JP2016179606A - 口金およびその口金を用いたフィルムの製造方法 - Google Patents

口金およびその口金を用いたフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制し、優れた表面品位のフィルムを製造するための口金、及びその口金を用いてなる生産性に優れたフィルムの製造方法の提供。【解決手段】口金1は、圧縮部2を有する口金1であって、圧縮部2は、深さが1〜100μmで最大径が1〜90mmの凹部4、及び/又は、高さが1〜100μmで最大径が1〜90mmの凸部4を有し、凹部4及び凸部4の合計の数が、圧縮部2の幅方向100mm当たり1〜10個である口金1。口金2を用いて、熱可塑樹脂をシート状に押し出し、フィルム化し、前記熱可塑性樹脂がせん断速度120sec−1で、500〜2,500Pa・sの溶融粘度であるポリエステル樹脂であるフィルムの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、好適には熱可塑性樹脂フィルムを製造するための口金およびその口金を用いてなる熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、チップ状の熱可塑性樹脂を押出機によって溶融し、口金からその溶融された熱可塑性樹脂を含む組成物をシート状溶融物として吐出し、回転冷却体によりキャストおよび冷却固化させてシート化し、所望の厚さと幅に延伸してフィルムを得る方法が一般的である。
しかしながら、熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられる前記の口金については、溶融された熱可塑性樹脂をシート状溶融物として吐出する際に、製膜工程における熱可塑性樹脂フィルムの進行方向にスジ状の欠陥が生じるという課題があった。
その欠陥の原因としては、前記の溶融された熱可塑性樹脂が流動する口金壁面の傷や付着物、および口金のリップ部分の付着物が挙げられる。
これらの対策として、口金壁面の傷については、製膜の準備段階で口金のメンテナンスを行うことになるが、熱可塑性樹脂フィルムの製造を繰り返し行う中で熱や応力歪等が原因となり、メッキ被覆された口金壁面にクラック(ひび割れ)が徐々に発生し、さらにそのクラックの凹凸部分に付着物が付着するため、常に口金壁面の傷を皆無にさせることは、生産性やコスト面から現実的には不可能である。また、口金のリップ部分の付着物については、通常、可能な範囲で熱可塑性樹脂の溶融粘度を低くし、前記の口金壁面の傷や口金のリップ部分に溶融ポリマーを付着し難くする方法が行われる。しかしながら、長時間に亘って熱可塑性樹脂フィルムを製造する中で、ポリマー劣化物等による異物発生や、揮発成分によるロール表面の汚れ等、熱可塑性樹脂の熱安定性に起因する問題が生じて熱可塑性樹脂フィルムの品質を落とすという課題があった。
そのような技術背景の中で、非晶性の熱可塑性樹脂からなる光学用フィルムの製造方法において、圧力切込加工により研磨した、タングステンカーバイドのダイスリップのエッジ部および樹脂ランド面における、深さまたは高さ、および最大径を規定した凹部または凸部の個数を一定の範囲内とし、前記のダイスリップの表面粗さを規定したダイスを使用することを特徴とする光学用フィルムの製造方法が提案されている(特許文献1参照。)。この光学用フィルムの製造方法によれば、表面欠陥に起因する明暗のスジが確認されず、光漏れのない輝度の高い光源を備えた表示装置を得るための、従来のものよりダイラインが少ない光学用フィルムを得ることができる。
また別に、ポリカーボネート系樹脂を溶融押出製膜する際に、Tダイ吐出時のポリカーボネート系樹脂の溶融粘度が一定の範囲となる温度条件とし、TダイのリップエッジのRを規定することを特徴とする光学用フィルムの製造方法が提案されている(特許文献2参照。)。この光学用フィルムの製造方法によれば、スジ状欠陥を低減すると共に、比較的高温で押出した際に生じる欠陥も低減させることができる。
特許第4492116号公報 特開2014−108555号公報
しかしながら、上記の特許文献1と2に記載の光学用フィルムの製造方法は、口金に起因する欠陥を低減させることができるが、さらに優れた表面品位のフィルムを得る上ではなお十分ではなかった。また、熱可塑性樹脂からなるフィルムの製造における生産性についても、なお十分に考慮されていない。
このように従来技術では、溶融ポリマーが流動する口金壁面の凹部や凸部の個数を規定することにより、熱可塑性樹脂フィルムの口金起因の表面欠陥を低減させる方法が提案されているが、口金起因の表面欠陥を抑制する上で、より効果のある口金の部位については言及されていない。
そこで本発明の目的は、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制し、優れた表面品位のフィルムを製造するための口金、およびその口金を用いてなる生産性に優れたフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決せんとするものであって、本発明の口金は、圧縮部を有する口金であって、前記圧縮部は、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および/または、高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部を有し、前記凹部および前記凸部の合計の数が、前記圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下であることを特徴とする口金である。
また、本発明のフィルムの製造方法は、前記の口金を用いて、溶融された熱可塑性樹脂をシート状に押し出す工程を有するフィルムの製造方法である。
本発明のフィルムの製造方法の好ましい態様によれば、前記の熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂である。
本発明のフィルムの製造方法の好ましい態様によれば、前記の熱可塑性樹脂の溶融粘度は、せん断速度120sec−1で測定した際に500Pa・s以上2,500Pa・s以下である。
本発明によれば、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制し、優れた表面品位のフィルムを製造するための口金が得られる。また、本発明により、この口金を用いてなる生産性に優れたフィルムの製造方法が提供される。
図1は、本発明の口金を例示説明するための概略断面図である。 図2は、本発明の口金を例示説明するための概略斜視図である。
本発明を実施するための望ましい形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下、フィルムとは、熱可塑性樹脂フィルムを指す。
本発明の口金は、圧縮部を有する口金であって、前記圧縮部は、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および/または、高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部を有し、前記凹部および前記凸部の合計の数が、前記圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下の口金である。
次に、図1に示す本発明の口金を例示説明するための概略断面図、及び図2に示す本発明の口金を例示説明するための概略斜視図を用いて、本発明の口金について具体的に説明する。
本発明の口金は、図1と図2に示される圧縮部を有する口金であって、図2に示される圧縮部の凹部または凸部が、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および/または、高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部で、前記の凹部および前記の凸部の合計の数が、前記の圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下であることが重要である。
ここで、凹部または凸部の最大径とは、凹部または凸部の外周からはみ出すことなく直線距離が最長となるように外周上の2点を選定したときに、この2点を結んだ直線の長さをいう。通常、凹部または凸部は線形であり、凹部または凸部の最大径はその長さと等しい。圧縮部の幅方向とは、圧縮部の面と平行であり、かつ圧縮部において樹脂が流れる方向と垂直である方向をいう。
また、圧縮部の幅方向100mmとは、圧縮部の幅方向の間隔が100mmとなるように圧縮部上に任意に引いた2本の平行な直線と、圧縮部のスリット側の境界線、及びその反対側の境界線で囲まれる領域をいう。つまり、圧縮部の幅方向100mmあたりの凹部および凸部の合計の数とは、この領域中に含まれる凹部と凸部の数の和をいう。なお、領域の端にかかるためにその一部が切断されている凹部または凸部については、深さまたは高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下である限り一つと数える。このとき、凹部または凸部の外周は、凹部または凸部の外周と凹部または凸部を切断している境界線よりなる線とする。
前記の凹部の深さは、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制する観点から、1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。ここで、凹部の深さとは、凹部の最大深さをいう。
前記の凸部の高さは、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制する観点から、1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。ここで、凸部の高さとは、凸部の最大高さをいう。
前記の凹部と前記の凸部の最大径は、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制する観点から、1mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。
前記の凹部および前記の凸部の合計の数は、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥の抑制、生産性、口金のメンテナンスに要するコスト等の観点から、好ましくは前記の圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上5個以下である。これにより、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制し、優れた表面品位のフィルムを製造することができ、また、メンテナンスに要するコストを抑えつつ生産性を維持することができる。
前記の凹部および前記の凸部の合計の数が10個を超える場合、フィルムの凹凸が多発して表面品位を著しく損なう。また、前記の凹部および前記の凸部の合計の数を1個未満とすることは、生産性やコスト面から現実的でない。より具体的に説明すると、通常、口金壁面の傷については、製膜の準備段階で口金のメンテナンスを行うことになるが、フィルムの製造を繰り返し行う中で、溶融された熱可塑性樹脂(以下、溶融ポリマーということがある)の流れによる影響、および口金の厚み変更によるスリット部の変化による影響等の熱や応力歪等が原因となり、メッキ被覆された口金壁面にクラック(ひび割れ)が発生し、さらにそのクラックの凹凸部分に付着物が付着するため、常に前記の凹部および前記の凸部の合計の数を1個未満とすることは、生産性やコスト面から現実的でない。
なお、圧縮部を有する口金であって、前記圧縮部は、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および/または、高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部を有し、前記凹部および前記凸部の合計の数が、前記圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下の口金を得るための手段は特に限定されないが、例えば、圧縮部壁面にメッキ加工を施すことが挙げられる。前記凹部および前記凸部の合計の数は、圧縮部壁面のメッキの厚みにより制御することができる。具体的には、メッキの厚みを厚くすることにより、前記凹部および前記凸部の合計の数をより減らすことが可能である。
本発明の口金の種類は、本発明の効果を有する範囲において特に限定されないが、溶融ポリマーをシート状に吐出させることができる圧縮部を有するフラットダイが好ましい。このようなフラットダイとしては、具体的には、マニホールドダイ、テーパーマニホールドダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテイルダイ、マルチマニホールド多層ダイ、フィードブロック式多層ダイ、スクリューダイ、および厚み自動制御ダイ等が挙げられる。
フラットダイは、通常、溶融ポリマーの流入部やマニホールドのような整流用の溶融ポリマー溜部、コートハンガー状やフィッシュテイル状の溶融ポリマー流路の拡幅部、および、ある一定の間隙を保ったスリット部(ダイランド部とも呼ばれる)からなる。ここで、本発明で言う「圧縮部」とは、図示していないマニホールドから溶融ポリマーがシート状に吐出されるスリット部に通じる間に存在する、溶融ポリマーの流路が圧縮される部分を指す。例えば、図2に示される圧縮部がこれに該当する。
本発明の口金における圧縮部の態様は、マニホールドからスリット部にかけて溶融ポリマーの流路を狭くすることが可能な限り特に限定されず、角度、傾斜、および面の形状を任意に設定することができる。
本発明の口金は、口金壁面の強度向上や溶融ポリマー等の口金壁面への付着防止の観点から、圧縮部を含む溶融ポリマーが流動する壁面にメッキ加工や研磨処理が施されていることが好ましい態様である。メッキ加工としては、具体的には、ハードクロムメッキ、マイクロクラックハードクロムメッキ、アモルファスクロムメッキ、TiN・TiCN・TiC等のチタン系化合物、チッ化クロム、ダイヤモンドライクカーボン、立方晶窒化ホウ素、およびタングステンカーバイド等が挙げられる。また、前記のメッキ加工が施される下地の金属としては、通常はSUSや炭素鋼が好ましく用いられる。
本発明のフィルムの製造方法は、本発明の口金を用いて、溶融された熱可塑性樹脂をシート状に押し出す工程を有する。これにより、通常、口金のメンテナンスにかかる時間およびコストを削減することができ、生産性に優れたフィルムの製造方法が提供される。
次に、本発明のフィルムの製造方法を、具体的に説明する。
原料であるチップ状の熱可塑性樹脂を押出機に供給し、溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に500Pa・s以上2,500Pa・s以下となるような温度条件で溶融状態にして溶融混練し、ギヤポンプで計量後、濾過装置で溶融ポリマーを濾過し、異物やゲル化物等を取り除く。次いで、その濾過装置を通過した溶融ポリマーを、本発明の口金で目的の幅と厚みに成形した後、連続的に一定量のシート状溶融物として吐出させる。次いで、押し出されたシート状溶融物に上面または下面から静電荷を析出させて、10℃から60℃に設定された回転冷却体(キャスティングドラムとも呼ばれる)の表面に密着させてシート状溶融物を冷却、固化して未延伸フィルムを得る。
前記の方法以外のフィルムのキャスト方法としては、スリット状、スポット状および面状のエアー供給装置(エアーチャンバーとも呼ばれる)からエアーを吹き出し、シート状溶融物を回転冷却体に密着させて冷却、固化させる方法、およびニップロールによってシート状溶融物を回転冷却体に密着させて冷却、固化させる方法が挙げられる。
次いで、延伸装置を用いて、得られた未延伸フィルムの二軸延伸を行う。ここで、一般的に、フィルムに分子配向を与えて物理的強度等を向上させることを目的とする二軸延伸方法としては、縦延伸機を用いて、未延伸フィルムを製膜工程におけるフィルムの進行方向(以下、フィルムの長手方向という)に延伸した後、得られた一軸延伸フィルムを、ステンター装置でフィルムの長手方向と垂直かつフィルム面と平行な方向(以下、フィルムの幅方向という)に延伸する逐次二軸延伸法や、未延伸フィルムをステンター装置でフィルムの長手方向および幅方向に同時に延伸する同時二軸延伸法などが知られている。なお、以下、フィルムの長手方向への延伸を縦延伸、フィルムの幅方向への延伸を横延伸ということがある。
次に、本発明のフィルムの製造方法の一例として、逐次二軸延伸法について説明する。
先ず、縦延伸機を用いて、前記の未延伸フィルムの縦延伸を行う。縦延伸により、フィルムの長手方向に分子配向を与えることができる。縦延伸は、通常、複数の予熱ロールで未延伸フィルムを加熱した後、延伸ロールの周速差により施されるものである。縦延伸は、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階で行うこともできる。
フィルムの縦延伸倍率は、用いる熱可塑性樹脂によるが、例えばポリエステル樹脂を用いる場合は2〜8倍が好ましく用いられる。
フィルムの縦延伸温度は、用いる熱可塑性樹脂によるが、例えばポリエステル樹脂を用いる場合は、フィルムを構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度からプラス90℃の温度範囲が好ましい態様である。
このようにして得られた一軸延伸フィルムに、必要に応じてコロナ処理、フレーム処理およびプラズマ処理などの表面処理を施した後、塗布手段である塗布装置で塗液を塗布することにより、易滑性、易接着性および帯電防止性などの性能を付与することができる。
次いで、ステンター装置を用いて、前記の一軸延伸フィルムの横延伸を行う。横延伸により、フィルムの幅方向に分子配向を与えることができる。横延伸は、ステンター装置中のフィルムの幅方向の両側端部の位置に有するレールに沿って、ステンター装置の入口部から出口部に向かって移動する多数のクリップで、フィルムの幅方向の両側端部を把持しながらフィルムを搬送し、その過程で、ステンター予熱室でフィルムを予熱し、ステンター延伸室でクリップがフィルムの幅方向に広がることで行われる。
フィルムの横延伸倍率は、用いる熱可塑性樹脂によるが、例えばポリエステル樹脂を用いる場合は2〜8倍が好ましく用いられる。
フィルムの延伸温度は、用いる熱可塑性樹脂によるが、例えばポリエステル樹脂を用いる場合は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度からプラス90℃の温度範囲であることが好ましい。
ステンター延伸室で横延伸されたフィルムは、平面性と寸法安定性の付与のために、ステンター熱固定室で熱処理が施され、ステンター冷却室で幅方向に均一に室温まで冷却され、巻き取り手段であるターレット式巻取機(ワインダーとも呼ばれる)で巻き取られ、最終的に二軸延伸フィルムとなる。なお、熱処理の温度は、用いる熱可塑性樹脂によるが、例えばポリエステル樹脂を用いる場合は、150℃から250℃が好ましい。また、必要に応じて、熱処理から除冷の際に弛緩処理などを併用することもできる。
本発明におけるフィルムの凹凸とは、フィルム面上に連続的に形成される、フィルムの長手方向と平行なスジ状の凹凸のことをいう。口金の圧縮部に凹部および凸部が多数存在することによりフィルムにこのような凹凸が発生し、口金の圧縮部における凹部および凸部の合計の数を、圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下とすることにより、フィルムの凹凸の発生を低減することができる。
本発明のフィルムの製造方法において、熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、1種類の単量体(モノマー)のみを重合して得られた単独重合体、2種類以上の単量体を重合して得られた共重合体のいずれでもよく、また、複数の樹脂を混合したものであってもよい。
本発明のフィルムの製造方法に用いることができる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、その他、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。本発明においては、ポリエステル樹脂を用いた場合にその効果が高く好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
また、前記の熱可塑性樹脂の中に、必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、熱安定剤、滑剤および発泡剤等を添加させることができる。
ここで、本発明で言う「ポリエステル樹脂」とは、ジカルボン酸およびジオールから縮重合により得られるポリマーのことを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール等で代表されるものである。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
本発明のフィルムの製造方法において、熱可塑性樹脂の溶融粘度は、口金起因の表面欠陥を抑制する観点から、せん断速度120sec−1で測定した際に500Pa・s以上2,500Pa・s以下であることが好ましく、1,000Pa・s以上2,300Pa・s以下であることがより好ましく、1,500Pa・s以上2,000Pa・s以下であることが特に好ましい。押出機において、前記の範囲の溶融粘度となる温度条件で溶融混練し、本発明の口金によって溶融ポリマーをシート状に吐出して製膜することにより、口金の圧縮部の傷やリップ部分に溶融ポリマーが付着し難くなるため、フィルムの製造における口金起因の表面欠陥を抑制し、優れた表面品位のフィルムを製造することができる。
せん断速度120sec−1で測定した際の溶融粘度が500Pa・s未満の場合、ポリマー劣化物等による異物発生や、揮発成分によるロール表面の汚れ等、熱可塑性樹脂の熱安定性に起因する問題が生じることがある。せん断速度120sec−1で測定した際の溶融粘度が2,500Pa・sを超える場合、フィルムの凹凸が多発することがあり、さらに悪化するとフィルターを介す際の圧力が上昇して溶融ポリマーを口金に供給することができず、製膜自体を行うことができなくなることがある。
本発明で得られるフィルムは、その優れた表面品位により、例えば、液晶偏光板、位相差板等の液晶ディスプレイ構成部材、PDP部材、タッチパネル用部材および合わせガラス用部材等の各種光学用フィルムとして好適に用いることができる。
次に、実施例に沿って、本発明の口金とフィルムの製造方法について説明する。なお、口金は以下の形状の圧縮部を有するものを使用し、諸特性の測定及び口金の圧縮部の加工は、次の方法により実施した。
(口金の圧縮部の形状)
図1および図2に示す形状の口金であって、圧縮部の幅方向の長さ(図2の点Cと点Dを結んだ直線の長さ)が1,000mm、圧縮部のスリット側の境界線とその反対側の境界線が平行であって両境界線間の圧縮部の距離(図1の点Aと点Bを結んだ直線の長さ)が70mm、スリット部の壁面に平行な面と圧縮部のなす角度(図1の6)が20°である形状のものを用いた。
(口金の圧縮部の加工)
口金の圧縮部は、SUS420J2を材料として製作した。次いで、圧縮部の表面にハードクロムメッキを施した。後述する、口金の圧縮部における凹部および凸部の合計の数を測定し、所望の数でなければ、再度圧縮部の表面にハードクロムメッキを施して所望の数となるように調整した。
(口金の圧縮部における凹部および凸部の合計の数)
平面状の板の上に架橋性のシリコーンゴムを敷き、前記平面状の板と圧縮部が平行になるように、圧縮部に架橋性のシリコーンゴムを押し付けて、圧縮部の幅方向100mmのレプリカを作製した。得られたレプリカを、圧縮部と接触していた面(以下、レプリカ表面という)を上にして水平な観察台の上に置き、表面全体を非接触表面・層断面形状計測システム(菱化システム社製、“VertScan”(登録商標)、R5300GL−Lite−AC 以下単にシステムという)で観察した。システムは先ず、レプリカ表面全体について、水平面に対して垂直方向の位置(以下、垂直方向の位置という)を自動認識し、その分布のデータを取得した。次に、システムは取得した分布のデータを用いて、最も分布が多かった垂直方向の位置を自動的にベースラインとして設定した。ベースラインが定まった後、システムはベースラインからの下方向への変化(以下、深さという)が1μm以上である部分、及び上方向への変化(以下、高さという)が1μm以上である部分のみを自動で色分け表示し、色分け表示されたエリアにおける最大深さと最大高さを同定した。システムが色分けしたエリアのうち、最大深さ又は最大高さが1μm以上100μm以下のものについて、システムの測長機能によりその最大径を測定した。最大深さが1μm以上100μm以下で、かつ最大径が1mm以上90mm以下であったものを圧縮部における凸部として、最大高さが1μm以上100μm以下で、かつ最大径が1mm以上90mm以下であったものを圧縮部における凹部としてカウントし、その合計を口金の圧縮部における凹部および凸部の合計の数とした。
なお、圧縮部の幅方向100mmとは、圧縮部の幅方向の間隔が100mmとなるように圧縮部上に任意に引いた2本の平行な直線と、圧縮部のスリット側の境界線、及びその反対側の境界線で囲まれる領域をいう。
(フィルムの凹凸の合計の数)
フィルムの長手方向×フィルムの幅方向が、1m×フィルムの幅方向の長さとなるようにフィルムをサンプリングし、得られたフィルムを透過光により目視観察し、フィルム面上に連続的に形成されたフィルムの長手方向と平行なスジ状の凹凸の数をカウントした。
次に上記で求めた凹凸の数を、フィルムの幅方向の長さで割り、フィルムの幅方向の長さ1m当たりの凹凸の数を算出し、これをフィルムの凹凸の合計の数とした。
(フィルムの異物の数)
製膜速度60m/分のフィルム製造ライン中に設置した欠点検出器により、フィルム製造中に、フィルムの幅方向の長さ2m当たりに存在する5mm×5mm以上の大きさの異物個数を3日間測定し、1日分に換算してフィルムの異物の数とした。
(熱可塑性樹脂の溶融粘度)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500A)を用いて、せん断速度120sec−1の条件下で、熱可塑性樹脂をセットし、該熱可塑性樹脂の結晶融解温度から結晶融解温度プラス60℃の温度範囲において5℃刻みの各温度に対する溶融粘度を測定した。
(実施例1)
固有粘度が0.65dl/g、結晶融解温度が255℃、結晶融解熱量が41mJ/mg、結晶化温度が155℃のポリエチレンテレフタレート(東レ社製 製品名F20S)を二軸押出機に供給し、ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、前述した熱可塑性樹脂の溶融粘度の測定方法にてせん断速度120sec−1で測定した際に2,000Pa・sとなる温度条件となるように前記二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練した。溶融混練したポリエチレンテレフタレートを、フィルターを介して口金へと供給した。口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり3個である口金を用いて、上記の溶融ポリマーをシート状に押し出した。シート状に押し出された溶融ポリマーは、静電印加によって表面温度が25℃に保たれた回転冷却体でキャストおよび冷却固化させてシート化し、未延伸フィルムを得た。次いで、縦延伸機によって未延伸フィルムを85℃から98℃の温度範囲に加熱されたロール群に導き長手方向に延伸し、一軸延伸フィルムを得た。次いで、テンター装置を用いてフィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター装置内に導き90℃から135℃の温度範囲に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直なフィルムの幅方向に延伸し、200℃から240℃の温度範囲に加熱された雰囲気中で熱処理を施して室温まで冷却後、ワインダーで巻き取って厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(実施例2)
口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり5個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法で、厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に1,500Pa・sとなる温度条件となるように二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練し、口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり10個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法で、厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に300Pa・sとなる温度条件となるように二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練し、口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり5個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法で、厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に2,600Pa・sとなる温度条件となるように二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練し、口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり5個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法で、厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に300Pa・sとなる温度条件となるように二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練し、口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり15個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法で、厚みが75μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの凹凸の合計の数、異物の数および評価結果を、表1に示す。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレートの溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に3000Pa・sとなる温度条件となるように二軸押出機のシリンダー温度を設定して溶融混練し、口金の圧縮部における、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部の合計の数が、圧縮部の幅方向100mm当たり15個である口金を用いて、溶融ポリマーをシート状に押し出したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルム製造を行ったが、フィルターを介す際に圧力が上昇し、溶融ポリマーを口金に供給できず製膜することができなかった。
Figure 2016179606
1:口金
2:圧縮部
3:スリット部
4:圧縮部の凹部または凸部
5:溶融ポリマー
6:スリット部の壁面に平行な面と圧縮部のなす角度

Claims (4)

  1. 圧縮部を有する口金であって、前記圧縮部は、深さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凹部、および/または、高さが1μm以上100μm以下で最大径が1mm以上90mm以下の凸部を有し、前記凹部および前記凸部の合計の数が、前記圧縮部の幅方向100mm当たり1個以上10個以下であることを特徴とする口金。
  2. 請求項1記載の口金を用いて、溶融された熱可塑性樹脂をシート状に押し出す工程を有するフィルムの製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である請求項2記載のフィルムの製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂の溶融粘度が、せん断速度120sec−1で測定した際に500Pa・s以上2,500Pa・s以下である請求項2または3記載のフィルムの製造方法。
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