JP2016183982A - 駆動回路、集積回路装置及びセンサー装置 - Google Patents

駆動回路、集積回路装置及びセンサー装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電源電圧の変動や抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することが可能な駆動回路、集積回路装置及びセンサー装置を提供すること。【解決手段】判定回路260は、センサー素子4が出力する駆動電流がI/V変換回路200により電圧に変換された信号に基づいて得られる判定対象信号LPFOの電圧と判定電圧との大小関係を判定する。駆動信号生成回路230は、判定回路260の判定結果に基づいて、判定対象信号LPFOの電圧が判定電圧VR2を超えるまではセンサー素子の自励発振を補助する発振器280の発振信号に基づいて駆動信号を生成し、判定対象信号LPFOの電圧が判定電圧VR2を超えた後はI/V変換回路200により電圧に変換された信号に基づいて駆動信号を生成する。判定電圧VR2は、1又は複数の抵抗に定電流を流すことにより得られる電圧と基準電圧とを加算又は減算して得られる電圧である。【選択図】図4

Description

本発明は、駆動回路、集積回路装置及びセンサー装置に関する。
今日、デジタルカメラ、ナビゲーション装置、携帯電話など、様々な電子機器にジャイロセンサーが搭載されている。近年、ジャイロセンサーの小型化と高い検出精度が要求されるようになり、これらの要求を満たすジャイロセンサーとして、例えば、水晶振動子の共振現象を利用した振動ジャイロセンサーが広く使用されている。
特開2007−292680号公報
ところで、振動ジャイロセンサーを用いたシステムでは、消費電力を削減するために、角速度データが必要な場合のみ振動ジャイロセンサーを動作させ、それ以外では振動ジャイロセンサーをパワーダウンすることが多い。パワーダウンを解除して振動ジャイロセンサーを起動しても、水晶振動子が発振を開始して安定発振するまでは適正な検出動作を行うことができないため、水晶振動子が安定発振するまでの起動時間がなるべく短くなるような工夫がされている。水晶振動子が安定発振に達したか否かは、水晶振動子から出力される電流(水晶電流)をI/V変換器で電圧に変換し、その振幅が閾値を超えたか否かを判定することにより行われる。この判定処理は、図15に示すようなシュミット回路(ヒステリシスコンパレーター)を用いて行われる。このシュミット回路では、出力電圧がハイレベル(VDD)からローレベル(VSS)になる判定電圧VR1と出力電圧がローレベル(VSS)からハイレベル(VDD)になる判定電圧VR2は、それぞれ次式(1)及び(2)で計算される。
この式(1)には電源電圧VDDが含まれているため、電源電圧の変動により判定電圧VR1が変動してしまう。そのため、シュミット回路において水晶振動子が安定発振に達したと判定する時間(起動時間)が電源電圧の変動に応じて変動することになる。その結果、シュミット回路において水晶振動子が安定発振に達したと判定する時間(起動時間)が変動することになる。
また、式(1),(2)より、製造ばらつきによって抵抗値R1,R2が設計値に対してずれても、2つの抵抗を同じ素材で構成しておけば抵抗値R1,R2が同じ方向にずれるので相殺され、判定電圧VR1,VR2は変動しない。一方、製造ばらつきによってI/V変換器に含まれる抵抗の抵抗値も設計値からずれるので、シュミット回路の入力信号INの電圧が設計値からずれることになる。つまり、抵抗の製造ばらつきに応じて、判定
電圧VR1,VR2は変動しないのに対して入力信号INは変動するので、シュミット回路において水晶振動子が安定発振に達したと判定する時間(起動時間)がばらつくことになる。
このように、従来の構成では、電源電圧の変動や抵抗値のばらつきに起因して起動時間が変動するため、起動時間のMax値が大きくなり、角速度データを用いた処理を開始する時間が遅くなるという問題が生じていた。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、電源電圧の変動や抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することが可能な駆動回路、集積回路装置及びセンサー装置を提供することができる。
(1)本発明は、所与の物理量を検出するセンサー素子を駆動する駆動信号を生成する駆動回路であって、前記センサー素子が出力する駆動電流を電圧に変換する電流電圧変換部と、前記電流電圧変換部により電圧に変換された信号に基づいて得られる判定対象信号の電圧と判定電圧との大小関係を判定する判定部と、前記センサー素子の自励発振を補助する発振信号を生成する発振器と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記判定対象信号の電圧が前記判定電圧を超えるまでは前記発振信号に基づいて前記駆動信号を生成し、前記判定対象信号の電圧が前記判定電圧を超えた後は前記電流電圧変換部により電圧に変換された信号に基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を含み、前記判定電圧は、1又は複数の抵抗に定電流を流すことにより得られる電圧と基準電圧とを加算又は減算して得られる電圧である。
本発明によれば、判定部の判定結果に基づいて、センサー素子の駆動電流が所望の電流値を超えるまでは発振器の発振信号に基づいて駆動信号を生成することで、センサー素子が発振を開始してから安定発振するまでの時間(起動時間)を短くすることができる。また、センサー素子の発振が安定した後は、センサー素子の駆動電流を電圧に変換した信号に基づいて駆動信号を生成することでセンサー素子の安定発振を継続させることができる。そして、1又は複数の抵抗に定電流を流すことにより得られる電圧と基準電圧とを加算又は減算して得られる電圧を判定部の判定電圧とすることで、電流電圧変換部の抵抗値の変動を打ち消すことができるので、抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することができる。
また、本発明によれば、判定部の判定電圧は電源電圧に依存しないので、電源電圧の変動に起因する起動時間の変動を低減することができる。
(2)この駆動回路において、前記駆動電流判定部は、前記判定対象信号の電圧が第1の電圧を超えるまでは当該第1の電圧を前記判定電圧とし、前記判定対象信号の電圧が前記第1の電圧を超えた後は第2の電圧を前記判定電圧とするようにしてもよい。
このように判定部がヒステリシスをもって判定することで、判定対象信号に重畳されるノイズの影響によって誤った判定がなされることを防止することができる。
(3)この駆動回路において、前記駆動電流判定部は、前記判定結果に応じて、前記判定電圧として前記第1の電圧と前記第2の電圧のいずれか一方を選択するスイッチ部を含むようにしてもよい。
(4)本発明は、上記のいずれかの駆動回路を含む、集積回路装置である。
(5)本発明は、上記の集積回路装置と、所与の物理量を検出するセンサー素子と、を含む、センサー装置である。
本実施形態のセンサー装置の一例である角速度検出装置の機能ブロック図。 本実施形態の駆動回路の構成例を示す図。 I/V変換回路の構成例を示す図。 本実施形態の基準回路の一部と判定回路の構成例を示す図。 本実施形態の判定回路の入力信号と出力信号の波形の一例を示す図。 シミュレーション対象の駆動回路の構成を示す図。 シミュレーション結果の波形の一例を示す図。 各シミュレーション条件でのシミュレーション結果から計算される駆動電流値の一例を示す図。 比較例の駆動回路の構成を示す図。 比較例のシミュレーション結果から計算される駆動電流値の一例を示す図。 変形例1の基準回路の一部と判定回路の構成例を示す図。 変形例1の判定回路の入力信号と出力信号の波形の一例を示す図。 変形例2の基準回路の一部と判定回路の構成例を示す図。 変形例2の判定回路の入力信号と出力信号の波形の一例を示す図。 従来の判定回路の構成例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.センサー装置の構成
図1は、本実施形態のセンサー装置の一例である角速度検出装置の機能ブロック図である。本実施形態の角速度検出装置1は、センサー素子4と角速度検出用IC(集積回路装置)2を含んで構成されている。
本実施形態のセンサー素子4は、2本のT型の駆動振動腕とともにその間に1本の検出振動腕を有するいわゆるダブルT型の水晶振動片に2つの駆動電極と2つの検出電極が形成され、不図示のパッケージに封止されている。ただし、センサー素子4の振動片は、ダブルT型でなくてもよく、例えば、音叉型やくし歯型であってもよいし、三角柱、四角柱、円柱状等の形状の音片型であってもよい。また、センサー素子4の振動片の材料としては、水晶(SiO)の代わりに、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等の圧電単結晶やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いてもよいし、シリコン半導体を用いてもよい。また、例えば、シリコン半導体の表面の一部に、駆動電極に挟まれた酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)等の圧電薄膜を配置した構造であってもよい。
センサー素子4の2本の駆動振動腕は、駆動信号として交流電圧信号が与えられると、逆圧電効果によって、互いの先端が接近と離間を繰り返す屈曲振動(励振振動)をする。この2本の駆動振動腕の屈曲振動の振幅が等しければ、2本の駆動振動腕は検出振動腕に対して常に線対称な関係で屈曲振動をするので、検出振動腕は振動を起こさない。
この状態で、センサー素子4の励振振動面に垂直な軸を回転軸とする角速度が加わると、2本の駆動振動腕は、屈曲振動の方向と回転軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得
る。その結果、2本の駆動振動腕の屈曲振動の対称性が崩れ、検出振動腕は、バランスを保つように屈曲振動をする。このコリオリ力に伴う検出振動腕の屈曲振動と駆動振動腕の屈曲振動(励振振動)とは位相が90°ずれている。
ただし、実際には、コリオリ力が加わっていなくても2本の駆動振動腕の屈曲振動の振幅がわずかに異なるため、検出振動腕はバランスを保つようにわずかに屈曲振動をする。この屈曲振動は漏れ振動と呼ばれ、駆動信号とは同位相である。そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づく逆位相(位相が180°異なる)の交流電荷が2つの検出電極に発生する。コリオリ力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリ力の大きさ(言い換えれば、センサー素子4に加わる角速度の大きさ)に応じて変化するのに対して、漏れ振動に基づいて発生する交流電荷は、センサー素子4に加わる角速度の大きさに関係せず一定である。
センサー素子4の2つの駆動電極は、それぞれ角速度検出用IC2のDS端子とDG端子に接続されている。また、センサー素子4の2つの検出電極は、それぞれ角速度検出用IC2のS1端子とS2端子に接続されている。
本実施形態の角速度検出用IC2は、電源回路10、駆動回路20、検出回路30、基準回路40、不揮発メモリー50、シリアルインターフェース回路60を含んで構成されている。なお、本実施形態の角速度検出用IC2は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、新たな構成(要素)を追加した構成としてもよい。
電源回路10は、VDD端子,VSS端子からそれぞれ電源電圧(例えば3V)とグランド電圧(0V)が供給され、角速度検出用IC2の内部の電源電圧を生成する。
基準回路40は、電源回路10が生成する電源電圧VDDから基準電圧VREF(アナロググランド電圧やその他の一定電圧)や定電流を生成し、駆動回路20や検出回路30に供給する。
駆動回路20は、センサー素子4を励振振動させるための駆動信号を生成し、DS端子を介してセンサー素子4の一方の駆動電極(第1の駆動電極)に供給する。また、駆動回路20は、センサー素子4の励振振動により他方の駆動電極(第2の駆動電極)に発生する駆動電流(水晶電流)がDG端子を介して入力され、この駆動電流の振幅が一定に保持されるように駆動信号の振幅レベルをフィードバック制御する。また、駆動回路20は、検出回路30に含まれる同期検波回路の参照信号やスイッチトキャパシタフィルター(SCF)のクロック信号を生成する。
検出回路30は、S1端子とS2端子を介して、センサー素子4の2つの検出電極の各々に発生する交流電荷(検出電流)がそれぞれ入力され、同期検波により、これらの交流電荷(検出電流)に含まれる角速度成分のみを検出し、角速度の大きさに応じた電圧レベルの信号(角速度信号)を生成し、VO端子を介して外部に出力する。この角速度信号は、例えば、VO端子に接続された不図示のマイクロコンピューターにおいてA/D変換され、角速度データとして種々の処理に用いられる。なお、本実施形態の角速度検出用IC2にA/D変換器を内蔵し、角速度を表すデジタルデータを、例えばシリアルインターフェース回路60を介して外部に出力するようにしてもよい。
不揮発メモリー50は、駆動回路20や検出回路30に対する各種の調整データを保持し、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)として構成することができる。
シリアルインターフェース回路60は、CLK端子とDATA端子を介して、それぞれクロック信号とシリアルデータ信号による2線論理で不揮発メモリー50に対する調整データの書き込みや読み出しの処理などを行う。なお、不揮発メモリー50にデータを書き込む際は、メモリー素子に保持されているデータを反転させるのに十分なエネルギーを供給するため、VPP端子を介して高電源電圧(例えば15V以上)が供給される。
2.駆動回路の構成
図2は、本実施形態の駆動回路20の構成例を示す図である。図2に示すように、本実施形態における駆動回路20は、I/V変換回路200、ハイパスフィルター210、コンパレーター220、駆動信号生成回路230、全波整流回路240、ローパスフィルター250、判定回路260、カウンター回路270、発振器280、コンパレーター290、スイッチ292,294,296を含んで構成されている。なお、本実施形態の駆動回路20は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、新たな構成(要素)を追加した構成としてもよい。
I/V変換回路200(電流電圧変換部の一例)は、DG端子を介して入力されたセンサー素子4の駆動電流Idrを交流電圧信号に変換する。図3に示すように、本実施形態のI/V変換回路200は、オペアンプ202の反転入力端子(−入力端子)と出力端子の間に抵抗204とコンデンサー206が接続され、オペアンプ202の非反転入力端子(+入力端子)に基準電圧VREF(アナロググランド電圧)が供給される。このI/V変換回路200の出力信号IVOの電圧Vivは、抵抗204の抵抗値をRivとすると、次式(3)で表される。
I/V変換回路200の出力信号は、全波整流回路240によって全波整流される。また、I/V変換回路200の出力信号は、ハイパスフィルター210でオフセットがキャンセルされるとともに位相調整されてコンパレーター220に入力される。
コンパレーター220は、ハイパスフィルター210の出力信号を増幅して2値化信号(方形波電圧信号)を出力する。ただし、本実施形態では、コンパレーター220は、ローレベルのみ出力可能なオープンドレイン出力のコンパレーターである。
駆動信号生成回路230(駆動信号生成部の一例)は、コンパレーター220の出力信号と全波整流回路240の出力信号に基づいて、センサー素子4を発振駆動するための駆動信号を生成する。具体的には、例えば、駆動信号生成回路230は、所望の電圧値VR3と全波整流回路240の出力電圧との差分を積分する積分器(不図示)を含み、この積分器の出力電圧をプルアップ抵抗(不図示)を介してハイレベルとして出力するとともに、コンパレーター220の出力信号をローレベルとして出力する。これにより、駆動信号生成回路230が生成する駆動信号の振幅は、全波整流回路240の出力電圧に応じて変動する。すなわち、全波整流回路240の出力電圧が所望の電圧値VR3よりも高くなれば駆動信号の振幅が減少し、VR3よりも低くなれば駆動信号の振幅が増加する。
この駆動信号は、スイッチ294とDS端子を介してセンサー素子4の第1の駆動電極に供給され、センサー素子4の第2の駆動電極には駆動信号の振幅に応じた駆動電流Idrが発生する。このループにより、全波整流回路240の出力電圧が所望の電圧値VR3に一致するように、従って駆動信号の振幅が一定(駆動電流Idrの電流値が一定)になるようにフィードバック制御がかかる。駆動信号の振幅を一定にすることにより、センサ
ー素子4を極めて安定に発振させることができ、角速度の検出精度を向上させることができる。
コンパレーター290は、ハイパスフィルター210の出力信号を増幅して2値化信号(方形波電圧信号)を出力する。この2値化信号は、検出回路30における同期検波の参照信号SDETとして用いられる。なお、コンパレーター220の出力信号は、ハイレベルが変動するので、このハイレベルが検出回路30の同期検波における論理閾値を越えないようなことがあると不具合が生じるため参照信号として用いず、コンパレーター290を別個に設けている。
また、全波整流回路240の出力信号はローパスフィルター250でローパス処理され、判定回路260において、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧と所定の電圧値が比較される。判定回路260(判定部の一例)は、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧が所定の判定電圧よりも高いか低いかを判定し、例えば、判定電圧よりも低ければハイレベル、高ければローレベルとなる選択信号SWを生成する。
発振器280は、センサー素子4の自励発振を補助する発振信号OSCを生成する発振器であり、その発振周波数はセンサー素子4の共振周波数と一致する。発振器280は、例えば、リングオシレーターやRC発振回路で実現することができる。
スイッチ292は、選択信号SWがハイレベルの時にオンして(閉じて)発振器280の出力信号(発振信号OSC)をコンパレーター220に入力し、選択信号SWがローレベルの時にオフする(開く)。
スイッチ294は、選択信号SWがローレベルの時にオンして(閉じて)駆動信号生成回路230の出力とDS端子とを接続し、選択信号SWがハイレベルの時にオフする(開く)。一方、スイッチ296は、選択信号SWがハイレベルの時にオンして(閉じて)コンパレーター290の出力とDS端子とを接続し、選択信号SWがローレベルの時にオフする(開く)。
これにより、センサー素子4が励振を開始してから駆動電流Idrが所望の電流値に達するまではコンパレーター290の出力信号(発振信号OSCの2値化信号)が選択され、駆動電流Idrが所望の電流値に達した後は駆動信号生成回路230の出力信号(発振器280の出力信号OSCの2値化信号)が選択され、DS端子を介してセンサー素子4の第2の駆動電極に供給される。このように、駆動電流Idrが小さい間は振幅の大きい(エネルギーの大きい)発振信号OSCを駆動信号としてセンサー素子4を駆動することで、センサー素子4が発振を開始してから安定発振するまでの時間(起動時間)を短縮することができる。また、駆動電流Idrが所望の電流値に達した後は駆動信号生成回路が生成する一定振幅の駆動信号を供給することで、センサー素子4の安定発振を継続させることができる。
なお、カウンター回路270は、選択信号SWはハイレベルからローレベルに変化したのをトリガとしてカウントを開始し、センサー素子4が安定発振を開始するのに十分な時間をカウントするとローレベルからハイレベルに変化するSWB信号を生成し、このSWB信号により発振器280の発振が停止する。これにより、発振器280で消費する電流を削減することができる。
ところで、I/V変換回路200に含まれる抵抗204の抵抗値Rivは、製造ばらつきのため、IC毎に設計値に対して±20%程度のばらつきが生じるため、I/V変換回路200における変換率がIC毎にばらつくことになる。これにより、駆動電流Idrが
一定であっても、I/V変換回路200の出力電圧、従ってローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がIC毎にばらつくことになる。そのため、このばらつきをキャンセルしなければ、判定回路260での判定タイミング(SWがハイレベルからローレベルに変化するタイミング)もばらつくことになり、起動時間がIC毎に変動することになってしまう。
そこで、本実施形態では、基準回路40において、抵抗204の抵抗値のばらつきに応じて変動する判定電圧を生成し、判定回路260において、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧をこの判定電圧と比較することで起動時間の変動を抑制する。
図4は、本実施形態の基準回路40の一部と判定回路260の構成を示す図である。また、図5は、判定回路260の入力信号と出力信号の波形図である。
図4に示すように、本実施形態の判定回路260は、オペアンプ262と2つのスイッチ264,266(スイッチ部の一例)を含んで構成されている。
オペアンプ262の反転入力端子(−入力端子)には、ローパスフィルター250の出力信号LPFOが入力される。
スイッチ264は、オペアンプ262の出力信号(選択信号SW)がハイレベルの時にオンして(閉じて)判定電圧VR2をオペアンプ262の非反転入力端子(+入力端子)に入力し、オペアンプ262の出力信号(選択信号SW)がローレベルの時にオフする(開く)。
一方、スイッチ266は、オペアンプ262の出力信号(選択信号SW)SWがローレベルの時にオンして(閉じて)判定電圧VR1をオペアンプ262の非反転入力端子(+入力端子)に入力し、オペアンプ262の出力信号(選択信号SW)がハイレベルの時にオフする(開く)。
すなわち、本実施形態の判定回路260は、ローパスフィルター250の出力信号LPFO(判定対象信号の一例)の電圧がVR2(第1の電圧の一例)を超えるまではVR2を判定電圧とし、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がVR2を超えた後はVR1(第2の電圧の一例)を判定電圧として選択信号SWを生成するシュミット回路として構成されている。このように判定回路260がヒステリシスをもって判定することで、ローパスフィルター250の出力信号LPFOに重畳されるノイズの影響によって誤った判定がなされることを防止することができる。
そして、特に本実施形態では、基準回路40において、電源電圧VDDと基準電圧VREFの間に定電流源400、抵抗410、抵抗420をこの順に直列に接続し、抵抗410と抵抗420に定電流を流すことにより2つの判定電圧VR1及びVR2を生成している。ただし、判定回路260が定電流源400、抵抗410、抵抗420を含み、判定回路260の内部で判定電圧VR1及びVR2を生成するようにしてもよい。
ところで、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧Vlpfは、次式(4)で表される。
また、定電流源400による定電流の電流値をIref、抵抗410の抵抗値をR1、抵抗420の抵抗値をR2とすると、VR1,VR2はそれぞれ次式(5),(6)で表される。
lpf=VR2の時に選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化し、その時の駆動電流Idrは、式(4)と式(6)より、次式(7)で計算される。
一方、Vlpf=VR1の時に選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化し、その時の駆動電流Idrは、式(4)と式(5)より、次式(8)で計算される。
式(7)及び式(8)より、抵抗410と抵抗420を、I/V変換回路200の抵抗204と同じ素材とすることで、抵抗204の抵抗値が大きくなる方向に振れた時は抵抗410と抵抗420の各抵抗値も大きくなり、抵抗204の抵抗値が小さくなる方向に振れた時は抵抗410と抵抗420の各抵抗値も小さくなるので、抵抗値のばらつきを相殺することができる。これにより、選択信号SWがハイレベルからローレベルに、あるいはローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Idrのばらつきを抑制することができる。
また、式(7)及び式(8)には電源電圧VDDが含まれていないので、電源電圧を変えても駆動電流Idrは変わらない。
3.駆動回路のシミュレーション結果
次に、抵抗値、電源電圧値、温度などのシミュレーション条件を変更して行った駆動回路20のシミュレーション結果について説明する。図6は、シミュレーション対象の駆動回路の構成を示す図であり、図7は、所定の1つのシミュレーション条件で行ったシミュレーション結果を示す波形図である。図7の上段は入力信号である駆動電流Idrの振幅を変動させた時の選択信号SWの波形を示しており、下段はローパスフィルター250の出力信号LPFOと2つの判定電圧VR1,VR2の波形を示している。図7に示すように、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がVR2を超える時に選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化し、その後、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がVR1を下回る時に選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化している。
図8(A)は、各シミュレーション条件でのシミュレーション結果から、選択信号SW
がハイレベルからローレベルに変化する時の駆動電流Idrを計算により求めて表示した図であり、図8(B)は、選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Idrを計算により求めて表示した図である。
図8(A)及び図8(B)において、G1は、Typical条件(電源電圧3.0V,温度25℃)での駆動電流Idrの値を示している。G2,G3は、それぞれTypical条件に対して電源電圧を2.7Vと3.6Vに変更した時の駆動電流Idrの値を示している。G4,G5は、それぞれTypical条件に対して温度を−40℃と85℃に変更した時の駆動電流Idrの値を示している。G6,G7は、それぞれTypical条件に対して各抵抗値を75%と125%に変更した時の駆動電流Idrの値を示している。G8,G9は、それぞれTypical条件に対して定電流値Irefを95%と105%に変更した時の駆動電流Idrの値を示している。G10,G11は、それぞれTypical条件に対して基準電圧VREFを99%と101%に変更した時の駆動電流Idrの値を示している。
また、比較のため、判定回路260を従来のシュミット回路で構成した図9に示す駆動回路に対して同様のシミュレーションを行った各シミュレーション結果から選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化する時の駆動電流Idrを計算により求めたものを図10(A)に、選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Idrを計算により求めたものを図10(B)に示す。
図10(A)ではG1〜G7で駆動電流値がかなり変動するのに対して、図8(A)ではG1〜G7で駆動電流値がほぼ一定になっている。つまり、従来のシュミット回路で構成した駆動回路では、電源電圧や温度の変動あるいは抵抗値のばらつきに応じて、選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化する時の駆動電流Idrが変動するのに対して、本実施形態の駆動回路では、電源電圧や温度の変動あるいは抵抗値のばらつきがあっても、選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化する時の駆動電流Idrがほぼ一定である。言い換えると、電源電圧や温度の変動あるいは抵抗値のばらつきに対して、従来のシュミット回路で構成した駆動回路では起動時間が変動するが、本実施形態の駆動回路では起動時間をほぼ一定に保つことができる。
また、図8(A)のG1〜G7と図10(B)のG1〜G7を比較すると、図8(A)の方が駆動電流値の変動が小さい。つまり、本実施形態の駆動回路のほうが、電源電圧や温度の変動あるいは抵抗値のばらつきに対して、選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Idrの変動がより小さいといえる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、判定回路260が、センサー素子4の駆動電流に基づいてセンサー素子4が安定発振しているか否かを判定し、センサー素子4が安定発振するまでは発振器280の発振信号OSCに基づく駆動信号をセンサー素子4に供給することで起動時間を短くすることができる。また、センサー素子4の発振が安定した後は、センサー素子4の駆動電流に応じて振幅が調整された駆動信号をセンサー素子4に供給することでセンサー素子4の安定発振を継続させることができる。
そして、抵抗410,420に定電流Irefを流すことで得られる判定電圧VR1,VR2を用いることで、判定回路260の判定処理において、I/V変換回路200の抵抗204の抵抗値の変動を打ち消すことができるので、抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することができる。
また、本実施形態によれば、判定電圧VR1,VR2は電源電圧に依存しないので、電源電圧の変動に起因する起動時間の変動を低減することができる。
なお、本実施形態では、角速度検出装置を例にとり説明したが、本発明は、角速度、角加速度、加速度、力等を検出するセンサー装置にも適用することができる。
4.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、以下のような変形例が考えられる。
[変形例1]
図11は、変形例1の基準回路40の一部と判定回路260の構成を示す図である。また、図12は、変形例1の判定回路260の入力信号と出力信号の波形図である。
変形例1の判定回路260は、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がVR2を下回るまではVR2を判定電圧とし、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧がVR2を下回った超えた後はVR1を判定電圧として選択信号SWを生成するシュミット回路として構成されている。
本変形例では、基準回路40において、基準電圧VREFとグランド電圧VSSの間に抵抗420、抵抗410、定電流源400をこの順に直列に接続し、抵抗410と抵抗420に定電流を流すことにより2つの判定電圧VR1及びVR2を生成している。ただし、判定回路260が定電流源400、抵抗410、抵抗420を含み、判定回路260の内部で判定電圧VR1及びVR2を生成するようにしてもよい。
変形例1では、さらに、全波整流回路240の出力信号の極性が反転するように全波整流回路240の構成を変更される。これにより、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧Vlpfは、次式(9)で表される。
また、定電流源400による定電流の電流値をIref、抵抗410の抵抗値をR1、抵抗420の抵抗値をR2とすると、VR1,VR2はそれぞれ次式(10),(11)で表される。
lpf=VR2の時に選択信号SWがハイレベルからローレベルに変化し、その時の駆動電流Idrは、式(9)と式(11)より、次式(12)で計算される。
一方、Vlpf=VR1の時に選択信号SWがローレベルからハイレベルに変化し、その時の駆動電流Idrは、式(9)と式(10)より、次式(13)で計算される。
式(12)及び式(13)より、抵抗410と抵抗420を、I/V変換回路200の抵抗204と同じ素材とすることで、抵抗204の抵抗値が大きくなる方向に振れた時は抵抗410と抵抗420の各抵抗値も大きくなり、抵抗204の抵抗値が小さくなる方向に振れた時は抵抗410と抵抗420の各抵抗値も小さくなるので、抵抗値のばらつきを相殺することができる。これにより、選択信号SWがハイレベルからローレベルに、あるいはローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Idrのばらつきを抑制することができる。
また、式(12)及び式(13)には電源電圧VDDが含まれていないので、電源電圧を変えても駆動電流Idrは変わらない。
従って、本変形例でも、電源電圧の変動や抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することができる。
[変形例2]
図13は、変形例2の基準回路40の一部と判定回路260の構成を示す図である。また、図14は、変形例2の判定回路260の入力信号と出力信号の波形図である。
変形例2の判定回路260は、ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧が判定電圧VRよりも高いか低いかを判定する単純なコンパレーターとして構成されている。
変形例2では、定電流源400による定電流の電流値をIref、抵抗410の抵抗値をRとすると、VRは次式(14)で表される。
ローパスフィルター250の出力信号LPFOの電圧Vlpfは、式(4)で表され、Vlpf=VRの時に選択信号SWがハイレベルからローレベルに、あるいはローレベルからハイレベルに変化し、その時の駆動電流Idrは、式(4)と式(14)より、次式(15)で計算される。
式(15)より、抵抗410を、I/V変換回路200の抵抗204と同じ素材とすることで、抵抗204の抵抗値が大きくなる方向に振れた時は抵抗410の抵抗値も大きくなり、抵抗204の抵抗値が小さくなる方向に振れた時は抵抗410の抵抗値も小さくなるので、抵抗値のばらつきを相殺することができる。これにより、選択信号SWがハイレベルからローレベルに、あるいはローレベルからハイレベルに変化する時の駆動電流Id
rのばらつきを抑制することができる。
また、式(15)には電源電圧VDDが含まれていないので、電源電圧を変えても駆動電流Idrは変わらない。
従って、本変形例でも、電源電圧の変動や抵抗値のばらつきに起因する起動時間の変動を低減することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 角速度検出装置、2 角速度検出用IC、4 センサー素子、10 電源回路、20
駆動回路、30 検出回路、40 基準回路、50 不揮発メモリー、60 シリアルインターフェース回路、200 I/V変換回路、202 オペアンプ、204 抵抗、206 コンデンサー、210 ハイパスフィルター、220 コンパレーター、230
駆動信号生成回路、240 全波整流回路、250 ローパスフィルター、260 判定回路、262 オペアンプ、264,266 スイッチ、270 カウンター回路、280 発振器、290 コンパレーター、292,294,296 スイッチ、400 定電流源、410,420 抵抗

Claims (5)

  1. 所与の物理量を検出するセンサー素子を駆動する駆動信号を生成する駆動回路であって、
    前記センサー素子が出力する駆動電流を電圧に変換する電流電圧変換部と、
    前記電流電圧変換部により電圧に変換された信号に基づいて得られる判定対象信号の電圧と判定電圧との大小関係を判定する判定部と、
    前記センサー素子の自励発振を補助する発振信号を生成する発振器と、
    前記判定部の判定結果に基づいて、前記判定対象信号の電圧が前記判定電圧を超えるまでは前記発振信号に基づいて前記駆動信号を生成し、前記判定対象信号の電圧が前記判定電圧を超えた後は前記電流電圧変換部により電圧に変換された信号に基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を含み、
    前記判定電圧は、
    1又は複数の抵抗に定電流を流すことにより得られる電圧と基準電圧とを加算又は減算して得られる電圧である、駆動回路。
  2. 請求項1において、
    前記駆動電流判定部は、
    前記判定対象信号の電圧が第1の電圧を超えるまでは当該第1の電圧を前記判定電圧とし、前記判定対象信号の電圧が前記第1の電圧を超えた後は第2の電圧を前記判定電圧とする、駆動回路。
  3. 請求項2において、
    前記駆動電流判定部は、
    前記判定結果に応じて、前記判定電圧として前記第1の電圧と前記第2の電圧のいずれか一方を選択するスイッチ部を含む、駆動回路。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動回路を含む、集積回路装置。
  5. 請求項4に記載の集積回路装置と、
    所与の物理量を検出するセンサー素子と、を含む、センサー装置。
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