JP2016173100A - 内燃機関のピストン、該ピストンを備える内燃機関および該ピストンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストン頂面には多孔質アルマイト膜32が形成されている。また、溝18からピストン頂面にかけてのランド部14の側面、即ち、トップランドの側面には、セラミックス膜34が形成されている。一方、溝18からランド部14の下面にかけてのランド部14の側面では、ピストン母材が露出している。セラミックス膜34は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有している。
【選択図】図2
Description
前記ランド部の側面に、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の一部に形成され、
前記トップランドの側面の保熱効果は、前記ランド部の上面側よりも前記ランド部の下面側の方が高いことを特徴とする。
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面に形成され、
前記ランド部の側面のうちの前記溝よりも下方においては、前記ピストン母材が露出することを特徴とする。
前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記側面に形成する保熱膜形成ステップと、
を備えることを特徴とする。
先ず、図1を参照しながら、本発明のピストンの実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るピストン10の斜視図である。ピストン10は、一般的な内燃機関のピストン同様、ピストン母材であるアルミニウム合金の鋳造により形成されるものである。図1に示すように、ピストン10は、シリンダ(図示しない)の内壁面にその側面が摺接する円筒状のスカート部12と、スカート部12の上端部に形成された所定肉厚のランド部14と、ピストンピン(図示しない)を支持するピンボス部16と、を備えている。ランド部14の側面には、3つのピストンリング(図示しない)を装着するための溝18,20,22が形成されている。ランド部14の上面(以下、「ピストン頂面」ともいう。)には、吸気バルブおよび排気バルブ(何れも図示しない)との干渉を回避する半月状のバルブリセス24,26,28,30が形成されている。
多孔質アルマイト膜32とセラミックス膜34を形成したピストン10によれば、以下の効果を得ることができる。先ず、多孔質アルマイト膜32による効果について、図3を参照しながら説明する。図3は、内燃機関の1サイクルにおけるシリンダ内の作動ガスの温度およびランド部の上面の温度の推移を示す図である。この図において、「従来の壁温」は、ランド部の上面に一般的なセラミックス膜を形成した場合の当該上面の温度を表している。また、「実施の形態における壁温」は、ランド部の上面に多孔質アルマイト膜(即ち、多孔質アルマイト膜32)を形成した場合の当該上面の温度を表している。また、「ベース(Al)壁温」は、ランド部の上面にピストン母材が露出する場合の当該上面の温度を表している。
ところで、上記実施の形態においては、トップランドの側面の全域に膜厚一定のセラミックス膜34を形成した。しかし、セラミックス膜34の膜厚を段階的または連続的に変えてもよいし、セラミックス膜34をトップランドの側面の一部に形成してもよい。図7乃至図9は、本発明の実施の形態に係るピストンの変形例を説明するための図である。これらの図は、図2同様、火花点火式内燃機関のシリンダの断面模式図に相当している。
次に、図11を参照しながら、本発明の内燃機関の実施形態について説明する。
なお、本実施の形態に係る内燃機関は、上記ピストン10を組み込んだ火花点火式内燃機関に相当する。そのため、ピストン10や3種類の膜の説明については省略する。
次に、図12を参照しながら本発明の実施の形態に係るピストンの製造方法について説明する。
なお、本実施の形態に係る製造方法は、上記ピストン10を製造する方法に相当する。
ところで、上記実施の形態においては、ステップS1の処理後にステップS2を処理した。しかし、ステップS1の処理前にステップS2を処理してもよい。
また、上記実施の形態においては、ステップS3において溶射またはコールドスプレーによりセラミックス系材料を成膜した。しかし、セラミックス系材料からリング状の成形体を別途作製し、この成形体をトップランドの側面に圧入してもよい。
14 ランド部
18,20,22 溝
32 多孔質アルマイト膜
34,54 セラミックス膜
36 硬質アルマイト膜
50 内燃機関
52 シリンダ
前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記ランド部の側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記ランド部の上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記ランド部の側面に形成する保熱膜形成ステップと、
を備えることを特徴とする。
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の少なくとも一部に形成され、
前記保熱膜は、前記ランド部の下面側から前記ランド部の上面側に向かって段階的に薄くなる膜厚、若しくは、前記ランド部の下面側から前記ランド部の上面側に向かって連続的に膜厚が薄くなる膜厚を有し、または、前記ランド部の下面側に形成されて前記ランド部の上面側に形成されないことを特徴とする。
Claims (5)
- ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜がランド部の上面に形成される内燃機関のピストンであって、
前記ランド部の側面に、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする内燃機関のピストン。 - 前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の一部に形成され、
前記トップランドの側面の保熱効果は、前記ランド部の上面側よりも前記ランド部の下面側の方が高いことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストン。 - 前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面に形成され、
前記ランド部の側面のうちの前記溝よりも下方においては、前記ピストン母材が露出することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のピストン。 - 請求項1乃至3何れか1項に記載のピストンを備える内燃機関であって、
前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする内燃機関。 - 請求項1乃至3何れか1項に記載のピストンの製造方法であって、
前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記側面に形成する保熱膜形成ステップと、
を備えることを特徴とするピストンの製造方法。
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