JP2016179660A - 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 - Google Patents
印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016179660A JP2016179660A JP2015062359A JP2015062359A JP2016179660A JP 2016179660 A JP2016179660 A JP 2016179660A JP 2015062359 A JP2015062359 A JP 2015062359A JP 2015062359 A JP2015062359 A JP 2015062359A JP 2016179660 A JP2016179660 A JP 2016179660A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- allowable error
- nozzle
- image
- printing
- printing apparatus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Printers Characterized By Their Purpose (AREA)
- Ink Jet (AREA)
- Accessory Devices And Overall Control Thereof (AREA)
Abstract
【課題】 白スジや干渉縞の発生を抑えることができる装置および方法を提供する。【解決手段】 この装置は、印刷媒体上を移動させることにより印刷を行う印刷装置であって、印刷装置の移動情報を取得する取得手段と、取得された移動情報に基づき、液滴を吐出する各ノズルの初期位置に対する位置を算出するノズル位置算出手段と、算出された各ノズルの位置と、画像を印刷媒体上に印刷した場合の該画像を構成する各画像要素の位置との許容誤差を、該画像要素毎に変更する許容誤差調整手段と、算出された各ノズルの位置と、変更された許容誤差とに基づき、各ノズルにつき液滴を吐出させるか否かを判断する吐出可否判断手段とを含む。【選択図】 図6
Description
本発明は、印刷媒体上を移動させることにより印刷を行う印刷装置、その印刷装置を含む印刷システムおよびその印刷方法に関する。
タブレット端末やスマートフォン等の情報通信端末(スマートデバイス)の急激な普及により、プリンタにおいても小型化、携帯化が大きな要望の1つとして挙げられている。このような要望に鑑み、紙搬送システムを削除し、人の手で紙面等の平面上を自由に走査(フリーハンド走査)しながらインクを塗布するハンドヘルドプリンタが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、上記特許文献1では、インクを吐出するノズルの位置の位置決め、位置情報を得てから印字するまでの印字制御の流れも明確にされていない。これでは、ノズルの正確な位置の算出や印字制御を行うことはできない。その点、上記特許文献2では、位置決めや印刷制御の流れが明確にされている。
上記特許文献2に記載の技術では、ノズルの位置を検出し、画素データを最も近い位置にあるノズルから吐出させる。図1に示すように、例えば150dpiでノズルが配置されたヘッドを傾けると、実効的なノズル密度は150dpiより高い151dpi等に高密度化する。画素データ自体は、150dpiで作成されるため、このように高密度化すると、特許文献2に記載の最も近い位置にあるノズルから吐出させる構成では、インクを吐出しないノズルが発生する。すると、インクが吐出されない部分が線状に延び、白スジや干渉縞が発生するという問題があった。
そこで、ヘッドが傾いた場合であっても、白スジや干渉縞の発生を防止することができる装置や方法の提供が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑み、印刷媒体上を移動させることにより印刷を行う印刷装置であって、印刷装置の移動情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された移動情報に基づき、液滴を吐出する各ノズルの初期位置に対する位置を算出するノズル位置算出手段と、ノズル位置算出手段により算出された各ノズルの位置と、画像を印刷媒体上に印刷した場合の該画像を構成する各画像要素の位置との許容誤差を、該画像要素毎に変更する許容誤差調整手段と、ノズル位置算出手段により算出された各ノズルの位置と、許容誤差調整手段により変更された許容誤差とに基づき、各ノズルにつき液滴を吐出させるか否かを判断する吐出可否判断手段とを含む、印刷装置が提供される。
本発明によれば、ヘッドが傾いた場合であっても、白スジや干渉縞の発生を防止することができる。
図2は、本実施形態の印刷装置としてのハンドヘルドプリンタを含む印刷システムの構成例を示した図である。ハンドヘルドプリンタ10は、人が片手で持ち運びできる大きさ、重量で、ノートや定型用紙等の印刷媒体12上を自由に移動させ、印刷媒体12に印刷することができるプリンタである。
ハンドヘルドプリンタ10は、インク等の液滴をノズルから吐出して印刷媒体12に印刷するインクジェット方式のプリンタとすることができる。なお、ハンドヘルドプリンタ10は、これに限られるものではなく、細いピンをインクリボンに叩き付けて印刷するドットインパクト方式等を採用することもできる。また、ハンドヘルドプリンタ10は、モノクロプリンタであってもよいし、カラープリンタであってもよい。
ハンドヘルドプリンタ10は、印刷する対象の画像を画像データとして受信し、その画像に基づき、印刷媒体12上にインク等を吐出して印刷を行う。印刷する対象の画像は、文字のみからなるものであってもよいし、図、絵、写真等を含むものであってもよい。ハンドヘルドプリンタ10は、画像データとともに、印刷設定情報を受信し、印刷設定情報に基づき画像を形成することができる。印刷設定情報としては、モノクロ/カラーの指定等を挙げることができる。
ハンドヘルドプリンタ10は、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信により、画像データを保持するスマートデバイス11から画像データを受信する。ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11からの画像データを、直接受信してもよいし、アクセスポイント等を介して受信してもよい。ハンドヘルドプリンタ10は、無線通信に限られるものではなく、ケーブル等で接続し、有線通信により画像データを受信してもよい。
スマートデバイス11は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等の情報通信端末とされ、ハンドヘルドプリンタ10と無線通信を行い、自身が保持する画像データをハンドヘルドプリンタ10へ送信する。また、スマートデバイス11は、サーバ等の他の機器から受信して取得した画像データを、ハンドヘルドプリンタ10へ送信することもできる。
スマートデバイス11は、画像データ、その画像データを表示するアプリケーション、OS等を記憶する記憶装置、アプリケーションを実行するCPU、画像を表示する表示装置、その画像の印刷指示を入力する入力装置を備える。なお、表示装置、入力装置は、別個の装置として構成されたものに限らず、これらの機能を備えるタッチパネルとされていてもよい。
ユーザは、スマートデバイス11の電源を入れ、アプリケーションを起動させ、画像を表示させる。ユーザは、その画像を印刷したい場合、例えば、タッチパネルに表示された印刷開始ボタンをタップすることにより印刷を指示することができる。この印刷指示を受けて、スマートデバイス11は、その画像の画像データを無線通信によりハンドヘルドプリンタ10へ送信する。
ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11から印刷対象の画像データを受信する。ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を持ち、印刷媒体12上を自由に移動させる。この間、ハンドヘルドプリンタ10は、各ノズルの位置を算出する。実際には、ハンドヘルドプリンタ10は、各ノズルの位置を、最初に決められた初期位置を基準とした座標位置(相対位置)として算出する。そして、ハンドヘルドプリンタ10は、受信した画像データの画像を構成する画像要素の座標位置から、算出したノズルの座標位置が許容誤差内にある場合に、その画像要素を印字する印字データを、記録ヘッドを制御する制御部に送る。複数のノズルを有する記録ヘッドは、制御部による制御を受けて、その座標位置のノズルからインクを吐出させ、その印字を行う。ハンドヘルドプリンタ10は、これを繰り返して印刷媒体12に印刷を行う。
ハンドヘルドプリンタ10は、図2に示すように、箱状のものとされ、インクを吐出するための複数のノズルを有する。ハンドヘルドプリンタ10は、複数のノズルを有する面を、平面状の印刷媒体12に押し当てるようにして使用される。複数のノズルは、押し当てた際に、その先端が印刷媒体12の表面から離間するように配置されている。なお、ノズル先端から印刷媒体12までの距離は、ノズルからインクを吐出して適切に印字することができる距離として予め決定されている。ユーザは、印刷媒体12にハンドヘルドプリンタ10の複数のノズルを有する面を押し当て、印刷媒体12上を左から右へ、一段下げて、右から左へ、というように移動させることにより印刷媒体12に印刷を行う。
図3は、ハンドヘルドプリンタ10のハードウェア構成を示した図である。なお、スマートデバイス11については、通常のPCやスマートフォン等の構成と同様であり、上記で簡単に説明したので、その説明については省略する。ハンドヘルドプリンタ10は、電池やバッテリ等のハンドヘルドプリンタ10で使用する電源を供給する電源20を備える。また、ハンドヘルドプリンタ10は、制御部や記録ヘッド駆動回路等の各ユニットで使用する電源に変換する電源回路21を備える。また、電源回路21は、バッテリの充電回路やAC電源との切り替え等を行う。ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11から送信された画像データを受け付ける通信I/F22を備える。
ハンドヘルドプリンタ10は、ROM23、DRAM24、2以上のナビゲーションセンサ(以下、単にセンサと呼ぶ。)25、制御部26、操作ユニット(OPU)27、記録ヘッド28、記録ヘッド駆動回路29を備える。ROM23は、ハンドヘルドプリンタ10のハードウェア制御を行うファームウェア、記録ヘッド28を駆動させるための駆動波形データ、ハンドヘルドプリンタ10の初期設定を行うための初期設定データ等を格納する。DRAM24は、通信I/F22が受け付けた画像データの一時的な格納、ファームウェア動作時の作業領域、ROM23から展開されたファームウェアの格納等に使用される。
2以上のセンサ25は、ハンドヘルドプリンタ10の位置情報、記録ヘッドの位置情報を算出するために使用される。位置情報は、二次元平面における座標情報である。初期位置の位置情報は、例えば座標(0,0)とされる。2以上のセンサ25は、初期位置を基準にして指定された縦横二方向であるX軸方向およびY軸方向への移動距離(移動量)を算出し、出力する。X軸方向およびY軸方向は、初期位置を検出する際のセンサ25の位置を基準とし、その水平方向およびその垂直方向とされる。センサ25が複数のノズルが並ぶ前後に設けられる場合、ノズルおよびセンサ25が並ぶ垂直方向がY軸方向とされ、それに垂直な水平方向がX軸方向とされる。なお、センサ25は、正確な位置座標を得るために、移動量に加えて記録ヘッド28の回転量、加速度等を検出してもよい。回転量は、例えばY軸を基準として記録ヘッド28の長手方向が傾いた角度とすることができる。したがって、回転量は、X軸を基準とした角度であってもよい。
制御部26は、SoC(System on Chip)と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とから構成することができる。なお、制御部26は、ASICではなく、製造後にユーザが構成を設定できるFPGA(Field Programmable gate alley)を用いてもよい。制御部26は、ハンドヘルドプリンタ10全体の制御を行う。例えば、制御部26は、センサ25からの情報に基づき、記録ヘッド28の各ノズルの位置座標や、その位置座標に応じた画像要素の選択、印字するかどうかの判定等を行う。制御部26が行う制御内容の詳細については後述する。
OPU27は、ハンドヘルドプリンタ10の状態を表示するLED、ユーザが印字動作を指示するためのスイッチ等から構成される。これらは一例であり、OPU27は、操作ボタンや液晶ディスプレイ(LCD)等を含んでいてもよい。また、OPU27は、タッチパネルを備えていてもよい。
記録ヘッド28は、インクを吐出するための複数のノズルを備える。複数のノズルは、記録ヘッド28の長手方向に沿って一定間隔で一列に配列するように設けることができ、一例に限らず、二列以上であってもよい。記録ヘッド28は、電圧をかけて圧電素子(ピエゾ素子)を変形させ、インクを吐出させるピエゾ方式であってもよいし、インクに熱を加え、発生した泡によりインクを押し出し、吐出させるサーマル方式であってもよい。
記録ヘッド駆動回路29は、印刷を行うための印字データと印字タイミングを指示する印字タイミング情報とを受け付ける。記録ヘッド駆動回路29は、印字タイミング情報で指示された印字タイミングに従い、印字データに基づき印刷媒体12にインクの吐出を行うことができるように記録ヘッド28の駆動制御を行う。記録ヘッド駆動回路29は、その駆動制御を行うために、記録ヘッド28を駆動するための駆動波形データを生成する。
通信I/F22が、スマートデバイス11から印刷ジョブ(画像データ)を受信すると、制御部26が、2以上のセンサ25からの入力情報を基に、記録ヘッド28上の各ノズルの位置を算出する。受信した画像データは、DRAM24に格納される。ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を片手で持ち、それを自由に移動させて印刷媒体12上を走査するが、制御部26は、その走査中、各ノズルの位置を算出し続ける。そして、制御部26は、算出した位置に応じた所定領域の画像(周辺画像)のみをDRAM24から取得する。
制御部26は、取得した周辺画像を構成する画像要素の位置と算出した各ノズルの位置を比較し、1以上のノズルにつき許容誤差内であると判断した場合、該1以上のノズルに対する印字データを記録ヘッド駆動回路29へ送る。記録ヘッド駆動回路29は、記録ヘッド28の駆動波形データを生成し、記録ヘッド28は、その駆動波形データに従って該1以上のノズルからインクを吐出させ、印刷を行う。
ここで、センサ25や各回路の詳細な構成および機能について説明する。まず、センサ25について、図4を参照して説明する。センサ25は、ホストI/F30、イメージプロセッサ31、LEDドライブ32、2つのレンズ33、34、イメージアレイ35を含んで構成される。LEDドライブ32は、LED光の照射を制御し、LED光を、レンズ33を介して印刷媒体12に照射する。イメージアレイ35は、印刷媒体12からの反射光を、レンズ34を介して受光する。レンズ33、34は、印刷媒体12の表面に対して光学的に焦点が合うように設置されている。
イメージアレイ35は、受光した光からイメージデータを生成し、イメージプロセッサ31へ出力する。イメージプロセッサ31は、入力されたイメージデータの画像から、移動情報として、センサ25の移動量を算出する。移動量は、X軸方向の移動量dXと、Y軸方向の移動量dYとして算出される。イメージプロセッサ31は、算出した移動量を、ホストI/F30を介して制御部26へ出力する。
光源としては、発光ダイオード(LED)を用いることができる。LEDは、表面が粗い印刷媒体12、例えば紙を使用する場合に有用である。これは、表面が粗い場合、影が発生するため、その影を特徴部分として、X軸方向およびY軸方向の移動量を正確に算出することが可能になるからである。これに対し、表面が滑らか、あるいは透明な印刷媒体12に対しては、光源としてレーザ光を発生させる半導体レーザ(LD)を使用することができる。LDで、例えば縞模様等を印刷媒体12上に形成することで、特徴部分を作ることができ、それを基に正確に移動量を算出することができるからである。
次に、センサ25の機能を、図5を参照して説明する。センサ25は、図5(a)にも示すように、LEDドライブ32、レンズ33、34、イメージアレイ35を含んで構成される。LEDドライブ32からの光は、レンズ33を介して印刷媒体12の表面に照射される。印刷媒体12の表面は、拡大してみると、図5(a)に示すように様々な形状の凹凸を有している。このため、様々な形の影が発生する。
イメージプロセッサ31は、予め決められたサンプリングタイミング毎に、レンズ34およびイメージアレイ35を介して反射光を受光し、イメージデータを生成し、生成したイメージデータの画像を、規定の分解能単位でマトリクス化する。すなわち、画像を複数の矩形領域に分割する。そして、イメージプロセッサ31は、前回のサンプリングタイミングで得られた画像と、今回のサンプリングタイミングで得られた画像とを比較し、その差分を検出し、それを移動量として算出する。
図5(b)に示す画像が、サンプリングタイミングSamp1、Samp2、Samp3で、この順に得られたものとする。この図5(b)を参照すると、画像中、黒、グレイで表された影である特徴部分の4つの矩形領域が向かって右から左へ1分解能ずつ移動していることが分かる。したがって、Samp1を基準とすると、Samp2では、X軸方向にのみ1分解能移動していることから、その出力値(dX,dY)は、(1,0)となる。また、Samp2を基準とすると、Samp3では、X軸方向にのみ1分解能移動しているため、この出力値も(1,0)となる。
dX、dYは、センサ自体の向きを基準としたX軸方向およびY軸方向の移動量であり、センサ25は、これらの移動量を出力する。したがって、ユーザによりハンドヘルドプリンタ10が印刷媒体12上で左右いずれかの方向へ回転され、それに従ってセンサ25も回転したとしても、その回転成分を検知することはできない。
次に、制御部26の詳細な構成および機能について、図6を参照して説明する。制御部26は、SoC40と、ASIC50とから構成される。SoC40は、ハンドヘルドプリンタ10全体の制御を行うCPU41と、DRAM24を制御するメモリコントローラ(CTL)42と、ROM23を制御するROM CTL43と、センサ25の位置や各ノズルの位置を算出する位置算出回路44とを含む。これらは、バス45に接続され、バス45を介してデータ等のやりとりを行う。
ASIC50は、ナビゲーションセンサI/F51と、タイミング生成回路52と、記録ヘッド制御回路53と、イメージRAM54、DMAC(Direct Memory Access Controller)55と、回転器56と、割り込み回路57とを含む。また、ASIC50は、許容誤差調整回路58と、吐出可否判定回路59とを含む。これらは、バス60に接続され、バス60を介してデータ等のやりとりを行う。なお、バス60は、バス45とも接続され、SoC40とASIC50はこれらバス45、60を介してデータ等のやりとりを行う。
ナビゲーションセンサI/F51は、センサ25と通信し、センサ25からの出力値であるdX、dYを受信し、その値を内部メモリである内部レジスタに格納する。タイミング生成回路52は、センサ25が光を照射し、印刷媒体12からの反射光をイメージデータとして取得するタイミングの情報を生成し、その情報をナビゲーションセンサI/F51に通知する。すなわち、タイミング生成回路52は、印刷媒体12を読み取るタイミングを指示する。また、タイミング生成回路52は、記録ヘッド28を駆動するタイミングの情報を生成し、その情報を記録ヘッド制御回路53に通知する。すなわち、タイミング生成回路52は、印刷を行うために複数のノズルからインクを吐出させるタイミングを指示する。
DMAC55は、位置算出回路44が算出した位置情報を基に、記録ヘッド28が備える各ノズルの周辺画像の画像データを、DRAM24から読み出す。イメージRAM54は、DMAC55が読み出した周辺画像の画像データを一時的に格納する。回転器56は、周辺画像を、ユーザにより指定されたヘッド位置や傾きに応じて回転させ、それを記録ヘッド制御回路53へ出力する。回転器56は、例えば、位置算出回路44が位置座標を算出する際に算出した回転角度を取得し、その回転角度を用いて周辺画像を回転させることができる。
記録ヘッド制御回路53は、上記の記録ヘッドを駆動するタイミングの情報から制御信号を生成し、回転器56から出力された周辺画像の画像データを受け付け、どのノズルからインクを吐出させるか判断する。記録ヘッド制御回路53は、判断結果およびタイミングの情報に応じて、インクを吐出させるノズルの情報、印字データを記録ヘッド駆動回路29に出力する。
割り込み回路57は、ナビゲーションセンサI/F51がセンサ25との通信を終了した際、SoC40にその旨を通知し、また、エラー等のステータス情報を通知する。許容誤差調整回路58は、位置算出回路44が算出した位置情報に基づき、目標吐出位置の許容誤差を動的に変更し、調整する。なお、目標吐出位置は、ユーザがOPU27のスイッチで印字動作の開始を指示した時の記録ヘッド28の位置および傾きを基準とし、画像データとそのX軸、Y軸方向の解像度(Xdpi、Ydpi)から求めることができる。吐出可否判定回路59は、許容誤差調整回路58により調整された許容誤差に基づき、各ノズルにつきインクを吐出させるか否かの判定を行う。
ここで、記録ヘッド28および記録ヘッド駆動回路29の構成および機能について、図7および図8を参照して説明しておく。図7に示す記録ヘッド28および記録ヘッド駆動回路29の構成は、インクジェット方式のプリンタで一般に採用されている構成である。記録ヘッド28は、複数のノズルを備え、各ノズルには、アクチュエータ70が設けられている。アクチュエータ70は、サーマル式、ピエゾ式のいずれであってもよい。
記録ヘッド駆動回路29は、アナログスイッチ71と、レベルシフタ72と、階調デコーダ73と、ラッチ74と、シフトレジスタ75とを備えている。記録ヘッド制御回路53は、記録ヘッド駆動回路29に対し、記録ヘッドのノズルの数(アクチュエータ70の数も同じ)分のシリアルデータである画像データSDを、画像データ転送クロックSCKによってシフトレジスタ75内に転送する。転送が終了すると、記録ヘッド制御回路53は、画像データラッチ信号SLnによりノズル毎に設けられたラッチ74に各画像データSDを記憶させる。
記録ヘッド制御回路53は、画像データSDをラッチさせた後、アナログスイッチ71へ各階調値のインク滴を各ノズルから吐出させるためのヘッド駆動波形Vcomを出力する。このとき、記録ヘッド制御回路53は、階調デコーダ73に対してヘッド駆動マスクパターンMNを階調制御信号として与えるが、そのヘッド駆動マスクパターンMNを駆動波形のタイミングに合わせて選択するように遷移させる。階調デコーダ73は、階調制御信号MNとラッチされた画像データとを論理演算し、レベルシフタ72は、論理演算した得られた論理レベル電圧信号を、アナログスイッチ71を駆動できる電圧レベルまで昇圧する。
アナログスイッチ71は、昇圧された電圧信号を受け付け、ON/OFFすることにより、記録ヘッド内のアクチュエータ70へ供給する駆動波形VoutNが各ノズルで異なる波形となる。記録ヘッドは、この駆動波形に基づきインク滴を吐出させ、印刷媒体12に印刷を行う。
記録ヘッド駆動制御は、図8に示すタイミングで行われる。すなわち、画像データ転送クロックSCKに従って時間t1の間に各ノズルに対する画像データSDが転送される。転送後の時間t2の間に画像データSDがノズル毎にラッチされる。ラッチ後、時間t3の間に階調制御信号MN、ヘッド駆動波形Vcomが入力され、それらにより上記の演算等が行われ、画像データに基づいたインクの吐出が行われる。図8では、4つの階調制御信号MN[0]、MN[1]、MN[2]、MN[3]が階調デコーダ73に入力されている。
次に、センサと各ノズルの組み付け位置の関係について、図9を参照して説明する。センサは、2以上設けられる。具体的には、図9に示すように、等間隔で一列に並ぶノズル80の配列方向の前後に少なくとも1つずつ設けられる。センサ81a、81b間の距離cは、長い程良い。これは、センサ81a、81bの位置を算出する際にその演算誤差が小さくなるからである。
図9では、2つのセンサ81a、81bが設けられている。このとき、センサ81aの中心から記録ヘッド28の一端までの距離は距離a、センサ81bの中心から記録ヘッド28の他端までの距離は距離bで表すことができる。また、記録ヘッド28の両端から該両端に最も近いノズル80までの距離はそれぞれ距離d、各ノズル80間の距離は距離eで表すことができる。これらの距離a〜eは、予め決められた距離であり、センサ81a、81bの位置座標を算出することで、各ノズル80の各位置座標を算出することができる。
印刷媒体12の横方向をX軸、縦方向をY軸とし、センサ81a、81bの出力軸も同様とする。図9に示すように、ハンドヘルドプリンタ10がユーザによる走査で角度θほど傾いた場合、センサ81a、81bの出力値は、XY軸を基準としたものではなく、角度θほど傾いたX’Y’軸を基準としたものになる。このため、センサ81a、81bの出力値は、X’Y’軸の水平方向、垂直方向へ移動した移動量となり、印刷媒体12のXY軸の水平方向、垂直方向へ移動した移動量ではなくなる。このような場合でも、得られた移動量から逐次、印刷媒体12のXY軸に対する座標位置を算出し、その座標位置を格納するようにしておけば、正常な座標位置を把握することができる。
センサ81a、81bの座標位置を算出する方法について、図10を参照して簡単に説明する。図10では、ハンドヘルドプリンタ10が印刷媒体12のXY軸に対して角度θだけ回転していて、さらに走査した際、角度dθだけ回転したところを示している。向かって左側のハンドヘルドプリンタ10は、走査前のプリンタを、向かって右側のハンドヘルドプリンタ10は、走査後のプリンタを示している。
走査前のプリンタが備える2つのセンサ81a、81bの位置座標を(X0,Y0)、(X1,Y1)とし、2つのセンサ81a、81b間の距離をLとする。センサ81aが、印刷媒体12に対して、走査前の位置座標(X0,Y0)から走査後の位置座標に移動するX軸方向への移動量をdX0、Y軸方向への移動量をdY0とする。センサ81aが基準とする角度θで傾いたX’軸方向への移動量をdXS0、Y’軸方向への移動量をdYS0とする。センサ81bが基準とする角度θで傾いたX’軸方向への移動量をdXS1、Y’軸方向への移動量をdYS1とする。
位置座標の算出は、回転移動成分と並行移動成分の2つに分けて考える。回転移動成分は、センサ81aとセンサ81bのX’軸方向の差分から、下記式1により算出することができる。
並行移動成分は、印刷媒体12に対するハンドヘルドプリンタ10の傾きを表す角度θを保持し、三角関数を用いて、下記式2によりセンサ81aの移動量dX0、dY0として算出することができる。
このことから、センサ81aの走査後の位置座標は、(X0+dX0,Y0+dY0)として算出することができる。算出した後は、その走査後の位置座標を(X0,Y0)とし、同様の方法で、さらに走査した後の位置座標を算出することができる。
センサ81aの走査後の位置座標を算出した際、センサ81bの走査後の位置座標(X1,Y1)は、下記式3により算出することができる。走査後の位置座標は(X1,Y1)として、次の走査後の位置座標を算出するため、ここでは走査後の位置座標も走査前と同様、(X1,Y1)としている。
センサ81a、81bで移動量を算出し、それから記録ヘッドの各ノズルの座標位置を算出する際、角度dθは無視できるほど小さい値となる。例えば、L=1inch、400mm/sという高速で走査を行い、そのサンプリング周期が100μsであった場合、1サンプリング周期で移動できる距離は40μm、回転できる角度dθは0.0015程度である。このようなdθ<<1といった条件の下では、dθ=sindθ=tandθが成立する。そこで、上記式3は、上記式1および加法定理を使用して、下記式4のように書き換えることができる。
上記式4では、走査前に比較して走査後がどれだけ回転したかを示すdθを使用してsin(θ+dθ)、cos(θ+dθ)を求める必要はなく、sinθ、cosθの値があれば、位置座標を算出することができる。この演算は、角度dθが無視できるほど小さい値であることを条件とし、前回算出した位置座標とその移動量とから位置座標を算出するため、サンプリング周期毎に実施し続ける必要がある。なお、この位置座標の算出をサンプリング周期毎に実施することにより、2つのセンサ81a、81bの印刷媒体12に対する二次元座標を逐次把握することが可能となる。
図11を参照して各ノズル80の位置座標の算出方法について説明する。センサ81aの中心から記録ヘッドの一端までの距離は距離a、センサ81bの中心から記録ヘッドの他端までの距離は距離bで表される。また、記録ヘッドの両端から該両端に最も近いノズル80までの距離はそれぞれ距離d、各ノズル80間の距離は距離eで表される。これらの距離a〜eは、予め決められた距離である。センサ81aの位置座標は(X0,Y0)であり、センサ81bの位置座標は(X1,Y1)である。
各ノズル80の座標位置NZLN_X、NZLN_Yは、センサ81a側から配列するノズル80の順番をNとすると、次の式5により算出することができる。
記録ヘッドは、一列にノズル80が並ぶものに限らず、カラー印刷を行うために、二列以上にノズル80が並ぶものであってもよい。センサ81a、81bを結ぶ直線上に配列するノズル80は、上記式5を使用してその位置座標を算出することができる。一方、その直線上にはないノズル80については、ノズル列間の距離fと、三角関数を用いて算出することができる。
許容誤差調整回路58による許容誤差の変更および吐出可否判定回路59による吐出可否判定について説明する前に、その変更を行わない場合の吐出可否判定について説明する。図12に示すように、画像要素の位置座標であるインクの目標吐出位置と、ノズル80の現在位置との間には、一定の許容誤差が設けられる。この一定の許容誤差は、許容誤差範囲として、インクの目標吐出位置から求められる。
吐出可否判定では、ノズルの現在位置が、目標吐出位置から求められた許容誤差範囲内にある場合にのみ、インク吐出を許可すると判定する。また、一定の許容誤差であるから、目標吐出位置に対する誤差の±を表す値は同一かつ固定である。したがって、図12に示すように、目標吐出位置にある画像要素82を中心とし、左右上下に一定距離の破線で示される矩形の領域が許容誤差範囲83となる。
現在、記録ヘッド28が図12に示す走査位置にあり、矢線で示す走査方向、走査速度で走査されており、ノズル80の1つ(真ん中のノズル)がその許容誤差範囲83内に入っている。この例では、そのノズル80に対し、許容誤差範囲83内にあるため、インク吐出を許可すると判定する。
このように、許容誤差がすべての目標吐出位置につき同一かつ固定である場合、その許容誤差範囲83が狭ければ、目標吐出位置に対する実際のインクの着弾位置精度は向上し、高画質となる。しかしながら、吐出可否判定でインク吐出を許可すると判定される確率は低くなり、ユーザは、印字したい領域において走査を何回も行わなければならなくなる。許容誤差をなくし、目標吐出位置とノズルの現在位置とが完全に一致した場合にのみ、インク吐出を許可するようにすると、何度走査しても印字されない画像が残るということも起こり得る。
一方、許容誤差範囲83を広くすると、ノズル吐出を許可すると判定される確率が高くなり、生産性が向上する。しかしながら、目標吐出位置に対する実際のインクの着弾位置精度は低下する。なお、許容誤差の上限は、目標吐出位置の解像度の±50%であり、これ以上広い許容誤差を設定すると、1つの目標吐出位置に対し、複数のノズル80がインク吐出を許可されてしまう。
このことから、1回の走査で確実に印字を行うことと、その条件の下で目標吐出位置に極力近づけることを両立するためには、許容誤差範囲83は、目標吐出位置の解像度の±50%であることが望ましい。
このように±50%の許容誤差としても、記録ヘッド28が傾いて走査される場合、同一目標吐出位置に対する許容誤差範囲83内に複数のノズル80が入る場合がある。そのような場合に、記録ヘッド制御回路53は同一の目標吐出位置の許容誤差範囲に対して複数のノズル80から吐出しないように、同一の目標吐出位置の許容誤差範囲に対して1つのノズルからのみ吐出が許可されるように吐出制御する。この吐出制御は、例えば目標吐出位置に対して最も距離が近いノズルからのみ吐出が許可されるように行う、もしくはy座標軸上において、目標吐出位置に対して最も距離が近いノズルからのみ吐出が許可されるように行う、またはx座標軸上において、目標吐出位置に対して最も距離が近いノズルからのみ吐出が許可されるように行うことができる。
図13にそれを例示すると、各目標吐出位置に対する各許容誤差範囲内に各ノズル80が入っている。ただし、真ん中のノズルだけは、2つの許容誤差範囲の境界に位置している。この場合、記録ヘッド制御回路53は、真ん中のノズル以外からは吐出し、真ん中のノズルからは吐出しないように制御する。記録ヘッド28の傾きとY軸方向の位置が、図13(a)〜(c)に示す時刻T=1からT=3において大きく変化しない場合、吐出されない真ん中のノズルが固定化される。このため、印刷結果は、図13(d)に示すように、真ん中のノズルが通過する部分のみ印字されない白い線状の白スジが発生する。
なお、記録ヘッド28は一列に配列する複数のノズル80を備えるため、白スジは一本に限らず、複数本発生する場合もある。そして、それが干渉縞となって現れる場合もある。この白スジや干渉縞の発生を抑えるべく、許容誤差調整回路58が画像要素毎に許容誤差の範囲を変更し、吐出可否判定回路59がその変更された許容誤差範囲を用いて吐出可否判定を行う。すなわち、許容誤差の範囲を調整して、吐出されないノズルを固定化しないようにする。
同じノズルから吐出されないように制御すると、その部分が白スジとなって目立つが、上記のように許容誤差の範囲を変更して、吐出されないノズルを変えることで、インクのない白い部分が分散し、白スジの発生を防止することができる。白スジは、印刷された画像を見る上で目立つが、分散された白い点は、画像を見る上でそれ程目立たない。
図14を参照して、制御部26が行う印刷制御の流れを説明する。ステップ1400から制御を開始し、ステップ1401では、ユーザがスマートデバイス11の電源ボタンを押下すると、スマートデバイス11はそれを受け付け、電池やバッテリ等から電源を供給して起動する。ハンドヘルドプリンタ10も電源をONにして起動する。ステップ1402では、ユーザがスマートデバイス11上で印刷する画像を選択し、スマートデバイス11はその画像の選択を受け付ける。ステップ1403では、ユーザが選択した画像の印刷を指示し、スマートデバイス11が印刷ジョブの実行をハンドヘルドプリンタ10に対して要求する。この要求で画像データがハンドヘルドプリンタ10へ送信される。このとき、出力範囲や画質等の印刷設定情報も同時に送信される。これにより、制御部26は、画像データおよび印刷設定情報を取得する。
ステップ1404では、制御部26が、取得した情報に基づきASIC50の初期設定を行う。この初期設定では、画像データの格納先の設定、許容誤差範囲83の設定、各回路の初期化等を行う。ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を持ち、印刷したい媒体、例えばノート上で初期位置を決め、ハンドヘルドプリンタ10の印刷開始ボタンを押下する。ステップ1405では、ハンドヘルドプリンタ10がその印刷開始ボタンの押下を受け付け、ASIC50を起動し、センサ25による読み取りを開始する。また、各回路を起動する。センサ25は、即座に初期位置を検出し、続いて自動読み取りを行い、移動量の算出を行い、一定周期毎に算出した移動量をセンサ出力値として出力する。
ステップ1406では、ASIC50が、センサ25からセンサ出力値を受け付け、センサ25の位置情報の読み取りが完了したかを判断する。センサ出力値を受け付けるまで、この判断処理は繰り返される。そのセンサ出力値を受け付けると、ステップ1407へ進み、SoC40の位置算出回路44が、記録ヘッド28の位置や回転角度を算出する。この位置は、二次元の位置座標として算出される。ステップ1408では、SoC40が記録ヘッド28の位置座標をASIC50に通知し、ASIC50が、その記録ヘッド28の位置座標や回転角度から各ノズルの位置座標を算出する。なお、センサ25、位置算出回路44等は、ハンドヘルドプリンタ10の移動情報としての移動量、記録ヘッド28の位置、回転角度等を取得する取得手段として機能する。
ステップ1409では、ASIC50が、各ノズルの位置座標を基に、周辺画像の画像データをDRAM24からイメージRAM54へ読み出し、その周辺画像を構成する各画像要素の位置座標の許容誤差を算出する。このとき、ASIC50の許容誤差調整回路58が許容誤差を変更する。ステップ1410では、吐出可否判定回路59が、ノズルの位置が許容誤差範囲83内に入っているかどうかを判断することによりインクの吐出可否を判定する。ステップ1411では、インクを吐出させるために、記録ヘッド制御回路53へ対応する画像要素の印字データを出力する。
ステップ1412では、印字が完了したかどうかを判断する。印字すべき画像を全て出力し終えた場合、ユーザが途中で印字を中断した場合、印字を停止すべきエラーが発生した場合に印字を完了する。これらの条件が発生しない場合は、ステップ1406へ戻り、次の位置情報を読み取る制御に戻る。印字が完了したと判断した場合、ステップ1413へ進み、この制御を終了する。
ステップ1409で行う許容誤差の変更は、例えば、図15に示す調整テーブルを使用して実施することができる。図15(a)に示すテーブルは、X座標に応じてY座標の許容誤差範囲を選択するテーブルとされている。この例では、3つのパターンから選択するようになっており、X軸座標が3の倍数、すなわち3Nの場合は一番上の許容誤差を、3N+1の場合は真ん中の許容誤差を、3N+2の場合は一番下の許容誤差を使用するように規定されている。
図15(a)に示すテーブルを使用して許容誤差範囲を変更し、吐出可否判定を行い、インクを吐出したときの様子を、図16に例示する。図13では、印刷結果が、白スジを発生させるものとなっていた。これに対し、図16では、破線で示される許容誤差範囲83が二列目、三列目でY軸方向に変更されているため、時刻T1では最上部のノズル、真ん中のノズルが吐出しないように制御されている。また、次の時刻T2では全てのノズルから吐出されるように制御され、さらに次の時刻T3では最下部のノズルが吐出しないように制御されている。このように、許容誤差範囲83を変更して、吐出されないノズルが固定化されないようにすることで、印刷結果において白丸で示される何も印字されない部分が分散し、白スジの発生を防止することができる。
このような制御は、図16に示すように、X軸方向への走査に対し、許容誤差範囲83のY軸方向の設定をX軸方向の位置によって変化させることにより実現されている。図16では、T=1のとき許容誤差範囲の境界付近に位置していた真ん中のノズルが、T=2、T=3では許容誤差範囲がY軸方向へシフトしたことにより、境界付近から許容誤差範囲内に入ることになり、吐出するノズルとして選択されている。その一方で、T=1、T=2では許容誤差範囲内に入っていた最下部のノズルがT=3では許容誤差範囲から外れ、吐出されないノズルとなっている。
記録ヘッド28がX軸方向へ移動する場合は、白スジがX軸方向へ延びるように発生するため、図15(a)に示すテーブルを使用し、吐出されないノズルを図16に示すようにY軸方向へ分散させるように制御することができる。これは一例であるので、Y軸方向へシフトさせることに限られるものではない。
記録ヘッド28のノズル列をX軸方向と略平行(わずかに傾きを持たせている状態)とし、Y軸方向に移動する条件では、図15(b)に示すテーブルを使用して制御することができる。この場合、吐出されないノズルをX軸方向へ分散させるように制御することができる。これも一例であるので、X軸方向へシフトさせることに限られるものではない。
上記の例ではいずれか一方向のみシフトさせるため、X軸方向へ分散させる制御と、Y軸方向へ分散させる制御との切り替えが問題となる。しかしながら、図15(c)に示すテーブルを参照し、記録ヘッド28の傾きに基づき、許容誤差範囲を変更するかを判断し、いずれのテーブルを使用して変更するかを決定することができる。このテーブルは、切り替える際の判定条件を示すテーブルである。白スジは、記録ヘッド28がX軸方向に対して略平行もしくはY軸方向に対して略平行になると目立つことから、記録ヘッド28とY軸との成す角が0°、90°、180°、…の近辺で許容誤差範囲83を変更することができる。
なお、許容誤差範囲83の変更は、図15に示すテーブルのほか、計算式を用いてX軸方向、Y軸方向の範囲を変更するための調整値を求め、許容誤差範囲83をその調整値により変更することができる。例えば、記録ヘッド28とY軸との成す角をθとし、X軸方向の座標をx、Y軸方向の座標をyとし、上記の調整値としての許容誤差範囲シフト量をΔx、Δy(%)とすると、下記式6により算出することができる。
ちなみに、A mod Bは、AをBで割ったときの剰余であり、上記式6は、一般的に下記式7のように表現することができる。下記式7中、f(A)は、Aの関数であり、THは、閾値である。
図15に示す調整テーブルを用いて許容誤差を変更する場合、図15(c)に示すテーブルを参照して、図15(a)に示すテーブルを用いるか、図15(b)に示すテーブルを用いるかを選択するテーブルの切り替えが必要である。テーブルの切り替えを行う場合、不均一さが発生するため、テーブルの切り替えがない方が望ましい。そこで、許容誤差調整をX軸方向のみ、Y軸方向のみといった一次元ではなく、図17に示すようなX軸方向とY軸方向の両方を扱う二次元の入力データに基づき設定したテーブルを用いることができる。このテーブルを用いることで、テーブルの切り替えが不要になるため、不均一さに基づくスジの発生をなくすことができる。
この場合も、テーブルのほか、計算式を用いて調整値を求め、許容誤差範囲83をその調整値により調整することで、許容誤差範囲83を変更することができる。X軸方向の座標をx、Y軸方向の座標をyとし、許容誤差範囲シフト量をΔx、Δy(%)とすると、この許容誤差範囲シフト量は、下記式8により算出することができる。また、下記式8は、一般的に下記式9にように表現することができる。下記式9中、f(A,B)、g(A,B)は、AとBの関数を表す。
図17に示すテーブルを用い、許容誤差範囲を変更した場合の目標吐出位置と許容誤差範囲とを、図18に例示する。図16に示した許容誤差範囲83の一次元のシフトの場合とは異なり、許容誤差範囲83が重複する領域が発生し、また、許容誤差範囲同士が隣接せず、重複もしない空白領域が発生する。図18では、斜線で示される矩形の領域間に、空白領域が発生している。このように許容誤差範囲83が印字領域全体を網羅することができない場合、出力したい画像要素のインクが吐出されない可能性がある。これでは画像品質が低下するため、印字領域全体を網羅できるようにしなければならない。
そこで、1つの方法として、許容誤差範囲83を拡大する方法がある。例えば、予め指定された倍率で許容誤差範囲83を拡大することができる。例えば、図17中の±50%を±60%、+70%/−30%を+80%/−40%のように範囲を広げることができる。このように範囲を広げることで、重複する領域は広がるものの、網羅されない状況をなくすことができる。ここでは、倍率としたが、倍率に限られるものではなく、一定の値を増減することで、範囲を拡大させてもよい。
その他の方法として、矩形以外の形状の領域で許容誤差範囲83を指定する方法を挙げることができる。図19に示すような位置毎に許容誤差範囲83の形状を変えることで、許容誤差範囲83が印字領域全体を網羅されないという状況をなくすことができる。例えば、空白領域に隣接する許容誤差範囲83を特定し、特定した許容誤差範囲83の面積が均等になるように空白領域を分割し、特定した許容誤差範囲83に加える方法を採用することができる。なお、これは一例であるため、この方法に限定されるものではない。
また、空白領域があっても、吐出されないノズルが発生しないよう、空白領域間の最短距離を、インクの吐出間隔の最大値より大きくすることで、インクの不吐出の発生を防止することができる。空白領域間の最短距離がインクの吐出間隔の最大値と同じか、小さい場合、空白領域上に連続してノズルが位置し、インクが連続して吐出されず、そのインクの不吐出が白スジとなる可能性があるからである。
これまでに説明してきた処理により、吐出されないノズルを分散させ、白スジの発生を防止することができるが、この方法は、ベタ画像や中間調画像に対しては効果が見込める。しかしながら、例えば走査方向と平行な細線等、白スジが発生しにくい画像に対して、このような処理を行うと、線がぼやけて却って画質の劣化に繋がる場合がある。
図20および図21は、細線を印字する場合の例を示した図で、図20は、許容誤差範囲83の変更を行わない場合の例で、図21は、許容誤差範囲83の変更を行った場合の例である。図21を見て分かるように、吐出されないノズルを分散させる、許容誤差範囲83を変更した場合の方が、画質が劣化している。これは、許容誤差範囲83をY軸方向にシフトさせた結果、それまでインクを吐出していたノズルが許容誤差範囲83内に入らなくなってしまい、他のノズルが許容誤差範囲83内に入ったためである。
このことから、画像の特性を検出し、その特性に基づき、許容誤差範囲83を変更するかどうかを判断し、その特性が上記のような走査方向と平行な細線からなるものである場合、許容誤差範囲83の変更を行わないようにすることが望ましい。このため、制御部26は、画像の特性を検出する特性検出手段、許容誤差を変更するか否かを判断する調整有無判断手段をさらに備えることができる。
なお、画像の特性を検出する方法としては、従来から用いられている像域分離手段によりテキスト領域とグラフィック領域に分ける方法を挙げることができる。テキストは、走査方向に平行な細線部分が多いことから、許容誤差範囲83の変更を行わない方が望ましく、グラフィック領域は、白スジが発生しないように許容誤差範囲83の変更を行う必要があるからである。このほか、例えば、Y軸方向の両側にはデータがなく、走査方向であるX軸方向に黒データが連続しているような、インクの吐出が連続する場合にのみ、許容誤差範囲の変更を行わないとし、その判断を簡略化することもできる。
以上のことから、許容誤差調整回路58により許容誤差範囲の変更および吐出可否判定回路59により判定を行うことで、白スジや干渉縞の発生を防止することが可能となる。また、許容誤差範囲の変更を行うかどうかを判断することができる構成を採用することで、白スジの顕著な領域のみに絞ってその範囲を変更することができる。
また、上記のように空白領域を減少させる、もしくは無くす、または不吐出を発生させないようにすることにより、白スジにも繋がるインクの不吐出を減少、もしくは無くすことができる。さらに、画像の特性を検出し、その特性に基づき変更を行うことで、白スジが発生すると目立ちやすい画像に限定して許容誤差を変更することができる。
これまで本発明を、印刷装置、印刷システムおよび印刷方法として上述した実施の形態をもって説明してきた。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができるものである。また、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…ハンドヘルドプリンタ、11…スマートデバイス、20…電源、21…電源回路、22…画像データ通信I/F、23…ROM、24…DRAM、25…センサ、26…制御部、27…OPU、28…記録ヘッド、29…記録ヘッド駆動回路、30…ホストI/F、31…イメージプロセッサ、32…LEDドライブ、33、34…レンズ、35…イメージアレイ、36…印刷媒体、40…SoC、41…CPU、42…メモリコントローラ、43…位置算出回路、44…バス、50…ASIC、51…ナビゲーションセンサI/F、52…タイミング生成回路、53…記録ヘッド制御回路、54…イメージRAM、55…DMAC、56…回転器、57…割り込み回路、58…許容誤差調整回路、59…吐出可否判定回路、60…バス、70…アクチュエータ、71…アナログスイッチ、72…レベルシフタ、73…階調デコーダ、74…ラッチ、75…シフトレジスタ、80…ノズル、81a、81b…センサ、82…画像座標、83…許容誤差範囲
Claims (10)
- 印刷媒体上を移動させることにより印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷装置の移動情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記移動情報に基づき、液滴を吐出する各ノズルの初期位置に対する位置を算出するノズル位置算出手段と、
前記ノズル位置算出手段により算出された各前記ノズルの位置と、画像を前記印刷媒体上に印刷した場合の該画像を構成する各画像要素の位置との許容誤差を、該画像要素毎に変更する許容誤差調整手段と、
前記ノズル位置算出手段により算出された各前記ノズルの位置と、前記許容誤差調整手段により変更された前記許容誤差とに基づき、各前記ノズルにつき前記液滴を吐出させるか否かを判断する吐出可否判断手段と
を含む、印刷装置。 - 前記許容誤差調整手段は、前記印刷装置の移動方向に応じて、前記初期位置を基準として指定された水平方向および垂直方向の少なくとも一方向の前記許容誤差の範囲を変更する、請求項1に記載の印刷装置。
- 前記許容誤差調整手段は、前記移動情報から得られる、前記水平方向または前記垂直方向に対する前記印刷装置の傾きに基づき、前記許容誤差を変更するか否かを判断し、前記許容誤差における前記水平方向および前記垂直方向のいずれの方向の範囲を変更するかを決定する、請求項2に記載の印刷装置。
- 前記許容誤差調整手段は、前記許容誤差の範囲を変更するとともに指定された倍率で該許容誤差の範囲を拡大する、または該許容誤差の範囲を表す領域の形状を矩形から該矩形以外の形状に変更する、請求項1または2に記載の印刷装置。
- 前記許容誤差調整手段は、前記許容誤差の範囲を表す領域が隣接または重複せず、空白領域を有する場合、前記空白領域間の距離を、前記液滴の吐出間隔の最大値より大きくするように前記許容誤差の範囲を変更する、請求項1または2に記載の印刷装置。
- 前記画像の特性を検出する特性検出手段と、前記特性検出手段により検出された前記画像の特性に基づき、前記許容誤差を変更するか否かを判断する調整有無判断手段とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 前記特性検出手段は、グラフィック領域を含むか否かを検出し、前記調整有無判断手段は、前記グラフィック領域を検出した場合に前記許容誤差を変更すると判断し、前記許容誤差調整手段は、前記グラフィック領域につき前記許容誤差の範囲を変更する、請求項6に記載の印刷装置。
- 前記特性検出手段は、前記液滴を連続して吐出すべき領域であるか否かを検出し、前記調整有無判断手段は、前記液滴を連続して吐出すべき領域であることを検出した場合に前記許容誤差を変更しないと判断する、請求項6に記載の印刷装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷装置と、前記印刷装置へ画像を送信する情報通信端末とを含む、印刷システム。
- 印刷装置を移動させることにより印刷媒体上に印刷を行う印刷方法であって、
前記印刷装置の移動情報を取得するステップと、
取得された前記移動情報に基づき、液滴を吐出する各ノズルの初期位置に対する位置を算出するステップと、
算出された各前記ノズルの位置と、画像を前記印刷媒体上に印刷した場合の該画像を構成する各画像要素の位置との許容誤差を、該画像要素毎に変更するステップと、
算出された各前記ノズルの位置と、変更された前記許容誤差とに基づき、各前記ノズルにつき前記液滴を吐出させるか否かを判断するステップと
を含む、印刷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015062359A JP2016179660A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015062359A JP2016179660A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016179660A true JP2016179660A (ja) | 2016-10-13 |
Family
ID=57130839
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015062359A Pending JP2016179660A (ja) | 2015-03-25 | 2015-03-25 | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016179660A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020124842A (ja) * | 2019-02-04 | 2020-08-20 | 株式会社リコー | 液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム |
CN113752698A (zh) * | 2021-08-31 | 2021-12-07 | 华中科技大学 | 一种用于喷墨印刷的墨滴落点精度控制方法及系统 |
CN114536975A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-05-27 | 华中科技大学 | 一种喷墨打印中墨滴落点定位精度检测方法及装置 |
-
2015
- 2015-03-25 JP JP2015062359A patent/JP2016179660A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020124842A (ja) * | 2019-02-04 | 2020-08-20 | 株式会社リコー | 液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム |
JP7206974B2 (ja) | 2019-02-04 | 2023-01-18 | 株式会社リコー | 液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム |
CN113752698A (zh) * | 2021-08-31 | 2021-12-07 | 华中科技大学 | 一种用于喷墨印刷的墨滴落点精度控制方法及系统 |
CN113752698B (zh) * | 2021-08-31 | 2022-07-12 | 华中科技大学 | 一种用于喷墨印刷的墨滴落点精度控制方法及系统 |
CN114536975A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-05-27 | 华中科技大学 | 一种喷墨打印中墨滴落点定位精度检测方法及装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6409435B2 (ja) | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 | |
US10308014B2 (en) | Non-transitory recording medium, image forming device, and image forming system | |
US10974521B2 (en) | Liquid droplet discharging apparatus, liquid droplet discharging method, and non-transitory computer readable medium | |
JP6926535B2 (ja) | 液滴吐出装置、液滴吐出方法、プログラム | |
JP6384262B2 (ja) | 印刷装置、方法およびプログラム | |
US9944089B2 (en) | Image forming apparatus and image forming method | |
JP2016112700A (ja) | ハンドヘルド記録装置 | |
US10406804B2 (en) | Printing apparatus, printing method, and non-transitory computer-readable recording medium | |
JP2020040382A (ja) | 画像形成装置、制御方法及び制御プログラム | |
US11017276B2 (en) | Information processing apparatus, printing system, printing method, and storage medium that correct widths of lines in a first direction included in a print image based on a print result of a line width detection image | |
JP7183642B2 (ja) | データ生成システム、通信端末、画像形成装置およびプログラム | |
JP2016179660A (ja) | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 | |
US9597896B2 (en) | Handheld recording device, recording device position detection method, and recording medium | |
JP2017170634A (ja) | 位置検出装置、液滴吐出装置、プログラム | |
JP6402585B2 (ja) | 印刷装置、方法およびプログラム | |
JP2016068552A (ja) | 印刷装置および印刷方法 | |
US20190245982A1 (en) | Communication terminal, image forming system, and recording medium | |
JP2017105122A (ja) | 液体吐出装置、液体吐出方法、プログラム | |
JP6776521B2 (ja) | 画像形成装置、プログラム及び方法 | |
JP2019022989A (ja) | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 | |
JP2020100151A (ja) | 印刷装置、印刷システムおよび印刷方法 | |
JP7218598B2 (ja) | 画像記録装置、画像記録方法およびプログラム | |
JP2019130734A (ja) | 印刷システム、端末装置、印刷装置、印刷方法及びプログラム | |
JP7206974B2 (ja) | 液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム | |
JP2019010778A (ja) | 印刷装置及び印刷方法 |