以下、本発明による利用リソース取得装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による利用リソース取得装置は、無線リソースの利用リソース量を無線通信方式ごとに取得し、変更対象の無線通信方式については、その利用リソース量を変更するものである。
図1は、本実施の形態による利用リソース取得装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による利用リソース取得装置1は、無線通信部11と、取得部12と、変更部13と、出力部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。利用リソース取得装置1は、例えば、アクセスポイント等の無線基地局であってもよく、ステーション等の端末装置であってもよく、または、無線基地局等のような無線通信を行わずに利用リソース量を取得する処理を行う装置であってもよい。本実施の形態では、利用リソース取得装置1が、端末装置と無線通信を行う無線基地局である場合について主に説明する。また、本実施の形態では、利用リソース取得装置1が、自律分散型無線ネットワークにおいて無線通信を行う装置である場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。その無線通信は、例えば、無線LAN(IEEE802.11)の通信であってもよく、Bluetoothの通信であってもよく、IEEE802.15.4の通信(例えば、ZigBee(登録商標)の通信)であってもよい。本実施の形態では、利用リソース取得装置1が無線LANの通信を行う場合について主に説明する。また、その無線ネットワークは、他の無線システムと混在する環境であってもよい。すなわち、多数の無線通信機器が、同一周波数帯を共用していてもよい。
無線通信部11は、無線通信を行う。無線通信部11は、例えば、1以上の端末装置と無線通信を行ってもよい。また、その無線通信は、前述のように、無線LANの通信であってもよい。また、無線通信部11は、例えば、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)や、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)によって無線通信を行ってもよい。無線通信部11は、通常、無線信号を受信したり、送信したりするが、例えば、利用リソース取得装置1が無線基地局や端末装置のような無線通信を行う装置でない場合には、無線信号を受信するだけのものであってもよい。また、その無線信号の周波数は問わない。その無線信号の周波数は、例えば、ISM帯であってもよく、その他の周波数であってもよい。
なお、無線通信部11は、通信を行うための無線の通信デバイスを含んでもよく、または含まなくてもよい。また、無線通信部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、または通信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
取得部12は、無線通信部11によって受信された受信信号を用いて、無線通信方式ごとに利用リソース量を取得する。無線通信方式は、無線通信の規格や形式のことであり、例えば、無線LANや、Bluetooth、IEEE802.15.4等がある。また、利用リソース量は、無線通信に利用されている無線リソースの量である。なお、以下の説明において、無線リソースの量は、通常、無線リソースの時間方向の量のことである。その無線リソースの量は、例えば、無線リソースの時間方向の割合(例えば、利用率)であってもよく、単位時間あたりの無線リソースの時間(例えば、利用時間)であってもよく、無線リソースの時間方向に関するその他の情報であってもよい。また、無線リソースの量は、例えば、無線リソースの量の代表値であってもよい。代表値は、例えば、平均値であってもよく、中央値であってもよい。
図2は、取得部12の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図2において、取得部12は、スペクトログラム取得部21と、時点検出部22と、スペクトル取得部23と、特徴量取得部24と、記憶部25と、無線通信方式検出部26と、利用リソース取得部27とを備える。
スペクトログラム取得部21は、無線通信部11が受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する。そのスペクトログラムは、各時刻の周波数特性を時系列に並べたものである。その周波数特性は、受信された受信信号の周波数領域における何らかの特性量であり、例えば、単位周波数あたりの電力であってもよく、電力及び位相に関連する何らかの特性量であってもよい。したがって、そのスペクトログラムは、周波数領域と時間領域とにおいて、受信された受信信号に関する電力を示すもの(周波数電力スペクトログラム)であってもよい。本実施の形態では、スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムである場合について主に説明する。スペクトログラム取得部21は、例えば、受信された受信信号を所定の時間ごとにフーリエ変換することによって、スペクトログラムを取得してもよい。そのフーリエ変換は、例えば、離散フーリエ変換(DFT)であってもよく、高速フーリエ変換(FFT)であってもよい。また、スペクトログラム取得部21は、複数のバンドパスフィルタの透過電力を計測することによってスペクトログラムを取得してもよい。また、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
時点検出部22は、スペクトログラム取得部21が取得したスペクトログラムの時間方向の変化において、閾値より大きい増加が周波数方向に連続している送信開始時点、及び閾値より大きい減少が周波数方向に連続している送信終了時点を検出する。その増加や減少は、厳密には、スペクトログラムの信号(例えば、電力値)の増加や減少である。また、閾値より大きい減少とは、減少量の絶対値が閾値より大きい減少のことである。増加に関する判断で用いられる閾値と、減少に関する判断で用いられる閾値とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。後者の場合であっても、両閾値は近似した値であることが好適である。この時点検出部22の処理について、具体的に説明する。
まず、時点検出部22は、スペクトログラムにおける時間方向の変動(以下、「時間変動」と呼ぶこともある)を算出する。その時間変動は、スペクトログラムにおける時間方向の電力値の増加や減少などの変化がわかるものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、時間方向の隣接する電力値の比や差であってもよく、時間方向の電力値の微分値などであってもよい。例えば、時間変動Δtpi,j(dB)は、次式のものであってもよい。なお、算出された時間変動Δtpi,jは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
Δtpi,j=pi,j+1−pi,j[dB]
ここで、pi,j(dB)は、スペクトログラム取得部21が取得したスペクトログラムにおける、周波数がiであり、時間がjである電力値である。なお、iが1ずつ増えることにより、周波数が増加してもよく、減少してもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。また、iが1だけ増減した際の周波数の変化量は、一定であることが好適である。また、jが1ずつ増えることにより、時間が増加してもよく、減少してもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。また、jが1だけ増減した際の時間の変化量は、一定であることが好適である。このΔtpi,jにより、スペクトログラムの時間方向の増加、減少が算出されたことになる。なお、Δtpi,jが正である場合には増加となり、Δtpi,jが負である場合には減少となる。また、Δtpi,jが0である場合には、増加も減少もしていないことになる。また、上式では、電力値を対数表示(dB)にしているため減算となっているが、電力値を対数でない表示(W)にした場合には、Δtpi,j=pi,j+1/pi,jのように、電力値の変動比を示すものとなる。したがって、上式の時間変動は、電力値の時間方向の変動比を示すものであるといえる。
また、時点検出部22は、次のs
i,jを取得する。その取得されたs
i,jは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、s
i,j=1である時間jの電力値は、時間方向において閾値Δ
tp
thより大きく増加しており、s
i,j=−1である時刻jの電力値は、時間方向において閾値Δ
tp
thより大きく減少していることになる。したがって、s
i,jが取得されることによって、スペクトログラムの各周波数及び各時間が、電力値の閾値より大きい増加(s
i,j=+1)と減少(s
i,j=−1)、それ以外(s
i,j=0)に分類されることになる。なお、Δ
tp
thは、正の実数である。
また、時点検出部22は、取得したs
i,jを用いて、あらかじめ設定されている周波数帯域ごとに、次のn
jを算出する。その周波数帯域は、各無線通信方式に対応した周波数帯域である。また、ある無線通信方式に対応する周波数帯域は、その無線通信方式の無線信号の周波数をすべて含む帯域に設定されることが好適である。また、ある無線通信方式が2以上のチャネルを有する場合には、その周波数帯域は、そのチャネルごとの周波数帯域であってもよい。その複数の周波数帯域には、例えば、包含関係にある周波数帯域が含まれていてもよく、少なくとも一部の周波数が重複している周波数帯域が含まれていてもよい。
ここで、iminは、周波数帯域の下限の周波数に応じた周波数iの値であり、imaxは、その周波数帯域の上限の周波数に応じた周波数iの値である。このnjは、時間jのiminからimaxまでの周波数帯域において、電力値の閾値より大きい、時間方向の増加や減少が連続している程度を示す値である。したがって、このnjは、ある周波数帯域における電力値の閾値より大きい時間変動の周波数方向の連続指数であると考えることができる。このnjが閾値より大きい時間j、すなわちnj>nthである時間jにおいては、閾値よりも大きい時間方向の増加が周波数方向に連続していることになるため、その時間jを、無線信号の送信開始時点(立ち上がり時点)と考えることができる。したがって、時点検出部22は、nj>nthとなる時間jである送信開始時点を検出する。また、このnjが閾値より小さい時間j、すなわちnj<−nthである時間jにおいては、閾値よりも大きい時間方向の減少が周波数方向に連続していることになるため、その時間jを、無線信号の送信終了時点(立ち下がり時点)と考えることができる。したがって、時点検出部22は、nj<−nthとなる時間jである送信終了時点を検出する。なお、時点を検出するとは、例えば、その時点に対応するjの値を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよく、または、その時点に対応するjに、検出されたことを示す情報(フラグ等)を設定することであってもよい。また、閾値nthは、正の実数である。より具体的には、閾値nthは、imax−imin以下の値であり、imax−iminに近い値であることが好適である。したがって、閾値nthは、通常、周波数帯域ごとに異なる値となる。また、ある周波数帯域において、閾値よりも大きい増加や減少が連続しているとは、その周波数帯域のすべてにおいて、時間方向の変動が、閾値よりも大きい増加や、閾値よりも大きい減少であることであってもよく、または、その周波数帯域のすべてではない広い範囲において、時間方向の変動が、閾値よりも大きい増加や、閾値よりも大きい減少であることであってもよい。後者の場合には、その周波数帯域の一部には、si,j=0となる周波数が含まれていてもよい。
スペクトル取得部23は、時点検出部22によって検出された送信開始時点から送信終了時点までのスペクトログラムにおいて、各周波数での最大値に応じた周波数スペクトルを取得する。なお、その周波数スペクトルの取得は、通常、送信開始時点や送信終了時点を取得した際に用いられた周波数帯域において行われる。例えば、その周波数帯域の周波数がiminからimaxまでであり、送信開始時点がjminであり、送信終了時点がjmaxであるとすると、スペクトル取得部23は、iminからimaxまでの各周波数について、jminからjmaxまでの期間の電力値pi,jの最大値pi maxをそれぞれ取得する。そのようにして取得された、iminからimaxまでの各周波数での最大値pi maxの集合が、周波数スペクトルとなる。なお、以下、説明の便宜上、その最大値pi maxを単にpiと記載することがある。また、ある周波数帯域に対して、送信開始時点と送信終了時点とがそれぞれ複数、検出された場合には、スペクトル取得部23は、送信開始時点と、それ以後の直近の送信終了時点との間の各期間について、周波数スペクトルを取得する処理を繰り返してもよい。なお、送信開始時点から、それ以後の直近の送信終了時点までの期間が、あらかじめ決められた閾値よりも短い場合には、その期間について周波数スペクトルの取得が行われなくてもよい。データ数が少ない場合には、周波数スペクトルを適切に取得できないからである。また、複数の周波数帯域について送信開始時点等の検出が行われた場合には、スペクトル取得部23は、送信開始時点や送信終了時点の取得された周波数帯域ごとに、その周波数スペクトルを取得する処理を繰り返してもよい。
ここで、このような周波数スペクトルを取得するメリットについて簡単に説明する。通常、ある通信信号について、ある時点の周波数方向の電力値である周波数スペクトルを取得することによって、その通信信号の周波数スペクトルを取得できると考えられるが、変調やフェージング等の影響によって、ある時点の周波数スペクトルが理想的なものと異なっている可能性がある。一方、上述の説明のように、各周波数での最大値を集めて周波数スペクトルを構成することによって、変調やフェージングに影響されずに、無線通信方式の特徴を適切に示す理想的な周波数スペクトルを取得することができる。なお、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルは、後述するように、無線通信方式を検出するために用いられる。したがって、無線通信方式の特徴を適切に表している理想的な周波数スペクトルを取得することによって、精度の高い無線通信方式の検出を実現できることになる。
特徴量取得部24は、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルから、周波数スペクトルに対応する無線通信の特徴量を取得する。複数の周波数スペクトルが取得された場合には、特徴量取得部24は、その周波数スペクトルごとに特徴量を取得してもよい。特徴量には、例えば、周波数スペクトルの周波数方向の変動が含まれてもよく、周波数スペクトルの中心周波数が含まれてもよく、周波数スペクトルの形状から得られる情報(例えば、−3dBでの帯域幅等)が含まれてもよく、周波数スペクトルから取得できるそれ以外の情報が含まれてもよい。また、特徴量には、周波数スペクトルから取得できる情報以外の情報が含まれてもよい。その情報は、例えば、無線信号の送信開始時点から送信終了時点までの期間であってもよく、その他の情報であってもよい。なお、本実施の形態では、その特徴量が、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルの周波数方向の変動である場合について主に説明する。以下、その変動のことを「周波数変動」と呼ぶこともある。その周波数変動は、周波数スペクトルにおける周波数方向の電力値の変化がわかるものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、周波数方向の隣接する電力値の比や差であってもよく、周波数方向の電力値の微分値などであってもよい。周波数変動は、周波数スペクトルにおける周波数方向の電力値の増減を示すものである。例えば、周波数変動Δfpi(dB)は、次式のものであってもよい。
Δfpi=pi+1−pi[dB]
ここで、pi(dB)は、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルにおける、周波数がiである電力値である。また、上式では、電力値を対数表示(dB)にしているため減算となっているが、電力値を対数でない表示(W)では、Δfpi=pi+1/piとなることは時間変動の場合と同様である。したがって、上式の周波数変動は、電力値の周波数方向の変動比を示すものであるといえる。
記憶部25では、特徴量の範囲を示す範囲情報が無線通信方式ごとに記憶される。後述するように、特徴量取得部24が取得した特徴量が、ある範囲情報に含まれた場合に、その特徴量に対応する無線通信の通信方式が、その範囲情報に対応する無線通信方式であると検出されることになる。したがって、その範囲情報は、例えば、その範囲情報に対応する無線通信方式による無線通信に関する多くの受信信号に対応する特徴量のすべてが含まれると共に、他の無線通信方式による無線通信に関する受信信号に対応する特徴量は含まれないように設定されてもよい。また、範囲情報は、特徴量が含む情報ごとの範囲を示す情報であることが好適である。例えば、特徴量に周波数スペクトルの中心周波数が含まれる場合には、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式に応じた中心周波数の下限値及び上限値を有する情報であってもよい。また、特徴量に周波数スペクトルの周波数方向の変動が含まれる場合には、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式に応じた周波数スペクトルの周波数方向の変動に関する周波数ごとの上限閾値及び下限閾値を有する情報であってもよい。具体的には、ある無線通信方式に対応する範囲情報は、各周波数について、周波数変動(dB)の上限閾値Δfpi maxと、下限閾値Δfpi minとを有していてもよい。なお、そのような場合に、範囲情報は、その範囲情報に対応する無線通信方式の周波数帯域におけるすべての周波数iについて、上限閾値と下限閾値とを有していてもよく、または、一部の周波数iについてのみ、上限閾値と下限閾値とを有していてもよい。後者の場合に、範囲情報に含まれる周波数変動の上限閾値と下限閾値に対応する周波数は、均等であってもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、例えば、特徴的な部分については細かい周波数ごとに上限閾値と下限閾値とが設定され、特徴的でない部分については粗い周波数ごとに上限閾値と下限閾値とが設定されてもよい。範囲情報として、例えば、次の文献1に記載されているようなものを用いてもよい。
文献1:宮坂朋宏、矢野一人、有吉正行、熊谷智明、「隣接時間−周波数点間電力比を用いた2.4GHz帯無線システム検出手法の性能評価」、信学技報、SR2014−126、p.85−91、2015年2月
なお、例えば、無線LANのように複数のチャネルが存在する場合には、通常、その範囲情報は、周波数方向のシフト量以外、チャネルごとに同様の範囲になると考えられる。したがって、そのような場合には、複数のチャネルに応じた範囲情報は、あるチャネルに対応した範囲情報と、他のチャネルに対応する、その範囲情報の周波数方向のシフト量とであってもよい。
記憶部25に無線通信方式ごとの範囲情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して範囲情報が記憶部25で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された範囲情報が記憶部25で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された範囲情報が記憶部25で記憶されるようになってもよい。記憶部25での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部25は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
無線通信方式検出部26は、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出する。具体的には、特徴量取得部24が周波数スペクトルから取得した特徴量が、ある範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、無線通信方式検出部26は、その範囲情報に対応する無線通信方式を、その周波数スペクトルに対応する無線信号の無線通信方式として検出する。なお、特徴量が周波数変動を含んでいる場合に、すべての周波数の周波数変動が、範囲情報の示す周波数ごとの範囲に含まれるときに、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれると判断されてもよく、または、閾値以上の割合(例えば、9割以上など)の周波数の周波数変動が、範囲情報の示す周波数ごとの範囲に含まれるときに、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれると判断されてもよい。無線通信方式を検出することによって、受信信号に応じた無線通信の種類(方式)が特定されることになる。例えば、無線通信方式検出部26は、特徴量取得部24の取得した特徴量が、ある範囲情報に含まれる場合に、受信信号に対応する無線通信方式として、その範囲情報に対応する「IEEE802.11g CH7」を検出してもよい。なお、無線通信方式を検出するとは、例えば、その無線通信方式を示す情報を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよく、または、その無線通信方式を示す情報に、検出されたことを示す情報(フラグ等)を設定することであってもよい。検出された無線通信方式は、その検出に用いられた特徴量の取得元となる周波数スペクトルに対応する周波数帯域、並びに送信開始時点及び送信終了時点によって特定される送信期間と対応付けられることが好適である。なお、Bluetoothと、IEEE802.15.4とは、前者の帯域幅が1MHzであり、後者の帯域幅が2MHzである場合には、周波数解像度が十分高い場合に、範囲情報を用いた両者の区別が可能となる。一方、Bluetooth Low Energyのように、帯域幅が2MHzであるBluetoothについても検出対象とする場合には、後述するように、時刻剰余をも用いてBluetoothと、IEEE802.15.4とを区別するようにしてもよい。
利用リソース取得部27は、無線通信方式検出部26によって検出された無線通信方式ごとに、時点検出部22によって検出された送信開始時点及び送信終了時点を用いて利用リソース量を取得する。無線通信方式検出部26によって、無線通信方式と、周波数帯域、並びに送信開始時点及び送信終了時点によって特定される送信期間との対応が取得される。したがって、利用リソース取得部27は、各周波数帯域について、無線通信方式ごとの送信開始時点及び送信終了時点を知ることができる。そして、利用リソース取得部27は、ある周波数帯域について、あらかじめ決められた単位時間ごとに、無線通信方式ごとの通信期間を加算することによって、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得することができる。なお、その利用リソース量は、前述のように、利用率であってもよく、または、利用時間であってもよい。また、利用リソース取得部27は、その処理を各周波数帯域について行ってもよく、一部の周波数帯域について行ってもよい。その結果、各周波数帯域について、または一部の周波数帯域について、無線通信方式ごとの利用リソース量が取得されたことになる。なお、その無線通信方式ごとの利用リソース量は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。また、後述するように、制御部16において、現在の自セル利用リソース量が必要になる場合には、利用リソース取得部27は、例えば、自セルの無線通信方式については、自セルの利用リソース量と、それ以外の利用リソース量とを分けて取得してもよい。その場合には、例えば、無線通信方式検出部26において、自セルの無線通信方式については、自セルの周波数帯域及び送信期間と、それ以外の周波数帯域及び送信期間とがそれぞれ別々に検出されていてもよい。
変更部13は、取得部12によって取得された無線通信方式ごとの利用リソース量、すなわち、利用リソース取得部27によって取得された無線通信方式ごとの利用リソース量のうち、変更対象の無線通信方式の利用リソース量を増加または減少させる。具体的には、変更部13は、所定の無線通信方式と混在しても相互の無線通信の品質に影響を与えない無線通信方式については、その無線通信方式の利用リソース量を減少させてもよい。また、変更部13は、その所定の無線通信方式と混在すると無線通信の品質が低下する無線通信方式については、その無線通信方式の利用リソース量を増加させてもよい。ここで、無線通信の品質に影響を与えないとは、無線通信の品質にまったく影響を与えないことであってもよく、無線通信の品質に少しの影響は与えうるが、大きな影響は与えないことを含んでいてもよい。本実施の形態では、後者の場合について主に説明する。変更部13は、利用リソース量を増加させる処理と、減少させる処理との両方を行ってもよく、または、一方のみを行ってもよい。なお、その所定の無線通信方式は、例えば、出力部14によって出力された無線通信方式ごとの利用リソース量を用いた無線リソースの割り当ての制御対象となる無線通信方式であってもよい。また、その所定の無線通信方式は、例えば、利用リソース取得装置1の無線通信部11が行う無線通信の無線通信方式であってもよい。また、利用リソース量を増加させる場合には、変更部13は、例えば、取得部12で取得された利用リソース量に正の値を加算してもよく、1より大きい値を乗算してもよく、または、その取得された利用リソース量よりも大きいあらかじめ決められた値に変更してもよい。そのあらかじめ決められた値は、利用率が100%となる値であってもよい。具体的には、変更部13は、利用リソース量が利用率である場合には、利用リソース量を100%に変更してもよく、利用リソース量が単位時間あたりの利用時間である場合には、利用リソース量を単位時間に変更してもよい。また、利用リソース量を減少させる場合には、変更部13は、例えば、取得部12で取得された利用リソース量に負の値を加算してもよく、1より小さい正の値を乗算してもよく、または、その取得された利用リソース量よりも小さいあらかじめ決められた値に変更してもよい。そのあらかじめ決められた値は、利用率が0%となる値であってもよい。具体的には、変更部13は、利用率や利用時間である利用リソース量を0に変更してもよい。また、変更対象の無線通信方式を識別する情報と、変更内容とを対応付ける対応情報が図示しない記録媒体で記憶されており、変更部13は、その対応情報を用いて変更を行ってもよい。具体的には、次のような対応情報が記憶されており、無線通信方式A1,A2,A3の利用リソース量が取得された場合に、変更部13は、無線通信方式A1の利用リソース量を0%に変更し、無線通信方式A3の利用リソース量を100%に変更してもよい。なお、この場合には、無線通信方式A2は、変更対象の無線通信方式ではないことになる。その無線通信方式A2は、例えば、上述の所定の無線通信方式であってもよく、または、そうでなくてもよい。
変更対象の無線通信方式 変更内容
無線通信方式A1 0%
無線通信方式A3 100%
より具体的には、上記所定の無線通信方式が無線LANである場合に、変更部13は、Bluetoothの利用リソース量を減少させ、IEEE802.15.4の利用リソース量を増加させてもよい。以下、その理由について簡単に説明する。
図6Aを用いて、無線LANがBluetoothに与える影響について説明する。図6Aにおいて、PNは、Bluetoothのピコネット数を示している。また、「WLANなし」とは、Bluetoothの通信のみを行った場合であり、「従来のWLANあり」とは、収容可否の判断を行わない無線LANの通信と、Bluetoothの通信とを同時に行った場合であり、「収容可否判断のWLANあり」とは、収容可否の判断を行う無線LANの通信と、Bluetoothの通信とを同時に行った場合である。収容可否の判断を行う無線LANの通信とは、上記特許文献1や非特許文献1による収容可否の判断を行い、収容可能であると判断したときにのみ通信を行い、収容可能でないと判断したときには通信を行わない場合である。図6Aから分かるように、Bluetoothのピコネット数に関わらず、無線LANの通信の有無がBluetoothの通信品質(ここではスループット)に大きな影響を与えていないことが分かる。
次に、図6Bを用いて、Bluetoothが無線LANに与える影響について説明する。図6Bにおいて、従来の無線LANのスループットは、Bluetoothのピコネット数が増えても変化していないことが分かる。したがって、Bluetoothの通信が無線LANの通信品質に影響を与えていないことが分かる。一方、図6Bにおいて、収容可否判断を行う無線LANについては、ピコネット数の増加に応じて、無線LANのスループットが下がっている。これは、無線LANの収容可否判断時に、Bluetoothの利用リソース量を考慮することによって、自主的に無線リソースの利用量を削減していることに伴うものである。したがって、図6Bの結果から、無線LANと、Bluetoothとの通信が混在している場合には、Bluetoothの通信を考慮することなく、無線LANの収容可否判断を行えばよいことが分かる。そのため、上述のように、所定の無線通信方式が無線LANである場合には、Bluetoothの利用リソース量を減少させるようにしてもよい。そのように減少させた結果、無線LANの利用リソース量が増えたとしても、Bluetoothの通信品質に大きな影響を与えることはなく、また無線LANの利用リソース量を増やすことができるからである。
無線LANと、IEEE802.15.4とが混在している場合には、IEEE802.15.4のパケットロス率が高くなることが知られている。そのことについては、例えば、次の文献2を参照されたい。
文献2:山本剛史、田中義三、北川司、山本裕嗣、矢野一人、関口真理子、宮坂朋宏、有吉正行、熊谷智明、岡田洋侍、「QoEを制御指標とする無線LANと無線センサNWの共存方式」、2015年電子情報通信学会総合大会、B−17−8、p.555、2015年2月
IEEE802.15.4では、ビジーである場合に無線信号の送信機会がなくなりうるため、その文献2に記載されている実験結果からも分かるように、他の無線通信方式と混在した場合に受ける影響が大きくなる。したがって、IEEE802.15.4の通信と、他の無線通信方式の通信とが混在している場合には、IEEE802.15.4の通信におけるパケットロスを減少させる観点からは、IEEE802.15.4でない無線通信方式の通信を減少させることが好適である。そのため、上述のように、所定の無線通信方式が無線LANである場合には、IEEE802.15.4の利用リソース量を増加させるようにしてもよい。そのように増加させた結果、無線LANの利用リソース量が減少することにより、IEEE802.15.4の通信機会を増やすことができ、結果としてIEEE802.15.4のパケットロス率を減少させることができるからである。なお、上記文献2においても、IEEE802.15.4の通信と、無線LANの通信との混在を、無線LANの通信チャネルを変更して解消することにより、IEEE802.15.4のパケットロス率を17.2%から0.16%に改善できることが示されている。したがって、IEEE802.15.4の利用リソース量を100%に変更することは、IEEE802.15.4のパケットロス率を低減させる観点からは非常に有効であることが分かる。
出力部14は、変更対象の無線通信方式については、変更部13によって変更された利用リソース量を出力し、変更対象でない無線通信方式については、取得部12によって取得された利用リソース量を出力する。その結果、取得部12によって利用リソース量が取得された各無線通信方式について、変更された、または変更されていない利用リソース量が出力されることになる。なお、変更された利用リソース量の出力と、変更されなかった利用リソース量の出力とは、別々に行われてもよく、または同時に行われてもよい。その出力された利用リソース量は、後述するように、無線リソースの割り当ての制御のために用いられてもよい。
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。本実施の形態では、その出力が記憶部15への蓄積である場合について主に説明する。なお、出力部14は、出力を行うデバイス(例えば、送信デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部14は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
記憶部15には、無線通信方式ごとの利用リソース量が記憶される。具体的には、無線通信方式を識別する情報と、利用リソース量とを対応付ける情報が記憶されてもよい。その利用リソース量等は、出力部14によって蓄積される。なお、記憶部15での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部15は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
制御部16は、出力部14によって出力された利用リソース量、すなわち、記憶部15で記憶されている利用リソース量を用いて、無線リソースの割り当てに関する制御を行う。無線リソースの割り当てに関する制御とは、例えば、上記特許文献1、非特許文献1,2等に記載されている収容可否判断に応じた制御であってもよく、無線通信で使用する周波数(チャネル)の変更に関する制御であってもよく、その両方であってもよく、無線リソースの割り当てに関するその他の制御であってもよい。収容可否判断に応じた制御は、例えば、新たな無線通信が行われる場合に、収容可能であると判断したときに、その無線通信を許可し、収容不可能であると判断したときに、その無線通信を許可しないことであってもよい。また、無線通信で使用する周波数の変更に関する制御は、現在、無線通信で使用している周波数において利用可能な無線リソースがない場合に、無線通信で使用する周波数を変更することであってもよい。その周波数の変更は、例えば、無線通信で使用するチャネルの変更であってもよい。その制御対象となる無線通信方式は、通常、上述した所定の無線通信方式である。なお、その所定の無線通信方式による無線通信を行うのは、利用リソース取得装置1であってもよく、または、他の装置であってもよい。後者の場合には、制御部16は、制御に関する指示を他の装置に送信することによって、その制御を行ってもよい。本実施の形態では、制御部16が無線通信部11による無線通信を制御する場合について主に説明する。
ここで、収容可否の判断について、所要リソース量の取得、利用リソース量の取得、追加可能リソース量の取得に分けて説明する。
[所要リソース量の取得]
オファードロード(offered load)や伝送レート等を用いて所要リソース量を算出する方法について説明する。オファードロードとは、無線通信を行う装置が実際に伝送しようとするトラフィック量のことであり、例えば、アプリケーション層の要求データレートであると考えてもよい。例えば、あるアプリケーションが10Mb/sの無線通信を要求する場合には、オファードロードは、「10Mb/s」である。再送が起きないと仮定した場合には、データと、それに対するACKとの送信時間が無線リソースの利用時間となるため、アプリケーションnの無線リソース利用率ρs,nは、次式のようになる。
ρs,n=Σ{(アプリケーションnのデータフレームの送信時間+アプリケーションnのデータフレームのACKにかかる時間)/MT}
MTは、無線リソース利用率を算出するための計測期間である。また、上記式のΣは、MTの期間に送信されたアプリケーションnのデータフレームについての和である。したがって、上記式は、次式のようになる。
ρs,n=NDATA,n×(DDATA,n+DACK,n) (1)
ここで、NDATA,nは、アプリケーションnが計測期間において単位時間に送信するデータフレーム数であり、DDATA,nは、アプリケーションnのデータフレームの送信にかかる平均時間であり、DACK,nは、アプリケーションnのデータフレームのACKにかかる時間である。DACK,nは、ACKの伝送レートのみによって一意に決定される時間である。(1)式のNDATA,n、DDATA,nは、それぞれ次式のようになる。なお、Onは、アプリケーションnのオファードロード(b/s)であり、Lavg,nは、アプリケーションnの平均パケットサイズ(Byte)である。また、MTUサイズを超えるアプリケーションパケットの場合は、平均IPパケットサイズをMTUサイズであると仮定してもよい。また、Dfixedは、伝送レートに依存しない物理層オーバヘッド(preamble長)であり、Lfixedは、伝送レートに依存する物理層以外のオーバヘッドであり、Rnは、アプリケーションnの伝送レート(b/s)である。なお、アプリケーションnにおいて、上りと下りの一方の無線通信のみが行われる場合には、その伝送レートRnは、無線通信が行われる上りまたは下りの伝送レートであってもよい。一方、アプリケーションnにおいて、上りと下りの両方の無線通信が行われる場合には、その伝送レートRnは、無線通信が行われる上りと下りの伝送レートを加算したものであってもよい。
NDATA,n=On/(Lavg,n×8)
DDATA,n=Dfixed+(Lavg,n×8+Lfixed)/Rn
したがって、(1)式の無線リソース利用率は、次式のようになる。
ρs,n=coefn×On/Rn
ただし、coefnは次の通りである。
coefn=1+{(Dfixed+DACK,n)×Rn+Lfixed}/(Lavg,n×8)
このように、制御部16は、あるアプリケーションのオファードロード、伝送レート、及び平均パケットサイズから、そのアプリケーションのオファードロードに応じた無線通信を行うのに必要な無線リソースの量(所要リソース量)を算出することができる。なお、そのオファードロード、平均パケットサイズは、アプリケーションから取得されたものであってもよい。また、伝送レートは、そのアプリケーションの無線通信を行う装置(例えば、利用リソース取得装置1であってもよく、または、利用リソース取得装置1と無線通信を行う装置であってもよい)において取得されてもよい。その取得は、例えば、通信相手から送信された無線信号(例えば、無線基地局から送信されるビーコン等であってもよい)のRSSI(受信信号強度)を取得し、図示しない記録媒体で記憶されている、RSSIと伝送レートとを対応付ける情報(例えば、両者を対応付けるテーブル等)を用いて、取得したRSSIに対応する伝送レートを取得することによってなされてもよい。なお、802.11gデータフレームフォーマットから、Dfixedは、16+4=20(μs)となり、Lfixedは、{(2+24+8+20+8+4)×8+6}=534(bit)となる。なお、ここでは、説明の簡略化のため、padding領域は考慮していない。
[利用リソース量の取得]
利用リソース量を取得する方法について説明する。なお、無線通信方式ごとの利用リソース量は、出力部14によって出力されているが、ここでは、制御部16が、その利用リソース量を用いて、現在の自セル利用リソース量と、現在の他セル利用リソース量とを取得する場合について説明する。自セルとは、上述の所定の無線通信方式による無線通信が行われるセルであり、通常、利用リソース取得装置1の無線通信部11が無線通信を行うセルである。
制御部16は、利用リソース取得装置1が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用量である現在の自セル利用リソース量を取得する。この現在の自セル利用リソース量は、自セルにおける最新のものであってもよく、最新のものと同一視することができる程度新しいものであってもよい。自セルの無線リソースの利用率は、自セルに属する装置が無線通信を行った時間を、その無線通信の観測時間で割った値である。自セルの無線リソースの利用時間は、単位時間である観測期間中に自セルに属する装置が無線通信を行った時間である。なお、現在の自セル利用リソース量は、通常、チャネルごとの情報である。本実施の形態では、あらかじめ決められた一定の時間長(以下、「制御スロット」と呼ぶことがある)について現在の自セル利用リソース量の取得等の処理を行うものとする。その場合には、取得部12においても、その制御スロットごとに利用リソース量が取得されていることが好適である。制御部16は、例えば、記憶部15で記憶されている無線通信方式ごとの利用リソース量において、自セルの無線通信を特定することによって、現在の自セル利用リソース量を取得してもよく、キャリアセンス結果に応じて現在の自セル利用リソース量を取得してもよく、自セルにおける無線通信のオファードロードに応じて、現在の自セル利用リソース量を算出してもよく、または、他の装置から現在の自セル利用リソース量を受け取ってもよい。制御部16は、通常、無線通信部11が無線通信を行っている周波数帯域(チャネル)について、現在の自セル利用リソース量を取得する。なお、前述のように、取得部12において、自セルの無線通信方式について、現在の自セル利用リソース量と、現在のそれ以外の利用リソース量とがそれぞれ取得されている場合には、制御部16は、取得部12で取得された現在の自セル利用リソース量を用いてもよい。
次に、現在の他セル利用リソース量を取得する方法について説明する。制御部16は、自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソースの利用量である現在の他セル利用リソース量を取得する。この現在の他セル利用リソース量は、他セルにおける、最新のものであってもよく、最新のものと同一視することができる程度新しいものであってもよい。他セルは、1個のセルであってもよく、2個以上のセルであってもよい。他セルは、自セルに対する干渉セルであり、例えば、自セルと隣接する他のセルである。また、他セル利用リソース量には、自セルと異なる無線通信方式による無線通信の利用リソース量も含まれるものとする。すなわち、自セルの無線通信以外の無線通信は、無線通信方式に関わらず、他セルの無線通信であるとする。制御部16は、記憶部15で記憶されている無線通信方式ごとの現在の利用リソース量において、現在の自セル利用リソース量を除いた利用リソース量を、無線通信方式ごとに加算することによって、現在の他セル利用リソース量を取得してもよい。すなわち、記憶部15で記憶されている、現在の利用リソース量を無線通信方式ごとに合計したものから、現在の自セル利用リソース量を減算したものが、現在の他セル利用リソース量となる。その現在の利用リソース量の合計は、例えば、自セルの無線通信の周波数帯域の無線通信に対して行われてもよい。
[追加可能リソース量の取得]
次に、追加可能リソース量を取得する方法について説明する。制御部16は、現在の自セル利用リソース量、及び現在の他セル利用リソース量を用いて、自セル利用リソース量と他セル利用リソース量との関係を示す関係式を特定する。現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量を通る、自セル利用リソース量と他セル利用リソース量との関係を示す関係式は、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量に応じて変化するものである。具体的には、線形な関数である関係式の傾きや切片が、出発点である現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量に応じて変化する。したがって、制御部16は、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量を用いて、両者を通過する自セル利用リソース量と他セル利用リソース量との関係を示す関係式を特定することになる。この関係式は、例えば、図5において、左下から右上方向に延びる直線を示す式である。なお、その関係式の詳細については、上記特許文献1や非特許文献1を参照されたい。上記特許文献1や非特許文献1に記載されているように、この関係式は、
y=a(x+c) (2)
と記載できる。なお、xは自セル利用リソース量であり、yは他セル利用リソース量であり、cは、あらかじめ決められた定数であり、aは、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量によって決まる係数である。ここで、係数aは、通常、正の値である。自セル利用リソース量の増加に応じて無線信号の衝突が増え、それに応じて他セル利用リソース量も増加すると考えられるためである。上記(2)式から、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量がそれぞれ、x1、y1である場合には、制御部16は、
a=y1/(x1+c)
のように係数aの値を決定することができ、その結果、関係式である(2)式を特定できる。なお、上記特許文献1や非特許文献1に記載されているように、例えば、c=80.45となる。
制御部16は、図示しない記録媒体で記憶されている境界情報と、特定した関係式と、現在の自セル利用リソース量とを用いて、追加可能リソース量を予測する。なお、制御部16は、後述するように、ある制御スロットで取得された現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量を用いて特定された関係式と、その制御スロットで取得された現在の自セル利用リソース量とを用いて、追加可能リソース量の予測を行うことになる。次に、境界情報について説明する。図5では、自セル利用リソース量及び他セル利用リソース量が境界線より左下側である場合には、自セルでの無線通信が収容可能となり、自セル利用リソース量及び他セル利用リソース量が境界線より右上側である場合には、自セルでの無線通信が収容不可能となる。なお、収容可能とは、伝送しようとするすべてのトラフィックが所望のQoEを満たせることを意味している。すなわち、収容可能である場合には、無線通信の各トラフィックにおいて、所望のQoEが満たされることになる。一方、収容不可能である場合には、無線通信の少なくともいずれかのトラフィックにおいて、所望のQoEが満たされないことになる。例えば、スループットがオファードロードに応じた閾値より大きい場合に、QoEが満たされるとされ、そうでない場合にQoEが満たされないとしてもよい。オファードロードに応じた閾値は、例えば、オファードロードそのものであってもよく、オファードロードに、1に近い値をかけたものであってもよい。その境界線は、収容可能な利用状況と収容不可能な利用状況との境界を示す線である。その境界線に応じた自セル利用リソース量と他セル利用リソース量との関係を示す情報が境界情報である。したがって、上述のように、xを自セル利用リソース量とし、yを他セル利用リソース量とした場合には、境界線に対応する式である
y=F(x) (3)
を境界情報としてもよい。その関数Fは、図5で示されるように線形な関数であってもよい。例えば、p、qが任意の実数である場合に、F(x)=px+qとなってもよい。すなわち、
y=px+q
となってもよい。そのような場合に、境界情報は、p、qを示す情報であってもよい。本実施の形態では、境界情報が、線形な関数である場合について主に説明する。図5で示される境界線は、例えば、次式のようになる(上記特許文献1、非特許文献1参照)。
y=−1.1×x+73.137
また、制御部16は、上記非特許文献2に記載されているように、境界情報の調整が行われた場合には、その調整された境界情報を用いて追加可能リソース量を予測してもよい。
制御部16は、自セルにおいて収容可能な最大の無線リソース量を取得し、それを用いて、自セルにおける追加可能リソース量を取得する。境界情報の示す境界が、収容限界を示すため、(2)式と、(3)式との交点を求めることによって、自セルにおいて収容可能な最大の無線リソース量(例えば、図5のx2やx3)を取得できる。そして、その最大の無線リソース量から、制御部16が取得した現在の自セル利用リソース量(例えば、図5のx1)を減算した値(例えば、x2−x1)が、自セルにおける追加可能リソース量となる。なお、制御部16は、通常、使用チャネルについて追加可能リソース量を取得するが、それ以外の各チャネルについても追加可能リソース量を取得してもよい。
また、制御部16は、追加可能リソース量を用いて、追加のオファードロードに関する収容可否の判断を行ってもよい。その追加のオファードロードは、例えば、新たに通信を行うアプリケーションのオファードロードや、新たに通信を行いたい端末装置のオファードロードであってもよい。制御部16は、例えば、上述のようにして、そのオファードロードから所要リソース量を取得し、その所要リソース量が追加可能リソース量以下である場合に、その追加のオファードロードに対応する無線通信の開始を許可し、そうでない場合に、その追加のオファードロードに対応する無線通信の開始を許可しないようにしてもよい。そのように制御を行うことによって、QoEを充足した無線通信を実現することができる。なお、制御部16は、オファードロードから所要リソース量を取得する際に、オファードロードに応じたトラフィックの伝送レートやパケットサイズ等の情報を受け取り、それらを用いてもよい。また、制御部16は、現在のオファードロードと、追加のオファードロードとを加算した結果について、自セル利用リソース量を算出し、その自セル利用リソース量と上述の関係式とを用いて、その自セル利用リソース量に対応する他セル利用リソース量も算出し、その算出した自セル利用リソース量と他セル利用リソース量とが境界線よりも収容可能側に位置するかどうかに応じて、追加のオファードロードに対応する無線通信を許可するかどうか判断してもよい。
ここで、変更部13による変更の効果について簡単に説明する。変更部13による変更が行われる前の利用リソース量を用いた場合には、現在の他セル利用リソース量がy1であったとする。その場合には、図5で示されるように、追加可能リソース量は、x2−x1となる。一方、変更部13による変更が行われた後の利用リソース量を用いた場合には、現在の他セル利用リソース量がy1より小さいy2となったとする。具体的には、他セルの無線通信にBluetoothの通信が含まれており、その利用リソース量が0%に変更されることによって、現在の他セル利用リソース量がy2に減少したと考えてもよい。そのように、現在の他セル利用リソース量がy2に変更された結果、追加可能リソース量が、x3−x1に増加することになる。したがって、例えば、自セルにおいて、x3−x2に応じた量だけ、余分に無線リソースの割り当てを行うことができるようになる。
なお、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量が、境界線の収容不可能側に存在する場合には、制御部16は、自セルの使用周波数帯域(使用チャネル)を変更してもよい。その変更先は、例えば、スペクトルセンシングを行い、空いている周波数帯域を探すことによって決定されてもよい。例えば、自セルの無線LANの通信と、IEEE802.15.4の通信とが混在しており、変更部13によってIEEE802.15.4の利用リソース量が100%に変更された場合には、現在の自セル利用リソース量及び現在の他セル利用リソース量が境界線の収容不可能側に存在することになる。そのような場合には、制御部16は、使用チャネルを変更してもよい。そのように、使用チャネルが変更される結果、IEEE802.15.4の通信機会が確保されることになり、IEEE802.15.4のパケットロス率が改善されることになる。なお、利用リソース取得装置1が無線基地局である場合には、制御部16は、各端末装置にチャネル変更指示を送信するように無線通信部11を制御することによって、チャネル変更を行ってもよい。また、利用リソース取得装置1が無線基地局でない場合には、自セルの無線基地局に、自セルの各端末装置にチャネル変更指示を送信するように指示することによって、チャネル変更を行ってもよい。なお、チャネル変更指示には、新たな使用チャネルが含まれていることが好適である。また、そのチャネル変更指示には、使用チャネルを変更するタイミングに関する情報が含まれていてもよい。無線基地局及び各端末装置が同時に使用チャネルを変更するためである。そのタイミングに関する情報は、例えば、チャネル変更指示を受信してから使用チャネルを変更するまでの時間(期間)であってもよく、または、使用チャネルを変更する時刻等であってもよい。
また、記憶部15と記憶部25とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、または、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、利用リソース量を記憶している領域が記憶部15となり、範囲情報を記憶している領域が記憶部25となる。
次に、利用リソース取得装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートでは、制御部16が、無線通信部11によって行われる無線LANの通信を制御する場合について説明する。また、このフローチャートでは、変更部13による利用リソース量の変更が、増加の場合には100%への変更であり、減少の場合には0%への変更である場合について説明する。
(ステップS101)取得部12は、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得するかどうか判断する。そして、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得する場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS107に進む。なお、取得部12は、例えば、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得すると定期的に判断してもよく、または、その他のタイミングで無線通信方式ごとの利用リソース量を取得すると判断してもよい。
(ステップS102)取得部12は、無線通信部11が受信した受信信号を用いて、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得する。なお、この処理の詳細については、図4Aのフローチャートを用いて後述する。取得部12は、例えば、取得した利用リソース量のうち、変更対象のものについては変更部13に渡し、変更対象でないものについては出力部14に渡してもよく、または、すべての利用リソース量を変更部13と出力部14とに渡してもよい。
(ステップS103)変更部13は、変更対象の無線通信方式について、利用リソース量を変更する。なお、この処理の詳細については、図4Eのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS104)出力部14は、変更対象の無線通信方式については、変更部13によって変更された利用リソース量を出力し、変更対象でない無線通信方式については、取得部12によって取得された利用リソース量を出力する。なお、本実施の形態では、この出力が記憶部15への蓄積である場合について主に説明する。
(ステップS105)制御部16は、出力部14によって出力された無線通信方式ごとの利用リソース量を参照し、無線通信部11の使用チャネルにおける自セルの無線通信方式以外に、利用リソース量が100%である無線通信方式が存在するかどうか判断する。そして、利用リソース量が100%である無線通信方式が存在する場合には、使用チャネルを変更すると判断してステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
(ステップS106)制御部16は、無線通信部11の使用チャネルを変更する。具体的には、制御部16は、新たな使用チャネルを特定し、その特定した新たな使用チャネルに変更する旨のチャネル変更指示を各端末装置に送信するように、無線通信部11を制御すると共に、無線通信部11の使用チャネルを、その特定した新たな使用チャネルに変更する。また、送信されたチャネル変更指示に応じて、各端末装置において、使用チャネルが変更される。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS107)制御部16は、収容可否に関する判断を行うかどうか判断する。そして、収容可否に関する判断を行う場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、制御部16は、例えば、新たな無線通信を開始したい場合(例えば、新たなアプリケーションが無線通信を行いたい場合や、端末装置から、新たな無線通信を行いたい旨の要望があった場合など)に、収容可否に関する判断を行うと判断してもよい。
(ステップS108)制御部16は、収容可否に関する判断を行う。例えば、新たな無線通信を開始したい場合に、制御部16は、その新たな無線通信を収容可能であるかどうか判断してもよい。
(ステップS109)制御部16は、その収容可否の判断結果に応じた制御を行う。例えば、制御部16は、収容可能であると判断した場合に、新たな無線通信を開始するように制御してもよく、収容可能でないと判断した場合に、新たな無線通信を開始させないように制御してもよい。そして、ステップS101に戻る。
なお、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。また、無線通信部11は、図3のフローチャートに含まれる以外の無線通信の処理を行ってもよい。例えば、利用リソース取得装置1が無線基地局である場合には、無線通信部11は、図3のフローチャートに含まれる各処理以外に、各端末装置との無線通信に関する処理を行ってもよい。
図4Aは、図3のフローチャートにおける利用リソース量の取得の処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)無線通信部11は、受信信号を受信する。なお、取得対象のスペクトログラムの時間領域の長さが決まっている場合には、無線通信部11は、その長さに応じた受信を行ってもよい。また、この受信された受信信号は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。例えば、無線通信部11におけるAD変換部(図示せず)によるAD変換後の受信信号が、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS202)スペクトログラム取得部21は、受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得する。なお、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS203)時点検出部22は、取得されたスペクトログラムにおいて、時間変動を取得する。その時間変動は、各周波数について取得されることが好適である。なお、取得された時間変動は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS204)時点検出部22は、取得した時間変動から、閾値より大きい増加や、閾値より大きい減少を特定する。具体的には、時点検出部22は、上述のsi,jを取得してもよい。
(ステップS205)無線通信方式検出部26等は、受信された受信信号に対応する無線通信方式を検出する。この処理の詳細については、図4Bのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS206)利用リソース取得部27は、検出された無線通信方式ごとに、送信開始時点及び送信終了時点を用いて利用リソース量を取得する。そして、受信信号に応じて無線通信方式ごとの利用リソース量を取得する一連の処理が終了となり、図3のフローチャートに戻る。
図4Bは、図4Aのフローチャートにおける無線通信方式の検出の処理(ステップS205)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS301)時点検出部22は、カウンタkを1に設定する。
(ステップS302)時点検出部22は、k番目の周波数帯域における増加や減少の総和を算出する。具体的には、時点検出部22は、k番目の周波数帯域において、前述のsi,jの総和であるnjを算出してもよい。そのnjは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS303)時点検出部22は、k番目の周波数帯域において、周波数方向に閾値より大きい増加が連続している時点である送信開始時点と、周波数方向に閾値より大きい減少が連続している時点である送信終了時点とを検出する。具体的には、時点検出部22は、nj>nthとなる送信開始時点や、nj<−nthとなる送信終了時点を検出してもよい。その送信開始時点や送信終了時点を示す情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS304)スペクトル取得部23は、カウンタmを1に設定する。
(ステップS305)スペクトル取得部23は、k番目の周波数帯域に、m番目の無線信号が存在するかどうか判断する。そして、存在する場合には、ステップS306に進み、そうでない場合には、ステップS311に進む。なお、無線信号とは、送信開始時点から、それ以降の直近の送信終了時点までの信号のことである。また、前述のように、その期間があらかじめ決められた閾値より小さい場合には、スペクトル取得部23は、その期間には無線信号が存在しないと判断してもよい。
(ステップS306)スペクトル取得部23は、m番目の無線信号に対応する周波数スペクトルを取得する。この処理の詳細は、図4Cのフローチャートを用いて後述する。取得された周波数スペクトルは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS307)特徴量取得部24は、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルから特徴量を取得する。取得された特徴量は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS308)無線通信方式検出部26は、取得された特徴量を含む範囲を示す範囲情報が、記憶部25で記憶されているかどうか判断する。そして、記憶されている場合には、ステップS309に進み、そうでない場合には、ステップS310に進む。なお、この処理の詳細については、図4Dのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS309)無線通信方式検出部26は、k番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の無線通信方式として、ステップS308において、特徴量を含むと判断された範囲情報に対応する無線通信方式を検出する。その検出された無線通信方式を識別する情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。また、その情報と共に、m番目の無線信号の周波数帯域と送信期間も、図示しない記録媒体で記憶されることが好適である。
(ステップS310)スペクトル取得部23は、カウンタmを1だけインクリメントする。そして、ステップS305に戻る。
(ステップS311)時点検出部22は、カウンタkを1だけインクリメントする。
(ステップS312)時点検出部22は、k番目の周波数帯域が存在するかどうか判断する。そして、k番目の周波数帯域が存在する場合には、ステップS302に戻り、そうでない場合には、図4Aのフローチャートに戻る。
図4Cは、図4Bのフローチャートにおけるスペクトルの取得の処理(ステップS306)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS401)スペクトル取得部23は、周波数のカウンタiを、図4Bのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最低周波数iminに設定する。
(ステップS402)スペクトル取得部23は、周波数iの電力の最大値pi maxを初期値に設定する。その初期値は、十分に小さい値、例えば、背景雑音程度の電力値またはそれより小さい電力値に設定されることが好適である。
(ステップS403)スペクトル取得部23は、時間のカウンタjを、図4Bのフローチャートのk番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の送信開始時点の時間jminに設定する。
(ステップS404)スペクトル取得部23は、スペクトログラムにおけるpi,jが最大値pi maxより大きいかどうか判断する。そして、pi,jが最大値pi maxより大きい場合には、ステップS405に進み、そうでない場合には、ステップS406に進む。
(ステップS405)スペクトル取得部23は、周波数iの電力の最大値pi maxをpi,jに更新する。
(ステップS406)スペクトル取得部23は、時間のカウンタjを1だけインクリメントする。
(ステップS407)スペクトル取得部23は、時間のカウンタjが、図4Bのフローチャートのk番目の周波数帯域におけるm番目の無線信号の送信終了時点の時間jmaxを超えたかどうか判断する。そして、時間のカウンタjがjmaxを超えた場合には、ステップS408に進み、そうでない場合には、ステップS404に戻る。
(ステップS408)スペクトル取得部23は、周波数のカウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS409)スペクトル取得部23は、周波数のカウンタiが、図4Bのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最高周波数imaxを超えたかどうか判断する。そして、周波数のカウンタiが、最高周波数imaxを超えた場合には、図4Bのフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS402に戻る。
図4Dは、図4Bのフローチャートにおける特徴量を含む範囲情報があるかどうか判断するための処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、特徴量が周波数変動である場合について説明する。また、このフローチャートでは、各周波数iについて、上限閾値及び下限閾値が設定されているものとする。また、このフローチャートは、ある範囲情報に特徴量が含まれるかどうかを判断するものである。したがって、無線通信方式検出部26は、記憶部25で記憶されている各範囲情報について、このフローチャートの処理を行ってもよい。なお、無線通信方式検出部26は、図4Bのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の無線通信方式に対応する範囲情報についてのみ、このフローチャートの処理を行うことが好適である。ある周波数帯域には、通常、1以上の範囲情報が対応しているため、無線通信方式検出部26は、その1以上の範囲情報のそれぞれについて、図4Dのフローチャートの処理を行えばよいことになる。なお、同じ周波数帯域に対応している複数の範囲情報は、例えば、周波数帯域は同じであるが、プロトコルが異なる複数の無線通信方式にそれぞれ対応する複数の範囲情報であってもよい。
(ステップS501)無線通信方式検出部26は、周波数のカウンタiを、図4Bのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最低周波数iminに設定する。
(ステップS502)無線通信方式検出部26は、記憶部25で記憶されている範囲情報で示される周波数iの上限閾値Δfpi max及び下限閾値Δfpi minを読み出し、周波数変動における周波数iの値Δfpiが、その上限閾値と下限閾値の範囲に含まれるかどうか、すなわち、Δfpi max<Δfpi<Δfpi minであるかどうか判断する。そして、周波数変動における周波数iの値がその範囲に含まれる場合には、ステップS503に進み、そうでない場合には、ステップS506に進む。なお、その不等号の少なくとも一方は、等号付きの不等号(≦)であってもよい。
(ステップS503)無線通信方式検出部26は、周波数のカウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS504)無線通信方式検出部26は、周波数のカウンタiが、図4Bのフローチャートにおけるk番目の周波数帯域の最高周波数imaxを超えたかどうか判断する。そして、周波数のカウンタiが、最高周波数imaxを超えた場合には、ステップS505に進み、そうでない場合には、ステップS502に戻る。
(ステップS505)無線通信方式検出部26は、特徴量である周波数変動が、判断対象の範囲情報の示す範囲に含まれると判断する。そして、その特徴量が、その範囲情報に含まれるかどうかの判断の処理は終了となる。
(ステップS506)無線通信方式検出部26は、特徴量である周波数変動が、判断対象の範囲情報の示す範囲に含まれないと判断する。そして、その特徴量が、その範囲情報に含まれるかどうかの判断の処理は終了となる。
なお、図4Dのフローチャートでは、注目している周波数帯域におけるすべての周波数iについて、周波数変動の値が範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、特徴量が範囲情報に含まれると判断される場合について説明したが、前述のように、閾値より多くの周波数iについて、周波数変動の値が範囲情報の示す範囲に含まれる場合に、特徴量が範囲情報に含まれると判断されてもよい。
図4Eは、図3のフローチャートにおける利用リソース量の変更の処理(ステップS103)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS601)変更部13は、カウンタkを1に設定する。
(ステップS602)変更部13は、k番目の無線通信方式が変更対象であるかどうか判断する。そして、変更対象である場合には、ステップS603に進み、そうでない場合には、ステップS605に進む。
(ステップS603)変更部13は、k番目の無線通信方式の変更内容が増加であるのか、減少であるのか判断する。そして、増加である場合には、ステップS604に進み、減少である場合には、ステップS607に進む。
(ステップS604)変更部13は、k番目の無線通信方式の利用リソース量を増加させる。具体的には、変更部13は、その利用リソース量を100%に変更する。
(ステップS605)変更部13は、カウンタkを1だけインクリメントする。
(ステップS606)変更部13は、k番目の無線通信方式が存在するのかどうか判断する。そして、存在する場合には、ステップS602に戻り、そうでない場合には、図3のフローチャートに戻る。
(ステップS607)変更部13は、k番目の無線通信方式の利用リソース量を減少させる。具体的には、変更部13は、その利用リソース量を0%に変更する。そして、ステップS605に進む。
次に、本実施の形態による利用リソース取得装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、利用リソース取得装置1が無線LANのアクセスポイントである場合について説明する。そのアクセスポイントは、CH13を使用チャネルとして各ステーションと無線LANによる無線通信を行っているものとする。また、変更部13は、Bluetoothの利用リソース量を0%に変更し、ZigBee(IEEE802.15.4)の利用リソース量を100%に変更するものとする。また、取得部12は、無線通信部11の使用チャネルについてのみ、無線通信方式ごとの利用リソース量を取得するものとする。
そのような状況において、あるタイミングで無線通信方式ごとの利用リソース量が取得され、その取得結果は、次のようであったとする(ステップS101,S102)。
無線LAN:R1%
その場合には、変更対象の無線通信方式が存在しないため、利用リソース量の変更は行われないことになる(ステップS103,S601,S602,S606,S104)。したがって、利用リソース取得装置1において、チャネル変更は行われず(ステップS105)、従来通りの収容可否判断が行われることになる(ステップS107〜S109)。
その後、そのCH13の周波数帯域において、ZigBeeの親機と子機との間での無線通信が開始されたとする。そして、あるタイミングで取得された無線通信方式ごとの利用リソース量の結果は、次のようになったとする(ステップS101,S102)。
無線LAN:R2%
ZigBee:R3%
すると、変更部13は、そのZigBeeの利用リソース量を100%に変更する(ステップS103,S601〜S606,S104)。その場合には、自セルの無線通信方式でないZigBeeの利用リソース量が100%であるため、制御部16は、使用チャネルを変更すると判断し(ステップS105)、無線通信部11にスペクトルセンシングを行わせ、その結果を用いて、新たな使用チャネルを5CHに決定したとする。そして、制御部16は、新たな使用チャネルと、チャネル変更のタイミングを示す情報とを含むチャネル変更指示を各ステーションに送信するように無線通信部11を制御する。また、制御部16は、無線通信部11を制御することによって、そのタイミングの示す時点に使用チャネルをCH13からCH5に変更させる(ステップS106)。このようにして、ZigBeeの無線通信における通信機会を確保することができる。
その後、新たな使用チャネルにおいて、あるタイミングで取得された無線通信方式ごとの利用リソース量の結果は、次のようになったとする(ステップS101,S102)。
無線LAN:R4%
Bluetooth:R5%
すると、変更部13は、そのBluetoothの利用リソース量を0%に変更する(ステップS103,S601〜S603,S607,S605,S606,S104)。その場合には、無線LANの通信のみが存在するのと実質的に同じになるため、利用リソース取得装置1において、チャネル変更は行われず(ステップS105)、従来通りの収容可否判断が行われることになる(ステップS107〜S109)。このようにして、Bluetoothと無線LANとが混在したとしても、無線LANの利用リソース量が減らないことになる。また、そのようにしても、両者の通信品質が大きく劣化することがないことは前述の通りである。
以上のように、本実施の形態による利用リソース取得装置1によれば、各無線通信方式の無線通信が相互に与える影響を考慮して、各無線通信方式の無線通信の利用リソース量を取得することができる。その結果、ある無線通信方式の無線通信と混在しても互いに無線通信の品質に影響を与えない無線通信方式については、その無線通信方式の利用リソース量を減少させることにより、QoEを充足する利用リソース量を増加させることができると共に、通信品質の劣化を抑えることができるようになる。また、ある無線通信方式の無線通信と混在した場合には、通信品質が劣化する無線通信方式については、その無線通信方式の利用リソース量を増加させることにより、その無線通信方式の無線通信の送信機会を確保することができるようになる。また、このような利用リソース量の変更を行うことにより、その利用リソース量を用いて制御を行う後段の制御部における制御方法として、従来の制御方法を用いることができるようになる。すなわち、利用リソース量の取得方法を、本実施の形態による利用リソース取得装置1による方法に変更するだけで、無線通信方式ごとの無線通信の特性を考慮した無線リソースの割り当て制御を行うことができるようになる。また、制御部16による制御を行うことによって、例えば、上記文献2のように、IEEE802.15.4による無線通信のパケットロス率を計算し、それが目標値よりも高い場合に警報を送信するセンササーバを設けなくても、IEEE802.15.4の送信機会を確保することができ、パケットロス率を低減させることができるようになる。
なお、本実施の形態では、利用リソース取得装置1が制御部16を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。利用リソース取得装置1は、制御部16を備えていなくてもよい。その場合には、出力部14によって出力された無線通信方式の利用リソース量を用いて、他の装置において、例えば、収容可否の判断や、使用チャネルの変更などの無線リソースの割り当てに関する制御が行われてもよい。
また、利用リソース取得装置1において行われる各処理の周波数解像度が検出対象の無線通信方式の周波数帯域幅に比べて十分小さい(例えば、数分の1以下など)場合には、各無線通信方式を検出できることになる。したがって、例えば、Bluetoothのように周波数ホッピングを行う無線通信方式についても、各チャネルに応じた周波数帯域について送信開始時点等の検出や周波数スペクトルの取得等を行うことによって、検出が可能となる。一方、各処理の周波数解像度があまり高くない場合には、例えば、周波数帯域幅の広い無線通信方式については、上記説明の手法を用いて検出を行い、Bluetoothのように周波数帯域幅の狭い無線通信方式については、例えば、次の文献3の手法を用いて検出を行ってもよい。また、その文献3に記載されているように、例えば、送信開始時点(送信開始時刻)を送信間隔で除した剰余を用いることによって、BluetoothとIEEE802.15.4との識別をより精度高く実現することができる。その送信開始時点は、時点検出部22によって検出されたものであってもよい。また、その時刻剰余を用いることによって、BluetoothとIEEE802.15.4との帯域幅が同じであったとしても、両者を識別することができるようになる。具体的には、無線通信方式検出部26は、時点検出部22によって送信開始時点及び送信終了時点が検出された無線信号について、送信開始時点をBluetoothの送信間隔で割った剰余を算出する。そして、その剰余が同じである無線信号については、Bluetoothの無線信号であると判断してもよい。なお、剰余が同じであるとは、誤差を考慮した上で剰余が同じであることを含んでもよい。そのように、送信時刻の剰余を用いてBluetoothの無線通信を検出する場合には、無線通信方式検出部26は、例えば、Bluetooth以外の帯域幅が2MHzである無線信号を、IEEE802.15.4の無線信号であると判断してもよい。また、IEEE802.15.4の無線信号は通常、中心周波数が一定になるため、無線通信方式検出部26は、例えば、Bluetooth以外の帯域幅が2MHzであり、かつ、中心周波数が一定である無線信号を、IEEE802.15.4の無線信号であると判断してもよい。その帯域幅や中心周波数は、例えば、特徴量取得部24によって取得されたものであってもよい。
文献3:宮坂朋宏、矢野一人、有吉正行、小林聖、「ZigBeeとBluetooth混在下における広帯域スペクトログラムからの最近傍法によるシステム同定」、2014年電子情報通信学会総合大会、B−17−31、p.610、2014年3月
また、本実施の形態では、無線通信方式検出部26が、取得された周波数変動が、範囲情報によって示される周波数ごとの上限閾値及び下限閾値の範囲に含まれるかどうかによって無線通信方式を検出する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、無線通信方式検出部26は、無線通信方式ごとの条件を、取得された周波数変動が満たすかどうかを判断し、周波数変動が満たす条件に対応する無線通信方式を、その周波数変動に対応する無線通信方式として検出してもよい。その条件は、例えば、周波数変動における下向きのピークの周波数と、上向きのピークの周波数との差に関する条件であってもよく、その他の条件であってもよい。
また、特徴量取得部24が、周波数変動以外の特徴量を取得する場合であっても、無線通信方式検出部26は、その特徴量が範囲情報の示す範囲に含まれるかどうかを判断することにより、または、その特徴量が条件を満たすかどうかを判断することによって、その特徴量に対応する無線通信方式を検出するようにしてもよい。後者の場合には、例えば、無線通信方式ごとの条件が記憶部25で記憶されていてもよい。
また、無線通信方式検出部26は、スペクトル取得部23が取得した周波数スペクトルそのものを用いて、その周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出してもよい。その場合にも、例えば、周波数スペクトルがあらかじめ設定されている条件を満たすかどうか判断し、その周波数スペクトルがある条件を満たす場合に、その条件に対応する無線通信方式を検出してもよい。その条件は、例えば、中心周波数に関する条件や、周波数スペクトルの立ち上がりから立ち下がりまでの周波数の幅に関する条件等であってもよい。また、例えば、無線通信方式ごとの条件が記憶部25で記憶されていてもよい。また、無線通信方式検出部26は、例えば、パターンマッチングによって、取得された周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出してもよい。具体的には、無線通信方式検出部26は、取得された周波数スペクトルとマッチングするパターンを特定し、その特定したパターンに対応する無線通信方式を検出してもよい。その場合には、例えば、無線通信方式ごとのパターンが記憶部25で記憶されていてもよい。また、このように、特徴量を用いないで周波数スペクトルに対応する無線通信方式を検出する場合には、利用リソース取得装置1は、特徴量取得部24を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、2以上の無線通信方式による無線信号が重複していない場合の処理について説明したが、そのような重複が存在する場合にも、各無線通信方式を検出することも可能である。例えば、そのような重複の存在した場合には、周波数スペクトルから取得された特徴量である周波数変動は、IEEE802.15.4の周波数変動と、無線LANの周波数変動とが重なった形状となる。そのような場合でも、IEEE802.15.4については、通常どおり、検出することが可能である。一方、無線LANの周波数帯域に応じた無線通信方式の検出を行う場合には、すでに検出されているIEEE802.15.4に応じた周波数帯域以外の周波数帯域において、周波数変動が範囲情報の示す範囲に含まれるかどうか判断し、含まれる場合には、その無線LANに応じた無線通信が行われていることを検出してもよい。なお、このような無線信号の重複に応じた検出処理を行う場合には、周波数帯域の狭い順に検出の処理を行うことが好適である。そして、無線通信方式検出部26は、ある無線信号について無線通信方式を検出する場合に、その無線信号についてすでに検出されている無線通信方式に応じた周波数帯域を除いた周波数帯域において、特徴量が範囲情報に含まれるかどうかを判断してもよい。
また、本実施の形態では、無線通信方式に対応する周波数帯域ごとに各処理を行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、利用リソース取得装置1の無線通信部11が無線LANによる無線通信を行う場合には、その無線通信部11が無線通信を行っている周波数帯域、または、その周波数帯域を含む周波数帯域において、その無線通信方式ごとの利用リソース量を取得する処理を行ってもよい。
また、本実施の形態では、スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムである場合について主に説明したが、それ以外のスペクトログラムであってもよいことは前述の通りである。スペクトログラムが周波数電力スペクトログラムでない場合には、上記説明におけるスペクトログラムの電力値は、スペクトログラムの電力以外の特性値であると考えてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、利用リソース取得装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現されうる。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における利用リソース取得装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、無線通信を行う無線通信部によって受信された受信信号を用いて、無線通信に利用されている無線リソースの量である利用リソース量を無線通信方式ごとに取得する取得部、取得部によって取得された無線通信方式ごとの利用リソース量のうち、変更対象の無線通信方式の利用リソース量を増加または減少させる変更部、変更対象の無線通信方式については、変更部によって変更された利用リソース量を出力し、変更対象でない無線通信方式については、取得部によって取得された利用リソース量を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
図7は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による利用リソース取得装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図7において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図8は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図8において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による利用リソース取得装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による利用リソース取得装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。