JP2016191705A - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents

温度センサ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016191705A
JP2016191705A JP2016023935A JP2016023935A JP2016191705A JP 2016191705 A JP2016191705 A JP 2016191705A JP 2016023935 A JP2016023935 A JP 2016023935A JP 2016023935 A JP2016023935 A JP 2016023935A JP 2016191705 A JP2016191705 A JP 2016191705A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
base electrode
electrode layer
temperature sensor
thermistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016023935A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6573121B2 (ja
Inventor
利晃 藤田
Toshiaki Fujita
利晃 藤田
寛 田中
Kan Tanaka
寛 田中
長友 憲昭
Kensho Nagatomo
憲昭 長友
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Publication of JP2016191705A publication Critical patent/JP2016191705A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6573121B2 publication Critical patent/JP6573121B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Thermistors And Varistors (AREA)

Abstract

【課題】 下地電極を採用しても金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を用いて高B定数で低抵抗値の温度センサ及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 絶縁性基材2と、絶縁性基材上に形成された下地電極層3と、下地電極層上に形成された薄膜サーミスタ部4と、互いに対向して薄膜サーミスタ部上にパターン形成された一対のパターン電極5とを備え、薄膜サーミスタ部が、サーミスタ用金属窒化物材料で形成され、下地電極層が、導電性窒化膜で形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム型サーミスタ温度センサに好適な温度センサ及びその製造方法に関する。
温度センサ等に使用されるサーミスタ材料は、高精度、高感度のために、高いB定数が求められている。このようなサーミスタ材料には、Mn,Co,Fe等の遷移金属酸化物が一般的であったが、近年、樹脂フィルム上にサーミスタ材料を形成したフィルム型サーミスタセンサの開発が検討されており、樹脂フィルム上に成膜可能なサーミスタ用金属窒化物材料が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
従来、高B定数かつ低ρ材料の要求があった場合、材料自体を変えていたが、上記のようなサーミスタ用金属窒化物材料を用いる場合、サーミスタ用金属窒化物材料を電極材料で挟んだサンドイッチ構造を採用していた。すなわち、サーミスタ用金属窒化物材料を用いた従来のサーミスタ温度センサは、図8に示すように、例えば樹脂フィルム等の絶縁性基材2と、絶縁性基材2上に形成されたCrの下地電極層103と、下地電極層103上にサーミスタ用金属窒化物材料で形成された薄膜サーミスタ部4と、互いに対向して薄膜サーミスタ部4上にパターン形成された一対のパターン電極5とを備えている。
特開2013−205319号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来の下地電極とパターン電極とで薄膜サーミスタ部を挟んだ構造では、下地電極にCrが採用されているが、この場合、薄膜サーミスタ部下の下地電極側付近に低抵抗層ができてしまい、B定数が小さくなってしまう不都合があった。すなわち、Crの下地電極の上に金属窒化物材料の薄膜を成膜すると、界面付近で窒化不足の膜若しくは金属に近い膜ができ、低抵抗層となっていた。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、下地電極を採用しても金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を用いて高B定数で低抵抗値の温度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る温度センサは、絶縁性基材と、前記絶縁性基材上に形成された下地電極層と、前記下地電極層上に形成された薄膜サーミスタ部と、互いに対向して前記薄膜サーミスタ部上にパターン形成された一対のパターン電極とを備え、前記薄膜サーミスタ部が、サーミスタ用金属窒化物材料で形成され、前記下地電極層が、導電性窒化膜で形成されていることを特徴とする。
本発明の温度センサでは、下地電極層が、導電性窒化膜で形成されているので、下地電極層上に金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を成膜しても、下地電極層が低抵抗の窒化物であることで薄膜サーミスタ部下に窒化不足の層が形成されることを抑制し、高B定数かつ低抵抗値の特性を得ることができる。
第2の発明に係る温度センサは、第1の発明の温度センサにおいて、前記下地電極層が、TiNまたはCrNで形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、下地電極層が、成膜時に十分に窒化することが容易なTiNまたはCrNで形成されているので、下地電極層上に金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を成膜しても、薄膜サーミスタ部下に窒化不足の層が形成されることを更に抑制し、高B定数かつ低抵抗値の特性を得ることができる。
第3の発明に係る温度センサは、第2の発明の温度センサにおいて、前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成され、前記下地電極層が、TiNで形成されていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成され、下地電極層がTiNで形成されているので、薄膜サーミスタ部と下地電極層とが共にTiを含有する材料であることで、膜同士の相性が良く、高い密着性等が得られる。
第4の発明に係る温度センサは、第2の発明の温度センサにおいて、前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成され、前記下地電極層が、CrNで形成されていることを特徴とする。
第5の発明に係る温度センサは、第1から第4の発明のいずれかの温度センサにおいて、前記絶縁性基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、絶縁性基材が、絶縁性フィルムであるので、薄型で全体がフィルム状の温度センサとなり、フレキシブルで凹凸が小さく、設置自由度を大幅に向上させることができる。また、絶縁性フィルムの曲げに対しても、薄膜サーミスタ部の剥離が生じ難く、曲面等への設置も可能になる。
第6の発明に係る温度センサの製造方法は、第1から第5の発明のいずれかの温度センサを製造する方法であって、絶縁性基材上に下地電極層を形成する下地電極層工程と、前記下地電極層上に薄膜サーミスタ部をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、互いに対向した一対のパターン電極を前記薄膜サーミスタ部上にパターン形成する電極形成工程とを有し、前記下地電極層工程で、前記下地電極層を導電性窒化膜で形成し、前記薄膜サーミスタ部形成工程で、前記薄膜サーミスタ部をサーミスタ用金属窒化物材料で形成することを特徴とする。
すなわち、この温度センサの製造方法では、下地電極層工程で、下地電極層を導電性窒化膜で形成し、薄膜サーミスタ部形成工程で、薄膜サーミスタ部をサーミスタ用金属窒化物材料で形成するので、下地電極層が低抵抗の窒化物であることで薄膜サーミスタ部下に窒化不足の層が形成されることを抑制し、高B定数かつ低抵抗値の特性を得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサ及びその製造方法によれば、下地電極層が、導電性窒化膜で形成されているので、下地電極層上に金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部を成膜しても、下地電極層が低抵抗の窒化物であることで薄膜サーミスタ部下に窒化不足の層が形成されることを抑制し、高B定数かつ低抵抗値の特性を得ることができる。
本発明に係る温度センサ及びその製造方法の一実施形態において、温度センサを示す断面図である。 本実施形態において、温度センサの製造方法を工程順に示す平面図である。 本発明に係る実施例において、Al/(Ti+Al)=0.90としたTiAlNにおけるX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る従来例において、Cr(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるAl2sの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る従来例において、Cr(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるTi2pの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る実施例において、TiN(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるAl2pの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る従来例において、TiN(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるTi2pの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る温度センサ及びその製造方法の従来例において、温度センサを示す断面図である。 本発明に係る実施例において、CrN(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるAl2sの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る実施例において、CrN(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるTi2pの光電子スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る実施例において、CrN(下地電極)上のTiAlN(薄膜サーミスタ部)の界面についてX線光電子分光分析(XPS)によるCr2pの光電子スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明に係る温度センサ及びその製造方法における一実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態の温度センサ1は、フィルム型サーミスタセンサであって、図1に示すように、絶縁性基材2と、絶縁性基材2上に形成された下地電極層3と、下地電極層3上に形成された薄膜サーミスタ部4と、互いに対向して薄膜サーミスタ部4上にパターン形成された一対のパターン電極5とを備えている。
上記薄膜サーミスタ部4は、サーミスタ用金属窒化物材料で形成されている。本実施形態では、薄膜サーミスタ部4が、TiAlNのサーミスタ材料で形成されている。特に、薄膜サーミスタ部4は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。
上記下地電極層3は、導電性窒化膜で形成されている。特に、本実施形態では、下地電極層3がTiNで形成されていることが好ましいが、CrNを下地電極層3としても構わない。
上記絶縁性基材2は、絶縁性フィルムであり、例えばポリイミド樹脂シートで形成されている。なお、絶縁性フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも構わない。
上記パターン電極5は、薄膜サーミスタ部4上に形成されたCrの接合層5aと、該接合層5a上にAu等の貴金属で形成された電極層5bとを有している。
上記薄膜サーミスタ部4は、上述したように、金属窒化物材料であって、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系の結晶系であってウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))の単相である。
また、この薄膜サーミスタ部4は、膜状に形成され、前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶である。さらに、膜の表面に対して垂直方向にa軸よりc軸が強く配向していることが好ましい。
この温度センサ1の製造方法について、図2を参照して以下に説明する。
本実施形態の温度センサ1の製造方法は、絶縁性基材2上に下地電極層3を形成する下地電極層工程と、下地電極層3上に薄膜サーミスタ部4をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、互いに対向した一対のパターン電極5を薄膜サーミスタ部4上にパターン形成する電極形成工程とを有している。
上記下地電極層工程では、下地電極層3を導電性窒化膜で形成し、上記薄膜サーミスタ部形成工程では、薄膜サーミスタ部4をサーミスタ用金属窒化物材料で形成する。
より具体的な製造方法の例としては、図2の(a)に示す厚さ50μmのポリイミドフィルムの絶縁性基材2上に、Tiスパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、図2の(b)に示すように、TiN又はCrNの下地電極層3を厚さ20nmで成膜する。その時のスパッタ条件は、例えばTiNの場合、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.13Pa、ターゲット投入電力(出力)300Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を12%で作製した。なお、CrNの場合、スパッタ条件を、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.4Pa、ターゲット投入電力(出力)300Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を40%として作製した。
次に、下地電極層3上に、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、TiAl(x=0.05、y=0.45、z=0.50)の薄膜サーミスタ部4を膜厚200nmで成膜する。その時のスパッタ条件は、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.2Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を20%で作製した。
次に、成膜した薄膜サーミスタ部4の上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な下地電極層3及び薄膜サーミスタ部4の部分を市販のTiエッチャントでウェットエッチングを行い、図2の(c)に示すように、レジスト剥離にて所望の下地電極層3及び薄膜サーミスタ部4を形成する。
次に、薄膜サーミスタ部4上に、スパッタ法にて、Crの接合層5aを膜厚20nm形成し、さらにその上にAuの電極層5bを膜厚200nm形成する。これらのスパッタ条件は、到達真空度4.0×10−5Pa、スパッタガス圧0.1Pa、ターゲット投入電力(出力)はCrの接合層5aが300W、Auの電極層5bが100Wで、Arガス雰囲気下において行った。
次に、成膜した電極層5bの上にレジスト液をスピンコーターで塗布した後、110℃で1分30秒プリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントの順番でウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望の電極層5a,5bを形成する。
さらに、電極層5b上に、Auめっき液によりAu薄膜を2μm形成してリード線接合用のめっき部5cを形成することで、図2の(d)に示すように、電極層5a,5b及びめっき部5cからなるパターン電極5を形成する。
なお、メッキ部5cを作成する前に、印刷法で保護膜として厚さ15μmのポリイミドをパターン電極5の中間部における薄膜サーミスタ部4上に載せ、乾燥機にて150℃で60min加圧し、硬化及び接着させても構わない。
なお、複数の温度センサ1を同時に作製する場合、絶縁性基材2の大判シートに複数の薄膜サーミスタ部4及びパターン電極5を上述のように形成した後に、大判シートから各温度センサ1に切断する。
このようにして、例えばサイズを1.0×0.5mmとし、厚さを0.1mmとした薄いフィルム型サーミスタセンサの温度センサ1が得られる。
このように本実施形態の温度センサ1及びその製造方法では、下地電極層3が、導電性窒化膜で形成されているので、下地電極層3上に金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部4を成膜しても、下地電極層3が低抵抗の窒化物であることで薄膜サーミスタ部4下に窒化不足の層が形成されることを抑制し、高B定数かつ低抵抗値の特性を得ることができる。
また、薄膜サーミスタ部4がTiAlNのサーミスタ材料で形成され、下地電極層3がTiNであるので、薄膜サーミスタ部4と下地電極層3とが共にTiおよび窒素を含有する材料であることで、膜同士の相性が良く、高い密着性等が得られる。
さらに、絶縁性基材2が、絶縁性フィルムであるので、薄型で全体がフィルム状の温度センサとなり、フレキシブルで凹凸が小さく、設置自由度を大幅に向上させることができる。また、絶縁性フィルムの曲げに対しても、薄膜サーミスタ部4の剥離が生じ難く、曲面等への設置も可能になる。
次に、本発明に係る温度センサ及びその製造方法について、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図3から図11を参照して具体的に説明する。
<抵抗値、B定数測定>
上記実施形態に基づいて作製したTiNの下地電極層を採用した実施例について、抵抗値、B定数を測定した。なお、比較例として、Crの下地電極層を採用したものも同様に測定した。
実施例及び比較例の25℃の抵抗値(表1中のR25)及び50℃の抵抗値(表1中のR50)を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数(表1中のB25/50)を算出した。その結果を表1に示す。
これらの結果から、比較例に比べて本発明の実施例では、高いB定数が得られていることがわかる。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
<薄膜X線回折(結晶相の同定)>
本発明の実施例について、反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=20〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で測定した。
その結果、本発明の実施例は、不純物相は確認されておらず、ウルツ鉱型の単一相である。
本実施例のXRDプロファイルの一例を、図3に示す。この実施例は、Al/(Ti+Al)=0.90(ウルツ鉱型六方晶)であり、入射角を1度として測定した。この結果からわかるように、この実施例では、(100)よりも(002)の強度が非常に強くなっている。
<膜の評価>
下地電極層上の薄膜サーミスタ部界面の評価を行うため、絶縁性基材として熱酸化膜付きSiウエハ上に、TiNの下地電極層(膜厚20nm)及び薄膜サーミスタ部(TiAlN)(膜厚20nm)を成膜した本発明の実施例を作製した。また、比較として熱酸化膜付きSiウエハ上に、Crの下地電極層(膜厚20nm)及び薄膜サーミスタ部(膜厚20nm)を成膜した比較例も作製した。
これら実施例及び比較例について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、実施例及び比較例の試料表面の全定性、及び最表面から絶縁性基材までのArスパッタによる深さ方向化学分析を行った。
なお、このTiN膜について、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により結晶相を同定した結果、立方晶系のNaCl型(空間群Fm−3m(No.225))の単相であることを確認した。
なお、上記X線光電子分光法(XPS)は、X線源をMgKα(350W)とし、パスエネルギー:187.85eV(Survey)、58.75eV(Depth)、測定間隔:0.8eV/step(Survey)、0.125ev(Depth)、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリアを約800μmφの条件下で分析を実施した。比較例の分析結果を、図4及び図5に示すと共に、実施例の分析結果を図6及び図7に示す。
なお、CrとAlとのピークが重なるため、比較例(Crの下地電極層上の薄膜サーミスタ部界面)を分析したときは、Al2sの光電子スペクトルを用い、本発明の実施例(TiNの下地電極層上の薄膜サーミスタ部界面)を分析したときは、Al2pの光電子スペクトルを用いた。
図4,5に、比較例(TiAlN/Cr)の結果を示す。Ti2p,Al2s,Cr2pの光電子スペクトルにて化学状態を確認したところ、Crが検出し始める領域で、Ti,Alが還元して金属状態として存在していることが確認された。Arスパッタ時間7,8minはTiAlN相、9minはTiAlN/Cr界面付近、10,11minは下地電極Cr相と考えられる。TiAlN/Cr界面付近の光電子スペクトルデータをみると、TiAlN中のAl、Tiのピークとは別に、窒化不足と考えられるTi金属,Al金属と考えられるピークが検出されている。
TiAlN/Cr界面付近にTi金属,Al金属があることが、実施例よりも低B定数化の原因となっていると考えられる。
図6,7に、実施例(TiAlN/TiN)の結果を示す。Arスパッタ時間8,9minはTiAlN相、10〜12minはTiAlN/TiN界面付近、13,14minは下地電極TiN相と考えられる。TiAlN/TiN界面付近の光電子スペクトルデータをみると、比較例のような、窒化不足と考えられるTi金属,Al金属と考えられるピークは検出されていない。下地電極が窒化物のTiNで形成されているので、スパッタによりTiAlNの成膜をしても、界面近傍でTiAlNは還元されることがないと考えられる。
また、この立方晶のTiNは、同じ窒化チタン系と知られているTiN(正方晶)よりも、窒化量が多く、このことも、界面近傍でTiAlNが還元されない要因と考えられる。
すなわち、下部電極が窒化物であるので、反応性スパッタリングにおけるTiAlNの初期結晶成長時から、TiAlN結晶を容易に窒化させることが可能であり、すなわち、窒化不足になりTi金属,Al金属が形成されることが抑制されるので、初期成長時から窒化十分のままTiAlN窒化物サーミスタ材料を結晶成長させることが可能である。その結果、所望のサーミスタ特性を得ることが可能である。
TiAlN/TiN界面付近にTi金属,Al金属が形成されないので、下地電極がない場合のTiAlNと同程度のB定数が、下地電極上のTiAlNでも得られる。このことが、比較例よりも高いB定数化の原因となっていると考えられる。
なお、比較例(TiAlN/Cr)と実施例(TiAlN/TiN)とにおいて、下地電極層の膜厚20nm、TiAlN層の膜厚20nmが同じにかかわらず、界面までの到達するArスパッタ時間が異なるのは、比較例の方が、スパッタレートが早いTi金属,Al金属成分を含んでいるからと考えられる。TiAlN/TiN界面付近は強固に結合しているため、界面付近のArスパッタに時間を要していると考えられる。
次に、絶縁性基材として熱酸化膜付きSiウエハ上に、CrNの下地電極層(膜厚20nm)及び薄膜サーミスタ部(TiAlN)(膜厚20nm)を成膜した本発明の実施例も作製した。このCrN膜について、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により結晶相を同定した結果、立方晶系のNaCl型(空間群Fm−3m(No.225))の単相であることを確認した。
この実施例についても、上記TiNの下地電極層の実施例と同様に、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。
図9,図10,図11に、実施例(TiAlN/CrN)の結果を示す。Arスパッタ時間10,11minはTiAlN相、12〜14minはTiAlN/CrN界面付近、15,16minは下地電極CrN相と考えられる。TiAlN/CrN界面付近の光電子スペクトルデータをみると、比較例のような、窒化不足と考えられるTi金属,Al金属と考えられるピークは検出されていない。下地電極が窒化物のCrNで形成されているので、スパッタによりTiAlNの成膜をしても、界面近傍でTiAlNは還元されることがないと考えられる。また、この立方晶のCrNは、同じ窒化クロム系と知られているCrN(六方晶)よりも、窒化量が多く、このことも、界面近傍でTiAlNが還元されない要因と考えられる。
すなわち、下部電極が窒化物であるので、反応性スパッタリングにおけるTiAlNの初期結晶成長時から、TiAlN結晶を容易に窒化させることが可能であり、すなわち、窒化不足になりTi金属,Al金属が形成されることが抑制されるので、初期成長時から窒化十分のままTiAlN窒化物サーミスタ材料を結晶成長させることが可能である。その結果、所望のサーミスタ特性を得ることが可能である。
また、比較例(TiAlN/Cr)と実施例(TiAlN/CrN)とにおいても、下地電極層の膜厚20nmと、TiAlN層の膜厚20nmとが同じであるにもかかわらず、界面までに到達するArスパッタ時間が異なるのは、比較例の方が、スパッタレートが早いTi金属,Al金属成分を含んでいるからと考えられる。TiAlN/CrN界面付近は強固に結合しているため、界面付近のArスパッタに時間を要していると考えられる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述したように、薄膜サーミスタ部がTiAlNのサーミスタ材料で形成されている場合、下地電極層にTiNを採用することが好ましいが、導電性窒化膜としてCrNを下地電極層に採用しても構わない。TiN、CrNは、成膜時に十分に窒化することが容易な材料であり、窒化物サーミスタを初期成長時から窒化不足することなく、成膜することが容易な材料である。また、下地電極層の導電性窒化膜として、TiN,CrNと同じ、立方晶系のNaCl型の結晶構造をとるVN,ZrN,NbN等の3d遷移金属窒化物及び4d遷移金属窒化物や、TiAlNとの界面における拡散が抑えられるHfN,TaN,WN等の5d遷移金属窒化物を採用しても構わない。
下部電極を導電性窒化物にすることで、反応性スパッタリングにおける窒化物サーミスタ材料の初期結晶成長時から、窒化物サーミスタ材料からなる結晶を容易に窒化させることが可能であり、すなわち、窒化不足になり遷移金属,Al金属が形成されることが抑制されるので、初期成長時から窒化十分のまま窒化物サーミスタ材料を結晶成長させることが可能である。その結果、所望のサーミスタ特性を得ることが可能である。
1…温度センサ、2…絶縁性基材、3…下地電極層、4…薄膜サーミスタ部、5…パターン電極

Claims (6)

  1. 絶縁性基材と、
    前記絶縁性基材上に形成された下地電極層と、
    前記下地電極層上に形成された薄膜サーミスタ部と、
    互いに対向して前記薄膜サーミスタ部上にパターン形成された一対のパターン電極とを備え、
    前記薄膜サーミスタ部が、サーミスタ用金属窒化物材料で形成され、
    前記下地電極層が、導電性窒化膜で形成されていることを特徴とする温度センサ。
  2. 請求項1に記載の温度センサにおいて、
    前記下地電極層が、TiNもしくはCrNで形成されていることを特徴とする温度センサ。
  3. 請求項2に記載の温度センサにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成され、
    前記下地電極層が、TiNで形成されていることを特徴とする温度センサ。
  4. 請求項2に記載の温度センサにおいて、
    前記薄膜サーミスタ部が、TiAlNのサーミスタ材料で形成され、
    前記下地電極層が、CrNで形成されていることを特徴とする温度センサ。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
    前記絶縁性基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする温度センサ。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の温度センサを製造する方法であって、
    絶縁性基材上に下地電極層を形成する下地電極層工程と、
    前記下地電極層上に薄膜サーミスタ部をパターン形成する薄膜サーミスタ部形成工程と、
    互いに対向した一対のパターン電極を前記薄膜サーミスタ部上にパターン形成する電極形成工程とを有し、
    前記下地電極層工程で、前記下地電極層を導電性窒化膜で形成し、
    前記薄膜サーミスタ部形成工程で、前記薄膜サーミスタ部をサーミスタ用金属窒化物材料で形成することを特徴とする温度センサの製造方法。
JP2016023935A 2015-03-30 2016-02-10 温度センサ及びその製造方法 Active JP6573121B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015068823 2015-03-30
JP2015068823 2015-03-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016191705A true JP2016191705A (ja) 2016-11-10
JP6573121B2 JP6573121B2 (ja) 2019-09-11

Family

ID=57246458

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016023935A Active JP6573121B2 (ja) 2015-03-30 2016-02-10 温度センサ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6573121B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11769613B2 (en) 2020-12-04 2023-09-26 Tdk Corporation Thermistor element and electromagnetic wave sensor

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002075705A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 Toshiba Corp 抵抗体基板
CN102800449A (zh) * 2012-07-26 2012-11-28 东莞市东思电子技术有限公司 一种片式热敏电阻器及其制造方法
JP2013205317A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法
JP2013205319A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法
JP2013205318A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002075705A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 Toshiba Corp 抵抗体基板
JP2013205317A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法
JP2013205319A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法
JP2013205318A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Materials Corp 温度センサ及びその製造方法
CN102800449A (zh) * 2012-07-26 2012-11-28 东莞市东思电子技术有限公司 一种片式热敏电阻器及其制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11769613B2 (en) 2020-12-04 2023-09-26 Tdk Corporation Thermistor element and electromagnetic wave sensor

Also Published As

Publication number Publication date
JP6573121B2 (ja) 2019-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5776941B2 (ja) 温度センサ及びその製造方法
JP5477670B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP5776942B2 (ja) 温度センサ
TWI564270B (zh) Metal nitride material for thermistor and method for manufacturing the same, and film type thermistor sensor
JP6015423B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP6015426B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
KR20160034891A (ko) 서미스터용 금속 질화물 재료 및 그 제조 방법 그리고 필름형 서미스터 센서
JP6120250B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
TW201529526A (zh) 熱敏電阻用金屬氮化物材料及其製造方法以及薄膜型熱敏電阻感測器
TW201525204A (zh) 熱敏電阻用金屬氮化物材料及其製造方法以及薄膜型熱敏電阻感測器
TW201521048A (zh) 熱敏電阻用金屬氮化物材料及其製造方法及薄膜型熱敏電阻感測器
JP5796718B2 (ja) 温度センサ及びその製造方法
JP6573121B2 (ja) 温度センサ及びその製造方法
JP2014123647A (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP5796720B2 (ja) 温度センサ及びその製造方法
TW201516161A (zh) 熱敏電阻用金屬氮化物材料及其製造方法以及薄膜型熱敏電阻感測器
JP6308365B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP6319567B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP5796719B2 (ja) 温度センサ及びその製造方法
JP5939397B2 (ja) 温度センサ
JP6601614B2 (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP2015043409A (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ
JP2016143807A (ja) サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにサーミスタセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180926

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190710

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6573121

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250