JP2016195563A - シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有するロドコッカス属細菌、該細菌を含む微生物製剤、及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法 - Google Patents

シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有するロドコッカス属細菌、該細菌を含む微生物製剤、及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重化学工業における排水中の有機物を除去するためのシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有する微生物、微生物製剤及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法の提供。
【解決手段】特定の塩基配列である16SrRNA遺伝子を有し、且つ、シクロプロパンカルボン酸誘導体分解能及び硝酸塩還元能を有するロドコッカス属細菌。
【選択図】なし

Description

本発明は、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有するロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、該細菌を含む微生物製剤、及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法に関する。
化学や鉄鋼といった重化学工業等における排水は、有機物を除去し、ヒト及び環境生物に対する影響を十分に低下させた状態で自然環境中に排出することが望まれている。
排水に含まれる有機物は工場等によって様々であるが、例えば、シクロプロパンカルボン酸誘導体等の有機物が含まれることがある。
有機物を除去するための排水処理方法としては、燃焼処理又は化合物分解性微生物を利用した生物学的処理方法等が用いられている。例えば、特許文献1には、有機物を含む排水を600℃以上に加熱したチャンバー内に噴霧して含有有機物を熱分解・燃焼する排水の処理方法が記載されている。
特開2004−73938号公報
排水の燃焼処理は、有機物を除去するという観点からは有用な手段である。しかしながら、近年、地球環境に対する意識が社会全体で高まってきており、より環境に与える影響の少ない生物学的処理方法が注目されてきている。
本発明は、上記事情に鑑み、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有する微生物、微生物製剤及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、シクロプロパンカルボン酸誘導体を含む培地で活性汚泥を馴養し、その活性汚泥からスクリーニングすることで、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有する新規のRhodococcus属細菌を取得し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の[1]〜[5]に関する。
[1]配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有し、且つ、シクロプロパンカルボン酸誘導体分解能及び硝酸塩還元能を有する、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌(以下、本発明のロドコッカス属細菌と記すことがある。)。
[2]前記シクロプロパンカルボン酸誘導体が、(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロップ−1−エン−1−イル)シクロプロパン−1−カルボン酸である、[1]に記載の細菌。
[3]受託番号NITE BP−02023として寄託された、ロドコッカス属細菌。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の細菌を含む、微生物製剤。
[5]シクロプロパンカルボン酸誘導体に、[1]〜[3]のいずれかに記載の細菌又は[4]に記載の微生物製剤を作用させることを含む、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法。
本発明によれば、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有するRhodococcus属細菌、該細菌を含む微生物製剤及びこれらを用いたシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法を提供することが可能となる。
本発明のRhodococcus属細菌による化合物1分解の経時的変化を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能」とは、シクロプロパンカルボン酸誘導体を代謝して異なる化合物に変換する能力を指す。
本明細書において、「硝酸塩還元能」とは、硝酸塩を、窒素ガス又は亜硝酸に変換する能力を指す。
(Rhodococcus属細菌)
本発明のRhodococcus属細菌は、配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有し、且つ、シクロプロパンカルボン酸誘導体分解能及び硝酸塩還元能を有する。シクロプロパンカルボン酸誘導体としては、例えば、(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロップ−1−エン−1−イル)シクロプロパン−1−カルボン酸(以下、化合物1と記すことがある。)が挙げられる。
本発明のRhodococcus属細菌の代表的な菌株としては、Rhodococcus qingshengii(受託番号NITE BP−02023、原寄託日:2015年3月6日)として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD、住所:〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)にブダペスト条約に基づいて寄託されている菌株を挙げることができる。該菌株の菌学的性質については、後述する表1〜5に示す。
本発明のRhodococcus属細菌のシクロプロパンカルボン酸誘導体分解活性は、反応条件(基質の種類及び濃度、反応液の組成、温度、pH、菌体数等)によって変化する。例えば、上述の本発明のRhodococcus属細菌の代表的菌株を50mg/mLの湿菌体濃度で用いることで、100ppmのシクロプロパンカルボン酸誘導体を4日間で、ほぼ完全に分解することができる。
本発明のRhodococcus属細菌は、対象微生物の16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能の測定及び硝酸塩還元能の測定により、特定することができる。具体的には、対象微生物が、配列番号1に記載の塩基配列有する16S rRNA遺伝子を有し、且つ、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能及び硝酸塩還元能を有していれば、その対象微生物は、本発明のRhodococcus属細菌であると特定できる。
塩基配列解析において、対象微生物のDNAから16S rRNA遺伝子を増幅させる方法としては、特に制限されるものではなく、当業者が通常用いることができるユニバーサルプライマーを用いるPCR法等がある。PCR法により得られた増幅産物を、DNAシークエンサー等に供し、塩基配列を解析することができる。
シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を調べる方法としては、例えば、対象微生物と、シクロプロパンカルボン酸誘導体とを、適切な培地又は緩衝液中で一定時間反応させた後、培地又は緩衝液中におけるシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解を調べる方法が挙げられる。分解を調べる方法としては、例えば、HPLC、MS、TLC、NMR、GC等を用いてシクロプロパンカルボン酸誘導体量の減少を検出する方法等が挙げられる。
硝酸塩還元能を調べる方法としては、例えば、アピコリネ(bioMerieux社製)等の市販のキットを用いて亜硝酸又は窒素ガスの生成を測定する方法、HPLC、MS、TLC、NMR、GC等を用いて亜硝酸の生成を測定する方法等が挙げられる。これらの塩基配列解析、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能の測定及び硝酸塩還元能の測定の結果に基づき、対象微生物が本発明のRhodococcus属細菌であるかを判断できる。
本発明のRhodococcus属細菌は、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能を有することから、シクロプロパンカルボン酸誘導体を多く含む排水の処理等に有用である。
(微生物製剤)
本実施形態の微生物製剤は、上記Rhodococcus属細菌を含む。
微生物製剤は、本発明のRhodococcus属細菌の他に、必要に応じて、各種添加剤や担体を含むことができる。本実施形態の微生物製剤の具体例としては、細菌、添加剤及び担体を含み、細菌が、本発明のRhodococcus属細菌から実質的になる微生物製剤を挙げることができる。
担体としては、例えば、無機微粒子担体が挙げられる。無機微粒子担体としては、材質が金属及びその無機塩類又は酸化物であってもよく、炭素を含有するものであっても化学的に無機物に分類されるものであってもよく、又は有機態炭素の含有量が1%程度未満の純物質又は混合物であってもよい。無機微粒子担体としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、ヒドロキシアパタイト(カルシウムリン酸ヒドロキシド)等の工業製品(規格外品や副産物、廃品を含む)、活性汚泥等の有機性廃棄物の焼却灰並びに火力発電又はコークス炉の燃えかすである石炭焼却灰等が挙げられる。
無機微粒子担体としては、中でも、安価であり、簡便な操作で得ることができ、また微生物の活性発現が短期間で生じるといった観点から、石炭焼却灰が好ましい。石炭焼却灰の中でも、クリンカアッシュ又はフライアッシュが好ましく、ふるい分け等を行わなくても中心粒子径が100μm以下であることから、フライアッシュがより好ましい。無機微粒子担体としては、クリンカアッシュも粉砕して中心粒子径を調整することで、フライアッシュと同様に用いることができる。クリンカアッシュ又はフライアッシュの組成は、特に制限されるものではない。
無機微粒子担体の中心粒子径は、1μm〜100μmが好ましく、4μm〜75μmがより好ましく、13μm〜25μmが更に好ましい。中心粒子径がこのような範囲の場合、対象化合物分解性微生物を含むバイオマス及び無機微粒子担体を混合した際に、両者が凝集しやすくなり、好適な量の対象化合物分解性微生物を含むバイオマスが無機微粒子担体に担持されやすくなる傾向にある。
無機微粒子担体の比重は、特に制限されないが、1.2〜3.5が好ましい。
無機微粒子担体は、培養初期の歩留まりを向上させることを目的として、必要に応じて、各種凝集剤を用いて凝集させてもよい。凝集剤としては、例えば、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の高分子凝集剤等が挙げられる。
微生物製剤の製造方法としては、例えば、本発明のRhodococcus属細菌から実質的になる培養液又はバイオマス(活性汚泥等)と無機微粒子担体とを混合し、無機微粒子担体上に本発明のRhodococcus属細菌を担持させ、これを培養して得られる微生物製剤を回収する方法が挙げられる。
培養方法としては、回分、半回分、流加、連続のいずれの方式を用いてもよい。培養方法としては、例えば、増殖が遅く菌体収率の低い微生物を効率的に調製するという観点から、特開平9−187272号公報に記載されるように、微生物を培養する容器(以下、反応槽という)へ供給する対象化合物の濃度を培養時間の経過に伴い、対数増加させる連続培養方式を用いてもよい。
(シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法)
本実施形態のシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法は、シクロプロパンカルボン酸誘導体に、上記Rhodococcus属細菌又は上記微生物製剤を作用させることを含む。
シクロプロパンカルボン酸誘導体に作用させる際のRhodococcus属細菌又は微生物製剤の量は、シクロプロパンカルボン酸誘導体の濃度、反応系の容積等を考慮し、適宜設定することができる。
本実施形態の分解方法における反応条件としては、本発明のRhodococcus属細菌が死滅しない又は該細菌が有するシクロプロパンカルボン酸誘導体の分解能が失われない条件であれば、特に制限されるものではない。このような条件としては、例えば、温度が20〜35℃であってもよく、25〜30℃であってもよく、pHが6.5〜8.0であってもよく、7.0〜7.5であってもよい。
分解の確認方法は、特に制限されるものではなく、当業者が通常用いることができる方法により行われる。このような確認方法としては、例えば、HPLC、MS、TLC、NMR、GC等を用いてシクロプロパンカルボン酸誘導体量の減少を検出する方法等が挙げられる。
実施例1.(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロップ−1−エン−1−イル)シクロプロパン−1−カルボン酸(化合物1)の分解能を有する微生物群の探索
(方法)
化合物1を炭素源とした培地を用いて活性汚泥中に存在する微生物群を培養することにより、化合物1を分解する微生物を集積培養した。次に、集積培養された微生物群から、数菌株を単離し、単離した数菌株の化合物1分解能を評価した。
(結果)
単離した数菌株のうち、一菌株に化合物1分解能が認められた。
実施例2.化合物1の分解能を有するRhodococcus属細菌の16S rRNA遺伝子のクローニング及び塩基配列解析
(材料)
・LB液体培地:500mLの超純水に対し、LB Broth,1.1G PER TABLET(SIGMA社製)を10個の割合で溶解し、高圧蒸気滅菌をしたもの。
・LB寒天培地:LB Agar(SIGMA社製)を10個の割合で溶解し、高圧蒸気滅菌し、これをプラスチックシャーレに約25mLずつ分注したもの。
・クローニング用フォワードプライマー(27f:配列番号2)
・クローニング用リバースプライマー(1492r:配列番号3)
・シークエンス解析用プライマー(M13F:配列番号4、M13R:配列番号5、339F:配列番号6、536R:配列番号7、907F:配列番号8)
(方法)
実施例1で単離された一菌株からDNAを抽出し、クローニングの鋳型DNAとして用いた。
25.0μLの2×PCR buffer for KOD FX(東洋紡社製)、10.0μLのdNTP mix(2mM)、1.5μLのクローニング用フォワードプライマー及びクローニング用リバースプライマー(それぞれ10pmol/μL)、0.58μLの鋳型DNA、10.4μLの滅菌水、1.0μLのDNAポリメラーゼ(KOD FX、1U/μL、東洋紡社製)を、マイクロチューブに加え、混合した。マイクロチューブをPCR装置に供し、鋳型DNAの増幅反応を行った。反応は、(1)94℃、2分間、(2)98℃、10秒間、(3)50℃、30秒間、(4)68℃、1.5分間で行い、(2)〜(4)の工程は35サイクル繰り返し行った。PCR後の増幅産物を精製し、クローニングに用いた。
増幅産物とZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて、クローニングを行った。1μLのpCRII−Blunt−TOPO、1μLの増幅産物、1μLのSalt solution、3μLの滅菌超純水を加えた反応液を室温で5分間混合後し、これを氷中に保存した。2μLの上記反応液と50μLの大腸菌DH5α(Takara社製)とを混合し、これを氷中に30分間静置した。静置後、42℃で30秒間インキュベートし、これを氷中に保存した。この反応液にSOC培地を450μL加えた後、得られた混合物を37℃、200rpm、1時間振盪培養した。LBプレート(カナマイシン終濃度50μg/mL)に培養液を塗布し、これを培養(37℃、20時間)した。
得られた大腸菌DH5αのコロニーを3株ピックアップし、ピックアップされた大腸菌DH5αを4mLのLB培地(カナマイシン終濃度50μg/mL)で37℃、16時間培養した。得られた大腸菌DH5αからプラスミド抽出装置(QIAcube、QIAGEN社製)を用いてプラスミドを抽出することにより、プラスミド溶液を得た。
得られたプラスミド溶液3.0μLと、EcoRIを5U相当量と、10×H buffer 1μLとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を10.0μLとした混合液を調製した。この混合液を、37℃にて2時間インキュベーションした。インキュベーションを行った後、EcoRI処理したサンプルを1.0%アガロースゲル電気泳動に供し、16S rRNA遺伝子断片がEcoRIにより切り出されていることを確認した。
プラスミド溶液150ng相当量と、シークエンス解析用プライマー(10μM)0.32μLと、BigDye Terminator v3.1 (Applied Biosystems社製)8.0μLとを混合し、これに滅菌超純水を加えて液量を20.0μLとした反応液を調製した。この反応液をPCR装置に供し、増幅反応を行った。反応は、(1)96℃、1分間、(2)96℃、10秒間、(3)50℃、5秒間、(4)60℃、4分間で行い、(2)〜(4)の工程は25サイクル繰り返し行った。得られた反応液をDNAシーケンス解析に供して、化合物1の分解性を有する微生物から抽出した鋳型DNAの塩基配列を決定した。決定した塩基配列はRDP Classifierを用いて属レベルで由来を決定した。
(結果)
塩基配列解析の結果、シークエンス解析に供したサンプルは、3例中3例は、配列番号1に記載の塩基配列を有しており、これはRhodococcus属細菌由来の16S rRNA遺伝子であることが示唆された。このことから、配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有する細菌は、化合物1分解能を持つことが示唆された。以下、配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有する細菌を、本菌株と表すこともある。
実施例3.配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有する化合物1分解性Rhodococcus属細菌の同定試験
(方法)
配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有するRhodococcus属細菌について、16S rRNA遺伝子の塩基配列解析、形態観察及び生理・生化学的性状試験を行った。これらの試験は、光学顕微鏡による形態観察、BARROWらの方法(Cowan and Steel’s Manual for the Identification of Medical Bacteria 3rd Edition 1993、Cambridge University Press.)及びAPI CORYNE(bioMerieux社製、Lyon、France)によって行った。
(結果)
表1〜5に、形態観察及び生理・生化学的性状試験の試験結果を示す。配列番号1に記載の塩基配列は、基準株の中では、Rhodococcus qingshengii djl6株の16S rRNA遺伝子の塩基配列と一致した。
本菌株は、硝酸塩還元能を有しているが(表4)、Rhodococcus qingshengii djl6株は、硝酸塩還元能を示さないため、本菌株とRhodococcus qingshengii djl6株は異なる生理・生化学的性状を有することが示唆された。そのため、16S rRNA遺伝子の特定領域の塩基配列は一致するものの、本菌株はRhodococcus qingshengii djl6株とは異なる株であることが示唆された。本菌株をRhodococcus qingshengii NITE BP−02023とした。
Figure 2016195563
Figure 2016195563
Figure 2016195563
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Figure 2016195563
実施例4.Rhodococcus qingshengii NITE BP−02023の化合物分解能解析
(材料)
・LB液体培地:500mLの超純水に対し、LB Broth,1.1G PER TABLET(SIGMA社製)を10個の割合で溶解し、高圧蒸気滅菌をしたもの。
・細菌用培地:20gのグルコース、5gのポリペプトン、3gの酵母エキス、3gの肉エキス、2gの硫酸アンモニウム、1gのリン酸二水素カリウム、0.5gの硫酸マグネシウム七水和物を超純水に溶解し、pHを7.0に調節した後、1000mLに調製し、高圧蒸気滅菌したもの。
・化合物1:ALDRICH社製
(方法)
Rhodococcus qingshengii NITE BP−02023のグリセロールストックを4.0mLの細菌用培地に植菌し、30℃で2日間前培養した。前培養液4.0mLを100mLの細菌用培地に添加し、30℃で2日間培養した。
培養終了後、培養液を6,000×g、4℃で5分間遠心分離し、菌体を回収した。回収した菌体を生理食塩液20mLで洗浄後、湿菌体濃度が100mg/mLとなるように50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁した。懸濁液1.0mLと200ppmの化合物1を含むリン酸緩衝液1.0mLとをねじ口試験管に添加して、30℃、200rpmにて反応させた。
反応液200μLをサンプリングし、遠心分離により沈殿物を除去し、上清を回収した。回収した上清をAmicon Ultra−0.5 Centrifugal Filter Device 100 K(MILLIPORE社製)に添加し、14,000×gで10分間遠心分離することにより、限外ろ過を行った。得られたろ液100μLを、下記の条件による液体クロマトグラフィーを用いて解析した。
HPLC条件
カラム:SUMIPAX ODS A−211(4.6mmφ×25cm、5μm、住化分析センター社製)
移動相:A液0.01%TFA、B液アセトニトリル
溶出方法:アイソクラティック
溶出条件:A液(%):B液(%)
0分、40:60
20分、40:60
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出:220nm
(結果)
図1には、湿菌体濃度50mg/mLのRhodococcus qingshengii NITE BP−02023を用いて、終濃度100ppmの化合物1を分解した時の経時変化を示す。化合物1の基質残存率は、反応開始から20時間後には18%になり、87時間後には0%になった。この結果、湿菌体濃度50mg/mLのRhodococcus qingshengii NITE BP−02023は、100ppmの化合物1を、ほぼ4日間で完全に分解できることが示された。

Claims (5)

  1. 配列番号1に記載の塩基配列を有する16S rRNA遺伝子を有し、且つ、シクロプロパンカルボン酸誘導体分解能及び硝酸塩還元能を有する、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌。
  2. 前記シクロプロパンカルボン酸誘導体が、(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロップ−1−エン−1−イル)シクロプロパン−1−カルボン酸である、請求項1に記載の細菌。
  3. 受託番号NITE BP−02023として寄託された、ロドコッカス属細菌。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の細菌を含む、微生物製剤。
  5. シクロプロパンカルボン酸誘導体に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細菌又は請求項4に記載の微生物製剤を作用させることを含む、シクロプロパンカルボン酸誘導体の分解方法。
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