JP2016183980A - 中性子遮蔽構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、中性子を用いる部屋の壁体の放射化を効果的に抑制し、そのうえ、熟練の専門職に頼ることなく従来に比べ短い工程で構築できる中性子遮蔽構造を提供することである。また、中性子照射室に用いられる点検扉に関し、使用する鉄の量を削減することも本願発明の課題の一つである。【解決手段】本願発明は、ホウ素含有樹脂からなる遮蔽体を室内側に設けるとともに、壁体と遮蔽体の間に所定の離隔を確保するという点に着目してなされたものである。すなわち、本願発明の中性子遮蔽構造は支持体と遮蔽体を備えたもので、中性子による壁体の放射化を抑制する構造である。ホウ素含有樹脂からなる薄膜状又は板状の遮蔽体は、支持体に固定される。そして、支持体が壁体側となり、かつ遮蔽体が中性子吸収側となるように設置された構造である。【選択図】図4

Description

本願発明は、例えば中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)など中性子が使用される室内において、その壁体の放射化を抑制する技術に関するものであり、より具体的には、ホウ素含有樹脂からなる遮蔽体に中性子を吸収させることで、壁体の放射化を抑制する中性子遮蔽構造に関するものである。
中性子捕捉療法は、癌細胞にホウ素化合物を取り込ませ、そのホウ素と中性子との核反応によって癌細胞を破壊する治療法である。ホウ素(特に10B)は、熱中性子をはじめとする低エネルギーの中性子と大きく反応する性質があり、癌細胞内のホウ素と中性子が核分裂反応した結果、強力な粒子線(アルファ線)が発生し、この粒子線によって癌細胞を破壊する。
核分裂反応によって発生する粒子線の飛程は、癌細胞の直径程度(約10〜14μm)であり、癌細胞以外の正常な細胞には影響を与えることがない。従来のX線やガンマ線による治療が、癌細胞とほぼ同じ物理的ダメージを正常細胞に与えることから、中性子捕捉療法は「癌細胞選択性治療」とも呼ばれ、特に悪性脳腫瘍や悪性黒色腫などの治療にとって現状では最も理想に近い治療法とされている。
ところで、中性子捕捉療法では、加速器などを用いて中性子線を患者に照射するが、当然ながら、外部に中性子線が漏れないよう壁体等で閉鎖された室内で行われる。もちろん、照射された中性子線すべてが患者に吸収されるわけではなく、部分的には壁体等にも吸収される。中性子は電荷を持たないため、物質中の原子核に比較的容易に到達しやすく、しかも中性子捕捉療法で好適に使用される低エネルギーの中性子は吸収現象が顕著である。そして壁体を構成する物質の一部が、中性子を吸収した結果、安定同位体から放射性同位体となるいわゆる放射化現象を起こすことがある。
長年にわたって中性子捕捉療法が行われると、壁体は放射化が進み、その結果、壁体から放射線が放出され、室内にいる者は無用な被曝を受けることとなる。また、例えば放射化した壁コンクリートは、放射性廃棄物として処分する必要があり、通常の廃棄物に比べ多大な廃棄コストを強いられる。
このように、中性子捕捉療法など閉鎖室内で中性子線を照射する場合、壁体の放射化は一つの大きな問題であった。そこで特許文献1では、ボロン(ホウ素)含有シートを用いて中性子線を遮蔽する技術を提案している。
特開2014−102082号公報
特許文献1で提案される技術は、加速器を備えた部屋と、ビームダンプ装置が設置された部屋をコンクリート壁で仕切り、このコンクリート壁のうち加速器設置側(放射線源側)にホウ素含有シートを貼り付けるものである。ビームダンプ装置で反射した中性子が、コンクリート壁を通過することで減速し、その結果、ホウ素含有シートによる中性子吸収がより促進されることを期待している。
しかしながら特許文献1では、2室を仕切るコンクリート壁が直接的に中性子線を吸収することとなり、ビームダンプ装置側の部屋は将来的に無用な被曝を受けるおそれがあるうえ、コンクリート壁を処分する際は放射性廃棄物として多大な廃棄コストを必要とする。また、コンクリート壁にホウ素含有シートを直接貼り付ける場合、コンクリート表面の劣化や漏水等によってホウ素含有シートが剥がれるおそれがあり、この点に留意して作業するためには、熟練の専門職を確保する必要があるうえ、相当の工程を予定しなければならない。
さらに、ホウ素含有シートをコンクリート壁に直接貼り付けた場合、次のような問題も指摘できる。既述のとおり、ホウ素は中性子と反応しやすい性質をもち、つまり中性子を吸収しやすいという特性を備えている。しかしながら、照射されるすべての中性子を吸収するわけではないため、その一部は背面へと透過していく。その際、コンクリート壁がホウ素含有シートに接触していると、透過した中性子はコンクリート壁に直接的に吸収されることになる。これでは、十分にコンクリート壁の放射化を抑制することはできない。
一方、中性子捕捉療法などを行う閉鎖室では、入室用の遮蔽引戸が設けられることがある。この遮蔽引戸には、引戸本体のほか、その動力機構をはじめとする付帯設備があり、また遮蔽引戸を収納するための戸袋も設置される。安全あるいは見栄え等の理由から、これら付帯設備を含む遮蔽引戸や戸袋などの表面はカバーされる必要があり、そのため点検扉が設置される。なお点検扉は、必要に応じて引戸本体や付帯設備を点検することができるよう、開閉式とされる。
ところで点検扉は、例えば強度のある鉄製の部材で製作されるのが一般的であるが、放射化した鉄は数十日から数年で半減期を迎える材料であり、放射化を低減するためには表面にホウ素含有シート等を貼り付ける必要があった。ホウ素含有シート等はそれ自体には強度を期待できないことから、点検扉を製作するためには、相応量の鉄を使用する必要があった。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、中性子を用いる部屋の壁体の放射化を効果的に抑制し、そのうえ、熟練の専門職に頼ることなく従来に比べ短い工程で構築できる中性子遮蔽構造を提供することである。また、中性子照射室に用いられる点検扉に関し、使用する鉄の量を削減することも本願発明の課題の一つである。
本願発明は、ホウ素含有樹脂からなる遮蔽体を室内側に設けるとともに、壁体と遮蔽体の間に所定の離隔を確保するという点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の中性子遮蔽構造は、支持体と遮蔽体を備えたもので、中性子が使用される室内を閉鎖する壁体の放射化を抑制する構造である。ホウ素含有樹脂からなる薄膜状又は板状の遮蔽体は、支持体に固定される。そして、支持体が壁体側となり、かつ遮蔽体が中性子吸収側となるように設置されることで、壁体と遮蔽体との間に所定の距離が確保された構造である。
本願発明の中性子遮蔽構造は、壁体と内装下地との間にさらに離隔部を設けた構造とすることもできる。
本願発明の中性子遮蔽構造は、支持体が内装下地である構造とすることもできる。この場合の遮蔽体は、内装下地の表面に固定される。
本願発明の中性子遮蔽構造は、内装下地の表面に複数の遮蔽体が固定される場合、遮蔽体と遮蔽体の継ぎ目に、ホウ素含有の中性子吸収剤を注入した構造とすることもできる。
本願発明の中性子遮蔽構造は、支持体が鋼製の枠材で構成される枠状又は格子状の枠体である構造とすることもできる。この場合の遮蔽体は、枠材と枠材の間を被覆するように配置されて枠体に固定される。
本願発明の中性子遮蔽構造は、厚さ10mm以上の遮蔽体を用い、この遮蔽体を支持体の表面にビス又はボルトによって固定した構造とすることもできる。
本願発明の中性子遮蔽構造は、ホウ素量が全体重量の10%以上を占める遮蔽体を用いた構造とすることもできる。
本願発明の中性子遮蔽構造は、中性子照射室に利用することもできる。以下、中性子遮蔽構造を利用した中性子照射室を、本願発明の中性子照射室として説明する。本願発明の中性子照射室は、中性子を照射する中性子照射口が設けられた壁体と、遮蔽引戸、遮蔽引戸を収納する戸袋、点検扉を含んで構成される。そして、遮蔽引戸を閉めた状態の中性子照射室は、遮蔽引戸と壁体によって閉鎖空間となる。なお点検扉は、開閉式であって、戸袋の室内側を覆うように設置される。さらに点検扉は、既述した支持体が枠体である中性子遮蔽構造となっている。
本願発明の中性子照射室は、支持体を枠体とし、枠材の表面の一部に凹部を設けた支持体を備えたものとすることもできる。この場合の遮蔽体は、枠材表面の凹部に嵌合するように配置され、その結果、枠材の表面と遮蔽体の表面が、略同一面(同一面含む)となる。
中性子遮蔽構造、及び中性子照射室には、次のような効果がある。
(1)中性子を使用する室内側の壁面に、ホウ素含有樹脂からなる遮蔽体を固定することから、効果的に壁体の放射化を抑制することができる。
(2)遮蔽体と壁体との間に、内装下地あるいは離隔部が配置され、壁体と遮蔽体との間に所定の距離が確保されることから、さらに効果的に壁体の放射化を抑制することができる。
(3)複数の遮蔽体が固定される場合、遮蔽体と遮蔽体の継ぎ目にホウ素含有の中性子吸収剤を注入することで、漏れなく壁体の放射化を抑制することができる。
(4)遮蔽体を厚さ10mm以上の板状の部材とすることで、内装下地の表面にビスやボルトでの固定が可能となり、熟練の専門職に頼ることなく、しかも従来に比べ短い工程で構築することができる。
(5)支持体を枠材で構成される枠状又は格子状の枠体とすることで、点検扉に使用される鉄量を削減することができる。
中性子捕捉療法が行われる室内で、本願発明の中性子遮蔽構造が壁体の1面に設けられた状態を示す平面図。 中性子捕捉療法が行われる室内で、本願発明の中性子遮蔽構造が壁体の3面に設けられた状態を示す平面図。 中性子捕捉療法が行われる室内で、本願発明の中性子遮蔽構造が壁体の4面に設けられた状態を示す平面図。 本願発明の中性子遮蔽構造を示す断面図。 本願発明の中性子遮蔽構造を示す正面図。 本願発明の中性子遮蔽構造と、壁体に直接遮蔽体を貼り付けた従来構造において、それぞれ中性子線照射口から壁体までの中性子線量を示したグラフ図。 (a)は本願発明の中性子遮蔽構造と従来構造におけるNa−24の生成量を求めた計算結果を示すグラフ図、(b)は本願発明の中性子遮蔽構造と従来構造におけるAl−28の生成量を求めた計算結果を示すグラフ。 本願発明の中性子遮蔽構造と従来構造における長半減期核種(Co−60)の生成量を求めた計算結果を示すグラフ図。 本願発明の中性子照射室を示す平面図。 本願発明の中性子照射室を示す正面図。 本願発明の中性子照射室を示す断面図。 (a)は本願発明の中性子照射室に用いられる点検扉を示す正面図、(b)は本願発明の中性子照射室に用いられる点検扉を示す断面図。
中性子遮蔽構造、及び中性子照射室の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
図1は、中性子捕捉療法が行われる室内に、本願発明の中性子遮蔽構造が設けられた状態を示す平面図である。なお、ここでは便宜上、中性子捕捉療法が行われる室内の例で説明するが、中性子が使用される室内であれば、他の利用目的の室内でも本願発明を実施することができる。
図1に示すように、この室内は、コンクリート等による壁体10によって閉鎖されている。そして、室外に加速器本体が設置され、室内の所定位置には中性子照射口20が設けられており、その照射口から患者に向けて中性子線が照射される。
中性子線が照射される先には、遮蔽体30と、これを固定するための支持体である内装下地40が配置されている。中性子線の照射は、図1に示すように1方向の場合もあるが、図2や図3に示すように、多方向に照射されることもある。その場合、図2のように壁体10の3面に遮蔽体30と内装下地40を配置したり、図3のように4面に遮蔽体30と内装下地40を配置したり、さらにこれらに加えて天井面や床面に遮蔽体30と内装下地40を配置することもできる。
図4は、本願発明の中性子遮蔽構造を示す断面図である。この図に示すように、壁体10の前方(図では右側)には所定幅のクリアランス(以下、「離隔部50」という。)が設けられ、さらに離隔部50の前方に内装下地40が配置され、この内装下地40の前面に遮蔽体30が固定されている。なお、天井面に関しては、離隔部50を設けたうえで遮蔽体30と内装下地40を設置することもできるし、天井面(例えば、天井コンクリート)に接するように遮蔽体30を配置するとともに、ビスやボルトによって(あるいは表面からアルミプレートを配したうえでアンカーにより)固定することもできる。
このように離隔部50と内装下地40を配置することで、壁体10と遮蔽体30との間には相当の距離が確保される。後に説明するように遮蔽体30を透過した中性子は遮蔽体30から離れるほどその線量が低下することから、壁体10と遮蔽体30との間に一定の距離を確保することで、中性子が壁体10に与える影響を大幅に低減することができる。なお、離隔部50を省き、内装下地40を壁体10に接触するように配置して、つまり内装下地40のみによって壁体10と遮蔽体30との間に所定の距離を確保することもできる。
遮蔽体30は、ホウ素含有樹脂からなる薄膜状又は板状の平面部材であり、例えばB4Cを含む樹脂を成型した部材を用いることができる。もちろん、ホウ素を含有する樹脂材であればB4C樹脂に限らず、無水ホウ酸を樹脂に混ぜた部材や、粉状の灰ホウ石を樹脂に混ぜた部材など、他の樹脂材を遮蔽体30として用いることもできる。なお発明者は、遮蔽体30に含まれるホウ素の重量が全体重量の10%以上となれば、中性子が効果的に吸収されることを確認しており、したがって、全体重量の10%以上のホウ素量が含まれた遮蔽体30を採用することが望ましい。
薄膜状又は板状の遮蔽体30を接着材等によって内装下地40に貼り付ける場合、接着剤等によって貼り付けることもできるが、内装下地40の接着面が狭い場合や遮蔽体30が重い場合は、遮蔽体30が剥がれるおそれがある。内装下地40にビスやボルトで固定することができれば剥がれるおそれが少なくなり、固定作業が著しく容易となる。この場合、遮蔽体30を10mm以上の板厚にすれば、ビスやボルトによって遮蔽体30が損傷するおそれもなく好適である。
図5は、本願発明の中性子遮蔽構造を示す正面図である。この図に示すように、通常は複数の遮蔽体30を平面配置して内装下地40に固定することになる。その際、隣接する遮蔽体30と遮蔽体30の間には継ぎ目が設けられ、ここを隙間として中性子が通過するおそれもある。したがって、この継ぎ目にホウ素含有の中性子吸収剤を注入することで、漏れなく中性子を吸収させることが望ましい。なお、遮蔽体30はそのままで最終内装仕上材とすることができ、あるいは遮蔽体30の表面側(室内側)にさらに内装下地及び最終内装仕上材を設置することも出来る。
内装下地40は、軽量鉄骨(LGS:Light Gauge Steel)などの鋼材によって形成することができる。この場合、図4に示すように、鉛直姿勢の鉛直内装下地材40Vと、水平姿勢の水平内装下地材40Hを、それぞれ間隔を設けて配置した骨組構造とすることで、内装下地40を形成することもできる。
(試験結果)
図6は、本願発明の中性子遮蔽構造と、壁体10に直接遮蔽体30を貼り付けた従来構造において、それぞれ中性子線照射口から壁体10までの中性子線量を示したグラフ図である。この図に示すように本願発明の構造は、その室内線量が従来構造に比べ約1/3まで低下している。これは、壁体10による中性子の吸収量の差、すなわち壁体10が中性子を室内に反射させる反射量差が影響すると考えられる。また本願発明の構造では、遮蔽体30が中性子を吸収することから、遮蔽体30を透過した中性子の線量減少勾配が大きくなり、遮蔽体30から離れるほど中性子の線量が著しく低下することがわかる。
図7は、本願発明の中性子遮蔽構造と従来構造における短半減期核種の生成量を求めた計算結果を示し、(a)は短半減期核種がNa−24の場合で、(b)は短半減期核種がAl−28の場合である。短半減期核種の生成量は、照射直後における患者や医療関係者の被曝に大きく影響する。この図から分かるように、本願発明の中性子遮蔽構造におけるNa−24やAl−28といった短半減期核種の生成量は、従来構造における生成量に比して約30%低減されており、本願発明の中性子遮蔽構造の被ばく低減効果が顕著であることが確認できる。
図8は、本願発明の中性子遮蔽構造と従来構造における長半減期核種(Co−60)の生成量を求めた計算結果を示すグラフ図である。長半減期核種の生成量が多くなると、施設廃止時に壁体10を放射性廃棄物として処分する必要があり、その結果、通常の廃棄物に比べ多大な廃棄コストを強いられる。最も生成量が多いとされるCo−60に注目し、施設30年後におけるその生成量を試算した結果(図8)、従来構造の場合、深さ25cmまで普通コンクリートが基準値(0.1Bq/g)を超えており、これを放射性廃棄物として処分しなければならないことが分かる。一方、本願発明の中性子遮蔽構造の場合、普通コンクリート全てが基準値を下回っており、放射性廃棄物として処分する必要がない。
(中性子照射室)
図9は、本願発明の中性子照射室を示す平面図であり、図10は中性子照射室を示す正面図、図11は図9のA−A矢視断面図である。図9の平面図に示すように、中性子照射室は、その周囲がほぼ壁体10で囲まれている。そして一部に入室可能な開放部があり、この開放部には遮蔽引戸60が配置されている。中性子照射室に入室する際には、遮蔽引戸60が矢印方向(図9)にスライドし、遮蔽引戸60を収納する空間である戸袋70に収められる。なお図11は、遮蔽引戸60が戸袋70に収納された状態を示している。
戸袋70の照射室側には、点検扉80が設置されている。図10の正面図や図11の断面図から分かるように、点検扉80は、戸袋70の室内側全面を覆うように配置されている。このとき、ひとつの点検扉80で戸袋70を覆うこともできるし、図に示すように複数の点検扉80で戸袋70を覆うこともできる。また、既述したとおり点検扉80は、必要に応じて引戸本体や付帯設備を点検することができるよう、開閉式となっている。開閉方向は、水平方向とすることもできるし、図11に示す上部の点検扉80のように鉛直方向に開閉させることもできる。
図12は、点検扉80を示す詳細図であり、(a)はその正面図、(b)は断面図である。この図に示すように点検扉80は、細幅板の枠材81と、既述した遮蔽体30(ホウ素含有樹脂からなる薄膜状又は板状部材)によって主に構成される。枠材81は、例えば鋼製材が用いられ、図12(a)に示すように遮蔽体30の周囲2辺に配置されて支持体である枠体が形成される。あるいは、遮蔽体30の周囲4辺に枠材81を配置した枠体とすることもできるし、遮蔽体30の中間部にも枠材81が配置される格子状として枠体とすることもできる。そして、遮蔽体30が枠材81と枠材81の間を被覆するように(言い換えれば、枠材81と枠材81の間に架け渡されるように)配置されて、枠体(枠材81)に固定される。
図12(b)に示すように、断面視すると枠材81は折り曲げ加工されている。そして、一部に段差(図に示す「凹部」)を設け、ここに遮蔽体30を配置することもできる。この凹部の高さ(つまり段差高さ)を、遮蔽体30の部材厚とほぼ同じにしておけば、枠材81の表面と遮蔽体30の表面が、略同一面(同一面含む)となり、美観的にも好適である。なお、遮蔽体30を板状部材とすれば、枠材81(枠体)にビスやボルトで固定することができるのは既述のとおりである。この場合も、遮蔽体30を10mm以上の板厚にすれば、ビスやボルトによって遮蔽体30が損傷するおそれもなく好適となる。
中性子遮蔽構造、及び中性子照射室は、中性子捕捉療法を実施する医療機関をはじめ、使用済み核燃料の保管施設や廃棄施設などで、特に有効に利用することができる。本願発明は、中性子を使用する室が現状抱える課題を解決するものであり、すなわち中性子捕捉療法の普及を促進することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
10 壁体
20 中性子照射口
30 遮蔽体
40 内装下地
40V 鉛直内装下地材
40H 水平内装下地材
50 離隔部
60 遮蔽引戸
70 戸袋
80 点検扉
81 (点検扉の)枠材

Claims (7)

  1. 中性子が使用される室内を閉鎖する壁体の放射化を抑制する中性子遮蔽構造において、
    支持体と、該支持体に固定される遮蔽体と、を備え、
    前記遮蔽体は、ホウ素含有樹脂からなる薄膜状又は板状の部材であり、
    前記支持体が前記壁体側となり、かつ前記遮蔽体が室内側となるように設置されることで、前記壁体と前記遮蔽体との間に所定の距離が確保された、ことを特徴とする中性子遮蔽構造。
  2. 前記壁体と前記支持体との間に離隔部が設けられた、ことを特徴とする請求項1記載の中性子遮蔽構造。
  3. 前記支持体が、前記壁体表面に設置される内装下地であり、
    前記遮蔽体は、前記内装下地の表面に固定される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の中性子遮蔽構造。
  4. 前記支持体の表面に、複数の前記遮蔽体が固定され、
    前記遮蔽体の継ぎ目に、ホウ素含有の中性子吸収剤が注入された、ことを特徴とする請求項3記載の中性子遮蔽構造。
  5. 前記支持体が、鋼製の枠材で構成される枠状又は格子状の枠体であり、
    前記遮蔽体は、前記枠材と枠材の間を被覆するように配置されて、前記枠体に固定された、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の中性子遮蔽構造。
  6. 前記遮蔽体の厚さは10mm以上であり、
    前記遮蔽体は、前記支持体の表面にビス又はボルトによって固定された、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の中性子遮蔽構造。
  7. 前記遮蔽体は、ホウ素量が全体重量の10%以上を占める、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の中性子遮蔽構造。
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