<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図2及び図3参照)。
図2に示すように、遊技機主部12は、遊技機本体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置された遊技機前面体としての前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(図3参照)。
<前扉枠14>
次に、前扉枠14について説明する。図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21は窓パネル部22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
窓パネル部22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
図1に示すように、窓パネル部22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状ランプ部26が設けられている。環状ランプ部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状ランプ部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。
パチンコ機10は、その上部に設けられた上側スピーカ部29と、下部に設けられた下側スピーカ部30とを有している。スピーカ部29,30は、演出音や効果音、報知音といった音(音声メッセージを含む可聴音)を出力可能になっている。演出音は、遊技中の演出効果を高めることが可能な音であり、演出音としては、演出に応じたメロディや遊技状態に応じた効果音などが挙げられる。報知音としては、遊技者にパチンコ機10の状態を知らせる案内音や、ホール管理者に不正発生を知らせる不正発生音などが挙げられる。
上側スピーカ部29は、前扉枠14の上部において、左右の賞球ランプ部28に近接した位置のそれぞれに設けられている。各上側スピーカ部29は、それぞれ賞球ランプ部28の上方位置において、前扉枠14の上側の各隅角寄りの位置に配置されている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技媒体としての遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下皿34が球受け皿に相当する。
上皿33は、その奥壁に球入口33aを有し、後述する払出装置より払い出され当該球入口33aを介して導入された遊技球を一旦貯留するとともに、それら遊技球を一列に整列させながら球出口33b(図7参照)へ導く機能を有する。球出口33bから上皿33外に出た遊技球は後述する遊技球発射機構へ導かれる。
下皿34は、その奥壁に設けられた球入口34a,34b(図7参照)を有している。球入口34a,34bのうち第1球入口34aは、上皿33内にて余剰となった遊技球を下皿34に導入することが可能になっており、第2球入口34bは、上皿33に貯留されている遊技球を下皿34に導入することが可能になっている。また、下皿34の底部には、球抜き孔35が形成されており、下側膨出部32の前面側に設けられた球抜きレバー36が操作されることにより球抜き孔35が開放され、貯留された遊技球が下皿34の下方へ排出される。球抜き孔35は、閉鎖板37により開閉可能に閉鎖されており、閉鎖板37は、球抜きレバー36の操作に伴って開状態に移行する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。遊技球発射ハンドル41は、パチンコ機10の幅方向において下皿34を挟んで下側スピーカ部30の反対側に配置されている。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、前扉側通路ユニット45が取り付けられている。前扉側通路ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路部272と下皿34に通じる前扉側下皿通路部273とを有している(図15参照)。前扉側通路ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路部272の入口部分と前扉側下皿通路部273の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路部272に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路部273に入った遊技球は下皿34に導かれることとなる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
<内枠13>
次に、図2及び図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす内枠ベース50を主体に構成されている。内枠ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、内枠ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と内枠ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、内枠ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では内枠ベース50が幕板の上に載ることとなる。
内枠ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
内枠ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
内枠ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
内枠ベース50の中央部分には遊技盤ユニット60を収容する遊技盤収容部53が形成されている。遊技盤収容部53は遊技盤ユニット60の外形に合わせて遊技機後方に窪んだ凹部であり、遊技盤ユニット60はこの遊技盤収容部53に遊技機前方から嵌まった状態で手動式のロック機構によって固定されている。遊技盤収容部53の底部には、略矩形状の窓孔54が形成されており、この窓孔54を通じて遊技盤ユニット60の背面構成(後述する背面ブロック60b)が内枠13の後方に突出している。なお、この窓孔54については、内枠ベース50に装着された遊技盤ユニット60によってそのほぼ全域が遊技機前方から覆われた状態となっている。
<遊技盤ユニット60>
遊技盤ユニット60は、透明な合成樹脂材料からなる板材を主体として形成された遊技盤60aと、遊技盤60aの背面側に設けられ、後述する各種遊技部品(可変表示装置、制御装置、可動式の演出機構、発光可能な装飾部材等)がブロックベース136に搭載されてなる背面ブロック60bとが一体化されてなり、背面ブロック60bの前面部分が遊技盤60aを通じて視認可能となっている。
遊技盤60aの前面には遊技球が流下する上述した遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEは窓パネル部22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。窓パネル部22は、後側のガラスパネル23と遊技盤60aの前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤60a(詳しくは板体)は合成樹脂製に限定されるものではなく、木製とすることも可能である。
以下、図4に基づき遊技盤ユニット60(特に遊技盤60aの遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤ユニット60の正面図である。
図4に示すように、遊技盤60aには、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口61、可変入賞装置64、作動口62,63、スルーゲート65等がそれぞれ配設されている。一般入賞口61、可変入賞装置64及び作動口62,63に遊技球が入ると、それら遊技球が各入球部に対応して設けられた検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球(遊技球の払い出し)等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤60aの最下部にはアウト口68が設けられており、各種入球部等に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口68への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、可変入賞装置64、作動口62,63への遊技球の入球を「入賞」とも表現する。
また、遊技盤60aには、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘や風車等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
遊技盤60aの中央には中央開口72が形成されており、この中央開口72を遊技盤60aの背面側から覆うようにして透明な開口カバー(図示略)が取り付けられている。この中央開口72の背後には、背面ブロック60bに属する可変表示ユニット67等が位置しており、遊技機前方から当該中央開口72(開口カバー)を通じて可変表示ユニット67等を視認可能となっている。
ちなみに、遊技盤60aは、その透明な板材に重ねられた不透明なシート材を有している。このシート材は、透明な板材の前面側の板面に貼り付けられており、遊技盤60aの背面側への視線を遮ることになる。このため、背面ブロック60bにおいて遊技機前方から視認できる範囲は、遊技盤60aの中央開口72を通じて遊技機前方に露出する部分に限られることになる。
遊技盤60aにおいては、中央開口72の周辺に作動口62,63やスルーゲート65等が配設されている。作動口62,63は、可変表示ユニット67の下方に配設された上作動口62と、上作動口62の直下に配設された下作動口63とによって構成されており、特に下作動口(抽選契機入球部)63には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物71が設けられている。電動役物71は、左右一対の可動片と同可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、下作動口63への入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
この下作動口63よりも上流側(詳しくは可変表示ユニット67の側方)には上記スルーゲート65が配置されており、遊技球のスルーゲート65の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物71が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられることとなる。
なお、上作動口62への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口63への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上作動口62に対する下作動口63の有利性を高める上では、上作動口62に係る払出個数よりも下作動口63に係る払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)64には、遊技盤60aの背面側へと通じる大入賞口が形成されているとともに、当該大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉が設けられている。開閉扉は、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉は、遊技盤60aの背面側に設けられた可変入賞駆動部(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉は閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たり:通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行に当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置64の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば16ラウンド)を上限とした開閉扉の開放が繰り返されるように設定されている。
ここで、可変表示ユニット67について補足説明する。可変表示ユニット67は、作動口62,63への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置75を有している。図柄表示装置75は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置170によりその表示内容が制御される。図柄表示装置75の表示画面75aにおいては、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置75については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
遊技盤60aには、中央開口72を囲むようにしてセンターフレーム77が設けられている。センターフレーム77は、遊技盤60a(詳しくは板体)に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤60aの前面から起立した状態となることで当該センターフレーム77と上記窓パネル部22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置75に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット67(詳しくはセンターフレーム77)を右側から迂回するルートと、左側から迂回するルートに大別されている。
センターフレーム77の下部を構成している枠部の上面には、遊技球が左右に転動可能なステージ部が形成されている。センターフレーム77の左右の左枠部に形成された流入口から流入した遊技球は、同じくセンターフレーム77に形成されたワープ通路を通じてステージ部上に排出される。ステージ部については、当該ステージ部に到達した遊技球が上作動口62へと比較的流入しやすくなるように構成されており、このステージ部上での遊技球の動きに対する遊技者の注目度向上に貢献している。
ここで、本実施の形態においては上述したように透明な開口カバーによって中央開口72を覆っており、ステージ部上に到達した遊技球が背面ブロック60b(可変表示ユニット67)側へ移動しないように規制されている。
作動口62,63は、中央開口72(可変表示ユニット67)寄りとなる位置に配置されている。作動口62,63への入賞をトリガとして特別遊技状態に移行し得るため、遊技者は作動口62,63に入賞するか否かに注目するとともに、特別遊技状態に移行するか否かを把握するため図柄表示装置75に注目するものと考えられる。作動口62,63を可変表示ユニット67寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット67周辺に集中させるための工夫である。
遊技盤60aにおける右側の端部(後述する遊技盤ユニット60の回動先端部)には後述する誘導レール100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材99が配設されている。遊技領域区画部材99には、主表示ユニット81や誘導レール100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材が配設されている。ストッパ部材は誘導レール100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
ここで、主表示ユニット81について補足説明する。主表示ユニット81は遊技領域区画部材99に埋設されており、その一部が窓パネル部22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部が設けられている。主表示ユニット81については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部の表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示部は、上作動口62への入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動口用表示部と、下作動口63への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動口用表示部とを有してなる。下作動口用表示部では、上作動口62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上作動口62への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
下作動口用表示部では、下作動口63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口63への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、右作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードへ移行される。
ここで、いずれかの作動口62,63への入賞に基づいて、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
また、主表示ユニット81の主表示部には上記両表示部以外に、スルーゲート65への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート65への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート65への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート65への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口63に設けられた上記電動役物71が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート65を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット81の主表示部にはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
以上詳述した主表示部については、前扉枠14の窓パネル部22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
再び図2を用いて内枠13の構成について説明すれば、内枠ベース50において遊技盤60aの搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が内枠ベース50に固定されることで内枠ベース50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤60a側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤60a側、詳しくは遊技盤60aに装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。遊技球発射ハンドル41の操作量を調整することにより、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域や同遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の右側となる領域への遊技球の打ち分けが可能となっている。
なお、遊技盤60aにおいて出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100(図4参照)及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60aの下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60aの下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤60aの下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路118が配設されている。ファール球通路118は前扉枠14の前扉側通路ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路118内に入ることとなる。ファール球通路118は前扉側下皿通路部273に通じており、ファール球通路118に入った遊技球は第2球入口34bから下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
内枠ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には内枠ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に内枠側通路ユニット121が配設されている。内枠側通路ユニット121は、内枠ベース50に対してネジ止めされている。
次に、図3に基づき内枠13(内枠ベース50及び遊技盤ユニット60)の背面構成について説明する。
内枠ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、内枠ベース50の背面には、裏パックユニット15を閉じた状態で内枠ベース50に固定するための固定レバーが複数設けられている。
既に説明したように、内枠ベース50における遊技盤収容部53の底部分には、内枠ベース50の厚さ方向に貫通し同内枠ベース50の背面側に開放された窓孔54が形成されており、その窓孔54が遊技盤収容部53に収容された遊技盤ユニット60によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤ユニット60(背面ブロック60b)の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は窓孔54を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、遊技盤ユニット60の背面の構成について説明する。
また、遊技盤60aの背面に取り付けられた背面ブロック60bは、遊技盤60a側に開放された略箱状のブロックベース136を有してなり、このブロックベース136が遊技盤60aの背面に固定されることで、遊技盤60aと背面ブロック60bとが一体化されている。
より具体的には、ブロックベース136の一部が内枠ベース50の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置75と、その図柄表示装置75を駆動するための表示制御装置170とが取り付けられている。これら図柄表示装置75及び表示制御装置170は前後方向(内枠ベース50の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置170が後側となるように重ねて配置されている。さらに、ブロックベース136の背面部には、表示制御装置170の後方に位置するようにして報知・演出制御装置143が搭載されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプ表示、及び表示制御装置170の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置143の下方には、ブロックベース136を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤ユニット60(詳しくは背面ブロック60b)の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部は、基板ボックス163の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数の封印部のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
ブロックベース136の前面部において遊技盤60aの背面下部と対向している部分には、前記一般入賞口61,可変入賞装置64、作動口62,63の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路(図示略)が形成されている。これにより、一般入賞口61等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤ユニット60の下方に集合する構成となっている。つまり、ブロックベース136には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤ユニット60の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤ユニット60の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口68についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口68を介して排出通路内に導出される。
また、背面ブロック60bを構成するブロックベース136には、上述した各入球部用の検知センサとして、上記一般入賞口61に入賞した遊技球を検知する一般入賞口用検知センサと、可変入賞装置64に入賞した遊技球を検知する可変入賞装置用検知センサと、作動口62,63に入った遊技球を検知する作動口用検知センサとが装着されており、それら各種検知センサによって入賞検知機構が構成されている。これら各種検知センサは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各検知センサから検知情報(検知信号)が同主制御装置162に出力される構成となっている。
<裏パックユニット15>
次に、図2、図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部252(図11参照)に供給される。
払出装置222の構成について図5を参照しつつ説明する。図5は、払出装置222内部に形成された通路構造を示す縦断面図である。なお、図5においては、払出装置222内部を硫化する遊技球を二点鎖線で示す。
図5に示すように、払出装置222のハウジング222aには、その上端にタンク76側から供給される遊技球を内部に取り込むための遊技球入口222bが形成されており、さらに内部にこの遊技球入口222bから入球した遊技球を通過させるための遊技球通路222cが設けられている。
遊技球通路222cはハウジング222aの下端に形成された遊技球出口222dに通じており、遊技球入口222bから入球した遊技球は遊技球出口222dに向けて1個ずつ流下する。遊技球通路222cの中間部分には通路幅が左右に広がった収容部が設けられており、同収容部に回転体222eが収容されている。回転体222eはその中心が、払出モータの出力軸222fに固定されている。また、回転体222eの周縁には、180°間隔で2箇所に凹部222gが形成されている。遊技球通路222cを流下してきた遊技球が回転体222eの凹部222gに到達すると当該遊技球は回転体222eの回転に伴って下流側に導出される。
払出モータは、ステッピングモータにより構成されており、出力軸222fは所定方向に回転駆動される。払出モータは、後述する払出制御装置181によって駆動制御される。この場合に、タンク76側から遊技球が連続して供給されている状況で払出モータが通常の速度で連続駆動した場合には、30msec周期で1個の遊技球が払い出されることとなる。
遊技球通路222cには、収容部よりも下流側の位置に略平板状をした払出球検知センサ222hが設置されている。払出球検知センサ222hは、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知部の貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。なお、払出球検知センサ222hは磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。払出球検知センサ222hは払出制御装置181に電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、当該出力レベルの関係が逆であってもよい。この払出球検知センサ222hにより、払出装置222を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源・発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源・発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置191は、基板ボックス内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置191にはRAM消去スイッチが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<前扉枠14>
次に、前扉枠14の構成について図6、図7を参照しつつ説明する。図6は前扉枠14の分解斜視図、図7は前扉枠14の正面図である。
図6に示すように、前扉枠14は、窓パネル部22を支持しているベース部材としてのベース枠231と、窓パネル部22の上方に設けられた上部前面カバー232と、窓パネル部22の側方に設けられた側部前面カバー233,234と、窓パネル部22の下方に設けられた下部前面カバー235と、窓パネル部22の下方に設けられた上皿ユニット236と、この上皿ユニット236の下方に設けられた下皿ユニット237とを有している。
カバー232〜235及びユニット236,237は、ベース枠231を前方から覆う状態でそのベース枠231に対して着脱可能に取り付けられている。これらカバー232〜235及びユニット236,237は、ネジ等の可逆的螺着部材がベース枠231の背面側からカバー232〜235やユニット236,237に螺着されていることで、ベース枠231に対して固定されている。
ベース枠231は、ABS樹脂などの合成樹脂製により全体として板状に形成されており、外形が内枠13とほぼ同一形状をなしている。ベース枠231には、窓部21を形成する貫通孔が設けられており、その貫通孔に対して窓パネル部22が取り付けられている。なお、ベース枠231の前面における一方の側部の上下両端には軸金具が取り付けられており、これら軸金具が内枠13の支持金具51,52に対して回動可能に支持されている。
ベース枠231には、多数のLEDを有するLED基板が複数取り付けられており、これらLED基板を前方から覆う位置に上部前面カバー232及び側部前面カバー233,234が配置されていることで環状ランプ部26が形成されている。特に、上部前面カバー232がエラー表示ランプ部27を形成しており、側部前面カバー233,234が賞球ランプ部28を形成している。
上部前面カバー232及び側部前面カバー233,234は、ABS樹脂、ポリカーボネート及びアクリル樹脂などにより形成された合成樹脂製部材が複数組み合わされてなり、これらの各合成樹脂製部材により前後に起伏したデザインが施されている。なお、上部前面カバー232及び各側部前面カバー233,234のうちのいずれか又は全部を、単一の合成樹脂材料により形成してもよく、各合成樹脂製部材を単一の合成樹脂材料により形成してもよい。
上側スピーカ部29は、ベース枠231の上部に取り付けられた上側スピーカ29aを有している。上側スピーカ29aは、ベース枠231に形成された開口部に挿通された状態で設けられており、その前面部分がベース枠231の前面に引っ掛かった状態で配置されている。上側スピーカ部29においては、上側スピーカ29aが上部前面カバー232により前方から覆われており、前方に露出しないようになっている。その一方で、上部前面カバー232には、上側スピーカ29aに対向する部分に多数のスピーカ孔が形成されており、上側スピーカ29aから出力された音がスピーカ孔を通じて前方に放出されるようになっている。
下部前面カバー235には、この下部前面カバー235を前後に貫通する挿通孔が設けられており、内枠13のシリンダ錠58は、この挿通孔に挿通されていることでパチンコ機10の前面側に露出している。なお、下部前面カバー235は、上皿ユニット236や下皿ユニット237に一体化して設けられていてもよい。
上皿ユニット236は上側膨出部31(上皿33)を有しており、下皿ユニット237は下側膨出部32(下皿34)を有している。ベース枠231において、上皿ユニット236及び下皿ユニット237の取り付け位置には、金属材料により形成された補強板が設けられており、ベース枠231による上皿ユニット236及び下皿ユニット237の支持強度が高められている。
上皿ユニット236は、ベース枠231の前面に重ねられた上皿ベース部236aを有しており、上側膨出部31は、上皿ベース部236aから前方に膨出している。上皿ベース部236aには、上皿33の貯留領域の奥側に2つの開口部が設けられており、これら開口部のうち一方が球入口33aを形成し、他方が球出口33bを形成している。球入口33aと球出口33bとは横並びに配置されており、前扉枠14の幅方向において、上皿33の一端寄りの位置に球入口33aが配置され、他端寄りの位置に球出口33bが配置されている。なお、球入口33aや球出口33bに対応させてベース枠231にも2つの開口部が形成されている。
上皿ユニット236には、球貸し操作装置239が設けられている。球貸し操作装置239は、球貸しボタンや返却ボタン、度数表示部を備えている。パチンコ機10側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で、球貸し操作装置239によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタンは、貸出球を得るために操作されるものであり、投入された紙幣やカード等の残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。
なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿33に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では球貸し操作装置239が不要となるが、かかる場合には、球貸し操作装置239の設置部分に飾りシール等が付されるようになっている。
また、球貸し操作装置239には、球抜きボタン241が設けられている。上皿ユニット236及び下皿ユニット237には、図7に示すように、上皿33の球出口33bと下皿34の第2球入口34bとを連通する球抜き通路242が設けられている。球抜き通路242の入口部分は上皿33に内蔵された球止め装置により基本的に閉鎖されており、球貸し操作装置239の上面から上方に突出させて設けられた球抜きボタン241が押圧されることにより球止め装置が開放状態となり、上皿33に貯留されている遊技球が球抜き通路242を通じて下皿34に排出される。なお、球抜きボタン241を球貸し操作装置239とは別に設置する構成としてもよい。
<下皿34>
下皿34について詳細に説明する。以下の説明では、図6〜図9を参照する。図8は図7のA―A線断面図、図9は図7のB−B線断面図である。
下皿ユニット237は、ベース枠231の前面に重ねられた下皿ベース部237aを有しており、下側膨出部32は、下皿ベース部237aから前方に膨出している。下皿34は、下側膨出部32を上方から凹ませるようにして形成されており、下皿ベース部237aの一部である奥壁部243と、当該奥壁部243の下端から前方に延びる底部244と、上記奥壁部243とともに底部244の周縁を囲んで下皿34を上方に開放された形状とする囲み壁部245と、を備えている。
奥壁部243は上皿33の底部に対して連続的となっており、多数の遊技球分の高さ寸法を有している。第1球入口34a及び第2球入口34bは、奥壁部243に設けられた四角形状(又は略四角形状)の開口部であり、パチンコ機10前方に向けて開放されている。第1球入口34aは、前扉側通路ユニット45の前扉側下皿通路部273の下流側端部に接続されており、前扉側下皿通路部273を流下した遊技球は第1球入口34aから下皿34に排出される。この場合、第1球入口34aは、裏パック側下皿通路部259、内枠側下皿通路部263及び前扉側下皿通路部273に加えて下皿通路に含まれていることになる。
上皿33が満杯状態である状況で払出装置222から払い出された遊技球は第1球入口34aを介して下皿34に排出される。また、上皿ユニット236と下皿ユニット237には、既に説明したように球抜き通路242が設けられており、当該球抜き通路242の球出口が第2球入口34bとなっている。ちなみに、球抜き通路242は下皿ユニット237において奥壁部243内に内蔵されている(図9等参照)。球抜きボタン241が押圧されることにより球止め装置が開放状態となり、上皿33に貯留されている遊技球が球抜き通路242を通じて下皿34に排出される。
第1球入口34aは奥壁部243において左右方向の中央に形成されており、複数の遊技球が左右方向及び上下方向に並んだ状態で通過可能な開口寸法を有している。具体的には、左右方向が遊技球3個分であり、上下方向が遊技球2個分となっている。一方、第2球入口34bは奥壁部243において第1球入口34aの横方(具体的には、右方)に形成されている。また、第1球入口34a及び第2球入口34bは共に、底部244に対して上方に離間された位置にあり、第1球入口34a及び第2球入口34bの各下縁は底部244に対して少なくとも遊技球1個分上方に位置している。第1球入口34aについてより詳細には、第1球入口34aの下縁は底部244に対して遊技球略2個分、上方に位置している。但し、これに限定されることはなく、遊技球1.5個分、遊技球2.5個分、又は遊技球3個分以上、上方に位置している構成としてもよい。
第1球入口34aは上記のとおり払出装置222から払い出された遊技球を下皿34に排出する機能を有しているため、例えば大当たり状態時などには多数の遊技球が短い期間で第1球入口34aを通過することがあり、これら多数の遊技球は下皿34にて貯留されることとなる。この場合に、第1球入口34aを底部244に対して上方に離間させた位置に形成することで、多数の遊技球が底部244上に貯留された状況であっても、それら遊技球により第1球入口34aが塞がれてしまうことが阻止され、当該状況であっても第1球入口34aを通じた下皿34への遊技球の排出が良好に行われる。
図8に示すように、第1球入口34aの底面は、その第1球入口34aの幅方向に延びた段差部分を有しており、その段差部分は、下皿34の底部244から後方に後退した位置において、上下方向に延びた状態で前方を向いている後退面246aを有している。第1球入口34aの底面は、後退面246aの上端から後方(前扉側下皿通路部273の下流側端部の底面)に向けて延びた上段面246bと、後退面246aの下端から前方(下皿34の底部244)に向けて延びた下段面246cとを有している。なお、第1球入口34aの断面積は、段差部分(後退面246a)の存在によって、前扉側下皿通路部273から下皿34に向けて段階的に大きくされている。
後退面246aは、その左右方向寸法が第1球入口34aの左右方向寸法と同一となっており、具体的には遊技球2個分となっている。なお、これに限定されることはなく、2個以上の遊技球が並んで入ることが可能な左右方向寸法としてもよい。また、後退面246aは奥壁部243における他の面に対して少なくとも遊技球1個分後退している。なお、これに限定されることはなく、遊技球2個分以上後退した構成としてもよい。また、後退面246aは、第1球入口34aから排出される遊技球が当該後退面246aに沿って配置された遊技球を乗り越えてそれら配置された遊技球よりも前方の領域にて貯留されるように、底部244に対する高さ及び底部244に対する傾斜角度が設定されている。具体的には、底部244に対する高さが遊技球略2個分(遊技球略複数個部)となっており、さらには底部244に対して略垂直となっている。なお、これに限定されることはなく、第1球入口34aから排出される遊技球が当該後退面246aに沿って配置された遊技球を乗り越えてそれら配置された遊技球よりも前方の領域にて貯留されるのであれば、底部244に対する高さ及び底部244に対する傾斜角度は任意である。上記のように後退面246aが形成されていることにより、それだけ下皿34における遊技球の貯留容量が確保されている。
一方、下皿ユニット237において奥壁部243の奥側には上記のとおり上皿33からの球抜き通路242の一部が内蔵されているため、第1球入口34aの底面に後退面246aを形成していることで、球抜き通路242の一部を内蔵させるための空間を奥壁部243に確保しながら下皿34における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。
なお、後述するように本パチンコ機10は、遊技球発射機構110から発射されたが遊技領域まで至らず、内,外レール101,102によって構成される誘導レール100を逆流してくる戻り球を回収するとともにその回収した遊技球を下皿34に排出するファール球通路118を備えており、当該ファール球通路118は奥壁部243の奥側にて球抜き通路242に合流されるとともにファール球通路118を通過した遊技球は第2球入口34bから下皿34に排出される。つまり、戻り球が通過するファール球通路118を含む通路部は一部が奥壁部243に内蔵されている。当該構成において、上記のとおり、第1球入口34aの底面に後退面246aを形成することで、球抜き通路242とファール球通路118との合流を空間的な余裕を持って行うことを可能としつつ下皿34における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。また、下皿ユニット237において奥壁部243の奥側には下皿ユニット237に設けられた電気部品の配線の設置空間が形成されている。これに対して、第1球入口34aの底面に後退面246aを形成することで、上記設置空間を確保しながら下皿34における遊技球の貯留容量を確保するという効果を得ることができる。
ちなみに、図8及び図9に示すように、球抜き孔35は、下皿34の底部244において、第1球入口34aの前方位置に配置されており、囲み壁部245の前面に設けられた球抜きレバー36により開放操作される閉鎖板37により自然状態では閉塞されている。そして、底部244の上面は当該球抜き孔35に向けて下り傾斜となるように形成されている。つまり、下皿34に貯留されている遊技球は球抜き孔35に向けて自ずと移動することとなる。当該構成においては、下皿34に比較的少数の遊技球のみが貯留されている場合、それら遊技球は閉鎖板37上に位置する。この場合に、上記のとおり奥壁部243において閉鎖板37の後方箇所に後退面246aが形成されていることにより、閉鎖板37上に向けて手を差し入れる場合において閉鎖板37の後方に空間的なゆとりが生じ、閉鎖板37上に位置している遊技球の手による取り出しを良好に行うことが可能となる。つまり、後退面246aは下皿34の貯留容量を確保するという効果を奏するだけでなく、上記のように下皿34からの手による遊技球の取り出しを良好なものとするという効果も奏する。
上記のように後退面246aが形成された構成において、図8及び図9に示すように、第1球入口34aは、前方に向けて斜め上方に延びている上方テーパ面247aを天井面として有しているとともに、第1球入口34aの外側に向けて斜め側方に延びている側方テーパ面247bを一対の側面として有している。この場合、第1球入口34aの断面積は、底面が階段状に形成されていることを含めて、上方テーパ面247a及び側方テーパ面247bにより、前扉側下皿通路部273から下皿34に近付くにつれて増加しており、その増加率は、前扉側下皿通路部273の増加率よりも大きくなっている。具体的には、第1球入口34aの断面積は、下皿34に向けて指数関数的に増加している。
第1球入口34aに後退面246aが形成された構成においては、後退面246a側に凹んだ箇所に遊技球が待機することがある。これに対して、上記のように各テーパ面247a,247bが形成されていることにより、後退面246a側に凹んだ箇所に手を差し入れ易くなり、当該箇所に待機している遊技球を取り出し易くなる。また、単なる後退面とするのではなくテーパ面とすることにより、単なる後退面とする構成に比して、奥壁部243の内蔵空間を広く確保することが可能となる。
囲み壁部245は、底部244の前縁及び左右の縁を規制するようにして形成されている。囲み壁部245の高さ寸法はその全体が奥壁部243よりも小さくなっており、さらには前側の方が後側よりも高さ寸法は小さくなっている。この囲み壁部245における当該囲み壁部245の前側端部を含む前側領域248は、図7に示すように、パチンコ機10の正面視で第1球入口34aと前後に並んでおり、左右方向の所定範囲に亘って高さ寸法が略同一となっている。
ここで、前側領域248は、図8に示すように、上端が第1球入口34aの下端よりも下方に位置するように、底部244に対する高さ寸法が設定されている。当該構成であることにより、上皿33の下面から下皿34の前側領域248までの距離を長く確保することが可能となる。また、当該両者の距離を長く確保する構成に関して、図7に示すように、上皿33の下面は上方に凹ませて形成されており、これによっても上皿33の下面から下皿34の前側領域248までの距離が長く確保されている。下皿34にて貯留されている遊技球は上皿33と下皿34との間から取り出され上皿33へ補充されることがあり、この場合に、上皿33の下面から下皿34の前側領域248までの距離を長く確保することで、上記補充作業の作業性の向上が図られている。特に、本パチンコ機10では遊技領域の拡張が図られており、それに伴って上皿33と下皿34との間の距離が狭くなっている。これに対して、上皿33の下面から下皿34の前側領域248までの距離を上記のように長く確保することで、上記補充作業の作業性が低下することを抑制しつつ遊技領域の拡張を図ることが可能となる。ちなみに、囲み壁部245において前側領域248以外の領域は、その上端が第1球入口34aの下端よりも上方に位置している。
上記のように前側領域248の高さ寸法を小さくした構成においてはそれだけ下皿34の貯留容量が小さくなる。これに対して、上記のとおり奥壁部243に後退面246aが形成されていることにより、下皿34の貯留容量が極端に小さくなってしまうことが防止されている。
また、前側領域248は第1球入口34aの前方に位置しているため、当該前側領域248の高さ寸法を小さくすると、第1球入口34aから排出された遊技球がその排出された勢いで前側領域248を越えて下皿34外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のとおり奥壁部243に後退面246aが形成されていることにより、第1球入口34aに対する前側領域248の距離が長く確保されている。そして、第1球入口34aに対する前側領域248の距離が長く確保されていることで、第1球入口34aから排出された遊技球には前側領域248に到達するまでに勢いが低減される機会が多く付与されることとなり、下皿34外に零れてしまうことが抑制される。さらにまた、払出装置222から第1球入口34aに続く通路部には、第1球入口34aから排出される遊技球の勢いを低減するための構成が設けられている。これについては後に説明する。
<下側スピーカ30a>
図6、図7の説明に戻り、下側スピーカ30aは、ベース枠231の下部に取り付けられた下側スピーカ30aを有している。ベース枠231には、球入口33aの下方位置に下方開口部231aが形成されており(図12参照)、下側スピーカ30aにおいては、その前面部分がベース枠231の前面に引っ掛かった状態で、その背面部分が下方開口部231aに挿通されている。下側スピーカ部30においては、下側スピーカ30aが下皿ユニット237により前方から覆われており、前方に露出しないようになっている。その一方で、下皿ユニット237には、多数のスピーカ孔を有するスピーカカバー250が、下側スピーカ30aの前面部分に対向する位置に設けられており、下側スピーカ30aの前面側から出力された音が多数のスピーカ孔を通じて前方に放出されるようになっている。この場合、下側スピーカ部30は、下側スピーカ30a及びスピーカカバー250を有していることになる。なお、スピーカカバー250のスピーカ孔が音放出部に相当する。
スピーカカバー250は、下皿ユニット237の下側膨出部32において下皿34の左方に配置されている。スピーカカバー250は、そのカバー面が前方の斜め上方に向けて配置されており、スピーカ孔から放出された音が遊技者に聞こえやすくなっている。下皿ユニット237においては、上述したように下側膨出部32の右方に遊技球発射ハンドル41が設けられており、スピーカカバー250は、下皿34を挟んで遊技球発射ハンドル41とは反対側に配置されている。
なお、図9に示すように、下皿ユニット237は、下皿ベース部237aと下側膨出部32の外周部との間に形成された内部空間を有しており、下皿ベース部237a及び下側膨出部32の外周部のそれぞれにおいて、下側スピーカ30aの前面部分に対向する位置には、開口部249a,249bが形成されている。スピーカカバー250は、下側膨出部32に形成された膨出開口部249bを塞いだ状態でその下側膨出部32に取り付けられており、下側スピーカ30aの前面側から出力された音は、下皿ベース部237aのベース開口部249aを通じて下皿ユニット237の内部空間に伝わり、さらに、スピーカカバー250の各スピーカ孔を通じて前方に放出される。
ちなみに、スピーカカバー250は、下側膨出部32に一体的に設けられていてもよい。例えば、下側膨出部32において、下側スピーカ30aの前方位置に多数のスピーカ孔が形成され、これらスピーカ孔が形成された部分がスピーカカバー250とされた構成とする。
下側スピーカ30aは、ダイナミック型のスピーカ装置とされており、音を発生する音発生手段に相当する。下側スピーカ30aは、コーン形状のコーン紙等の振動板30bと、この振動板30bに接続されたボイスコイル30cとを有しており、下側スピーカ30aをコーン型のスピーカユニットと称することもできる。下側スピーカ30aは、振動板30b及びボイスコイル30cに加えて、ボイスコイル30cを動作させる永久磁石を有している。永久磁石は、ドーナツ型に形成されていることで中空部を有しており、ボイスコイル30cは、その中空部に挿入された状態で設けられている。下側スピーカ30aにおいては、ボイスコイル30cが通電されることで、そのボイスコイル30cと共に振動板30bが振動し、振動板30bの振動により音が発生する。この場合、振動板30bから後方に出力された音は、前方に出力された音に対して逆位相を有することになる。なお、下側スピーカ30aにおいては、ボイスコイル及び永久磁石により駆動部が構成されている。
下側スピーカ部30においては、下側スピーカ30aに対してエンクロージャ331(図21参照)が設けられており、下側スピーカ30aの背面側から出力された音の低音域が増強された状態で前方に放出されるようになっている。この場合、下側スピーカ部30は、下側スピーカ部30及びエンクロージャ331を有するバックロードホーン型のスピーカシステムになっており、エンクロージャ331においては、中高音域が減衰しやすく且つ低音域が増幅しやすくなっている。また、下側スピーカ部30においては、前扉側下皿通路部273がエンクロージャ331に含まれており、下側スピーカ30aの背面側から出力された音が、前扉側下皿通路部273を通じて下皿34の第1球入口34aから放出されるようになっている。
下側スピーカ部30についての詳細な説明は後述する。
<上皿33及び下皿34への遊技球の通路構成>
次に、上皿33及び下皿34への遊技球の通路構成について説明する。図10は遊技球の通路構成を説明するための説明図である。なお、図10においては、便宜上、内枠13側及び裏パックユニット15側の通路構成について断面で示す。
払出装置222は、上述したとおりパチンコ機10の背面部を構成する払出機構部202に設けられている。払出装置222の下方には上下方向に延びる払出通路251が形成されており、払出装置222から払い出された遊技球は払出通路251を流下し、払出機構部202の下端に形成された遊技球分配部252に導入される。
遊技球分配部252は、払出装置222より払い出された遊技球を前扉枠14に設けられた上皿33側又は下皿34側に振り分ける機能を有する。遊技球分配部252の構成を、図11に示す遊技球分配部252周辺の縦断面図を参照しながら説明する。遊技球分配部252は上方及び前方に開放しており、その内部が2つの仕切壁253a,253bによって仕切られることで3つの開口部255a,255b,255cが左右方向に並設されている。
これら開口部255a,255b,255cのうち、パチンコ機10内側の開口部255aは上皿33へ続く上皿通路に通じており、中央の開口部255bは下皿34へ続く下皿通路に通じている。なお、パチンコ機10外側の開口部255cは排出通路に通じており、タンク221に貯留された遊技球の排出作業においてはそれら貯留された遊技球が外側の開口部255cを介して排出通路に導かれパチンコ機10の外部に排出される。
図10の説明に戻り、上皿通路は、裏パックユニット15に設けられた裏パック側上皿通路部258と、内枠13に設けられた内枠側上皿通路部262と、前扉枠14に設けられた前扉側上皿通路部272とから構成されている。同様に、下皿通路は、裏パックユニット15に設けられた裏パック側下皿通路部259と、内枠13に設けられた内枠側下皿通路部263と、前扉枠14に設けられた前扉側下皿通路部273とから構成されている。
これら各通路部258,259,262,263,272,273について詳細に説明する。
<裏パック側通路ユニット257>
裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、裏パックユニット15の回動基端側においてベース部211を前後方向に貫通するようにして設けられた裏パック側通路ユニット257に形成されている。裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は通路壁によって区画され左右方向に並設されている。また、裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259は、それぞれ前後方向に延びており、下流側に向けて下り傾斜となっている。以上の構成において裏パック側上皿通路部258及び裏パック側下皿通路部259に導入された遊技球は、底部258a,259a上を転がった後に内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263のそれぞれに排出される。
ちなみに、裏パック側下皿通路部259は裏パック側上皿通路部258に比べ幅寸法(左右方向寸法)が大きくなっている。これは、以下の理由による。つまり、払出装置222から払い出された遊技球は裏パック側上皿通路部258へ続く遊技球分配部252の内側の開口部255aに導かれる。これに対して、裏パック側下皿通路部259へは、遊技球分配部252において内側の開口部255aに遊技球が充たされ、当該開口部255aから溢れた遊技球が導かれる。したがって、裏パック側上皿通路部258を通過する遊技球に比べ、裏パック側下皿通路部259を通過する遊技球はその軌道が不規則となり、裏パック側下皿通路部259内での球詰まりの発生が懸念される。これに対して、裏パック側通路ユニット257という限られた空間において、裏パック側下皿通路部259の幅寸法を裏パック側上皿通路部258よりも大きくすることで、上記球詰まりが発生する確率が低減される。なお、下皿通路において球詰まりが発生する確率を低減するために、裏パック側下皿通路部259だけでなく、内枠側下皿通路部263及び前扉側下皿通路部273についても各上皿通路262,272より幅寸法が大きくなっている。つまり、開口面積が大きくなっている。
<内枠側通路ユニット121>
内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263は、内枠13の回動基端側において内枠ベース50を前後方向に貫通するようにして設けられた内枠側通路ユニット121に形成されている。なお、遊技盤60aにはその隅角に内枠側通路ユニット121を避けるようにして切欠部267が設けられている(図4参照)。
内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263は、仕切用通路壁264によって区画されて左右方向に並設されており、それぞれ球出口262a,263aが下方を向くようにして形成されている。詳細には、内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263の上流側は下流側に向けて下り傾斜となっており、その下流側では若干下方に延出させて球出口262a,263aが形成されている。以上の構成において内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263に導入された遊技球は、底部262b,263b上を転がり球出口262a,263aを介して前扉側上皿通路部272及び前扉側下皿通路部273のそれぞれに排出される。ちなみに、内枠側上皿通路部262は内枠側下皿通路部263に比べ幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
<前扉側通路ユニット45>
上述したように、前扉側通路ユニット45は、前扉側上皿通路部272及び前扉側下皿通路部273を有しており、ここでは、前扉側通路ユニット45について図12〜図16を用いて説明する。図12は前扉枠14から前扉側通路ユニット45を分離した状態を示す斜視図、図13は前扉側通路ユニット45の斜視図、図14は前扉側通路ユニット45の分解斜視図、図15は前扉側通路ユニット45の正面図、図16は前扉側通路ユニット45の内部構造を示す図、図17は前扉側通路ユニット45の平面図である。なお、図16においては、前扉側上皿通路部272やファール球通路118の図示を省略している。
前扉側通路ユニット45は、図14に示すように、平行に配置された一対のベース板274a,274bと、これらベース板274a,274bを連結している複数の連結板274cとを有している。これらベース板274a,274b及び連結板274cは、ポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂材料により形成されている。一対のベース板274a,274bは、パチンコ機10の前後方向に離間して配置されており、各連結板274cは、前後方向に延びた状態で一対のベース板274a,274bに掛け渡されている。
各連結板274cは、一対のベース板274a,274bのうち、前側(ベース枠231側)に配置された前側ベース板274aに一体的に成型されており、後側に配置された後側ベース板274bが、連結板274c及び前側ベース板274aに対してネジ固定されている。
前扉側通路ユニット45においては、前扉側上皿通路部272及び前扉側下皿通路部273の上流側端部を構成する受口部275が形成されているとともに、受口部275よりも下流側において前扉側下皿通路部273を構成する前扉側通路形成部276(図12等参照)が形成されている。これら前扉側上皿通路部272及び前扉側下皿通路部273は、一対のベース板274a,274bの間において連結板274cにより区画された空間部になっている。
なお、前扉側通路ユニット45は受口部275及び前扉側通路形成部276の他に板状部271を有している。この前扉側通路ユニット45は、前扉側上皿通路部272の出口272aが上皿33の球入口33aと前後に重なり、前扉側下皿通路部273の出口273aが下皿34の第1球入口34aと前後に重なるようにして、前扉枠14の背面に対してパチンコ機10後方からネジ固定されている。この場合、前扉側通路ユニット45の板状部271は前扉枠14の背面に重ねられた状態で、その背面に当接している。
ちなみに、前扉側通路ユニット45には、補強金属板301,302が取り付けられている。これら補強金属板301,302のうち、第1補強金属板301は受口部275に取り付けられている。また、第2補強金属板302は前扉側通路形成部276に取り付けられている。受口部275は上皿33の球入口33aに通じており、また前扉側通路形成部276は下皿34の第1球入口34aに通じている。したがって、パチンコ機10前方から球入口33a又は第1球入口34aを介して不正用冶具を挿入し、さらに受口部275の壁又は前扉側通路形成部276の壁を破壊してその挿入した不正用冶具を遊技領域や遊技盤60aの裏面まで侵入させる行為が想定される。これに対して、上記のように補強金属板301,302が取り付けられていることにより、受口部275の壁又は前扉側通路形成部276の壁が破壊されたとしても上記不正用冶具のそれ以上の侵入を阻止することが可能となる。
前扉側通路ユニット45の受口部275及び前扉側通路形成部276について説明する。受口部275が形成された位置は前扉側通路ユニット45において上側隅部であり、前扉枠14との関係では当該前扉枠14の回動基端側となっている。また、受口部275は、前扉側通路形成部276よりもパチンコ機10の後方に突出しており、さらには前扉枠14の回動軸よりもパチンコ機10の後方にある。そして、前扉枠14を閉鎖した状態において、受口部275は内枠13の前側端部よりも後側に入り込んでいる。
但し、受口部275は内枠13の後側端部よりも前側にあり、内枠13(内枠ベース50)には受口部275と対峙する位置に、当該受口部275の突出側をカバーするカバー部としての収容凹部292bが形成されている(図18参照)。よって、前扉枠14を閉鎖した状態において受口部275は内枠13を前後方向に貫通していない。
受口部275は図13等に示すように上方に開放されており、その左右方向の略中央には底部から上方に起立した仕切壁277が一体形成されている。この仕切壁277に仕切られることで、受口部275には2つの開口部278,279が左右方向に並設されている。かかる構成において、受口部275におけるパチンコ機10内側の側壁はパチンコ機10後側などに比べ背が高くなっており、当該側壁には庇部275aが形成されている。この庇部275aが形成されていることにより、上記2つの開口部278,279のうちパチンコ機10内側の内側開口部278はパチンコ機10外側の外側開口部279よりも幅寸法(左右方向寸法)が小さくなっている。
パチンコ機10内側開口部278は、内枠側上皿通路部262の球出口262aと上下に対峙しており、図15等に示すように、前扉側上皿通路部272の球入口となっている。また、パチンコ機10外側開口部279は、内枠側下皿通路部263の球出口263aと上下に対峙しており、前扉側通路形成部276に形成される前扉側下皿通路部273の球入口となっている。この場合に、上記のとおり、受口部275は内枠13の前側端部よりも後側に入り込んでいるため、前扉側上皿通路部272と内枠側上皿通路部262との境界部分、及び前扉側下皿通路部273と内枠側下皿通路部263との境界部分は、その一部が内枠13の前側端部よりも後側に入り込んでいる(図10等参照)。
内側開口部278と上皿33の球入口33aとは前後に並んでおり、前扉側上皿通路部272はそれら内側開口部278と球入口33aとを繋ぐように前後方向に延びている。なお、前扉側上皿通路部272は上皿33の球入口33aに向けて幅寸法(左右方向寸法)が大きくなっている。
外側開口部279と下皿34の第1球入口34aとは左右方向及び上下方向にずれた位置関係となっている。つまり、外側開口部279が前扉枠14の回動基端側にあり、下皿34の第1球入口34aは前扉枠14の左右方向の中央付近にある(図12等参照)。また、外側開口部279に対して下皿34の第1球入口34aは下方にある。これら外側開口部279と下皿34の第1球入口34aとを繋ぐように、前扉側下皿通路部273が形成されている。前扉側下皿通路部273は前扉枠14の背面に沿っており、クランク状をなしている。詳細には、図15、図16に示すように、前扉側下皿通路部273が上段横通路部284と縦通路部285と下段横通路部286とを有している。このように前扉側下皿通路部273をクランク状とすることで、直線状とする構成に比して通路長が長くなっている。
前扉側下皿通路部273は、一対のベース板274a,274bの間において連結板274cにより仕切られていることに起因して、断面矩形状の空間になっている。前扉側下皿通路部273においては、上段横通路部284及び下段横通路部286が同じ角度で下流側に向けて斜め下方に延びており、遊技球がそれぞれの横通路部284,286の下流側端部に向けて流下するようになっている。上段横通路部284においては、その上流側端部が受口部275の下方に配置されており、その下流側端部が下段横通路部286の上流側端部の上方に配置されている。下段横通路部286の下流側端部は、下皿34の第1球入口34aの後方に配置されている。縦通路部285は、上下方向に延びた状態で上段横通路部284の下流側端部と下段横通路部286の上流側端部とを接続している。
前扉側下皿通路部273は、ベース枠231の背面に沿って折れ曲がっており、その折れ曲がり部分として中間曲がり部304を複数有している。中間曲がり部304は、上段横通路部284と縦通路部285との接続部分、及び縦通路部285と下段横通路部286との接続部分のそれぞれにおいて形成されており、上流側から流下してくる遊技球の流下速度を低減させることが可能になっている。
前扉側下皿通路部273においては、全体として、上段横通路部284の上流側端部から下段横通路部286の下流側端部(出口273a)に向けて徐々に断面積が大きくなっている。つまり、前扉側下皿通路部273は、下流側ほど太くなっている。この場合、一対のベース板274a,274bが平行に延びていることに起因して、前扉側下皿通路部273の奥行き寸法は、その全領域において同じ大きさに設定されており、その一方で、前扉側下皿通路部273の厚み寸法は出口273aに近付くにつれて徐々に大きくなっている。ここで、上段横通路部284及び下段横通路部286においては高さ寸法を厚み寸法とし、縦通路部285においては幅寸法を厚み寸法としている。
なお、前扉側下皿通路部273は、遊技球がその流下方向に沿って複数列で並ぶことが可能な断面積を有している。例えば、前扉側下皿通路部273の奥行き寸法(一対のベース板274a,274bの間の離間距離)は、2個の遊技球が並ぶことが可能な大きさになっている。また、前扉側下皿通路部273の厚み寸法については、上段横通路部284及び縦通路部285が2個の遊技球が並ぶことが可能な大きさになっており、下段横通路部286が3個以上の遊技球が並ぶことが可能な大きさになっている。
前扉側下皿通路部273においては、通路部284〜286の各直線部分が下流側に向けて徐々に太くされたテーパ状になっている。この場合、上段横通路部284及び縦通路部285の各直線部分において、縦通路部285の上流側端部の断面積は、上段横通路部284の下流側端部の断面積と同じ又はそれより大きくされている。また、縦通路部285及び下段横通路部286の各直線部分において、下段横通路部286の上流側端部の断面積は、縦通路部285の下流側端部の断面積と同じ又はそれより大きくされている。
なお、各中間曲がり部304の断面積は、その上下に隣り合う通路部284〜286の断面積とほぼ同じになっている。例えば、上段横通路部284と縦通路部285との接続部分においては、中間曲がり部304の断面積が上段横通路部284の直線部分の下流側端部の断面積及び縦通路部285の直線部分の上流側端部の断面積とほぼ同じになっている。また、縦通路部285と下段横通路部286との接続部分においては、中間曲がり部304の断面積が縦通路部285の直線部分の下流側端部の断面積及び下段横通路部286の直線部分の上流側端部の断面積とほぼ同じになっている。
前扉側下皿通路部273には、下段横通路部286の下流側端部が下皿34の第1球入口34aの後方に配置されていることに起因して、球出口において遊技球の流下方向がパチンコ機10前方に向けた方向となるように、最下流部に下流曲がり部305が形成されている(図9参照)。この下流曲がり部305は下段横通路部286に対して形成されている。つまり、下流曲がり部305は、それよりも上流側の遊技球の流下方向に対して直交する面を備えた通路壁306を備えている。したがって、前扉側下皿通路部273を流下してきた遊技球はその最下流部において下流曲がり部305の通路壁306に当たった後に第1球入口34aを通じて下皿34に排出される。つまり、通路壁306が減速部としての機能を有することとなる。これにより、前扉側下皿通路部273から下皿34に排出される遊技球は下皿34に排出される直前においてその勢いが低減される。なお、曲がり部304,305が球コーナー部分に相当する。
なお、下流曲がり部305よりも上流側の通路方向を左右方向ではなく上下方向とした構成においては、下流曲がり部305の底部が上記減速部としての機能を有することとなる。つまり、減速部は、それよりも上流側の遊技球の流下方向に対して直交(略直交)又は交差する面を有し、上流側から流下してきた遊技球をその面に衝突させて減速させた後に下皿34に導く機能を有している構成であればよい。
ここで、既に説明したように、下皿34において囲み壁部245の前側領域248はその高さ寸法が小さく設定されている。この場合、第1球入口34aから排出された遊技球が前側領域248を越えて下皿34外に零れてしまうことが懸念される。これに対して、上記のように前扉側下皿通路部273に下流曲がり部305が形成されており、前扉側下皿通路部273から下皿34に排出される遊技球が下皿34に排出される直前においてその勢いが低減されることにより、第1球入口34aから排出された遊技球がその排出された勢いに起因して下皿34外に零れてしまうことが抑制される。
ちなみに、前扉側下皿通路部273が前扉側通路ユニット45として前扉枠14の背面に一体化されていることにより、前扉側下皿通路部273の下流曲がり部305の位置と下皿34における第1球入口34aとの位置を近づけることが可能となる。よって、下流曲がり部305にて流れの勢いを低減させた直後に下皿34に遊技球を排出することが可能となり、下流曲がり部305にて勢いを低減させる効果が好適に発揮される。前扉側下皿通路部273が前扉枠14側ではなく内枠13側に設置された構成を想定すると、前扉枠14の内枠13に対する開放に際して前扉側下皿通路部273の球出口を閉鎖するためのシャッタ機構を設ける必要が生じる。そうすると、下流曲がり部305と第1球入口34aとの間を、シャッタ機構を設けた分だけ離間させる必要が生じてしまう。これに対して、本パチンコ機10では前扉側下皿通路部273が前扉枠14に形成されていることにより上記シャッタ機構が必要なくなり、上記のとおり下流曲がり部305と第1球入口34aとの位置を近づけることが可能となる。
次に、上皿33及び下皿34への遊技球の流れについて説明する。
図11に示すように払出装置222からは遊技球分配部252における内側の開口部255aに向けて遊技球が払い出される。よって、払出装置222から払い出された遊技球は各上皿通路部258,262,272によって構成される上皿通路を通って上皿33に排出される。
但し、払出装置222から多数の遊技球が払い出され上皿33が満杯状態となり、さらにその後も遊技球の払い出しが継続されると、上皿通路にて遊技球が連なり、図11に示すように、遊技球分配部252における内側の開口部255aの全体に遊技球が充たされることとなる。かかる状態において払出装置222から払い出された遊技球は遊技球分配部252における内側の仕切壁253aを乗り越え中央の開口部255b内に入る。そして、この遊技球は各下皿通路部259,263,273によって構成される下皿通路を通って下皿34に排出される。
<満杯検知センサ280>
次に、満杯検知センサ280について説明する。
前扉側通路形成部276には、図15、図16に示すように、前扉側下皿通路部273を通る遊技球を検知するように満杯検知センサ280が設けられている。満杯検知センサ280は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、満杯検知センサ280は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
満杯検知センサ280は払出制御装置181に対して電気信号を出力する。払出制御装置181では、満杯検知センサ280の検知結果に基づいて払出装置222による遊技球の払い出しを停止させる。これにより、下皿34が満杯状態となり、前扉側下皿通路部273において満杯検知センサ280の位置まで遊技球が連なった場合には、それ以上の遊技球の払い出しが停止される。かかる払い出しの停止は、下皿34の満杯状態が解除され満杯検知センサ280にて遊技球が検知されなくなることにより解除される。
ここで、満杯検知センサ280は、前扉側下皿通路部273における上段横通路部284に対して設けられている。詳細には、下段横通路部286における底壁の下方に、満杯検知センサ280が取り付けられている。このように下段横通路部286に対して満杯検知センサ280を設けることで、下皿34が遊技球で満たされていても下段横通路部286の位置にて遊技球が待機しない限り、満杯検知センサ280による下皿満杯の検知は行われないことになる。
上記のように満杯検知センサ280の位置が設定された構成において、下皿通路(裏パック側下皿通路部259、内枠側下皿通路部263、前扉側下皿通路部273)における満杯検知センサ280よりも上流側の通路長は、下皿34が満杯状態となった際に下皿通路にて連なる遊技球の遊技球列が払出装置222の位置まで到達しないように設定されている。つまり、所定の払出速度で遊技球の払い出しを行っている払出装置222が払出停止された際には、既に払出装置222から払い出され下皿34に向けて流下している遊技球が存在し得る。この場合に、その既に流下している遊技球として想定される最大数の遊技球が下皿通路にて満杯検知センサ280よりも上流側に並んだとしても、その遊技球列が払出装置222の位置まで並ばないようになっている。
<シャッタ機構291>
次に、シャッタ機構291について説明する。図18はシャッタ機構291の分解斜視図、図19はシャッタ機構291の動きを説明するための説明図である。
本実施の形態では上述したように前扉枠14に対して前扉側通路ユニット45が設けられている。また、前扉枠14には上述したように窓パネル部22が設けられており、例えば遊技領域にて球詰まり等が発生しそれを解消するために前扉枠14を開放すると、それに合わせて前扉側通路ユニット45が前方に移動し、前扉枠14側の各通路部272,273と内枠13側の各通路部262,263とが離間される。そして、この前扉枠14の開放操作が、上皿33や下皿34が満杯状態であり内枠側上皿通路部262や内枠側下皿通路部263にて遊技球が待機されている状態において行われると、その待機されている遊技球が前扉側上皿通路部272や前扉側下皿通路部273にて受けられなくなり散乱してしまうおそれがある。これに対して、この遊技球の散乱を防止するためにシャッタ機構291が設けられている。
シャッタ機構291は内枠13の前面側に設けられている。詳細には、内枠ベース50における内枠側通路ユニット121の下方には取付部292が形成されており、この取付部292に対してシャッタ機構291が取り付けられている。シャッタ機構291は、シャッタ部材293と、コイルバネ294と、ストッパ295とから構成されている。
シャッタ部材293は合成樹脂により略板状に形成されている。シャッタ部材293の下端には左右方向に貫通させて軸孔293aが形成されており、取付部292にはこの軸孔293aと同一軸線上に軸孔を有する支軸部292aが形成されている。シャッタ部材293の軸孔293a及び支軸部292aに支軸ピン296が挿通固定されていることにより、シャッタ部材293は取付部292に対して下端を軸線として前後方向に回動可能に支持されている。
シャッタ部材293の上端には、一方の端部(本実施の形態では、左側の端部)から側方に延出させて延出部297が形成されており、当該延出部297の前方となるようにしてストッパ295が設けられている。ストッパ295は合成樹脂材料により成形されており、取付部292にネジ固定されている。また、ストッパ295には、シャッタ用ストッパ295aと当該シャッタ用ストッパ295aよりも下方にあり前方に張り出したバネ用ストッパ295bとが形成されている。
ストッパ295と延出部297との間にはコイルバネ294が設けられている。コイルバネ294は、一端がバネ用ストッパ295bに固定され他端が延出部297の下端に固定されており、伸張状態で設けられている。したがって、シャッタ部材293には前方へ向けた付勢力が常に作用しており、シャッタ部材293の自然状態では延出部297がシャッタ用ストッパ295aに当接した位置にある。この当接した位置では、シャッタ部材293の上端部298が内枠側通路ユニット121の下方にある。
シャッタ部材293の上端部298は、その上面が所定の曲率で、外方に凸であって前後方向に円弧状となっている。この円弧の仮想中心は、軸孔293aとなっている。また、シャッタ部材293は、その前後方向寸法が内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263の球出口262a,263aの前後方向寸法と略同一となっており、さらに左右方向寸法が内枠側通路ユニット121の左右方向寸法と略同一となっている。そして、上端部298は、内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263の球出口262a,263aの略全体と対峙している。つまり、内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263の球出口262a,263aがシャッタ部材293によって閉鎖されている。この位置がシャッタ部材293の閉鎖位置(阻止位置)である。
上端部298には前方に突出させて前方段部298bが一体形成されている。この前方段部298bは、閉鎖位置に移動する際に、内枠側上皿通路部262と前扉側上皿通路部272との境界部分や、内枠側下皿通路部263と前扉側下皿通路部273との境界部分にある遊技球を受口部275側に押し込む機能を有する。
上端部298には、その左右方向の途中位置に前後方向に延びる溝部298aが形成されている。この溝部298aの位置は、受口部275における仕切壁277の位置に対応している。つまり、上端部298において溝部298aよりもパチンコ機10内側の領域は上皿通路用の阻止領域となっており、溝部298aよりもパチンコ機10外側の領域は下皿通路用の阻止領域となっている。この溝部298aには、シャッタ部材293が閉鎖位置にある場合に、内枠側通路ユニット121における各通路部262,263を仕切る仕切用通路壁264の下端部分264aが入り込む。
取付部292におけるシャッタ部材293の後方には、後方へ凹んだ収容凹部292bが形成されている。また、シャッタ部材293はその前側端面が、前扉枠14を閉鎖した際に前扉側通路ユニット45の受口部275と当接する位置にあり、上述したとおり前扉枠14を閉鎖した際には受口部275は内枠側通路ユニット121の下方に配置される。したがって、前扉枠14が閉鎖されている状態においては、受口部275の後方端部がシャッタ部材293の前側端面に当接しシャッタ部材293に対して上記付勢力に抗する力が作用することで、当該シャッタ部材293は後方に回動し収容凹部292bに収容されている。この位置がシャッタ部材293の開放位置(阻止解除位置)である。
前扉枠14の開放操作に対するシャッタ部材293の動きについて説明すると、図19(a)に示すように、前扉枠14が閉鎖されている状態ではシャッタ部材293は開放位置にあり、内枠側上皿通路部262と前扉側上皿通路部272とが連通し、内枠側下皿通路部263と前扉側下皿通路部273とが連通している。
また、前扉枠14を開放することで、図19(b)に示すようにシャッタ部材293は閉鎖位置に移動する。これにより、内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263の各球出口262a,263aが閉鎖され、内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263に遊技球が待機されている状態において前扉枠14が開放されたとしても、その待機されている遊技球が散乱しないようになっている。その後、前扉枠14を閉鎖すると、図19(a)の状態に戻る。
この場合に、上記のとおり内枠側上皿通路部262及び内枠側下皿通路部263は、それぞれ球出口262a,263aに向けて下り傾斜となっている。よって、内枠13側の各通路部262,263に待機されている遊技球の重量負荷は、その一部が内枠13側の各通路部262,263の底部262b,263bにて受けられる。つまり、それら待機されている遊技球のシャッタ部材293に対する重量負荷が低減されている。よって、シャッタ部材293の開閉動作の円滑化が図られている。
<球詰まり抑制構造>
次に、前扉枠14の開放操作に際しての上皿通路における球詰まり抑制構造について説明する。図20及び図21は球詰まり抑制構造を説明するための説明図である。
上述したように前扉枠14の開放に際しては、内枠13側の各通路部262,263と前扉枠14側の各通路部272,273とが離間される。この場合に、内枠13側の各通路部262,263と前扉枠14側の各通路部272,273との境界部分に遊技球が存在すると、その遊技球が内枠側通路ユニット121と前扉側通路ユニット45との境界部分に遊技球が存在することがあり、その遊技球が内枠側通路ユニット121と前扉側通路ユニット45とのそれぞれに当接し、球詰まりが発生することで前扉枠14の開放操作を円滑に行えないおそれがある。これに対して、球詰まり抑制構造が設けられている。この球詰まり抑制構造としては、第1球詰まり抑制構造と、第2球詰まり抑制構造とが設けられている。
<第1球詰まり抑制構造>
先ず、第1球詰まり抑制構造について図20を用いて説明する。前扉枠14を閉鎖した状態においては受口部275の各開口部278,279と内枠側通路ユニット121の各球出口262a,263aとが対峙している(なお、図20においては上皿通路側のみを示す)。ここで、内枠側通路ユニット121の球出口262a,263a付近において、図20に示すように手前側通路壁265はその下端が、仕切用通路壁264の下端や側方の通路壁の下端よりも上方となるように形成されている。これにより、受口部275における上方に開放された部位の開放上面部と内枠側通路ユニット121の手前側通路壁265との間には、所定の間隔X1の隙間が存在する。したがって、前扉枠14の開放開始に際して前扉枠14側の各通路部272,273と内枠13側の各通路部262,263との境界部分(図20におけるB1の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球が内枠側通路ユニット121の手前側通路壁265に当たりづらくなっている。よって、球詰まりの発生が抑制され前扉枠14の開放操作を円滑に行うことが可能となる。
なお、シャッタ部材293が開放位置にある場合、当該シャッタ部材293の前方段部298bは、受口部275よりも上方であって当該受口部275側に入り込む位置にある。そして、シャッタ部材293が閉鎖位置に移動する場合、当該シャッタ部材293の前方段部298bは、上記間隔X1の範囲内に配置される。これにより、上記のとおり、シャッタ部材293が閉鎖位置に移動する際に、内枠側上皿通路部262と前扉側上皿通路部272との境界部分や、内枠側下皿通路部263と前扉側下皿通路部273との境界部分にある遊技球は受口部275側に押し込まれる。
上記のように手前側通路壁265の下端が仕切用通路壁264の下端や側方の通路壁の下端よりも上方となるように形成された構成において、シャッタ部材293が閉鎖位置にある場合、本体側の通路部262,263に待機している遊技球が零れ落ちないようになっている。詳細には、図19(b)に示すように、シャッタ部材293の軸孔293aから手前側通路壁265の下端までの距離L1と、軸孔293aからシャッタ部材293の上端部298の上面までの距離L2との差は、遊技球の直径よりも小さくなっている(L1―L2<R)。したがって、両者の隙間が遊技球の直径よりも小さくなり、上記待機している遊技球が零れ落ちない。
特に、シャッタ部材293の軸孔293aから手前側通路壁265の下端までの距離L1と、軸孔293aからシャッタ部材293の上端部298の上面までの距離L2との差は、遊技球の半径よりも小さくなっている(L1―L2<R/2)。したがって、上記待機している遊技球の負荷は手前側通路壁265に確実に受けられ、上記遊技球の零れ落ちが確実に阻止されている。
<第2球詰まり抑制構造>
次に、第2球詰まり抑制構造について図20及び図21を用いて説明する。この第2球詰まり抑制構造は、上皿通路及び下皿通路のそれぞれに対して設けられている。そこで、先ず上皿通路の第2球詰まり抑制構造について説明する。
上述したように受口部275は前扉枠14の背面よりも後方に突出させて形成されており、図21に示すように受口部275は前扉枠14の回動軸282よりも後方にある。したがって、前扉枠14の開放に際しての外側開口部279の回動範囲には、図21(b)に示すように内枠側上皿通路部262の下方領域の一部が含まれる。また、前扉枠14の開放におけるその途中位置においては、内側開口部278及び外側開口部279のそれぞれの一部が内枠側上皿通路部262の下方に位置することとなる。そして、この状態では内側開口部278にある遊技球が、受口部275の仕切壁277よりも上方の領域を通って外側開口部279へ移動することが可能となる。
また、図13及び図21に示すように、受口部275の仕切壁277にはその上端から下方に凹ませて凹部283が形成されている。凹部283は仕切壁277の左右方向の途中位置から後側端部にかけて形成されており、その前後方向寸法X2は遊技球の直径Rよりも大きくなっている(X2>R)。
以上のように、受口部275の外側開口部279の回動範囲が設定されており、さらに受口部275の仕切壁277に凹部283が形成されていることにより、前扉枠14の開放開始に際して前扉側上皿通路部272と内枠側上皿通路部262との境界部分であって内枠側上皿通路部262寄りの位置(図20におけるB2の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球が凹部283を横切って内側開口部278側から外側開口部279側に退避され得る。よって、球詰まりの発生が抑制され前扉枠14の開放操作を円滑に行うことが可能となる。但し、凹部283の深さ寸法はX3となっており、凹部283の底と内枠側通路ユニット121の仕切用通路壁264の下端との間の間隔は遊技球の直径Rよりも小さくなっている。したがって、仕切壁277に凹部283を形成した構成において、前扉枠14を閉鎖した状態においては内側開口部278にある遊技球が外側開口部279に移動してしまうことが防止されている。
次に、下皿通路の第2球詰まり抑制構造について説明する。
受口部275における外側開口部279側の上端部にはパチンコ機10外方に延出させて球退避部290が一体形成されている。つまり、球退避部290は外側開口部279に対して前扉枠14の回動基端側において当該外側開口部279と左右に並んでいる。球退避部290は1個の遊技球が十分に載ることができる程度の皿状となっており、その底部290aは外側開口部279の開放上面部よりも下方であって外側開口部279の底部よりも上方にある。但し、球退避部290は前扉枠14の閉鎖時において、内枠側下皿通路部263を通過した遊技球が載らないように形成されている。つまり、球退避部290の底部290aと内枠側通路ユニット121の側壁部との間の距離は、遊技球の直径未満となっている。なお、かかる距離を遊技球の半径未満とするのが好ましい。
球退避部290の底部290aは外側開口部279に向けて下り傾斜となっており、球退避部290は外側開口部279に対して連通されている。また、上記のとおり受口部275は前扉枠14の回動軸282よりも後方にあり、前扉枠14の開放に際しての球退避部290の回動範囲には、内枠側下皿通路部263の下方領域の一部が含まれる。
以上のように球退避部290が設けられておりその回動範囲が上記のとおり設定されていることにより、前扉枠14の開放開始に際して前扉側下皿通路部273と内枠側下皿通路部263との境界部分であって内枠側下皿通路部263寄りの位置(図21においてB3の位置)に遊技球があったとしても、その遊技球は球退避部290に退避され得る。つまり、当該位置にある遊技球は、前扉枠14の開放操作に際して内枠側通路ユニット121の手前側通路壁265に当たり、球退避部290に向けて押し込まれるため、当該球退避部290に退避される。よって、球詰まりの発生が抑制され前扉枠14の開放操作を円滑に行うことが可能となる。また、球退避部290の底部290aは上記のとおり外側開口部279に向けて下り傾斜となっているので球退避部290に退避した遊技球は自重により外側開口部279内に入る。
<ファール球通路118>
次に、ファール球通路118について説明する。
前扉側通路ユニット45には、図15等に示すように、ファール球通路118を形成するファール球通路形成部281が、受口部275や前扉側通路形成部276と一体的に形成されている。ファール球通路形成部281は、前扉側下皿通路部273における縦通路部285と下段横通路部286との曲がり部分の内側に設けられており、上方に開放された回収口281aを有している。なお、回収口281aの上縁は、上段横通路部284及び縦通路部285の上壁287の上面287aよりも低位にある。
ファール球通路形成部281の回収口281aは、前扉枠14を内枠13に閉鎖した状態において、遊技球発射機構110の発射レール112と遊技盤60aの内,外レール101,102との間に位置している。したがって、遊技球発射機構110から発射されたが遊技領域まで至らず、内,外レール101,102によって構成される誘導レール100を逆流してくる戻り球は回収口281aからファール球通路形成部281内に入る。
このファール球通路形成部281内に入った遊技球は、ファール球通路形成部281に形成されたファール球通路118を通って下皿34に排出される。ファール球通路118は、遊技球1個分よりも若干大きい程度の通路幅及び通路高さを有しており、複数の遊技球が通路幅方向に並ぶこと、及び途中位置にて複数の遊技球が積み重なることが防止されている。また、ファール球通路118は、回収口281aを入口として、前扉側通路ユニット45における受口部275側とは反対側の端部に出口118aを有している(図14参照)。この出口118aは、下皿34の第2球入口34bに通じている。ここで、当該第2球入口34bは、既に説明したように上皿33から下皿34への球抜き通路242の球出口となっている。つまり、ファール球通路118はその下流側にて球抜き通路242と合流しており、これらファール球通路118及び球抜き通路242は下皿34において同一の球出口を有している。
上記のとおり、前扉側下皿通路部273の球出口は、下皿34において第2球入口34bとは別に形成された第1球入口34aとなっている。つまり、ファール球通路118は、前扉側下皿通路部273とは別に設けられており、ファール球通路118に導入された遊技球は前扉側下皿通路部273を通過する遊技球とは完全に別経路で下皿34に排出される。ここで、下皿34において、第2球入口34bは第1球入口34aに対して左右方向にずらした位置に形成されている。詳細には、ファール球通路118は、前扉側下皿通路部273の下流側よりも遊技球流下方向で見て外方(横方)に延長させて形成されており、この延長させた距離分、第2球入口34bは第1球入口34aに対して横方にずれた位置にある。これにより、前扉側下皿通路部273を通過した遊技球と、ファール球通路118を通過した遊技球とが同時に下皿34に排出される場合において、それら両遊技球が衝突することが回避される。これら遊技球が衝突すると相互の跳ね返りにより遊技球が下皿34の外方に飛び出てしまうおそれがあるが、上記のとおり両遊技球の衝突が回避されていることでかかる飛び出しのおそれが低減されている。
ファール球通路118は、図15に示すように、回収口281aから第2球入口34bとは反対側に向けて左右方向に延び、その後、折り返し部118bを介して折り返され、第2球入口34bに向けて左右方向に延びている。これにより、ファール球通路118の通路長が長く確保され、ファール球通路118にて待機可能な遊技球の数を極力多くすることができる。また、上記のようにファール球通路118が、前扉側下皿通路部273の下流側よりも遊技球流下方向で見て外方(横方)に延長させて形成されていることにより、下皿34にて第1球入口34aと第2球入口34bとを左右方向にずらすようにした構成において、ファール球通路118の通路長を極力長く確保することができる。なお、ファール球通路118の底面であって回収口281aにより上方が開放された領域に対してスポンジ部材などの衝撃吸収部材を付与してもよい。当該衝撃吸収部材を付与することにより、上方から落下してきた戻り球のファール球通路118に対する衝撃を吸収することができる。
ファール球通路118は、前扉側下皿通路部273の上方にあり、ファール球通路118が占めるパチンコ機10の前後方向の領域と、前扉側下皿通路部273が占めるパチンコ機10の前後方向の領域とは上下に重なっている。これにより、前扉側通路ユニット45に前扉側下皿通路部273及びファール球通路118を設けた構成において、前扉側通路ユニット45の体格の縮小化、すなわち前扉側通路ユニット45のコンパクト化が図られる。また、ファール球通路118は、その少なくとも一部が前扉側下皿通路部273に沿うようにして形成されている。この点からも、前扉側通路ユニット45の体格の縮小化、すなわち前扉側通路ユニット45のコンパクト化が図られている。
<球受け構造>
次に、前扉枠14の開放操作に際しての球受け構造について説明する。
前扉枠14の開閉は上皿33が満杯状態において行われることがある。この場合に、受口部275の内側開口部278が遊技球で満たされている状態で前扉枠14が開閉されると、その開閉の際の振動等によって内側開口部278にある遊技球が庇部275aを乗り上げ零れ落ちてしまうおそれがある。これに対して、その零れ球に対する球受け構造が設けられている。
この球受け構造は前扉側通路ユニット45の前扉側通路形成部276に設けられている。詳細には、図15〜図17に示すように、球受け構造は前扉側通路形成部276における前扉側下皿通路部273の上段横通路部284及び縦通路部285の上壁287に設けられている。
上壁287は、受口部275における内側開口部278の下方を通って、前扉側下皿通路部273の遊技球流下方向に緩やかに下り傾斜となっている。また、上壁287は、平面視で内側開口部278に対して左右に並んでいる。つまり、上壁287が内側開口部278の下方の位置から前扉枠14の回動先端側に延びていると言える。
上壁287におけるパチンコ機10後側端部には、上面287aから起立させて左右方向に延びる突条部288が一体形成されている。また、上壁287におけるパチンコ機10前側端部には、前扉側通路ユニット45の板状部271がある。かかる構成により、上壁287の上面287aには突条部288と板状部271との間に球受け通路289が形成されている。
球受け通路289は、上壁287が上記のとおり形成されていることにより、受口部275における内側開口部278の下方から前扉枠14の回動先端側に向けて延びており、当該回動先端側に向けて下り傾斜となっている。ここで、上記のとおり、前扉側下皿通路部273における縦通路部285と下段横通路部286との曲がり部分の内側にファール球通路形成部281が設けられており、ファール球通路形成部281の開口部の上縁は、上壁287の上面287aよりも低位にある。すなわち、球受け通路289の先にはファール球通路形成部281があり、当該ファール球通路形成部281の開口部の上縁は球受け通路289よりも低位にある。したがって、球受け通路289は、ファール球通路形成部281に通じており、さらにはファール球通路118に通じている。
以上のように球受け通路289が設けられていることにより、前扉枠14の開閉の際の振動等によって内側開口部278から遊技球が零れ落ちたとしても、その遊技球は球受け通路289によって受けられる。この受けられた遊技球は球受け通路289を流下することでファール球通路形成部281に導入され、ファール球通路118を通って下皿34に排出される。これにより、零れ球を遊技ホールなどに散乱させることなく下皿34に排出することができる。
特に、零れ球は、前扉枠14の回動に際しての遠心力により、内側開口部278から前扉枠14の回動先端側に落下するものと考えられる。この場合に、上記のとおり球受け通路289が内側開口部278の下方から回動先端側に延びるようにして設けられていることにより、球受け通路289において零れ球を受け易くなる。また、仮に内側開口部278から前扉枠14の回動基端側に遊技球が落下したとしても、その零れ球は外側開口部279にて受けられる。
なお、上記のとおり受口部275には球退避部290が設けられている。したがって、前扉枠14の開閉に際して外側開口部279から前扉枠14の回動基端側に零れ球が落下したとしても、その零れ球は球退避部290にて受けられ得る。この点から、球退避部290は、球詰まり抑制構造としての機能だけでなく、球受け構造としての機能も有する。また、外側開口部279から前扉枠14の回動先端側に零れ球が落下した場合には、その零れ球は内側開口部278にて受けられる。
<下側スピーカ部30>
次に、下側スピーカ部30について、図9や図12、図14〜図16等を参照しつつ説明する。
上述したように、下側スピーカ部30は、下側スピーカ30a及びスピーカカバー250に加えて、下側スピーカ30aの背面側から出力された音を前扉側下皿通路部273及び第1球入口34aを通じてパチンコ機前方に放出するエンクロージャ331を有している。図15、図16に示すように、エンクロージャ331は、前扉側下皿通路部273及び第1球入口34aに加えて、下側スピーカ30aの背面部分を収納した空気室332と、下側スピーカ30aから空気室332内に出力された音を前扉側下皿通路部273に案内する音通路333とを有している。なお、エンクロージャ331(第1球入口34a)が、パチンコ機前方に音を放出する音放出部に相当する。
なお、前扉側通路ユニット45においては、前扉側上皿通路部272及びファール球通路118がエンクロージャ331に含まれていない。また、前扉側下皿通路部273が内枠側下皿通路部263及び裏パック側下皿通路部259と共に下皿通路を形成しているが、本実施形態では、下皿通路の全領域をエンクロージャ331に含むのではなく、下皿通路のうち前扉側下皿通路部273だけをエンクロージャ331に含むことにしている。つまり、内枠側下皿通路部263及び裏パック側下皿通路部259はエンクロージャ331に含まないことにしている。
空気室332及び音通路333は、前扉側下皿通路部273等と共に前扉側通路ユニット45に含まれており、パチンコ機10の前後方向において前扉側下皿通路部273に重ならない位置に配置されている。これら空気室332及び音通路333は、一対のベース板274a,274bの間において前扉側下皿通路部273と同様に連結板274cにより区画された空間部になっている。ここで、空気室332及び音通路333をまとめて、下側スピーカ30aから後方に出力された音を前扉側下皿通路部273に案内する音案内路と称すれば、前扉側通路ユニット45は、前扉側通路形成部276やファール球通路形成部281に加えて、音案内路を形成した音案内路形成部334を有していることになる。なお、空気室332及び音通路333は、前扉側下皿通路部273と同様に、一対のベース板274a,274bにおいて連結板274cにより仕切られていることに起因して、断面矩形状の空間になっている。
音案内路形成部334は、全体として直方体状に形成されており、受口部275の下方であってファール球通路形成部281の側方に配置されている。具体的には、前扉側下皿通路部273の上段横通路部284の下方であって縦通路部285の側方に配置されている。音案内路形成部334は、ベース枠231の背面に沿って前扉側通路形成部276に隣り合っており、その上端及び一側端が前扉側通路形成部276に接続されている。
図9、図12に示すように、前扉枠14において、下側スピーカ30aは、上述したようにベース枠231の下方開口部231aに挿通された状態でそのベース枠231に固定されている。この場合、下側スピーカ30aの前面部分がベース枠231の前面に引っ掛かっており、その背面部分が下方開口部231aを通じてベース枠231の背面側に突出した状態になっている。前扉側通路ユニット45は、空気室332が下側スピーカ30aに前後に重なる位置に配置されている。
音案内路形成部334において、一対のベース板274a,274bのうち前側ベース板274aには、空気室332をベース枠231に向けて開放したスピーカ用開口部336が設けられており、下側スピーカ30aの背面部分はスピーカ用開口部336を通じて空気室332内に入り込んだ状態になっている。前側ベース板274aからの下側スピーカ30aの突出寸法は、前側ベース板274aと後側ベース板274bとの離間拒理(空気室332の厚み寸法)よりも小さくされており、下側スピーカ30aの背面部分は、後側ベース板274bから前方に離間している。
この場合、下側スピーカ30aは、前扉側通路ユニット45に直接的に固定されているのではなく、前扉枠14のベース枠231を介して間接的に固定されている。この場合、下側スピーカ30a及び前扉側通路ユニット45は、互いに独立した状態でベース枠231に対して強固に固定されていることになる。
図15、図16の説明に戻り、音通路333は、前扉側通路ユニット45において、折り曲げられた状態で上段横通路部284の下方に設けられている。音通路333は、前扉側下皿通路部273と空気室332とを連通しており、これら前扉側下皿通路部273と空気室332との間に配置されている。この場合、音通路333が前扉側下皿通路部273及び空気室332の両方に隣り合っているのに対して、空気室332と前扉側下皿通路部273とは隣り合っておらず、音通路333が前扉側下皿通路部273及び空気室332の両方に対してそれぞれ連結板274cにより仕切られている。
前扉側通路ユニット45は、空気室332と音通路333とを仕切っている空気室仕切部341、前扉側下皿通路部273と音通路333とを仕切っている下皿通路仕切部342を有している。空気室仕切部341及び下皿通路仕切部342は、それぞれ連結板274cにより形成されており、音通路333において音の伝達方向に沿って延びている。下皿通路仕切部342は、下側スピーカ30aからの出力音が空気室332から前扉側下皿通路部273に伝わっていく方向において、空気室仕切部341よりも下流側に配置されている。下皿通路仕切部342が音案内路形成部334の内周側に配置されている一方で、空気室仕切部341は、前扉側通路形成部276と音案内路形成部334との境界部に沿って延びている。
空気室仕切部341には、空気室332から音通路333に音を伝える空気室孔343が設けられている。空気室孔343は、空気室332と音通路333とを連通している連通孔であり、下側スピーカ30aからの出力音の伝達方向において音通路333の上流側端部に配置されている。なお、音通路333においては、空気室孔343の部分をスロートと称することもできる。
一方、下皿通路仕切部342には、音通路333から前扉側下皿通路部273に音を伝える下皿通路孔344が設けられている。下皿通路孔344は、前扉側下皿通路部273と音通路333とを連通している連通孔であり、音通路333の下流側端部に配置されている。この場合、前扉側下皿通路部273では、遊技球の流下方向において、満杯検知センサ280から上流側に離間した位置に下皿通路孔344が配置されていることになる。なお、下皿通路孔344は、前扉側下皿通路部273に音を取り込む音取り込み孔に相当する。
音通路333においては、全体として、上流側端部である空気室孔343から下流側端部である下皿通路孔344に向けて徐々に断面積が大きくなっている。この場合、前扉側下皿通路部273と同様に、一対のベース板274a,274bが平行に延びていることに起因して、音通路333の奥行き寸法は、その全領域において同じ大きさに設定されており、その一方で、音通路333の厚み寸法は下皿通路孔344に近付くにつれて徐々に大きくなっている。音通路333は、パチンコ機10の幅方向に延びた部分と上下方向に延びた部分とを有しており、幅方向に延びた部分においては高さ寸法を厚み寸法とし、上下方向に延びた部分においては幅寸法を厚み寸法としている。
音通路333は、ベース枠231の背面に沿って直線的に延びている複数の通路部351〜352を有している。通路部351〜352のうち、第1通路部351は、空気室332からの音伝達経路において最も上流側に配置されており、空気室孔343から下流側(空気室332とは反対側)に向けて延びている。第3通路部353は、最も下流側に配置されたものであり、下皿通路孔344から上流側(空気室332側)に向けて延びている。第2通路部352は、音通路333の中間位置に配置されており、第1通路部351と第2通路部とを接続している。
第1通路部351及び第2通路部352は、空気室332に沿って延びており、空気室仕切部341により空気室332に対して仕切られている。第1通路部351は、空気室332の側方に配置されており、空気室332の下部に配置された空気室孔343から上方に向けて延びている。第2通路部352は、空気室332の上方に配置されており、第1通路部351の上端部(下流側端部)から空気室332の上辺に沿って側方に向けて延びている。
ここで、空気室仕切部341は、第1通路部351に沿って上下方向に延びている第1部分341aと、第2通路部352に沿って空気室332の幅方向に延びている第2部分341bとを有しており、空気室孔343は、第1部分341aの下端部を貫通している。なお、空気室仕切部341においては、第1部分341aが空気室332と第1通路部351とを左右に仕切っており、第2部分341bが空気室332と第2通路部352とを上下に仕切っている。
第3通路部353は、前扉側下皿通路部273の上段横通路部284に沿って延びており、下皿通路仕切部342により上段横通路部284に対して仕切られている。第3通路部353は、上段横通路部284の下方に配置されており、第2通路部352の下流側端部から第2通路部352の上辺に沿って側方に延びている。この場合、第3通路部353は、第2通路部352の上に重ねられた状態になっており、第2通路部352に対して音通路仕切部355により仕切られている。音通路仕切部355は、連結板274cにより形成されており、第2通路部352と第3通路部353との境界部に沿って延びている。この場合、音通路仕切部355は、第3通路部353の床部を形成している。
ここで、下皿通路仕切部342は、前扉側下皿通路部273の上段横通路部284に沿って延びている横部分342aと、縦通路部285に沿って延びている縦部分342bとを有している。横部分342aは、上段横通路部284と第3通路部353との境界部に沿って延びていることで、これら上段横通路部284と第3通路部353とを上下に仕切っており、上段横通路部284の床部及び第3通路部353の天井部を形成している。縦部分342bは、縦通路部285と第1通路部351及び第3通路部353との境界部に沿って延びていることで、これら縦通路部285と第1通路部351及び第3通路部353とを左右に仕切っている。
下皿通路孔344は、下皿通路仕切部342の縦部分342bに形成されている。音通路仕切部355は、縦部分342bから縦通路部285とは反対側に向けて延びており、下皿通路孔344は、上下方向に延びていることで横部分342aと音通路仕切部355とに掛け渡されている。下皿通路孔344は、横部分342aの下方において、その横部分342aから下方に向けて延びており、上段横通路部284から縦通路部285に流下する遊技球は、下皿通路孔344から遠ざかる向きに移動する。この場合、下皿通路孔344は、上段横通路部284の下流側端部から下方に向けて延びた状態で、前扉側下皿通路部273を流下する遊技球が接触しにくい位置、つまり遊技球の流下経路から離間した位置に配置されていることになる。その離間位置に下皿通路孔344が配置されていることで、遊技球が下皿通路孔344から流出することを抑制する抑制機構が構成されている。
なお、下皿通路孔344は、縦通路部285の側面部において、少なくとも一部が縦通路部285の直線部分に重なる位置に配置されている。ここで、前扉側通路ユニット45においては、縦通路部285の側面部が一対のベース板274a,274b及び連結板274cにより形成されており、下皿通路孔344は、縦通路部285の側面部のうち、連結板274cにより形成された部分に配置されている。
音通路333においては、通路部351〜353の各直線部分が下流側に向けて徐々に太くされたテーパ状になっている。この場合、第1通路部351及び第2通路部352の各直線部分において、第2通路部352の上流側端部の断面積は、第1通路部351の下流側端部の断面積と同じ又はそれより大きくされている。また、第2通路部352及び第3通路部353の各直線部分において、第3通路部353の上流側端部の断面積は、第2通路部352の断面積と同じ又はそれより大きくされている。
音通路333は、ベース枠231の背面に沿って折れ曲がっており、その折れ曲がり部分として音曲がり部357を複数有している。音曲がり部357は、第1通路部351と第2通路部352との接続部分、及び第2通路部352と第3通路部353との接続部分のそれぞれにおいて形成されており、下側スピーカ30aから出力されて音通路333を通る音の中高音域を減衰させることが可能になっている。なお、音曲がり部357が音コーナー部分に相当する。また、第2通路部352と第3通路部353との接続部分においては、音曲がり部357が第2通路部352に対して第3通路部353を折り返した折り返し部分に相当する。
なお、各音曲がり部357の断面積は、その上下に隣り合う通路部351〜353の断面積とほぼ同じになっている。例えば、第1通路部351と第2通路部352との接続部分においては、音曲がり部357の断面積が第1通路部351の直線部分の下流側端部の断面積及び第2通路部352の直線部分の上流側端部の断面積とほぼ同じになっている。また、第2通路部352と第3通路部353との接続部分においては、音曲がり部357の断面積が第2通路部352の直線部分の下流側端部の断面積及び第3通路部353の直線部分の上流側端部の断面積とほぼ同じになっている。
<規制部材363>
下皿通路孔344は、遊技球が侵入可能な大きさ及び形状になっている。具体的には、下皿通路孔344の断面積が、第3通路部353の下流側端部の断面積と同じ又はそれよりも大きくなっているとともに、縦通路部285の断面積が、下皿通路孔344の断面積と同じ又はそれよりも大きくなっている。このため、前扉側下皿通路部273において、縦通路部285を流下する遊技球や縦通路部285に溜まった遊技球が下皿通路孔344を通じて音通路333内に侵入することが懸念される。
そこで、図14〜図16に示すように、前扉側通路ユニット45は、前扉側下皿通路部273から音通路333への遊技球の流出を規制する流出規制部としての規制部材363を有している。規制部材363は、下皿通路孔344に対して開閉可能に設けられた開閉体であり、開状態にある場合に下皿通路孔344を開放し、閉状態にある場合に下皿通路孔344を閉鎖している。
規制部材363は、板材により形成されており、空気中の音の伝達を遮断することが可能になっている。規制部材363は、閉状態にある場合に、音通路333を前扉側下皿通路部273側から閉鎖していることで、前扉側下皿通路部273から音通路333への遊技球の流出を規制するとともに、音通路333から前扉側下皿通路部273への音の伝わりを規制することになる。このため、規制部材363の閉状態が、遊技球の流出及び音の伝わりのそれぞれについて規制状態に相当する。なお、下皿通路孔344が縦通路部285の側面部に配置されていることの他にも、規制部材363が、下皿通路孔344からの遊技球の流出を抑制する抑制機構を構成している。
規制部材363は、ベース板274a,274bに対して回動可能に軸支されており、回動することで開閉するようになっている。規制部材363は、一対のベース板274a,274bに掛け渡された状態で設けられており、その回動軸はベース板274a,274bの並び方向(前扉側通路ユニット45の厚み方向)に延びている。規制部材363においては、その一端に回動軸が配置されており、この回動軸は、下皿通路仕切部342の下流側端部に横並びに配置されている。
規制部材363は、閉状態にある場合に、回動軸が配置された方の端部を上端部とし、その上端部から下方に向けて延びている。この場合、規制部材363は、その回動先端部(下端部)が音通路仕切部355の下流側端部に横並びに配置された状態で、下皿通路孔344を縦通路部285側から覆っており、音通路333を下流側から閉鎖していることになる。
下皿通路仕切部342の縦部分342bの上端部には、音通路仕切部355に向けて凹んだ凹部364が形成されている。規制部材363が閉状態にある場合、この凹部364には規制部材363の回動先端部が縦通路部285側から入り込んだ状態になっており、それによって、規制部材363が縦通路部285側に突出しないようになっている。この場合、規制部材363においては、縦通路部285側の板面が縦通路部285の内周面(縦部分342bの縦通路部285側の面)と連続した状態になっている。これにより、閉状態にある規制部材363の存在によって縦通路部285における遊技球の流下態様が変化するということが抑制されている。
また、規制部材363は、その先端部が縦通路部285側から凹部364に引っ掛かることで、その先端部が音通路333内に入り込まないようになっている。このため、例えば下皿34が満杯になった場合に下段横通路部286や縦通路部285において遊技球が積み上がったとしても、規制部材363が遊技球により押されて音通路333側に回動して下皿通路孔344が開放されるということを防止できる。
規制部材363は、開状態のうち全開状態にある場合に、遊技球及び音の両方について下皿通路孔344の通過を規制しない非規制状態になっている。この場合、規制部材363は、回動軸を有する方の端部から下皿通路仕切部342の横部分342aとは反対側に向けて延びており、横部分342aの延長線に重なる位置に配置されている。このため、音通路333から縦通路部285を通じて下皿34に向かう音の伝達が規制部材363により遮られないようになっている。なお、規制部材363が全開状態にある場合の位置が仕切位置に相当する。
また、規制部材363は、横部分342aと同じ厚み寸法を有している。このため、規制部材363の上面及び下面は、横部分342aの上面及び下面の延長線上に配置されていることになる。この場合、全開状態にある規制部材363においては、その上面が上段横通路部284の通路面284a(横部分342aの上面)に連続した面を形成し、その下面が第3通路部353の天井面(横部分342aの下面)に連続した面を形成していることになる。
さらに、規制部材363は、全開状態にある場合に、縦通路部285の幅方向に延びており、その縦通路部285を上下に仕切った仕切状態になっている。この場合、規制部材363は、音通路333から縦通路部285に伝わった音について、上流側(上段横通路部284側)に進むことを規制する一方で、下流側(下段横通路部286側)に進むことは規制しない。このため、規制部材363が仕切状態にある場合には、音通路333からの音の伝達方向が下皿34側に限定されることになる。また、この場合、規制部材363は、前扉側下皿通路部273を流下する遊技球の流下経路に重なる位置に配置されていることになる。なお、規制部材363は、流出規制部及び開閉体に加えて仕切体に相当する。
ちなみに、規制部材363が開状態にある場合でも、下皿通路孔344に対する開度が下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制する大きさであれば、音通路333への遊技球の流出を規制する規制状態にあることになる。また、その開度が前扉側下皿通路部273の音の伝わりを規制する大きさであれば、前扉側下皿通路部273への音の伝わりを規制する規制状態にあることになる。
前扉側通路ユニット45は、規制部材363を全開状態に付勢する付勢部材を有している。付勢部材は、規制部材363の回動軸に対して設けられたねじりバネ等であり、遊技球が規制部材363の上に載った場合にその遊技球から規制部材363に加えられる荷重よりも小さい付勢力を有している。
また、前扉側通路ユニット45は、規制部材363が全開状態(仕切状態)から更に開度が大きくなる向きに回動することを規制する回動ストッパ365を有している。回動ストッパ365は、前扉側通路形成部276の内周面から内側に向けて突出した凸部であり、前扉側下皿通路部273の奥行き方向に沿って延びていることで一対のベース板274a,274bに掛け渡された状態になっている。規制部材363は、その回動先端部が下流側から回動ストッパ365に引っ掛かることで付勢部材の付勢力に抗して全開状態にて保持される。回動ストッパ365は、下皿通路孔344よりも上流側において、縦通路部285を挟んで下皿通路仕切部342の反対側に配置されている。この場合、回動ストッパ365は、縦通路部285において下皿通路仕切部342の下流側端部よりも高い位置に配置されていることで、縦通路部285を流下する遊技球の流下経路に重ならない位置に配置されている。
仕切状態にある規制部材363が回動ストッパ365に下流側から引っ掛かっているため、仮に、払出装置222から遊技球を不正に払い出させることを目的として、下皿34の第1球入口34aから針金等の不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入されたとしても、その不正治具では全開状態の規制部材363を押し開けることが困難であり、不正治具が払出装置222にまで到達することを抑止できる。これにより、不審者が遊技球の払い出しを不正に受けるということを抑制できる。
規制部材363が全開状態にある場合、この規制部材363の下面が第3通路部353の天井面の延長線上に配置されていることに起因して、不正治具が規制部材363に接触するまで挿入されたとしても、不審者にとっては、その不正治具の感触からでは第3通路部353と縦通路部285との境界部の位置を推定することが非常に困難になっている。つまり、不審者に前扉側下皿通路部273の形状や大きさが把握されることを抑制できる。
規制部材363は、上段横通路部284から縦通路部285に遊技球が流下していない場合には、付勢部材の付勢力により全開状態にて保持される一方で、上段横通路部284から縦通路部285に遊技球が流下することに伴って、付勢部材の付勢力に抗して非全開状態(閉状態又は全開状態よりも開度の小さい開状態)に移行することになる。規制部材363が非全開状態にある場合には、音通路333から縦通路部285への音の伝達効率が規制部材363の存在により低下する。このため、規制部材363が全開状態にある場合に比べて、下皿34に向けて放出される音の音量が小さくなる。
図14に示すように、規制部材363には、その規制部材363に強制的に閉鎖動作を行わせる規制駆動部366が取り付けられている。規制駆動部366は、電気式のモータを含んで構成されており、そのモータの軸である駆動軸部366aを有している。規制駆動部366は、駆動軸部366aが前側ベース板274aを貫通した状態で前扉側通路ユニット45の前側に設けられている。なお、前扉枠14のベース枠231には、規制駆動部366を収納する収納部(図示略)が設けられており、収納部は、前扉側通路ユニット45から遠ざかる向きに凹んだ凹部とされている。
規制駆動部366の駆動軸部366aには、カム等の引っ掛け部が設けられており、その引っ掛け部が規制部材363に引っ掛かった状態で駆動軸部366aが回転することで、規制部材363が全開状態から閉状態に移行可能になっている。ここで、駆動軸部366aが規制部材363の回動軸に接続されているのではなく、引っ掛け部が規制部材363に引っ掛け可能になっているため、全開状態にある規制部材363の上に遊技球が載った場合に、規制駆動部366の駆動軸部366aが回転しなくても規制部材363だけが回動することになる。つまり、遊技球の荷重が規制部材363に加えて駆動軸部366aも回転させるという構成にはなっていない。この場合、遊技球からの荷重という小さな外力により規制部材363が回動しやすくなるため、全開状態にある規制部材363の上に遊技球が載ったにもかかわらずその規制部材363が閉鎖動作を行わないという事態の発生を抑制できる。
<規制部材363の動作>
次に、規制部材363の動作について、図16、図22、図23を参照しつつ説明する。図22、図23は前扉側通路ユニット45において規制部材363の動作態様を示す図である。図22においては、(a)に規制部材363が全開状態にある場合の図を示し、(b)に遊技球の流下に伴って規制部材363が閉鎖動作した場合の図を示す。図23においては、(a)に規制部材363が閉状態にある場合の図を示し、(b)に音通路333に遊技球が侵入した場合の図を示す。
図16、図22(a)に示すように、エンクロージャ331においては、規制部材363が全開状態にある場合、下側スピーカ30aの背面側から空気室332に出力された音が、音通路333、縦通路部285、下段横通路部286及び第1球入口34aを通じて下皿34に向けて放出される。この場合、音は空気室332から最短経路を通って下皿34に到達することになり、エンクロージャ331において、音通路333、縦通路部285、下段横通路部286及び第1球入口34aという最短経路を形成する部分をまとめてホーン領域371と称すれば、規制部材363は、全開状態にあることでホーン領域371を形成していることになる。
エンクロージャ331においては、規制部材363が全開状態にある場合に、その規制部材363よりも上流側にホーン領域371に含まれていない領域が存在しており、その領域を非ホーン領域372と称すれば、これらホーン領域371と非ホーン領域372とは、全開状態にある規制部材363により仕切られることになる。非ホーン領域372には、上段横通路部284と、縦通路部285のうち全開状態にある規制部材363よりも上流側の領域が含まれている。規制部材363は、全開状態にある場合(仕切位置にある場合)に、ホーン領域371と非ホーン領域372との境界部に配置されていることになる。
なお、規制部材363が閉状態にある場合、この規制部材363は、ホーン領域371を音通路333側と前扉側下皿通路部273側とに仕切っていることになる。これに対して、規制部材363が全開状態などの開状態にある場合、この規制部材363は、ホーン領域371を仕切っていないことになる。
ホーン領域371は、音通路333の上流側端部から第1球入口34aの下流側端部(下皿34)に向けて徐々に断面積が大きくされたホーン形状になっている。この場合、前扉側下皿通路部273の縦通路部285の上流側端部の断面積は、音通路333の下流側端部(下皿通路孔344)の断面積と同じ又はそれよりも大きくされている。また、第1球入口34aの上流側端部の断面積は、下段横通路部286の下流側端部の断面積と同じ又はそれよりも大きくされている。
音通路333及び前扉側下皿通路部273においては、下流側に向けて大きくなる断面積の増加率がほぼ同じにされている一方で、第1球入口34aにおいては、下流側(下皿34)に向けて大きくなる断面積の増加率が、音通路333及び前扉側下皿通路部273の断面積の増加率よりも大きくされている。この場合、ホーン領域371は、曲がり部304,305,357により折れ曲がってはいるが、全体として朝顔形のホーンになっている。朝顔型のホーンにおいては、下流側端部から放出された音が拡散しにくく前方に進みやすくなっているため、ホーン領域371の第1球入口34aから放出された音もパチンコ機10の前方に進みやすくなる。このため、遊技者が第1球入口34a内に指を差し入れやすい構成を利用して、第1球入口34aから放出された音が遊技者に聞こえやすくなる構成を実現している。
しかも、下皿34においては、前側領域248が第1球入口34aの下端よりも低い位置に配置されているため、第1球入口34aから放出された音が前側領域248により遮られるということが生じにくくなっている。このため、遊技者が下皿34内に手を差し入れて遊技球を掴むことが容易になる構成を利用して、第1球入口34aから放出された音が遊技者に届きやすくなる構成を実現している。
また、ホーン領域371は、前扉側下皿通路部273及び音通路333が複数の曲がり部304,305,357を有していることからして、下側スピーカ部30のエンクロージャ331においてバックロードホーンを形成していることになる。このため、ホーン領域371においては、空気室332から下皿34に伝わる音について、低音域が増幅しやすく且つ中高音域が減衰しやすくなっている。これにより、仮に、下側スピーカ30aの前面側から出力される音について低音域の音量が不足していたとしても、下側スピーカ30aの背面側から出力される音により低音域の音量の不足を補うことができる。
図22(b)に示すように、前扉側下皿通路部273を流下している遊技球が、全開状態にある規制部材363に到達した場合、この規制部材363が遊技球により下方に向けて押されて閉じることで非全開状態に移行し、それによって、この遊技球はホーン領域371と非ホーン領域372との境界部を通過することが可能になる。なお、規制部材363が閉状態に移行しなくても、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度が、遊技球が縦通路部285を通過可能な程度に小さくなれば、遊技球はホーン領域371と非ホーン領域372との境界部を通過することができる。この場合の規制部材363の状態が、遊技球の流下を許可する流下許可状態に相当する。
遊技球の通過に伴って規制部材363が非全開状態に移行した場合、下側スピーカ30aから空気室332に出力された音は、非全開状態にある規制部材363により遮られることで(下皿通路孔344に対する規制部材363の開度が小さくなることで)音通路333から前扉側下皿通路部273に伝わりにくくなる。このため、遊技球が払出装置222から下皿34に断続的に払い出される場合には、下皿34への音の放出が規制部材363により繰り返し規制されることになり、遊技者にとっては、前扉側下皿通路部273から下皿34に対して放出される音が繰り返し瞬間的に途切れるように聞こえる。このように、下皿34から聞こえる音が途切れることで、音による演出が単調になることを抑制したり、下皿34に遊技球が排出されていることを遊技者に気付かせたりすることが可能になる。
ちなみに、前扉側下皿通路部273において複数の遊技球が断続的に流下する場合、規制部材363が全開状態に戻るよりも前のタイミングで次の遊技球が規制部材363に到達する可能性がある。この場合、規制部材363が全開状態に戻っていなくても開状態にあれば、遊技球が規制部材363に接触することになり、規制部材363は、その遊技球により押圧されることで再び閉鎖動作を開始する。
なお、前扉側下皿通路部273においては、縦通路部285や下段横通路部286の断面積が遊技球よりも十分に大きいため、下皿通路孔344よりも下流側を流下する遊技球が存在していたとしても、下皿通路孔344から取り込まれた音は、その遊技球と前扉側通路形成部276の内周面との間を通じて下流側に伝わることになる。このため、前扉側下皿通路部273を通じて下皿34に遊技球が排出される場合に、前扉側下皿通路部273から放出される音が遊技球により遮られるということは生じにくくなっている。
図23(a)に示すように、前扉側通路ユニット45においては、満杯検知センサ280により下皿満杯が検知された場合に、規制駆動部366が駆動することで、規制部材363が閉状態に移行するようになっている。ここで、下皿通路孔344が縦通路部285に配置されているのに対して、縦通路部285よりも下流側の下段横通路部286に満杯検知センサ280が配置されているため、下皿34が満杯になって遊技球が下段横通路部286内に積み上がっている状態でも、その遊技球の積み上がりが縦通路部285の下皿通路孔344に到達するよりも前に規制部材363を閉状態に移行させることができる。このため、規制部材363が閉状態に移行する上で縦通路部285に積み上がった遊技球が支障になるという事態が発生しにくくなっている。なお、規制部材363(規制駆動部366)の動作制御については後述する。
<音通路333の遊技球排出機能>
ホーン領域371においては、上述したように、前扉側下皿通路部273から音通路333への遊技球の流出が規制部材363により規制されているが、その流出規制をすり抜けて遊技球が音通路333に流出する可能性がないとは言いきれない。そこで、音通路333には、音通路333に流出した遊技球を前扉側下皿通路部273に向けて排出する排出機能が付与されている。
図16、図23(a)に示すように、前扉側下皿通路部273の上段横通路部284及び下段横通路部286においては、遊技球の流下を促すためにそれぞれの床面(通路面)が下流側に向けて斜め下方に傾斜している。
特に、上段横通路部284の通路面284aは、下皿通路仕切部342の横部分342aの上面により形成されており、その横部分342aが下皿通路孔344に向けて傾いた状態で設けられていることで傾斜している。横部分342aは、その上面が通路面284aを形成している一方で、その下面が音通路333の第3通路部353の天井面を形成しており、それによって、第3通路部353の天井面と上段横通路部284の通路面284aとは平行に延びている。
ここで、第3通路部353においては、その断面積が下皿通路孔344に向けて徐々に大きくなる構成を実現するために、天井面と床面(通路面353a)との離間距離が下皿通路孔344に向けて徐々に大きくなっている。この結果、音伝達の下流側(下皿通路孔344)に向けた第3通路部353の通路面353aの傾斜角度は、遊技球流下の下流側(下皿通路孔344)に向けた上段横通路部284の通路面284aの傾斜角度より大きくなっている。つまり、音通路仕切部355の傾斜角度が下皿通路仕切部342の横部分342aの傾斜角度より大きくなっている。
したがって、仮に遊技球が音通路333の第3通路部353に侵入したとしても、第3通路部353の通路面353aの傾斜によりその遊技球が下皿通路孔344に向けて流下することが促される。つまり、ホーン領域371を構成するための第3通路部353の形状を利用して、第3通路部353からの遊技球の排出を促す構成が実現されている。しかも、規制部材363は、通常は全開状態にあるため、第3通路部353内の遊技球が下皿通路孔344に到達した後にその下皿通路孔344から縦通路部285に流下することが、規制部材363によっては阻止されにくくなっている。さらに、上述したように、下皿通路孔344が音通路仕切部355から上方に向けて延びているため、第3通路部353からの遊技球の排出が下皿通路仕切部342の縦部分342bにより規制されることもない。
<電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成を図24のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板401には、メインMPU402が搭載されている。メインMPU402は、当該メインMPU402により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM403と、そのROM403内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM404と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、メインMPU402が有する機能の一部、例えば、ROM403の機能やRAM404の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
メインMPU402には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。メインMPU402の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板405、払出制御装置181、各種検知センサなどが接続されている。この場合に、停電監視基板405には電源・発射制御装置191が接続されており、メインMPU402には停電監視基板405を介して電力が供給される。
また、図示は省略するが、メインMPU402には、各種検知センサの一部として、一般入賞口61用の入賞検知センサ、上作動口62用の入賞検知センサ、下作動口63用の入賞検知センサ、可変入賞装置64用の入賞検知センサ、スルーゲート65用の入賞検知センサが接続されており、主制御装置162のメインMPU402において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、メインMPU402では、上作動口62及び下作動口63への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート65への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
メインMPU402の出力側には、停電監視基板405、払出制御装置181及び報知・演出制御装置143が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリアが参照される。そして、一般入賞口61への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置64への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、上作動口62への入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口63への入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置143には、変動用コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリアが参照される。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。特に、遊技回用のコマンドとしての変動用コマンドには、当該各種情報として、各遊技回の遊技結果の情報及び各遊技回の変動表示時間に関する情報に加えて、規制駆動部366を動作させるか否かの情報が含まれている。
また、メインMPU402の出力側には、下作動口63に付随した電動役物71を駆動させる役物駆動部、可変入賞装置64の開閉扉を駆動させる可変入球駆動部、及び主表示ユニット81が接続されている。主制御基板401には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてメインMPU402は各種駆動部等の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置64の大入賞口が開閉されるように、メインMPU402において可変入賞装置64における可変入球駆動部の駆動制御が実行される。また、下作動口63の開放状態当選(サポート当選)となった場合には、電動役物71が開閉されるように、メインMPU402において電動役物71の役物駆動部の駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、メインMPU402において主表示ユニット81の表示制御が実行される。
さらには、メインMPU402の出力側には、外部端子板213が接続されている。外部端子板213には、状態移行に際して信号出力するための出力端子として、大当たり信号出力端子等が設けられている。メインMPU402は、遊技結果が大当たり結果となった場合には、遊技ホール側の管理制御装置に対して、大当たり信号出力端子を通じて大当たり信号を出力することができる。具体的には、通常時では、大当たり信号出力端子からLOWレベル信号が出力されており、大当たり結果となった場合にはHIレベル信号が出力される。なお、この信号の出力態様は逆でもよい。
停電監視基板405は、主制御基板401と電源・発射制御装置191とを中継し、また電源・発射制御装置191から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。
払出制御装置181は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。払出制御装置181には、満杯検知センサ280が接続されており、払出制御装置181は、満杯検知センサ280から検知信号が入力されることで下皿満杯か否かの判定を行うことが可能になっている。
電源・発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板401や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置191は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
<各種カウンタについて>
次に、主制御装置162のメインMPU402にて各種抽選を行うための電気的な構成について図25を用いて説明する。
メインMPU402は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たりの発生抽選、主表示ユニット81の表示の設定、図柄表示装置75の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図25に示すように、大当たりの発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、リーチ発生の有無及びその種別を振り分ける際に使用されるリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示ユニット81及び図柄表示装置75における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSを用いることとしている。さらに、下作動口63の電動役物71を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物用カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C4,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM404の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ421に適宜格納される。このうち抽選カウンタ用バッファ421において、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口62又は下作動口63への入賞が発生した場合に、RAM404に取得情報記憶手段として設けられた保留球格納エリア422に格納される。
保留球格納エリア422は、第1結果表示部用保留エリアRa及び第2結果表示部用保留エリアRbからなる保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留エリアRa,Rbは、第1エリアRa1,Rb1、第2エリアRa2,Rb2、第3エリアRa3,Rb3、第4エリアRa4,Rb4を備えており、上作動口62又は下作動口63への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ421に格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4に格納される。なお、当該保留情報が特別情報に相当する。
この場合、第1エリアRa1,Rb1〜第4エリアRa4,Rb4には、上作動口62又は下作動口63への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1エリアRa1,Rb1→第2エリアRa2,Rb2→第3エリアRa3,Rb3→第4エリアRa4,Rb4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このようにそれぞれ4つのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4が設けられていることにより、上作動口62又は下作動口63への遊技球の入賞履歴がそれぞれ最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留球格納エリア422には総保留数記憶領域が設けられており、当該総保留数記憶領域には上作動口62又は下作動口63への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
実行エリアAEは、主表示ユニット81の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1エリアRa1,Rb1に格納された各数値情報を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口62又は下作動口63に入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア422に格納される。より詳しくは、上作動口62に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、下作動口63に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM403における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア411に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について説明する。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では大当たり当選となる乱数の値は21個である。この場合、低確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群は、高確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群に含まれている。
なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意であり、また低確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群が、高確率モードである状況において大当たり当選となる大当たり乱数カウンタC1の値群に一部のみが含まれている構成としてもよく、含まれていない構成としてもよい。
各抽選モードにおいて、大当たり当選となる乱数の値以外は、抽選結果が外れ結果となる。
次に、大当たり種別カウンタC2について説明する。大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口62又は下作動口63に入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア422に格納される。より詳しくは、上作動口62に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、下作動口63に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
ここで、本パチンコ機10では、(1)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における当否抽選モード、(2)開閉実行モード終了後の下作動口63の電動役物71におけるサポートモード、という2つの条件に差異を設けることにより、複数種の大当たり結果が設定されている。当否抽選モードとしては、上述したとおり低確率モードと高確率モードとが設定されている。
サポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口63の電動役物71が単位時間当たりに受入状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物用カウンタC4を用いた電動役物用抽選における電役受入状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役受入状態当選となった際に電動役物71が受入状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の受入時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役受入状態当選となり電動役物71の受入状態が複数回発生する場合において、1回の受入状態が終了してから次の受入状態が開始されるまでの待ち時間は、1回の受入時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物用抽選が行われてから次の電動役物用抽選が行われる上で最低限確保される確保時間が短く設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口63への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口63よりも上作動口62の入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口62よりも下作動口63への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口63への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役受入状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物用抽選における電役受入状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。さらには、受入状態への切替回数を多くする、受入時間を長くする、1回の電動役物用抽選が行われてから次の電動役物用抽選が行われる上で最低限確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用結果表示部における1回の変動表示時間を短くする)及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM403における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア412に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)となるまで高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。なお、終了基準回数が経過した後に、低頻度サポートモードに移行する。
確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。当該高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる開閉実行モードに移行するまで継続する。
振分テーブルにおいて、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜29」が確変大当たり結果に対応しているが、この数値の振分は任意である。また、大当たり結果の振分先は、上記の2種類に限定されることはなく、例えば、開閉実行モードにおいて遊技球の獲得期待値が高低となるように複数のモードを設定し、当該開閉実行モードの移行先のモードに差異を設けることで大当たり結果の種別を上記の2種類よりも増やす構成としてもよい。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置75における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、可変入賞装置64が開閉実行モードとなる遊技回では変動表示後の停止結果が付与対応結果となる遊技機において、図柄表示装置75における図柄(絵柄)の変動表示が開始されてから停止結果が導出表示される前段階で、前記付与対応結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
期待演出には、リーチ表示と、当該リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や付与対応結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
リーチ表示には、図柄表示装置75の表示画面75aに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、リーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
予告表示には、図柄表示装置75の表示画面75aにおいて図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画面をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
リーチ表示は、開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM403のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置162において行うのではなく、報知・演出制御装置143又は表示制御装置170において行われる。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット81における変動表示時間と、図柄表示装置75における図柄の変動表示時間とをメインMPU402において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、主表示ユニット81における変動表示の開始時及び図柄表示装置75による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物用カウンタC4は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物用カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート65に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の電役保留エリア423に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物用カウンタC4の値によって下作動口63の電動役物71を受入状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C3=0〜199であれば、電動役物71を受入状態に制御し、C3=200〜249であれば、電動役物71を受入状態に制御しない。
既に説明したように、メインMPU402では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、主表示ユニット81における変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM403の変動表示時間テーブル記憶エリアが用いられる。また、メインMPU402では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、主表示ユニット81における停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM403の停止結果テーブル記憶エリアが用いられる。
<報知・演出制御装置143及び表示制御装置170の電気的構成について>
再び図24のブロック図を参照して、報知・演出制御装置143及び表示制御装置170の電気的構成について説明する。
報知・演出制御装置143は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて前扉枠14に設けられたランプ部26〜28やスピーカ29a,30aを制御するものである。
報知・演出制御装置143はサブMPU432が搭載された報知・演出制御基板431を有してなり、サブMPU432には各種制御プログラムや固定値データを記憶したROM433、そのROM433内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種データを一時的に記憶するためのメモリであるRAM434が内蔵されている。ROM433には、スピーカ29,30から演出音や報知音、案内音を出力するための音データが記憶されている。音データは、デジタルデータとされており、実際の可聴音やアナログデータをサンプリングして得られた波形データになっている。
サブMPU432には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。サブMPU432の入力側には、主制御装置162が接続されており、主制御装置162からの各種コマンドを受信する。サブMPU432の出力側には、前扉枠14に設けられた各種ランプ部26〜28やスピーカ29a,30aが接続されているとともに表示制御装置170が接続されている。
さらに、サブMPU432の出力側には、前扉側通路ユニット45の規制駆動部366が接続されており、サブMPU432は、主制御装置162からの各種コマンドに基づいて、規制駆動部366の駆動制御を行う。ここで、サブMPU432は、規制駆動部366を駆動させて規制部材363を強制的に閉鎖することで、下側スピーカ30aの背面側から出力される音がパチンコ機10の前方に放出されにくくすることが可能になる。このため、サブMPU432は、規制駆動部366の駆動制御を行うことで、下皿34に向けて出力される音について出力制御を行うことになる。
表示制御装置170は、MPU442が搭載された表示制御基板441を有してなり、そのMPU442には、各種の制御プログラムや固定値データを記憶したプログラムROMや、そのプログラムROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるワークRAMなどが内蔵されている。
表示制御基板441には、図柄表示装置75が接続されている。表示制御装置170のMPU442は、報知・演出制御装置143から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示制御を行う。なお、表示制御装置170では、主制御装置162から入力された各種コマンドに基づいて、図柄表示装置75における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定する。
<メインMPU402にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置162のメインMPU402にて遊技を進行させるために実行される各処理を説明する。かかるメインMPU402の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に起動されるタイマ割込み処理とがある。
<メイン処理>
先ず、図26のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。
先ずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102ではRAM404のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてメインMPU402の内部機能レジスタの設定を行う。
その後、ステップS104では、電源・発射制御装置191に設けられたRWM消去スイッチが手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RAM404の停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRWMデータを初期化する場合にはRWM消去スイッチを押しながら電源が投入される。したがって、RWM消去スイッチが押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RAM404の初期化として当該RAM404をクリアする。その後、ステップS109に進む。
一方、RWM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRAM404の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを報知・演出制御装置143に送信する。また、払出制御装置181のRWMの初期化を実行すべきことを示す払出初期化コマンドを払出制御装置181に送信する。さらに、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
その後、ステップS110〜ステップS113の残余処理に進む。つまり、メインMPU402はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110〜ステップS113の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS110〜ステップS113の残余処理は非定期的に実行される非定期処理であると言える。
残余処理では、先ずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS111では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS112にて変動種別カウンタCSの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、RAM404の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS113にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS113の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110〜ステップS113の処理を繰り返す。
<タイマ割込み処理>
次に、図27のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
ここで、メインMPU402にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板401には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてクロック回路が設けられており、さらに当該クロック回路とメインMPU402との間の信号経路の途中位置に存在するように分周回路が設けられている。
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングをメインMPU402にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路からメインMPU402に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。メインMPU402では、かかるパルス信号の立ち上がり又は立下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも一の条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、メインMPU402における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることとなる。
但し、上記分周回路からのパルス信号の出力はメインMPU402における処理の経過内容に関係なく4msecといった特定周期で行われるため、基本的にはタイマ割込み処理は特定周期で起動される。さらにまた、メインMPU402の処理構成は、所定のタイミングにおけるタイマ割込み処理が前回のタイマ割込み処理が起動されてから特定周期を超える期間が経過した後に起動されたとしても、当該所定のタイミングの次のタイミングにおけるタイマ割込み処理にてその特定周期を超えた分が吸収されて、さらに次のタイミングにおけるタイマ割込み処理ではパルス信号の入力を確認したタイミングで起動されるように設定されている。
さて、タイマ割込み処理では、先ずステップS201にて停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視基板405から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。
その後、ステップS203ではステップS111と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS204にてステップS112と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。続くステップS205では、遊技停止判定処理を実行する。遊技停止判定処理では、遊技の進行を停止すべき状況であるか否かを監視し、遊技の進行を停止すべき状況であれば遊技を進行させるための処理の実行を停止する。
その後、ステップS206では遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定し、遊技の進行を停止していない状態であることを条件に、ステップS207以降の処理を実行する。
ステップS207では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を可変入賞装置64及び電動役物71に行うための処理を実行する。例えば、可変入賞装置64の大入賞口を開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には可変入賞装置64への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、下作動口63の電動役物71を開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には電動役物71への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
続くステップS208では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
続くステップS209では入賞検知処理を実行する。当該入賞検知処理では、一般入賞口61等の各入賞検知センサから受信している信号を読み込むとともに、一般入賞口61、可変入賞装置64の大入賞口、上作動口62、下作動口63及びスルーゲート65への入賞の有無を特定する処理を実行する。
続くステップS210では、RAM404に設けられている複数種類のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。この場合、記憶されている数値情報が減算されて更新されるタイマカウンタを集約して扱う構成であるが、減算式のタイマカウンタの更新及び加算式のタイマカウンタの更新の両方を集約して行う構成としてもよい。
続くステップS211では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。当該不正検知処理では、複数種類の事象の発生を監視し、所定の事象が発生していることを確認することで、次回のタイマ割込み処理における上記ステップS205にて遊技停止用の設定を行い、ステップS206にて肯定判定するようになる。
続くステップS212では、遊技球の発射制御を行うための発射制御処理を実行する。遊技球発射ハンドル41に対して発射操作が継続されている状況では、既に説明したとおり、所定の発射周期である0.6secに1個の遊技球が発射される。
続くステップS213では、入力状態監視処理として、ステップS208の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサの断線確認や、遊技機主部12や前扉枠14の開放確認を行う。
続くステップS214では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留球格納エリア422に記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で上作動口62又は下作動口63への入賞が発生した場合に、その時点における大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留球格納エリア422に時系列的に格納していく処理を実行する。また、特図特電制御処理では、遊技回中及び開閉実行モード中ではなく且つ保留情報が記憶されていることを条件に、その保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。また、特図特電制御処理では、当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の継続時間を選択する継続時間の選択処理を実行する。そして、それら各処理の結果に応じた継続時間の情報を含む変動用コマンドと、遊技結果の情報を含む種別コマンドとを、報知・演出制御装置143に送信するとともに、主表示ユニット81における絵柄の変動表示を開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、主表示ユニット81及び図柄表示装置75にて遊技回用の演出が開始される。
また、特図特電制御処理では、1遊技回の実行中にはその遊技回の終了タイミングであるか否かを判定し、終了タイミングである場合には遊技結果に対応した表示を行った状態で、その遊技回を終了させる処理を実行する。この場合、遊技回を終了させるべきことを示す最終停止コマンド(又は確定コマンド)を報知・演出制御装置143に送信する。また、特図特電制御処理では、遊技回の結果が開閉実行モードへの移行に対応した結果である場合には、当該開閉実行モードを開始させるための処理を実行する。この開始に際しては、開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを報知・演出制御装置143に送信する。また、特図特電制御処理では、各ラウンド遊技を開始させるための処理及び各ラウンド遊技を終了させるための処理を実行する。これら各処理に際して、ラウンド遊技が開始されること(又は可変入賞装置64が開放状態となること)を示す開放コマンドを報知・演出制御装置143に送信するとともに、ラウンド遊技が終了されること(又は可変入賞装置64が閉鎖状態となること)を示す閉鎖コマンドを報知・演出制御装置143に送信する。また、特図特電制御処理では、開閉実行モードを終了させる場合にそのことを示すエンディングコマンドを報知・演出制御装置143に送信するとともに、開閉実行モード後の当否抽選モードやサポートモードを設定するための処理を実行する。
タイマ割込み処理においてステップS214の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS215にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート65への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、下作動口63の電動役物71を開閉させる処理を実行する。
続くステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、主表示ユニット81に係る保留情報の増減個数を保留数表示部に反映させるための出力情報の設定を行うとともに、主表示ユニット81に係る保留情報の増減個数を保留数表示部に反映させるための出力情報の設定を行う。また、ステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、主表示ユニット81の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、主表示ユニット81の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
続くステップS217では、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない状況において図柄表示装置75の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行するとともに、ステップS218では、払出制御装置181から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS219では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
続くステップS220では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する。また、ステップS221では、試射試験情報を編集するための処理を実行する。
ステップS206にて肯定判定をした場合、又はステップS207〜ステップS221の処理を実行した後は、ステップS222に進む。ステップS222では、割込み終了宣言の設定を実行する。メインMPU402では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS222では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。また、ステップS223では、割込み許可の設定を行う。メインMPU402では、タイマ割込み処理が一旦起動されると、割込み禁止の状態に設定されるため、ステップS223では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
<特図特電制御処理>
次に、タイマ割込み処理(図27)のステップS214にて実行される特図特電制御処理について説明する。
特図特電制御処理では、上作動口62又は下作動口63への入賞が発生している場合に保留情報を取得するための処理を実行するとともに、保留情報が記憶されている場合にその保留情報について当否判定を行い、さらにその当否判定を契機として遊技回用の演出を行うための処理を実行する。また、当否判定の結果に基づいて、遊技回用の演出後に開閉実行モードに移行させる処理を実行するとともに、開閉実行モード中及び開閉実行モード終了時の処理を実行する。
図28のフローチャートに示すように、先ずステップS601にて、保留情報の取得処理を実行する。保留情報の取得処理では、上作動口62又は下作動口63への入賞が発生しているか否かを判定し、入賞が発生している場合には保留球格納エリア422における保留数が上限値(本実施の形態では「4」)未満であるか否かを判定する。保留数が上限値未満である場合には、保留数を1加算するとともに、タイマ割込み処理(図27)の前回のステップS202にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を、保留用エリアREの空き保留エリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4のうち最初の保留エリアに格納する。
なお、上作動口62及び下作動口63への入賞が同時に発生している場合には、保留情報の取得処理を1回実行する範囲内において、上記保留情報を取得するための処理を複数回実行する。
ステップS301にて保留情報の取得処理を実行した後は、ステップS302、S303に進む。ステップS302及びステップS303では、上作動口62又は下作動口63への入賞が発生したことを報知・演出制御装置143及び表示制御装置170に認識させるための処理である保留予告用の確認処理及び保留コマンドの設定処理を実行する。
ステップS303の保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは報知・演出制御装置143に送信される。なお、ステップS302,S303の各処理についての詳細な説明は後述する。
続くステップS304では、RAM404に設けられた特図特電カウンタの情報を読み出す処理を実行し、ステップS305にてRPM403から特図特電アドレステーブルを読み出す処理を実行する。そして、ステップS306にて、特図特電アドレステーブルから特図特電カウンタの情報に対応した開始アドレスを取得する処理を実行する。
ここで、ステップS304〜ステップS306の処理内容について説明する。
既に説明したとおり特図特電制御処理には、遊技回用の演出に係る処理と、開閉実行モードに係る処理と、が含まれている。この場合に、遊技回用の演出に係る処理として、遊技回用の演出を開始させるための処理である特図変動開始処理(ステップS308)と、遊技回用の演出を進行させるための処理である特図変動中処理(ステップS309)と、遊技回用の演出を終了させるための処理である特図確定中処理(ステップS310)と、が設定されている。
また、開閉実行モードに係る処理として、開閉実行モードのオープニングを制御するための処理である特電開始処理(ステップS311)と、可変入賞装置64の大入賞口の開放中の状態を制御するための処理である特電開放中処理(ステップS312)と、大入賞口の閉鎖中の状態を制御するための処理である特電閉鎖中処理(ステップS313)と、開閉実行モードのエンディング及び開閉実行モード終了時の遊技状態の移行を制御するための処理である特電終了処理(ステップS314)と、が設定されている。
このような処理構成において、特図特電カウンタは、上記複数種類の処理のうちいずれを実行すべきであるかをメインMPU402にて把握するためのカウンタであり、特図特電アドレステーブルには、特図特電カウンタの数値情報に対応させて、上記複数種類の処理を実行するためのプログラムの開始アドレスが設定されている。
この場合、開始アドレスSA0は、特図変動開始処理(ステップS308)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA1は、特図変動中処理(ステップS309)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA2は、特図確定中処理(ステップS310)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA3は、特電開始処理(ステップS311)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA4は、特電開放中処理(ステップS312)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA5は、特電閉鎖中処理(ステップS313)を実行するためのプログラムの開始アドレスであり、開始アドレスSA6は、特電終了処理(ステップS314)を実行するためのプログラムの開始アドレスである。
特図特電カウンタは、現状格納されている数値情報に対応した処理を終了した場合に当該数値情報を更新すべき条件が成立していることを契機として、その次の処理回における特図特電制御処理にて実行される処理に対応させて、1加算、1減算又は「0」クリア(初期化)される。したがって、各処理回における特図特電制御処理では、特図特電カウンタにセットされている数値情報に応じた処理を実行すればよいこととなる。
ステップS306の処理を実行した後は、ステップS307にて、ステップS306において取得した開始アドレスの示す処理にジャンプする処理を実行する。具体的には、取得した開始アドレスがSA0である場合にはステップS308の特図変動開始処理にジャンプする。
特図変動開始処理では、保留情報が保留記憶されていることを条件に、その保留情報を保留球格納エリア422の実行エリアAEにシフトする処理を実行するとともに、各保留エリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4のデータを上位側(すなわち第1エリアRa1,Rb1側)にシフトする処理を実行する。その後、実行エリアAEにシフトされた保留情報について、大当たり当選に対応しているか否かを判定する当否判定処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。当否判定処理に際しては、保留情報において大当たり乱数カウンタC1から取得した数値情報が、大当たり当選に対応した数値情報であるか否かの判定を行う。また、振分判定処理に際しては、保留情報において大当たり種別カウンタC2から取得した数値情報が、いずれの大当たり結果の区分に対応しているか否かの判定を行う。
当否判定処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の継続時間を選択する継続時間の選択処理を実行する。なお、リーチ判定処理に際しては、保留情報においてリーチ乱数カウンタC3から取得した数値情報が、リーチ発生の数値情報に対応しているか否かの判定を行う。
継続時間の情報を選択した場合には、当該継続時間の情報を含む変動用コマンドと遊技結果の情報を含む種別コマンドとを報知・演出制御装置143に送信するとともに、主表示ユニット81における絵柄の変動表示を開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、主表示ユニット81及び図柄表示装置75にて遊技回用の演出が開始される。
ちなみに、このように遊技回用の演出を開始させた場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図変動開始処理に対応したものから特図変動中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA1である場合にはステップS309の特図変動中処理にジャンプする。特図変動中処理では、遊技回の継続時間中であって、確定表示前のタイミングであるか否かを判定する処理を実行し、確定表示前であれば主表示ユニット81における絵柄の表示態様を規則的に変化させるための処理を実行する。
ちなみに、確定表示させるタイミングとなるまで特図変動中処理にて待機するのではなく、確定表示させるタイミングではない場合には上記規則的に変化させるための処理を実行した後に、本特図変動中処理を終了する。したがって、遊技回用の演出が開始された後は、確定表示させるタイミングとなるまで、特図特電制御処理が起動される度に特図変動中処理が起動される。また、確定表示させるタイミングとなった場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図変動中処理に対応したものから特図確定中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA2である場合にはステップS310の特図確定中処理にジャンプする。特図確定中処理では、図柄表示装置75にて今回の遊技回の停止結果を最終停止表示させるために、最終停止コマンドを報知・演出制御装置143に送信するとともに、主表示ユニット81における絵柄の表示態様を今回の遊技回の抽選結果に対応した表示態様とする。また、特図確定中処理では、確定表示中の期間が経過したか否かを判定し、当該期間が経過している場合には開閉実行モードへの移行が発生するか否かの判定を行い、開閉実行モードへの移行が発生する場合には当該モード移行用の処理を実行する。
ちなみに、確定表示中の期間が経過するまで特図確定中処理にて待機するのではなく、当該期間が経過していない場合には本特図確定中処理を終了する。したがって、確定表示が開始された後は、確定表示中の期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特図確定中処理が起動される。また、確定表示中の期間が経過した場合には、開閉実行モードへの移行が発生しない状況では特図特電カウンタの数値情報を初期化(すなわち「0」クリア)し、開閉実行モードへの移行が発生する状況では特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図確定中処理に対応したものから特電開始処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA3である場合にはステップS311の特電開始処理にジャンプする。特電開始処理では、開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを報知・演出制御装置143に送信する。また、特電開始処理では、開閉実行モードのオープニング期間が経過したか否かを判定する。オープニング期間が経過していない場合には特電開始処理にて待機するのではなく本特電開始処理を終了する。したがって、開閉実行モードのオープニング演出が開始された後は、オープニング期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電開始処理が起動される。また、オープニング期間が経過した場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電開始処理に対応したものから特電開放中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA4である場合にはステップS312の特電開放中処理にジャンプする。特電開放中処理では、1のラウンド遊技を開始させるとともに、当該ラウンド遊技の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立していない場合には特電開放中処理にて待機するのではなく、上記終了条件の成立を監視するための処理を実行した後に本特電開放中処理を終了する。上記終了条件が成立している場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電開放中処理に対応したものから特電閉鎖中処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA5である場合にはステップS313の特電閉鎖中処理にジャンプする。特電閉鎖中処理では、1のラウンド遊技を終了させる処理を実行する。また、ラウンド遊技間のインターバル期間においては、インターバル期間が経過したか否かを判定する。インターバル期間が経過していない場合には特電閉鎖中処理にて待機するのではなく本特電閉鎖中処理を終了する。したがって、インターバル期間が開始された場合には当該期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電閉鎖中処理が起動される。また、インターバル期間が経過した場合には、特図特電カウンタの数値情報を1減算することで、当該カウンタの数値情報を特電閉鎖中処理に対応したものから特電開放中処理に対応したものに更新する。
一方、最後のラウンド遊技に対する特電閉鎖中処理では1のラウンド遊技を終了させる処理を実行した後に、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特電閉鎖中処理に対応したものから特電終了処理に対応したものに更新する。
取得した開始アドレスがSA6である場合にはステップS314の特電終了処理にジャンプする。特電終了処理では、開閉実行モードが終了されることを示すエンディングコマンドを報知・演出制御装置143に送信する。また、特電終了処理では、開閉実行モードのエンディング期間が経過したか否かを判定する。エンディング期間が経過していない場合には特電終了処理にて待機するのではなく本特電終了処理を終了する。したがって、開閉実行モードのエンディング演出が開始された後は、エンディング期間が経過するまで、特図特電制御処理が起動される度に特電終了処理が起動される。また、エンディング期間が経過した場合には、開閉実行モード後の遊技状態(当否抽選モード及びサポートモード)を設定するための処理を実行した後に、特図特電カウンタの数値情報を初期化することで、当該カウンタの数値情報を特電終了処理に対応したものから特図変動開始処理に対応したものに更新する。
次に、遊技回用の演出として、図柄表示装置75(表示画面75a)にて表示される図柄の変動表示態様について、図29を参照しつつ説明する。図29(a)は変動表示態様の種類を示す概略図、図29(b)群は各変動表示態様の概要を示す概略図である。
図29(a)に示すように、図柄表示装置75の表示画面75aにて実行される図柄の変動表示態様については、完全外れ,ノーマルリーチA,ノーマルリーチB,スーパーリーチA,スーパーリーチB,スーパーリーチCの5つに大別される。これら各変動表示態様については、変動表示時間が異なるように設定されており、主制御装置162からのコマンドに付与され変動表示時間に係る情報に基づいて遊技回毎の変動表示態様の概要を把握可能となっている。
具体的には、完全外れの変動表示時間については「3sec〜8sec」(保留数に応じて差が設定されている)、ノーマルリーチAの変動表示時間については「10sec」、ノーマルリーチBの変動表示時間についてはノーマルリーチAの変動表示時間よりも長い「15sec」、スーパーリーチAの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「16sec」、スーパーリーチBの変動表示時間についてはスーパーリーチAの変動表示時間よりも長い「17sec」、スーパーリーチCの変動表示時間については他のスーパーリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「18sec」となっており、変動表示時間が長くなるにつれて大当たりの当選期待度が高くなるように設定されている。例えば、主制御装置162からのコマンドに付与された変動表示時間に関する情報が「15sec」である場合には、表示制御装置170にてノーマルリーチBを実行すべき旨が把握されることとなる。
ここで、図29(b1)を参照してノーマルリーチA,Bの変動表示態様について説明する。ノーマルリーチA,Bが選択された場合には、先ず停止表示されている全ての図柄列の変動表示(スクロール表示)を開始し、その後、上段の図柄列Z1において図柄の変動表示を終了し(停止表示させ)、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示を終了する(停止表示させる)。このようにして上下の図柄列Z1,Z3を停止表示した状態において、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成される。そして、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2の変動表示が行われることでリーチ表示となる。リーチ表示となった後、中段の図柄列Z2を停止表示することにより、変動表示が終了する。そして、リーチライン上に当該リーチ表示を構成している図柄と同一の図柄が停止することで大当たりに当選した旨が報知され、同リーチライン上にそれ以外の図柄が停止することで大当たりに当選していない旨が報知されることとなる。このようにして、最終停止表示された図柄の組み合わせについては所定期間に亘ってそのまま維持される。つまり、停止表示期間が経過するまでは今回の遊技回が続いており、当該停止表示期間が経過することにより次の遊技回への移行が許容されることとなる。
本実施の形態においてはリーチラインが形成された後の中図柄列Z2の変動表示時間に差を設定することにより、ノーマルリーチAとノーマルリーチBとの変動表示時間の差が確保されているが、両者の差の設定の仕方については任意である。例えば、変動表示が開始されてからリーチラインが形成されるまでの時間に差を設定することにより、上記変動表示時間の差を確保することも可能である。
次に、上述したノーマルリーチA,Bの変動表示態様を踏まえてスーパーリーチA,B,Cの変動表示態様について説明する。図29(b2)〜(b4)に示すように、スーパーリーチA,B,Cについては、ノーマルリーチA,Bと同様の過程を経て上述したリーチラインを形成する。そして、リーチラインを形成した後、中図柄列Z2の変動表示に併せて、所定のキャラクタを動画として表示することによりリーチ演出を行う構成となっている。具体的には、スーパーリーチAにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に妖精を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチBにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に男の子を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチCにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に女の子を模したキャラクタが表示されることとなる。
<保留予告用の確認処理>
次に、特電特図制御処理(図28)のステップS302にて実行される保留予告用の確認処理について図30のフローチャートを参照しながら説明する。
保留予告用の確認処理においては、先ずステップS401にて、特図特電制御処理(図28)での直前のステップS301における保留情報の取得処理にて新たに取得された保留情報を、メインMPU402のレジスタに記憶する。その後、ステップS402〜S406にて今回の入賞によって取得された保留情報に大当たり当選の情報が含まれているか否かを確認する。
具体的には、先ずステップS402にて、上作動口62又は下作動口63への今回の入賞に基づき、新たに取得した保留情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち取得済みの大当たり乱数カウンタC1の値を把握する。
続くステップS403では、低確率モードであるか否かを判定する。具体的には、RAM404の各種フラグ格納エリアに高確率モードフラグが格納されているか否かを判定することで、現状の当否抽選モードが低確率モードであるか否かを判定する。低確率モードである場合にはステップS404に進み、低確率モード用の当否テーブルを参照してステップS402にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応する情報群に含まれているかを特定する。また、高確率モードである場合にはステップS405に進み、上述した高確率モード用の当否テーブルを参照して、大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS404又はステップS405の後はステップS406に進み、ステップS402にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応しているか否かを判定する。大当たり当選に対応している場合には、ステップS407にてメインMPU402のレジスタに大当たり情報を記憶し、そのまま本保留予告用の確認処理を終了する。
一方、ステップS406にて否定判定をした場合には、ステップS408に進む。ステップS408では、上作動口62又は下作動口63への今回の入賞に基づき、新たに取得した保留情報のうち外れリーチ判定用の情報、すなわち取得済みのリーチ乱数カウンタC3の値を把握する。
続くステップS409では、RPM403のリーチ判定用テーブル記憶エリア(リーチ判定用情報群記憶手段)に記憶されているリーチ判定用テーブル(リーチ判定用情報群)を参照して、ステップS408にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS409の処理を実行した後はステップS410に進み、ステップS408にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ発生に対応しているか否かを判定する。リーチ発生に対応している場合には、ステップS411にて、メインMPU402のレジスタにリーチ発生情報を記憶した後に、本確認処理を終了する。一方、リーチ発生に対応していない場合には、そのまま本確認処理を終了する。
<保留コマンドの設定処理>
次に、図31のフローチャートを参照して保留コマンドの設定処理について説明する。
保留コマンドの設定処理においては先ず、ステップS501にて、メインMPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されているか否かを判定することで、特図特電制御処理(図28)での直前の保留予告用の確認処理(図30)において大当たり判定用の情報が大当たり当選に対応していると特定されたか否かを判定する。大当たり情報が記憶されている場合にはステップS502に進み、大当たり対応保留コマンドを設定する。なお、上記コマンドの設定や後述する各種コマンドの設定は、RAM404に設けられたコマンド設定エリアに対してコマンド情報を格納することにより行われる。
一方、ステップS501にて否定判定をした場合、すなわちメインMPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されていないと判定した場合には、ステップS503に進み、メインMPU402のレジスタにリーチ発生情報が記憶されているか否かを判定することで、特図特電制御処理(図28)での直前の保留予告用の確認処理(図30)においてリーチ判定用の情報がリーチ発生に対応していると特定されたか否かを判定する。リーチ発生情報が記憶されている場合には、ステップS504にて外れリーチ対応保留コマンドを設定し、リーチ発生情報が記憶されていない場合には、ステップS505にて完全外れ対応保留コマンドを設定する。
ステップS502,S504,S505にて保留コマンドの設定を行う場合には、記憶されている大当たり種別カウンタC2の値や変動種別カウンタCSの値等を参照して変動表示時間を決定し、同変動表示時間にかかる情報を当該保留コマンドに格納する。変動表示時間の決定に際しては、変動表示時間テーブルが参照される。このようにして設定された保留コマンドが表示制御装置170に送信され、同表示制御装置170においては同保留コマンドに基づいて図柄の変動表示態様等を把握可能となる。
ステップS502、ステップS504、ステップS505のいずれかのコマンド設定処理を実行した後は、ステップS506にて、保留個数の情報を上記保留コマンドに対して設定する処理を実行する。かかる処理として具体的には、上記設定された保留コマンドの情報は、複数バイトの情報として構成されており、そのうちの一部のビットに対して、自身が保留コマンドである旨の情報や保留コマンドの種別の情報が含まれているとともに、保留個数の情報が設定可能となっている。この場合に、ステップS506では、先ず直前の保留予告用の確認処理(図30)におけるステップS401にてメインMPU402のレジスタに記憶された保留個数の情報を読み出し、その後に、既に設定されている保留コマンドにおける保留個数の情報用のビットに対して上記読み出した保留個数の情報を論理和などの演算処理によって格納する。これにより、ステップS502、ステップS504、ステップS505のいずれかの処理にて設定された保留コマンドに対して、かかる保留コマンドに対応した保留情報が何個目のものであるかを特定するための情報が含まれることとなる。以上詳述したステップS506の処理を実行した後に、本保留コマンド設定処理を終了する。
なお、ステップS506にて保留個数の情報が含められた保留コマンドは、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、かかる保留コマンドを受信することにより、保留情報が増加したことを特定する。また、報知・演出制御装置143では、保留コマンドをその形態を維持したまま表示制御装置170に送信する。表示制御装置170では、その受信した保留コマンドに基づいて画像データ準備用の処理等を実行する。当該準備用の処理については後に詳細に説明する。
また、保留コマンドの設定の仕方は、表示制御装置170において保留コマンドによって、大当たり当選の有無、大当たり当選の場合にはその際の大当たり種別、大当たり当選でない場合にはリーチ発生の有無等、言い換えれば図柄の変動表示態様を特定することができるのであれば任意である。例えば、大当たり対応保留コマンド,外れリーチ対応保留コマンド,完全外れ対応保留コマンドの組み合わせが、各保留個数に対応させて個別に設定されており、保留コマンドの設定処理では、保留予告用の確認処理(図30)における確認結果に応じて一の保留コマンドを選択する構成とすることも可能である。
<払出状態受信処理>
次に、タイマ割込み処理(図27)のステップS218にて実行される払出状態受信処理について説明する。
ここで、払出制御装置181は、図32のフローチャートにて示すような払出状態検知処理を定期的(例えば2msec周期)に実行しており、当該処理にて各種コマンドの受信に対応した処理を実行する。ここでは、まず、払出制御装置181による払出状態検知処理について説明し、その後、主制御装置162による払出状態受信処理について説明する。
払出状態検知処理では、先ずステップS601にて賞球完了状態を検知しているか否かを判定する。具体的には、主制御装置162から受信した賞球コマンドの賞球数に対応した遊技球が払出装置222から払い出された(払い出しが完了した)ことを確認する。なお、払出装置222には、その下流側へと送り出される遊技球を個別に検知する払出検知センサが設けられており、その払出検知センサの出力結果に基づいて払い出しが完了したことの確認を行う。
ステップS601にて肯定判定をした場合には、ステップS602にて払出モータ異常コマンドを送信データ記憶部に格納することで出力対象に設定する。ステップS601にて否定判定をした場合又はステップS602の実行後は、ステップS603にて下皿満杯状態を検知しているか否かを判定する。具体的には、満杯検知センサ280の出力結果を確認することによって下皿34の満杯状態の検知を行っている。満杯検知センサ280は、下皿34(及び前扉側下皿通路部273の下段横通路部286)に貯留されている遊技球が所定数よりも少ない場合には、非検知中に対応したLOWレベルの入賞検知信号を出力するとともに、所定数以上である場合には、検知中に対応したHIレベルの入賞検知信号を出力する。LOWレベルからHIレベルへ検知信号が変化し、その後も複数処理回に亘ってHIレベルの検知信号が検出されている場合には、下皿満杯状態であると判断される。
ステップS603にて肯定判定をした場合には、ステップS604にて下皿満杯コマンドを送信データ記憶部に格納することで出力対象に設定する。ステップS603にて否定判定をした場合又はステップS604の実行後は、ステップS605にて異常終了状態を検知しているか否かを判定する。具体的には、既に説明した払出モータ異常状態及び下皿満杯状態のいずれかの状態が検知された状態から、検知されていない状態となり、複数の処理回に亘って上記各状態が検知されていない場合には、異常終了状態であると判断される。
ステップS605にて肯定判定をした場合には、ステップS606にて異常終了コマンドを送信データ記憶部に格納することで出力対象に設定する。ステップS605にて否定判定をした場合又はステップS606の実行後は、本払出状態検知処理を終了する。
ここで、本パチンコ機10では、電源・発射制御装置191からの電力は、主制御装置162のRAM404に供給されるが、払出制御装置181のRWMには供給されない。当該構成とすることにより、電源・発射制御装置191の小容量化が図られ、それに伴ってパチンコ機10のコストの削減が図られる。
但し、当該構成においては、外部電源からのパチンコ機10への電力供給が停止されると、払出制御装置181のRWMに記憶されている情報は全て消去されてしまう(破壊されてしまう)。この場合、従来のパチンコ機のように未払出の賞球数の情報を全て払出制御装置181のRWMに記憶しておく構成とすると、未払出の賞球数がある状況でパチンコ機10への電力供給が停止された場合にはその未払出の賞球数の全てが払い出されることなく消去されてしまう。そうすると、遊技者に多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では、未払出の賞球情報は基本的にRAM404に記憶し、メインMPU402は払出制御装置181からHIレベルの払出許可信号を受信している場合に当該払出制御装置181に対して賞球コマンドを送信する。そして、払出制御装置181では、払出制御装置181のRWMに記憶される賞球数の情報が、最大でも、1回の入賞に対する最大賞球数(15個賞球数)と、後述する許可基準数との和となるように払出許可信号をHIレベルとLOWレベルとの間で切り換えるタイミングを設定する。なお、この許可基準数は、1回の入賞に対する最小賞球数又はそれ未満となっている。これにより、未払出の賞球数が多数残っている状況でパチンコ機10への電力供給が停止されたとしても、その際に消去される賞球数を極力少なくすることが可能となる。つまり、払出許可信号とは、メインMPU402において賞球コマンドの出力タイミングを特定するために、払出制御装置181からメインMPU402に出力される情報である。
払出状態受信処理では、払出許可信号を含めて払出制御装置181から受信した情報に基づいて、当該払出制御装置181に対して賞球コマンドを出力可能な状況であるか否かの判定を行うための設定を行う。
さて、主制御装置162により実行される払出状態受信処理では、図33のフローチャートに示すように、先ずステップS701にて、払出制御装置181から下皿満杯コマンドを受信しているか否かを判定する。下皿満杯コマンドは、既に説明したとおり、満杯検知センサ280によって下皿34の満杯状態が検知されている場合に払出制御装置181から送信されるものであり、払出異常コマンドに相当する。
タンク球無しコマンドを受信している場合には、ステップS702にて払出異常用の処理を実行する。払出異常用の処理として、RAM404に設けられた払出異常フラグに「1」をセットすることで、払出異常状態に設定する。また、下皿満杯コマンドを払出異常コマンドとしてサブ側の制御装置である報知・演出制御装置143に送信する。この場合、報知・演出制御装置143では当該払出異常コマンドの受信を契機として払出異常報知がランプ部26〜28やスピーカ部29,30にて実行される。なお、かかる払出異常報知が図柄表示装置75にて実行されるようにしてもよい。
ステップS701にて否定判定をした場合又はステップS702の処理を実行した後は、ステップS703にて、払出制御装置181から異常終了コマンドを受信しているか否かを判定する。異常終了コマンドは、既に説明したとおり、遊技球の払出に関して所定の異常が解除された場合に払出制御装置181から送信される。異常終了コマンドを受信している場合にはステップS704にて異常終了用の処理を実行する。具体的には、RAM404の払出異常フラグを「0」クリアすることで、払出異常状態を解除する。
払出異常用の処理として上記のように払出異常コマンドを送信する構成において、異常終了用の処理として、払出異常解除コマンドを報知・演出制御装置143に送信する。この場合、報知・演出制御装置143では既に実行している払出異常報知を終了させる。
ステップS703にて否定判定をした場合又はステップS704の処理を実行した後は、ステップS705にて、払出制御装置181から賞球完了コマンドを受信している否かを判定する。賞球完了コマンドは、既に説明したとおり、賞球が完了した場合に払出制御装置181から送信されるとともに、その賞球が完了した個数の情報が含まれる。
賞球完了コマンドを受信していない場合にはそのまま本払出状態受信処理を終了し、賞球完了コマンドを受信している場合にはステップS706にて賞球数の外部出力処理を実行した後に、本払出状態受信処理を終了する。賞球数の外部出力処理では、今回完了した賞球の個数の情報を遊技ホールの管理コンピュータに認識させる外部出力を行うための処理を実行する。
なお、賞球完了コマンドが払出制御装置181から送信されない構成としてもよい。また、当該構成においては払出制御装置181も外部端子板213に対して電気的に接続し、賞球が完了したことやその完了した賞球数の情報の外部出力がメインMPU402を介することなく払出制御装置181にて実行される構成としてもよい。
<演出制御装置143による音出力制御処理>
報知・演出制御装置143は、規制駆動部366の駆動に伴って規制部材363を閉状態に強制的に移行させることで、ホーン領域371からの音の放出よりも音通路333への遊技球の流出規制を優先することが可能になっている。また、規制部材363を閉状態に強制的に移行させることは、ホーン領域371からの音の放出を積極的に制限することにもなり、報知・演出制御装置143は、音放出の制限を音制限演出として演出に用いることが可能になっている。
ここでは、報知・演出制御装置143により実行される報知及び演出制御処理について、図34、図35のフローチャートを参照しつつ説明する。
図34において、ステップS801では、主制御装置162から出力された保留コマンドに対応するための保留コマンド対応処理を行う。保留コマンド対応処理については、図35のフローチャートを用いて説明する。なお、保留コマンド対応処理は、主制御装置162から報知・演出制御装置143へコマンドが送信された場合に同報知・演出制御装置143にて実行されるコマンド対応処理のうち保留コマンドに対応するものである。
保留コマンド対応処理においては先ず、ステップS901にて大当たり対応コマンドを受信しているか否かを判定する。ここで、報知・演出制御装置143のサブMPU432ではコマンドを主制御装置162から受信するが、この受信したコマンドはRAM434のコマンド格納エリアに一旦格納される。当該コマンド格納エリアは、複数のコマンドを個別に記憶可能であって先に記憶したコマンドから読み出し可能なリングバッファとして構成されており、複数のコマンドを同時期に受信した場合であってもそれら各コマンドに対応した処理を良好に実行できるようになっている。ステップS901の判定に際しては、コマンド格納エリアにおける今回の読み出し対象のエリアに大当たり対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。なお、かかるコマンドの読み出しの構成は、以下のコマンドの読み出しにおいても同様である。
大当たり対応保留コマンドを受信している場合には、ステップS902にて、今回受信したコマンドに含まれる保留個数の情報を特定し、その特定した保留個数の情報をRAM434の各種カウンタエリアに格納された消去用カウンタに設定する。当該消去用カウンタに設定された保留個数の情報は、後述するように、新たに遊技回が開始されるたびに1ディクリメントされるように更新される。
ステップS902にて消去用カウンタの設定を行った後は、ステップS903〜S907にて、大当たり対応設定処理を実行する。
大当たり対応設定処理では、先ずステップS903にて今回受信した保留コマンドがスーパーリーチA〜Cの何れかに対応しているか否かを判定する。本実施の形態では大当たりの当選期待度が異なるようにして図柄の変動表示態様が複数設定されており、各変動表示態様によって遊技回における大当たりの当選期待度が報知される構成が採用されているが、上記ステップS903においてはROM433の変動表示パターン記憶エリアを参照して保留コマンドがスーパーリーチA〜Cに対応するものであるか否かを判定する。
ステップS903にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS903にて肯定判定をした場合、すなわち保留情報の中にスーパーリーチA〜Cに対応するものがある場合には、ステップS904に進む。ステップS904ではROM433の抽選用テーブル記憶エリアに記憶された大当たり対応の音制限演出の抽選処理用テーブルを参照し、続くステップS905にて、音制限演出を実行するか否かの抽選処理を実行する。
具体的には、RAM434の抽選用カウンタから音制限演出の抽選用カウンタの値を読み出し、ROM433に記憶されている音制限演出の抽選用テーブル(音制限演出抽選用情報群)を参照して、上記読み出した抽選用カウンタの値が当選結果に対応しているか否かを判定する。なお、抽選用カウンタの値は、保留コマンド対応処理が起動される度に、すなわち約2msec周期で更新(1インクリメント)される構成となっている。
ステップS905の処理を実行した後はステップS906に進み、音制限演出に当選したか否かを判定する。ステップS906にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS906にて肯定判定をした場合には、ステップS907に進み、音制限演出フラグをセットする。音制限演出フラグは、RAM434の各種フラグ格納エリアにセットされるフラグであり、セットされていることで、大当たり対応保留コマンドを受信している場合(大当たりリーチ)において音制限演出を行うことを示すものである。
ステップS907の処理を実行した後は、ステップS908に進み、RAM434の保留情報格納エリア(詳しくは第1エリア〜第8エリアにおいて保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に大当たりに対応する保留情報(詳しくは、音制限演出の可否にかかる情報)をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
ここで、保留情報格納エリアにかかる構成について補足説明する。保留情報格納エリアは、上述の如く第1エリア〜第8エリアを有しており、各エリアにつき1の保留情報を格納可能な構成となっている。第1エリア〜第8エリアに格納された保留情報は、主制御装置162からシフト時コマンドを受信することにより、すなわち遊技回が開始された場合に、下位エリア側に順にシフトされることとなる。具体的には、第1エリアのデータをクリアするとともに、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリア ・・・ 第8エリア→第7エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。なお、主制御装置162の保留球格納エリアにおいては、上作動口用保留エリアと下作動口用保留エリアとが区別して設けられていたが、報知・演出制御装置143の保留情報格納エリアにおいては入球先に関係なく保留情報が時系列的にまとめて記憶される構成となっている。
再びステップS901の説明に戻り、同ステップS901にて大当たり対応保留コマンドを受信していないと判定した場合には、ステップS909に進む。ステップS909では、外れリーチ対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS909にて肯定判定をした場合、すなわち外れリーチ対応保留コマンドを受信していると判定した場合にはステップS910〜S914にて、外れリーチ対応設定処理を実行する。
外れリーチ対応設定処理では、先ずステップS910にて、今回受信した保留コマンドがスーパーリーチA〜Cの何れかに対応しているか否かを判定する。本実施の形態では大当たりの当選期待度が異なるようにして図柄の変動表示態様が複数設定されており、各変動表示態様によって遊技回における大当たりの当選期待度が報知される構成が採用されているが、上記ステップS910においてはROM433の変動表示パターン記憶エリアを参照して保留コマンドがスーパーリーチA〜Cに対応するものであるか否かを判定する。
ステップS910にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS910にて肯定判定をした場合、すなわち保留情報の中にスーパーリーチA〜Cに対応するものがある場合には、ステップS911に進む。ステップS911ではROM433の抽選用テーブル記憶エリアに記憶された外れ対応の音制限演出の抽選処理用テーブルを参照し、続くステップS912にて上述した音制限演出を実行するか否かの抽選処理を実行する。
具体的には、RAM434の抽選用カウンタから音制限演出の抽選用カウンタの値を読み出し、ROM433に記憶されている音制限演出の抽選用テーブルを参照して、上記読み出した抽選用カウンタの値が当選結果に対応しているか否かを判定する。なお、抽選用カウンタの値は、保留コマンド対応処理が起動される度に、すなわち約2msec周期で更新(1インクリメント)される構成となっている。
ステップS912の処理を実行した後はステップS913に進み、音制限演出に当選したか否かを判定する。ステップS913にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS913にて肯定判定をした場合には、ステップS914に進み、音制限演出フラグをセットする。音制限演出フラグは、RAM434の各種フラグ格納エリアにセットされるフラグであり、セットされていることで、外れリーチ対応保留コマンドを受信している場合(外れリーチ)において音制限演出を行うことを示すものである。
ステップS914の処理を実行した後は、ステップS908に進み、RAM434の保留情報格納エリア(詳しくは第1エリア〜第8エリアにおいて保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に外れに対応する保留情報(詳しくは、音制限演出の可否にかかる情報)をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
以上詳述した、保留コマンド対応処理においては、保留コマンドを参照して音制限演出を実行するか否かを決定し、その結果が保留情報格納エリアに記憶されることとなる。
報知・演出制御装置143においては、主制御装置162から変動開始コマンドを受信した際に、改めて変動表示の態様等の演出態様を特定する構成となっている。この際、保留情報格納エリアにおいて当該変動開始コマンドに対応するエリアを参照して音制限演出を行うか否かを特定する。つまり、音制限演出の可否については変動開始コマンドを受信する前の保留コマンド受信時に特定される構成となっており、変動開始コマンドを受信した際には、その特定された結果を参照するに過ぎず再度音制限演出の抽選を行うことはない。
図34の説明に戻り、ステップS801の保留コマンド対応処理を行った後には、ステップS802に進み、下皿34が満杯状態であるか否かの判定を行う。ここでは、主制御装置162から下皿満杯コマンドを受信しているか否かを判定し、受信している場合に下皿34が満杯状態であると判定する。
下皿34が満杯状態である場合、ステップS803に進み、音通路333を閉状態に移行させる閉鎖処理を行う。この処理では、規制駆動部366を駆動させることで、規制部材363を閉状態に強制的に移行させる。これにより、規制部材363によりホーン領域371が音通路333側と前扉側下皿通路部273側とに仕切られた状態になる。
なお、音通路333の閉鎖処理においては、既に規制部材363が閉状態にある場合には、規制駆動部366を駆動させないことでそのまま閉状態を保持する。この場合、音通路333の閉鎖処理は、音通路333が閉鎖された状態で保持する保持手段に相当する。
ここで、下皿34が満杯状態になっていることに伴って前扉側下皿通路部273に遊技球が積み上がった場合、積み上がった遊技球が下皿通路孔344から音通路333に侵入することや、規制部材363が積み上がった遊技球に引っ掛かって閉状態に移行できないことが懸念される。これに対して、前扉側下皿通路部273においては、満杯検知センサ280が下皿通路孔344から下流側に離間した位置に配置されているため、積み上がった遊技球が下皿通路孔344に到達するよりも前のタイミングで規制部材363を閉状態に強制的に移行させることができ、その結果、遊技球が下皿通路孔344を通じて音通路333に侵入するということを確実に規制できる。
下皿34が満杯状態ではない場合、ステップS804に進み、遊技状態が開閉実行モードにあるか否かを判定する。開閉実行モードにある場合、ステップS803に進み、音通路333の閉鎖処理を行う。
ここで、遊技状態が開閉実行モードにある場合、可変入賞装置64への入賞が数多く発生することで、払出装置222から払い出された多数の遊技球が断続的に前扉側下皿通路部273を流下する。この場合、遊技球の流下に伴って規制部材363が開閉する際のその開閉速度が、多数の遊技球の断続的な流下に追い付かず、規制部材363に遊技球が引っ掛かって球詰まりが発生する、という可能性がないとはいえない。これに対して、遊技状態が開閉実行モードに移行した場合には、下皿34が満杯状態になっていなくても、規制部材363を閉状態に強制的に移行させることで、前扉側下皿通路部273において球詰まりが発生する原因そのものを排除することができる。
下皿34が満杯状態ではなく、且つ遊技状態が開閉実行モードでない場合(ステップS804がNO判定の場合)、ステップS805にて、音制限演出フラグがセットされているか否かを判定し、ステップS806にてスーパーリーチA〜Cのいずれかがスーパーリーチ演出として実行されているか否かを判定する。音制限演出フラグがセットされ、且つスーパーリーチ演出が実行されている場合、ステップS803に進む。なお、スーパーリーチ演出が実行されている場合でも、そのスーパーリーチ演出に対応した音制限演出フラグがセットされていなければ、音制限演出は行わないことになる。
ステップS803では、音通路333の閉鎖処理を行う。スーパーリーチ演出においては、音通路333の閉鎖処理を行うことで音制限演出処理を行うことになる。ここで、スーパーリーチ演出が行われている際に、ホーン領域371を通じて下皿34に音が放出される場合と、放出されない場合とが存在することで、下皿34への音の放出の有無によって大当たりへの当選期待度を高めることができる。特に、本実施形態では、下皿34が満杯状態でなければ、スーパーリーチ演出以外の演出では下皿34に音が放出されるようになっている。したがって、スーパーリーチ演出に合わせて音制限演出を実行した場合、下皿34への音の放出が規制されることで他の演出との相違点を確保することになり、大当たりへの当選期待度を高めることができる。
音制限演出フラグがセットされている状態で、スーパーリーチ演出中でない場合(ステップS806がNO判定の場合)、ステップS807に進み、音制限演出を終了したか否かを判定する。ここでは、音制限演出フラグに対応したスーパーリーチ演出を実行したか否かを判定し、音制限演出フラグがセットされていてもその音演出制限フラグに対応したスーパーリーチ演出が未だ実行されていない場合には、音制限演出を終了していないとする。
音制限演出が終了した場合、つまり、音制限演出フラグに対応したスーパーリーチ演出が終了した場合には、ステップS808に進む。ステップS808では、終了した音制限演出に対応した音制限演出フラグをクリアする。これにより、音制限演出が終了した後、次に行われるスーパーリーチ演出に際して、音制限演出の抽選に当選していないにもかかわらず音制限演出が実行されるという不都合が生じない。
下皿34が満杯ではなく、遊技状態が開閉実行モードでなく、更に音制限演出フラグがセットされていない場合(ステップS805がNO判定の場合)、ステップS809に進み、音通路333を開放にする開放処理を行う。この処理では、規制部材363が規制駆動部366により閉状態に保持されている場合には、規制駆動部366を駆動させることで規制部材363を全開状態に移行させ、それによって、音通路333を開放された状態に移行させる。一方、既に規制部材363が全開状態にある場合には、規制駆動部366を駆動させないことでそのまま音通路333を開放された状態にて保持する。なお、音通路333の開放処理が行われることで、規制部材363は遊技球の流下に伴って全開状態から非全開状態に移行するべく開閉自在な状態になる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
<エンクロージャ331について>
下側スピーカ30aの背面側がエンクロージャ331に収納されているため、下側スピーカ30aの背面側からの出力音がその下側スピーカ30aの前面側からの出力音を打ち消すということを抑制できる。このため、下側スピーカ30aから出力された音について低音域の音量が小さくなることなどを抑制できる。しかも、エンクロージャ331が前扉側下皿通路部273を有しているため、エンクロージャ331の全てが専用空間により形成された構成に比べて、そのエンクロージャ331を小型化することができる。これにより、パチンコ機10の内部という狭小空間においてエンクロージャ331を適正に配置することが可能になる。
下側スピーカ30aが振動板30bを有しているため、例えば振動子が前扉側通路形成部276に取り付けられることでその前扉側通路形成部276が外部の振動板として利用される構成とは異なり、前扉側通路形成部276内に存在する遊技球により振動板30bの振動が妨げられるということがない。このため、下側スピーカ30aから出力される音の音質が遊技球により低下するということを抑制できる。また、ダイナミック型のスピーカユニットを下側スピーカ30aとして使用したことで、例えば振動子を有するスピーカを下側スピーカ30aとして使用した構成に比べて、コスト負担を低減できる。
エンクロージャ331においては、下側スピーカ30aの背面側からの出力音がホーン領域371を通じて放出されるため、その出力音の低音域が増幅しやすくなっている。このため、下側スピーカ30aの背面側からの出力音について、不足しがちな低音域の音量をホーン領域371により増加させることができる。特に、前扉側下皿通路部273においては、ホーン領域371を形成する部分の断面積が第1球入口34aに向けて徐々に大きくなっていることで、遊技球が流下しやすい環境をつくりだしており、それによって、球詰まり発生しにくくなっている。
また、前扉側下皿通路部273においては、下流側ほど断面積が大きくなっていることで、下流側ほど遊技球の貯留量が大きくなっていることになり、下皿34が満杯になっても積み上がった遊技球が払出装置222に達しにくい構成を実現できる。なお、積み上がった遊技球が払出装置222に達した場合には、払出装置222の払出モータに駆動電流が流れているにもかかわらず回転体222eが回転せずに払出装置222に異常が発生するという事態が懸念される。
ホーン領域371が折れ曲がっているため、下側スピーカ30aの背面側からの出力音の中高音が減衰しやすくなっている。このため、前扉側下皿通路部273から下皿34に向けて放出される音について低音域を際立たせることができる。つまり、ホーン領域371にバックロードホーンとしての機能を発揮させることができる。
前扉側下皿通路部273においては、流下する遊技球の速度を低減させるために折れ曲がった形状になっており、その折れ曲がり部分(中間曲がり部304及び下流曲がり部305)を中高音の低減にも利用できることになる。また、前扉側下皿通路部273においては、横通路部284,286及び縦通路部285が直線的に延びているため、その直線部分により遊技球をある程度加速させることができる。これにより、前扉側下皿通路部273が折れ曲がった形状であっても、遊技球の流下速度が極端に低下して前扉側下皿通路部273において球詰まりが発生するということを抑制できる。
ホーン領域371においては、前扉側下皿通路部273と空気室332とが音通路333により接続されているため、前扉側下皿通路部273に対する空気室332の相対位置に関する自由度を高めることができる。また、バックロードホーンを構築する上で前扉側下皿通路部273だけではホーン領域371の長さ寸法が不足するという事態を音通路333により解消できる。つまり、前扉側下皿通路部273の長さ寸法や下皿通路孔344の設置位置を変更しなくても、ホーン領域371を音通路333により適正な長さ寸法に設定することができる。
ホーン領域371の第1球入口34aにおいては、その断面積が下皿34に向けて指数関数的に大きくされているため、ホーン領域371から放出された音がパチンコ機前方に向けて進みやすくなっている。つまり、ホーン領域371からの放出音に指向性を持たせることが可能になっている。この場合、ホーン領域371から放出された音が下皿34の奥壁部243に沿って上下左右に拡散しにくくなっており、その音を適正な音量で遊技者に聞かせることが可能になっている。
下皿通路孔344に対して規制部材363が設けられているため、前扉側下皿通路部273から音通路333に遊技球が流出することを規制部材363により規制できる。これにより、前扉側下皿通路部273を流下する遊技球が下皿34に適正に排出されないという事態を抑制できる。ここで、前扉側下皿通路部273から音通路333に遊技球が流出した場合、その遊技球が支障になって音通路333から前扉側下皿通路部273に音が伝わりにくくなることや音質が低下することが懸念される。このため、前扉側下皿通路部273から音通路333への遊技球の流出を規制部材363により規制することは、下側スピーカ30aの背面側からの出力音を前扉側下皿通路部273から適正に放出する上でも有効である。
前扉側通路ユニット45が前扉側下皿通路部273、音通路333及び空気室332を有しているため、これら前扉側下皿通路部273、音通路333及び空気室332を前扉枠14に対して個別に搭載するという煩雑な作業を行うという必要がない。また、エンクロージャ331をあらかじめ製作した状態でパチンコ機10に搭載することにより、エンクロージャ331において前扉側下皿通路部273と音通路333との境界部や、音通路333と空気室332との境界部から音漏れが発生するということを抑制できる。
前扉側通路ユニット45にスピーカ用開口部336が設けられているため、前扉枠14のベース枠231に下側スピーカ30aを取り付けておき、その後、下側スピーカ30aの背面部分を空気室332に挿入させながら前扉側通路ユニット45をベース枠231に固定することができる。この場合、下側スピーカ30aと前扉側通路ユニット45とを個別にベース枠231に固定することができるため、下側スピーカ30aの振動板30bが振動することでベース枠231に対する前扉側通路ユニット45の固定状態が不安定になるということを抑制できる。
前扉側通路ユニット45においては、空気室332が前扉側下皿通路部273に前後に並ばない位置に配置されているため、前扉側通路ユニット45の厚み寸法を低減できる。しかも、空気室332が前扉側下皿通路部273の下側に配置されていることで、前扉側通路形成部276の上側にファール球通路118や球受け通路289の設置構造が煩雑になることを抑制できる。このため、前扉側通路形成部276の上側スペースを遊技球の回収スペースとして利用する一方で、下側スペースをデッドスペースとするのではなく空気室332の設置スペースとして利用することができる。
空気室332が上段横通路部284の下方において縦通路部285の側方に配置されているため、縦通路部285の側面部に下皿通路孔344を配置することができる。この場合、例えば上段横通路部284の床部に下皿通路孔344が配置された構成に比べて、その下皿通路孔344から遊技球が流出しにくい構成を実現できる。また、上段横通路部284の床部に下皿通路孔344が配置された構成では、下皿通路孔344が小孔であっても遊技球がその小孔に引っ掛かることでその遊技球の流下が阻害されることになってしまう。
<前扉側下皿通路部273からの音放出の制限について>
下側スピーカ30aにおいては、振動板30bが振動することで音が出力されるため、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度を小さくすることで、前扉側下皿通路部273からの音の放出を制限することができる。このため、遊技球の流下に伴って規制部材363の開度が小さくなることや、規制駆動部366の駆動により規制部材363が強制的に閉状態に移行することで、前扉側下皿通路部273からの音の放出態様に関して自由度を高めることができる。
流下してくる遊技球により規制部材363が押されることで、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度が小さくなるため、遊技球の流下を利用することで下皿通路孔344から前扉側下皿通路部273への音の取り込みを規制することができる。つまり、遊技球の流下を利用することで前扉側下皿通路部273からの音の放出態様を変化させることができる。この場合、前扉側下皿通路部273から放出される音により演出効果を高めることができるとともに、遊技者は、下皿34を視認しなくても前扉側下皿通路部273から下皿34に遊技球が排出されていることを察知できる。
遊技球が規制部材363を通過した場合、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度が大きくなるため、遊技球の流下に伴って前扉側下皿通路部273からの音放出が制限される期間を極めて短くできる。これにより、前扉側下皿通路部273を流下する遊技球の数に合わせてその前扉側下皿通路部273からの音の放出態様が変化するため、その音による演出効果を更に高めることができる。
規制部材363がベース板274a,274bに対して回動可能に軸支されているため、例えば規制部材363がスライド可能に設けられた構成に比べて、流下する遊技球が規制部材363を押すという構成を容易に実現できる。また、規制部材363は、単に回動することで、下皿通路孔344を閉鎖すること及び前扉側下皿通路部273を上流側と下流側とに仕切ることの両方が可能になっている。規制部材363が仕切状態にある場合には、下皿通路孔344から前扉側下皿通路部273に取り込まれた音が上流側に伝わることが規制部材363により規制されるため、前扉側下皿通路部273からの音の放出効率を高めることができる。
下皿通路孔344が縦通路部285の側面部に対して設けられているため、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度が小さくなりさえすれば、遊技球が規制部材363を越えて下流側に流下することになる。したがって、遊技球の流下に伴って規制部材363が閉鎖動作する構成であっても、規制部材363が下皿通路孔344を完全に閉鎖するわけではないため、音の取り込み量は減少しても下皿通路孔344を通じての音の取り込みは継続される。つまり、放出される音の音量は小さくなっても前扉側下皿通路部273からの音の放出が継続される。したがって、遊技球の流下に伴って音が途切れることに対して遊技者が違和感を抱いたとしても、その違和感をできるだけ小さなものにすることができる。
これに対して、例えば下皿通路孔344が上段横通路部284の床部に対して設けられた構成では、下皿通路孔344に遊技球が引っ掛からないようにするために、遊技球の通過に伴って規制部材363が下皿通路孔344を完全に閉鎖する必要が生じる。この場合、前扉側下皿通路部273からの音の放出が停止され、それに伴って遊技者に違和感を付与することが懸念される。
規制部材363の状態移行が報知・演出制御装置143により強制的に行われるため、規制部材363の全開状態と非全開状態(閉状態を含む)とを適宜使い分けることができる。つまり、前扉側下皿通路部273からの放出を制限しない状態と制限した状態とを任意のタイミングで適宜使い分けることができる。これにより、規制部材363を強制的に閉状態に移行させることで、音制限演出を行うことができる。
音制限演出の抽選に当選した場合、スーパーリーチ演出が実行されている状況であれば、規制部材363が閉状態に移行することで音制限演出が行われるため、図柄表示装置75による図柄の変動表示に対する期待度に、音制限演出が行われる場合と行われない場合とで差異を生じさせることができる。これにより、リーチ演出のうち特に期待度の高いスーパーリーチ演出の期待度を更に高めることができる。
<規制部材363の仕切状態について>
規制部材363が仕切状態に移行可能であるため、下皿通路孔344から前扉側下皿通路部273に取り込まれた音が上流側に拡散することに加えて、針金等の不正治具が前扉側下皿通路部273の奥深くに挿入されることも規制部材363により規制できる。このため、前扉側下皿通路部273からの音の放出効率が向上する一方で、前扉側下皿通路部273に挿入された不正治具により払出装置222から遊技球が不正に払い出されるということを抑制できる。
規制部材363が流下許可状態に移行することで、遊技球が規制部材363を通過して下流側に流下することが可能になるため、規制部材363により球詰まりが発生するということを抑制できる。これにより、前扉側下皿通路部273への不正治具の侵入を規制部材363により規制できる構成であっても、前扉側下皿通路部273から下皿34に遊技球を適正に排出することができる。
規制部材363は、流下してきた遊技球により押されることで閉鎖動作を行うため、規制部材363が閉鎖動作を行ってから遊技球が規制部材363の仕切位置(ホーン領域371と非ホーン領域372との境界部)に到達するまでにタイムラグが生じないようになっている。このため、遊技球の流下タイミングに合わせて不正治具を規制部材363よりも奥深くに侵入させるという不正行為を抑制できる。しかも、規制部材363は、遊技球による押圧が解除されたタイミングで仕切状態に戻るため、不正治具の侵入に対する規制効果が低下する期間を極めて短くすることができる。
規制部材363は、仕切状態(全開状態)から更なる開放動作を行わないようになっているため、不審者が不正治具を用いて規制部材363を上流側に向けて強引に押し開けようとしても、その不正治具が規制部材363を突破できないようになっている。特に、規制部材363は、その回動先端部が回動ストッパ365に引っ掛かることで仕切状態にて保持されるため、例えば規制部材363の回動基端側が回動ストッパ365に引っ掛かる構成に比べて、規制部材363を仕切状態にて保持する強度を高めることができる。つまり、不正治具により規制部材363が上流側に向けて強引に押し開けられることに対する抗力を極めて高いものにすることができる。
規制部材363が仕切状態にある場合、下皿通路孔344は開放されているため、規制部材363は、侵入してきた不正治具を下皿通路孔344に誘導することが可能になる。つまり、不正治具を前扉側下皿通路部273から外部に誘導することが可能になる。これにより、不正治具が前扉側下皿通路部273の奥深くに侵入するということを抑制できる。
規制部材363は、仕切状態にある場合に、下皿通路孔344の内周面と同一平面を形成しているため、不正治具が規制部材363に到達したとしても、その不正治具を規制部材363の板面に沿って下皿通路孔344に誘導することができる。この場合、前扉側下皿通路部273において、規制部材363が下皿通路孔344から上流側に離間した位置に配置された場合とは異なり、不審者は、前扉側下皿通路部273が下皿通路孔344から上流側に向けて延びている方向すら把握することができない。しかも、規制部材363の下面が音通路333(第3通路部353)の天井面と同一平面を形成しているため、不審者は、不正治具が下皿通路孔344から音通路333に誘導されたことも把握することができない。
規制部材363の状態を報知・演出制御装置143により強制的に移行させることが可能になっているため、規制部材363により不正治具の侵入を阻止することを優先する場合と、前扉側下皿通路部273からの音の放出を優先する場合とを適宜使い分けることができる。
遊技状態が開閉実行モードにある場合、報知・演出制御装置143により規制部材363が強制的に閉状態に移行されるため、払出装置222から多数の遊技球が払い出されても、前扉側下皿通路部273において球詰まりが発生するということを抑制できる。ここで、遊技状態が開閉実行モードにある場合には、多数の遊技球の払い出しに伴って利益が付与されていることや、次々に流下してくる遊技球に逆らって前扉側下皿通路部273に不正治具を挿入する作業が困難であることなどに起因して、不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入される可能性自体が低いと想定される。したがって、規制部材363が仕切状態になっていなくても、不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入されることに対する抑止力が著しく低下するということもない。
下皿34が満杯になっている場合、報知・演出制御装置143により規制部材363が強制的に閉状態に移行されるため、前扉側下皿通路部273に積み上がった遊技球が規制部材363に到達したとしても、それら遊技球の間に規制部材363が挟み込まれるということを回避できる。これにより、積み上がった遊技球から荷重が加えられて規制部材363が変形したり破損したりするということを抑制できる。ここで、下皿34が満杯状態になっている場合には、前扉側下皿通路部273が遊技球により塞がれた状態になっていることに起因して、不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入される可能性自体が低いと想定される。したがって、規制部材363が仕切状態になっていなくても、不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入されることに対する抑止力が著しく低下するということもない。
<下皿通路孔344からの遊技球の流出規制について>
前扉側下皿通路部273に下皿通路孔344が設けられているため、下側スピーカ30aからの出力音を下皿通路孔344を通じて前扉側下皿通路部273に効率良く取り込むことができる。
下皿通路孔344は、遊技球の流下経路から離間した位置に配置されているため、流下している遊技球が下皿通路孔344から流出するということを抑制できる。また、この場合、流下している遊技球が下皿通路孔344に引っ掛かることや、流下している遊技球により下皿通路孔344が塞がれることも抑制できる。
下皿通路孔344が縦通路部285に対して設けられているため、下皿通路孔344を遊技球の流下経路から離間させることができる。ここで、下皿通路孔344が遊技球の流下経路から離間させた構成としては、下皿通路孔344を上段横通路部284や下段横通路部286の天井部に配置する構成が考えられるが、これらの構成では、空気室332や音通路333を横通路部284,286の上側に配置する必要が生じるため、上段横通路部284の上側に球受け通路289を配置することや、下段横通路部286の上側にファール球通路118を配置することが困難になってしまう。これに対して、下皿通路孔344が縦通路部285の側面部に配置された構成では、空気室332や音通路333を横通路部284,286の上側に配置する必要がないため、下段横通路部286及びファール球通路118を適正な位置に配置した上で、遊技球の流下経路から離間した位置に下皿通路孔344を配置することができる。
下皿通路孔344は、その側面部のうち上段横通路部284側の部分(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に配置されているため、上段横通路部284を流下してきた遊技球が縦通路部285に到達した場合に、その遊技球を下皿通路孔344から遠ざかる側に移動させることができる。しかも、下皿通路孔344が上段横通路部284の床部(下皿通路仕切部342の横部分342a)から下方に向けて延びているため、遊技球は上段横通路部284と縦通路部285との境界部を通過した直後に下皿通路孔344の側方を流下することになる。この場合、遊技球が縦通路部285の外周部に接触してその流下方向が変化したとしても、そのタイミングでは既に下皿通路孔344よりも低い位置まで流下していると想定されるため、その遊技球が下皿通路孔344から流出することをより確実に抑制できる。
下皿通路孔344に対して規制部材363が設けられているため、前扉側下皿通路部273において流下している遊技球が下皿通路孔344から流出することを規制部材363により抑制できる。この場合、下皿通路孔344を小孔とする必要がないため、下皿通路孔344からの音の取り込み効率が過剰に低下しない程度に下皿通路孔344の開口面積を大きくすることができる。これにより、前扉側下皿通路部273から放出される音の音量が不足するということを抑制できる。しかも、規制部材363が非規制状態に移行可能であるため、下皿通路孔344からの音の取り込み効率が規制部材363により低下することを抑制できる。
規制部材363は、前扉側下皿通路部273を流下する遊技球により押圧されることで閉鎖動作を行うため、その遊技球が下皿通路孔344から流出することをより確実に規制できる。
その一方で、規制部材363は、全開状態にて保持されるように付勢部材により付勢されているため、閉鎖動作を行っても次の瞬間には全開状態に戻っていることになる。この場合、前扉側下皿通路部273から放出される音が途切れる期間が極めて短くなるため、例えば規制部材363が遊技球の通過に伴って所定期間だけ閉状態にて保持される構成とは異なり、前扉側下皿通路部273から放出される音による演出効果が著しく低下することを抑制できる。
規制部材363は、全開状態にある場合に前扉側下皿通路部273を仕切った仕切状態にあるため、音通路333から前扉側下皿通路部273に伝わった音がその前扉側下皿通路部273の上流側に拡散することを抑制できる。これにより、前扉側下皿通路部273からの音の放出効率を高めることができる。
また、前扉側下皿通路部273には回動ストッパ365が設けられているため、規制部材363の開放動作が付勢部材の付勢力により行われる構成でも、その規制部材363を回動ストッパ365により仕切状態にて保持できる。
下皿34が満杯になっている場合、報知・演出制御装置143により規制部材363が強制的に閉状態に移行されるため、前扉側下皿通路部273に積み上がった遊技球が下皿通路孔344に到達したとしても、それら遊技球が下皿通路孔344から流出することを抑制できる。
前扉側下皿通路部273においては、満杯検知センサ280が下皿通路孔344よりも下流に配置されているため、報知・演出制御装置143が規制部材363を閉状態に移行させるよりも前のタイミングで積み上がった遊技球が下皿通路孔344に到達するということを回避できる。これにより、規制部材363の変形や破損をより確実に抑制できる。また、積み上がった遊技球が下皿通路孔344から流出するということも確実に抑制できる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、前扉側通路ユニット45において、前扉側下皿通路部273に対する空気室332及び音通路333の位置が第1の実施形態とは異なっており、前扉側通路ユニット45の構成について、図36を参照しつつ、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図36は、前扉側通路ユニット45の内部構造を示す図であり、(a)に規制部材363が全開状態にある場合の図を示し、(b)規制部材363が閉状態にある場合の図を示す。
図36(a)に示すように、前扉側通路ユニット45において、空気室332及び音通路333が前扉側下皿通路部273の上側に配置されている。空気室332及び音通路333は、下段横通路部286の上側に配置されており、その下段横通路部286に沿って横並びに配置されている。第1の実施形態では、空気室332と前扉側下皿通路部273との間に音通路333が配置されていたが、本実施形態では、空気室332及び音通路333が両方とも前扉側下皿通路部273に隣接している。
前扉側通路ユニット45は、空気室332と音通路333とを仕切っている空気室仕切部451と、前扉側下皿通路部273と空気室332及び音通路333とを仕切っている下皿通路仕切部452を有している。音通路333は、第1の実施形態と同様に、第1通路部351、第2通路部352及び第3通路部353を有しているが、これら通路部351〜353はいずれも上下方向に延びた状態で、前扉側通路ユニット45の幅方向に沿って横並びに配置されている。この場合、通路部351〜353のうち第1通路部351だけが空気室332に沿って延びており、空気室仕切部451は空気室332と第1通路部351とを仕切っている。
第1通路部351及び第2通路部352が下段横通路部286の上側に配置されている一方で、第3通路部353は縦通路部285の上側に配置されている。第2通路部352は、第1通路部351と縦通路部285との間に配置されていることで、縦通路部285に隣り合っている。第3通路部353は、外側開口部279から空気室332側に離間した位置に配置されており、上下方向において縦通路部285に対して直列に並べられている。なお、本実施形態では、図示を省略するが、ファール球通路118及び球受け通路289が空気室332や音通路333、上段横通路部284の上側に配置されている。
下皿通路仕切部452は、上段横通路部284の外周部を形成する横通路部分452aと、縦通路部285の外周部を形成する縦通路部分452bとを有している。横通路部分452aは、上段横通路部284の天井部を形成しており、上段横通路部284を空気室332、第1通路部351及び第2通路部352に対して区画している。縦通路部分452bは、縦通路部285の側面部を形成しており、縦通路部285を第2通路部352及び第3通路部353に対して区画している。
下皿通路孔344は、縦通路部分452bにおいて縦通路部285と第3通路部353とを仕切る部分に設けられている。下皿通路孔344は、縦通路部285の上方位置に配置されており、縦通路部285を上方に向けて開放している。この場合、下皿通路孔344は、遊技球の流下経路から上方に離間した位置に配置されていることになり、下方に向けて流下している遊技球が下皿通路孔344から流出するということが発生しにくくなっている。なお、下皿通路孔344は、縦通路部285の天井部に配置されていることになる。
本実施形態においても、規制部材363は、開状態にある場合に下皿通路孔344を開放し、閉状態にある場合に下皿通路孔344を閉鎖している。規制部材363においては、その回動軸部が上段横通路部284の天井部に横並びに配置されている。上段横通路部284の天井部には、上側に向けて凹んだ上側凹部455が形成されており、その上側凹部455内に規制部材363の回動軸部が配置されている。
図36(b)に示すように、規制部材363は、閉状態にある場合に、縦通路部285の幅方向に延びた状態で、その縦通路部285の上方位置に配置されている。この場合、規制部材363は、第3通路部353と前扉側下皿通路部273(縦通路部285)との境界部に沿って延びており、規制部材363の下面は上段横通路部284の天井面と同一平面を形成している。このように、規制部材363は、閉状態にある場合に前扉側下皿通路部273側に突出していないため、前扉側下皿通路部273においては、遊技球が規制部材363に引っ掛からずに適正に流下するようになっている。
前扉側通路ユニット45は、規制部材363が閉状態から第3通路部353側に回動することを規制する逆ストッパ456を有している。逆ストッパ456は、第3通路部353の内周面から内側に突出した凸部であり、規制部材363は、その回動先端部が下流側(縦通路部285側)から逆ストッパ456に引っ掛かることで閉状態にて保持される。逆ストッパ456は、下皿通路孔344を挟んで上側凹部455の反対側に配置されている。このため、例えば下皿満杯に伴って前扉側下皿通路部273にて積み上がった遊技球が下皿通路孔344に達したとしても、規制部材363が遊技球により押し開けられるということを抑制できる。
規制部材363は、その回動先端部が下側(第3通路部353から離れる向き)に回動することで開放する。図36(a)に示すように、規制部材363は、全開状態にある場合に、回動軸部から下方に向けて延びた状態で、前扉側下皿通路部273を上段横通路部284側と縦通路部285側とに仕切った仕切状態になっている。ここで、上段横通路部284の床部には下方に向けて凹んだ下側凹部457が設けられており、規制部材363が全開状態にある場合に、その規制部材363の回動先端部が下側凹部457に収納されるようになっている。この場合、規制部材363は、その回動先端部が下側凹部457に縦通路部285側から引っ掛かることで、全開状態にて保持されるようになっている。
規制部材363は、回動軸部によりぶら下がった状態になっており、その自重で全開状態にて保持されるようになっている。このため、第1の実施形態のように規制部材363に対して付勢部材が取り付けられていなくても、規制部材363が全開状態に保たれる構成を実現できる。
規制部材363は、全開状態にある場合に、第3通路部353の側面部と縦通路部285の側面部とに掛け渡された状態になっている。この場合、規制部材363においては、縦通路部285側の板面が第3通路部353の内周面及び縦通路部285の内周面と同一平面を形成している。このため、仮に不正治具が前扉側下皿通路部273に挿入されたとしても、その不正治具の先端が規制部材363に引っ掛かりにくくなっており、不正治具を挿入した不審者は、規制部材363の存在を察知することすらできないようになっている。
本実施形態のように、第3通路部353が縦通路部285から上方に向けて延びている構成では、第1の実施形態とは異なり、音通路333及び下段横通路部286に加えて、縦通路部285の全てがホーン領域371に含まれている。全開状態にある規制部材363は、ホーン領域371と、上段横通路部284が形成する非ホーン領域372とを左右に仕切っていることになる。
ここで、非ホーン領域372は、ホーン領域371において上下に延びている部分(第3通路部353及び縦通路部285により形成された部分)の中間位置から側方に延びているため、仮に不正治具を前扉側下皿通路部273に挿入した不審者が規制部材363の存在を察知したとしても、その不正治具を非ホーン領域372(上段横通路部284)に侵入させることが非常に困難になっている。また、規制部材363は、その回動先端部が下側凹部457に引っ掛かっていることで非ホーン領域372側(上段横通路部284側)には回動しないようになっているため、不審者が不正治具により規制部材363を無理矢理押し開けようとしても、押し開けることができないようになっている。
次に、規制部材363の動作について簡単に説明する。
図36(a)に示すように、前扉側下皿通路部273において、遊技球がホーン領域371と非ホーン領域372との境界部を通過していない場合、規制部材363はその自重により全開状態に保持されている。このため、下側スピーカ30aの背面側から空気室332に対して出力された音は、非ホーン領域372に拡散することなく、ホーン領域371から下皿34に対して放出される。
図36(b)に示すように、前扉側下皿通路部273を流下している遊技球が、全開状建物にある規制部材363に到達した場合、この遊技球は、規制部材363を縦通路部285側に押し開けるようにしてホーン領域371と非ホーン領域372との境界部を通過する。この場合、規制部材363は遊技球と下皿通路孔344との間に存在することで、この規制部材363を押圧した遊技球が下皿通路孔344から流出することを規制することになる。
また、満杯検知センサ280により下皿満杯が検知された場合には、報知・演出制御装置143により規制駆動部366の駆動制御が行われることで、規制部材363が閉状態に移行する。これにより、前扉側下皿通路部273にて積み上がった遊技球が下皿通路孔344から音通路333に流出することを規制できる。
ここで、仮に遊技球が下皿通路孔344を通じて第3通路部353に侵入したとしても、第3通路部353が下皿通路孔344から上方に延びていることに起因して、その遊技球は自重で落下することにより縦通路部285に戻ることになる。また、規制部材363には付勢部材の付勢力が付与されていないため、遊技球が縦通路部285に戻ることが付勢部材の付勢力により阻害されるということもない。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
空気室332が前扉側下皿通路部273の上側に配置されているため、前扉側下皿通路部273の上方スペースを空気室332や下側スピーカ30aの設置スペースとして有効に利用することができる。また、前扉側下皿通路部273の上方スペースは音通路333の設置スペースとしても利用することができる。
下皿通路孔344が縦通路部285の天井部に配置されているため、上段横通路部284を流下してきた遊技球が下皿通路孔344に向けて上昇すること自体が発生しにくい。このため、遊技球が下皿通路孔344から音通路333側に流出するということを抑制できる。
規制部材363は、上段横通路部284の天井部からぶら下がっていることで全開状態になっているため、規制部材363を全開状態にて保持する構成、規制部材363が閉鎖動作を行った後に全開状態に戻る構成の両方を、付勢部材を用いなくても実現することができる。このため、前扉側下皿通路部273から音及び遊技球の両方が適正に放出される構成を簡易化することができる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、エンクロージャ331が音通路333を有していたが、第3の実施形態では、エンクロージャ331が音通路333を有しておらず、空気室332と前扉側下皿通路部273とが音通路333を介さずに接続されている。本実施形態の前扉側通路ユニット45の構成について、図37、図38を参照しつつ説明する。図37は前扉側通路ユニット45の分解斜視図、図38は前扉側通路ユニット45の内部構造を示す図である。なお、図38においては、(a)に仕切部材461が仕切状態にある場合の図を示し、(b)に仕切部材461が流下許可状態にある場合の図を示す。
図37、図38(a)に示すように、前扉側通路ユニット45が音通路333を有しておらず、空気室332が前扉側下皿通路部273の下側に配置されている。この場合、下皿通路仕切部342が空気室332と前扉側下皿通路部273とを仕切っており、これら空気室332と前扉側下皿通路部273とは下皿通路孔344により連通されている。下皿通路孔344は、遊技球が通過できない大きさ及び形状を有する円形状の小孔になっており、下皿通路仕切部342に多数設けられている。なお、小孔は、楕円形状や矩形状、多角形状とされていてもよい。
下皿通路仕切部342においては、横部分342aが上段横通路部284と空気室332とを上下に仕切っており、縦部分342bが縦通路部285と空気室332とを左右に仕切っている。下皿通路孔344は、横部分342a及び縦部分342bのそれぞれに複数ずつ配置されており、これら横部分342a及び縦部分342bのいずれにおいても、遊技球の流下方向及び前扉側通路ユニット45の厚み方向のそれぞれに沿って複数並べられている。
なお、ホーン領域371は、前扉側下皿通路部273において下皿通路孔344よりも下流側の領域により形成されている。
上述したように、下皿通路孔344そのものが遊技球の流出を阻止する機能を有している。本実施形態では、第1の実施形態のように下皿通路孔344に対して規制部材363が設けられているのではなく、前扉側下皿通路部273を上流側と下流側とに仕切る仕切部材461が前扉側下皿通路部273に対して設けられている。仕切部材461は、規制部材363と同様に、板材により形成されており、空気中の音の伝達を遮断することが可能になっている。
仕切部材461は、上段横通路部284の天井部から吊り下げられた状態で設けられており、その自重により下方に向けて延びた状態が上段横通路部284を左右に仕切った仕切状態に相当する。仕切部材461は、前扉側下皿通路部273において各下皿通路孔344よりも上流側に配置されており、仕切状態にある場合に、下皿通路孔344から前扉側下皿通路部273に取り込まれた音が上流側に拡散することを規制するものである。なお、仕切部材461が仕切体に相当する。
仕切部材461は、その上端部を回動軸部として回動可能になっており、上流側又は下流側に向けて回動することで非仕切状態に移行可能になっている。仕切部材461の回動軸部は、遊技球の流下方向において上段横通路部284の中間位置に配置されており、仕切部材461は、上流側及び下流側のいずれに向けて回動した場合でも、上段横通路部284の天井面に重なることが可能になっている。ここで、前扉側下皿通路部273においては、上段横通路部284の上流側端部が外側開口部279に向けて上方に開放されており、仕切部材461は、上流側に向けて回動した場合に上段横通路部284の開放部分にはみ出さない位置に配置されている。
図38(b)に示すように、遊技球が流下してきた場合、その遊技球は、仕切部材461を下流側に向けて押して回動させながらその仕切部材461を通過する。ここで、仕切部材461は、遊技球が通過できる程度に回動した場合に、非仕切状態のうち遊技球の流下を許可する流下許可状態に移行したことになる。
また、下皿34が満杯になった場合に、前扉側下皿通路部273にて積み上がった遊技球が仕切部材461を上流側に向けて押し開けた状態になったとしても、その仕切部材461が上段横通路部284の上流側端部と外側開口部279との間に存在しない。このため、積み上がった遊技球により上流側に向けて押されることで仕切部材461が変形したり破損したりすることを抑制できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
下皿通路孔344が小孔とされているため、下側スピーカ30aの出力音を下皿通路孔344から前扉側下皿通路に取り込む構成を実現した上で、下皿通路孔344から遊技球が流出することを防止できる。しかも、小孔としての下皿通路孔344が多数設けられているため、下側スピーカ30aの出力音が下皿通路孔344から取り込まれた際に、その音量が小さくなるということを抑制できる。
さらに、下側スピーカ30aの出力音が多数の下皿通路孔344を通過することで、その低音域が増幅しやすくなっている一方で、その中高音域が減衰しやすくなっている。これにより、エンクロージャ331が音通路333を有していないことでホーン領域371の長さ寸法を十分に確保することができなくても、前扉側下皿通路部273から下皿34に対して放出される音の低音域を際立たせることが可能になる。
下皿通路仕切部342においては、下皿通路孔344が横部分342a及び縦部分342bのそれぞれに複数ずつ配置されているため、下皿通路孔344を小孔とした構成であっても、各下皿通路孔344の開口面積の合計を音の取り込み量を適正に確保できる程度に大きくすることができる。しかも、横部分342aと縦部分342bとでは、下皿通路孔344による音の取り込み方向が異なっているため、これら音の低音域が増幅しやすくなっている一方で、中高音域が減衰しやすくなっている。
上段横通路部284において、その床部に下皿通路孔344が形成されている一方で、その天井部から仕切部材461が吊り下げられた状態になっているため、仕切部材461の回動状態に関係なく下皿通路孔344が仕切部材461によっては閉鎖されない構成を実現できる。このため、遊技球が仕切部材461を押し開けて流下する場合に、仕切部材461が非仕切状態に移行することで前扉側下皿通路部273において上流側に音が拡散することはあっても、下皿通路孔344から前扉側下皿通路部273への音の取り込みが停止される又は制限されるということを回避できる。
エンクロージャ331が音通路333を有していないため、第1の実施形態に比べて、前扉側通路ユニット45を小型化することや、空気室332を大型化することが可能になっている。空気室332を大型化した場合には、下側スピーカ30aを大型化すること、つまり、低音域の出力音量の大きいスピーカユニットを下側スピーカ30aとして利用することが可能になる。
<第4の実施形態>
第1の実施形態では、規制部材363が下皿通路孔344を開放可能に設けられていたが、第4の実施形態では、規制部材が下皿通路孔344を開放できない状態で設けられている。本実施形態の前扉側通路ユニット45の構成について、図39を参照しつつ説明する。図39は前扉側通路ユニット45の分解斜視図である。
図39に示すように、第3の実施形態と同様に、前扉側通路ユニット45が音通路333を有しておらず、空気室332と前扉側下皿通路部273とが下皿通路孔344により連通されている。下皿通路孔344は、横部分342aと縦部分342bとに掛け渡された状態で設けられている。下皿通路孔344は、横部分342aにおいては空気室332を側方に向けて開放する一方で、縦部分342bにおいては空気室332を上方に向けて開放している。この場合、下側スピーカ30aの出力音が下皿通路孔344から上段横通路部284及び縦通路部285の両方に取り込まれる。
下皿通路孔344に対しては、その下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制する規制部材465が設けられている。規制部材465は、互いに交差する方向に延びた一対の板部を有しており、一方の板部が横部分342aに直列に並び且つ他方の板部分が縦部分に直列に並んだ状態で配置されている。規制部材465は、下皿通路孔344を塞いだ状態でベース板274a,274b、横部分342a及び縦部分342bに固定されている。この場合、規制部材465は、下皿通路孔344内に入り込んだ状態になっており、遊技球の流下を阻害しないようになっている。
規制部材465は、下皿通路孔344の内周面に沿って延びている枠部466と、その枠部466の内側に設けられた網部467とを有している。枠部466は矩形状の枠体を2つ有しており、一方の枠体が横部分342aに沿って延び、他方の枠体が縦部分342bに沿って延びている。網部467は、下皿通路孔344を複数に分割する分割部であり、下皿通路孔344を通じた音の伝達を許可すること、及び下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制することの両方が可能になっている。
網部467は、ワイヤや糸等の細い線状部材を複数有しており、これら線状部材が交差する方向に延びていることで形成されている。網部467においては、線状部材が細いことからして、その線状部材が音の伝達を阻害しにくくなっており、例えば規制部材465が下皿通路孔344に設けられていない構成に比べても、下皿通路孔344における音の伝達効率が著しく低下するということが生じないようになっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
規制部材465が下皿通路孔344に対して開閉しないため、規制部材465が前扉側下皿通路部273を上流側と下流側とに仕切ることがない。つまり、規制部材465により遊技球の流下が阻害されるということを回避できる。その一方で、規制部材465の網部467が下皿通路孔344を複数に分割した状態になっているため、遊技球が下皿通路孔344から流出することを規制部材465により規制できる。しかも、網部467の線状部材が細くされているため、下皿通路孔344における音の伝達効率が網部467により低下しにくくなっている。このため、規制部材465を開放させなくても、前扉側下皿通路部273から放出される音の音量を適正に保つことができる。
規制部材465が枠部466を有しているため、枠部466を前扉側通路形成部276(ベース板274a,274bや連結板274c)に固定することで、網部467をその前扉側通路形成部276に対して固定することができる。この場合、網部467を前扉側通路形成部276に直接固定した構成に比べて、前扉側通路形成部276に対する網部467の固定強度が高められるため、流下する遊技球や積み上がった遊技球から網部467に荷重が加えられても、網部467が変形したり破損したりするということを抑制できる。
<第5の実施形態>
第1の実施形態では、前扉側通路ユニット45の音通路333が前扉枠14と内枠13との間に配置されていたが、第5の実施形態では、音通路333が内枠13を前後方向に貫通した状態で設けられている。本実施形態では、前扉側通路ユニット45の構成について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。まず、裏パックユニット15の構成について図40を参照しつつ説明する。図40は裏パックユニット15の分解斜視図である。
図40に示すように、裏パックユニット15においては、裏パック201及び払出機構部202により第1裏パックユニット471が形成され、排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204により第2裏パックユニット472が形成されている。第1裏パックユニット471は、その幅方向に延びる下端部材474を有しており、第2裏パックユニット472は下端部材474に対して背面側から取り付けられている。下端部材474は、金属材料により形成された長尺部材であり、第2裏パックユニット472は、下端部材474から下方に向けて延びた状態になっている。
なお、第1裏パックユニット471には、下端部材474から上方に向けて延びた開口部475が設けられている。第1裏パックユニット471においては、下方に向けて開放された切り欠き部が裏パック201のベース部211に形成されており、この切り欠き部を下方から塞ぐ位置に下端部材474が配置されていることで開口部475が形成されている。
第2裏パックユニット472において排出通路盤203は、各種入賞口やアウト口68から排出された遊技球を受ける球受け部477と、球受け部477にて受けた遊技球を下方に向けて排出する排出通路478とを有している。排出通路478は、排出通路盤203の幅方向に遊技球を蛇行させながら流下させる形状を有しており、排出通路478の下端部である排出口478aは、排出通路盤203の幅方向において中央付近に配置されている。
制御装置集合ユニット204は、払出制御装置181及び電源・発射制御装置191が取り付けられた取付台479を有しており、この取付台479は、これら制御装置181,191の前面側に配置されている。取付台479は、排出通路盤203の背面側に配置されていることで排出通路478を背面側から覆っている。
次に、前扉側通路ユニット45の構成について、図41〜図44を参照しつつ説明する。図41は前扉側通路ユニット45の構成を示す斜視図、図42は前扉側通路ユニット45の構成を示す断面図、図43は遊技機主部12の概略縦断面図、図44はパチンコ機10の背面図である。なお、図41においては、(a)に遊技機主部12を展開した概略図を示し、(b)に前扉側通路ユニット45の斜視図を示す。図42においては、(a)に前扉側通路ユニット45の概略横断面図を示し、(b)に前扉側通路ユニット45の概略縦断面図を示す。また、図41、図42においては、前扉側上皿通路部272やファール球通路118の図示を省略している。
図41(a)に示すように、内枠13は、内枠ベース50の周囲に沿って延びる矩形枠状の周縁枠体481を有している。周縁枠体481は、一対の縦枠部481aと、これら縦枠部481aの上端部同士を連結した上枠部481bと、縦枠部481aの下端部同士を連結した下枠部481cとを有しており、内枠ベース50から前方に向けて突出している。内枠13においては、内枠ベース50に対して周縁枠体481が一体的に設けられていることで、内枠13の強度向上が図られているとともに、前扉側通路形成部276を収納するための収納スペースが前扉枠14と内枠13との間に確保されている。
図41(a),(b)に示すように、前扉側通路ユニット45は、前扉枠14のベース枠231の背面に重ねられた重ね部482と、重ね部482から後方に向けて延びた後方延出部483とを有しており、重ね部482は、ベース枠231の背面に沿って延びている。前扉側通路形成部276は、重ね部482に含まれている一方で後方延出部483には含まれておらず、音案内路形成部334は重ね部482及び後方延出部483の両方に含まれている。後方延出部483は、全体として扁平状の略直方体に形成されており、基端側(重ね部482側)と自由端側とで高さ寸法や幅寸法が同じになっている。
内枠13には、前扉側通路ユニット45の音案内路形成部334(後方延出部483)が通された通し部486が設けられている。通し部486は、周縁枠体481の内側において内枠ベース50を前後に貫通した略矩形状の貫通孔であり、下枠部481cに沿って延びている。この場合、通し部486は、前扉枠14の開閉に伴って前扉側通路ユニット45の後方延出部483を挿通させることが可能な大きさ及び形状になっている。ここで、裏パックユニット15の下端部は内枠13の下端部よりも高い位置に配置されており、内枠13の下部には、裏パックユニット15により覆われていない非被覆部分487が形成されている。通し部486は、この非被覆部分487に設けられていることで、裏パックユニット15よりも低い位置に配置されている。
図42(a),(b)に示すように、前扉側通路ユニット45においては、空気室332が重ね部482に配置されている一方で、音通路333が後方延出部483に配置されている。重ね部482においては、空気室332が前扉側下皿通路部273の上段横通路部284の下方において下段横通路部286に横並びに配置されている。音通路333は、空気室332及び前扉側下皿通路部273の後方に配置されている。このように、第1の実施形態とは異なり、音通路333を空気室332や前扉側下皿通路部273の後方に配置することができるため、空気室332や前扉側下皿通路部273の形状、大きさが音通路333により制限されにくくなっている。
音通路333の第1通路部351〜第3通路部353は、第1の実施形態のようにベース枠231の背面に沿って並べられているのではなく、前扉枠14の厚み方向に並べられている。これら通路部351〜353は、いずれも前扉枠14の幅方向に延びており、第1通路部351、第2通路部352、第3通路部353の順に空気室332から遠ざかるように配置されている。
前扉側通路ユニット45においては、空気室332と第1通路部351とが空気室仕切部341により前後に仕切られており、これら空気室332と第1通路部351とを連通する空気室孔343は、空気室332を第1通路部351に向けて後方に開放している。また、空気室332は、前扉側下皿通路部273に対しても空気室仕切部341により仕切られている。
本実施形態の音通路333は、第1通路部351〜第3通路部353に加えて、第3通路部353と前扉側下皿通路部273とを接続する第4通路部489を有している。第4通路部489は、前扉枠14の幅方向において第1通路部351〜第3通路部353に横並びに配置されており、これら通路部351〜353に架け渡された状態で下段横通路部286から後方に向けて延びている。また、第4通路部489は、下皿通路孔344を通じて下段横通路部286に連通されており、この下皿通路孔344は、下段横通路部286を後方に向けて開放している。
第4通路部489の断面積は、音通路333の断面積が上流側端部(空気室孔343)から下流側端部(下皿通路孔344)に向けて徐々に大きくなるように設定されている。また、下段横通路部286において下皿通路孔344よりも下流側の断面積が第4通路部489の断面積よりも大きくなるように設定されていることで、ホーン領域371の断面積についても、上流側端部(空気室孔343)から下流側端部(第1球入口34a)に向けて徐々に大きくなっている。
下皿通路孔344に対しては、第1の実施形態と同様に規制部材363が設けられており、音通路333から下段横通路部286への音の伝達や、前扉側下皿通路部273から音通路333への遊技球の進入が規制部材363により規制されるようになっている。
図43に示すように、遊技機主部12においては、前扉側通路ユニット45の後方延出部483(音案内路形成部334)が内枠13の通し部486に挿通されており、後方延出部483の端部が内枠ベース50よりも後方に突出している。この突出部分483aは、裏パックユニット15の下方に配置されており、扁平状の突出部分483aの上面は裏パックユニット15の下面に対向した状態で、その下面に沿って延びている。また、突出部分483aは、裏パックユニット15よりも後方には突出しておらず、前扉側通路ユニット45が内枠13よりも後方に突出した構成であっても、内枠13に対する裏パックユニット15の開閉に際して前扉側通路ユニット45が支障になるということが生じにくくなっている。なお、裏パックユニット15は背面体に相当する。
図44に示すように、パチンコ機10は、遊技ホールの島設備491に設置されており、島設備491において、パチンコ機10への遊技球の供給及びパチンコ機10から排出された遊技球の回収が行われるようになっている。島設備491は、パチンコ機10から排出された遊技球を回収する球回収路492を有している。球回収路492は、遊技球を下流側に向けて流下させる傾斜通路であり、パチンコ機10の背面側においてこの排出通路盤203の排出口478aよりも低い位置に配置されている。球回収路492の下流側に流下した遊技球は、球供給機構により回収されて再びパチンコ機10に供給されるようになっている。
パチンコ機10は、排出通路盤203から排出された遊技球を球回収路492に案内する排出案内ユニット495を有している。排出案内ユニット495は、遊技球を球回収路492に案内する排出案内樋496と、排出案内樋496を排出通路盤203の排出口478aに連結した連結体497と、連結体497を収納しているケース体498とを有している。連結体497は、排出案内樋496を回動可能に支持しており、排出案内樋496は、ケース体498に収納された収納状態とケース体498から下方に向けて延びた露出状態とに移行可能になっている。排出案内樋496の回動軸はパチンコ機10の前後方向に延びており、排出案内樋496は、その自由端が下方に移動する向きに回動することで収納状態から露出状態に移行することになる。連結体497は、排出案内樋496の角度を保持可能になっており、排出案内樋496は、その自由端が球回収路492に当接又は接近した角度で保持されている。
ケース体498は、内枠13の後方スペースにおいて裏パックユニット15の下方位置に配置されている。この場合、ケース体498は、前扉側通路ユニット45の突出部分483aに側方位置に配置されている。排出案内ユニット495においては、連結体497が排出通路盤203の排出口478aの後方位置に配置されており、排出案内樋496は連結体497から突出部分483aとは反対側に向けて延びている。このように、前扉側通路ユニット45は、通し部486を通じて内枠13の背面側に突出していても、その突出部分483aが排出案内ユニット495に干渉しない位置に配置されている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
前扉側通路ユニット45の後方延出部483が通し部486を通じて内枠13の背面側に突出しているため、通し部486の内部スペースや内枠13の背面側スペースを前扉側通路ユニット45の設置スペースとして利用することができる。この場合、前扉枠14と内枠13との間において前扉側通路ユニット45の設置スペースを増加させなくても、前扉側通路ユニット45において音通路333の長さ寸法を増加させることが可能になる。つまり、ホーン領域371の長さ寸法を十分に確保することで、ホーン領域371を通過して下皿34に対して放出される音の低音域を適正に増幅させることができる。
通し部486が内枠13の非被覆部分487に配置されているため、内枠13に対する裏パックユニット15の開閉に際して前扉側通路ユニット45の後方延出部483が支障になるということを回避できる。また、裏パックユニット15の後方延出部483の延出寸法や形状などが裏パックユニット15により制限されるということを回避できる。さらに、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が裏パックユニット15よりも後方に突出していないため、外枠11に対する遊技機主部12の開閉に際して後方延出部483が支障になることを抑制できる。また、パチンコ機10を工場から遊技ホールに運搬する際などに、後方延出部483が支障になることを抑制できる。
内枠13が裏パックユニット15よりも下方に延びていることでの非被覆部分487が形成されているため、通し部486を非被覆部分487に形成することで、裏パックユニット15の下方スペースを前扉側通路ユニット45の設置スペースとして利用することができる。しかも、通し部486は、裏パックユニット15の排出通路盤203の排出口478aに対して幅方向にずれているため、前扉側通路ユニット45を排出口478aに前後に重ならない位置に配置することが容易になる。このため、排出口478aに対して接続される排出案内ユニット495と前扉側通路ユニット45の突出部分483aとが干渉することを抑制できる。
排出案内ユニット495の排出案内樋496が、パチンコ機10の幅方向において前扉側通路ユニット45の突出部分483aとは反対側に向けて延びているため、パチンコ機10の運搬時などにおいて排出案内樋496がケース体498に収納されている状態でも、排出案内樋496が前扉側通路ユニット45の突出部分483aに干渉することを回避できる。
内枠13の通し部486が前扉枠14の下側スピーカ30aの後方に配置されているため、前扉側通路ユニット45を通し部486に挿通させる上でこの前扉側通路ユニット45の形状が複雑にする必要がない。この場合、前扉側通路ユニット45において、前扉側下皿通路部273や音通路333、空気室332の形状や大きさが制限されることで下側スピーカ30aの大きさや形状、種類が制限されるということを抑制できる。したがって、ホーン領域371により音の増幅を図る上で、出力性能そのものが低いスピーカを下側スピーカ30aとして使用せざるを得ないという事態に陥ることを回避できる。
<第6の実施形態>
第5の実施形態では、前扉側通路ユニット45の突出部分483aが裏パックユニット15の下方に配置されていたが、第6の実施形態では、この突出部分483aが裏パックユニット15に前後に重なる位置に配置されている。
本実施形態では、前扉側通路ユニット45の構成について、第5の実施形態との相違点を中心に、図45〜図47を参照しつつ説明する。図45は前扉側通路ユニット45の構成を示す斜視図、図46は前扉側通路ユニット45の構成を示す断面図、図47は排出通路盤203を背面側から見た場合の斜視図、図48は遊技機主部12の概略縦断面図である。なお、図45においては、(a)に遊技機主部12を展開した概略図を示し、(b)に前扉側通路ユニット45の斜視図を示す。図46においては、(a)に前扉側通路ユニット45の概略縦断面図を示し、(b)に前扉側通路ユニット45の概略横断面図を示す。
図45(a),(b)に示すように、前扉側通路ユニット45(エンクロージャ331)は、第5の実施形態と同様に重ね部482及び後方延出部483を有している。その一方で、第5の実施形態とは異なり、前扉側通路形成部276は、重ね部482及び後方延出部483の両方に含まれ、音案内路形成部334は、重ね部482に含まれている一方で後方延出部483には含まれていない。
本実施形態では、後方延出部483が第5の実施形態よりも高い位置に配置されており、それに合わせて、通し部486が、裏パックユニット15に前後に重なる位置に配置されている。この場合、通し部486は、内枠13において非被覆部分487の上方位置に配置されている。
図46(a),(b)に示すように、第5の実施形態とは異なり、前扉側通路ユニット45は音通路333を有しておらず、空気室332と前扉側下皿通路部273とが直接的に連通されている。空気室332と前扉側下皿通路部273とは空気室仕切部341により仕切られており、この空気室仕切部341に形成された空気室孔343により連通されている。この場合、前扉側下皿通路部273においては、空気室孔343よりも下流側の領域がホーン領域371とされている。
前扉側下皿通路部273は、全体として前後に折り畳まれた形状になっている。前扉側下皿通路部273は、外側開口部279から下方に向けて延びた縦通路部501と、この縦通路部501と下皿34の第1球入口34aとを接続している横通路部502〜505とを有している。縦通路部501は、内枠13の内枠ベース50に沿って横並びに配置されており、空気室孔343を通じて空気室332に連通されている。この場合、空気室孔343は、空気室332を縦通路部501に向けて側方に開放している。
横通路部502〜505のうち、第1横通路部502、第2横通路部503及び第3横通路部504は、いずれも前扉枠14の幅方向に延びており、第1横通路部502、第2横通路部503、第3横通路部504の順に縦通路部501から遠ざかるように配置されている。また、第1横通路部502は、空気室332の背面側に沿って延びている。第4横通路部505は、前扉枠14の厚み方向に延びた状態で第3横通路部504と下皿34の第1球入口34aとを接続している。第4横通路部505は、前扉枠14の幅方向において第1横通路部502〜第3横通路部504に横並びに配置されており、これら通路部502〜504に架け渡された状態で第1球入口34aから第3横通路部504に向けて後方に延びている。
前扉側下皿通路部273のホーン領域371においては、第5の実施形態と同様に、ホーン領域371の断面積が、上流側端部(空気室孔343)から下流側端部(第1球入口34a)に向けて徐々に大きくなっている。ここで、前扉側下皿通路部273においては、遊技球が第1球入口34aに向けて流下するように底面が第1球入口34aに向けて下方に傾斜しており、その傾斜も利用してホーン形状に形成されている。この場合でも、前扉側通路ユニット45の後方延出部483は、略直方体形状に形成されており、基端側と自由端側とで高さ寸法や幅寸法が同じになっている。
なお、空気室孔343に対しては、第5の実施形態と同様に規制部材363が設けられているが、図46(a)においては、規制部材363の図示を省略している。
図47に示すように、排出通路盤203は、全体として板状に形成されており、排出通路盤203自身の強度を高めるための補強部511を有している。補強部511は、排出通路盤203の幅方向や上下方向に延びた複数のリブ512を有しており、これらリブ512は、いずれも排出通路478から前方(前扉枠14側)に向けて延びている。幅方向に延びた複数のリブ512は、上下方向に所定間隔で配置され、上下方向に延びた複数のリブ512は、幅方向に所定間隔で配置されており、互いに交差するリブ512は互いに連結されている。この場合、排出通路盤203が歪んだりその中間部分が下方に撓んだりすることが補強部511により抑制されている。なお、排出通路盤203においては、最上段に配置されたリブ512により球受け部477が形成されている。
図47、図48に示すように、排出通路盤203には、内枠13から遠ざかる側(後方)に向けて凹んだ収納凹部513が設けられており、この収納凹部513には、前扉側通路ユニット45の突出部分483aが収納されている。収納凹部513は、上下に隣り合う横リブ512aと、横並びに隣り合う縦リブ512bとにより形成されており、前扉側通路ユニット45の突出部分483aが入り込むことが可能な大きさ及び形状を有している。上下の横リブ512aの離間距離は突出部分483aの高さ寸法と同じ又はそれよりも若干大きくされており、左右の縦リブ512bの離間距離は、突出部分483aの幅寸法よりも大きくされている。この場合、前扉枠14の開閉に伴って収納凹部513への突出部分483aの収納を可能になっている一方で、収納された状態では、突出部分483aが上下の横リブ512aに対して嵌合された状態になっている。
制御装置集合ユニット204は、上述の如く電源・発射制御装置191等を備えており重量がかさみやすく、制御装置集合ユニット204が撓むことが懸念される。これに対して、第2裏パックユニット472においては、制御装置集合ユニット204の撓みが排出通路盤203により抑制されている。また、制御装置集合ユニット204からの荷重等により排出通路盤203が撓むことも予想されるが、これに対しては、排出通路盤203が複数のリブ512を有していることで排出通路盤203自体が撓みにくくなっていることに加えて、前扉側通路ユニット45の突出部分483aが排出通路盤203の収納凹部513に嵌合されていることで、排出通路盤203の撓みが抑制されている。
裏パックユニット15においては、制御装置集合ユニット204は裏パック201に対して独立開閉が可能となっている。これにより、球受け部477の破損等の確認や球受け部477等に対する不正等の確認が容易なものとなっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
内枠13の通し部486が非被覆部分487の上方位置に配置されているため、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が裏パックユニット15の下方に露出しない構成を実現できる。この場合、裏パックユニット15の下方スペースの全体を、排出通路盤203から島設備に遊技球を排出するための設備や部材を設置するためのスペースとして有効に利用することができる。
前扉側通路ユニット45においては、内枠13の通し部486に通された後方延出部483が裏パックユニット15の収納凹部513に収納されているため、通し部486が裏パックユニット15に前後に重なる位置に配置されていても、内枠13に対して裏パックユニット15が適正に閉鎖された状態を保持できる。したがって、内枠13の通し部486の内部スペースや、内枠13と裏パックユニット15との間のスペースを前扉側通路ユニット45の設置スペースとして利用することができる。
収納凹部513においては、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が上下の横リブ512aの間に嵌合されているため、後方延出部483により裏パックユニット15の姿勢を保持することが可能になっている。このため、仮に、収納凹部513が形成された分だけ裏パックユニット15の強度が低下していたとしても、その強度低下を収納凹部513に対する前扉側通路ユニット45の嵌合により補うことができる。
裏パックユニット15においては、収納凹部513が排出通路盤203の補強部511に設けられているため、仮に収納凹部513の設置位置の強度が低下したとしても、複数のリブ512により補強部511全体としては強度を適正に保持することができる。このため、裏パックユニット15が内枠13に対して開放された状態、すなわち、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が収納凹部513に収納されていない状態でも、裏パックユニット15の形状が適正に保たれる構成を実現できる。
補強部511は裏パックユニット15の下端部に沿って延びているため、裏パックユニット15の幅方向について収納凹部513の設置位置に関する自由度を高めることができる。このため、前扉側通路ユニット45の後方延出部483の位置が補強部511の位置によって制限されるということを抑制できる。
排出通路盤203においては、補強部511が複数のリブ512により形成されているため、一部のリブ512a,512bの位置を変更することで収納凹部513を容易に形成することができる。しかも、補強部511の強度が著しく低下するということが生じないように、横リブ512aや縦リブ512bの設置位置を変更することで、補強部511の強度低下を最低限に抑えることができる。
<他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。
(a1)上記第1の実施形態では、前扉側下皿通路部273において、縦通路部285と下段横通路部286とが組み合わされていることでホーン領域371が折れ曲がった形状とされていたが、ホーン領域371が折れ曲がっていれば、斜め方向に延びた斜め通路部を有していてもよく、上下に重ねられた複数の横通路部が組み合わされていてもよい。
また、前扉側下皿通路部273や音通路333は、直線的に延びた通路部を有していなくても、折れ曲がった形状になっていればよい。例えば、波形状のように蛇行した形状になっていても、折れ曲がった形状が実現されていることになる。
(a2)上記第1の実施形態では、音通路333が音曲がり部357を複数有していたが、音通路333は音曲がり部357を有していなくてもよい。つまり、音通路333はストレート形状にされていてもよい。この場合でも、音通路333がホーン形状になっていれば、音通路333を伝わる音の低音域が増幅しやすくなる。
(a3)上記第1の実施形態では、前扉側下皿通路部273が中間曲がり部304及び下流曲がり部305を有していたが、前扉側下皿通路部273はこれら曲がり部304,305を有していなくてもよい。つまり、前扉側下皿通路部273はストレート形状にされていてもよい。この場合でも、前扉側下皿通路部273がホーン形状になっていれば、前扉側下皿通路部273を伝わる音の低音域が増幅しやすくなる。
(a4)上記第1の実施形態では、前扉側下皿通路部273の断面積がその上流側端部から下流側端部に向けて徐々に大きくなっているが、前扉側下皿通路部273の断面積は、下皿通路孔344よりも上流側において任意に設定されていてもよい。この場合でも、ホーン領域371の断面積が下皿34に向けて徐々に大きくなっている構成は実現できる。
(a5)上記第1の実施形態では、音取り込み孔としての下皿通路孔344に対して規制部材363が設けられていたが、規制部材363は設けられていなくてもよい。この場合、下皿通路孔344からの遊技球の流出が規制部材363によっては規制されないことになるため、遊技球を下皿34や前扉側下皿通路部273に排出するための専用通路が音通路333や空気室332に接続されていることが好ましい。これにより、下皿通路孔344から音通路333に遊技球が流出したとしても、その遊技球を下皿34に排出することができる。
(a6)上記第1の実施形態では、ベース板274a,274b及び連結板274cが組み合わされることで前扉側通路ユニット45が形成されていたが、あらかじめ製造しておいた空気室332や音通路333を前扉側通路形成部276等に取り付けることで前扉側通路ユニット45が形成されてもよい。この場合でも、空気室332や音通路333を、前扉枠14のベース枠231に対して前扉側通路形成部276等と一緒に取り付けることができる。これにより、空気室332や音通路333、前扉側通路形成部276をベース枠231に取り付ける際の作業負担を低減できる。
(a7)上記第1の実施形態では、前扉枠14において、下側スピーカ30aと前扉側通路ユニット45とがベース枠231に対して個別に固定されている一方で、下側スピーカ30aと前扉側通路ユニット45とは固定されていなかったが、これら下側スピーカ30aと前扉側通路ユニット45とが互いに固定されていてもよい。この場合、前扉側通路ユニット45に下側スピーカ30aをあらかじめ取り付けておき、これら前扉側通路ユニット45及び下側スピーカ30aをまとめてベース枠231に取り付けることが可能になる。これにより、前扉側通路ユニット45及び下側スピーカ30aをベース枠231に取り付ける際の作業負担を低減できる。
(a8)上記第1の実施形態では、空気室332及び音通路333が、前扉側下皿通路部273の下側として、上段横通路部284の下方位置に配置されていたが、空気室332や音通路333は、下段横通路部286や縦通路部285の下方位置に配置されていてもよい。この場合、下皿通路孔344は、下段横通路部286や縦通路部285の床部に配置されていることが好ましい。
また、上記第2の実施形態では、空気室332及び音通路333が、前扉側下皿通路部273の上側として、下段横通路部286の上方位置に配置されていたが、空気室332は、上段横通路部284や縦通路部285の上方位置に配置されていてもよく、音通路333は、前扉側上皿通路部272の側方位置に配置されていてもよい。この場合、下皿通路孔344は、上段横通路部284や下段横通路部286の天井部に配置されていることが好ましい。
さらに、上記第3の実施形態では、下皿通路孔344が小孔として、上段横通路部284の床部及び縦通路部285の側面部のそれぞれに設けられていたが、空気室332や音通路333が前扉側下皿通路部273の上側に配置されていれば、下皿通路孔344は、下段横通路部286の天井部及び縦通路部285の側面部のそれぞれに設けられていてもよい。これにより、下段横通路部286の下皿通路孔344と縦通路部285の下皿通路孔344とで音を取り込む方向が交差することになるため、低音域が増幅しやすく中高音域が減衰しやすい環境を作り出すことができる。
(a9)上記第1の実施形態では、空気室332及び音通路333が前扉側下皿通路部273等の下皿通路や前扉側上皿通路部272等の上皿通路の下方に配置されていたが、空気室332や音通路333は、パチンコ機10の前後方向において下皿通路や上皿通路に重なる位置に配置されていてもよい。
(b1)上記第1の実施形態では、規制部材363の上端部に回動軸部が配置されていたが、規制部材363においては、その下端部や中間部分に回動軸部が配置されていてもよい。例えば、下端部に回動軸部が配置された規制部材363が、全開状態にある場合に、下皿通路孔344の下端部から下方に向けて延びた状態になっている構成とする。この構成でも、流下している遊技球が下皿通路孔344の近くに到達するよりも前のタイミングで、規制駆動部366により規制部材363を強制的に閉状態に移行させることで、下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制部材363により規制できる。
(b2)上記第1の実施形態では、下皿通路孔344からの遊技球の流出が規制部材363の状態に応じて規制又は許可される構成としたが、規制部材363の状態に関係なく、下皿通路孔344からの遊技球の流出が規制部材363により規制される構成としてもよい。例えば、規制部材363の中間部分に回動軸部が配置され、その回動軸部が下皿通路孔344を上下に分割する位置に配置された構成とする。この構成では、下皿通路孔344からの遊技球の流出が規制部材363の回動軸部により規制されるため、下皿通路孔344からの音の取り込み状態に関係なく、下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制できる。
(b3)上記第1の実施形態では、規制部材363が回動ストッパ365に引っ掛かることで、全開状態よりも開度の大きい状態に移行しない構成としたが、第3の実施形態のように、規制部材363が全開状態よりも開度の大きい状態に移行可能な構成としてもよい。例えば、回動ストッパ365が設けられていない構成とする。
(b4)上記第1の実施形態では、規制部材363が回動することで下皿通路孔344を開閉していたが、規制部材363は、スライド移動することで下皿通路孔344を開閉してもよい。例えば、規制部材363が縦通路部285の側面部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に重ねられた状態で設けられた構成とする。この構成では、規制部材363は、縦部分342bとの重なりが小さくなる向きにスライド移動することで下皿通路孔344を閉鎖し、縦部分342bとの重なりが大きくなる向きにスライド移動することで下皿通路孔344を開放することが可能になっている。この構成でも、規制部材363が縦通路部285の内側に向けて延びた延出部を有していれば、流下してきた遊技球によりその延出部が押されることで規制部材363を開状態から閉状態に移行させることが可能になっている。
また、規制部材363は、弾性変形することで下皿通路孔344を開閉してもよい。例えば、規制部材363が、ゴム等の弾性変形可能な材料により形成され、全開状態で設けられた構成とする。この構成では、規制部材363は、流下してきた遊技球により押された場合に、下皿通路孔344に対する開度を小さくする向きで弾性変形し、遊技球が通過して押圧が解除されることで、元の形状に戻ることで全開状態に移行することになる。なお、この構成では、規制部材363が全開状態(仕切状態)よりも開度の大きい状態に移行可能であるため、前扉側下皿通路部273にて遊技球が積み上がった場合でも、その遊技球により規制部材363が破損したり球詰まりが発生したりすることを抑制できる。
(b5)第1の実施形態では、規制部材363が前扉側下皿通路部273において回動可能に設けられていたが、規制部材363は、音通路333において回動可能に設けられていてもよい。例えば、閉状態にある規制部材363が前扉側下皿通路部273側及び音通路333側の何れに向けて回動した場合でも、下皿通路孔344が開放される構成とする。
(b6)上記第1の実施形態では、音制限演出が行われる場合に、規制部材363を閉状態に移行させる構成としたが、前扉側下皿通路部273から放出される音の音量が制限されるのであれば、下皿通路孔344に対する規制部材363の開度を小さくするだけでもよい。この場合、音制限演出が行われていない場合に比べて、規制部材363の開度が小さくされていればよい。
(b7)上記第1の実施形態では、図柄表示装置75での変動表示の態様がスーパーリーチA〜Cのいずれかである場合に音制限演出を実行可能としたが、ノーマルリーチA,Bのいずれかである場合や、完全外れである場合に音制限演出を実行可能としてもよい。いずれの場合でも、変動表示の停止結果に対する遊技者の期待度を高めることができる。
(b8)上記第1の実施形態では、スーパーリーチ演出が開始されたタイミングで音制限演出が開始される構成としたが、スーパーリーチ演出が開始されてから所定時間が経過した後に音制限演出が開始される構成としてもよい。これにより、遊技者の期待度を高めることができるとともに、音制限演出のバリエーションを増やすことができる。
(b9)上記第1の実施形態では、遊技回が行われている場合、すなわち、図柄表示装置75にて図柄の変動表示が行われている場合に、音制限演出を実行可能としたが、図柄の変動表示が行われていない場合に音制限演出を実行可能としてもよい。例えば、当否抽選モードが高確率モードにある場合に音制限演出を実行可能としてもよい。いずれの場合でも、遊技者にとって特典が付与される可能性が高い状態と高くない状態とが音制限演出により差別化されるため、音制限演出により特典付与への期待度を高めることができる。
(b10)上記第1の実施形態では、下皿満杯になっている場合、開閉実行モードにある場合、又は音制限演出を行う場合に、規制部材363が強制的に閉状態に移行されたが、他にも、不正検知処理(ステップS202)により不正が検知された場合や、デモ表示用処理(ステップS217)により図柄表示装置75に待機表示が行われている場合などに、規制部材363が強制的に閉状態に移行されてもよい。
(b11)上記第1の実施形態では、下側スピーカ30aの背面側から出力された音が前扉側下皿通路部273に取り込まれる構成としたが、下側スピーカ30aの背面側ではなく前面側から出力された音が前扉側下皿通路部273に取り込まれる構成としてもよい。例えば、前扉側通路ユニット45において、スピーカ用開口部336が後側ベース板274bに設けられていることで、空気室332がパチンコ機後方に向けて開放された構成とする。この構成では、空気室332がパチンコ機前方に向けては開放されておらず、下側スピーカ30aの前面部分がスピーカ用開口部336を通じて空気室332内に入り込んだ状態になっている。この場合、下側スピーカ30aの前面側からの出力音が前扉側下皿通路部273を通じて下皿34に向けて放出されることになる。
(c1)上記第1の実施形態では、仕切体としての規制部材363の回動軸部が下皿通路孔344の上端部に対して設けられていたが、規制部材363は、下皿通路孔344から上流側に離間した位置に配置されていてもよい。例えば、規制部材363が仕切状態にある場合に上段横通路部284の中間位置にてその上段横通路部284を上流側と下流側とに仕切る位置に配置された構成とする。
(c2)上記第1の実施形態では、仕切状態にある規制部材363の回動先端部が回動ストッパ365に引っ掛かっている構成としたが、仕切状態にある規制部材363の回動基端部や側端部、中間部分が回動ストッパ365に引っ掛かる構成としてもよい。また、回動ストッパ365は、前扉側下皿通路部273の外周部に設けられているのではなく、規制部材363やその規制部材363の回動軸部に設けられていてもよい。さらに、規制部材363は、前扉側通路形成部276の内周面に引っ掛かることで仕切状態にて保持されてもよい。
(c3)上記第1の実施形態では、規制部材363が回動ストッパ365に引っ掛かっていることで仕切状態にて保持されていたが、規制駆動部366が規制部材363の回動を規制する機能を有していることで、その規制部材363が仕切状態にて保持されていてもよい。
(c4)上記第1の実施形態では、遊技状態が開閉実行モードにある場合に規制部材363を閉状態に強制的に移行させたが、高頻度サポートモードにある場合に、規制部材363を閉状態に強制的に移行させてもよい。また、開閉実行モードにある場合でも、確変大当たりに当選していれば規制部材363を閉状態に移行させ、通常大当たりに当選していれば規制部材363を閉状態に移行させない、という構成にしてもよい。
(d1)上記第1の実施形態では、下皿通路仕切部342の縦部分342bにおいて、下皿通路孔344が横部分342aから下方に向けて延びていたが、下皿通路孔344は、横部分342aから下方に離間した位置に配置されていてもよい。この場合でも、遊技球の流下経路から離間した位置に下皿通路孔344を配置することができる。
(d2)上記第1の実施形態では、縦通路部285において、縦通路部285の側面部のうち上段横通路部284側の縦部分342bに下皿通路孔344が配置されていたが、下皿通路孔344は、縦通路部285の側面部のうち、上段横通路部284とは反対側の側面部や、縦通路部285の前後に配置された側面部に配置されていてもよい。この場合でも、遊技球の流下経路から離間した位置に下皿通路孔344を配置することは可能である。
(d3)上記第1の実施形態では、下皿通路孔344が遊技球の通過が可能な大きさ及び形状とされていたが、下皿通路孔344は、遊技球を通過させない大きさ及び形状を有していてもよい。この下皿通路孔344としては、遊技球の流下方向に沿って延びた長孔や、前扉側下皿通路部273の厚み方向に延びた長孔などが挙げられる。
(d4)上記第1の実施形態では、規制部材363が空気中の音の伝達を遮る機能を有していたが、規制部材363は、閉状態にある場合に下皿通路孔344からの遊技球の流出を規制するものであれば、空気中の音の伝達を遮る機能を有していなくてもよい。例えば、第1の実施形態の規制部材363が、第4の実施形態の規制部材465のように分割手段として網部467を有していてもよい。
(d5)上記第4の実施形態では、規制部材465が、下皿通路孔344を複数に分割する分割手段として網部467を有していたが、規制部材465は、棒部材や格子部材といった分割手段を有していてもよい。例えば、規制部材465が、下皿通路孔344を上下に分割する棒部材を有しており、この棒部材が枠部466に対して固定された構成とする。この構成では、下皿通路孔344を遊技球が通過できない大きさ及び形状に分割することで、下皿通路孔344からの遊技球の流出が規制される一方で、下皿通路孔344からの音の取り込みが行われる。
なお、網部467の網目が非常に荒い構成や、下皿通路孔344を仕切る棒部材が非常に細い構成であれば、これら分割手段が音の伝達に及ぼす影響が極めて小さいと想定される。このため、第1の実施形態において、規制部材363が下皿通路孔344を開放できない状態で設けられ、ホーン領域371の中間位置に存在する下皿通路孔344に対して分割手段が設けられていても、ホーン領域371において低音域の増幅しやすさ及び中高音域の減衰しやすさを保つことが可能になる。
(d6)上記第1の実施形態では、満杯検知センサ280が下段横通路部286に対して設けられていたが、満杯検知センサ280は、下皿通路孔344よりも下流位置であれば、下皿34や第1球入口34a、縦通路部285に対して設けられていてもよい。また、下皿通路孔344が上段横通路部284に対して設けられている構成では、満杯検知センサ280が、下皿通路孔344よりも下流位置であれば、上段横通路部284に対して設けられていてもよい。
(e1)上記第5の実施形態では、音通路333がパチンコ機10の幅方向において折れ曲がった状態で設けられていたが、音通路333は、前後方向において折れ曲がった状態で設けられていてもよい。例えば、第1通路部351〜第3通路部353が第4通路部489と平行に延びた状態で横並びに配置された構成とする。
また、音通路333が前後に折れ曲がった構成としては、第1通路部351〜第3通路部353が上下方向に延びた構成が挙げられる。この場合、前扉側通路ユニット45の後方延出部483は、横方向に延びた扁平状ではなく縦方向に延びた縦長形状とされることになる。また、後方延出部483が縦長形状の構成としては、第1通路部351〜第3通路部353が前後方向に延びた状態で上下に並べられた構成が挙げられる。
後方延出部483が縦長形状の構成では、後方延出部483を内枠13の側端寄りの位置に配置することが好ましい。例えば、第6の実施形態のように、裏パックユニット15に収納凹部513が設けられた構成において、この収納凹部513が下方に向けて開放されており、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が収納凹部513に上部だけ収納された状態で、下方に向けて延びた構成とする。
(e2)上記第5の実施形態では、内枠13の通し部486が内枠ベース50を貫通する貫通孔とされていたが、通し部486は、例えば内枠ベース50や周縁枠体481が上方や側方に向けて凹んだ切欠部であってもよい。
(e3)上記第5の実施形態では、前扉側通路ユニット45の後方延出部483が内枠13よりも後方に突出していたが、前扉側通路ユニット45は、必ずしも内枠13よりも後方に突出していなくてもよい。要は、前扉側通路ユニット45が通し部486に前方から入り込んだ状態になっていればよい。また、前扉側通路ユニット45は、裏パックユニット15よりも後方に突出していてもよい。
(e4)上記第5の実施形態では、内枠13の非被覆部分487が裏パックユニット15よりも低い位置に配置されていたが、非被覆部分487は、裏パックユニット15よりも高い位置や側方にずれた位置に配置されていてもよい。この場合、前扉側通路ユニット45の後方延出部483は、裏パックユニット15の上方位置や側方位置に配置されることになる。
(e5)上記第5の実施形態では、パチンコ機10の幅方向において、内枠13の通し部486が側端寄りの位置に配置され、排出通路盤203の排出口478aがほぼ中央に配置されていたが、通し部486がほぼ中央に配置され、排出口478aが側端寄りの位置に配置されていてもよい。要は、通し部486と排出口478aとは、上下方向や前後方向に重ならない位置に配置されていればよい。これにより、前扉側通路ユニット45の突出部分483aと排出案内ユニット495とを互いに干渉しない態様で設置することが容易になる。
(f1)上記第6の実施形態では、排出通路盤203の補強部511が複数のリブ512により形成されていたが、補強部511は、制御装置集合ユニット204の取付台479などより強度が高い構成であれば、所定の厚み寸法を有する板部により形成されていてもよい。この場合、収納凹部513は、板部において後方に向けて凹んだ凹部とされることになる。
(f2)上記第6の実施形態では、排出通路盤203の補強部511において、収納凹部513が前方だけに向けて開放されていたが、収納凹部513は、前方に加えて下方や上方、側方に開放されていてもよい。また、収納凹部513は、排出通路盤203を貫通していてもよい。
(f3)上記第6の実施形態では、裏パックユニット15において、収納凹部513が排出通路盤203に設けられていたが、収納凹部513は、ベース部211や取付台479に設けられていてもよい。要は、収納凹部513は、前扉側通路ユニット45の後方延出部483を収納可能な位置であれば、裏パックユニット15のどの部分に配置されていてもよい。なお、収納凹部513が制御装置集合ユニット204の取付台479に設けられた構成としては、排出通路盤203が制御装置集合ユニット204の上方や下方に配置されていることで取付台479の前面が内枠13の背面に対向しており、通し部486の後方位置において取付台479に収納凹部513が配置された構成が挙げられる。
(g1)上記各実施形態では、下皿通路において、下皿通路孔344が前扉側下皿通路部273に対して設けられていたが、下皿通路孔344は、内枠側下皿通路部263や裏パック側下皿通路部259に対して設けられていてもよい。
(g2)上記各実施形態では、上皿33及び下皿34という2つの球受け皿が設けられていたが、1つの球受け皿が設けられていてもよい。例えば、球受け皿に接続された球通路に対して取り込み孔が設けられ、下側スピーカ30aの出力音が取り込み孔から球通路に取り込まれる構成とする。この構成でも、下側スピーカ30aの出力音が球通路から前方に放出されることになる。
(g3)上記各実施形態では、下側スピーカ30aの出力音が下皿通路(前扉側下皿通路部273)から放出される構成としたが、上皿通路やファール球通路118、球抜き通路242、排出通路盤203の排出通路から放出される構成としてもよい。例えば、上皿通路において、音取り込み孔が前扉側上皿通路部272の外周部に設けられ、下側スピーカ30aの出力音が音取り込み孔を通じて前扉側上皿通路部272に取り込まれ、取り込まれた音が前扉側上皿通路部272から上皿33に向けて放出される構成とする。
(g4)上記実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
下記特徴A群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
しかしながら、スピーカ等の音出力手段から出力された音が遊技機前方に放出される構成について未だ改善の余地がある。
特徴A1.遊技機前方に露出した状態で設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(裏パック側下皿通路部259、内枠側下皿通路部263、前扉側下皿通路部273、第1球入口34a)と、
振動板(振動板30b)を有し、該振動板の振動に伴って音を出力するスピーカ(下側スピーカ30a)と、
前記スピーカの背面側から出力された音を遊技機前方に放出するエンクロージャ(エンクロージャ331)と、
を備え、
前記エンクロージャは、前記スピーカの背面側を収納している空気室(空気室332)を有しており、
前記球通路の外周部には、前記スピーカの背面側から前記空気室に出力された音を当該球通路に取り込む音取り込み孔(下皿通路孔344)が設けられており、
前記球通路は、前記音取り込み孔を介して前記空気室に連通されていることで前記エンクロージャに含まれており、前記音取り込み孔から当該球通路に取り込まれた音を前記球受け皿に向けて放出するものであることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、スピーカが特定の振動板を有しているため、スピーカから音が出力される場合に、球通路の外周部などが外部の振動板としての役割を果たす必要がない。このため、球通路を通じて遊技機前方に音が放出される構成であっても、球通路に存在する遊技球によりスピーカの振動板の振動が阻害されるということがない。したがって、球通路を通じて遊技機前方に放出される音について、その音質が遊技球の存在により低下するということを抑制できる。
ここで、振動板を有するスピーカにおいては、背面側からの出力音が前面側からの出力音に対して位相が反転することに起因して、これら出力音が互いに打ち消し合い、特に低音域の音量が小さくなるということが懸念される。これに対して、本特徴によれば、球通路がエンクロージャに含まれているため、スピーカの背面側からの出力音が球通路を経由して遊技機前方に放出されることで、前面側からの出力音に対する反転位相からずれることになる。このため、スピーカの前後に出力された音が互いに打ち消し合いにくくなり、低音域の音量が小さくなるなどスピーカの出力能力が低下することを抑制できる。
また、スピーカの背面側が空気室に収納されている構成では、その空気室を含むエンクロージャが大型化することが懸念される。これに対して、本特徴によれば、エンクロージャが球通路を含んで構成されているため、エンクロージャの全てが専用空間により形成された構成に比べて、エンクロージャを小型化することができる。これにより、遊技機の内部という狭小空間にエンクロージャを適正に配置することができる。
以上のように、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
なお、スピーカからの出力音が球通路から放出されるため、球受け皿が遊技球で満杯になっている場合には、その遊技球により球通路が塞がれて音が球通路から放出されにくくなってしまう。ここで、音は遊技者が遊技を楽しむための1つの要素であるため、球受け皿が満杯になっていることに起因して音が聞こえにくくなっているのであれば、その音を聞いて遊技を楽しむために球受け皿の満杯状態を解消すると考えられる。したがって、球通路から音を放出することは、球受け皿からの遊技球の排出作業を遊技者に促す構成を実現することにもなる。
特徴A2.前記球通路においては、前記空気室との連通部分よりも下流側の部分(ホーン領域371)が、全体として前記空気室から前記球受け皿に近付くにつれて太くされたホーン形状になっていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、球通路がホーン形状になっているため、球通路を通過する音の低音域が増幅しやすくなっている。このため、スピーカの背面側からの出力音について、スピーカから出力された時点では不足しがちな低音域の音量を、球通路を通過させることで増加させることができる。
特徴A3.前記球通路において前記下流側の部分は、遊技球の流下方向を変化させる球コーナー部分(中間曲がり部304、下流曲がり部305)を有していることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、球通路においては、流下する遊技球の速度が球コーナー部分で低減しやすくなっているとともに、音が球コーナー部分を通ることでその音の中高音域が減衰しやすくなっている。このため、遊技球が過度の勢いを保ったまま球受け皿に排出されないようにするための構成を利用して、球通路から放出される音について低音域が際立って聞こえるようにすることができる。つまり、スピーカシステムにおいて、球通路にバックロードホーンとしての機能を発揮させることができる。
特徴A4.前記球通路は、直線的に延びている複数の通路部(上段横通路部284、縦通路部285、下段横通路部286)を有しており、
異なる方向に延び且つ隣り合う前記通路部が接続された接続部分は、遊技球の流下方向を変化させる球コーナー部分(中間曲がり部304)になっていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
特徴A4によれば、球コーナー部分により接続されている通路部が直線的に延びているため、通路部の直線部分により遊技球をある程度加速させることができる。これにより、球通路を流下する遊技球の勢いを制限し過ぎて球通路にて球詰まりが発生するということを抑制できる。
しかも、球コーナー部分の存在により、球通路を通る音の中高音域が減衰しやすくなっているため、球通路から放出される音について低音域が際立って聞こえるようにすることができる。つまり、スピーカシステムにおいて、球通路にバックロードホーンとしての機能を発揮させることができる。
特徴A5.前記エンクロージャは、全体として前記空気室から前記球受け皿に近付くにつれて太くされたホーン部(ホーン領域371)を有しており、
前記ホーン部は、前記球通路と、該球通路及び前記空気室を接続した音通路(音通路333)とを有していることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1つに記載の遊技機。
エンクロージャにおいてホーン部を形成する上で、球通路だけではホーン部の長さ寸法が不足することが懸念される。これに対して、特徴A5によれば、球通路に加えて音通路によりホーン部が形成されているため、その球通路に音通路を接続することでホーン部の長さ寸法を十分に確保することができる。この場合、スピーカの背面側から出力された音の低音域がホーン部により十分に増幅されるため、スピーカの前面側から出力された音だけでは不足しがちな低音域の音量を、ホーン部から出力される音で補うことができる。
特徴A6.前記音通路は、音が伝わる方向を変化させる音コーナー部分(音曲がり部357)を有していることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、音通路が音コーナー部分を有しているため、ホーン部にバックロードホーンとしての機能を発揮させることができる。しかも、ホーン部においては、音通路が音コーナー部分を有していることで、必ずしも球通路が球コーナー部分を有している必要がないため、球通路の形状や大きさに関して、バックロードホーンに球通路を含めることで自由度が低下するということを回避できる。したがって、球通路における遊技球の流下態様に影響を与えないようにした上で、その球通路を利用してバックロードホーンを適正に形成できる。
特徴A7.前記ホーン部において遊技球が前記球通路から前記音取り込み孔を通じて前記音通路に流出することを規制する流出規制部(規制部材363)を備えていることを特徴とする特徴A5又はA6に記載の遊技機。
ホーン部は、空気室から球受け皿に近付くにつれて断面積が大きくされていることで、音の低音域を増幅する機能を発揮するものであるため、音通路と球通路との接続部分に音取り込み孔が形成された構成では、その音取り込み孔の開口面積は、その下流側の球通路の断面積に応じて設定されることになる。この場合、球通路は遊技球の通過が可能な大きさ及び形状に設定されているため、音取り込み孔も遊技球の通過が可能な大きさ及び形状になっている可能性が高く、音通路に遊技球が流出することが懸念される。
これに対して、特徴A7によれば、球通路を流下する遊技球が音通路に流出したことに起因して球受け皿に適正に排出されないということを抑制できる。また、音通路や空気室に遊技球が詰まってホーン部から適正に音が放出されないということも抑制できる。
特徴A8.前記流出規制部は、前記球通路を流下する遊技球により押圧されることで、前記音通路への遊技球の流出を規制しない非規制状態から、前記音通路への遊技球の流出を規制する規制状態に移行することを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、流下する遊技球が音取り込み孔に接近した場合には、その遊技球に押圧されることで流出規制部が規制状態に移行するため、音通路への遊技球の流出を確実に規制できる。ここで、音通路への遊技球の流出が流出規制部により規制されている場合、流出規制部が音通路から球通路への音の伝わりも規制してしまうことが懸念される。これに対して、本特徴によれば、流下する遊技球が音取り込み孔に接近していない場合には、流出規制部を非規制状態にて保持することが可能であるため、音通路から球通路への音の伝わりを規制しないで済む。したがって、球通路からの音の放出及び遊技球の排出の両方を適正に行うことができる。
特徴A9.前記流出規制部は、遊技球が通過して押圧が解除されることで前記規制状態から前記非規制状態に戻ることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、球通路において遊技球が音取り込み孔の周辺を通過する際に極めて短い期間だけ流出規制部が規制状態になるため、音通路から球通路への音の取り込みが途切れる期間を極めて短くすることができる。したがって、音通路への遊技球の流出を規制しても、球通路から放出される音による演出効果が著しく低下するということを抑制できる。
なお、前記流出規制部が前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成としては、前記流出規制部が前記非規制状態から前記規制状態に移行することに伴って弾性変形し、該弾性変形によって生じる付勢力で前記流出規制部を前記規制状態から前記非規制状態に戻す付勢部材を備えた構成や、前記流出規制部が当該流出規制部の自重で前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成が挙げられる。
特徴A10.前記流出規制部は、流下する遊技球により押圧されていない場合に、前記非規制状態として、前記球通路を上流側と下流側とに仕切った仕切状態にあることを特徴とする特徴A8又はA9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、非規制状態にある流出規制部は、球通路において遊技球の流下経路上に存在しているため、球通路を流下する遊技球が流出規制部を非規制状態から規制状態に移行する向きで押圧する構成を実現できる。
また、流出規制部が板材等の音の伝わりを規制する部材により形成されていれば、この流出規制部は、非規制状態にある場合に、音取り込み孔を通じて球通路に取り込まれた音が下流側(球受け皿)に伝わることを規制しない一方で、その音が上流側(球受け皿とは反対側)に伝わることを規制することになる。この場合、音取り込み孔を通じて球通路に伝わった音が球通路の上流側に向けて拡散することが抑制されるため、上流側への音の伝わりが規制されない構成に比べて、球通路から遊技機前方に放出される音を大きくできる。
特徴A11.遊技機本体(内枠13)と、
前記球受け皿を有し、前記遊技機本体に対して遊技機前方に回動可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠14)と、
を備え、
前記球通路は、前記遊技機前面体に設けられ前記球受け皿に通じている前面通路部(前扉側下皿通路部273)を有しており、
前記遊技機前面体は、前記空気室及び前記前面通路部を形成する通路ユニット(前扉側通路ユニット45)を有していることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A11によれば、前面通路部と空気室とが、互いに一体化されることで通路ユニットを形成しているため、これら前面通路部及び空気室を個別に遊技機前面体に搭載するという煩雑な作業を行う必要がない。また、通路ユニットをあらかじめ製作しておくことで、前面通路部と空気室との間において音漏れが発生するということも抑制できる。
特徴A12.前記遊技機前面体は、前記スピーカ及び前記通路ユニットが取り付けられたベース体(ベース枠231)を有しており、
前記通路ユニットは、前記空気室を前記スピーカに向けて開放したスピーカ用開口部(スピーカ用開口部336)を有しており、該スピーカ用開口部を通じて前記スピーカの背面部分を前記空気室に収納した状態で、前記ベース体の背面に取り付けられていることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、通路ユニットにスピーカ用開口部が形成されているため、遊技機前面体のベース体にあらかじめスピーカを取り付けておき、その後、ベース体に対して通路ユニットを取り付けることが可能になる。つまり、通路ユニットとスピーカとをベース体に対して別々に取り付けることができる。
ここで、スピーカにおいては振動板の振動に伴って音が出力されるため、その振動によって固定状態が不安定にならないようにスピーカを遊技機前面体に対して強固に取り付けておくことが好ましい。これに対して、通路ユニットとスピーカとをベース体に別々に取り付けることで、スピーカを通路ユニットを介してベース体に固定するのではなく、ベース体に対して直接固定することが可能になるため、ベース体に対するスピーカの固定強度を十分に確保することができる。
特徴A13.前記空気室は、遊技機前後方向において前記球通路に重ならない位置に配置されていることを特徴とする特徴A1乃至A12のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A13によれば、遊技機前後方向において空気室が球通路に重ならない位置に配置されているため、遊技機内にスピーカシステムを設置することで遊技機の厚み寸法が過剰に大きくなるということを抑制できる。また、エンクロージャにより音質を向上させる構成を実現した上で、遊技機幅方向において球通路の側方位置や、上方位置、下方位置をデッドスペースとしておくのではなく、空気室の設置スペースとして有効利用することができる。
特徴A14.前記音取り込み孔は、前記球通路の外周部において遊技球の流下経路から離間した離間位置に設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A13のいずれか1つに記載の遊技機。
球通路の外周部に音取り込み孔が形成された構成では、球通路を通る遊技球が音取り込み孔から空気室側に流出することや、音取り込み孔が遊技球の流下を阻害する要因になることが懸念される。これに対して、特徴A14によれば、音取り込み孔が遊技球の流下経路から離間しているため、音取り込み孔が遊技球の流下を阻害することや、遊技球が球通路から流出するということを抑制できる。また、音取り込み孔が遊技球の流下経路から離間していることで、流下する遊技球により音取り込み孔が塞がれにくくなっているため、遊技球が流下している状況でもスピーカの背面側からの出力音が音取り込み孔を通じて球通路に適正に取り込まれることになる。したがって、遊技球及び音の両方が球通路から球受け皿に適正に放出される構成を実現できる。
特徴A15.前記球通路は、遊技機幅方向又は奥行き方向に延びた横通路部(上段横通路部284、下段横通路部286)を有しており、
前記空気室は、前記横通路部の下方に配置されていることを特徴とする特徴A1乃至A14のいずれか1つに記載の遊技機。
球通路が横通路部を有している構成では、球通路内に導入されなかった遊技球を球通路の外周部の上面に沿って流下させることで、所定の位置に案内することができる。つまり、球通路の上方スペースを、遊技球の回収スペースとして有効利用することが可能になっている。
これに対して、特徴A15によれば、横通路部の下方スペースを空気室の設置スペースとして有効利用することができる。これにより、遊技機の内部という限られたスペースにおいて、球通路に関する他の機能を制限することなく、スピーカシステムを好適に構築することができる。
特徴A16.前記球通路は、
前記横通路部の下流側に配置され、該横通路部の下流側端部から下方に向けて延びた縦通路部(縦通路部285)を有しており、
前記音取り込み孔は、前記横通路部の下方において前記縦通路部の側面部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられていることを特徴とする特徴A15に記載の遊技機。
空気室と球通路とが音取り込み孔を通じて連通している構成では、球通路を通る遊技球が音取り込み孔から空気室側に流出することや、音取り込み孔が遊技球の流下を阻害する要因になることが懸念される。特に、空気室が横通路部の下方に配置された構成では、横通路部の下面部に音取り込み孔を形成することが想定されるが、これでは、横通路部を通る遊技球が音取り込み孔から空気室側に流出することや、横通路部において遊技球の流下を音取り込み孔が阻害することが懸念される。
これに対して、特徴A16によれば、縦通路部の側面部において、その縦通路部と横通路部との入隅部分側の位置に音取り込み孔が配置されているため、横通路部を通ってきた遊技球は音取り込み孔から遠ざかる側に移動しながら縦通路部を流下することになる。この場合、遊技球が音取り込み孔の上を通ることや、音取り込み孔に向けて流下することが生じにくくなっているため、縦通路部を流下する遊技球が音取り込み孔から空気室側に流出することや、縦通路部において遊技球の流下を音取り込み孔が阻害するということを抑制できる。
特徴A17.前記音取り込み孔は、前記縦通路部の側面部において前記横通路部の床部(下皿通路仕切部342の横部分342a)から下方に向けて延びていることを特徴とする特徴A16に記載の遊技機。
特徴A17によれば、縦通路部において音取り込み孔を横通路部の直下に配置できるため、横通路部から縦通路部に向けて流下する遊技球が音取り込み孔に接触することをより確実に抑制できる。したがって、音取り込み孔が縦通路部に形成されていても、その音取り込み孔に関係なく遊技球が球受け皿に適正に排出される構成を実現できる。
特徴A18.遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤(遊技盤60a)と、
発射装置に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技球発射手段から発射された遊技球を前記遊技領域に向けて誘導する誘導レール(誘導レール100)と、
前記遊技球発射手段に向けて前記誘導レールを逆流してくる遊技球を回収する回収口(回収口281a)を有し、その回収した遊技球を前記球受け皿に向けて案内する回収通路(ファール球通路118)と、
を備え、
前記回収通路は、前記横通路部に沿って延びた状態で該横通路部の上側に設けられていることを特徴とする特徴A15乃至A17のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A18によれば、横通路部の上方スペースが、遊技領域から逆流してきたファール球の回収スペースとして使用されている構成において、横通路部の下方に空気室が配置されているため、スピーカシステムの空気室を設置することで回収通路の配置を制限したり回収通路の機能が低下したりするということを回避できる。
特徴A19.遊技盤(遊技盤60a)を有する遊技機本体(内枠13)と、
前記球受け皿を有し、前記遊技機本体に対して遊技機前方に回動可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠14)と、
を備え、
前記球通路は、
前記遊技機前面体に設けられ、入口部(外側開口部279)にて受けた遊技球を前記球受け皿に導く第1通路部(前扉側下皿通路部273)と、
第1通路部よりも上流側を構成し、前記入口部に遊技球を導く第2通路部(裏パック側下皿通路部259、内枠側下皿通路部263)と、
を有し、
前記遊技機本体に対する前記遊技機前面体の開放に伴って前記入口部から溢れた遊技球を受け、その受けた遊技球を前記回収口に導く球受け通路(球受け通路289)が、前記横通路部に沿って延びた状態で該横通路部の上側に設けられていることを特徴とする特徴A18に記載の遊技機。
特徴A19によれば、横通路部の上方スペースが、第1通路部の入口部から溢れた溢れ球の回収スペースとして使用されているため、横通路部の下方に空気室が配置されていることで、空気室が回収通路や球受け通路の配置を制限したりこれら回収通路や球受け通路の機能が低下したりすることを回避できる。
特徴A20.前記空気室は、前記球通路の上側に配置されていることを特徴とする特徴A1乃至A19のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A20によれば、球通路の上方スペースを空気室の設置スペースとして有効利用することができる。
特徴A21.前記音取り込み孔は、前記球通路の天井部(下皿通路仕切部452の縦通路部分452b)に設けられていることを特徴とする特徴A20に記載の遊技機。
特徴A21によれば、横通路部の上面部に音取り込み孔が形成されているため、横通路部においては、流下している遊技球が音取り込み孔に接触すること自体が生じにくくなっている。このため、横通路部を流下する遊技球が音取り込み孔から空気室側に流出することや、横通路部において遊技球の流下を音取り込み孔が阻害するということを抑制できる。
特徴A22.前記音取り込み孔は、遊技球を通過させない小孔として複数設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A21のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A22によれば、小孔である音取り込み孔を遊技球が通過できないため、球通路からの遊技球の流出を抑制することができる。しかも、スピーカの背面側からの出力音が複数の小孔を通過することで、その音の中高音域が減衰しやすくなっているため、球通路から放出される音の低音域が際立って聞こえるようにすることができる。このため、遊技球が球通路から流出しないようにするための構成を利用して、低音による演出効果を高めることができる。
特徴A23.前記球通路は、遊技機幅方向又は奥行き方向に延びた横通路部(上段横通路部284)と、該横通路部に接続され上下方向に延びた縦通路部(縦通路部285)とを有しており、
前記音取り込み孔は、遊技球を通過させない小孔として、前記横通路部及び前記縦通路部の各外周部のそれぞれに複数ずつ設けられていることを特徴とする特徴A1乃至A22のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A23によれば、小孔である音取り込み孔を遊技球が通過できないため、球通路からの遊技球の流出を抑制することができる。しかも、スピーカの背面側からの出力音が複数の小孔を通過することで、その音の中高音域が減衰しやすくなっているため、球通路から放出される音の低音域が際立って聞こえるようにすることができる。このため、遊技球が球通路から流出しないようにするための構成を利用して、低音による演出効果を高めることができる。
さらに、横通路部と縦通路部とでは空気室からの音の伝わる向きが異なっていることで、その音の低音域が増幅しやすく且つ中高音域が減衰しやすい環境を作り出すことができる。これにより、低音による演出効果を更に高めることができる。
<特徴B群>
下記特徴B群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
しかしながら、スピーカ等の音出力手段から出力された音が遊技機前方に放出される構成について未だ改善の余地がある。
特徴B1.遊技機前方に露出した状態で設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
振動板(振動板30b)を有し、該振動板の振動に伴って音を出力するスピーカ(下側スピーカ30a)と、
前記球通路の外周部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられ、前記スピーカから出力された音を当該球通路に取り込む音取り込み孔(下皿通路孔344)と、
前記音取り込み孔を開閉する開閉体(規制部材363)と、
を備え、
前記開閉体は、前記スピーカからの出力音が前記音取り込み孔を通じて前記球通路に取り込まれることを、前記音取り込み孔に対する開度に応じて規制するものであることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、スピーカが特定の振動板を有しているため、スピーカから音が出力される場合に、球通路の外周部などが外部の振動板としての役割を果たす必要がない。このため、単に音取り込み孔を開閉体により閉鎖することで、球通路からの音の放出が停止することになる。この場合、スピーカからの音の出力を停止させなくても、球通路からの音の放出を停止させることが可能になるため、例えばスピーカからの出力音を放出する音放出部が球通路の他にも設けられている構成であれば、他の音放出部からの音の放出を継続させる一方で、球通路からの音の放出を停止させることができる。
以上のように、スピーカからの出力音が遊技機外部に放出される態様に関して自由度を高めることができる。つまり、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
なお、開閉体により音取り込み孔が閉鎖された場合に、開閉体により全ての音の伝わりを遮断できなくても、開閉体が開状態にある場合と閉状態にある場合とで、球通路から放出される音の音量に差異を生じさせることはできる。このため、スピーカからの出力音が遊技機外部に放出される態様に関して自由度を高めることができる。
特徴B2.前記開閉体は、前記球通路を流下する遊技球に押圧されることで前記開度を小さくする閉鎖動作を行うものであることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、流下する遊技球が開閉体を押圧した場合、その開閉体が閉鎖動作することで、スピーカからの出力音が球通路に伝わることが規制される。このため、開閉体をモータ等の駆動部により強制的に閉じなくても、球通路からの音の放出を制限することができる。このように、遊技球の流下を利用することで、遊技機外部への音の放出態様に関して自由度を高めることができる。
また、遊技者は、球通路から放出される音が途切れることで、球通路を通じて球受け皿に遊技球が排出されていることを察知できる。
特徴B3.前記開閉体は、遊技球が通過して押圧が解除されることで前記開度を大きくする開放動作を行うことを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、流下する遊技球が開閉体を閉鎖動作させる構成において、その遊技球が通過した後には開閉体が開放動作を行うため、球通路からの音の放出が開閉体により制限される期間は極めて短くなる。この場合、複数の遊技球が球通路を流下することで、球通路から放出される音が瞬間的に途切れたような状態になるため、球受け皿への遊技球の払い出し態様に合わせて遊技機外部への音の放出態様が変化することになる。このため、球通路から放出される音により演出効果を高めることができる。
また、遊技者は、球受け皿を視認しなくても、その球受け皿に払い出される遊技球の数を音の途切れ具合から察知することができる。
なお、前記開閉体が遊技球が通過して押圧が解除されることで前記音取り込み孔に対する開度が大きくなる構成としては、前記開閉体の開度が小さくなることに伴って弾性変形し、該弾性変形によって生じる付勢力で前記開閉体の開度を大きくする付勢部材を備えた構成や、前記流出規制部が当該流出規制部の自重で前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成が挙げられる。
特徴B4.前記開閉体は、回動することで前記音取り込み孔を開閉するものであり、前記球通路側に向けて開いた開状態にある場合に、前記球通路を流下する遊技球に押圧されることで前記開度を小さくする閉鎖動作を行うことが可能であることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B4によれば、流下する遊技球が開閉体を押圧することでその開閉体が閉鎖動作するという構成を、開閉体を単に回動可能に設けることで実現できる。これにより、遊技球の流下を利用することで、遊技機外部への音の放出態様に関して自由度を高めることができる。
特徴B5.前記開閉体は、遊技球により押圧されていない場合に、前記開状態として、前記音取り込み孔よりも上流側において前記球通路を上流側と下流側とに仕切った仕切状態にあることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
特徴B5によれば、開閉体が仕切状態にある場合、球通路を流下する遊技球はその開閉体を下流側に向けて押圧することになる。このため、遊技球の流下に合わせて球通路からの音の放出態様を確実に変化させることができる。また、開閉体が仕切状態にある場合には、音取り込み孔を通じて球通路に取り込まれた音が上流側に伝わることが開閉体により規制されるため、上流側への音の伝わりが規制されない構成に比べて、球通路から放出される音を大きくできる。
特徴B6.前記開閉体を開閉させる駆動部(規制駆動部366)と、
前記駆動部の駆動制御を行うことで、前記開閉体を閉状態と開状態とに移行させる制御手段(報知・演出制御装置143のサブMPU432)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B6によれば、制御手段が開閉体を強制的に閉状態に移行させることで、スピーカの駆動を停止させなくても、任意のタイミングで球通路からの音の放出を停止させることが可能になる。この場合、球通路からの音の放出を停止させた状態(開閉体が閉状態)と、球通路からの音の放出を停止させていない状態(開閉体が開状態)とを適宜使い分けることが可能になるため、球通路から放出される音による演出の多様化を図ることができる。
特徴B7.前記制御手段は、
遊技機外部への音の放出を制限する音制限演出を行うか否かを判定する演出判定手段(ステップS805,S806の処理を実行する機能)と、
前記演出判定手段により前記音制限演出を行うと判定された場合、所定の期間に亘って前記開閉体を閉状態にて保持する閉鎖実行手段(ステップS803,S807の処理を実行する機能)と、
を有していることを特徴とする特徴B6に記載の遊技機。
特徴B7によれば、球通路から音が放出されている状態が通常行われている演出であれば、球通路からの音放出が停止した状態を演出の1つ(音制限演出)として利用することができる。しかも、音制限演出を任意のタイミングで開始すること、及び音制限演出を任意のタイミングで終了することの両方が可能であるため、音制限演出が強調されるように開閉体の開閉タイミングを設定することで、球通路からの音の放出及び停止を利用して演出効果を高めることができる。
特徴B8.複数種の絵柄の変動表示を行う絵柄表示装置(図柄表示装置75)と、
前記複数種の絵柄の変動開始条件が成立した場合に、前記複数種の絵柄の変動表示を開始させ、あらかじめ設定された変動態様に従って変動表示させた後に停止結果を表示するように前記絵柄表示装置を表示制御する表示制御手段(表示制御装置170)と、
を備え、
前記演出判定手段は、前記音制限演出を行うための抽選に当選し、且つ前記絵柄表示装置にて前記変動表示が行われる場合に、前記音制限演出を行うと判定し、
前記閉鎖実行手段は、前記絵柄表示装置にて前記変動表示が行われている場合に、前記開閉体を前記閉状態にて保持することを特徴とする特徴B7に記載の遊技機。
特徴B8によれば、絵柄の変動表示が行われている状況で、球通路からの音の放出が制限されている期間と制限されていない期間とが混在することになるため、球通路からの音放出の制限の有無によって、絵柄の変動表示に対する期待度に差異を生じさせることができる。このように、絵柄の変動表示が行われている状況での演出効果を音制限演出により高めることができる。
特徴B9.前記絵柄表示装置に表示される変動表示の態様には、遊技者に特典を付与すると定められた絵柄の組み合わせが成立する可能性のある各絵柄のうち最終停止絵柄を除く他の絵柄を、前記変動表示を開始した後に停止表示させている状況下にて該最終停止絵柄を変動表示させるリーチ変動表示が含まれており、
前記演出判定手段は、前記変動表示として前記リーチ変動表示が行われる場合に、前記音制限演出を行うと判定し、
前記閉鎖実行手段は、前記絵柄表示装置にて前記変動表示として前記リーチ変動表示が行われている場合に、前記開閉体を前記閉状態にて保持することを特徴とする特徴B8に記載の遊技機。
リーチ変動表示は他の変動表示に比べて停止結果に対する期待度が高くなっているため、特徴B9のように、リーチ変動表示が行われている状況で音制限演出が行われることは、音による演出効果を高める上で効果的である。しかも、同じ態様のリーチ変動表示であっても、音制限演出が行われる場合と行われない場合とで差別化されるため、リーチ変動表示が行われている最中の演出効果を更に高めることができる。
特徴B10.前記リーチ変動表示の態様には、第1リーチ変動表示(ノーマルリーチA,B)と、該第1リーチ変動表示よりも変動表示期間が長い第2リーチ変動表示(スーパーリーチA〜C)とが含まれており、
前記演出判定手段は、前記リーチ変動表示として前記第2リーチ変動表示が行われる場合に前記音制限演出を行うと判定し、
前記閉鎖実行手段は、前記絵柄表示装置にて前記リーチ変動表示として前記第2リーチ変動表示が行われている場合に、前記開閉体を前記閉状態にて保持することを特徴とする特徴B9に記載の遊技機。
第2リーチ変動表示は第1リーチ変動表示に比べて停止結果に対する期待度が高くなっているため、特徴B10のように、第2リーチ変動表示が行われている場合に音制限演出が行われることは、音による演出効果を高める上で効果的である。しかも、同じ態様の第2リーチ変動表示であっても、音制限演出が行われる場合と行われない場合とで差別化されるため、第2リーチ変動表示が行われている最中の演出効果を更に高めることができる。
<特徴C群>
下記特徴C群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
しかしながら、スピーカ等の音出力手段から出力された音が遊技機前方に放出される構成について未だ改善の余地がある。
特徴C1.遊技機前方に露出した状態で設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
振動板(振動板30b)を有し、該振動板の振動に伴って音を出力するスピーカ(下側スピーカ30a)と、
前記球通路の外周部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられ、前記スピーカから出力された音を当該球通路に取り込む音取り込み孔(下皿通路孔344)と、
前記音取り込み孔よりも上流側において前記球通路を上流側と下流側とに仕切った仕切状態と、その仕切を解除することで遊技球の流下を許可する流下許可状態とに移行可能な仕切体(規制部材363、仕切部材461)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、スピーカが特定の振動板を有しているため、スピーカから音が出力される場合に、球通路の外周部などが外部の振動板としての役割を果たす必要がない。このため、単に球通路を仕切体により上流側と下流側とに仕切ることで、音取り込み孔から球通路に取り込まれた音が球受け皿とは反対側(上流側)に向けて伝わることを規制できる。したがって、仕切体が仕切状態にあることで、スピーカからの出力音が球通路を通じて放出される際の放出効率を高めることができる。
ここで、球通路から球受け皿に遊技球が払い出される遊技機においては、針金等の不正治具が球通路に挿入された場合、その不正治具により払出装置等が操作されることで遊技球が不正に払い出されるということが懸念される。これに対して、仕切体が仕切状態にあることで、不正治具が球通路の上流側に侵入することをその仕切体により規制できる。このため、遊技球の流下タイミングに合わせて場合、球通路からの音の放出効率を高めることが可能な仕切体が、不正治具が球通路に挿入されることに対する抑止力を発揮することになる。
以上のように、スピーカからの出力音が球通路を通じて放出される遊技機において、その音の放出効率を高めることができ、しかも、遊技球が不正に払い出されることを抑制できる。つまり、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
なお、仕切体が仕切状態にある場合、球通路の上流側への音の伝わりに加えて、遊技球の流下も仕切体により規制されるため、遊技球が球受け皿に排出されなくなってしまう。これに対して、仕切体は流下許可状態に移行可能であるため、仕切体による仕切位置を遊技球に通過させることが可能になる。これにより、スピーカからの出力音が球通路において上流側に拡散することを規制できる一方で、遊技球を球受け皿に適正に排出することができる。
特徴C2.前記仕切体は、前記球通路を流下する遊技球により押圧されることで前記仕切状態から前記流下許可状態に移行することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
仕切体が仕切状態から流下許可状態に移行した場合、仕切体による仕切位置を遊技球が通過することが可能になる一方で、球通路に挿入された不正治具が仕切位置を突破して上流側に侵入することが懸念される。
これに対して、特徴C2によれば、仕切体による仕切位置を遊技球が通過することに伴って仕切体が仕切状態から流下許可状態に移行するため、例えば、モータ等の駆動部により仕切体を強制的に流下許可状態に移行させてから遊技球が仕切位置を通過する構成とは異なり、仕切体が流下許可状態に移行してから遊技球が仕切位置を通過するまでにタイムラグが生じないようになっている。このため、遊技球の流下タイミングに合わせて不正治具を球通路の奥深くに侵入させるという不正行為を抑制できる。
特徴C3.前記仕切体は、遊技球が通過して押圧が解除されることで前記流下許可状態から前記仕切状態に戻ることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、球通路において遊技球が音取り込み孔の周辺を通過する際に極めて短い期間だけ仕切体が流下許可状態になるため、仮に不正治具が球通路に挿入されていたとしても、その不正治具が仕切体による仕切位置を突破するには一瞬のタイミングしかないことになる。このため、遊技球の流下タイミングに合わせて不正治具を球通路の奥深くに侵入させるという不正行為をより確実に抑制できる。
なお、前記仕切体が前記流下許可状態から前記仕切状態に戻る構成としては、前記仕切体が前記仕切状態から前記流下許可状態に移行することに伴って弾性変形し、該弾性変形によって生じる不正力で前記仕切体を前記流下許可状態から前記仕切状態に戻す付勢部材を備えた構成や、前記流出規制部が当該流出規制部の自重で前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成が挙げられる。
特徴C4.前記仕切体は、回動先端部が下流側に移動する向きで回動することで前記仕切状態から前記流下許可状態に移行する一方で、前記仕切状態にある場合に回動先端部が上流側に移動する向きには回動しないようになっていることを特徴とする特徴C1乃至C3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C4によれば、仕切体が仕切状態にある場合、その仕切体は球通路の上流側に向けては回動しないため、例えば、不審者が球通路に挿入させた不正治具により仕切体を上流側に向けて強引に押し開けようとしても、不正治具が仕切体による仕切位置を突破することができないようになっている。これにより、球通路への不正治具の侵入に対する抑止力を好適に発揮することができる。
特徴C5.前記仕切状態にある前記仕切体が上流側に向けて回動することを規制する回動ストッパ(回動ストッパ365)が、前記仕切体の回動先端部に引っ掛かる位置に設けられていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C5によれば、仕切体の回動先端部が回動ストッパに引っ掛かるため、不審者が不正治具により仕切体の回動先端側を強引に変形させてその仕切体を無理矢理こじ開けようとしても、仕切体の回動先端側を変形させること自体ができないようになっている。したがって、不正治具を球通路の奥深くに侵入させようとする不正に対して抑止力を好適に発揮できる。
特徴C6.前記仕切体は、前記音取り込み孔を開閉する開閉体であり、前記音取り込み孔に対して開放動作を行うことで前記仕切状態に移行することが可能であり、前記音取り込み孔に対して閉鎖動作を行うことで前記流下許可状態に移行することが可能であることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1つに記載の遊技機。
球通路の外周部に音取り込み孔が設けられた構成では、音取り込み孔の大きさや形状によっては、球通路を流下する遊技球が音取り込み孔を通じて球通路の外部に流出することが懸念される。これに対して、特徴C6によれば、仕切体は、流下許可状態にある場合に音取り込み孔を閉鎖することが可能であるため、球通路における遊技球の流下を許可する一方で、音取り込み孔から遊技球が球通路の外部に流出することを阻止できる。
また、仕切体が仕切状態にある場合には、音取り込み孔が開放されているため、仮に球通路に挿入された不正治具が仕切体にまで到達したとしても、その不正治具が球通路の上流側に進むことを仕切体により規制する一方で、仕切体が不正治具を音取り込み孔に誘導することも可能になる。この場合、音取り込み孔から不正治具を球通路の外部に誘導することで、不正治具が球通路の奥深くに侵入されるということを抑制できる。
特徴C7.前記仕切体は、前記仕切状態にある場合に、前記音取り込み孔の内周面と面一又は該内周面よりも内側から前記球通路に向けて延びていることで前記音取り込み孔を開放していることを特徴とする特徴C6に記載の遊技機。
特徴C7によれば、仕切体が仕切状態にある場合、その仕切体は球通路において音取り込み孔から上流側に離間していないため、仮に球通路に挿入された不正治具が仕切体にまで到達したとしても、その不正治具が仕切体の板面に沿って進むことで音取り込み孔に誘導されることになる。この場合、不正治具を球通路に挿入している不審者にとっては、仕切体よりも上流側においては球通路の位置すらも把握することができないようになっている。
特徴C8.前記仕切体の状態移行を行う駆動部(規制駆動部366)と、
前記駆動部の駆動制御を行うことで、前記仕切体を前記仕切状態と前記流下許可状態とに移行させることが可能な制御手段(報知・演出制御装置143のサブMPU432)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C8によれば、例えば球通路から球受け皿への遊技球の排出状況に合わせて、任意のタイミングで仕切体を仕切状態や流下許可状態に移行させることが可能になっている。このため、球通路への不正治具の挿入を阻止することを優先する場合と、球通路からの音の放出効率を高めることを優先する場合と、球通路から球受け皿への遊技球の排出を優先する場合とを、適宜使い分けることができる。これにより、球通路からの音の放出効率を高めること、遊技球の不正な払出を抑制すること、遊技球を球受け皿に適正に排出することの全てを実現することができる。
特徴C9.前記制御手段は、
遊技状態が遊技者に有利な特別遊技状態(開閉実行モード)にあるか否かを判定する手段(ステップS804の処理を実行する機能)と、
遊技状態が前記特別遊技状態にあると判定された場合に、前記仕切体を前記流下許可状態に移行させる手段(ステップS803の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とするC8に記載の遊技機。
特徴C9によれば、遊技状態が特別遊技状態にある場合には、仕切体が流下許可状態に保たれるため、賞球として多数の遊技球が連続して球通路から球受け皿に排出されたとしても、仕切体がそれら遊技球の流下の支障になりにくくなっている。このため、多数の遊技球を球受け皿に適正に払い出すことができる。
なお、多数の遊技球が連続して球通路を流下している場合には、不正治具の挿入にとって遊技球が支障になることや、遊技球により遊技者に利益が付与されていることなどに起因して、不正治具が球通路に挿入される可能性は低いと想定される。したがって、遊技状態が特別遊技状態になっていれば、仕切体が仕切状態になっていなくても、不正治具が球通路に挿入されることに対する抑止力が著しく低下するということもない。
特徴C10.前記制御手段は、
前記球受け皿が遊技球で満杯になっているか否かを判定する手段(ステップS802の処理を実行する機能)と、
前記球受け皿が満杯であると判定された場合に、前記仕切体を前記流下許可状態に移行させる手段(ステップS803の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C8又はC9に記載の遊技機。
特徴C10によれば、球受け皿が満杯になっている場合には、仕切体が流下許可状態に保たれるため、遊技球が球通路にて積み上がったとしても、仕切体が遊技球の積み上がりの支障になりにくくなっている。このため、遊技球の積み上がりに伴って仕切体が変形したり破損したりすることを抑制できる。
なお、球受け皿が満杯になっている場合には、不正治具の挿入にとって遊技球が支障になることや、遊技球により遊技者に利益が付与されていることなどに起因して、不正治具が球通路に挿入される可能性は低いと想定される。したがって、球受け皿が満杯になっていれば、仕切体が仕切状態になっていなくても、不正治具が球通路に挿入されることに対する抑止力が著しく低下するということもない。
特徴C11.前記球通路において遊技球が積み上がったことを検知する球検知手段(満杯検知センサ280)が、前記球通路において前記音取り込み孔よりも下流側に設けられており、
前記制御手段は、前記球検知手段により前記球通路における遊技球の積み上がりが検知された場合に、前記球受け皿が満杯になったと判定するものであることを特徴とする特徴C10に記載の遊技機。
特徴C11によれば、球受け皿が満杯になった場合、球通路において積み上がった遊技球が音取り込み孔に到達するよりも前に仕切体を流下許可状態に移行させることができる。これにより、遊技球の積み上がりに伴って仕切体が変形したり破損したりすることをより確実に抑制できる。
<特徴D群>
下記特徴D群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
しかしながら、スピーカ等の音出力手段から出力された音が遊技機前方に放出される構成について未だ改善の余地がある。
特徴D1.遊技機前方に露出した状態で設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
振動板(振動板30b)を有し、該振動板の振動に伴って音を出力するスピーカ(下側スピーカ30a)と、
前記球通路の外周部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられ、前記スピーカから出力された音を当該球通路に取り込む音取り込み孔(下皿通路孔344)と、
遊技球が前記球通路から前記音取り込み孔を通じて流出することを抑制する抑制機構(規制部材363)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、スピーカが特定の振動板を有しているため、球通路の外周部などを外部の振動板として利用する構成とは異なり、スピーカを球通路から離間した位置に配置することが可能になる。この場合でも、球通路の外周部に音取り込み孔が設けられていることで、スピーカからの出力音を音取り込み孔を通じて球通路に取り込むことができる。しかも、音取り込み孔に対しては規制機構が設けられているため、遊技球が音取り込み孔を通じて球通路の外側に流出するということを規制できる。
以上のように、球通路から音が放出される遊技機において、スピーカからの出力音を球通路に好適に取り込むこと、及び遊技球を球通路から球受け皿に適正に排出することの両方を実現できる。つまり、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
特徴D2.前記抑制機構は、前記音取り込み孔が前記球通路において遊技球の流下経路から離間した離間位置に配置されていることで構成されていることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、音取り込み孔が遊技球の流下経路から離間しているため、遊技球が音取り込み孔から外部に流出することを抑制できる。また、音取り込み孔が遊技球の流下経路から離間していることで、流下する遊技球により音取り込み孔が塞がれにくくなっているため、遊技球が流下している状況でもスピーカからの出力音が音取り込み孔を通じて球通路に適正に取り込まれることになる。したがって、遊技球及び音の両方が球通路から球受け皿に放出される構成を実現できる。
特徴D3.前記球通路は、上下方向に延びている縦通路部(縦通路部285)を有しており、
前記抑制機構は、前記音取り込み孔が前記縦通路部の側面部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられていることで構成されていることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、球通路において遊技球の流下経路に重ならない位置に音取り込み孔を配置することができる。このため、仮に音取り込み孔が遊技球の通過が可能な大きさ及び形状にされていても、遊技球が球通路から音取り込み孔を通じて外部に流出するということを抑制できる。
特徴D4.前記球通路は、前記縦通路部の上流側端部から側方に向けて延びた横通路部(上段横通路部284、下段横通路部286)を有しており、
前記音取り込み孔は、前記縦通路部の前記側面部として、前記横通路部の床部(下皿通路仕切部342の横部分342a)から下方に向けて延びた下方側面部(下皿通路仕切部342の縦部分342b)に設けられていることを特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
特徴D4によれば、縦通路部の側面部において、その縦通路部と横通路部との入隅部分側の位置に音取り込み孔が配置されているため、横通路部を通ってきた遊技球は音取り込み孔から遠ざかる側に移動しながら縦通路部を流下することになる。この場合、遊技球が音取り込み孔に向けて流下することが生じにくくなっているため、縦通路部を流下する遊技球が音取り込み孔から球通路の外部に流出することを抑制できる。
特徴D5.前記音取り込み孔は、前記下方側面部において前記床部から下方に向けて延びていることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
特徴D5によれば、縦通路部において音取り込み孔を横通路部の直下に配置できるため、横通路部から縦通路部に向けて流下する遊技球が音取り込み孔に接触することをより確実に抑制できる。したがって、音取り込み孔が縦通路部に形成されていても、その音取り込み孔に関係なく遊技球が球受け皿に適正に排出される構成を実現できる。
特徴D6.前記抑制機構は、前記音取り込み孔に対して設けられていることで該音取り込み孔からの遊技球の流出を規制する流出規制部(規制部材363)を有していることを特徴とする特徴D1乃至D5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D6によれば、音取り込み孔に対して流出規制部が設けられているため、仮に遊技球が音取り込み孔に向けて進んだとしてもその遊技球を流出規制部により跳ね返すことができる。この場合、音取り込み孔を遊技球が通過できない大きさや形状としなくても、音取り込み孔からの遊技球の流出が流出規制部により規制されるため、音取り込み孔からの音の取り込み効率が過剰に低下しない程度に音取り込み孔の開口面積を大きく設定することができる。これにより、球通路から放出される音の音量が不足するということを抑制できる。
特徴D7.前記流出規制部は、前記音取り込み孔からの遊技球の流出を規制しない非規制状態と、前記音取り込み孔からの遊技球の流出を規制する規制状態とに移行可能であることを特徴とする特徴D6に記載の遊技機。
音取り込み孔からの遊技球の流出が流出規制部により規制されている場合、音取り込み孔から球通路への音の取り込みも流出規制部により規制されることが懸念される。この場合、スピーカからの出力音が音取り込み孔から球通路に取り込まれたとしても、その球通路から放出される音の音質が低下しやすくなってしまう。
これに対して、特徴D7によれば、流出規制部が非規制状態にある場合には、球通路からの音の放出が途切れることや、途切れなくても放出音の音質が低下することを抑制できる。その一方で、流出規制部が規制状態にある場合には、音取り込み孔からの遊技球の流出を抑制できる。したがって、球通路からの音の放出及び遊技球の排出の両方を適正に行うことができる。
特徴D8.前記流出規制部は、前記球通路を流下する遊技球により押圧されることで前記非規制状態から前記規制状態に移行することを特徴とする特徴D7に記載の遊技機。
特徴D8によれば、遊技球が音取り込み孔に接近していない場合には、流出規制部が非規制状態にあることで、球通路から音を適正に放出することができる。その一方で、流下する遊技球が音取り込み孔に接近した場合には、その遊技球に押圧されることで流出規制部が規制状態に移行するため、音取り込み孔からの遊技球の流出を抑制できる。したがって、球通路を遊技球が流下している状況に合わせて、球通路からの音の放出及び遊技球の排出の両方を適正に行うことができる。
特徴D9.前記流出規制部は、遊技球が通過して押圧が解除されることで前記規制状態から前記非規制状態に戻ることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
特徴D9によれば、球通路において遊技球が音取り込み孔の周辺を通過する際に極めて短い期間だけ流出規制部が規制状態になるため、球通路からの音の放出が途切れる期間や音の音質が低下する期間を極めて短くすることができる。したがって、音取り込み孔からの遊技球の流出を規制しても、球通路から放出される音による演出効果が著しく低下するということを抑制できる。
なお、前記流出規制部が前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成としては、前記流出規制部が前記非規制状態から前記規制状態に移行することに伴って弾性変形し、該弾性変形によって生じる付勢力で前記流出規制部を前記規制状態から前記非規制状態に戻す付勢部材を備えた構成や、前記流出規制部が当該流出規制部の自重で前記規制状態から前記非規制状態に戻る構成が挙げられる。
特徴D10.前記流出規制部は、当該流出規制部の上流側端部を回動軸として回動することで前記非規制状態と前記規制状態とに移行するものであることを特徴とする特徴D7乃至D9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D10によれば、球通路を流下する遊技球により押圧されることで流出規制部が非規制状態から規制状態に移行するという構成を、流出規制部を単に回動可能に設けることで実現できる。
特徴D11.前記流出規制部の状態移行を行う駆動部(規制駆動部366)と、
前記駆動部の駆動制御を行うことで、前記流出規制部を前記非規制状態と前記規制状態とに移行させることが可能な制御手段(報知・演出制御装置143のサブMPU432)と、
を備えていることを特徴とする特徴D7乃至D10のいずれか1つに記載の遊技機。
球受け皿が満杯になったことなどに起因して球通路において遊技球が積み上がった場合、積み上がった遊技球が支障になって流出規制部が非規制状態から規制状態に移行できず、音取り込み孔からの遊技球の流出を流出規制部により規制できないという事態の発生が懸念される。
これに対して、特徴D11によれば、例えば球通路における遊技球の流下状況に合わせて、任意のタイミングで流出規制部を規制状態や非規制状態に移行させることが可能になっているため、球受け皿が満杯になった場合など、音取り込み孔から遊技球が流出する可能性が高まりやすい場合には、あらかじめ流出規制部を非規制状態に移行させておくことができる。これにより、球通路から球受け皿への遊技球の排出が音取り込み孔の存在によって適正に行われないということを抑制できる。
特徴D12.前記制御手段は、
前記球受け皿が遊技球で満杯になっているか否かを判定する手段(ステップS802の処理を実行する機能)と、
前記球受け皿が満杯であると判定された場合に、前記流出規制部を前記規制状態に移行させる手段(ステップS803の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴D11に記載の遊技機。
特徴D12によれば、球受け皿が満杯になっている場合には、流出規制部が規制状態に保たれるため、球通路において積み上がった遊技球が音取り込み孔に到達したとしても、その遊技球が音取り込み孔から流出することを流出規制部により規制できる。
特徴D13.前記球通路において遊技球が積み上がったことを検知する球検知手段(満杯検知センサ280)が、前記球通路において前記音取り込み孔よりも下流側に設けられており、
前記制御手段は、前記球検知手段により前記球通路における遊技球の積み上がりが検知された場合に、前記球受け皿が満杯になったと判定するものであることを特徴とする特徴D11又はD12に記載の遊技機。
特徴D13によれば、球受け皿が満杯になった場合、球通路において積み上がった遊技球が音取り込み孔に到達するよりも前に流出規制部を規制状態に移行させることができる。この場合、積み上がった遊技球が支障となって流出規制部が規制状態に移行できないという事態を回避できるため、遊技球が音取り込み孔から流出することをより確実に規制できる。
特徴D14.前記流出規制部は、前記音取り込み孔を複数に分割していることで該音取り込み孔からの遊技球の流出を規制していることを特徴とする特徴D6乃至D13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D14によれば、音取り込み孔においては、流出規制部により複数に分割された状態でも音の通過が可能になっているため、流出規制部は、音取り込み孔からの遊技球の流出を規制すること、及びスピーカからの出力音を音取り込み孔から球通路に取り込むことの両方を同時に実現することができる。これにより、流出規制部を可動式の部材により構成しなくても、球通路から球受け皿に遊技球を適正に排出すること、及びスピーカからの出力音を球通路から適正に放出することの両方が可能になる。
特徴D15.前記抑制機構は、前記音取り込み孔が前記球通路の天井部(下皿通路仕切部452の縦通路部分452b)に設けられていることで構成されていることを特徴とする特徴D1乃至D14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D15によれば、球通路において遊技球の流下経路から上方に離間した位置に音取り込み孔を配置することができる。このため、仮に音取り込み孔が遊技球の通過が可能な大きさ及び形状にされていても、遊技球が球通路から音取り込み孔を通じて外部に流出するということを抑制できる。
特徴D16.前記抑制機構は、前記音取り込み孔が遊技球を通過させない小孔として複数設けられていることで構成されていることを特徴とする特徴D1乃至D15のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D16によれば、小孔である音取り込み孔を遊技球が通過できないため、球通路からの遊技球の流出を抑制することができる。しかも、スピーカの背面側からの出力音が複数の小孔を通過することで、その音の中高音域が減衰しやすくなっているため、球通路から放出される音の低音域が際立って聞こえるようにすることができる。このため、遊技球が球通路から流出しないようにするための構成を利用して、低音による演出効果を高めることができる。
特徴D17.前記球通路は、遊技機幅方向又は奥行き方向に延びた横通路部(上段横通路部284)と、該横通路部に接続され上下方向に延びた縦通路部(縦通路部285)とを有しており、
前記抑制機構は、前記音取り込み孔が遊技球を通過させない小孔として前記横通路部及び前記縦通路部の各外周部のそれぞれに複数ずつ設けられていることで構成されていることを特徴とする特徴D1乃至D16のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴D17によれば、小孔である音取り込み孔を遊技球が通過できないため、球通路からの遊技球の流出を抑制することができる。しかも、スピーカの背面側からの出力音が複数の小孔を通過することで、その音の中高音域が減衰しやすくなっているため、球通路から放出される音の低音域が際立って聞こえるようにすることができる。このため、遊技球が球通路から流出しないようにするための構成を利用して、低音による演出効果を高めることができる。
さらに、横通路部と縦通路部とでは空気室からの音の伝わる向きが異なっていることで、その音の低音域が増幅しやすく且つ中高音域が減衰しやすい環境を作り出すことができる。これにより、低音による演出効果を更に高めることができる。
<特徴E群>
下記特徴E群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
しかしながら、スピーカ等の音出力手段から出力された音が遊技機前方に放出される構成について未だ改善の余地がある。
特徴E1.遊技機本体(内枠13)と、
前記遊技機本体の前面側において、該遊技機本体に対して開閉可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠14)と、
前記遊技機前面体に設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
前記球受け皿に向けて開放され、遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
前記球通路に対して音を出力するスピーカ(下側スピーカ30a)と、
少なくとも前記球通路の開放端部(第1球入口34a)を有し、前記スピーカからの出力音を該開放端部から前記球受け皿に向けて放出するホーン部(ホーン領域371)と、
前記遊技機本体を遊技機前後方向に貫通した通し部(通し部486)と、
を備え、
前記ホーン部は、遊技機後方に向けて前記通し部に入り込んだ状態で設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、球通路の開放端部を含んでホーン部が構成されているため、スピーカから出力された音は、ホーン部にて増幅された状態で球受け皿に向けて放出される。このように、スピーカからの出力音が遊技機外部に放出される態様に関して自由度を高めることで、遊技中の演出効果を高めることができる。
ここで、例えば、ホーン部が遊技機本体と遊技機前面体との間に収納されている構成では、ホーン部が球通路の開放端部を有する構成を容易に実現することができる一方で、収納スペースが制限されることでホーン部の長さ寸法(音の伝達経路の長さ寸法)が不足することが懸念される。これに対して、本特徴によれば、ホーン部が遊技機本体の通し部に通されているため、遊技機本体の背面側スペースをホーン部の設置スペースとして利用することが可能になっている。この場合、遊技機本体の背面側スペースにホーン部の少なくとも一部を配置することで、ホーン部の長さ寸法を十分に確保することが可能になるため、ホーン部を通過した音を適正に増幅させることができる。
以上のように、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
特徴E2.前記通し部は、前記スピーカに対して遊技機前後方向に並ぶ位置に配置されていることを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
特徴E2によれば、遊技機前後方向において、スピーカの前方スペースや後方スペースをホーン部の設置スペースとして容易に利用できるようになっている。このため、例えば、遊技機幅方向においてホーン部とスピーカとが横並びに配置された構成に比べて、スピーカの幅寸法や形状を制限しないようにホーン部を設置することが容易になる。したがって、ホーン部により音の増幅を図る構成において、出力性能そのものが低い音出力手段をスピーカとして使用せざるを得ないという事態に陥ることを回避できる。
特徴E3.前記通し部は、前記スピーカが前記遊技機前面体に設けられていることで、該スピーカの背面側に配置されていることを特徴とする特徴E2に記載の遊技機。
特徴E3によれば、遊技機前後方向において、スピーカの後方スペースをホーン部の設置スペースとして容易に利用できるようになっている。しかも、ホーン部において、通し部を通じて遊技機本体の後方に突出した部分については、後方に延びるように設置することが可能になっているため、ホーン部における音の伝達経路の長さ寸法が遊技機前面体やスピーカの存在によって制限されるということを回避できる。
特徴E4.前記スピーカの背面側を収納し、該スピーカからの出力音を前記ホーン部に伝える空気室(空気室332)を備え、
前記空気室は、遊技機前後方向において前記通し部に重なる位置に配置されていることを特徴とする特徴E3に記載の遊技機。
スピーカの背面側が空気室に収納されている構成では、ホーン部の設置スペースを空気室とは別に確保する必要があるため、遊技機の内部空間という狭小スペースにおいて、適正な長さ寸法を有するホーン部を設置することが困難になりやすい。これに対して、特徴E4によれば、空気室が通し部の前方位置に配置されているため、空気室から延びるホーン部が遊技機前方から通し部に入り込んだ状態を容易に実現できる。この場合、空気室の後方スペースをホーン部の設置スペースとして利用することで、ホーン部の長さ寸法を適正に確保できる。
特徴E5.前記遊技機本体の背面側に設けられ、該遊技機本体に対して開閉可能に装着された背面体(裏パックユニット15)を備え、
前記ホーン部は、前記背面体よりも遊技機後方に突出しない状態で設けられていることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴E5によれば、遊技機本体の背面側スペースをホーン部の設置スペースとして利用できる構成において、ホーン部が背面体よりも遊技機後方には突出していないため、遊技機の厚み寸法がホーン部の存在によって過剰に大きくなるということを抑制できる。この場合でも、遊技機前後方向において、背面体の厚み寸法の分だけホーン部の設置スペースを確保することができる。
特徴E6.前記遊技機本体は、前記背面体により遊技機後方から覆われていない非被覆部分(非被覆部分487)を有しており、
前記通し部は、前記非被覆部分に設けられていることを特徴とする特徴E5に記載の遊技機。
特徴E6によれば、通し部が遊技機前後方向において背面体に重ならない位置に配置されているため、例えば背面体に重なる位置に配置された構成に比べて、ホーン部の長さ寸法や形状が背面体により制限されにくい構成を実現できる。
特徴E7.前記通し部は、前記遊技機本体において前記背面体の下端部よりも低い位置に配置されていることを特徴とする特徴E5又はE6に記載の遊技機。
特徴E7によれば、遊技機本体の背面側において、ホーン部を背面体の下方位置に配置することが容易になる。この場合、例えば遊技機前後方向においてホーン部が背面体に重なる位置に配置された構成とは異なり、遊技機本体の背面側においてホーン部を背面体の下方位置に回り込ませるという必要がないため、ホーン部の長さ寸法や形状が背面体により制限されるということを抑制できる。
また、背面体の下端部よりも低い位置であれば、通し部の設置位置に関しての自由度を遊技機幅方向について高めることができる。このため、例えば、遊技ホールの島設備の一部や島設備に球を排出するための構成が、遊技機本体の背面側において背面体の下方位置に設置されていたとしても、これら設備の支障にならない態様でホーン部を設置することが容易になる。
特徴E8.前記背面体に設けられ、遊技にて使用された遊技球を当該背面体から外部に排出する球排出口(排出口478a)を備え、
前記通し部は、前記球排出口に対して遊技機幅方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする特徴E5乃至E7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴E8によれば、背面体に球排出口が設けられているため、遊技を行う上で使用された遊技球を遊技ホールの島設備等に対して適正に排出することができる。
ここで、遊技機本体の背面側にホーン部及び背面体の両方が配置された構成では、球排出口に接続される島設備の一部や、球排出口から島設備に遊技球を案内するための構成が、ホーン部を設置する上で支障になることが懸念される。
これに対して、本特徴によれば、遊技機本体の通し部が遊技機前後方向において球排出口に重ならない位置に配置されているため、ホーン部が通し部を通じて遊技機本体の背面側に突出した構成を適正に実現できる。しかも、通し部が球排出口に対して左右にずれた位置に配置されているため、球排出口から遊技球を下方に流下させる上でホーン部が支障になることを抑制できる。したがって、ホーン部により音の増幅を図りつつ、限られたスペースにおいてホーン部を適正に設置することができる。
特徴E9.前記球排出口と遊技ホールの島設備(島設備491)とを接続する排出用接続手段(排出案内ユニット495)が、前記遊技機本体の背面側において前記背面体の下方位置に設けられており、
前記通り部は、遊技機前後方向において前記排出用接続手段に重ならない位置に配置されていることを特徴とする特徴E8に記載の遊技機。
特徴E9によれば、通り部が排出用接続手段により遊技機後方から覆われない位置に配置されているため、球排出口から島設備に向けて遊技球を流下させるように排出用接続手段を設置する上で、ホーン部が支障になることを回避することができる。
特徴E10.折り曲げられた状態の前記ホーン部を形成しているホーン形成部(後方延出部483)が、前記通し部を通じて前記遊技機本体の背面側に突出していることを特徴とする特徴E1乃至E9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴E10によれば、ホーン部が折り曲げられているため、ホーン部を伝わる音についてはその中高音域が減衰しやすくなっている。この場合、ホーン部から球受け皿に向けて放出される音については低音域が際立って聞こえるようになるため、不足しがちな低音域の音量を適正に補うことができる。
特徴E11.前記ホーン形成部は、遊技機後方に向けて延びた状態で前記遊技機前面体に設けられており、前記遊技機前面体が前記遊技機本体に対して閉鎖される際に前記通し部に挿し入れられるものであることを特徴とする特徴E10に記載の遊技機。
特徴E11によれば、ホーン形成部において、球通路の開放端部と通し部に挿し入れられる挿入部分とを一体的に形成することができるため、遊技機前面体を遊技機本体に対して開閉するたびに球通路の開放端部と挿入部分とが接続される構成を実現する必要がない。このため、ホーン形成部の構造が複雑になることを抑制できる。
特徴E12.前記通し部は、前記遊技機本体の下端部に沿って遊技機幅方向に延びた横長形状であることを特徴とする特徴E11に記載の遊技機。
特徴E12によれば、ホーン形成部を扁平状に形成することで、そのホーン形成部を通し部に挿通させることが可能になる。この場合、遊技機本体の背面側において、横長形状のデッドスペースをホーン形成部の設置スペースとして有効に利用することができる。
<特徴F群>
下記特徴F群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
パチンコ機等の遊技機は、効果音等の音を出力することが可能なスピーカを備えている(例えば特開2005−261808号公報参照)。遊技機においては、スピーカから出力された音が、遊技機前方に向けて放出されるようになっている。
特徴F1.遊技機本体(内枠13)と、
前記遊技機本体の前面側において、該遊技機本体に対して開閉可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠14)と、
前記遊技機前面体に設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
前記球受け皿に向けて開放され、遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
少なくとも前記球通路の開放端部(第1球入口34a)を有し、所定のスピーカ(下側スピーカ30a)から出力された音を遊技機前方に放出するエンクロージャ(エンクロージャ331)と、
前記遊技機本体の背面側において、該遊技機本体に対して開閉可能に設けられた背面体(裏パックユニット15)と、
を備え、
前記エンクロージャにおいて前記遊技機本体よりも後方に突出した突出部分(突出部分483a)が、前記背面体において後方に向けて凹んでいる収納凹部(収納凹部513)に前方から入り込んだ状態で収納されていることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、球通路の開放端部を含んでエンクロージャが構成されているため、スピーカから出力された音は、エンクロージャにて増幅された状態で球受け皿に向けて放出される。このように、スピーカからの出力音が遊技機外部に放出される態様に関して自由度を高めることで、遊技中の演出効果を高めることができる。
しかも、エンクロージャの突出部分が背面体の収納凹部に収納されているため、エンクロージャが遊技機本体より後方に突出していても、遊技機本体に対して背面体が適正に装着された状態を保持できる。このため、遊技機本体の背面側スペースをホーン部の設置スペースとして適正に利用することができる。また、エンクロージャが収納凹部に対して嵌合される構成であれば、エンクロージャは、突出部分が収納部分に収納されていることで背面体を支持することも可能になる。つまり、エンクロージャが背面体の設置状態を適正に保つための補助機能を発揮することができる。
以上のように、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
特徴F2.前記背面体は、当該背面体の強度を高めるための補強領域(補強部511)を有しており、
前記収納凹部は、前記補強領域に設けられていることを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
背面体に収納凹部が設けられた構成では、収納凹部の設置位置について強度が著しく低下することで背面体が変形しやすくなることが懸念される。これに対して、特徴F2によれば、背面体の補強領域に収納凹部が設けられているため、収納凹部の設置位置の強度が低下したとしても、補強領域全体としては強度を適正に保持することができる。このため、背面体が遊技機本体に対して開放された状態(エンクロージャが背面体を支持していない状態)でも、背面体の形状が適正に保たれる構成を実現できる。
しかも、補強領域の一部をエンクロージャの設置スペースとして利用することで、エンクロージャの拡張を図ることが可能になる。
特徴F3.前記補強領域は、前記背面体の下端部に沿って延びていることを特徴とする特徴F2に記載の遊技機。
特徴F3によれば、補強領域が背面体の下端部全体に対して強度を付与することが可能になっているため、背面体の幅方向において収納凹部の設置位置に関する自由度を高めることができる。このため、エンクロージャの設置位置が背面体の構造によって制限されるということを抑制できる。
特徴F4.前記補強領域は、前記遊技機本体に向けて延出した複数のリブ(リブ512)を有しており、
前記複数のリブには、前記背面体の幅方向に延びる横リブ(横リブ512a)が含まれており、
前記収納凹部は、上下に隣り合う前記横リブにより形成されていることを特徴とする特徴F3に記載の遊技機。
特徴F4によれば、複数のリブにより補強領域の強度が確保されている構成において、そのリブの設置位置を変更することで収納凹部を形成することができる。このため、収納凹部の設置に伴って補強領域の強度が低下するということが生じにくい構成を実現できる。
特徴F5.遊技機本体(内枠13)と、
前記遊技機本体の前面側において、該遊技機本体に対して開閉可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠14)と、
前記遊技機前面体に設けられ、遊技球を貯留する球受け皿(下皿34)と、
前記球受け皿に向けて開放され、遊技球を前記球受け皿に排出する球通路(前扉側下皿通路部273)と、
少なくとも前記球通路の開放端部(第1球入口34a)を有し、所定のスピーカ(下側スピーカ30a)から出力された音を遊技機前方に放出するエンクロージャ(エンクロージャ331)と、
前記遊技機本体の背面側において、該遊技機本体に対して開閉可能に設けられた背面体(裏パックユニット15)と、
を備え、
前記エンクロージャにおいて前記遊技機本体よりも後方に突出した突出部分(突出部分483a)が前記背面体により後方から覆われていることを特徴とする遊技機。
特徴F5によれば、球通路の開放端部を含んでエンクロージャが構成されているため、スピーカから出力された音は、エンクロージャにて増幅された状態で球受け皿に向けて放出される。このように、スピーカからの出力音が遊技機外部に放出される態様に関して自由度を高めることで、遊技中の演出効果を高めることができる。
しかも、エンクロージャの突出部分が背面体の収納凹部に収納されているため、エンクロージャが遊技機本体より後方に突出していても、遊技機本体に対して背面体が適正に装着された状態を保持できる。このため、遊技機本体の背面側スペースをホーン部の設置スペースとして適正に利用することができる。しかも、エンクロージャの突出部分を背面体により保護することもできる。
以上のように、スピーカから出力された音を遊技機前方に放出する上で好適な構成を提供することができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域PE)に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口61等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。