JP2016172470A - 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法 - Google Patents

自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016172470A
JP2016172470A JP2015052367A JP2015052367A JP2016172470A JP 2016172470 A JP2016172470 A JP 2016172470A JP 2015052367 A JP2015052367 A JP 2015052367A JP 2015052367 A JP2015052367 A JP 2015052367A JP 2016172470 A JP2016172470 A JP 2016172470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suspension system
main body
system member
top plate
vertical walls
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015052367A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6376010B2 (ja
Inventor
伊藤 泰弘
Yasuhiro Ito
泰弘 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2015052367A priority Critical patent/JP6376010B2/ja
Publication of JP2016172470A publication Critical patent/JP2016172470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6376010B2 publication Critical patent/JP6376010B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】本体の素材として高強度鋼板を用いた場合にも、溶接部の疲労強度を十分に維持しながら、部品点数や重量、さらには製造コストの増加を抑制するとともに量産性も優れる自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
天板21、天板21につながる2つの稜線31および2つの稜線31にそれぞれつながる2つの縦壁22からなる略溝型の横断面を有する取付部13を備える、自動車のサスペンション系部材の本体11において、取付部13の端部に、天板21、2つの稜線31および2つの縦壁22につながる端板23を備えるとともに、端板23および2つの縦壁22それぞれの端面の全てが、いずれも、サスペンション系部材を構成するカラー12との突合せ隅肉溶接予定部である自動車のサスペンション系部材の本体11とその製造方法によって解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばアッパーアームやロアアーム、さらにはトーコントロールリンクといった自動車のサスペンション系部材と、このサスペンション系部材の本体と、この本体の製造方法に関する。
自動車のサスペンション(懸架装置)は、タイヤおよびホイールを介して路面から入力される衝撃を和らげて良好な乗り心地を維持するとともに、旋回時や加減速時のタイヤの接地性を確保することにより操縦安定性を高める装置である。サスペンションは、サスペンションアーム、スプリング、ショックアブソーバーおよび必要に応じて装着されるスタビライザー等により構成される。サスペンションアームは、ボディやボディ側部材に対して回動自在に装着されて、タイヤおよびホイールを支持するハブを上下動自在に支持する。スプリングは、タイヤおよびホイールへの路面からの衝撃を緩和する。ショックアブソーバーは、スプリングの振動を吸収する。さらに、スタビライザーは、左右のサスペンションアームの変位差を抑制することにより車体の横揺れ(ロール)を抑制する。サスペンションのこれらの構成要素のうちサスペンションアームには、マクファーソンストラット式やウィッシュボーン式といった型式に応じて、ロアアームやアッパーアームが用いられる。
図7は、特許文献1により開示された一般的なロアアーム101を示す説明図であり、図7(a)は全体を示し、図7(b)はロアアーム101のカラー取付け部101aを拡大して示す。図8(a)は、従来のロアアーム101のアーム本体102を示す説明図であり、図8(b)は、アーム本体102のカラー取付け部102aを拡大して示す説明図である。さらに、図9は、従来のアーム本体102とカラー103との溶接部を示す説明図である。アーム本体(以下、単に「本体」ともいう)102は、金属製(例えば鋼製)のプレス成形品からなる。カラー103は、中空の円筒形状を有し、本体102の所定の位置に形成された凸部であるカラー取付部102aに突き当てられて隅肉溶接される(本明細書では「突合せ隅肉溶接」という)。符号104はこの突合せ隅肉溶接部を示す。本体102とカラー103とは、カラー103の外周曲面103aに、カラー取付け部102aの先端開口部に形成された凹状の外形ライン102bを突き当てて、アーク溶接またはレーザ溶接により突合せ隅肉溶接部104を形成することによって、突合せ隅肉溶接される。なお、本明細書では、図7〜9に示すロアアーム101を「カラー上部取付け型のロアアーム」ともいう。
図10は、一般的なトーコントロールリンク105を示す上面図である。トーコントロールリンク105は、制動時や旋回時のタイヤ106のトー変化を抑制するために車体側部材107とホイール側部品108との間に追加されるリンクである。トーコントロールリンク105は、制動時のブレーキ力や旋回時の横力がタイヤ106に作用してトー角がトーアウト方向へ変化しようとすることを打ち消すことにより、車両の操縦安定性を高める。
トーコントロールリンク105も、ロアアーム101と同様に、金属製(例えば鋼製)のプレス成形品からなる本体105aと、本体105aの長手方向両端部に形成された凸部であるカラー取付部105b,105bに突き当てられて突合せ隅肉溶接される中空かつ円筒形状のカラー105c,105cとを有する。このように、ロアアーム101とトーコントロールリンク105は、それぞれの本体およびカラーの接合構造が同様であるので、以降の説明ではロアアーム1を例にとることとする。
特許文献2には、同様の形状を有するアッパー材およびロアー材という2枚のロアアーム素材によりカラーを両側から挟んで溶接して構成されるロアアームが開示されている。
特許文献3には、凸部であるカラー取付け部をプレス成形品である本体とは別部品とし、本体のカラー取付け部は二部品をバーリングした後に取り付ける発明が開示されている。特許文献3により開示された発明によれば、本体のカラー取付け部がカラーの外周を囲うようにしてカラーを取り付けられる。
さらに、特許文献4には、カラーに穿設された穴に本体を差し込んだ後に溶接することにより構成されるリング部材が開示されている。
特開2010−260513号公報 特開2014−004939号公報 特許第5363065号明細書 実用新案登録第2582424号明細書
特許文献1により開示されたロアアーム101といったサスペンション系部材には、自動車の走行時の振動によって繰り返し荷重が負荷される。このため、サスペンション系部材は、疲労破壊することを抑制するために、十分な疲労強度を有することが要求される。サスペンション系部材の疲労強度は、一般的に、本体102の機械特性値や化学成分、溶接部104の溶接条件(熱履歴)、さらには本体102と溶接相手材103との継手構造等の影響を受ける。
一方、地球環境問題を背景として、高強度鋼板の適用による自動車車体の軽量化が推進されており、本体102も高強度鋼板の適用対象である。しかし、本体102とカラー103との突合せ隅肉溶接部104では疲労強度が低下し易く、特に高強度鋼板を用いるとその傾向が顕著になる。換言すると、疲労強度の低下は、サスペンション系部材の高強度化による薄肉化、軽量化を阻害する。
図7〜9に示す従来のロアアーム101では、開放端であるカラー取り付け部102aにカラー103を突合せ隅肉溶接により溶接する。しかし、カラー103を取付けるための突合せ隅肉溶接部104の溶接長を長く確保することが難しい場合には、疲労破壊の発生の危険性が高まる。特に、本体102の素材として高強度鋼板を用いた場合はこの傾向が顕著になる。また、カラー取り付け部102aの先端は、図9に示すように開放されているために局部剛性が低い。このため、繰り返し負荷される外力によりカラー取付部102aの先端が口開き変形を繰り返し、これにより、突合せ隅肉溶接部104に生じる応力振幅値が高まり、疲労破壊が発生し易くなる。さらに、図8(b)に示す凹状の外形ライン102bをカラー取付部102aの先端開口部に形成するためには、天板102c,天板102cの両側につながる2つの稜線102d,102d、および2つの稜線102d,102dにそれぞれつながる2つの縦壁102e,102eからなる横断面を有する本体102のカラー取付部をプレス成形する際に、稜線102d,102dの形状が付与された部分で切断する必要がある。しかしながら、高強度鋼板をこのように複雑な形状に切断するためには金型に大きな負荷が生じるため、本体102の量産が困難になるといった製造課題がある。
特許文献2により開示されたロアアームでは、アーム本体を2枚用いることから、部品の点数や重量の増加が避けられない。
特許文献3により開示された発明では、カラー取付部をプレス成形品である本体とは別部品とするため、部品点数ならびに成形・溶接工程数がいずれも増加し、製造コストの上昇は避けられない。
さらに、特許文献4により開示されたリング部材に係る発明は、サスペンションの構成部品として用いられるテンションロッドには適用可能であるものの、カラーよりも本体が相当程度大きいロアアームには適用できない。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、本体の素材として普通鋼板を用いた場合にはもちろんのこと高強度鋼板を用いた場合であっても、溶接部の疲労強度を十分に維持しながら、部品点数や重量、さらには製造コストの増加を抑制するとともに量産性も優れる、例えばアッパーアームやロアアーム、さらにはトーコントロールリンクといった自動車のサスペンション系部材と、このサスペンション系部材の本体と、この本体の製造法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するためには、本体102が、(a)カラー103の外周曲面103aとカラー取付け部102aの先端開口部に形成された凹状の外形ライン102bとにより形成される突合せ隅肉溶接104の溶接長をできるだけ長く確保すること、および(b)カラー取付け部102aの先端開口部の剛性を局部的に確保することを、ともに達成できる構造を有すればよいとの前提に立脚し、鋭意検討を重ねた結果、以下に列記の知見A〜Cを得て、本発明を完成した。
(A)ロアアームのカラー取付け部にフランジ(端板)を設けることにより、カラーを取り付ける際のアーク溶接長と、局部剛性を確保でき、疲労強度を大幅に向上することができる。
(B)カラーは、従来技術に示すような取付部上側設置型(カラー上部取付け型)ではなく、下側に取り付けることにより、トリム(部材切断)等の製造課題を回避することができる。また、一枚からなる部品であるため、コストの低減と軽量化を図ることもできる。
(C)上記の形状を有するロアアームを製造しようとすると、絞り成形では「割れ」が生じ易く、曲げ成形では「しわ」が生じ易い。これに対し、後述するフランジダウン成形法を用いることにより、割れやしわといった成形不良の発生を回避しながら、所望の形状を有するロアアームを製造することができる。
本発明は、以下に列記の通りである。
(1)天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する取付部を備える、自動車のサスペンション系部材の本体において、
前記取付部の端部に、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を備えるとともに、該端板および前記2つの縦壁それぞれの端面の全てが、前記サスペンション系部材を構成するカラーとの突合せ隅肉溶接予定部であること
を特徴とする自動車のサスペンション系部材の本体。
(2)前記端板と前記縦壁との接続部の長さLは10mm以下である前記(1)項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
(3)金属板のプレス成形品であって、前記端板は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁と一体成形されている、前記(1)項または(2)項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
(4)590MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板からなる前記(3)に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
(5)鋼板からなるブランクにプレス成形を行って、天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する凸部端部を備える中間成形体に曲げ成形する第1成形工程と、
ダイと、該ダイに対向して配置されるパンチと、前記中間成形体の前記縦壁の板厚方向へ所定の距離xを有して配置されて前記縦壁の面外変形を抑制する面外変形抑制工具とを備えるプレス成形金型を用い、
前記中間成形体を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより前記縦壁を挟みながら、前記パンチと前記ダイとにより前記中間成形体の前記端部の先端を曲げ成形することにより、
前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を有する取付部を形成する第2成形工程とを備えること、
を特徴とする前記(1)項から(4)項までのいずれか1項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
(6)前記距離xは下記(1)式により規定される、前記(5)項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
1.00×t≦x<1.40×t ・・・・・・・(1)
ただし、t:前記ブランクの板厚(mm)である。
(7)前記ダイは、前記中間成形体を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持する、前記(5)項または(6)項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
(8)前記パンチは、前記中間成形体の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持する、前記(5)項〜(7)項の何れかに記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
(9)天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する取付部を備える本体と、該取付部に突合せ隅肉溶接されるカラーとを備える自動車のサスペンション系部材において、
前記取付部の端部は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を備え、
前記本体は、前記端板の開放辺および該端板の開放辺に連続する前記2つの縦壁の開放端部が、前記カラーと突合せ隅肉溶接されること
を特徴とする自動車のサスペンション系部材。
(10)前記端板と前記縦壁との接続部の長さLは10mm以下である前記(9)項に記載された自動車のサスペンション系部材。
(11)前記本体は、金属板のプレス成形品であって、前記端板は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁と一体成形されている、前記(9)項または(10)項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
(12)前記本体は、590MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板からなる前記(11)項に記載された自動車のサスペンション系部材。
(13)前記サスペンション系部材が、ロアアーム、アッパーアーム、及びトーコントロールリンクのうちのいずれかである前記(9)項〜(12)項の何れかに記載された自動車のサスペンション系部材。
本発明により、本体の素材として普通鋼板を用いた場合にはもちろんのこと、高強度鋼板を用いた場合であっても、溶接部の疲労強度を十分に維持しながら、部品点数や重量、さらには製造コストの増加を抑制するとともに量産性も優れる、例えばアッパーアームやロアアーム、さらにはトーコントロールリンクといった自動車のサスペンション系部材と、サスペンション系部材の本体と、サスペンション系部材の本体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、製造課題(部材切断)、コスト課題、軽量化課題を解決しながら、溶接部の疲労強度が大幅に向上した自動車のサスペンション系部材を提供することができる。具体的には、カラー取付け部にフランジを設けた本発明に係る本体を備えるロアアームは、「カラーを取り付ける際のアーク溶接長」および「局部剛性」をいずれも十分確保することができるため、高強度鋼板を用いたサスペンション系部材の更なる薄肉化を図ることができる。
図1は、本発明に係るロアアームを示す説明図である。 図2は、本発明に係るロアアームの本体を示す説明図である。 図3は、本発明に係るロアアームの本体におけるカラーとの突合せ隅肉溶接予定部(取付部)を拡大して示す説明図である。 図4(a)〜図4(c)は、第1成形工程、第2成形工程を経る本体取付部の製造方法の一例を経時的に示す説明図である。 図5は、フランジダウン成形に用いる成形装置の構成例を模式的に示す概略図である。 図6は、フランジダウン成形に用いる成形装置により本体を製造する状況を模式的に示す説明図である。 図7Aは、特許文献1により開示された一般的なロアアームを示す説明図であり、図7(a)は全体を示し、図7(b)はロアアームのカラー取付部を拡大して示す。 図8(a)は、従来のロアアームのアーム本体を示す説明図であり、図8(b)は、アーム本体のカラー取付部を拡大して示す説明図である。 図9は、従来のアーム本体とカラーとの溶接部を示す説明図である。 図10は、一般的なトーコントロールリンクを示す上面図である。
添付図面を参照しながら、本発明を説明する。なお、以降の説明は、本発明に係る自動車のサスペンション系部材がロアアームである場合を例にとるが、本発明は、これに限定されるものではなく、トーコントロールリンクやアッパーアームにも同様に適用される。
1.ロアアーム1およびその本体11
図1は、本発明に係るロアアーム1を示す説明図であり、図2は、本発明に係るロアアーム1の本体11を示す説明図である。図3は、本発明に係るロアアーム1の本体11におけるカラーとの突合せ隅肉溶接予定部14を拡大して示す説明図である。
図1に示すように、ロアアーム1は、本体11とカラー12とを有する。
図2に示すように、ロアアーム1の本体11は、取付部13を備え、該取付部13にカラー12との隅肉溶接予定部14を有する。
詳しくは、図3に示すように、本体11は、天板21、天板21につながる2つの稜線31a、31bおよび2つの稜線31a、31bにそれぞれつながる2つの縦壁22a、22bからなる略溝型の横断面を有する突出した開口部である取付部13を備える。
取付部13の端部は、天板21、2つの稜線31a、31bおよび2つの縦壁22a、22bにつながる端板23を備える。端板23および2つの縦壁22a、22bそれぞれの端面32a、32b、33の全てが、いずれも、ロアアーム(サスペンション系部材)を構成するカラーとの突合せ隅肉溶接予定部14となる。
このように、ロアアーム本体11のカラー取付け部に端板(フランジ)23を設けたことによって、従来の「端板(フランジ)23なし」の形状よりも、カラー12を取り付ける際のアーク溶接長を長く確保することができる。
本発明に係るロアアーム本体11において、端板23と縦壁22との接続部の長さL、すなわち、端板における「天板21との会合点」から「縦壁22a、22bの端面32a、32bとの会合点」までの長さLは、10mm以下であることが好ましい。10mm以上であると、稜線に力を伝達し難くなり、部品の軸方向に対する断面強度が低下するため、Lは短いほうが好ましい。
本体11は、金属板のプレス成形品であって、端板23は、天板21、2つの稜線31a、31bおよび2つの縦壁22a、22bと一体成形されていることが好ましい。
また、端板23は、天板21、2つの稜線31a、31bおよび2つの縦壁22a、22bとは別体に構成され、両者は例えば溶接や接着といった適当な接合手段により接合されていてもよい。
本体11は、590MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板からなるプレス成形品であり、望ましくは980MPa以上、さらに望ましくは1180MPa以上の引張強度を有する。これにより、本体11の薄肉化、軽量化を推進することができる。
ロアアーム1は、本体11の所定の位置に備えられたカラーとの隅肉溶接予定部14にカラー12を突合せ溶接することにより、形成される。
カラー12は、公知のカラーと同様に、所定の装着位置に回転自在に取り付けられるための中空の円筒形状を有するとともに、本体11のカラーとの隅肉溶接予定部14にアーク溶接またはレーザ溶接されることにより、本体11に溶接される。
本発明に係るロアアーム1は、本体11の取付部13の端部に、天板21、2つの稜線31a、31bおよび2つの縦壁22a、22bにつながる端板23を備え、本体11は、端板23の開放辺および端板23の開放辺に連続する2つの縦壁22a、22bの開放端部が、カラー12と突合せ隅肉溶接される。すなわち、本体11は、端板23および2つの縦壁22a、22bそれぞれの端面の全てによりカラー12と突合せ隅肉溶接される。
本発明によれば、カラー12は、取付部上側設置型(カラー上部取付け型)ではなく、下部に取り付けているため、トリムなどの製造上の課題は解決される。
また、カラー12を上下から挟んで構成するサスペンションアームとは異なり、本発明のアーム本体は一枚からなる部品であるため、低コストかつ軽量である。
さらに、ロアアーム1におけるアーム本体11の取付部13の端部は、開放端ではなく、カラー12によって閉じられた断面となるため、「局部剛性」を確保できる。また、従来の“カラー上部取付け型”である場合のように、下部断面が開放端となってしまうことがなく、縦壁22a、22bの強度が不足することがない。これにより、疲労強度を大幅に向上することができる。
本発明に係るロアアーム1を用いることにより、割れやしわといった成形不良の発生を回避して、製造コストの低減と軽量化を図りながら、本体11とカラー12との溶接部の疲労強度を大幅に向上させることができる。
2.ロアアーム1の本体11の製造方法
(1)本体11のプレス成形法
図4(a)〜図4(c)は、第1成形工程、第2成形工程(フランジダウン成形工程)を経る本体取付部13の製造方法の一例を経時的に示す説明図である。
図5は、フランジダウン成形に用いる成形装置60の構成例を模式的に示す概略図であり、図6は、フランジダウン成形に用いる成形装置60により本体11を製造する状況を模式的に示す説明図である。
ロアアーム1の本体11の製造方法としては、好ましくは、図4(a)および図4(b)に示すように、鋼板製のブランク11Aから曲げ成形により中間成形体11Bを得る第1成形工程と、図4(b)および図4(c)に示すように、中間成形体11Bからフランジダウン成形により、端板部23有する取付部を形成する第2成形工程とを備える。
なお、本体11の端板部23は、別部品として成形することもできるが、強度および製造コストの観点から、本体11と一体に成形することが好ましい。
<第1成形工程>
鋼板からなるブランク11Aに、ダイとパンチとを用いてプレス成形(曲げ成形)を行うことにより、天板41、該天板41につながる2つの稜線52a、52bおよび該2つの稜線52a、52bにそれぞれつながる2つの縦壁42a、42bからなる略溝型の横断面を有する取付部を備える中間成形体11Bを製造する。
このプレス成形に用いるプレス成形装置は、ダイとパンチとを有する曲げ成形による慣用のプレス成形装置であればよく、当業者にとっては周知であるので、これらに関する説明は省略する。
<第2成形工程>
図5に示すように、中間成形体11Bはプレス成形装置60によってプレス成形(フランジダウン成形)され、ロアアーム本体11の取付部13を製造する。プレス成形装置60は、ダイ61と、ダイ61に対向して配置されるパンチ62と、中間成形体11Bの縦壁42a,42bの板厚方向へ所定の距離xを有して配置されて縦壁42a,42bの面外変形を抑制する面外変形抑制工具63a,63bとを備える。
ダイ61、パンチ62は、この種の曲げ成形によるプレス成形装置において慣用されるものであればよく、当業者にとっては周知であるので、これらに関する説明は省略する。
面外変形抑制工具63a,63bは、プレス成形時のパンチ62の側面から、「ブランク11Aの板厚」に「所定のクリアランス」を加算した値の隙間を設けて配置される。
具体的には、面外変形抑制工具63a,63bは、中間成形体11Bの縦壁42a,42bの板厚方向へ所定の距離(隙間)x(mm)が、下記(1)式により規定される位置に配置されることが好ましい。
1.00×t≦x<1.40×t ・・・・・・・(1)
ただし、tはブランク11Aの板厚(mm)である。
式(1)を満足することにより面外変形によって生じる「しわ」を抑制できる。
本発明に係る好ましい製造方法としては、中間成形体11Bをパンチ62上に配置し、パンチ62の側面と面外変形抑制工具63a,63bとにより中間成形体11Bの縦壁42a,42bを挟みながら、パンチ62とダイ61とにより中間成形体11Bの先端に位置する端板予定部40をフランジダウン成形することにより、天板21、2つの稜線31a,31b、および2つの縦壁22a,22bにつながる端板23を成形することによって、本体11の取付部13を製造する。
ダイ61は、中間成形体11Bを押圧するパッド(図示しない)を押圧方向に移動自在に支持してもよい。
また、パンチ62は、中間成形体11Bの一方の表面に当接するインナーパッド(図示しない)を型締め方向へ移動自在に支持してもよい。
通常の絞り成形、曲げ成形で本発明の形状、すなわちフランジ部(端板23)を有する本体11を製造しようとすると、絞り成形では「割れ」を生じ、曲げ成形では面外変形によって「しわ」が生じる可能性が高い。これに対し、フランジダウン成形工法を用いることにより、割れやしわを生じることなく、所望の形状を有する本体11を製造することができる。
また、本発明に係る製造方法は、ブランクホルダを用いない曲げ成形によるプレス加工であるため、成形後に不要部のトリムを行う必要がなく、この点からも製造コストの上昇を抑制することができる。
1:ロアアーム
11:本体
12:カラー
13:取付部
21:天板
22:縦壁
23:端板
31:稜線
61:ダイ
62:パンチ
63:面外変形抑制工具

Claims (13)

  1. 天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する取付部を備える、自動車のサスペンション系部材の本体において、
    前記取付部の端部に、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を備えるとともに、該端板および前記2つの縦壁それぞれの端面の全てが、前記サスペンション系部材を構成するカラーとの突合せ隅肉溶接予定部であること
    を特徴とする自動車のサスペンション系部材の本体。
  2. 前記端板と前記縦壁との接続部の長さLは10mm以下である請求項1に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
  3. 金属板のプレス成形品であって、前記端板は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁と一体成形されている、請求項1または請求項2に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
  4. 590MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板からなる請求項3に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
  5. 鋼板からなるブランクにプレス成形を行って、天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する端部を備える中間成形体に曲げ成形する第1成形工程と、
    ダイと、該ダイに対向して配置されるパンチと、前記中間成形体の前記縦壁の板厚方向へ所定の距離xを有して配置されて前記縦壁の面外変形を抑制する面外変形抑制工具とを備えるプレス成形金型を用い、
    前記中間成形体を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより前記縦壁を挟みながら、前記パンチと前記ダイとにより前記中間成形体の前記端部の先端を曲げ成形することにより、
    前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を有する取付部を形成する第2成形工程とを備えること、
    を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
  6. 前記距離xは下記(1)式により規定される、請求項5に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
    1.00×t≦x<1.40×t ・・・・・・・(1)
    ただし、t:前記ブランクの板厚(mm)である。
  7. 前記ダイは、前記中間成形体を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持する、請求項5または請求項6に記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
  8. 前記パンチは、前記中間成形体の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持する、請求項5〜7の何れかに記載された自動車のサスペンション系部材の本体の製造方法。
  9. 天板、該天板につながる2つの稜線および該2つの稜線にそれぞれつながる2つの縦壁からなる略溝型の横断面を有する取付部を備える本体と、該取付部に突合せ隅肉溶接されるカラーとを備える自動車のサスペンション系部材において、
    前記取付部の端部は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁につながる端板を備え、
    前記本体は、前記端板の開放辺および該端板の開放辺に連続する前記2つの縦壁の開放端部が、前記カラーと突合せ隅肉溶接されること
    を特徴とする自動車のサスペンション系部材。
  10. 前記端板と前記縦壁との接続部の長さLは10mm以下である請求項9に記載された自動車のサスペンション系部材の本体。
  11. 前記本体は、金属板のプレス成形品であって、前記端板は、前記天板、前記2つの稜線および前記2つの縦壁と一体成形されている、請求項9または請求項10に記載された自動車のサスペンション系部材。
  12. 前記本体は、590MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板からなる請求項11に記載された自動車のサスペンション系部材。
  13. 前記サスペンション系部材が、ロアアーム、アッパーアーム、及びトーコントロールリンクのうちのいずれかである請求項9〜12の何れかに記載された自動車のサスペンション系部材。
JP2015052367A 2015-03-16 2015-03-16 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法 Active JP6376010B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015052367A JP6376010B2 (ja) 2015-03-16 2015-03-16 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015052367A JP6376010B2 (ja) 2015-03-16 2015-03-16 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016172470A true JP2016172470A (ja) 2016-09-29
JP6376010B2 JP6376010B2 (ja) 2018-08-22

Family

ID=57008646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015052367A Active JP6376010B2 (ja) 2015-03-16 2015-03-16 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6376010B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210075537A (ko) * 2019-12-13 2021-06-23 주식회사 포스코 서스펜션의 트레일링 암
CN113033456A (zh) * 2021-04-08 2021-06-25 阿波罗智联(北京)科技有限公司 车辆车轮接地点的确定方法、装置、路侧设备及云控平台
WO2022070248A1 (ja) 2020-09-29 2022-04-07 株式会社ヨロズ 車両サスペンション用構造体およびその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09193634A (ja) * 1996-01-22 1997-07-29 Daihatsu Motor Co Ltd 自動車用サスペンションアーム
JP2002205520A (ja) * 2001-01-12 2002-07-23 Honda Motor Co Ltd サスペンションアーム
JP2005059046A (ja) * 2003-08-11 2005-03-10 Nissan Motor Co Ltd 筒状カラー部とフランジ部とを備えるワークの製造方法およびその製造装置
JP2007514578A (ja) * 2003-07-07 2007-06-07 セタエフェ アンサ レムフェルデル ソシエダッド リミターダ 自動車用サスペンションアーム
US20070145704A1 (en) * 2000-09-05 2007-06-28 David Chan Vehicle suspension beam
JP2014080106A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Toyota Motor Corp サスペンションアーム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09193634A (ja) * 1996-01-22 1997-07-29 Daihatsu Motor Co Ltd 自動車用サスペンションアーム
US20070145704A1 (en) * 2000-09-05 2007-06-28 David Chan Vehicle suspension beam
JP2002205520A (ja) * 2001-01-12 2002-07-23 Honda Motor Co Ltd サスペンションアーム
JP2007514578A (ja) * 2003-07-07 2007-06-07 セタエフェ アンサ レムフェルデル ソシエダッド リミターダ 自動車用サスペンションアーム
JP2005059046A (ja) * 2003-08-11 2005-03-10 Nissan Motor Co Ltd 筒状カラー部とフランジ部とを備えるワークの製造方法およびその製造装置
JP2014080106A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Toyota Motor Corp サスペンションアーム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210075537A (ko) * 2019-12-13 2021-06-23 주식회사 포스코 서스펜션의 트레일링 암
KR102323790B1 (ko) * 2019-12-13 2021-11-09 주식회사 포스코 서스펜션의 트레일링 암
WO2022070248A1 (ja) 2020-09-29 2022-04-07 株式会社ヨロズ 車両サスペンション用構造体およびその製造方法
KR20230073184A (ko) 2020-09-29 2023-05-25 가부시키가이샤 요로즈 차량 서스펜션용 구조체 및 그 제조 방법
CN113033456A (zh) * 2021-04-08 2021-06-25 阿波罗智联(北京)科技有限公司 车辆车轮接地点的确定方法、装置、路侧设备及云控平台
CN113033456B (zh) * 2021-04-08 2023-12-19 阿波罗智联(北京)科技有限公司 车辆车轮接地点的确定方法、装置、路侧设备及云控平台

Also Published As

Publication number Publication date
JP6376010B2 (ja) 2018-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8616570B2 (en) Method for producing a control arm, and a control arm
US9956838B2 (en) Method for obtaining a suspension arm for automotive vehicles and suspension arm
US9168967B2 (en) Frame unit for bicycle and method of manufacturing the same
US8814187B2 (en) Transverse link, and method for producing a transverse link
JP6376010B2 (ja) 自動車のサスペンション系部材、その本体およびその製造方法
JP5927841B2 (ja) トーションビーム、トーションビームAssy、トーションビーム式サスペンション装置、トーションビームの製造方法
JP2010111225A (ja) 車両用l型サスペンションアーム
KR101230592B1 (ko) 일체형 트레일링 암 및 그 제조방법
KR20180019174A (ko) 차륜 서스펜션을 위한 링크
US11254163B2 (en) Vehicle rigid axle and method of manufacturing same
JP2013216314A (ja) アーム素材およびその製造方法
CN110893882B (zh) 悬架支承托架以及悬架支承托架的制造方法
CN101348061B (zh) 一种汽车前悬架下控制臂及其制造方法
KR100902837B1 (ko) 이종강관을 이용한 자동차의 후륜 현가장치용 튜브형 토션빔
JP6428067B2 (ja) 自動車用部材
US11378149B2 (en) Method of manufacturing a damper tube
CN105235747A (zh) 一种矿用自卸车车架总成生产工艺
US9254885B2 (en) Frame unit for bicycle and method of manufacturing the same
JP2017087832A (ja) サスペンションアーム
JP2012153194A (ja) 車両用サスペンション構造
JP2020121336A (ja) 車両構造部材を製造する方法
KR20130076185A (ko) 토션 빔 성형 방법
CN211519164U (zh) 一种前下摆臂总成及汽车
WO2024009345A1 (ja) 車両サスペンション用構造体およびその製造方法
US20220126349A1 (en) Manufacturing method of member, manufacturing method of member for vehicle, and die and punch

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180709

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6376010

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350