JP2016185680A - 記録装置 - Google Patents

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将範 中田
瀬川 裕一
Yuichi Segawa
裕一 瀬川
千葉 悟志
Satoshi Chiba
悟志 千葉
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Abstract

【課題】搬送ベルトの張力による歪変形を抑制することができる記録装置を提供する。
【解決手段】用紙に記録を行う記録部と、少なくとも2つのローラーに架け渡され、周回することによって用紙を搬送可能な搬送ベルト51と、2つのローラーのうちの一方の駆動ローラー52に対して、他方の従動ローラー53を、駆動ローラーとの間の距離が変化するように調節することによって搬送ベルトに加わる張力を調節する張力調節部85と、を備え、張力調節部は、搬送ベルトが筐体に装着された状態において、記録部が用紙に記録を行わないとき、記録部が用紙に記録を行うときの搬送ベルトの張力よりも低い張力に、搬送ベルトの張力を調節する。
【選択図】図7

Description

本発明は、被記録媒体を搬送する搬送ベルトを備える記録装置に関する。
従来から、記録装置の一種として、被記録媒体の一例である用紙に記録を行う記録部を備え、ローラーに張架されて周回する無端状の搬送ベルトによって搬送される用紙に対して液体(記録液)としてのインクを記録部から吐出することにより用紙へ画像等の記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターが知られている。
このようなプリンターにおいては、搬送ベルトは、例えば、その周回に際して生じるベルトに加わる応力の変化などによって劣化することがある。このため、従来、プリンターは搬送ベルトの交換が可能な構造とされている。すなわち、搬送ベルトに張力が加わる張力付与状態を解除することによって本体ケーシング(装置本体)への位置決め状態を同時に解除し、搬送ベルト(ベルトユニット)を本体ケーシングから取り外す構成である(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−57953号公報
しかしながら、従来技術では、搬送ベルトが本体ケーシングに装着された状態、すなわち、プリンター(画像形成装置)の搬送ベルトが使用可能にセットされた状態では、搬送ベルトに対して張力が加わった状態とされている。このため、例えば、搬送ベルトに対して張力が加わった状態でプリンターが長期間使用されない場合は、搬送ベルトは周回せずにベルトの同じ部分がローラー面に沿って巻かれた状態のまま長期間引っ張られることになる。この結果、搬送ベルトはこの同じベルト部分に巻き癖が形成された歪変形した状態となってしまうために、この歪変形によって波打つベルト面に吸着されて搬送される用紙と記録部との間の距離を一定に保つことができずに記録品質が低下してしまう虞がある。
なお、こうした実情は、被記録媒体に記録を行う記録部と、複数のローラーに張架され、周回することによって被記録媒体を搬送可能な搬送ベルトと、を備える記録装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送ベルトの張力による歪変形を抑制することができる記録装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する記録装置は、被記録媒体に記録を行う記録部と、少なくとも2つのローラーに架け渡され、周回することによって前記被記録媒体を搬送可能な搬送ベルトと、前記2つのローラーのうちの一方のローラーに対して、他方のローラーを、前記一方のローラーとの間の距離が変化するように調節することによって前記搬送ベルトに加わる張力を調節する張力調節部と、を備え、前記張力調節部は、前記搬送ベルトが装置本体に装着された状態において、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行わないとき、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの前記搬送ベルトの張力よりも低い張力に、前記搬送ベルトの張力を調節する。
この構成によれば、記録が行われない状態の記録装置において、搬送ベルトの張力による歪変形を抑制することができる。
上記記録装置において、前記他方のローラーは前記一方のローラーとの間の距離が長くなるように付勢されることによって、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの張力が前記搬送ベルトに加わり、前記張力調節部は、前記他方のローラーを前記一方のローラーとの間の距離が短くなるように調節することによって、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行わないときの前記搬送ベルトに加わる低い張力に調節することが好ましい。
この構成によれば、搬送ベルトが架け渡された2つのローラー間の距離が短くなる方向への調節によって張力を調節するので、搬送ベルトに加わる張力の調節作業が容易である。
上記記録装置においては、前記搬送ベルトを、前記記録部によって記録が行われる第1位置と、当該第1位置よりも前記記録部から離れた第2位置との間で移動させるベルト移動部を備え、前記張力調節部は、前記ベルト移動部によって前記第2位置へ移動した前記搬送ベルトの張力を、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの前記搬送ベルトの張力よりも低い張力に調節することが好ましい。
この構成によれば、記録部から離れた位置で搬送ベルトに加わる張力を低くするので、張力が低くなった搬送ベルトが記録部と接触することが抑制される。
上記記録装置において、前記一方のローラーは駆動ローラーであり、前記他方のローラーは従動ローラーであることが好ましい。
この構成によれば、従動ローラー側を移動させるので、容易にローラーを移動させて搬送ベルトの張力を調節することができる。
上記記録装置において、前記ベルト移動部は、前記駆動ローラーを中心に前記従動ローラーを回転させることによって、前記搬送ベルトを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させることが好ましい。
この構成によれば、例えば平行移動に比べて容易に搬送ベルトを第2位置へ移動して搬送ベルトの張力を調節することができる。
記録装置の一例であるプリンターの一実施形態を示す概略構造図。 記録部から搬送ベルトが離れ、キャップが接触した状態を示す概略構造図。 記録部によって記録が行われる第1位置に搬送ベルトが移動した搬送ユニットを示す斜視図。 搬送ベルトを第1位置に移動させた状態のベルト移動部を示す斜視図。 記録部から離れた第2位置に搬送ベルトが移動した搬送ユニットを示す斜視図。 搬送ベルトを第2位置に移動させた状態のベルト移動部を示す斜視図。 搬送ベルトの張力を調節する張力調節部を示す斜視図。 搬送ベルトの張力を調節した状態の張力調節部を示す斜視図。 クリーニング部材を有するクリーニングユニットと帯電ローラーとを示す斜視図。 (a)(b)は、クリーニングユニットと帯電ローラーとの当接部を示す部分拡大図。 搬送ベルトをクリーニングするクリーニング動作を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、クリーニング動作の状態を説明するための模式図。 搬送ベルトの張力を調節する張力調節動作を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、張力調節動作の状態を説明するための模式図。
以下、記録装置の一実施形態として、液体の一例であるインクを吐出する記録部を備え、被記録媒体の一例である用紙にインクを吐出して文字や図形などを含む画像を印刷(記録)するインクジェット式のプリンターについて、図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の記録装置の一例としてのプリンター11は、複数の外装ケースなどからなる略直方体を呈する筐体12を装置本体として有し、この筐体12内に、図1に太い一点鎖線で示すように、用紙14を搬送する搬送経路13を備える。そして、この搬送経路13に沿って、用紙14を搬送する複数のローラー対と、用紙14を鉛直方向Zにおける重力方向−Z側(下側)から支持しつつ搬送する搬送ベルト51と、搬送される用紙14に対してインクを吐出する記録部18とが、筐体12に装着されている。搬送ベルト51は、ベルト移動部60(図4、図6参照)によって、搬送経路13を挟んで記録部18と対峙する第1位置に移動可能とされた状態、すなわち使用可能な状態で筐体12に装着されている。
本実施形態では、記録部18は、用紙14の搬送方向Yと交差(ここでは直交)する幅方向Xを長手方向とし、この長手方向に亘ってインクを同時に吐出可能な液体吐出ヘッドを有する所謂ラインヘッドとされている。なお、以降の説明を容易にするため、幅方向Xのうち、搬送方向Yの上流側から見て左方向(紙面の表面側に向く方向)を+X方向とし、搬送方向Yの上流側から見て右方向(紙面の裏面側に向く方向)を−X方向とする。
ラインヘッドとされた記録部18は、搬送ベルト51に支持された状態で搬送される用紙14に向かって反重力方向+Z側(上側)からインクを吐出することにより記録としての印刷を行う。なお、記録部18によって用紙14への印刷が行われるときの搬送ベルト51の位置、すなわち搬送ベルト51が記録部18と対峙する第1位置を記録位置KPと呼称する。
搬送経路13は、記録部18よりも搬送方向Y上流側の第1供給経路21及び第2供給経路22と、記録部18よりも搬送方向Y下流側の第3供給経路23、分岐経路24、及び排出経路25とにより構成されている。
第1供給経路21は、筐体12の重力方向−Z側となる底部に挿抜可能に備えられた用紙カセット27と、記録部18とを結ぶ経路である。そして、第1供給経路21には、用紙カセット27に積層状態で載置された用紙14のうち、最上位の用紙14を送り出すピックアップローラー28と、このピックアップローラー28により送り出された用紙14を1枚ずつ分離する分離ローラー29とが設けられている。さらに、分離ローラー29よりも搬送方向Y下流側には、第1供給ローラー対31が設けられている。
第2供給経路22は、筐体12の一側面に備えられたカバー12aを開けることによって露出する挿入部12bと、記録部18とを結ぶ経路である。そして、第2供給経路22には、挿入部12bから挿入された用紙14を挟持して搬送する第2供給ローラー対32が設けられている。さらに、第1供給経路21と第2供給経路22と第3供給経路23とが合流した位置には、第3供給ローラー対33が設けられていると共に、第3供給経路23には、第5供給ローラー対35が設けられている。
第3供給経路23は、記録部18を囲うように設けられた経路であって、一旦記録部18を通過した用紙14を、再び記録部18よりも上流側へ戻すための経路である。すなわち、記録部18よりも下流側には、分岐機構36が設けられていると共に、排出経路25から分岐した分岐経路24には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐ローラー対37が設けられている。
排出経路25は、印刷済みの用紙14が排出される排出口38と、記録部18とを結ぶ経路である。なお、排出口38から排出された用紙14は載置台39に載置される。そして、排出経路25には、少なくとも1つの搬送ローラー対(本実施形態では、第1搬送ローラー対41〜第5搬送ローラー対45)が設けられている。さらに、第3供給経路23にも第6搬送ローラー対46、及び第7搬送ローラー対47が設けられている。これらの第1搬送ローラー対41〜第7搬送ローラー対47はインクが付着した用紙14を挟持して搬送する。
すなわち、第1搬送ローラー対41〜第7搬送ローラー対47は、それぞれ、駆動源の駆動力に基づいて回転する円柱状の駆動ローラー48と、駆動ローラー48の回転に伴って従動回転する歯付きローラー49とにより構成されている。また、歯付きローラー49は、駆動ローラー48と対をなさずに単独でも設けられている。すなわち、歯付きローラー49は、第3供給経路23、分岐経路24、排出経路25において、用紙14の印刷が施された面である印刷面(すなわち、液体の一例であるインクが吐出されて付着する面)が通過する側に設けられている。また、歯付きローラー49は、搬送方向において第1搬送ローラー対41〜第7搬送ローラー対47の各搬送ローラー対の間にも設けられており、各搬送ローラー対と記録部18との間にも設けられている。一方、駆動ローラー48は、用紙14の印刷が施されていない非印刷面(非記録面)、もしくは両面印刷された用紙14では先に印刷された面が通過する側に設けられている。
本実施形態では、記録部18に対峙する記録位置KPにある搬送ベルト51が、その外周面となるベルト面51aに用紙14を静電吸着によって支持した状態で、周回することによって用紙14を搬送する構成とされている。すなわち、搬送ベルト51は、2つのローラー間に張架された無端状のベルトであって、2つのローラーのうちの一方のローラーは駆動源によって回転駆動される駆動ローラー52とされ、他方のローラーはベルトの周回に伴って回転する従動ローラー53とされている。また、帯電ローラー81は、金属製のローラー軸81aの表面にゴム層が形成されており、ローラー軸81aの端部に、図示しない板バネを直接接触させて高圧が印加される構成とされている。あるいは、帯電ローラー81は、帯電ローラー81のローラー軸81aを受ける軸受部82aが導電性軸受(導電性樹脂または焼結軸受など)とされ、この導電性軸受を介して高圧が印加される構成とされてもよい。そして、搬送ベルト51は、駆動ローラー52の回転に伴って周回し、この周回時においてベルト面51aに接触する帯電ローラー81によって搬送ベルト51に静電気が帯電する。搬送ベルトは、この帯電した静電気によって、駆動ローラー52と従動ローラー53との間に形成される反重力方向+Z側の平坦なベルト面51aに用紙14を吸着し、吸着した用紙14を記録部18に対峙させながら搬送方向Yへ搬送する。
また、本実施形態では、記録部18に対して、搬送方向Y上流側において用紙14を検出する第1センサーSaと、搬送方向Y下流側において用紙14を検出する第2センサーSbと、が配設されている。第1センサーSaおよび第2センサーSbは、用紙14を検出したときに所定の信号を出力する「ON」の状態となるセンサー(例えば光学式センサー)であり、用紙14が滞ることなく搬送ベルト51により搬送されている場合、第1センサーSaが「ON」となってから所定の時間後に第2センサーSbが「ON」となる。
さて、本実施形態では、プリンター11において、搬送ベルト51が、記録部18によって印刷が行われる記録位置KPから、この記録位置KPよりも記録部18から離れた第2位置へ移動させるベルト移動部60が備えられている。すなわち、ベルト移動部60は、駆動源としての第1モーターM1の回転駆動に伴って作動するリンク部材61を有している。このリンク部材61が、第1モーターM1の駆動に伴って動作し、搬送ベルト51を、第1位置である記録位置KPから、図1において二点鎖線の矢印で示すように、駆動ローラー52を中心に従動ローラー53側を重力方向−Zに向かって揺動させて、記録位置KPよりも記録部18から離れた第2位置に移動させる。
図2に示すように、本実施形態では、搬送ベルト51が記録位置KPから駆動ローラー52を中心に約90度回転(揺動)した位置が第2位置とされ、この第2位置を退避位置TPと呼称する。そして、本実施形態では、搬送ベルト51のベルト面51aは、記録位置KPでは略水平面となる水平姿勢となり、退避位置TPでは鉛直方向Zに沿う略垂直面となる垂直姿勢となる。
ところで、搬送ベルト51がこの退避位置TPにある状態は、記録部18による用紙14への印刷が行われない状態である。そこで、プリンター11において、例えば記録部18内のインクの乾燥を抑制することによって記録部18の印刷性能(例えば印字品質)を維持するべく、図2に示すように、印刷が行われない状態の記録部18に対して重力方向−Z側からキャップ71を接触させて記録部18を覆うキャップ移動機構70が備えられている。
このキャップ移動機構70は、記録部18において少なくともインクを吐出する部分を閉空間で覆うことが可能なキャップ71を保持する部材72と部材73とが、搬送方向Yに沿って往復移動する際にリンク機構やカム機構によってキャップ71を鉛直方向Zに沿って移動(上下移動)させる構造とされている。そして、図1に示すように、記録部18から離れた記録部18を覆わない状態においては、キャップ71、およびキャップ移動機構70を構成する部材(例えば、部材72と部材73)は、図中二点鎖線の矢印で示すように記録位置KPと退避位置TPとの間を移動(揺動)する搬送ベルト51とは接触しない位置に配設される。換言すれば、搬送ベルト51は、その記録位置KPと退避位置TPとの間の移動において、記録部18を覆わない状態のキャップ71およびキャップ移動機構70と接触しないようにプリンター11に備えられている。
また、図1および図2に示すように、本実施形態では、プリンター11において、搬送ベルト51の汚れを除去するクリーニング部材91を有するクリーニングユニット90が備えられている。すなわち、クリーニングユニット90は、図示しない駆動源としてのモーターの回転駆動に伴って搬送方向Yに沿って往復移動可能とされ、クリーニング部材91が搬送方向Yへの移動により搬送ベルト51のベルト面51aに接触することによって、ベルト面51aに付着したインクなどの汚れを拭き取ってクリーニングする。このクリーニングユニット90については、後ほど図9を参照して説明する。
図3および図4に示すように、本実施形態では、搬送ベルト51およびベルト移動部60は、第1モーターM1を含む一つのユニットである搬送ユニット50の構成部材とされている。なお、図3および図4では、図1と同様に、そのベルト面51aが略水平面とされた搬送ベルト51が記録位置KPにある状態が図示されている。また、図4では、搬送ベルト51を移動させるベルト移動部60に係る構成部材が図示されている。
搬送ユニット50は、記録部18と同様に幅方向Xに長手方向を有し、その長手方向における右側(−X方向側)の端部に側板部56Rが、また長手方向における左側(+X方向側)の端部に側板部56Lが、それぞれ設けられたユニットフレーム56を有している。このユニットフレーム56に、搬送ベルト51やベルト移動部60、さらには、搬送ベルト51に加わる張力を変化させて調節する張力調節部85(図7、図8参照)が組み付けられる。なお、図3には、張力調節部85を構成する部材であって、ユニットフレーム56に設けられた軸受56Jに回転自在に軸支されたカム軸86の一部分が、二点鎖線で図示されている。この張力調節部85については、後ほど図7および図8を参照して説明する。
搬送ユニット50において、搬送ベルト51はベルト移動部60によって図3および図4に示すように記録位置KPに移動する。すなわち、第1モーターM1のモーター軸に固定されたウオーム66に噛み合うウオーム歯車65の回転に伴って、このウオーム歯車65がその一端に固定され、その両端がユニットフレーム56の側板部56R,56Lにそれぞれ軸支された回転軸64が回転する。この回転軸64には、その長手方向(幅方向X)において離れた2か所に、それぞれ第1リンク板63の一端が固定されて取り付けられ、この第1リンク板63の他端に第2リンク板62の一端が回転自在に取り付けられている。このように取り付けられた第1リンク板63と第2リンク板62とがリンク部材61を構成する。
搬送ベルト51を周回させる駆動ローラー52および従動ローラー53は、それぞれのローラー軸端が、搬送ベルト51のベルト幅方向(ここではX方向)の両側端部においてベルト枠体55に回転可能に軸支されている。このベルト枠体55において、従動ローラー53のローラー軸端を回転可能に支持する部分は、駆動ローラー52のローラー軸端を回転可能に支持する部分を基体部55aとしたとき、この基体部55aに対して駆動ローラー52の軸心と従動ローラー53の軸心とを結ぶ方向に伸縮する伸縮部55bとされている。そして、本実施形態では、この伸縮部55bは基体部55aから飛び出す方向へ、ベルト枠体55に設けられた図示しない付勢部材によって付勢される。この結果、伸縮部55bに支持された従動ローラー53は、駆動ローラー52との間の距離が長くなるように付勢され、駆動ローラー52と従動ローラー53とに架け渡された搬送ベルト51に対して所定の張力が加わるように構成されている。こうして、搬送ベルト51は駆動ローラー52と従動ローラー53との間に張架される。
また、ベルト枠体55には、その基体部55aにおいて略矩形の溝とされた凹部57が形成されている。一方、第2リンク板62の他端には、略円柱形状のピン67が取り付けられ、このピン67がベルト枠体55の凹部57に入り込んで係合した状態とされている。したがって、図3および図4において実線矢印CWで示すように、第1モーターM1の駆動によって回転軸64が+X方向側から見て時計方向に回転し、この回転軸64の回転に伴って第1リンク板63および第2リンク板62が移動することによって、第2リンク板62に取り付けられたピン67がベルト枠体55を移動(揺動)させる。このようにベルト移動部60は、ベルト枠体55を移動させることによって、搬送ベルト51を記録位置KPへ移動する。なお、ベルト移動部60を作動させる第1モーターM1は、ユニットフレーム56の左方向(+X方向)側の側板部56Lに取り付けられている。
また、図3および図4において破線矢印CCWで示すように、第1モーターM1の駆動によって回転軸64が+X方向から見て反時計方向に回転し、その回転軸64の回転に伴って第1リンク板63および第2リンク板62が移動することによって、第2リンク板62に取り付けられたピン67がベルト枠体55を移動させる。
図5および図6に示すように、ベルト移動部60によるベルト枠体55の移動によって、搬送ベルト51は図2に示す状態と同じ退避位置TPへ移動(揺動)する。この退避位置TPでは、搬送ベルト51は、そのベルト面51aが鉛直方向Zに沿う略垂直面となった状態でユニットフレーム56内に収納された状態とされる。なお、図6では、搬送ベルト51を移動させるベルト移動部60に係る構成部材が図示されている。
図4および図6に示すように、本実施形態では、第1モーターM1の回転は、その回転軸(モーター軸)に取り付けられたウオーム66に噛み合うウオーム歯車65の回転に変換される。したがって、ウオーム歯車65が取り付けられた回転軸64は、第1モーターM1の回転数(ウオーム66の回転数)に比べて小さな回転角で回転する。換言すれば、第1モーターM1の回転によって回転軸64を高い精度の回転角で回転させることができる。また、ウオーム歯車65の回転方向はウオーム66の回転方向と交差する方向となるので、第1モーターM1の回転が停止した状態で、回転軸64はその回転した回転角が維持される。この結果、例えば、搬送ユニット50は、記録位置KPにおいて略水平面とされた搬送ベルト51のベルト面51aが高い位置精度で位置決めされ、退避位置TPにおいて略垂直面とされた搬送ベルト51のベルト面51aが高い位置精度で位置決めされる。
なお、本実施形態では、搬送ベルト51が記録位置KPに位置決めされた状態であることを、第1モーターM1の回転量を制御することで検知する構成とされている。一方、搬送ベルト51が退避位置TPに位置決めされた状態であることを、ユニットフレーム56に取り付けられた検出センサー56S(図3参照)によって検知する構成とされている。もとより、搬送ベルト51が記録位置KPに位置決めされた状態を検知する検出センサーを設け、この設けた検出センサーによって搬送ベルト51が記録位置KPに位置決めされた状態であることを検知する構成としてもよい。
さらに、図3および図5に示すように、本実施形態では、搬送ベルト51は、記録位置KPに移動した状態に加え、このように退避位置TPへ移動した状態においても周回可能とされている。すなわち、ユニットフレーム56には図示しない伝達歯車が設けられ、この伝達歯車を介して駆動ローラー52を回転駆動させて搬送ベルト51を周回させる駆動源としての第2モーターM2がユニットフレーム56に取り付けられている。したがって、この第2モーターM2が回転駆動されることによって、搬送ベルト51が記録位置KPおよび退避位置TPにおいて周回可能とされている。
このため、ユニットフレーム56の側板部56R,56Lには、ベルト枠体55の基体部55aに設けられた駆動ローラー52を回転可能に支持するローラー支持部55Jを介して駆動ローラー52のローラー軸を回転可能に支持(軸支)する軸受54(図5では側板部56R側の軸受54のみ図示)が設けられている。
また、搬送ユニット50には、駆動ローラー52の回転量を検出する回転検出部が備えられている。本実施形態では、回転検出部として、ディスク59とフォトカプラ69とを用いた光学式のロータリーエンコーダーが採用されている。このうちディスク59は、駆動ローラー52に取り付けられている。一方、フォトカプラ69は、ユニットフレーム56の左方向(+X方向)側の側板部56Lに備えられた駆動ローラー52の軸受54を覆うための蓋部68に取り付けられている。したがって、蓋部68に取り付けられたフォトカプラ69が、ディスク59の回転(駆動ローラー52の回転)を検出する検出センサーとして機能する。
さて、図7および図8に示すように、本実施形態では、搬送ユニット50に、搬送ベルト51に加わる張力を調節する張力調節部85が備えられている。なお、図7および図8では、説明を容易にするため、搬送ユニット50において、搬送ベルト51に加わる張力を説明するために必要な構成が図示され、ユニットフレーム56やベルト移動部60など他の構成要素については省略されて図示されている。
張力調節部85は、搬送ユニット50の長手方向(幅方向X)を軸線方向とし、その両側に張力調節カム87が取り付けられたカム軸86と、張力調節カム87に対するカムフォロアーとして機能するスライダー88とを含んで構成されている。すなわち、張力調節カム87には、カム軸86からの距離が変化するように湾曲したカム穴87Hが設けられ、このカム穴87Hに、スライダー88に固定されたカムピン88Pが挿入されている。
カム軸86は、ユニットフレーム56に設けられた軸受56J(図3参照)に回転自在に支持され、図示しない駆動源によって回転可能とされている。そして、カム軸86が回転することによって、カム穴87Hに挿入されたカムピン88Pがカム軸86から離れたり近づいたりするように移動可能とされている。
すなわち、図7において破線矢印CCWで示すように、カム軸86が+X方向から見て反時計方向に回転し、そのカム軸86の回転に伴って張力調節カム87が回転(揺動)することによって、カム穴87Hに挿入されたカムピン88Pがカム軸86から離れてスライダー88を搬送方向Y下流側へスライド移動させる。また、図8において実線矢印CWで示すように、カム軸86が+X方向から見て時計方向に回転し、そのカム軸86の回転に伴って張力調節カム87が回転(揺動)することによって、カム穴87Hに挿入されたカムピン88Pがカム軸86に近づいてスライダー88を搬送方向Y上流側へスライド移動させる。なお、本実施形態ではスライダー88は、その重力方向−Z側の底面がユニットフレーム56(図3参照)に案内されて搬送方向Yに沿ってスライド移動する構成とされている。
このように構成された張力調節部85は、スライダー88が、図7に示すようにベルト枠体55(伸縮部55b)に対して離れた位置と、図8に示すように搬送方向Yへ移動してベルト枠体55(伸縮部55b)に接触した位置との間を移動する。このうち、スライダー88がベルト枠体55に対して離れた位置は搬送ベルト51の張力が調節されない非張力調節位置NPである。一方、スライダー88がベルト枠体55に接触した位置は搬送ベルト51の張力が調節される張力調節位置YPである。すなわち、この張力調節位置YPでは、スライダー88がベルト枠体55の伸縮部55bを縮めるように基体部55aに押し込む状態でベルト枠体55と接触する。この結果、張力調節位置YPでは、伸縮部55bの基体部55aへの押し込みによって、従動ローラー53は、駆動ローラー52に対して、その駆動ローラー52との間の距離が短くなるように調節され、搬送ベルト51の張力が低くなるように構成されている。
ところで、図6、図7、図8に示すように、本実施形態では搬送ユニット50において搬送ベルトに付着した紙粉を取り除くための紙粉取りブレード58がベルト枠体55に固定されている。紙粉取りブレード58は、搬送ベルト51の幅方向Xの両端に位置するベルト枠体55の基体部55a間を橋渡しするように幅方向Xに沿って延設された延設部が設けられている。この延設部が、ベルト面51aに接触してベルト面51aに付着した紙粉をベルト面51aから掻き落としたり、あるいは紙粉を吸着したりして、ベルト面51aから紙粉を取り除く構成とされている。また、紙粉取りブレード58は、搬送ベルト51が退避位置TPに位置する状態では、クリーニングユニット90の壁部材97よりも反重力方向+Z側、すなわち、搬送ベルト51をクリーニングする際の搬送ベルト51の周回方向における壁部材97の下流側に位置している。
また、図9に示すように、本実施形態のプリンター11には、搬送ベルト51のベルト面51aに付着した汚れを拭き取って除去する(クリーニングする)ためのクリーニング部材91を有するクリーニングユニット90が備えられている(図1および図2参照)。なお、図9では、帯電ローラー81、クリーニングユニット90および搬送ベルト51のクリーニングを説明するために必要な構成部品が図示され、ユニットフレーム56やベルト移動部60など他の構成要素については省略して図示されている。
クリーニングユニット90は、搬送方向Yと交差する幅方向Xの両側に右側壁部92Rと左側壁部92Lとを備えるベースフレーム92に、織布(ウエブ)などのクリーニング部材91が、丸軸形状のロール芯にロール状に巻かれた状態で取り付けられている。
詳しくは、本実施形態では、クリーニングユニット90はクリーニング部材91の巻き出し側のロール芯94aと巻き取り側のロール芯94bとを有し、各ロール芯94a,94bの両端部が、右側壁部92Rと左側壁部92Lとにそれぞれ回転自在に取り付けられている。そして、巻き出し側のロール芯94aに巻き付けられたクリーニング部材91は、そのロール芯94aの軸線方向(幅方向X)において搬送ベルト51の幅方向Xの長さと略同じ長さを有し、巻き取り側のロール芯94bに巻き取られる。本実施形態では、巻き出し側のロール芯94aは、巻き取り側のロール芯94bよりも反重力方向+Z側となる上方に位置している。
なお、図9では、クリーニング部材91は巻き出し側のロール芯94aの軸線方向(幅方向X)において分けられた2つの部分にそれぞれ巻き付けられ、同じく巻き取り側のロール芯94bの軸線方向(幅方向X)において分けられた2つの部分に巻き取られる状態で図示されている。これは、クリーニング部材91の取付け構造を分かりやすくするため、クリーニング部材91の巻き出しの状態および巻き取りの状態を一つの図面で示したものである。ちなみに各ロール芯94a,94bにおいて、右側壁部92R側のクリーニング部材91は略巻き出し開始状態で図示され、左側壁部92L側のクリーニング部材91は略巻き出し終了状態で図示されている。
また、クリーニングユニット90はベースフレーム92の左側壁部92Lに複数の歯車による動力伝達機構95が備えられ、同じく左側壁部92Lに取り付けられた駆動源としての第3モーターM3の回転駆動が、動力伝達機構95によって巻き取り側のロール芯94bに伝えられて、ロール芯94bを回転させる。この巻き取り側のロール芯94bの回転によって、巻き出し側のロール芯94aに巻かれたクリーニング部材91は巻き出され、ベースフレーム92に回転自在に取り付けられた複数のローラーにガイドされながら移動して、巻き取り側のロール芯94bに巻き取られる。
ベースフレーム92の右側壁部92Rおよび左側壁部92Lには、退避位置TPへ移動した搬送ベルト51に向かって搬送方向Y下流側に延びる延壁部96が設けられている。この延壁部96には、退避位置TPに移動した搬送ベルト51のベルト面51aと略平行な面であって幅方向Xに延びる壁面が搬送方向Y下流側に向くように設けられた壁部材97(図12(a)参照)が固定されている。クリーニング部材91は、巻き取り側のロール芯94bに巻き取られる際に、この壁部材97の壁面に沿って移動する。なお、クリーニング部材91の移動をガイドする複数のローラーにおいて、壁部材97より巻き出し側のロール芯94a側にあるローラーは、壁部材97より巻き取り側のロール芯94b側にあるローラーよりも、反重力方向+Z側となる上方に位置している。
さらに、本実施形態では、クリーニングユニット90は、ベースフレーム92において、幅方向Xの両側の下端部に回転自在に取り付けられたコロ98が、図示しないガイドレールに沿って転がることによって、搬送方向Yに沿ってスライド移動可能とされている。すなわち、クリーニングユニット90は、例えば図示しない駆動源(例えばアクチュエーター)によってベースフレーム92が搬送方向Yに沿って押したり引いたりされることによってコロ98が回転させられ、搬送方向Yに沿って往復移動(スライド移動)する構成とされている。このクリーニングユニット90の移動にともなって、クリーニング部材91は搬送方向Yに沿ってスライド移動する。したがって、本実施形態では、コロ98がクリーニングユニット90を移動させるクリーニング部材移動部の一部として機能する。
このクリーニング部材移動部は、クリーニングユニット90を搬送方向Y上流側へ移動させることによって、壁部材97の壁面に沿って移動するクリーニング部材91を搬送ベルト51から離れた離間位置(「クリーニング部材離間位置CRP」とも呼ぶ)に位置させる(図12(a)参照)。また、クリーニング部材移動部は、クリーニングユニット90を搬送方向Y下流側へ移動させることによって、壁部材97の壁面に沿って移動するクリーニング部材91を搬送ベルト51と接触する接触位置(「クリーニング部材接触位置CSP」とも呼ぶ)に位置させる(図12(c)参照)。したがって、クリーニングユニット90は、クリーニング部材移動部によってクリーニング部材離間位置CRPとクリーニング部材接触位置CSPとの間を移動する。
また、図9に示すように、本実施形態では、クリーニングユニット90は、クリーニング部材91が搬送ベルト51と接触するのと同時に、ベースフレーム92の左側壁部92Lおよび右側壁部92Rの延壁部96が、帯電ローラー81の両端のローラー軸81aを回転自在にそれぞれ軸支する軸受部材82に接触する。この接触により、各延壁部96が軸受部材82をそれぞれ回転させる構成とされている。以下、この構成について、一例としてベースフレーム92の左側壁部92Lの延壁部96について説明する。なお、ベースフレーム92の右側壁部92Rの延壁部96についても同様な構成を有する。
図10(a)に示すように、軸受部材82は、プリンター11の筐体12に回転自在に軸支された丸ピン83を有し、その丸ピン83に対して、反重力方向+Z側に帯電ローラー81のローラー軸81aを受ける軸受部82aが形成され、重力方向−Z側に略平板形状のレバー部82bが形成されている。そして、クリーニングユニット90が搬送方向Y下流側に移動するのに伴って、ベースフレーム92の左側壁部92Lの延壁部96が軸受部材82のレバー部82bに接触しつつレバー部82bを搬送方向Y下流側に押すことによって、軸受部材82が丸ピン83を中心に回転する構成とされている。
また、軸受部材82は、図示しないばねなどの付勢部材によって帯電ローラー81が搬送ベルト51に接触する方向へ付勢されている。したがって、ベースフレーム92の左側壁部92Lの延壁部96が軸受部材82のレバー部82bに接触しない状態では、搬送ベルト51を駆動ローラー52との間で挟むように搬送ベルト51と接触する接触位置に位置する。
この結果、図10(b)において二点鎖線で示すように、搬送ベルト51と接触する接触位置に位置していた帯電ローラー81は、延壁部96がレバー部82bに接触して丸ピン83を中心に軸受部材82を回転させることによって、図10(b)において実線で示すように搬送ベルト51から離れた離間位置に移動する。
このように、本実施形態では、クリーニングユニット90は、その搬送方向Yに沿うクリーニング部材離間位置CRPとクリーニング部材接触位置CSPとの間でのスライド移動と連動して、帯電ローラー81を、搬送ベルト51に接触する接触位置と、当該接触位置よりも搬送ベルトから離れた離間位置との間で移動させる。すなわち、クリーニングユニット90は帯電ローラー移動部として機能する。なお、本実施形態では、搬送ベルト51に対する帯電ローラー81の接触位置を「ローラー接触位置RSP」とも呼び、帯電ローラー81の離間位置を「ローラー離間位置RRP」とも呼ぶ。
図10(b)に示すように、退避位置TPに移動した搬送ベルト51には、クリーニング部材91において壁部材97の壁面に沿って存在する部分が接触するベルト接触部BSが搬送ベルト51の周回方向と交差する幅方向Xに沿って形成される。本実施形態では、このベルト接触部BSの少なくとも一部は、クリーニング部材91の接触側とは反対側から、ベルト枠体55によって支持される。したがって、ベルト枠体55は、搬送ベルト51を支持するベルト支持部として機能する。ちなみに、本実施形態では、基体部55aがベルト支持部として機能し、ベルト接触部BSのほぼ全部を支持するように構成されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、その作用として、搬送ベルト51が汚れたと推定された場合において、搬送ベルト51をクリーニングする動作処理が行われる。また、記録部18による記録(印刷)が行われない場合などにおいて、搬送ベルト51の張力を調節する動作処理が行われる。なお、これらの動作処理は、中央演算処理装置(CPU)や記憶装置(メモリ)などによって構成され、記録部18においてインクを吐出させる処理などの印刷処理を制御するプリンター11の制御部が、各駆動源などを所定の順序で駆動制御することによって行われる。
まず、図11を参照して、搬送ベルト51のクリーニング動作処理について説明する。
図11に示すように、この動作処理が開始されると、ステップS1にて、プリンター11において記録部18からインクを吐出することが可能な印刷待機の状態とされる処理が行われ、続くステップS2にて、第1センサーSaが「ON」したか否か、すなわち用紙14を検出したか否かの判定処理が行われる。そして、第1センサーSaが「ON」となる(ステップS2:YES)までステップS2の判定処理が繰り返され、第1センサーSaが「ON」となったら、次のステップS3にて、例えばプリンター11に入力された印刷データに基づいて印刷を開始する処理、つまり記録部18においてインクの吐出を開始する処理が行われる。
次いで、ステップS4にて設定時間内に第2センサーSbが「ON」したか否か、すなわち第1センサーSaが用紙14を検出してから第2センサーSbが用紙14を検出するまでの経過時間が、設定された時間内であるか否かの判定処理が行われる。本実施形態では、用紙14が滞りなく搬送経路13に沿って搬送される場合の第1センサーSaから第2センサーSbまでの到達時間が予め設定され、制御部はこの設定された時間を用いてステップS4の判定処理を行う。
そして、第2センサーSbが設定時間内に「ON」となって用紙14が検出された場合は(ステップS4:YES)、用紙14は滞ることなく搬送経路13を搬送されていることになるので、続くステップS5にて今の印刷の続行処理が行われたのち、次の印刷に備えるべく印刷待機の状態(ステップS1)に戻る。
一方、第2センサーSbが設定時間内に「ON」しない場合、すなわち第2センサーSbが用紙14を検出しない場合は(ステップS4:NO)、用紙14は搬送経路13において搬送ベルト51による搬送が滞ったジャム状態であると推定され、ステップS11からステップS18の処理に移行する。このように用紙14がジャム状態(紙ジャム)となった場合は、記録部18において吐出されたインクが用紙14に付着せずに搬送ベルト51に付着してしまうことが生じ得る。すなわち、紙ジャムが発生することによって搬送ベルト51が汚れてしまう場合には、ステップS4での処理によって、搬送経路13において搬送ベルト51による搬送が滞ったジャム状態を検出することによって、搬送ベルト51がインクの付着によって汚れたと推定することができる。したがって、制御部は、第1センサーSaと第2センサーSbとを用いたステップS4での判定処理によって、搬送ベルト51の汚れを推定する汚れ推定部として機能する。
ステップS4に続いて行われるステップS11では、搬送ベルト51の周回の停止処理が行われ、次のステップS12にて、搬送ベルト51を記録位置KPから退避位置TPへ移動する処理が行われる。そして、次のステップS13にて、紙ジャム発生を通知する処理が行われる。
本実施形態では、プリンター11の筐体12に図示しない表示部が備えられ、この表示部に例えば「紙ジャム発生」などの通知文言や通知色が表示される。あるいは、プリンター11の筐体12において図示しない発音部が備えられ、この発音部を用いて「紙ジャム発生」などの言葉を発音させたり、通知音を発音させたりする。
次に、ステップS14にて、紙ジャム解除処理は終了したか否かの判定処理が行われる。本実施形態では、ステップS13での通知処理の後に、図11においてステップS19で示すように、ユーザーによる紙ジャム解除処理が行われるものとしている。例えば、ユーザーが筐体12の一部に設けられた開口部を覆うカバーを開け、露出した開口部を介してジャム状態となった用紙14を取り出し、再びカバーを閉めて開口部を覆うことによって紙ジャム解除処理を行う場合がある。このような場合は、開口部を覆うカバーが閉められた状態をセンサーなどにより検出することによって、制御部は紙ジャム解除処理が終了したと判定する。あるいは、紙ジャムの解除が終了したことを示す信号を、ユーザーが図示しない入力手段を用いて入力し、入力されたその信号を検出することによって、制御部は紙ジャム解除処理が終了したと判定する。そして、紙ジャム解除処理は終了したと判定されると(ステップS14:YES)、用紙14を搬送経路13に沿って搬送可能な状態となるので、ステップS15の処理に移行する。
次に、ステップS15にて、クリーニングユニット90を、クリーニング部材91が搬送ベルト51と接触する接触位置(クリーニング部材接触位置)へ移動(スライド移動)させる処理が行われ、続くステップS16にて、搬送ベルト51の周回とクリーニング部材91の巻き取りの処理が行われる。このステップS15およびステップS16の処理によって、クリーニングユニット90のクリーニング部材91は、壁部材97の壁面に沿って存在する搬送ベルト51のベルト接触部BSを形成する部分が、周回する搬送ベルト51の周回方向とは逆方向へ移動する。
このようにクリーニング部材91においてベルト接触部BSを形成する部分が搬送ベルト51の周回方向とは逆方向へ移動することによって、クリーニング効率が向上する。例えば、クリーニング部材91による搬送ベルト51に付着したインクの拭き取りが容易になる。あるいは、クリーニング部材91によってインクが残らず拭き取られる確率が高くなる。もとより、クリーニング部材91は、搬送ベルト51におけるベルト接触部BSを形成する壁部材97の壁面に沿って存在する部分の移動量が、搬送ベルト51の汚れ具合に応じて調節されることが好ましい。例えば、搬送ベルト51の汚れが少ない場合は、巻き取り側のロール芯94bの回転速度を遅くして、単位時間あたりのクリーニング部材91の移動量が少ない状態で巻き取られるようにすることが好ましい。
ここで図12(a),(b),(c)を参照して、ステップS11からステップS16までの処理について補足説明する。なお、図12(a),(b),(c)では、クリーニングユニット90において、クリーニング部材91の巻き出しの状態および巻き取りの状態が一つの図面で図示されている。
まず図12(a)に示すように、プリンター11において、ステップS11に移行する前の処理、すなわち印刷待機状態あるいは印刷続行状態である場合は、搬送ベルト51は記録位置KPに位置し、帯電ローラー81は搬送ベルト51と接触するローラー接触位置に位置している。もとより、クリーニングユニット90は、軸受部材82のレバー部82bから搬送方向Y下流側に離れたクリーニング部材離間位置CRPに位置している。
次に図12(b)に示すように、ステップS12の処理によって、搬送ベルト51は駆動ローラー52を中心に回転(揺動)して、記録位置KPから退避位置TPへ移動する。この搬送ベルト51が退避位置TPへ移動した状態では、帯電ローラー81は搬送ベルト51との接触状態が維持される。また、ステップS11の処理によって搬送ベルト51の周回は停止されているので、インクが付着して汚れたベルト面51aが帯電ローラー81に接触する位置まで移動しないように抑制される。
次に図12(c)に示すように、ステップS15の処理によってクリーニングユニット90はクリーニング部材離間位置CRPからクリーニング部材接触位置CSPへコロ98の回転によってスライド移動する。このクリーニングユニット90のクリーニング部材接触位置への移動によって、帯電ローラー81は搬送ベルト51とのローラー接触位置RSPからローラー離間位置RRPへ移動する。そして、ステップS16の処理によって、図中矢印で示したように、搬送ベルト51の周回方向とは逆方向へ移動するクリーニング部材91によって、搬送ベルト51のベルト面51aに付着したインクはクリーニング部材91によって拭き取られる。そしてクリーニング部材91においてインクを拭き取った部分は壁部材97よりも巻き取り側のロール芯94b側にあるローラーによってガイドされて巻き取り側のロール芯94bに巻き取られる。
従って、本実施形態では、クリーニングユニット90において、巻き出し側のロール芯94aが巻き取り側のロール芯94bよりも上方にあるので、クリーニング部材91に拭き取られたインクが垂れたとしても、巻き出し側のロール芯94a側にあるクリーニング部材91を汚すことが抑制される。また、クリーニング部材91の移動をガイドするローラーにおいて、壁部材97より巻き取り側のロール芯94b側にあるローラーからインクが垂れたとしても、巻き取り側のロール芯94b側にあるローラーよりも上方に位置する巻き出し側のロール芯94a側にあるローラーにガイドされるクリーニング部材91を汚すことが抑制される。
なお、本実施形態では、帯電ローラー81はクリーニング部材91よりも搬送ベルト51の周回方向下流側に位置する構成とされ、搬送ベルト51のベルト面51aに付着したインクは帯電ローラー81に到達する前にクリーニング部材91によって拭き取られる。もとより、拭き取られずに残ったインクがベルト面51aに付着した状態でクリーニング部材91を通過した場合でも、帯電ローラー81は搬送ベルト51のベルト面51aから離れたローラー離間位置RRPへ移動しているので、ベルト面51aに付着したインクが帯電ローラー81に移ることが抑制される。
また、図12(a)〜(c)では図示を省略しているが、紙粉取りブレード58も、搬送ベルト51が退避位置TPに位置する状態では、搬送ベルト51の周回方向における壁部材97の下流側に位置している。このため、搬送ベルト51のベルト面51aに付着したインクは紙粉取りブレード58に到達する前にクリーニング部材91によって拭き取られ、紙粉取りブレード58がインクで汚れることが抑制される。
図11に戻り、次のステップS17にて、クリーニングユニット90をクリーニング部材接触位置から搬送ベルト51から離れた離間位置(クリーニング部材離間位置CRP)へスライド移動する処理が行われる。このクリーニングユニット90のクリーニング部材離間位置CRPへの移動によって、帯電ローラー81は搬送ベルト51との離間位置(ローラー離間位置RRP)から接触位置(ローラー接触位置RSP)へ移動する。なお、本実施形態では、ステップS16の処理においてクリーニング部材91による搬送ベルト51に付着したインクの拭き取りが終了したと推定される時間が予め設定され、その時間が経過した後、ステップS17の処理が行われる。
そして、ステップS18にて、搬送ベルト51を退避位置TPから記録位置KPへ移動して、用紙14を搬送して印刷する処理に備えるべく印刷待機の状態(ステップS1)に戻る。本実施形態では、このように、搬送ベルト51をクリーニングする動作処理が行われる。
次に図13を参照して、搬送ベルト51の張力を調節する動作処理について説明する。
図13に示すように、この動作処理が開始されると、ステップS21にて、プリンター11は印刷処理中か否かの判定処理が行われ、印刷処理中でないと判定された場合(ステップS21:NO)、ステップS22の処理に移行する。すなわち、搬送ベルト51の張力を調節する動作処理は、記録部18による記録(印刷)が行われない場合において行われる。
本実施形態では、例えば、プリンター11において電源がオンされたのちに印刷が可能となるまでの期間を、記録部18による記録が行われない場合としている。または、プリンター11に印刷未実行の印刷データが存在しない場合や印刷データが入力(送信)されていない場合を、記録部18による記録が行われない場合としてもよい。
あるいは、プリンター11において、インクの吐出性能を維持する記録部18のメンテナンス処理の一例として、記録部18が用紙14へ記録を行う場合とは別にインクを吐出する所謂フラッシング処理の場合も、記録部18による記録が行われない場合としてもよい。このような場合は、プリンター11においてフラッシング処理が設定されたか否かを検出することによって、記録部18による記録が行われない場合を判定することが可能である。
また、インクの吐出性能を維持する記録部18のメンテナンス処理の他の例として、記録部18をキャップ71で覆うキャッピング処理の場合を、記録部18による記録が行われない場合としてもよい。このキャッピング処理の場合では、記録部18に向かうキャップ71の移動を検出することによって、記録部18による記録が行われない場合を判定することが可能である。もしくはキャッピング処理において、移動したキャップ71又は固定されたキャップ71に対して記録部18が近づくように移動する構成とされる場合は、この記録部18のキャップ71に対する移動を検出することによって、記録部18による記録が行われない場合を判定することも可能である。
さて、ステップS22では、搬送ベルト51を退避位置TPへ移動する処理が行われる。そして、次のステップS23にて、張力調節カム87を回転させる処理が行われ、続くステップS24にて、スライダー88を張力調節位置YPへ移動させる処理が行われる。このステップS23およびステップS24の処理によって、搬送ベルト51の張力は、記録部18が用紙14に印刷(記録)を行うときの張力よりも低い張力に調節される。なお、本実施形態では、搬送ベルト51は、搬送ベルト51に張力が加わらない状態、つまり張力が解除された状態に調節される。つまり、スライダー88が移動した張力調節位置YPは搬送ベルト51の張力解除位置でもある。
ここで図14(a),(b),(c)を参照して、ステップS22からステップS24までの処理について補足説明する。
まず図14(a)に示すように、プリンター11において、搬送ベルト51は印刷処理中における記録位置KPから、印刷処理中ではない状態となった場合に、図中二点鎖線の矢印で示すように、退避位置TPへ向かって移動(揺動)する。このとき、本実施形態では、張力調節部85のスライダー88は、印刷処理中における位置となる非張力調節位置NPに位置している(図7参照)。
次に図14(b)に示すように、ステップS22の処理によって、搬送ベルト51は駆動ローラー52を中心に回転(揺動)して、記録位置KPから退避位置TPへ移動する。なお、搬送ベルト51が退避位置TPへ移動した状態においては、スライダー88は搬送ベルト51の従動ローラー53から離れた非張力調節位置NPに位置したままの状態とされる。
次に図14(c)に示すように、ステップS23およびステップS24の処理によって、張力調節部85において張力調節カム87が図中実線で示すように回転し、スライダー88は非張力調節位置NPから張力調節位置YPへスライド移動する(図8参照)。この張力調節位置YPへの移動によって、スライダー88は、ベルト枠体55の伸縮部55bと接触し、接触した伸縮部55bを基体部55aに押し込むことによって、図中白抜き矢印で示すように、駆動ローラー52に対して、従動ローラー53を駆動ローラー52との間の距離が短くなるように反重力方向+Z側へ移動させる。本実施形態では、スライダー88は、従動ローラー53が鉛直方向Zにおいて搬送ベルト51から離れた状態になるまで従動ローラー53を反重力方向+Zへ移動させ、搬送ベルト51に加わる張力を解除する。
もとより、本実施形態において、搬送ベルト51に加わる張力を、解除するのではなく、記録位置KPに位置した状態において搬送ベルト51に加わる張力よりも低い張力に調節するようにしてもよい。この場合は、ステップS23において、図14(c)に二点鎖線で示すように、張力調節カム87の回転量を調節して、張力調節位置YPよりも手前の位置であって、スライダー88の搬送方向Y下流側に設けられた傾斜面88Kが伸縮部55bに接触する位置に移動させる。こうすることによって、伸縮部55bとともに移動する従動ローラー53の移動量が、スライダー88の傾斜面88Kによって調節され、その結果、搬送ベルト51に加わる張力の減少量を調節する。
図13に戻り、次にステップS25にて、再びプリンター11は印刷処理中か否かの判定処理が行われ、今度は印刷処理中であると判定された場合(ステップS22:YES)、記録部18による印刷(記録)が行える状態にするべくステップS26以降の処理に移行する。
まずステップS26では、張力調節カム87を逆に回転させる処理が行われ、続くステップS27にて、スライダー88を非張力調節位置NPへ移動させる処理が行われる。すなわち、張力調節カム87をステップS23での回転方向とは逆方向に回転させ、スライダー88を従動ローラー53から離れる方向にスライド移動させる(図14(c),(b)参照)。そして、次のステップS28にて、搬送ベルト51を、駆動ローラー52を中心に回転(揺動)させて、退避位置TPから記録位置KPへ移動させる処理が行われ、記録部18による用紙14への印刷が行える状態となる(図14(a)参照)。その後、例えば次の張力調節処理に備えるためにステップS21の処理に戻る。
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)搬送ベルト51が汚れたと推定された場合、帯電ローラー81を搬送ベルト51から離れたローラー離間位置RRPに移動させることによって搬送ベルト51の汚れが帯電ローラー81に移らないように抑制することができる。
(2)用紙14の搬送が滞ったジャム状態において、記録部18が例えばインクを吐出して印刷を行うことによって搬送ベルト51がインクで汚れる確率が高い場合、用紙14のジャム状態を検出することによって帯電ローラー81の汚れを抑制することができる。
(3)ベルト移動部60によって搬送ベルト51を退避位置TPへ移動させて記録部18から遠ざけることによって搬送ベルト51の汚れ具合が抑制される。したがって、汚れ具合が抑制された搬送ベルト51に再び帯電ローラー81が接触しても、その汚れが抑制される。
(4)搬送ベルト51が筐体12に使用可能に装着され、印刷が行われない状態のプリンター11において、用紙14に印刷を行うときの搬送ベルト51の張力よりも低い張力に、搬送ベルト51の張力を調節するので、搬送ベルト51の張力による歪変形を抑制することができる。
(5)搬送ベルト51が架け渡された駆動ローラー52と従動ローラー53との2つのローラー間の距離が短くなる方向への調節によって張力を調節するので、搬送ベルト51に加わる張力の調節作業が容易である。
(6)搬送ベルト51が記録部18から離れた退避位置TPで搬送ベルト51に加わる張力を低くするので、張力が低くなった搬送ベルト51が記録部18と接触することが抑制される。
(7)駆動ローラー52に対して、ローラー間の距離が変化するように従動ローラー53側を移動させるので、容易にローラーを移動させて搬送ベルト51の張力を調節することができる。
(8)ベルト移動部60は、駆動ローラー52を中心とする回動軌跡に沿って従動ローラー53を回転させることによって、搬送ベルト51を記録位置KPと退避位置TPとの間で移動(揺動)させるので、例えば平行移動に比べて容易に搬送ベルト51を退避位置TPへ移動して搬送ベルト51の張力を調節することができる。
(9)クリーニング部材91を搬送ベルト51のベルト面51aに接触するクリーニング部材接触位置と、搬送ベルト51のベルト面51aから離れたクリーニング部材離間位置CRPと、の間で移動させるので、搬送ベルト51の汚れを除去するとともに、常に接触する場合に比べて搬送ベルト51の耐久性を向上させることができる。
(10)搬送ベルト51が汚れたと推定された場合にクリーニング部材91を搬送ベルト51に接触させるので、搬送ベルト51の汚れを適切に除去しつつ、常に接触させる場合に比べて搬送ベルト51の耐久性を向上させることができる。
(11)用紙14の搬送が滞ったジャム状態において、記録部18が例えばインクを吐出して印刷を行うことによって搬送ベルト51がインクで汚れる確率が高い場合、用紙14のジャム状態を検出することによって搬送ベルト51の汚れを適切に除去することができる。また常にクリーニング部材91が搬送ベルト51に接触することが抑制されるので、搬送ベルト51の耐久性を向上させることができる。
(12)クリーニング部材91の接触側とは反対側から搬送ベルト51を支持することにより、クリーニング部材91は搬送ベルト51に安定して接触するので、搬送ベルト51の汚れを安定して除去することができる。また、搬送ベルト51のクリーニング部材91による撓み量を基体部55aによって抑制するので、搬送ベルト51の耐久性を向上させることができる。
(13)搬送ベルト51が退避位置TPへ移動した用紙14に記録を行わないときに、搬送ベルト51の汚れを除去するので、記録部18による用紙14への印刷を中断させることなく、搬送ベルト51の汚れを除去しつつ、搬送ベルト51の耐久性を向上させることができる。
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、記録部18が用紙14に印刷を行う場合とは別にインクを吐出する場合には、帯電ローラー81は搬送ベルト51と接触する位置(ローラー接触位置RSP)に位置しているようにしてもよい。
例えば、図2に示すように、キャップ移動機構70によってキャップ71が記録部18に対して重力方向−Z側に位置するように移動した状態で、記録部18が用紙14へ印刷を行う場合とは別にインクを吐出するフラッシング処理が、記録部18のメンテナンス処理として行われる場合がある。また、記録部18におけるインクを吐出する部分の乾燥を防ぐために記録部18をキャップ71で覆うキャッピング処理や、記録部18の流路内における気泡を吸引するために記録部18をキャップ71で覆った上でキャップ71を介して記録部18におけるインク流路内の気泡をインクと共に吸引するインク吸引処理などが行われる場合もある。このような場合は、記録部18からキャップ71に向けてインクが吐出されても、吐出されたインクはキャップ71内に付着し、インクが搬送ベルト51に付着する確率は低くなるため、帯電ローラー81は搬送ベルト51に接触するローラー接触位置RSPに位置して汚れる確率が低くなる。もとより、このような場合は、クリーニングユニット90は、図12(b)に示す状態、すなわちベースフレーム92の右側壁部92Rおよび左側壁部92Lの延壁部96が軸受部材82のレバー部82bに接触しないクリーニング部材離間位置CRPに位置した状態とされる。
この変形例によれば、上記実施形態での効果(1)〜(13)に加えて次の効果を得る。
(14)記録部18から吐出されるインクにより搬送ベルト51が汚れる確率が低い場合には、帯電ローラー81をローラー接触位置RSPに移動することによって、搬送ベルト51を帯電させることができるので、再び用紙14が搬送ベルト51によって搬送されるまでの時間を短縮することができる。
・上記実施形態において、必ずしも、搬送ベルト51が汚れたと汚れ推定部が推定した場合に、帯電ローラー81をローラー離間位置RRPに移動させなくてもよい。例えば、搬送ベルト51の張力を調節する動作処理が行われる場合とされる記録部18による記録が行われない場合においては、搬送ベルト51を帯電させて用紙14を吸着させる必要が無いので、帯電ローラー81をローラー離間位置RRPに移動させるようにしてもよい。
この変形例によれば、上記実施形態での効果(1)〜(13)に加えて次の効果を得る。
(15)用紙14を搬送しない場合など搬送ベルト51を帯電させる必要がない場合に、帯電ローラー81を搬送ベルト51から離間させることによって、帯電ローラー81の搬送ベルト51との接触に伴う汚れを抑制することができる。
・上記実施形態において、搬送ベルト51が汚れたと汚れ推定部が推定した場合、必ずしも、搬送ベルト51を記録位置KPよりも記録部18から離れた退避位置TPに移動させた状態で帯電ローラー81が搬送ベルト51から離れたローラー離間位置RRPに移動する構成でなくてもよい。例えば、搬送ベルト51が記録位置KPに位置する状態で、帯電ローラー移動部が帯電ローラー81を搬送ベルト51から離れたローラー離間位置RRPに移動させる構成であってもよい。もとより、この場合は搬送ベルト51が退避位置TPとは異なる位置(例えば記録位置KP)に位置する状態で、クリーニング部材91が搬送ベルト51に接触する構成のクリーニングユニット90を帯電ローラー移動部として備えることが好ましい。
・上記実施形態において、必ずしもクリーニングユニット90を帯電ローラー移動部として機能させなくてもよい。ここでは図示による説明は省略するが、例えば、軸受部材82のレバー部82bを、クリーニングユニット90におけるベースフレーム92の延壁部96と同様に接触して押し込むように移動する移動機構を帯電ローラー移動部として設けてもよい。このように、クリーニングユニット90とは別に帯電ローラー移動部を設けることによって、クリーニングユニット90のクリーニング部材離間位置CRPとクリーニング部材接触位置CSPとの間の移動と連動することなく、帯電ローラー81を、ローラー接触位置RSPとローラー離間位置RRPとの間で移動させることができる。
・上記実施形態において、汚れ推定部は、必ずしも、用紙14の搬送ベルト51による搬送が滞ったジャム状態(紙ジャム)を検出することによって、搬送ベルト51が汚れたと推定しなくてもよい。例えば、汚れ推定部は、印刷データが指定する用紙のサイズよりも小さいサイズの用紙が搬送された場合を、搬送ベルト51が汚れたと推定してもよい。あるいは、記録部18がベルト面51aにフラッシング処理を行う場合や、記録部18の吐出不良検出や吐出方法の補正を行うためのテストパターンの印字をベルト面51aに行う場合を、搬送ベルト51が汚れたと推定してもよい。すなわち、このような場合は、搬送ベルト51のベルト面51aにおいて、用紙14が吸着されていない部分にインクが付着することによって搬送ベルト51が汚れることが起こり得る。そして、このように起こった搬送ベルト51の汚れを推定することによって、帯電ローラー81が汚れないように抑制することができる。また、起こった搬送ベルト51の汚れをクリーニング部材91で拭き取ることができる。
・上記実施形態において、ベルト移動部60は、必ずしも駆動ローラー52のローラー軸を中心に揺動させて搬送ベルト51を記録位置KPと退避位置TPとの間で移動させる構成でなくてもよい。例えば、搬送ベルト51は、揺動による移動ではなく、平行移動によって記録位置KPと退避位置TPとの間を移動する構成であってもよい。
なお、搬送ベルト51が平行移動する構成の場合、例えば印刷品質の劣化を抑制するため、搬送ベルト51に吸着されて搬送される用紙14の印刷面と記録部18との間の距離を搬送ベルト51の平行移動によって調節する所謂ギャップ調節が行われる場合がある。このような場合は、このギャップ調節が行われた状態における搬送ベルト51の位置が記録位置KPとなる。そして、搬送ベルト51の退避位置TPは、このギャップ調節において記録部18から最も離れた搬送ベルト51の位置に対して、さらに記録部18から離れた(離間した)位置となる。
・上記実施形態において、搬送ベルト51が架け渡された2つのローラーは、必ずしも一方のローラーが駆動ローラー52とされ、他方のローラーが従動ローラー53とされなくてもよい。例えば2つのローラーは、全て従動ローラーであってもよいし、全て駆動ローラーであってもよい。
・上記実施形態において、搬送ベルト51は、3つ以上の複数のローラー間に張架された無端状のベルトであってもよい。なお、この場合、複数のローラーのうちの少なくとも2つのローラーは、そのうちの1つのローラーが、搬送ベルト51の揺動中心となる本実施形態での駆動ローラー52とされ、他の1つのローラーが、記録部18と対峙して用紙14を搬送するベルト面51aを駆動ローラー52との間で形成する従動ローラー53とされる。
・上記実施形態において、張力調節部85は、必ずしも、ベルト移動部60によって退避位置TPへ移動した搬送ベルト51に対して、その張力を、記録部18が用紙14に記録を行うときの搬送ベルト51の張力よりも低い張力に調節するだけに限らない。例えば、張力調節部85は、記録位置KPに位置する搬送ベルト51に対して、その張力を調節するように構成されてもよいし、記録位置KPと退避位置TPとの間に位置する搬送ベルト51に対して、その張力を調節するように構成されてもよい。
・上記実施形態において、張力調節部85は、必ずしも、スライダー88がベルト枠体55の伸縮部55bを縮めるように基体部55aに押し込むことによって搬送ベルト51に加わる張力を調節する構成でなくてもよい。例えば、伸縮部55bを基体部55aから飛び出す方向へ付勢する付勢部材の付勢力を変化させて搬送ベルト51に加わる張力を調節する構成であってもよい。
・上記実施形態において、必ずしも、従動ローラー53が駆動ローラー52との間の距離が長くなるように付勢されることによって、記録部18が用紙14に印刷(記録)を行うときの張力が搬送ベルト51に加わる構成でなくてもよい。例えば、従動ローラー53は、駆動ローラー52との間の距離を、付勢部材による付勢ではなく、駆動ローラー52に対して従動ローラー53の位置を移動させて駆動ローラー52との間の距離を変化させることによって、搬送ベルト51に加わる張力を調節するようにしてもよい。
・上記実施形態において、クリーニング部材移動部は、必ずしも、ベルト移動部60によって退避位置TPへ移動した搬送ベルト51に対して、そのベルト面51aに接触するクリーニング部材接触位置CSPと、そのベルト面51aから離れたクリーニング部材離間位置CRPとの間でクリーニング部材91を移動させなくてもよい。ここでは図示による説明を省略するが、例えば、搬送ベルト51が記録位置KPに位置している状態で、クリーニング部材91が搬送ベルト51に接触する構成のクリーニング部材移動部を備えてもよい。あるいは、記録位置KPと退避位置TPとの間の任意の位置でクリーニング部材91が搬送ベルト51に接触する構成のクリーニング部材移動部を備えてもよい。
・上記実施形態において、必ずしも、クリーニング部材接触位置CSPに移動したクリーニング部材91が接触する搬送ベルト51のベルト接触部BSの少なくとも一部を支持するベルト支持部を備えなくてもよい。例えば、搬送ベルト51は張架された状態において、張力が加わったベルト面51aによってベルト接触部BSの部分を安定して支持することが可能な場合は、ベルト枠体55などにベルト支持部を設ける必要はない。
・上記実施形態において、必ずしも、搬送ベルト51が汚れたと汚れ推定部が推定した場合に、クリーニング部材91をクリーニング部材接触位置CSPに移動させなくてもよい。例えば、記録部18が用紙14へ記録を行う場合とは別にインクを吐出するフラッシング処理の場合や、インクの吐出性能を維持するため記録部18をキャップ71で覆うキャッピング処理など、記録部18による記録が行われない場合にクリーニング部材91をクリーニング部材接触位置CSPに移動させるようにしてもよい。
・上記実施形態において、記録部18は、用紙14の幅方向Xの略全域に渡ってインクを同時に吐出可能な液体吐出ヘッドを備える所謂ラインヘッドの構成に限らない。例えば、記録部18は、用紙14の搬送方向と交差する幅方向Xに往復移動するキャリッジにインクを吐出する液体吐出ヘッドを備える所謂シリアルヘッドの構成であってもよい。なお、シリアルヘッドの構成の場合は、記録部18の長手方向は、キャリッジの移動方向であり、搬送される用紙14は搬送方向Yへ間欠搬送される構成とされる。
・上記実施形態において、記録部18から吐出する記録液であるインクの供給元は、例えばプリンター11の筐体12の内部に設けられるインク収容体であってもよい。あるいは、筐体12の外部に設けられる所謂外付けタイプのインク収容体であってもよい。特に外付けタイプのインク収容体の場合はインクの容量を大きくできるので、記録部18からより多くのインクの吐出を行うことが可能である。
なお、筐体12の外部に設けられたインク収容体から記録部18にインクを供給する場合には、インクを供給するためのインク供給チューブを筐体12の外側から内側へ引き回す必要がある。よって、この場合には、筐体12にインク供給チューブを挿通可能な孔や切り欠きなどを設けることが好ましい。あるいは筐体12に隙間を設け、この隙間を通してインク供給チューブを筐体12の外側から内側へ引き回しても良い。このようにすれば、インク供給チューブのインク流路を用いた記録部18に対するインクの供給を容易に行うことができる。
・上記実施形態において、記録装置としてのプリンター11は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含む)を吐出したり噴射したりして記録を行う流体吐出装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出して印刷を行う液状体吐出装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体(粉粒体)を例とする固体を吐出する粉粒体吐出装置(例えばトナージェット式印刷装置)であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体吐出装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体、粉粒体(粒体、粉体を含む)などが含まれる。
11…プリンター(記録装置の一例)、14…用紙(被記録媒体の一例)、18…記録部、48…駆動ローラー、50…搬送ユニット、51…搬送ベルト、51a…ベルト面、52…駆動ローラー、53…従動ローラー、60…ベルト移動部、70…キャップ移動機構、71…キャップ、81…帯電ローラー、81a…ローラー軸、85…張力調節部、90…クリーニングユニット、91…クリーニング部材、98…コロ(クリーニング部材移動部の一部)、KP…記録位置(第1位置)、TP…退避位置(第2位置)、M1…第1モーター(駆動源)、M2…第2モーター(駆動源)、M3…第3モーター(駆動源)、BS…ベルト接触部、NP…非張力調節位置、YP…張力調節位置、CRP…クリーニング部材離間位置、CSP…クリーニング部材接触位置、RRP…ローラー離間位置、RSPローラー接触位置。

Claims (5)

  1. 被記録媒体に記録を行う記録部と、
    少なくとも2つのローラーに架け渡され、周回することによって前記被記録媒体を搬送可能な搬送ベルトと、
    前記2つのローラーのうちの一方のローラーに対して、他方のローラーを、前記一方のローラーとの間の距離が変化するように調節することによって前記搬送ベルトに加わる張力を調節する張力調節部と、
    を備え、
    前記張力調節部は、前記搬送ベルトが装置本体に装着された状態において、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行わないとき、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの前記搬送ベルトの張力よりも低い張力に、前記搬送ベルトの張力を調節することを特徴とする記録装置。
  2. 前記他方のローラーは前記一方のローラーとの間の距離が長くなるように付勢されることによって、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの張力が前記搬送ベルトに加わり、
    前記張力調節部は、前記他方のローラーを前記一方のローラーとの間の距離が短くなるように調節することによって、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行わないときの前記搬送ベルトに加わる低い張力に調節することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記搬送ベルトを、前記記録部によって記録が行われる第1位置と、当該第1位置よりも前記記録部から離れた第2位置との間で移動させるベルト移動部を備え、
    前記張力調節部は、前記ベルト移動部によって前記第2位置へ移動した前記搬送ベルトの張力を、前記記録部が前記被記録媒体に記録を行うときの前記搬送ベルトの張力よりも低い張力に調節することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  4. 前記一方のローラーは駆動ローラーであり、前記他方のローラーは従動ローラーであることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  5. 前記ベルト移動部は、前記駆動ローラーを中心に前記従動ローラーを回転させることによって、前記搬送ベルトを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
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