JP7450365B2 - 放射化抑制構造 - Google Patents

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Description

本願発明は、例えば中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)など中性子が発生する放射線医療施設や、研究施設といった室内において、その壁体の放射化を抑制する技術に関するものであり、より具体的には、木材とホウ素含有板を含む遮蔽体を備えた放射化抑制構造と、この構造が設けられた壁体の放射化を管理する方法に関するものである。
中性子捕捉療法は、癌細胞にホウ素化合物を取り込ませ、そのホウ素と中性子との核反応によって癌細胞を破壊する治療法である。ホウ素(特に10B)は、熱中性子をはじめとする低エネルギーの中性子と大きく反応する性質があり、癌細胞内のホウ素と中性子が核分裂反応した結果、粒子線(アルファ線)が発生し、この粒子線によって癌細胞を破壊する。
核分裂反応によって発生する粒子線の飛程は、癌細胞の直径程度(約10~14μm)であり、癌細胞以外の正常な細胞に影響を与えることがない。従来のX線やガンマ線による治療が、癌細胞とほぼ同じ物理的ダメージを正常細胞に与えることから、中性子捕捉療法は「癌細胞選択性治療」とも呼ばれ、特に悪性脳腫瘍や悪性黒色腫などの治療にとって現状では最も理想に近い治療法とされている。
ところで中性子捕捉療法では、照射器や加速器などを用いて患者に対する中性子線の照射が行われるが、当然ながらこの照射は外部に中性子線が漏れないよう壁体等で閉鎖された室内で行われる。もちろん、照射された中性子線すべてが患者に吸収されるわけではなく、部分的には壁体等にも吸収される。中性子は電荷を持たないため、物質中の原子核に比較的容易に到達しやすく、しかも中性子捕捉療法で好適に使用される低エネルギーの中性子は吸収現象が顕著である。そして壁体を構成する物質の一部が、中性子を吸収した結果、安定同位体から放射性同位体となるいわゆる放射化現象を起こすことがある。
短半減期核種によって放射化したコンクリートは、多量の放射線を放出することが知られている。そのため、室内にいる者は無用な被曝を受けることとなる。また、長年にわたって中性子が照射されると、コンクリート製の壁体は放射化が進んで、長半減期核種が多量に生成され、その結果、放射化したコンクリート壁体は、放射性廃棄物として処分する必要があり、通常の廃棄物に比べ多大な廃棄コストを強いられる。
このように、放射化の原因となる中性子が発生する施設等では、壁体の放射化が一つの大きな問題となっていた。そこで特許文献1では、ホウ素含有樹脂からなる遮蔽体と減衰空間からなる中性子遮蔽構造によって、コンクリート製の壁体の放射化を抑制する発明を開示している。
特許6349574号公報
特許文献1で提案される発明は、室内側に設置した遮蔽体(ホウ素含有)で中性子を吸収し、さらに遮蔽体を通過した中性子は減衰空間(遮蔽体と壁体の間に形成される空間)で減衰させ、これによりコンクリート壁体の放射化を抑制する構造である。
特許文献1の発明も極めて高い放射化抑制効果を期待することができるが、本願の発明者らがさらに高い放射化抑制効果を求めて研究、開発を行ったところ、遮蔽体として木材を利用することが有効であることを見出した。木材、特にパープルハートやイペといった比重が大きく硬い木材(以下、「ハードウッド等」という。)には多量の水素が含有されている。水素を多量に含む物質は高速中性子を減速させる能力が高く、減速された中性子は周囲と熱平衡に達し熱中性子となる(いわゆる弾性散乱)。つまり、多量の水素を含有する木材を通過する際に中性子を熱中性子に変化させ、この熱中性子をホウ素含有の遮蔽体で吸収することによって、さらに高い放射化抑制効果が得られるわけである。また、多量の水素を含有する木材は中性子を減衰させることができることから、少量の中性子を対象とするケースではコンクリート壁体の放射化の抑制も可能となる。
他方、遮蔽体などを用いてコンクリート壁体の放射化抑制を図ったとしても、実際には壁体の一部が放射化していることも考えられる。ところが従来の放射化抑制技術では、遮蔽体等を設置した後に(つまり対策後に)コンクリート壁体の放射化状況を検査しあるいは確認することはそれほど多くなかった。室内にいる者の無用な被曝を確実に避け、放射性廃棄物の排出を極力抑えるためには、放射化抑制の対策を行った後であってもコンクリート壁体の放射化の状況を確認し、その状況によっては早い段階で何らかの対策を講じることが望ましい。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術よりもさらに高い効果をもって中性子発生室(中性子が発生する部屋)内の壁体の放射化を抑制することができる放射化抑制構造を提供することである
本願発明は、多量の水素を含有する木材、及び炭化ホウ素等のホウ素化合物を含有する部材を利用して中性子発生室内の壁体の放射化を抑制する、という点、さらには第1遮蔽体と第2遮蔽体を設置するとともに計測素子の計測結果に基づいて壁体の放射化の有無を評価し第2遮蔽体の交換の要否を判定する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の放射化抑制構造は、中性子が発生する室内を閉鎖する壁体の放射化を抑制する構造であり、表面板と中間板と裏面板が積層された遮蔽体を備えたものである。なお、表面板が室内側となり裏面板が壁体側となるように、壁体の前面に遮蔽体が設置される。また、中間板はハードウッドを用いた板状の部材であり、この中間板に含有される水素によって中性子を弾性散乱させる
本願発明の放射化抑制構造は、遮蔽体の表面板が準不燃材又は不燃材からなる板状の部材であるものとすることもできる。
本願発明の放射化抑制構造は、遮蔽体の裏面板がB4Cを含む樹脂を成型した薄膜状又は板状の部材であるものとすることもできる。
本願発明の放射化抑制構造は、遮蔽体と壁体との間に設けられた空隙部をさらに備えた構造とすることもできる。この空隙部は、複数個所にスペーサーを離散的に配置することによって、あるいは形鋼を線状や格子状に配置することによって形成されるものである。
本願発明の放射化抑制構造は、空隙部と壁体との間に配置される第2遮蔽体をさらに備えた構造とすることもできる。この第2遮蔽体は、板状の部材であって、交換可能となるように設置され、第2遮蔽体の室内側表面には、放射化の程度を評価するための計測素子が設置される。
本願発明の放射化抑制構造は、検査孔と複数の検査用コアを備えた構造とすることもできる。この検査孔は、第2遮蔽体を貫通しさらに壁体の厚さ方向に穿孔されたものであり、検査用コアは、壁体と同等の材料で形成されるものであって検査孔内に壁体の厚さ方向に並べて配置される。
本願発明の放射化抑制構造に対して行う壁体管理方法は、放射化抑制構造が設置された壁体の放射化を評価する方法であり、放射化評価工程と交換判定工程を備えた方法である。この放射化評価工程では、計測素子の計測結果に基づいて壁体の放射化の有無を評価し、交換判定工程では、放射化評価工程の評価結果に応じて第2遮蔽体の交換の要否を判定する。
本願発明の放射化抑制構造に対して行う壁体管理方法は、コア検査工程をさらに備えた方法とすることもできる。このコア検査工程では、壁体が放射化されたと評価されたときに、検査用コアを抜き取るとともに、その抜き取った検査用コアを検査する。この場合、交換判定工程では、放射化評価工程の評価結果、そしてコア検査工程の検査結果に応じて、第2遮蔽体の交換の要否を判定する。
本願発明の放射化抑制構造、及び壁体管理方法には、次のような効果がある。
(1)多量の水素を含有する木材を通過する際に中性子を熱中性子に変化させ、その熱中性子をホウ素含有の遮蔽体で吸収することで、従来技術に比してさらに効果的に壁体の放射化を抑制することができる。その結果、中性子発生室内にいる者の無用な被曝を確実に回避することができ、放射性廃棄物の排出を極力抑えることができる。
(2)放射化抑制構造を設置した後も任意のタイミングで放射化の程度を確認することができ、放射化する前に第2遮蔽体を交換することができる。これにより、第2遮蔽体が放射性廃棄物となることを未然に防ぐことができる。
(3)ライフサイクル全体を通してコスト合理性が高く、しかも放射性廃棄物が生じないクリーンな医療施設や研究施設、検査施設、産業施設等を提供することができる。
中性子発生室内に、本願発明の放射化抑制構造が設置された状況を示す平面図。 第1の実施形態における放射化抑制構造を示す断面図。 第2の実施形態における放射化抑制構造を示す断面図。 第3の実施形態における放射化抑制構造を示す断面図。 本願発明の壁体管理方法の主な工程を示すフロー図。 本願発明の壁体管理方法の主な工程を示すステップ図。
1.全体概要
本願発明の放射化抑制構造、及び壁体管理方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。図1は、中性子発生室に本願発明の放射化抑制構造100が設置された状況を示す平面図である。この図に示す中性子発生室はコンクリート製の壁体(以下、単に「コンクリート壁体CW」という。)で閉鎖(密閉)されており、室内には中性子が発生する加速器NDが設置されている。なお、図1では加速器NDが設置された中性子発生室を示しているが、加速器NDに限らず中性子が発生する施設であれば本願発明を効果的に実施することができる。
本願発明の放射化抑制構造100は、図1に示すようにコンクリート壁体CWの室内側(前面)に、換言すればコンクリート壁体CWの表面を覆うように第1遮蔽体110が設置された構造である。また放射化抑制構造100は、コンクリート壁体CWの表面から所定の距離を確保したうえで第1遮蔽体110を設置することとし、すなわちコンクリート壁体CWと第1遮蔽体110の間にスペース(以下、「空隙部120」という。)を設けた構造とすることもできる。さらに図1に示すように、コンクリート壁体CWと空隙部120との間に第2遮蔽体130を設置した構造としてもよい。
第1遮蔽体110は、木材(例えばハードボード等)や炭化ホウ素をはじめとするホウ素化合物含有部材を含むもので、木材によって中性子を減衰させ、さらに、木材を通過する際に中性子を熱中性子に変化させ、この熱中性子をホウ素に吸収させることによって、コンクリート壁体CWに到達する中性子を大幅に低減するものである。また空隙部120は、コンクリート壁体CWに到達するまでの所定距離を確保することによって、中性子のエネルギーを減衰させる機能を有するものである。さらに第2遮蔽体130は、コンクリート壁体CWに到達する中性子を未然に吸収するものである。なお第2遮蔽体130は、容易に交換できるように設置され、将来放射化が進んだことが認められたときには新たな第2遮蔽体130と交換することが予定されており、いわばコンクリート壁体CWの保護材としても機能するものである。
2.放射化抑制構造
次に、本願発明の放射化抑制構造100の例について図を参照しながら詳しく説明する。なお、本願発明の壁体管理方法は、本願発明の放射化抑制構造100に対して行う管理方法であり、したがってまずは本願発明の放射化抑制構造100について説明し、その後に本願発明の壁体管理方法について説明することとする。
既述したとおり本願発明の放射化抑制構造100は、コンクリート壁体CWの表面に直接、第1遮蔽体110を設置する形態(以下、「第1の実施形態」という。)と、コンクリート壁体CWの前面に空隙部120、及び第1遮蔽体110を設置する形態(以下、「第2の実施形態」という。)、コンクリート壁体CWの前面に第2遮蔽体130、空隙部120、及び第1遮蔽体110を設置する形態(以下、「第3の実施形態」という。)に大別することができる。以下、それぞれ実施形態ごとに順に説明していく。
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態における放射化抑制構造100を示す断面図であり、床面を形成するコンクリート壁体CWを鉛直面で切断した断面図である。なおこの図では、床面を形成するコンクリート壁体CWの上面に第1遮蔽体110を設置しているが、本願発明の放射化抑制構造100は、床面に限らず天井面や側面を形成するコンクリート壁体CWの前面に第1遮蔽体110を設置した構造とすることもできる。
第1遮蔽体110は、中間板112を含むものであり、表面板111と中間板112の積層構成とすることも、あるいは図2に示すように表面板111と中間板112、そして裏面板113の順で積層された構成とすることもでき、肉厚寸法(図2では上下寸法)に比して表面積が極端に大きな板状の部材である。このうち表面板111は、石膏プラスターボードやドロマイトプラスターボードなどを利用した板状の部材であり、中間板112は、パープルハートやイペといったハードウッド等を利用した板状の木製部材である。中間板112としてハードウッド等を利用する理由は、中性子を弾性散乱させるための水素を多量に含有しているからであり、第1遮蔽体110としての相当の強度(せん断力や圧縮力、引張力など)を確保するためである。中間板112は、表面板111より高強度の部材とすることもできるし、表面板111より低強度の部材とすることもできる。なお、壁や天井に対して放射化抑制構造100を設置する場合、第1遮蔽体110の表面板111は準不燃材あるいは不燃材を利用するとよい。
一方の裏面板113は、ホウ素含有樹脂からなる薄膜状あるいは板状の部材であり、例えばB4Cを含む樹脂を成型した部材を用いることができる。もちろん、ホウ素を含有する樹脂材であればB4C樹脂に限らず、無水ホウ酸を樹脂に混ぜた部材や、粉状の灰ホウ石を樹脂に混ぜた部材など、他の樹脂材を裏面板113として用いることもできる。ところで、既述したとおり多量の水素を含有する木材は中性子を減衰させることができる。つまり、中間板112のみでも中性子を減衰させる効果があり、少量の中性子を対象とするケースではコンクリート壁体CWの放射化を抑制することもできる。したがって、少量の中性子の発生が予想される中性子発生室内に放射化抑制構造100を設置する場合は、裏面板113を省略した第1遮蔽体110、すなわち表面板111と中間板112からなる第1遮蔽体110、あるいは中間板112のみからなる第1遮蔽体110を用いることができる。
第1遮蔽体110は、図2に示すように表面板111が室内側となり、かつ裏面板113がコンクリート壁体CW側となるように、ビスや釘あるいは接着剤などを利用して設置される。これにより、表面板111を通じて中間板112まで到達した中性子は、ハードウッド等に含まれる多量の水素によって減速し、減速した中性子は周囲と熱平衡に達し熱中性子となる(いわゆる弾性散乱)。そして、裏面板113に到達した熱中性子がホウ素に吸収されることによって、コンクリート壁体CWに到達する中性子の量が大幅に抑えられ、すなわちコンクリート壁体CWの放射化が抑制されるわけである。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態における放射化抑制構造100を示す断面図であり、床面を形成するコンクリート壁体CWを鉛直面で切断した断面図である。この図に示すように第2の実施形態における放射化抑制構造100は、第1遮蔽体110に加え空隙部120を含んで構成される。多量の中性子が発生する中性子発生室の場合、第1遮蔽体110で全ての中性子が吸収されないこともあり、第1遮蔽体110を透過した中性子を空隙部120で減衰させる構造としている。空隙部120は、コンクリート壁体CWと第1遮蔽体110の間にスペーサーを配置することで形成することができ、例えば、複数個所にスペーサーを離散的に配置(点在配置)することで空隙部120を形成してもよいし、溝形鋼やH形鋼といった形鋼を利用して線状あるいは格子状に配置することで空隙部120を形成してもよい。
空隙部120を設けることで、裏面板113に吸収されずに第1遮蔽体110を通過した中性子は、コンクリート壁体CWに到達するまでの所定距離の移動を強いられ、これにより中性子のエネルギーが減衰し、すなわちコンクリート壁体CWの放射化が抑制されるわけである。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態における放射化抑制構造100を示す断面図であり、側壁を形成するコンクリート壁体CWを水平面で切断した断面図である。この図に示すように第3の実施形態における放射化抑制構造100は、第1遮蔽体110と空隙部120に加え第2遮蔽体130を含んで構成される。第2遮蔽体130は、RC(Reinforced Concrete)パネルといった板状の部材であり、コンクリート壁体CWの表面に接触するように配置され、アンカーボルト等を利用することで容易に交換できるように設置される。
図4に示すように第2遮蔽体130の室内側には空隙部120が形成され、さらにその室内側には第1遮蔽体110が設置される。そして、第2遮蔽体130の表面の一部には、空隙部120内に位置するように計測素子140が貼付される。この計測素子140は、放射化の程度を評価するための計測値が得られるものであり、専用のものとして製造することもできるし、従来用いられている(例えば市場に流通している)ものを利用することもできる。
第1遮蔽体110の裏面板113によって熱中性子を吸収し、空隙部120によって中性子のエネルギーを減衰させるものの、一部の中性子はコンクリート壁体CWに到達するおそれもあるため、第3の実施形態では、コンクリート壁体CWの前面にさらに第2遮蔽体130を設置している。しかしながら第2遮蔽体130が長期にわたって中性子を受け続けると、第2遮蔽体130が放射化し、放射性廃棄物として処理しなければならないことも考えられる。そこで、放射化する前に第2遮蔽体130を取り換えることができる構造とし、そのため、第2遮蔽体130の放射化の程度が定期的に把握できるように計測素子140を設置するとともに、第2遮蔽体130を交換可能に設置するわけである。
また、第3の実施形態における放射化抑制構造100では、図4に示すように検査孔150を設けることもできる。そしてこの検査孔150内には、複数(図では4個)の検査用コア160が配置される。検査孔150は、第2遮蔽体130に形成される貫通孔と、コンクリート壁体CWを厚さ方向に穿孔して形成される横孔が、接続されて一連の連続孔となったものであり、1又は2箇所以上に設けることができる。
検査用コア160は、念のためコンクリート壁体CWの放射化の程度を検査するための試験体であり、したがって検査用コア160はコンクリート壁体CWと同等の材料で形成される。また、コンクリート壁体CWの深度方向(壁厚方向)に応じた放射化の程度を確認することができるように、複数の検査用コア160がコンクリート壁体CWの深度方向に並べて配置される。
3.壁体管理方法
続いて、本願発明の壁体管理方法ついて図5と図6を参照しながら説明する。なお、本願発明の壁体管理方法は、ここまで説明した放射化抑制構造100に対して行う管理方法であり、したがって放射化抑制構造100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の壁体管理方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.放射化抑制構造」で説明したものと同様である。
図5は、本願発明の壁体管理方法の主な工程を示すフロー図であり、図6は、本願発明の壁体管理方法の主な工程を示すステップ図である。まず、図6(a)に示すように第1遮蔽体110に設けられた確認孔HC内に挿入されたコアCRを取り外し(Step101)、図6(b)に示す状態としたうえで計測素子140の計測値を確認する(Step102)。計測素子140の計測結果が得られると、これに基づいてコンクリート壁体CWの放射化の有無を評価し(Step103)、放射化が認められない場合は確認孔HC内にコアCRを戻す(Step109)。一方、放射化が認められる場合はコア検査を実施し、どの程度の深さまで放射化しているか評価する。具体的には、図6(c)に示すように第1遮蔽体110を取り外したうえで検査用コア160を抜き取り(Step104)、抜き取った検査用コア160に対して所定の検査を行う(Step105)。そして、計測素子140の計測結果と、検査用コア160の検査結果に基づいて、第2遮蔽体130の交換の要否を判断する(Step106)。
第2遮蔽体130の交換が不要であると判断された場合は、検査した検査用コア160を検査孔150内に収める(Step109)。一方、第2遮蔽体130の交換が必要であると判断された場合は、図6(d)に示すように第1遮蔽体110と既設の第2遮蔽体130を取り外すとともに、新たな第2遮蔽体130を設置する(Step107)。第2遮蔽体130を交換すると、図6(e)に示すように検査した検査用コア160を検査孔150内に収め、図6(f)に示すように第1遮蔽体110を元に戻す(Step109)。このとき、検査した検査用コア160のうち放射化が認められたものは、新たな検査用コア160に交換したうえで検査孔150内に収めるとよい(Step108)。
本願発明の放射化抑制構造、及び壁体管理方法は、陽子線治療や重粒子線治療、中性子捕捉療法など中性子が発生する医療施設をはじめ、研究施設、検査施設、産業施設等などで、特に有効に利用することができる。本願発明は、中性子が発生する施設が現状抱える課題を解決するものであり、すなわち粒子線がん治療の普及を促進するとともに、放射線業務従事者の無用な被ばくを低減し、放射性廃棄物の発生を低減することを考えれば、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
100 本願発明の放射化抑制構造
110 (放射化抑制構造の)第1遮蔽体
111 (第1遮蔽体の)表面板
112 (第1遮蔽体の)中間板
113 (第1遮蔽体の)裏面板
120 (放射化抑制構造の)空隙部
130 (放射化抑制構造の)第2遮蔽体
140 (放射化抑制構造の)計測素子
150 (放射化抑制構造の)検査孔
160 (放射化抑制構造の)検査用コア
HC 確認孔
ND 加速器
CR (確認孔内の)コア
CW コンクリート壁体

Claims (3)

  1. 中性子が発生する室内を閉鎖するコンクリート壁体の放射化を抑制する構造において、
    表面板と中間板と裏面板が積層された遮蔽体を、備え、
    前記表面板が前記室内側となり、前記裏面板が前記コンクリート壁体側となるように、該コンクリート壁体の前面に前記遮蔽体が設置され、
    前記中間板は、放射化抑制用のハードウッドを用いた板状の部材であり、
    前記裏面板は、B4Cを含む樹脂を成型した薄膜状又は板状の部材であり
    前記中間板に含有される水素によって、中性子を弾性散乱させて熱中性子に変化させ、熱中性子を前記裏面板に吸収させる
    ことを特徴とする放射化抑制構造。
  2. 前記遮蔽体の前記表面板は、準不燃材又は不燃材からなる板状の部材である、
    ことを特徴とする請求項1記載の放射化抑制構造。
  3. 前記遮蔽体と前記コンクリート壁体との間に設けられた空隙部を、さらに備え、
    前記空隙部は、複数個所にスペーサーを離散的に配置することで、又は形鋼を線状若しくは格子状に配置することで、形成された、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放射化抑制構造。
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