JP2016192391A - 燃料電池装置および燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
Description
複数のセルスタックは、燃料ガスと酸化性ガスとの化学反応により発電する際に発熱する。複数のセルスタックは、平面内で隣接して配置されるとともに圧力容器内で他のカートリッジのセルスタックとも隣接して配置される。圧力容器内は密閉された状態であるため、各セルスタックの運転中の温度は、そのセルスタックが配置される領域によってそれぞれ異なったものとなる。
本発明の一態様に係る燃料電池装置は、内部に燃料ガスが流通する筒状の第1基体管の外周面に空気極と燃料極とが形成された複数のセルスタックと、内部に炭化水素系ガスが流通する筒状の第2基体管の内周面に該炭化水素系ガスの改質反応を促進させる改質層が形成された複数の改質チューブと、前記複数のセルスタックおよび前記複数の改質チューブが平面内で所定間隔を空けて配置されるように着脱可能に支持する支持体とを備え、前記第1基体管と前記第2基体管とが同一形状である。
セルスタックにおける反応は発熱反応であり、改質チューブにおける改質反応は吸熱反応である。そのため、運転時に高温となる領域に改質チューブを配置することにより、局所的な温度上昇を抑制することができる。
支持体は、セルスタックおよび改質チューブを任意の位置に配置して支持することができる。そのため、セルスタックおよび改質チューブを配置する際の自由度が向上する。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域の吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域の吸熱量を小さくし、軸方向における局所的な温度上昇を抑制することができる。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域の改質層の厚さを厚くして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域の改質層の厚さを薄くして吸熱量を小さくすることができる。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる第1領域に改質層が形成されるようにして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる第2領域に改質層が形成されないようにして吸熱量を小さくすることができる。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域の改質層に含まれる触媒の比表面積を大きくして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域の改質層に含まれる触媒の比表面積を小さくして吸熱量を小さくすることができる。
本発明の一態様に係る燃料電池システムによれば、複数のセルスタックおよび複数の改質チューブのそれぞれを、運転時の温度分布に応じて適切な位置に配置した複数の燃料電池装置を圧力容器に収容したことにより、燃料電池システムの局所的な温度上昇を抑制することができる。
また、第1排ガスは、炭化水素系ガスと比較して改質反応に寄与する成分が少ないガスである。そのため、改質チューブの第2基体管の上流側へ第1排ガスを循環させて炭化水素系ガスに混入させると、第1排ガスを混入させない場合に比べて、改質チューブの改質反応が抑制され、吸熱量も減少する。
このようにすることで、改質チューブから排出される第2排ガスに含まれる水素ガスを分離して水素ガスを精製することができる。
このようにすることで、セルスタックから排出される第1排ガス中に残存する燃料ガスの未反応分を再びセルスタックに供給し、燃料ガスの利用率を向上させることができる。
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定するが、鉛直方向に対して必ずしもこの限りである必要はない。例えば、紙面における上方向が鉛直方向における下方向に対応してもよい。また、紙面における上下方向が鉛直方向に直行する水平方向に対応してもよい。
SOFCモジュール201は、炭化水素系燃料ガス(例えば、メタンガスを主成分とするガス)を水素(H2)と一酸化炭素(CO)を含む合成ガスに改質し、合成ガスと酸素イオンとを電気化学的に反応させて、水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)を生成するモジュールである。SOFCモジュール201は、反応時に酸素イオンから放出される電子によって発電する。
なお、以下の説明においては、炭化水素系燃料ガスを単に「燃料ガス」ともいう。
下部管板225bが有する複数の孔は、上部管板225aが有する複数の孔と対応する位置にそれぞれ設けられている。
シール部材101bを取り外すことによりセルスタック101の一方の端部が上部管板225aから取り外し可能な状態となり、シール部材102bを取り外すことにより改質チューブ102の一方の端部が上部管板225aから取り外し可能な状態となる。
シール部材101cを取り外すことによりセルスタック101の他方の端部が下部管板225bから取り外し可能な状態となり、シール部材102cを取り外すことにより改質チューブ102の他方の端部が下部管板225bから取り外し可能な状態となる。
そして、後述するように、セルスタック101の基体管101aと改質チューブ102の基体管102aとは、同一形状となっている。
また、燃料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒータ等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスを発電室215に供給することができる。
また、酸化性ガスは排燃料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒータ等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
セルスタック101は、軸X1に沿って延びる円筒形状の基体管101aと、基体管101aの外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを有する。燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質111と空気極113とが積層して形成されたものである。
また、セルスタック101は、基体管101aの外周面に形成された複数の燃料電池セル105のうち、基体管101aの軸方向において最も端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を有する。
CH4+H2O→3H2+CO (1)
H2+O2− → H2O+2e− (2)
CO+O2− → CO2+2e− (3)
空気極113は、例えば、LaSrMnO3系酸化物、又はLaCoO3系酸化物で構成される。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2−)を生成するものである。
このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。
改質チューブ102は、軸X2に沿って延びる円筒形状の基体管102aと、基体管102aの内周面に形成された改質層102dとを有する。
改質チューブ102は、入口部102eから流入する燃料ガスを改質させて出口部102fから排出する。
このように、改質層102dは、燃料ガスとして用いられる炭化水素系ガスの改質反応を促進させる触媒作用を有するものである。この改質反応は吸熱反応であるため、改質チューブ102は周囲の温度を低下させる。
図6の平面図に示す例は、上部管板225aに7×15の計105箇所に孔を形成し、最も外周側にセルスタック101を配置するとともに内周側にセルスタック101と改質チューブ102を交互に配置した例である。
セルスタック101はシール部材101bを介して上部管板225aに形成される孔に取り付けられ、改質チューブ102はシール部材102bを介して上部管板225aに形成される孔に取り付けられている。
一方、内周側に配置されるセルスタック101は、隣接する位置に他のセルスタック101が配置されるため、局所的な温度上昇が発生し易い。そこで、図6に示す例では、局所的な温度上昇が発生し易い内周側に改質チューブ102とセルスタック101を交互に配置し、局所的な温度上昇を抑制している。
そのため、セルスタック101の基体管101aにシール部材101b,シール部材101cを取り付けることにより、上部管板225aおよび下部管板225bに形成される任意の孔に取り付けることができる。
よって、局所的な温度上昇が発生する領域のセルスタック101と局所的な温度低下が発生する領域の改質チューブ102を取り替えて、温度分布の偏りを減少させることができる。
基体管101aの形状と基体管102aの形状とは、それぞれが上部管板225aおよび下部管板225bに形成される孔にシール部材を介して取り付けられる程度に形状が一致していればよい。
例えば、基体管101aと基体管102aのいずれか一方の外径が大きい場合、この外径が上部管板225aおよび下部管板225bに形成される孔の内径以下であり、かつ孔と基体管の外周面との間にシール部材が挿入可能な隙間が形成されていればよい。
しかしながら、改質チューブ102の基体管102aが延びる軸方向の温度分布に偏りが生じる場合、各領域における改質反応の促進量を温度分布に応じて異ならせるのが望ましい。
改質チューブ102は、多様な形状の温度分布となる位置に配置された場合に、その温度分布の偏りを吸熱反応によって相殺するように内周面に配置される改質層102dを調整するのが望ましい。
改質層102dを適宜に調整することにより、図7の各図に破線で示すように改質チューブ102が配置された位置における軸方向の温度分布を均一化することができる。
図8は、軸方向の温度分布に応じて改質層102dの厚さを異ならせた変形例である。図9は、軸方向の温度分布に応じた領域に改質層102dを配置し、その他の領域に改質層102dを配置しない変形例である。
そのため、図8(a)に示すように改質層102dの厚さを入口部102eから出口部102fに向けて漸次薄くすることにより、図7(a)に示す温度分布が吸熱反応によって相殺される。
そのため、図8(b)に示すように改質層102dの厚さを入口部102eから出口部102fに向けて漸次厚くすることにより、図7(b)に示す温度分布が吸熱反応によって相殺される。
そのため、図8(c)に示すように改質層102dの厚さを入口部102eと出口部102fの中間位置である中央部で最も厚くすることにより、図7(c)に示す温度分布が吸熱反応によって相殺される。
そのため、図9(a)に示すように入口部102e側の領域(第1領域)に改質層102dが形成され、それよりも低温となる中央部および出口部102f側の領域(第2領域)には改質層102dが形成されないようにしている。
これにより、図7(a)に示す入口部102e側の温度分布が吸熱反応によって相殺される。
そのため、図9(b)に示すように出口部102f側の領域(第1領域)に改質層102dが形成され、それよりも低温となる中央部および入口部102e側の領域(第2領域)には改質層102dが形成されないようにしている。
これにより、図7(b)に示す出口部102f側の温度分布が吸熱反応によって相殺される。
そのため、図9(c)に示すように入口部102eと出口部102fの中間位置である中央部(第1領域)に改質層102dが形成され、それよりも低温となる入口部102e側および出口部102f側の領域(第2領域)には改質層102dが形成されないようにしている。
これにより、図7(c)に示す入口部102eと出口部102fの中間位置である中央部の温度分布が吸熱反応によって相殺される。
例えば、図5に示すように改質層102dの厚さを軸方向(X2方向)に一定としつつ、改質層102dに含まれる粒状のNiの粒径を軸方向の温度分布に応じて異ならせるようにしてもよい。
図10に示すように、本実施形態のSOFCモジュール201は、SOFCカートリッジ203と、セルスタック101から排出される排燃料ガス(第1排ガス)の一部を改質チューブ102の基体管102aの上流側の燃料ガス供給枝管207aに循環させる循環系統240と、循環系統240に配置される循環ブロワ250および流量調整弁260とを備える。
流量調整弁260は、開度を調整することによりセルスタック101から排出される排燃料ガスのうち、燃料ガス供給枝管207aへ導かれる排燃料ガスの流量を調整する装置である。
一方で、循環系統240に導かれる排燃料ガスは、セルスタック101における改質反応により燃料が消費されている。そのため、循環系統240から燃料ガス供給枝管207aへ排燃料ガスを供給することで、改質チューブ102に供給される燃料ガスにおける改質反応に寄与する成分が減少する。燃料ガスの改質反応に寄与する成分が減少することにより、改質チューブ102における改質反応による吸熱量が減少する。
一方、流量調整弁260の開度が大きくなると、それに伴って改質チューブ102に供給される燃料ガスの温度が上昇するが、改質チューブ102に供給される燃料ガスの改質反応に寄与する成分が減少し、改質チューブ102における改質反応による吸熱量が減少する。
図11に示すSOFCモジュール201は、図10に示すSOFCモジュール201の変形例であり、以下で説明する場合を除き、図10に示す構成と同様であるものとする。図11に示すSOFCモジュール201は、改質チューブ102の下流側に水素分離器270を設けている点が異なっている。
図11のSOFCモジュール201によれば、改質チューブ102における水蒸気改質反応により生成された排燃料ガスから高純度の水素を精製して、適宜に利用することができる。
例えば、循環系統240を介して供給される排燃料ガスの全量を改質チューブ102へ供給するようにしてもよい。
本実施形態のSOFCモジュール201が備えるSOFCカートリッジ203によれば、セルスタック101の内部に供給される燃料ガスと外部に供給される酸化性ガスとが反応して電力が発生する。一方、改質チューブ102の内部に供給される炭化水素系ガスが改質チューブ102の内周面に形成された改質層102dの作用によって改質反応し、炭化水素系ガスから水素および一酸化炭素を含む合成ガスが生成される。
セルスタック101における反応は発熱反応であり、改質チューブ102における改質反応は吸熱反応である。そのため、運転時に高温となる領域に改質チューブ102を配置することにより、局所的な温度上昇を抑制することができる。
上部管板225aおよび下部管板225bは、セルスタック101および改質チューブ102を任意の位置に配置して支持することができる。そのため、セルスタック101および改質チューブ102を配置する際の自由度が向上する。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域の改質層102dの厚さを厚くして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域の改質層102dの厚さを薄くして吸熱量を小さくすることができる。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域に改質層102dが形成されるようにして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域に改質層102dが形成されないようにして吸熱量を小さくすることができる。
このようにすることで、軸方向における相対的に高温となる領域の改質層102dに含まれるNiの比表面積を大きくして吸熱量を大きくしつつ相対的に低温となる領域の改質層102dに含まれるNiの比表面積を小さくして吸熱量を小さくすることができる。
本実施形態のSOFCモジュール201によれば、複数のセルスタック101および複数の改質チューブ102のそれぞれを、運転時の温度分布に応じて適切な位置に配置した複数のSOFCモジュールを圧力容器205に収容したことにより、燃料電池システムの局所的な温度上昇を抑制することができる。
このようにすることで、改質チューブ102から排出される排燃料ガスに含まれる水素ガスを分離して水素ガスを精製することができる。
このようにすることで、セルスタック101から排出される排燃料ガス中に残存する燃料ガスの未反応分を再びセルスタック101に供給し、燃料ガスの利用率を向上させることができる。
101a 基体管(第1基体管)
101b,101c シール部材
102 改質チューブ
102a 基体管(第2基体管)
102b,102c シール部材
102d 改質層
102e 入口部
102f 出口部
105 燃料電池セル
107 インターコネクタ
109 燃料極
111 固体電解質
113 空気極
115 リード膜
201 SOFCモジュール(燃料電池システム)
203 SOFCカートリッジ(燃料電池装置)
205 圧力容器
207 燃料ガス供給管
207a 燃料ガス供給枝管
209 燃料ガス排出管
209a 燃料ガス排出枝管
210 改質ガス集合管
215 発電室
217 燃料ガス供給室
219 燃料ガス排出室
221 酸化性ガス供給室
223 酸化性ガス排出室
225a 上部管板(支持体)
225b 下部管板(支持体)
227a 上部断熱体
227b 下部断熱体
229a 上部ケーシング
229b 下部ケーシング
231a 燃料ガス供給部
231b 燃料ガス排出部
231c 改質ガス排出部
233a 酸化性ガス供給孔
233b 酸化性ガス排出孔
235a 酸化性ガス供給隙間
235b 酸化性ガス排出隙間
240 循環系統
250 循環ブロワ
260 流量調整弁
270 水素分離器
X1,X2 軸
Claims (9)
- 内部に燃料ガスが流通する筒状の第1基体管の外周面に空気極と燃料極とが形成された複数のセルスタックと、
内部に炭化水素系ガスが流通する筒状の第2基体管の内周面に該炭化水素系ガスの改質反応を促進させる改質層が形成された複数の改質チューブと、
前記複数のセルスタックおよび前記複数の改質チューブが平面内で所定間隔を空けて配置されるように着脱可能に支持する支持体とを備え、
前記第1基体管と前記第2基体管とが同一形状である燃料電池装置。 - 前記改質チューブによる改質反応の促進量を前記第1基体管が延びる軸方向の温度分布に応じて異ならせた請求項1に記載の燃料電池装置。
- 前記軸方向の温度分布に応じて前記改質層の厚さを異ならせた請求項2に記載の燃料電池装置。
- 前記軸方向における第1領域に前記改質層が形成され、該第1領域よりも低温となる第2領域に前記改質層が形成されない請求項2に記載の燃料電池装置。
- 前記改質層は、改質反応を促進させる粒状の触媒を含む層であり、
前記軸方向の温度分布に応じて前記触媒の粒径を異ならせた請求項2に記載の燃料電池装置。 - 請求項2に記載の燃料電池装置と、
複数の前記燃料電池装置を収容する圧力容器とを備える燃料電池システム。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池装置と、
前記セルスタックから排出される第1排ガスを前記炭化水素系ガスが流入する前記第2基体管の上流側へ循環させる循環系統と、
前記循環系統に配置されるとともに該循環系統が前記第2基体管の上流側へ循環させる前記第1排ガスの流量を調整する流量調整弁とを備える燃料電池システム。 - 前記改質チューブから排出される第2排ガスに含まれる水素ガスを分離する水素分離器を備える請求項7に記載の燃料電池システム。
- 前記循環系統は、前記第1排ガスを前記第2基体管の上流側および前記第1基体管の上流側の双方へ循環させる請求項7に記載の燃料電池システム。
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