JP2016174762A - 眼内レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズ機能を有する軟らかい光学部2と、光学部2から延伸しかつ光学部2と基端にて一体成形された幅広の軟支持部31と、軟支持部31と基端にて接続しかつ軟支持部31の延伸方向へと延伸した硬支持部32と、を備え、硬支持部32の先端部32bの最大幅は0.3mm以下の幅狭形状である眼内レンズ1を提供する。
【選択図】図5
Description
レンズ機能を有する軟らかい光学部と、
前記光学部から延伸しかつ前記光学部と基端にて一体成形された幅広の軟支持部と、
前記軟支持部と基端にて接続しかつ前記軟支持部の延伸方向へと延伸した硬支持部と、
を備え、
前記硬支持部の先端部の最大幅は0.3mm以下の幅狭形状である、眼内レンズである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明であって、
前記硬支持部は、幅広の前記軟支持部と接続する中幅の基端部をさらに有し、当該基端部と幅狭形状の前記先端部とが接続する。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明であって、
前記硬支持部の前記先端部の最大幅は0.2mm以下の幅狭形状である。
本発明の第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に記載の発明であって、
前記硬支持部の前記先端部は前記光学部に向かうように反っている。
本発明の第5の態様は、第1〜第4のいずれかの態様に記載の発明であって、
前記硬支持部には括れが設けられている。
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.眼内レンズ
(A)光学部
(B)支持部
(B−1)軟支持部
(B−2)硬支持部
(B−2−1)基端部
(B−2−2)先端部
2.眼内レンズの製造方法
3.眼内レンズの使用方法
4.実施の形態による効果
5.変形例
本実施形態における眼内レンズ1は、図5に示すように、大きく分けて、レンズ機能を有する光学部2と当該光学部2を支持する支持部3を備えたものである。図5は、本実施形態における眼内レンズ1を示す概略図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。
以下、各構成について、図5を用いて説明する。
光学部2は、レンズ機能を有する比較的軟らかい部分であり、平面視円形の凸レンズ形状に形成されている。光学部2の直径は、眼内レンズ1を眼内の水晶体嚢に挿入するのに適した寸法であれば、どのような寸法に設定してもかまわない。具体的な寸法設定例を記述すると、光学部2の直径Dは、好ましくは、5mm〜7mmの範囲に設定すればよく、より好ましくは7mmに設定すればよい。眼内レンズ1を眼内に固定する際に比較的大口径の光学部2を使用することにより、小口径の光学部2の場合よりも偏心傾斜の影響を軽減することができる。
支持部3は、光学部2の外周部から外側に延出する状態で形成されている。支持部3は、眼内レンズ1を眼内に挿入したときに光学部2を支持するものである。支持部3は、一つの眼内レンズ1に2つ形成されている。各々の支持部3は、光学部2の中心Cを通る軸線(図中、一点鎖線で示す)が光学部2の外周部に交差する部分から、それぞれ図の反時計回り方向に円弧を描くように延出している。各々の支持部3は、以下のような共通の構造を有している。
軟支持部31は、光学部2の径方向に弾性変形可能な構成になっている。軟支持部31は、全体的に細長く延びていて、これを構成する材料自体も適度な柔軟性をもっている。具体的には、軟支持部31は、前述した光学部2と同じ軟質材料によって一体成形されている。なお、ここで言う「一体成形」とは、同じ部材から光学部2と軟支持部31とが一体となって形成されたことを指すものであり、光学部2と軟支持部31とを別部材として形成してこれを接続したものではない。
硬支持部32は、前述した光学部2および軟支持部31とは硬さの異なる材料によって構成されている。具体的には、軟支持部31よりも硬い硬質材料によって硬支持部32が構成されている。硬支持部32に適用する硬質材料としては、当該硬支持部32に縫合糸を縛りつける場合に、多少強く縛りつけてもその部分がちぎれない程度の強度を保証できるものであればよい。具体的には、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの硬質の樹脂材料を用いることができる。硬支持部32の末端は、眼球の組織に接触してもこれにダメージを与えないように、若干丸みを帯びている。また、支持部3を構成する軟支持部31と硬支持部32は、それぞれの部位の材料が異なるだけで、構造的には一体化されている。
硬支持部32を構成する基端部32aは、先に述べた軟支持部31と、硬支持部32を構成する別の部分であって後述の幅狭形状の先端部32bとを繋ぐ部分であり、支持部3全体から見たときの幅の変化を滑らかに行うための部分である。具体的に言うと、支持部3の外側の湾曲の曲率はそのままとしつつも内側の湾曲の曲率を変化させることにより、先端側に向けて硬支持部32を徐々に幅狭とする役割を基端部32aは担う。
先端部32bは硬支持部32の先端に位置する部分である。先端部32bの最大幅は0.3mm以下とし、幅狭形状(言い方を変えれば極細形状)としている。本実施形態においては、先に述べた種々の構成(特に、軟らかい光学部2と軟支持部31との一体成形)に加え、硬質な先端部32bを幅狭形状とすることにより、様々な相乗効果が得られる。以下、詳述する。
例えば、仮に先端部32bの最大幅が大きい場合、先端部32bの幅の大きさに応じて眼の各組織を縫合する際に広い範囲で縫合しなければならず、患者に与える負担が大きくなる。
また、先端部32bの最大幅が0.3mm以下という極めて幅が狭い形状だと、先端部32bを局所的にきつく縫合することが可能となり、縫着糸が外れにくくなる。逆に、先端部32bの最大幅が大きい場合、先端部32bに縫着糸を巻き付ける際に一箇所に巻き付け箇所を集めにくくなり、先端部32bを局所的にきつく縫合することができない。
なお、ここで言う括れは、括れとなる箇所の幅を狭くすることにより形成しても構わないし、括れとなる箇所の両隣に幅が広い部分を設けることにより括れを形成しても構わない。また、括れは先端部32bに形成する例について述べたが、基端部32aに形成しても構わない。術式に応じて、先端部32bの近傍にて縫着することが有利な場合は先端部32bに括れを形成すればよい。また、括れは湾曲の内側に設けるのが術式の容易化において好ましいが、湾曲の外側であっても構わないし、両側に設けても構わない。
また、断面視した際、硬支持部32の先端部32bの幅は0.1mm、軟支持部31の基端部(付け根)の幅は0.15mmとしている。
続いて、本実施形態に係る眼内レンズ1の製造方法について説明する。眼内レンズ1の製造方法は、主に3つの工程に分けて考えることができる。以下、工程の流れにしたがって説明する。
まず、図8(A)に示すように、公知の成形方法により、例えばPMMA(硬質材料)を用いて、円環形状の硬質材料部100を得る。硬質材料部100の中心には円孔110をあけておく。
次に、図8(C)に示すように、レンズ素材300の面形状を上記光学部2および支持部3の面形状に合わせて整える。具体的には、レンズ素材300の表裏面に精密旋盤装置を用いて面形成加工を施すことにより、光学部2の凸状の曲面と支持部3の根元部分の斜面とそれ以外の平坦面に合わせて、レンズ素材300の面形状を整える。これにより、眼内レンズ1の表裏面形状を反映した円板状の中間部材(レンズ素材の加工品)350が得られる。
次に、中間部材350の外形を上記光学部2および支持部3の外形に合わせて整える。具体的には、中間部材350にミーリング加工等の外形加工を施すことにより、眼内レンズ1として不要な部分を中間部材350から取り除く。その後、必要な箇所に研磨加工を施す。
次に、本実施形態に係る眼内レンズ1の使用方法について説明する。眼内レンズ1の使用の形態は、術式の種類に応じて存在する。従来から存在するイン ザ バッグ、アウト ザ バッグ、縫着固定の手法については公知の文献なり先に挙げた本発明者により開示された文献なりに記載を委ね、本実施形態においては強膜内固定を行う場合について述べる。ただ、基本的な強膜内固定の手法については特許文献1の[0004]や[0029]〜[0034]に記載されているものと同様である。すなわち、強膜における強膜半層弁の下層の1箇所から強膜切開を形成し、視軸に関する周方向に強膜内トンネルを形成する。
その一方で、眼内レンズ1を、例えば角膜に形成された切開からインジェクタ等により眼内に挿入する。その際、一方の支持部3における先端部32bは角膜の切開から一部が外部に露出した状態にしておく。
本実施形態によれば、上記で列挙した効果に加え、以下の効果を奏する。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
本実施形態においては基端部32aおよび先端部32bを同じ硬質材料によって一体成形する場合について述べた。その一方で、先端部32bを別部材として形成し、後で先端部32bを基端部32aに接続するという構成を採用しても構わない。また、同様に、基端部32aについても、後で基端部32aを軟支持部31に接続しても構わない。あるいは、基端部32aおよび先端部32bを一体にした硬支持部32を後で軟支持部31に接続しても構わない。
また、本実施形態においては基端部32aを設けた例を挙げたが、軟支持部31に直接先端部32bを接続するという構成を採用しても構わない。
本実施形態においては先端部32bの反り形状を、本発明に対する好ましい変形例として挙げた。その一方で、上記の「反り形状」はそれ自体が独立した発明となり得る。一部再掲するが、イン ザ バッグの術式を採用する場合、水晶体嚢により眼内レンズ1が圧迫され、水晶体嚢の赤道近傍から先端部32bへと圧力が伝達されると、光学部2の配置が不安定になり、偏心傾斜が生じる場合もある(課題)。そこで、図6(b)に示すように、先端部32bにおいて反り形状を設ける(手段)。そうなると、反り形状の部分が水晶体嚢に沿うように変形し、眼内レンズ1が水晶体嚢に挿入されることにより水晶体嚢と支持部3との接触面積を増やすことができ、眼内レンズ1(光学部2)を安定して配置することが可能となり、ひいては偏心傾斜の発生をさらに効率よく抑制可能となる(効果)。このとき、例えば2つの支持部3の各々は一端のみで光学部2と接続している。
「レンズ機能を有する光学部と、
前記光学部から延伸しかつ一端のみで光学部と接続する支持部と、
を備え、
前記支持部における先端は、前記支持部の先端までの部分に比べ、前記光学部に向かうように反っている、眼内レンズ。」
以下、眼内レンズ1の変形態様について、図9〜13を用いて各図ごとに説明する。特記の無い内容は、上記の実施形態と同様である。
本例においては、眼内レンズ1の全長は13.5mm、軟支持部31の先端部の幅は0.4mm、硬支持部32の先端部32bの幅は0.13mmとしている。また、2つの軟支持部31の基端部(付け根)の外側の形状を天地方向にそろえた状態での光学部2の幾何中心と先端部32bの間の水平距離は4.2mmとしている。
なお、本例を含め、以降に記載の態様においては、硬支持部32の湾曲形状の内側に上述の括れが設けられている。
本例においては、眼内レンズ1の全長は13.5mm、軟支持部31の先端部の幅は0.4mm、硬支持部32の先端部32bの幅は0.13mmとしている。また、2つの軟支持部31の基端部(付け根)の外側の形状を天地方向にそろえた状態での光学部2の幾何中心と先端部32bの間の水平距離は3.4mmとしている。
本例においては、眼内レンズ1の全長は13.5mm、軟支持部31の先端部の幅は0.43mm、硬支持部32の先端部32bの幅は0.13mm、括れ近傍のうち先端部32bに近い側の幅は0.147mmとしている。また、2つの軟支持部31の基端部(付け根)の外側の形状を天地方向にそろえた状態での光学部2の幾何中心と先端部32bの間の水平距離は3.1mmとしている。
本例においては、眼内レンズ1の全長は13.5mm、軟支持部31の先端部の幅は0.43mm、硬支持部32の先端部32bの幅は0.16mmとしている。また、2つの軟支持部31の基端部(付け根)の外側の形状を天地方向にそろえた状態での光学部2の幾何中心と先端部32bの間の水平距離は3.2mmとしている。
本例においては、硬支持部32の先端部32bの幅を0.18mmとしており、その他の寸法は図12に示す態様と同様である。
2………光学部
3………支持部
31……軟支持部
32……硬支持部
32a…基端部
32b…先端部
Claims (5)
- レンズ機能を有する軟らかい光学部と、
前記光学部から延伸しかつ前記光学部と基端にて一体成形された幅広の軟支持部と、
前記軟支持部と基端にて接続しかつ前記軟支持部の延伸方向へと延伸した硬支持部と、
を備え、
前記硬支持部の先端部の最大幅は0.3mm以下の幅狭形状である、眼内レンズ。 - 前記硬支持部は、幅広の前記軟支持部と接続する中幅の基端部をさらに有し、当該基端部と幅狭形状の前記先端部とが接続する、請求項1に記載の眼内レンズ。
- 前記硬支持部の前記先端部の最大幅は0.2mm以下の幅狭形状である、請求項1または2に記載の眼内レンズ。
- 前記硬支持部の前記先端部は前記光学部に向かうように反っている、請求項1〜3のいずれかに記載の眼内レンズ。
- 前記硬支持部には括れが設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の眼内レンズ。
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