JP2016181479A - リチウム二次電池用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極合材スラリーのゲル化を抑制するリチウム二次電池用組成物の提供。【解決手段】一般式(1)等で表すトリアジン誘導体からなる分散剤、炭素材料、バインダー、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を含むリチウム二次電池用組成物。(R1はH、有機色素残基等;X1は−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−等;P及びQはジアルキルアミノ基等を含む置換基;nは1〜4の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用組成物およびその製造方法、それを用いたリチウム二次電池用電極、リチウム二次電池に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子端末が広く用いられるようになってきた。これらの電子端末は、小型・軽量化が常に求められており、搭載される電池も小型、軽量かつ大容量化という、相反する機能の実現が求められている。また、自動車搭載用などの大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、高出力・高容量を実現する新たな二次電池が望まれている。
そのような要求に応えるため、リチウム二次電池の開発が活発に行われている。リチウム二次電池に使用される電極としては、リチウムを含む正極活物質、炭素材料、バインダーなどを金属でできた集電体の表面に固着させた正極、及び、リチウムイオンの脱挿入可能な負極活物質、炭素材料、バインダーなどを同様に固着させた負極が使用されている。
正極活物質としては、その安全性・安定性から従来コバルト酸リチウムが用いられてきたが、近年、車載用、大規模ストレージ用として更なる大容量化、高出力化のため、ニッケルを含んだリチウムニッケル複合酸化物の正極活物質への利用が検討されている。
しかし、正極活物質としてリチウムニッケル複合酸化物を用い、正極用合材スラリーを製造する際、スラリーが増粘してしまい、場合によってはスラリー自体がゲル化する事で電極膜を安定して作製する事ができなくなるという問題が生じ易い。これは、リチウムニッケル複合酸化物が、強塩基性を示す物質であり、バインダーとして使用されるポリフッ化ビニリデン樹脂の脱フッ化水素反応に伴う二重結合形成を促進し、更に分子間での架橋形成を引き起こすと考えられるためである。また、従来の合材スラリー作製法を使用して、リチウムイオン2次電池正極の合材スラリー作製する場合、その原料である、活物質、炭素材料を、バインダー成分及び溶剤の存在下、長時間混練し活物質及び炭素材料を十分に解す必要があり、この混練中に、過大な熱及び機械的ストレスが合材スラリーにかかることで、上記反応が促進され、合材スラリーの増粘やゲル化が引き起こされる恐れがある。
これを防ぐために、特許文献1では、電極合材スラリーに有機酸を加え、活物質由来の塩基性環境を中和する事でバインダー変性を抑えゲル化を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2では、リン酸或いはリン酸化合物を用いることで増粘を抑える技術を開示している。更に、特許文献3に於いては、溶剤中の不純物を抑え、pH域を制限する事で、バインダーの変性を抑えゲル化を抑える技術を開示している。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、合材スラリーに増粘抑制効果を得るために酸を加える必要があり、活物質へのダメージによる電池性能の低下や製造ラインの腐食等の問題があった。また、特許文献2や3に開示されている技術では、強塩基性であるリチウムニッケル複合酸化物のような活物質を使用した際には、十分なゲル化抑制効果が得られないという問題があった。更に、特許文献3の技術では、溶剤中の不純分除去のみでは、十分にゲル化抑制効果を上げることができず、更に効果の高いゲル化抑制方法の開発を行う必要がある。
特開2000−123823号公報 特開2013−175325号公報 特開平10−208729号公報
本発明が解決しようとする課題は、活物質として強塩基性であるリチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を用いた際にも、合材スラリーの固形分が高く、経時安定性に優れ、ゲル化や粘度上昇が抑制されることで、良好な塗工性と電極の作製が可能なリチウム二次電池用組成物を提供することである。また、安定した塗膜を形成することで、良好な状態電池特性を与える事ができるリチウム二次電池用電極を提供することである。更に、良好な電池特性を持つリチウム二次電池を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、リチウムニッケル複合残価酸化物、中でも、特に強い塩基性を示すリチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を使い合材スラリーを製造する際に、特定の分散剤を使用することにより、電極合材スラリーのゲル化抑制をすることが可能となる事を見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)または一般式(6)で表わされる分散剤と、炭素材料と、バインダーと、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物とを含んでなるリチウム二次電池用組成物に関する。
Figure 2016181479
(一般式(1)中、
1は、水素原子、下記一般式(5)で表される基、有機色素残基(ただし、一般式(5)で表される基を除く)、または芳香族化合物残基(ただし、一般式(5)で表される基及び有機色素残基を除く)である。
1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X2−Y−X3−である。
2は、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−である。
3は、−NH−または−O−である。
Yは、直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいアリーレン基である。
一般式(1)におけるPは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基または下記一般式(4)で表される基である。
一般式(1)におけるQは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基、下記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン原子または−X1−R1である。
2は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
nは、1〜4の整数である。)
Figure 2016181479
(一般式(2)〜(4)中、
4は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または−X5−Y−X6−である。
5は、−NH−または−O−である。
6は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または−CH2−である。
Yは、一般式(1)におけるYと同義である。
vは、1〜10の整数である。
3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
3およびR4が、いずれも水素原子でない場合は、R3とR4は、互いに結合して環を形成しても良い。
5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
9は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。)
Figure 2016181479
(一般式(5)中、
TおよびUは、それぞれ独立して、−X8−R10またはW1である。
8は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−である。
10は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。
1は、上記一般式(2)で表される基、上記一般式(3)で表される基、上記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2またはハロゲン原子である。
2は、一般式(1)におけるR2と同義である。
7は、−NH−または−O−である。
Yは、一般式(1)におけるYと同義である。)
Figure 2016181479
(一般式(6)中、
12は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。Zは、一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基または一般式(4)で表される基、又は有機色素残基である。
nは、1〜4の整数である。)
また、本発明は、バインダーが、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体を含んでなることを特徴とする上記リチウム二次電池用組成物に関する。
また、本発明は、一般式(1)または一般式(6)で表わされる分散剤と、炭素材料と、バインダーとを含んでなるリチウム二次電池用組成物であって、バインダーが、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体を含んでなることを特徴とする電池用組成物に関する。
また、本発明は、一般式(1)または一般式(6)で表わされる分散剤と、炭素材料と、バインダーとを含んでなる組成物と、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を混合する上記リチウム二次電池用組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、集電体上に合材層を有する電極であって、前記合材層が、上記リチウム二次電池用組成物によって形成されてなることを特徴とするリチウム二次電池用電極に関する。
また、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、電解質とを具備してなるリチウム二次電池であって、前記正極および/または負極が、上記二次電池用電極であるリチウム二次電池に関する。
本発明を実施することで、活物質として強塩基性であるリチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を用いた際にも、合材スラリーの固形分が高く、経時安定性に優れ、ゲル化や粘度上昇が抑制された、良好な塗工性と電極の作製が可能なリチウム二次電池用組成物を提供することが可能となる。また、これにより、安定した塗膜を形成することができ、良好な状態電池特性を与えるリチウム二次電池用電極を提供することが可能となる。更に、良好な電池特性を持つリチウム二次電池を提供することが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
<分散剤>
本発明に用いる分散剤は、一般式(1)または一般式(6)で表される分散剤である。
有機色素残基とは、有機色素構造を有する置換基の事であり、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の残基が挙げられる。本特許に使用するのに好適な有機色素残基としては、フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素の残基が挙げられる。
芳香族化合物残基とは、化合物中にベンゼン環を有する化合物であり、複素環をその構造中に有していても良い。また、ここで定義される芳香族化合物残基からは、前述の有機色素残基に挙げられた構造は除外する。具体的には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン等の残基、また、複素環構造を含むものとしては、例えば、フタルイミド、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、トリアジン等の残基が挙げられる。本特許にもちいるのに好適な芳香族化合物残基としては、アクリドン、ベンゼン、フタルイミド、カルバゾール、トリアジンの残基が挙げられる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられるが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好適である。
アルケニレン基としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−CH2−CH=CH−CH2−等が挙げられる。
アリーレン基としては、−C64−(フェニレン基)、−C106−、−C148−が挙げられるが、−C64−(0−フェニレン基、p−フェニレン基)がより好適である。
また、本特許で使用する分散剤には、構造中の水素原子が他の原子または官能基により置換されてもよい、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基を使用することができる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられるが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基がより好適である。
また、アルケニル基としては、エチレニル基、プロピレニル基、ブチレニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等が挙げられるが、フェニル基がより好適である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、塩素がより好適である。
上記で挙げた基は、更に他の置換基によって置換されていてもよく、そのような置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシル基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)、およびフェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)等が挙げられる。
好適な組み合わせとしては、以下に挙げるものがある。
一般式(1)に於いて、R1が、フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素の残基であって、X1が−X2−Y−X3−であり、X2が−NH−、−CONH−、−SO2NH−であり、Yが置換されていても良いフェニレン基であり、X3が−NH−または−O−。P、Qは一般式(2)、(3)でX4がアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基。R3とR4が置換されていても良いアルキル基であるもの。
一般式(1)に於いて、R1が、フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素の残基であって、X1が−X2−Y−X3−であり、X2が−NH−、−CONH−、−SO2NH−であり、Yが置換されていても良いフェニレン基であり、X3が−NH−または−O−。Pは一般式(2)、(3)でX4がアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基。R3とR4が置換されていても良いアルキル基で、Qが水素原子、−OH、O−R2、−NH−R2であるもの。
一般式(1)に於いて、R1が置換されていても良い芳香族化合物残基であり、X1が−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−。P、Qは一般式(2)、(3)で、X4が−CH2−または−X5−Y−X6−であり、X5が−NH−または−O−、Yが置換されていても良いフェニル基であり、X6が直接結合、−CH2−であり、R3とR4が置換されていても良いアルキル基であるもの。
一般式(1)に於いて、R1が置換されていても良い芳香族化合物残基であり、X1が−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−。Pは一般式(2)、(3)で、X4が−CH2−または−X5−Y−X6−であり、X5が−NH−または−O−、Yは直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、X6が直接結合、−CH2−であり、R3とR4が置換されていても良いアルキル基。Qは−X1−R1、−O−R2、−NH−R2であるもの。
一般式(1)に於いて、X1が−X2−Y−X3−であり、X2が直接結合−CONH−、−SO2NH−であり、Yが置換されていても良いフェニレン基であり、X3が−NH−または−O−。Pは一般式(2)、(3)でX4が−X5−Y−X6−であり、X5が−NH−または−O−、Yは直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、X6が−SO2−、−CO−、−であり、R3とR4が置換されていても良いアルキル基。Qは−O−R2、−NH−R2で、R2は置換されていてもよいアリール基。 R1が、一般式(5)であって、X7が−NH−または−O−であり、TがW1であり、W1は一般式(2)、(3)でX4が−X5−Y−X6−であり、X5が−NH−または−O−、Yは直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、X6が−SO2−、−CO−、−であり、R3とR4が置換されていても良いアルキル基。UがTとは独立してW1であり、W1は−O−R2、−NH−R2で、R2は置換されていてもよいアリール基であるもの。
一般式(1)に於いて、X1が−X2−Y−X3−であり、X2が直接結合−CONH−、−SO2NH−であり、Yが直接結合であり、X3が−NH−または−O−。P、Qは一般式(2)、(3)で、X4が−CH2−または−X5−Y−X6−であり、X5が−NH−または−O−、Yは直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、X6が直接結合、−CH2−であり、R3とR4が置換されていても良いアルキル基。 R1が、一般式(5)であって、X7が−NH−または−O−であり、T、Uはそれぞれ独立して−X8−R10であり、X8が−NH−、−O−であり、R10が芳香族化合物残基であるもの。
一般式(6)に於いて、R12がフタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素の残基であって、Zが一般式(2)、(3)でX4がアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基。R3とR4が置換されていても良いアルキル基であるもの。
一般式(6)に於いて、R12がフタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素の残基であって、Zが一般式(4)でX4がアルキレン基、スルホニル基、カルボニル基。R3とR4が水素原子、或いは置換されていても良いアルキル基であるもの。
また、請求項中の置換基の結合方向は、一般式(1)、一般式(4)、一般式(5)に関しては置換基の記載方向左側を環側に、それ以外は置換基の結合方向左側が構造式の左側を向くものとする。
<炭素材料>
本発明における炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
炭素材料の酸化処理は、炭素材料を空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基を炭素材料表面に直接導入(共有結合)する処理であり、炭素材料の分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、酸化処理をしていない炭素材料の使用が好ましい。
カーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。
カーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<バインダー>
本発明の組成物には、更に、バインダー成分を含有させることが好ましい。使用するバインダーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。更に、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンを含む共重合体といった、異種の単量体どうしを共重合させた高分子化合物の使用が特に好ましい。また、バインダーとしてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましい。
<正極活物質>
本発明のリチウム二次電池組成物は、上記分散剤、炭素材料、および溶剤以外に、正極活物質として、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を含有させる。リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物は、ニッケル、コバルト、アルミニウムが固溶化した層状構造を有し、各遷移金属の比率は、適宜変更して用いる事ができる。
その他、併用可能な正極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、これらの複合酸化物、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーを使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
<溶剤>
本発明に使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられる。
炭素材料の分散安定性を得るためには、極性の高い溶剤を使用するのが好ましい。とりわけ、比誘電率が15以上、200以下、好ましくは15以上、100以下、更に好ましくは、20以上、100以下の極性溶剤を使用することが、炭素材料の良好な分散安定性を得るのに好ましい。比誘電率は、溶剤の極性の強さを表す指標のひとつであり、浅原ほか編「溶剤ハンドブック」((株)講談社サイエンティフィク、1990年)等に記載されている。
比誘電率が15以上の溶剤としては、例えば、メチルアルコール(比誘電率:33.1)、エチルアルコール(23.8)、2−プロパノール(18.3)、1−ブタノール(17.1)、1,2−エタンジオール(38.66)、1,2−プロパンジオール(32.0)、1,3−プロパンジオール(35.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、ジエチレングリコール(31.69)、2−メトキシエタノール(16.93)、2−エトキシエタノール(29.6)、2−アミノエタノール(37.7)、アセトン(20.7)、メチルエチルケトン(18.51)、ホルムアミド(111.0)、N−メチルホルムアミド(182.4)、N,N−ジメチルホルムアミド(36.71)、N−メチルアセトアミド(191.3)、N,N−ジメチルアセトアミド(37.78)、N−メチルプロピオンアミド(172.2)、N−メチルピロリドン(32.0)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(29.6)、ジメチルスルホキシド(48.9)、スルホラン(43.3)、アセトニトリル(37.5)、プロピオニトリル(29.7)、水(80.1)等が挙げられるが、これらに限定されない。
溶剤としては、非プロトン性の極性溶剤が好ましい。非プロトン性の極性溶剤とは、溶剤自身にプロトンを放出する能力がなく、また自己解離もしない極性溶剤であり、非プロトン性の極性溶剤は水素結合による自己会合を生じず、溶剤自身の凝集性が弱い。そのため炭素材料の凝集体への浸透力が強く、上記分散剤が炭素材料表面に作用するのを助ける効果が期待される。また、非プロトン性の極性溶剤は、溶剤自身の凝集性が弱いために溶解力が強く、種々の分散剤や樹脂を溶解することができる為、汎用性に優れる。好ましい非プロトン性の極性溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドの様な窒素をジアルキル化したアミド系溶剤、N−メチルピロリドン(以下NMPと記載する)、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明における溶剤の選択について、塩基性官能基を持つ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基を持つ芳香族化合物基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤と、導電助剤としての炭素材料、溶剤以外に、後述する電極活物質もしくはバインダー等を更に添加する場合は、上述の炭素材料の分散性に与える溶剤の影響に加え、電極活物質との反応性、およびバインダー成分に対する溶解性等を鑑みつつ行う。分散効果が高く、活物質との反応性が低く、バインダーの溶解性の高い溶剤を選択することが好ましい。
<本発明の組成物の用途>
本発明の組成物は、正極合材に用いることができる。正極合材に用いる場合は、上記分散剤、炭素材料、溶剤を含む電極用組成物に、正極活物質、およびバインダー成分を含有させたリチウム二次電池用組成物として使用することが好ましい。
リチウム二次電池用組成物中の総固形分に占める活物質の割合は、80重量%以上、98.5重量%以下が好ましい。また、リチウム二次電池用組成物中の総固形分に占める、塩基性官能基を持つ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基を持つ芳香族化合物基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤と、炭素材料とを合わせた固形分の割合は、0.5重量%以上、19重量%以下が好ましい。そして、リチウム二次電池用組成物中の総固形分に占める、バインダー成分の割合は、1重量%以上、10重量%以下が好ましい。また、リチウム二次電池用組成物の適正粘度は、リチウム二次電池用組成物の塗工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、50,000mPa・s以下、特に2000mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
本発明におけるリチウム二次電池用組成物は、炭素材料粒子の分散性に優れるだけでなく、正極活物質の凝集を緩和する効果もある。炭素材粒子の分散性が優れるため、炭素材料および正極活物質を溶剤に混合・分散する際のエネルギーが、炭素材料の凝集物に阻害されることなく効率よく活物質に伝わり、結果的に正極活物質の分散性も向上させることができるものと思われる。
そして、リチウム二次電池用組成物では、正極活物質の周りに導電助剤である炭素材料粒子を均一に配位・付着させることができ、正極合材層に優れた導電性および密着性を付与できる。また、導電性が向上することにより、炭素材料の添加量を減らすことができるため、正極活物質の添加量を相対的に増やすことができ、電池の大きな特性である容量を大きくすることができる。
さらに、本発明のリチウム二次電池用組成物は、正極活物質、炭素材料の凝集が極めて少ないため、集電体に塗布した際に平滑性の高い均一な塗膜を得ることができ、集電体と正極合材との密着性が改善される。また、塩基性官能基を有する分散剤が炭素材料表面に作用(例えば吸着)しているため、リチウム遷移金属複合酸化物のような正極活物質の表面と炭素材料表面との相互作用が強まり、塩基性官能基を有する分散剤を使用しない場合と比較して正極活物質と炭素材料との密着性が向上する。
<本発明のリチウム二次電池用組成物の製造方法>
次に、本発明のリチウム二次電池用組成物の製造方法について説明する。
本 発明のリチウム二次電池用組成物は、例えば、塩基性官能基もつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、炭素材料、バインダーを溶剤に分散し、該分散体に正極活物質を混合ないしは分散することにより、製造することができる。また、分散体製造時には各成分の添加順序など、これに限定されるわけではなく、正極活物質に該分散体を添加することでリチウム二次電池用組成物を作製しても良い。
上記製造方法は、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤を、溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料、バインダーを添加、混合することで、これら分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、溶剤に分散するものである。このときの電池用組成物中における炭素材料の濃度は、使用する炭素材料の比表面積や表面官能基量などの炭素材料固有の特性値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重量%以下である。
塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤の添加量は、用いる炭素材料の比表面積等により決定される。一般には、炭素材料100重量部に対して、分散剤を0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以下、さらに好ましくは、2重量部以上、30重量部以下である。
また、上記分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、炭素材料を溶剤に分散するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーターおよびベッセルがセラミック製または樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーターおよびベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズや、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
バインダーの添加方法としては、上記分散剤の存在下、炭素材料を溶剤に分散してなる電池用組成物を攪拌しつつ、固形のバインダー成分を添加し、溶解させる方法が挙げられる。また、バインダー成分を溶剤に溶解したものを事前に作製しておき、上記電池用組成物と混合する方法が挙げられる。また、バインダー成分を上記電池用組成物に添加した後に、上記分散装置で再度分散処理を行っても良い。
また、塩基性官能基持つ有機色素残基を有する組成物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、炭素材料を溶剤に分散するときに、バインダー成分の一部ないしは全量を、同時に添加して分散処理を行うこともできる。
正極活物質の添加方法としては、上記分散剤の存在下、炭素材料とバインダーを溶剤に分散してなる電池用組成物を攪拌しつつ、正極活物質を添加し、分散させる方法が挙げられる。また、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基を有する芳香族化合物から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、炭素材料とバインダーを溶剤に分散するときに、正極活物質の一部ないしは全量を、同時に添加して分散処理を行うこともできる。また、このときの混合、分散を行うための装置としては、通常の顔料分散等に用いられている上述の分散機が使用できる。
炭素材料の分散粒径は、0.03μm以上、2μm以下、好ましくは、0.05μm以上、1μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.5μm以下に微細化することが望ましい。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
本発明の電池用組成物は、上述するように、通常は溶剤を含む分散体、ペーストなどとして、製造、流通、使用される。これは、炭素材料や活物質と分散剤を乾燥粉体の状態で混合しても、炭素材料や活物質に均一に分散剤を作用させることはできず、液相法で、分散剤の存在下、炭素材料や活物質を溶剤に分散することにより、炭素材料や活物質に均一に分散剤を作用させることができるからである。また、以下に説明するように、集電体に電極合材層を形成する場合には、液状の電池用組成物をできるだけ均一に塗布してこれを乾燥させることが好ましいからである。
また、本発明の製造方法としては、分散剤を溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加、混合する代わりに、上記分散剤をあらかじめ処理した炭素材料を溶剤に分散してもよい。
次に、炭素材料と、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる分散剤との液相処理について説明する。
本発明における液相処理は、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤と、炭素材料および溶剤とを混合し、分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程と、分散剤が作用した炭素材料を凝集させ、凝集粒子を得る工程を含むことが好ましい。
分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程においては、分散剤が溶剤中に完全ないしは一部溶解していることが好ましい。また、分散剤と、炭素材料および溶剤の混合物を更に混練・分散することが好ましい。
また、金属異物等のコンタミを除く工程を入れることが好ましい。カーボンブラック、グラファイトおよび、炭素繊維等の炭素材料には、それらの製造工程由来(ラインコンタミや触媒として)の金属異物等が含まれている場合が多く、これら金属異物等を除去することは、電池の短絡を防ぐために非常に重要となる。本発明では、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる分散剤の効果により、炭素材料の凝集がよくほぐれること、および分散体の粘度が低くなるため、分散剤が未添加の場合に比して、分散体中の炭素材料濃度が高い場合でも、効率良く金属異物を取り除くことができる。金属異物等を除く方法としては、磁石による除鉄や、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。異物を除く工程は、分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程中および/もしくはその後など、分散剤が作用した炭素材料を凝集させる工程よりも前に行うことが好ましい。
分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程において、使用する溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等の有機溶剤が挙げられる。
分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる工程としては、塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤と、炭素材料および、有機溶剤とを混合し、分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させる。とりわけ、上述の塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤を、有機溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加して混合・分散することで、これら分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させることが好ましい。
とりわけ、処理液中での炭素材料の濃度を上げ、処理効率を高めるためには、比誘電率が15以上、200以下、好ましくは15以上、100以下、更に好ましくは、20以上、100以下の極性溶剤を使用する。
塩基性官能基をもつ有機色素残基を有する化合物、塩基性官能基をもつ芳香族化合物残基を有する化合物から選ばれる1種以上の分散剤の添加量は、用いる炭素材料の比表面積等によるが、一般には、炭素材料100重量部に対して、分散剤を0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以下、さらに好ましくは、2重量部以上、30重量部以下である。
また、液相処理を行う処理液中の炭素材料濃度は、使用する炭素材料の比表面積や表面官能基量などの炭素材料固有の特性値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重量%以下である。
<リチウム二次電池>
次に、本発明のリチウム二次電池用組成物を用いたリチウム二次電池について説明する。
リチウム二次電池は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備する。前記正極合材層と前記集電体との間や、前記負極合材層と前記集電体との間には、電極下地層が形成されていてもよい。
電極について、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムの使用が好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、およびメッシュ状のものも使用できる。
集電体上に電極下地層を形成する方法としては、電極下地ペーストを電極集電体に塗布、乾燥する方法が挙げられる。電極下地層の膜厚としては、導電性および密着性が保たれる範囲であれば特に制限されないが、一般的には0.05μm以上、20μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、10μm以下である。
集電体上に電極合材層を形成する方法としては、集電体上に上述のリチウム二次電池用組成物を直接塗布し乾燥する方法、および集電体上に電極下地層を形成した後にリチウム二次電池用組成物を塗布し乾燥する方法などが挙げられる。電極合材層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
塗布方法については、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法等が挙げられる。また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<電解液>
本発明のリチウム二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、LiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−オクタノイックラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のグライム類、メチルフォルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類、が挙げられる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明のリチウム二次電池用組成物を用いたリチウム二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレータとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型など、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
<分散剤の構造>
実施例で使用した分散剤について、構造を表1〜表4に示した。
Figure 2016181479
Figure 2016181479
Figure 2016181479
Figure 2016181479
<炭素材料>
炭素材料としては、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を使用した。
<バインダー>
バインダーとしては、以下のバインダーを使用した。
KFポリマーW#7200(クレハ社製):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)。以下「#7200」と略記することがある。
KFポリマーW#7500(クレハ社製):フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体。以下「#7500」と略記することがある。
<電池電極形成用組成物(分散体)の製造>
[実施例1]
表5に示した組成に従い電池用組成物を調製した。まず、ガラス瓶に、NMP84.00部と、表1に示した分散剤Aを0.40部と,バインダー#7200を7.60部仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、炭素材料としてデンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を8.0部加えて、ホモジナイザーで1時間分散し、電池用組成物1を得た。
[実施例2〜4、18〜20]
表5に示した組成に従い、分散剤として分散剤Aから分散剤B〜D、M〜Oに変更した以外は、実施例1と同様にして、電池用組成物2〜4、18〜20を得た。
[実施例5]
表5に示した組成に従い、バインダーを#7200から#7500に変更した以外は、実施例4と同様にして、電池用組成物5を得た。
[実施例6]
表5に示した組成に従い、NMPを84.00部と、表1に示した分散剤Dを0.48部と,バインダー#7200を5.92部仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、炭素材料としてデンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を9.6部加えて、ホモジナイザーで1時間分散し、電池用組成物6を得た。
[実施例7]
表5に示した組成に従い、NMP 84.25部をミキサーで攪拌しつつ、表2に示した分散剤Eを0.75部加えて撹拌溶解させた。次に、炭素材料であるデンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を15部加えてミキサーで混合した後、更にサンドミルで分散を行い、電池用組成物7を得た。
[実施例8、9]
表5に示した組成に従い、分散剤として分散剤Eから分散剤F、Gに変更した以外は、実施例7と同様にして、電池用組成物8、9を得た。
[実施例10、11、12]
表5に示した組成に従い、分散剤として分散剤Dから分散剤H,I,Jに変更した以外は、実施例6と同様にして、電池用組成物10、11、12を得た。
[実施例13]
表5に示した組成に従い、分散剤Dを分散剤Jに、バインダーを#7200から#7500に変更した以外は、実施例6と同様にして、電池用組成物13を得た。
[実施例14]
表5に示した組成に従い、NMPを84.00部と、表3に示した分散剤Jを0.50部と,バインダー#7200を5.50部仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、炭素材料としてデンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を10.0部加えて、ホモジナイザーで1時間分散し、電池用組成物14を得た。
[実施例15、17]
表5に示した組成に従い、分散剤として分散剤Jから分散剤K、Lに変更した以外は、実施例6と同様にして、電池用組成物15、17を得た。
[実施例16]
表5に示した組成に従い、バインダーを#7200から#7500に変更した以外は、実施例17と同様にして、電池用組成物16を得た。
[比較例1]
表5に示した組成に従い、NMPを88.00部と、バインダー#7200を6.0部仕込み、充分に混合溶解、または混合分散した後、炭素材料としてデンカブラックHS−100(電気化学工業社製)を6.0部加えて、ホモジナイザーで1時間分散し、電池用組成物21を得た。
[比較例2]
表5に示した組成に従い、バインダーを#7200から#7500に変更した以外は、比較例1と同様にして、電池用組成物22を得た。
Figure 2016181479
<リチウム二次電池用組成物の製造>
[実施例21]
実施例1で製造した電池用組成物1 22.29部をディスパーで攪拌しつつ、正極活物質として平均粒径8.0μmのリチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物(LiNi0.80Co0.15Al0.052、以下、NCAと略記)54.52部を徐々に添加した後、合材スラリーの固形分が58%となるように溶剤としてNMPを更に加えて、ディスパーで30分間混合する事で正極合材スラリーを製造した。
[実施例22〜24、38〜40]
表6に示した材料の内、電池用組成物1に変えて、各電池用組成物に変更したこと以外は、実施例21と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例25]
表6に示した材料の内、電池用組成物1に変えて、各電池用組成物5に変更したこと、バインダーを#7200変えて、#7500に変更したこと以外は、実施例21と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例26]
実施例6で製造した電池用組成物6 36.05部をディスパーで攪拌しつつ、NCA 50.40部を徐々に添加した後、合材スラリーの固形分が56%となるように溶剤としてNMPを更に加えて、ディスパーで30分間混合する事で正極合材スラリーを製造した。
[実施例27]
実施例7で製造した電池用組成物7 12.18部とバインダーとして#7200のNMP溶液(固形分8%)21.75部を採取しディスパーで混合して均一化する。この混合液をディスパーで攪拌しつつNCA54.6部を徐々に添加した後、合材スラリーの固形分が58%となるように溶剤としてNMPを更に加えて、ディスパーで30分間混合する事で正極合材スラリーを製造した。
[実施例28]
表6に示した材料の内、電池用組成物7に変えて、電池用組成物8に、バインダーを#7200から#7500に変更したこと以外は、実施例27と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例29]
表6に示した材料の内、電池用組成物7に変えて、電池用組成物9に変更したこと以外は、実施例27と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例30〜32]
表6に示した材料の内、電池用組成物6に変えて、各電池用組成物に変更したこと以外は、実施例26と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例33]
表6に示した材料の内、電池用組成物6に変えて、電池用組成物13に、バインダーを#7200から#7500に変更したこと以外は、実施例26と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例34]
実施例14で製造した電池用組成物14 27.84部をディスパーで攪拌しつつ、NCA 49.68部を徐々に添加した後、合材スラリーの固形分が54%となるように溶剤としてNMPを更に加えて、ディスパーで30分間混合する事で正極合材スラリーを製造した。
[実施例35、37]
表6に示した材料の内、電池用組成物14に変えて、電池用組成物15、17に変更したこと以外は、実施例34と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[実施例36]
表6に示した材料の内、電池用組成物14に変えて、電池用組成物16に変更したこと、バインダーを#7200から#7500に変更したこと以外は、実施例34と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
[比較例3]
比較例1で製造した電池用組成物21 25.5部をディスパーで攪拌しつつ、NCA 47.94部を徐々に添加した後、合材スラリーの固形分が51%となるように溶剤としてNMPを更に加えて、ディスパーで30分間混合する事で正極合材スラリーを製造した。
[比較例4]
表6に示した材料の内、電池用組成物21に変えて、電池用組成物22に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、正極合材スラリーを製造した。
Figure 2016181479
<合材スラリーの評価>
(増粘度の評価)
正極合材スラリーの増粘度の確認には、合材スラリーの初期粘度をB型粘度計で25℃にて測定後(初期粘度)、作製した合材スラリーをポリプロピレン製密閉容器内(アイボーイ)に入れ25℃恒温槽3日経過後に粘度の再測定を行い(経時増粘度)評価を行った。増粘度は、経時粘度/初期粘度により算出された値であり、以下の基準に従って判定した。評価基準の優劣の順位は、(良好)←◎>○>△>×→(劣る)である。

◎:経時粘度/初期粘度=1〜1.2
○:経時粘度/初期粘度=1.2〜1.5
△:経時粘度/初期粘度=1.5以上
×:経時粘度/初期粘度=ゲル化
Figure 2016181479
表7に示す様に、実施例21〜40の本発明に示した合材スラリーは、増粘及びゲル化を抑制する効果があることが示された。実施例21〜40と比較例3の結果を比較すると、高塩基性でゲル化が非常に進行易い活物質であるNCAを使用した合材スラリーであるにも拘らず、本発明で示した分散剤の存在により、合材スラリーの増粘が抑制されている事がわかる。更に、実施例25、28、33、36をみると、分散剤と#7500との併用を行うことで、更に合材スラリーの増粘を抑制できる結果を得る事ができた。
この理由に関しては、定かではないが、合材スラリーが増粘、ゲル化する際にバインダーとして使用されているポリフッ化ビニリデン分子間で相互架橋反応が進行する事で増粘していくと考えられることより、本発明で示した分散剤が合材スラリー中に存在する事で、ポリフッ化ビニリデンの分子間で起きる架橋反応阻害要因となり増粘を抑制する、或いは、活物質より溶出する強塩基性物との間で相互作用し、脱フッ化水素反応を抑える効果を発揮しているものではないかと推測される。更に、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を使用により、脱フッ化水素化による二重結合形成が抑えられ、架橋反応を抑制するため、相乗的に効果を挙げ、より安定した合材スラリーとなると考ええられる。
<二次電池用電極(正極)の製造>
塗工塗膜乾燥後の電極の厚みが100μmとなるように、上記製造し経時放置した後の正極合材スラリーを再撹拌後、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布し塗工膜を作成、これを、120℃の乾燥炉で乾燥し塗工物を得た。これに、更に、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが85μmとなる正極を製造した。
<二次電池(コイン型電池)の製造>
上記方法により得られた正極を、直径16mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔を対極とした。 これら作用極、対極の間にポリプロピレンより成る多孔質セパレータを挟み積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)で極間を満たす形でコイン型電池を製造した。コイン型電池は、アルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で作製後、以下に示す電池特性評価を行った。
<二次電池(正極)の評価>
正極について、50サイクルと200サイクルの放電容量維持率を測定した。結果を表8に示す。
(サイクル特性(50サイクル))
得られたコイン型電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行い、充電レート1.0Cで充電終止電圧4.3Vまで定電流定電圧充電を続け満充電とした後に、放電レート1.0Cで放電終止電圧2.5Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして50サイクルの充電・放電を繰り返し、「放電容量維持率(50サイクル)=50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量」とし、放電容量維持率によって以下の基準に従って判定した。評価基準の優劣の順位は、(良好)←◎>○>△>×→(劣る)である。

◎:「放電容量維持率が95%以上」
○:「放電容量維持率が90%以上、95%未満」
△:「放電容量維持率が85%以上、90%未満」
×:「放電容量維持率が85%未満」
(サイクル特性(200サイクル))
50サイクルと同様に、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用いて充放電測定を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして200サイクルの充電・放電を繰り返し、「放電容量維持率(200サイクル)=200サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量」とし、放電容量維持率によって以下の基準に従って判定した。評価基準の優劣の順位は、(良好)←◎>○>△>×→(劣る)である。

◎:「放電容量維持率が90%以上」
○:「放電容量維持率が85%以上、90%未満」
△:「放電容量維持率が80%以上、85%未満」
×:「放電容量維持率が80%未満」
Figure 2016181479
表8に示すように、実施例21〜40の本発明リチウム二次電池用組成物から形成された二次電池用電極を用いた電池では、比較例に対してサイクル特性(放電容量維持率)に優れることが明らかとなった。これは、本発明のリチウム二次電池用組成物を用いた実施例では、合材スラリー内部におけるバインダー間の架橋構造形成が抑制されることにより、電極塗布後に均一で安定した合材膜が形成されたと類推する。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)または一般式(6)で表わされる分散剤と、炭素材料と、バインダーと、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物とを含んでなるリチウム二次電池用組成物。
    Figure 2016181479
    (一般式(1)中、
    1は、水素原子、下記一般式(5)で表される基、有機色素残基(ただし、一般式(5)で表される基を除く)、または芳香族化合物残基(ただし、一般式(5)で表される基及び有機色素残基を除く)である。
    1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X2−Y−X3−である。
    2は、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−である。
    3は、−NH−または−O−である。
    Yは、直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいアリーレン基である。
    一般式(1)におけるPは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基または下記一般式(4)で表される基である。
    一般式(1)におけるQは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基、下記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン原子または−X1−R1である。
    2は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    nは、1〜4の整数である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(2)〜(4)中、
    4は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または−X5−Y−X6−である。
    5は、−NH−または−O−である。
    6は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または−CH2−である。
    Yは、一般式(1)におけるYと同義である。
    vは、1〜10の整数である。
    3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    3およびR4が、いずれも水素原子でない場合は、R3とR4は、互いに結合して環を形成しても良い。
    5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    9は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(5)中、
    TおよびUは、それぞれ独立して、−X8−R10またはW1である。
    8は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−である。
    10は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。
    1は、上記一般式(2)で表される基、上記一般式(3)で表される基、上記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2またはハロゲン原子である。
    2は、一般式(1)におけるR2と同義である。
    7は、−NH−または−O−である。
    Yは、一般式(1)におけるYと同義である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(6)中、
    12は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。Zは、一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基または一般式(4)で表される基、又は有機色素残基である。
    nは、1〜4の整数である。)
  2. バインダーが、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体を含んでなることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用組成物。
  3. 一般式(1)または一般式(6)で表わされる分散剤と、炭素材料と、バインダーとを含んでなるリチウム二次電池用組成物であって、バインダーが、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体を含んでなることを特徴とする電池用組成物。
    Figure 2016181479
    (一般式(1)中、
    1は、水素原子、下記一般式(5)で表される基、有機色素残基(ただし、一般式(5)で表される基を除く)、または芳香族化合物残基(ただし、一般式(5)で表される基及び有機色素残基を除く)である。
    1は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X2−Y−X3−である。
    2は、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2−である。
    3は、−NH−または−O−である。
    Yは、直接結合、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基または置換されていてもよいアリーレン基である。
    一般式(1)におけるPは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基または下記一般式(4)で表される基である。
    一般式(1)におけるQは、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される基、下記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2、ハロゲン原子または−X1−R1である。
    2は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    nは、1〜4の整数である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(2)〜(4)中、
    4は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または−X5−Y−X6−である。
    5は、−NH−または−O−である。
    6は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または−CH2−である。
    Yは、一般式(1)におけるYと同義である。
    vは、1〜10の整数である。
    3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    3およびR4が、いずれも水素原子でない場合は、R3とR4は、互いに結合して環を形成しても良い。
    5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。
    9は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(5)中、
    TおよびUは、それぞれ独立して、−X8−R10またはW1である。
    8は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−である。
    10は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。
    1は、上記一般式(2)で表される基、上記一般式(3)で表される基、上記一般式(4)で表される基、−O−R2、−NH−R2またはハロゲン原子である。
    2は、一般式(1)におけるR2と同義である。
    7は、−NH−または−O−である。
    Yは、一般式(1)におけるYと同義である。)
    Figure 2016181479
    (一般式(6)中、
    12は、有機色素残基または芳香族化合物残基(ただし、有機色素残基を除く)である。Zは、一般式(2)で表される基、一般式(3)で表される基または一般式(4)で表される基、又は有機色素残基である。
    nは、1〜4の整数である。)
  4. 請求項3記載の電池用組成物と、リチウムニッケルコバルトアルミ複合酸化物を混合する事を特徴とする請求項1または2記載のリチウム二次電池用組成物の製造方法。
  5. 集電体上に合材層を有する電極であって、前記合材層が、請求項1または2記載のリチウム二次電池用組成物によって形成されてなることを特徴とするリチウム二次電池用電極。
  6. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、電解質とを具備してなるリチウム二次電池であって、前記正極および/または負極が、請求項5記載の二次電池用電極であるリチウム二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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