JP2016173100A - 内燃機関のピストン、該ピストンを備える内燃機関および該ピストンの製造方法 - Google Patents

内燃機関のピストン、該ピストンを備える内燃機関および該ピストンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、当該ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜をランド部の上面に形成する内燃機関のピストンにおいて、当該ランド部の側面への燃料付着を抑制し、吸気行程での作動ガスの加熱を抑制する。
【解決手段】ピストン頂面には多孔質アルマイト膜32が形成されている。また、溝18からピストン頂面にかけてのランド部14の側面、即ち、トップランドの側面には、セラミックス膜34が形成されている。一方、溝18からランド部14の下面にかけてのランド部14の側面では、ピストン母材が露出している。セラミックス膜34は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有している。
【選択図】図2

Description

この発明は、内燃機関のピストン、該ピストンを備える内燃機関および該ピストンの製造方法に関する。
従来、例えば特許文献1(特開2009−243355号公報)には、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、当該ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜を、ランド部の上面に形成した内燃機関のピストンが開示されている。この様な熱特性を有する遮熱膜によれば、内燃機関のシリンダ内の作動ガスの温度にランド部の上面の温度を追従させることができる。即ち、内燃機関の燃焼行程ではランド部の上面の温度を上昇させ、吸気行程では当該上面の温度を下げることができる。従って、燃焼行程での冷却損失を低減して燃費を向上でき、吸気行程での作動ガスの加熱によるノッキングや異常燃焼の発生を抑制できる。
また、特許文献2(特開平11−280545号公報)には、ピストン母材(具体的には、アルミニウム合金)よりも熱拡散率の小さい鉄系の金属材を、ランド部の側面に設けた内燃機関のピストンが開示されている。この様な熱特性の金属材を設けることで、当該金属材の周囲の温度を上昇させることができる。従って、金属材の表面やその周囲に付着した液体燃料の蒸発、気化を促進して内燃機関の燃焼効率を向上できる。
特開2009−243355号公報 特開平11−280545号公報 特開2014−020300号公報 特開平5−079564号公報 特開2002−332571号公報
ところで、特許文献1の様な熱特性を有する遮熱膜をランド部の上面に形成する場合には、燃焼行程での当該上面の温度上昇に伴い作動ガスの粘度が上昇することから、作動ガスの流動性が低下して燃焼悪化が起き易いという弱点がある。燃焼悪化が起きてしまうと、本来であれば燃焼行程においてシリンダ内の隅々まで伝播するはずの火炎が、ランド部の側面に回り込むことができなくなる。そうすると、ランド部の側面の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼できずに当該側面の周囲に留まることになる。更には、燃焼行程の後の吸気行程において新たな作動ガスがシリンダ内に流入することで、ランド部の側面の周囲に残留していた作動ガスが冷やされ、当該作動ガス中の燃料が凝縮して当該側面に付着してしまう。
この問題に関し、特許文献1のランド部の側面に特許文献2の金属材を設ければ、当該金属材の周囲の温度を上昇させ易くすることができる。しかし、特許文献2は金属材の熱拡散率を特定するものであり、当該金属材の単位体積当たりの熱容量については言及がなされていない。そのため、特許文献2の金属材を特許文献1のランド部の側面に設けた場合、燃焼行程や排気行程においては当該金属材の小さい熱拡散率によって当該金属材の表面の温度を上昇できたとしても、その後の吸気行程においては当該表面の温度が低下してしまう可能性がある。故に、上述した燃焼悪化に伴う作動ガスの吸気行程への持ち越しが起きた場合には、当該吸気行程において当該作動ガス中の燃料が凝縮して当該金属材の表面に付着してしまう。
また、特許文献2の金属材は、ランド部の側面のうちの、当該ランド部の上面からセカンドランドの途中にかけて設けられている。つまり、この金属材は、トップランドの側面だけでなくセカンドランドの側面にも設けられている。そのため、トップランドとセカンドランドの間の溝に装着されるピストンリング(即ち、トップリング)を介したランド部の上面からシリンダの内壁面への伝熱が妨げられてしまう。この結果、吸気行程においてシリンダ内に新たに流入した作動ガスに遮熱膜から熱が移動できてしまい、作動ガスが加熱されてしまう。即ち、ランド部の上面に遮熱膜を形成しているにも関わらず、ノッキングや異常燃焼が発生してしまう。
本発明は、上述の課題の少なくとも1つを解決するためになされたものである。即ち、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、当該ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜をランド部の上面に形成する内燃機関のピストンにおいて、当該ランド部の側面への燃料付着を抑制し、吸気行程での作動ガスの加熱を抑制することを目的とする。
上述の課題を解決するため、第1の発明は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜がランド部の上面に形成される内燃機関のピストンであって、
前記ランド部の側面に、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の一部に形成され、
前記トップランドの側面の保熱効果は、前記ランド部の上面側よりも前記ランド部の下面側の方が高いことを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面に形成され、
前記ランド部の側面のうちの前記溝よりも下方においては、前記ピストン母材が露出することを特徴とする。
第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかのピストンを備える内燃機関であって、
前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
第5の発明は、第1乃至第3の発明の何れかのピストンの製造方法であって、
前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記側面に形成する保熱膜形成ステップと、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、ランド部の側面に、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜を形成したので、内燃機関の1サイクルにおける当該側面の平均温度を上昇させて、吸気行程においてランド部の側面の温度が低下するのを抑制できる。従って、あるサイクルにおいてランド部の側面の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼せずに残留し、吸気行程に持ち越されたとしても、当該吸気行程の後の燃焼行程において燃焼させることが可能となる。よって、ランド部の側面への燃料付着を抑制できる。
ランド部の側面に着目した場合、当該側面の温度は、当該ランド部の上面から離れるほど低くなる。そのため、ランド部の側面の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼せずに残留し、吸気行程に持ち越された場合においては、当該ランド部の下面に近い領域において残留作動ガス中の燃料が凝縮する確率が高くなる。この点、第2の発明によれば、トップランドの側面の保熱効果が、上記ランド部の上面側よりも下面側の方が高いため、当該下面側に近い領域での残留作動ガス中の燃料の凝縮を良好に抑制できる。
第3の発明によれば、トップリングが装着される溝よりも下方においてピストン母材を露出できるので、ランド部の上面から、当該ランド部の内部およびトップリングを介したシリンダの内壁面への伝熱量を多くできる。従って、吸気行程での作動ガスの加熱を抑制できる。
シリンダの内壁面の温度は基本的に、クランクケースに近づくほど低くなる。そのため、クランクケースに最も近づく下死点において、ランド部の側面に形成した保熱膜の温度が最も低くなると言える。この点、第4の発明によれば、ピストン母材よりも低く遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜を、ピストンが下死点に位置するときにランド部の側面と対向するシリンダの内壁面に形成したので、当該側面に形成した保熱膜の温度が最も低くなる位置において、当該内壁面に形成した保熱膜によって当該側面の周囲に存在する作動ガスを温めることができる。よって、ランド部の側面への燃料付着を抑制できる。
絶縁性材料の成膜後に陽極酸化処理よって遮熱膜を形成する場合、陽極酸化反応が阻害されてしまい、形成される遮熱膜の構造や膜厚にばらつきが生じるおそれがある。この点、第5の発明によれば、陽極酸化処理による遮熱膜の形成後に、絶縁性材料を成膜して保熱膜を形成できるので、遮熱膜を良好に形成できる。
本発明の実施の形態に係るピストン10の斜視図である。 図1のピストン10を火花点火式内燃機関のシリンダ内に収容したときの断面模式図である。 内燃機関の1サイクルにおけるシリンダ内の作動ガスの温度およびランド部の上面の温度の推移を示す図である。 セラミックス膜の内燃機関の1サイクルでの平均温度と、当該セラミックス膜の単位体積当たりの熱容量と、未燃HCの低減効果との関係性を示した図である。 ランド部の上面からピストンの側面への伝熱量を示す図である。 ランド部の上面からピストンの側面への伝熱量を示す図である。 本発明の実施の形態に係るピストンの変形例を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るピストンの変形例を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るピストンの変形例を説明するための図である。 多孔質アルマイト膜32、セラミックス膜34および硬質アルマイト膜36が形成されたピストンを圧縮着火式内燃機関のシリンダ内に収容したときの断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る内燃機関50の断面模式図である。 本発明の実施の形態に係るピストンの製造方法を説明するフロー図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[内燃機関のピストン]
先ず、図1を参照しながら、本発明のピストンの実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るピストン10の斜視図である。ピストン10は、一般的な内燃機関のピストン同様、ピストン母材であるアルミニウム合金の鋳造により形成されるものである。図1に示すように、ピストン10は、シリンダ(図示しない)の内壁面にその側面が摺接する円筒状のスカート部12と、スカート部12の上端部に形成された所定肉厚のランド部14と、ピストンピン(図示しない)を支持するピンボス部16と、を備えている。ランド部14の側面には、3つのピストンリング(図示しない)を装着するための溝18,20,22が形成されている。ランド部14の上面(以下、「ピストン頂面」ともいう。)には、吸気バルブおよび排気バルブ(何れも図示しない)との干渉を回避する半月状のバルブリセス24,26,28,30が形成されている。
図2は、図1のピストン10を火花点火式内燃機関のシリンダ内に収容したときの断面模式図であり、図1のA−A断面に対応している。なお、図2において、ピストン10は上死点に位置しているものとする。図2に示すように、ピストン頂面には、多孔質アルマイト膜32が形成されている。また、溝18からピストン頂面にかけてのランド部14の側面、即ち、トップランドの側面には、セラミックス膜34が形成されている。また、溝18,20,22の表面には、硬質アルマイト膜36が形成されている。一方、溝18からランド部14の下面(図示しない)にかけてのランド部14の側面では、ピストン母材が露出している。例えば、溝18と溝20の間のランド部14の側面、即ち、セカンドランドの側面や、溝20と溝22の間のランド部14の側面、即ち、サードランドの側面ではピストン母材が露出している。
多孔質アルマイト膜32および硬質アルマイト膜36は共に、ピストン母材(即ち、アルミニウム合金)の陽極酸化処理により成膜される。但し、多孔質アルマイト膜32と硬質アルマイト膜36ではアルマイトの特性および膜厚(シリンダ軸方向に対して垂直な方向の膜厚をいう。以下同じ。)が異なる。具体的に、多孔質アルマイト膜32は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有している。また、多孔質アルマイト膜32の膜厚は100〜500μmである。多孔質アルマイト膜32はスイング特性(シリンダ内の作動ガスの温度の変化に対する膜形成面の温度の追従性をいう。以下同じ。)に優れるので各種の効果を得ることができる(詳細は後述)。
なお、多孔質アルマイト膜32が断熱性粒子(例えばシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)の粒子)を備える膜構成であってもよい。また、多孔質アルマイト膜の構成やその熱特性(つまり、熱伝導率や単位体積当たりの熱容量)については、例えば特開2010−249008号公報や特開2013−14830号公報を参照することができる。
多孔質アルマイト膜32同様、硬質アルマイト膜36も、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有している。但し、硬質アルマイト膜36の膜厚は数μmで空孔率も小さく、多孔質アルマイト膜32に比べると、硬質アルマイト膜36の熱伝導率と単位体積当たりの熱容量は遥かに高い。そのため、硬質アルマイト膜36にはスイング特性が殆どなく、その代わりに膜硬度および耐摩耗性に優れる。硬質アルマイト膜36によれば、溝18,20,22とピストンリングとの接触による摩擦を防止することができる。
セラミックス膜34は、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、窒化珪素(Si)、イットリア(Y)、チタニア(TiO)などのセラミックスや、サーメット(TiC・TiN)、ムライト(3Al・2SiO)、コージライト(2MgO・2Al・5SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)などの複合セラミックス(以下単に、「セラミックス系材料」と称す。)の溶射またはコールドスプレーにより成膜される。また、セラミックス膜34は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有している。セラミックス膜34の膜厚は50〜3000μmである。
一例として、多孔質アルマイト膜32の熱伝導率λ32はλ32≦0.5W/m・Kであり、多孔質アルマイト膜32の単位体積当たりの熱容量C32はC32≦1500×10J/m・Kである。また、セラミックス膜34の熱伝導率λ34はλ34<0.5〜30W/m・Kであり、セラミックス膜34の単位体積当たりの熱容量C34はC34>1500×10J/m・Kである。なお、アルミニウム合金の熱伝導率λAlはλAl=96.2W/m・Kであり、熱容量CAlはCAl=2639×10J/m・Kである。
多孔質アルマイト膜32とセラミックス膜34は、膜の密度および膜の表面粗度Ra(JIS B601(2001)に準拠して測定した算術平均粗さをいう。以下同じ。)において異なる。具体的に多孔質アルマイト膜32は、セラミックス膜34よりも低い密度を有している。多孔質アルマイト膜32の密度が低いのは、陽極酸化処理の過程において形成される細孔が多孔質アルマイト膜32の空孔率を大きくするためである。また、多孔質アルマイト膜32は、セラミックス膜34の表面粗度Raよりも大きい表面粗度Raを有している。多孔質アルマイト膜32の表面粗度Raが大きいのは、ピストン母材の添加物がアルマイトの形成を妨げることで膜表面の高さが揃わなくなるためである。一例として、多孔質アルマイト膜32の表面粗度Ra32は1.0μm≦Ra32≦3.0μmであり、セラミックス膜34の表面粗度Ra34はRa34<1.0μmである。
[ピストンによる効果]
多孔質アルマイト膜32とセラミックス膜34を形成したピストン10によれば、以下の効果を得ることができる。先ず、多孔質アルマイト膜32による効果について、図3を参照しながら説明する。図3は、内燃機関の1サイクルにおけるシリンダ内の作動ガスの温度およびランド部の上面の温度の推移を示す図である。この図において、「従来の壁温」は、ランド部の上面に一般的なセラミックス膜を形成した場合の当該上面の温度を表している。また、「実施の形態における壁温」は、ランド部の上面に多孔質アルマイト膜(即ち、多孔質アルマイト膜32)を形成した場合の当該上面の温度を表している。また、「ベース(Al)壁温」は、ランド部の上面にピストン母材が露出する場合の当該上面の温度を表している。
図3に示すように、一般的なセラミックス膜を形成した場合(従来の壁温)、ピストン母材が露出する場合(ベース(Al)壁温)に比べてランド部の上面での遮熱性を向上できるので、燃焼行程での冷却損失を低減できる。しかし、ランド部の上面の温度が吸気行程においても高いままとなる。そのため、この吸気行程において、ランド部の上面から作動ガスに向けて熱が移動する。従って、作動ガスが加熱されてしまい、ノッキングや異常燃焼が発生し易くなってしまう。
これに対し、多孔質アルマイト膜を形成した場合(実施の形態における壁温)、スイング特性によって吸気行程でのランド部の上面の温度を下げて、当該吸気行程での作動ガスの加熱を抑制することができる(下向き矢印参照)。従って、ノッキングや異常燃焼の発生を抑制できる。また、このスイング特性によれば、燃焼行程においてランド部の上面の温度を大きく上昇させることができる(上向き矢印参照)。従って、一般的なセラミックス膜を形成した場合よりも、燃焼行程での冷却損失を大きく低減して燃費を向上できる。
次に、セラミックス膜34による効果について説明する。セラミックス膜34は、多孔質アルマイト膜32の密度よりも高い密度を有するので、トップランドの側面に多孔質アルマイト膜32同様の多孔質アルマイト膜を形成する場合に比べて、ピストン10の上下動時の膜破損を抑制できる。加えて、セラミックス膜34は、多孔質アルマイト膜32の表面粗度Raよりも小さい表面粗度Raを有するので、トップランドの側面に多孔質アルマイト膜32同様の多孔質アルマイト膜を形成する場合に比べて、ピストン10とシリンダの間で生じるフリクションを軽減することもできる。
また、セラミックス膜34は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有しているので、内燃機関の1サイクルでの膜の平均温度を高くできる。図4は、セラミックス膜の内燃機関の1サイクルでの平均温度と、当該セラミックス膜の単位体積当たりの熱容量と、未燃HCの低減効果との関係性を示した図である。なお、図4のセラミックス膜の熱伝導率は、セラミックス膜34の熱伝導率同様、ピストン母材よりも低いものとする。図4に示すように、セラミックス膜の単位体積当たりの熱容量が高くなれば、当該セラミックス膜の1サイクルでの平均温度を高くできる。この理由は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有するセラミックス膜の単位体積当たりの熱容量が高くなることで、当該セラミックス膜の保熱効果が高まるためである。
セラミックス膜の1サイクルでの平均温度を高くできれば、次の効果が期待できる。即ち、ランド部の上面に多孔質アルマイト膜32を形成する場合、燃焼行程において当該上面の温度を上昇できる(図3参照)。しかしこの温度上昇に伴い作動ガスの粘度が上昇することから、作動ガスの流動性が低下して燃焼悪化が起き易いという弱点がある。上述したように、燃焼悪化が起きてしまうと、トップランドの側面の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼できずに当該側面の周囲に留まることになる。また、トップランドの側面の周囲に残留していた作動ガスが冷やされ、当該作動ガス中の燃料が凝縮して当該側面に付着してしまう。
この点、セラミックス膜の1サイクルでの平均温度を高くできると、あるサイクルにおいて当該セラミックス膜の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼せずに残留し、吸気行程に持ち越されたとしても、その後の燃焼行程において燃焼させることが可能となる。よって、トップランドの側面への燃料付着を抑制できる。即ち、未燃HCの低減効果を高めることができる(図4参照)。
ここで、セラミックス膜34による効果に関連し、セラミックス膜34がトップランドの側面にのみ形成される理由について図5乃至図6を参照しながら説明する。図5乃至図6は、ランド部の上面からピストンの側面への伝熱量を示す図である。上述した未燃HCの低減効果に鑑みれば、トップランドの側面に限ることなくセカンドランドやサードランドの側面にもセラミックス膜34を形成するという選択肢が考えられる。しかし、図3で説明した吸気行程でのランド部の上面の温度の下降は、直前の排気行程の後半から当該吸気行程の前半にかけての、ピストンの側面からシリンダの内壁面への伝熱が大きく寄与している。そのため、セカンドランドやサードランドの側面にセラミックス膜34同様のセラミックス膜を形成した場合には、当該側面から当該内壁面への伝熱量が少なくなってしまう(図5の矢印参照)。そうすると、吸気行程の中盤以降もピストンの頂面に残る熱によって、シリンダ内に吸入された作動ガスが温められ、ノッキングや異常燃焼が発生してしまう。
この点、セラミックス膜34をトップランドの側面に形成し、セカンドランドやサードランドの側面にはセラミックス膜34を形成せずにピストン母材を露出することで、溝18,20,22に装着されるピストンリングを介したピストンの側面からシリンダの内壁面への伝熱量を多くすることができる(図6の矢印参照)。従って、吸気行程での作動ガスの加熱を抑制できる。このように、トップランドの側面にセラミックス膜34を形成し、セカンドランドやサードランドの側面ではピストン母材を露出することで、未燃HCの低減効果を高めつつ、吸気行程での作動ガスの加熱を抑制することができる。
なお、上記実施の形態においては、多孔質アルマイト膜32が上記第1の発明の「遮熱膜」に、セラミックス膜34が同発明の「保熱膜」に、それぞれ相当している。
[ピストンの変形例]
ところで、上記実施の形態においては、トップランドの側面の全域に膜厚一定のセラミックス膜34を形成した。しかし、セラミックス膜34の膜厚を段階的または連続的に変えてもよいし、セラミックス膜34をトップランドの側面の一部に形成してもよい。図7乃至図9は、本発明の実施の形態に係るピストンの変形例を説明するための図である。これらの図は、図2同様、火花点火式内燃機関のシリンダの断面模式図に相当している。
図7の例では、セラミックス膜34の膜厚が2段階に変えられている。具体的には、溝18側のセラミックス膜34aの膜厚(50〜3000μm)よりも、ピストン頂面側のセラミックス膜34bの膜厚の方が薄くされている。また、図8の例では、溝18側の膜厚が最も厚く(50〜3000μm)、溝18からのピストン頂面に向かうほど膜厚が薄くされている。また、図9の例では、セラミックス膜34の膜厚は一定(50〜3000μm)であるものの、セラミックス膜34がトップランドの途中から溝18にかけて形成され、トップランドの途中からピストン頂面にかけてはピストン母材が露出している。
トップランドの側面に着目した場合、当該側面の温度は、ピストン頂面から離れるほど低くなる。そのため、トップランドの側面に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼せずに残留し、吸気行程に持ち越された場合、当該側面に近い領域において残留作動ガス中の燃料が凝縮する確率が高くなる。この点、図7乃至図9の如く、トップランドの側面の溝18に近い領域にセラミックス膜34を形成しておけば、当該領域での保熱効果を高めることができる。従って、残留作動ガス中の燃料の凝縮を良好に抑制できる。
また、上記実施の形態においては、ピストン10が火花点火式内燃機関に適用されるとして説明した。しかし、3種類の膜(多孔質アルマイト膜32、セラミックス膜34および硬質アルマイト膜36を指す。以下同じ。)を形成したピストンを圧縮着火式内燃機関に適用してもよい。図10は、3種類の膜が形成されたピストンを圧縮着火式内燃機関のシリンダ内に収容したときの断面模式図である。なお、図10において、ピストン40は上死点に位置しているものとする。図10に示すピストン40とピストン10では、ランド部14の上面の中央にキャビティ42が形成される点で異なるものの、その他の点については基本的に共通する。そのため、ピストン40によれば、ピストン10による効果と同様の効果を得ることができる。
[内燃機関]
次に、図11を参照しながら、本発明の内燃機関の実施形態について説明する。
なお、本実施の形態に係る内燃機関は、上記ピストン10を組み込んだ火花点火式内燃機関に相当する。そのため、ピストン10や3種類の膜の説明については省略する。
図11は、本発明の実施の形態に係る内燃機関50の断面模式図である。なお、図11において、ピストン10は下死点に位置しているものとする。図11に示すように、内燃機関50のシリンダ52の内壁面には、セラミックス膜54が形成されている。当該内壁面のうち、セラミックス膜54の形成領域以外の領域は、ピストン母材が露出している。
セラミックス膜54の熱特性等は、基本的にセラミックス膜34と同じである。即ち、セラミックス膜54は、セラミックス系材料の溶射またはコールドスプレーにより成膜される。また、セラミックス膜54ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有している。また、セラミックス膜54の膜厚は、50〜3000μmである。また、セラミックス膜54の膜幅(シリンダ軸方向に対して平行な方向の膜厚をいう。以下同じ。)は、セラミックス膜34の膜幅と同じである。
図11に示すように、セラミックス膜54は、ピストン10が下死点に位置したときにトップランドの側面(即ち、セラミックス膜34の形成面)と対向する位置に形成されている。シリンダ52の内壁面の温度は基本的に、クランクケースに近づくほど低くなる。そのため、クランクケースに最も近づく下死点において、セラミックス膜34の温度が最も低くなると言える。この点、図11の如くセラミックス膜54を形成しておけば、セラミックス膜34の温度が最も低くなる位置において、シリンダ52の内壁面に形成したセラミックス膜54によってトップランドの側面の周囲に存在する作動ガスを温めることができる。よって、トップランドの側面への燃料付着を抑制できる。
なお、上記実施の形態においては、セラミックス膜54が上記第4の発明の「保熱膜」に相当している。
[ピストンの製造方法]
次に、図12を参照しながら本発明の実施の形態に係るピストンの製造方法について説明する。
なお、本実施の形態に係る製造方法は、上記ピストン10を製造する方法に相当する。
図12は、本発明の実施の形態に係るピストンの製造方法を説明するフロー図である。図12に示すように、本実施の形態では、先ず、陽極酸化処理により溝18,20,22の表面に硬質アルマイトを成膜する(ステップS1)。本ステップS1では、具体的に、溝18,20,22、バルブリセス24,26,28,30等が形成されたピストンのランド部の表面のうち、硬質アルマイトを成膜する必要のない領域にマスキングを施す。続いて、このピストンを、電解槽と陰極と電源とを備える電解装置に設置する。そして、硬質アルマイトの成膜に適した電解条件(電解液温度、電流密度や電解時間をいう。以下同じ。)を設定し、陽極としてのピストンと陰極の間に通電する。本ステップS1を経ることで、硬質アルマイト膜36が形成される。
ステップS1に続いて、陽極酸化処理によりランド部の上面に多孔質アルマイトを成膜する(ステップS2)。本ステップS2は基本的にステップS1と同じである。即ち、ランド部の表面のうち、多孔質アルマイトを成膜する必要のない領域にマスキングを施す。続いて、このピストンを反転状態で電解装置に設置し、電気分解を行う。具体的には、多孔質アルマイトの成膜に適した電解条件を設定し、陽極としてのピストンと陰極の間に通電する。これにより、多孔質アルマイトを成膜する。成膜後、必要に応じて成膜面を研磨加工する。なお、上記断熱性粒子を多孔質アルマイトと併用する場合には、多孔質アルマイトの成膜後、当該断熱性粒子を含む溶液(例えば、ポリシラザン溶液、ポリシロキサン溶液)を多孔質アルマイトの表面に塗工等する。本ステップS2を経ることで、多孔質アルマイト膜32が形成される。
ステップS2に続いて、トップランドの側面にセラミックス系材料を成膜する(ステップS3)。本ステップS3では、先ず、トップランドの側面を、セラミックス系材料の膜厚分だけ切削加工する。切削加工する理由は、セラミックス系材料の成膜によってトップランドの側面とシリンダの内壁面の間のクリアランスが縮小されるのを抑制するためである。続いて、切削加工面をブラスト処理する。ブラスト処理する理由は、切削加工面の表面粗度を意図的に悪化させて、当該切削加工面に形成するセラミックス膜のピストン母材への密着力をアンカー効果によって向上させるためである。続いて、ブラスト処理面へのセラミックス系材料の溶射またはコールドスプレーを行う。これにより、セラミックス系材料を成膜する。成膜後、必要に応じて成膜面を研磨加工する。本ステップS3を経ることで、セラミックス膜34が形成される。
セラミックス系材料は基本的に絶縁性を示すことから、ステップS3の処理後にステップS1やステップS2を処理した場合には、陽極酸化反応が阻害されてしまう。この点、本実施の形態によれば、ステップS3の処理前にステップS1とステップS2を処理するので、3種類の膜の構造や膜厚にばらつきが出るのを抑えることができる。
なお、上記実施の形態においては、ステップS2が上記第5の発明の「遮熱膜形成ステップ」に、ステップS3が同発明の「保熱膜形成ステップ」に、それぞれ相当している。
[製造方法の変形例]
ところで、上記実施の形態においては、ステップS1の処理後にステップS2を処理した。しかし、ステップS1の処理前にステップS2を処理してもよい。
また、上記実施の形態においては、ステップS3において溶射またはコールドスプレーによりセラミックス系材料を成膜した。しかし、セラミックス系材料からリング状の成形体を別途作製し、この成形体をトップランドの側面に圧入してもよい。
10,40 ピストン
14 ランド部
18,20,22 溝
32 多孔質アルマイト膜
34,54 セラミックス膜
36 硬質アルマイト膜
50 内燃機関
52 シリンダ
第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかのピストンを備える内燃機関であって、
前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記ランド部の側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする。
第5の発明は、第1乃至第3の発明の何れかのピストンの製造方法であって、
前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記ランド部の上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記ランド部の側面に形成する保熱膜形成ステップと、
を備えることを特徴とする。
なお、上記実施の形態においては、多孔質アルマイト膜32が上記第1の発明の「遮熱膜」に、セラミックス膜34が同発明の「保熱膜」に、それぞれ相当している。多硬質アルマイト膜32が多孔質粒子を備える場合は、多孔質粒子を備える多孔質アルマイト膜32が上記第1の発明の「遮熱膜」に相当する。
セラミックス膜54の熱特性等は、基本的にセラミックス膜34と同じである。即ち、セラミックス膜54は、セラミックス系材料の溶射またはコールドスプレーにより成膜される。また、セラミックス膜54は、ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、多孔質アルマイト膜32よりも高い単位体積当たりの熱容量を有している。また、セラミックス膜54の膜厚は、50〜3000μmである。また、セラミックス膜54の膜幅(シリンダ軸方向に対して平行な方向の膜厚をいう。以下同じ。)は、セラミックス膜34の膜幅と同じである。
第2の発明は、第1の発明において、
前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の少なくとも一部に形成され、
前記保熱膜は、前記ランド部の下面側から前記ランド部の上面側に向かって段階的に薄くなる膜厚、若しくは、前記ランド部の下面側から前記ランド部の上面側に向かって連続的に膜厚が薄くなる膜厚を有し、または、前記ランド部の下面側に形成されて前記ランド部の上面側に形成されないことを特徴とする。
ランド部の側面に着目した場合、当該側面の温度は、当該ランド部の上面から離れるほど低くなる。そのため、ランド部の側面の周囲に存在する作動ガスが燃焼行程において燃焼せずに残留し、吸気行程に持ち越された場合においては、当該ランド部の下面に近い領域において残留作動ガス中の燃料が凝縮する確率が高くなる。この点、第2の発明によれば、トップランドの側面の保熱効果を、上記ランド部の上面側よりも下面側において高めることができるので、当該下面側に近い領域での残留作動ガス中の燃料の凝縮を良好に抑制できる。

Claims (5)

  1. ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記ピストン母材よりも低い単位体積当たりの熱容量を有する遮熱膜がランド部の上面に形成される内燃機関のピストンであって、
    前記ランド部の側面に、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする内燃機関のピストン。
  2. 前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面の一部に形成され、
    前記トップランドの側面の保熱効果は、前記ランド部の上面側よりも前記ランド部の下面側の方が高いことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストン。
  3. 前記保熱膜は、前記ランド部のうちのトップリングが装着される溝よりも上方の部位であるトップランドの側面に形成され、
    前記ランド部の側面のうちの前記溝よりも下方においては、前記ピストン母材が露出することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のピストン。
  4. 請求項1乃至3何れか1項に記載のピストンを備える内燃機関であって、
    前記ピストンを収容するシリンダの内壁面のうちの前記ピストンが下死点に位置したときに前記側面と対向する位置に、前記ピストン母材よりも低く前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する保熱膜が形成されることを特徴とする内燃機関。
  5. 請求項1乃至3何れか1項に記載のピストンの製造方法であって、
    前記ピストン母材の陽極酸化処理により前記上面に前記遮熱膜を形成する遮熱膜形成ステップと、
    前記遮熱膜の形成後、前記ピストン母材よりも低い熱伝導率を有し、尚且つ、前記遮熱膜よりも高い単位体積当たりの熱容量を有する絶縁性材料を成膜することにより前記保熱膜を前記側面に形成する保熱膜形成ステップと、
    を備えることを特徴とするピストンの製造方法。
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