JP2016186601A - 反射型拡散板およびこれを用いた光学機器 - Google Patents
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Abstract
Description
F=|R|/2D
で定義されるF値が、全ての微小光学面に対して略同一である。
図1(a)は、反射型拡散板の使用状態の1例を示している。
図1(a)において、半導体レーザ光源3から放射されるコヒーレントな光を、コリメートレンズ5により平行光束化し、この平行光束を入射光束ILとして反射型拡散板1に入射させる。
反射型拡散板1は、入射光束ILを拡散反射させ、拡散角:2θをもった均一な光強度の拡散光DLに変換する。
反射型拡散板1に形成される拡散反射面は「2種以上の微小光学面」を配してなる。
微小光学面は「曲面」であって、曲率半径:Rと有効径:Dを有する。
微小光学面の詳細については後述する。
微小光学面は「曲率半径:Rおよび有効径:Dのうちの少なくとも一方」が種ごとに異なり、各微小光学面の曲率半径:R、有効径:Dは「拡散反射させる拡散光の拡散角(上記「2θ」)」に応じて設定されている。
そして、曲率半径:R、有効径:Dは、
F=|R|/2D
で定義される「F値」が、全ての微小光学面に対して略同一である。
「微小光学面」の形状は、凹面・凸面を問わず、球面、軸対称非球面、シリンダ面やトロイダル面等のアナモフィック面、フレネル面、DOE面等、種々の形状が許容される。
説明の簡単のために、拡散反射面がn(≧2)種の微小光学面SFI(I=1〜n)で構成され、これらn種の微小光学面SFIが何れも「球面」である場合を想定する。
これらn種の微小光学面全体の集合を考え、この集合において、任意の2つの微小光学面SFi、SFjを考える。
(a) Ri=Rj 且つ、Di=Dj
(b) Ri≠Rj 且つ、Di≠Dj
(c) Ri≠Rj 且つ、Di=Dj 。
「アナモフィック面」の場合には、互いに直交する方向をX、Y方向として、これらの方向における曲率半径:Rx、Ry(≠Rx)を用いる。同様に、有効径:Dについては、これらの方向における有効径:Dx、Dy(≠Rx)を用いる。
このように、互いに直交する方向において、曲率半径:Rx、Ryが異なる場合には、上記「F値」は、
X方向について「Fx=|Rx|/2Dx」
Y方向について「Fy=|Ry」/2Dy」
で定義される。
そして、Fx、Fyは「全ての微小光学面について略同一」である。
例えば、「曲率半径、有効径が共に異なる複数種の微小な球面」を組み合わせて拡散反射面を構成することができる。また、「球面とシリンダ面の組み合わせ」や、「球面とトロイダル面の組み合わせ」等、種種の組み合わせが可能である。
微小光学面の集合により形成される拡散反射面は、入射する光束を反射させて拡散光とするから、個々の微小光学面は「光を反射させる機能」を有する。
この場合の「反射率」については、反射型拡散板の使用目的等に応じて適宜に設定できる。反射効率の良い拡散反射を必要とする場合は、高いに反射率を設定する。
高い反射率を設定する場合であれば、微小光学面の配置を表面形状として形成された金属板等を「反射型拡散板」とすることができる。あるいはまた、微小光学面の配置により表面形状を形成されたガラス面やプラスチック面に、反射膜を蒸着等により形成したものを反射型拡散板とすることができる。
なお、屈折率の異なる2領域の境界面では「反射」が生じるので、微小光学面の配置により表面形状を形成されたガラス面やプラスチック面を、そのままで拡散反射面とすることもできる。
「微小光学面」の曲率半径:R、有効半径:DによるF値を、全ての微小光学面に対して略同一とする意義につき説明する。
図2(a)に示す反射型拡散板1Aは、4種の微小光学面A1、A2、A3、A4の2次元的な配列により拡散反射面が形成された例である。
図2(b)に示す反射型拡散板1Bは、4種の微小光学面B1、B2、B3、B4の2次元的な配列により拡散反射面が形成された例である。
図2(c)に示す反射型拡散板1Cは、4種の微小光学面C1、C2、C3、C4の2次元的な配列により拡散反射面が形成された例である。
なお、上記4種の微小光学面A1〜A4等は、図の如き配列で形成される必要はない。
図2に符号ILで示す「入射光」は平行光束で、何れも、図の上方から、拡散反射面に直交するように入射するものとする。
従って、拡散反射された拡散光DLは、何れの場合も「図の上方」へ反射される。
微小光学面A1等につき、その「曲率半径の正・負」を以下の様に定める。
反射された拡散光DLの進行方向(図の上方)を「正の向き」とし、微小光学面の曲率中心が光学面よりも「正の側」に位置する場合、この微小光学面の曲率半径を「正」とする。また、繁雑を避けるべく、反射型拡散板1A、1B、1Cにおける微小光学面の「曲率半径」と「有効径」は、記号を共通化する。
即ち、微小光学面A1、B1、C1の曲率半径を「R1」、微小光学面A2、B2、C2の曲率半径を「R2」、微小光学面A3、B3、C3の曲率半径を「R3」、微小光学面A4、B4、C4の曲率半径を「R4」とする。
また、微小光学面A1、B1、C1の有効径を「D1」、微小光学面A2、B2、C2の有効径を「D2」、微小光学面A3、B3、C3の有効径を「D3」、微小光学面A4、B4、C4の有効径を「D4」とする。
反射型拡散板1Cにおいては、微小光学面C1とC3の曲率半径:R1、R3は「負」、微小光学面C2とC4の曲率半径:R2、R4は「正」である。
さて、図2の各図において「微小光学面による反射の光学作用」を考える。
よく知られたように、曲率半径:Rを持つ凹面鏡や凸面鏡の焦点距離:fは「R/2」で与えられる。
例えば、微小光学面A1による反射を考えてみると、微小光学面1Aは曲率半径:R1(<0)と有効径:D1を有し、焦点距離:f1=R1/2(<0)である。
従って、微小光学面A1で反射された反射光は「発散性」で、その発散角を「2θ」とする。
tanθ=D1/(2|f1|)
一方、焦点距離:fを持つ結像素子のF値は「|f|/D」で定義されるので、反射面としての微小光学面A1のF値:|f1|/D1は、「|R1|/2D」となる。
この発明の反射型拡散板では、拡散反射面をなる微小光学面の全てが、略同一のF値を持つ。従って、反射型拡散板1Aにおいては、拡散反射面を構成する4種の微小光学面A1〜A4により反射された反射光の発散角は、何れも図示の如く「2θ」となる。
すると、拡散反射光DLは「個々の微小光学面A1〜A4による拡散角:2θの発散性反射光の集合であるから、拡散反射光DLの拡散角も2θとなる。
微小光学面B1〜B4は、何れも実質的に同じF値を持つ。
從って、微小光学面B1〜B4の曲率半径:R1〜R4(>0)、有効径:D1〜D4により定まるF値が実質的に同じ値であるところから、この場合にも、反射された拡散反射光LDの発散角は何れも2θとなり、拡散反射光DLの拡散角も2θである。
図2(c)の反射型拡散板1Cでは、微小光学面には凸面の凹面が混在している。4種の微小光学面C1〜C4のうち、凸面である微小光学面C1、C3の焦点距離:f1、f3は「負」、凹面である微小光学面C2、C4の焦点距離:f2、f4は「正」である。
従って、図2(c)の反射型拡散板1Cの場合も、各微小光学面C1〜C4による反射光の発散角は何れも図の如く2θであり、拡散反射光DLの拡散角も2θである。
上記の如く、拡散角:2θは「微小光学面の曲率半径と有効径」を選択することにより定まる。従って、各微小光学面に対し、所望の拡散角:2θを満たすように、曲率半径:Rと有効径:Dとを選択すれば「拡散角:2θを持つ反射型拡散板」を実現できる。
「拡散反射面を構成する微小光学面の種類」は2種以上であればよく、3種でも5種以上でもよい。
拡散反射面は、反射型拡散板の表面形状として形成される。反射型拡散板は「板状」に限らず「フィルム状」でも良い。
換言すると、これら「複数種の微小光学面」の有効径:Dおよび曲率半径:Rは、拡散反射面上でランダムに分布する。即ち、拡散反射面の構造が回折格子として作用しない。
従って、個々の微小光学面により反射された反射光の集合である拡散光DLの拡散角:2θは、微小光学面の種類の数に依らず「実質的に一定」である。
また、微小光学面のF値が、微小光学面の種類に拘らず略一定であるので、微小光学面は、結像系としての明るさが同じである。
そして、微小光学面の配置がランダムであるので、拡散光DLの光量は、拡散光全体に平均化される。
即ち、異種の微小光学面は、有効径:Dも焦点距離の絶対値:|f|(=|R|/2)も区々であるが、これらは全く独立ではない。
拡散角:2θに応じて、tanθ=D/(2|f|)が満足され、且つ、|f|/Dが、微小光学面の種類によらず略一定となるように、DとRとが定められている。
上の説明で例示したように、拡散反射面がn(≧2)種の微小光学面SFI(I=1〜n)で構成される場合において、「I(=1〜n)種の微小光学系」の曲率半径をRI、有効径をDIとすれば、n種の微小光学面の各種について、
|R1|/D1=|R2|/D2=・・=|RI|/DI=
・・=|Rn|/Dn=F (E)
が成りたつ。
従って、|Ri|=|Rj|であって、且つ、Di=Djであれば、F値は互いに等しく、この場合、例えば、Ri>0、Rj<0であっても式(E)は満足される。
(c) Ri≠Rj 且つ、Di=Dj
の場合である。
このレンズ拡散板における「微小なレンズ面の形状」を「微小光学面の形状」として形成できるので、拡散角:2θと、微小光学面の種類数、種類ごとの有効径:D、曲率半径:Rを指定すれば、これを仕様として、この発明の反射型拡散板を製造できる。
この例は、有効径:Dが異なる大小4種の微小光学面を2次元配列した例である。
これら4種の微小光学面は「いずれも凸面」であることも、「いずれも凹面」であることも、「凸面と凹面の混合」であることもできる。
この発明の反射型拡散板を構成する材料は、反射型拡散板が屈折を利用しないので、広範な種類の材料を利用できる。即ち、通常の光学ガラスや、石英等の光学結晶を材料とし用いることができるし、プラスチックモールドやAlやAu等の金属を材料とすることもできる。
反射型拡散板の形態は「平板状」が最も一般的であるが、拡散反射面の形状に対する制限を除けば、他の部分は自由に形成できる。従って、使用状態での拡散反射面のレイアウトに応じて、適切な形状に製造できる。
微小光学面の配列形態は、矩形配列、六方稠密配列、円形配列等が可能である。勿論、このような配列において、各種の微小光学面はランダムに配置される。
また、微小光学面の配合は、最低で2種類の微小光学面を、50:50をベースに配列し、回折光の影響が強い方の配合量を少なくするのが良い。
2種の微小光学面の有効径も、最小公倍数が大きくなるように設定するのが良い。微小光学面の種類は、3種以上が好ましい。
微小光学面の有効径は「数μm〜数mm程度」に設定可能である。
即ち「数μm〜数mm程度」が「微小」の範囲である。曲率半径:Rは「数μm〜数十mm程度」、F値は「0近傍から数100程度」に設定可能である。
Nsinα=N・λ/P
で与えられる所定の方向へ進む。
「λ」は波長、「P」は微小反射面の配列ピッチである。
従って、このような「回折光を含んだ反射光」をレンズ等で結像させると「光強度の周期的な変動(前述の回折パターン)」が現れ、「結像した画像に対するノイズ」として作用する。
上に実施の形態を説明した反射型拡散板では複数種の微小光学面の配列がランダムであるので、回折の影響がほとんどない。
あるいは、レーザ光を用いるプロジェクタやヘッドアップディスプレイ等において、表示画像のスペックルノイズの低減に用いることができる。
反射型拡散板を「レンズに入射させる拡散光」の発生に用いる場合は、拡散角:2θに対するsinθを、前記レンズのNAより大きく設定し、レンズ口径の影響を低減するのが好ましい。
図4において、符号50はヘッドアップディスプレイの「コンバイナ」を示す。
コンバイナ50は、透明板の片面に、上に説明した如き「拡散反射面」を形成した反射型拡散板51の、拡散反射面に半透明コート52をコーティングしてなる。
観察されるべき画像情報を付与された画像光IMLは「レーザ光」であり、拡散反射面に斜めに入射し、拡散反射されて拡散光DLを生じる。
拡散光DLは観察者の眼100に入射し、観察者は画像光IMLが形成する虚像を観察できる。外部からの光OULはコンバイナ50を透過して外部情報光OUL1となって、観察者に視認される。
従って、観察者は、拡散反射光DLによる「画像光IMLによるナビゲーション画像等の虚像と外部情報光OUL1による外部情報とを合成(コンバイン)して観察」できる。
以上のように、この発明によれば、以下の如き「反射型拡散板および光学機器」を実現できる。
正または負の曲率半径を持つ2種以上の微小光学面(A1〜A4等)を有する拡散反射面を持ち、該拡散反射面に入射する光束(IL)を拡散反射する反射型拡散板(1)であって、前記微小光学面は、正または負の曲率半径:Rの絶対値および有効径:Dが種ごとに異なり、各微小光学面の曲率半径:R、有効径:Dは、拡散反射させる拡散光の拡散角に応じて設定され、且つ、
F=|R|/2D
で定義されるF値が、全ての微小光学面(A1〜A4等)に対して略同一である反射型拡散板。
[1]記載の反射型拡散板であって、F値が略同一で種類が異なる2種以上の微小光学面(A1〜A4等)が多数、1次元的もしくは2次元的にランダムに配列されて拡散反射面をなす反射型拡散板(1A等)。
[1]または[2]記載の反射型拡散板であって、2以上の微小光学面(B1〜B4)が凹面(R>0)である反射型拡散板(1B)。
[1]または[2]記載の反射型拡散板であって、2以上の微小光学面(A1〜A4)が凸面(R<0)である反射型拡散板(1A)。
[1]または[2]記載の反射型拡散板であって、凸面の微小光学面(C1、C3)と凹面の微小光学面(C2、C4)が混在する反射型拡散板(1C)。
[1]〜[5]の何れか1に記載の反射型拡散板50を搭載した光学機器(ヘッドアップディスプレイ等)。
A1、A2、A3、A4 凸面として形成された微小光学面
B1、B2、B3、B4 凹面として形成された微小光学面
C1、C3 凸面として形成された微小光学面
C2、C4 凹面として形成された微小光学面
IL 入射光束
DL 拡散光
Claims (6)
- 正または負の曲率半径を持つ2種以上の微小光学面を有する拡散反射面を持ち、該拡散反射面に入射する光束を拡散反射する反射型拡散板であって、
前記微小光学面は、正または負の曲率半径:Rの絶対値および有効径:Dが種ごとに異なり、各微小光学面の曲率半径:R、有効径:Dは、拡散反射させる拡散光の拡散角に応じて設定され、且つ、
F=|R|/2D
で定義されるF値が、全ての微小光学面に対して略同一である反射型拡散板。 - 請求項1記載の反射型拡散板であって、
F値が略同一で種類が異なる2種以上の微小光学面が多数、1次元的もしくは2次元的にランダムに配列されて拡散反射面をなす反射型拡散板。 - 請求項1または2記載の反射型拡散板であって、
2以上の微小光学面が凹面(R>0)である反射型拡散板。 - 請求項1または2記載の反射型拡散板であって、
2以上の微小光学面が凸面(R<0)である反射型拡散板。 - 請求項1または2記載の反射型拡散板であって、
凸面の微小光学面と凹面の微小光学面が混在する反射型拡散板。 - 請求項1ないし5の何れか1項に記載の拡散板を搭載した光学機器。
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