するという課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果見出されたものである。すなわち、本発明は、安全性が高く、例えばサイトカインやエラスターゼ活性を抑制する機能を有し、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品として優れた抗炎症剤を提供することを目的とする。
〔1〕β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤。
〔2〕抗炎症が、エラスターゼ活性抑制、チロシナーゼ活性抑制、プロスタグランジン分泌抑制又は炎症性サイトカイン分泌抑制である前記〔1〕に記載の抗炎症剤。
〔3〕サイトカインがインターロイキン又は顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)である前記〔2〕に記載の抗炎症剤。
〔4〕皮膚外用剤である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗炎症剤。
〔5〕化粧品である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗炎症剤。
〔6〕美白化粧品である前記〔5〕に記載の抗炎症剤。
〔7〕医薬部外品である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗炎症剤。
〔8〕医薬品である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗炎症剤。
〔9〕食品である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗炎症剤。
〔10〕ヨウ素価が130以下であり、融点が10〜60であるフィトステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤。
本発明によれば、安全性が高く、例えばサイトカインやエラスターゼ活性を抑制する機能を有し、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品、食品添加剤若しくはサプリメントとして優れた抗炎症剤を提供することができる。
図1は、各ステロールエステルの、ケラチノサイトのIL−1α分泌量に与える影響を示す図である。 図2は、各ステロールエステルの、ケラチノサイトのIL−8分泌レベルに与える影響を示す図である。 図3は、各ステロールエステルの、ケラチノサイトのGM−CSF分泌量に与える影響を示す図である。 図4は、各ステロールエステルの、ケラチノサイトのプロスタグランジンE−2分泌量に与える影響を示す図である。 図5は、陽性対照(アスタキサンチン)及び実施例1のステロールエステルの、ケラチノサイトのIL−1α分泌量に与える影響を比較した図である。 図6は、陽性対照(アスタキサンチン)及び実施例1のステロールエステルの、ケラチノサイトのIL−8分泌量に与える影響を比較した図である。 図7は、各ステロールエステルの、線維芽細胞のエラスターゼ活性に与える影響を示す図である。 図8は、陽性対照(アスタキサンチン)及び実施例1のステロールエステルの、線維芽細胞のエラスターゼ活性に与える影響を比較した図である。 図9は、陽性対照(アスコルビン酸)及び実施例1のステロールエステルの、マウスB16メラノーマ細胞のチロシナーゼ活性に与える影響を比較した図である。 図10は、実施例1のステロールエステルの、マウスB16メラノーマ細胞の白色度に与える影響を示す写真である。
〔抗炎症剤〕
本発明は、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステル(以下、本発明に係るステロールエステルという)を含有することを特徴とする抗炎症剤(以下、本発明の抗炎症剤という)を包含する。本発明の抗炎症剤は、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びカンペステロールからなる群から選択される1以上のステロールと、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される1以上の脂肪酸とのエステルを含有し、また、これらの組み合わせを含有していてもよい。本発明に係るエステルは、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びカンペステロールからなる群から選択される1以上のステロールと、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される1以上の脂肪酸とを、公知の方法によりエステル化させることで合成にて製造され得る。エステル化に際して、例えばN,N−ジメチル-4-アミノピリジン、テトラメチルエチレンジアミン等の溶媒を用いることができる。エステル化に際して、例えばトリエチルアミン、N-メチルイミダゾール、炭酸カリウム又はこれらの2以上の組合せ等の触媒を用いることができる。本発明に係るエステルは、例えばアセトニトリル、クロロホルム、又はこれらの組み合わせ等の溶媒に溶解したβ−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール及びカンペステロールからなる群から選択される1以上のステロールと、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される1以上の脂肪酸又は例えば酸クロリド等の脂肪酸の反応性誘導体と、触媒とを溶媒に加えて所望の温度条件で適宜攪拌することにより得られる。本発明に係るエステルは、例えばK. Wakasugi, A. Nakamura, A. Iida, Y. Nishii, N. Nakatani, S. Fukushima, and Y. Tanabe, Tetrahedron, 2003, 59, 5337に記載を参照して製造することも可能である。本発明に係るエステルは、コーン、大豆、米、タピオカ、及びこれらの処理物(抽出物、分解物、分離物等)の中に含有されているものであってもよい。本発明に係るエステルは、特開2014−047311号公報の記載を参照して製造することも可能である。
〔製造方法〕
本発明の抗炎症剤は、例えば、本発明に係るステロールエステル、必要に応じてpH調整剤、粘度調整剤等を混合し、上記成分が所望の濃度になるように水を加え、例えば攪拌により均一製剤とすることにより製造され得る。
〔エステルの割合〕
本発明の抗炎症剤は、例えば、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール又はこれらの2以上の組合せのオレイン酸エステルを30〜50質量%含有していてもよく、40〜50質量%含有していてもよく、40〜45質量%含有していてもよく、41〜43質量%含有していてもよい。本発明の抗炎症剤は、例えば、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール又はこれらの2以上の組合せのリノール酸エステルを30〜50質量%含有していてもよく、30〜40質量%含有していてもよく、33〜38質量%含有していてもよい。本発明の抗炎症剤は、例えば、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール又はこれらの2以上の組合せのリノレン酸エステルを0.1〜5質量%含有していてもよく、0.1〜3質量%含有していてもよく、0.2〜1.5質量%含有していてもよい。
本発明の抗炎症剤は、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを上記割合で含有することにより、優れた抗炎症効果、抗シワ効果及び/又は美白効果を示す。
〔ステロールの割合〕
本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成するステロールは、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロール単独であってもよい。本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成するステロールは、例えば、β−シトステロール:シクロアルテノール:24−メチレンシクロアルタノール:カンペステロールが(0.1〜1):1:(0.1〜1):(0.1〜1)であってもよく、(0.5〜1):1:(0.1〜0.5):(0.1〜0.5)であってもよく、(0.6〜0.9):1:(0.1〜0.3):(0.2〜0.4)であってもよい。
本発明の抗炎症剤は、本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成するステロールが上記割合で存在することにより、優れた抗炎症効果、抗シワ効果及び/又は美白効果を示す。
〔脂肪酸の割合〕
本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成する脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸又はリノレン酸単独であってもよい。本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成する脂肪酸は、例えば、オレイン酸:リノール酸:リノレン酸が1:(0〜4):(0〜6)であってもよく、1:(0.04〜4):(0〜1)であってもよく、1:(0.04〜2):(0〜0.3)であってもよい。
本発明の抗炎症剤は、本発明の抗炎症剤に含有されるエステルを構成する脂肪酸が上記割合で存在することにより、優れた抗炎症効果、抗シワ効果及び/又は美白効果を示す。
〔その他の成分〕
本発明の抗炎症剤は、抗炎症効果を損なわない範囲で、他の成分を配合してもよい。
本発明の抗炎症剤は、例えば、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのパルミチン酸又はステアリン酸エステルを公知のステロールエステル含有組成物のそれらの含有量よりも少ない量で含有していることが好ましい。
〔抗炎症〕
本発明において、抗炎症は特に限定されないが、例えば、エラスターゼ活性抑制、チロシナーゼ活性抑制、プロスタグランジンE−2(PGE2)等のプロスタグランジン(PG)分泌抑制、炎症性サイトカイン分泌抑制等であってもよい。抗炎症が炎症性サイトカイン分泌抑制である場合、炎症性サイトカインは特に限定されないが、インターロイキン−1α(IL−1α)、インターロイキン−8(IL−8)等のインターロイキン(IL)、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF:Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor)等であってもよい。本発明が抗炎症効果を奏することは、例えば、細胞に紫外線(UV)等の炎症を惹起するための刺激を与え、本発明の抗炎症剤を添加することで、細胞の上記エラスターゼ活性及び/又はチロシナーゼ活性が抑制され、プロスタグランジンE−2(PGE2)等のプロスタグランジン(PG)分泌量及び/又は炎症性サイトカイン分泌量が減少することを種々の公知の方法(例えば、ELISA法)で確認すること等により確かめることができる。
〔抗シワ〕
本発明の抗炎症剤は抗シワ効果を奏するので、抗シワ剤としても使用され得る。本発明が抗シワ効果を奏することは、例えば、細胞にIL−1α及びGM−CFS等のエラスターゼ活性上昇剤を添加して刺激を与え、本発明の抗炎症剤を添加することで、細胞のエラスターゼ活性値が減少することを種々の公知の方法で確認すること等により確かめることができる。
〔美白〕
本発明の抗炎症剤は美白効果を奏するので、美白剤としても使用され得る。本発明が美白効果を奏することは、例えば、メラノーマ細胞等の細胞に本発明の抗炎症剤を添加することで、細胞のメラニン合成酵素(例えば、チロシナーゼ)活性値が減少することを確認すること、肉眼で白色化していることを確認すること等により確かめることができる。チロシナーゼ活性値を測定する場合は、例えば、細胞の吸光度490nmの値を測定することで算出される。
〔皮膚外用剤、化粧品、医薬部外品〕
皮膚外用剤である本発明の抗炎症剤としては、例えば、保湿剤、美白剤、抗シワ剤等を挙げることができる。化粧品である本発明の抗炎症剤としては、例えば、保湿剤、美白剤、抗シワ剤等を挙げることができる。化粧品である本発明の抗炎症剤は、美白作用も有するので、美白化粧品として有用である。医薬部外品である本発明の抗炎症剤としては、例えば、保湿剤、美白剤、抗シワ剤等を挙げることができる。
皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有していてもよい。この皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品は、発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%含有することが好ましい。また、この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、アスコルビン酸を0.1〜10質量%含有することが好ましい。
皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有していてもよい。この皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜10質量%含有することが好ましい。
皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有していてもよい。この皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有することにより、抗炎症及び/又は抗シワの相乗効果を奏する。この場合において、より優れた抗炎症及び/又は抗シワ効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜5質量%含有することが好ましい。
皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品の形態は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、美容液、パック、メイクアップベースローション等のローション、メイクアップベースクリーム、ファンデーション(乳液状、クリーム状、又は軟膏型)、アイカラー、チークカラー、リップカラー、ハンドクリーム及びレッグクリーム等のクリーム、ボディローション、シャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアケア剤、スタイリング剤、入浴剤、ボディソープ、石鹸等の形態とすることができる。
皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品は、本発明に係るステロールエステル以外に化粧品又は医薬部外品として一般に使用されている成分、例えば、油分、湿潤剤、保湿剤、乳化剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、増粘剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、日焼け止め剤、消泡剤、柔軟剤、着色剤、防腐剤、推進剤、酸性化又は塩基性化剤、シリコーン、ビタミン、染料、顔料、ナノ顔料、香料、アルコール等の有機溶媒、水等を目的に応じて適宜配合することができる。
〔医薬品〕
医薬品である本発明の抗炎症剤は、上記本発明にかかるステロールエステルを有効成分とし、薬学的に許容される担体又は添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤、液剤等の非経口剤とすることができる。担体又は添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体又は添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性又は油性基剤等の各種担体、賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
医薬品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有していてもよい。この医薬品は、本発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はアスコルビン酸を0.1〜10質量%含有することが好ましい。
医薬品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有していてもよい。この皮膚外用剤、化粧品又は医薬部外品は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜10質量%含有することが好ましい。
医薬品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有していてもよい。この医薬品は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有することにより、抗炎症及び/又は抗シワの相乗効果を奏する。この場合において、より優れた抗炎症及び/又は抗シワ効果を得るために、本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜5質量%含有することが好ましい。
錠剤、カプセル剤等に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤業務(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解又は懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)等が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)等と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、酸化防止剤等と配合してもよい。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与することができる。
医薬品である本発明の抗炎症剤の1日当たりの投与量は、副作用の少ない量であれば特に限定されない。
〔食品〕
食品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステルの作用を妨げないような任意の成分を配合したものであってもよいし、本発明に係るステロールエステルを主成分(例えば、食品全体に対して本発明に係るステロールエステルを50質量%以上)とする食品であってもよい。
食品である本発明の抗炎症剤は、液体であっても、固体であってもよい。食品である本発明の抗炎症剤が液体である場合、その粘度は特に限定されないが、例えば、15℃で1〜100cP(mPa・s)であってもよく、1〜10cP(mPa・s)であってもよく、1〜5cP(mPa・s)であってもよい。食品である本発明の抗炎症剤が液体である場合、ミルク状であっても、シロップ状であってもよい。食品である本発明の抗炎症剤が固体である場合、顆粒、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤等であってもよい。本発明の食品が顆粒である場合、本発明の食品を水、お湯、牛乳等に溶かして使用することもできる。食品である本発明の抗炎症剤は、流動食、離乳食、介護食、栄養バランス食、非常食等として使用され得る。また、食品である本発明の抗炎症剤として、栄養補助食品、特定保健用食品、サプリメント等の健康食品、栄養補助食品、特定保健用食品、サプリメント等の健康食品等の機能食品等が挙げられる。食品である本発明の抗炎症剤は、その健康食品全体に対して本発明に係るステロールエステルを50質量%以上含有する健康食品を包含する。
食品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有する健康食品を包含する。この健康食品は、本発明に係るステロールエステル及びアスコルビン酸を含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の健康食品は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はアスコルビン酸を0.1〜10質量%含有することが好ましい。
食品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有する健康食品を包含する。この健康食品は、本発明に係るステロールエステル及びビタミンCを含有することにより、美白の相乗効果を奏する。この場合において、より優れた美白効果を得るために、本発明の健康食品は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜10質量%含有することが好ましい。
食品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有する健康食品を包含する。この健康食品は、本発明に係るステロールエステル及びアスタキサンチンを含有することにより、抗炎症及び/又は抗シワの相乗効果を奏する。この場合において、より優れた抗炎症及び/又は抗シワ効果を得るために、本発明の健康食品は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%及び/又はビタミンCを0.1〜5質量%含有することが好ましい。
食品である本発明の抗炎症剤は、本発明に係るステロールエステル及び甘味料(アセスルファムカリウム、スクラロース等)を含有する健康食品を包含する。この場合において、健康食品は、本発明に係るステロールエステルを5〜20質量%含有及び/又は甘味料を0.1〜5質量%含有することが好ましい。
食品である本発明の抗炎症剤を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等の任意の助剤を添加して任意の剤形に製剤化することができる。
〔抗炎症剤(2)〕
本発明は、ヨウ素価が130以下であり、融点が10〜60℃であるフィトステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤(以下、本発明の抗炎症剤(2)という)を包含する。本発明の抗炎症剤(2)に含有されるフィトステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルは、ヨウ素価が130以下であり、融点が10〜60℃である。このヨウ素価及び融点はフィトステロールエステルを構成する脂肪酸が不飽和であることと関連している。そのため、本発明の抗炎症剤(2)に含有されるフィトステロールエステルは、本発明の抗炎症剤に含有されるステロールエステルと同様に説明される。なお、フィトステロールとして、例えば、β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロールが挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
〔エステルの作製〕
〔実施例1〕
テトラメチルエチレンジアミン中にアセトニトリルと少量のクロロホルムで溶かしたシクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロール(シクロアルテノール:24−メチレンシクロアルタノール:カンペステロール:β−シトステロール(存在比)=0.75:1.0:0.2:0.3)とオレイン酸を加え、触媒としてN-メチルイミダゾールとタンサンカリウムを用いて室温(25℃)条件下で撹拌し、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロールのオレイン酸エステルを合成した。
〔実施例2〕
実施例1においてオレイン酸をリノール酸に代えた以外は実施例1と同様に行い、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロールのリノール酸エステルを合成した。
〔実施例3〕
実施例1においてオレイン酸をリノレン酸に代えた以外は実施例1と同様に行い、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロールのリノレン酸エステルを合成した。
〔比較例1〕
実施例1においてオレイン酸をパルミチン酸に代えた以外は実施例1と同様に行い、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロールのパルミチン酸エステルを合成した。
〔比較例2〕
実施例1においてオレイン酸をステアリン酸に代えた以外は実施例1と同様に行い、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール、カンペステロール及びβ−シトステロールのステアリン酸エステルを合成した。
〔試験例1:抗炎症効果の確認(1)〕
培養液には、10%(V/V)牛胎児血清(FCS;fetal calf serum)及び4.7mM HEPESを含むイーグルMEM培地(日水製薬)を用いた。2×10個のケラチノサイト細胞(正常ヒト表皮角化細胞(クラボウ製))を、試料(実施例1〜3、比較例1及び2の各ステロールエステル:各終濃度0.01、0.02、0.03質量%;コントロール:培養液のみ)を含む上記培養液5mlを入れた直径6cmのシャーレに播種し、5%COインキュベータ下、37℃で24時間培養した。培養後、前記培地組成における血清無添加の培地に交換し細胞増殖を停止させた後、UVB80mJ/cm照射(刺激)し72時間培養した。培養上清を回収し各種ELISAキット(サーモフィッシャーサイテンティフィック株式会社製)にて各炎症性物質の分泌量を測定した。
ケラチノサイトのIL−1α、IL−8、GM−CSF及びPGE2分泌量を測定した結果をそれぞれ図1〜4に示した。図1〜4の結果から、実施例1〜3のステロールエステルが、比較例1及び2のステロールエステルよりもIL−1α、IL−8、GM−CSF及びPGE2分泌抑制効果を有することが示された。このことから、ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸又はリノレン酸である場合に、そのステロール脂肪酸エステルは優れた抗炎症効果を示すことが明らかとなった。
〔試験例2:抗炎症効果の確認(2)〕
試料を実施例1のステロールエステル及び陽性対照としてのアスタキサンチン(各最終濃度:10μM)とした以外は試験例1と同様に試験を行い、抗炎症効果と比較した。
IL−1α及びIL−8分泌量を測定した結果をそれぞれ図5及び6に示した。図5及び6の結果から、実施例1のステロールエステルが、アスタキサンチンと同程度のIL−1α及びIL−8分泌抑制効果を有することが示された。このことから、ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がオレイン酸である場合に、そのステロール脂肪酸エステルはアスタキサンチンと同程度に優れた抗炎症効果を示すことが明らかとなった。
〔試験例3:抗シワ効果の確認(1)〕
培養液には、10%(V/V)牛胎児血清(FCS;fetal calf serum)及び4.7mM HEPESを含むイーグルMEM培地(日水製薬)を用いた。2×10個の線維芽細胞(ヒト真皮繊維芽細胞(クラボウ製))を試料(実施例1〜3並びに比較例1及び2の各ステロールエステル:各終濃度10μM;コントロール:培養液のみ)を含む上記培養液5mlを入れた直径6cmのシャーレに播種し、5%COインキュベータ下、37℃で培養した。3日間培養後、エラスターゼ活性の上昇剤(IL−1α及びGM−CFS各10nM)を添加し、72時間培養した。エラスターゼ活性抑制試験は、エラスターゼ酵素液、及びN−スクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリドを基質として用いて行った。具体的には、以下の通り行なった。酵素液は、0.05units/mL濃度に調整した。基質液は、基質をジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/L Tris−HCl(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の溶液として調製した。基質液100μLと、1%試料溶液50μLとを混合した後、酵素液50μLを添加し、37℃で30分間反応させた。その後、分光光度計により波長405nmの吸光度を測定し、生成したニトロアニリド量を求め、エラスターゼ活性残存率を算出した。エラスターゼ活性残存率は以下の式により算出した。
エラスターゼ活性残存率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の波長405nmの吸光度
線維芽細胞のエラスターゼ活性比の結果を図7に示した。図7の結果から、実施例1〜3のステロールエステルが、比較例1及び2のステロールエステルよりもエラスターゼ活性抑制効果を有することが示された。このことから、ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸又はリノレン酸である場合に、そのステロール脂肪酸エステルは優れた抗シワ効果を示すことが明らかとなった。
〔試験例4:抗シワ効果の確認(2)〕
試料を実施例1のステロールエステル及び陽性対照としてのアスタキサンチン(各最終濃度:10μM)とした以外は試験例3と同様に試験を行い、抗シワ効果と比較した。
線維芽細胞のエラスターゼ活性比の結果を図8に示した。図8の結果から、実施例1のステロールエステルが、アスタキサンチンと同程度のエラスターゼ活性抑制効果を有することが示された。このことから、ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がオレイン酸である場合に、そのステロール脂肪酸エステルはアスタキサンチンと同程度に優れた抗シワ効果を示すことが明らかとなった。
〔試験例5:美白効果の確認〕
培養液には、10%(V/V)牛胎児血清(FCS;fetal calf serum)及び4.7mM HEPESを含むイーグルMEM培地(日水製薬)を用いた。2×10個のマウスB16メラノーマ細胞(細胞番号JCRB202)を試料(実施例1:最終濃度50、100、200μg/ml;陽性対照(アスコルビン酸):最終濃度200μg/ml;コントロール:培養液のみ)を含む上記培養液5mlを入れた直径6cmのシャーレに播種し、5%COインキュベータ下、37℃で培養した。4日間培養後、新しい培養液(同様に試料を含む)に交換し更に4日間同条件で培養した後、0.25%トリプシン/PBS溶液で2回処理して細胞を分散させ遠心分離により回収した。回収した細胞と上記培養液2mlとを用いて細胞浮遊液を作り、その0.1mlを細胞計数用として使用した。細胞数は血球計算板を使用して測定し、シャーレ当たりの細胞数を算出した。細胞計数用として使用していない残りの細胞浮遊液をリン酸緩衝液で洗浄した後遠心沈殿管に細胞を回収し、1200rpmで遠心沈殿させ、その白色化度を肉眼で評価することによりメラニン産生量を判定した。回収した細胞の吸光度490nmの値をマイクロプレートリーダー(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いて測定し、蛋白質量測定キッ(BCA kit(BCA Protein Assay Reagent;サーモフィッシャーサイテンティフィック株式会社製))で測定した蛋白量の値で割ったものをチロシナーゼ活性値として、チロシナーゼの酵素活性を測定した。
チロシナーゼ活性値を測定した結果を図9に示した。図9の結果から、50、100、200μg/mlのいずれの濃度においても、実施例1はアスコルビン酸と同程度のチロシナーゼ活性抑制効果を示すことが明らかとなった。白色化度を示す写真を図10に示した。図10の結果から、50、100、200μg/mlのいずれの濃度においても、美白効果が認められることが明らかとなった。
本発明は、安全性が高く、例えばサイトカインやエラスターゼ活性を抑制する機能を有し、化粧品、医薬部外品、医薬品及び健康食品として優れた抗炎症剤を提供するため、産業上有用である。

Claims (10)

  1. β−シトステロール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール又はカンペステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤。
  2. 抗炎症が、エラスターゼ活性抑制、チロシナーゼ活性抑制、プロスタグランジン分泌抑制又は炎症性サイトカイン分泌抑制である請求項1に記載の抗炎症剤。
  3. サイトカインがインターロイキン又は顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)である請求項2に記載の抗炎症剤。
  4. 皮膚外用剤である請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  5. 化粧品である請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  6. 美白化粧品である請求項5に記載の抗炎症剤。
  7. 医薬部外品である請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  8. 医薬品である請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  9. 食品である請求項1〜3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  10. ヨウ素価が130以下であり、融点が10〜60であるフィトステロールのオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸エステルを含有することを特徴とする抗炎症剤。
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