JP2016190338A - 表面処理アルミニウム板及びその製造方法、並びに、表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法 - Google Patents

表面処理アルミニウム板及びその製造方法、並びに、表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接性に優れた表面処理アルミニウム板及びその製造方法、並びに、表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る表面処理アルミニウム板10は、アルミニウム板3と、前記アルミニウム板3の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜2と、を備え、前記皮膜2中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m2以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/m2であり、前記皮膜2の一部をレーザにより除去してアルミニウム板3の表面3sを露出させて使用されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、主に産業用電子機器、民生用電子機器、自動車用電装品等に使用される表面処理アルミニウム板及びその製造方法、並びに、表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法に関する。
アルミニウムは、比重が小さい、熱伝導性が良い等、様々な特長があるため、種々の用途に用いられている。また、アルミニウムは、自然環境では耐食性に優れているので、腐食防止のための表面処理を行わない場合も少なくないが、近年では、機能付与を目的とした表面処理を行う場合が増えている。
例えば、ノートパソコンや薄型テレビ、カーステレオ等の軽さが必要となる用途において、アルミニウム板を素材とし、このアルミニウム板に予め機能性皮膜(プレコート皮膜)を設けたプレコートアルミニウム板(以下、「表面処理アルミニウム板」という。)の採用が増えている。表面処理アルミニウム板を利用すると、事前に表面処理がされていないアルミニウム板をプレス成形後に個別に表面処理するアフターコート法に比べて生産性やコストに優れるという利点がある。
表面処理アルミニウム板に関する発明が、例えば特許文献1に記載されている。
具体的に、特許文献1には、金属素板と、この金属素板の少なくとも一方の面に形成され表面における波長が3乃至30μmの赤外線の積分放射率が298Kの温度において0.65以上であり表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1乃至5μmである皮膜と、を有し、前記皮膜は熱硬化性樹脂が加熱されて硬化することにより形成されたものであり、前記熱硬化性樹脂は、架橋硬化前の平均分子量が20000以下である主剤と、この主剤を架橋硬化させる硬化剤と、を有し、さらに前記皮膜は、カーボンブラック、酸化チタン及び亜鉛華からなる群から選択された1種以上の着色剤を含有すると共に、平均粒径が0.5乃至20μmである微粒子を10乃至50質量%含有することを特徴とする金属板が記載されている。
特許文献1に記載されている金属板を含め、従来の表面処理アルミニウム板は予めアルミニウム板の片面又は両面に、主に樹脂を主成分とする皮膜を設けた材料である。そのため、表面処理アルミニウム板は、素材となるアルミニウム板と素材表面に形成された皮膜が一体となった状態でプレス成形し、不要部をトリミング除去するなどして構造物として用いるのが一般的な使用方法となる。
その結果、本質的に、トリミングされた端部は皮膜で覆われていない状態となり、それ以外の皮膜を設けていた部分は皮膜で覆われた状態となる。言い換えると、トリミングされた端部及び皮膜を設けていない部分以外は皮膜によりアルミニウム板が露出されることが無い。
しかしながら、実際には製品の大部分をこれらの皮膜で覆ったままで、製品のごく一部分のみ皮膜を除去し、アルミニウム板を露出させたいというニーズがある。例えば、プレコートの皮膜は一般に樹脂が主成分であるので絶縁性となり、アース接続を阻害する。従って、電子機器等に用いる構造体の場合、構造体同士のアース接続を確保するため、皮膜の一部を除去し、そこでアースをとりたいというニーズがある。
また、他のアルミニウムや金属でできた構造体と溶接して使用したい場合にも、皮膜があると溶接性が阻害されるため溶接したい部位のみ皮膜を除去したいというニーズがある。
これらのニーズに応える一般的な手法として、例えば、皮膜があらかじめ設けられていないアルミニウム板や当該アルミニウム板を用いたアルミニウム構造体を準備し、皮膜を設けたくない部分をマスクした後に皮膜を形成させ、マスク材を除去する方法がある。
しかしこのような手法は一品ずつ皮膜を形成する方法となるため生産性に劣り、結果としてコストでも劣ることになる。そのため、皮膜の一部が除去されているにも拘らず、生産性に優れた表面処理アルミニウム板の実用化が期待されている。
特許第4175960号号公報
前記期待に応える手法として、皮膜を除去してアルミニウム板を露出させたい部位にレーザを照射し、皮膜を熱分解除去することが考えられる。このような手法は特殊な薬剤に頼らないため安全で環境にやさしく、高速かつ簡便であるため生産性に優れる。そして、特許文献1に記載されている金属板の表面に形成されている皮膜や従来の表面処理アルミニウム板の表面に形成されている皮膜もレーザを照射することによって除去することができる。
しかしながら、現在のところ、レーザを照射して皮膜を除去したアルミニウム板と他の部材との溶接性については何ら考慮されていないという問題がある。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、溶接性に優れた表面処理アルミニウム板及びその製造方法、並びに、表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究開発した結果、(1)予め皮膜中に含まれる成分にアルミニウムと合金を形成する化学成分が含まれていると、レーザ照射により皮膜の樹脂成分が分解除去されるものの、前記化学成分は除去されずに残ること、及び、(2)レーザ照射によりアルミニウム板の表面が溶融するため、前記化学成分が残存しているとアルミニウムと合金化することを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決した本発明に係る表面処理アルミニウム板は、アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板であって、前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、前記皮膜の一部をレーザにより除去してアルミニウム板の表面を露出させて使用されることを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成した皮膜中に含まれるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。Mgなどの前記所定の成分は、レーザ照射を受けても蒸発せず、除去されない。そのため、アルミニウム板の表面にMgなどの前記所定の成分を濃化させることができる。なお、本明細書において、「濃化」とは、Mgなどの前記所定の成分をアルミニウム板の表面のごく浅い領域に高い濃度で残存させることをいう。Mgなどの前記所定の成分は、溶接を行った場合に溶接強度を向上させる効果がある。従って、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、皮膜の一部をレーザにより除去してアルミニウム板の表面を露出させた後、当該露出部に他の部材を溶接すると、Mgなどの前記所定の成分を濃化させない場合と比較して溶接強度を向上させることができる。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、他の部材を溶接する用途に適している。
また、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板であって、前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、前記皮膜の一部が除去されてアルミニウム板の表面が露出しており、前記露出したアルミニウム板の表面は、前記アルミニウム板が溶融した形態を有していることを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、前記同様、アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成した皮膜中に含まれるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そして、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、皮膜の一部をレーザ照射で除去してアルミニウム板の表面を露出させ、露出したアルミニウム板の表面は、アルミニウム板が溶融した形態を有している。つまり、露出部におけるアルミニウム板の表面に、皮膜中に含まれていたMgなどの前記所定の成分を濃化させている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、当該露出部に他の部材を溶接すると、Mgなどの前記所定の成分を濃化させない場合と比較して溶接強度を向上させることができる。また、露出したアルミニウム板の表面は、アルミニウム板が溶融した形態を有している程加熱されているので、皮膜の除去が十分に行われており、他の構造体と溶接する際に皮膜の一部が残存するなどして邪魔されることもない。
本発明に係る表面処理アルミニウム板は、前記アルミニウム板の表面を露出させた部分について、エネルギー分散型X線分析を用いて加速電圧15kVという条件で分析したときに、Mg、Cu、Zn、Siのうちの少なくとも1種が前記アルミニウム板の表面に濃化しているのが好ましい。
このようにすると、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、アルミニウム板の表面を露出させた部分にMgなどの前記所定の成分が確実に濃化しているので、当該露出部に他の部材を溶接すると、Mgなどの前記所定の成分を濃化させない場合と比較して溶接強度をより確実に向上させることができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板は、前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siの合計量が1〜5g/mであるのが好ましい。
このようにすると、Mgなどの前記所定の成分の合計量が高いので、アルミニウム板の表面にこれらの前記所定の成分をより濃化させることができる。そのため、他の部材を溶接した際の溶接強度をより向上させることができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板は、前記皮膜中に含まれるC、O、N、H、Mg、Cu、Zn、Siを除く元素成分の合計量が0.05g/m以下であるのが好ましい。
このようにすると、アルミニウム板と他の部材の溶接を阻害され難くすることができるので、溶接強度を向上させることができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板は、前記皮膜が樹脂系皮膜であるのが好ましい。
このように、皮膜が樹脂系皮膜であると、レーザ照射によって当該皮膜の樹脂成分を容易に除去することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、アルミニウム板を成形してなるアルミニウム構造体と、前記アルミニウム構造体の表面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム構造体であって、前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、前記皮膜の一部が除去されて前記アルミニウム板の表面が露出しており、前記露出したアルミニウム板の表面は、前記アルミニウム板が溶融した形態を有していることを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、アルミニウム構造体の表面に形成した皮膜中に含まれるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そして、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、皮膜の一部をレーザ照射で除去してアルミニウム板の表面を露出させ、露出したアルミニウム板の表面は、アルミニウム板が溶融した形態を有している。つまり、露出部におけるアルミニウム板の表面に、皮膜中に含まれていたMgなどの前記所定の成分を濃化させている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、当該露出部に他の部材を溶接すると、Mgなどの前記所定の成分を濃化させない場合と比較して溶接強度を向上させることができる。また、皮膜の一部が除去されてアルミニウム板の表面が露出しているので、当該露出したアルミニウム構造体の表面に他の部材を好適に溶接することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、前記露出したアルミニウム板の表面に他の部材が溶接されているのが好ましい。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、アルミニウム板の表面と他の部材の間に皮膜がなく、且つ、アルミニウム板の表面にMgなどの前記所定の成分が濃化しているので、アルミニウム板の表面と他の部材との溶接を好適に行うことができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法は、アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備え、前記皮膜の一部を除去して前記アルミニウム板の表面を露出させて使用される表面処理アルミニウム板の製造方法であって、前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、を含むことを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法は、アルミニウム板を製造した後、Mgなどの前記所定の成分の含有量と合計量がそれぞれ所定の範囲である皮膜を形成するので、前記皮膜が形成された本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板の製造方法であって、前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜をレーザで除去して前記アルミニウム板の表面の一部を露出させる除去工程と、を含むことを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、前記した本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法と同様、アルミニウム板を製造した後、Mgなどの前記所定の成分の含有量と合計量がそれぞれ所定の範囲である皮膜を形成する。その後、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法では、皮膜をレーザで除去して前記アルミニウム板の表面の一部を露出させる。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、露出したアルミニウム板の表面が溶融した形態を有する本発明に係る表面処理アルミニウム板を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、アルミニウム板を成形してなるアルミニウム構造体と、前記アルミニウム構造体の表面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム構造体の製造方法であって、前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜をレーザで除去して前記アルミニウム板の表面の一部を露出させる除去工程と、を含むことを特徴とする。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、アルミニウム板製造工程でアルミニウム板を製造した後、皮膜形成工程でMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量がそれぞれ所定の範囲である皮膜を形成する。そして、除去工程で皮膜をレーザで除去し、アルミニウム板の表面の一部を露出させることで、皮膜の一部を除去して露出させた本発明に係る表面処理アルミニウム構造体を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、前記除去工程後、さらに、前記露出させたアルミニウム板の表面に他の部材を溶接する溶接工程を含むのが好ましい。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、溶接工程を含んでいることにより、皮膜の一部を除去して露出させたアルミニウム板の表面に他の部材を溶接させた本発明に係る表面処理アルミニウム構造体を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、前記皮膜形成工程と前記除去工程との間、前記除去工程と前記溶接工程との間、及び、前記溶接工程後のうちの少なくとも一つに、前記皮膜を形成したアルミニウム板を所定の形態に加工する加工工程を含むのが好ましい。
このように、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、皮膜形成工程と除去工程との間、除去工程と溶接工程との間、及び、溶接工程後のうちの少なくとも一つに加工工程を含んでいる。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、所定の形状に加工した表面処理アルミニウム構造体を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板は、皮膜中に含まれるMgなどの所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、レーザを照射して皮膜を除去すると、アルミニウム板の表面にMgなどの所定の成分が濃化する。従って、本発明に係る表面処理アルミニウム板は、Mgなどの所定の成分を濃化させない場合と比較して他の部材を溶接した際の溶接強度を向上させることができる(つまり、溶接性に優れたものとすることができる。)。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、皮膜中に含まれるMgなどの所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、レーザを照射して皮膜を除去すると、アルミニウム板の表面にMgなどの所定の成分が濃化する。従って、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体は、Mgなどの所定の成分を濃化させない場合と比較して他の部材を溶接した際の溶接強度を向上させることができる(つまり、溶接性に優れたものとすることができる。)。
本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法は、皮膜中に含まれるMgなどの所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法は、レーザを照射して皮膜を除去する際に、アルミニウム板の表面にMgなどの所定の成分が濃化する表面処理アルミニウム板を製造することができる。従って、本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法は、溶接性に優れた表面処理アルミニウム板を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、皮膜中に含まれるSiなどの所定の成分の含有量と合計量をそれぞれ所定の範囲としている。そのため、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、レーザを照射して皮膜を除去する際に、アルミニウム板の表面にMgなどの所定の成分が濃化する表面処理アルミニウム構造体を製造することができる。従って、本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法は、溶接性に優れた表面処理アルミニウム構造体を製造することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム板の第1実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明に係る表面処理アルミニウム板の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の第1実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る表面処理アルミニウム板の製造方法の第2実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る表面処理アルミニウム構造体の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 供試材にレーザを照射し、皮膜を除去した領域の一部を撮影した電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。 供試材におけるレーザ照射を行っていない部分の一部を撮影した電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る表面処理アルミニウム(Al)板及びその製造方法、並びに表面処理アルミニウム構造体及びその製造方法の実施形態について詳細に説明する。
[表面処理Al板]
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る表面処理Al板の第1実施形態の構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る表面処理Al板10は、Al板3と、このAl板3の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜2と、を備えている。なお、図1は、Al板3の一方の面に皮膜2を形成している様子を図示しているが、当該皮膜2はAl板3の両面に形成されていてもよいし、Al板3の端面に形成されていてもよい(いずれも図示せず)。
そして、この表面処理Al板10は、前記した皮膜2中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mとしており、当該皮膜2の一部をレーザにより除去してAl板3の表面を露出させて使用される。つまり、表面処理Al板10は、加工前に皮膜2を形成するものであるから、プレコートAl板に相当する。
(Al板)
Al板3は、JIS H 4000:2014に規定されている1000系のAl又は2000系から9000系のAl合金を用いて製造された板、合せ板、条、長尺帯状の薄板材を巻き取ってコイルとしたものであれば好適に用いることができる。Al板3は、一般的な条件の製造方法及び設備によって製造することができ、必要に応じて調質等を行ったものであってもよい。
(皮膜)
前記したように、皮膜2は、これに含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mとしている。Mgなどの前記所定の成分は、レーザ照射を受けても除去されずAl板3の表面3sに濃化させることができる。また、Mgなどの前記所定の成分は、溶接を行った場合に溶接強度を向上させる効果がある。Mgなどの前記所定の成分の含有量と合計量をこの範囲とすることで、皮膜2の一部をレーザ照射で除去し、Al板3の表面を露出させた後、当該露出部に他の部材4(図4参照)を溶接すると、Mgなどの前記所定の成分を濃化させない場合と比較して溶接強度を向上させることができる(つまり、露出部における溶接性を優れたものとすることができる)。このように、露出部における溶接性を優れたものとすることができるため、本実施形態に係る表面処理Al板10は、皮膜3の一部をレーザにより除去してAl板3の表面3sを露出させ、ここに他の部材4を溶接する用途に適している。皮膜を形成する塗料や樹脂などについては後述する。
なお、Mgなどの前記所定の成分の合計量が0.05g/m未満となると、Mgなどの前記所定の成分が少なすぎるため、レーザ照射を受けてもAl板3の表面3sに前記した成分が十分に濃化しない。そのため、溶接強度を向上させることができない。Mgなどの前記所定の成分のそれぞれの含有量は、Al板3の表面3sにおける前記成分を十分に濃化させて溶接強度を向上させる観点から、1g/m以上とするのが好ましい。
また、Mgなどの前記所定の成分のそれぞれの含有量が5g/mを超えたり、Mgなどの前記所定の成分の合計量が5g/mを超えたりすると、Mgなどの前記所定の成分が多くなりすぎるため、割れ感受性が高くなり溶接部分が割れ易くなってしまう。そのため、溶接強度を向上させることができない。割れ感受性を抑える観点から、Mgなどの前記所定の成分のそれぞれの含有量及びMgなどの前記所定の成分の合計量はともに、4g/m以下とするのが好ましい。
皮膜2中に含まれるC、O、N、H、Mg、Cu、Zn、Siを除く元素成分の合計量は0.05g/m以下とするのが好ましい。このような元素成分としては、例えば、Fe、Mn、Cr、Tiなどが挙げられる。これらの元素成分には、Al板3と他の部材4の溶接を阻害する作用がある。これらの元素成分の合計量を0.05g/m以下とすると、Al板3と他の部材4の溶接を阻害され難くすることができるので、溶接強度を向上させることができる。
また、皮膜2には、耐食性を向上させたり、塗料との親和性を高めたりするなどの目的をもってAl板3の表面を化成処理した化成処理皮膜(図示せず)が含まれていてもよい。化成処理皮膜としては、例えば、クロム酸皮膜、りん酸・クロム酸皮膜、ジルコニウム系皮膜、陽極酸化皮膜、ベーマイト系皮膜などが挙げられる。これらの化成処理皮膜は一般的な手法で形成することができる。なお、当該化成処理皮膜にMgなどの前記所定の成分が含まれている場合は、当該化成処理皮膜に含まれている成分も含めて皮膜2中におけるMgなどの所定の成分の含有量と合計量を前記所定の範囲とする必要がある。
なお、皮膜2中に含まれるMg、Cu、Zn、Siは、この群のうちの三種までであれば0g/mであってもよい。換言すれば、皮膜2は、前記群のうちの少なくとも一種を含み、且つ皮膜2に含まれている成分の合計量(含まれている前記成分が一種の場合はその含有量)が1〜5g/mであればよい。このようにすると、Al板3の露出部に他の部材4を溶接したときの溶接性を確実に向上させることができる。
また、皮膜2の厚さは、例えば、10nm〜100μm、より好ましくは100nm〜50μmとすることができるがこの範囲に限られるものではなく、レーザ照射によって除去できる範囲で適宜設定することが可能である。
皮膜2中におけるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量を前記範囲とする制御は、皮膜2を形成するために用いる塗料の成分を調整することによって行うことができる。すなわち、皮膜2形成後における前記成分の含有量と合計量が前記した所定の範囲となるように前記所定の成分の添加量を調整することによって行うことができる。皮膜2を形成する塗料については後記する。
また、皮膜2は、樹脂系皮膜であるのが好ましい。樹脂系皮膜とは、主成分が前記した樹脂である皮膜をいい、無機物が添加されていてもよい。主成分とは、含有量が50%以上であることをいう。皮膜2に添加可能な無機物としては、例えば、アルミナなどの主成分がAlで構成されている物質などを挙げることができる。皮膜2の形成については後に説明する。
皮膜2を形成する塗料としては、例えば、油性塗料、水性塗料、水系塗料などを挙げることができる。
なお、油性塗料とは、樹脂と、主な液体成分として有機溶剤と、を含む塗料をいう。
水性塗料とは、樹脂と、主な液体成分として水と、を含む塗料をいう。
水系塗料とは、樹脂と、主な液体成分として微量の有機溶剤を含有する水と、を含む水ベースの塗料をいう。
これらの塗料のいずれにおいても、皮膜2形成後におけるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量を所定の範囲とすることができるものであれば、皮膜2を形成する塗料として好適に用いることができる。
なお、油性塗料、水性塗料、水系塗料は、一般的な手法によって製造し、使用することができる。また、これらの塗料は市販されているものを使用することができる。
前記した塗料のうち、油性塗料、水系塗料に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコールやブタノールなどのアルコール系溶剤、エチルメチルケトンやイソブチルメチルケトンなどのケトン系溶剤が挙げられる。
油性塗料、水系塗料に用いられる樹脂としては、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに制限されるものではなく、一般的に使用されている樹脂であればどのようなものも適宜使用することができる。
水性塗料に用いられる樹脂としては、例えば、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂などを挙げることができる。
皮膜2の一部を除去してAl板3の表面を露出させるレーザについては後に説明する。
以上に説明した第1実施形態に係る表面処理Al板10は、Al板3の少なくとも一方の面に形成した皮膜2中に含まれるMgなどの前記所定の成分の含有量と合計量を所定の範囲としている。そのため、表面処理Al板10は、皮膜2の一部をレーザ照射で除去すると、その際にAl板3の表面3sにMgなどの所定の成分を濃化させることができる。従って、表面処理Al板10は、レーザによって皮膜2を除去し、露出させたAl板3の表面3sに他の部材4を好適に溶接することができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明に係る表面処理Al板の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。
図2に示すように、第2実施形態に係る表面処理Al板20は、図1に示す第1実施形態に係る表面処理Al板10とは、皮膜2の一部が除去されてAl板3の表面3sが露出している点、及び、当該露出したAl板3の表面3sは、Al板3が溶融した形態を有している点で相違し、他の構成要素は同一である。以下、第2実施形態に係る表面処理Al板20について説明するが、図1に示す第1実施形態に係る表面処理Al板10と同一の構成要素については同一の符号を付して該当する構成要素に関する説明を援用することとし、ここでの説明は省略する。
前記したように、図2に示す第2実施形態に係る表面処理Al板20は、皮膜2の一部が除去されてAl板3の表面3sが露出している。そして、当該露出したAl板3の表面3sは、Al板3が溶融した形態を有している。Al板3が溶融した形態は、例えば、電子顕微鏡で表面3sを観察することによって容易に確認することができる。例えば、Al板3にレーザを照射すると圧延模様の痕跡が溶けて観察し難くなったり(図8参照)、圧延模様の痕跡を全く観察できない状態になったりするが(図示せず)、レーザを照射していないAl板の表面には圧延模様の痕跡を観察することができる(図9参照)。また、レーザを照射していないAl板の表面には結晶粒などの金属組織が確認されるが、レーザを照射すると当該結晶粒の外縁がにじんだり、丸みを帯びたりする(図示せず)。これらのような、レーザを照射していないAl板では確認されない態様が確認された場合、Al板3が溶融した形態を有していると判断することができる。
なお、皮膜2の一部のみが除去されてAl板3の表面3sが露出し、且つ、露出したAl板3の表面3sが溶融した形態を有するということは、局所的にAl板3が溶融する程の高温に晒されたことを意味する。また、このような態様はレーザを照射することによって成されたことを意味する。そして、Al板3の表面3sが溶融するほど高温に晒されているので、レーザを照射した部分の皮膜2をほぼ完全に除去することができる。特に、皮膜2が樹脂成分(有機炭素成分)を含む樹脂系皮膜である場合は、当該樹脂成分をほぼ完全に除去することができる。
除去される皮膜2の形状及び面積、言い換えれば、レーザが照射されることによって露出されるAl板3の表面3sの形状及び面積は、任意に設定することができる。
皮膜2の一部を除去するレーザとしては、例えば、COレーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザなどを挙げることができる。レーザの出力などの条件としては、例えば、レーザ波長:1064nm、出力:20W、周波数:連続、5kHz、10kHz、50kHz、又は100kHzなどとすることができる。なお、レーザの出力などの条件は前記したものに限定されるものではなく、皮膜2の一部のみが除去されてAl板3の表面3sが露出し、且つ、露出したAl板3の表面3sが溶融した形態とすることができればどのようなものでもよい。
レーザを照射してAl板3の表面3を露出させた部分について、エネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy;EDS)により、例えば、加速電圧15kVという条件で分析したときに、Mgなどの所定の成分のうちの少なくとも1種がAl板3の表面3sに濃化していることを確認することができる。なお、加速電圧は前記に限定されるものではなく、15kV未満でもよいし、15kVを超えてもよい。ここで、「濃化」とは、前記したように、Mgなどの前記所定の成分をアルミニウム板の表面のごく浅い領域に高い濃度で残存させることをいう。具体的には、例えば、Al板3の表面3sをレーザで露出させた部分(溶融形態を有する部分)をEDSで測定したときのMgなどの前記所定の成分のピーク面積と、非溶融状態でAl板3の表面が露出している部位(すなわち薬剤により塗膜を剥離して現われた溶融していないAl板3の表面や、片面塗装材の裏面などあらかじめ塗膜が設けられていない面など)で同様のEDS測定を行った際に得られるMgなどの前記所定の成分のピーク面積と、を比較して明らかに(例えば、1.1倍以上)大きくなっている状態をいう。
以上に説明した第2実施形態に係る表面処理Al板20は、Al板3の少なくとも一方の面に形成した皮膜2中に含まれるMgなどの所定の成分の含有量と合計量を所定の範囲としている。そのため、表面処理Al板20は、皮膜2の一部をレーザ照射で除去してAl板3の表面3sを露出させた部分も皮膜2に含まれていたMgなどの所定の成分が、皮膜2に含まれていた含有量及び合計量をそのままに残存(濃化)している。そして、皮膜2の一部が除去されてAl板3の表面3sが露出されているので、他の部材4との溶接を容易に行うことができる。また、露出したAl板3の表面3sは、Al板3が溶融した形態を有している程加熱されているので、皮膜2の除去が十分に行われており、他の部材4と溶接する際に皮膜2の一部が残存するなどして邪魔されることもない。なお、他の部材4や溶接については後に説明する。
[表面処理Al構造体]
(第1実施形態)
次に、本発明に係る表面処理Al構造体について説明する。
図3は、本発明に係る表面処理Al構造体の第1実施形態の構成を示す概略断面図である。なお、図3に示す表面処理Al構造体30は、Al板3の一方の面に皮膜2を形成している様子を図示しているが、当該皮膜2はAl板3の両面に形成されていてもよいし、Al板3の端面に形成されていてもよい(いずれも図示せず)。つまり、表面処理Al構造体30の表面に皮膜2が形成されていればよい。
なお、図3に示す第1実施形態に係る表面処理Al構造体30は、前記したAl板3(より詳しくは表面処理Al板20)を成形してなるものである。そのため、Al板3及び表面処理Al板20と同一の構成要素については同一の符号を付して該当する構成要素に関する説明を援用することとし、ここでの説明は省略する。
図3に示すように、表面処理Al構造体30は、皮膜2の一部が除去されて前記Al板3の表面3sが露出しており、当該露出したAl板3の表面3sは、Al板3が溶融した形態を有している。
なお、表面処理Al構造体30は、皮膜2の一部を除去して露出させた部分に、他の部材4を溶接する際の位置決めを容易とするために凹部を設けたり、段差を設けてもよい(いずれも図3において図示せず)。
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る表面処理Al構造体の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。
図4に示すように、表面処理Al構造体40は、露出したAl板3の表面3sに他の部材4が溶接されている。
他の部材4としては、例えば、AlやAl合金、その他の金属でできた所定の形状の構造体(例えば、蓋材)や、アース(接地)又はグラウンドをとるための端子部品などを挙げることができる。
露出したAl板3の表面3sと他の部材4との溶接は、一般的な条件及び設備で行うことができる。
[表面処理Al板の製造方法]
(第1実施形態)
図5は、本発明に係る表面処理Al板の製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
図5に示す本発明に係る表面処理Al板の製造方法は、Al板3と、前記したAl板3の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜2と、を備え、皮膜2の一部を除去してAl板3の表面3sを露出させて使用される表面処理Al板(具体的には、前記第1実施形態に係る表面処理Al板10)を製造する製造方法である。
図5に示すように、本発明に係る表面処理Al板の製造方法は、Al板製造工程S11と、皮膜形成工程S12と、を含み、少なくともこれらの工程についてはこの手順で行う。
(Al板製造工程)
Al板製造工程S11は、皮膜2を形成するためのAl板3を製造する工程である。Al板製造工程S11は、例えば、材料の溶解、溶解した材料を鋳塊にする鋳造、鋳塊の面削、面削した鋳塊を板材にする熱間圧延及び冷間圧延を順次行うことなどが挙げられる。なお、Al板製造工程S11においては、面削前に鋳塊の均質化熱処理を行ったり、熱間圧延と冷間圧延の間及び冷間圧延中のうちの少なくとも一つに中間焼鈍を行ったり、冷間圧延後に溶体化熱処理や焼入れ、調質、化成皮膜処理などの表面処理を行ったりすることもできる。このAl板製造工程S11は、Al板3を製造することのできる一般的な条件及び設備で行うことができる。
(皮膜形成工程)
皮膜形成工程S12は、Al板製造工程S11で形成したAl板3の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜2を形成する工程である。皮膜形成工程S12は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、皮膜2を形成したときに、Mgなどの所定の成分の含有量と合計量が前記した範囲となるように調整した塗料を用意する。次いで、当該塗料をAl板3の表面に塗布する。Al板3の表面への塗料の塗布は、例えば、刷毛塗り、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、静電塗布機、ブレードコーター、ダイコーターなどの方法で行うことができる。そして、塗料の塗布後、必要に応じて一般的な手法により焼き付け処理や紫外線の照射などを行い、樹脂の架橋反応を促進させて皮膜2を形成させることができる。焼き付け処理や紫外線照射の条件は塗料に応じて適宜設定することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明に係る表面処理Al板の製造方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
図6に示すように、第2実施形態に係る表面処理Al板の製造方法は、Al板製造工程S21と、皮膜形成工程S22と、除去工程S23と、を含み、少なくともこれらの工程についてはこの手順で行う。
なお、第2実施形態に係る表面処理Al板の製造方法のAl板製造工程S21及び皮膜形成工程S22は、前記した第1実施形態に係る表面処理Al板の製造方法のAl板製造工程S11及び皮膜形成工程S12と同様である。
従って、Al板製造工程S21及び皮膜形成工程S22についての説明は前記した説明を援用してここでの説明は省略し、除去工程S23について以下説明する。
(除去工程)
除去工程S23は、皮膜形成工程S22で形成した皮膜をレーザで除去してAl板3の表面3sの一部を露出させる工程である。除去工程S23で用いるレーザについては既に説明しているので説明を省略する。
この除去工程S23を行うことによって、皮膜2の一部が除去されてAl板3の表面3sが露出し、さらに、露出したAl板3の表面3sは、前記Al板3が溶融した形態を有している前記第2実施形態に係る表面処理Al板20を製造することができる。
[表面処理Al構造体の製造方法]
図7は、本発明に係る表面処理Al構造体の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係る表面処理Al構造体の製造方法は、Al板製造工程S31と、皮膜形成工程S32と、除去工程S33と、溶接工程S34と、を含み、少なくともこれらの工程についてはこの手順で行う。
なお、本実施形態に係る表面処理Al構造体の製造方法のAl板製造工程S31及び皮膜形成工程S32は、前記した第1実施形態に係る表面処理Al板の製造方法のAl板製造工程S11及び皮膜形成工程S12と同様である。
また、本実施形態に係る表面処理Al構造体の製造方法の除去工程S33は前記した第2実施形態に係る表面処理Al板の製造方法の除去工程S23と同様である。
従って、Al板製造工程S31、皮膜形成工程S32及び除去工程S33についての説明は前記した説明を援用してここでの説明は省略し、溶接工程S34について以下説明する。
(溶接工程)
溶接工程S34は、除去工程S33で露出させたAl板3の表面3sに他の部材4(図4参照)を溶接する工程である。Al板3の表面3sと他の部材4との溶接は、接合部に、熱及び圧力のうちの少なくとも一方を加え、また必要があれば適当な溶加材を加えて接合部が連続性を持つ一体化された1つの部材となるものであればどのような手法も適用可能である。溶接は、例えば、アーク溶接や抵抗溶接(抵抗スポット溶接)などの電気溶接、ガス、プラズマ、電子ビーム(電子線)、レーザなどを用いた溶接などを挙げることができる。
このように、Al板製造工程S31と、皮膜形成工程S32と、除去工程S33と、溶接工程S34と、を行うことによって、皮膜2の一部が除去され、当該皮膜2が除去されて露出したAl板3の表面3sに他の部材4が溶接された前記第2実施形態に係る表面処理Al構造体40を製造することができる。
(加工工程)
なお、本実施形態に係る表面処理Al構造体の製造方法は、必要に応じて、皮膜形成工程S32と除去工程S33との間、除去工程S33と溶接工程S34との間、及び、溶接工程S34後のうちの少なくとも一つに、皮膜2を形成したAl板3を所定の形態に加工する加工工程(図7において図示せず)を含ませることができる。
このような加工工程としては、例えば、表面処理Al板10、20を切断する切断工程、切断した表面処理Al板10、20を折り曲げる折り曲げ工程、表面処理Al板10、20をプレス成形するプレス成形工程、表面処理Al板10、20に貫通孔を形成する貫通孔形成工程などが挙げられる。また、このような加工工程としては前記したもののほかにも、例えば、表面処理Al板10、20を用いて絞り加工を行う絞り加工工程、表面処理Al板10、20を用いて張出し成形を行う張出し成形工程、前記貫通孔の大きさを所定の大きさに広げる孔広げ工程、前記貫通孔にねじを切り、タップやピンを取り付ける取り付け工程などを挙げることができる。また、加工工程としてさらには、前記貫通孔に樹脂部品をアウトサートするアウトサート工程、前記貫通孔に金属部品をインサートするインサート工程、印刷を行う印刷工程などを挙げることができる。
次に、本発明の効果を奏する実施例とそうでない比較例とを参照して、本発明の内容について具体的に説明する。
〔第1実施例〕
Al板と皮膜形成用の塗料とを用いて、以下のようにして表1のNo.1〜5に係る供試材(表面処理Al板)を製造した。
なお、Al板は、JIS H4000:2014に規定されている合金番号A3003−Oの板材(板厚1mm)を板長さ250mm×板幅100mmに切断して使用した。使用したAl板の機械的性質は、引張強さ110MPa、耐力40MPa、伸び30%であった。
また、塗装の前処理として炭酸ナトリウム系の弱アルカリ脱脂剤にてAl板の表面をアルカリ脱脂した後、りん酸クロメート処理を施した。りん酸クロメート処理は、クロム付着量で0.02g/mとした。
そして、有機成分であるC、H、O、N以外の成分を含まない塗料(エポキシ樹脂系の油性塗料)に金属亜鉛粉末を添加し、バーコーターを用いて当該塗料を前記塗装の前処理を施したAl板に塗布した。次いで、素材(Al板)到達温度230℃、素材焼付け時間40秒にて皮膜を形成して供試材とした。なお、塗装面は片面とし、皮膜の厚さは10μmとした。塗膜中の金属亜鉛の含有量は3g/mとした。塗料に含まれているFe、Mn、Cr、Ti、Cu、Mg、Siは合計しても0g/mであり、りん酸クロメートによるクロム付着量を合わせても0.05g/m未満であった。
以上のようにして製造した供試材について、皮膜の一部を除去した。皮膜の除去には、陽極酸化皮膜の除去に実績のある市販のレーザマーカーを用いた。供試材へのレーザ照射は、レーザ波長1064nm、出力20Wとし、周波数を表1のNo.1〜5に示すように、連続、5kHz、10kHz、50kHz又は100kHzにて行った。
レーザ照射によって供試材のうち、直径20mmの領域の皮膜を除去した。そして、皮膜を除去した表面が溶融した形態を有しているか否かを電子顕微鏡にて観察するとともに、当該表面の元素分析をEDSにて行った。これらの結果を表1に示す。なお、表1に示した元素分析の結果については、皮膜を形成していない合金番号A3003−Oの板材(比較対象材;板厚1mm)では検出されないが、今回の分析で検出された成分(つまり、レーザ照射により皮膜の一部を除去した表面についてEDSで元素分析を行い、検出された成分)を特記した。これと併せて、図8に、供試材にレーザを照射し、皮膜を除去した領域の一部を撮影した電子顕微鏡写真(倍率500倍)を示す。また、図9にレーザ照射を行っていない部分の一部を撮影した電子顕微鏡写真(倍率500倍)を示す。
さらに、直径20mmの領域の皮膜を除去したNo.1〜5に係る供試材について、溶接性の評価を行った。前記したNo.1〜5に係る供試材のそれぞれについて同様の条件で複数個所の皮膜を除去し、JIS Z 3136:1999で規定されている試験片寸法となるように切り出した。そして、それぞれの試験片の皮膜を除去している領域同士を重ね合わせて抵抗スポット溶接を行った。溶接装置は単層整流式とし、溶接条件はJIS Z 3136:1999に準拠した。皮膜を形成していない合金番号A3003−Oの板材(板厚1mm)を用いて同様に抵抗スポット溶接を行い、これを溶接性用比較対象材とした。そして、供試材と溶接性用比較対象材についてせん断試験を行い、溶接強度を測定した。
溶接性の評価は、供試材と溶接性用比較対象材の溶接強度を比較することで行った。溶接性が当該比較対象材よりも優れる場合は○、同等である場合は△、劣る場合は×とした。より詳しくは、溶接強度が溶接性用比較対象材と比べて+10%を超えて向上しているものを○、±10%以内のものを△、10%を超えて低下している又は溶接ができないものを×とした。なお、評価結果が○のものについては、より好ましいものとそうでないものを明確にするため、溶接性用比較対象材と比較して溶接強度が20%を超えて向上したものを○+(プラス)とした。
供試材に照射したレーザの周波数、溶融した形態の有無、元素分析の結果、溶接性の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、No.1〜3に係る供試材は、レーザ照射によって皮膜が除去されていた。また、No.1〜3に係る供試材は、皮膜を除去して露出したAl板の表面について、溶融した形態を有している様子が観察された。
また、No.1〜3に係る供試材の表面からは、りん酸クロメートに起因すると思われる微量のPとCrまた塗膜に起因すると思われるZnが検出された。溶接性については比較対象材であるAl板より溶接強度にて20%を超えて優れる結果となった(実施例)。
一方、No.4とNo.5に係る供試材は、皮膜がある程度除去されている様子は確認されたものの、レーザ照射によって皮膜が除去された部位について、Al板の表面が溶融している様子は認められなかった。
また、No.4とNo.5に係る供試材の表面からは、りん酸クロメートに起因すると思われる微量のPとCrが検出されるとともに、皮膜に起因すると思われるCとZnが検出された。
溶接性については、No.4に係る供試材は溶接可能であったものの、溶接部の強度が低下していた。No.5に係る供試材は溶接時に試験片が破壊されてしまい、溶接すること自体が困難であった(比較例)。
〔第2実施例〕
Al板と皮膜形成用の塗料とを用いて、以下のようにして表2のNo.6〜38に係る供試材(表面処理Al板)を製造した。
なお、Al板は、〔第1実施例〕と同様、合金番号A3003−Oの板材(板厚1mm)を板長さ250mm×板幅100mmに切断して使用した。使用したAl板の機械的性質は、引張強さ110MPa、耐力40MPa、伸び30%であった。
また、〔第1実施例〕と同様、塗装の前処理として炭酸ナトリウム系の弱アルカリ脱脂剤にてAl板の表面をアルカリ脱脂した。その後、一部の供試材についてはりん酸クロメート処理を施した。りん酸クロメート処理は、クロム付着量で0.02g/mとした。
塗装の前処理を施したAl板に対し、C、H、O、Nと、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn及びTiのうちの少なくとも一つと、を含む塗料(ポリエステル樹脂系の油性塗料)を用いて、皮膜中の前記所定の成分の含有量が表2に示す所定量となるようにバーコーターで塗布した。そして、〔第1実施例〕と同様、素材到達温度230℃、素材焼付け時間40秒にて皮膜を形成して供試材とした。塗装面は片面とし、皮膜の厚さは10μmとした。
以上のようにして製造した供試材について、皮膜の一部を除去した。皮膜の除去は、〔第1実施例〕と同じ市販のレーザマーカーを用いた。供試材へのレーザ照射は、レーザ波長1064nm、出力20Wとし、この〔第2実施例〕では周波数を5kHzに固定して行った。
〔第1実施例〕と同様、レーザ照射によって供試材のうち、直径20mmの領域の皮膜を除去した。そして、皮膜を除去した表面が溶融した形態を有しているか否かを電子顕微鏡にて観察するとともに、当該表面の元素分析をEDSにて行った。これらの結果を表3に示す。なお、表3に示す元素分析の結果については、皮膜を形成していない合金番号A3003−Oの板材(比較対象材;板厚1mm)では検出されないが、今回の分析で検出された成分(つまり、レーザ照射により皮膜の一部を除去した表面についてEDSで元素分析を行い、検出された成分)を特記した。
また、直径20mmの領域の皮膜を除去したNo.6〜38に係る供試材について、〔第1実施例〕と同様、溶接性の評価を行った。No.6〜38に係る供試材のそれぞれについて、No.6〜38で示した条件にてレーザを照射し、複数個所の皮膜を除去した。そして、JIS Z 3136:1999で規定されている試験片寸法となるように切り出し、それぞれの試験片の皮膜を除去している領域同士を重ね合わせるようにして抵抗スポット溶接を行った。溶接装置は単層整流式とし、溶接条件はJIS Z 3136:1999に準拠した。皮膜を形成していない合金番号A3003−Oの板材(板厚1mm)を用いて同様に抵抗スポット溶接を行い、これを溶接性用比較対象材とした。そして、供試材と溶接性用比較対象材についてせん断試験を行い、溶接強度を測定した。
溶接性の評価は、供試材と溶接性用比較対象材の溶接強度を比較することで行った。溶接性が当該比較対象材よりも優れる場合は○、同等である場合は△、劣る場合は×とし、○判定を有することが実施例を満足する基準とした。より詳しくは、溶接強度が溶接性用比較対象材と比べて+10%を超えて向上しているものを○、±10%以内のものを△、10%を超えて低下している又は溶接ができないものを×とした。なお、評価結果が○のものについては、より好ましいものとそうでないものを明確にするため、溶接性用比較対象材と比較して溶接強度が20%を超えて向上したものを○+(プラス)とした。
供試材に施した前処理の有無・種類、前処理の成分の含有量(g/m)、皮膜中の成分の含有量(g/m)、皮膜に含まれている左記(1)の成分の合計量(g/m)を表2に示す。なお、表2中の下線は本発明の要件を満たさないことを示す。また、溶融した形態の有無、元素分析の結果、溶接性の評価結果を表3に示す。
表3に示すように、No.6〜38に係るすべての供試材は、レーザ照射によって皮膜が除去されて露出したAl板の表面について、溶融した形態を有している様子が観察された。また、No.6〜38に係るいずれの供試材からもAl板に起因するAl、Si、Fe、Cu、Mnが検出されたが(これらの成分の検出結果については表3には記載せず)、これら以外の成分として、りん酸クロメート処理を行ったNo.19、20に係る供試材については、りん酸クロメートに起因すると思われる微量のPとCrが検出された。また、No.11〜20、25〜30、32〜35、37、38に係る供試材は、皮膜中にMg、Cr、Zn、Tiのうちの少なくとも1つを含んでいたので、それぞれの供試材に含有されている成分が検出された。
溶接性については、No.7、9、11、13、15、16、21、23、25、27、29〜37の供試材が、皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであったので、溶接性が比較対象材と比べて優れていた(○)(実施例)。特に、No.29〜32、34〜37に係る供試材は、皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が1〜5g/mであったので、溶接強度が比較対象材と比べて20%を超えて向上しており、特に優れていた(○+)。
一方、No.6、8、10、12、14、17〜20の供試材は、Mg、Cu、Zn、Siの合計量が0.05g/m以下となり、溶接性は比較対象材と同等(△)となった(比較例)。なお、No.22、24、26、28に係る供試材は、Mg、Cu、Zn、Siの合計量が0.05g/m以下でその合計量も0.05g/m未満かつその他成分(Fe、Mn、Cr、Ti)が0.05g/mを超えており、比較対象材と比較して10%を超えて溶接性が低下していたため、×判定となった(比較例)。また、No.38に係る供試材は、Mgの含有量が多すぎたため(すなわち、Mgなどの所定の成分の合計量が多すぎたため)、溶接部分が割れてしまい溶接ができなかった。
10、20 表面処理アルミニウム板(表面処理Al板)
2 皮膜
3 アルミニウム板(Al板)
3s 表面
4 他の部材
30、40 表面処理アルミニウム構造体(表面処理Al構造体)

Claims (13)

  1. アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板であって、
    前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、
    前記皮膜の一部をレーザにより除去してアルミニウム板の表面を露出させて使用されることを特徴とする表面処理アルミニウム板。
  2. アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板であって、
    前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、
    前記皮膜の一部が除去されてアルミニウム板の表面が露出しており、前記露出したアルミニウム板の表面は、前記アルミニウム板が溶融した形態を有していることを特徴とする表面処理アルミニウム板。
  3. 前記アルミニウム板の表面を露出させた部分について、エネルギー分散型X線分析を用いて加速電圧15kVという条件で分析したときに、Mg、Cu、Zn、Siのうちの少なくとも1種が前記アルミニウム板の表面に濃化していることを特徴とする請求項2に記載の表面処理アルミニウム板。
  4. 前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siの合計量が1〜5g/mであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表面処理アルミニウム板。
  5. 前記皮膜中に含まれるC、O、N、H、Mg、Cu、Zn、Siを除く元素成分の合計量が0.05g/m以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面処理アルミニウム板。
  6. 前記皮膜は樹脂系皮膜であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表面処理アルミニウム板。
  7. アルミニウム板を成形してなるアルミニウム構造体と、前記アルミニウム構造体の表面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム構造体であって、
    前記皮膜中に含まれるMg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mであり、
    前記皮膜の一部が除去されて前記アルミニウム板の表面が露出しており、前記露出したアルミニウム板の表面は、前記アルミニウム板が溶融した形態を有していることを特徴とする表面処理アルミニウム構造体。
  8. 前記露出したアルミニウム板の表面に他の部材が溶接されていることを特徴とする請求項7に記載の表面処理アルミニウム構造体。
  9. アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備え、前記皮膜の一部を除去して前記アルミニウム板の表面を露出させて使用される表面処理アルミニウム板の製造方法であって、
    前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、
    前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、
    を含むことを特徴とする表面処理アルミニウム板の製造方法。
  10. アルミニウム板と、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム板の製造方法であって、
    前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、
    前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、
    前記皮膜をレーザで除去して前記アルミニウム板の表面の一部を露出させる除去工程と、
    を含むことを特徴とする表面処理アルミニウム板の製造方法。
  11. アルミニウム板を成形してなるアルミニウム構造体と、前記アルミニウム構造体の表面に形成したC、O、N、Hを含む皮膜と、を備える表面処理アルミニウム構造体の製造方法であって、
    前記アルミニウム板を製造するアルミニウム板製造工程と、
    前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、Mg、Cu、Zn、Siのそれぞれの含有量が5g/m以下、且つこれらの成分の合計量が0.05〜5g/mである皮膜を形成する皮膜形成工程と、
    前記皮膜をレーザで除去して前記アルミニウム板の表面の一部を露出させる除去工程と、
    を含むことを特徴とする表面処理アルミニウム構造体の製造方法。
  12. 前記除去工程後、さらに、
    前記露出させたアルミニウム板の表面に他の部材を溶接する溶接工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の表面処理アルミニウム構造体の製造方法。
  13. 前記皮膜形成工程と前記除去工程との間、前記除去工程と前記溶接工程との間、及び、前記溶接工程後のうちの少なくとも一つに、前記皮膜を形成したアルミニウム板を所定の形態に加工する加工工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の表面処理アルミニウム構造体の製造方法。
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