JP2016195312A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示ユニットの位置や姿勢に拘わらず、表示ユニットを透過して見える外景又は表示ユニットから出力される画像全体の視認性を確保することができる画像表示装置を提供する。【解決手段】画像を表示可能なディスプレイと、ディスプレイが射出する画像光を反射する、透過型の偏向部50を少なくとも有する表示ユニット11を備える画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ10)である。表示ユニットが内蔵する第1センサが出力する例えば加速度値に基づいて表示ユニットの姿勢が縦向きと検出したとき、画像表示装置とケーブルで接続されるコントロールボックスは、ディスプレイが表示する表示画像を90度回転及び縮小させる画像回転縮小処理を行うとともに、ディスプレイの表示可能領域の長手方向中央位置から表示画像の短手方向中央位置を一方向にシフトさせる画像シフト処理を行う。【選択図】図14

Description

本発明は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の画像表示装置に関する。
近年、様々な産業分野又は医療分野において、使用者の身体に装着して画像を表示するヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の画像表示装置の普及が進んでいる。例えば特許文献1には、使用者が着用するヘルメットに着脱可能に装着される縦置き型のHMDが開示されている。また、例えば特許文献2には、使用者の帽子の鍔に着脱可能に装着される横置き型のHMDが開示されている。このように、従来のHMDの多くは、その目的や用途に応じて横置き又は縦置きに位置が固定されている。一般的な、横置きのHMDは、アスペクト比が例えば16:9又は4:3等の横長矩形状の表示可能領域を備えている。
特開2007−336165号公報 特開2010−124339号公報
HMDにおいて、より汎用性や利便性が求められる用途においては、縦置き及び横置きの双方の間で表示装置の向きが変えられることが望ましい。一般的な横置きのHMDは、上述したように横長矩形状の表示可能領域を備えている。そのため、HMDを横向きから縦向きに変えたときに使用者の眼に正立させた全体の画像を認識させるためには、表示画像を90度回転するとともに表示可能領域に合わせて画像を縮小する処理が必要になる。
また、装着手段を介して使用者の頭部に装着されるHMDは、ある一定の自由度を有して、前記装着手段に対し表示装置が支持されている。そのため、使用者は、表示装置を視界の外に移動させて外景のみを視認して作業をすることができる。このように、表示装置を使用者の視界の外に保持する位置を「跳ね上げ位置」という。また、使用者は、必要なときに視線の先を変えるだけで表示画像を見ることができる位置に表示装置を保持して作業をする場合もある。そのような、視線の先を変えるだけで画像を見ることができる位置を「ちら見位置」という。
しかし、表示装置の射出瞳と使用者の瞳孔との距離が大きいほど、見える画像の視野角が狭くなる。そのため、画像の一部又は画像の周辺部が欠けて見えなくなる、いわゆる口径食が発生する場合がある。また、表示装置を横向きから縦向きに回転させた場合、縮小された画像が正面中央に表示されると、外界を視認するために正面を向いた際に画像と外界とが重なって、視認性が悪化するという問題もあった。
本発明は、かかる従来の課題にかんがみてなされたものであり、表示装置の位置や姿勢に拘わらず、表示装置を透過して見える外景の視認を妨げ難い画像表示装置又はヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、制御手段と、前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射する透過型偏向部材を少なくとも有する表示ユニットと、前記表示ユニットの姿勢を検出する姿勢検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記姿勢検出手段により前記表示ユニットの姿勢に応じて前記表示画像を回転及び縮小させる画像回転縮小処理を行うとともに、前記画像回転縮小された前記表示画像の短手方向中央位置を、前記表示可能領域の長手方向中央位置から、前記表示画像の画像光が前記ハーフミラーの前記ディスプレイから遠い側の端部で反射する方向にシフトさせる画像シフト処理を行う、画像表示装置である。
この構成の画像表示装置において、前記画像回転縮小処理は、前記姿勢が重力方向に対して縦向きと検出されたとき、前記ディスプレイが表示する表示画像について、前記表示画像の長手辺が前記ディスプレイの表示可能領域の短手辺に沿って適合するように、前記表示画像を回転及び縮小させることが好ましい。
また、前記制御手段は、前記姿勢検出手段により前記表示ユニットの姿勢が縦向きと検出されたとき、前記表示画像の長手辺と前記表示可能領域の短手辺とが一致する位置に前記表示画像をシフトさせる処理を行うことが好ましい。
また、本発明は、制御手段と、使用者の頭部に装着される装着具と、前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射するハーフミラーを少なくとも有する表示ユニットと、前記装着具に対して前記表示ユニットを一定の自由度を有して支持する支持アームと、前記表示ユニットに設けられ、前記表示ユニットの少なくとも加速度を検出する第1センサと、前記装着具に設けられ、前記装着具の少なくとも加速度を検出する第2センサとを備え、前記制御手段は、前記第1及び第2センサが出力する各加速度値の比較に基づいて、前記装着具に対する前記表示ユニットの距離を測定し、前記表示ユニットの前記距離が所定の第1距離よりも短いとき、前記ディスプレイに表示する表示画像のサイズを第1サイズに設定し、前記表示ユニットの距離が前記第1距離以上であるとき、前記表示画像のサイズを前記第1サイズよりも小さいサイズに縮小する画像縮小処理を行う、ヘッドマウントディスプレイである。
この構成のヘッドマウントディスプレイにおいて、前記画像縮小処理は、前記表示ユニットの前記距離におけるケラレ量に対応して、前記表示画像を縮小することが好ましい。
また、前記表示ユニットの前記距離が前記第1距離よりも離れた所定の第2距離以上であるとき、前記制御手段は、入力された映像信号に基づく表示とは異なる態様の映像信号に切り換えて前記ディスプレイを制御する画像切換処理を行うことが好ましい。
また、本発明は、制御手段と、前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射する透過型偏向部材を少なくとも有する表示ユニットと、前記表示ユニットに設けられ、前記表示ユニットの少なくとも加速度を検出する第1センサとを備え、前記制御手段は、前記第1センサが出力する加速度値に基づいて、前記表示ユニットの重力方向に対する角度を測定し、前記表示ユニットの前記角度の方向に応じた方向に前記ディスプレイに表示させる表示画像をオフセットさせ、且つ、前記表示ユニットの角度量に応じた縮小率で前記表示画像を縮小させる画像変換処理を行う、画像表示装置である。
この構成の画像表示装置において、使用者の頭部に装着される装着具と、前記装着具に対して前記表示ユニットを一定の自由度を有して支持する支持アームと、前記装着具に設けられ、前記装着具の少なくとも加速度を検出する第2センサとを備え、前記制御手段は、前記第1及び第2センサが出力する各加速度値の比較に基づいて、前記装着具に対する前記表示ユニットの角度を測定することが好ましい。
上述した構成の画像表示装置又はヘッドマウントディスプレイによれば、表示ユニットの位置や姿勢に拘わらず、表示ユニットを透して見える外景又は表示ユニットから出力される画像全体の視認性を十分確保することができる。
本発明に係る画像表示装置の一実施形態であるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の外観を示す斜視図であって、表示ユニットが横向きの状態を例示する図である。 図1のHMDの外観を示す斜視図であって、表示ユニットが縦向きの状態を例示する図である。 本発明の一実施形態による表示ユニットを前方から見た斜視図である。 図3の表示ユニットを後方から見た斜視図である。 図3及び図4の表示ユニットの内部構造を示す分解斜視図である。 図5のレンズホルダの斜視図である。 図5の回転カムの背面図である。 本発明の一実施形態によるHMDを制御するシステム全体の電気回路構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による画像回転シフト処理のフロー図である。 表示ユニットが横向き時にフルサイズ表示される画像を例示する図である。 表示ユニットが縦向き時に回転シフト表示される画像を例示する図である。 本発明の一実施形態による画像オフセット縮小処理のフロー図である。 オフセット量参照テーブルを例示する図である。 表示率参照テーブルを例示する図である。 表示ユニットを右方に変位量Dxだけ移動させた例の正面図である。 表示ユニットを右方に変位量Dxだけ移動させた例の平面図である。 表示ユニットを右方に移動させた際に表示される画像を例示する図である。 表示ユニットを右方に移動させた際に表示される画像を更に例示する図である。 表示ユニットを前方に変位量Dzだけ移動させた例の平面図である。 表示ユニットを前方に移動させた際に表示される画像を例示する図である。 表示ユニットを前方に移動させた際に表示される画像を更に例示する図である。 表示ユニットを前方に変位量Dzだけ移動させ、かつ、右方に変位量Dxだけ移動させた例の平面図である。 表示ユニットを前方及び右方に移動させた際に表示される画像を例示する図である。 表示ユニットを前方及び右方に移動させた際に表示される画像を更に例示する図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明に係る画像表示装置の一実施形態である、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display、以下「HMD」という。)10の外観を示す斜視図である。HMD10は、本体20と、コントロールボックス(以下、「CB」という。)30と、を備えて構成される。本体20は、表示ユニット11、装着具12及び支持アーム13を備える。表示ユニット11は、表示装置の一例である。装着具12及び支持アーム13は、装着手段としての一例である。CB30は、表示ユニット11の表示処理を行う制御手段としての一例である。
CB30には、信号入力コネクタ31が設けられる。信号入力コネクタ31には、図示しない外部の映像出力装置からケーブル32を介して送られてくる映像信号が入力される。画像情報は、映像出力装置からの映像信号により搬送されCB30に入力される。画像情報は、動画像及び静止画像の他に文字情報等の視認可能な情報コンテンツを含む。CB30に入力される映像信号は、デジタル形式の例えばHDMI(登録商標)映像信号であってもよいし、例えばMPEG規格に準拠して圧縮された映像データ信号であってもよい。また、映像信号は、例えばNTSCアナログコンポジェット信号であってもよい。
映像出力装置は、例えばデジタルビデオカメラや画像再生装置等である。これらの他に、HMD10の用途や目的に応じて、例えば産業用の遠隔モニタリングシステム若しくは作業工程管理システム、又は、医療診断用のサブモニタシステム等からの映像信号が、随時、CB30に入力され、HMD10に表示されてもよい。CB30は、このような外部の映像出力装置やシステムから入力される映像信号に基づいて、表示ユニット11に表示させる画像の輝度、サイズ及び色調整等の補正処理をすることができる。また、CB30は、入力される映像信号に基づく画像データを対象として、後述する画像の回転、縮小、オフセット等の所定の変換処理制御を行うことができる。
本実施形態によるHMD10は、例えば光学透過型(シースルー)HMDである。このような透過型のHMD10によれば、使用者の眼前に配置される表示ユニット11の表示部であるハーフミラー51に、後述する画像生成部60が射出する画像光が入射する。ハーフミラー51で反射された画像光は、使用者の動向に入射することで、使用者に虚像を視認させる。透過型のHMD10のハーフミラー51が、使用者の眼に接眼して配置されることにより、ハーフミラー51を透過する外景に画像生成部60が生成する画像等を重ねて使用者に視認させることができる。
なお、本明細書においては単眼用(実施例としては左眼用)の光学透過型HMD10の実施形態を説明する。ただし、本発明の実施にあたっては、非透過型のHMDであってもよいし、両眼用のHMDであってもよい。更に画像表示装置は、使用者が被るヘルメットや帽子等に所定の取付具を介して表示ユニット又は表示装置が支持される態様のものでもよい。
[HMDの機械的構成の説明]
(装着具)
装着具12は、人間の頭部に装着して保持できるようにするために、湾曲した細長い板状部材として形成される。装着具12は、曲げ弾性を有する例えばステンレスなどの金属、可撓性を有する樹脂材料及びそれらの組み合わせによって構成される。
すなわち、装着具12は、湾曲部12aと、幅広部12b、12bとからなる。湾曲部12aは、U字状に湾曲する部分である。一方の幅広部12bは、湾曲部12aの一端に接続する。他方の幅広部12bは、湾曲部12aの他端に接続する。
幅広部12b、12bは、それらの各端部同士が互いに近づく方向にそれぞれ湾曲している。幅広部12b、12bには、使用者の頭部に接触する部分に柔軟性を有するパッド材が備えられてもよい。なお、湾曲部12aには、第2センサ15である例えば9軸センサが埋め込まれている。この9軸センサについては後述する。
装着具12は、左右の各幅広部12b、12bが互いに離間する方向に力が加えられると、主として湾曲部12aの全体が開くように弾性変形する。この状態で、使用者の前頭部に湾曲部12aの内側面を当接させ、左右各側頭部に幅広部12b、12bの各内側面を当接させることで、装着具12が使用者の頭部に装着される。
装着具12の右側一端部には、1回転自由度を有する回転継手21と、3回転自由度を有する球面継手22とが設けられている。回転継手21は装着具12の右側に連結される。球面継手22は回転継手21の右側に接続される。球面継手22には、後述する支持アーム13の端部が接続している。なお、図1に示される三次元xyz座標系において、x軸の正方向を右、x軸の負方向を左、y軸の正方向を上、y軸の負方向を下、z軸の正方向を前、z軸の負方向を後として以下説明する。
(支持アーム)
支持アーム13は、例えば硬質の樹脂等により形成される棒状のリンク部材である。支持アーム13の一端部(図1において上側端部)は、回転継手21及び球面継手22を介して装着具12に接続している。回転継手21は、z軸周りに水平位置から垂直位置にかけて90度の範囲で自由に回転角度を変化させることができる。なお、図1には、回転継手21が水平位置にある状態が例示される。図2には、回転継手21が垂直位置にある状態が例示されている。また、球面継手22は、許容される角度範囲内で、xyzの3軸回りで回動可能に支持アーム13と連結している。一方、支持アーム13の他端部(図1において下側端部)は、3回転自由度を有する球面継手23を介して、次に説明する表示ユニット11に接続している。
(表示ユニット)
表示ユニット11は、可動範囲に一定の制限はあるものの、支持アーム13を介した上述のリンク機構により、装着具12に対して6自由度を有して保持可能とされている。ここで、6自由度とは、前後(surging)、左右(swaying)及び上下(heaving)の移動、並びに、前後への傾き(pitching)、左右への旋回(yawing)及び両側への揺動(rolling)が可能であることをいう。特に、本実施形態のHMD10は、90度の比較的大きな回転角度を有する回転継手21を備えているため、表示ユニット11を図1の横向きから図2の縦向きに、容易かつ自由に姿勢を変更することができる。
ここで、図3は前方から見た表示ユニット11の斜視図である。図4は後方から見た表示ユニット11の斜視図である。また、図5は、表示ユニット11の内部構造を示す分解斜視図である。これらの図に示されるように、表示ユニット11は、中空で略楕円筒状の筐体41を備えている。筐体41は、特に図5に例示されるように、硬質の樹脂を成型して形成される第1成型部材47と、第2成型部材48とを組み合わせて形成される。第1成型部材47は、表示ユニット11の筐体41前部を構成する。第2成形部材48は、表示ユニット11の筐体41後部を構成する。筐体41の長手方向一端側(支持アーム13が接続する側の反対側の端)は、切欠き部42を有する。切欠き部42は、前面側が倒U字状に切り欠かれた形状を有する。即ち、筐体41の長手方向一端側は、切欠き部42によって前後方向に開放している。なお、この切欠き部42を前後に貫く空間内に、ハーフミラー51を備える偏向部50が設置される。
筐体41の前面には、切欠き部42に隣接して調節つまみ43が設けられている。調節つまみ43は、円錐台形状を有し、回転操作が可能である。使用者は、調整つまみ43を適宜回転させて、後述する画像生成部60が射出する画像光の焦点を眼の網膜に合わせることができる。使用者は、画像光の焦点を眼の網膜に合わせることにより表示ユニット11が出力する画像を明瞭に視認することができる。
筐体41の背面側には、矩形状に切り欠かれた窓部49が形成されている。ハーフミラー51で反射される画像光は、窓部49通過して使用者の眼に向けて放出される。
また、筐体41の背面には、複数のネジ孔44と、複数のネジ孔45とが形成されている。複数のネジ孔44は、後述の画像生成部60を筐体41内部に固定するためのものである。複数のネジ孔45は、支持アーム13の球面継手23を取り付けるためのものである。また、筐体41の背面には、ケーブル46が設けられている。ケーブル46は、CB30(図1参照)から送信される映像信号を入力し、及び、後述する第1センサ14及び第2センサ15の出力データをCB30へ送信する。なお、第1センサ14及び第2センサ15の出力データが、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりCB30にワイヤレスで伝送されてもよい。
表示ユニット11に備えられる光学系について、図5を参照して更に詳細に説明する。表示ユニット11の筐体41内には、図5の右から左にかけて、画像生成部60、レンズユニット70及び偏向部50が、この順で配列されている。画像生成部60がレンズユニット70及び偏向部50に向けて射出する画像光の光軸方向(図5における右から左方向)と、表示ユニット11の筐体41(47、48)の長手方向とは一致しているか又は実質的に一致している。
画像生成部60は、ディスプレイ61と、ハウジング62と、基板保持部材63とを備えている。ハウジング62は、ディスプレイ61及びプリズム64を収容する。基板保持部材63は、ディスプレイ61を収容したハウジング62を塞ぐように、ハウジング62に対して取り付けられる。ディスプレイ61は、カラーの画像を表示可能な液晶表示パネル又は有機ELパネルを用いることができる。ディスプレイ61は、表示ユニット11が、例えば図1に示される水平横向きに支持されている姿勢において横長矩形状の表示可能領域を有している。表示可能領域の画素数は、例えば1280×720ドット(アスペクト比16:9)である。ディスプレイ61の表示可能領域面に接して、透明なガラス体からなるプリズム64が設けられている。すなわち、ディスプレイ61から射出される画像光は、プリズム64で屈折し、レンズユニット70に入射される。
ハウジング62は、収容部65と、円筒部66とが一体形成されてなる。収容部65は、ディスプレイ61及びプリズム64を収容する。円筒部66は、ディスプレイ61の光軸方向に延びる。円筒部66は中空であり、ディスプレイ61が射出する画像光の光軸が円筒部66の中心を貫いている。また、円筒部66の上部内側の面には、光軸に平行して延び、レンズユニット70の案内突起712aに係合する案内溝66aが形成されている。
基板保持部材63には、ディスプレイ61への画像表示を制御する表示制御基板68が保持されている。ディスプレイ61と表示制御基板68とは、図示しないフレキシブルプリント配線基板を介して電気的に接続されている。表示制御基板68は、ケーブル46(図3及び図4参照)を介して、CB30(図1参照)に接続している。表示制御基板68は、CB30から送信される映像信号及び制御信号に従って、ディスプレイ61を駆動制御する。また、表示制御基板68には、第1センサ14が搭載されている。第1センサ14は、表示ユニット11の姿勢や装着具12に対する相対的な位置(移動量)を検出可能な、例えば9軸センサである。
なお、本実施形態においては、表示ユニット11に備えられる第1センサ14及び装着具12に備えられる第2センサ15として、9軸センサを用いることが好ましい。ここで、第1センサ14及び第2センサ15の一例である9軸センサは、3軸加速度、3軸角速度及び3軸地磁気(方位)を検出可能なモーションセンサである。例えば第1センサ14が検出する加速度を時間軸で2重積分することで、表示ユニット11の変位量を演算することができる。ただし、第1センサ14のみにより演算される量は、表示ユニット11の絶対的な変位量である。そこで、本実施形態では、表示ユニット11に備えられる第1センサ14及び装着具12に備えられる第2センサ15がそれぞれ検出する物理量の比較に基づいて、装着具12に対する表示ユニット11の相対的な変位量を検出している。
また、表示ユニット11が縦向きか又は横向きか、その姿勢を検出する姿勢検出手段としては、上述した第1センサ14が9軸センサでなくても、少なくとも表示ユニット11の重力方向を検出する加速度センサであってもよい。また、装着具12又は使用者の眼の位置を基準とした表示ユニット11(ハーフミラー51)のz軸方向における距離や、x軸又はy軸方向における移動量(y軸に対する距離や角度で数値化することができる。)を、それぞれ同じ加速度センサである第1センサ14及び第2センサ15の出力の比較に基づいて測定してもよい。
レンズユニット70は、画像生成部60から射出された画像光を屈折させて、偏向部50のハーフミラー51に導く光学手段である。レンズユニット70は、レンズホルダ71内に複数のレンズからなるコンビネーションレンズ72を備えて構成される。レンズホルダ71は、コンビネーションレンズ72を内部に固定する本体部711と、上述の画像生成部60の円筒部66の中に嵌合して摺動可能な外径を有する筒状部712とが一体形成されてなる。レンズホルダ71は、筒状部712側に開口713を有する。レンズホルダ71は、本体部711側に開口714を有する。レンズホルダ71は、中空に形成されている。そして、コンビネーションレンズ72の光軸が、レンズホルダ71の本体部711及び筒状部712の中心を貫いている。
レンズホルダ71の本体部711の前面側には、従動突起711aが形成されている。従動突起711aは、後述する回転カム80のカム孔83(図7参照)に係合する。また、図6に示されるように、レンズホルダ71の本体部711の背面側には、レンズホルダ71の円筒軸方向(つまり可動方向)に沿って延びる線状突起711bが形成されている。線状突起711bは、スリット溝48aに嵌合する。スリット溝48aは、第2成型部材48の内側面に形成される。線状突起711bがスリット溝48aに嵌合することにより、筐体41内でレンズホルダ71の回転が規制されている。また、レンズホルダ71の筒状部712の例えば上面には、案内突起712aが形成されている。案内突起712aは、レンズホルダ71の円筒軸方向(つまり可動方向)に沿って延びる。案内突起712aは、上述した案内溝66aに係合する。
すなわち、コンビネーションレンズ72を保持するレンズホルダ71は、筒状部712が画像生成部60の円筒部66の中に摺動可能に嵌合し、かつ、本体部711の線状突起711bが第2成型部材48のスリット溝48aに摺動可能に嵌合することで、画像光の光軸に沿う左右方向に移動可能に設けられている。
図7には、回転カム80の背面図が例示される。図5及び図7に示される回転カム80は、円板部81と、前方に突出する軸部82とが一体形成されている。円板部81の背面には、図7に例示される態様のカム孔83が形成されている。カム孔83には、上述したレンズホルダ71の従動突起711aが係合する。回転カム80の軸部82は、筐体41前部を構成する第1成型部材47の貫通孔47aに内側から挿入される。調節つまみ43の軸孔と回転カム80の軸部82とが結合される。これにより、調節つまみ43と回転カム80とは一体的に回転するように、第1成型部材47に軸支される。そして、使用者が調節つまみ43を回転操作すると、調節つまみ43に連動して回転する回転カム80のカム孔83に沿って、レンズホルダ71が移動するように従動突起711aに操作力が作用する。使用者が調節つまみ43を例えば時計回りに回転操作すると、カム孔83の端83a側に向けて従動突起711aが移動し、これにより画像生成部60に近づく方向にレンズホルダ71が移動する。また、使用者が調節つまみ43を反時計回りに回転操作すると、カム孔83の端83b側に向けて従動突起711aが移動し、これにより画像生成部60から離れる方向にレンズホルダ71が移動する。このように、レンズホルダ71に保持されているコンビネーションレンズ72を、カム孔83の端83aから端83bで規定される所定の可動範囲内で、光軸方向任意の位置に移動させることができる。
また、回転カム80の円板部81の外周に沿って複数の凹部81aが形成されている。調節つまみ43と回転カム80とが連動して回転する過程において、回転カム80の複数の凹部81aのうちの1つにバネ歯止め84が係合した状態から、他の凹部81aにバネ歯止め84が係合する状態に順次変化する。このような機構により、回転カム80の複数の凹部81aに対応するピッチ間隔で、バネ歯止め84が何れかの凹部81aに係合し、それらの各位置においてレンズホルダ71を安定して保持することができる。また、調節つまみ43の回転操作の際に、使用者に適当な節度感を与えることもできる。
なお、調節つまみ43を回転操作してレンズホルダ71とともにコンビネーションレンズ72を左右に移動させることにより、画像生成部60のディスプレイ61が射出する画像光の広がり角が変化する。従って、使用者は、調整つまみ43を適宜回転操作することで、ハーフミラー51に投影されて視認される画像のピントを調節することができる。
偏向部50は、ハーフミラー51とミラーホルダ52とを備えている。ハーフミラー51は、ミラーホルダ52に固定されている。ハーフミラー51の反射面は、画像生成部60のディスプレイ61が射出する画像光の光軸に対して45度の角度を成す。偏向部50は、ディスプレイ61が射出しコンビネーションレンズ72を通過した画像光を、ハーフミラー51で反射させることで、光軸を後方に偏向させることができる。使用者は、画像生成部60がハーフミラー51に投影する虚像を眼前の画像として認識することができる。また、偏向部50が透過型の場合には、ハーフミラー51を透して見える眼前の外景に、画像生成部60が生成する画像を重ねて表示することができる。
ハーフミラー51は、矩形板状を有する。ハーフミラー51は、透明なガラス板の表面に、アルミや銀などの光沢性のある金属元素を、所定の反射率(例えば50%)となるように蒸着等することで得られる。なお、ハーフミラー51の代わりに、例えばプリズムや回折格子のような光路偏向部材を偏向部50に用いてもよい。上述したように第2成型部材48には、窓部49が形成されている。この窓部49にミラーホルダ52の外縁が嵌め込まれて取り付けられる。
[HMDの電気回路の説明]
次に、図8を参照して、HMD10を制御するシステム全体の電気回路構成を説明する。先ず、CB(コントロールボックス)30は、CPU301、ROM302、RAM303、周辺インターフェイス(以下、「周辺I/F」という。)304、電源回路305が内部バス(データバス、制御バス及び電源ラインを含む)306を介して電気的に接続されている。CPU301は、ROM302に記憶されているプログラムに従って演算処理を実行し、これによりCB30の全体動作を制御する。また、ROM302には、CPU301が、後述する所定の画像変換処理を実行する際に用いられる各種参照データテーブルが記憶されている。各種参照データテーブルは、例えば、図12に示すオフセット量参照テーブル、及び図13に示す表示率参照テーブル等を含む。RAM303は、第1センサ14及び第2センサ15等の各種データを一時的に記憶するワーキング記憶領域として機能する。
電源回路305には、DCジャック307、外部電源コネクタ308、バッテリ309等が接続されている。電源回路305は、バッテリ309を制御して、CPU301や後述する画像処理部321等に所定の電力を安定的に供給する。周辺I/F304には、各種スイッチ311や、LED312が接続されている。各種スイッチ311は、HMD10の輝度設定や動作モード等を設定操作するためのものである。LED312は、HMDの動作状態等を表示する。
CB30は、表示ユニット11に表示させる画像の変換処理制御等をするための処理部320を備えている。処理部320は、デコーダ322と、入力バッファ323と、画像処理部321と、出力バッファ324と、画像出力制御部325と、接続インターフェイスコントローラ(以下、「接続I/Fコントローラ」という。)326とを備えている。これらのうち、デコーダ322、画像処理部321、画像出力制御部325及び接続I/Fコントローラ326が、内部バス306に電気的に接続されている。
信号入力コネクタ31から入力された映像信号は、デコーダ322により復号される。デコーダ322により復号されたフレーム毎の画像データ(ピクセルデータ)は、一旦入力バッファ323に記憶される。画像処理部321は、RAM303に設定されているパラメータに従って、表示ユニット11のディスプレイ61に表示させる画像の調整処理を行う。具体的には、画像処理部321は、入力された映像信号の画像を、ディスプレイ61の表示可能領域の画素数(例えば1280×720ドット)に適合するサイズの画像に調整する。また、画像処理部321は、入力バッファ323に記憶されている画像データに対しγ補正等の補正処理を行ってもよい。また、画像処理部321は、CPU301から出力されるコマンド制御信号に従って、入力バッファ323に記憶されている画像データに対し、後述するオフセット処理や縮小処理等の所定の画像変換処理を行うことができる。画像変換処理された画像データは、出力バッファ324に格納される。
画像出力制御部325は、入力された映像信号に基づくフレーム同期信号と、出力バッファ324に記憶された画像データとに基づいて、表示ユニット11のディスプレイ61に画像を表示させるための所定形式の映像信号に符号化する処理を行う。接続I/Fコントローラ326は、画像出力制御部325から出力された映像信号を例えばシリアル化して、表示ユニット11の表示制御基板68に備えられる接続I/Fコントローラ684に伝送する通信制御処理を行う。
次に、表示ユニット11が備える電気回路の構成を説明する。表示ユニット11の表示制御基板68には、CPU681、ROM682、RAM683及び接続I/Fコントローラ684が内部バス685を介して電気的に接続されている。CPU681は、ROM682に記憶されているプログラムに従って動作する。具体的には、CPU681は、接続I/Fコントローラ684から送信される映像信号に基づいてディスプレイ61をドライブする。
また、表示制御基板68には、9軸センサからなる第1センサ14が搭載されている。第1センサ14からの出力が、接続I/Fコントローラ684を介してCB30に送信される。また、装着具12の第2センサ15と表示ユニット11の内部バス685とは通信ケーブル90を介して電気的に接続されている。すなわち、表示制御基板68のCPU681は、例えば所定周期の割り込み処理で、定期的に表示ユニット11の第1センサ14及び装着具12の第2センサ15から加速度等の物理量を示す出力値を読み取り、接続I/Fコントローラ684を介して、これらの出力データをCB30に送信している。なお、第1センサ14及び第2センサ15に近距離無線通信機能を持たせ、これらセンサの出力データを、無線によりCB30に伝送する構成であってもよい。
[画像変換処理動作の説明]
次に、制御手段であるCB(コントロールボックス)30に備えられるCPU301が実行する、いくつかの画像変換処理の実施形態を説明する。
(画像回転シフト処理)
図9は、本発明の一実施形態による画像回転シフト処理のフロー図である。先ず、HMD10への電源が投入後、制御手段は、各種設定初期化を実行する(ステップS10)。この設定初期化には、例えば表示ユニット11の表示部、つまり透過型の偏向部50を使用者の眼の接眼位置に保持して、その位置を表示ユニット11の基準位置に設定するキャリブレーション処理が含まれる。
制御手段は、表示ユニット11の姿勢を検出する姿勢検出手段である第1センサ14の出力値から、表示ユニット11の姿勢を検出する(ステップS11)。姿勢検出手段を構成する第1センサ14は、例えば9軸センサであることが好ましく、9軸センサが出力する3軸方向の加速度値に基づいて表示ユニット11の重力方向に対する角度を測定することができる。ただし、第1センサ14は、表示ユニット11の重力加速度を検出できるセンサであれば、9軸センサに限定されない。
ここで、図10Aには、表示ユニットが横向き時にフルサイズ表示される画像が例示される。また、図10Bには、表示ユニットが縦向き時に回転シフト表示される画像が例示される。上述した姿勢検出手段により、表示ユニット11の姿勢が縦向きと検出されたとき(ステップS12;YES)、制御手段は、入力された映像信号に基づく画像の90度回転及び縮小処理を実行する(ステップS13)。ここで、画像の回転縮小処理とは、上述した画像生成部60に備えられるディスプレイ61に表示させる表示画像DIの長手辺が、ディスプレイ61の表示可能領域DAの短手辺に沿って適合するように、表示画像DIのアスペクト比を変えずに回転及び縮小させる処理をいう。例えば、表示可能領域DAの画素数が1280×720ドット(アスペクト比16:9)の場合には、90度回転した表示画像DIの画素数は720×405ドット(縮小率=9/16)となる。
続いて、制御手段は、回転縮小処理を施した表示画像DIのシフト処理を実行する(ステップS14)。ここで、画像のシフト処理とは、例えば図10Bに示されるように、ディスプレイ61の表示可能領域DAの長手方向中心位置DACから、表示画像DIの短手方向中心位置DICを一方向にシフトさせる処理をいう。このような画像シフト処理は、前記一方向として、図10Bに示されるように縦向きの表示可能領域DAの下方に、表示画像DIをシフトさせることが好ましい。この場合において、表示画像DIがシフトする表示可能領域DAの下方とは、上述したハーフミラー51に反射する画像光の位置が、ハーフミラー51の中心よりも外端側であることを意味する。また、図10Bに示されるように、シフト処理された表示画像DIの下側長手辺の位置と、表示可能領域DAの下側短手辺の位置とが一致していることが好ましい。
そして、制御手段は、回転縮小処理及びシフト処理した表示画像DIの映像信号を、表示ユニット11のディスプレイ61の表示可能領域DAに表示させる画像表示処理を実行する(ステップS15)。これにより、図10Bに例示されるようにディスプレイ61の下方位置に画像DIがシフトして表示される。なお、姿勢検出手段により、表示ユニット11の姿勢が横向きと検出されたときには(ステップS12;NO)、図10Aに例示されるようにフルサイズの表示画像DIが表示される(ステップS15)。
本実施形態によれば、表示ユニット11が縦向きに操作されたときに回転及び縮小した画像DIをディスプレイ61に表示することにより、使用者の眼には正立させた全体の画像DIを認識させることができる。また、同時に画像DIをディスプレイ61の下方位置にシフトして表示することで、表示画像DIが投影されないハーフミラー51の上方の広い領域を、外景の透過領域として確保することができる。また、正面を向いての外景の視認において表示画像が邪魔にならないため、使用者が手元の作業に注視しながら表示ユニット11に表示される画像情報を「ちら見」して補助的に情報を取得することができる等の、作業上の利便性も向上させることができる。
(画像オフセット縮小処理)
本実施形態のHMD10は、装着具12に対する表示ユニット11の相対的変位量に基づいて、次に説明する画像のオフセット縮小処理を実行するものでもよい。図11は、本実施形態による画像オフセット縮小処理のフロー図である。また、図12には、画像のオフセット処理において、オフセット量を演算する際に参照されるオフセット量参照テーブルの例が示される。また、図13には、画像の縮小処理において、画像の表示率を演算する際に参照される表示率参照テーブルの例が示される。
先ず、HMD10への電源が投入後、制御手段は、各種設定初期化を実行する(ステップS20)。この設定初期化には、例えば表示ユニット11の表示部、つまり透過型の偏向部50を使用者の眼の接眼位置に保持して、その位置を表示ユニット11の基準位置に設定するキャリブレーション処理が含まれる。
制御手段は、表示ユニット11に備えられる第1センサ14の出力値と、装着具12に備えられる第2センサ15の出力値の差分を演算する(ステップS21)。制御手段は、これらの差分に基づいて、装着具12に対する表示ユニット11の相対的変位量を測定することができる。例えば第1センサ14が出力するX軸方向の加速度値と、第2センサ15が出力するX軸方向の加速度値との差分を求め、その差分を時間軸で2重積分することで、X軸方向における表示ユニット11の相対的な距離である変位量Dxを測定することができる。同様に、制御手段は、第1センサ14が出力するZ軸方向の加速度値と、第2センサ15が出力するZ軸方向の加速度値との差分を求め、その差分を時間軸で2重積分することで、Z軸方向における表示ユニット11の相対的な距離である変位量Zxを得ることができる。なお、S21の判断において、第1センサ14と第2センサ15との3軸角速度の出力の差を用いて、加速度値の差分の演算を補正してもよい。これによって、例えば、頭を回転させた場合の第1センサ14と第2センサ15とが受ける遠心力の差を補正することができる。あるいは、支持アーム13の長さを元に、加速度値の差分の演算を補正してもよい。
制御手段は、第1センサ14及び第2センサ15の出力値に差分がないと判定した場合(ステップS22;NO)、表示ユニット11の位置の移動がなく接眼位置(原点)にあるとみなして、映像信号に基づく画像をそのままのフルサイズで表示ユニット11のディスプレイ61に表示させる画像表示処理を実行する(ステップS23)。
制御手段は、第1センサ14及び第2センサ15の出力値に差分があると判定した場合(ステップS22;YES)、第1センサ14及び第2センサ15の出力値にZ軸成分の差分(以下、「Z差分」という。)があるか否かを判定する(ステップS24)。制御手段は、Z差分がないと判定した場合(ステップS24;NO)、第1センサ14及び第2センサ15のX軸成分の差分(以下、「X差分」という。)に基づいて、X軸方向変位量(又は「X方向距離」ともいう。)Dxを測定する。そして、制御手段は、ROM302に記憶され、図12に例示されるオフセット量参照テーブルを参照して、測定したX軸方向変位量Dxに対応する、表示画像DIの表示位置を決定する(ステップS25)。また、制御手段は、決定した表示位置から、アスペクト比を維持して表示画像の全体が表示できるサイズを決定して、画像のオフセット縮小処理を行う(ステップS26)。
ここで、図14には、表示ユニット11の表示部である偏向部50が、使用者USRの眼前(原点Ox)から、X軸の正方向(つまり右方)に変位量Dxだけ移動させた例の正面図が示される。また、図15には、同じく表示ユニット11の偏向部50を、X座標軸の原点Oxから正方向(つまり右方向)に変位量Dxだけ移動させた例の平面図が示される。具体的な例としてX方向距離Dxが例えば3mmであった場合、図12のオフセット量参照テーブルを参照すると、ディスプレイ61の表示可能領域DAにおける表示左端位置が160列目に決定される。表示可能領域DAの画素数が1280×720ドット(アスペクト比16:9)の場合、アスペクト比を維持して表示画像の全体が表示可能領域DAに表示できる縮小率は、87.5%=(1280−160)/1280)×100と演算される。これにより、例えば図16Aに示される表示可能領域DAの左位置にオフセットされ、かつ縮小された表示画像DIがディスプレイ61に表示される。また、図16Bに例示されるように、表示ユニット11のX方向距離Dxが大きければ、制御手段は、表示可能領域DAにおける表示画像DIのオフセット量をその距離Dxに応じて増加させることができる。
なお、図11のフローチャートには示していないが、制御手段は、X方向距離Dxが所定値以上と判定した場合に、入力された映像信号に基づく表示とは異なる態様の映像信号に切り換えてディスプレイ61を制御してもよい。具体的には、図12に示されるように、例えば表示ユニット11のX方向距離Dxが10mm以上離れた場合に、CPU301はディスプレイ61へ出力する映像信号をオフするか、又はディスプレイ61を全点灯する映像信号に切り換えてもよい。
制御手段は、ステップS24の判定処理で、第1センサ14及び第2センサ15の出力値にZ差分があると判定した場合には(ステップS24;YES)、このZ差分に基づいて、Z軸方向変位量(又は「Z方向距離」ともいう。)Dzを測定する。そして、制御手段は、ROM302に記憶され、図13に例示される表示率参照テーブルを参照して、測定したZ軸方向変位量Dzに対応する、表示画像DIの表示率を決定する(ステップS27)。
図13の表示率参照テーブルに示される表示率は、使用者の眼の位置と表示ユニット11の光学系(画像生成部60、レンズユニット70及び偏向部50を含む)との距離に応じて生じるケラレ量に対応している。ここで、ケラレ量とは、使用者の眼と光学系(又は、射出瞳)との距離に応じて画像の周辺部が欠ける量を意味する。
ここで、図17には、表示ユニット11の偏向部50をZ座標軸の原点Ozから正方向(つまり前方)に変位量Dzだけ移動させた例の平面図が示される。具体的な例として、Z方向距離Dzが例えば8mmの場合、図13の表示率参照テーブルを参照すると、ディスプレイ61に表示させる画像の表示率が0.7に決定される。
また、制御手段は、第1センサ14及び第2センサ15の出力値にX差分があるか否かを判定する(ステップS28)。制御手段は、X差分がないと判定した場合(ステップS28;NO)、ステップS27で決定した表示率で表示画像DIを、アスペクト比を一定にして縮小する処理を実行する(ステップS29)。つまり、例えば図17に示すように表示ユニット11を前方に移動させたときには、例えば図18A及び18Bに示すようにディスプレイ61の表示可能領域DAの中心を基準に、Z方向距離Dzに応じたケラレ量に対応する表示率で画像DIが縮小して表示される(ステップS23)。これにより、表示ユニット11を前方に移動させた場合でも、使用者は偏向部50の射出瞳を介して、入力された映像信号に基づく画像全体を視認することができる。
なお、図11のフローチャートには示していないが、表示ユニット11の距離が、所定の距離以上であるときには、制御手段は、入力された映像信号に基づく表示とは異なる態様の映像信号に切り換えてディスプレイ61を制御する画像切換処理を行うものでもよい。具体的には、例えば表示ユニット11のZ軸方向の変位量Dzが30mm以上であるとき、図13に示されるように、CPU301がディスプレイ61へ出力する映像信号をオフしてもよい。
制御手段は、ステップS28の判定処理で、第1センサ14及び第2センサ15の出力値にX差分があると判定した場合には(ステップS28;YES)、上述したステップS25と同じ処理で、X差分に対応する表示画像DIの表示位置を決定する(ステップS30)。ここで、図19には、表示ユニット11の偏向部50を、Z座標軸の原点Ozから正方向(つまり前方)に変位量Dzだけ移動させ、かつ、X座標軸の原点Oxから正方向(つまり右方)に変位量Dxだけ移動させた例の平面図が示される。制御手段は、ステップS30で決定した表示位置に表示画像DIをオフセットさせ、ステップS27で決定した表示率で表示画像DIを縮小させる処理を行う(ステップS31)。これにより、例えば図20A及び20Bに示すように、X方向距離Dxに応じてディスプレイ61の表示可能領域DAの中心からオフセットされ、かつ、Z方向距離Dzに応じた表示率で画像DIが縮小して表示されることとなる(ステップS23)。
以上説明したように、本実施形態のHMD10は、表示ユニット11の移動やその距離に応じて画像のオフセット縮小処理を行う。これにより、表示画像DIの周辺部が欠けて見えなくなるという、いわゆる口径食を防止できる。したがって、使用者は、表示ユニット11の距離や姿勢に拘わらず、入力された映像信号に基づく画像全体を視認することができる。
また、本実施形態のHMD10によれば、表示ユニット11を横向きから縦向きにした際に画像の回転及びシフト処理を行うことにより、透過性を有するハーフミラー51に投影される画像が邪魔にならず、ハーフミラー51を透して見える外景の視認性を向上させることができる。
10 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
11 表示ユニット
12 装着具
13 支持アーム
14 第1センサ
15 第2センサ
21 回転継手
22、23 球面継手
30 コントロールボックス(CB)
41 筐体
42 切欠き部
43 調節つまみ
49 窓部
50 偏向部
51 ハーフミラー
52 ミラーホルダ
60 画像生成部
61 ディスプレイ
70 レンズユニット
72 コンビネーションレンズ
80 回転カム
84 バネ歯止め
301 CPU
302 ROM
320 処理部
321 画像処理部
DI 表示画像
DA 表示可能領域

Claims (8)

  1. 制御手段と、
    前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射する透過型偏向部材を少なくとも有する表示ユニットと、
    前記表示ユニットの姿勢を検出する姿勢検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記姿勢検出手段により前記表示ユニットの姿勢に応じて前記表示画像を回転及び縮小させる画像回転縮小処理を行うとともに、
    前記画像回転縮小された前記表示画像の短手方向中央位置を、前記表示可能領域の長手方向中央位置から、前記表示画像の画像光が前記ハーフミラーの前記ディスプレイから遠い側の端部で反射する方向にシフトさせる画像シフト処理を行う、画像表示装置。
  2. 前記画像回転縮小処理は、前記姿勢が重力方向に対して縦向きと検出されたとき、前記ディスプレイが表示する表示画像について、前記表示画像の長手辺が前記ディスプレイの表示可能領域の短手辺に沿って適合するように、前記表示画像を回転及び縮小させる、
    請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記制御手段は、前記姿勢検出手段により前記表示ユニットの姿勢が縦向きと検出されたとき、前記表示画像の長手辺と前記表示可能領域の短手辺とが一致する位置に前記表示画像をシフトさせる処理を行う、請求項1又は2に記載の画像表示装置。
  4. 制御手段と、
    使用者の頭部に装着される装着具と、
    前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射するハーフミラーを少なくとも有する表示ユニットと、
    前記装着具に対して前記表示ユニットを一定の自由度を有して支持する支持アームと、 前記表示ユニットに設けられ、前記表示ユニットの少なくとも加速度を検出する第1センサと、
    前記装着具に設けられ、前記装着具の少なくとも加速度を検出する第2センサとを備え、
    前記制御手段は、
    前記第1及び第2センサが出力する各加速度値の比較に基づいて、前記装着具に対する前記表示ユニットの距離を測定し、
    前記表示ユニットの前記距離が所定の第1距離よりも短いとき、前記ディスプレイに表示する表示画像のサイズを第1サイズに設定し、前記表示ユニットの距離が前記第1距離以上であるとき、前記表示画像のサイズを前記第1サイズよりも小さいサイズに縮小する画像縮小処理を行う、ヘッドマウントディスプレイ。
  5. 前記画像縮小処理は、前記表示ユニットの前記距離におけるケラレ量に対応して、前記表示画像を縮小する、請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
  6. 前記表示ユニットの前記距離が前記第1距離よりも離れた所定の第2距離以上であるとき、前記制御手段は、入力された映像信号に基づく表示とは異なる態様の映像信号に切り換えて前記ディスプレイを制御する画像切換処理を行う、請求項4又は5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
  7. 制御手段と、
    前記制御手段から送信される映像信号に基づいて画像を表示可能なディスプレイ及び前記ディスプレイが射出する画像光を反射する透過型偏向部材を少なくとも有する表示ユニットと、
    前記表示ユニットに設けられ、前記表示ユニットの少なくとも加速度を検出する第1センサとを備え、
    前記制御手段は、
    前記第1センサが出力する加速度値に基づいて、前記表示ユニットの重力方向に対する角度を測定し、
    前記表示ユニットの前記角度の方向に応じた方向に前記ディスプレイに表示させる表示画像をオフセットさせ、且つ、前記表示ユニットの角度量に応じた縮小率で前記表示画像を縮小させる画像変換処理を行う、画像表示装置。
  8. 使用者の頭部に装着される装着具と、
    前記装着具に対して前記表示ユニットを一定の自由度を有して支持する支持アームと、
    前記装着具に設けられ、前記装着具の少なくとも加速度を検出する第2センサとを備え、
    前記制御手段は、前記第1及び第2センサが出力する各加速度値の比較に基づいて、前記装着具に対する前記表示ユニットの角度を測定する、
    請求項7に記載の画像表示装置。
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