JP2016185113A - 魚類捕獲装置、魚類捕獲方法および魚類捕獲装用運搬船 - Google Patents

魚類捕獲装置、魚類捕獲方法および魚類捕獲装用運搬船 Download PDF

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孝博 松原
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▲ヨンウン▼ 柳
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Abstract

【課題】魚類の稚魚や幼魚などを活きたまま捕獲することができる魚類捕獲装置、かかる装置を所望の場所まで移送するための魚類捕獲措置用運搬船および魚類の稚魚や幼魚などを活きたまま捕獲する魚類捕獲方法を提供する。
【解決手段】海に設置して対象魚類を捕獲する装置であって、内部に中空な収容空間1hを有し、収容空間1hと外部とを連通する開口10hが側壁に形成された本体部10を備えており、本体部10には、開口10hを開閉し得る開口部開閉手段20が設けられており、本体部10には、収容空間1hの内壁面を照射し得る照明手段30が設けられている。開口10hを開口部開閉手段20によって閉じれば、接触等に弱い魚類であっても活かしたまま本体部10の収容空間1h内に捕獲できる。照明手段30を作動すれば、捕獲した対象魚類が内壁面に激突することによって生じる減耗を抑制できるので、天然の対象魚類を高い生存率で活かすことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、魚類捕獲装置、魚類捕獲方法および魚類捕獲装用運搬船に関する。さらに詳しくは、マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどのイワシ類や、イカナゴ等の稚魚を捕獲するための魚類捕獲装置、魚類捕獲方法およびかかる魚類捕獲装置を海上移送する際に使用するための魚類捕獲装用運搬船に関する。
日本では、古くからカツオ漁が盛んに行われており、その多くが一本釣り漁法によって漁獲されている。このカツオの一本釣り漁法は、カツオを一匹ずつ釣り上げるので、巻き網等によって捕獲する漁法に比べてカツオの痛み等が少ないので、品質がよいカツオを供給できる点で優れている。通常、かかる漁法は、海上に発生したナブラ(小魚の群れがカツオによって海面付近に追い込まれたときに生じる現象)近傍に漁船を近づけて、かかる漁船の側方から海面に向かって散水を行ってカツオを漁船の周囲におびき寄せる。そして、漁船の周囲におびき寄せた状況において、船上から活きたイワシ類(カタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシなど)を撒き餌として供給する。この活きた撒き餌を供給することによって、カツオの群れを漁船の周囲に留めておくことができるので、その間にカツオを一本ずつ釣り上げるという漁法である。
ここで、一般的なカツオの一本釣り漁法では、イワシ類のうち、とくにカタクチイワシが用いられている。その理由として、カツオがカタクチイワシを好んで捕食するため、撒き餌としてカタクチイワシを供給することによって、カツオの活性を増加させることができることが知られているからである。一方、撒き餌として用いられる活きたカタクチイワシは、その大きさも重要といわれており、通常、体長約50〜80mm程度のものがよいとされている。体長が約70mmよりも小さいものは、初カツオを含む小型カツオ用であり、体長70mmよりも大きくなると、戻りカツオやキハダマグロの撒き餌などに用いられる。このため、一般的にカツオの一本釣り漁法に用いられるカタクチイワシは、その大きさが上記範囲のものが用いられている。
従来、カツオの一本釣り漁法に用いられるカタクチイワシは、所望の大きさに成長した天然のカタクチイワシを施網や定置網で漁獲したカタクチイワシを活かした状態でカツオの一本釣り漁船に提供されている。
しかし、近年、上記範囲の大きさのカタクチイワシの漁獲が不安定となってきており、一本釣り漁法で漁獲されるカツオの水揚げ量の減少が懸念されている。
一方、上記範囲の大きさになる前の体長が約20mm〜40mm程度のカタクチイワシの稚魚(いわゆるシラス)は、安定的に漁獲されている魚であり、日本では古くからシラス干し等の加工食品として好んで食されている。
一般的に、シラス漁は、二隻の漁船で一つの網を引きながらシラスを漁獲するいわゆるパッチ網漁法によって行われている。また、夜間には、シラスが光に向かって泳ぐという性質(走光性)を利用した漁法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。特許文献1または2の漁法では、LED等の集魚灯を船上から海面に向かって照射して、船の周囲にシラスを集魚させたのち、集魚したシラスを網で漁獲するという漁法である。
特開2011−41号公報 特開2000−125698号公報
しかるに、シラスは、一般的な小魚と異なり鱗がないため外部の衝撃(例えば、従来の漁法で用いられる網によってシラスに生じる接触傷害、いわゆるスレ)に非常に弱い。このため、従来の漁法で漁獲したシラスは、船上にあげた時点でほぼ全て死亡した状態で漁獲されているというのが実情である。
したがって、現状では、安定的に漁獲することができるものの、活かした状態で漁獲することが非常に困難とされているシラスを、カツオの一本釣り漁法に用いられる大きさまで養殖するということは、全く想定されていないというのが実情である。
本発明は上記事情に鑑み、魚類の稚魚や幼魚などを活きたまま捕獲することができる魚類捕獲装置、かかる魚類捕獲装置を所望の場所まで移送するための魚類捕獲措置用運搬船および魚類の稚魚や幼魚などを活きたまま捕獲する魚類捕獲方法を提供することを目的とする。
(魚類捕獲装置)
第1発明の魚類捕獲装置は、海に設置して対象魚類を捕獲する装置であって、内部に中空な収容空間を有し、該収容空間と外部とを連通する開口が側壁に形成された本体部を備えており、該本体部には、前記開口を開閉し得る開口部開閉手段が設けられており、該本体部には、前記収容空間の内壁面を照射し得る照明手段が設けられていることを特徴とする。
第2発明の魚類捕獲装置は、第1発明において、前記対象魚類が、イワシ類の稚魚および/または幼魚であることを特徴とする。
第3発明の魚類捕獲装置は、第1発明または第2発明において、前記照明手段の照明部は、水中で光を放射する機能を備えていることを特徴とする。
第4発明の魚類捕獲装置は、第1発明、第2発明または第3発明において、前記本体部の側壁が、通液性を有する部材で形成されていることを特徴とする。
第5発明の魚類捕獲装置は、第1発明、第2発明、第3発明または第4発明において、前記本体部には、海に設置した状態において、該本体部の浮力を調整する浮力調整手段が設けられていることを特徴とする。
(魚類捕獲措置用運搬船)
第6発明の魚類捕獲装置用運搬船は、第1発明〜第5発明のいずれかに記載の魚類捕獲装置を所望の場所まで曳航する際に使用される運搬船であって、該運搬船には、前記魚類捕獲装置を収容することができる大きさの中空な船内空間を備えており、該船内空間に前記魚類捕獲装置を入れるための搬入口が船尾に形成されており、前記魚類捕獲装置を前記船内空間に収容した状態において、該魚類捕獲装置の外壁面と前記船内空間の内壁面との間に隙間を形成し得るように形成されていることを特徴とする。
(魚類捕獲方法)
第7発明の魚類捕獲方法は、海に設置した装置に対象魚類を誘導して捕獲する方法であって、集魚灯を前記装置から離間した位置から接近した位置まで移動させ、該集魚灯を点灯させたまま前記装置内の収容空間内に移動させ、前記装置の本体部に形成された開口を開口部開閉手段によって閉じることを特徴とすることを特徴とする。
第8発明の魚類捕獲方法は、第7発明において、対象魚類を前記収容空間内に収容した状態において、該収容空間内の水中で光を放射させることを特徴とする。
第1発明によれば、本体部の側壁に形成された開口が外部の海と連通するように解放した状態で本体部を夜の海の中に設置する。そして、集魚灯などを用いて本体部近傍まで移動させてきた対象魚類を本体部の開口から本体部の収容空間内に誘導する。かかる状態で、解放された本体部の開口を開口部開閉手段によって閉じれば、対象魚類を活かしたまま捕獲することができる。しかも、捕獲に際して、対象魚類に対して網などによる接触や衝撃を全く与えないので、接触等に弱い魚類であっても活かしたまま捕獲することができる。また、本体部に設けられた照明手段を作動させて収容空間内を照らしだすことによって、捕獲した対象魚類に対して収容空間の内壁面を認識させることができる。このため、捕獲した対象魚類が収容空間の内壁面に激突して死亡したりするのを抑制できる。つまり、捕獲した対象魚類の減耗を抑制することができるのである。したがって、天然の対象魚類を安定的(つまり高い生存率)に捕獲し、高い生存率で活かすことができる。
第2発明によれば、カツオの一本釣りに用いられる活きた撒き餌として必要なイワシ類の稚魚および/または幼魚を活きたまま捕獲することができる。捕獲したイワシ類の稚魚および/または幼魚をカツオの一本釣りで求められる大きさまで養殖すれば、カツオの一本釣り漁船が必要とするイワシ類を安定して供給することが可能となる。しかも、捕獲できる天然のイワシ類の稚魚は、ほぼ同じ大きさを有する群れであるので、品質の高いイワシ類を供給することが可能となる。
第3発明によれば、本体部の収容空間内の内壁面を効率よく照らしだすことができるので、捕獲した対象魚類に対して収容空間の内壁面をよりはっきりと認識させることができるから、捕獲した対象魚類の減耗をより抑制することができる。
第4発明によれば、本体部の収容空間内の海水を常に新しい状態とすることができるので、捕獲した対象魚類を長時間活かし続けることができる。
第5発明によれば、本体部よりも深い水深の場所でも本体部を使用することができるので、捕獲エリアの自由度を向上させることができる。また、浮力調整手段によって対象魚類が遊泳する水深と本体部の開口との相対的な位置調整を行うことができる。このため、対象魚類をよりスムースに本体部の外部から開口を通して収容空間内へ誘導することができる。
第6発明によれば、海に設置した魚類捕獲装置を船の船尾方向から船首方向に向かって海上を水平移動させるだけで、魚類捕獲装置を船体内の船内空間に収容することができる。そして、魚類捕獲装置を船内空間に収容した状態で船を移動させれば、魚類捕獲装置を所望の場所(例えば、より広い空間を有する海上養殖生簀)まで海上移送させることができる。しかも、船体内の船内空間に魚類捕獲装置を収容しているので、船の移動に伴って生じる水流の影響を防止することができる。つまり、船を移動する際、魚類捕獲装置の本体部の収容空間内における、水面の上下変動や、船の進行方向と逆の水流などが発生するのを防止することができるのである。言い換えれば、魚類捕獲装置の海上移送において、移送の前後を通して魚類捕獲装置の本体部の収容空間内を安定した状態とすることができるのである。このため、魚類捕獲装置の海上移送に伴う、捕獲した対象魚類の減耗率を低減することができる。とくに、捕獲した魚類が遊泳力の弱い魚類(例えば、イワシ類の稚魚)の場合、移送に伴う減耗率をより低減させることができる。
第7発明によれば、天然の走光性を有する対象魚類を装置の本体部近傍にまで移動させたのち、かかる対象魚類をそのまま装置の本体部の収容空間内に誘導させることができる。そして、誘導口である装置の本体部の開口を開口部開閉手段によって閉じれば、収容空間内に誘導した対象魚類を活かしたまま捕獲することができる。つまり、網などによる接触や衝撃を全く与えることなく天然の対象魚類を捕獲することができるのである。しかも、照明手段によって収容空間内を照らしだすことができるので、捕獲した対象魚類に対して収容空間の内壁面を認識させることができる。すると、捕獲した対象魚類が収容空間の内壁面に激突して死亡したりするのを抑制できる。つまり、捕獲した対象魚類の減耗を抑制することができるのである。したがって、天然の対象魚類を安定的(つまり高い生存率)に捕獲することができるのである。
第8発明によれば、装置の本体部の収容空間内の内壁面を効率よく照らしだすことができるので、収容空間内に収容した対象魚類に対して収容空間の内壁面をよりはっきりと認識させることができるから、捕獲した対象魚類の減耗をより抑制することができる。
本実施形態の魚類捕獲装置1の概略説明図であり、(A)は開口部開閉手段20を作動させて本体部10の開口10hを解放した状態を示した概略説明図であり、(B)は開口部開閉手段20を作動させて本体部10の開口10hを解放した状態から閉じた状態を示した概略説明図である。 本実施形態の魚類捕獲装置1の開口部開閉手段20の開閉本体部21を開位置に設置した状態の要部概略説明図である。 本実施形態の魚類捕獲装置1の使用状況を示した概略断面図であり、(A)は、集魚灯を用いて本体部10近傍まで移動させたシラスを魚類捕獲装置1の本体部10の開口10hから本体部10の収容空間1h内に向かって誘導している状況の概略説明図であり、(B)はシラスを本体部10の収容空間1h内に誘導させた状態で開口部開閉手段20を作動させて本体部10の開口10hを閉じ、照明手段30の光源31を作動させている状況の概略説明図である。 本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2の概略説明図であり、(A)は概略側面図であり、(B)は概略背面図である。 本実施形態の魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスを養殖するための海上養殖用生簀Cの概略説明図である。 本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2を用いて魚類捕獲装置1を海上養殖用生簀Cにドッキングさせる状況を説明した概略説明図である。 実施例の魚類捕獲装置を示した図であり、(A)は正面図、(B)は斜め正面から見た図であり、(C)は照明部の拡大図である。 実施例の魚類捕獲装置を海に設置した状況の図であり、(A)は昼の海に魚類捕獲装置を設置した状況を示した図であり、(B)は夜の海に魚類捕獲装置を設置した状況を示した図である。 実施例の実験結果を示した図である。
本発明の魚類捕獲装置は、海に設置して使用する装置であって、天然の対象魚類に接触することなく、群れのまま活かした状態で捕獲することができるようにしたことに特徴を有している。とくに、本発明の魚類捕獲装置では、捕獲領域に光を照射することによって、かかる捕獲領域を捕獲した対象魚類に認識させることができるようにしたことに特徴を有している。
本発明の魚類捕獲装置の捕獲対象となる対象魚類のうち、カタクチイワシの稚魚であるシラスは、体長が30mm程度に成長しても、一般的な魚の稚魚とは異なり、その体表には鱗が形成されない。このため、シラスは、外部からの衝撃(例えば、網に接触した際にシラスに生じる接触傷害、いわゆる擦れ(いわゆるスレ)など)に非常に弱く、従来のシラスを捕獲する漁法においても、船上にあげた時点でほぼ全てが死んだ状態で捕獲されていた。したがって、従来、シラスを生きたまま(活きたまま)漁獲することは、不可能と考えられていた。
しかし、本発明者らは、シラスが水中の物体を認識することができるということを初めて発見し、かかる発見を利用して本発明を完成したのである。具体的には、水中の物体をシラスに認識させることによって、シラスの行動を制御することによって、シラスを所定の捕獲領域内に安定した状態で留まらせておくというものである。
なお、上述した魚類捕獲装置の捕獲領域は、後述する本発明の魚類捕獲装置の本体部内の収容空間に相当する。
なお、本発明の捕獲対象となる対象魚類は、上述したカタクチイワシの稚魚であるシラスに限定されず、光に対して走光性を有する魚類を対象とすることができる。かかる魚類としては、例えば、カタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシ、キビナゴなどのイワシ類や、かかるイワシ類の稚魚(例えば、上述したカタクチイワシの稚魚のシラス、ウルメイワシの稚魚、マイワシの稚魚)や幼魚(例えば、カタクチイワシの幼魚のカエリ、ウルメイワシの幼魚、マイワシの 幼魚)、イカナゴ、サンマ、マアジ、マサバ、ゴマサバ、イカやその幼体、カニやエビなどの甲殻類等を挙げることができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本実施形態の魚類捕獲装置の概略を簡単に説明する。
なお、以下では、対象魚類として、従来、活きたまま捕獲することが非常に困難とされていたシラスを代表として説明する。
図1に示すように、本実施形態の魚類捕獲装置1は、内部に中空な空間1h(以下、収容空間1hという)を有する本体部10を備えている。この本体部10は、内部の収容空間1h内において、捕獲したシラスとともに海水を収容することができるように形成されている。
また、本体部10の側壁には、収容空間1h内と外部とを連通する開口10hが形成されており、かかる開口10hを通して、外部から収容空間1h内にシラスを収容することができるようになっている。そして、この本体部10の開口10hには、収容空間1h内に収容したシラスがかかる開口10hを通って再び外部へ逃げ出さないように開口部開閉手段20によって閉じたり開いたりすることができるようになっている。
一方、本体部10の上部には、下方に向かって光を放射することができる照明部31を備えた照明手段30が設けられており、かかる照明手段30を作動させることによって収容空間1h内を照らしだすことができるようになっている。
以上のごとき構成であるので、本実施形態の魚類捕獲装置1(以下、単に魚類捕獲装置1という)を海に設置して、シラスを本体部10の収容空間1h内に収容すれば、天然のシラスを生きたまま(活きたまま)捕獲することができる。
また、照明手段30を作動すれば、照明部31から本体部10の収容空間1h内に向かって光を放射することができる。つまり、照明手段30によって、本体部10内の収容空間1h内を照らしだすことができる構造となっている。
照明手段30の照明部31から収容空間1h内に向かって放射された光は、一部が収容空間1hの内壁面で反射されて、収容空間1h内に向かって反射する反射光となる。つまり、シラスのいる領域(または空間)に反射光が照射されるので、かかる反射光によってシラスに水中の物体、つまり収容空間1hの内壁面を認識させることができる。収容空間1hの内壁面を認識したシラスは、収容空間1hの内壁面を避けるようにして収容空間1h内を遊泳する。すると、捕獲したシラスが収容空間1hの内壁に衝突や接触したりして死亡したりするのを抑制できる。つまり、捕獲したシラスの減耗を抑制することができるから、天然のシラスを安定的(つまり高い生存率)に捕獲することができる。
また、天然のシラスを高い生存率で捕獲することができるので、シラスをカツオの一本釣りで求められる大きさまで養殖すれば、カツオの一本釣り漁船が必要とするカタクチイワシを安定して供給することが可能となる。
しかも、天然のシラスを群れで捕獲することができる。一般的に、シラスの群れは、数万〜数十万匹のシラスで構成されている。このため、1回の漁で、大量のシラス(例えば、約30kg(約30万匹))を捕獲することができる。この大量のシラスを所望の体長まで養殖すれば、所望の大きさのシラスを大量に供給することが可能となる。言い換えれば、安定した量のカタクチイワシを提供することができる。
また、天然のシラスの群れは、ほぼ同じ大きさ(体長)のシラスで構成されている。このため、捕獲したシラスを群れごとに養殖すれば、ほぼ同じ体長のカタクチイワシを供給することができる。つまり、品質の高いカタクチイワシを供給することができるのである。
さらに、カツオの一本釣り漁船に供給するカタクチイワシは、ほぼ群れの状態で捕獲したシラスから養殖するので、カツオの一本釣り漁船の要望に応じた大きさのカタクチイワシを供給することができる。例えば、体長が約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mmなどの大きさのそろったカタクチイワシを供給することができる。
なお、本実施形態の魚類捕獲装置1では、シラスよりもやや体表が強くなったカタクチイワシの幼魚(いわゆるカエリ)であれば、シラスと比べてより高い生存率で捕獲することができるのは、いうまでもない。
以下、魚類捕獲装置1の特徴的な構成を具体的に説明する。
図1および図2に示すように、魚類捕獲装置1は、内部に中空な収容空間1hを有し、この収容空間1hと連通する開口10hが側壁に形成された本体部10を備えている。この本体部10には、開口10を開閉するための開口部開閉手段20と、収容空間1h内を照らしだす照明手段30と、が設けられている。
(本体部10)
図1および図2に示すように、本体部10は、内部にシラスと海水を一緒に収容することができる大きさの収容空間1hを有するものであれば、とくに限定されず、捕獲するシラスの群れの大きさ等によって適宜選択すればよい。
本体部10は、その形状も立方体形状や、円柱状のものなど様々な形状のものを採用することができる。例えば、円柱状の形状を採用した場合、内部の収容空間1hの横断面の形状を円形とすることができる。この場合、捕獲した対象魚類を内側面に沿って遊泳させることができるので、捕獲した対象魚類がコーナに向かって集魚するのを抑制できるという利点がある。
また、本体部10の収容空間1hは、その水面近傍の内壁面に約数十cmの幅のシート状の帯状部材を内方に向かって傾斜するように設けてもよい。かかる帯状部材は、その表面が平滑面を有するものであれば、その材質はとくに限定されず、ビニール製のものを採用することができる。かかる帯状部材を設ければ、水面近傍を遊泳するシラスが何かの拍子に誤って収容空間1hの水面近傍の内壁面に向かって遊泳した場合であっても、帯状部材の表面を若干上方に移動するだけで、すぐに収容空間1h内に滑り落ちる。しかも、帯状部材は、表面抵抗が小さくなるように形成されているので、接触等でシラスが死亡するのを防止することができる。このため、海面近傍を遊泳するシラスを効率よく活かすことが可能となる。
また、本体部10は、内部の収容空間1h内にシラスと海水を収容することができるものであれば、その構造もとくに限定されない。
例えば、本体部10の収容空間1hを液密構造としてもよいし、通液性を有する構造としてもよい。本体部10の収容空間1hをガラス製やプラスチック製の部材を用いて液密構造とすれば、海でシラスを捕獲した状態で本体部10を陸上に移動させれば、そのままの状態で陸路を移送することができる。一方、通気性を有する構造、例えば、ベースとなるフレームに、収容空間1hと外部を連通する複数の貫通孔を有するシート状の部材を用いたものや、網状の部材を用いた構造とすれば、本体部10の重量を軽くすることができるので、陸上での移送が容易となるという利点がある。
なお、本体部10の収容空間1h内にシラスを海水と一緒に収容することができるとは、両者を収容空間1h内に収容した状態を陸上でも維持するということを必ずしも意味している訳ではなく、海の中に設置したときにだけ両者を一緒に収容することができる状態となる場合も含んでいる。
以下では、本体部10を網状の部材を用いて立方体形状となるように形成した場合を説明する。
図1および図2に示すように、本体部10は、上壁を除く面を一辺が約1500〜200mmの略正方形の板状の部材を用いて立方体形状となるように形成することができる。つまり、本体部10は、有底筒状となるように形成することができる。かかる大きさに形成すれば、本体部10の収容空間1h内に、約30kg(約30万匹)のシラスを海水とともに活かした状態で収容することができる。
なお、上壁となる部分を設けてもよいが、図1に示すような上壁を設けない場合、本体部10を海に設置した状態において、船上から本体部10を見たときに、本体部10の収容空間1h内を簡単に視認することができるという利点がある。
図1および図2に示すように、本体部10は、立方体形状のベースとなるベースフレーム11と、このベースフレーム11の各面を覆うように網目状の構造を有するシート部材15を設けた構造とすることができる。
図1および図2に示すように、このベースフレーム11は、略正方形に形成された上フレーム12と下フレーム13と、両者の各コーナ間を連結する4本の縦フレーム14とから構成されている。
そして、図1および図2に示すように、上フレーム12の一辺と、この一辺に対応する下フレーム13の一辺と、両辺の両端間に設けられた一対の縦フレーム14とで囲まれた部分(本体部10の側壁に相当する部分)には、本体部10の開口10hとなる側壁に相当する部分を除き、シート部材15が設けられている。
また、下フレーム13で囲まれた部分(本体部10の底面に相当する部分)にも、シート部材15が設けられている。
なお、上述したように、上フレーム12で囲まれた部分(本体部10の上面に相当する部分)にも、シート部材15を設けてもよいし、設けなくてもよい。例えば、かかる部分にシート部材15を着脱可能に設けた場合、取り付けた状態では鳥よけとして機能させることができるし、外した状態では使用する際の作業性を向上させることができる。
また、シート部材15の網目の大きさは、対象魚類によって適宜変更すればよい。例えば、体長が30mm程度のシラスの場合、網目が3〜5mm程度のものを採用することができる。シラスよりもやや体長が大きいカエリ(体長が約40mm)の場合には、網目が6〜10mm程度のものを採用することができる。
さらになお、本体部10の開口10は、立方体形状一の面すべてが開口10hとなるように形成したが、その大きさや形状は、対象魚類の種類や群れの大きさ、開口の開閉方法等によって適宜選択することができる。
(開口部開閉手段20)
本体部10には、上述したように、開口10hを閉じたり開いたりすることができる開口部開閉手段20が設けられている。
この開口部開閉手段20は、開口10hを開閉することができる機能を有するものであれば、その構造や材質はとくに限定されない。
具体的には、本体部10の収容空間1h内に誘導したシラスが外部に逃げ出さないように、収容空間1hと外部とを連通する開口10hを閉じることができるように形成されたものであればよい。例えば、開口部開閉手段20は、板状の部材や略矩形に形成されたフレーム内に網状のシート部材を有する網状フレーム部材によって本体部10の開口10hを開閉する構造のものや、チャック方式(ファスナ方式)機構を有する網状シートによって本体部10の開口10hを覆った構造のものなどを採用することができる。
以下では、開口部開閉手段20として、網状フレーム部材によって本体部10の開口10hを開閉する構造を採用した場合を代表として説明する。
図1および図2に示すように、開口部開閉手段20は、開閉本体部21を備えている。この開閉本体部21は、略矩形状のベースフレーム22と、このベースフレーム22に張られた網状のシート部材23とを備えている。
このベースフレーム22は、閉じたときに、開口10hを塞ぐことができる大きさに形成されていれば、その大きさや形状はとくに限定されない。
例えば、図1および図3に示すように、本体部10の開口10hが略正方形の場合、ベースフレーム22は、下フレーム22bと上フレーム22cと、下フレーム22bと上フレーム22cの両端間を連結する一対の縦フレーム22aとによって形成することができる。そして、ベースフレーム22を、4つのフレームで囲まれる部分の面積が本体部10の開口10hと略同じかやや大きくなるように形成すれば、ベースフレーム22を閉じることによって本体部10の開口10hを閉じることができる。
この開口部開閉手段20の開閉本体部21は、下端部が連結手段24によって、本体部10の開口10h下端近傍に揺動可能に連結されている。
具体的には、開閉本体部21は、ベースフレーム22の下フレーム22bと、本体部10の開口10hの下端近傍に位置する下フレーム13との間に設けられた連結手段21によって開閉本体部21のベースフレーム22の下フレーム22bを支点として垂直方向に揺動可能に設けられている(図1参照)。つまり、開閉本体部21は、下フレーム22bを支点として上フレーム22cを垂直方向に揺動させることによって、開閉本体部21を開閉することができるのである(図1参照)。言い換えれば、かかる開閉本体部21は、本体部10の開口10hを開いたときに本体部10の内部と外部とを連通した状態となる開位置(図1(A)の状態の位置)と、本体部10の開口10hを覆う閉位置(図1(B)の状態の位置)との間で揺動可能となるように本体部10に取り付けられているのである。
なお、開口部開閉手段20の開閉本体部21は、上述したように開閉本体部21の下フレーム22bを支点として垂直方向に揺動させてもよいし、その逆に、開閉本体部21の上フレーム22cを支点として垂直方向に揺動させてもよい。つまり、開閉本体部21の上フレーム22cと本体部10の開口10hの上端近傍に位置する上フレーム12とを連結して開閉本体部21の上フレーム22cを支点として下フレーム22bを垂直方向に揺動させてもよい。また、開閉本体部21の縦フレーム22aと、本体部10の開口10hの左右いずれかに位置する縦フレーム14との間に連結手段21を設けた構造としてもよい。この場合、開閉本体部21をドアのように、ベースフレーム22の縦フレーム22aを支点として水平方向に揺動させることができる。
連結手段24は、開口部開閉手段20の開閉本体部21を本体部10に対して揺動可能に連結する機能を有する部材であれば、その構造はとくに限定されない。
例えば、連結手段24として、開閉本体部21の下フレーム22bと本体部10の開口10hの下端近傍に位置する下フレーム13との間に設けられたヒンジや丁番のほか、両者を連結する紐状の部材などを採用することができる。
また、図1に示すように、上記のごとき構造を有する開口部開閉手段20の開閉本体部21を垂直方向に揺動させる方法について説明する。
開閉本体部21は、下フレーム22bを支点として上フレーム22cを垂直方向に揺動させることができれば、その可動機構はとくに、限定されない。例えば、図1に示すように、開閉本体部21の上フレーム22cに連結された可動ロープ25によって開閉本体部21を揺動せることができる。
図1および図2に示すように、この可動ロープ25は、長さを調整することができるように基端が開口部開閉手段20の開閉本体部21の上端部に連結されている。また、可動ロープ25は、先端が本体部10の開口10h上端縁近傍に設けられたリング状の誘導部材27を通過させた状態で本体部10の上部近傍に配置されている。
このため、開閉本体部25が開位置の状態に配置されていた場合、可動ロープ22の先端を引けば、開閉本体部21の上フレーム22cを垂直方向に揺動させることができる。そして、開閉本体部21の上フレーム22cが本体部10の開口10h上端縁近傍に当接する位置まで可動ロープ25を引っ張れば、開閉本体部21を閉位置まで揺動させることができる。かかる閉位置まで開閉本体部21を揺動させた状態において、可動ロープ25を所定に箇所に係合すれば、開口部開閉手段20の開閉本体部21によって本体部10の開口10hが塞がれた状態を維持することができる。
また、図1および図2に示すように、開閉本体部21には、上フレーム22c近傍に錘Wを設けてもよい。可動ロープ25を緩めるだけで、錘Wの重力によって閉位置に配置していた開閉本体部21を開位置までほぼ自動で移動させることができる。
また、図1(A)および図2に示すように、開口部開閉手段20の開閉本体部21の縦フレーム22aと本体部10の縦フレーム14の間には、両者間を連結する連結シート26を設けてもよい。連結シート26を設けた場合、図1(A)、図2、および図3(A)に示すように、開閉本体部21を開位置に配置した状態において、連結シート26によって形成された側壁を有する誘導路(図2では、一対の連結シート26と開閉本体部20のシート部材23とによって囲まれた領域)を形成することができる。言い換えれば、バケット状の誘導路を形成することができるのである。
すると、図2に示すように、本体部10の開口10h近傍まで移動させたシラスが開口10h側方へ移動するのを連結シート26で抑制できるので、シラスを本体部10の収容空間1h内に向かって誘導しやすくなる。しかも、連結シート26によって、開閉本体部21と本体部10の開口10hの縦フレーム14、22a間に隙間が形成されない構造とすることができるので、本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスが外部へ逃げるのを確実に防止できる。
なお、開口部開閉手段20の開閉本体部21は、上述したようにベースフレーム22を有する構成とすれば本体部10の開口10hを開閉しやすくなるが、ベースフレーム22を有さない構造としてもよい。つまり、開口部開閉手段20の開閉本体部21が網状のシート部材23だけで形成された構造のものを採用してもよい。この場合、開閉本体部21が柔軟性を有するシー状部材23で形成されているので、開閉本体部21を折り畳むだけで、開閉本体部21を開位置に配置することができる。しかも、ベースフレーム22を有しない分、軽量化することもできる。
また、開口部開閉手段20は、上述したようにチャック方式(ファスナ方式)の構造を有するものを採用してもよい。具体的には、この開口部開閉手段20は、一対の柔軟性を有するシート部材(例えば、網状シート)で形成されており、この一対網状シートの対向する両端間がファスナによって開閉可能に形成されたものを採用することができる。このファスナ方式の構造を有する開口部開閉手段20を用いた場合、ファスナの可動部を移動するだけで、本体部10の開口10hを開閉することができるという利点がある。なお、ファスナ方式の構造を有する開口部開閉手段20のファスナによる開閉方向はとくに限定されない。例えば、ファスナの可動部を垂直方向に移動させてもよし、水平方向に移動させて開閉してもよい。ファスナの可動部を垂直方向に移動させた場合、重力を利用することができるのでファスナによる開閉が行いやすくなる。
(照明手段30)
図1および図3に示すように、魚類捕獲装置1の本体部10の上部には、上述した照明手段30が設けられている。
この照明手段30は、本体部10内の収容空間1hに光を照射することができる機能を有するものであれば、その構造などはとくに限定されない。
例えば、照明手段30は、収容空間1内の内壁面に光を照射することができる照明部31と、この照明部31と電気的に接続されており、照明部31に電気を供給する電源部32と、を備えた構造を採用することができる。そして、この照明部31には、電源部32から供給された電力によって光を放射する光源が設けられている。
照明部31の光源としては、光を放射する機能を有するものであれば、とくに限定されない。例えば、LEDや電球、有機EL、蛍光灯など、一般に市販されているものを採用することができる。なお、この照明部31の光源から放射される光の色は、白色、青色、緑色など、一般に市販されているものを採用することができるが、対象魚類が好む色を用いれば、捕獲した対象魚類の行動をより制御しやすくなるので好ましい。例えば、対象魚類がシラスの場合、白色、緑色の光を使用することが有効であると考えられる。
照明部31の光源から放射される光の強さは、とくに限定されない。シラスに本体部10の収容空間1h内の内壁面を認識(つまり視認)させることができる程度の光強度であればよい。具体的には、夜間において、照明部31を作動させた際に水深3〜5m程度の深さに位置する収容空間1hの内壁面をシラスが視認できる程度の光強度が好ましい。例えば、魚類捕獲装置1を設置する海域の透明度が3m〜5m程度の場合、照明部31の光源として3〜10W(ワット)の光強度を有するLEDを採用すれば、海面下3〜5m程度の収容空間1hの内壁面をシラスが視認できるような状態とすることができる。
この程度の光強度であれば、照明部31から放射する光の強さは、魚類を集める際に用いられる集魚灯などの光源から放射される光に比べて弱くなる。すると、照明部31から放射される光によってシラスが興奮状態にならない。言い換えれば、照明部31から放射する光によって、本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスを落ち着かせることができるという利点がある。
とくに、非常に強い光(光強度が数百ワットの光)を使用する集魚灯を用いて、本体部10の収容空間1h内までシラスを誘導して捕獲する場合には、上記照明部31から放射する光の強さを上述したような光強度とすることが望ましい。この場合には、本体部10の収容空間1h内に集魚灯を移動させたのち、集魚灯の消灯と同時または集魚灯の消灯よりも早く照明部31を作動させる。すると、本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスの損傷を防ぐことができる。
以下、その理由を説明する。
なお、本明細書中の光の強さとは、光源が消費する単位時間当たりのエネルギー量(ワット(W)で示す。
対象魚類とする天然のシラスは、本体部10から離れた沖合の海域に昼間は群れをつくり、夜間は分散して存在している。そこで、このように広い領域にいるシラスを所定の箇所(例えば、集魚灯)に集めるために、対象魚類の性質が利用される。具体的には、対象魚類であるシラスは、光に向かって集まるという性質(つまり走光性)を有しており、かかるシラスがいる領域(または空間)に照射される光が強ければ強いほど、遠くから集まる性質を有する。このため、シラスを本体部10から離れた沖合などで集める場合、数百W程度の非常に強い光を放射することができるハロゲンランプを集魚灯として使用する。すると、船舶から遠くの領域にいるシラスをかかる集魚灯に集めることができる。
一方、走光性を有するシラスは、強い光を感知した状態がある程度続くと、集魚灯に集まったシラスは興奮状態となり、光から離れようとしない行動をとるようになる。このような興奮状態となったシラスは、集魚灯の移動に追従させやすくなる。このため、沖合から本体部10の収容空間1h内まで集魚灯を移動すれば、集魚灯の移動に追従して対象魚類も本体部10の収容空間1h内に移動させることができる。
しかし、この方法で本体部10の収容空間1h内に移動させたシラス(つまり本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラス)は、興奮状態にある。このため、本体部10の収容空間1h内のほとんどのシラスが集魚灯の光から離れようとしない行動をとる。つまり、本体部10の収容空間1h内のシラスが照明手段30の照明部31として利用した集魚灯の近くに集まろうとする。かかる状態が長時間続くと、密集により固体同士が過剰に接触して死亡したり、速い速度での遊泳により不必要に体力を消耗して衰弱死したりするなどの現象が発生する(以下、興奮現象という)。
かかる興奮現象を回避するためには、本体部10の収容空間1h内にシラスを移動させたのち、集魚灯を消灯すればよいが、興奮状態を誘発している集魚灯を突然消灯した場合、対象魚類は無秩序な方向に遊泳する行動(いわゆる発散)をとる。このとき収容空間1h内には光が照射されていない状態(以下、非照射状態という)となっているので、対象魚類は収容空間1hの内壁面を認識できない状況にある。このため、発散しようとする対象魚類が、収容空間1hの内壁面に衝突や接触して死亡するといった現象(以下、発散現象という)が発生する。
しかしながら、集魚灯の消灯と同時かやや早めに照明手段30の照明部31を作動させておけば、本体部10収容空間1h内に光が照射されない状態が生じるのを防ぐことができる。つまり、光の強度は変化するものの、本体部10の収容空間1h内や本体部10の収容空間1h内のシラスに光が照射されることを連続させることできるので、非照照射状態に起因するシラスの発散現象を防止することができる。
しかも、照明手段30の照明部31の光源から放射される光は、対象魚類が上述したような興奮状態とならない程度の光強度となるように調整されている。かかる光強度の光であれば、照明部31の光源から放射される光にシラスは誘引されるが、シラスは興奮して遊泳する状態となることはない。このため、シラスは、照明部31の光源近傍(つまり収容空間1hの上方)に集群し、かつ、かかる光源から放射される光を略中心としてゆっくりと回転しながら本体部10の収容空間1h内を遊泳する状態となる。
また、照明手段30の照明部31の光源から放射される光は、強い光ではないが、上述したように水深3m〜5m程度の深さまで到達するように調整されている。水深3m〜5m程度の深さまで到達した光は、その一部が収容空間1hの内壁面で反射されて、収容空間1h内に向かって反射する反射光となる。つまり、捕獲したシラスのいる領域に反射光が照射される。すると、本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスに収容空間1hの内壁面を認識させることができるから、捕獲したシラスが遊泳中に収容空間1hの内壁面に衝突したり接触したりして死亡する現象(いわゆる減耗)を抑制することができる。
例えば、1辺が約1500mm〜2000mm程度の大きさの略立方体形状となるように本体部10を形成した場合であれば、収容空間1h内に捕獲した全ての固体に収容空間1hの内壁面を認識させることができる。すると、捕獲したシラスを収容空間1hの内壁面からある程度の距離を維持した状態で遊泳させることができる。
以上をまとめると、照明手段30の照明部31の光源から、上述したような適切な強さの光を照射するようにしておけば、集魚灯により本体部10の収容空間1h内に対象魚類を移動させて捕獲しても、捕獲した対象魚類の減耗を抑制することができる。
つまり、照明手段30の照明部31の光源から本体部10の収容空間1h内に向かって適切な強さの光を照射することによって、(1)集魚灯により興奮状態にあった対象魚類を落ち着かせることができ、(2)対象魚類を照明部31の光源に集群させることができ、(3)対象魚類に収容空間1hの内壁面を認識させることができる。したがって、捕獲したシラスなどの対象魚類の減耗を抑制することができるので、高い生存率で捕獲した対象魚類を維持させることができる。
しかも、適切なタイミングで照明手段30の照明部31を作動させることによって、対象魚類の発散現象を防止することができる。
なお、照明手段30の照明部31を作動させる期間は、捕獲した対象魚類が落ち着きを取り戻し、捕獲した対象魚類に本体部10の収容空間1hの内壁面を認識させることができる期間であれば、とくに限定されない。例えば、対象魚類をシラスとした場合、捕獲してから一晩から数日間、本体部10の周囲が暗くなると照明手段30の照明部31を作動すれば、上述した効果を得ることができる。ただし、捕獲した対象魚類を飼育している期間中、本体部10の周囲が暗くなると照明手段30の照明部31を作動するようにしてもよいのは、言うまでもない。
また、照明手段30は、照明部31の光源から放射される光を制御する制御手段を備えていてもよい。
照明部31の光源としてLEDを採用した場合、制御手段によって、上述した光の色を調整したり、光の明るさを調整したり、光の強度の調整することが可能となる。具体的には、制御手段は、LED素子が発光する光が所望の色となるように光の色を調整する機能(色調機能)や、LED素子が発光する光が所望の明るさ(照度)となるように光の明るさ(照度)を調整する機能(調光機能)や、光の強さを調整する機能(強度調整機能)を有するものを採用することができる。この場合、制御手段を調整するだけで、照明手段30の照明部31の光源から放射される光を、対象魚類が好む色の光や明るさに調整することができるほか、対象魚類を落ちつかせる強さの光に調整することができる。しかも、対象魚類の成長等に応じて照射する光を調整することができるので、対象魚類の飼育をより適切に行うことが可能となる。
とくに、照明部31は、水中で光を放射することができる機能を有するものが好ましい。この場合、水面よりも上方から光を放射する場合に比べて、放射した光が水面によって反射されないので、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内の内壁面を効率よく照らしだすことができる。すると、捕獲したシラスに対して収容空間1hの内壁面をより認識させやすくなる。したがって、捕獲したシラスが収容空間1hの内壁に激突するのをさらに抑制でき、シラスの減耗率をさらに抑制することができる。
なお、電源部32は、照明部31と電気的に接続したときに照明部31に電力を供給する機能を備えたものであれば、とくに限定されない。例えば、電源部32として、照明部31に電力を供給することができる電池を備えたものや、電池が太陽発電装置に電気的に接続されたものや、商用電源などの外部電源を利用したものを採用することができる。また、この電池は、照明部31に電力を供給する機能を有するものであれば、とくに限定されない。例えば、かかる電池として、乾電池などの一次電池や充電可能な二次電池などを採用することができる。
また、照明手段30は、照明部31から放射される光を制御する制御手段を備えていてもよい。
例えば、照明部31の光源としてLEDを用いた場合、この制御手段は、LED素子が発光する光が所望の色となるように光の色を調整する機能(色調機能)や、LED素子が発光する光が所望の明るさ(照度)となるように光の明るさ(照度)を調整する機能(調光機能)を有するものを採用することができる。この場合、制御手段を調整するだけで、照明部31から放射される光を対象魚類が好む色の光や明るさにすることができる。しかも、対象魚類の成長等に応じて照射する光を調整することができるので、対象魚類の飼育をより適切に行うことが可能となる。
(捕獲方法の説明)
以上のごとき構造を有する魚類捕獲装置1を用いて、以下に示す方法により天然のシラスを活きたまま捕獲する場合を説明する。
まず、図3(A)に示すように、魚類捕獲装置1の本体部10の開口部開閉手段20の開閉本体部21を作動させて本体部10の開口10hを解放させた状態(開閉本体部21を開位置に設置した状態)で、夜の海の中に魚類捕獲装置1を設置する。つまり、外部の海と本体部10の収容空間1h内とを連通させて、収容空間1h内に海水を収容する。
このとき、本体部10の開口10hの上端縁が海面よりも上方に位置するように、本体部10を配設するのが好ましい。なぜなら、シラスは、光を利用した集魚灯で集魚させた場合、海面付近に群れる性質を有する。このため、シラスを収容空間1h内へ誘導する際の動線上にシラスの遊泳の干渉となるような物体(例えば、開口10hの上端縁)がないほうがよりスムースにシラスを収容空間1h内へ誘導することができるからである。
なお、魚類捕獲装置1の本体部10を設置する場所は、とくに限定されないが、浅瀬のほうが好ましい。なぜなら、シラスは、上述したように走光性を有する魚類であり、このような走光性を有する魚類は、一旦、集魚灯に集魚させれば、かかる集魚状態をある程度維持するという性質も有している。このため、沖で集魚させたシラスを浅瀬に設置した魚類捕獲装置1近傍まで移動させれば、海面と海底の距離が沖合に比べて小さくなるので集魚させたシラスの群れの密度を沖合に比べてより濃くすることができる。すると、密集させた状態のシラスを本体部10の収容空間1h内に誘導させることができるので、シラスの捕獲を効率よく行うことができるからである。
つぎに、魚類捕獲装置1の本体部10から離間した位置にいるシラスの群れを本体部10の近傍まで移動させる。
図3(A)に示すように、魚類捕獲装置1の本体部10から離間(つまり、離れた沖合)した位置で発見したシラスの群れが存在する海面に向かって集魚灯を点灯する。そして、集魚灯の光がとどく範囲の海域において、海面近くまでシラスの群れが浮上してくるのを待つ。シラスの群れが海面近くまで浮上してくると、集魚灯を点灯させたまま魚類捕獲装置1の本体部10近傍までゆっくりと集魚灯を移動させる。そして、このままの状態、つまり集魚灯によって海面に向かって光を照射した状態のまま、集魚灯を本体部10の収容空間1h内に移動させる。このとき、照明手段30の照明部31の光源を点灯した状態にしておく。
以上のごとき方法とすれば、沖合にいる天然の走光性を有するシラスを類捕獲装置1の本体部10の開口10h近傍にまで移動させたのち移動させたのち、かかるシラスの群れをそのまま本体部10の収容空間1h内に誘導させることができる。
ついで、シラスの群れを本体部10の収容空間1h内に移動させた状態において、外部からシラスを本体部10の収容空間1h内に誘導した誘導口である類捕獲装置1の本体部10の開口10hを、開口部開閉手段20によって閉じる。
すると、類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に誘導した天然のシラス(シラスの群れ)を活かしたまま捕獲することができる。つまり、網などによる接触や衝撃を全く与えることなく天然のシラス(シラスの群れ)を捕獲することができるのである。
また、開口部開閉手段20によって類捕獲装置1の本体部10の開口10hを閉じた状態において、本体部10の収容空間1h内まで移動させた集魚灯を消灯する。つまり、本体部10は、照明手段30の照明部31から収容空間1h内に向かって照射される光だけで本体部10の収容空間1h内が照らされている状態となる。すると、上述した興奮現象および発散現象を防止することができ、かつ捕獲したシラスが遊泳中に収容空間1hの内壁面に激突して死亡したりするのを抑制できる。つまり、捕獲したシラスの減耗を抑制することができるのである。したがって、天然のシラスを安定的(つまり高い生存率)に捕獲することができるのである。
とくに、照明手段30が、上述したように水中でも照明機能を有するものとすれば、本体部10の収容空間1h内の内壁面をより効率的に照射する(つまり照らしだす)ことができる。この場合、捕獲したシラスに対して収容空間1hの内壁面をよりはっきりと認識させることができるから、減耗率をより低減されることができるという利点がある。
なお、図1に示すように、魚類捕獲装置1の本体部10には、本体部10の浮力を調整する浮力調整手段40を設けてもよい。この浮力調整手段40は、浮力を有するものであれば、とくに限定されない。例えば、プラスチック製や発泡スチロール製のフロート部材を採用することができる。この場合、本体部10よりも深い水深の場所でも本体部10を使用することができるので、捕獲エリアの自由度を向上させることができる。
また、浮力調整手段40によって、上述したように、シラスが遊泳する水深と本体部10の開口との相対的な位置調整を行うことができる。すると、シラスをよりスムースに本体部10の外部から開口10hを通して収容空間1h内へ誘導させることができる。
つぎに、本発明の魚類捕獲装置を所望の場所(例えば、養殖用生簀)まで海上を曳航する際に使用される魚類捕獲装置用運搬船を説明する。
(魚類捕獲装置用運搬船2)
本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船は、船尾に形成された開口から船体内に形成された収容空間内に向かって、本発明の魚類捕獲装置を収容することができるように形成された運搬船であり、かかる機能を有するものであれば、その形状などはとくに限定されない。
例えば、図4に示すように、本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2(以下、単に魚類捕獲装置用運搬船2という)は、船首部3aと、胴体部3bと、から形成することができる。
魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bには、内部に上述した魚類捕獲装置1(以下、単に魚類捕獲装置1という)を収容することができる中空な空間2h(以下、船内空間2hという)が形成されている。そして、胴体部3bの背面側の面、つまり、船尾側に相当する面には、かかる船内空間2hと外部とを連通する開口3hが形成されている。この開口3hは、魚類捕獲装置1を船内空間2hに搬入する際の搬入口として使用されるものである。以下、この開口3hを搬入口3hという。
魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bは、船内空間2hに魚類捕獲装置1を収容することができれば、大きさや形状はとくに限定されない。
例えば、図4に示すように、魚類捕獲装置1と相似形であり、やや大きくなるように形成することができる。この場合、魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの船内空間2h内に魚類捕獲装置1を収容した状態において、魚類捕獲装置1の本体部10の外壁面と胴体部3bの船内空間2hの内壁面との間に発泡スチロール製の干渉部材等を設ければ、魚類捕獲装置1の移動を制御しやすくなる。また、かかる状態において、魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの外壁から魚類捕獲装置1の本体部10までの距離を短くできるので、係留等の作業性が行いやすくなる。
また、魚類捕獲装置用運搬船2を海上に浮かべて、胴体部3bの船内空間2h内に海水を収容した状態とする。このとき、胴体部3bの船内空間2h内の内底面と船内空間2h内に収容した海水の海水面(この海水面は、魚類捕獲装置用運搬船2の喫水に相当する)との距離が、船内空間2h内に収容する際の魚類捕獲装置1の本体部10の底面と収容空間1h内に収容した海水の海水面(この海水面は、魚類捕獲装置1の喫水に相当する)の距離と、ほぼ同じかやや長くなるように形成することができる。
つまり、魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの船内空間2h内の水深が、魚類捕獲装置1の本体部10の底面から魚類捕獲装置1の喫水までの距離よりも深くなるように形成されている。この場合、魚類捕獲装置1の本体部10をほぼそのままの喫水レベルの状態で、魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの搬入口3hから船首部3a方向に向かって海上を水平移動させるだけで、魚類捕獲装置1を胴体部3bの船内空間2h内に収容させることができる。言い換えれば、魚類捕獲装置1を船内空間2h内に収容した状態において、かかる魚類捕獲装置1の外壁面と船内空間2hの内壁面との間に隙間を形成し得るように形成されているのである。
なお、魚類捕獲装置1を胴体部3bの船内空間2h内に収容する際、魚類捕獲装置1の本体部10の開口10hが船尾方向を向くように収容するが、その理由は、後述する。
図4(A)に示すように、この魚類捕獲装置用運搬船2の船首部3aは、横断面が略三角形状となるように形成することができる。つまり、船首部3aの先端がとがったような形状となるように形成することができる。この場合、魚類捕獲装置用運搬船2を曳航する際に波などの影響を受けにくくなるので、曳航作業が行いやすくなる。
なお、図4に示すように、魚類捕獲装置用運搬船2には、船体に浮力を発生させるための浮体部材4が設けられている。この浮体部材4は、浮力を発生させることができる部材であれば、とくに限定されず、市販の発泡スチロール製やプラスチック製のものを採用することができる。
以上のごとき構造とすれば、本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの船内空間2h内に本実施形態の魚類捕獲装置1を海水とともに収容した状態で、所望の場所(例えば、本実施形態の魚類捕獲装置1の収容空間1hよりも広い空間を有する海上養殖生簀)まで本実施形態の魚類捕獲装置1を海上移送することができる。
しかも、本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2の胴体部3bの船内空間2h内に、本実施形態の魚類捕獲装置1の本体部10をほぼすっぽりと収容することができるので、魚類捕獲装置用運搬船2の移動に伴って生じる水流の影響を防止することができる。
具体的には、魚類捕獲装置用運搬船2を移動する際、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間内における、水面の上下変動や、魚類捕獲装置用運搬船2の進行方向と逆の水流などが発生するのを防止することができるのである。言い換えれば、魚類捕獲装置1の海上移送において、移送の前後を通して魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内を安定した状態とすることができるのである。このため、魚類捕獲装置1の海上移送に伴う、捕獲した対象魚類の減耗率を低減することができる。とくに、捕獲した魚類が遊泳力の弱い魚類(例えば、イワシ類の稚魚)の場合、移送に伴う減耗率をより低減させることができる。
なお、本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2を使用して本実施形態の魚類捕獲装置1を海上養殖生簀まで海上移送した際の取扱いについて、以下、簡単に説明する。
例えば、図5に示すように、海上養殖生簀Cは、一辺が約5m四方の浮体フレームに、水深が5〜7mとなるように飼育用の網が張られたものを採用することができる。
図5に示すように、この海上養殖生簀Cの浮体フレームCFの一部には、切り欠き状の係留部Chが形成されている。この係留部Chは、横幅が本実施形態の魚類捕獲装置1の本体部10の横幅と略同じかやや大きくなるように形成されている(図6(B)参照)。また、かかる係留部Chの内方に位置する飼育用の網は、係留部Chにおいて、開閉可能となるように形成されている。
以上のごとき構造の海上養殖生簀Cであれば、図6に示すように、上述した係留部Chに対して、本実施形態の魚類捕獲装置用運搬船2を船尾側から係留する。魚類捕獲装置用運搬船2の船内空間2h内に収容した本実施形態の魚類捕獲装置1は、本体部10の開口10hが船尾方向を向くように収容されている。かかる状態で、魚類捕獲装置1の本体部10の開口10hと、海上養殖生簀Cの係留部Chの内方に位置する飼育用の網をそれぞれ解放すれば、両領域(魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内と海上養殖生簀Cの飼育用の網で囲まれた飼育領域)を連通した状態とすることができる。すると、両者を連通した状態とすることによって、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に捕獲されたシラスを、海上養殖生簀Cの飼育用の網で囲まれた飼育領域に向かって移動させることができる。つまり、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスに全く触れることなく、海上養殖生簀内に捕獲したシラスを移動させることができるのである。
なお、魚類捕獲装置用運搬船2は、上述したように、船内空間2h内に本実施形態の魚類捕獲装置1を収容した状態で海上養殖生簀Cの係留部Chに係留してもよいし、図6(B)に示すように、魚類捕獲装置1だけを係留部Chに係留した状態において、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内と海上養殖生簀Cの飼育領域内とを連通するようにしてもよいのは、言うまでもない。
また、魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスを海上養殖生簀内Cに移動させる方法は、上記方法に限定されない。
例えば、海上養殖生簀C内に魚類捕獲装置1の本体部10を入れることができるように、海上養殖生簀Cの浮体フレームの一部を完全に分断した係留部を形成してもよい。この場合も、同様に魚類捕獲装置1の本体部10の収容空間1h内に捕獲したシラスに全く触れることなく、海上養殖生簀内に捕獲したシラスを移動させることができる。
以下では、本実施形態の魚類捕獲装置(以下、単に本装置という)によって、シラスを活きたまま捕獲することができることを確認した。
実験では、図7に示すように、本装置の本体部は、一辺が約170cmの立方体に形成した立方体のフレームに網目が約3mmのシートを側壁および底壁に張ったもので、その一の面に開口を有するものを使用した。そして、図7(A)および(B)に示すように、本装置の本体部に形成された開口は、本体部の側壁と底壁に張ったシートをそれぞれ延設したものを連結したシートを用いて開閉可能となるように形成した。図7(A)および(B)が本装置の本体部の開口を開いた状態を示した図であり、図8が本体部の開口を閉じた状態(図8では、紙面奥側に位置する面が本装置の本体部の開口面を示している)をそれぞれ示した図である。
なお、本装置の本体部の開口を開閉するために用いたシートが、本明細書の開口部開閉手段の開閉本体部を構成するシート部材に本明細書の連結シートを連結したものに相当する。
実験に用いた、照明手段の照明部の光源、電源は、以下のとおりである。
光源:LED電球(HAYALIGHT社製;型番 DC12/24V8W)
電源:軽自動車用バッテリ(HITACHI社製;型番 28B17R)
光の強さ:8W
図8の(A)は、昼の海に本装置を設置した状態を示した図である。
図8の(B)は、夜の海に本装置を設置した状態において、照明手段の光源を作動させた状態を示した図である。
(結果)
実験結果を図9に示す。
図9に示すように、本装置の本体部の収容空間内に大量(約30〜50kg、約30万匹〜50万匹)のシラスやカエリを活きたまま捕獲することができたことを確認した。
また、実験では、捕獲したシラスを、本装置の本体部の収容空間内で1日間、飼育した。その結果、減耗率は、実験条件によって異なるものの約5〜10%であった。
なお、対照実験として、以下の実験を行った。
照明手段を作動させない条件下、本装置の本体部の収容空間内に約80mm〜100mmのカタクチイワシを20匹入れて3日間観察を行った。かかる対照実験は、3回行った。
その結果、いずれの実験でも2日目には、減耗率(つまり死亡率)が95%となった。また、死亡原因したカタクチイワシのほとんどが、鱗がない状態であった。
以上の結果より、本発明の装置を使用することによって、従来、活きたままのシラスを群れで捕獲することは不可能と考えられていた天然のシラスを、活きたまま、しかも大量に捕獲することができることが確認できた。
したがって、本発明の装置を使用すれば、シラスと同様に走光性を有する魚類を活きたまま、捕獲することができることが確認できた。
本発明の魚類捕獲装置は、カタクチイワシやマイワシなどの走光性を有する魚類の稚魚や幼魚を活きたまま捕獲するための装置として適している。
1 魚類捕獲装置
1h 捕獲した対象魚類を収容するための収容空間
10 本体部
10h 本体部の開口
20 開口部開閉手段
30 照明手段
31 照明部
32 電源部

Claims (8)

  1. 海に設置して対象魚類を捕獲する装置であって、
    内部に中空な収容空間を有し、該収容空間と外部とを連通する開口が側壁に形成された本体部を備えており、
    該本体部には、
    前記開口を開閉し得る開口部開閉手段が設けられており、
    該本体部には、
    前記収容空間の内壁面を照射し得る照明手段が設けられている
    ことを特徴とする魚類捕獲装置。
  2. 前記対象魚類が、イワシ類の稚魚および/または幼魚である
    ことを特徴とする請求項1記載の魚類捕獲装置。
  3. 前記照明手段は、
    水中で光を放射する機能を備えている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の魚類捕獲装置。
  4. 前記本体部の側壁が、
    通液性を有する部材で形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の魚類捕獲装置。
  5. 前記本体部には、
    海に設置した状態において、該本体部の浮力を調整する浮力調整手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の魚類捕獲装置。
  6. 請求項1〜5記載の魚類捕獲装置を所望の場所まで曳航する際に使用される運搬船であって、
    該運搬船には、
    前記魚類捕獲装置を収容することができる大きさの中空な船内空間を備えており、
    該船内空間に前記魚類捕獲装置を入れるための搬入口が船尾に形成されており、
    前記魚類捕獲装置を前記船内空間に収容した状態において、
    該魚類捕獲装置の外壁面と前記船内空間の内壁面との間に隙間を形成し得るように形成されている
    ことを特徴とする魚類捕獲装置用運搬船。
  7. 海に設置した装置に対象魚類を誘導して捕獲する方法であって、
    集魚灯を前記装置から離間した位置から接近した位置まで移動させ、
    該集魚灯を点灯させたまま前記装置内の収容空間内に移動させ、
    前記装置の本体部に形成された開口を開口部開閉手段によって閉じる
    ことを特徴とする魚類捕獲方法。
  8. 対象魚類を前記収容空間内に収容した状態において、
    該収容空間内の水中で光を放射させる
    ことを特徴とする請求項7記載の魚類捕獲方法。
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