JP2016175310A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthが小さく、フィルム面の性状が良好である光学フィルム及び高い生産性で前記光学フィルムを製造する方法の提供。【解決手段】ガラス転移温度がTgである熱可塑性樹脂を加熱溶融状態でダイス112から押し出し、溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び溶融樹脂フィルムを回転するキャスティングドラム130に連続的に導き、キャスティングドラム130の回転により溶融樹脂フィルムをキャスティングドラム130の周面上の搬送経路に沿って搬送し、溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程200を含み、キャスティングドラム130の表面の周速度がVであり、ダイス112から吐出される溶融樹脂フィルムがキャスティングドラム130の表面に到達する時点の溶融樹脂フィルムの表面温度がTpであり、V、Tp及びTgが、特定の式を満たす、光学フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
樹脂フィルムの製造方法の一つに、溶融押出法がある。溶融押出法では、通常、溶融した熱可塑性樹脂をダイから押し出すことにより、溶融樹脂をフィルム状に成形する。その後、成形されたフィルム状の溶融樹脂を冷却して硬化させることにより、所望のフィルムを製造する。溶融押出法によれば、長尺のフィルムを効率的に製造することができる。このような溶融押出法を、光学フィルムの製造に適用することについても、従来より検討がなされている(特許文献1〜3)。例えば、偏光板保護フィルム、及び従来より用いられるガラス基板の代替としての樹脂フィルム基板等の構成要素として、液晶表示装置等の表示装置において用いることが検討されている。
溶融押出法における溶融樹脂フィルムの冷却は、一般的には、溶融樹脂フィルムをキャスティングドラム等の支持体の周面に押し出し、溶融樹脂フィルムから支持体へ熱を伝え、溶融樹脂フィルムの温度を徐々に下げることにより行われる。
特開2005−99097号公報 特開2009−166325号公報 特開2008−302524号公報
光学フィルムを製造する際には、得られる光学フィルムの厚さ及び位相差等の特性を厳密に制御することが求められる。特に、偏光板保護フィルム、樹脂フィルム基板等のある種の用途に用いる光学フィルムは、その面内方向の位相差Reを、3nm以下といった非常に小さい値にすることが求められる場合がある。そのような光学フィルムを、溶融押出法により製造する場合、Reを所望の小さい値とすることは困難である。特に、製造ラインの速度を速めて効率的な製造を行うことが求められる場合、Reを所望の小さい値とすることは、特に困難である。また、Reを低減するように条件を設定すると、樹脂の分解や酸化劣化等によるフィルムの変色や気泡の発生により、フィルム面の性状が不良となる場合がある。
したがって、本発明の目的は、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthが小さく、フィルム面の性状が良好である光学フィルムを高い生産性で製造することができる、光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するべく検討した結果、キャスティングドラムの表面の周速度と、溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に到達する時点の表面温度との関係を所定のものとすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 ガラス転移温度がTg(℃)である熱可塑性樹脂を加熱溶融状態でダイスから押し出し、溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び
前記溶融樹脂フィルムを、回転するキャスティングドラムに連続的に導き、前記キャスティングドラムの回転により前記溶融樹脂フィルムを前記キャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程
を含む、光学フィルムの製造方法であって、
前記キャスティングドラムの表面の周速度がV(m/分)であり、
前記ダイスから吐出される前記溶融樹脂フィルムが前記キャスティングドラムの表面に到達する時点の前記溶融樹脂フィルムの表面温度がTp(℃)であり、
前記V、Tp及びTgが、以下の式(I)を満たす、光学フィルムの製造方法。
13.6×ln(V)+Tg+50≦Tp≦Tg+155℃ 式(I)
〔2〕 前記Vが30〜150m/分である、〔1〕に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明の製造方法によれば、面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthが小さく、フィルム面の性状が良好である光学フィルムを高い生産性で製造することができる。
図1は、本発明の光学フィルム製造装置、及びそれを用いた本発明の光学フィルムの製造方法の第一実施形態を模式的に示す側面図である。 図2は、図1に示す第一実施形態における冷却装置200、及びそれを用いた、本発明の光学フィルムの製造方法における冷却工程の一例を模式的に示す側面図である。 図3は、図1に示す第一実施形態における冷却装置200、及びそれを用いた、本発明の光学フィルムの製造方法における冷却工程の一例を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
〔1.概要〕
本発明の光学フィルムの製造方法は、ガラス転移温度がTg(℃)である熱可塑性樹脂を加熱溶融状態でダイスから押し出し、溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び溶融樹脂フィルムを、回転するキャスティングドラムに連続的に導き、キャスティングドラムの回転により溶融樹脂フィルムをキャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程を含む。
図1は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施するための光学フィルム製造装置、及びそれを用いた本発明の光学フィルムの製造方法の操作の第一実施形態を模式的に示す側面図であり、図2及び図3は、図1に示す第一実施形態における冷却装置200、及びそれを用いた、本発明の光学フィルムの製造方法における冷却工程の一例を模式的に示す側面図及び斜視図である。第一実施形態において、光学フィルム製造装置10は、溶融樹脂フィルム成形装置110、及び溶融樹脂フィルム成形装置110の下流に設けられる冷却装置200を備える。溶融樹脂フィルム成形装置110は押出成形機111及びダイス112を備え、冷却装置200はキャスティングドラム130を備える。光学フィルム製造装置10はさらに、冷却装置200の下流に設けられ、得られた光学フィルムの性状を測定する自動複屈折計141及び膜厚計142を有し、得られた光学フィルムはロール151として巻き取られる。
〔2.溶融樹脂フィルム成形工程〕
第一実施形態において、光学フィルムの材料となる樹脂は、押出成形機111において溶融され、必要に応じてポリマーフィルター及びギヤポンプ(不図示)を経て、ダイス112に供給される。ダイス112のリップ部分から樹脂が吐出され、これにより樹脂は溶融樹脂フィルム101として押し出され、溶融樹脂フィルム101が連続的に成形される。溶融樹脂フィルム成形工程においては、複数の層を有する溶融樹脂フィルムを共押出成形することもできるが、通常は一の層を有する溶融樹脂フィルムを押出成形し、単層の光学フィルムを製造する。
〔3.冷却工程〕
溶融樹脂フィルム成形工程で得られた溶融樹脂フィルム101は、連続的に、冷却装置200のキャスティングドラム130に導かれる。キャスティングドラム130は軸131を中心として回転し、これにより、溶融樹脂フィルム101はキャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送され、同時に、溶融樹脂フィルム101が冷却される。溶融樹脂フィルム101の熱は、その一部は周囲の空気中にも放熱されるが、大部分はキャスティングドラム130へ伝達され、それにより、溶融樹脂フィルム101の冷却が達成される。かかる冷却により、溶融樹脂フィルム101は光学フィルム102となり、矢印A1方向に搬送される。光学フィルム102は、必要に応じて自動複屈折系141及び膜厚計142によりその性状を測定した後、巻き取り機により巻き取られ、光学フィルムのロール151とされる。
本発明の製造方法においては、溶融した状態で押し出された溶融樹脂フィルムは徐々に冷却され徐々に硬化するので、本願では、説明の便宜上、押し出された直後から、硬化が達成される直前までのフィルムを、区別せず「溶融樹脂フィルム」という。また、溶融樹脂フィルムと、硬化して得られた光学フィルムとを総称して、単に「フィルム」と呼ぶ場合がある。
図2における冷却装置200のキャスティングドラム130は、溶融樹脂フィルム101を、その周面上の搬送経路に沿って搬送するよう配置される。本願において、周面上の搬送経路とは、溶融樹脂フィルムの搬送経路のうち、キャスティングドラムがフィルムを受容する位置から、キャスティングドラムからフィルムが離脱する位置までの経路をいい、図2に示す第一実施形態の例では、位置211から、位置219までの経路が、周面上の搬送経路となる。
図2において、図示の便宜上、溶融樹脂フィルム101は、その内側の面がキャスティングドラム130の周面に接した状態で搬送されるよう図示されているが、実際の操作において、溶融樹脂フィルム101の内側の面は、その幅方向の端部のみ、または、その幅方向の全面においてキャスティングドラム130にピニングされ、その他の部分においてはキャスティングドラム130の周面と離隔した状態で搬送されうる。本願において、溶融樹脂フィルムの「内側」の表面とは、溶融樹脂フィルムの両面のうち、キャスティングドラム側の面をいい、「外側」の表面とは、キャスティングドラムとは反対側の面をいう。また本願においては、別に断らない限り、フィルムの外側の表面における温度を、フィルムの表面温度又は単にフィルムの温度ともいうことがある。
溶融樹脂フィルム101のピニングは、静電ピニング、エアピニング、ローラーによるピニング等の既知の方法により行いうる。ピニングは、周面上の搬送経路内の、始点になるべく近い上流側で行うことが好ましい。より上流側でピニングを行うことにより、キャストロールによる動力を溶融樹脂フィルムにより多く伝達し、円滑な搬送を達成しうる。または、ピニングの様式によっては、始点より上流においてピニングの操作を行い、それにより始点よりピニングが達成される場合もある。例えば静電ピニングを行う場合は、溶融樹脂フィルムがキャストロールに到達するのに先立ち、溶融樹脂フィルムの端部に静電気を付与することにより行いうる。また例えば、エアピニングは、例えば、ノズルから出るエアを溶融樹脂フィルムに吹きつけることにより、当該溶融樹脂フィルムをキャスティングドラム側に付勢して付着させるようにする構成を用いることができる。
溶融樹脂フィルムの表面の、ピニングによりキャストロールに付着される領域は、通常、溶融樹脂フィルムの幅方向端部の一方又は両方である。端部のみにおいて付着させることにより、それより内側の領域を、最終的な製品として有効に用いることができる。第一実施形態の例では、ピニングの操作を行う位置は、図3の矢印A2で示す位置としうる。
〔3.1.冷却工程:温度制御〕
本発明の製造方法においては、ダイスから吐出される溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に到達する時点の溶融樹脂フィルムの表面温度Tp(℃)が、所定の範囲に制御される。このような温度の制御は、図1に示す第一実施形態の例では、押出成形機111の内部の温度及びダイス112の温度を調整することにより達成しうる。
温度Tpの測定は、赤外放射温度計(例えばキーエンス社製、商品名「IT2−02」)により測定しうる。フィルム幅方向の測定位置は、幅方向中央の点としうる。また、溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に到達する位置よりわずかに上流(例えば、到達位置から、2mm以上5mm以下の距離で上流)の位置の温度は、温度Tpと実質的に同じ温度となるので、かかる位置で測定を行うことにより、測定の操作をキャスティングドラムに妨げられることなく、誤差の少ない測定を容易に行うことができる。第一実施形態の例では、図2中の矢印A3で示す位置において、温度Tpの測定を行いうる。
〔3.2.冷却工程:周速度V、及びV、Tp及びTgとの関係〕
本願の製造方法では、溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に到達する時点の溶融樹脂フィルムの表面温度Tpと、キャスティングドラムの表面の周速度V(m/分)と、溶融樹脂フィルムのガラス転移温度Tgとが、所定の関係を満たすよう操作される。即ち、Tp及びVは、以下の式(I)を満たす。
13.6×ln(V)+Tg+50≦Tp≦Tg+155℃ 式(I)
Tpの下限は、好ましくは13.6×ln(V)+Tg+60℃以上としうる。また、Tpの上限は、好ましくはTg+145℃以下としうる。
一般に、キャスティングドラムの表面の周速度Vを高い値とすることにより、光学フィルムの生産性を高めることができる一方、得られる光学フィルムの位相差を小さくすることが困難となる。あるいは、そのような条件下でRe及びRthを低減するように条件を設定すると、樹脂の分解や酸化劣化等によるフィルムの変色や気泡の発生により、フィルム面の性状が不良となる場合がある。ここで、本発明者が見出したところでは、Tpを前記範囲内とするよう温度制御を行うことにより、Re及びRthが小さく且つフィルム面の性状が良好である光学フィルムを、周速度Vを高めても製造することが可能となる。したがって、本発明の製造方法では、高品質な光学フィルムの効率的な製造を行うことができる。
周速度Vは、好ましくは30m/分以上、より好ましくは50m/分以上であり、一方好ましくは150m/分以下、より好ましくは120m/分以下である。本発明の製造方法によれは、周速度Vを、前記下限以上の高速に設定した場合であっても、Re及びRthが小さく且つフィルム面の性状が良好である光学フィルムの製造が可能となる。一方、回転速度を前記上限以下とすることにより、Re及びRthが小さく且つフィルム面の性状が良好である光学フィルムを良好に製造することができる。
〔3.3.冷却工程:その他の条件〕
冷却工程におけるキャスティングドラム周面上の周面上の搬送経路におけるフィルムの表面温度は、Tpが式(I)を満たす範囲において任意に設定しうる。例えば、周面上の搬送経路の終点(図2の例では終点219)におけるフィルムの表面温度は、通常Tg以下、好ましくは(Tg−10)℃以下、さらに好ましくは(Tg−15)℃以下、さらにより好ましくは(Tg−20)℃以下としうる。
終点におけるフィルムの表面温度を、前記上限以下とすることにより、キャスティングドラムからフィルムを離脱させる際の位相差の発現を低減することができる。終点におけるフィルムの表面温度の下限は、特に限定されないが、例えばTg−100℃以上としうる。
周面上の搬送経路の始点から終点までのフィルムの表面温度の調節は、例えば、キャスティングドラムの温度を調節することにより行いうる。キャスティングドラムの温度は、好ましくは(Tg−80)℃以上、より好ましくは(Tg−70)℃以上であり、一方好ましくは(Tg−10)℃以下、より好ましくは(Tg−20)℃以下としうる。
周面上の搬送経路の始点から終点までのフィルムの表面温度の調節としては、キャスティングドラムの温度の調節に加えて、任意の温度調節器を用いた調節を行いうる。ここで温度調節器としては、周面上の搬送経路におけるフィルムの外側の表面に近接する空間を囲繞するチャンバーを備えるものを用いうる。そのようなチャンバーに、温度が調節された空気を導入することにより、温度の調節を行いうる。
また、キャスティングドラムによる冷却の効果は、フィルムとキャスティングドラムとの空隙が少ない程大きくなるので、キャスティングドラムによる冷却の効果が過大である場合には、チャンバーから空気を導出してチャンバー内の気圧を下げ、フィルムとキャスティングドラムとの空隙を広くすることにより、キャスティングドラムによる冷却の度合いを緩和することもできる。逆に、チャンバーへ空気を導入してチャンバー内の気圧を上げ、フィルムとキャスティングドラムとの空隙を狭くすることにより、キャスティングドラムによる冷却の度合いを高めることもできる。チャンバーへの、温度が調節された空気の導入は、加熱器又は冷却器により加温又は冷却された空気を、チャンバーに連結された送風機で導入することにより行いうる。温度調節器による温度の調節は、キャスティングドラムと協同して終点のフィルム表面温度が所望の程度となるよう適宜行いうる。温度調節器に導入する空気の温度は、フィルムの表面温度が所望の温度となるよう適宜調節することができ、その範囲に特に制限は無い。急激な冷却が必要な場合、周囲の空気を冷却し、室温より低い温度とした空気を導入することもできるが、多くの場合、Tgは室温より高い温度であり、好ましい空気の温度も、通常は室温より高い温度となる。温度調節器のチャンバーは、周面上の搬送経路の始点から終点までのうちの一部または全部を覆うものとしうる。また、幅方向の物性が均質な光学フィルムを製造する観点から、温度調節器のチャンバーは、溶融樹脂フィルムの幅方向の全幅を覆っていることが好ましい。温度調節器の個数は特に制限されず、1以上のチャンバーを有する1台以上の温度調節器を周面上の搬送経路の始点から終点までの間に配列しうる。
冷却工程に用いるキャスティングドラムの直径は、好ましくは300mm〜1200mm、より好ましくは350mm〜1000mmとしうる。前記上限以下の径のキャスティングドラムは比較的安価に入手及び設置が可能であり、且つ既存のフィルム製造設備に多く採用されているものであるため、安価な製造を実現することができる。本発明の製造方法では、溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に到達するまでのフィルム表面温度を所定以上の高い値に保ち、その後、ドラム周面上の搬送経路に沿った搬送においてそれを冷却するため、比較的径が小さいキャスティングドラムを用いても、低位相差のフィルムを容易に高速に製造することが可能となる。また、キャスティングドラムが前記下限以上の直径を有することにより、冷却の時間を容易に確保することができる。
〔4.光学フィルムの材料〕
本発明の製造方法において、光学フィルムの材料として用いうる樹脂としては、溶融押出法により成形しうる各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、液晶表示装置等の表示装置用のフィルムに求められる機械特性、耐熱性、透明度といった品質をバランス良く満たしている観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
光学フィルムの材料としての熱可塑性樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。非晶性の熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂と比較して一般的に、(1)透明性が高い、(2)冷却固化時の容積変化が少ない、(3)寸法精度を出しやすい、(4)吸水性が少ないなどの特徴を有しており、従って光学フィルムの材料として特に好適に用いうる。非晶性の樹脂を用いる場合は、具体的には、上に例示した各種の熱可塑性樹脂の中から非晶性のものを適宜選択し採用しうる。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び側鎖の片方又は両方に脂環式構造を有する脂環式ポリオレフィン重合体を含む樹脂である。脂環式構造としては、例えば飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、シクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まる場合に、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性等の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン重合体における、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合を前記の範囲に収めることにより、光学フィルムの透明性及び耐熱性を良好にできる。
脂環式ポリオレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との開環重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との付加重合体、又はそれらの水素化物;等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。ここで(共)重合体とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能な任意の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能な任意の単量体との付加重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、例えば、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒を混合して、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって、得ることができる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されうる。脂環式ポリオレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、光学フィルムの機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされ、好適である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(試料である重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の値である。
また、脂環式ポリオレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高めてコストを下げることができる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量を抑制して緩和時間の短い成分を減らすことができるので、高温曝露時の配向緩和を低減させることが可能となる。
光学フィルムを構成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、および抗菌剤などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、任意の成分の量は本発明の効果を損なわない範囲であり、重合体100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。また、下限はゼロである。
光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度Tgは、使用目的に応じて適宜選択されうるものであり、V及びTpとの関係が所定の範囲となるものを適宜選択しうる。Tgは好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、好ましくは250℃以下である。Tgがこのような範囲にある樹脂のフィルムは、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
〔5.光学フィルム〕
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、その面内方向の位相差Re及び厚み方向の位相差Rthを、小さい値とすることができる。具体的には、Reについては、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm未満とすることができる。また、Rthについては、好ましくは10nm以下、より好ましくは3nm未満とすることができる。
本発明の製造方法では、冷却工程における条件を上に述べた特定のものとすることにより、製造工程における樹脂の分解や酸化劣化等によるフィルムの変色や気泡の発生等の不具合を抑制することができる。したがって、本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、そのような不具合が少ないものとすることができる。具体的には、フィルム面の外観を目視で評価したときに、そのような不具合が少ない光学フィルムを製造することができる。
光学フィルムの厚さは、使用目的に応じて適宜調整でき、好ましくは10〜200μm、より好ましくは30〜150μmとしうる。
光学フィルムの寸法は、特に制限はないが、通常は、長尺の光学フィルムとしうる。それにより、効率的な製造を行うことができる。「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。光学フィルムの幅方向の寸法は、使用目的に応じて適宜調整でき、好ましくは500〜3000mm、より好ましくは800〜2000mmとしうる。
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、その膜厚のバラツキが小さいものとすることができる。膜厚のバラツキとしては、例えば、フィルムの中央部において、フィルムの幅方向に、フィルムの幅の80%程度の範囲にわたり0.48mm間隔で厚さを測定し、その最大値及び最小値の差を採用しうる。当該膜厚のバラツキは、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下とすることができる。膜厚の測定は、膜厚計(例えば、明産株式会社製、RC−1 ROTARY CALIPER)を用いて行いうる。
光学フィルムは、通常、高い透明性を有する。具体的には、樹脂フィルムの1mm厚換算での全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、樹脂フィルムの1mm厚換算でのヘイズは、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることが特に好ましい。ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1997に準拠して測定しうる。また、ヘイズは、JIS K7136−1997に準拠して測定しうる。
光学フィルムの具体的な用途は、特に制限は無く、良好な表面の性状、低いRe及び低いRthが求められる各種の用途に用いることができる。例えば、偏光板保護フィルム、及び従来より用いられるガラス基板の代替としての樹脂フィルム基板等の構成要素として、テレビ受像機、携帯電話等の各種機器における液晶表示装置等の表示装置において用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例によって限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更しうる。以下に述べる操作は、特に断らない限り、常温常圧の環境において行った。
以下の実施例及び比較例において、得られた光学フィルムの評価は、以下の方法により行った。
(1)フィルムの面内方向位相差Re
自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて波長590nmにおいて、フィルム幅方向に150mm間隔、長さ方向に200mm間隔で測定した。幅方向7箇所×長さ方向5箇所の35箇所についてReを測定し、その平均値を測定結果とした。
(2)フィルムの外観評価
気泡の発生については、得られたフィルムの幅方向中央部1000mm、長さ方向1000mmの領域を目視にて評価し、フィルムの気泡の発生を観察した。気泡の発生については、当該領域を目視で観察し、気泡が視認されるか否かを評価した。フィルムの変色については、得られたフィルムを幅方向に1000mm×100mmのサイズで切り出し、切り出したフィルムをさらに100mm×100mmの10枚に切り分け、切り分けたフィルムを10枚重ねて白色の拡散反射板の上に置き、変色が視認されるか否かを評価した。変色が視認されず、気泡も視認されなかった場合は外観評価を「良」と判断し、それ以外を「不可」と判断した。これにより、樹脂の分解や酸化劣化等によるフィルムの変色や気泡の発生による面状の良否を評価した。
(3)総合評価
Reの測定結果が1.00nm以下で、かつ外観評価結果が「良」であったものを総合評価として「良」とし、それ以外を総合評価として「不可」とした。
〔実施例1〕
図1に模式的に示す光学フィルム製造装置(図1に模式的に示す溶融樹脂フィルム成形装置110及び図1〜図3に模式的に示す冷却装置200を含む)を用いて、光学フィルムの製造を行い、得られた光学フィルムの評価を行った。
(1−1.溶融樹脂フィルム成形工程)
光学フィルムの材料の樹脂として、ノルボルネン系重合体(ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物、商品名「ZEONOR1420R」、日本ゼオン社製、ガラス転移温度(Tg)は136℃)のペレットを用意した。シリンダー内径が90mm、L/D(長さ/径)が32の単軸押出成形機(東芝機械社製)111において、このペレットを、バレル温度260℃で溶融させ、溶融樹脂とした。この溶融樹脂を、ポリマーフィルター及びギヤポンプ(不図示)を経て、Tダイス112に供給し、Tダイス112から押し出し、幅1100mmの溶融樹脂フィルム101を連続的に成形した。成形された溶融樹脂フィルム101は、キャスティングドラム130へ導いた。
溶融樹脂フィルムがキャスティングドラムの表面に接触する直前の溶融樹脂フィルムの表面温度を赤外放射温度計(キーエンス社製、商品名「IT2−50」)にて測定した。測定位置は、周面上の搬送経路の始点211より5mm上流で、溶融樹脂フィルム101の幅方向中央の点である、矢印A3で示す位置とした。当該測定により得られた測定値に基づいて、Tダイス112の温度設定を変更し、それによりTダイス112から押し出される溶融樹脂フィルム101の温度を変更し、矢印A3で示す位置における溶融樹脂フィルム101の表面温度Tpが291℃となるように調節した。
(1−2.冷却工程)
続いてキャスティングドラム130に連続的に導かれた溶融樹脂フィルム101について、冷却工程を行った。冷却装置200において、キャスティングドラム130としては、直径は350mmのものを用いた。したがってキャスティングドラム130の全周長さLは1100mmであった。
周面上の搬送経路の始点211に溶融樹脂フィルム101が到達する時点において、溶融樹脂フィルム101の幅方向両端部である、矢印A2で示す位置においてエアピニングを実施した。これにより、溶融樹脂フィルム101の幅方向両端部をキャスティングドラム130に付着させた。
キャスティングドラム130を軸131を中心に回転させることにより、溶融樹脂フィルム101をキャスティングドラム130の周面上の搬送経路に沿って搬送し、溶融樹脂フィルムを冷却した(冷却工程)。冷却工程において、キャスティングドラム130の表面温度は100℃に調節した。また、キャスティングドラム130の回転速度(周面の移動速度)Vは150m/分に設定した。
(1−3.評価及び巻き取り)
冷却工程の終点位置219において、フィルムを、キャスティングドラム130から離脱するよう導き、厚さ20μmの光学フィルム102を得た。得られた光学フィルム102は、自動複屈折計に導き、面内方向位相差Reを測定して評価し、その後巻き取り機にて巻き取り、ロール151とした。また、得られたロールからフィルムを抜き取りまたは一部を切り出し、外観評価を行った。光学フィルムのRe及び外観検査の結果、並びにこれらの総合評価の結果を表1に示す。
〔実施例2〜12及び比較例1〜12〕
周速度V及び溶融樹脂フィルム表面温度Tpを表1に示す通り変更した他は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得て評価した。結果を表1に示す。
Figure 2016175310
表1の結果から明らかな通り、周速度Vと樹脂温度Tpとの関係が本発明の規定を満たす条件で製造されたフィルムは、Re及び外観の両方においてバランスよく良好であると評価された。
10 光学フィルム製造装置
110 溶融樹脂フィルム成形装置
101 溶融樹脂フィルム
102 光学フィルム
111 押出成形機
112 ダイス
130 キャスティングドラム
131 軸
141 自動複屈折計
142 膜厚計
151 光学フィルムのロール
200 冷却装置
211 搬送経路上の位置
219 搬送経路上の位置

Claims (2)

  1. ガラス転移温度がTg(℃)である熱可塑性樹脂を加熱溶融状態でダイスから押し出し、溶融樹脂フィルムを連続的に成形する溶融樹脂フィルム成形工程、及び
    前記溶融樹脂フィルムを、回転するキャスティングドラムに連続的に導き、前記キャスティングドラムの回転により前記溶融樹脂フィルムを前記キャスティングドラムの周面上の搬送経路に沿って搬送し、前記溶融樹脂フィルムを冷却する冷却工程
    を含む、光学フィルムの製造方法であって、
    前記キャスティングドラムの表面の周速度がV(m/分)であり、
    前記ダイスから吐出される前記溶融樹脂フィルムが前記キャスティングドラムの表面に到達する時点の前記溶融樹脂フィルムの表面温度がTp(℃)であり、
    前記V、Tp及びTgが、以下の式(I)を満たす、光学フィルムの製造方法。
    13.6×ln(V)+Tg+50≦Tp≦Tg+155℃ 式(I)
  2. 前記Vが30〜150m/分である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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